JP2014209116A - 耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法 - Google Patents

耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法 Download PDF

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Yasuharu Kurihara
康晴 栗原
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Yuan Chen
媛 陳
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Takeshi Ishikawa
健 石川
正男 冨岡
Masao Tomioka
正男 冨岡
大須賀 正宏
Masahiro Osuga
正宏 大須賀
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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂を正確かつ効率的に選定することができる方法を提供することを課題とする。【解決手段】繊維強化樹脂、繊維強化樹脂に衝撃を与えるためのインパクター、及び繊維強化樹脂を支持するための支持台を含む衝撃試験モデルを解析プログラムに入力し、繊維強化樹脂及び支持台の強度に関する物性値を設定して、繊維強化樹脂の衝撃解析を行う衝撃解析工程を含み、衝撃解析工程によって得られた結果に関して、下記の条件1を満たす繊維強化樹脂を耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂として選定するにより、耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂を正確かつ効率的に選定することができる。(条件1)インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmの範囲内において、インパクターの加速度Aが最大となる最大加速度時刻T(AMAX)とインパクターが衝突した位置の繊維強化樹脂の変位量が最大となる最大変位時刻T(ΔZMAX)がずれていること。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維やガラス繊維等により強化された繊維強化樹脂であって、耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂を選定する方法に関するものである。特にコンピューター解析によって正確かつ効率的に繊維強化樹脂の衝撃吸収特性を評価することで、工業的な設計を迅速に行い、従来の材料よりもより安価で軽量化効果の優れた材料を提供することを特色とする。
近年、自動車等の工業製品の開発において、設計した製品の性能等を評価するシミュレーションを行うことができるCAE(Computer Aided Engineering)システムが広く利用されており、例えば設計した構造部品や使用する材料単体の衝撃吸収特性を評価する衝撃解析等にも活用されている。CAEシステムを用いることにより、実地試験を行う手間を省き、構造の最適化等を容易に図ることができるため、開発期間の短縮やコスト低減に繋がっている。
一方、環境問題等の観点から、自動車のさらなる軽量化が求められており、自動車部品の「樹脂化」の検討が活発に行われている。それに伴い、樹脂製の成型部品や樹脂材料単体の衝撃吸収特性を、CAEシステムを用いて評価する衝撃解析の検討も盛んに行われている。
例えば、特許文献1には、リブを有する樹脂成形体の衝撃特性をLS−DYNAを用いて評価する衝撃解析方法が開示されている。
一方、特許文献2には、タイヤ等の構造体の破壊現象を予測するに際し、亀裂が進展した後や亀裂が徐々に進展する過程を評価できる構造体の破壊予測方法及び構造体の破壊予測用コンピュータプログラムが開示されている。
特開2003−279456号公報 特開2008−145200号公報
繊維強化樹脂のような複合材料の衝撃吸収特性は、樹脂内部の減衰や繊維との界面での減衰、繊維強化樹脂の微視的な破壊等によって発現するものとされ、その正確な予測は従来困難であった。その為、試作品等を実際に作って性能を確かめるしかなく、より衝撃吸収特性の高い繊維強化樹脂の組成構成を効率的に得るのは困難であった。
本発明は、耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂を正確かつ効率的に選定することができる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、繊維強化樹脂の衝撃吸収特性をCAEシステムを用いて評価し、得られた結果について、インパクターの発生加速度Aが最大となる時刻とインパクターが衝突した位置の繊維強化樹脂の変位が最大となる時刻がずれる繊維強化樹脂を選定することにより、耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂を正確かつ効率的に選定することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> 炭素繊維、硝子繊維及びミネラル強化材系繊維からなる群より選ばれる少なくと
も1種により強化された耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法であって、
前記繊維強化樹脂、前記繊維強化樹脂に衝撃を与えるためのインパクター、及び前記繊維強化樹脂を支持するための支持台を含む衝撃試験モデルを解析プログラムに入力し、前記繊維強化樹脂及び前記支持台の強度に関する物性値を設定して、前記繊維強化樹脂の衝撃解析を行う衝撃解析工程を含み、
