JP2014200510A - 穿刺装置及び薬液投与装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来と比して一段と容易に小型化できる穿刺装置及び薬液投与装置を実現する。
【解決手段】薬液投与装置200は、テーパーバネである穿刺バネ271Bの内側に、外針203Aのみを筐体201内に引き戻すための引き戻しバネ271Cを配置するようにして、バネを二重構造とした。こうすることにより、例えば、引き戻しバネ271Cと穿刺バネ271Bを並べて設けるような穿刺機構と比較して、穿刺機構270を容易に小型化することができる。
【選択図】図13

Description

本発明は、穿刺装置及び薬液投与装置に関し、例えばインスリンを体内に投与する場合に適用して好適なものである。
近年、糖尿病は日本を始め世界中で患者数が増大の傾向を示している。また、これに伴う治療費用の増大が懸念されている。糖尿病の中でも、1型糖尿病は、適切な時間に適切量のインスリンの注入する治療が必要となる慢性疾患である。古くからシリンジを用いた手動投与か、インジェクタを用いた手動投与が行われてきた。これらに対してより簡便に安全に、適切な治療を行うために、投与量および投与時期をプログラムが可能な自動の薬液投与システムが開発されてきた。
このシステムは輸液ポンプ、専用の輸液セット、カテ−テルからなり、現在、薬液投与装置を携帯可能にしたシステムも使用されてきている。最近、この携帯型のシステムにおいて、輸液セットのチューブのわずらわしさを排除し、扱い勝手を向上するため輸液セットを用いずに、体表に両面テ−プで貼り付け固定した小型軽量な輸液ポンプから直接カテ−テルを挿入して投与を行うパッチタイプの薬液投与装置が登場している(例えば、特許文献1参照)。
また、薬液投与装置では、使用者の体内に穿刺した穿刺針を介して薬液を投与するようになっていて、この穿刺針の構造として、従来、プラスチック製の外針(例えばカテーテル)とこのカテーテルの内側に挿入される金属製の内針とでなる二重構造の穿刺針が提案されている(例えば特許文献2参照)。
この穿刺針は、カテーテルの内側に内針を挿入した状態で使用者の体内に穿刺され、その後、カテーテルを使用者の体内に留置させたまま内針が引き抜かれて、体内に留置しているカテーテルを介して薬液を投与するようになっている。
このような二重構造の穿刺針の場合、穿刺時及び留置時に使用者に与える痛みは、一般的に、カテーテルの外径に大きく依存する。ゆえに、カテーテルの外径が小さいほど、すなわち細いほど、痛みは低減される。
一方で、カテーテルの外径を小さくすると、必然的に、カテーテルの内側に挿入される内針の外径も小さくしなくてはならない。
しかしながら、穿刺針を過剰に細くすると、強度的に弱くなり、穿刺時に曲がってしまう恐れがある。
また、穿刺針を過剰に細くすると、カテーテルの先端部を内針に密着成形させることが難しくなり、カテーテルの反り返りによる穿刺時の痛みが大きくなる。
くわえて、穿刺時の痛みは、使用者自らが穿刺する場合と比べて、装置により瞬時に穿刺する方が痛みが小さくなることが知られている。
特表2010−501283号公報 特開2002−58747号公報
ところで、パッチタイプの薬液投与装置に、外針と内針の二重構造でなる穿刺針を設ける場合、外針と内針とを穿刺した後、内針を引き戻す機構を、薬液投与装置の内部に設けなくてはならず、従来、この機構を小型化することが難しく、結果として薬液投与装置を小型化することが難しかった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来と比して一段と容易に小型化できる穿刺装置及び薬液投与装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明の穿刺装置及び薬液投与装置においては、外針と当該外針内に挿入される内針との二重構造でなる穿刺針と、前記穿刺針を収納する筐体と、前記筐体内に設けられ、前記外針内に前記内針が挿入されている状態の前記穿刺針を前記筐体から突出させて使用者の体内に穿刺した後、当該穿刺針の内針は体内に留置させたまま、当該穿刺針の外針のみを前記筐体内に引き戻す穿刺機構とを有し、前記穿刺機構は、前記外針内に前記内針が挿入されている状態の前記穿刺針を前記筐体から突出させて使用者の体内に穿刺するための穿刺用弾性部材と、前記穿刺針の内針は体内に留置させたまま、前記穿刺針の外針のみを、前記筐体内に引き戻すための引き戻し用弾性部材とを有し、前記穿刺用弾性部材の内側に前記引き戻し用弾性部材を設けるようにした。
このように、内針が挿入された状態の外針を穿刺するための穿刺用弾性部材の内側に、外針のみを引き戻すための引き戻し用弾性部材を設けるようにして、穿刺針と共に弾性部材を二重構造とした。
こうすることで、例えば、穿刺用弾性部材と引き戻し用弾性部材とを並設する構造の穿刺機構などと比べて穿刺機構を小型化できる。
本発明によれば、穿刺用弾性部材と引き戻し用弾性部材とを並設する構造の穿刺機構などと比べて穿刺機構を小型化でき、かくして従来と比して一段と容易に小型化できる穿刺装置及び薬液投与装置を実現できる。
第1の実施の形態における薬液投与システムの構成を示す略線図である。 第1の実施の形態における薬液投与装置の外観構成を示す略線図である。 第1の実施の形態における穿刺針の先端及び穿刺孔周辺の構成を示す略線図である。 第1の実施の形態における薬液貯蔵部の構成を示す略線図である。 第1の実施の形態における薬液バッグが膨らむ様子の説明にともなう略線図である。 第1の実施の形態における注入部の構成を示す略線図である。 第1の実施の形態におけるフローセンサの構成を示す略線図である。 第1の実施の形態における薬液送出部の構成を示す略線図である。 第1の実施の形態におけるポンプの構成(1)を示す略線図である。 第1の実施の形態におけるポンプの構成(2)を示す略線図である。 第1の実施の形態における穿刺機構の構成(1)を示す略線図である。 第1の実施の形態における穿刺機構の構成(2)を示す略線図である。 第1の実施の形態における穿刺機構の構成(3)を示す略線図である。 カテーテル挿通部の構成を示す略線図である。 第1の実施の形態における中心部の構成を示す略線図である。 押付部の構成を示す略線図である。 薬液送出部によるリンク機構の駆動の説明にともなう略線図である。 第1の実施の形態における穿刺機構の動作の説明にともなう略線図である。 駆動制御部の構成を示す略線図である。 コントローラの構成を示す略線図である。 第2の実施の形態における薬液投与システムの構成を示す略線図である。 第2の実施の形態における薬液投与装置の外観構成を示す略線図である。 第2の実施の形態における薬液投与装置の外観及び内部構成を示す略線図である。 第2の実施の形態における穿刺針の先端及び穿刺孔周辺の構成を示す略線図である。 第2の実施の形態における薬液貯蔵部の構成を示す略線図である。 第2の実施の形態における注入部の構成を示す略線図である。 第2の実施の形態におけるフローセンサの構成を示す略線図である。 第2の実施の形態における薬液送出部の構成を示す略線図である。 第2の実施の形態におけるポンプの構成(1)を示す略線図である。 第2の実施の形態におけるポンプの構成(2)を示す略線図である。 第2の実施の形態における駆動部の構成を示す略線図である。 第2の実施の形態における穿刺機構の構成(1)を示す略線図である。 第2の実施の形態における穿刺機構の構成(2)を示す略線図である。 第2の実施の形態におけるスライド部の構成を示す略線図である。 第2の実施の形態におけるスライド部の分離の説明にともなう略線図である。 第2の実施の形態におけるストッパの構成を示す略線図である。 第2の実施の形態における穿刺深さ調整部の構成を示す略線図である。 第2の実施の形態における穿刺機構の動作の説明にともなう略線図である。 第2の実施の形態における外針とカテーテルの穿刺と外針の引き戻しの説明にともなる略線図である。
以下に、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
〔1.第1の実施の形態〕
〔1−1.薬液投与システムの構成〕
図1に示すように、薬液投与システム100は、使用者の皮膚に貼り付けられることにより保持されて使用される携帯型の薬液投与装置200と、使用者の入力指示に応じた信号を無線通信で薬液投与装置200に送信するコントローラ400とを含む構成とされる。
〔1−2.薬液投与装置の外観構成〕
次に、薬液投与装置200の外観構成について説明する。図2に示すように、薬液投与装置200は、扁平な略直方体形状の筐体201と、この筐体201の底面に設けられた両面テープ等でなる貼付部202とで構成され、この貼付部202を介して使用者の皮膚に貼り付けられるようになっている。
この薬液投与装置200の筐体201の大きさは、使用者の皮膚に容易に貼り付けることができるように小型化されていて、例えば、横34mm、縦43mm、高さ12mm程度となっている。
また、薬液投与装置200の筐体201は、下側筐体201Aと上側筐体201Bとで構成されている。下側筐体201Aは四角形薄板状の部材となっていて、上側筐体201Bは下側が開口している中空の部材となっている。
また上側筐体201Bの開口は、下側筐体201Aの大きさ及び形状に合わせた四角形状となっている。
さらに上側筐体201Bは、中央より前側が前端に近いほど高さが低くなる先細り形状となっていて、上面の中央から前端までの部分(これを前部と呼ぶ)が湾曲している。さらに、上側筐体201Bは、前部の中央部分が、使用者の体内に穿刺針203(図3)を穿刺する後述する穿刺機構を格納する穿刺機構格納部204となっている。
尚、穿刺針203について詳しくは後述するが、穿刺針203は、図3に示すように、金属製中空の外針203Aとプラスチック製中空の内針であるカテーテル203Bとでなる二重構造の針であり、外針203Aの内側にカテーテル203Bを挿入した状態で薬液投与装置200から突出して使用者の体内に穿刺される。その後、この穿刺針203は、カテーテル203Bを体内に残したまま、外針203Aのみが薬液投与装置200内に引き戻されるようになっている。
穿刺機構格納部204の上面には、図2に示すように、穿刺機構格納部204の成型時にできる孔204Aが複数形成されていて、この孔204Aから筐体201内への水などの進入を防ぐ為に、穿刺機構格納部204の上面には、防水シール204Bが貼り付けられている。
さらに下側筐体201Aは、その四隅に、頭頂部が平らな皿ビス205の軸を通す孔206が設けられている。一方、上側筐体201Bには、その四隅に、皿ビス205に対応するビス穴207Aが形成された円筒状のビス受け207が設けられている。尚、ここでは、貫通している穴を「孔」と表記し、貫通していない穴を「穴」と表記する。
そして、下側筐体201Aの四隅の孔に、上側筐体201Bの四隅に設けられたビス受け207のビス穴207Aを対向させた状態で、皿ビス205を、下側筐体201Aの下側から四隅の孔206を通して、上側筐体201Bのビス受け207のビス穴207Aに嵌入させることにより、下側筐体201Aと上側筐体201Bとが固定される。
さらに、上側筐体201Bは、開口の縁に防水パッキン208が設けられ、さらにビス受け207と下側筺体201Aとの間に防水パッキン(図示せず)が設けられていて、これにより下側筐体201Aと固定されたときに、下側筐体201Aとの間から水等の液体が進入することを防ぐようになっている。
また、詳しくは後述するが、筐体201内には、後部に、薬液を貯蔵する薬液貯蔵部220が設けられ、さらに、上側筐体201Bの穿刺機構格納部204を間に挟んで、左側と右側に、それぞれ、薬液投与装置200の駆動を制御する駆動制御部310と、薬液貯蔵部220から穿刺針203へと薬液を送出する薬液送出部230が設けられ、上側筐体201Bの穿刺機構格納部204内に、穿刺針203を穿刺する穿刺機構270(図2では省略)が設けられている。
さらに、図2では省略しているが、下側筐体201Aの内側の底面には、穿刺機構格納部204の下側となる、前端中央に、使用者の体内に穿刺される穿刺針203(図4)が通る穿刺孔209(図4)が貫通して設けられている。また、下側筐体201Aには、後部の左隅に、薬液貯蔵部220に外部から薬液を注入するための注入口210(図6)が設けられている。
〔1−3.薬液投与装置の内部構成〕
〔1−3−1.薬液貯蔵部の構成〕
次に、薬液投与装置200の内部構成について説明する。まず、薬液貯蔵部220について説明する。
薬液貯蔵部220は、図4に示すように、薬液バッグ221と、フローセンサ222とでなり、薬液バッグ221が、筐体201内の後部に設けられ、フローセンサ222が、筐体201内の中央、薬液バッグ221と穿刺機構格納部204との間に設けられている。
薬液バッグ221は、筐体201内の後部の空間を占有する大きさでなり、例えば、ポリウレタン、塩化ビニル、ポリエチレン等でなる2枚のシート221A及び221Bで形成される。
2枚のシート221A及び221Bは、それぞれ開口が楕円形のハット状(鍋状とも言う)にフォーミング成型された後に、それぞれの縁(ハットのつば部分)が融着されることで一体となっている。
尚、このようにして2枚のシート221A及び221Bの縁を融着するとき、図5に示すように、2枚のシート221A及び221Bにより形成される内部空間と外部とを連通させる2本のノズル221C及び221Dを、2枚のシート221A及び221Bの縁の間に挟み込んだ状態で、それぞれの縁を融着するようになっている。
このうち、図6に示すように、一方のノズル221Cは、下側筐体201Aの注入口210に嵌入されている中空の注入部211に接続され、この注入部211の中を通って、薬液投与装置200の外部から薬液バッグ221内に薬液が注入されるようになっている。
尚、注入部211は、内部の注入口210に近い側に、例えば合成ゴムなどで形成されるゴム栓211Aが嵌入されていて、実際、外部から薬液バッグ221に薬液を注入するときには、まず、注入部211のゴム栓211Aに外部から薬液注入用の中空の針を刺してゴム栓211Aを貫通させる。
すると、この中空の針が、注入部211を介して薬液バッグ221のノズル221Cと連通され、この針の先から送出された薬液が注入部211の中を通って薬液バッグ221に注入される仕組みとなっている。
また、このゴム栓211Aは、ゴム栓211Aの外周に当接している注入部211によって内側に押圧する力が加えられていることにより、薬液注入用の針が抜き取られた後、この針によって形成された孔が閉じるようになっている。
これにより、ゴム栓211Aは、薬液バッグ221内に注入された薬液が注入部211を介して薬液投与装置200の外に漏れだすことを防ぐと共に、注入部211から水等の液体が薬液投与装置200内に進入することを防ぐようにもなっている。
これに対して、他方のノズル221D(図5)は、図示しない流路管を介して(もしくは直接)、後述する薬液送出部230のポンプのイン流路に接続されていて、このポンプが駆動することにより、薬液バッグ221内の薬液がポンプへと送出されるようになっている。
このようにして形成される薬液バッグ221は、薬液が充填されていないときには、図4(A)及び図5(A)に示すように、下側のシート221Bの内側に上側のシート221Aが収まるように、上側のシート221Aと下側のシート221Bが重なり合って折り畳まれた状態となる。このとき、上側のシート221Aの中央部分と下側のシート221Bの中央部分は共に下方に窪んでいて、上側のシート221Aと下側のシート221Bとで形成される内部空間は最小となる。
この状態から薬液バッグ221に薬液が注入されると、上側のシート221Bの中央部分が、下側のシート221Bの中央部分から離れる方向に変形していくことで、薬液バッグ221が膨らんでいく。
そして、或る時点で、上側のシート221Aの中央部分の窪み方向が、下方から上方へと変わり、その後、さらに上側のシート221Aの中央部分が下側のシート221Bの中央部分から離れる方向に変形していき、最終的に略楕円柱状となるまで膨らむ。このとき、上側のシート221Aと下側のシート221Bとで形成される内部空間は最大となる。
このように薬液バッグ221は、折り畳まれた状態から略楕円柱状となるまで膨らむことができ、シート221A及び221Bの中央部分から縁に近い部分までを同程度に膨らませることができる。
これにより、薬液バッグ221は、筐体201内に無駄な隙間ができないように膨らむことができる。
ところで、従来から有る例えば2枚のフィルムの縁を融着しただけの薬液バッグの場合、2枚のフィルムの中央部分の膨らみと比べて縁に近い部分の膨らみが小さくなってしまう。
これに対して、薬液バッグ221は、上述したように、シート221A及び221Bの中央部分から縁に近い部分までを同程度に膨らませることができるので、従来の薬液バッグと比較して、同容量であれば、より小型の筐体201内に設けることができる。
薬液バッグ221は、内部に充填された薬液をノズル221Dを介してポンプに送出すると、下側のシート221Bの内側に上側のシート221Aが収まるように、上側のシート221Aと下側のシート221Bが重なり合って折り畳まれた状態となるまでしぼんでいく。
このとき、薬液バッグ221は、上側のシート221Aと下側のシート221Bがほぼ隙間無く重なった状態となり、これにより、薬液を内部に残すことなくポンプに送出することができる。
一方、薬液バッグ221と、穿刺機構格納部204との間に配置されるフローセンサ222は、後述するポンプのアウト流路と穿刺針203との間の流路の途中に設けられていて、ポンプから穿刺針203へと送出される薬液の流れを検知する。
このフローセンサ222は、図7に示すように、四角形板状の一端部222A及び他端部222Bと、これら一端部222Aと他端部222Bの間に設けられた、四角柱状の中央部222Cとを有する構成であり、全体として、直方体形状となっている。
このフローセンサ222は、一端部222Aを上側、他端部222Bを下側とする向きで、下側筐体201Aに固定される。ゆえに、ここでは、上側の一端部222Aを上端部222A、下側の他端部222Bを下端部222Bと呼ぶことにする。
