JP2014153592A - 白色発光有機elディスプレイ用のカラーフィルタ及び着色レジスト組成物、並びに白色発光有機elディスプレイ - Google Patents

白色発光有機elディスプレイ用のカラーフィルタ及び着色レジスト組成物、並びに白色発光有機elディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】光源が白色発光有機EL素子でも、色濃度を維持しつつ輝度低下を抑制できる白色発光有機ELディスプレイ用のカラーフィルタ及び着色レジスト組成物、並びに白色発光有機ELディスプレイとする。
【解決手段】白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10は、少なくとも1色の着色層3がトリアリールメタン系色材と蛍光色材を含む構成とする。例えば青色着色層3Bについて、トリアリールメタン系色材にはトリフェニルメタン系青色染料を用い、蛍光色材にはローダミン系紫色染料を用いる。白色発光有機ELディスプレイ用着色レジスト組成物は、トリアリールメタン系色材、蛍光色材、波長370〜450nmの光に感度を有する感光剤を含む。白色発光有機ELディスプレイ30は、白色を発光する白色発光有機EL素子20と白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタとを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、白色発光有機ELディスプレイ用のカラーフィルタ及び着色レジスト組成物、並びに白色発光有機ELディスプレイに関する。
EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイは、光源を必要とする液晶ディスプレイと異なり、自発光タイプであるために光利用効率が良いなどの点で、液晶ディスプレイに代わるディスプレイとして注目されている。各種ディスプレイのなかでも、白色発光有機ELディスプレイは、長寿命、生産性、高精細が容易な点で開発が盛んである(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
表1は、バックライトに白色発光LED(YAG系、又はB−RG系)を用いた液晶ディスプレイと、有機ELディスプレイ(OLED)として、有機EL素子自体で赤と緑と青の3色を発光させる3色発光方式(「3C−OLED」とも言うことにする)、及び白色発光有機EL素子とカラーフィルタとを組み合わせる白色発光方式(「W−OLED」とも言うことにする)とについて、各々の性能を比較したものである。
なお、3色発光方式は3色塗り分け方式とも言われている。
上記白色発光LEDにて、YAG系は青色LEDとイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体とを組み合わせて白色光を生成するLEDであり、B−RG系は青色LEDと赤色蛍光体及び緑色蛍光体とを組み合わせて白色光を生成するLEDである。
本明細書では、白色発光する有機EL素子(Organic Electroluminescence Device(或いはElement))と、白色発光有機EL素子にカラーフィルタを組み合わせてカラー表示可能とした有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)とを、ともに「W−OLED」とも呼ぶことにする。
なお、有機ELは、LED(Light Emitting Diode)と構造が類似しているので、一般的に、OLED(Organic Light Emitting Diode)と呼ばれることが多い。これによれば、有機ELディスプレイは、OLED Displayであり、カラーフィルタと組み合わせることでディスプレイとする有機EL素子は、OLED Element、或いは、OLED Deviceである。ただ、有機ELディスプレイも、一般的に単にOLEDと呼ばれることが多い。
表1に示すように、白色発光有機ELディスプレイ(W−OLED)は、3色発光方式(3C−OLED)に対して、生産性及び解像度に優れている。
特許第3366401号公報 特開2003−272857号公報 特許第4590825号公報
しかしながら、液晶ディスプレイ用の光源として従来から一般的な冷陰極管(CCFL)、或いは最近普及しだした白色発光LEDに対して、白色発光有機EL素子は、とりわけ短波長側の青色発光スペクトルが異なり、長波長側にシフトしている。
図6は、冷陰極管(CCFL)、白色発光LED(YAG−LED)、及び、白色発光有機EL素子(W−OLED)、の発光スペクトルを示す。
このため、液晶ディスプレイ用として用いられてきた従来のカラーフィルタを、そのまま、白色発光有機EL素子(W−OLED)に適用すると、特に短波長側の透過スペクトルにおいて、光源の青色領域での発光スペクトルとの重なりが少なくなり、青色領域の透過光量が減り輝度を低下させてしまう。ただ単に輝度を維持するだけならば、輝度が低下した分を、光源の光量を増やして補えばよいが、これでは消費電力が増えてしまい好ましくない。また、カラーフィルタの着色層の厚みを薄くしたり、着色層中の色材濃度を下げたりしても、透過光量が増え輝度は維持できるが、色濃度が低下してしまい好ましくない。色濃度は維持しつつ、輝度も維持することが望まれる。
表2は、冷陰極管(CCFL)、白色発光LED(YAG−LED)、及び、白色発光有機EL素子(W−OLED)について、カラーフィルタの青色着色層を、光源が異なる場合でもy値が同一となるように、その厚みを調整したときの、CIE Yxy表色系での色度(x、y)、及び、Y値、並びに青色着色層の厚みを示す。
なお、Yxy表色系とは、JIS Z8701:1999で規定されるXYZ表色系(国際照明委員会(CIE)で規定されるCIE 1931 XYZ表色系でもある)に基づく表色系である。
表2に示すように、光源が白色発光有機EL素子(W−OLED)の場合では、CCFLや白色発光LEDに比べて、色度(x,y)のx値が低下し青色がシアン側にシフトする上、Y値が低下し輝度が低下してしまう。
そこで、本発明の課題は、白色発光有機ELディスプレイ用のカラーフィルタ及び着色レジスト組成物、並びに白色発光有機ELディスプレイについて、光源が白色発光有機EL素子であっても、色濃度を維持しつつ、輝度低下を抑制することである。
本発明では、次のような構成の白色発光有機ELディスプレイ用のカラーフィルタ及び着色レジスト組成物、並びに白色発光有機ELディスプレイとした。
(1)少なくとも1色の着色層が、トリアリールメタン系色材と蛍光色材とを含む、白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ。
(2)前記トリアリールメタン系色材が青色色材であり、前記蛍光色材がローダミン系紫色色材である、前記(1)の白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ。
(3)トリアリールメタン系色材、蛍光色材、及び、波長370〜450nmの光に感度を有する感光剤を含む、白色発光有機ELディスプレイ用着色レジスト組成物。
(4)前記(1)又は(2)の白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタと、当該白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタに白色光を供給する白色発光有機EL素子とを含む、白色発光有機ELディスプレイ。
本発明によれば、白色発光有機ELディスプレイにおいて、光源が白色発光有機EL素子であっても、従来の冷陰極管や白色発光LEDに比べて、色濃度を維持しつつ、輝度低下を抑制することができる。
