JP2014211486A - 光ビーム用波面補償装置、波面補償方法、及びそのプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】ビーム光の波面調整を短時間で行うために、確率的探索手法における探索効率を向上させて波面調整の高速化を図ること。【解決手段】被投射部12に入射する光ビームの波面を変調する空間位相変調部11と、この空間位相変調部11を最適な状態に(光ビームの波面乱れを補償)するパラメータを探索する探索部13と、探索部がパラメータを生成する際のルールを適切に変更するパラメータ生成ルール変更部15と、探索部13の探索の進捗に応じて探索部及びパラメータ生成ルール変更部の動作を切り替える探索切替判断部20と、を備える。探索部13は、更に、パラメータ生成ルールに従い空間位相変調部11に入力するパラメータを生成するパラメータ生成部14と、被投射部12からの光ビームの状態に応じて変化する信号を受け取る評価部19と、各部の動作を制御する動作制御部13Aを備える構成とした。【選択図】図1

Description

本発明は、光ビームの波面を変調することにより波面の乱れを補償する光ビーム用波面補償装置、波面補償方法、及びそのプログラムに関する。
近年、衛星や、航空機に搭載可能な観測機器が高性能化しており、取得情報量が増加している。そのため従来の情報伝送手段である電波から、より高速な通信を達成可能な光ビームを用いた光空間通信が提唱されている。2006年には光衛星間通信実験衛星「きらり」が衛星間の光空間通信を世界で初めて成功している。
衛星から地上への情報伝送、および、航空機から地上への情報伝送では、宇宙空間とは異なり大気中を伝搬する。空間を通過した光、特に大気のように均一性の低い空間を通過した光は、空間伝搬中に空間的な位相分布が変化してしまい、波面が乱れてしまう現象が生じる。
高い精度を必要とする光装置では、波面の乱れが大きな問題となる。例えば、光ファイバを使った装置では、光ファイバへの結合効率が波面のみだれによって変動し、通信エラーが発生してしまう。
一方、大気による波面変化を抑制する技術として、空間位相変調器と波面センサを用いた波面補償にかかる技術が知られている(特許文献1)。ここで、波面補償とは、空間的な位相分布を取得する波面センサが取得した位相分布を、打ち消すように空間位相変調器を制御することで、波面を補償する技術である。
この波面補償装置では、例えば、目標とする波面と、波面センサが取得した波面との誤差をフィードバックし、乱れた波面を補償する。ここで、目標とする波面は、例えば光ファイバへの結合効率が最も高い状態の波面を意味する。
上記光ファイバへの結合効率を高くするためには、光学部材に対し、及びその組み立てや調整に対して、高い精度が要求される。この調整には、通常熟練の技術者が時間をかけて行う必要があり、費用が多くかかってしまう。特に空間位相変調器を備えた光学装置は、空間位相変調器が多くのパラメータをもつため、調整がより困難である。
また、製造時に目標とする波面を設定しても、移動・設置時の振動・衝撃により生じた機械的な歪みにより、設定した目標波面と、本来あるべき目標波面に差が生じてしまうことがある。
この問題に対し、使用開始時に光学系を最適な状態に自動調整する方法がある。この波面調整は、調整するパラメータが多く、局所解が多数存在するため、これに対応する手法として確率的探索手法、例えば遺伝的アルゴリズムを適用した探索手法が知られている(特許文献2)。この遺伝的アルゴリズムとは、生物の進化の過程である淘汰、交叉、突然変異を模擬してパラメータを調整する点に特徴を有している。
又、同様に、上気した光の波面調整にかかる制御を、遺伝的アルゴリズムを用いて行う光制御装置が、従来から知られている(特許文献3乃至5)。
特開平10−239600号公報 特許第3957223号(特開2003−204100号公報) 特開2003−204100号公報 特開2009−86248号公報 特開2010−40161号公報
上記各関連技術にあって、遺伝的アルゴリズムを適用した前記確率的探索手法は、各パラメータを微小に動かしながらよりよい方向に調整していく山登り探索法と比較して、局所解に陥りにくい特徴がある。また、調整するパラメータの組み合わせを全て試行する総当たり法と比較して、探索時間がかからない特徴もある。
しかしながら、上記確率的探索手法における探索時間は、例えば、上記した空間位相変調器を含む光学系のように、調整するパラメータが多いときには十分に早いとはいえず、探索時間の短縮が求められている。
探索時間がかかる理由は、確率的探索手法は探索効率が探索の進捗に影響を受けるという特徴があるためである。例えば、上記遺伝的アルゴリズムでは、探索初期の探索効率は高いが、探索が進むに従って探索効率が低下する特徴がある。
この課題の解決手法として、探索が進み収束が進むにつれ探索範囲を狭めることにより探索が進んだ後の探索効率を上げる方法が上記特許文献3で提案されているが、探索範囲は探索にかかるパラメータの1つでしかなく、この方法だけで探索時間の短縮を十分に達成できるものではない。
〔発明の目的〕
本発明は、上記関連技術の有する課題に対し、入力される光ビームの波面調整の探索効率を上げることを可能とする光ビーム用波面補償装置、波面補償方法、及びそのプログラムを提供することを、その目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかる光ビーム用波面補償装置は、被投射部に入射する光ビームの波面の乱れを変調する空間位相変調部と、前記空間位相変調部を最適な状態にし前記光ビームの波面乱れを補償するためのパラメータを確率的手法により探索する探索部と、前記探索部が確率的な手法によってパラメータを生成する際のパラメータ生成ルールを変更するパラメータ生成ルール変更部と、前記探索部の探索の進捗に応じて探索部及びパラメータ生成ルール変更部の動作を切り替える探索切替判断部と、を備え、
前記探索部は、更に、パラメータ生成ルールに従い空間位相変調部に入力するパラメータを生成するパラメータ生成部と、前記被投射部からの光ビームの状態に応じて変化する信号を受け取る評価部と、これら各部の動作(探索部全体)を制御する動作制御部を備える、という構成を採っている。
上記目的を達成するため、本発明にかかる光ビーム用波面補償方法は、被投射部に入射する光ビームの波面の乱れを位相変調の手法をもって補償する空間位相変調部を備えた光ビーム用波面補償装置にあって、
前記光ビームの光波面およびその光強度にかかる情報を探索部が入力し、
この入力した光ビームの波面の乱れを補償して最適化するための複数のパラメータを、パラメータ生成部が探索し、
この生成された複数のパラメータに基づいて前記光ビームの波面の乱れを前記空間位相変調部が変調して前記光ビームの波面の乱れを補償し、
前記パラメータ生成部によるパラメータの探索に際しては、当該パラメータにかかるパラメータ生成ルールを、予め装備されたパラメータ生成ルール変更部が前記波面の変化に対応して変更するようにする、という構成を採っている。
上記目的を達成するため、本発明にかかる光ビーム用波面補償プログラムは、被投射部に向けて送り込まれる光ビームの波面の乱れを位相変調の手法をもって補償する空間位相変調部を備えた光ビーム用波面補償装置にあって、
前記光ビームの光波面およびその光強度にかかる情報を入力処理する光ビーム情報入力処理機能、
この入力した光ビームの波面の乱れにかかる波面の空間的な位相分布を取得しその乱れを補償して最適化するための複数のパラメータを探索するパラメータ探索処理機能、
この探索で生成された複数のパラメータを前記空間位相変調部による波面補償制御信号として当該空間位相変調部に送る波面補償制御機能、
およびこの空間位相変調部による波面補償動作の実行に際しては、前記探索により生成される前記パラメータの生成ルールを波面の変化に対応して変更処理するパラメータ生成ルール変更処理機能、
を備え、これらをコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とした特徴とする光ビーム用波面補償プログラム。
