JP2014209850A - 透過性三次元多層農法システム - Google Patents

透過性三次元多層農法システム Download PDF

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Abstract

【課題】三次元植物生産性、三次元収穫量、トン/m3/年を増大させる進歩的なシステム、手段、方法による、三次元多層農法(MLF)を提供する。【解決手段】MLFシステムの各層は、植物の成長を維持するために多機能を実施するよう設計され、かつ、これらの機能をコスト削減するように組入れられた、サンソイル(SanSSoil)成長成分(SGE)の少なくとも1つのストリングからなる。加えて、全ての層は、初期資本投資コスト及び消耗品の変動費を最小化させるために資源を共有することを可能にする新しい透過性の特徴を有する。つまり、(1)層は光透過性があり、植物の成長過程を通して最低限の人工光を使用し、共有する、(2)各層の植物の根部と茎は隣接層にある根部と茎の空間を共有して垂直方向の空間圧縮を達成する、(3)層は、流体送達供給源を最小化するために栄養素の流体に対して透過性がある。【選択図】図2A

Description

本発明は、農業、園芸、農学及び食糧の農業経済学、エネルギー、その他の有機体物質の分野に関する。具体的には、植物、収穫量、光合成エネルギー変換効率の最適化、並びに、時間、空間、水、栄養素を含めた他の資源の利用効率に関する。さらに具体的には、本発明は、太陽エネルギーまたは土壌に依存せずに実施する、屋内三次元(3D)環境制御農法、空間、垂直農法に関する。また、植物の成長を維持する複数の層から成る三次元農業システムに関する。より具体的には、各層が水、栄養素、光、隣接層からの芽と根を貫通させるという意味で、複数の層は透過性がある。
同時係属中の特許出願「食糧及びエネルギー生産のためのサンソイル(SanSSoil)(非土俵:Soil−less)屋内農法」の全体が、本明細書に参考として援用される。従来の土壌を主体とした農業の限界及び欠点について詳しく述べている、本出願は、以後、「最初のサンソイル出願(the First SanSSoil Application)」または「FSA」と言う。本出願では、農業の収益性を確保する法則(AgriPAL)、新規植物成長モデル(PGM)に基づく代替的非土壌三次元多層農法に関する進歩的な教示を提示した。
総じて、AgriPAL及びPGMは、科学的原則に基づく数学的分析基礎を初めて発表しているが、光合成の働きを示し、収穫量、エネルギー効率、農業収益性の予測式を提示した。これらは、今日まで植物科学者及び農学者が捉えることができず、困惑させていた謎を解明した。かつ、太陽利得、及び資源利用効率の評価手段で収集された極めて高い生理学的利得の概念を明らかにした。これらの利得により、収穫量と効率が10倍以上も上昇し、アプローチの経路は100倍になる。
FSAは、本出願及び後続関連の出願で提示されている多くの進歩的な発明に寄与している。したがって、本出願は、FSAの背景、数式、教示に大きく依拠している。
世界の人々に適切に食糧を供給することができる充分な食糧生産は可能であろうか。
栄養状態の改善と併せて、健康科学と技術の発展により、幼児死亡をほとんど根絶する道ができた一方で、平均寿命が80才を超えようとしている。その結果として、世界人口が2050年までに、少なくとも90億人になると予測されている。このように予測される人口規模は、我々の地球が抱える最大の課題として、長年、認識されているが、食糧、エネルギー、土地、水などの限られている資源を圧迫し、かつ、質の高い生活とライフスタイルを獲得し維持するために厳しい競争と対立を助長している。
本課題は、近年、2009年10月12〜13日にローマで開催された「2050年の世界の食糧問題」と題するハイレベル・エクスパート・フォーラムの成果を発表した国際連合食糧農業機関(FAO)により強調されている。さらに、二酸化炭素ならびに地球変動研究センターが発行しているCO−Science(発行、2011年6月15日)の「2050年の世界の食糧生産予測:世界の人々に適切に食糧を供給することができる充分な食糧生産は可能か。」と題する論文の中で、C.D.Idso博士は、本課題を強調した。
FAOもIdso博士も、次の憂慮すべき点で合意している。それは、1人当たりの世界の食糧生産、耕地、水資源、主食農作物の農産物の圃場収穫量の大幅な減少である。破滅的な結末を避けるために、両者は、食糧生産技術、システム、方法の急激なパラダイム・シフトの必要性を指摘している。現在の食糧の需給ギャップでは、世界の多くの地域で飢餓、栄養不良、餓死が起こる荒廃的な結果が継続する。FAOによると、2012年は10億人が飢餓状態である。2050年の90億人の人口では、このギャップがさらに拡大することが予想される。世界の多くの地域の飢餓に加えて、地政学的な不安定さによって、人類の福祉に計り知れないほどの悪影響を及ぼすだろう。
さらに、これらの課題は、以下の3つの矛盾に現れている。
矛盾 No.1:食糧 vs. 二酸化炭素低減
多くの人々は、二酸化炭素の排出が地球温暖化を引き起こしていると憂慮している。そのような人々は化石燃料の使用削減に取組み、COの削減を主張し、政府に要求している。人々は政府を動かす影響力を持っており、世界中でCOを増やす資源の使用を抑制する法律が施行されている。しかしながら、これは、第一優先順位である生命を維持し世界の人々に食糧を供給するニーズと直接的に矛盾するものである。現在、10億人の飢餓が緊急の問題であり、2050年には30〜40億人に膨れ上がる。「地球温暖化」を心配するグループが、疑わしい光合成モデルを使用し、2100年の人類の悲惨な結末を予想する一方、植物性食物効率が0.5%未満(表1)である理由を理解するのに同じモデルを使用できないのは矛盾である。完全で正確な理解があれば、COが多いほど熱をよく吸収すると同時に、食糧とバイオ燃料が緊急に必要な現状に対応できることがわかるだろう。要するに、COは食糧と生命の主要な成分である(生物には炭化水素が重要である)。
矛盾 No.2:食糧 vs.燃料
脱地球温暖化によって生じた直接的な結果は、バイオマス由来のCO排出ゼロの輸送用燃料、バイオ燃料を生産する、米国、EU、及び他の国が課した規制である。これにより、世界の人口を養うことを最優先にした場合、さらに、第2の矛盾が生じている。食糧生産に今まで向けられていた希少な資源、例えば、耕地、水、種子、肥料、除草剤、農機具を別の方向へ向けるバイオ燃料は、問題を悪化させるのではないかと多くの人々が心配する。その結果として起こる食糧及びエネルギー価格の圧力により、地球上の恵まれない多くの人々の栄養格差問題の解決がより難しくなるであろう。そのような人々の数は増えると心配されている。また、食糧とエネルギーの確保の両立にも矛盾が存在する。
矛盾 No.3:食糧 vs.森林
表1に示したように、植物科学者及び農学者は、効率測定値は0.5%未満であると同意するが、損失の発生源である、99.5%未満の損失を充分に説明できていない。この損失を十分に説明することが、それを最小化する進歩的な方法の鍵である。
植物は、炭水化物、糖類、デンプン、セルロース、タンパク質類の分子結合エネルギーの形態で太陽エネルギーを蓄える。一般的に入手可能な主食農作物(砂糖類、穀物、豆類、葉物野菜、ポテト、ヤムイモ、キャッサバなどのイモ類)を経済的に生産するにあたり、従来の農法は、太陽エネルギーがゼロ・コスト(ZCOE)であることに依存している。これにより、太陽の放射が単位面積(ヘクタール、エーカー、平方メートル)当たりワット単位で送達されるので、屋外での耕作、つまり、二次元的な土地での耕作を行うことになる。
ZCOEに依存する限り、従来の農業経営は0.1〜0.5%の効率を受け入れざるを得ない(表1)。効率がこのような低率になる要素の1つは、植物の成長を支える土壌ならびに容易に制御できない土壌由来の栄養素を使用する必要があるからである。制御が出来ない場合、土壌は不利益であり、利点ではない。新種を生産する場合の育種家の主な懸念事項は、特定の環境(地形)と土壌ミネラル組成物である。全て適合する1つの最適種を生産するよりも、市場のニーズに出来る限り対応するために、多くの成長品種生産をする必要が生じている。そうはいっても、生産コストの制約から妥協が必要である。これが、制御不可能な屋外での土壌を主体とした農業の現状である。
従って、ZCOEに依存すると、生産者、食物生産企業は制限され、制御を行うことができない。一方、このことにより、二次元の耕地、水、肥料、農薬等の充分に使用されていない膨大な資源が必要とされてきた。1800年代の10億人から現在の70億人という人口増加に対応するために、急速な森林伐採が行われた。地球規模で、森林伐採による地球温暖化に悪影響を与えるのを恐れ、政府は法律と規則を制定して森林伐採による農地の増加を制限している。これが、世界の人々に食糧を供給することとエネルギー確保との両立における第3の矛盾である。
