JP2014202722A - 混相状態分布計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】混相媒体分布の再構成画像の精度を向上させる装置を提供する。【解決手段】管路10の周辺に配置されたn個(ただし、nは3以上)のセンシング電極20を有するセンサ12と、センサ12を用いて静電容量又は電気抵抗を計測する計測手段14と、を備え、センシング電極20のうち、p個(ただし、1≰p≰n−1)の印加電極に測定用電圧を印加し、q個(ただし、1≰q≰n−p,3≰p+q)の接地電極を接地した状態で計測手段14により静電容量又は電気抵抗を計測する混相状態分布計測装置とする。【選択図】図1
Description
本発明は、複数の媒体の混相状態を測定する混相状態分布計測装置に関する。
固体、液体、気体等の混相状態を測定する混相状態分布計測装置は、パイプラインや他の機器における管路の閉塞状態の確認、輸送の効率化、混合の効率化、抵抗低減、腐食防止などのために用いられている。
混相状態分布計測装置では、r個の電極を含むセンサを管路周辺に配置し、r個の電極のうち接地電極と測定電圧を印加する印加電極とを1つずつ設け、接地電極と印加電極との組み合わせを変更しつつ静電容量を測定し、これらを利用して管内の状態を再現する。このときの静電容量の測定可能数は、r個の電極の順列組み合わせの半分であるr(r−1)/2である。例えば、8個の電極を用いた場合はn=28通りの静電容量の測定が可能となる。
混相状態分布を求める方法として、既知のn×1行列の静電容量行列C、既知のn×m行列のセンシティビティマップSe、未知のm×1行列の静電率分布行列Eとが、C=SeEの関係にあり、この式の反復計算により誘電率分布行列Eを求める技術が開示されている。このとき、γi=CTSeiとおき、反復回数をkとしたときに評価関数をf(E(k))=γ・E(k)とし、この評価関数が1に近づく誘電率分布行列Eを求めることが記載されている(特許文献1)。
ところで、n個の静電容量の測定結果から解像度mの画像を構成する場合、通常はn<mであるために画像の再構成時における画像推定問題の解が不定となり、画像が一意に定まらない。nがmに近づくほど解は求め易くなり、n=mであれば画像は一意に定まる。
そこで、静電容量の測定結果の数を解像度に近づけて、画像を安定に再現できる混相状態分布計測装置が望まれている。
本発明の1つの態様は、管路の周辺に配置されたn個(ただし、nは3以上)のセンシング電極を有するセンサと、前記センサを用いて静電容量又は電気抵抗を計測する計測手段と、を備え、前記センシング電極のうち、p個(ただし、1≦p≦n−1)の電極に測定用電圧を印加し、q個(ただし、1≦q≦n−p,3≦p+q)の電極を接地した状態で前記計測手段により静電容量又は電気抵抗を計測することを特徴とする混相状態分布計測装置である。
ここで、p又はqは、少なくとも2以上に変化させることが好適である。
また、前記管路内の媒体の分布を示す画像を生成する画像再構成手段と、前記画像を表示する画像表示手段と、を備えることが好適である。
また、前記計測手段で得られた静電容量又は電気抵抗と一致する前記管路内部の媒体の誘電率分布を反復計算により算出する際に、誘電率分布の変化が静電容量又は電気抵抗に与える影響を誘電率分布の更新毎に算出し、算出して得られた感度を用いて反復計算を実行することが好適である。
また、n=8,p=1,q=7の状態を含むことが好適である。
本発明によれば、混相媒体分布の再構成画像の精度を向上させることができる。
本発明の実施の形態における混相状態分布計測装置100は、図1に示すように、センサ12、静電容量計測手段14、誘電率分布再構成手段16及び再構成画像出力手段18を含んで構成される。混相状態分布計測装置100は、センサ12が測定対象となる管路10の外周部に巻かれるように配置される。