前記衝撃解析工程によって得られた結果に関して、下記の条件1及び2を満たす繊維強化樹脂を耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂として選定することを特徴とする、耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
(条件1)
インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmの範囲内において、インパクターの加速度Aが最大となる最大加速度時刻T(AMAX)とインパクターが衝突した位置の繊維強化樹脂の変位量が最大となる最大変位時刻T(ΔZMAX)がずれていること。
(条件2)
前記最大加速度時刻T(AMAX)と前記最大変位時刻T(ΔZMAX)の時間差を、インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmで除した値(|時間差|/Tm)が、0.02≦(|時間差|/Tm)≦0.08であること。
<2> 前記衝撃解析工程によって得られた結果に関して、さらに下記の条件3を満たす繊維強化樹脂を耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂として選定する、<1>に記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
(条件3)
インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmの範囲内におけるインパクターの最大加速度AMAXを、前記最大加速度時刻T(AMAX)で除した比率α(AMAX/T(AMAX))が、2G/msec<α<5G/msecであること。
<3> 前記繊維強化樹脂が熱可塑性樹脂を含むものである、<1>又は<2>に記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
<4> 前記繊維強化樹脂が炭素繊維を含むものである、<1>〜<3>の何れかに記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
<5> 前記衝撃解析工程において、前記繊維強化樹脂の強度に関する物性値として、繊維方向と繊維の直交方向のそれぞれの強度に関する物性値を設定する、<1>〜<4>の何れかに記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
<6> 前記衝撃解析工程において、前記インパクターの強度に関する物性値を設定する、<1>〜<5>の何れかに記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
<7> 炭素繊維、硝子繊維及びミネラル強化材系繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種により強化された繊維強化樹脂層、並びに繊維強化されていない樹脂層を含む積層体を前記繊維強化樹脂とする、<1>〜<6>の何れかに記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法であって、
前記衝撃解析工程において、前記積層体を前記繊維強化樹脂として含む衝撃試験モデルを作成し、記繊維強化樹脂層及び繊維強化されていない樹脂層のそれぞれの強度に関する物性値を設定する、耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
<8> 前記衝撃解析工程において、前記繊維強化樹脂層の強度に関する物性値として、繊維方向と繊維の直交方向のそれぞれの強度に関する物性値を設定する、<7>に記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
<9> <1>〜<8>の何れかに記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法によって選定された繊維強化樹脂。
本発明によれば、耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂を正確かつ効率的に選定することができる。
繊維強化樹脂に衝撃を与えるためのインパクターをモデル化した図形である。 繊維強化樹脂を支持するための支持台をモデル化した図形である((a)上面図、(b)側面図、(c)斜視図)。 衝撃試験モデルの具体例である((a)支持台の開口部が250mm×250mmである衝撃試験モデル、(b)支持台の開口部が500mm×500mmである衝撃試験モデル。)。 衝撃解析を行って得られた結果と衝撃試験装置を用いて得られた実験値とを対比したインパクターの発生加速度−時間図である(支持台の強度に関する物性値の設定の有無を比較)。 衝撃解析を行って得られた結果と衝撃試験装置を用いて得られた実験値とを対比したインパクターの発生加速度−時間図である(繊維強化樹脂層の繊維方向と繊維の直交方向の強度に関する物性値の設定の有無を比較)。 解析例1、5〜7で得られたインパクターの発生加速度−時間図である。 解析例1、8及び9で得られたインパクターの発生加速度−時間図である。 解析例10で得られたインパクターの発生加速度−時間とインパクターが衝突した位置の繊維強化樹脂の変位量−時間を重ねた図である。 破壊試験例1で得られたインパクターの発生加速度−時間図である。 破壊試験例2で得られたインパクターの発生加速度−時間図である。
本発明の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法について、以下詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、これらの内容に限定されるものではない。