農法の収益性及び経済的実行可能性、AgriPAL
同時係属中のFSAにおいて、農業の収益性を確保する法則,AgriPALの公式を提示し、広範囲にわたって考察した。ここに数式(2)を記述する。
AgriPALにより、企業は植物成長システムの収益性、価格を予測し、効率性のボトルネックを見極めることができる。
当該分野では公知であるように、農業は、食糧生産の不可欠な要素:i)太陽、ii)二次元の田畑、つまり、植物の成長を力学的に生理学的に支持する土壌によって覆われたエリア、iii)灌漑用の水資源、ならびに栄養素を含む、図1Aに示すような形で一般的に行われる。これを、一般にゼロコストで得られる適度の量の太陽、水、栄養素を備えた耕地という。補完的な栄養素または肥料を加えたとしても、相対的に低コストである。FSA記載のAgriPALで示したように、この形態の農法は、主要な栄養素が低コストまたはゼロコストであったので収益が上がっていた。
近年、屋内の制御環境での農業(CEA)の導入が増えてきている。例示的な従来の技術として参考になるのは、米国特許第3,931,695号であり、CEAについての説明がなされている。CEAでは、成長エリアは保護されているので、多くの成長パラメータの制御を可能にし、これにより、高収穫量で高い資源利用効率を達成している。土壌を使用しない水耕または空中成長での栄養素送達農法が増え、多くの植物栽培の経済的実行可能性を高めた。図1Bは、温室と呼ばれる、CEAの要素を示す。直射日光の照度を使用した場合、CEAは、天候、及び農薬、栄養素、水の管理から保護という付加的利益を有する従来の保護された農法と同じである。温度を調節する場合は、収穫量を上げて、一年を通して繰り返して栽培できる。人工照明を使用する場合は、栽培時間を一日あたり24時間まで延ばすことが可能となる。
本農法の受け入れが進むにつれ、特定の高付加価値の植物にも経済的実行可能性があることをAgriPALが示した。暖房または冷房の付加的なエネルギー消費、さらには、付加的なインフラのコストが発生するため、屋内農法では、節約して(有利に)、主食農作物またはバイオ燃料を生産することはできない。FSAの目的及び本発明は、主食農作物についても屋内農法が実行可能性を示すことが進歩的な態様である。
最近では、Van Gemeretらが、米国特許第2011/0252705号、2011年10月20日において、図1Cに示した三次元農法システムを教示した。本システムは垂直に多くの棚を積み上げ、図1Bの温室に似ているが、層が何層にもなっている。本垂直農法の概念の顕著な特徴は、i)単位面積当たりの高い生産性;ii)各層の植物は隣接層の植物と独立;iii)各層の資源(光、栄養素)は直接的に共有しない;iv)人工の光照明だけの使用に限定;v)各層の天井高 h により、システムの単位高さ当たりの生産性が低効率である。経済的実行可能性は、チューリップ、切り花などの高付加価値商品に限定される。後に詳しく示すように、本発明は、光と栄養素を共有するように結合したネットワークストリングがある栽培層を使用することで、これらの制限に対処することで、栽培に必要な垂直高さを5から50の係数だけ圧縮する。
図1D〜図1Hは、太陽51で植物53が照射される、個別の環境、(要素)50a〜50eを有する従来の技術に基づく植物栽培方法を示す。それらを区別しているのは、栽培培地のタイプ、機械的支持に対する植物、植物に栄養素を送達する方法である。要素50a、50b、50eの場合、土壌が植物を支持し、栄養素を直接、土壌に送達し、それを植物の根が吸収している。
要素50cの場合、1つ以上の植物を栽培するのに、機械的構造体54(容器)を含めて、当技術分野において周知の水耕栽培が使用されている。容器には、間欠的に(または、連続的に)栄養素55を満たし、多孔質の根部支持構造体52aを通して植物は栄養素を吸収する。この根部支持構造体は土壌に代わるものである。
また、当技術分野において周知の空中栽培50dでは、植物支持構造体56を貫通して根が底部空間57cに到達し、根はノズル57により直接、スプレーされる。本方法では、根が周囲酸素と直接接触するので、土壌、及び、水耕システムでの収穫量よりも高い結果を出すことが知られている。本方法は、垂直方向空間利用効率の低さ及びノズルの目詰まりなど大きな欠点がある。全ての従来技術では、根部は複数の異なる物理的に分離したコンポーネント(統合コンポーネントではなく、個別のコンポーネント)により栄養が与えられる。また、これらの要素の全てが、底部から間接的に根部に栄養を与える。
さらに、多層三次元システムを形成する、ストリングのネットワークは、多層における進歩的な透過性の特徴によって従来の技術と区別される。層透過性は、他の隣接層から受けた光(透明性)、及び栄養素を隣接層に送る能力であると定義できる。加えて、1つの層にある芽と根は、隣接層を貫通してもよい。これにより、1つの層にある根は、下方向にある隣接層の芽の空間を共有することができる。結果的に、垂直空間の利用効率が高くなる。光透明性の特徴により、人工照明の数、ならびにエネルギー消費量が減少する。
さらには、多少の収穫増が有ったとしても、1人当たりの需要増で相殺されている。屋外における、太陽と土壌を主体とする農法は効率が低く、制御が欠如しているため、二次元の耕地、水、肥料、農薬に対するとどまることのない需要などの、非効率に使用されている膨大な資源が必要である。
この実行可能な選択肢は、ゼロコストの太陽エネルギーへの継続的な依存であり、欠点を伴い、効率的に使用されていない膨大な資源を必要とする。加えて、屋外農法の制約は、農業生産者が、環境及び経済的リスク、病原体による予期せぬ作物被害、雑草、干害、洪水、異常な温度変化などに曝されることである。
困難な食糧・エネルギー問題及び人類が直面し、矛盾した課題を解決するためには、従来の農業からの革新的な離脱が求められる。従来の農業は、屋外での田畑という環境に制約されている。本制約は、食糧及びエネルギー用のバイオマスを生産する光合成を、ゼロコストである太陽エネルギー、CO、水で行っていることによるものである。上述した問題の解決への道は、多くの耕地と水資源を必要とする屋外での土壌を主体とした農業を放棄することである。この新たな手法により、制御不能な栄養素の克服、1,000倍の水の節約、栽培に不利な条件及び土壌中の病原体の克服など、大きな利益が得られる。
本発明の目的は、従来型の二次元(2D)屋外農法の代替として、限りない空間である三次元を、土壌を使わず、水を節約して、有利に活用する手段及び方法を教示することである。本発明による三次元農業は、食糧生産に必要な垂直空間を圧縮する道具、システム、方法を教示することで、三次元効率の活用に焦点を当てる。
三次元農法の本発明による教示は、三次元を複数の層(多層)に分割し、各層に栄養素及び栽培に必要な光を供給することができる。前記複数の層は、サブシステムを含むマスター・システムから成る三次元構造で支持され、ここで、サブシステムは特定の植物生物種に対して、水、光、栄養素、CO、Oを最適に供給し、最適な温度調節を行う。
前記複数の層は、相互に連結した非土壌(サンソイル(SanSSoil))成長成分(SGE)のストリングから成り、それぞれが、種の発芽、植物の成長、植物への物理的構造的支持及び、水、栄養素、光などの供給、植物環境を感知する機能などの多機能性を有するよう一体的に製造されている。
SGEのストリングは、第1、第2及び第3空間座標に配置される。これらは、多層構造に支持された一次元ネットワーク、二次元ネットワークまたは三次元ネットワークの形態である。
本発明の一態様は、主食農作物及びバイオ・エネルギーが有利に生産されるような資源利用効率であり、食糧とエネルギーについて、「食糧か、または燃料か」という競争がない。このことは、ストリングネットワークの各SGEの植物が、光、栄養素、内部の層空間などの資源を共有するという、本明細書に記載されている進歩的な特徴により達成される。これが、本発明の教示する多層透過性である。
本発明の別の態様は、各SGEとストリングを相互接続し、ストリングの間の空間を光学的に透過性、透明性をもたせ、光が複数の層を貫通して、光を共有し、節約し、効果的に使用することにある。これにより、多くの光源を持つ必要が無くなり、コスト削減になる。
本発明の別の態様は、コストを削減するために、従来の栽培技術の限界を避けることで、主食農作物の生産を経済的に行うことができる。
本発明の別の態様は、植物の根部と茎が空間を共有し、垂直な内部の層空間を節約することにある。これは、1つの層にある植物の根部が、下に位置する層の茎(葉)の空間に進入(共有)する、と言う意味である。