センサ12は、図2の断面図に示すように、複数のセンシング電極20を組み合わせて環状に構成される。本実施の形態では、センサ12は、8つのセンシング電極20−1〜20−8により構成される例を示している。ただし、センサ12に含まれるセンシング電極20の数は、これに限定されるものでなく、r個(rは、3以上)であればよい。各センシング電極20は、静電容量計測手段14から測定電圧が印加される、又は、接地されて、その組み合わせによって異なるコンデンサを形成する。
静電容量計測手段14は、リード線22を介してセンシング電極20により形成されるコンデンサの静電容量を計測する。本実施の形態では、センサ12は8つのセンシング電極20−1〜20−8を含むので、静電容量計測手段14も8つのリード線22−1〜22−8を含む例を示している。ただし、リード線22の数は、これに限定されるものでなく、r個(rは、3以上)のセンシング電極20を備える場合には、センシング電極20の数に合わせてr本設ければよい。
静電容量計測手段14は、r個のセンシング電極20のうち、p個(ただし、1≦p≦r−1)を印加電極として選択して測定用電圧を印加し、測定用電圧を印加しなかったセンシング電極20のうちq個(ただし、1≦q≦r−p,3≦p+q)を接地電極として選択して接地する。
例えば、r=8の場合、pは1以上7以下の数から選択される。ここで、pを1に設定した場合、qは2以上7以下の数から選択される。表1は、これらの条件を満たすセンシング電極20の組み合わせの例を示す。電極数をr、印加電極の数をp、接地電極の数をqとしたとき、電極の組み合わせの数はrCp×r−pCqとなる。ただし、印加電極の数p=1、接地電極の数q=1のときは、印加電極と接地電極とを交換しても情報量は増えないので計測できる静電容量の数はn=rC1×r−1C1/2=r(r−1)/2となる。一方、印加電極の数p=1としても、接地電極の数q=2であれば、計測できる静電容量の数はn=rC1×r−1C2=r(r−1)(r−2)となり、接地電極の数q=1のときより大幅に増加する。表1では、センシング電極20の数r=8のときにおいて、センシング電極20の組み合わせの数及び測定可能な静電容量の数を併せて示している。
このように、本実施の形態では、センシング電極20のうち印加電極及び接地電極となる電極をそれぞれ1つに限定しないことにより、より多くの静電容量の測定結果に基づいて管路10内の混相状態の再現を行うことができる。
誘電率分布再構成手段16は、rCp×r−pCq個の電極の組み合わせからなるコンデンサの静電容量に基づいて管路10内の計測空間10aにおける誘電率分布を演算し、計測空間10aの誘電率分布CTの再構成画像信号を生成する。誘電率分布再構成手段16は、演算装置16aを含んで構成することができる。演算装置16aは、例えば、プロセッサ、メモリ、入出力インタフェースを備えるコンピュータで構成される。また、静電容量計測手段14、誘電率分布再構成手段16、及び演算装置16aを全てコンピュータで構成してもよく、再構成画像出力手段18を当該コンピュータのディスプレイで構成してもよい。演算装置16aは、画像再構成プログラムを実行することによって静電容量正規化手段16b、誘電率明確化手段16c及び誘電率空間勾配最小化手段16dを実現する。
画像再構成方法では、数値シミュレーションを用いて計測した静電容量と一致する誘電率分布を求める。例えば、数値シミュレーションに有限要素法に基づくものを用いた場合、管路10内の計測空間10aをm個の有限要素(メッシュ)に分割し、各メッシュにおける誘電率分布を算出する。メッシュの個数は、再構成画像の解像度に対応する。ここで、計測された静電容量の数をr個、求める誘電率の個数(メッシュの個数と等しい)をm個とすると、静電容量行列C(r×1行列)、誘電率分布行列E(m×1行列)、センシティビティマップ行列Se(r×m行列)の関係は、C=SeEで表わされる。
誘電率分布行列Eを求めるには、センシティビティマップ行列Seの逆行列を求めればよいが、センシティビティマップ行列Seは正方行列でないので逆行列が存在しない。したがって、LBP(Liner Back Projection)法やNR(Newton−Raphson)法により誘電率分布行列Eを求めることができる。