本発明による白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ及び白色発光有機ELディスプレイの一実施形態例を示す部分拡大断面図(a)と、このカラーフィルタのみを示す部分拡大平面図(b)及び部分拡大断面図(c)。 ローダミン系染料の励起スペトクルと発光スペトクルを例示する図。 トリアリールメタン系色材及び蛍光色材として、トリフェニルメタン系青色染料及びローダミン系紫色染料の透過スペクトルを例示する図。 光重合開始剤の吸収波長と、ローダミン系色材の吸収波長を比較する図。 実施例及び比較例の青色着色層の透過スペトクルを示す図。 各種光源の発光スペクトルを例示する図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面は概念図であり、説明上の都合に応じて適宜、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
《A》白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10:
本発明による白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10の実施形態を説明する。
図1は、本発明による白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10、及び、本発明による白色発光有機ELディスプレイ30の一実施形態を示す。
図1(a)は部分拡大断面図、図1(b)は部分拡大平面図、図1(c)は部分拡大断面図である。図1(a)及び図1(c)の部分拡大断面図は、図1(b)の部分拡大平面図中、C−C線での厚み方向での断面図である。
本発明による白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10は、少なくとも1色の着色層3が、トリアリールメタン系色材と蛍光色材とを含む。
図1に例示する実施形態の白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10は、透明基板1と、透明基板1の一方の面1pの面上に形成されたブラックマトリクス2と、一方の面1pの面上に形成されブラックマトリクス2が形成されていない開口部に形成された3色の着色層3を含む。本実施形態においては、着色層3は、赤色着色層3R、緑色着色層3G、及び青色着色層3Bの3色からなり、このうち、少なくとも1色の着色層3として青色着色層3Bが、トリアリールメタン系色材と蛍光色材とを含む構成となっている。さらに、本実施形態においては、上記トリアリールメタン系色材として青色染料が用いられ、上記蛍光色材としてローダミン系の紫色染料が用いられた構成となっている。
一方、青色着色層3B以外の青色着色層3B及び緑色着色層3Gについては、従来のカラーフィルタと同様の色材を含んでいる。
こうした構成とすることによって、本実施形態における白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10は、白色発光有機ELディスプレイ用として、光源に従来の冷陰極管(CCFL)や白色発光LEDを用いた場合に比べて、青色着色層3Bの青色の色濃度を維持しつつ、輝度低下を抑制することができる。この結果、本実施形態においては、高色濃度且つ高輝度の青色を得ることができることになる。
本実施形態のように、着色層3の色が、赤色、緑色、及び青色の3色からなる形態においては、トリアリールメタン系色材及び蛍光色材を含む着色層3の色としては、青色が好ましい。トリアリールメタン系色材は、とりわけ3原色の青色用として優れた色材であるからである。ただ、本発明においては、トリアリールメタン系色材を青色以外の色の色材として用いてもよい。
これは、本発明においては、白色発光有機ELディスプレイ30は、フルカラー表示のディスプレイに限定されず、例えば、任意の2色の混色で表示するディスプレイなどであってもよいからである。
本実施形態では、着色層3の色は、赤色、緑色、及び青色の3色からなるが、本発明においては、着色層3の色及び色数は、これに限定されない。例えば、赤色、緑色、及び青色の3色に加えて、黄色、マゼンタなどの色があってもよい。
図1に示す実施形態の白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10は、さらに、図1(b)及び図1(c)に示すように、着色層3が形成された透明基板1の一方の面1pの面上の全面に形成されたオーバーコート層4と、オーバーコート層4上であってブラックマトリクス2上の一部に形成されたスペーサ5とを有する。
このように、本発明においては、白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10は、従来公知のカラーフィルタにおける各種要素を、さらに含む構成とすることができる。
以下、本発明による白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10について、青色着色層3Bが含むトリアリールメタン系色材及び蛍光色材から、順に詳述する。
《トリアリールメタン系色材》
トリアリールメタン系色材は、着色層3の色、本実施形態においては具体的には青色着色層3Bの色を決定し、蛍光色材は色的にはトリアリールメタン系色材による色を調整する機能を有する。
トリアリールメタン系色材としては、例えば、C.I.ベーシックブルー1、C.I.ベーシックブルー6、C.I.ベーシックブルー22、C.I.ベーシックブルー75、C.I.ベーシックブルー159;
C.I.ベーシックバイオレット1、C.I.ベーシックバイオレット3、C.I.アシッドバイオレット3、C.I.アシッドバイオレット15、C.I.アシッドバイオレット17、C.I.アシッドバイオレット24、C.I.アシッドバイオレット49;
などの染料、
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー1:2、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー24、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー56:1、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー61:1、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー78;
C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン2、C.I.ピグメントグリーン4;
C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット39;
等の顔料が挙げられる。
なお、これらのトリアリールメタン系色材のなかには、トリフェニルメタン系染料が含まれる。
トリアリールメタン系色材を含ませる着色層3が、本実施形態のように青色着色層3Bである場合、トリアリールメタン系色材としては青色色材を用いることになるが、この青色のトリアリールメタン系色材は、同じ青色の従来のフタロシアニン系色材などに比べて、色濃度を維持しつつ輝度低下を抑制する性能に優れる点で好ましい色材である。このことは、後述表3中の比較例2に対する比較例1(蛍光色材の併用なし)の評価結果からも判る。
本発明においては、トリアリールメタン系色材としては、染料、顔料のいずれでもよい。トリアリールメタン系色材は、染料及び顔料のなかから、1種単独使用、又は2種以上を併用することができる。
本発明においては、トリアリールメタン系色材及び蛍光色材を含ませる着色層3中には、トリアリールメタン系色材による色を調整するなどのために、トリアリールメタン系色材以外の公知の色材を、トリアリールメタン系色材よりも少ない質量割合の範囲で、併用してもよい。