本発明の別の態様は、利用効率最大化とコスト削減を目的とし、水と栄養資源を循環させ、本発明の密封性の特徴とメカニズムを含む、食糧及びエネルギー用植物栽培を行う全密封型システムを提供することにある。例えば、自然に蒸発した水も捕捉し、再利用される。植物栽培環境は、最大の栽培成果を出すために所望の温度と相対湿度で維持される。この結果、水は、従来の屋外農業で浪費されていた水の100〜1000倍を再利用して節約される。
本発明の別の態様は、気候による食糧生産の損失を生じさせる予測不可能な気象条件を避けることができる密封型三次元成長システムの恩恵である。密封型三次元成長システムでは、無菌で、病原体が無いので収益性が保証される。
本発明の別の態様は、密封型三次元成長システムでは、外部環境から隔離されるので、上記の環境を保護できることである。これは、実験及び生産用に遺伝子組み換え植物種(GMO)を栽培する際には特に有益である。
本発明のさらに他の態様は、灌漑する1つの層、及び該層のSGEストリングから下に位置する複数の層のSGEストリングへ栄養素を移す能力である。この点は、周知の従来技術の水耕、空中栽培と際立った違いを示すユニークな供給メカニズムである。
本発明のさらに他の態様は、太陽光の代わりに人工照明、好ましくは、LEDを使用することである。具体的には、30Hzから300Hzの周波数で、0.1msから2.5msの短時間パルス光を植物に照射するLED照明である。光の時間的制御により植物生理の酵素反応速度が4〜10倍高まることを出願者は発見している。
本発明のさらに他の態様は、栽培される植物が均一な照明を受けるための、三次元成長システム内におけるLED照明の空間配置の制御である。
以下の図面は、好ましい実施例及び動作原理を示す。ここにおいて、大きさ、スケール、形、簡潔さのために示していない特定の必要コンポーネントの有無に関しては当業者に周知であり、限定的または制限的であることを意図したものではない。
図1A〜図1Cは、屋外土壌主体の農法、屋内CEA(温室)農法、三次元垂直農法などの従来の農法を示す。図1D〜1Hは、植物が栽培される種々の環境を示し、特に栄養素がどの様に植物の根部に送達されるかを示す。
図2Aは、植物栽培を維持する保護された環境、ならびに、栽培を制御するプログラムで運転する制御サブシステムを含む、サンソイル(SanSSoil)屋内農法システムを示す。
図2B及び図2Cは、各層がサンソイル(SanSSoil)成長成分(SGE)のストリングのネットワークを含む多層から成る、システム1のより詳しい説明である。グラフは、三次元空間、第1、第2及び第3空間座標での各エレメントの定位を示し、また、pz、py、pzの周期で定期的に繰りかえす方法を示す。
図2D及び図2Eは、SGEの構成、構造、機能を詳しく示す。
図2F〜図2Kは、SGEのストリングの相互接続、層の形成、複数のストリングによるネットワーク、三次元成長システム1の形成を示す。
図3A〜図3Hは、一体的に製造された単一のSGEを示し、栽培を支える光、栄養素などの資源を共有する隣接との繋がりを示す。
図3I〜図3Mは、色々な角度で植物栽培を行う、一体的に製造されたSGE及びSGEストリングを示す。
図3Nは、SGEのストリングが、資源供給源と連通した直列及び並列のネットワークの組合せに相互接続する可能性を示す。
図3Pは、SGEを供給源に、及び、隣接するSGEに取り付ける例示的な複数の構造を示す。
図4Aは、層が共通の光源からの光を共有することができる、光の多層透過性を示す。
図4B及び図4Cは、茎及び根部が隣接層の空間を共有する、多層透過性を示す。
図4Dは、共通の供給源から流体で栄養素を植物に送達する、多層透過性を示す。流体は、霧、ミスト、スプレー、流れなどの形態である。
同時係属中のFSAにおいて、人類が直面する問題を解決し、かつ、食糧と植物を主体としたエネルギーの確保を達成する、農業に関する革新的な新パラダイムが実現すると述べた。新パラダイムの重要な特徴は、農法の収支状況の理解にある。これは、農業の収益性を確保する法則(AgriPAL)の公式で達成された。数式(2)を再び記述する。
AgriPALにより、企業は植物成長システムの収益性、価格を予測し、効率性のボトルネックを見極めることができる。
本発明において、好ましい実施例は、無限の三次元空間での植物栽培に対応する。具体的には、10メートルから100メートルの高さの三次元の棚、構造体、またはタワー、さらに好ましくは、100メートルを超え500メートルに、さらには、1,000メートルに達する高さのタワーである。500メートルを超える高さのビルはすでに存在している。高さが150メートル風力発電タワーの建設は経済的に実行可能であることが知られている。
図2Aは、サンソイル(SanSSoil)の保護された制御環境101、及び、制御サブシステム102を含む、屋内サンソイル(SanSSoil)農法システム100を例示的に示す。サンソイル(SanSSoil)の保護された制御環境101は、害虫、望ましくない気体、液体、粒子、その他の異物に対して実質的に、不浸透性であるように設計される。好ましくは、前記保護された環境は、栽培に最も適し、かつ、生産性を最大にする所望の温度を維持するために外部温度の変化から充分に隔離され、保護される。
特定の状況では、太陽の放射は、光合成栽培での人工光を補強することがある。このような状況では、紫外線、赤外線、特定の可視波長を含めて、望ましくない太陽の波長を取り除くフィルターをサンソイル(SanSSoil)環境101に取付ける。
また、サンソイル(SanSSoil)環境は、種子/苗の搬入105、収穫物の搬出に対応する構造から成る。好ましくは、前記構造は、無菌、または、ほぼ無菌の状態を維持するために、ロードロックなどの適切なシール構造を組込むように設計される。サンソイル(SanSSoil)棚の不浸透性及び無菌性を達成する手段は、当業者に周知である。サンソイル(SanSSoil)環境101は、内部に三次元空間に配置された複数のサンソイル(SanSSoil)植物培養層を収容する。サンソイル(SanSSoil)植物層は、光学的に透明な構造及び材料からできている。これにより、層が吸収されていない光を共有し、再利用することを可能にするので、光エネルギー利用効率を向上させる。
1つ以上の相互作用パラメータから成る群は、調整と最適化が同時にされても良い状況がある。例えば、二酸化炭素を、暗反応酵素密度により制限される最適値に調整するには、明反応酵素密度により制限されるまで、光のレベルを調整することが必要となる。最適化の手順は、調整が必要なコントローラ値と繋がれている適切なセンサーにより支援される。
各SGE1は、植物2、茎2s、根部2rを収容し、かつ、栄養源3、3aに接続されている一体的に製造された構造体1a、1bから成る。栄養素は、カップの形の部分構造体の中の根部に向かって、下方に垂れるか、スプレーする。本発明における1つの重要な態様は、根からの吸収を迂回して、植物の葉から直接吸収されるミクロン大の流体粒子(ドロプレット)を供給する噴霧サブシステム(またはミスト)による、当該分野において周知の葉面施肥と本発明の施肥の組合せである。各SGE1は、任意に、かつ、一体的に光源4、及びセンサー5を含む。
また、第1種が根部に1セットの栄養素(第1セット)を供給し、第2種が、異なる栄養素を葉に供給する2種類の噴霧システムも可能である。1種類以上の供給源に加えて、特定の状況では、供給源については順次、または、調整可能な周期と期間で、時間的にパルス状で適用しても良い、と考えられる。
照明1h、1j及び補助センサー1g、または他の資源は、3空間座標に対して如何なる方向にでも配置される(図2C〜図2E)。
図2Fに示すように、複数のSGEは、線状のストリング111aのように接続され、そして供給源3に接続する。接続構造は、各サイト1へ高い伝導性で栄養素を送達するように設計される。好ましくは、本構造は、SGEへの簡易接続ができるように設計されるが、長いストリングを形成できるよう、高速で、安価である、自動手段を備えている。また、本構造は、ストリングにおいて、植物の重さを支える力を備える。図2Gは、このストリングの断面図である。
図2Hにおいて、ストリング111a、11bが層103に平行に配置されている。図2Iの断面図は、ストリングの間の空き空間を有する本発明の重要な特徴を示す。これにより、ストリングの間、及び層の間を貫通する栄養素、光を共有することができる。
さらに、ストリングの相互接続の利点は、2つの層103a、103bが垂直に配置され、それぞれが複数のストリングから成る、図2J及び図2Kで強調されている。層103bの植物が、上部の層103aの空間にあり、図2Kの断面図で空間の節約状況を、直ちに認識できる。2つの層の間の空間はpzである。手動または自動で、周期pzが植物の成長に応じて変化する異なる実施例を後で示す。