上端部222Aは、フローセンサ222の右側に配置される薬液送出部230と対向する右側面に、薬液送出部230のポンプのアウト流路と図示しない流路管を介して(もしくは直接)接続するための円筒状の接続部223Aが設けられている。
また、下端部222Bは、フローセンサ222の前側に配置される穿刺機構格納部204と対向する前側面に、穿刺針203のカテーテル203Bと接続するための円筒状の接続部223Bが設けられている。
上端部222Aと下端部222Bの間の中央部222Cは、その中心に、カテーテル203Bと同程度の外径を有する3つのステンレス管Su1、Su2、Su3とこれらを繋ぐ2本のシリコンチューブSt1、St2とでなるセンサ部222Caが設けられ、さらにこのセンサ部222Caの外周が、発砲ウレタン等でなる熱絶縁体222Cbで被覆されたものとなっている。
センサ部222Caは、上端側からステンレス管Su1と中央のステンレス管Su2が一方のシリコンチューブSt1で繋げられ、さらに中央のステンレス管Su2と下端側のステンレス管Su3が他方のシリコンチューブSt2で繋げられている。
またセンサ部222Caは、上端側のステンレス管Su1が上端部222Aの接続部223Aと連通していると共に、下端側のステンレス管Su3が、下端部222Bの接続部223Bと連通していて、このセンサ部222Ca内を、ポンプのアウト流路と穿刺針203のカテーテル203Bとの間を流れる薬液が通るようになっている。
さらに、中央のステンレス管Su2には、その表面に、加熱用のサーミスタ(これを加熱サーミスタと呼ぶ)224が設けられ、上端側のステンレス管Su1と、下端側のステンレス管Su3には、それぞれその表面に、温度変化検知用のサーミスタ(これを温度変化検知サーミスタと呼ぶ)225A、225Bが設けられている。
さらに、これら3つのサーミスタ224、225A、225Bは、それぞれ2本の配線(図示せず)を介して、駆動制御部310と接続されていて、この駆動制御部310により加熱サーミスタ224が加熱制御されると共に、温度変化検知サーミスタ225A、225Bの出力をもとに温度変化が検知されるようになっている。
フローセンサ222は、このような構成でなり、加熱サーミスタ224によって中央のステンレス管Su2を加熱し、このときの両端のステンレス管Su1、Su3の温度変化を、両端のステンレス管Su1、Su3に取り付けられた温度変化検知サーミスタ225A、225Bで検知する。
実際、中央のステンレス管Su2を加熱したときに、3つのステンレス管Su1、Su2、Su3の中を薬液が流れていなければ、両端のステンレス管Su1、Su3の温度変化検知サーミスタ225A、225Bの出力は等しくなる。
これに対して、例えば、上端側のステンレス管Su1から下端側のステンレス管Su3への方向に薬液が流れている場合、中央のステンレス管Su2を加熱したときに、上流側となる上端側のステンレス管Su1の温度変化検知サーミスタ225Aの温度よりも、下流側となる下端側のステンレス管Su3の温度変化検知サーミスタ225Bの温度の方が大きくなる。
ゆえに、両端の温度変化検知サーミスタ225A、225Bの出力の差分を取れば、雰囲気温度の影響を排除してフローセンサ222内を薬液が流れているかどうかを判別でき、このようにして、フローセンサ222では、ポンプからカテーテル203Bへと送出される薬液の流れを検知できるようになっている。
〔1−3−2.薬液送出部の構成〕
次に、薬液送出部230について説明する。薬液送出部230は、図8に示すように、ポンプ231及びポンプ231を駆動させる駆動部232と、これらを下側筐体201Aに固定する断面コの字型の固定部233とを有する構成となっていて、穿刺機構格納部204の右側に配置される。
固定部233は、四角形板状の一端部233A及び他端部233Bとこれらの間に位置する板状の中央部233Cとでなり、全体として断面コの字型をなしている。
この固定部233は、下側筐体201Aの内側の底面に、中央部233Cの外面を下側、一端部233Aを後側、他端部233Bを前側とする向きで、中央部233Cの外面を取付面として取り付けられる。
尚、説明を簡単にする為、以降、筐体201の向きを基準として、固定部233の一端部233Aを後端部233A、他端部233Bを前端部233Bと呼ぶことにする。
この固定部233に固定されるポンプ231は、図9及び図10に示すように、シリンダ部234、ピストン235、蓋部236(236A、236B)、一方向弁237(237A、237B)、Xリング238、Xリング固定部239を有する構成となっている。
シリンダ部234は、直方体の対向する両側面の中央部から一端部までを四角形板状に切り欠いたような断面T字形状でなり、その内部には、T字の上端に相当する一端面からT字の下端に相当する他端面への方向に延びる円柱形状の内部空間234A(図10)が設けられている。
この内部空間234Aは、その一端がピストン挿入口234B(図9)としてシリンダ部234の一端側の面から露出していて、このピストン挿入口234Bから、例えば直径が1.03mmの円柱形状でなるピストン235が挿入されるようになっている。
ピストン235は、駆動部232の駆動によりこの内部空間234A内を所定のストロークで摺動するようになっている。尚、ピストン235の材質としては、例えば、ステンレス鋼、銅合金、アルミ合金、チタン材、ポリプロピレンやポリカーボネートなどの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
また、シリンダ部234の一端側には、ピストン挿入口234Bの周囲に、ピストン235との間で薬液の漏洩を防止するXリング238を嵌入するための嵌入溝234Cが形成されていて、この嵌入溝234Cに、Xリング238が嵌入されている。
さらに、シリンダ部234の一端には、嵌入溝234Cに嵌入されたXリング238を固定するXリング固定部239が取り付けられる。このXリング固定部239は、シリンダ部234の一端側の面と同大の面を有する四角形板状でなり、その中央に、ピストン挿入口234Bと同大の孔239Aが形成されていて、シリンダ部234の一端に取り付けられたときに、ピストン235の摺動を妨げないようにXリング238を固定する。
さらに、このXリング固定部239は、孔239Aの内側に、周方向に沿ってオイル溝239Bが形成されていて、このオイル溝239Bにオイルが留められている。
ピストン235が摺動するときに、このオイル溝239Bに留められたオイルが潤滑剤となりピストン235が摺動するときの摩擦を減らして、スムーズに摺動させることができる。
さらにシリンダ部234内には、図10に示すように、内部空間234Aの他端に、この内部空間234Aと連通する流路(これをシリンダ内流路と呼ぶ)234Dが設けられている。
このシリンダ内流路234Dは、内部空間234Aの中心軸に沿って設けられる第1流路234Daと、この第1流路234Daと直行する第2流路234Dbとでなり、第1流路234Daと第2流路234DbでT字路を形成するT字型の流路となっている。
これら第1流路234Daと第2流路234Dbは、共に内部空間234Aより径の小さな円筒状の流路であり、第1流路234Daの一端が内部空間234Aと連通していて、第1流路234Daの他端が突き当たりとなっている。
また、第2流路234Dbは、中央で第1流路234Daと交差していて、両端がシリンダ部234の両側面の中央部から露出している。
ピストン235は、先端が、内部空間234Aの他端に突き当たるまで摺動することができ、ピストン235の先端が内部空間234Aに突き当たったとき、ピストン235によって、第1流路234Daの一端が閉じられる。
シリンダ部234の両側面には、それぞれ四角形板状に切り欠かれた部分に収まるようにして四角形板状の蓋部236A、236Bが取り付けられる。尚、シリンダ部234は、2つの蓋部236A、236BとXリング固定部239が取り付けられたときに、図9(A)に示すように、全体として略直方体形状となる。
蓋部236A及び236Bにも、それぞれ内部に流路(これを蓋内流路と呼ぶ)236Aa、236Baが設けられている。
蓋部236Aの蓋内流路236Aaは、その一端が蓋部236Aの取付面(シリンダ部234の側面と対向する面)から露出すると共に、他端が蓋部236Aの他端面(シリンダ部234の他端面と同一平面となる面)に設けられた円筒状のノズル236Abと連通している。
そして、蓋部236Aの蓋内流路236Aaは、蓋部236Aがシリンダ部234の側面に取り付けられたときに、一端が、シリンダ部234のシリンダ内流路234Dと接続されるようになっている。
つまり、蓋部236Aの蓋内流路236Aaは、シリンダ内流路234Dとノズル236Abを繋ぐ流路である。
一方、蓋部236Bの蓋内流路236Baは、その一端が蓋部236Bの取付面(シリンダ部234の側面と対向する面)から露出すると共に、他端が蓋部236Bの他端面(シリンダ部234の他端面と同一平面となる面)から露出する。
またこの蓋内流路236Baは、蓋部236Bの取付面の逆側の面に設けられた円筒状のノズル236Bbと連通している。
この蓋内流路236Baも、シリンダ内流路234Dとノズル236Bbとを繋ぐ流路である。
さらに、シリンダ部234の両側面と、この両側面と対向する蓋部236A、236Bの取付面には、それぞれシリンダ内流路234Dと蓋内流路236Aa、236Baとの間で薬液の流れる方向を制限する一方向弁237A、237Bを保持するための嵌入溝241A、241Bが形成されている。
一方向弁237A、237Bは、それぞれシリンダ部234の両側面と蓋部236A、236Bとの間に挟み込まれるようにして、シリンダ部234の両側面と蓋部236A、236Bの一面に形成された嵌入溝241A、241Bに嵌入される。
このとき、一方向弁237A、237Bは、それぞれシリンダ内流路234Dと蓋内流路236Aa、236Baとの間に介在して保持される。
尚、2つの蓋部236A、236Bの蓋内流路236Aa、236Baのうち、一方の蓋部236Aの蓋内流路236Aaは、シリンダ部234の内部空間234Aに薬液を吸入するためのイン流路である。
他方の蓋部236Bの蓋内流路236Baは、シリンダ部234の内部空間234Aに吸入された薬液を送出するためのアウト流路である。
シリンダ内流路234Dとイン流路236Aaとの間に介在する一方向弁237Aは、イン流路236Aaからシリンダ内流路234Dへの方向には薬液を通過させ、シリンダ内流路234Dからイン流路236Aaへの方向には薬液を通過させないものであり、例えばアンブレラ弁が適応される。
また、シリンダ内流路234Dとアウト流路236Baとの間に介在する一方向弁237Bは、シリンダ内流路234Dからアウト流路236Baへの方向には薬液を通過させ、アウト流路236Baからシリンダ内流路234Dへの方向には薬液を通過させないものであり、例えばアンブレラ弁が適応される。
ポンプ231は、このような構成でなり、図8に示すように、固定部233に対して、イン流路236Aa側の蓋部236Aが取り付けられた側面を右側、アウト流路236Ba側の蓋部236Bが取り付けられた側面を左側、ピストン235が突出する側の一端面を前側とする向きで、Xリング固定部239の孔239Aを、固定部233の後端部233Aに設けられたピストン挿通孔242と対向させ、Xリング固定部239を固定部233の後端部233Aの外面に当接させて固定される。
ここで、ポンプ231から突出するピストン235は、固定部233の後端部233Aに設けられたピストン挿通孔242を通り、固定部233の内側に突出する。
尚、固定部233の後端部233Aの外面には、駆動部232のモータ250も取り付けられる為、ピストン挿通孔242は、ポンプ231とモータ250の取付位置が干渉しないように、モータ250の取付位置よりも左側に設けられている。
ポンプ231は、このようにして固定部233に取り付けられていて、イン流路236Aaのノズル236Abが、図示しない流路管を介して(もしくは直接)薬液バッグ221と接続される。また、アウト流路236Baのノズル236Bbが、図示しない流路管を介して(もしくは直接)フローセンサ222と接続され、さらにこのフローセンサ222を経由してカテーテル203Bと接続される。
このようにして固定部233により筐体201に固定されるポンプ231は、駆動部232の駆動によりピストン235がシリンダ部234の内部空間234A内を上死点から下死点まで移動すると、これにともなって、薬液バッグ221に貯蔵された薬液をイン流路236Aaを介して内部空間234A内に吸入する。
その後、ポンプ231は、駆動部232の駆動によりピストン235が下死点から上死点まで移動すると、これにともなって、内部空間234A内に吸入した薬液をアウト流路236Baから送出する。アウト流路236Baから送出された薬液は、フローセンサ222を通り、カテーテル203Bを介して、使用者の体内へ投与される。
このポンプ231は、ピストン235を一往復させる動作で例えば約1〜2μLの薬液を使用者の体内に投与でき、この動作を設定された周期及び間隔で繰り返し行うことにより、所望の投与速度及び投与量で薬液を使用者に投与できるようになっている。
このポンプ231のピストン235を摺動させる駆動部232は、図8に示すように、モータ250と、スライド板251を有する構成となっている。
モータ250は、円筒状の本体部250Aと、本体部250Aの一端面から突出するモータ軸250Bとを有していて、本体部250Aの一端面を前側、他端面を後側とする向きで、固定部233の後端部233Aに設けられたモータ軸挿通孔252にモータ軸250Bを通し、本体部250Aの一端面を後端部233Aの後面に当接させて固定される。
このようにして固定されたとき、本体部250Aは、モータ軸250Bが、後端部233Aのモータ軸挿通孔252を通り、固定部233の内側に突出する。
固定部233の内側に突出するモータ軸250Bは、固定部233の後端部233Aから前端部233B近くまで達している。
尚、固定部233の内側には、上述したように、ポンプ231のピストン235も突出するようになっていて、ピストン235とモータ軸250Bが干渉しないように、固定部233の内側では、ピストン235が左側、モータ軸250Bが右側に位置するようになっている。
モータ軸250Bは、側面全体のうち、固定部233の内側に位置する部分に、ネジ溝が形成されている。
また、固定部233の前端部233Bには、モータ軸250Bの先端と対向する位置に、ネジ孔253が設けられていて、このネジ孔253にイモネジ254が嵌入されている。
このイモネジ254は、モータ軸250Bの先端に当接してモータ軸250Bを軸方向に押さえ付けるように締められている。このようにして、モータ軸250Bを軸方向に押さえ付けることにより、モータ250を駆動させたときのトルクのばらつきを低減できる。
一方、スライド板251は、固定部233の前端部233Bの内面と同程度の大ささの面を有する板状でなり、固定部233の前端部233Bと後端部233Aとの間を、これらと平行に前後方向にスライドできるようになっている。
具体的に、このスライド板251は、固定部233の前端部233Bと対向する前面の中央に、固定部233の前端部233Bの中央に設けられた軸受孔255に挿通されたスライド軸256の一端が固定されている。
つまり、スライド板251は、このスライド軸256を介して固定部233の前端部233Bにスライド自在に支持される。
さらに、スライド板251は、固定部233の後端部233Aと対向する後面の中央より左側の位置にピストン235の先端が固定されている。
さらに、スライド板251は、後面の中央より右側の位置にネジ孔251Aが設けられ、このネジ孔251Aにモータ軸250Bが挿通され、ネジ孔251Aとモータ軸250Bのネジ溝が嵌合するようになっている。
尚、ネジの作用により嵌合することを螺合と言う。ゆえに、この場合、スライド板251は、モータ軸250Bに螺合されていることになる。
このスライド板251は、モータ軸250Bが回転すると、このとき固定部233の中央部233Cにスライド板251の一側面が当接してスライド板251自体の回転が妨げられることによって、モータ軸250Bの軸方向にスライドする。
このとき、スライド板251は、中央のスライド軸256を介して固定部233の前端部233Bに支持されていることにより、左右にがたついたりすることなくスムーズにスライドすることができる。
また、このようにスライド板251がスライドすることにともなって、スライド板251に固定されているピストン235が軸方向に移動する。
さらに、スライド板251と対向する、固定部233の後端部233Aの前面には、ピストン235が通るピストン挿通孔242の縁を囲うように円筒状のフィルム固定部257Aが突設されていて、一方、スライド板251の後面にも、ピストン235の先端の側面を囲うように円筒状のフィルム固定部257Bが突設されている。
これら、2つのフィルム固定部257A及び257Bは、固定部233の後端部233Aとスライド板251との間でピストン235のポンプ231外に露出する部分を覆うフィルム258の一端と他端を固定するものである。
フィルム258は、筒状のポリエチレンでなり、その長さは、固定部233の後端部233Aとスライド板251との間が最も開いたときの間隔より長く、固定部233の後端部233Aとスライド板251との間にまくしあげられた状態で固定される。
このようにフィルム258は、まくしあげられた状態で固定部233の後端部233Aとスライド板251の間を覆うので、ピストン235の摺動に合わせて切れたり外れたりすることなく、また低トルクで伸縮して、常にピストン235を覆った状態を維持することができる。
これにより、薬液投与装置200は、ピストン235がフィルム258外の空気に触れることを防ぎ、ピストン235の清潔性を一段と確実に保持できる。
このような構成でなる駆動部232は、モータ250を駆動させてモータ軸250Bを回転させることにより、モータ軸250Bに螺合されているスライド板251を軸方向にスライドさせて、ピストン235を軸方向に移動させる。
駆動部232は、このようにピストン235を移動させることで、ピストン235を上死点と下死点との間で往復運動させる。