本実施の形態では、例として、以下の方法を示す。誘電率分布再構成手段16は、静電容量計測手段14で計測されたn個の静電容量Cj0に基づいて誘電率分布を再構成する。
図3に、本実施の形態の演算処理をフローチャートで示す。まず、初期値、すなわち管路10内の初期誘電率分布を設定する(S101)。
次に、初期誘電率分布から順解析を行って静電容量を算出する(S102)。ここで、「順解析」とは、誘電率分布から支配方程式(ポアソン方程式)を用いて電位(静電ポテンシャル)を求めることをいい、電位(静電ポテンシャル)から誘電率分布を求める「計測」に対する概念である。
次に、順解析により得られた静電容量を用いて目的関数を計算する(S103)。目的関数は、具体的には、順解析により得られた静電容量と、計測して得られた静電容量との最小二乗誤差である。但し、本実施の形態では、目的関数を定義する際に、正規化、明確化及び平滑化を行うことで画像の精度を向上させる。
次に、目的関数の感度解析を行う(S104)。感度解析とは、反復計算の終了判定、及び設定された誘電率の更新量を決定するために目的関数の感度を求めることをいう。設定された誘電率は、S101で設定された初期誘電率及び反復計算により順次更新されたその都度の誘電率をいう。
次に、目的関数が収束したか否かを判定する(S105)。この判定は、具体的にはS104で算出された目的関数の感度が最小値、つまり0ないしその近傍であるか否かにより行われる。目的関数の感度が0ないしその近傍である場合には収束したと判定し(S105でYES)、反復計算を終了してそのときの誘電率分布を最終的な結果とする。他方、目的関数の感度が0ないしその近傍でない場合には、未だ収束していないと判定し(S105でNO)、目的関数の感度に基づく設計変更、すなわち新たな誘電率分布を再設定(S106)して再びS102以降の処理を繰り返す。繰り返しループの中に感度解析の処理が含まれていることから、誘電率分布が更新される毎に、これに応じて感度も再計算されて順次変化していく点に留意されたい。
以下、各処理についてより詳細に説明する。
<初期値設定>
まず、適当な初期値として、初期誘電率分布εを設定する。そして、この初期誘電率分布εは、電位φ(静電ポテンシャル)を求めるために用いられる。
<順解析>
静電容量Ciは、電位φ、誘電率ε、センサ12に印加する電位差Vcを用いて、センシング電極20の境界Γiでの境界積分として算出される。すなわち、
である。
<初期値設定>
まず、適当な初期値として、初期誘電率分布εを設定する。そして、この初期誘電率分布εは、電位φ(静電ポテンシャル)を求めるために用いられる。
<順解析>
静電容量Ciは、電位φ、誘電率ε、センサ12に印加する電位差Vcを用いて、センシング電極20の境界Γiでの境界積分として算出される。すなわち、
電位φiは、連続変数で表した媒体の誘電率εを用いて、コンピュータにより静電場の数値シミュレーションで求めることができる。静電場の支配方程式は、
である。(数2)式をn回の計測条件と同じ境界条件の下で数値シミュレーションし、その結果得られる電位φiから(数1)式を用いて静電容量Ciを求める。数値シミュレーションに必要なプログラムは、予めコンピュータのメモリに記憶される。
なお、数値シミュレーションでは、公知の有限要素法(FEM)等で離散化して計算する。離散化した支配方程式は、誘電率分布から決まるマトリクスE、電位の分布を表すベクトルΦ、及び境界条件を離散化して生じるベクトルQを用いて、行列式として、
と表現される。
<目的関数計算>
次に、複数のセンシング電極20を有するセンサ12で、その組合せの数だけn回計測した場合、計測した静電容量Ci 0と、数値シミュレーションで計算した静電容量Ciの最小二乗誤差f1を目的関数として定義する。
(数1)式を考慮して、境界の誘電率で構成されたベクトルKを用いて離散化すると、
となる。ここで、Φは上記のように電位の分布を表すベクトルである。
<正規化>
静電容量Ci 0、Ciは、数値シミュレーションで基準となる所定の誘電率ε1、ε2を与えて計算した静電容量Ci 1、Ci 2を用いて、
