本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、水素含有水を生成するために用いる電極について説明する。
<水素含有水生成用電極>
図1、図2は、本実施形態に係る水素含有水生成用電極を示す斜視図である。水素含有水生成用電極10は、水の電気分解作用を利用して、水道水等の原水から、水素を含有する水である水素含有水を生成する。水素含有水は、アルカリ性を示す水である。図1、図2に示すように、水素含有水生成用電極10は、正極11と、負極12と、絶縁体13とを有する。正極11及び負極12は、いずれも筒状の導電体である。本実施形態において、正極11及び負極12の形状は、いずれも円筒形状であるが、これに限定されるものではない。絶縁体13は、正極11の外周部に設けられて、正極11と接している。負極12は、絶縁体13の外周部に設けられて絶縁体13と接している。すなわち、絶縁体13は、正極11と、正極11の外側に設けられた負極12との間に配置されて、正極11及び負極12と接している。正極11、負極12及び絶縁体13は、いずれも網状の部材である。本実施形態において、絶縁体13は、正極11及び負極12と接触しているが、必ずしも接触していなくてもよい。
正極11は、棒状の導体である正極用給電部材14が電気的に接続されている。負極12は、棒状の導体である負極用給電部材15が電気的に接続されている。正極用給電部材14は、電源(直流電源)20の正極と電気的に接続されている。負極用給電部材15は、電源20の負極と電気的に接続されている。このような構造により、正極11は、電源20の正極と正極用給電部材14を介して電気的に接続され、負極12は、電源20の負極と負極用給電部材15を介して電気的に接続される。
本実施形態において、正極11は、棒状の部材である正極用支持部材18が取り付けられている。正極用支持部材18は、正極11の正極用給電部材14が取り付けられている側とは反対側に取り付けられる。負極12は、棒状の部材である負極用支持部材19が取り付けられている。負極用支持部材19は、負極12の負極用給電部材15が取り付けられている側とは反対側に取り付けられる。本実施形態において、正極用支持部材18、負極用支持部材19、正極用給電部材14及び負極用給電部材15は、いずれも同一の材料であるが、このようなものに限定されない。例えば、正極用給電部材14及び負極用給電部材15を同一の材料とし、正極用支持部材18及び負極用支持部材19はこれらと異なる材料としてもよい。本実施形態において、正極11及び負極12は、正極用支持部材18及び負極用支持部材19を必ずしも備えていなくてもよい。
図1、図2に示すように、水素含有水生成用電極10、より具体的には正極11及び負極12は、両方の端部にそれぞれ開口部としての端部側開口部10HA、10HBを有している。水素含有水生成用電極10は、端部側開口部10HA、10HBを有していなくてもよいし、少なくとも一方の端部に端部側開口部10HA又は端部側開口部10HBを有していてもよい。
正極11は、長手方向、すなわち筒状の部材である正極11が延びる方向に向かうスリット11SLを有している。負極12は、長手方向、すなわち筒状の部材である負極12が延びる方向に向かうスリット12SLを有している。図1、図2に示すように、水素含有水生成用電極10は、負極用給電部材15と負極用支持部材19との間、かつ負極12の外側部に拘束部材40が設けられている。拘束部材40は、正極11のスリット11SL及び負極12のスリット12SLを閉じて、負極12と絶縁体13と正極11とを負極12及び正極11の周方向から拘束する。次に、水素含有水生成用電極10の使用態様を説明する。
図3は、本実施形態に係る水素含有水生成用電極の使用態様を示す図である。水素含有水生成用電極10は、原水W中に投入されて、原水W中で水素含有水を生成する。水素含有水生成用電極10は、据付型ではなく、使用する場所、すなわち水素含有水を生成する場所に持ち運んで原水Wに投入されて水素含有水を生成する、移動可能な可搬型の装置に適用可能なものである。原水Wは、例えば、浴槽に溜められた温水、飲料水タンクに溜められた飲料水又は洗浄水タンクに溜められた洗浄水等である。原水W中に投入された水素含有水生成用電極10の正極11と負極12との間に電源20から所定の電圧(直流電圧)が印加されると、水素含有水生成用電極10の周囲に存在する原水Wは、水素イオンH+と水酸イオンOH−とに電離する。