本発明の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法(以下、「本発明の選定方法」と略す場合がある。)は、炭素繊維、硝子繊維及びミネラル強化材系繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種により強化された繊維強化樹脂を選定する方法であるが、繊維強化樹脂、繊維強化樹脂に衝撃を与えるためのインパクター、及び繊維強化樹脂を支持するための支持台を含む衝撃試験モデルを解析プログラムに入力し、繊維強化樹脂及び支持台の強度に関する物性値を設定して、繊維強化樹脂の衝撃解析を行う衝撃解析工程(以下、「本発明に係る衝撃解析工程」と略す場合がある。)を含み、衝撃解析工程によって得られた結果に関して、下記の条件1及び2を満たす繊維強化樹脂を耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂として選定することを特徴とする。
(条件1)
インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmの範囲内において、インパクターの加速度Aが最大となる最大加速度時刻T(AMAX)とインパクターが衝突した位置の繊維強化樹脂の変位量が最大となる最大変位時刻T(ΔZMAX)がずれていること。
(条件2)
前記最大加速度時刻T(AMAX)と前記最大変位時刻T(ΔZMAX)の時間差を、インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmで除した値(|時間差|/Tm)が、0.02≦(|時間差|/Tm)≦0.08であること。
繊維強化樹脂のような複合材料の衝撃吸収特性は、樹脂内部の減衰や繊維との界面での減衰、繊維強化樹脂の微視的な破壊等によって発現するものとされ、その正確な予測は従来困難であった。そこで本発明者らは、繊維強化樹脂の衝撃吸収特性をより効率的に評価するべく、CAEシステムを用いて衝撃解析を行う検討を進めたが、従来の衝撃解析方法では、衝撃試験装置を用いて得られた実験値との整合性が非常に悪くなるという新たな課題に直面することとなった。これは、例えば構造設計されていない板状の材料単体を衝撃解析する場合、材料の振動等を阻害しないような構造を有する支持台をモデル化し、この支持台に材料が支持されている状態で解析する方法が一般的であるが、解析においてこの支持台の物性値が十分に考慮されていなかったことが原因であると考えられる。繊維強化
樹脂は、鉄鋼に近い物性を有するため、全体に対する支持台の振動の寄与が大きく、支持台を剛体として計算すると正確な数値が得られないものと考えられる。
そこで、本発明者らは、支持台の強度に関する物性値を設定した上で、衝撃解析を行うことにより、繊維強化樹脂について、実験値との整合性が高い衝撃解析を行えることを見出した。そして、この衝撃解析によって得られた結果の中で、インパクターの加速度Aが最大となる最大加速度時刻T(AMAX)とインパクターが衝突した位置の繊維強化樹脂の変位量が最大となる最大変位時刻T(ΔZMAX)の時間的なずれが、繊維強化樹脂の衝撃吸収性を評価する上での有効な指標となることを見出したのである。具体的には、最大加速度時刻T(AMAX)と最大変位時刻T(ΔZMAX)の時間差を、インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmで除した値(|時間差|/Tm)が、0.02≦(|時間差|/Tm)≦0.08であると、耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂であることを見出したのである。
なお、本発明において「モデル」とは、モデリングソフト等を使用して作成したコンピューター上の図形を意味する。
また、本発明における「強度に関する物性値」には、「弾性率」、「降伏強さ」、「破壊エネルギー」等の外力が加えられたときの変形挙動を表す公知の物性値が含まれるほか、これらの物性値から得られる「ポアソン比」等の2次的な物性値、さらにはこれらの物性値を情報として含む「材質」等の設定項目も含まれるものとする。
さらに、「設定」とは、設定した項目が考慮された上で衝撃解析が行われるように、衝撃解析モデルを作成するためのモデリングソフト上、或いは衝撃解析を行う解析プログラム(衝撃試験ソフト)上に、設定したい内容を入力することを意味するものとする。
加えて、「インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tm」とは、インパクターが衝突してから離れるまでの時間、即ち、加速度0から最大値を通って0に戻るまでの時間を表すものとする。
以下、繊維強化樹脂、衝撃解析工程等について詳細に説明する。
<繊維強化樹脂>
本発明の選定方法は、炭素繊維、硝子繊維及びミネラル強化材系繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種により強化された繊維強化樹脂を対象とする選定方法であるが、炭素繊維、硝子繊維及びミネラル強化材系繊維の具体的種類は特に限定されず、繊維強化樹脂に用いられる公知の繊維について、広く対象とすることができる。特に炭素繊維を含む繊維強化樹脂の選定に好適に利用することができる。なお、ミネラル強化系繊維とは、公知の無機系強化添加物を意味し、具体的にはタルク、マイカ(雲母)、針状結晶物ウィスカ等の鉱物由来の結晶物が挙げられる。
また、繊維強化樹脂のマトリックス樹脂の種類も特に限定されず、繊維強化樹脂に用いられる公知のマトリックス樹脂、例えばポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を広く対象とすることができる。
さらに、繊維強化樹脂における繊維の状態等も特に限定されず、例えば繊維が一方向に配向した繊維強化樹脂も対象とすることもできる。
本発明の選定方法は、1種類の繊維強化樹脂からなる材料を対象とする態様に限られず、繊維強化樹脂を含むものであれば、複数種類の繊維強化樹脂(繊維強化樹脂層)を積層させた積層体、或いは繊維強化樹脂(繊維強化樹脂層)及び繊維強化されていない樹脂(樹脂層)を積層させた積層体を対象とするものであってもよい。