のように正規化する。ここで、*は正規化された量であることを示す。
<目的関数計算>
次に、複数のセンシング電極20を有するセンサ12で、その組合せの数だけn回計測した場合、計測した静電容量Ci 0と、数値シミュレーションで計算した静電容量Ciの最小二乗誤差f1を目的関数として定義する。
<正規化>
静電容量Ci 0、Ciは、数値シミュレーションで基準となる所定の誘電率ε1、ε2を与えて計算した静電容量Ci 1、Ci 2を用いて、
計測又は計算で求めた静電容量Ciは、静電容量の計測に利用する電極の位置に応じてその大きさが異なるため、管路内の誘電率分布の変化が静電容量に明確に表せない。そこで、静電容量Ciから所定の誘電率分布ε1を与えたときの静電容量Ci 1を差し引き、さらに、その値を静電容量Ci 1ともう一つの所定の誘電率分布ε2から計算した静電容量Ci 2の差で除することで、すべての静電容量の大きさを同程度にでき、管路内の誘電率分布の変化を静電容量で明確に表わすことができる。
(数6)式のように静電容量Ci 0、Ciを正規化した場合、(数4)式は、
となる。
(数1)式を考慮して、境界の誘電率と正規化の効果を含んだベクトルK*を用いて離散化すると、
となる。
<感度解析>
次に、反復計算の収束判定、及び誘電率の更新量を決定するために、f1 *の感度を算出する。f1 *の感度は、随伴変数法を用いて算出される。f1 *に含まれる静電容量が誘電率分布εと電位分布φに依存することから、
となる。この式において、∂Φ/∂εは、計算により直接求めることは困難である。そこで、(数3)式に示した支配方程式にベクトルΛを乗じた項を、(数6)式に加える。
この式において、EQ+Φは本来その値は0であるので、Fとf1 *は同値であり、(数10)で定義したFの感度は、f1 *の感度と同値になる。
<感度解析>
次に、反復計算の収束判定、及び誘電率の更新量を決定するために、f1 *の感度を算出する。f1 *の感度は、随伴変数法を用いて算出される。f1 *に含まれる静電容量が誘電率分布εと電位分布φに依存することから、
Fの感度は、
となる。ベクトルΛの任意性から、右辺第2項が0となるようにベクトルΛを決定すると、
である。このときのベクトルΛを用いると感度を計算できる。
(数12)式と(数13)式に(数8)式を用いれば、
となる。上式で用いる値は、既知量あるいは数値シミュレーションの結果として求められる値である。したがって、1回のマトリクス演算で感度を求めることができ、感度計算の時間が短縮化できる。離散化した要素1つ1つの値を変更し、その都度数値シミュレーションを実施して感度を計算する場合と比べると、計算時間を大幅に短縮できる。
<収束判定>
(数11)式で求めた感度の値が0ないしその近傍となったときに、そのときの誘電率分布がf1 *を最小とする分布であるとし、収束したものとみなして反復計算を終了する。
目的関数f1 *の感度が0ないしその近傍であれば目的関数f1 *の極値となる誘電率分布εoptを求めたことになる。εoptは、目的関数f1 *が凸関数であれば全ての誘電率分布の中で目的関数f1 *を最小とする値であり、非凸関数であれば誘電率分布εopt近傍において最小となる値である。従って、本実施形態では、目的関数f1 *の感度と数学的に等価なFの感度が0ないしその近傍となることを反復計算の終了条件とすることで、反復計算で得られた誘電率分布εがその近傍において目的関数f1 *を最小とする値であることを保証する。
<感度に基づく設計変更>
他方、反復計算の終了条件を満足しないとき、反復計算のk回目の誘電率εkは、
のように更新する。ここで、αは更新量を決めるパラメータである。αを十分小さくとれば確実に目的関数f1 *を小さくするように誘電率を更新できる。反復計算を効率的に行うためには、数理計画法に従ってαを決定する。また、感度解析を反復計算中に毎回行うことで、正確な感度に基づいて目的関数値を減少させるように誘電率分布が更新できる。
<明確化>