このようにピストン235を往復運動させる間、スライド板251は、ピストンが下死点に位置するときに、固定部233の前端部233Bに最も近づくことになる。このときのスライド板251の位置を下死点位置と呼ぶことにする。
スライド板251は、下死点位置までスライドしても、固定部233の前端部233Bと接触はせず、この下死点位置からさらに前端部233B側へスライドできるように、前端部233Bとの間に間隔を隔てている。
そして実際、駆動部232は、詳しくは後述するが、スライド板251を下死点位置よりさらに固定部233の前端部233B側へスライドさせることにより、穿刺機構270の押付部(後述する)を固定するストッパを解除できるようになっている。
〔1−3−3.穿刺機構の構成〕
次に、穿刺機構格納部204内に設けられる穿刺機構270について説明する。図11及び図12に示すように、穿刺機構270は、外針203Aとカテーテル203B、すなわち穿刺針203を保持してスライドする中心部271と、中心部271を支持する支持部272と、中心部271がスライドしないように押さえ付ける押付部273と、穿刺針をガイドする穿刺針ガイド274とを有する構成となっている。
穿刺機構格納部204の前端の下方、すなわち下側筐体201Aの前端中央には、使用者の体内に穿刺される穿刺針203(外針203A及びカテーテル203B)が通る穿刺孔209が貫通して設けられている。
この穿刺孔209は、前後方向に長い形状となっている。さらに、穿刺機構格納部204内には、この穿刺孔209から後方斜め上に延びるようにして円筒状の穿刺針ガイド274が設けられている。
穿刺針ガイド274は、図3に示すように、内側の孔274Aと、穿刺孔209とが連通していて、さらに先端が、鋭利な刃のように尖った形状となっている。
尚、この穿刺針ガイド274は、穿刺機構格納部204の内側の上面前部から下方に延びる板状のガイド固定板274B及び274Cにより位置が固定されている。
そして、穿刺針203が、この穿刺針ガイド274の先端側から挿入され、穿刺孔209へとガイドされるようになっている。
ここで、下側筐体201Aの底面に対する穿刺針ガイド274の角度は、例えば30〜45度に設定される。この角度は、穿刺針203が下側筐体201Aの穿刺孔209から突出して使用者の体内に穿刺されるときの穿刺角度である。
尚、穿刺孔209は、穿刺針203が真上からではなく斜め後方(例えば30度)から挿入されることになるため、上述したように、前後方向に長い形状となっている。
さらに、この穿刺針ガイド274は、穿刺孔209へ穿刺針203をガイドするだけでなく、詳しくは後述するが、穿刺針ガイド274の後方斜め上に位置する中心部271が穿刺針ガイド274に向かってスライドしてきたときに、この中心部271を先端で受け止める受止部として機能するようにもなっている。
さらに、穿刺孔209には、図3に示すように、外側から、穿刺孔用蓋280が取り付けられている。この穿刺孔用蓋280は、穿刺孔209より外径が大きい楕円盤状の基部280Aと、穿刺針ガイド274の内径とほぼ同径の外径を有する円筒状の上延部280Bとで構成される。
基部280Aは、その中央に厚さ方向に貫通する孔280Ahが設けられていて、この孔280Ahが、上延部280Bの孔280Bhと連通している。
さらに、基部280Aの孔280Ahには、上延部280Bに近い側にエアベントフィルタ281が設けられている。
この穿刺孔用蓋280は、上延部280Bが、穿刺孔209から、穿刺針ガイド274の孔274A内に嵌入されることにより、下側筐体201Aに取り付けられ、このとき基部280Aが穿刺孔209を塞ぐようになっている。
尚、穿刺孔用蓋280は、穿刺孔209を完全に塞ぐのではなく、エアベントフィルタ281を介して、穿刺孔209を空気のみが通るように塞ぐ。
ここで、薬液投与装置200は、使用者による使用前、穿刺孔用蓋280が取り付けられた状態であり、外針203Aとカテーテル203Bが、穿刺針ガイド274を通り、穿刺孔用蓋280の上延部280Bに嵌入された状態となっている。このとき、外針203Aの先端は、エアベントフィルタ281の手前に位置する。
薬液投与装置200は、穿刺孔用蓋280にエアベントフィルタ281を設けることによって、使用前のプライミング(カテーテル203B内を薬液で満たす処理)時に、カテーテル203Bに流した薬液が、カテーテル203Bの先端から穿刺孔209を通って外部に漏れることなく、カテーテル203B内に存在する空気だけを外部に排出することができる。
尚、この穿刺孔用蓋280は、プライミング終了後、薬液投与装置200を使用者の体内に貼り付ける前に、取り外される。
さらに、穿刺機構格納部204には、図12に示すように、内側の上面後方に、中心部271を支持する支持部272の第1支持部290が設けられている。
第1支持部290は、図13に示すように、四角形板状の中央部290Aと、この中央部290Aの一端から中央部290Aに対して鋭角に延びる四角形板状の一端部290Bとでなり、全体として、一枚の板状部材をV字に折り曲げたような断面V字型をなしている。
この第1支持部290は、一端部290Bの外面を上側、中央部290Aの外面を前側とする向きで、穿刺機構格納部204内側の上面に一端部290Bの外面を取付面として取り付けられる。
尚、ここでは、筐体201の向きを基準として、一端部290Bを上端部290B、中央部290Aの外面を前面、内面を後面と呼ぶ。
この第1支持部290は、下側筐体201Aに対する中央部290Aの角度が穿刺角度に合わせて例えば30度となっている。
また、第1支持部290は、中央部290Aの中央に、厚さ方向に貫通する孔290Ahが設けられていて、この孔290Ahに、円錐台筒状のゴム素材でなるカテーテル挿通部291が嵌合されて固定されている。
このカテーテル挿通部291は、図14に示すように、内部に末広がり形状の孔291Aが設けられていて、この孔291Aに、カテーテル203Bを通すものである。
カテーテル挿通部291は、狭い方の開口の内径が、カテーテル203Bの外径とほぼ同径でなり、狭い方の開口(狭開口と呼ぶ)が前側、広い方の開口(広開口と呼ぶ)が後側となる向きで、中央部290Aの孔290Ahに嵌合されている。
このカテーテル挿通部291は、狭開口の縁が、カテーテル203Bの外周に密着するようになっていて、挿通されたカテーテルが広開口から狭開口の方向(矢印Aで示す方向)へは進むことができるものの、逆方向には進むことができないように、カテーテル203Bの進行方向を制限する。
さらに、穿刺機構格納部204の内側の上面には、図13に示すように、第1支持部290の前方に、所定の間隔を隔てて、支持部272の第2支持部292が突設されている。
第2支持部292も、四角形板状の中央部292Aと、この中央部292Aの一端から中央部292Aに対して鋭角に延びる四角形板状の一端部292Bとでなり、全体として、一枚の板状部材をV字に折り曲げたような断面V字型をなしている。
この第2支持部292も、一端部292Bの外面を上側、中央部292Aの外面を前側とする向きで、穿刺機構格納部204内側の上面に一端部292Bの外面を取付面として取り付けられる。
ここでも、筐体201の向きを基準として、一端部292Bを上端部292B、中央部292Aの外面を前面、内面を後面と呼ぶ。
この第2支持部292も、下側筐体201Aに対する中央部292Aの角度が穿刺角度に合わせて例えば30度となっている。つまり、第1支持部290の中央部290Aと、第2支持部292の中央部292Aは平行となっている。
また、第2支持部292の中央部292Aは、第1支持部290の中央部290Aより長く、第1支持部290に設けられた孔290Ahに対向する位置に孔292Ahが設けられている。この孔292Ahは、詳しくは後述するが、カテーテル203Bの外径より大きな内径を有する引き戻しバネ271Cが通る孔であり、引き戻しバネ271Cの外径より大きな径となっている。
中心部271は、図13、図15に示すように、円盤状のスライド部271Aと、細長い金属線をとぐろ状に巻いた穿刺バネ271Bと、細長い金属線を円筒状に巻いた引き戻しバネ271Cとを有する構成となっている。
穿刺バネ271Bは、圧縮されていない通常時には円錐台形状となり、圧縮されるにつれ、円錐台の高さ方向に縮んでいき、全圧縮時には、最外周の金属線の内側に残りの金属線が収まることにより平坦となる所謂テーパーバネである。尚、図13、14は、穿刺バネ271Bが全圧縮され平坦となっている例である。
また、穿刺バネ271Bは、穿刺針(外針203A及びカテーテル203B)203を筐体201から突出させて穿刺するためのバネであり、穿刺針203の穿刺前には、全圧縮された状態となっている。
一方、引き戻しバネ271Cは、コイルバネであり、穿刺針203を穿刺した後、外針203Aのみを筐体201内に引き戻すためのバネである。
スライド部271Aは、中央に厚さ方向に貫通する孔271Aaが設けられている。またスライド部271Aの一面には、この孔271Aaから所定間隔だけ離れた位置に、この孔271Ahと同心円で断面V字形状の溝271Abが形成されている。
尚、ここでは、この溝271Abより内側の部分を、内側円盤部271Acと呼び、この溝271Abより外側の部分を外側円盤部271Adと呼ぶ。
この溝271Abは、その径が、穿刺針ガイド274の先端の径と等しく、且つ引き戻しバネ271Cの外径より大きくなっている。そして、詳しくは後述するが、穿刺針ガイド274の鋭利な刃のように尖った先端が、この溝271Abに当たると、溝271Abが裂け、スライド部271Aが内側円盤部271Acと外側円盤部271Adとに分離するようになっている。
このスライド部271Aは、第1支持部290の中央部290A及び第2支持部292の中央部292Aと平行な向きで、第2支持部292の中央部292Aの前方に、間に穿刺バネ271Bを挟んで配置される。尚、スライド部271Aの前側の面を前面、後側の面を後面と呼ぶことにする。
穿刺バネ271Bは、最外周の金属線が第2支持部292の前面に固定されると共に、最内周の金属線がスライド部271Aの外側円盤部271Adの後面に固定されるようになっている。つまり、スライド部271Aは、穿刺バネ271Bを介して第2支持部292に支持されている。
尚、穿刺バネ271Bは、最も狭い部分の内径が、スライド部の内側円盤部271Acの外径より大きく、内側円盤部271Acの外側に設けられるようになっている。
一方、引き戻しバネ271Cは、後端が第1支持部290の中央部290Aに固定されると共に、前端が、第2支持部292の中央部292Aの孔292Ahを通り、さらに穿刺バネ271Bの内側を通って、第2支持部292の中央部292Aの前方に位置するスライド部271Aの内側円盤部271Acの後面に固定される。つまり、スライド部271Aは、穿刺バネ271Bの内側を通る引き戻しバネ271Cを介して第1支持部290に支持されている。
尚、引き戻しバネ271Cは、外径が、スライド部271Aの内側円盤部271Acの外径より小さく、内側円盤部271Acの内側に固定され、くわえてバネの力が穿刺バネ271Bより弱いバネである。
このようにスライド部271Aは、穿刺バネ271Bを介して第2支持部292に支持されると共に、穿刺バネ271Bの内側を通る引き戻しバネ271Cを介して第1支持部290に支持される。
尚、スライド部271Aは、穿刺針203を穿刺する前の初期状態のとき、押付部273により、穿刺バネ271Bが全圧縮され平坦な状態となるように、前面側から押さえ付けられている。
上述したように、スライド部271Aは、第1支持部290の中央部290A及び第2支持部292の中央部292Aと平行に支持されている。これにより、スライド部271A、第1支持部290の中央部290A、及び第2支持部292の中央部292Aのそれぞれの下側筐体201に対する角度が、穿刺針ガイド274の角度、すなわち穿刺角度に合わせて30度となっている。
そしてこのとき、穿刺針ガイド274の延長線上に、スライド部271Aの孔271Aa、第2支持部292の孔292Aa、第1支持部290の孔290Ahが位置するようになっている。
さらに、スライド部271Aは、図13に示すように、内側円盤部271Acの中央に設けられた孔271Aaに、前面側から外針203Aの末端部分が挿入され固定されている。
ゆえに、外針203Aは、末端部分を除くほぼ全部分がスライド部271Aの前面から前方に延びていて、さらにその先端部分が、スライド部271Aの前方に位置する穿刺針ガイド274内に挿入される。
さらに、この外針203Aの末端にも、カテーテル挿通部291が、狭開口を前側、広開口を後側とする向きで嵌合され固定されている。
カテーテル203Bは、第1支持部290の中央部290Aの後方から、中央部290Aの孔290Ahに嵌合されているカテーテル挿通部291に挿通され、引き戻しバネ271Cの内側を通り、さらにスライド部271Aに固定されている外針203Aの末端側から外針203Aの末端に嵌合されているカテーテル挿通部291に挿通されて、外針203A内に挿入される。
ここで、カテーテル203Bは、その先端が、外針203Aの先端とほぼ同位置で且つ外針203Aの先端から突出しない位置を保つようにして外針203A内に挿入されている。
さらに、穿刺機構格納部204の内側の上面には、第2支持部292の前方に、スライド部271Aが前方にスライドしないように、前面側から押さえ付ける押付部273が取り付けられている。
この押付部273は、図16にも示すように、コの字型板状でなり、コの字の開口側となる一端を下側、他端を上側、一面を前側、他面を後側とする向きで、穿刺機構格納部204の内側の上面に取り付けられている。
ここで、筐体201の向きを基準として、押付部273の一端を下端、他端を上端、一面を前面、他面を後面と呼ぶことにする。
押付部273は、四角形板状の上部273Aと、この上部の下端の左隅及び右隅から、それぞれ下方に延びる細長い板状の2本の下延部273B、273Cとで、全体としてコの字型板状となっている。
ここで、左右2本の下延部273B、273Cの間隔は、スライド部271Aの内側円盤部271Acの外径及び穿刺針ガイド274の外径より大きく、外側円盤部271Adの外径より小さくなっている。
また、押付部273の長さ(上部273Aの上端から左右の下延部273B、273Cの下端までの長さ)は、第2支持部292の長さとほぼ等しい。
この押付部273の上部273Aの後面には、その上端中央に、左右方向の軸孔を有する軸受部273Aaが突設されている。
一方、穿刺機構格納部204の内側の上面には、第2支持部292の前方の所定位置に、左右方向に押付部273の軸受部273Aaの幅以上の間隔を隔てて、左右方向の軸孔を有する2つの軸受部300A、300Bが突設されている。
そして、押付部273は、軸受部273Aaが、穿刺機構格納部204の左右2つの軸受部300A、300Bの間に入れられ、それぞれの軸孔に1本の支軸301が通されることにより、穿刺機構格納部204の内側の上面に、この支軸301を回転軸として前後方向に回転自在に支持される。
さらに、押付部273は、この支軸に嵌入されたトーションバネ302により、前方に回転するように付勢されている。
この押付部273は、穿刺前の初期状態のとき、後述するストッパ303により、第2支持部292の中央部292Aと平行な状態のまま回転しないように姿勢が固定されるようになっている。
このとき、スライド部271Aは、押付部の左右2本の下延部273B、273Cの間から外針203Aが前方に突出すると共に、左右2本の下延部273B、273Cにより外側円盤部271Adの前面が押さえ付けられて、穿刺バネ271Bが全圧縮の状態で、押付部273と第2支持部292の中央部292Aとの間に挟持される。
尚、このとき、スライド部271Aと、第1支持部290との間を繋ぐ引き戻しバネ271Cは、未圧縮の状態となっている。また、このとき、外針203Aとカテーテル203Bは、穿刺孔用蓋280の上延部280B内に嵌入され、外針203Aの先端が、エアベントフィルタ281の手前に位置するようになっている。
その後、穿刺孔用蓋280が外され、ストッパ303が解除されると、押付部273がトーションバネ302の力により前方に回転すると共に、圧縮された穿刺バネ271Bが元の形状に戻ろうとする力によりスライド部271Aが前方(具体的には、前方斜め下30度の方向)にスライドする。このとき、引き戻しバネ271Cは、穿刺バネ271Bの力により、伸びることになる。
押付部273の姿勢を固定するストッパ303は、図12に示すように、下側筐体201Aに回転自在に設けられ押付部273の右側の下延部273Cの前面に当接する当接部303Aと、この当接部303Aを固定及び固定解除する固定解除部303Bとを有する構成となっている。
当接部303Aは、断面略L字型の棒状でなり、L字の角に相当する箇所に軸孔が設けられている。
また、穿刺機構格納部204の上面に設けられた右側の軸受部300Bの下方に位置する下側筐体201Aの所定位置には、左右方向の軸孔を有する軸受部304が突設されている。
当接部303Aは、この軸受部304の外側に、L字の谷側を上側とする向きで、それぞれの軸孔を対向させて配置され、それぞれの軸孔に1本の支軸305が通されることにより、下側筐体201Aに、この支軸305を回転軸として前後方向に回転自在に支持される。
さらに、この当接部303Aは、支軸305に嵌入されたトーションバネ(図示せず)により、前方に回転するように付勢されている。
固定解除部303Bは、当接部303Aの外側に隣接して配置される前後方向に延びる棒状でなり、先端に、内側(すなわち当接部303A側)に突出する突出部303Baが設けられていて、後端は所定のリンク機構の一端部と連結されている。
リンク機構は、図17に示すように、その他端部306が、駆動部232の下死点位置にあるスライド板251と、固定部233の前端部233Bの間に位置する。
ここで、固定解除部303Bは、穿刺前の初期状態のとき、押付部273が第2支持部292の中央部292Aと平行な状態のまま回転しないように押付部273の右側の下延部273Cの前面に先端を当接させた状態の当接部303Aを、このままの状態を維持するように固定する。