繊維強化されていない樹脂の種類も特に限定されず、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂のほか、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であってもよい。
<衝撃解析工程>
本発明の選定方法は、繊維強化樹脂、繊維強化樹脂に衝撃を与えるためのインパクター
、及び繊維強化樹脂を支持するための支持台を含む衝撃試験モデルを解析プログラムに入力して、繊維強化樹脂の衝撃解析を行う衝撃解析工程を含むことを特徴とするが、繊維強化樹脂、繊維強化樹脂に衝撃を与えるためのインパクター、及び繊維強化樹脂を支持するための支持台を含む衝撃試験モデルの作成方法は特に限定されず、市販されている公知のソフトを適宜利用して作成することができる。例えば、Siemens社製のNX I−DEAS、DASSAULT社製のCATIA、PTC社製のPro/Engineering等を利用して作成することが挙げられる。
本発明に係る衝撃解析工程において作成する繊維強化樹脂の形状、寸法は特に限定されないが、衝撃吸収特性を観測し易くなる観点から、シート状であることが好ましい。また、繊維強化樹脂がシート状である場合の面形状も特に限定されず、正方形状、矩形状、円形状等の何れであってもよい。繊維強化樹脂がシート状である場合の寸法も特に限定されないが、長辺(直径)が通常80mm以上、好ましくは100mm以上、より好ましくは200mm以上であり、通常1000mm以下、好ましくは800mm以下、より好ましくは600mm以下である。
繊維強化樹脂がシート状である場合、その厚みは特に限定されないが、1種類の繊維強化樹脂からなる材料である場合、通常100μm以上、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、通常10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下である。上記範囲内の繊維強化性樹脂であると、正確な選定を行うことができる。
また、複数種類の繊維強化樹脂層を積層させた積層体、或いは繊維強化樹脂層及び繊維強化されていない樹脂層を積層させた積層体である場合、繊維強化樹脂層の厚みは、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは250μm以下である。一方、繊維強化されていない樹脂層の厚みは、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは250μm以下である。上記範囲内の積層体であると、正確な選定を行うことができる。
さらに複数種類の繊維強化樹脂層を積層させた積層体、或いは繊維強化樹脂層及び繊維強化されていない樹脂層を積層させた積層体である場合の樹脂層の積層数も特に限定されないが、通常2層以上、好ましくは4層以上、より好ましくは5層以上であり、通常20層以下、好ましくは15層以下、より好ましくは10層以下である。上記範囲内の積層体であると、本発明の選定方法を好適に利用することができる。
本発明に係る衝撃解析工程において作成するインパクターの形状、寸法、材質及び重量は、特に限定されないが、市販の衝撃試験装置に使用するインパクターを再現した形状とすることが好ましい。衝撃試験装置に使用するインパクターを再現した形状であると、実験値との整合性を確認し易くなる。インパクターの具体的な形状としては、図1に示されるような形状が挙げられる。図1に示されるインパクターは、芯材(図1の2)の衝撃を与える側の部分に被覆層(図1の3)が取り付けられている構造となっている。
本発明に係る衝撃解析工程において作成する支持台の形状及び寸法等は、特に限定されないが、市販の衝撃試験装置に使用する支持台を再現した形状とすることが好ましい。衝撃試験装置に使用する支持台を再現した形状であると、実験値との整合性を確認し易くなる。支持台の具体的な形状としては、図2に示されるような形状が挙げられる。
図2に示される支持台は、試験体(繊維強化樹脂)を挟み込んで固定できるように、上部(図2の4)と下部(図2の5)に分かれており、上部には持ち運びを容易にする取手(図2の6)が取り付けられた構造となっている。この上部と下部には、ボルト・ナットで連結できるように、同位置に穴(図2の8)が設けられており、さらにボルト・ナットで地面に固定できるように、下部の地面と接する位置に同様の穴が設けられている。また
、上部と下部は、試験体を挟み込んだ際に試験体が露出するように、それぞれ開口を有する額縁状の形状になっている。
例えば、衝撃試験装置に使用する支持台が、図2に示されるような構造を有する場合には、本発明に係るモデル化工程においても、上部、下部、取手、連結に使用するボルト・ナット、各部分の繋ぎ目等を含めた詳細なモデルを作成することが好ましい。このような詳細なモデルを作成すると、例えば試験体(繊維強化樹脂)と支持台との間に生じる摩擦を考慮した衝撃解析等を行うことができ、より正確な解析となり得る。
支持台の開口の寸法は、解析対象である繊維強化樹脂の寸法に応じて適宜設定することができるが、長辺(直径)が通常150mm以上、好ましくは200mm以上、より好ましくは250mm以上であり、通常1000mm以下、好ましくは750mm以下、より好ましくは500mm以下である。
本発明に係る衝撃解析工程は、繊維強化樹脂及び支持台の強度に関する物性値を設定して衝撃解析を行うものであるが、繊維強化樹脂の強度に関する物性値、及び支持台の強度に関する物性値を設定する方法は特に限定されず、使用するモデリングソフト及び/又は解析プログラム(衝撃解析ソフト)に応じて適宜選択されるべきである。例えばモデリングソフトとしてSiemens社製 NX I−DEASを使用し、衝撃解析ソフトとしてLSTC社製 LS−DYNAを使用して衝撃解析を行う場合、モデリングソフトで作成した要素は、衝撃解析ソフトの要求するフォーマットに合わせたものとし、衝撃解析ソフトにおいては衝撃特性を計算するに必要な物性、例えば弾性率にひずみ速度・方向の依存性を設定し、モデルの正確な寸法等を入力し、なおかつ衝撃の条件である初速度や加速度等を設定する方法が挙げられる。
