JP2014201481A - 耐衝撃構造 - Google Patents

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森田 武
Takeshi Morita
武 森田
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Abstract

【課題】確実に裏面剥離、貫通を抑止可能な繊維補強コンクリートを使用してなる耐衝撃構造を提供する。【解決手段】コンクリートに繊維を混入した繊維補強コンクリートを用いて形成される耐衝撃構造であって、繊維補強コンクリートを、コンクリートの圧縮強度が25N/mm2以上、且つ曲げじん性係数が1.8N/mm2以上として形成する。【選択図】なし

Description

本発明は、繊維補強コンクリートを使用してなる耐衝撃構造に関する。
例えば、航空機、自動車、列車、あるいは爆発事故や竜巻などによる飛来物がコンクリート構造物(コンクリート構造部材)に衝突することにより、コンクリート構造物には、曲げ破壊あるいはせん断破壊といった全体的な破壊や、表面破壊(衝突面の破壊)、裏面剥離(衝突面と反対面のコンクリートの剥離)、貫通などの局部的な破壊が生じる。また、局部破壊のうち、裏面剥離や貫通が生じると、裏面側にコンクリート片等の飛散物が飛散し、構造物内部に存在する人や設備、物品等にも被害が及ぶことになる。このため、裏面剥離や貫通を抑止し、構造物内部に存在する人や設備、物品等への被害を防止できるようにすることが求められる。
これに対し、裏面剥離や貫通を抑止する方法としては、部材厚さを厚くする方法、裏面を鋼板やシート状の材料で補強する方法、繊維補強コンクリートを使用してコンクリート構造物を形成する方法などが提案、実用化されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開2010−024676号公報 特開2006−089295号公報
一方、上記の裏面剥離や貫通を抑止する方法のうち、特に繊維補強コンクリートを使用して裏面剥離、貫通を抑止する対策においては、未だ、系統的な設計が可能なほど、データや知見が蓄積されていないのが現状である。
本発明は、上記事情に鑑み、確実に裏面剥離、貫通を抑止可能な繊維補強コンクリートを使用してなる耐衝撃構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の耐衝撃構造は、コンクリートに繊維を混入した繊維補強コンクリートを用いて形成される耐衝撃構造であって、前記繊維補強コンクリートは、コンクリートの圧縮強度が25N/mm以上、且つ曲げじん性係数が1.8N/mm以上であることを特徴とする。
また、本発明の耐衝撃構造において、前記繊維補強コンクリートは、繊維径が0.01〜1.5mm、繊維長さが5〜30mm、引張強度が290N/mm以上の前記繊維を、混入率が3.0体積%以下となるようにコンクリートに混入してなることが望ましい。
さらに、本発明の耐衝撃構造において、前記繊維は、その表面に高さが0.05mm以上、繊維長さ方向の幅が1mm以上の凹凸加工を施して形成されていることがより望ましい。
また、本発明の耐衝撃構造においては、第1繊維と第2繊維の2種類の繊維を単独で、あるいは双方ともにコンクリートに混入してなり、前記第1繊維は、繊維径が0.01〜0.1mm、繊維長さが10〜20mm、引張強度が290N/mm以上で、混入率が0.5〜1.2体積%となるようにコンクリートに混入され、前記第2繊維は、繊維径が0.5〜1.5mm、繊維長さが20〜30mm、引張強度が290N/mm以上で、混入率が0.5〜3.0体積%となるようにコンクリートに混入されることがさらに望ましい。
さらに、本発明の耐衝撃構造においては、前記繊維が鋼、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコールのいずれかで形成され、前記繊維補強コンクリートは、単独あるいは複数種の前記繊維をコンクリートに混入してなることが望ましい。
また、本発明の耐衝撃構造においては、前記繊維補強コンクリートを板状に成形して構成されるとともに、板状の前記繊維補強コンクリートの内部に、表面に対して平行に、且つ格子状に鉄筋を埋設して構成されていることが望ましい。