本発明は上記のように構成し、パラメータ生成ルールを適切に変更することによって、前記波面調整を短時間でできるという優れた光ビーム用波面補償装置、光ビーム用波面補償方法、及びそのプログラムを提供することができる。
本発明に係る光ビーム用波面補償装置の第1実施形態における基本的構成を示すブロック図である。 図1内に開示した探索部における遺伝的アルゴリズムの処理を示すフローチャートである。 図1に開示した第1実施形態にて、位相変調情報を表現するモードとして使用されるゼルニケ多項式の各モードが、波面収差に与える影響の大きさを示す図表である。 図1に開示した第1実施形態の具体的構成を示すブロック図である。 図4に開示した第1実施形態における装置全体の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態における探索部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態における探索部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第4実施形態におけるパラメータの分解能を変えた場合の状態を示す説明図である。 図8に開示した第4実施形態における探索部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第5実施形態における探索部の動作を示すフローチャートである。 第6実施形態の構成を示すブロック図である。 第6実施形態における装置の全体的な動作の概略を示すフローチャートである。
本発明は、前述したように、外部入力される光ビームの波面調整を短時間に処理することを可能としたもので、そのための波面調整用として必要な最適化されたパラメータを探索する探索部を設けると共に、この探索部が短時間に効率よく探索するために、パラメータ生成ルール変更部が探索進度に応じてパラメータ生成ルールを変更するものである。
これにより、前記波面調整の高速処理を可能とした点に特徴を有する。
以下、本発明に係る光ビーム用波面補償装置の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
最初に、本第1実施形態における光ビーム用波面補償装置の原理的な内容を含む基本形構成を説明し、その後に具体的な構成内容を説明する。
まず、図1乃至図2において、光ビーム用波面補償装置は、被投射部12に入射する光ビームLBの波面の乱れを位相変調し補償する空間位相変調部11を備えている。即ち、入射される光ビームは、空間位相変調部11から波面の変調を受けたのち被投射部12に照射される。
空間位相変調部11には、当該空間位相変調部11の変調動作を最適な状態に設定するパラメータを得るための探索部13が接続されている。
上記探索部13は、上記被投射部12を介して前記光ビームの波面の状態を評価する評価部19と、波面の乱れを補償して最適化するための複数のパラメータを生成するパラメータ生成部14と、これらの各構成部材の動作を制御する動作制御部13Aとを備えて構成されている。
上記パラメータ生成部14は、前記光ビームLBの波面に対応して確率的探索手法によって前記複数のパラメータを生成する機能を備えている。また、確率的にパラメータを生成する際の生成ルールを変更するパラメータ生成ルール変更部(パラメータ生成条件変更部)15と接続されている。
上記パラメータ生成ルール変更部15は、前記確率的探索手法で生成する前記パラメータ生成ルールを、前記パラメータの探索進度に応じて切り換えるパラメータ生成ルール変更機能を備えている。パラメータ生成ルールの変更は、探索切替判断部20からの信号に応じて行う。
また、上記探索切替判断部20は、上記探索部13、及び、上記パラメータ生成ルール変更部15と接続されており、上記探索部13からの情報から探索進度を判定し、上記探索部13、及び、上記パラメータ生成ルール変更部15に探索を切り替える信号を出力する。また、探索切替判断部20は、予め設定された所定の終了条件に基づいて探索を終了するか否かを判断すると共に、探索を終了する信号を出力する機能も備える。
ここで、空間位相変調部11は、外部からの信号を参照して空間的に複数領域の光の位相を制御可能な装置である。このようなデバイスとしては、可変形ミラー(Deformable Mirror )や液晶パネルなどがある。
被投射部12は、目的とするシステムにより異なる。光空間通信システムの場合、被投射部12は、凸レンズや凹面ミラーにより光ビームLBが集光され光ファイバや光電気変換素子に入射する。一方、光ファイバに入射するシステムでは、波面の変化が結合効率の変化となるため波面補償の効果が大きい。
又、レーザ加工機の場合であれば、凸レンズや凹面ミラーにより光ビームLBが集光され被加工物上にスポットを作る。被加工物上でのスポットの大きさは最小加工寸法であり、また、スポットが小さいほどエネルギー密度が大きくできる。
探索部13は、上記したように、被投射部12からの情報に基づき空間位相変調部11の変調動作を制御する。この探索部13は、光ビームの波面ゆらぎや、光学装置の光学収差を補償し装置の所望の性能を達成するパラメータを、探索する。
ここで、探索とは、問題解決に際して有効な解法を用いることができないとき(或いは用いないとき)に実際に試行錯誤することによって解を得ようとする行動を指す。
以下、特に断りがない限り、適用するシステムを光通信システムとし、被投射部12が凸レンズ,光ファイバ,光電気変換素子等で構成され、凸レンズで光ファイバに光を入射させ、光ファイバを導光した光が光電気変換素子で電気信号に変換される系を前提にして内容説明を行うものとする。
尚、このことは、適用可能な構成内容を通信システム及び上記被投射部12の構成に限るものではない。又、波面補償装置はこの例に限らず、波面収差の影響を小さくしたい他の光学系装置に共通に使用可能なものである。
(パラメ−タの最適化手順)
ここで、上記探索部13が行う確率的探索手法について、その1つである遺伝的アルゴリズムの基本的な手法を説明する。
遺伝的アルゴリズムは、生物が淘汰されながら環境に最適化していく過程を模した確率的探索手法の一種である。
図2は、この遺伝的アルゴリズムによる探索により生成するパラメ−タの最適化手順の一例を示すフローチャートである。
この遺伝的アルゴリズムによる探索は、前述した探索部13が備えている動作制御部13Aからの指令を参照してその全体的な動作が実行されるようになっている。
この図2において、最初に、ランダムな遺伝子を持つ個体を多数生成する(図2:ステップS101)。遺伝子は、最適化する系の調整パラメータ群である。例えば、10個の調整パラメータがあるならば、10個の数値が遺伝子になる。
次に、各個体を評価する(図2:ステップS102)。
ここで、評価とは、生物でいえば環境にどれだけ適合しているかに相当する。優秀な遺伝子を持つ優秀な個体ほど高い値を示すような評価指標を設ける。評価指標はシミュレーションの結果でもよいし、実際に調整したい系にパラメータを入力し、検出した物理量でもよい。光空間通信の例では、例えば光ファイバに入射する光パワーである。
そして、評価および後述する生存選択、交叉選択、交叉、突然変異というサイクルを1世代とし、世代交代を繰り返すことで、徐々に優良な個体が現れる(即ち、パラメータが最適化される)ようになる。このため、上記評価につづいて、予め設定した必要な回数の世代交代をしたか否かをチェックする(図2:ステップS103)。
必要な回数の世代交代に達していない場合には、「いいえ」となり、評価された個体群から、優秀な個体を例えば2つ選択し、交叉させる(図2:ステップS104,S105)。選択,交叉とは、生物でいえば優秀な個体ほど多くの子供を残せることに相当する。この場合、選択は、評価値を参照して行う。
遺伝的アルゴリズムにおいては、一般的には評価値が高い個体ほど選択確率が高くなるようにして、偏重したランダム選択を行うルーレット選択がある。
他にも、トーナメント選択、エリート選択、またそれらを組み合わせたものなど、多数存在する。