本発明に係る衝撃解析工程において設定する繊維強化樹脂の強度に関する物性値の種類は、衝撃解析に必要な物性値を少なくとも含むものであれば、特に限定されないが、弾性率、強度、ポアソン比、比重等のひずみ速度・方向依存性に関連する物性値が挙げられる。
また、例えば繊維が一方向に配向している場合など、弾性率等の物性値に異方性がある場合、繊維強化樹脂の強度に関する物性値として、繊維方向と繊維の直交方向のそれぞれの強度に関する物性値を設定することが好ましい。繊維方向と繊維の直交方向のそれぞれの強度に関する物性値を設定することにより、より正確な解析を行うことができる。
なお、設定する繊維強化樹脂の強度に関する物性値は、実験によって得られた実験値のほか、計算によって得られた値であってもよい。
例えば、炭素繊維強化樹脂の物性値では、繊維方向の弾性率140GPa、直交方向の弾性率20GPa、ポアソン比0.33、比重1.8を設定することが挙げられる。
本発明に係る衝撃解析工程において設定する支持台の強度に関する物性値の種類は、特に限定されないが、弾性率、強度、ポアソン比、比重等のひずみ速度依存性に関連する物性値、及び支持台の材質が挙げられる。
なお、設定する支持台の強度に関する物性値は、実験によって得られた実験値のほか、計算によって得られた値であってもよい。
例えば、支持台の材質は、一般炭素鋼等として設定され、弾性率209GPa、降伏強度640MPa、ポアソン比0.3、比重7.8を設定することが挙げられる。
本発明に係る衝撃解析工程において設定するその他の項目は特に限定されないが、インパクターの強度に関する物性値を設定することが好ましい。インパクターの影響は、支持台に比して小さいが、インパクターの強度に関する物性値も設定することによって、より正確な解析を行うことができる。設定するインパクターの強度に関する物性値としては、インパクターの弾性率、降伏強度、ポアソン比及び比重等が挙げられる。
本発明に係る衝撃解析工程において、通常は衝撃解析モデルの正確な寸法、衝撃条件である初速度・加速度(インパクターの落下高さ)、衝撃試験の温度条件等を設定する。
本発明に係る衝撃解析工程において設定するインパクターの落下高さは、特に限定されず、繊維強化樹脂の厚み等に応じて適宜設定することができるが、通常100mm以上、好ましくは250mm以上、より好ましくは350mm以上であり、通常2000mm以下、好ましくは1500mm以下、より好ましくは1000mm以下である。また、例えば試験体同士の衝撃特性を比べる場合などにおいては、試験体同士の相違が顕著に表れる値を設定することが好ましい。
本発明に係る衝撃解析工程において設定する温度条件は特に限定されないが、−30℃〜80℃の範囲内で設定することが好ましい。また本発明の実施に当たっては、常温下(10〜40℃)又は80℃程度の高温下で衝撃試験を行うことが好ましい。これらは実際の材料に応じて選択するとよい。
その他、繊維強化樹脂と支持台との間に生じる摩擦を考慮した摩擦係数を設定することが好ましい。摩擦係数を設定することにより、より正確な解析を行うことができる。
本発明の選定方法は、繊維強化樹脂層及び繊維強化されていない樹脂層を積層させた積層体を対象とするものであってもよいが、このような積層体を対象とする場合は、繊維強化樹脂層及び繊維強化されていない樹脂層のそれぞれの強度に関する物性値を設定することが好ましい。
繊維強化樹脂層(以下、「C(層)」と略す場合がある。)及び繊維強化されていない樹脂層(以下、「M(層)」と略す場合がある。)を含む積層体の衝撃解析を行う場合、従来、C層の総厚みとM層の総厚みを設定した簡易的な衝突解析モデルとしていたため、CMCMと積層した場合とCMMCと積層した場合の解析結果が同一となっていた。従来の柔らかい材料に関してはこの方法であっても実験値との差が小さく、特に問題が生じなかった。
しかしながら、本発明者らが衝撃試験装置を使用して、実験値を確認したところ、CMCMとCMMCとでは、その解析吸収挙動に大きな差が生じることを確認した。これは、繊維強化樹脂の弾性率、降伏強度が、強化されていない樹脂に比してはるかに高くなったと考えられる。そして、C層とM層の順番を再現した衝撃試験モデルを作成し、さらにC層及びM層のそれぞれの強度に関する物性値を設定した上で、衝撃解析を行うことにより、実験値との整合性が著しく改善されることを本発明者らは見出したのである。
また、例えば繊維強化樹脂層における繊維が一方向に配向している場合など、繊維強化樹脂層の弾性率等の物性値に異方性がある場合、繊維強化樹脂層の強度に関する物性値として、繊維方向と繊維の直交方向のそれぞれの強度に関する物性値を設定することが好ましい。
従来、このような積層体の衝撃解析では、C層の異方性を考慮せずに解析を行っていたため、実験値との整合性が非常に悪い結果となっていた。そこで、C層の強度に関する物性値について、繊維方向と繊維の直交方向に分けて設定することにより、実験値との整合性がさらに改善されることを本発明者らは見出したのである。
繊維強化樹脂層及び繊維強化されていない樹脂層を積層させた積層体を解析する場合の繊維強化されていない樹脂層の強度に関する物性値の種類は、衝撃解析に必要な物性値を少なくとも含むものであれば、特に限定されないが、弾性率、強度、ポアソン比、比重等のひずみ速度・方向依存性に関連する物性値が挙げられる。
本発明に係る衝撃解析工程において使用する解析プログラムの種類は特に限定されず、市販されている公知の解析ソフトを適宜採用して使用することができる。例えば、LSTC社製のLS−DYNA、ESI社製のPAM−CRASH、HKS社製のABAQUS等が挙げられる。