さらに、本発明の耐衝撃構造においては、前記板状の繊維補強コンクリートの内部の表面側と裏面側にそれぞれ、格子状に鉄筋を埋設して構成されていることがより望ましい。
また、本発明の耐衝撃構造においては、格子状に配筋された鉄筋の縦筋と横筋のそれぞれに関し、鉄筋比が下記の式を満たすように構成されていることがさらに望ましい。
p=a×(t×s)≧0.008
ここに、pは鉄筋比(但し、p≦0.05)、tは板厚、sは鉄筋の間隔、aはt×sの範囲にある鉄筋の断面積を示す。
さらに、本発明の耐衝撃構造においては、前記板状の繊維補強コンクリートの内部に埋設される鉄筋のかぶり厚さを、外側に配される鉄筋の直径の2倍または40mmのうちの小さい方の値以上、且つ板厚の20%以下とすることがより望ましい。
本発明の耐衝撃構造においては、コンクリートの圧縮強度が25N/mm以上、且つ曲げじん性係数が1.8N/mm以上である繊維補強コンクリートを用いることによって、裏面剥離の抑止効果(裏面剥離や貫通の局部破壊を抑止する効果)を得ることができる。これにより、飛来物の衝突などによって裏面側にコンクリート片等が飛散し、構造物内部に存在する人や設備、物品等に被害が及ぶことを防止することが可能になる。
また、繊維補強していないコンクリートを使用した場合と比較して、短繊維補強コンクリートを使用することにより、コンクリート構造体の部材寸法を小さくでき、資源の有効活用を図ることも可能になる。
本発明の一実施形態にかかる耐衝撃構造の繊維補強コンクリートの優位性を確認するために行った実証実験で用いた試験体を示す図である。 実証実験の高速衝突実験で使用した高圧空気式飛翔体発射装置を示す図である。 衝突速度315m/secとした場合のプレーンコンクリート板の高速衝突実験結果を示す図である。 衝突速度315m/secとした場合のPP10のコンクリート板の高速衝突実験結果を示す図である。 衝突速度315m/secとした場合のP5T5のコンクリート板の高速衝突実験結果を示す図である。 衝突速度415m/secとした場合のプレーンコンクリート板の高速衝突実験結果を示す図である。 衝突速度415m/secとした場合のPP10のコンクリート板の高速衝突実験結果を示す図である。 衝突速度415m/secとした場合のP5T5のコンクリート板の高速衝突実験結果を示す図である。 実証実験の各試験体の表面破壊直径と貫入深さの関係を示す図である。 実証実験の各試験体の裏面剥離直径と裏面剥離深さの関係を示す図である。
以下、図1から図10を参照し、本発明の一実施形態に係る耐衝撃構造について説明する。
まず、本実施形態の耐衝撃構造は、コンクリートに繊維を混入した繊維補強コンクリートを使用してなる耐衝撃構造であって、例えば自動車などが衝突した際に、内部に存在する人や設備、物品等に被害が生じないように、裏面剥離や貫通の発生を抑止できるように設計された耐衝撃構造である。
より具体的に、本実施形態の耐衝撃構造は、短繊維補強コンクリートを用いて形成され、その圧縮じん性係数が25N/mm以上かつ曲げじん性係数が1.8N/mm以上とされている。
また、本実施形態の繊維補強コンクリートは、繊維径が0.01〜1.5mm、繊維長さが5〜30mm、繊維の引張強度が290N/mm以上の短繊維を用い、この短繊維を3体積%以下の混入率でコンクリートに混入して構成されている。
一方、本実施形態の繊維補強コンクリートにおいては、第1繊維(短繊維)と第2繊維(短繊維)のいずれかを単独でコンクリートに混入、または双方を組み合わせてコンクリートに混入してもよい。
そして、この場合、第1繊維は、その繊維径を0.01〜0.1mm、好適には0.05mm±0.01mm、繊維長さを10〜20mm、好適には10mm、繊維の引張強度が290N/mm以上、繊維混入率を0.5体積%以上で1.2体積%以下とする。
また、第2繊維は、その繊維径を0.5〜1.5mm、好適には0.7mm±0.1mm、繊維長さを20〜30mm、好適には30mm、繊維の引張強度が290N/mm以上、繊維混入率を0.5体積%以上で3.0体積%以下とする。
短繊維としては、例えば、銅、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコールを用いると、上記の条件、繊維を混入することによる後述の作用効果を確実に得ることができる。