サンソイル(SanSSoil)成長成分(SGE)の構造をより具体的に図3A〜図3Pで示す。統合多機能という用語は、少なくとも2つの機能を実行するよう一体的に製造され、実質的に永久に取付けられた、少なくとも2つの部分構造体から成る構造と定義する。前記機能の好ましい実施例は、機械的支持、栽培維持、発芽、自給栄養素、自給光、感知環境、最近接との栄養の連通、の群から選択される。
図3AのSGEは、成熟するまで機械的にかつ生理学的に根部2r及び茎2sの成長を支持する、栽培区画または部分構造体1aから成る。部分構造体1aは、開口1cを貫通して、栽培部分構造体1aと連通する流体の中の、結合導管1bに一体的に取付けられている。該開口部1cを流れる流体1dは、流れ1fを根部に供給する。導管1bの断面図は、図3Bに示すように、どの様な形でもよい。
導管1bは、着脱自在に少なくとも1つの供給源3に取付けられる。好ましくは、前記アタッチメントは、漏洩を防止するシール機能を有する即時着脱タイプである。供給源3は、最適に植物栽培を維持するために、欠かせない資源、栄養素を提供する。該資源は、少なくとも水と栄養素から成るが、さらに、光ファイバー分野で周知の全内部反射メカニズムや液晶表示分野で周知のバックライト光源により光を伝導し送達する。導管は、センサーから導管1bに直接的に統合された局在のLEDに、電気信号または電気を伝導してもよい。
図3C及び図3Dによる導管1bは、上述した図2K及び図2Kのストリングを形成するように2つのSGEを接続し、資源3aを一方のSGEから他方のSGEに送る。前記資源は、流体を含むが、センサー5、5aから信号を伝導し、LED4にエネルギーを与え局在する植物に照明4bを供給する。
図3E〜図3Hに示すように、好ましい実施例でのSGEは、種2を機械的に支持し、かつ、高い発芽率のために最適の環境を作る機能を有する、種支持構造体1mを含む。図中の矢印に従い、茎2aと根部2bが伸びはじめ、苗に成長し、最終的に成熟した植物までを示す。これにより、好ましい本実施例に従って、種と成熟した植物の機械的支持、発芽、栄養素の局所的な送達、光の局所的な送達、環境センサー、成熟までの栽培などの多機能性に焦点を当て、SGEの統合構築の意義が強調される(図3D)。
また、SGEの多機能統合構築は、三次元空間利用効率の最大化という重要な役割を担い、各SGEの局所的な自給自足を強調している。また、図1A〜図1Hに関連する、上述した従来の技術での植物栽培法との違いを明白にする。
植物は光の方向に向く性質があるので、成長軸6は層軸1jに対して角度6aをなし、図3Iに示すように、如何なる所望の方向に植物を向けても、この性質を有利に利用することができる。他の実施例において、全体のストリング及び平面10は、水平方向1vに対して角度6bの方向でもよい(図3J)。
また、他の実施例において、図3K〜図3Mに示すように、光により決定される所望の方向にSGEを向け、上から下方に、つり下がったストリング11、12を形成することも好ましい。
加えて、マスター送達システム(図示せず)から資源16、17を受け取る供給構造体14、15に取付けられたストリングの直列及び並列の組み合せである図3Nに示すネットワーク13に形成したSGEストリングの相互接続にはシステム最適化の利益がある。本配置の利点は、システム構築の速さと柔軟性の促進、インフラストラクチャーの費用低減、消費可能な利用効率の最大化などである。
一体的に製造された多機能的な自給自足型SGEは、植物の種類及びシステム設計上の要求にしたがって、複数の所望の構成20a〜20e(図3Pに示す)で、供給構造体、または、ストリング相互接続構造体3に取付けられてもよい。当業者であれば、本発明のSGEネットワークの相互接続性から乖離することなく、他の構造の製造も可能である。
多層透過性
完全任意の三次元多層農法を実現するために、好ましい実施例は、資源利用効率を最大化する手段を含む。これは、照明、栄養素送達サブシステム、支持構造、空間などの資源を共有することにより達成される。図4A〜図4Dに示した共有手段は、システム固定費(f)、変動材料費(v)の低減に寄与し、上記AgriPALの数式(2)に関わる最大利益を確保する。
本発明の透過性の定義は、隣接する透過層の第1群から隣接する透過層の第2群へ資源を貫通させる、少なくとも1つのSGEのストリングから成る、層の能力である。第1及び/または第2群は、資源送達供給源を含む。垂直に配置された層の総数は2から10であり、より好ましくは、10から100であり、さらに好ましくは、100層を超える。
本発明の透過性の特徴により、水、栄養素、照明、冷却および加熱、その他の共有可能な資源を含む、資源の共有が可能になる。前記資源の共有により、効率的な使用が可能になり、それにより、最終商品のコストが最小化される。三次元収穫量または三次元生産性は、重量を体積で割った単位及び時間単位で測定される。従って、資源共有透過手段は、最短の時間内に、最もコンパクトな三次元空間で、最大の商品重量を生産するように設計される。本手段は、図4A〜図4Dに示される。
図4Aに関して、複数のSGE1をストリングで繋いだ、少なくとも層301、302を含む例示的な多層システム300は、図2G〜図2Kに詳しく示される。層301、302、接続構造301a〜301c、302a〜302c、並びにSGE構造は、光源(図示せず)からの光線305a〜305dが層301、302を貫通して隣接層の茎303s、304sを照らし、実質的に、光学的に透明である。層構造の光学的透明性は、少なくともガラス、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンから選択される透明な材料で作ることが可能である。
光透過性を達成する手段により、植物を成長させる少なくとも1つの光原の共有が多層で可能になり、光源の最大効率を実現する。理解されるように、苗は小さく、広い、水平及び垂直空間で分けられている。これらの間の空間が満たされるには数カ月かかる。それまでの間、1つの層で吸収されなかった光は、貫通して、隣接層によって吸収される。結果的に、多くの層を照明するのに少しの光源を使えば済むことになる。これにより、直ちに、光源の初期資本投資を削減することができる。例えば、システムの上部に位置する、ほんの1つの平面型光源で100層(透過性)のシステムをまかなうことができる。壁に反射システムを付けることで、光の損失は最小化する。
反対に、図1Cの従来技術の三次元農法システムでは、各層ごとに1セットの光源を使用することが想定されているので、いかに従来技術が無駄であるかを示唆している。さらに、これにより、本発明の進歩的な透過性の特徴の重要性が確認される。
また、光源の初期固定費の最小化に加えて、透過層は、消費可能な光エネルギーを効率的に使用するので、生産変動費を低減させる。透過層で吸収されなかった光は、貫通して隣接層に向かい、これらの層の植物により消費される。従来技術の教示では、植物が吸収しなかった光エネルギーは、浪費された資源として回復できない損失であった。
図4B及び図4Cでは、別のタイプの進歩的な透過性の特徴が示される。これは、隣接層306、307にある植物の根部や茎の空間に侵入(共有)している、1つの層にある植物の根部303r、304r、及び茎303s、304s(茎、枝、葉)に関する。この空間共有により、これまでにない垂直方向の圧縮を達成し、垂直高さ(d)(308、308a)を何分の一に低減することができる。この空間共有がなければ、茎の最大高さに加えて、根部の最大高さが必要となり、システムが垂直方向にコンパクトで無くなる。
図4Dは、吸収されなかった栄養素を隣接層に貫通させる1つの層の能力を示す、別のタイプの透過性を示す。植物の最適な栽培を維持するのに欠かせない栄養素は、少なくとも多層301、302が占める、空間309にある供給源(図示せず)により提供される。例示的な供給源は、間欠的に空間309を栄養素で満たす、噴霧システム、スプレイ・システム、滴下システムを含む。栄養素は、葉面施肥または根部への供給により植物に送達される。図2G〜2Kは、各層のSGEのストリングが空き空間分、空間的に分離されているので、栄養素が1つの層から次の層へ回されることができることを示している。本透過性によっても、供給源の数と、その初期コストとを最小化することができる。
本発明は、農業、園芸、農学及び食糧の農業経済学、エネルギー、その他の有機体物質の分野に関する。具体的には、植物、収穫量、光合成エネルギー変換効率の最適化、並びに、時間、空間、水、栄養素を含めた他の資源の利用効率に関する。さらに具体的には、本発明は、太陽エネルギーまたは土壌に依存せずに実施する、屋内三次元(3D)環境制御農法、空間、垂直農法に関する。また、植物の成長を維持する複数の層から成る三次元農業システムに関する。より具体的には、各層が水、栄養素、光、隣接層からの芽と根を貫通させるという意味で、複数の層は透過性がある。