具体的には、このとき、固定解除部303Bの先端の突出部303Baが、当接部303Aの谷部に上から当接することにより、当接部303Aが前方に回転することを防止して、当接部303Aの姿勢が固定される。
一方で、この固定を解除する場合、駆動部232のスライド板251を下死点位置よりさらに固定部233の前端部233B側へスライドさせる。すると、スライド板251により、リンク機構の他端部306が固定部233の前端部233B側へ押されて、リンク機構が駆動する。
すると、このリンク機構によって、固定解除部303Bの突出部303Baが前方向に移動し、当接部303Aの上から外れる方向に移動する。この結果、当接部303Aの固定が解除され、押付部273が前方に回転する。
穿刺機構270は、このような構成となっている。ここで、この穿刺機構270の動作について、図18を用いて詳しく説明する。
穿刺機構270は、図18(A)に示すように、穿刺前の初期状態のとき、押付部273が、スライド部271Aと穿刺バネ271Bを間に挟んで、第2支持部292と平行な状態のまま回転しないように、ストッパ303により固定されている。
このとき、穿刺バネ271Bは、全圧縮の状態で、引き戻しバネ271Cは、未圧縮の状態となっている。
また、このとき、薬液貯蔵部220に薬液を必要量充填し、穿刺針203の先端までのプライミングが終了しており、穿刺孔用蓋280が取り外され、薬液投与装置200が、使用者の体の任意の位置に貼り付けられているものとする。尚、このとき、穿刺針(外針203A及びカテーテル203B)203は、まだ全体が薬液投与装置200内に収納された状態である。
この初期状態から、押付部273を固定しているストッパ300が解除されると、図18(B)に示すように、圧縮されている穿刺バネ271Bが伸びて、スライド部271Aが、前方斜め下の穿刺孔209へと向かう方向にスライドする。
すると、このスライド部271Aと共に、外針203Aが穿刺針ガイド274に沿ってスライドし、穿刺孔209から筐体201の外側に突出して、使用者の体内に穿刺される。
またこのとき、カテーテル203Bは、外針203Aの末端に設けられたカテーテル挿通部291(図中省略)から外針203A内に挿入されている。ここで、このカテーテル挿通部291は、上述したように、外針203Aの先端から末端に向かう方向にカテーテル203Bが進むことを防げる構造となっていることから、カテーテル203Bは、外針203A内に挿入されたまま、外針203Aと共に筐体201の外部に突出して、使用者の体内に穿刺される。
その後、スライド部271Aは、穿刺針ガイド274の先端に受け止められる。すると、スライド部271Aは、穿刺針ガイド274の鋭利な刃のように尖った先端が、スライド部271AのV字の溝271Abに当たって溝271Abが裂け、スライド部271Aが内側円盤部271Acと外側円盤部271Adとに分離される。
すると、図18(C)に示すように、外側円盤部271Adは現在の位置にとどまる一方で、内側円盤部271Acは、このとき伸びた状態の引き戻しバネ271Cが元の形状に戻ろうとする力により、穿刺時とは逆方向にスライドする。
これにより、内側円盤部271Acに固定されている外針203Aは、内側円盤部271Acが穿刺時とは逆方向にスライドすることにともなって、筐体201内に引き戻される。
ここで、外針203Aの末端に設けられたカテーテル挿通部291は、カテーテル203Bが外針203Aの末端から先端に向かう方向にスライドすることは妨げない構造となっている。換言すれば、外針203Aがカテーテル203Bの先端から末端に向かう方向にスライドすることは妨げない。
また、第1支持部290の中央部290Aに設けられたカテーテル挿通部291は、カテーテル203Bが中央部290Aの前面から後面に向かう方向にスライドすることを妨げる構造となっている。
これにより、カテーテル203Bは、外針203Aが穿刺時とは逆方向にスライドしても、外針203Aと共に逆方向にスライドすることなく、その先端部分が、使用者の体内に留置されたままとなる。
かくして、使用者の体内に穿刺された外針203Aとカテーテル203Bは、カテーテル203Bを体内に残したまま、外針203Aのみが筐体201内に引き戻される。
このように、穿刺機構270は、外針203A内にカテーテル203Bを挿入した状態で、外針203Aとカテーテル203Bとを使用者の体内に穿刺した後、カテーテル203Bは体内に残したまま、外針203Aのみを体内から抜き取り、筐体201内に引き戻す。
穿刺機構270はこのように動作する。その後、駆動制御部310の制御により、使用者の体内に残されたカテーテル203Bを介して薬液が投与される。
〔1−4.駆動制御部の構成〕
駆動制御部310は、図19に示すように、マイクロコンピュータ311、電源部312、通信部313を有する構成でなり、これらがバス314を介して接続される。このバス314には、フローセンサ222及び薬液送出部230も接続される。
マイクロコンピュータ311、電源部312、通信部313は、図2に示すように、穿刺機構270の左側に配置される上下2段の基板315A、315B上に設けられる。上下の基板315A、315Bは、図示しない配線により電気的に接続される。電源部312は電池が適応される。
マイクロコンピュータ311は、CPU、ROM、RAMなどにより構成され、CPUがROMに格納される基本プログラムをRAMに読みだして実行することにより全体を統括制御するとともに、CPUがROMに格納される各種プログラムをRAMに読みだして実行することにより各種処理を実行する。
電源部312は、駆動制御部310の各部に電力を供給する。通信部313は、コントローラ400との間で通信を行う。
マイクロコンピュータ311は、コントローラ400から送信された信号を通信部313で受信すると、その信号の内容に応じて各部を動作させる。
具体的に、マイクロコンピュータ311は、薬液を投与する信号がコントローラ400から供給されると、薬液送出部230を駆動させて、スライド板251を、下死点位置から固定部233の前端部233Bに近づける方向にスライドさせることにより、ストッパ303を解除する。
すると、穿刺機構270が動作して、穿刺針(外針203A及びカテーテル203B)203が使用者の体内に穿刺され、カテーテル203Bを体内に残したまま、外針203Aが筐体201内に引き戻される。
その後、マイクロコンピュータ311は、コントローラ400から薬液投与量が示された信号を受信すると、薬液投与量で薬液を投与するために、薬液送出部230を駆動させて使用者の体内に薬液を投与する。
このとき薬液投与装置200では、薬液バッグ221に予め貯蔵された薬液が、薬液送出部230のポンプ231、フローセンサ222、カテーテル203Bなどを介して使用者の体内に投与される。
薬液を投与している間、マイクロコンピュータ311は、薬液送出部230の動作を監視するとともに、フローセンサ222の出力を介して薬液が流れているか否かを検出する。尚、マイクロコンピュータ311は、ポンプ231の送液に同期させてフローセンサ222の加熱サーミスタ224を加熱させるとともに、温度変化検知サーミスタ225A、225Bの温度変化を監視する。
そしてマイクロコンピュータ311は、薬液送出部230が正常に動作していない場合や、薬液が流れていない場合には、各部を停止させ、その旨を通信部313を介してコントローラ400に送信する。
〔1−5.コントローラの構成〕
コントローラ400は、図20に示すように、マイクロコンピュータ401、電源部402、操作部403、表示部404、通信部405により構成される。
マイクロコンピュータ401は、CPU、RAM、ROMなどにより構成され、CPUがROMに格納される基本プログラムをRAMに読みだして実行することにより全体を統括制御するとともに、CPUがROMに格納される各種プログラムをRAMに読みだして実行することにより各種処理を実行する。
電源部402は電池が適応され、各部に電力を供給する。通信部405は、薬液投与装置との間で通信を行う。
操作部403は、薬液を連続的に長時間投与するベーサルモードや薬液を一時的に投与するボーラスモードを設定するためのモードスイッチや、薬液の1時間当たりの投与量や投与時間などを設定するための数値設定スイッチである。
マイクロコンピュータ401は、操作部403に対する操作に応じた内容を表示部404に表示するとともに、その内容を示す信号を通信部405により薬液投与装置200に送信する。
また、マイクロコンピュータ401は、薬液投与装置200から送信された信号を通信部405で受信すると、この信号に応じた内容を表示部404に表示することにより使用者に通知するとともに、その内容に応じた処理を実行する。
〔1−6.まとめと効果〕
以上のように、薬液投与装置200は、外針203Aとカテーテル203Bを筐体201から突出させて使用者の体内に穿刺した後、カテーテル203Bは使用者の体内に残したまま外針203Aのみを筐体201内に引き戻す穿刺機構270を有している。
そして、この穿刺機構270は、外針203Aとカテーテル203Bを筐体201から突出させる為にスライド部271Aをスライドさせる穿刺バネ271Bとして、細長い金属線をとぐろ状に巻き、全圧縮時に平坦となるテーパーバネを用いた。
このテーパーバネは、例えば、コイルバネと比較して、全圧縮時の伸縮方向の長さを大幅に短くすることができる。
こうすることにより、薬液投与装置200は、例えば、穿刺バネ271Bにコイルバネを用いた穿刺機構と比較して、穿刺機構270の穿刺方向の長さを短くすることができ、穿刺角度を理想的に設定しても、薬液投与装置200の厚みを小さくすることができる。
実際、筐体の厚みが大きいほど、就寝時に寝返りが打てないことによる睡眠障害、対物接触面積が大きいことによる破損、衣服表面からの突出による見栄えの悪化などの懸念が生じる。
ゆえに、薬液投与装置200では、従来の薬液投与装置と比して厚みを小さくできることにより、このような懸念を払拭することができ、使用者にとって一段と使い易いものとなっている。
また、穿刺機構270は、テーパーバネである穿刺バネ271Bの内側に、外針203Aのみを筐体201内に引き戻すための引き戻しバネ271Cを配置するようにした。
すなわち、薬液投与装置200は、穿刺バネ271Bの内側に、引き戻しバネ271Cを設けるようにして、バネを二重構造とした。
こうすることにより、薬液投与装置200は、例えば、引き戻しバネ271Cと穿刺バネ271Bを並べて設けるような穿刺機構と比較して、引き戻しバネ271Cと穿刺バネ271Bを配置するのに必要なスペースを小さくすることができ、穿刺機構270を小型化することができる。
また、穿刺機構270は、スライド部271Aが穿刺針ガイド274に到達するまでスライドすると、このとき、穿刺針ガイド274の鋭利な刃のような先端が、スライド部271Aの内側円盤部271Acと外側円盤部271Adとの境界に設けられた溝271Abに当たって、溝271Abが裂けることにより、スライド部271Aを内側円盤部271Acと外側円盤部271Adとに分離するようにした。
これにより使い切りではあるものの、内側円盤部271Acと外側円盤部271Adを固定及び分離するための複雑な機構を設ける必要がなく、穿刺機構270を、小型化することができる。
さらに、穿刺機構270は、薬液送出部230のポンプ231を動作させる為にモータ250によってスライドするスライド板251をスライドさせて、押付部273を固定しているストッパ303を解除するようにした。
こうすることにより、薬液投与装置200は、例えば、ストッパ303を解除するための専用の駆動部を別途設ける必要がなく、穿刺機構270をより小型化することができる。
以上の構成によれば、薬液投与装置200は、穿刺機構270を従来の穿刺機構と比して小型化することができ、かくして従来と比して一段と容易に小型化できる。
くわえて、薬液投与装置200では、穿刺針203を、金属製の外針203Aの内側にカテーテル203Bを挿入する二重構造とした。
これにより、例えば、カテーテルを外針とする二重構造の穿刺針と比べて、容易に、穿刺針203を過剰に細くすることなくカテーテル203Bの外径を小さくすることができる。
かくして、薬液投与装置200では、穿刺針203の強度を保ちつつ、穿刺時及び留置時に使用者に与える痛みを軽減することもできると言える。
さらに、薬液投与装置200では、薬液投与装置200により瞬時に穿刺する自動穿刺方式であることにより、使用者に与える痛みをより軽減することもできる。
〔2.第2の実施の形態〕
次に第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態も、第1の実施の形態と同様、外針とカテーテルの二重構造の穿刺針を使用者の体内に穿刺して、外針のみを引き戻すものであるが、穿刺機構の構成が第1の実施の形態のものとは異なる実施の形態である。ゆえに、第1の実施の形態と同様の部分については、適宜説明を省略するものとする。
〔2−1.薬液投与システムの構成〕
図21に示すように、薬液投与システム1000は、使用者の皮膚に貼り付けられることにより保持されて使用される携帯型の薬液投与装置1200と、使用者の入力指示に応じた信号を無線通信で薬液投与装置1200に送信するコントローラ1400とを含む構成とされる。
〔2−2.薬液投与装置の外観構成〕
次に、薬液投与装置1200の外観構成について説明する。図22に示すように、薬液投与装置1200は、扁平な略直方体形状の筐体1201と、この筐体1201の底面に設けられた両面テープ等でなる貼付部1202とで構成され、この貼付部1202を介して使用者の皮膚に貼り付けられるようになっている。
この薬液投与装置1200の筐体1201の大きさは、使用者の皮膚に容易に貼り付けることができるように小型化されていて、例えば、横34mm、縦43mm、高さ12mm程度となっている。
また、薬液投与装置1200の筐体1201は、図23に示すように、下側筐体1201Aと上側筐体1201Bとで構成されている。下側筐体1201Aは上側が開口している中空の部材となっていて、上側筐体1201Bは下側が開口している中空の部材となっている。
また、上側筐体1201Bの開口と、下側筐体1201Aの開口は、同じ大きさ及び形状となっている。
そして、下側筐体1201Aの開口の縁に上側筐体1201Bの開口の縁を重ね合わせるようにして、下側筐体1201Aに上側筐体1201Bが固着される。
また、下側筐体1201Aは、前壁部1201Aa、後壁部1201Ab、左右の側壁部1201Ac、1201Adとで、開口を形成しているが、このうち、前壁部1201Aaは後壁部1201Abより低く、これに合わせて、左右の側壁部1201Ac、1201Adは、その上面が後壁部1201Ab側から前壁部1201Aa側へと下る傾斜面となっている。
つまり、下側筐体1201Aの開口の縁は後端側より前端側が低くなるように傾斜していて、これにより上側筐体1201Bは、後端側より前端側が下方に位置するように傾斜した状態で、下側筐体1201Aに固着されることになる。
さらに、下側筐体1201Aは、開口の縁に防水パッキン1203が設けられていて、これにより上側筐体1201Bと固着されたときに、上側筐体1201Bとの間から水等の液体が進入することを防ぐようになっている。
また、この下側筐体1201Aの内側の底面には、その前端中央に、使用者の体内に穿刺される穿刺針1204(図24)が通る穿刺孔1205が貫通して設けられている。
尚、穿刺針1204について詳しくは後述するが、穿刺針1204は、図24に示すように、金属製中空の外針1204Aとプラスチック製中空の内針であるカテーテル204Bとでなる二重構造の針であり、外針1204Aの内側にカテーテル204Bを挿入した状態で薬液投与装置1200の穿刺孔1205から突出して使用者の体内に穿刺される。その後、この穿刺針1204は、カテーテル1204Bを体内に残したまま、外針1204Aのみが薬液投与装置1200内に引き戻されるようになっている。
この穿刺針1204が通る穿刺孔1205は、前後方向に長い形状となっている。さらに、下側筐体1201Aの内側の底面には、穿刺孔1205の縁を囲う楕円筒状のガイド取付部1206が突設されている。
このガイド取付部1206に、穿刺孔1205へ穿刺針1204をガイドする弾性を有するエラストマーでなる穿刺針ガイド1207が取り付けられる。
穿刺針ガイド1207は、図24に示すように、楕円盤状の基部1207Aと、この楕円盤状の基部1207Aから斜め上に延びる円筒状の上延部1207Bとで構成される。
楕円盤状の基部1207Aは、その中央に厚さ方向に貫通する孔1207Ahが設けられていて、この孔1207Ahが、上延部1207Bの孔1207Bhと連通している。
尚、上延部1207Bの孔1207Bhは、円形であり、その径は、穿刺針1204の外針1204Aが通ることのできる大きさとなっている。
この穿刺針ガイド1207は、上延部1207Bが後方斜め上に延びる向きで基部1207Aがガイド取付部1206に嵌合され、ガイド取付部1206に固着される。
また、このようにして穿刺針ガイド1207がガイド取付部1206に固着されると、穿刺針ガイド1207の孔1207Ah、1207Bhと、穿刺孔1205とが連通する。
そして、穿刺針1204が、この穿刺針ガイド1207の上延部1207Bの先端から挿入され、穿刺孔1205へとガイドされるようになっている。
ここで、下側筐体1201Aの底面に対する穿刺針ガイド1207の上延部1207Bの角度は、例えば30度に設定される。この角度は、穿刺針1204が下側筐体1201Aの穿刺孔1205から突出して使用者の体内に穿刺されるときの穿刺角度である。
尚、穿刺孔1205は、穿刺針1204が真上からではなく斜め後方(例えば30度)から挿入されることになるため、上述したように、前後方向に長い形状となっている。
さらに、下側筐体1201Aの外側の底面には、穿刺孔1205を塞ぐ穿刺孔用蓋1208が取り付けられている。この穿刺孔用蓋1208は、穿刺孔1205より外径が大きい楕円盤状の基部1208Aと、穿刺針ガイド1207の上延部1207Bの内径とほぼ同径の外径を有する円筒状の上延部1208Bとで構成される。