絶縁体13がイオン交換機能を有していない場合、電離した水素イオンH+は絶縁体13を通過して負極12側に集まり、負極12に水素ガス(H2)の気泡が生成される。この気泡は、直径がナノメートルオーダーの微小な気泡である。原水W(2H2O)は、電子(2e−)によりH2+2OH−に整水される。この整水作用によって原水Wに水素ガスが溶存するので、原水Wに水素が溶存した水素含有水が生成される。電離した水酸イオンOH−は、絶縁体13を通過して正極11側に集まり、原水W(2H2O)は、O2+4H++4e−に整水され、酸性のイオン水が生成される。O2は、筒状の正極11の内側に気泡となって集まり、正極11の内側に沿って移動して、端部側開口部10HA、10HBから正極11の外部に放出される。次に、水素含有水生成用電極10について、より詳細に説明する。
図4は、本実施形態に係る水素含有水生成用電極を示す側面図である。図4は、水素含有水生成用電極10の負極12及び絶縁体13の一部を除いた状態を示している。図5は、本実施形態に係る水素含有水生成用電極を、その中心軸を含む平面で切った断面を示す図である。図6は、図4のA−A断面図である。図7は、図6の一部を拡大して示す図である。筒状、本実施形態では円筒形状の正極11及び負極12が延びる方向(適宜長手方向という)Eと平行な方向が、これらの中心軸Ztである。中心軸Ztは、中心軸Ztと直交する正極11及び負極12の断面内の中心(重心)を通る軸である。
図4に示すように、正極11は、側部に複数の開口11Hを有しており、負極12は、側部に複数の開口12Hを有している。正極11が有する複数の開口11Hは、正極11の側部を正極11の厚み方向に貫通している。負極12が有する複数の開口12Hは、負極12の側部を負極12の厚み方向に貫通している。本実施形態において、正極11及び負極12は導電体で製造されており、本実施形態においては、チタン(Ti)に白金(Pt)をめっきしたものである。めっきは、例えば、白金(Pt)−イリジウム(Ir)めっきであってもよい。本実施形態において、チタンは純チタンである。正極11及び負極12は、チタンに白金をめっきしたものに限定されるものではないが、原水Wに溶け出さない材料(例えば、バナジウム(V))であることが好ましい。本実施形態においては、正極11及び負極12の両方がめっきされているが、原水中の水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウム等が析出する正極11のみをめっきし、負極12はめっきしなくてもよい。このようにすることで、水素含有水生成用電極10の製造コストを低減することができる。
図5に示すように、正極11と、正極11の外側の側部(外側部)11Soと、負極12の内側の側部(内側部)12Siとの間に介在する絶縁体13は、正極11の外側部11Soと負極12の内側部12Siとに接している。絶縁体13は、複数の開口13Hを有している。開口13Hは、絶縁体13をその厚み方向に貫通している。絶縁体13は、例えば、絶縁性を有する材料(例えば樹脂)の繊維で編まれた網を用いることができる。また、絶縁体13としては、イオン交換機能を有していてもよい。例えば、絶縁体13は、イオン交換膜(陽イオン交換膜)であってもよい。この場合、絶縁体13は、開口13Hを有していなくてもよい。
陽イオン交換膜は、膜に固定されている陰イオン基のため負に帯電している。このため、陰イオンは反発されて通ることができず、陽イオンだけが通過する。したがって、水素含有水生成用電極10において、陽イオン交換膜を用いた絶縁体13は、陽イオン、すなわち水素イオンH+だけを透過し、陰イオン、すなわち電離した水酸イオンOH−を反発する。このため、絶縁体13を通過して正極11側に移動する水酸イオンOH−の量を低減できる。その結果、正極11側においては酸素及び酸性のイオン水の発生が抑制される。
前述したように、絶縁体13は、イオン交換膜を用いてもよいが、電気的に中性である材料が用いられる。このようにすることで、絶縁体の製造コストを低減でき、また、加工も容易になる。また、イオン交換膜は、イオンは通過させるが水分子が通過させない程度の孔を有している。イオン交換膜を絶縁体13に用いると、この絶縁体13を備えた水素含有水生成用電極10は、水素含有水を生成する際に必要な電圧が高くなり、消費電力が大きくなる可能性を有している。本実施形態において、絶縁体13は、電気的に中性である網状の部材である。このため、イオン交換膜と比較して低い電圧で水素含有水を生成することができ、消費電力を抑制できる。