交叉は、選択した2つの個体の遺伝子を掛け合わせて、新しい個体を作るものである。掛け合わせ型としては、遺伝子上のランダムな位置を選び、その前後で2つに分割し、分割したパラメータを交換する1 点交叉法や、選ぶ位置が2点になった2点交叉法などがある。
また、交叉によって生まれた個体のうち、一部の子供には突然変異を起こさせる(図2:ステップS106)。突然変異は、生物でも発生している現象である。パラメータの一部を書き換え、両親のどちらとも異なるパラメータをもつ必要な数の子供を作るものである。これにより、親の世代にはなかった特性を持つ子供が生まれる可能性がある(図2:ステップS107)。生まれなかった場合はステップS105に戻る。生まれた場合はステップS102に戻り、個体評価から遺伝的アルゴリズムの世代交代繰り返す。
尚、遺伝的アルゴリズムにおいて、突然変異は行わない方法もある。又、評価された個体群から一部の個体を次世代に生存させる方法もある。選択は交叉選択同様に評価値を参照して選択する。更に、生存選択は行わない方法もある。そして、選択・交叉・突然変異は繰り返し行い、次世代で必要な数の個体を生みだす。
以上、評価,生存選択,交叉選択,交叉,突然変異、というサイクルを1世代とし、世代交代を繰り返すことで、前述したように徐々に優良な個体が現れる(パラメータが最適化される)ようになる。
そして、パラメータが収束する程度に十分な回数の世代交代を行うか、系に適用するのに十分な結果のパラメータが見つかった時点で、上記した探索は終了である(図2:ステップS108)。
この図2に示すフローチャートの内、生存選択及び突然変異については行わない方法もある。尚、上記示した生存選択,突然変異,選択の方法,交叉の方法の違いに限らず、遺伝的アルゴリズムには、このフローチャートに開示した内容とは異なる様々な方法が提案されているが、本発明における適用可能な遺伝的アルゴリズムは、上記で説明した基本的な手法に限るものではない。また、探索手法自体遺伝的アルゴリズムに限るものではなく、焼きなまし法など他の確率的探索手法を適用してもよい。
上記した遺伝的アルゴリズムでは、通常調整するパラメータそのものを遺伝子情報にする。本第1実施形態の場合は、空間位相変調部11の各素子に与える信号値を遺伝子情報とする。この場合、例えば空間位相変調部11が20×20の素子から構成されていた場合には、遺伝子は400個のパラメータで構成されることになる。
この場合、各素子に与える信号値で記述する方法に対して、複数の特定の形状(モード)の重ね合わせとして、モードとモードの係数値で表現する方法がある。
モードの形状は任意に設定が可能であるが、1つ1つのモードを物理的に発生しやすい形状で定義することで、少ないモードで位相変調情報を表現することができる。このことにより各素子の信号値を直接遺伝子情報とする場合と比較して、少ないパラメータで探索が可能になる。
(ゼルニケ多項式)
このようなモードとして、光学系でよく使われるものとしてはゼルニケ多項式がある。このゼルニケ多項式は、下記の式で表される。
Figure 2014211486
Figure 2014211486
ここで、k はゼルニケ多項式の次数、ρは規格化した半径、αはゼルニケ多項式各式の係数である。ゼルニケ多項式は、低次項にチルト,フォーカス,コマ収差など、ザイデルの収差と対応した収差成分分解されたモードであり、光学的に発生しやすい波面収差を表現することに適している。
ゼルニケ多項式の特徴として、物理的に高次モードほど係数値が小さく、波面収差に対する影響が小さくなる傾向がある。例として、光空間通信では、ゼルニケ多項式の各項の係数が収差に与える影響の大きさを図3に示す。
残収差は、次数で示した値よりも低次の項を全て完全に補償した場合に残存する収差の大きさとして定義した。光ビームを収集するアンテナ径D、大気ゆらぎの大きさを表すフリード・パラメータからなる〔(D/r(5/3) 〕をかけることで、物理量[rad^2]に変換される。図3が示すように、低次項ほど波面収差に対する影響は大きい。
上記より、ゼルニケ多項式の係数を遺伝子とした場合、全ての遺伝子が評価値に対して同じ寄与でないといえる。
もっとも、全ての遺伝子が評価値に対して同じ寄与でないのは、遺伝子を各素子の信号値にした場合でも同様である。空間位相変調素子の角に配置された素子と、中央に配置された素子が評価値に与える影響は異なる。
ただし、モードで表現した場合には、寄与の差がより顕著になるとともに、物理現象を考慮すると、それぞれのモードの寄与の大小がおよそ想定可能であることが異なる。
本第1実施形態では、各遺伝子が評価値に与える影響の大きさの差を利用して探索の効率化を達成するものである。
(具体的な構成内容)
次に、上記図1乃至図2に開示した基本構成および遺伝的アルゴリズムにかかる具体的な内容を、図4乃至図5を参照して説明する。
上記探索部13は、前記図1の基本構成に加え、前述した評価部19が前記個体に関する情報を保存する記憶手段としての個体情報保存部16を備えている。更に、この個体情報保存部16は、遺伝子情報を保存する遺伝子情報保存部16Aと、評価部19で特定される評価値情報を保存する評価値情報保存部16Bとを備えている。
又、上記した評価部19は、遺伝子情報保存部16Aから評価の終わっていないデータを取り出すと共に遺伝子情報を空間位相変調信号に変換して空間位相変調部11へ送信する。これを受けて、空間位相変調部11は、送信された空間位相変調信号を参照して前述したように光ビームの波面の位相を変調し、被投射部12へ送る。被投射部12は、位相変調された光ビームLBを計測し評価部19に物理量(例えば光強度)を送信する。
この評価部19は、被投射部12から送り込まれた光ビームLBにかかる物理量を評価値に変換し、これを取り出した遺伝子情報に対応する評価値として評価値情報保存部16Bに保存する。そして、遺伝子情報保存部16に保存されている遺伝子全ての評価が終わるまで、評価部19は情報の取り出し、評価値への変換動作を行う。
前述した探索部13は、評価部19による評価が終了したら、上記探索切替判断部20に信号を出力し、探索進度がパラメータ生成ルールを変更する条件に当てはまるか否かを、同時に探索終了条件が成立しているか否かをチェックさせる。そして、探索部13は、この両方の条件(即ち、探索変更条件又は探索終了条件)の何れにも当てはまらない場合、前述した選択,生存,交叉の作業に移行する。
ここで、探索部13の前述したパラメータ生成部14は、上記選択,生存,交叉の各作業を実行するため、更に、個体情報保存部16から遺伝子情報と評価値情報とを取り出すと共にこれを使って生存する個体を選択し遺伝子情報保存部に保存する選択部17と、新たな遺伝子を生成する遺伝子生成部18とを備えている。
この遺伝子生成部18は、ランダムな遺伝子の個体を必要数作り、個体情報保存部16の遺伝子情報保存部16Aに情報を保存する機能を備えている。
この内、選択部17は、更に、前記取り出した遺伝子情報と評価値情報を使い、交叉させる個体を2個選択し遺伝子生成部18に送信する機能を備えている。この遺伝子生成部18には、前述したパラメータ生成ルール変更部15からパラメータ生成ルール変更信号が送り込まれるようになっている。
そして、上記遺伝子生成部18は、パラメータ生成ルールに基づき、選択部17から送り込まれた2個の遺伝子を交叉させて、新たな遺伝子を生成する機能を備えている。同時に、この遺伝子生成部18は、ある確率で生成した遺伝子に突然変異を発生させる機能を備えている。そして、生成した遺伝子情報は遺伝子情報保存部16Aに保存される。そして、必要数の遺伝子情報ができるまで、選択、交叉を続けられる。
遺伝子数が必要数できたならば、1世代終了である。そして、再び、評価、選択、生存、交叉を繰り返す。世代交代の繰り返しが、パラメータが収束するのに十分な回数の世代交代をしたか、又は系に適用するのに十分な結果のパラメータ(即ち、最適な波面補償に寄与し得る制御用の最適なパラメータ)が見つかった時点で、前述した探索切替判断部20が、終了条件を満たしたと判断し、探索部13による探索を終了させる。
一方、前述した評価終了後のチェックにて、パラメータ生成ルールの変更条件に当てはまった場合には、遺伝子生成部18のパラメータ生成ルールを変更する。その際に必要であれば、変更する条件に従って遺伝子情報の再設定をする。