同時係属中の特許出願「食糧及びエネルギー生産のためのサンソイル(SanSSoil)(非土俵:Soil−less)屋内農法」の全体が、本明細書に参考として援用される。従来の土壌を主体とした農業の限界及び欠点について詳しく述べている、本出願は、以後、「最初のサンソイル出願(the First SanSSoil Application)」または「FSA」と言う。本出願では、農業の収益性を確保する法則(AgriPAL)、新規植物成長モデル(PGM)に基づく代替的非土壌三次元多層農法に関する進歩的な教示を提示した。
総じて、AgriPAL及びPGMは、科学的原則に基づく数学的分析基礎を初めて発表しているが、光合成の働きを示し、収穫量、エネルギー効率、農業収益性の予測式を提示した。これらは、今日まで植物科学者及び農学者が捉えることができず、困惑させていた謎を解明した。かつ、太陽利得、及び資源利用効率の評価手段で収集された極めて高い生理学的利得の概念を明らかにした。これらの利得により、収穫量と効率が10倍以上も上昇し、アプローチの経路は100倍になる。
FSAは、本出願及び後続関連の出願で提示されている多くの進歩的な発明に寄与している。したがって、本出願は、FSAの背景、数式、教示に大きく依拠している。
世界の人々に適切に食糧を供給することができる充分な食糧生産は可能であろうか。
栄養状態の改善と併せて、健康科学と技術の発展により、幼児死亡をほとんど根絶する道ができた一方で、平均寿命が80才を超えようとしている。その結果として、世界人口が2050年までに、少なくとも90億人になると予測されている。このように予測される人口規模は、我々の地球が抱える最大の課題として、長年、認識されているが、食糧、エネルギー、土地、水などの限られている資源を圧迫し、かつ、質の高い生活とライフスタイルを獲得し維持するために厳しい競争と対立を助長している。
本課題は、近年、2009年10月12〜13日にローマで開催された「2050年の世界の食糧問題」と題するハイレベル・エクスパート・フォーラムの成果を発表した国際連合食糧農業機関(FAO)により強調されている。さらに、二酸化炭素ならびに地球変動研究センターが発行しているCO−Science(発行、2011年6月15日)の「2050年の世界の食糧生産予測:世界の人々に適切に食糧を供給することができる充分な食糧生産は可能か。」と題する論文の中で、C.D.Idso博士は、本課題を強調した。
FAOもIdso博士も、次の憂慮すべき点で合意している。それは、1人当たりの世界の食糧生産、耕地、水資源、主食農作物の農産物の圃場収穫量の大幅な減少である。破滅的な結末を避けるために、両者は、食糧生産技術、システム、方法の急激なパラダイム・シフトの必要性を指摘している。現在の食糧の需給ギャップでは、世界の多くの地域で飢餓、栄養不良、餓死が起こる荒廃的な結果が継続する。FAOによると、2012年は10億人が飢餓状態である。2050年の90億人の人口では、このギャップがさらに拡大することが予想される。世界の多くの地域の飢餓に加えて、地政学的な不安定さによって、人類の福祉に計り知れないほどの悪影響を及ぼすだろう。
さらに、これらの課題は、以下の3つの矛盾に現れている。
矛盾 No.1:食糧 vs. 二酸化炭素低減
多くの人々は、二酸化炭素の排出が地球温暖化を引き起こしていると憂慮している。そのような人々は化石燃料の使用削減に取組み、COの削減を主張し、政府に要求している。人々は政府を動かす影響力を持っており、世界中でCOを増やす資源の使用を抑制する法律が施行されている。しかしながら、これは、第一優先順位である生命を維持し世界の人々に食糧を供給するニーズと直接的に矛盾するものである。現在、10億人の飢餓が緊急の問題であり、2050年には30〜40億人に膨れ上がる。「地球温暖化」を心配するグループが、疑わしい光合成モデルを使用し、2100年の人類の悲惨な結末を予想する一方、植物性食物効率が0.5%未満(表1)である理由を理解するのに同じモデルを使用できないのは矛盾である。完全で正確な理解があれば、COが多いほど熱をよく吸収すると同時に、食糧とバイオ燃料が緊急に必要な現状に対応できることがわかるだろう。要するに、COは食糧と生命の主要な成分である(生物には炭化水素が重要である)。
矛盾 No.2:食糧 vs.燃料
脱地球温暖化によって生じた直接的な結果は、バイオマス由来のCO排出ゼロの輸送用燃料、バイオ燃料を生産する、米国、EU、及び他の国が課した規制である。これにより、世界の人口を養うことを最優先にした場合、さらに、第2の矛盾が生じている。食糧生産に今まで向けられていた希少な資源、例えば、耕地、水、種子、肥料、除草剤、農機具を別の方向へ向けるバイオ燃料は、問題を悪化させるのではないかと多くの人々が心配する。その結果として起こる食糧及びエネルギー価格の圧力により、地球上の恵まれない多くの人々の栄養格差問題の解決がより難しくなるであろう。そのような人々の数は増えると心配されている。また、食糧とエネルギーの確保の両立にも矛盾が存在する。
矛盾 No.3:食糧 vs.森林
表1に示したように、植物科学者及び農学者は、効率測定値は0.5%未満であると同意するが、損失の発生源である、99.5%未満の損失を充分に説明できていない。この損失を十分に説明することが、それを最小化する進歩的な方法の鍵である。
植物は、炭水化物、糖類、デンプン、セルロース、タンパク質類の分子結合エネルギーの形態で太陽エネルギーを蓄える。一般的に入手可能な主食農作物(砂糖類、穀物、豆類、葉物野菜、ポテト、ヤムイモ、キャッサバなどのイモ類)を経済的に生産するにあたり、従来の農法は、太陽エネルギーがゼロ・コスト(ZCOE)であることに依存している。これにより、太陽の放射が単位面積(ヘクタール、エーカー、平方メートル)当たりワット単位で送達されるので、屋外での耕作、つまり、二次元的な土地での耕作を行うことになる。
ZCOEに依存する限り、従来の農業経営は0.1〜0.5%の効率を受け入れざるを得ない(表1)。効率がこのような低率になる要素の1つは、植物の成長を支える土壌ならびに容易に制御できない土壌由来の栄養素を使用する必要があるからである。制御が出来ない場合、土壌は不利益であり、利点ではない。新種を生産する場合の育種家の主な懸念事項は、特定の環境(地形)と土壌ミネラル組成物である。全て適合する1つの最適種を生産するよりも、市場のニーズに出来る限り対応するために、多くの成長品種生産をする必要が生じている。そうはいっても、生産コストの制約から妥協が必要である。これが、制御不可能な屋外での土壌を主体とした農業の現状である。
従って、ZCOEに依存すると、生産者、食物生産企業は制限され、制御を行うことができない。一方、このことにより、二次元の耕地、水、肥料、農薬等の充分に使用されていない膨大な資源が必要とされてきた。1800年代の10億人から現在の70億人という人口増加に対応するために、急速な森林伐採が行われた。地球規模で、森林伐採による地球温暖化に悪影響を与えるのを恐れ、政府は法律と規則を制定して森林伐採による農地の増加を制限している。これが、世界の人々に食糧を供給することとエネルギー確保との両立における第3の矛盾である。
農法の収益性及び経済的実行可能性、AgriPAL
同時係属中のFSAにおいて、農業の収益性を確保する法則、AgriPALの公式を提示し、広範囲にわたって考察した。ここに数式(2)を記述する。
AgriPALにより、企業は植物成長システムの収益性、価格を予測し、効率性のボトルネックを見極めることができる。
当該分野では公知であるように、農業は、食糧生産の不可欠な要素:i)太陽、ii)二次元の田畑、つまり、植物の成長を力学的に生理学的に支持する土壌によって覆われたエリア、iii)灌漑用の水資源、ならびに栄養素を含む、図1Aに示すような形で一般的に行われる。これを、一般にゼロコストで得られる適度の量の太陽、水、栄養素を備えた耕地という。補完的な栄養素または肥料を加えたとしても、相対的に低コストである。FSA記載のAgriPALで示したように、この形態の農法は、主要な栄養素が低コストまたはゼロコストであったので収益が上がっていた。
近年、屋内の制御環境での農業(CEA)の導入が増えてきている。例示的な従来の技術として参考になるのは、米国特許第3,931,695号であり、CEAについての説明がなされている。CEAでは、成長エリアは保護されているので、多くの成長パラメータの制御を可能にし、これにより、高収穫量で高い資源利用効率を達成している。土壌を使用しない水耕または空中成長での栄養素送達農法が増え、多くの植物栽培の経済的実行可能性を高めた。図1Bは、温室と呼ばれる、CEAの要素を示す。直射日光の照度を使用した場合、CEAは、天候、及び農薬、栄養素、水の管理から保護という付加的利益を有する従来の保護された農法と同じである。温度を調節する場合は、収穫量を上げて、一年を通して繰り返して栽培できる。人工照明を使用する場合は、栽培時間を一日あたり24時間まで延ばすことが可能となる。