本発明の選定方法は、前述の衝撃解析工程によって得られた結果に関して、下記の条件1及び2を満たす繊維強化樹脂を耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂として選定することを特徴とするが、繊維強化樹脂を選定するためのその他の条件は特に限定されない。
(条件1)
インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmの範囲内において、インパクターの加速度Aが最大となる最大加速度時刻T(AMAX)とインパクターが衝突した位置の繊維強化樹脂の変位量が最大となる最大変位時刻T(ΔZMAX)がずれていること。
(条件2)
最大加速度時刻T(AMAX)と最大変位時刻T(ΔZMAX)の時間差を、インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmで除した値(|時間差|/Tm)が、0.02≦(|時間差|/Tm)≦0.08であること。
最大加速度時刻T(AMAX)と最大変位時刻T(ΔZMAX)の具体的な時間差の値は特に限定されない。最大加速度時刻T(AMAX)と最大変位時刻T(ΔZMAX)の時間差は、通常サンプルの大きさ、インパクターの重さ、構造、材質等に依存するが、本発明の場合(サンプルが250mm×250mm×1mm、インパクターが前記)、通常、0.2msec以上、好ましくは0.3msec以上、であり、通常10.0msec以下、好ましくは5.0msec以下、より好ましくは2.0msec以下である。上記範囲内であると、衝撃特性に特に優れる繊維強化樹脂を選定することができる。
本発明の選定方法は、衝撃解析工程によって得られた結果に関して、さらに下記の条件3を満たす繊維強化樹脂を耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂として選定することが好ましい。
(条件3)
インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmの範囲内におけるインパクターの最大加速度AMAXを、前記最大加速度時刻T(AMAX)で除した比率α(AMAX/T(AMAX))が、2G/msec<α<5G/msecであること。
これは、値の小さい方が衝撃吸収性が高いが、異方性が高いという傾向がつよくなる。そこで、衝撃吸収性と異方性のバランスの良い材料を選定する場合、前記範囲が好ましい。比率αが3G/msec以上の繊維強化樹脂を選定することがより好ましい。また、比率αが4G/msec以下の繊維強化樹脂を選定することがより好ましい。上記範囲内であると、衝撃特性に特に優れる繊維強化樹脂を選定することができる。
以下、実施例により本発明の具体的態様を詳細に説明するが、本発明が実施例の態様のみに限定されないことは言うまでもない。
<解析例1>
(衝撃試験モデルの作成)
モデリングソフトとしてSiemens社製 NX I−DEASを使用し、図3(b)に示す衝撃試験モデル(試験体、試験体に衝撃を与えるためのインパクター、及び試験体を支持するための支持台を含むモデル)を作成した。
(強度に関する物性値の設定)
試験体、支持台、インパクター、及び試験条件について、以下の記載のように設定した。なお、支持台の影響をより正確に評価するために、試験体として、異方性のある繊維強化樹脂の代わりに異方性のないアルミ板(アルミ製板状試験体)を設定した。また、支持台は、ボルト・ナットによって地面に固定化されているものと設定した。
(1)試験体
(1−1)アルミ製板状試験体
厚さ:1mm
繊維方向の弾性率:70GPa
ポアソン比:0.34
(2)支持台
材質:一般鋼材
弾性率:209GPa
降伏強度:690MPa
ポアソン比:0.3
開口部は500mm×500mm
(3)インパクター
芯材(図1の2)の材質:アルミ
被覆層(図1の3)の材質:塩化ビニル
重量:3.5kg
(4)試験条件
インパクターの落下高さ:376mm(自然落下;初速度0)
試験温度:25℃
(衝撃解析)
作成した衝撃解析モデルを、LS−DYNAインタフェースを用いて変換し、LSTC社製 LS−DYNA(衝撃解析ソフト)を使用して衝撃解析を行った。
<解析例2>
支持台の強度に関する物性値(材質、弾性率、降伏強度、ポアソン比)を設定しなかった以外は、解析例1と同様に衝撃解析を行い、解析例1(支持台の物性値を設定)と解析例2(支持台の物性値を未設定)を比較して、支持台の物性値の設定の有無の影響を調べた。
解析例1及び解析例2の衝撃解析によって得られたインパクターの発生加速度−時間図を図4に示す。
図4の結果から明らかなように、支持台の強度に関する物性値を設定することによって、実験値との整合性が極めて高い衝撃解析が行えることが明らかである。
<解析例3>
5枚の繊維強化樹脂層を積層した積層体を試験体とし、試験体について以下の記載のように設定した以外は、解析例1と同様に衝撃解析を行った。なお、積層体を構成する繊維強化樹脂層は、繊維方向と繊維の直交方向として、異なる弾性率を有するものとし、さらに5枚はそれぞれ同一の繊維方向を向いているものと設定とした。つまり、積層体最下部の繊維強化樹脂層の繊維方向とのなす角度で、その他の繊維強化樹脂層の繊維方向を表すと、最下部:(0°)−0°−0°−0°−0°:最上部となっている。
(1)試験体
(1−2)積層体
厚さ:1mm
※繊維強化樹脂層
材質:繊維強化樹脂
厚さ:200μm
繊維方向の弾性率:140GPa
繊維の直交方向の弾性率:20GPa
ポアソン比:0.33
<解析例4>
繊維方向の弾性率及び繊維の直交方向の弾性率をそれぞれ80GPaに変更した以外は、解析例1と同様に衝撃解析を行い、解析例3(繊維強化樹脂の異方性を考慮)と解析例4(繊維強化樹脂の異方性を未考慮)を比較して、繊維強化樹脂の異方性の考慮の有無の影響を調べた。解析例3及び解析例4の衝撃解析によって得られたインパクターの発生加速度−時間図を図5に示す。