(第1実施形態の具体的動作)
次に、本第1実施形態の具体的動作を、上記内容と一部重複するが図5のフローチャートを参照して具体的に説明する。
最初に、動作の基本的内容を説明する。
まず、空間位相変調部に与える複数のパラメータを、前記探索部13のパラメータ生成部(第1の機能部)14が生成する。
次に、この生成された複数のパラメータを受けた前記空間位相変調部11が前記光ビームの波面の乱れを変調する。
前記波面が変調された光ビームの光波面およびその光強度にかかる情報を、被投射部12を介して探索部15が取得する。
以上を繰り返すことにより、波面の乱れを補償する変数を探索する。
ここで、前記探索部13のパラメータ生成部14が、探索の進度に応じて、生成するパラメータの生成ルールを変更するようにした。
また、前述したパラメータ生成部(第1の機能部)14によるパラメータの生成に際しては、確率的探索手法である遺伝的アルゴリズムを適用した。
以下、これを更に具体的に説明する。
まず、外部から送り込まれる光ビームLBは、空間位相変調部11を介して被投射部12に送り込まれる。
この場合、探索部13は、前述したように、光ビームLBの波面の乱れを正すための変調制御信号を生成し出力する動作を実行する。
この探索部13は、まず、その一部を成す遺伝子生成部18で、予めランダムな遺伝子の個体を必要数作成し、その情報を遺伝子情報保存部16Aに保存する(図5:ステップS201)。
次に、探索部13の前記評価部19が、遺伝子情報保存部16Aから評価が終わっていないデータを取り出すと共に、この取り出したデータ(遺伝子情報)を空間位相変調用の制御信号に変換し、空間位相変調部11へ出力する(図5:ステップS202、S203)。
ここで、空間位相変調部11は、探索部13から入力された変調信号を参照して光ビームの波面の乱れを補償するための変調動作(位相変調)を実行する(図5:ステップS204)。
続いて、被投射部12から、前記変調を受けた光ビームの計測データ(例えば光強度データ)が評価部19に入力された場合、評価部19はその物理量(光強度データ)を評価値に変換し評価値情報保存部16Bに保存する(図5:ステップS205、S206)。
ここで、探索部11は、評価されていない遺伝子がないか否かを判定する。そして、評価されていない遺伝子が有る場合にはステップS202に戻って変調信号の出力動作を継続させる(図5:ステップS207/いいえ)。一方、評価されていない遺伝子が無い場合(図5:ステップS207/はい)には、次ステップS208へ進み、必要な回数の世代交代をしたか否かが判定される。
そして、このステップS208で、探索切替判断部20が必要な回数の世代交代をした(図5:ステップS208/はい)場合には探索は終了する。一方、必要な回数の世代交代はしていない旨の判定が成された場合(図5:ステップS208/いいえ)は、次ステップS209へ進み、パラメータの変更条件の成立の可否が検討される。
このステップS209では、まず、探索切替判断部20が評価部19の評価値情報保存部16Bから評価値情報を取得し、パラメータ生成ルールを変更する条件を満たすか否かが判定される(図5:ステップS209、S210)。そして、変更条件を満たす場合はパラメータ生成ルールの更新処理を経てから選択部17の選択動作へ、又、変更条件を満たさない場合には、変更なしの状態で選択部17の選択動作へ移行する。
即ち、パラメータ生成ルール変更部15によって評価値情報保存部16Bから取得された評価値情報が変更条件を満たす場合(図5:ステップS210/はい)、パラメータ生成ルール変更部15は、パラメータ生成ルールを変更すると共に当該変更したパラメータ生成ルールをパラメータ生成部18へ送り込む(図5:ステップS211)。これを受けて、遺伝子生成部18は変更されたパラメータ生成ルールに従って、遺伝子情報の再設定(変更した遺伝子情報を個体情報保存部16へ保存)を実行する(図5:ステップS212)。
次に、選択部17は、個体情報保存部16から遺伝子情報と評価値情報とを取り出すと共に、前記個体情報保存部16内のデータを消去する(図5:ステップS213、S214)。続いて、この選択部17は、取り出した遺伝子情報と評価値情報とを使って生存する個体を選択し遺伝子情報保存部16Aに保存する(図5:ステップS215)。
同時に、この選択部17は、取り出した遺伝子情報と評価値情報とを使い、交叉させる個体を2個選択し遺伝子生成部18へ送り込む(図5:ステップS216)。
続いて、遺伝子生成部18では、送信されて来た2個の遺伝子を交叉させて新しい遺伝子を生成する。同時に、遺伝子生成部18は、ある確率で生成した遺伝子に突然変位を発生させる(図5:ステップS217、ステップS218)。その後、この遺伝子生成部18は、生成した遺伝子にかかる遺伝子情報を遺伝子情報保存部16Aに保存する(図5:ステップS219)。
次に、探索部13は、遺伝子情報保存部16Aに保存された遺伝子情報が予め設定した必要数あるか否かが判定され、遺伝子情報が必要数無い場合には、ステップS216へ移行して交叉させる個体の選択動作に入り、遺伝子の生成動作を繰り返し実行する(図5:ステップS220/いいえ)。
一方、遺伝子情報が必要数有る場合には、ステップS202へ移行し、評価の終わっていないデータを対象として上記した一連のフローを実行する(図5:ステップS220/はい)。
即ち、前述したように、遺伝子数が必要数できたならば、1世代終了し、再び、評価、選択、生存、交叉を繰り返す。そして、パラメータが収束するのに十分な回数の世代交代が実行され、又は系に適用するのに十分な結果のパラメータが見つかった時点で、原則として、探索は終了する。
(パラメータ生成ルールの変更条件および探索終了条件)
ここで、上記探索切替判断部20が判断する探索パラメータの変更条件、及び終了判断部20が基準とする探索終了条件について説明する。
パラメータ生成ルールの変更及び探索終了にかかる条件には、いくつかの条件があり得る。
以下に示す各条件の内、1つの条件を適用してもよいし、複数の条件を組み合わせてもよい。組み合わせる方法は、複数の条件を全て満たした場合に可とするでもよいし、それぞれの条件を数値化して数値の合計値が一定値以上になったら可とするものでもよい。又、パラメータ生成ルールの変更条件に用いる条件の種類と、探索終了条件に用いる条件の種類が異なっていてもよい。
1つ目の条件は、「世代交代数が規定値に達成したか」である。探索切替判断部20は、世代交代数をカウントし、規定回数に達したときに、パラメータ生成ルールを変更、又は探索を終了する。
遺伝的アルゴリズムは世代が進むほど探索が進むため、世代交代数は探索進度に相関があり、世代交代数の管理によりパラメータ最適化の進捗を管理することができる。
2つ目の条件は、評価値の最高値が所望の値になったか、である。探索切替判断部は、各世代の評価が終了した時点で、評価値の最大値を取得し、取得値が所望値に達したらパラメータ生成ルールを変更、又は探索を終了する。
パラメータを最適化する光学系では、物理計算から評価値の理論値が分かっていることが多い。また、理論値が分からなくても仕様に基づき必要な評価値を決めて最適化を行うことが可能である。上述した本実施形態1の内容に示すように、探索する遺伝子のパラメータ数が途中で変化する場合には、そのとき探索しているパラメータにおける所望値を設定することで、この条件が適用できる。
3つ目の条件は、評価値のばらつきが小さくなったか、である。
探索切替判断部は、各世代の評価が終了した時点で、評価値を取得し分散を計算する。分散が所定の値以下になったら、パラメータ生成ルールを変更又は探索を終了する。遺伝的アルゴリズムによる探索では、通常、探索を進めるほど遺伝子毎の個性が失われ、似た値に近づいていく。このことから、評価値のばらつきは、探索効率を示しているといえる。
以上のように本第1実施形態は構成され作動するので、これによると、探索部13が有効に機能し、確率的探索手法におけるパラメータ最適化に際しては、遺伝子を構成する各パラメータが系に与える影響を取り込むことにより、効率的な探索を実現し、前記波面調整にかかる最適化されたパラメータを短時間に得ることができ、これがため、前記波面調整を高速に実行するこができるという効果を得ることができる。