誘電率εを連続変数で扱う場合、計測対象の媒体の誘電率とは異なる中間的な誘電率が許容されることになる。これをできる限り回避するために、管路10内の媒体が2種類の媒体1、媒体2(例えば気体と液体)からなるときに、これらの媒体の誘電率ε1、ε2と計算で求められる誘電率εの差を評価する関数f2
を(数7)式に加えて、
で定義される関数fが最小となる誘電率εを求める。但し、ε1<ε2とする。
<収束判定>
(数11)式で求めた感度の値が0ないしその近傍となったときに、そのときの誘電率分布がf1 *を最小とする分布であるとし、収束したものとみなして反復計算を終了する。
目的関数f1 *の感度が0ないしその近傍であれば目的関数f1 *の極値となる誘電率分布εoptを求めたことになる。εoptは、目的関数f1 *が凸関数であれば全ての誘電率分布の中で目的関数f1 *を最小とする値であり、非凸関数であれば誘電率分布εopt近傍において最小となる値である。従って、本実施形態では、目的関数f1 *の感度と数学的に等価なFの感度が0ないしその近傍となることを反復計算の終了条件とすることで、反復計算で得られた誘電率分布εがその近傍において目的関数f1 *を最小とする値であることを保証する。
<感度に基づく設計変更>
他方、反復計算の終了条件を満足しないとき、反復計算のk回目の誘電率εkは、
<明確化>
誘電率εを連続変数で扱う場合、計測対象の媒体の誘電率とは異なる中間的な誘電率が許容されることになる。これをできる限り回避するために、管路10内の媒体が2種類の媒体1、媒体2(例えば気体と液体)からなるときに、これらの媒体の誘電率ε1、ε2と計算で求められる誘電率εの差を評価する関数f2
目的関数f1 *に加えて、連続変数で表された誘電率分布εと管路10内部に分布する2つの媒体1,2の誘電率の差を小さくするような関数f2を付加することで、誘電率分布を2つの媒体1,2の誘電率のいずれかに近づけた値を求めるようになり、誘電率分布を明確化することができる。関数f2が誘電率分布を明確化する関数である。
<平滑化>
一般的に、計測するn個の静電容量が、誘電率分布を表すベクトルΦの要素の数よりも少ないため、誘電率分布が一意に定まらない。そこで、誘電率の空間勾配の二乗の領域積分量f3 *
を(数7)式に加えて、
で定義される関数fが最小となる誘電率分布εを求める。
<平滑化>
一般的に、計測するn個の静電容量が、誘電率分布を表すベクトルΦの要素の数よりも少ないため、誘電率分布が一意に定まらない。そこで、誘電率の空間勾配の二乗の領域積分量f3 *
n回計測された静電容量から、数値シミュレーションで計算する領域に設定したm個の誘電率を決定する場合、n=mであれば誘電率は一意に定まるが、通常n<mであるため解が不定となり、上記のように誘電率が一意に定まらない。従って、不足する情報を補う必要がある(正則化)。目的関数f1 *を正則化するために、特異な誘電率分布が得られないような関数f3を目的関数f1 *に付加することで、近似的な解として誘電率分布を求めることができるようになり平滑化できる。関数f3 *が誘電率分布を平滑化する関数である。
関数f2及び関数f3 *は、独立に評価される関数である。そこで、(数18)式に(数19)式を加えて、
で定義される関数fが最小となる誘電率εを求めるようにすることで、明確化と平滑化をともに実現できる。明確化する関数f2を付加すると特異な誘電率分布を誘発する可能性があり、他方で、平滑化する関数f3 *を付加すると特異な誘電率分布を抑えているため媒体の界面が明確にならない可能性がある。これらを同時に目的関数f1に付加することで、特異な誘電率分布を抑えつつ、明確化した誘電率分布を再構成できる。
(数18)式、(数20)式、及び(数21)式のパラメータβ、κは問題に応じて適宜設定する。例えば、初期誘電率分布をε0としたときのf1 *に対して、f2、f3 *がf1 *の10%程度の大きさになるようにβ、κを決定する。
このようにして、誘電率分布Eを再構成することができる。再構成画像出力手段18は、誘電率分布再構成手段16で再構成された誘電率分布Eを画像として表示する。