《蛍光色材》
蛍光色材は、蛍光を発することによって見かけ上、透過光量を増やして、色濃度を維持しつつ輝度低下を抑制するとともに、トリアリールメタン系色材による色を調整することができる。
蛍光色材としては、例えば、ローダミン系色材では、C.I.ベーシックバイオレット10(ローダミンB)、C.I.ベーシックバイオレット11、C.I.ベーシックバイオレット11:1、C.I.ベーシックバイオレット49、C.I.アシッドバイオレット9;
C.I.ベーシックレッド1(ローダミン6G)、C.I.ベーシックレッド1:1、C.I.ベーシックレッド3、C.I.ベーシックレッド8、C.I.ベーシックレッド11(ローダミンS)、C.I.ベーシックレッド108、C.I.ソルベントレッド49;
などの染料、
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット1:1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット2:2;
C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド81:2、C.I.ピグメントレッド81:3、C.I.ピグメントレッド81:4、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド173;
等の顔料が挙げられる。
ローダミン系色材以外の蛍光色材としては、例えば、
4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリル)−4H−ピラン(DCM)等のシアニン系色材;
1−エチル−2−(4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)−ピリジニウム−パークロレート(ピリジン1)等のピリジン系色材;
1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、トランス−4,4’−ジフェニルスチルベン(DPS)等のスチルベン系色材;
7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン(クマリン4)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフロルメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)等のクマリン系色材;
C.I.ソルベントイエロー11、C.I.ソルベントイエロー116等のナフタルイミド系色材;
或いは、ペリレン系色材、オキサジン系色材、等が挙げられる。
蛍光色材としては、染料、顔料のいずれでもよい。蛍光色材は、染料及び顔料のなかから、1種単独使用、又は2種以上を併用することができる。
蛍光色材の使用量は、トリアリールメタン系色材の使用量未満が好ましく、例えば、トリアリールメタン系色材の使用量に対して5質量%以上50質量%未満、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。蛍光色材の使用量が、前記範囲未満であると蛍光色材の併用効果を充分に得られないことがあり、蛍光色材の使用量が前記範囲を超えると、補助色材としての蛍光色材の併用効果を逸脱し、トリアリールメタン系色材自体による色を損ない良好な色特性が得られないことがあるからである。
図2は、蛍光色材の励起スペクトルを、ローダミン系染料の場合の一例で例示した図である。同図に示すように、蛍光色材は、吸収した励起光よりも長波長側の光を蛍光として発光する。このため、蛍光色材を含ませる着色層3の色の透過スペクトルにおいて、その色に不要な波長帯域の光を励起光として利用し、且つ、その色に必要な波長帯域の光を発光光として利用するように、蛍光色材を用いることによって、従来ならば吸収されていた光を別の波長帯域の光として透過させることが可能となる。この結果、見かけ上、透過光量を増やして、色濃度を維持しつつ輝度低下を抑制することが可能となる。また、同時に、こうした蛍光色材の併用によって、トリアリールメタン系色材による色を調整することが可能となる。
本実施形態のように、トリアリールメタン系色材として青色色材を用い、蛍光色材として紫色のローダミン系蛍光色材を用いると、トリアリールメタン系色材の吸収波長帯域の光を励起光として、これよりも長波長側で発光する結果、トリアリールメタン系色材によって吸収されて輝度に貢献することのなかった光が、長波長側の光として有効利用され、見かけ上、透過光量をその分増やして輝度を高めることが可能となる。
したがって、本実施形態のようにトリアリールメタン系色材及び蛍光色材を含む着色層3が青色着色層3Bである場合、トリアリールメタン系色材としては青色色材を用い、蛍光色材としては紫色の蛍光色材(本実施形態においては、ローダミン系染料)を用いることによって、トリアリールメタン系色材による青色の色濃度を維持しつつ輝度低下を抑制することができる。
《トリアリールメタン系色材と蛍光色材の組み合わせ例》
図3は、トリアリールメタン系色材としてトリフェニルメタン系青色染料と、蛍光色材としてローダミン系紫色染料について、各々単独での透過スペクトルの一例を示す図である。ローダミン系紫色染料は、トリフェニルメタン系青色染料に比べて、波長600nm以上の長波長領域での透過率が大きく、この結果、紫色を呈する。また、ローダミン系紫色染料は、トリフェニルメタン系青色染料単独で、青色着色層3Bの色材を構成する場合に比べて、青色の色濃度を高める効果を有する。
《色材の着色層3中での合計の含有量》
着色層3中でのトリアリールメタン系色材及び蛍光色材の合計の含有量は、着色層3の全固形分に対して、例えば、10〜75質量%、好ましくは20〜60質量%である。当該色材の含有量が上記範囲を外れると、良好な色特性が得られないことがある。
《トリアリールメタン系色材及び蛍光色材を含まないその他の着色層3》
本発明においては、着色層3は、少なくともそのうちの1色の着色層3が、トリアリールメタン系色材及び蛍光色材を含む特定の着色層3であるが、これ以外の着色層3については、トリアリールメタン系色材及び蛍光色材を含まなくてもよいし、トリアリールメタン系色材及び蛍光色材を含んでいてもよい。
トリアリールメタン系色材及び蛍光色材を含まなない着色層3の構成としては、次の3種類の構成があり得る。
a)トリアリールメタン系色材は含むが蛍光色材は含まない構成。
b)トリアリールメタン系色材は含まないが蛍光色材は含む構成。
c)トリアリールメタン系色材も蛍光色材も含まない構成。
上記a)、b)、及びc)の3種類の構成における着色層3が含む色材は、トリアリールメタン系色材及び蛍光色材以外の色材については、特に制限はなく、カラーフィルタにおける従来公知の各種色材を適宜採用することができる。
例えば、トリアリールメタン系色材以外の色材としては、ジケトピロロピロール系、アントラキノン系、ペリレン系などの赤色顔料、フタロシアニン系、イソインドリン系などの緑色顔料、フタロシアニン系、アントラキノン系などの青色顔料、イソインドリン系、アントラキノン系などの黄色顔料、キナクリドン系などの紫色顔料などの顔料、
アントラキノン系、ペリレン系などの赤色染料、フタロシアニン系などの緑色染料、メチン系、アントラキノン系、アゾ系などの青色染料、などの染料が挙げられる。
さらに、具体例で示せば、
C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36;
C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254;
C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37;
C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150;