また、上記の繊維(短繊維)は、その表面に、高さが0.05mm以上で、繊維方向(繊維の長さ方向)の幅が1mm以上となるように凹凸加工を施して形成されていることが好ましい。
さらに、本実施形態の耐衝撃構造は、繊維補強コンクリートの内部に鉄筋を埋設して構成するようにしてもよい。このとき、耐衝撃構造の板状のコンクリート構造の内部(板状の繊維補強コンクリート(コンクリート板)の内部)に、表面に対して平行且つ格子状に鉄筋を配筋することが好ましい。さらに、コンクリート構造(耐衝撃構造)が板状である場合には、板の表面側(衝突面側)と裏面側にそれぞれ鉄筋を格子状に配筋するようにしてもよい。
また、耐衝撃構造のコンクリート構造の内部に格子状に鉄筋を配筋する場合において、縦筋及び横筋は、鉄筋比が次の式1の条件を満たすように配筋することが好ましい。なお、式1において、pは鉄筋比(但し、p≦0.05)、tは板厚、sは鉄筋の間隔、aはt×sの範囲内にある鉄筋の断面積を示す。
Figure 2014201481
さらに、耐衝撃構造のコンクリート構造の内部に鉄筋を配筋する場合には、鉄筋のかぶり厚さを、外側(表面に近い側)に配筋される鉄筋の直径の2倍または40mmのうちの小さい方の値以上、且つ板厚(壁厚)の20%以下とすることが好ましい。
ここで、本発明にかかる繊維補強コンクリート(耐衝撃構造)の優位性を確認するために行なった実証実験について説明する。また、この実証実験では、高圧空気式飛翔体発射装置を用いて飛翔体(剛飛翔体)を衝突させ、コンクリートを短繊維と鉄筋で補強した試験体(コンクリート板)と、第1繊維及び第2繊維の2種類の短繊維で補強した試験体の破壊状況を確認した。
また、この実証実験では、飛翔体の衝突速度、短繊維補強と鉄筋補強の有無をパラメータとし、短繊維補強には、ポリプロピレン短繊維とポチエチレンテレフタレート短繊維の2種類を用いた。
より具体的に、試験体のコンクリートの使用材料を表1に、ベースコンクリート(繊維を混入していないコンクリート、以下「PLAIN」という)の調合を表2に示す。
Figure 2014201481
Figure 2014201481
短繊維補強には、繊維長が10mm、繊維径が0.05mmのポリプロプレン短繊維(以下、PP短繊維という)、及び繊維長が30mm、繊維径が0.70mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(以下、PET短繊維という)を用いた。また、短繊維の混入率は、PLAINに対して外割りで1.0体積%とした。さらに、短繊維補強は、PP短繊維を単独で使用した場合(以下、PP10という)と、PP短繊維(第1繊維)とPET短繊維(第2繊維)を0.5体積%ずつ混合して使用した場合(以下、P5T5という)の2種類とした。
また、コンクリートの空気量は、空気量調整剤を適宜添加して、約5%となるように調整した。高速衝突実験時(材齢35日もしくは36日)の圧縮強度は、PLAINが39N/mm、PP10が25N/mm、P5T5が33N/mmであった。また、短繊維補強コンクリートの曲げ特性を把握するため、曲げタフネス試験を実施した結果、曲げじん性係数は、PLAINが0.43N/mm、PP10が1.93N/mm、P5T5が2.54N/mmであった。
このように、PP10とP5T5は短繊維の混入によってPLAINよりも圧縮強度が低く、曲げじん性は高くなった。
次に、本実証実験で使用した試験体の種類と実験条件を表3に示す。なお、この表3に示した試験体記号はコンクリートの種類、鉄筋の有無(N(鉄筋無)、R(鉄筋有))及び衝突速度(3(315m/sec)、4(415m/sec))を表している。表3に示す通り、本実証実験では計9体の試験体を用いた。但し、表3中のPLAIN−N−3、PLAIN−R−3、PP10−N−3の試験体(※)は、本実証実験とは別に行った実験(以下、別実験1という;「森田武,別府万寿博,鈴木誠:高速衝突を受けるポリプロピレン短繊維補強コンクリートの耐衝撃性能、日本建築学会構造系論文集,第684号,pp.319−327,2013年2月」)で用いたものであり、これらの試験体を用いた試験結果は比較・考察のために別に行った試験結果を引用している。