即ち、本第1実施形態によると、波面調整用の空間位相変調器11を駆動制御する探索部13が有効に機能して、前記波面調整に必要な最適化されたパラメータを短時間に得ることができ、これがため、前記波面の乱れに対応してその補償動作を高速に且つ連続して実行するこが可能となる。
尚、本発明は、上記パラメータ生成ルール変更部15に係るものであり、選択・交叉・生存の方法に係るものではない。選択・交叉・生存の方法に関しては、上記に示したものではない任意の選択方法を採ってもよい。例えば、選択は、ルーレット選択でもトーナメント選択でもよい。
ここで、上記各構成部の動作にあって、各工程(ステップ)における実行内容をプログラム化し、コンピュータに実現させるように構成してもよい。この場合、本プログラムは非一時的な記録媒体(例えば、DVD,CD,フラッシュメモリなど)に記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータに読みだされ実行される。
又、上記コンピュータについては、本実施形態では、マイクロコンピュータも含み、更に、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )やFPGA(Field Programmable Gate Array )をも含むものとする。
〔第2実施形態〕
次に、本発明にかかる光ビーム用波面補償装置の第2実施形態を、図6を参照して説明する。
この第2実施形態では、前述した第1実施形態における探索部13が、探索方法として、探索初期は寄与の大きいモードのパラメータを探索し、世代交代を重ね寄与の大きいパラメータの探索が収束に近づいてから寄与の小さいパラメータの探索を開始するパラメータ探索機能13Eを備えている点に構成上の特徴を有する。
換言すると、本第2実施形態における探索部13の前記パラメータ探索機能13Eは、前記確率的探索で生成する前記パラメータの生成ルールを、前記パラメータの探索処理の進度に応じて切り換える機能を備えている。このパラメータ探索機能13Eは、具体的には、前述したパラメータ生成ルール変更部15が実行するように構成されている。
その他の構成は、前述した第1実施形態と同一となっている。
ここで、この第2実施形態におけるパラメータ探索機能13Eの必要性について説明する。
前述したように、遺伝子の各パラメータが評価値に与える影響は均一ではない。そのため、完全にランダムなパラメータから始まる探索初期は実質的には評価値に影響の大きいパラメータ(ゼルニケ多項式でいえば低次項)のみの探索しかできていないことになる。
例えば、高次項まで含めた遺伝子で探索する場合には、高次項のみで交叉させた個体生成も生じうるが、探索初期においては、このような生成は最終的な探索結果にほとんど影響を与えることがない無駄の多い交叉である。また、高次項のみに発生した突然変異も探索初期ではおよそ意味のないものである。
そこで、探索初期は探索部13のパラメータ生成部14が機能して、評価値の影響が大きいパラメータのみで探索を行い、探索が進んでから全パラメータの探索をする方法を採るようにした。
即ち、本第2実施形態にあっては、探索部13のパラメータ生成部14が、前記光ビームLBの波面補償処理に対して与える影響が大きいパラメータに比較して、前記光ビームLBの波面補償処理に対して与える影響が小さいパラメータを少なくする機能を備えている。
これにより、探索初期の無駄な交叉、変異をなくすことができ、探索速度の向上を図ることができる。
次に、この第2の実施形態における光ビーム用波面補償装置の探索処理の動作を、図6に示す。
この図6に示すように、最初の個体生成時には、調整するパラメータ全てではなく、影響の大きいパラメータのみで遺伝子を生成する。即ち、寄与の大きい低次項のみ、ランダムな値を与えた個体を必要数生成する(図6:ステップS301)。
この個体群に対して探索を進める。この際、交叉が影響の大きいパラメータを交叉させる、突然変異が影響の大きいパラメータで発生させる(図6:ステップS302)。
探索が進み、パラメータ変更条件を満たすか否かをチェックし、満たしている場合は次のステップに進む(図6:ステップS303/はい)。パラメータ変更条件を満たしていない場合はステップS302に戻り、探索を継続する(図6:ステップS303/いいえ)。
次に、パラメータ変更条件を満たしている場合には、その時点で生成されている影響の大きいパラメータの遺伝子のみで構成された各個体に、影響の小さいパラメータをランダムな値で付与する。即ち、各個体の高次項にランダムな値を付与する(図6:ステップS304)。
続いて、遺伝子生成部の生成ルールを、全てのパラメータで、交叉,突然変異が発生するように変更し、探索を進める(図6:ステップS305、S306)。
この探索中、必要な回数の世代交代をしたか否かがチェックされる。終了条件を満たさない場合(図6:ステップS307/いいえ)にはステップS306に戻って探索を継続する。そして、終了条件を満たす場合(図6:ステップS307/はい)に探索を終了する(図6:ステップS308)。
ここで、上記探索に際しては、2段階に分けた方法を示したが、3段階以上に分割してもよい。その他の構成およびその作用効果は、前述した第1実施形態と同一となっている。
この第2実施形態の方法によれば、探索初期に意味のない探索範囲を調査することがなくなることにより、探索時間の短縮が達成され、その結果、前述した本発明の目的を効果的に達成することができる。
〔第3実施形態〕
次に、本発明にかかる光ビーム用波面補償装置の第3実施形態を、図7を参照して説明する。
この第3実施形態は、前述した第1実施形態における探索部13が、探索方法として、探索初期は寄与の大きいモードのパラメータを探索し、世代交代を重ねて寄与の大きいパラメータの探索が収束してから、寄与の小さいパラメータの探索を別途行うパラメータ探索機能13Fを備えている点に構成上の特徴を有する。
即ち、本第3実施形態にあっては、探索部13のパラメータ生成部14は、探索開始時には、前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が小さいパラメータを探索対象から除く機能を備えている。
これにより、探索初期および後期の無駄な交叉、変異をなくすことができ、探索速度の向上を図ることができる。
その他の構成は、前述した第1実施形態と同一となっている。
ここで、この第3実施形態におけるパラメータ探索機能13Fの必要性について具体的に説明する。
前述したように、遺伝子の各パラメータが評価値に与える影響は均一ではない。そのため、完全にランダムなパラメータから始まる探索初期は実質的には評価値に影響の大きいパラメータ(ゼルニケ多項式でいえば低次項)のみの探索しかできていないことになってしまう。
例えば、高次項まで含めた遺伝子で探索する場合には、高次項のみで交叉させた個体生成も生じうるが、探索初期においてはこのような生成は最終的な探索結果にほとんど影響を与えることがない無駄の多い交叉である。また、高次項のみに発生した突然変異も探索初期ではおよそ意味のないものである。
一方、前述した第2の実施形態では、影響の小さいパラメータを後から付与する場合について開示したが、探索後半では、探索が進んでいないパラメータと既に探索が進みきったパラメータがあることから、探索の進みきったパラメータまで交叉、変異対象にするとなり、探索効率の向上は図り得るものの限界がある。
そこで、本第3実施形態では、探索初期は評価値の影響が大きいパラメータのみで探索を行い影響が大きいパラメータを最適化し、その後、影響の小さいパラメータを最適化するというように段階に分けるという構成を採用した。これにより、探索初期、および後期の無駄な交叉、変異をなくすことができ、探索速度が大幅に向上する。
この第3の実施形態における光ビーム用波面補償装置による探索処理動作を、図7に示す。
この図7では、前述した図6に示すフローチャートとほぼ同等の手順となっているが、内容が異なるほか、ステップS404が新たに追加されている点に、動作上の特徴を有する。