図5の結果から明らかなように、繊維強化樹脂層の繊維方向と繊維の直交方向のそれぞれの強度に関する物性値を設定することによって、実験値との整合性が極めて高い衝撃解析が行えることが明らかである。
<解析例5>
積層体最下部の繊維強化樹脂層の繊維方向に対して、なす角度が(0°)−90°−90°−90°−0°となるように設定した以外は、解析例1と同様に衝撃解析を行った。衝撃解析によって得られたインパクターの発生加速度−時間図を図6に示す。
<解析例6>
積層体最下部の繊維強化樹脂層の繊維方向に対して、なす角度が(0°)−90°−0°−90°−0°となるように設定した以外は、解析例1と同様に衝撃解析を行った。衝撃解析によって得られたインパクターの発生加速度−時間図を図6に示す。
インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmは20msec、インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmの範囲内におけるインパクターの最大加速度AMAXは62G、インパクターの加速度Aが最大となる最大加速度時刻T(AMAX)は8.8msec、インパクターが衝突した位置の繊維強化樹脂の変位量が最大となる最大変位時刻T(ΔZMAX)は10.2msec、最大加速度時刻T(AMAX)と最大変位時刻T(ΔZMAX)の時間差を、インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmで除した値(|時間差|/Tm)は0.07となった。
<破壊試験例1>
炭素繊維が三菱レイヨン製パイロフィル、樹脂がエポキシである単方向プリプレグ(40cm×40cm)を用いた。積層体最下部の繊維強化樹脂層の繊維方向に対して、なす角度が(0°)−90°−0°−90°−0°となるよう積層し加熱プレス(試験体1)し、図3(a)の台に、重さ8kgのステンレス製インパクターを高さ1776mmから落下させ(自然落下)、破壊試験を実施した。その結果、図9の通り、試験体1は破損することなくインパクターを跳ね返した。試験後の試験体1は表面・内部にも破損・亀裂は見られず、インパクターの落下衝撃を吸収して弾性変形し、インパクターを跳ね返す運動エネルギーへと変換した現象を示している。
<解析例7>
積層体最下部の繊維強化樹脂層の繊維方向に対して、なす角度が(0°)−45°−90°−135°−0°となるように設定した以外は、解析例1と同様に衝撃解析を行った。衝撃解析によって得られたインパクターの発生加速度−時間図を図6に示す。
なお、インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmは15msec、インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmの範囲内におけるインパクターの最大加速度AMAXは74G、インパクターの加速度Aが最大となる最大加速度時刻T(AMAX)は7.1msec、インパクターが衝突した位置の繊維強化樹脂の変位量が最大となる最大変位時刻T(ΔZMAX)は8.1msec、最大加速度時刻T(AMAX)と最大変位時刻T(ΔZMAX)の時間差を、インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmで除した値(|時間差|/Tm)は0.067となった。
<解析例8>
積層体最下部及び最上部以外の3枚の繊維強化樹脂層を、繊維強化されていない樹脂層とし、繊維強化されていない樹脂層について以下の記載のように、さらになす角度が(0°)−Ep−Ep−Ep−90°となるように設定した以外は、解析例1と同様の衝撃解析を行った。衝撃解析によって得られたインパクターの発生加速度−時間図を図7に示す。
(1)試験体
(1−2)積層体
※繊維強化されていない樹脂層
材質:エポキシ樹脂層
厚さ:200μm
弾性率:2.4GPa
降伏強度:30MPa
ポアソン比:0.4
<解析例9>
積層形態が(0°)−Ep−90°−Ep−0°となるように設定した以外は、解析例8と同様に衝撃解析を行った。得られたインパクターの発生加速度−時間図を図7に示す。
図6及び7の結果から、積層する繊維強化樹脂層の弾性率の異方性が高いほど、衝撃吸収性に優れることが明らかである。また、繊維強化されていない樹脂層(エポキシ樹脂層)を設けることで、衝撃吸収性が高まることが明らかである。
<解析例10>
積層形態が(0°)−0°−0°−0°−0°となるように設定した以外は、解析例7と同様に衝撃解析を行った。インパクターの発生加速度−時間とインパクターが衝突した位置の繊維強化樹脂の変位量−時間を重ねた図を図8に示す。解析例10で解析した繊維強化樹脂は、最大加速度時刻T(AMAX)と最大変位時刻T(ΔZMAX)がずれたものであることが明らかである。
<解析例11>
積層体最下部の繊維強化樹脂層の繊維方向に対して、なす角度が(0°)−90°−0°−90°−[0°及び90°となる十字織]となるように設定した以外は、解析例1と同様に衝撃解析を行った。
インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmは16msec、インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmの範囲内におけるインパクターの最大加速度AMAXは114G、インパクターの加速度Aが最大となる最大加速度時刻T(AMAX)は7.8msec、インパクターが衝突した位置の繊維強化樹脂の変位量が最大となる最大変位時刻T(ΔZMAX)は9.6msec、最大加速度時刻T(AMAX)と最大変位時刻T(ΔZMAX)の時間差を、インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmで除した値(|時間差|/Tm)は0.1125となった。
<破壊試験例2>