Figure 2014201481
また、各試験体は、縦50cm×横50cm×厚さ8cmの板状に形成し、衝突面(表面)を正方形としている。また、図1に示すように、無筋コンクリート板1と、鉄筋2を備える鉄筋コンクリート板3をPLAIN、PP10、P5T5の各々について製作して試験体とした。このとき、鉄筋コンクリート板3の試験体は、D6(SD295A、降伏点342N/mm)の鉄筋(縦筋2a、横筋2b)2を100mmピッチで格子状に配筋して製作した。
次に、本実証実験の高速衝突実験では、図2に示す高圧空気式飛翔体発射装置4を使用した。この装置4は、圧縮器(エアコンプレッサー)5と増圧器6とエアチャンバー7と、長さ12m、内径35mmの発射管8を備えて構成され、圧縮空気で飛翔体を発射、加速する。
そして、本実験では、直径25mm、質量50gで、先端形状が半球形の鋼製(SS400)の剛飛翔体を高圧空気式飛翔体発射装置4から発射し、上下端を5cm幅で固定支持した試験体(コンクリート板)に衝突させた。衝突速度は、既往の実験(以下、別実験2という;「別府万寿博,三輪幸治,大野友則,塩見昌紀:鋼製剛飛翔体の高速衝突を受けるコンクリート板の局部破壊に関する実験的研究,土木学会論文集,Vol.63,No.1,pp.178−191,2007年3月」)を参考にして、普通強度コンクリート板を試験体とした場合に、裏面剥離が生じる速度である315m/secと、剛飛翔体が貫通する速度である415m/secの2水準の速度を設定速度とした。ここで、実際の実験時の衝突速度は、図2の発射口に設置したレーザー式速度検出センサで測定しており、設定速度を315m/secにした場合には305〜315m/sec、設定速度を415m/secにした場合には406〜409m/secであった。
図3から図8は、高速衝突実験後の各試験体1、3の表面1a、3a、裏面1b、3b、厚さ方向に切断した切断面の状況を衝突速度毎に示している。また、各図中の貫入深さ及び裏面剥離深さは、各々の深さの最大値である。さらに、表面破壊直径と裏面剥離直径は、破壊面の最大長さ、最小長さ及び中間程度の長さの測定値を平均して求めた値である。
まず、図3から図5に示すように、衝突速度が315m/secの場合には、PLAINのみが裏面剥離した。そして、表面破壊直径は、PLAIN>PP10>P5T5の順に小さくなり、PP短繊維とPET短繊維を併用したP5T5の有効性が確認された。すなわち、PP短繊維とPET短繊維を併用することによって優れた耐衝撃性が得られることが確認された。
また、PLAIN−R(鉄筋有)の裏面剥離は、鉄筋2によって剥離片の脱落が辛うじて防止されたが、裏面剥離深さと直径はPLAIN−N(鉄筋無)よりも若干小さくなる程度であった。PP10−N、PP10−R、P5T5−N、P5T5−Rでは、板内部から裏面近くまで斜め方向にひび割れが生じており、PP10とP5T5における鉄筋補強の効果は明確に認められなかった。
次に、図6から図8に示すように、衝突速度が415m/secの場合には、P5T5−R以外の試験体はすべて裏面剥離が確認された。また、表面破壊直径は、PLAIN>PP10>P5T5の順に小さく、且つ、鉄筋補強によってより小さくなった。この結果から、PP短繊維とPET短繊維を併用したP5T5の有効性、すなわち、PP短繊維とPET短繊維を併用することによって優れた耐衝撃性が得られることが確認された。さらに、鉄筋補強は、PLAIN、PP10、P5T5における裏面剥離深さを低減させる効果を発揮することが確認された。
次に、局部破壊の評価を行った結果について説明する。まず、図9は、表面破壊直径と貫入深さの関係を示した図である。なお、この図9と後述の図10には、PLAIN−N,RとPP10−Nを用い、衝突速度215m/secで行った実験結果(別実験1の結果)、及びPET短繊維を1.0体積%混入した試験体(以下、PET10−Nという)を用い、衝突速度215m/secと315m/secで行った実験結果を併せて示している。
ここで、普通強度コンクリート(圧縮強度25.8N/mm)を用いて本実験と同様に実験を行った研究(別実験2)によると、表面破壊直径(Cd)と貫入深さ(ts)にはCd=5.11tsの関係がある。そして、圧縮強度が(別実験2)と若干異なるが、PLAINとPET10は概ねCd=5.11tsで近似されている。