基部1208Aは、その中央に厚さ方向に貫通する孔1208Ahが設けられていて、この孔1208Ahが、上延部1208Bの孔1208Bhと連通している。
さらに、上延部1208Bの孔1208Bh内には、基部1208Aに近い側にエアベントフィルタ1209が設けられている。
この穿刺孔用蓋1208は、上延部1208Bが、穿刺孔1205から、穿刺針ガイド1207の上延部1207Bの孔1207Bh内に嵌入されることにより、下側筐体1201Aに取り付けられ、このとき基部1208Aが穿刺孔1205を塞ぐようになっている。
ここで、穿刺孔用蓋1208は、穿刺孔1205を完全に塞ぐのではなく、エアベントフィルタ1209を介して、穿刺孔1205を空気のみが通るように塞ぐ。
ここで、薬液投与装置1200は、使用者による使用前、穿刺孔用蓋1208が取り付けられた状態であり、さらにカテーテル1204Bが挿入された状態の外針1204Aが、穿刺針ガイド1207を通り、穿刺孔用蓋1208の上延部1208Bに挿入された状態となっている。このとき、外針1204A及びカテーテル1204Bの先端は、エアベントフィルタ209の手前に位置する。
薬液投与装置1200は、穿刺孔用蓋1208にエアベントフィルタ1209を設けることによって、使用前のプライミング(穿刺針1204内を薬液で満たす処理)時に、カテーテル1204Bに流した薬液が、カテーテル1204Bの先端から穿刺孔1205を通って外部に漏れることなく、カテーテル1204B内に存在する空気だけを外部に排出することができる。
尚、この穿刺孔用蓋1208は、プライミング終了後、薬液投与装置1200を使用者の体内に貼り付ける前に、取り外される。
さらに、下側筐体1201Aの内側の底面には、図23に示すように、穿刺孔1205の横に、後述する薬液貯蔵部1230に薬液を注入するときに利用される注入口1210が設けられている。
一方、上側筐体1201Bは、中央より前側が前端に近いほど高さが低くなる先細り形状となっていて、上面の中央から前端までの部分(これを前部と呼ぶ)が湾曲している。さらに、上側筐体1201Bには、上面の前部中央に、前後方向に長い長方形状の開口1220が設けられていて、この開口1220から、穿刺針1204の穿刺深さを調整するためのツマミ1221が外側に突出するようになっている。
また、上側筐体1201Bには、開口1220とツマミ1221を覆う、着脱可能な防水キャップ1222が設けられていて、この防水キャップ1222を外すことでツマミ1221を操作することができ、ツマミ1221を操作しないときにはこの防水キャップ1222を取り付けることで、開口1220とツマミ1221の隙間から筐体1201内に水等が進入することを防ぐようになっている。
また、詳しくは後述するが、下側筐体1201Aには、その内側に、薬液を貯蔵する薬液貯蔵部1230が設けられていて、上側筐体1201Bには、薬液貯蔵部1230から穿刺針1204へと薬液を送出する薬液送出部1250と、穿刺針1204を穿刺する穿刺機構1280と、薬液投与装置1200の駆動を制御する駆動制御部1310が設けられている。
〔2−3.薬液投与装置の内部構成〕
〔2−3−1.薬液貯蔵部の構成〕
次に、薬液投与装置1200の内部構成について説明する。まず、下側筐体1201A内に設けられる薬液貯蔵部1230について説明する。
薬液貯蔵部1230は、図25に示すように、薬液バッグ1231と、フローセンサ1232とでなり、薬液バッグ1231が、下側筐体1201A内の中央に設けられ、フローセンサ1232が、下側筐体1201A内の後端に設けられている。
薬液バッグ1231は、下側筐体1201A内側の底面の前端に設けられた穿刺孔1205及び注入口1210と、下側筐体1201A内の後端に設けられたフローセンサ1232との間の空間を占有する大きさでなり、例えば、ポリウレタン、塩化ビニル、ポリエチレン等でなる2枚のシート1231A及び1231Bで形成される。
2枚のシート1231A及び1231Bは、それぞれ開口が円形のハット状(鍋状とも言う)にフォーミング成型された後に、それぞれの縁(ハットのつば部分)が融着されることで一体となっている。
尚、このようにして2枚のシート1231A及び1231Bの縁を融着するとき、2枚のシート1231A及び1231Bにより形成される内部空間と外部とを連通させる2本のノズル1231C及び1231Dを、2枚のシート1231A及び1231Bの縁の間に挟み込んだ状態で、それぞれの縁を融着するようになっている。
尚、2本のノズル1231C及び1231Dは、薬液バッグ1231の一端側と他端側とに対向配置される。
このうち、一方のノズル1231Cは、下側筐体1201Aの注入口1210に嵌入されている中空の注入部1211に接続され、この注入部1211の中を通って、薬液投与装置1200の外部から薬液バッグ1231内に薬液が注入されるようになっている。
尚、注入部1211は、図26に示すように、内部の注入口1210に近い側に、例えば合成ゴムなどで形成されるゴム栓1211Aが嵌入されていて、実際、外部から薬液バッグ1231に薬液を注入するときには、まず、注入部1211のゴム栓1211Aに外部から薬液注入用の中空の針を刺してゴム栓1211Aを貫通させる。
すると、この中空の針が、注入部1211を介して薬液バッグ1231のノズル1231Cと連通され、この針の先から送出された薬液が注入部1211の中を通って薬液バッグ1231に注入される仕組みとなっている。
また、このゴム栓1211Aは、ゴム栓1211Aの外周に当接している注入部1211によって内側に押圧する力が加えられていることにより、薬液注入用の針が抜き取られた後、この針によって形成された孔が閉じるようになっている。
これにより、ゴム栓1211Aは、薬液バッグ1231内に注入された薬液が注入部1211を介して薬液投与装置1200の外に漏れだすことを防ぐと共に、注入部から水等の液体が薬液投与装置1200内に進入することを防ぐようにもなっている。
これに対して、他方のノズル1231Dは、図25に示すように、流路管1233を介して、後述する薬液送出部1250のポンプのイン流路に接続されていて、このポンプが駆動することにより、薬液バッグ1231内の薬液がポンプへと送出されるようになっている。
このようにして形成される薬液バッグ1231は、薬液が充填されていないときには、図25(A)に示すように、下側のシート1231Bの内側に上側のシート1231Aが収まるように、上側のシート1231Aと下側のシート1231Bが重なり合って折り畳まれた状態となる。このとき、上側のシート1231Aの中央部分と下側のシート1231Bの中央部分は共に下方に窪んでいて、上側のシート1231Aと下側のシート1231Bとで形成される内部空間は最小となる。
この状態から薬液バッグ1231に薬液が注入されると、上側のシート1231Aの中央部分が、下側のシート1231Bの中央部分から離れる方向に変形していくことで、薬液バッグ1231が膨らんでいく。
そして、或る時点で、上側のシート1231Aの中央部分の窪み方向が、下方から上方へと変わり、その後、さらに上側のシート1231Aの中央部分が下側のシート1231Bの中央部分から離れる方向に変形していき、図25(B)に示すように、最終的に略円柱状となるまで膨らむ。このとき、上側のシート1231Aと下側のシート1231Bとで形成される内部空間は最大となる。
このように薬液バッグ1231は、折り畳まれた状態から略円柱状となるまで膨らむことができ、シート1231A及び1231Bの中央部分から縁に近い部分までを同程度に膨らませることができる。
これにより、薬液バッグ1231は、下側筐体1201A内に無駄な隙間ができないように膨らむことができる。
ところで、従来から有る例えば2枚のフィルムの縁を融着しただけの薬液バッグの場合、2枚のフィルムの中央部分の膨らみと比べて縁に近い部分の膨らみが小さくなってしまう。
これに対して、薬液バッグ1231は、上述したように、シート1231A及び1231Bの中央部分から縁に近い部分までを同程度に膨らませることができるので、従来の薬液バッグと比較して、同容量であれば、より小型の下側筐体1201A内に設けることができる。
薬液バッグ1231は、内部に充填された薬液をノズル1231Dを介してポンプに送出すると、下側のシート1231Bの内側に上側のシート231Aが収まるように、上側のシート1231Aと下側のシート1231Bが重なり合って折り畳まれた状態となるまでしぼんでいく。
このとき、薬液バッグ1231は、上側のシート1231Aと下側の1シート231Bがほぼ隙間無く重なった状態となり、これにより、薬液を内部に残すことなくポンプに送出することができる。
一方、薬液バッグ1231の後方に配置されるフローセンサ1232は、後述するポンプのアウト流路と穿刺針1204との間を繋ぐ流路管1234(1234A、1234B)の途中に設けられていて、ポンプから穿刺針1204へと送出される薬液の流れを検知する。
このフローセンサ1232は、図27に示すように、流路管1234(1234A、1234B)より外径の大きい円盤状の一端部1232A及び他端部1232Bと、これら一端部1232Aと他端部1232Bの間に設けられ、これら一端部1232A及び他端部1232Bと同程度の外径を有する円柱状の中央部1232Cとを有する構成であり、全体として、流路管1234より外径の大きい略円柱状となっている。
一端部1232A及び他端部1232Bには、それぞれ外側の面の中央に、流路管1234と接続するための円筒状の接続部1235A、1235Bが設けられていて、この接続部1235A、1235Bの中心を通る孔が、一端部1232A及び他端部1232Bを貫通するようになっている。
また、このフローセンサ1232は、一端部1232Aの接続部1235Aが、穿刺針と繋がっている流路管1234Aに接続され、他端部1232Bの接続部1235が、ポンプのアウト流路と繋がっている流路管1234Bに接続されるようになっている。
一端部1232Aと他端部1232Bの間の中央部1232Cは、その中心に、流路管1234と同程度の外径を有する3つのステンレス管Su1、Su2、Su3とこれらを繋ぐ2本のシリコンチューブSt1、St2とでなるセンサ部1232Caが設けられ、さらにこのセンサ部1232Caの外周が、発砲ウレタン等でなる熱絶縁体1232Cbで被覆されたものとなっている。
センサ部1232Caは、一端側からステンレス管Su1と中央のステンレス管Su2が一方のシリコンチューブSt1で繋げられ、さらに中央のステンレス管Su2と他端側のステンレス管Su3が他方のシリコンチューブSt2で繋げられている。
またセンサ部1232Caは、一端側のステンレス管Su1が一端部1232Aの孔と連通していると共に、他端側のステンレス管Su3が、他端部1232Bの孔と連通していて、このセンサ部1232Ca内を、ポンプのアウト流路と穿刺針1204との間を流れる薬液が通るようになっている。
さらに、中央のステンレス管Su2には、その表面に、加熱用のサーミスタ(これを加熱サーミスタと呼ぶ)1236が設けられ、一端側のステンレス管Su1と、他端側のステンレス管Su3には、それぞれその表面に、温度変化検知用のサーミスタ(これを温度変化検知サーミスタと呼ぶ)1237A、1237Bが設けられている。
さらに、これら3つのサーミスタ1236、1237A、1237Bは、それぞれ2本の配線を介して、上側筐体1201Bの駆動制御部1320と接続されていて、この駆動制御部1320により加熱サーミスタ1236が加熱制御されると共に、温度変化検知サーミスタ1237A、1237Bの出力をもとに温度変化が検知されるようになっている。
フローセンサ1232は、このような構成でなり、加熱サーミスタ1236によって中央のステンレス管Su2を加熱し、このときの両端のステンレス管Su1、Su3の温度変化を、両端のステンレス管Su1、Su3に取り付けられた温度変化検知サーミスタ237A、237Bで検知する。
実際、中央のステンレス管Su2を加熱したときに、3つのステンレス管Su1、Su2、Su3の中を薬液が流れていなければ、両端のステンレス管Su1、Su3の温度変化検知サーミスタ237A、237Bの出力は等しくなる。
これに対して、例えば、一端側のステンレス管Su1から他端側のステンレス管Su3への方向に薬液が流れている場合、中央のステンレス管Su2を加熱したときに、上流側となる一端側のステンレス管Su1の温度変化検知サーミスタ1237Aの温度よりも、下流側となる他端側のステンレス管Su3の温度変化検知サーミスタ1237Bの温度の方が高くなる。
ゆえに、両端の温度変化検知サーミスタ1237A、1237Bの出力の差分を取れば、雰囲気温度の影響を排除してフローセンサ1232内を薬液が流れているかどうかを判別でき、このようにして、フローセンサ1232では、ポンプから穿刺針1204へと送出される薬液の流れを検知できるようになっている。
〔2−3−2.薬液送出部の構成〕
次に、上側筐体1201B内に設けられる薬液送出部1250について説明する。薬液送出部1250は、図28に示すように、ポンプ1251及びポンプ1251を駆動させる駆動部1252と、これらを上側筐体1201Bに固定する断面コの字型の固定部1253とを有する構成となっていて、上側筐体1201Bの後部に取り付けられる。
固定部1253は、四角形板状の一端部1253A及び他端部1253Bとこれらの間に位置する板状の中央部1253Cとでなり、全体として断面コの字型をなしている。
この固定部1253は、上側筐体1201B内側の上面の後端に、中央部1253Cの外面を上側、一端部1253Aを左側、他端部1253Bを右側とする向きで、中央部1253Cの外面を取付面として取り付けられる。
尚、説明を簡単にするため、以降、筐体1201の向きを基準として、固定部1253の一端部1253Aを左端部1253A、他端部1253Bを右端部1253Bと呼ぶことにする。
この固定部1253に固定されるポンプ1251は、図29及び図30に示すように、シリンダ部1254、ピストン1255、蓋部1256(1256A、1256B)、一方向弁1257(1257A、1257B)、Xリング1258、Xリング固定部1259を有する構成となっている。
シリンダ部1254は、直方体の対向する両側面の中央部から一端部までを四角形板状に切り欠いたような断面T字形状でなり、その内部には、T字の上端に相当する一端面からT字の下端に相当する他端面への方向に延びる円柱形状の内部空間1254Aが設けられている。
この内部空間1254Aは、その一端がピストン挿入口1254Bとしてシリンダ部1254の一端側の面から露出していて、このピストン挿入口1254Bから、例えば直径が1.03mmの円柱形状でなるピストン1255が挿入されるようになっている。
ピストン1255は、駆動部1252(図28)の駆動によりこの内部空間1254A内を所定のストロークで摺動するようになっている。尚、ピストン1255の材質としては、例えば、ステンレス鋼、銅合金、アルミ合金、チタン材、ポリプロピレンやポリカーボネートなどの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
また、シリンダ部1254の一端側には、図29(B)に示すように、ピストン挿入口1254Bの周囲に、ピストン1255との間で薬液の漏洩を防止するXリング1258を嵌入するための嵌入溝1254Cが形成されていて、この嵌入溝1254Cに、Xリング1258が嵌入されている。
さらに、シリンダ部1254の一端には、嵌入溝1254Cに嵌入されたXリング1258を固定するXリング固定部1259が取り付けられる。このXリング固定部1259は、シリンダ部1254の一端側の面と同大の面を有する四角形板状でなり、その中央に、ピストン挿入口と同大の孔1259Aが形成されていて、シリンダ部1254の一端に取り付けられたときに、ピストン1255の摺動を妨げないようにXリング1258を固定する。
さらにシリンダ部1254内には、図30に示すように、内部空間1254Aの他端に、この内部空間1254Aと直行するようにして接続される流路(これをシリンダ内流路と呼ぶ)1254Dが設けられている。
これにより、ピストン1255は、先端が、内部空間1254Aからシリンダ内流路1254Dに入り込んでシリンダ内流路1254Dに突き当たるまで摺動することができる。また、このように、ピストン1255の先端が、シリンダ内流路1254Dに突き当たったとき、ピストン1255によって、シリンダ内流路1254Dが塞がれる。
くわえて、シリンダ内流路1254Dは、その両端がシリンダ部1254の両側面の中央部から露出している。
シリンダ部1254の両側面には、図29(B)に示すように、それぞれ四角形板状に切り欠かれた部分に収まるようにして四角形板状の蓋部1256A、1256Bが取り付けられる。尚、シリンダ部1254は、2つの蓋部1256A、1256BとXリング固定部1259が取り付けられたときに、図29(A)に示すように、全体として略直方体形状となる。
蓋部1256A及び1256Bにも、図30に示すように、それぞれ内部に流路(これを蓋内流路と呼ぶ)1256Aa、1256Baが設けられていて、シリンダ部1254の側面に取り付けられたときに、それぞれの蓋内流路1256Aa、1256Baの一端が、シリンダ部1254のシリンダ内流路1254Dと接続されるようになっている。
さらに蓋部1256A及び1256Bには、それぞれその他端面(シリンダ部1254の他端面と同一平面となる面)に、流路管1233、1234Bと接続するための円筒状の1ノズル256Ab、1256Bbが設けられていて、これらノズル1256Ab、1256Bbの中心を通る孔が、それぞれ蓋内流路1256Aa、1256Baの他端と繋がっている。
さらに、シリンダ部1254の両側面と、この両側面と対向する蓋部1256A、1256Bの取付面には、それぞれシリンダ内流路1254Dと蓋内流路1256Aa、1256Baとの間で薬液の流れる方向を制限する一方向弁1257A、1257Bを保持するための嵌入溝1260A、1260Bが形成されている。
一方向弁1257A、1257Bは、それぞれシリンダ部1254の両側面と蓋部1256A、1256Bとの間に挟み込まれるようにして、シリンダ部1254の両側面と蓋部1256A、1256Bの取付面に形成された嵌入溝1260A、1260Bに嵌入される。