まず、最初の個体生成時には、調整するパラメータ全てではなく、影響の大きいパラメータのみで遺伝子を生成する(図7:ステップS401)。
このステップS401で生成された個体群に対して探索を進める際、交叉が影響の大きいパラメータを交叉させる、突然変異が影響の大きいパラメータで発生させる(図7:ステップS402)。
探索が進み、パラメータ生成ルールの変更条件を満たしたら次の段階に進む(図7:ステップS403)。その時点で生成されている個体の内、最も良い評価値の個体のパラメータを全ての個体にコピーしたのち、各個体に影響の小さいパラメータをランダムな値を付与する(図7:ステップS404、S405)。
続いて、遺伝子生成部の生成規則を、影響の小さいパラメータのみ交叉、突然変異が発生するように変更する(図7:ステップS406)。
この状態から、前述した図6の場合と同様に、終了条件を満たすまで探索を進める(図7:ステップS406乃至S409)。
ここで、上記探索に際しては、2段階に分けた方法を示したが、3段階以上に分割してもよい。その他の構成およびその作用効果は、前述した第1実施形態と同一となっている。
この第3実施形態によれば、探索初期、および後期に意味のない探索範囲を調査することがなくなることにより、第2実施形態より、さらに探索時間の短縮が達成され、その結果、前述した本発明の目的を、更に効果的に達成することができる。
〔第4実施形態〕
次に、本発明にかかる光ビーム用波面補償装置の第4実施形態を、図8乃至図9を参照して説明する。
この第4実施形態は、前述した第1実施形態における探索部13が、探索方法として遺伝子の各パラメータの影響の差を考慮し、パラメータの分解能を変えることで各パラメータの影響度を均一化し、この均一化した状態でパラメータの探索を行うパラメータ探索機能13Kを備えている点に構成上の特徴を有する。その他の構成は、前述した第1実施形態と同一となっている。
ここで、この第4実施形態におけるパラメータ探索機能13Kの必要性について説明する。
前記のように、遺伝子の各パラメータが評価値に与える影響は均一ではない。そのため、完全にランダムなパラメータから始まる探索初期は実質的には評価値に影響の大きいパラメータ(ゼルニケ多項式でいえば低次項)のみの探索しかできていないことになる。
そこで、各パラメータの最小変化が評価値に与える影響を均一化する。これにより、パラメータ間の影響差を解消させることができ、探索期間全体にわたって均等な探索となる。このため、探索効率が向上する。
ここで、本第4実施形態にかかる探索処理の概念図を図8に示す。
まず、分解能について説明する。分解能とは、各パラメータが取る最小の値の幅のことである。例えば、0から100までの値をとるパラメータがあったときに、1 刻みで0から100までとるならば、分解能は1であるし、5刻みならば5である。
分解能を変えることによる均一化とは、例として、遺伝子のパラメータとして、モードAとモードBの係数があったとき、モードAが評価値に与える影響の大きさがモードBに対して4倍大きいとする。このとき、モードBの分解能を、パラメータの取り得る場合の数で割った値、つまりモードAの4倍なるようにすることで、それぞれのパラメータの変化が評価値に与える影響を均一化できる。
また、このように遺伝子の各パラメータの探索空間が異なっている場合には、探索空間の広さに応じて、突然変異の発生確率を変えることが望ましい。
尚、図8の概念図では、モードA、モードBの係数値の取り得る値の範囲が同一となっているが、これは違っていてよい。
次に、本第4実施形態における探索部13の探索処理動作を、図9のフローチャートを参照して説明する。
まず最初に、遺伝子生成部18は、ランダムな遺伝子の個体を必要数生成し遺伝子情報保存部16Aに保存する(図9:ステップS501)。このとき、各遺伝子の最小分解能の大きさが評価値に対する影響の大きさに反比例するようにする。
又、この個体群に対して探索を進める際、突然変異が生成するパラメータについても、遺伝子各パラメータの分解能に応じたパラメータ生成をする。
探索が進み、パラメータ生成ルールの変更条件を満たしたら、遺伝子生成部18の生成ルールを変更し突然変異が作る変化値の分解能を変える(図9:ステップS504)。即ち、遺伝子の各パラメータの分解能を小さくしていく。ここで、探索初期から十分な分解能であるならば、探索に応じてパラメータの分解能を変更する必要はない。
以上を繰り返し、前述した第3実施形態の場合と同様に探索を進め、終了条件を満たす状態が来たら、探索を終了する(図9:ステップS505、S506)。
この第4実施形態によれば、遺伝子の各パラメータの評価値に対する影響差がなくなるため、全期間で均等な探索ができ、探索効率がよい。このため、前述した本発明の目的を、効果的に達成することができる。
〔第5実施形態〕
次に、本発明にかかる光ビーム用波面補償装置の第5実施形態を、図10を参照して説明する。
この第5実施形態は、前述した第1実施形態における探索部13が、探索方法として遺伝子の各パラメータの影響の差を考慮し、突然変異の発生確率を探索時期によって変えるパラメータ探索機能13Hを備えた点に特徴を備えている。
ここで、上記探索部13のパラメータ探索機能13Hの必要性について説明する。
前述したように、遺伝子の各パラメータが評価値に与える影響は均一ではない。そのため、完全にランダムなパラメータから始まる探索初期は実質的には評価値に影響の大きいパラメータ(ゼルニケ多項式でいえば低次項)のみの探索しかできていないことになってしまう。
そこで、探索初期において実質的に探索を行っている影響度の大きいパラメータについて突然変異が発生する確率を大きくする。これにより、探索期間初期において、探索効率が向上する。
次に、本第5実施形態における探索部13の探索処理動作を、図10のフローチャートを参照して説明する。
ここで、実際の探索処理にあっては、前述した第4実施形態では、ステップS504では、遺伝子生成部18のパラメータ生成ルールを変更して突然変異が作る変化値の分解能を変えるようにしたのに対し、本第5実施形態では、ステップS604で遺伝子生成部18のパラメータ生成ルールを変更して、各パラメータの突然変異発生確率を変化させるようにした点が異なる。
その他の探索処理動作は前述した第4実施形態の場合と同一となっている。
即ち、まず最初に、遺伝子生成部18は、ランダムな遺伝子の個体を必要数生成する(図10:ステップS601)。
次に、この個体群に対して探索を進める際、突然変異が発生する確率を、評価値に対する影響度が大きいパラメータほど大きくする(図10:ステップS602)。探索が進むにつれ、突然変異の発生確率の差を小さくしていく(図10:ステップS603、S604)。
以上を繰り返し、前述した第3実施形態の場合と同様に探索を進め、終了条件を満たす状態が来たら、探索を終了する(図10:ステップS605、S606)。
即ち、この第5実施形態においては、前記探索部13は探索手法として遺伝的アルゴリズムを採用し、前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が大きいパラメータの場合に比較して、前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が小さいパラメータが突然変異する確率を小さくするように構成した。
このため、この第5実施形態によれば、特に探索初期において探索効率がよくなり、これがため、前述した本発明の目的を、効果的に達成することができる。
〔第6実施形態〕
次に、本発明にかかる光ビーム用波面補償装置の第6実施形態を、図11乃至図12を参照して説明する。
この第6実施形態は、前述した第1実施形態における光ビーム用波面補償装置に新たな構成を付加した形態をもって構成されている。
まず、前述した空間位相変調部11は、探索部13が予め探索し最適化されたパラメータで前記光ビームの波面の乱れを変調処理して出力する機能を備えている。
この空間位相変調部11には、当該空間位相変調部11から送り出される前記光ビームを一方と他方に分割出力する光分割部61を接続されている。