これに対し、PP10とP5T5の結果を線形回帰するとCD=3.54tsとなり、PLAINとPET10に比べて表面破壊直径が約3割低減することが確認された。また、P5T5とPET10の比較から、PP短繊維のように細径繊維が表面破壊直径の低減に有効であることが確認された。
次に、図10は、表面剥離直径と裏面剥離深さの関係を示した図である。無筋の普通強度コンクリート板(板厚60〜90mm)の裏面剥離直径は225mm程度になる。これに対し、本実験では、PLAINが225mm以上、PP10とP5T5が225mm以下となり、短繊維補強による裏面剥離直径の低減効果が認められた。
また、鉄筋補強によって裏面剥離深さが低減されている。本実験の鉄筋コンクリート板には衝突面側と裏面側に鉄筋が格子状に配されており、鉄筋格子の交点が剛飛翔体の衝突軸上にあった。このため、鉄筋コンクリート板の裏面剥離深さが無筋コンクリート板よりも低減する効果は、鉄筋格子によって裏面側に生じる局部的な変形が抑制された可能性や鉄筋格子の交点が不連続点となって応力波が干渉された可能性などによるものと考えられ、また、これらの複合的な作用によるものと考えられる。
よって、上記の通り、短繊維補強と鉄筋補強による局部破壊の抑止効果を把握するために、コンクリート板に対する高速衝突実験を実施した結果、裏面剥離の抑止に対する短繊維補強の有効性が実証された。また、鉄筋補強は主に裏面剥離深さの低減に有効であった。そして、細径繊維(PP)と太径繊維(PET)を併用して短繊維補強し、且つ鉄筋補強すると、裏面剥離の抑止効果がさらに高くなることが確認された。
したがって、本実施形態の耐衝撃構造においては、コンクリートの圧縮強度が25N/mm以上、且つ曲げじん性係数が1.8N/mm以上である繊維補強コンクリートを用いることによって、裏面剥離の抑止効果(裏面剥離や貫通の局部破壊を抑止する効果)を得ることが可能になる。
よって、本実施形態の耐衝撃構造によれば、飛来物の衝突などによって裏面側にコンクリート片等が飛散し、構造物内部に存在する人や設備、物品等に被害が及ぶことを防止することが可能になる。また、繊維補強していないコンクリートを使用した場合と比較して、短繊維補強コンクリートを使用することにより、コンクリート構造体の部材寸法を小さくでき、資源の有効活用を図ることも可能になる。
また、繊維径が0.01〜1.5mm、繊維長さが5〜30mm、引張強度が290N/mm以上の繊維を、混入率が3.0体積%以下となるようにコンクリートに混入して繊維補強コンクリート(耐衝撃構造)を形成することで、また、その表面に高さが0.05mm以上、繊維長さ方向の幅が1mm以上の凹凸加工を施した繊維を用いることで、より確実に裏面剥離の抑止効果を得ることが可能になる。
さらに、細径の第1繊維と太径の第2繊維の2種類の繊維をコンクリートに混入して繊維補強コンクリート(耐衝撃構造)を形成すると、また、繊維径が0.01〜0.1mm、繊維長さが10〜20mm、引張強度が290N/mm以上で、混入率が0.5〜1.2体積%となるように第1繊維をコンクリートに混入し、繊維径が0.5〜1.5mm、繊維長さが20〜30mm、引張強度が290N/mm以上で、混入率が0.5〜3.0体積%となるように第2繊維をコンクリートに混入すると、優れた耐衝撃性を得ることが可能になる。
また、第1繊維の細径繊維を用いることで、衝突面の破壊(表面破壊直径)を低減することが可能になる。
また、繊維補強コンクリートを板状に成形し、内部に格子状に鉄筋を埋設して構成すると、裏面剥離深さを低減することが可能になる。すなわち、裏面剥離の抑止効果をさらに高めることが可能になる。また、板状の繊維補強コンクリートの内部の表面側と裏面側にそれぞれ、格子状に鉄筋を埋設して構成すると、さらに、板状の繊維補強コンクリートの内部に埋設される鉄筋のかぶり厚さを、外側に配される鉄筋の直径の2倍または40mmのうちの小さい方の値以上、且つ板厚の20%以下とすると、より確実に裏面剥離の抑止効果を高めることができる。