積層体最下部の繊維強化樹脂層の繊維方向に対して、なす角度が(0°)−90°−0°−90°−[0°及び90°となる十字織]とした(試験体2)以外、破壊試験例1と同様に実施した。その結果、図10にあるように試験体2はインパクターと試験体2との接触から2.0ミリ秒後に最初の破壊が見られた。その後試験体2はインパクターを跳ね返すことなく亀裂が生じた。
これはインパクターの衝撃を吸収しきれず、試験体内部に破壊が発生して伝搬したことに起因する現象である。
本発明の選定方法は、繊維強化樹脂を自動車用外板、例えばボンネットに利用し、事故時の歩行者へのダメージを最少にする設計を検討する際に利用することができる。
歩行者の事故時のダメージを生存確率と関係付けたものにHIC(Head Injury Criteria)値があり、この値が1000を超えると致命的なダメージを受けることが分かっている。設計段階において衝撃吸収性を考慮するのと同時に、この発明の手法をもって材料面の設計を行うことで、高い機能を発揮する材料を提供できる。
1 インパクター
2 インパクターの芯材
3 インパクターの被覆層
4 支持台上部
5 支持台下部
6 取手
7 取手取付け穴
8 固定用の穴

Claims (9)

  1. 炭素繊維、硝子繊維及びミネラル強化材系繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種により強化された耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法であって、
    前記繊維強化樹脂、前記繊維強化樹脂に衝撃を与えるためのインパクター、及び前記繊維強化樹脂を支持するための支持台を含む衝撃試験モデルを解析プログラムに入力し、前記繊維強化樹脂及び前記支持台の強度に関する物性値を設定して、前記繊維強化樹脂の衝撃解析を行う衝撃解析工程を含み、
    前記衝撃解析工程によって得られた結果に関して、下記の条件1及び2を満たす繊維強化樹脂を耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂として選定することを特徴とする、耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
    (条件1)
    インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmの範囲内において、インパクターの加速度Aが最大となる最大加速度時刻T(AMAX)とインパクターが衝突した位置の繊維強化樹脂の変位量が最大となる最大変位時刻T(ΔZMAX)がずれていること。
    (条件2)
    前記最大加速度時刻T(AMAX)と前記最大変位時刻T(ΔZMAX)の時間差を、インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmで除した値(|時間差|/Tm)が、0.02≦(|時間差|/Tm)≦0.08であること。
  2. 前記衝撃解析工程によって得られた結果に関して、さらに下記の条件3を満たす繊維強化樹脂を耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂として選定する、請求項1に記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
    (条件3)
    インパクターと繊維強化樹脂との接触時間Tmの範囲内におけるインパクターの最大加速度AMAXを、前記最大加速度時刻T(AMAX)で除した比率α(AMAX/T(AMAX))が、2G/msec<α<5G/msecであること。
  3. 前記繊維強化樹脂が熱可塑性樹脂を含むものである、請求項1又は2に記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
  4. 前記繊維強化樹脂が炭素繊維を含むものである、請求項1〜3の何れか1項に記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
  5. 前記衝撃解析工程において、前記繊維強化樹脂の強度に関する物性値として、繊維方向と繊維の直交方向のそれぞれの強度に関する物性値を設定する、請求項1〜4の何れか1項に記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
  6. 前記衝撃解析工程において、前記インパクターの強度に関する物性値を設定する、請求項1〜5の何れか1項に記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
  7. 炭素繊維、硝子繊維及びミネラル強化材系繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種により強化された繊維強化樹脂層、並びに繊維強化されていない樹脂層を含む積層体を前記繊維強化樹脂とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法であって、
    前記衝撃解析工程において、前記積層体を前記繊維強化樹脂として含む衝撃試験モデルを作成し、記繊維強化樹脂層及び繊維強化されていない樹脂層のそれぞれの強度に関する物性値を設定する、耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
  8. 前記衝撃解析工程において、前記繊維強化樹脂層の強度に関する物性値として、繊維方
    向と繊維の直交方向のそれぞれの強度に関する物性値を設定する、請求項7に記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の耐衝撃性繊維強化樹脂の選定方法によって選定された繊維強化樹脂。
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