このとき、一方向弁1257A、1257Bは、それぞれシリンダ内流路1254Dと蓋内流路1256Aa、1256Baとの間に介在して保持される。
尚、図30に示す、2つの蓋部1256A、1256Bの蓋内流路1256Aa、1256Baのうち、一方の蓋部1256Aの蓋内流路1256Aaは、シリンダ部1254の内部空間1254Aに薬液を吸入するためのイン流路である。
他方の蓋部1256Bの蓋内流路1256Baは、シリンダ部1254の内部空間1254Aに吸入された薬液を送出するためのアウト流路である。
シリンダ内流路1254Dとイン流路1256Aaとの間に介在する一方向弁1257Aは、イン流路1256Aaからシリンダ内流路1254Dへの方向には薬液を通過させ、シリンダ内流路1254Dからイン流路1256Aaへの方向には薬液を通過させないものであり、例えばアンブレラ弁が適応される。
また、シリンダ内流路1254Dとアウト流路1256Baとの間に介在する一方向弁1257Bは、シリンダ内流路1254Dからアウト流路1256Baへの方向には薬液を通過させ、アウト流路1256Baからシリンダ内流路1254Dへの方向には薬液を通過させないものであり、例えばアンブレラ弁が適応される。
ポンプ1251は、このような構成でなり、図28に示すように、固定部1253の内側に固定される。具体的に、ポンプ1251は、固定部1253に対して、イン流路1256Aa側の蓋部256Aが取り付けられた側面を上側、アウト流路1256Ba側の蓋部1256Bが取り付けられた側面を下側、ピストン1255が突出する側の一端面を左側、イン流路1256Aaのノズル1256Abとアウト流路1256Baのノズル1256Bbが突出する側の他端面を右側とする向きで、固定部1253の右端部1253Bの内面に、ポンプ1251の他端面を当接させて固定される。
ここで、ポンプ1251の他端面に設けられているイン流路1256Aaのノズル1256Abとアウト流路1256Baの1ノズル256Bbは、それぞれ固定部253の右端部1253Bに設けられたノズル用孔1261A、1261B(図31)を通り、右端部1253Bの外面から固定部1253の外側に突出するようになっている。
尚、固定部1253の右端部1253Bの外面には、駆動部1252のモータ1270も取り付けられるため、ノズル用孔1261A、1261Bは、モータ1270と干渉しないように、モータ1270の取付位置よりも奥側に設けられている。
ポンプ1251は、このようにして固定部1253に取り付けられていて、固定部1253の外側に突出しているイン流路1256Aaのノズル1256Abが、流路管1233を介して薬液バッグ1231と接続される。また、アウト流路1256Baのノズル256Bbが、流路管1234Bを介してフローセンサ1232と接続され、さらにこのフローセンサ1232を経由して穿刺針1204のカテーテル1204Bと接続される。
またポンプ1251は、ピストン1255が突出する側の一端面と、固定部1253の左端部1253Aの内面との間に、ピストン1255が摺動するのに十分な間隔を空けて、固定部1253に固定される。
このようにして固定部1253により筐体1201に固定されるポンプ1251は、駆動部1252の駆動によりピストン1255がシリンダ部1254の内部空間1254A内を上死点から下死点まで移動すると、これにともなって、薬液バッグ1231に貯蔵された薬液をイン流路1256Aaを介して内部空間1254A内に吸入する。
その後、ポンプ1251は、駆動部1252の駆動によりピストン1255が下死点から上死点まで移動すると、これにともなって、内部空間1254A内に吸入した薬液をアウト流路1256Baから送出する。アウト流路1256Baから送出された薬液は、フローセンサ1232を通り、穿刺針1204のカテーテル1204Bを介して、使用者の体内へ投与される。
このポンプ1251は、ピストン1255を一往復させる動作で例えば約1〜2μLの薬液を使用者の体内に投与でき、この動作を設定された周期及び間隔で繰り返し行うことにより、所望の投与速度及び投与量で薬液を使用者に投与できるようになっている。
このポンプ1251のピストン255を摺動させる駆動部1252は、図28に示すように、モータ1270と、スライド板1271を有する構成となっている。
モータ1270は、図28(B)及び図31に示すように、円筒状の本体部1270Aと、本体部1270Aの一端面から突出するモータ軸1270Bとを有していて、本体部1270Aの一端面を左側、他端面を右側とする向きで、固定部1253の右端部1253Bに設けられた、モータ取付孔1272に、本体部1270Aの一端部(軸受凸部)を嵌入させて固定される。
このようにして固定されたとき、本体部1270Aは、一端面が、固定部1253の右端部1253Bの内面と同一平面となり、モータ軸1270Bが、固定部1253の内側に突出する。
固定部1253の内側に突出するモータ軸1270Bは、固定部1253の右端部1253Bから左端部1253Aまで達していて、さらに、左端部1253Aに設けられたモータ軸受孔1273を通り、その先端が左端部1253Aの外面から突出するようになっている。
尚、固定部1253の内側には、上述したように、ポンプ1251が取り付けられるため、固定部1253の右端部1253Bに設けられたモータ取付孔1272は、固定部1253の内側に突出するモータ軸1270Bがポンプ1251と干渉しないように、ポンプ1251の取付位置よりも手前側に設けられている。
すなわち、固定部1253の内側には、手前側にモータ軸1270B、奥側にポンプ1251が位置する。このように、ポンプ1251と、モータ軸1270Bを並設することで、薬液送出部1250の前後方向の長さを抑えることができる。
さらに、固定部1253の右端部1253Bの内面には、モータ軸1270Bの側面の手前側半分を覆う軸カバーScが取り付けられている。
軸カバーScは、モータ軸1270Bの外径より太い内径を有する円筒を半分に竹割りしたような断面半円弧状でなり、固定部1253の右端部1253Bの内面から左端部1253Aの内面まで延び、両端が固定されている。
また、詳しくは後述するが、この軸カバーScには、穿刺機構1280の引き戻しバネの一端が固定されるようにもなっている。
モータ軸1270Bは、側面全体のうち、固定部1253の右端部1253Bから左端部1253Aの間に位置する部分に、ネジ溝が形成されている。
モータ軸1270Bは、固定部1253の左端部1253Aの外面から突出している先端が、板バネ状のバネ押付部1274により、軸方向に押さえ付けられている。このように、モータ軸1270Bを軸方向に押さえ付けることにより、モータ1270を駆動させたときのトルクのばらつきを低減できる。
スライド板1271は、固定部1253の左端部1253Aの内面と同程度の大ささの面を有する板状でなり、固定部1253の左端部1253Aとポンプ1251の一端面との間を、これらと平行にスライドできるようになっている。
具体的に、このスライド板1271は、図31に示すように、ポンプ1251の一端面と対向する一面の奥側の位置にピストン1255の先端が固定され、さらに一面の手前側の位置にネジ孔1271Aが設けられ、このネジ孔1271Aにモータ軸1270Bが挿通され、ネジ孔1271Aとモータ軸1270Bのネジ溝が嵌合するようになっている。すなわち、スライド板1271は、モータ軸1270Bに螺合されている。
このスライド板1271は、モータ軸1270Bが回転すると、このとき固定部1253の中央部1253Cにスライド板1271の一側面が当接してスライド板1271自体の回転が妨げられることによって、モータ軸1270Bの軸方向にスライドする。このとき、スライド板1271のスライドにともなって、スライド板1271に固定されているピストン1255が軸方向に移動する。
尚、スライド板1271には、図31に示すように、軸カバーScを通す半円弧状の孔1271Bが設けられ、この孔1271Bに軸カバーScが挿通されていることにより、軸カバーScが、スライド板1271のスライドに干渉しないようになっている。
このような構成でなる駆動部1252は、モータ1270を駆動させてモータ軸1270Bを回転させることにより、モータ軸1270Bに螺合されているスライド板1271を軸方向にスライドさせて、ピストン1255を軸方向に移動させる。
駆動部1252は、このようにピストン1255を移動させることで、ピストンを上死点と下死点との間で往復運動させる。
ところで、ピストン1255をシリンダ部1254内の最も奥まで押し込んだとき、シリンダ部1254の先端は、上述したように、内部空間1254Aを通り過ぎて、その先のシリンダ内流路1254Dの壁に突き当たる。このとき、シリンダ内流路1254Dは、ピストン1255に塞がれて閉じた状態となる。
この突き当たりの位置をピストン1255の上死点とすると、このときシリンダ内流路1254Dを薬液が流れなくなってしまうため、上死点は、この位置より内部空間1254A側の位置に設定することが望ましい。
そこで、ポンプ1251では、例えば、内部空間1254Aとシリンダ内流路1254Dとの境界線がピストン1255の上死点として設定されている。
つまり、ピストン1255は、内部空間1254Aとシリンダ内流路1254Dの境界線を上死点として、上死点と下死点との間で往復運動するようになっている。
尚、薬液投与装置1200は、フリーフローなど薬液の流れの異状を検出すると、薬液の流れをほぼ停止させるために、ピストン1255をシリンダ部1254内の最も奥まで押し込んでシリンダ内流路1254Dを閉じることができるようにもなっている。
また、駆動部1252は、上述したように、固定部1253の左端部1253Aとポンプ1251の一端面との間でスライド板1271をスライドさせることで、ピストン1255を上死点と下死点との間で往復運動させる。
このようにピストン1255を往復運動させる間、スライド板1271は、ピストン1255が下死点に位置するときに、固定部1253の左端部1253Aに最も近づくことになる。このときのスライド板1271の位置を下死点位置(図31)と呼ぶことにする。
スライド板1271は、下死点位置までスライドしても、固定部1253の左端部1253Aと接触はせず、この下死点位置からさらに左端部1253A側へスライドできるように、左端部1253Aとの間に間隔を隔てている。
そして実際、駆動部1252は、詳しくは後述するが、スライド板1271を下死点位置よりさらに固定部1253の左端部1253A側へスライドさせることにより、穿刺機構1280のスライド部(後述する)のスライドを制限するストッパを可動させることができるようになっている。
〔2−3−3.穿刺機構の構成〕
次に、上側筐体1201B内に設けられる穿刺機構1280について説明する。穿刺機構280は、図32に示すように、外針1204Aとカテーテル1204Bの二重構造でなる穿刺針1204を保持してスライドする中心部1281と、中心部1281のスライドをガイドするガイド部1282と、穿刺針1204の穿刺深さを調整するための穿刺深さ調整部1283とを有する構成となっている。
ガイド部1282は、中心部1281のスライドをガイドする所定長さの直線状の複数のガイド棒1282A、B、…(例えば、図34(A)に示すように、1282A、1282B、1282Cの3本)と、これら複数のガイド棒1282A、1282B、1282Cを上側筐体201Bに固定する固定部1282D及び1282E(図32)とを有する構成となっている。
固定部1282Dは、四角形板状の中央部1284と、この中央部1284の一端から中央部1284に対して直角に延びる四角形板状の一端部1285とでなり、全体として、一枚の板状部材をL字に折り曲げたような断面L字型をなしている。
この固定部1282Dは、上側筐体1201Bの後部に取り付けられている薬液送出部1250の固定部1253の前方に、この固定部1253と隣接して、一端部1285の外面を上側、中央部1284の内面を前側とする向きで、上側筐体1201B内側の上面に一端部1285の外面を取付面として取り付けられる。
固定部1282Eは、四角形板状の中央部1286と、この中央部1286の一端から中央部1286に対して直角に延びる四角形板状の一端部1287とでなり、全体として、一枚の板状部材をL字に折り曲げたような断面L字型をなしている。
この固定部1282Eは、上側筐体1201Bにおける穿刺深さ調整部1283の前方に、中央部1286の内面を前側とする向きで、上側筐体1201B内側の上面に一端部1287の外面を取付面として取り付けられる。
ここで、筐体1201の向きを基準として、中央部1284、1286の内面を前面、一端部1285、一端部1287をそれぞれ上端部1285、上端部1287と呼ぶことにする。
固定部1282Dの中央部1284には、図33に示すように、前面中央に厚さ方向に貫通する中央孔1284Aが設けられ、さらにこの中央孔1284Aの右側近傍に、厚さ方向に貫通する右側孔1284B(図32)が設けられている。これらの役割については後述するが、これら中央孔1284A、及び右側孔1284Bは、ともに穿刺バネ1281Bの内側に位置するようになっている。
3本の弾性を有するガイド棒1282A〜1282Cは、中央部1284前面の中央孔1284Aの周囲に、それぞれの一端が固定され、中央部1286後面の中央孔1286Aの周囲に、それぞれの他端が固定され、それぞれ中央部1284の前面と直交して前方に延びている。
そして、詳しくは後述するが、中心部1281が、これら3本のガイド棒1282A〜1282Cに沿ってスライドするようになっている。
尚、固定部1282D、1282Eは、3本のガイド棒1282A〜1282Cを上側筐体1201Bの上面と平行に固定する。
ゆえに、3本のガイド棒1282A〜1282Cは、後端側より前端側が下方に位置するように傾斜している上側筐体1201Bの上面と共に、傾斜するようになっている。
尚、ここでは、上側筐体1201Bの上面が、下側筐体1201Aの底面に対して穿刺角度に合わせて30度に傾斜していて、3本のガイド棒1282A〜1282Cも同様に、下側筐体201Aの底面に対して30度に傾斜している。
ゆえに、穿刺機構1280の前後方向は、穿刺角度に合わせて30度傾斜しているものとする。
中心部1281は、図33に示すように、外針1204A及びカテーテル1204Bを保持してスライドするスライド部1281Aと、スライド部1281Aをスライドさせて外針1204Aとカテーテル1204Bを筐体1201から突出させて穿刺するための穿刺バネ1281Bと、穿刺された外針1204Aとカテーテル1204Bのうち、外針1204Aのみを筐体1201内に引き戻すための引き戻しバネ1281Cとを有する構成となっている。
さらに、スライド部1281Aは、外針1204Aと固定され外針1204Aとともにスライドする外針スライド部1290と、穿刺バネ1281Bと固定され穿刺バネ1281Bの力により外針スライド部1290を挟持してスライドさせる挟持部1291とを有する構成となっている。
外針スライド部1290は、図33及び図34に示すように、3本のガイド棒1282A〜1282Cの内側に収まる略円筒状でなる中央部1290Aと、この中央部1290Aの側面から突出する薄板状の3つの突出部1290B、1290C、1290Dとで構成される。
中央部1290Aは、さらに図34及び図35に示すように、一端部1290Aa、他端部1290Ab、これらの間の中間部1290Acとでなり、一端部1290Aaと他端部1290Abは、それぞれ3本のガイド棒1282A〜1282Cの内側に収まる大きさの外径を有していて、中間部1290Acの外径はこれらより小さくなっている。
すなわち、このことは、中央部1290Aの側面の、一端部1290Aaと他端部1290Abとの間の部分に、断面コの字型の溝が周方向に沿って形成されていることと等しい。
そして、外針スライド部1290は、図33に示すように、3本のガイド棒1282A〜1282Cの内側に、一端部1290Aaを前側、他端部1290Abを後側とする向きで配置される。
ここで、筐体1201の向きを基準として、外針スライド部1290の一端部1290Aaを前端部1290Aa、他端部1290Abを後端部1290Abと呼ぶことにする。
3つの突出部1290B〜1290Dは、図34に示すように、それぞれ薄板状でなり、外針スライド部1290の前端部1290Aaの側面に、それぞれ周方向にほぼ一定の間隔を空けて、中央部1290Aの軸方向と平行に突設されている。
また、3つの突出部1290B〜1290Dは、それぞれ中央部1290Aの軸方向に平行な一面の先端近傍に、支軸1292が中央部1290Aの軸方向に直交する方向に突設されている。
さらに図33に示すように、中央部1290Aの後端部1290Abの側面には、突出部よりも突出量が小さい凸部1293Aが設けられている。
さらに、外針スライド部1290の中央部1290Aには、図33に示すように、その中心軸を通る孔1290Adに、前端部1290Aa側から外針1204Aの末端部分が挿入され固定されている。すなわち、外針1204Aは、末端部分を除くほぼ全部分が外針スライド部1290の前端部1290Aaから前方に突出するようにして外針スライド部1290に固定されている。
一方、カテーテル1204Bは、固定部1282Dの中央部1284の中央孔1284Aの後方から中央孔1284Aに通され、外針スライド部1290に固定されている外針1204Aの末端から、外針1204A内に挿入されるようになっている。
さらに、外針スライド部1290の中央部1290Aは、凸部1293Aに、前後方向に伸縮する引き戻しバネ1281Cの一端が固定されている。
この引き戻しバネ1281Cは、固定部1282Dの中央部1284に設けられた中央孔1284Aより十分小さな外径を有するコイルバネであり、その他端が、固定部1282Dの中央孔1284Aを通り、この中央孔1284Aの後方に位置するモータ軸1270Bの軸カバーScの側面に固定されている。
つまり、外針スライド部1290は、この引き戻しバネ1281Bを介して、軸カバーScと連結していることになる。