などが挙げられる。
《着色層3の形成法》
トリアリールメタン系色材及び蛍光色材を含む着色層3、及び、トリアリールメタン系色材及び蛍光色材を含まない着色層3の形成法は、特に制限はなく、公知の形成法を適宜採用することができる。いずれの着色層3も、色材、バインダ樹脂、及び溶剤を含む着色レジスト組成物によって形成することができる。着色レジスト組成物が感光性である場合は、着色レジスト組成物はさらに感光剤を含み、フォトリソグラフィ法によって形成することができる。一方、着色レジスト組成物が感光性でない場合は、感光剤は省略でき、インクジェット法など印刷法によって形成することができる。
着色層3の厚みは、例えば、1〜6μmである。
トリアリールメタン系色材及び蛍光色材を含む着色層3については、好適には、後述する本発明による白色発光有機ELディスプレイ用着色レジスト組成物によって形成することかできる。
《ブラックマトリクス2》
ブラックマトリクス2には、公知の材料及び形成法を採用することができる。例えば、クロムやクロム化合物などの金属材料や、感光性樹脂及び黒色の色材を含む樹脂レジストを用いることができる。クロムの場合は、透明基板1の全面にクロム薄膜を蒸着により形
成後、樹脂レジストを塗布し、露光、現像後、エッチングにより不要部分のクロム薄膜を除去することで、ブラックマトリクス2を形成することができる。
ブラックマトリクス2の平面視形状は、図1(b)の形状に限定されない。公知の各種形状をとり得る。
樹脂レジストには、カーボンブラック、チタンブラックなど黒色の色材と、感光性樹脂とを含むレジストを用いることができる。樹脂レジストとしては、ネガ型、ポジ型いずれでもよい。ネガ型の場合は、後述するネガ型の着色レジスト組成物で、その色材を黒色の色材に変更したものを用いることができる。ポジ型の場合は、後述するポジ型の着色レジスト組成物で、その色材を黒色の色材に変更したものを用いることができる。
《透明基板1》
透明基板1は、公知の材料を用いることができる。例えば、透明基板1の材料としては、ガラス、石英などの無機材料の他、樹脂を用いることができる。樹脂は、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などである。
《その他の構成層;オーバーコート層4、スペーサ5など》
本発明においては、白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10は、上記した透明基板1、ブラックマトリクス2及び着色層3に加えて、さらにカラーフィルタにおいて公知の、その他の構成要素を含むことができる。例えば、オーバーコート層4、スペーサ5、透明導電層、などである。
図1(a)及び図1(c)に例示した実施形態では、オーバーコート層4及びスペーサ5を有している。オーバーコート層4及びスペーサ5については、公知の材料及び形成法で形成することができる。例えば、オーバーコート層4及びスペーサ5は、透明感光性樹脂を含む透明レジスト組成物を用いてフォトリソグラフィ法によって形成することができる。
《B》白色発光有機ELディスプレイ用着色レジスト組成物:
本発明による白色発光有機ELディスプレイ用着色レジスト組成物は、トリアリールメタン系色材、蛍光色材、及び、波長370〜450nmの光に感度を有する感光剤を含む、感光性樹脂組成物である。
以下、「白色発光有機ELディスプレイ用着色レジスト組成物」を、単に、「着色レジスト組成物」と言うこともある。
本発明による着色レジスト組成物は、ネガ型、ポジ型いずれでもよい。ネガ型では、露光されなかった部分が現像により除去されて、露光された部分が現像後も残り、着色層3となる。ポジ型では、露光された部分が現像により除去されて、露光されなかった部分が現像後も残り、着色層3となる。
さらに、本発明による着色レジスト組成物は、バインダ樹脂、溶剤、添加剤などを含むことができる。本発明による着色レジスト組成物の構成成分中、バインダ樹脂及び感光剤のうち、とりわけ感光剤は、ネガ型とポジ型とにより使い分けられる。
以下、白色発光有機ELディスプレイ用着色レジスト組成物の構成成分について、ネガ型の場合で説明し、その後にポジ型の場合を説明する。
《色材》
本発明による着色レジスト組成物が、必須成分として含む色材である、トリアリールメタン系色材及び蛍光色材、並びにその他の色材については、既に、上述したので、説明は省略する。
《バインダ樹脂》
本発明による着色レジスト組成物がネガ型の場合、バインダ樹脂としては、通常、モノマー及びプレポリマーなどの光重合性化合物と、ポリマーとを含む。
本発明においては、着色レジスト組成物に対してバインダ樹脂というとき、ポリマーとなる前のモノマーなどの光重合性化合物も含めて言う。着色層3となった後の状態で、バインダ樹脂と言うときは、モノマーなどの光重合性化合物は重合してポリマーになったものを言う。
着色レジスト組成物において、色材以外の構成成分であるところの、バインダ樹脂、溶剤、感光剤、添加剤などが混合されたものが、「樹脂バインダ」である。すなわち、「樹脂バインダ」は、色材以外の成分であるバインダ樹脂を少なくとも含み、さらに、溶剤、感光剤、分散剤などの各種添加剤などを含み得る組成物である。
したがって、本発明における「樹脂バインダ」は色材と特定の感光剤とを必須成分として含む。
<光重合性化合物>
光重合性化合物としては、モノマー、プレポリマーのうちの1以上の化合物を用いることができる。なお、ここで、プレポリマーとは、繰り返し構成単位を複数含み光重合性を有するポリマーを意味する。モノマーにも、繰り返し構成単位を複数含む化合物はあるが、ここでは、プレポリマーとは分子量が2000以上である化合物とする。オリゴマーも繰り返し構成単位を複数含む化合物であるが、本発明においては、その分子量により、上記モノマー又はプレポリマーのいずれかに分類することとする。
〔モノマー〕
モノマーとしては、例えば、単官能モノマーでは、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、フェノール−エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性アクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート;
2官能モノマーでは、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート;
3単官能モノマーでは、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート;
ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート;
4単官能以上の多官能モノマーでは、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;
等のアクリレートモノマー、
及び、上記モノマー中のアクリレート基をメタクリレート基に置換したモノマー;
或いは、ジアリルフマレート、N−ビニル−2−ピロリドン(1−ビニル−2−ピロリドン)、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
などのモノマーが挙げられる。
モノマーの含有量は、着色レジスト組成物の固形分全量に対して、例えば、1〜40質量%である。
〔プレポリマー〕
プレポリマーとしては、ウレタンアクリレートプレポリマー、ポリエステルアクリレートプレポリマー、エポキシアクリレートプレポリマー、及び、これらの化合物中のアクリレート基をメタクリレート基に置換した化合物などが挙げられる。
プレポリマーの含有量は、着色レジスト組成物の固形分全量に対して、例えば、1〜40質量%である。
<ポリマー>
ポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリメタクリル酸樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン(登録商標)6、ナイロン(登録商標)66、ナイロン(登録商標)12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、等が挙げられる。
また、ポリマーとしては、共重合体として、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、及びこれらのアクリレートモノマー中のアクリレート基をメタクリレート基に置換したモノマーなどの1種以上のモノマーと、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、ならびにこれらの酸無水物の1種以上との共重合体等が挙げられる。
なかでも、代表的なポリマーは、少なくとも露光後の現像時に、アルカリ性の現像液に可溶性を示すアルカリ可溶性樹脂である。アルカリ可溶性樹脂は、例えば、カルボキシル基を有する樹脂、具体例を挙げれば、ベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体などのメタクリル酸エステル共重合体などを挙げることができる。
ポリマーの含有量は、着色レジスト組成物の固形分全量に対して、例えば、1〜40質量%である。
《溶剤》
溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、等が挙げられる。
なかでも、代表的なものは、3−トリメトキシブチルアセテート(MBA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルなどである。
溶剤の含有量は、着色レジスト組成物の(溶剤を含めた)全量に対して、例えば、20〜90質量%である。
《感光剤》
着色レジスト組成物がネガ型の場合では、感光剤として光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤による光重合とは、可視光線、紫外線、電子線、X線などのエネルギー線の照射により、重合反応が生じることを意味する。重合反応は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合など、特に限定はないが、ラジカル重合が一般的である。
エネルギー線とてしは、通常、紫外線が用いられ、また可視光線も用いられる。特に、紫外線領域にも吸収を有し光重合開始剤の感度を阻害することがある色材を用いる場合は、当該色材の吸収帯域と重なりが少ない可視光域に感度を有する感光剤が好ましい。
なお、電子線及びX線を用いる場合は、光重合開始剤は省略することができる。
本発明においては、「感光剤」とは、増感剤も含めた複数の化合物の組み合わせからなる「感光剤系」も含めて言うものとする。よって、着色レジスト組成物は、増感剤を含んでいてもよい。増感剤は、例えばラジカル重合の場合であれば、それ自体はラジカルを生成してラジカル重合を開始しないが、それ自体がラジカルを生成しラジカル重合を開始し得る光重合開始剤(ラジカル発生剤)に対して、光エネルギーを移動させて、光重合を開始させ得る化合物である。このため、光重合開始剤が吸収し得ない長波長側の光を増感剤が吸収して、この増感剤により光重合開始剤に光重合を開始させることも可能となる。
〔光重合開始剤〕
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、などのアセトフェノン系化合物;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、などのベンゾイン系化合物;
ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン(4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン)、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、アルキル化ベンゾフェノン、などのベンゾフェノン系化合物;
2−エチルアントラキノン、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、α−アシロキシムエステル(1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム)、などのケトン系化合物;
2,2,2−トリクロロ[1,4’−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]エタノン、2,2−ジクロロ−1,4−(フェノキシフェノル)エタノン、α,α,α−トリブロモメチルフェニルスルフォン、などのハロゲン系化合物;
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシフェニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(1’,3’−ジオキソ−5’−インダニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン、などのトリクロロメチルトリアジン系化合物;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド(BASFジャパン株式会社製、LUCIRIN(登録商標) TPO)、などのアシルフォスフィンオキシド系化合物;
1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASFジャパン株式会社製、イルガキュア(登録商標)OXE 01)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(BASFジャパン株式会社製、イルガキュア(登録商標)OXE 02)、などのオキシムエステル系化合物;
BASFジャパン株式会社製、イルガキュア(登録商標)261などの鉄アレーン錯体系化合物;
ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(BASFジャパン株式会社製、イルガキュア(登録商標)784)などのチタノセン系化合物;
オプトマー(株式会社ADEKA、登録商標)SP150及びオプトマー(株式会社ADEKA、登録商標)SP170、などのジフェニルスルフィド系化合物;
10−ブチル−2−クロロアクリドン、9−フェニルアクリジン、などが挙げられる。
さらに、光重合開始剤を市販品で挙げれば、ヒドロキシアルキルフェノン系である、イルガキュア(BASFジャパン株式会社、登録商標)2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、
アミノアルキルフェノン系である、イルガキュア(BASFジャパン株式会社、登録商標)907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、イルガキュア(BASFジャパン株式会社、登録商標)369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、
などを挙げることができる。
光重合開始剤の含有量は、着色レジスト組成物の固形分全量に対して、例えば、1〜20質量%、好ましくは5〜10質量%である。
〔好適な光重合開始剤〕
上記各種光重合開始剤のなかでも、本発明による着色レジスト組成物においては、光重合開始剤の吸収帯域が、添加される色材の吸収帯域と、なるべく重なりが少ないものが好ましい。
例えば、蛍光色材としてローダミン系色材を用いた場合では、図2に例示される励起スペトクルのように、波長400nm以下の紫外線領域において吸収を有することがある。