本農法の受け入れが進むにつれ、特定の高付加価値の植物にも経済的実行可能性があることをAgriPALが示した。暖房または冷房の付加的なエネルギー消費、さらには、付加的なインフラのコストが発生するため、屋内農法では、節約して(有利に)、主食農作物またはバイオ燃料を生産することはできない。FSAの目的及び本発明は、主食農作物についても屋内農法が実行可能性を示すことが進歩的な態様である。
最近では、Van Gemeretらが、米国特許第2011/0252705号、2011年10月20日において、図1Cに示した三次元農法システムを教示した。本システムは垂直に多くの棚を積み上げ、図1Bの温室に似ているが、層が何層にもなっている。本垂直農法の概念の顕著な特徴は、i)単位面積当たりの高い生産性;ii)各層の植物は隣接層の植物と独立;iii)各層の資源(光、栄養素)は直接的に共有しない;iv)人工の光照明だけの使用に限定;v)各層の天井高 h により、システムの単位高さ当たりの生産性が低効率である。経済的実行可能性は、チューリップ、切り花などの高付加価値商品に限定される。後に詳しく示すように、本発明は、光と栄養素を共有するように結合したネットワークストリングがある栽培層を使用することで、これらの制限に対処することで、栽培に必要な垂直高さを5から50の係数だけ圧縮する。
図1D〜図1Hは、太陽51で植物53が照射される、個別の環境、(要素)50a〜50eを有する従来の技術に基づく植物栽培方法を示す。それらを区別しているのは、栽培培地のタイプ、機械的支持に対する植物、植物に栄養素を送達する方法である。要素50a、50b、50eの場合、土壌が植物を支持し、栄養素を直接、土壌に送達し、それを植物の根が吸収している。
要素50cの場合、1つ以上の植物を栽培するのに、機械的構造体54(容器)を含めて、当技術分野において周知の水耕栽培が使用されている。容器には、間欠的に(または、連続的に)栄養素55を満たし、多孔質の根部支持構造体52aを通して植物は栄養素を吸収する。この根部支持構造体は土壌に代わるものである。
また、当技術分野において周知の空中栽培50dでは、植物支持構造体56を貫通して根が底部空間57cに到達し、根はノズル57により直接、スプレーされる。本方法では、根が周囲酸素と直接接触するので、土壌、及び、水耕システムでの収穫量よりも高い結果を出すことが知られている。本方法は、垂直方向空間利用効率の低さ及びノズルの目詰まりなど大きな欠点がある。全ての従来技術では、根部は複数の異なる物理的に分離したコンポーネント(統合コンポーネントではなく、個別のコンポーネント)により栄養が与えられる。また、これらの要素の全てが、底部から間接的に根部に栄養を与える。
さらに、多層三次元システムを形成する、ストリングのネットワークは、多層における進歩的な透過性の特徴によって従来の技術と区別される。層透過性は、他の隣接層から受けた光(透明性)、及び栄養素を隣接層に送る能力であると定義できる。加えて、1つの層にある芽と根は、隣接層を貫通してもよい。これにより、1つの層にある根は、下方向にある隣接層の芽の空間を共有することができる。結果的に、垂直空間の利用効率が高くなる。光透明性の特徴により、人工照明の数、ならびにエネルギー消費量が減少する。
さらには、多少の収穫増が有ったとしても、1人当たりの需要増で相殺されている。屋外における、太陽と土壌を主体とする農法は効率が低く、制御が欠如しているため、二次元の耕地、水、肥料、農薬に対するとどまることのない需要などの、非効率に使用されている膨大な資源が必要である。
この実行可能な選択肢は、ゼロコストの太陽エネルギーへの継続的な依存であり、欠点を伴い、効率的に使用されていない膨大な資源を必要とする。加えて、屋外農法の制約は、農業生産者が、環境及び経済的リスク、病原体による予期せぬ作物被害、雑草、干害、洪水、異常な温度変化などに曝されることである。
困難な食糧・エネルギー問題及び人類が直面し、矛盾した課題を解決するためには、従来の農業からの革新的な離脱が求められる。従来の農業は、屋外での田畑という環境に制約されている。本制約は、食糧及びエネルギー用のバイオマスを生産する光合成を、ゼロコストである太陽エネルギー、CO、水で行っていることによるものである。上述した問題の解決への道は、多くの耕地と水資源を必要とする屋外での土壌を主体とした農業を放棄することである。この新たな手法により、制御不能な栄養素の克服、1,000倍の水の節約、栽培に不利な条件及び土壌中の病原体の克服など、大きな利益が得られる。
本発明の目的は、従来型の二次元(2D)屋外農法の代替として、限りない空間である三次元を、土壌を使わず、水を節約して、有利に活用する手段及び方法を教示することである。本発明による三次元農業は、食糧生産に必要な垂直空間を圧縮する道具、システム、方法を教示することで、三次元効率の活用に焦点を当てる。
三次元農法の本発明による教示は、三次元を複数の層(多層)に分割し、各層に栄養素及び栽培に必要な光を供給することができる。前記複数の層は、サブシステムを含むマスター・システムから成る三次元構造で支持され、ここで、サブシステムは特定の植物生物種に対して、水、光、栄養素、CO、Oを最適に供給し、最適な温度調節を行う。
前記複数の層は、相互に連結した非土壌(サンソイル(SanSSoil))成長成分(SGE)のストリングから成り、それぞれが、種の発芽、植物の成長、植物への物理的構造的支持及び、水、栄養素、光などの供給、植物環境を感知する機能などの多機能性を有するよう一体的に製造されている。
SGEのストリングは、第1、第2及び第3空間座標に配置される。これらは、多層構造に支持された一次元ネットワーク、二次元ネットワークまたは三次元ネットワークの形態である。
本発明の一態様は、主食農作物及びバイオ・エネルギーが有利に生産されるような資源利用効率であり、食糧とエネルギーについて、「食糧か、または燃料か」という競争がない。このことは、ストリングネットワークの各SGEの植物が、光、栄養素、内部の層空間などの資源を共有するという、本明細書に記載されている進歩的な特徴により達成される。これが、本発明の教示する多層透過性である。
本発明の別の態様は、各SGEとストリングを相互接続し、ストリングの間の空間を光学的に透過性、透明性をもたせ、光が複数の層を貫通して、光を共有し、節約し、効果的に使用することにある。これにより、多くの光源を持つ必要が無くなり、コスト削減になる。
本発明の別の態様は、コストを削減するために、従来の栽培技術の限界を避けることで、主食農作物の生産を経済的に行うことができる。
本発明の別の態様は、植物の根部と茎が空間を共有し、垂直な内部の層空間を節約することにある。これは、1つの層にある植物の根部が、下に位置する層の茎(葉)の空間に進入(共有)する、と言う意味である。
本発明の別の態様は、利用効率最大化とコスト削減を目的とし、水と栄養資源を循環させ、本発明の密封性の特徴とメカニズムを含む、食糧及びエネルギー用植物栽培を行う全密封型システムを提供することにある。例えば、自然に蒸発した水も捕捉し、再利用される。植物栽培環境は、最大の栽培成果を出すために所望の温度と相対湿度で維持される。この結果、水は、従来の屋外農業で浪費されていた水の100〜1000倍を再利用して節約される。
本発明の別の態様は、気候による食糧生産の損失を生じさせる予測不可能な気象条件を避けることができる密封型三次元成長システムの恩恵である。密封型三次元成長システムでは、無菌で、病原体が無いので収益性が保証される。
本発明の別の態様は、密封型三次元成長システムでは、外部環境から隔離されるので、上記の環境を保護できることである。これは、実験及び生産用に遺伝子組み換え植物種(GMO)を栽培する際には特に有益である。
本発明のさらに他の態様は、灌漑する1つの層、及び該層のSGEストリングから下に位置する複数の層のSGEストリングへ栄養素を移す能力である。この点は、周知の従来技術の水耕、空中栽培と際立った違いを示すユニークな供給メカニズムである。
本発明のさらに他の態様は、太陽光の代わりに人工照明、好ましくは、LEDを使用することである。具体的には、30Hzから300Hzの周波数で、0.1msから2.5msの短時間パルス光を植物に照射するLED照明である。光の時間的制御により植物生理の酵素反応速度が4〜10倍高まることを出願者は発見している。
本発明のさらに他の態様は、栽培される植物が均一な照明を受けるための、三次元成長システム内におけるLED照明の空間配置の制御である。
以下の図面は、好ましい実施例及び動作原理を示す。ここにおいて、大きさ、スケール、形、簡潔さのために示していない特定の必要コンポーネントの有無に関しては当業者に周知であり、限定的または制限的であることを意図したものではない。