また、この光分割部61からの前記一方の光ビームを前述した被投射部12が入力すると共に、前記他方の光ビームを入力しその波面を測定する光センサ62を、当該光分割部61に併設する。更に、前記光センサ62で測定された波面情報を入力しこれを目標波面として前記空間位相変調部11をフィードバック制御する波面補償フィードバック演算部63を設けた。
即ち、この第6実施形態は、前述した第1実施形態における図4で開示した光ビーム用波面補償装置の基本構成に対して、上記した光分割部61、波面センサ62、及び波面補償フィードバック演算部63が付加された構成となっている。
その他の構成およびその動作は、前述した第1実施形態の場合と同一となっている。
そして、外部入力された入射した光ビームLBは、変調動作前の前記空間位相変調部11を介して光分割部61に送られ、被投射部12に入射する一方の光ビームと、波面センサ62に入射する他方の光ビームLBの二つに分割される。
そして、波面センサ62に入射した他方の光ビームLBは、波面センサ62により波面が測定される。測定した波面の情報は波面補償フィードバック演算部63に送信される。波面補償フィードバック演算部63は、予め想定された目標波面との差分を計算し、差分を小さくするように空間位相変調部11にフィードバック制御信号が送られる。
一方、被投射部12に入射した一方の光ビームとそれにつながる探索部13にかかる処理は、前述した第1実施形態にて開示した内容と同様に処理される。
次に、本第7実施形態にかかる光ビーム用波面補償装置のフィードバック制御に先立って成される基本的な動作を図12のフローチャートを参照して説明する。
まず、図12に示すように、本第7実施形態では、前述した第1実施形態において実行されるパラメータ探索と同等のパラメータ探索が、装置全体の本格的な稼働前(例えば製造時又装置設置時)に行われる(図12:ステップS701)。その際、装置に入射する光ビームは外乱が小さいことが望ましい。
そして、パラメータ探索終了後、最も良い評価値を示す遺伝子パラメータで、空間位相変調部を変調する(図12:ステップS702)。前述した波面補償フィードバック演算部63は、そのとき波面センサ62が取得した補償後の波面測定情報と同等の波面情報を予め目標波面として保持し(図12:ステップS703)、これを参照して波面補償動作を開始し、フィードバック演算及び制御を行う(図12:ステップS704)。
その他の構成およびその処理動作は前述した第1実施形態と同一となっている。
このようにしても、前述した第1実施形態と同等の作用効果を備えた光ビーム用波面補償装置を得ることができ、前述した外部入射される光ビームLBの波面の乱れを連続して有効に補償することができる。
上述した各実施形態については、その新規な技術的内容の要点をまとめると、以下のようになる。
尚、この下記にまとめた新規な技術的内容については、前述した各実施形態の一部をまとめたものであり、本発明を、これに限定するものではない。
〔付記1〕
被投射部に入射する光ビームの波面を変調する空間位相変調部と、前記光ビームの波面を補償するために前記空間位相変調部を最適な状態にする複数のパラメータを確率的な手法によって探索する探索部と、前記探索部が確率的な手法によってパラメータを生成する際のパラメータ生成ルールを変更するパラメータ生成ルール変更部と、前記探索部の探索の進度に応じて探索部及びパラメータ生成ルール変更部の動作を切り替える探索切替判断部とを備え、
前記探索部が、
パラメータ生成ルールに従いパラメータを生成するパラメータ生成部と、前記被投射部から光ビームの状態に応じて変化する信号を受け取る評価部と、これら各部の動作を制御する動作制御部とを備えたことを特徴とする光ビーム用波面補償装置。
〔付記2〕
付記1に記載の光ビーム用波面補償装置において、
前記パラメータ生成部は、前記光ビームの波面に対応して確率的探索手法である遺伝的アルゴリズムを適用して前記複数のパラメータを生成する機能を備えていることを特徴とした光ビーム用波面補償装置。
〔付記3〕(第3実施形態)
付記1に記載の光ビーム用波面補償装置において、
前記パラメータ生成ルールが、探索開始時には、前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が小さいパラメータを探索対象から除くものであることを特徴とした光ビーム用波面補償装置。
〔付記4〕(第2実施形態)
付記1又は2に記載の光ビーム用波面補償装置において、
前記パラメータ生成ルールが
前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が大きいパラメータと比較して、前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が小さいパラメータが取り得る場合の数を少なくするものであることを特徴とした光ビーム用波面補償装置。
〔付記5〕(第5実施形態)
付記1乃至3の何れか一つに記載の光ビーム用波面補償装置において、
前記パラメータ生成ルールが、その探索手法として遺伝的アルゴリズムを採用すると共に、
前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が大きいパラメータの場合に比較して、前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が小さいパラメータが突然変異する確率を小さくするものであることを特徴とする光ビーム用波面補償装置。
〔付記6〕(第1実施形態)
付記1乃至3の何れか一つに記載の光ビーム用波面補償装置において、
前記探索部が探索するパラメータをゼルニケ多項式の係数とし、
前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響の大きいパラメータを前記ゼルニケ多項式では小さい値の次数に対応させると共に、
前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響の小さいパラメータを前記ゼルニケ多項式では大きい値の次数に対応させるように構成したことを特徴とする光ビーム用波面補償装置。
〔付記7〕(第6実施形態)
付記1乃至3の何れか一つに記載の光ビーム用波面補償装置において、
前記空間位相変調部は、前記探索部が予め探索し最適化されたパラメータで前記光ビームを変調し出力する機能を備え、
前記空間位相変調部に、前記光ビームを一方と他方に二分割し出力する光分割部を接続し、
この光分割部からの前記一方の光ビームを前記被投射部が入力すると共に、前記他方の光ビームを入力してその波面を測定する光センサを設け、
前記光センサで測定された波面情報を入力しこれを目標波面として前記空間位相変調部をフィードバック制御する波面補償フィードバック演算部を設けたことを特徴とする光ビーム用波面補償装置。
〔付記8〕(方法の発明/付記1対応)
被投射部に入射する光ビームの波面の乱れを位相変調の手法をもって補償する空間位相変調部を備えた光ビーム用波面補償装置にあって、
前記光ビームの光波面およびその光強度にかかる情報を探索部が入力し、
この入力した光ビームの波面の乱れを補償して最適化するための複数のパラメータを、パラメータ生成部が探索し、
この生成された複数のパラメータに基づいて前記光ビームの波面の乱れを前記空間位相変調部が変調して前記光ビームの波面の乱れを補償し、
前記パラメータ生成部によるパラメータの探索に際しては、当該パラメータにかかるパラメータ生成ルールを、予め装備されたパラメータ生成ルール変更部が前記波面の変化に対応して変更する構成としたこと、を特徴とする光ビーム用波面補償方法。
〔付記9〕(方法の発明/付記2対応)
付記8に記載の光ビーム用波面補償方法において、
前記パラメータの探索に際しては、前記探索部が、前記光ビームの波面の乱れに対応して確率的探索手法である遺伝的アルゴリズムを利用し、前記光ビームの波面補償の円滑処理が可能な複数のパラメータを探索することを特徴とした光ビーム用波面補償方法。
〔付記10〕(プログラム発明/付記9対応)