ただ、この励起スペトクルは、波長400〜450nm近辺の可視光領域では吸収が少ない。
このため、こうした色材を用いる場合は、光重合開始剤としては、波長370〜450nmの光に感度を有することが好ましい。
ここで、波長370〜450nmの光に感度を有するとは、波長370〜450nmの範囲内の光によって、光重合を開始させ得ることを意味する。
感度を有する意味をより具体的に示せば、波長370〜450nmの範囲内の光に対して、モル吸光係数〔L/(mol・cm)〕が100以、好ましくは400以上、より好ましくは1000以上を示すこととすることができる。したがって、波長370〜450nmの範囲内の全ての波長において、モル吸光係数が上記値以上である必要はない。もちん、波長370〜450nmの範囲内の全ての波長において、モル吸光係数が上記値以上である方が好ましい。
なお、モル吸光係数は、光重合性化合物を溶解する溶媒として酢酸エチルを用いたときの測定値を採用することができる。
ここで、図4は、光重合開始剤の吸収スペクトルを、ローダミン系の蛍光色材の励起スペトクルRと比較した図である。
図中、A、B、C、D、E、及びFは、一般的な光重合開始剤の吸収スペクトルであり、波長370〜450nmにおいて充分な感度がない例である。例えば、Fは、イルガキュア(BASFジャパン株式会社、登録商標)184の吸収スペクトルである。また、Cは、イルガキュア(BASFジャパン株式会社、登録商標)907の吸収スペクトルである。
一方、吸収スペトクルGは、波長370〜450nmにおいて感度を有する例である。
このように、紫外線でも長波長側に感度を有するものが好ましく、また、可視光に感度を有するものが好ましい。
なお、波長370〜450nmの光に感度を有するとは、少なくともこの範囲の光に感度を有するということであって、この範囲を外れる光に感度を有していてもよい。
また、波長400〜450nmまでの可視光域にも感度を有する光重合開始剤であれば、紫外線領域での感度が阻害されるような場合でも、光重合を開始できる。
このような、波長370〜450nmの光に感度を有する光重合開始剤としては、上記した光重合開始剤のなかでも、アシルフォスフィンオキシド系化合物、オキシムエステル系化合物、鉄アレーン錯体系化合物、チタノセン系化合物などが、好ましい光重合開始剤である。
《添加剤》
本発明による着色レジスト組成物は、各種添加剤を含むことができる。添加剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、分散剤、酸化防止剤、安定剤、密着向上剤等が挙げられる。
《着色レジスト組成物がポジ型の場合》
本発明による着色レジスト組成物は、ポジ型でも良いことは既に述べた。着色レジスト組成物がポジ型である場合でも、着色レジスト組成物は、トリアリールメタン系色材、蛍光色材、及び、波長370〜450nmの光に感度を有する感光剤の他に、さらに、バインダ樹脂、溶剤、添加剤などを含むことができる。
色材、及び溶剤については、ネガ型と同じであるので、説明は省略し、以下、ポジ型に特有の材料について説明する。
《ポジ型におけるバインダ樹脂》
バインダ樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂を用いることができる。
<アルカリ可溶性樹脂>
アルカリ可溶性樹脂は、少なくとも露光後の現像時に、アルカリ性の現像液に可溶性を示し、成膜性を有する樹脂であれば、特に制限はない。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂が挙げられる。
フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、或いは、ヒドロキシスチレン繰り返し単位を有する樹脂であるヒドロキシスチレンとp−アセトメトキシスチレンとの共重合体などが挙げられる。
カルボキシル基を有する樹脂としては、例えば、アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体等が挙げられる。
《ポジ型における感光剤》
ポジ型における感光剤は、本発明においては、波長370〜450nmの光に感度を有する感光剤を用いる。
ここで、「感度を有する」とは、ネガ型において光重合開始剤で説明したのと同様である。
ポジ型では、感光剤として、キノンジアジド化合物、光酸発生剤、光塩基発生剤などが挙げられる。
キノンジアジド化合物としては、例えば、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。キノンジアジドスルホン酸エステルのエステル成分は、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びそのフェニル基にヒドロキシル基を付加したビスフェノールA誘導体、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン及びそのフェニル基にヒドロキシル基を付加した化合物等が挙げられる。
キノンジアジド化合物の含有量は、アルカリ可溶性樹脂に対して、例えば、5〜50質量%である。
光酸発生剤としては、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、2−ベンゾイルメチレン−3−メチルナフト(1・2・d)チアゾリン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、3,6−ビス(2−メチル−2−モルフォリノプロパノール)−9−ブチルカルバゾール、などが挙げられる。
光酸発生剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂に対して、例えば、1〜30質量%である。
光塩基発生剤としては、遷移金属錯体、オルトニトロベンジルカルボメート類、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート類、アシルオキシイミノ類等が挙げられる。
光塩基発生剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂に対して、例えば、1〜30質量%である。
<好適な感光剤>
このような、波長370〜450nmの光に感度を有するポジ型用の感光剤としては、上記した感光剤のなかで、キノンジアジド化合物は好ましい感光剤である。
《硬化剤》
ポジ型の着色レジスト組成物では、硬化剤として、メラミン樹脂、エポキシ化合物、ノボラック樹脂、オキセタン化合物又はアルコシキド化合物などを含有させることができる。硬化剤により、解像度、熱硬化性、耐熱性などを向上させることができる。例えば、メラミン樹脂としては、ヘキサメトキシメチロールメラミンなどが挙げられる。
硬化剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂に対して、例えば、5〜50質量%である。
《C》白色発光有機ELディスプレイ:
本発明による白色発光有機ELディスプレイは、上述した本発明による白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタと、この白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタに白色光を供給する白色発光有機EL素子とを含む、有機ELディスプレイである。
本発明によれば、そのカラーフィルタとして上述した、本発明による白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10を含むことによって、光源が白色発光有機EL素子であっても、従来の冷陰極管や白色発光LEDに比べて、色濃度を維持しつつ、輝度低下を抑制することができる。
以下、本発明による白色発光有機ELディスプレイについて、その構成要素を、図1の実施形態例を参照して説明する。