尚、外針スライド部1290の中央部1290Aの中心軸から突出部1290B〜1290Dの先端までの長さの2倍を、外針スライド部1290の外径とする。
挟持部1291は、図34に示すように、3つのアーム1291A〜1291Cで構成される。アーム1291A〜1291Cのそれぞれは、図35(A)にも示すように、先端が尖った角棒状の部材をへの字型に折り曲げたような形状でなり、それぞれ、細長い角棒状の基部1296と、この基部1296の一端から鈍角に延びる細長い板状の先端部1297とでなる。
ここで、アーム1291A〜1291Cは、それぞれ基部1296及び先端部1297の各面のうち、への字の谷側となる面を正面、への字の山側となる面を背面とする。またアーム1291A〜1291Cは、正面から背面までの長さを厚さ、一側面から他側面までの長さを幅とする。
アーム1291A〜1291Cの基部1296は、背面の一端近傍に、断面U字型のU字溝1296Aが、一側面から他側面にかけて幅方向に設けられている。このU字溝1296Aは、外針スライド部1290の突出部1290B〜1290Dに突設された支軸1292を嵌入するための溝であり、この支軸1292の径に合わせた大きさとなっている。
また、基部1296は、正面の他端近傍に、断面V字型のV字溝1296Bが、一側面から他側面にかけて幅方向に設けられている。
一方、先端部1297は、先端にいくほど厚さが薄くなるように尖った断面V字形状となっている。
このような構成でなるアーム1291A〜1291Cは、正面を前側、背面を後側とする向きで、外針スライド部1290の中央部1290Aに取り付けられる。
このとき、アーム1291A〜1291Cのそれぞれは、基部1296が中央部1290Aから遠い側、先端部1297が近い側となる向きで、U字溝1296Aに、外針スライド部1290の突出部1290B〜1290Dのそれぞれに設けられた支軸1292が嵌入されることにより、この支軸1292を回転軸として、外針スライド部1290に回転自在に支持される。
ここで、アーム1291A〜1291Cは、図35(A)に示すように、先端部1297の先端が、外針スライド部1290の前端部1290Aaから前方に突出している外針1204Aの側面に当接するまで回転できるようになっていて、このとき、U字溝1296Aの開口方向が、中央部1290Aの軸方向に対して30度程度傾くようになっている。
尚、U字溝1296Aの開口方向とは、U字の下端から上端へ向かう方向のことであり、この開口方向が、中央部1290Aの軸方向に対して30度程度傾くと、U字溝1296Aの底より開口の方が、中央部1290Aの中心軸から遠い位置となる。
尚、中央部1290Aの中心軸からアーム1291A〜1291Cの末端までの長さの2倍を、挟持部1291の外径とする。
さらに、図36(B)に示すように、これら3つのアーム1291A〜1291Cのうちの1つ(例えば1291A)には、基部1296の後面に設けられたU字溝1296Aの下方に、基部1296の後面から突出する断面L字型の突出部1296Cが設けられている。
この突出部1296Cに、紐1294の一端が固定されている。この紐1294は、その他端が、中央部1290Aより後方に位置するカテーテル1204Bの所定箇所に固着されている筒状の紐固定部1295に固定されている。
この紐1294は、詳しくは後述するが、外針スライド部1290及び挟持部1291が前方にスライドしたときに、外針スライド部1290及び挟持部1291と共にカテーテル1204Bが前方に進むように、カテーテル1204Bを前方に引っ張るためのものである。
さらに、図33に示すように、これら3つのアーム1291A〜1291Cの後面と、固定部1282Dの中央部1284の前面との間には、前後方向に伸縮する穿刺バネ1281Bが設けられる。
穿刺バネ1281Bは、内径が、外針スライド部1290の外径(中央部1290Aの中心軸から突出部1290B〜1290Dの先端までの長さの2倍)より大きく、外径が、挟持部1291の外径(中央部1290Aの中心軸からアーム1291A〜1291Cの末端までの長さの2倍)より小さい、円筒状のコイルバネである。
この穿刺バネ1281Bの内側に、外針スライド部1290の中央部1290A、3本のガイド棒1282A〜1282C、カテーテル1204B、及び引き戻しバネ1281Cが位置するようになっている。尚、外針スライド部1290の中央部1290Aとカテーテル1204Bは、穿刺バネ1281Bの中心軸上に設けられ、3本のガイド棒1282A〜1282Cと引き戻しバネ1281Cは、穿刺バネ1281Bの中心軸からずれた位置に設けられる。
また、この穿刺バネ1281Bは、図35(A)に示すように、前端が、3本のアーム1291A〜1291Cのそれぞれの背面に設けられたU字溝1296Aより外側で、且つそれぞれの正面に設けられたV字溝1296Bより内側の位置に当接する。
さらに、外針スライド部1290は、後述するストッパ1300によりその位置が固定されるようになっている。このとき、図33に示すように、外針スライド部1290と固定部1282Dの中央部1284との間に挟まれる穿刺バネ1281Bは、全圧縮された状態であり、一方、外針スライド部1290と軸カバーScとをつなぐ引き戻しバネ1281Cは、未圧縮となっている。
すなわち、外針スライド部1290は、穿刺バネ1281Bにより前方に押される力がくわえられるものの、ストッパ1300により位置が固定されている為、前方にスライドすることなくその位置にとどまるようになっている。
またこのとき、挟持部1291のアーム1291A〜1291Cのそれぞれは、図35(A)に示すように、基部1296の背面が穿刺バネ1281Bにより前方に押されることにより、先端部1297の先端が、外針1204Aの側面に当接する方向に回転して、先端部1297の先端で、外針1204Aの側面を押さえ付ける。
これにより、挟持部1291は、穿刺バネ1281Bにより前方に押される力がくわえられている間、3つのアーム1291A〜1291Cで外針1204Aを挟持する。
さらにこのとき、挟持部1291は、アーム1291A〜1291CのそれぞれのU字溝1296Aが傾いていて、アーム1291A〜1291Cを前方に押す力がくわえられていても、このU字溝1296Aの内壁に外針スライド部1290の支軸1292が引っ掛かることにより、U字溝1296Aから支軸1292が抜け出すことを防ぐようにもなっている。
このようにして挟持部1291と外針スライド部1290が固定されている。
一方、外針スライド部1290の位置を固定するストッパ1300は、図36に示すように、回転部1301と、この回転部1301と連結される連結部1302とで構成される。
回転部1301は、直線状に延びる細長い棒状の基部1301Aと、この基部1301Aの一端から基部1301Aと直行する方向に延びる一端部1301Bとでなり、全体として略L字型をなしている。
回転部1301は、図32にも示すように、固定部1282Dの中央部1284の右側孔1284Bの後方から右側孔1284Bに基部1301Aが通され、基部1301Aのほぼ全部分が穿刺バネ1281Bの内側に位置すると共に、一端部1301Bが固定部1282Dの中央部1284の後方に位置するようにして、固定部1282Dの中央部1284に回転自在に支持される。
すなわち、回転部1301の基部1301Aは、穿刺バネ1281Bの内側を、穿刺バネ1281B、外針スライド部1290の中央部1290A及びカテーテル1204Bの中心軸と平行に、固定部1282Dの中央部1284から前方に延びている。
さらに、回転部1301は、図32及び図36に示すように、一端部1301Bが、固定部1282Dの中央部1284と、その後方に位置するモータ軸1270Bの軸カバーScとの間に位置していて、且つ一端部1301Bが下を向くように回転した状態となっている。
ここで、筐体1201の向きを基準として、基部1301Aの一端を後端、他端を前端、一端部1301Bを後端部1301Bと呼ぶことにする。
さらに、回転部1301は、基部1301Aの前端部分に、内側(外針スライド部1290の中央部1290Aの中心軸側)に突出する凸部1301Cが設けられている。この凸部1301Cは、図36(B)に示すように、外針スライド部1290の前端部1290Aaと後端部1290Abとの間の溝に嵌合し得る大きさとなっている。
尚、回転部1301は、固定部1282Dの中央部1284から凸部1301Cまでの距離が変わらないように、後述する連結部1302により前後方向の位置が固定されている。
連結部1302は、図36(A)に示すように、細長い板状の中央部1302Aと、この中央部1302Aの一端から、この中央部1302Aと直行する方向に延びる一端部1302Bと、この中央部1302Aの他端から、この中央部1302Aと直行する方向に延びる他端部1302Cとでなり、全体としてコの字型をなしている。
この連結部1302は、一端部1302Bを左側、他端部1302Cを右側、コの字の開口を後側とする向きで、固定部1282Dの中央部1284と、その後方に位置する薬液送出部1250の固定部1253との間に設けられている。
ここで、筐体1201の向きを基準として、連結部1302の中央部1302Aの前側の面を前面、後側の面を後面、一端部1302Bを左端部1302B、他端部1302Cを右端部1302Cと呼ぶことにする。
この連結部1302は、左端部1302Bから右端部1302Cまでの長さが、固定部薬液送出部1250の固定部1253の左端部1253Aから右端部1253Bまでの長さより短い。
そして、連結部1302の中央部1302Aの後面が、回転部1301の後端部1301Bに当接すると共に、左端部1302Bが、駆動部1252の下死点位置にあるスライド板1271と固定部1253の左端部1253Aの間に位置していて、さらに右端部1302Cが、回転部1301の後端部1301Bと薬液送出部1250の固定部1253の右端部1253Bの間に位置するようになっている。このときの連結部1302の位置を初期位置とする。
尚、この連結部1302は、下側筐体1201Aに対して左右方向にスライド自在に取り付けられていると共に、図示しない付勢部材により初期位置にとどまるよう付勢されている。
ストッパ1300はこのような構成でなり、回転部1301の凸部1301Cを、外針スライド部1290の中央部1290Aの前端部1290Aaと後端部1290Abとの間の溝に嵌合することにより、外針スライド部1290の位置を固定する。
また一方で、ストッパ1300を解除する場合、図36に矢印で示すように、駆動部1252のスライド板1271を下死点位置よりさらに固定部1253の左端部1253A側へスライドさせる。すると、このスライド板1271により、ストッパ1300の連結部1302の左端部1302Bが固定部1253の左端部1253A側(すなわち左側)へ押されて、連結部1302が左にスライドする。
このとき、図36(B)に示すように、回転部1301の後端部1301Bが、連結部1302の右端部1302Cにより左側へ押されることにより、回転部1301が回転する。すると、外針スライド部1290の前端部1290Aaと後端部1290Abとの間の溝に嵌合されていた回転部1301の凸部1301Cが、この溝から外れ、外針スライド部1290の位置の固定が解除されるようになっている。
次に、穿刺深さ調整部1283について説明する。穿刺深さ調整部1283は、図32に示すように、初期位置にある外針スライド部1290とガイド部1282の固定部1282Eとの間に配置される。
穿刺深さ調整部1283は、外針スライド部1290と固定部1282Eとの間を、3本のガイド棒1282A〜Cに沿って前後方向にスライド可能となっている。
この穿刺深さ調整部1283は、図37に示すように、3本のガイド棒1282A〜1282Cの上方に位置するとともにこれらと平行な四角形板状の中央部1283Aと、中央部1283Aの後端から下方に延びる四角形板状の後部1283Bと、中央部1283Aの前端から下方に延びる四角形板状の前部1283Cとを有する構成となっていて、全体として断面コの字型の形状をなしている。
中央部1283Aは、左右方向の長さが挟持部1291の外径より大きく、上面の中央には、上方に突出するツマミ1221が設けられている。
後部1283Bの後面には、図37にくわえて図35にも示すように、その後方に位置する挟持部1291の3つのアーム1291A〜1291CのそれぞれのV字溝1296Bと対向する位置に、後方に突出する板状の突起部1283Ba、1283Bb、1283Bcが設けられている。
この突起部1283Ba〜1283Bcは、詳しくは後述するが、後部1283B側にスライドしてくるスライド部1281Aを受け止めて停止させる受止部として機能する。ゆえに、これら3つの突起部突起部1283Ba〜1283Bcを、以下、突起状受止部1283Ba〜1283Bcと呼ぶ。
また、図33にも示すように、後部1283Bには、その中央に厚さ方向に貫通する円形の中央孔1283Bdが設けられていて、この中央孔1283Bdに、スライド部1281Aから前方に延びる外針1204Aが挿通されている。この外針1204Aの内側には、カテーテル1204Bが挿入されている。
さらに、後部1283Bには、この中央孔1283Bdの周囲に厚さ方向に貫通する円形の3つの孔1283Be〜Bgが設けられている。これら3つの孔1283Be〜Bgは、それぞれガイド棒1282A〜1282Cの外径とほぼ等しい内径でなり、3つのガイド棒1282A〜1282Cのそれぞれが挿通されている。
一方、穿刺深さ調整部1283の前部1283Cにも、図37に示すように、その中央に厚さ方向に貫通する円形の中央孔1283Caが設けられていて、この中央孔1283Caに、後部1283Bの中央孔1283Bdを通って前方に延びる外針1204Aが挿通されている。
さらに、前部1283Cには、この中央孔1283Caの周囲に厚さ方向に貫通する円形の3つの孔1283Cb〜Cdが設けられている。これら3つの孔1283Cb〜Cdも、それぞれガイド棒1282A〜1282Cの外径とほぼ等しい内径でなり、3つのガイド棒1282A〜1282Cのそれぞれが挿通されている。
これにより、穿刺深さ調整部1283は、後部1283Bの中央孔1283Bdと、前部1283Cの中央孔1283Caとに穿刺針(外針1204A及びカテーテル1204B)1204を挿通した状態で、ガイド棒1282A〜1282Cに沿ってスライドすることができる。
また、穿刺深さ調整部1283の前部1283Cの中央孔1283Caに挿通された穿刺針(外針1204A及びカテーテル1204B)1204は、その先端が、ガイド部1282の固定部1282Eの中央孔1286Aを通り、図24に示すように、穿刺針ガイド1207内に挿入されるようになっている。
穿刺針1204は、詳しくは後述するが、ストッパ1300が解除されて、スライド部1281Aが前方にスライドすることにともなって、先端が、穿刺針ガイド1207の先にある穿刺孔1205から外部に突出して、使用者の体内に穿刺されるようになっている。
さらに、穿刺深さ調整部1283の中央部1283Aの四隅には、上方に突出するラッチ1283Aa、1283Abが計4個設けられている。尚、四隅のうち、前方の二隅にはラッチ1283Aaが1個ずつ設けられ、後方の二隅にはラッチ1283Adが1個ずつ設けられている。
ラッチ1283Aa、1283Abは、後部1283Bと平行な板状となっていて、その高さはツマミ1221より低くなっている。
一方、上側筐体1201B内側の上面には、中央部1283Aのスライド可能範囲と対向する箇所に、それぞれ刃先を下方に向けた鋸歯状のラッチ受け1311A、1311Bが前後方向に延びるようにして設けられている。
穿刺深さ調整部1283は、中央部1283Aの中央に設けられたツマミ1221が上側筐体1201Bの開口1220から外側に突出すると共に、中央部1283Aの四隅に設けられたラッチ1283Aa、1283Abが上側筐体1201B内側の上面の左右のラッチ受け1311A、1311Bに噛み合うようになっている。
また、穿刺深さ調整部1283の中央部1283Aは、後部1283B及び前部1283Cに挿通されているガイド棒1282A〜Cの弾性により上側筐体1201B側に付勢されている。
ここで、穿刺深さ調整部1283は、図35(B)に示すように、ガイド棒1282A〜1282Cに沿って穿刺バネ1281Bの力により前方にスライドしてくるスライド部1281Aを、後部1283Bの突起状受止部1283Ba〜1283Bcで受け止めて停止させる。
このとき、穿刺針1204は、穿刺孔1205から突出している状態であり、スライド部1281Aが停止することにともなって、突出量(すなわち穿刺深さ)が固定される。
実際、スライド部1281Aがスライドしてくると、穿刺深さ調整部1283の3つの突起状受止部1283Ba〜1283Bcが、スライド部1281Aの3つのアーム1291A〜1291CのそれぞれのV字溝1296Bに当接することにより、スライド部1281Aが停止する。このとき、引き戻しバネ1281Cは、未圧縮の状態から引き伸ばされた状態となっている。
ここで、外針1204Aを挟持している3つのアーム1291A〜1291Cは、V字溝1296Bが穿刺バネ1281Bより外側に位置していると共に、穿刺バネ1281Bと突起状受止部1283Ba〜1283Bcとの間に挟まれた状態で穿刺バネ1281Bにより前方に押される力がくわえられることにより、先端部1297が外針1204Aから離れる方向に回転する。
そして、U字溝1296Aの開口方向がスライド部1281Aの中央部1290Aの中心軸と平行になるまで回転すると、このとき、図36(C)に示すように、スライド部1281Aの中央部1290Aに、引き戻しバネ1281Cによる後方に引き戻す力がくわえられていることにより、アーム1291A〜1291CのそれぞれU字溝1296Aから、中央部1290Aの支軸1292が後方に外れて、スライド部1281Aの外針スライド部1290と挟持部1291とが分離し、外針スライド部1290のみが後方に引き戻される。
また一方で、穿刺深さ調整部1283は、使用者がツマミ1221を押し下げることにより、ラッチ受け1311A、1311Bからラッチ1283Aa、1283Abが外れて、前後方向にスライド可能な状態となり、この状態で前後方向にスライドさせることにより、スライド部1281Aを受け止めて停止させる停止位置を変更できる。