図1A〜図1Cは、屋外土壌主体の農法、屋内CEA(温室)農法、三次元垂直農法などの従来の農法を示す。図1D〜1Hは、植物が栽培される種々の環境を示し、特に栄養素がどの様に植物の根部に送達されるかを示す。
図2Aは、植物栽培を維持する保護された環境、ならびに、栽培を制御するプログラムで運転する制御サブシステムを含む、サンソイル(SanSSoil)屋内農法システムを示す。
図2B及び図2Cは、各層がサンソイル(SanSSoil)成長成分(SGE)のストリングのネットワークを含む多層から成る、システム1のより詳しい説明である。グラフは、三次元空間、第1、第2及び第3空間座標での各エレメントの定位を示し、また、p、py、pzの周期で定期的に繰りかえす方法を示す。
図2D及び図2Eは、SGEの構成、構造、機能を詳しく示す。
図2F〜図2Kは、SGEのストリングの相互接続、層の形成、複数のストリングによるネットワーク、三次元成長システム1の形成を示す。
図3A〜図3Hは、一体的に製造された単一のSGEを示し、栽培を支える光、栄養素などの資源を共有する隣接との繋がりを示す。
図3I〜図3Mは、色々な角度で植物栽培を行う、一体的に製造されたSGE及びSGEストリングを示す。
図3Nは、SGEのストリングが、資源供給源と連通した直列及び並列のネットワークの組合せに相互接続する可能性を示す。
図3Pは、SGEを供給源に、及び、隣接するSGEに取り付ける例示的な複数の構造を示す。
図4Aは、層が共通の光源からの光を共有することができる、光の多層透過性を示す。
図4B及び図4Cは、茎及び根部が隣接層の空間を共有する、多層透過性を示す。
図4Dは、共通の供給源から流体で栄養素を植物に送達する、多層透過性を示す。流体は、霧、ミスト、スプレー、流れなどの形態である。
同時係属中のFSAにおいて、人類が直面する問題を解決し、かつ、食糧と植物を主体としたエネルギーの確保を達成する、農業に関する革新的な新パラダイムが実現すると述べた。新パラダイムの重要な特徴は、農法の収支状況の理解にある。これは、農業の収益性を確保する法則(AgriPAL)の公式で達成された。数式(2)を再び記述する。
AgriPALにより、企業は植物成長システムの収益性、価格を予測し、効率性のボトルネックを見極めることができる。
本発明において、好ましい実施例は、無限の三次元空間での植物栽培に対応する。具体的には、10メートルから100メートルの高さの三次元の棚、構造体、またはタワー、さらに好ましくは、100メートルを超え500メートルに、さらには、1,000メートルに達する高さのタワーである。500メートルを超える高さのビルはすでに存在している。高さが150メートル風力発電タワーの建設は経済的に実行可能であることが知られている。
図2Aは、サンソイル(SanSSoil)の保護された制御環境101、及び、制御サブシステム102を含む、屋内サンソイル(SanSSoil)農法システム100を例示的に示す。サンソイル(SanSSoil)の保護された制御環境101は、害虫、望ましくない気体、液体、粒子、その他の異物に対して実質的に、不浸透性であるように設計される。好ましくは、前記保護された環境は、栽培に最も適し、かつ、生産性を最大にする所望の温度を維持するために外部温度の変化から充分に隔離され、保護される。
特定の状況では、太陽の放射は、光合成栽培での人工光を補強することがある。このような状況では、紫外線、赤外線、特定の可視波長を含めて、望ましくない太陽の波長を取り除くフィルターをサンソイル(SanSSoil)環境101に取付ける。
また、サンソイル(SanSSoil)環境は、種子/苗の搬入105、収穫物の搬出に対応する構造から成る。好ましくは、前記構造は、無菌、または、ほぼ無菌の状態を維持するために、ロードロックなどの適切なシール構造を組込むように設計される。サンソイル(SanSSoil)棚の不浸透性及び無菌性を達成する手段は、当業者に周知である。サンソイル(SanSSoil)環境101は、内部に三次元空間に配置された複数のサンソイル(SanSSoil)植物培養層を収容する。サンソイル(SanSSoil)植物層は、光学的に透明な構造及び材料からできている。これにより、層が吸収されていない光を共有し、再利用することを可能にするので、光エネルギー利用効率を向上させる。
1つ以上の相互作用パラメータから成る群は、調整と最適化が同時にされても良い状況がある。例えば、二酸化炭素を、暗反応酵素密度により制限される最適値に調整するには、明反応酵素密度により制限されるまで、光のレベルを調整することが必要となる。最適化の手順は、調整が必要なコントローラ値と繋がれている適切なセンサーにより支援される。
各SGE1は、植物2、茎2s、根部2rを収容し、かつ、栄養源3、3aに接続されている一体的に製造された構造体1a、1bから成る。栄養素は、カップの形の部分構造体の中の根部に向かって、下方に垂れるか、スプレーする。本発明における1つの重要な態様は、根からの吸収を迂回して、植物の葉から直接吸収されるミクロン大の流体粒子(ドロプレット)を供給する噴霧サブシステム(またはミスト)による、当該分野において周知の葉面施肥と本発明の施肥の組合せである。各SGE1は、任意に、かつ、一体的に光源4、及びセンサー5を含む。
また、第1種が根部に1セットの栄養素(第1セット)を供給し、第2種が、異なる栄養素を葉に供給する2種類の噴霧システムも可能である。1種類以上の供給源に加えて、特定の状況では、供給源については順次、または、調整可能な周期と期間で、時間的にパルス状で適用しても良い、と考えられる。
照明1h、1j及び補助センサー1g、または他の資源は、3空間座標に対して如何なる方向にでも配置される(図2C〜図2E)。
図2Fに示すように、複数のSGEは、線状のストリング111aのように接続され、そして供給源3に接続する。接続構造は、各サイト1へ高い伝導性で栄養素を送達するように設計される。好ましくは、本構造は、SGEへの簡易接続ができるように設計されるが、長いストリングを形成できるよう、高速で、安価である、自動手段を備えている。また、本構造は、ストリングにおいて、植物の重さを支える力を備える。図2Gは、このストリングの断面図である。
図2Hにおいて、ストリング111a、111bが層103に平行に配置されている。図2Iの断面図は、ストリングの間の空き空間を有する本発明の重要な特徴を示す。これにより、ストリングの間、及び層の間を貫通する栄養素、光を共有することができる。
さらに、ストリングの相互接続の利点は、2つの層103a、103bが垂直に配置され、それぞれが複数のストリングから成る、図2J及び図2Kで強調されている。層103bの植物が、上部の層103aの空間にあり、図2Kの断面図で空間の節約状況を、直ちに認識できる。2つの層の間の空間はpzである。手動または自動で、周期pzが植物の成長に応じて変化する異なる実施例を後で示す。
サンソイル(SanSSoil)成長成分(SGE)の構造をより具体的に図3A〜図3Pで示す。統合多機能という用語は、少なくとも2つの機能を実行するよう一体的に製造され、実質的に永久に取付けられた、少なくとも2つの部分構造体から成る構造と定義する。前記機能の好ましい実施例は、機械的支持、栽培維持、発芽、自給栄養素、自給光、感知環境、最近接との栄養の連通、の群から選択される。
図3AのSGEは、成熟するまで機械的にかつ生理学的に根部2r及び茎2sの成長を支持する、栽培区画または部分構造体1aから成る。部分構造体1aは、開口1cを貫通して、栽培部分構造体1aと連通する流体の中の、結合導管1bに一体的に取付けられている。該開口部1cを流れる流体1dは、流れ1fを根部に供給する。導管1bの断面図は、図3Bに示すように、どの様な形でもよい。
導管1bは、着脱自在に少なくとも1つの供給源3に取付けられる。好ましくは、前記アタッチメントは、漏洩を防止するシール機能を有する即時着脱タイプである。供給源3は、最適に植物栽培を維持するために、欠かせない資源、栄養素を提供する。該資源は、少なくとも水と栄養素から成るが、さらに、光ファイバー分野で周知の全内部反射メカニズムや液晶表示分野で周知のバックライト光源により光を伝導し送達する。導管は、センサーから導管1bに直接的に統合された局在のLEDに、電気信号または電気を伝導してもよい。
図3C及び図3Dによる導管1bは、上述した図2及び図2Kのストリングを形成するように2つのSGEを接続し、資源3aを一方のSGEから他方のSGEに送る。前記資源は、流体を含むが、センサー5、5aから信号を伝導し、LED4にエネルギーを与え局在する植物に照明4bを供給する。