図1(a)に例示する白色発光有機ELディスプレイ30は、白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10と、この白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10に、白色光を供給する白色発光有機EL素子20とを備える。
白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10は、赤色着色層3R、緑色着色層3G、及び青色着色層3Bの3色からなる着色層3を有し、このうち、青色着色層3Bが、本発明に特徴的な色材であるところの、トリアリールメタン系色材及び蛍光色材とを含んでいる。
白色発光有機EL素子20は、上記赤色着色層3R、緑色着色層3G、及び青色着色層3Bに対応して配置されている複数の白色有機発光層21からのそれぞれの白色光が、上記赤色着色層3R、緑色着色層3G、及び青色着色層3Bのそれぞれに供給され透過することにより、赤色、緑色及び青色の3色の混色によりフルカラーの画像表示が可能となっている。
《白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10》
白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10については、既に上述したので、さらなる説明は省略する。
《白色発光有機EL素子20》
白色発光有機EL素子20としては、白色光を発光する白色有機発光層21が複数、面内に配置されたものであれば、公知の素子を用いることができる。
白色発光有機EL素子20は、通常、さらに、白色有機発光層21を支持する基板22、白色有機発光層21を挟むように積層され白色有機発光層21に電圧を印加する背面電極層23及び透明電極層24、これらを互いに絶縁する絶縁層25、これらを保護する透明な保護層26を有し、また、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層などを有することができる。
<白色有機発光層21>
白色有機発光層21としては、例えば、
a)互いに異なる色を発光する発光層を複数積層することで白色を発光させるもの、
b)単層で白色を発光させるもの、
が挙げられる。
上記a)では、
a−1)赤色発光層、緑色発光層、及び青色発光層を積層することで、これらからの発光色の混色により白色を発光させるもの、
a−2)発光色が互いに補色関係にある2層の発光層、例えば、青色発光層と黄色発光層とを積層することで、これらからの発光色の混色により白色を発光させるもの、
などがある。
こうした白色有機発光層21を構成する材料としては、通常、色素系発光材料、金属錯体系発光材料、高分子系発光材料などを挙げることができる。
色素系発光材料としては、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどを挙げることができる。
金属錯体系発光材料としては、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体、イリジウム金属錯体、プラチナ金属錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be、Ir、Pt等、またはTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等を挙げることができる。
高分子系発光材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレノン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体、およびそれらの共重合体等を挙げることができる。
<基板22>
基板22としては、アルミニウム等の不透明な金属材料、或いは、前述した白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10における透明基板1で列記した材料などを用いることができる。
<背面電極層23、透明電極層24、絶縁層25、保護層26>
背面電極層23、透明電極層24、絶縁層25、及び保護層26のそれぞれには、公知の材料及び形成法を適宜採用することができる。
例えば、背面電極層23としては、マグネシウムと銀の合金、マグネシウムとアルミニウムの合金、などを用いることができる。
透明電極層24としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛、などを用いることができる。
絶縁層25としては、感光性樹脂を用いた透明レジスト、無機材料、などを用いることができる。
保護層26としては、感光性樹脂を用いた透明レジスト、無機材料、などを用いることができる。
《接着層31》
接着層31は、白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10と、白色発光有機EL素子20とを、接着積層する層である。接着層31には、公知の材料及び形成法を採用することができる。例えば、アクリレート系やエポキシ系などの感光性樹脂組成物の塗布によって形成することができる。
《その他の構成要素》
白色発光有機ELディスプレイ30は、この他、用途に応じて、駆動回路、筐体などを含み得る。
《変形形態》
図1に例示する実施形態の白色発光有機ELディスプレイ30は、白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10は透明基板1を有し、ブラックマトリクス2及び着色層3は、この透明基板1に形成され、白色発光有機EL素子20は、上記透明基板1とは別体の基板22を有し、白色有機発光層21は、この基板22に形成される形態例であった。しかし、本発明においては、白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10と、白色発光有機EL素子20とが基板を共通化し、例えば、白色発光有機EL素子20の基板22上に、ブラックマトリクス2及び着色層3なども形成された形態、などでもよい。
《D》用途:
本発明による白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ10の用途は、白色発光有機ELディスプレイ用である。
本発明による白色発光有機ELディスプレイ30の用途は、特に限定されない。例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレットコンピュータなどの携帯情報端末、電子書籍端末、パーソナルコンピュータ、モニターディスプレイ、デジタルカメラ、デジタルフォトフレーム、などである。
以下、実施例及び比較例によって、本発明をさらに詳述する。
<バインダ樹脂としてのアルカリ可溶性樹脂の合成>
重合槽中にメタクリル酸メチルを63質量部、アクリル酸を12質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを6質量部、及び、ジエチレングリコールジメチルエーテルを88質量部仕込み、攪拌し溶解させた。その後、2,2'−アゾビスイソブチロニトリルを7
質量部加え、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、さらに100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、さらにメタクリル酸グリシジルを7質量部、トリエチルアミンを0.4質量部、及び、ハイドロキノンを0.2質量部加え、100℃で5時間攪拌し反応させて、アクリル系共重合体からなるアルカリ可溶性樹脂を含む樹脂溶液A(固形分50%)を作製した。
<樹脂バインダ溶液の調整>