なお、目的関数に対して明確化の関数f2及び平滑化の関数f3 *を付加しているが、必要に応じて、明確化の関数f2のみを目的関数に付加する、あるいは平滑化の関数f3 *のみを目的関数に付加することも可能である。明確化の関数f2のみを付加して再構成した画像と、平滑化の関数f3 *のみを付加して再構成した画像と、関数f2及び関数f3 *をともに付加して明確化及び平滑化して再構成した画像をいずれもディスプレイ上に表示し、相互に比較可能に並列表示することも可能である。再構成画像を表示する際に、ユーザが適宜、明確化、平滑化を画面上で選択できるようにし、ユーザにより選択された演算のみを実行してその結果を表示してもよい。
比較のため、図4に従来の誘電率分布Eの再構成の解析のフローチャートを示す。従来の解析手法においては、まず感度行列、つまりセンシティビティマップを作成する(S201)。そして、管路10内の初期誘電率分布を設定し(S202)、順解析を行って静電容量を算出する(S203)。順解析により得られた静電容量と、計測して得られた静電容量との差(最小二乗誤差)を用いて収束判定し(S204)、収束していなければS201で作成した感度行列に基づいて誘電率を再設定し(S205)、S203以降の処理を繰り返す。
従来の解析手法では、感度行列は最初に作成され、誘電率分布によらずに反復計算において常に一定である。しかし、本来管路内部の誘電率εを反復計算により求める際には誘電率分布が常に異なり、誘電率εが変化したときのf1への影響度を示すf1の感度は、管路内部の誘電率分布に応じて変化する。したがって、従来の解析手法では必ずしも適切な感度に基づいて誘電率分布を推定していない。その結果、最終的に得られる誘電率分布の画像は本実施の形態で説明した手法に比べて不鮮明になりやすい。ただし、本実施の形態では、r個のセンシング電極20のうち、p個(ただし、1≦p≦r−1)を印加電極として選択して測定用電圧を印加し、測定用電圧を印加しなかったセンシング電極20のうちq個(ただし、1≦q≦r−p,3≦p+q)を選択して接地することによって、静電容量の計測ためのセンシング電極20の組み合わせの数を増やしており、これによって従来手法を用いた場合においても誘電率分布の画像をより鮮明にすることができる。
図5は、従来の解析手法でセンシング電極20の数r=8個のときに印加電極の数p=1、接地電極の数q=7として、組み合わせ56通りの計測を行って得られたn=58個の静電容量Ci 0を用いて誘電率分布を再構成した結果を示す。計測対象として(a)、(b)2つのパターンをそれぞれ示す。なお、図5では、比較のために、センシング電極20の数r=8個のときに印加電極の数p=1、接地電極の数q=1として、組み合わせ28通りの計測を行って得られたn=28個の静電容量Ci 0を用いて誘電率分布を再構成した結果も示している。
図6は、図5(a)及び(b)に示した測定対象より複雑な媒体の分布について計測及び誘電率分布の再構成の解析を行った例を示す。図6に示されるように、従来の解析手法と本実施の形態における解析手法のいずれにおいても組み合わせ28通りの計測よりも56通りの計測を行った方がより正確かつ鮮明な誘電率分布を再構成することができた。また、同じ組み合わせ数を比較すると、従来の解析手法より本実施の形態における解析手法を適用した方が正確かつ鮮明な誘電率分布を再構成することができた。
以上のように、本実施の形態によれば、従来の混相状態分布計測装置よりもセンシング電極の組み合わせ数を増加させることができ、これに伴って計測できる静電容量の数を増加させることができる。したがって、測定対象の誘電率分布をより正確かつ鮮明に再構成することができる。
また、本実施の形態によれば、感度を一定とするのではなく、感度が誘電率分布に応じて変化し得ることに鑑みて、反復計算毎に得られる誘電率分布に応じてその都度感度を再計算しているため、再構成画像の精度が向上する。また、目的関数の正規化、明確化及び平滑化を行うことで再構成画像の精度をさらに向上させ、鮮明な画像を得ることができる。