さらに、穿刺深さ調整部1283は、使用者がツマミ1221から手を離すと、再びラッチ受け1311A、1311Bにラッチ1283Aa、1283Abが嵌合されて、スライド部1281Aの停止位置を固定する。
このように、穿刺深さ調整部1283は、スライド部1281Aの停止位置を変更することができ、これにより、穿刺針1204の穿刺孔1205からの突出量、すなわち穿刺深さを調整できる。
ここで、このような構成でなる穿刺機構1280の動作について詳しく説明する。穿刺機構1280は、図38(A)に示すように、スライド部1281Aが、穿刺バネ1281Bを固定部1282Dの中央部1284との間に挟んで、前方にスライドしないように、ストッパ1300(図38では省略)により固定されている。
このとき、穿刺バネ1281Bは、全圧縮の状態で、引き戻しバネ1281Cは、未圧縮の状態となっている。また、挟持部1291のアーム1291Aと、カテーテル1204Bの所定位置に固着されている紐固定部1295との間を繋ぐ紐1294が、弛まずに張った状態となっている。
このときの中心部1281の状態を初期状態とする。ここで、図39(A)に示すように、プライミングが終了して、穿刺孔1205から穿刺孔用蓋1208が取り外され、薬液投与装置1200が、使用者の体の任意の位置に貼り付けられているものとする。
尚、このとき、穿刺針(外針1204A及びカテーテル1204B)1204は、まだ全体が薬液投与装置1200内に収納された状態である。
この初期状態から、スライド部1281Aの位置を固定しているストッパ1300(図36)が解除されると、圧縮されている穿刺バネ1281Bが伸びて、スライド部1281Aは、外針スライド部1290と挟持部1291が一体となって、ガイド棒1282A〜1282Cに沿って前方にスライドする。
このとき、外針1204Aは、外針スライド部1290に固定されているため、この外針スライド部1290と共に前方に進む。
また、このとき、カテーテル1204Bは、外針スライド部1290と挟持部1291が前方にスライドすることにともなって、紐1294によって前方に引っ張られることにより、外針1204Aと共に前方に進む。
これにより、図39(B)に示すように、外針1204Aは、カテーテル1204Bが挿入された状態で、穿刺孔1205から筐体1201の外側に突出して、使用者の体内に穿刺される。
その後、スライド部1281Aは、図38(B)に示すように、穿刺深さ調整部1283に受け止められて停止する。このとき、引き戻しバネ1281Cは、未圧縮の状態から引き伸ばされた状態となっている。
ここで、スライド部1281Aは、穿刺深さ調整部1283の突起状受止部1283Ba〜1283Bcがそれぞれ挟持部1291のアーム1291A〜1291CのV字溝1296Bに当接してアーム1291A〜1291Cが回転することにより、挟持部1291による外針1204Aの挟持が解除され、外針スライド部1290と挟持部1291とが分離する。
すると、図38(C)に示すように、挟持部1291はそのときの位置にとどまる一方で、外針スライド部1290は、延びた状態の引き戻しバネ1281Cが元の形状に戻ろうとする力により、穿刺時とは逆方向にスライドする。
このとき、外針スライド部1290に固定されている外針1204Aは、外針スライド部1290と共に穿刺時とは逆方向にスライドすることにより、筐体1201内に引き戻される。
一方、カテーテル1204Bは、外針スライド部1290が前方にスライドするときには、挟持部1291のアーム1291Aと紐固定部1295との間隔が広がらないように紐1294に引っ張られることにより、外針スライド部1290及び挟持部1291と共に進み、その後、外針スライド部1290が穿刺時とは逆方向にスライドすると、挟持部1291はその場にとどまるので、カテーテル1204Bも、挟持部1291のアーム1291と紐固定部1295との間で紐1294に引っ張られた状態のまま、その場にとどまる。
つまり、カテーテル1204Bは、外針1204Aが引き戻されても、使用者の体内に穿刺されたままとなる。
かくして、使用者の体内に穿刺された外針1204Aとカテーテル1204Bは、図39(C)に示すように、カテーテル1204Bを体内に残したまま、外針1204Aのみが筐体1201内に引き戻される。
このように、穿刺機構1280は、外針1204A内にカテーテル1204Bを挿入した状態で、外針1204Aとカテーテル1204Bとを使用者の体内に穿刺した後、カテーテル1204Bは体内に残したまま、外針1204Aのみを体内から抜き取り、筐体1201内に引き戻す。
穿刺機構1280はこのように動作する。その後、駆動制御部1320の制御により、使用者の体内に残されたカテーテル1204Bを介して薬液が投与される。
〔2−3−4.駆動制御部及びコントローラの構成〕
駆動制御部1320及びコントローラ1400の構成は、第1の実施の形態のものとほぼ同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
尚、駆動制御部1320は、図23に示す、穿刺機構1280の左右に分離して配置される基板1321A、1321B上に設けられる。
〔2−4.まとめと効果〕
以上のように、薬液投与装置1200は、外針1204Aとカテーテル1204Bを筐体1201から突出させて使用者の体内に穿刺した後、カテーテル1204Bは使用者の体内に残したまま外針1204Aのみを筐体1201内に引き戻す穿刺機構1280を有している。
そして、この穿刺機構1280は、外針1204Aとカテーテル1204Bを筐体1201から突出させる為にスライド部1281Aをスライドさせるための穿刺バネ1281Bの内側に、外針1204Aのみを筐体1201内に引き戻すための引き戻しバネ1281Cを配置するようにした。
すなわち、薬液投与装置1200は、穿刺バネ1281Bの内側に、引き戻しバネ1281Cを設けるようにして、バネを二重構造とした。
こうすることにより、薬液投与装置1200は、例えば、引き戻しバネ1281Cの先に穿刺バネ1281Bを設けるような穿刺機構と比較して、穿刺機構1280を小型化することができる。
また、穿刺機構1280は、スライド部1281Aが穿刺深さ調整部1283に到達するまでスライドすると、このとき、スライド部1281Aのスライドが停止する。
このとき、穿刺深さ調整部1283の突起状受止部1283Ba〜1283Bcが穿刺バネ1281Bの力を利用してスライド部1281Aの挟持部1291のアーム1291A〜1291Cを回転させることにより、穿刺バネ1281Bにより前方にスライドする力がくわえられている挟持部1291と、引き戻しバネ1281Cにより後方にスライドする力がくわえられている外針スライド部1290とを分離させる。
そして、外針スライド部1290が、外針スライド部1290に固定されている外針1204Aと共に、引き戻しバネ1281Cの力により後方にスライドして、外針1204Aを筐体1201内に引き戻すようにした。
これにより使い切りではあるものの、スライド部1281Aの外針スライド部1290と挟持部1291を固定及び分離するための複雑な機構を設ける必要がなく、穿刺機構1280を、小型化することができる。
さらに、穿刺機構1280は、薬液送出部1250のポンプ1251を動作させる為にモータ1270によってスライドするスライド板1271をスライドさせて、スライド部1281Aの位置を固定しているストッパ1300を解除するようにした。
こうすることにより、薬液投与装置1200は、例えば、ストッパ1300を解除するための専用の駆動部を別途設ける必要がなく、穿刺機構1280をより小型化することができる。
さらに、穿刺機構1280は、穿刺深さ調整部1283の位置を、ツマミ1221を押し下げて前後方向にスライドさせるだけの簡易な操作で変更することができ、穿刺深さを容易且つ自由に調整することもできる。
以上の構成によれば、薬液投与装置1200は、穿刺機構1280を従来の穿刺機構と比して小型化することができ、かくして従来と比して一段と容易に小型化できる。
〔3.他の実施の形態〕
〔3−1.他の実施の形態1〕
尚、上述した第1の実施の形態では、コントローラ400を操作することにより、薬液投与装置200を動作させて、薬液を投与するようにしたが、これに限らず、薬液投与装置200にコントローラ400の機能を持たせて、薬液投与装置200を操作することにより、薬液を投与できるようにしてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
〔3−2.他の実施の形態2〕
また、上述した第1の実施の形態では、薬液送出部230のポンプ231を動作させるためにモータ250によってスライドするスライド板251をスライドさせて、押付部273を固定しているストッパ303を解除するようにした。
これに限らず、別の手法で、ストッパ300を解除するようにしてもよい。
例えば、上側筐体201Bに、使用者により押し込み可能なボタンを設け、このボタンが押し込まれるときの力を利用して、ストッパ300を解除するなどしてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様であり、上述した手法とは別の手法で、スライド部1281Aの位置を固定しているストッパ1300を解除するようにしてもよい。
〔3−3.他の実施の形態3〕
さらに、上述した第1の実施の形態では、固定部233の後端部233Aとスライド板251との間でピストン235のポンプ231外に露出する部分をフィルム258で覆うようにした。
ここで、第1の実施の形態と同様に、第2の実施の形態でも、ポンプ1251のXリング固定部1259とスライド板1271との間にチューブ状の柔軟性を有するフィルムを取り付け、Xリング固定部1259とスライド板1271との間でピストン1255のポンプ1251外に露出する部分をこのフィルムで覆うようにしてもよい。
このフィルムは、ピストン1255の摺動に合わせて伸縮するので、常にピストン1255を覆った状態を維持することができる。
このようにすれば、第2の実施の形態でも、ピストン1255がフィルム外の空気に触れることを防ぎ、ピストン1255の清潔性を一段と確実に保持できる。
〔3−4.他の実施の形態4〕
さらに、上述した第1の実施の形態では、スライド部271Aをスライドさせて穿刺針203を突出させる穿刺用弾性部材として、テーパーバネでなる穿刺バネ271Bを用いるようにした。
これに限らず、スライド部271Aをスライドさせることのできる弾性部材であれば、テーパーバネ以外の部材を穿刺バネ271の代わりとして用いるようにしてもよい。
さらに、上述した第1の実施の形態では、スライド部271Aの内側円盤部271Acを穿刺時とは逆方向にスライドさせて外針203Aを引き戻す引き戻し用弾性部材として、コイルバネでなる引き戻しバネ271Cを用いるようにした。
これに限らず、外針203Aを引き戻すことのできる弾性部材であれば、コイルバネ以外の部材を引き戻しバネ271Cの代わりとして用いるようにしてもよい。
〔3−5.他の実施の形態5〕
さらに、上述した第2の実施の形態では、スライド部1281Aをスライドさせて穿刺針1204を突出させる穿刺用弾性部材として、コイルバネでなる穿刺バネ1281Bを用いるようにした。
これに限らず、スライド部1281Aをスライドさせることのできる弾性部材であれば、コイルバネ以外の部材を穿刺バネ1281Bの代わりとして用いるようにしてもよい。
さらに、上述した第2の実施の形態では、スライド部1281Aの外針スライド部1290を穿刺時とは逆方向にスライドさせて外針1204Aを引き戻す引き戻し用弾性部材として、コイルバネでなる引き戻しバネ1281Cを用いるようにした。
これに限らず、外針1204Aを引き戻すことにできる弾性部材であれば、コイルバネ以外の部材を引き戻しバネ1281Cの代わりとして用いるようにしてもよい。
〔3−6.他の実施の形態6〕
さらに、上述した第2の実施の形態では、スライド部1281Aの外側部としての挟持部1291を3つのアーム1291A〜1291Cで構成したが、2枚、もしくは3枚以上のアームで構成してもよい。この場合も、各アームは等間隔で配置されることが望ましい。
また、この場合、スライド部1281Aの内側部としての外針スライド部1290には、アームの数に応じた突出部を設けるようにすればよい。
さらに、第2の実施の形態では、ガイド部1282に3本のガイド棒1282A〜1282Cを設けたが、2本、もしくは3本以上のガイド棒を設けてもよい。この場合も、各ガイド棒は等間隔で配置されることが望ましい。
〔3−7.他の実施の形態7〕
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、使用者の体内に薬液を投与する薬液投与装置200及び1200に本発明を適用する場合について説明した。これに限らず、外針と内針とでなる二重構造の穿刺針を穿刺する穿刺装置であれば、薬液投与装置200及び1200以外の装置に適用するようにしてもよい。
本発明は、例えば医療分野に適用することができる。
100、1000……薬液投与システム、200、1200……薬液投与装置、400、1400……コントローラ、201、1201……筐体、203、1204……穿刺針、203A、1204A……外針、203B、1204B……カテーテル、220、1230……薬液貯蔵部、230、1250……薬液送出部、270、1280……穿刺機構、271A、1281A……スライド部、271Ac……内側円盤部、271Ad……外側円盤部、271B、1281B……穿刺バネ、1290……外針スライド部、1291……挟持部、271C、1281C……引き戻しバネ、274……穿刺針ガイド、303、1300……ストッパ。

Claims (9)

  1. 外針と当該外針内に挿入される内針との二重構造でなる穿刺針と、
    前記穿刺針を収納する筐体と、
    前記筐体内に設けられ、前記外針内に前記内針が挿入されている状態の前記穿刺針を前記筐体から突出させて使用者の体内に穿刺した後、当該穿刺針の内針は体内に留置させたまま、当該穿刺針の外針のみを前記筐体内に引き戻す穿刺機構と
    を有し、
    前記穿刺機構は、
    前記外針内に前記内針が挿入されている状態の前記穿刺針を前記筐体から突出させて使用者の体内に穿刺するための穿刺用弾性部材と、
    前記穿刺針の内針は体内に留置させたまま、前記穿刺針の外針のみを、前記筐体内に引き戻すための引き戻し用弾性部材とを有し、
    前記穿刺用弾性部材の内側に前記引き戻し用弾性部材を設けた
    ことを特徴とする穿刺装置。
  2. 前記穿刺機構は、
    前記穿刺用弾性部材によってスライドすることにより前記外針内に前記内針が挿入されている状態の前記穿刺針を前記筐体から突出させるスライド部を有し、
    前記スライド部は、
    前記穿刺用弾性部材に押される外側部と、前記引き戻し用弾性部材と固定される内側部とでなり、
    穿刺時には、前記外側部と内側部とが一体となって前記外側部が押されてスライドすることにより、前記外針内に前記内針が挿入されている状態の前記穿刺針を前記筐体から突出させ、穿刺後、前記外側部と前記内側部とが分離して、前記外針と固定されている前記内側部のみが引き戻し用弾性部材により引き戻されることにより、前記穿刺針の外針のみを、前記筐体内に引き戻す
    請求項1に記載の穿刺装置。
  3. 前記穿刺用弾性部材は、未圧縮時には円錐台形状となり、全圧縮時には円錐台の高さ方向に縮んで平坦となるテーパーバネである
    ことを特徴とする請求項2に記載の穿刺装置。
  4. 前記引き戻し用弾性部材は、前記テーパーバネよりも径の小さい円筒状のコイルバネである
    ことを特徴とする請求項3に記載の穿刺装置。
  5. 前記穿刺用弾性部材は、円筒状の穿刺用コイルバネであり、
    前記引き戻し用弾性部材は、前記穿刺用コイルバネよりも径の小さい円筒状の引き戻し用コイルバネである
    ことを特徴とする請求項2に記載の穿刺装置。
  6. 前記穿刺機構は、
    前記スライド部を受け止めて停止させる受止部を有し、
    前記スライド部が前記受止部に受け止められたときに、前記穿刺用弾性部材により前記スライド部が押される力を利用して、前記スライド部を前記外側部と前記内側部とに分離する
    ことを特徴とする請求項4に記載の穿刺装置。
  7. 前記穿刺機構は、
    前記穿刺針の穿刺を開始するまで前記スライド部の位置を固定しておくストッパを有し、
    前記ストッパを解除して前記スライド部のスライドを開始させることにより、前記穿刺針の穿刺を開始する
    ことを特徴とする請求項6に記載の穿刺装置。
  8. 前記薬液貯蔵部と、
    前記薬液貯蔵部に貯蔵されている薬液を前記穿刺針に送り出す薬液送出部と
    をさらに有し、
    前記薬液送出部の駆動部の駆動力を利用して、前記ストッパを解除させ、前記スライド部のスライドを開始させる
    ことを特徴とする請求項7に記載の穿刺装置。
  9. 外針と当該外針内に挿入される内針との二重構造でなる穿刺針と、
    前記穿刺針を収納する筐体と、
    前記筐体内に設けられ、前記外針内に前記内針が挿入されている状態の前記穿刺針を前記筐体から突出させて使用者の体内に穿刺した後、当該穿刺針の内針は体内に留置させたまま、当該穿刺針の外針のみを前記筐体内に引き戻す穿刺機構と
    薬液を貯蔵する薬液貯蔵部と、
    前記薬液貯蔵部に貯蔵された薬液を体内に留置させた前記内針を介して体内に送出する薬液送出部と
    を有し、
    前記穿刺機構は、
    前記外針内に前記内針が挿入されている状態の前記穿刺針を前記筐体から突出させて使用者の体内に穿刺するための穿刺用弾性部材と、
    前記穿刺針の内針は体内に留置させたまま、前記穿刺針の外針のみを、前記筐体内に引き戻すための引き戻し用弾性部材とを有し、
    前記穿刺用弾性部材の内側に前記引き戻し用弾性部材を設けた
    ことを特徴とする薬液投与装置。
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