次に、上記樹脂溶液Aを用いて、下記材料を室温で混合して、色材を含有させるための樹脂バインダ溶液を調整した。
〔樹脂バインダ溶液〕
上記樹脂溶液A(固形分50%) 16質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 24質量部
(米国サートマー社製、商品名SR399)
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂 4質量部
(油化シェルエポキシ株式会社製、エピコート(登録商標)180S70)
感光剤(光重合開始剤) 4質量部
(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(BASFジャパン株式会社製、イルガキュア(登録商標)OXE 02))
溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル) 52質量部
<実施例1>
上記で得た樹脂バインダ溶液を用いて、下記の青色用着色レジスト組成物を調整した。
〔青色用着色レジスト組成物〕
トリアリールメタン系色材:青色染料(C.I.ベーシックブルー1) 24質量部
蛍光色材:ローダミン系の紫色染料(C.I.アシッドバイオレット9) 6質量部
上記樹脂バインダ溶液 300質量部
分散剤 500質量部
(ビックケミー・ジャパン株式会社製、DISPERBYK(登録商標)2000)
溶剤(3−メトキシブチルアセテート) 2500質量部
透明基板1として無アルカリガラス(米国コーニング社製、1737材)を、洗浄処理を施した後、上記の青色用着色レジスト組成物を用いて、下記要領で、透明基板1上に青色着色層3Bを形成した。
すなわち、上記の青色用着色レジスト組成物を、透明基板1上にスピンコート法で塗布して全面に青色レジスト層を形成した後、プリベーク(80℃で5分間)し、所定パターンのフォトマスクを用いて、紫外線を露光した。
次いで、0.1%KOH水溶液によるスプレー現像を60秒間行った後、ポストベーク(230℃で25分間)して、評価用の青色着色層3Bを作製した。
<実施例2>
実施例1において、青色用着色レジスト組成物として、ローダミン系色材の割合を2倍量とした以下の内容に変更した他は、実施例1と同様にして、評価用の青色着色層3Bを作製した。
〔青色用着色レジスト組成物〕
トリアリールメタン系色材:青色染料(C.I.ベーシックブルー1) 18質量部
蛍光色材:ローダミン系の紫色染料(C.I.アシッドバイオレット9)12質量部
上記樹脂バインダ溶液 300質量部
分散剤 500質量部
(ビックケミー・ジャパン株式会社製、DISPERBYK(登録商標)2000)
溶剤(3−メトキシブチルアセテート) 2500質量部
<比較例1>
実施例1において、青色用着色レジスト組成物として、ローダミン系色材の配合を省略した以下の内容に変更した他は、実施例1と同様にして、評価用の青色着色層3Bを作製した。
〔青色用着色レジスト組成物〕
トリアリールメタン系色材:青色染料(C.I.ベーシックブルー1) 30質量部
上記樹脂バインダ溶液 300質量部
分散剤 500質量部
(ビックケミー・ジャパン株式会社製、DISPERBYK(登録商標)2000)
溶剤(3−メトキシブチルアセテート) 2500質量部
<比較例2>
実施例1において、青色用着色レジスト組成物として、トリアリールメタン系色材をフタロシアニン系色材に変更し、且つローダミン系色材の配合を省略した以下の内容に変更した他は、実施例1と同様にして、評価用の青色着色層3Bを作製した。
〔青色用着色レジスト組成物〕
フタロシアニン系色材(青色顔料、C.I.ピグメントブルー15:6)30質量部
上記樹脂バインダ溶液 300質量部
分散剤 500質量部
(ビックケミー・ジャパン株式会社製、DISPERBYK(登録商標)2000)
溶剤(3−メトキシブチルアセテート) 2500質量部
<性能評価>
上記で得た各々の青色着色層3Bの透過スペトクルを図5に示し、色度及び輝度を表3に示す。
測定は、顕微分光測色機OSP−SP200(オリンパス株式会社製)にて、光源に国際照明委員会CIEによる標準光源Cを用いて、各試料における青色着色層3Bを透過した透過光について測定し、CIE Yxy表色系での色度x及びy、並びに輝度に相当するY〔%〕を先ず求める。次に、この測定結果から、光源を標準光源Cの代わりに白色発光有機EL素子を用いたときの各波長毎の透過率を、前記白色発光有機EL素子の発光スペクトルを用いて算出する。こうして、光源が白色発光有機EL素子のときのCIE Yxy表色系での色度(x,y)、及び、輝度に相当するY〔%〕を求めた。
なお、Yxy表色系とは、JIS Z8701:1999で規定されるXYZ表色系(国際照明委員会(CIE)で規定されるCIE 1931 XYZ表色系でもある)に基づく表色系である。
青色色材として従来一般的なフタロシアニン系色材を用いた比較例2が輝度の基準となり、この比較例2で、光源がW−OLEDのときのY値3.7%を、改善率1.00としてある。
また、色濃度を同一レベルにするために、実施例及び比較例のそれぞれは、表3に示すように、色度(x,y)のy値が同一となるように、青色着色層3Bの厚みを調整してある。
表3に示すように、比較例2に対して、蛍光色材の併用はせずに、青色色材をトリアリールメタン系色材に変更した比較例1では、改善率が1.19となり輝度が19%高まる。
そして、トリアリールメタン系色材に加えて蛍光色材も用いた実施例1では、さらに輝度が高くなり、改善率が1.24となり輝度が24%高くなった。
さらに、蛍光色材の割合を増やした実施例2では、改善率が1.30となり、輝度が30%高くなった。
蛍光色材の併用効果についてみると、蛍光色材を含まない比較例1の改善率1.19に対して、蛍光色材を含む実施例2の改善率1.30であり、輝度を9%高める効果が得らることが判る。
以上の結果、色濃度同一条件で、トリアリールメタン系色材のみを用いても、輝度を高くすることはできるが、さらに蛍光色材も併用することによって、輝度をより高くすることができることが判明した。
このため、実施例1及び実施例2では、白色発光有機ELディスプレイにおいて、光源が白色発光有機EL素子であっても、従来の冷陰極管や白色発光LEDに比べて、色濃度を維持しつつ、輝度低下を抑制することができることになる。
1 透明基板
1p 一方の面
2 ブラックマトリクス
3 着色層
3B 青色着色層
3G 緑色着色層
3R 赤色着色層
4 オーバーコート層
5 スペーサ
10 白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ
20 白色発光有機EL素子
21 白色有機発光層
22 基板
23 背面電極層
24 透明電極層
25 絶縁層
26 保護層
30 白色発光有機ELディスプレイ
31 接着層

Claims (4)

  1. 少なくとも1色の着色層が、トリアリールメタン系色材と蛍光色材とを含む、白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ。
  2. 前記トリアリールメタン系色材が青色色材であり、前記蛍光色材がローダミン系紫色色材である、請求項1に記載の白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタ。
  3. トリアリールメタン系色材、蛍光色材、及び、波長370〜450nmの光に感度を有する感光剤を含む、白色発光有機ELディスプレイ用着色レジスト組成物。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタと、当該白色発光有機ELディスプレイ用カラーフィルタに白色光を供給する白色発光有機EL素子とを含む、白色発光有機ELディスプレイ。
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