また、格子状に配筋された鉄筋の縦筋と横筋のそれぞれに関し、鉄筋比がp=a×(t×s)≧0.008(pは鉄筋比(但し、p≦0.05)、tは板厚、sは鉄筋の間隔、aはt×sの範囲にある鉄筋の断面積を示す)を満たすように構成すると、さらに確実に裏面剥離の抑止効果を高めることができる。されていることがさらに望ましい。
以上、本発明に係る耐衝撃構造の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 試験体(無筋コンクリート板:耐衝撃構造)
1a 表面(衝突面)
1b 裏面
2 鉄筋
2a 縦筋
2b 横筋
3 試験体(鉄筋コンクリート板:耐衝撃構造)
3a 表面(衝突面)
3b 裏面
4 高圧空気式飛翔体発射装置
5 圧縮器
6 増圧器
7 エアチャンバー
8 発射管

Claims (9)

  1. コンクリートに繊維を混入した繊維補強コンクリートを用いて形成される耐衝撃構造であって、
    前記繊維補強コンクリートは、コンクリートの圧縮強度が25N/mm以上、且つ曲げじん性係数が1.8N/mm以上であることを特徴とする耐衝撃構造。
  2. 請求項1記載の耐衝撃構造において、
    前記繊維補強コンクリートは、繊維径が0.01〜1.5mm、繊維長さが5〜30mm、引張強度が290N/mm以上の前記繊維を、混入率が3.0体積%以下となるようにコンクリートに混入してなることを特徴とする耐衝撃構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の耐衝撃構造において、
    前記繊維は、その表面に高さが0.05mm以上、繊維長さ方向の幅が1mm以上の凹凸加工を施して形成されていることを特徴とする耐衝撃構造。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の耐衝撃構造において、
    第1繊維と第2繊維の2種類の繊維を単独で、あるいは双方ともにコンクリートに混入してなり、
    前記第1繊維は、繊維径が0.01〜0.1mm、繊維長さが10〜20mm、引張強度が290N/mm以上で、混入率が0.5〜1.2体積%となるようにコンクリートに混入され、
    前記第2繊維は、繊維径が0.5〜1.5mm、繊維長さが20〜30mm、引張強度が290N/mm以上で、混入率が0.5〜3.0体積%となるようにコンクリートに混入されることを特徴とする耐衝撃構造。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の耐衝撃構造において、
    前記繊維が鋼、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコールのいずれかで形成され、
    前記繊維補強コンクリートは、単独あるいは複数種の前記繊維をコンクリートに混入してなることを特徴とする耐衝撃構造。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の耐衝撃構造において、
    前記繊維補強コンクリートを板状に成形して構成されるとともに、
    板状の前記繊維補強コンクリートの内部に、表面に対して平行に、且つ格子状に鉄筋を埋設して構成されていることを特徴とする耐衝撃構造。
  7. 請求項6記載の耐衝撃構造において、
    前記板状の繊維補強コンクリートの内部の表面側と裏面側にそれぞれ、格子状に鉄筋を埋設して構成されていることを特徴とする耐衝撃構造。
  8. 請求項6または請求項7に記載の耐衝撃構造において、
    格子状に配筋された鉄筋の縦筋と横筋のそれぞれに関し、鉄筋比が下記の式を満たすように構成されていることを特徴とする耐衝撃構造。
    p=a×(t×s)≧0.008
    ここに、pは鉄筋比(但し、p≦0.05)、tは板厚、sは鉄筋の間隔、aはt×sの範囲にある鉄筋の断面積を示す。
  9. 請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の耐衝撃構造において、
    前記板状の繊維補強コンクリートの内部に埋設される鉄筋のかぶり厚さを、外側に配される鉄筋の直径の2倍または40mmのうちの小さい方の値以上、且つ板厚の20%以下とすることを特徴とする耐衝撃構造。
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