被投射部に向けて送り込まれる光ビームの波面の乱れを位相変調の手法をもって補償する空間位相変調部を備えた光ビーム用波面補償装置にあって、
前記光ビームの光波面およびその光強度にかかる情報を入力処理する光ビーム情報入力処理機能、
この入力した光ビームの波面の乱れにかかる波面の空間的な位相分布を取得しその乱れを補償して最適化するための複数のパラメータを探索するパラメータ探索処理機能、
この探索で生成された複数のパラメータを前記空間位相変調部による波面補償制御信号として当該空間位相変調部に送る波面補償制御機能、
およびこの空間位相変調部による波面補償動作の実行に際しては、前記探索により生成される前記パラメータの生成ルールを波面の変化に対応して変更処理するパラメータ生成ルール変更処理機能、
を備え、これらをコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とした特徴とする光ビーム用波面補償プログラム。
〔付記11〕(プログラム発明/付記9対応)
付記10に記載の光ビーム用波面補償プログラムにおいて、
前記パラメータ生成処理機能にあっては、前記光ビームの波面の乱れに対応して確率的探索手法である遺伝的アルゴリズムを利用し、光ビームの波面補償の円滑処理が可能なパラメータを生成することをその構成内容とし、
これを前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする特徴とする光ビーム用波面補償プログラム。
本発明は、測定および加工にレーザ光を始めとして、波面の乱れの補償を必要とするあらゆる分野に有効に適用することができる。
11 空間位相変調部
12 被投射部
13 探索部
13E,13F,13K,13H パラメータ探索機能
14 パラメータ生成部
15 パラメータ生成ルール変更部
16 個体情報保存部
17 選択部
18 遺伝子生成部
19 評価部
20 探索切替判断部
61 光分割部
62 波面センサ
63 波面補償フィードバック演算部

Claims (10)

  1. 被投射部に入射する光ビームの波面を変調する空間位相変調部と、前記光ビームの波面を補償するために前記空間位相変調部を最適な状態にする複数のパラメータを確率的な手法によって探索する探索部と、前記探索部が確率的な手法によってパラメータを生成する際のパラメータ生成ルールを変更するパラメータ生成ルール変更部と、前記探索部の探索の進度に応じて探索部及びパラメータ生成ルール変更部の動作を切り替える探索切替判断部と、を備え、
    前記探索部が、
    パラメータ生成ルールに従いパラメータを生成するパラメータ生成部と、前記被投射部から光ビームの状態に応じて変化する信号を受け取る評価部と、これら各部の動作を制御する動作制御部とを備えたことを特徴とする光ビーム用波面補償装置。
  2. 請求項1に記載の光ビーム用波面補償装置において、
    前記パラメータ生成部は、前記光ビームの波面に対応して確率的探索手法である遺伝的アルゴリズムを適用して前記複数のパラメータを生成する機能を備えていることを特徴とした光ビーム用波面補償装置。
  3. 請求項1に記載の光ビーム用波面補償装置において、
    前記パラメータ生成ルールが、探索開始時には、前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が小さいパラメータを探索対象から除くものであることを特徴とした光ビーム用波面補償装置。
  4. 請求項1又は2に記載の光ビーム用波面補償装置において、
    前記パラメータ生成ルールが
    前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が大きいパラメータと比較して、前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が小さいパラメータが取り得る場合の数を少なくするものであることを特徴とした光ビーム用波面補償装置。
  5. 請求項1乃至3の何れか一つに記載の光ビーム用波面補償装置において、
    前記パラメータ生成ルールが、その探索手法として遺伝的アルゴリズムを採用すると共に、
    前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が大きいパラメータの場合に比較して、前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響が小さいパラメータが突然変異する確率を小さくするものであることを特徴とする光ビーム用波面補償装置。
  6. 請求項1乃至3の何れか一つに記載の光ビーム用波面補償装置において、
    前記探索部が探索するパラメータをゼルニケ多項式の係数とし、
    前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響の大きいパラメータを前記ゼルニケ多項式では小さい値の次数に対応させると共に、
    前記光ビームの波面補償処理に対して与える影響の小さいパラメータを前記ゼルニケ多項式では大きい値の次数に対応させるように構成したことを特徴とする光ビーム用波面補償装置。
  7. 請求項1乃至3の何れか一つに記載の光ビーム用波面補償装置において、
    前記空間位相変調部は、前記探索部が予め探索し最適化されたパラメータで前記光ビームを変調し出力する機能を備え、
    前記空間位相変調部に、前記光ビームを一方と他方に二分割し出力する光分割部を接続し、
    この光分割部からの前記一方の光ビームを前記被投射部が入力すると共に、前記他方の光ビームを入力してその波面を測定する光センサを設け、
    前記光センサで測定された波面情報を入力しこれを目標波面として前記空間位相変調部をフィードバック制御する波面補償フィードバック演算部を設けたことを特徴とする光ビーム用波面補償装置。
  8. 被投射部に入射する光ビームの波面の乱れを位相変調の手法をもって補償する空間位相変調部を備えた光ビーム用波面補償装置にあって、
    前記光ビームの光波面およびその光強度にかかる情報を探索部が入力し、
    この入力した光ビームの波面の乱れを補償して最適化するための複数のパラメータを、パラメータ生成部が探索し、
    この生成された複数のパラメータに基づいて前記光ビームの波面の乱れを前記空間位相変調部が変調して前記光ビームの波面の乱れを補償し、
    前記パラメータ生成部によるパラメータの探索に際しては、当該パラメータにかかるパラメータ生成ルールを、予め装備されたパラメータ生成ルール変更部が前記波面の変化に対応して変更する構成としたこと、を特徴とする光ビーム用波面補償方法。
  9. 請求項8に記載の光ビーム用波面補償方法において、
    前記パラメータの探索に際しては、前記探索部が、前記光ビームの波面の乱れに対応して確率的探索手法である遺伝的アルゴリズムを利用し、前記光ビームの波面補償の円滑処理が可能な複数のパラメータを探索することを特徴とした光ビーム用波面補償方法。
  10. 被投射部に向けて送り込まれる光ビームの波面の乱れを位相変調の手法をもって補償する空間位相変調部を備えた光ビーム用波面補償装置にあって、
    前記光ビームの光波面およびその光強度にかかる情報を入力処理する光ビーム情報入力処理機能、
    この入力した光ビームの波面の乱れにかかる波面の空間的な位相分布を取得しその乱れを補償して最適化するための複数のパラメータを探索するパラメータ探索処理機能、
    この探索で生成された複数のパラメータを前記空間位相変調部による波面補償制御信号として当該空間位相変調部に送る波面補償制御機能、
    およびこの空間位相変調部による波面補償動作の実行に際しては、前記探索により生成される前記パラメータの生成ルールを波面の変化に対応して変更処理するパラメータ生成ルール変更処理機能、
    を備え、これらをコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とした特徴とする光ビーム用波面補償プログラム。
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