絶縁性を有する繊維で編まれた網を絶縁体13に用いる場合、絶縁体13の厚みは、0.1mmから1mm程度とする。図6に示すように、本実施形態において、正極11の外側部(外周部に相当)11Soと正極12の内側部(内周部に相当)12Siとの間に設けられた絶縁体13は、負極12のスリット12SLから負極12の外側部(外周部に相当)12So側に端部が取り出されている。絶縁体13の端部は、正極11のスリット11SLから正極11の内側部(内周部に相当)11Si側に取り出されてもよい。次に、図7に示す、正極11と負極12との間に形成される隙間(適宜電極間隙間という)の大きさtの影響を説明する。電極間隙間の大きさtは、正極11の外側部(外周部)11Soと負極12の内側部(内周部)12Siとの間の距離である。
図7に示す電極間隙間の大きさtを異ならせたときにおける、水素含有水の溶存水素量を比較する。この評価では、t=0.4mm、3mmとした。t=0.4mmのとき、水素含有水生成用電極10に印加される電圧は18V、電流は5Aとする。t=3mmのとき、水素含有水生成用電極10に印加される電圧は60V、電流は5Aとする。結果を表1に示す。表1中の溶存水素は、120リットル、41℃の湯に水素含有水生成用電極10を投入してから正極11と負極12とに電圧を印加してから15分経過したときの計測値である。
表1に示す評価結果から、電極間隙間の大きさtが小さくなると、原水に溶存する水素の量(溶存水素量)が多くなることが分かる。具体的には、電極間隙間の大きさtを0.4mmとすると、t=3.0mmと比較して溶存水素量は8%増加する。電極間隙間の大きさtを0.4mmとすると、t=3.0mmと比較して消費電力は1/3強になる。電極間隙間の大きさtを0.4mmとすると、t=3.0mmと比較して少ない消費電力で多くの水素を原水に溶存させることができる。すなわち、水素含有水生成用電極10は、電極間隙間の大きさtを小さくすることにより、水素を原水に溶存させる効率が向上する。
本実施形態において、電極間隙間の大きさtは、0.1mm以上1mm以下とすることが好ましい。電極間隙間の大きさtを前述した範囲とすることで、水素含有水生成用電極10が水素含有水を生成する際に、正極11と負極12とに印加する電圧の電位差が比較的小さくても、水素含有水生成用電極10は、十分な量の水素を発生させることができる。電極間隙間の大きさtが前述した範囲であれば、水素含有水生成用電極10に印加される電圧が比較的低電圧でも、水素含有水生成用電極10は、十分な量の水素を原水に溶存させて多くの水素を溶存した水素含有水を生成することができる。このため、例えば、浴槽に溜められた温水に水素含有水生成用電極10を投入して水素含有水を生成するような用途にも、水素含有水生成用電極10を用いることができる。また、水素含有水に溶存する水素の量が同一であれば、水素含有水生成用電極10は、消費電力を抑制することができる。
電極間隙間の大きさtが大きい場合、十分な量の水素を原水に溶存させるためには、水素含有水生成用電極10に印加される電圧を大きくする。電極間隙間の大きさtを1mm以下、好ましくは0.6mm以下とすることで、水素含有水生成用電極10に印加される電圧が、例えば、48V程度であっても、十分な量の水素を原水に溶存させることができる。電極間隙間の大きさtを0.1mm以上、好ましくは0.2mm以上とすることで、正極11と負極12との間に介在する絶縁体13による正極11と負極12との間の絶縁を十分に確保できる。その結果として、水素含有水生成用電極10は、安定して性能を発揮することができる。また、前述したように、絶縁体13として樹脂を用いる場合、電極間隙間の大きさtを0.1mm以上、好ましくは0.2mm以上とすることで、絶縁体13の耐久性低下を抑制することもできる。本実施形態において、正極11と負極12との間に介在する絶縁体13は、両者に接触する。このため、電極間隙間の大きさtは、絶縁体13の厚みによって決定される。
本実施形態において、水素含有水生成用電極10は、浴槽又は飲料水タンク等に直接投入して水素含有水を生成する。そして、水素含有水を生成する必要がない場合、水素含有水生成用電極10は、浴槽又は飲料水タンク等から取り出される。このように、水素含有水生成用電極10は、取付対象に据え付けて使用されるのではなく、移動及び持ち運びが可能である。このため、水素含有水生成用電極10は、据え付けて使用されるものと比較して、振動及び衝撃の影響を受けやすい。水素含有水生成用電極10は、絶縁体13を正極11と負極12との間に介在させ、両者に接触させると、正極11及び負極12の動きが規制される。その結果、水素含有水生成用電極10は、振動及び衝撃に対する耐性が向上する。