なお、本実施の形態において、静電容量に代えて電気抵抗を用いてもよい。また、印加電極の数p及び接地電極の数qの組み合わせは一通りに限定されるものでなく、複数通りの組み合わせについて静電容量の計測を行い、その結果に基づいて誘電率分布の解析を行ってもよい。例えば、p=1及びq=7としてn=56通りの静電容量を測定すると共に、p=2及びq=1としてn=168通りの静電容量を測定し、すべての測定結果を利用して誘電率分布の解析を行ってもよい。
1,2 媒体、10 管路、10a 計測空間、12 センサ、14 静電容量計測手段、16 誘電率分布再構成手段、16a 演算装置、16b 静電容量正規化手段、16c 誘電率明確化手段、16d 誘電率空間勾配最小化手段、18 再構成画像出力手段、20 センシング電極、22 リード線、100 混相状態分布計測装置。
Claims (5)
- 管路の周辺に配置されたn個(ただし、nは3以上)のセンシング電極を有するセンサと、
前記センサを用いて静電容量又は電気抵抗を計測する計測手段と、
を備え、
前記センシング電極のうち、p個(ただし、1≦p≦n−1)の電極に測定用電圧を印加し、q個(ただし、1≦q≦n−p,3≦p+q)の電極を接地した状態で前記計測手段により静電容量又は電気抵抗を計測することを特徴とする混相状態分布計測装置。 - 請求項1に記載の混相状態分布計測装置であって、
p又はqは、少なくとも2以上に変化させることを特徴とする混相状態分布計測装置。 - 請求項1又は2に記載の混相状態分布計測装置であって、
前記管路内の媒体の分布を示す画像を生成する画像再構成手段と、
前記画像を表示する画像表示手段と、
を備えることを特徴とする混相状態分布計測装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の混相状態分布計測装置であって、
前記計測手段で得られた静電容量又は電気抵抗と一致する前記管路内部の媒体の誘電率分布を反復計算により算出する際に、誘電率分布の変化が静電容量又は電気抵抗に与える影響(感度)を誘電率分布の更新毎に算出し、算出して得られた感度を用いて反復計算を実行することを特徴とする混相状態分布計測装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の混相状態分布計測装置であって、
n=8,p=1,q=7の状態を含むことを特徴とする混相状態分布計測装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013081787A JP2014202722A (ja) | 2013-04-10 | 2013-04-10 | 混相状態分布計測装置 |
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JP2003130835A (ja) * | 2001-10-25 | 2003-05-08 | Univ Nihon | 混相状態分布計測装置と混相状態分布計測方法 |
JP2011257396A (ja) * | 2010-06-10 | 2011-12-22 | General Electric Co <Ge> | 束縛条件付き最大化に基づく画像再構成 |
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- 2013-04-10 JP JP2013081787A patent/JP2014202722A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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JPH09510014A (ja) * | 1994-03-11 | 1997-10-07 | ブリティッシュ・テクノロジー・グループ・リミテッド | 電気インピーダンス・トモグラフィ |
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