図3E〜図3Hに示すように、好ましい実施例でのSGEは、種2を機械的に支持し、かつ、高い発芽率のために最適の環境を作る機能を有する、種支持構造体1mを含む。図中の矢印に従い、茎2aと根部2bが伸びはじめ、苗に成長し、最終的に成熟した植物までを示す。これにより、好ましい本実施例に従って、種と成熟した植物の機械的支持、発芽、栄養素の局所的な送達、光の局所的な送達、環境センサー、成熟までの栽培などの多機能性に焦点を当て、SGEの統合構築の意義が強調される(図3D)。
また、SGEの多機能統合構築は、三次元空間利用効率の最大化という重要な役割を担い、各SGEの局所的な自給自足を強調している。また、図1A〜図1Hに関連する、上述した従来の技術での植物栽培法との違いを明白にする。
植物は光の方向に向く性質があるので、成長軸6は層軸1jに対して角度6aをなし、図3Iに示すように、如何なる所望の方向に植物を向けても、この性質を有利に利用することができる。他の実施例において、全体のストリング及び平面10は、水平方向1vに対して角度6bの方向でもよい(図3J)。
また、他の実施例において、図3K〜図3Mに示すように、光により決定される所望の方向にSGEを向け、上から下方に、つり下がったストリング11、12を形成することも好ましい。
加えて、マスター送達システム(図示せず)から資源16、17を受け取る供給構造体14、15に取付けられたストリングの直列及び並列の組み合せである図3Nに示すネットワーク13に形成したSGEストリングの相互接続にはシステム最適化の利益がある。本配置の利点は、システム構築の速さと柔軟性の促進、インフラストラクチャーの費用低減、消費可能な利用効率の最大化などである。
一体的に製造された多機能的な自給自足型SGEは、植物の種類及びシステム設計上の要求にしたがって、複数の所望の構成20a〜20e(図3Pに示す)で、供給構造体、または、ストリング相互接続構造体3に取付けられてもよい。当業者であれば、本発明のSGEネットワークの相互接続性から乖離することなく、他の構造の製造も可能である。
多層透過性
完全任意の三次元多層農法を実現するために、好ましい実施例は、資源利用効率を最大化する手段を含む。これは、照明、栄養素送達サブシステム、支持構造、空間などの資源を共有することにより達成される。図4A〜図4Dに示した共有手段は、システム固定費(f)、変動材料費(v)の低減に寄与し、上記AgriPALの数式(2)に関わる最大利益を確保する。
本発明の透過性の定義は、隣接する透過層の第1群から隣接する透過層の第2群へ資源を貫通させる、少なくとも1つのSGEのストリングから成る、層の能力である。第1及び/または第2群は、資源送達供給源を含む。垂直に配置された層の総数は2から10であり、より好ましくは、10から100であり、さらに好ましくは、100層を超える。
本発明の透過性の特徴により、水、栄養素、照明、冷却および加熱、その他の共有可能な資源を含む、資源の共有が可能になる。前記資源の共有により、効率的な使用が可能になり、それにより、最終商品のコストが最小化される。三次元収穫量または三次元生産性は、重量を体積で割った単位及び時間単位で測定される。従って、資源共有透過手段は、最短の時間内に、最もコンパクトな三次元空間で、最大の商品重量を生産するように設計される。本手段は、図4A〜図4Dに示される。
図4Aに関して、複数のSGE1をストリングで繋いだ、少なくとも層301、302を含む例示的な多層システム300は、図2G〜図2Kに詳しく示される。層301、302、接続構造301a〜301c、302a〜302c、並びにSGE構造は、光源(図示せず)からの光線305a〜305dが層301、302を貫通して隣接層の茎303s、304sを照らし、実質的に、光学的に透明である。層構造の光学的透明性は、少なくともガラス、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンから選択される透明な材料で作ることが可能である。
光透過性を達成する手段により、植物を成長させる少なくとも1つの光原の共有が多層で可能になり、光源の最大効率を実現する。理解されるように、苗は小さく、広い、水平及び垂直空間で分けられている。これらの間の空間が満たされるには数カ月かかる。それまでの間、1つの層で吸収されなかった光は、貫通して、隣接層によって吸収される。結果的に、多くの層を照明するのに少しの光源を使えば済むことになる。これにより、直ちに、光源の初期資本投資を削減することができる。例えば、システムの上部に位置する、ほんの1つの平面型光源で100層(透過性)のシステムをまかなうことができる。壁に反射システムを付けることで、光の損失は最小化する。
反対に、図1Cの従来技術の三次元農法システムでは、各層ごとに1セットの光源を使用することが想定されているので、いかに従来技術が無駄であるかを示唆している。さらに、これにより、本発明の進歩的な透過性の特徴の重要性が確認される。
また、光源の初期固定費の最小化に加えて、透過層は、消費可能な光エネルギーを効率的に使用するので、生産変動費を低減させる。透過層で吸収されなかった光は、貫通して隣接層に向かい、これらの層の植物により消費される。従来技術の教示では、植物が吸収しなかった光エネルギーは、浪費された資源として回復できない損失であった。
図4B及び図4Cでは、別のタイプの進歩的な透過性の特徴が示される。これは、隣接層306、307にある植物の根部や茎の空間に侵入(共有)している、1つの層にある植物の根部303r、304r、及び茎303s、304s(茎、枝、葉)に関する。この空間共有により、これまでにない垂直方向の圧縮を達成し、垂直高さ(d)(308、308a)を何分の一に低減することができる。この空間共有がなければ、茎の最大高さに加えて、根部の最大高さが必要となり、システムが垂直方向にコンパクトで無くなる。
図4Dは、吸収されなかった栄養素を隣接層に貫通させる1つの層の能力を示す、別のタイプの透過性を示す。植物の最適な栽培を維持するのに欠かせない栄養素は、少なくとも多層301、302が占める、空間309にある供給源(図示せず)により提供される。例示的な供給源は、間欠的に空間309を栄養素で満たす、噴霧システム、スプレイ・システム、滴下システムを含む。栄養素は、葉面施肥または根部への供給により植物に送達される。図2G〜2Kは、各層のSGEのストリングが空き空間分、空間的に分離されているので、栄養素が1つの層から次の層へ回されることができることを示している。本透過性によっても、供給源の数と、その初期コストとを最小化することができる。

Claims (11)

  1. 少なくとも1つの一体的に製造されたサンソイル(SanSSoil)成長成分(SGE)と、
    資源透過性を提供する少なくとも1つの手段と、を含む、
    透過性三次元多層農法システム。
  2. 前記SGEが、該バイオマスの生命を維持するために、多機能な自給自足をする手段を含む、請求項1に記載の透過性三次元多層農法システム。
  3. 前記少なくとも1つのSGEが、第1、第2及び第3空間座標に配置する多層三次元アレイ構造体を形成するように相互接続され、また、システムが資源透過性の少なくとも1つの手段を含む、請求項1に記載の透過性三次元多層農法システム。
  4. 前記アレイ構造体が相互接続したストリングのSGEネットワークからなり、前記少なくとも1つの層が共有資源に対して透過性がある、請求項3に記載の透過性三次元多層農法システム。
  5. 前記共有資源が、照明、加熱、冷却、栄養素を含む、請求項3に記載の透過性三次元多層農法システム。
  6. 前記アレイ構造体が少なくとも第1、第2の層、及びその間の空間からなり、前記第1層の植物の根が前記第2層の植物の茎の空間を共有する、請求項3に記載の透過性三次元多層農法システム。
  7. 前記アレイ構造体が少なくとも第1、第2の層、及びその間の空間からなり、前記第2の植物の茎が前記第1層の植物の根と茎の空間を共有する、請求項3に記載の透過性三次元多層農法システム。
  8. 前記アレイ構造体が少なくとも第1、第2の層、及びその間の垂直空間、垂直空間を圧縮する手段を含み、前記手段は、植物の根及び茎が第1、第2層で共有することが可能な層構造を含む、請求項3に記載の透過性三次元多層農法システム。
  9. 前記アレイ構造体が少なくとも第1、第2の層からなり、前記構造が、少なくとも1つの供給源からの光に対して透過性がある持続的に透明な材料で構築される、請求項3に記載の透過性三次元多層農法システム。
  10. 前記アレイ構造体が少なくとも第1、第2の層からなり、前記層が、少なくとも1つの供給源からの流体に対して透過性がある、請求項3に記載の透過性三次元多層農法システム。
  11. 前記流体が、霧、ミスト、流れ、滴下の群から選ばれる少なくとも1つのサブシステムにより送達される、請求項9に記載の透過性三次元多層農法システム。
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