また、絶縁体13を正極11と負極12との間に介在させ、両者に接触させると、絶縁体13によって、水素含有水生成用電極10の全体にわたって正極11と負極12との間隔を一定にしやすくなる。その結果、水素含有水生成用電極10は、正極11と負極12との間の電気抵抗のばらつきが抑制され、電流密度のばらつきが抑制されるので、全体から一様に水素の気泡を発生することができる。電極間隙間の大きさtを、絶縁体13の厚みと同等とすることで、絶縁体13を正極11と負極12との両方に接触させやすくなるので好ましい。次に、正極用給電部材14及び負極用給電部材15について説明する。
図4に示すように、正極用給電部材14は、正極11の第1の端部(一方の端部)11T1から第2の端部(他方の端部)11T2に向かって延びる棒状の導体である。図5、図6に示すように、正極用給電部材14は、正極11が延びる方向(長手方向)Eにおける正極11の寸法Lの半分L/2よりも短い部分が、正極11の内側部11Siに取り付けられる。負極用給電部材15は、負極12の第1の端部12T1から第2の端部12T2に向かって延びる棒状の導体である。図5、図6に示すように、負極用給電部材15は、負極12が延びる方向(長手方向)Eにおける負極12の寸法Lの半分L/2よりも短い部分が、負極12の外側部12Soに取り付けられる。正極用給電部材14の正極11に取り付けられる部分の長さ及び負極用給電部材15の負極12に取り付けられる部分の長さは、いずれもLSである。本実施形態において、LS<L/2である。
図4に示すように、正極用支持部材18は、正極11の第2の端部11T2から第1の端部11T1に向かって延びる棒状の導体である。図5に示すように、正極用支持部材18は、正極11の長手方向Eにおける正極11の寸法Lの半分L/2よりも短い部分が、正極11の内側部11Siに取り付けられる。負極用指示部材19は、負極12の第2の端部12T2から第1の端部12T1に向かって延びる棒状の導体である。図5に示すように、負極用支持部材19は、負極12の長手方向Eにおける負極12の寸法Lの半分L/2よりも短い部分が、負極12の外側部12Soに取り付けられる。
本実施形態において、正極用給電部材14及び負極用給電部材15並びに正極用支持部材18及び負極用支持部材19は、正極11及び負極12と同様に、チタンに白金をめっきした部材である。正極用給電部材14及び負極用給電部材15並びに正極用支持部材18及び負極用支持部材19は、正極11及び負極12と同様に、チタンに白金をめっきしたものに限定されるものではないが、原水Wに溶け出さない材料であることが好ましい。正極用給電部材14と負極用給電部材15とは、例えば、溶接等の接合手段によって、それぞれ、正極11と負極12とに接合されて、電気的に接続される。正極用給電部材14と負極用給電部材15とは、例えば、溶接等の接合手段によって、それぞれ、正極11と負極12とに接合されて、取り付けられる。
正極用給電部材14及び負極用給電部材15並びに正極用支持部材18及び負極用支持部材19に施されるめっきは、例えば、白金(Pt)−イリジウム(Ir)めっきであってもよい。本実施形態において、負極12はめっきを施さなくてもよいが、この場合、負極用給電部材15もめっきを施さなくてもよい。
本実施形態においては、図5に示すように、正極用給電部材14と負極用給電部材15とは、それぞれ、スポット溶接によって複数箇所の接合部CPで正極11と負極12とに電気的に接合されている。正極用支持部材18及び負極用支持部材19も正極用給電部材14及び負極用給電部材15と同様である。正極用給電部材14及び負極用給電部材15の接合は、スポット溶接に限定されるものではない。
複数の接合部CPは、正極用給電部材14及び負極用給電部材15の長手方向において、一部分に偏らないように設けられている。このようにすることで、正極用給電部材14と負極用給電部材15とは、自身の長手方向Eの全体から電力を供給することができる。負極用給電部材15及び負極用支持部材19は、それぞれ別部材として、負極12が延びる方向(長手方向)Eにおける負極12の寸法Lの半分L/2よりも短い部分が、負極12の外側部12Soに取り付けられる。このため、負極12の外側部12Soにおいて、負極用給電部材15と負極用支持部材19との間には、これらが存在しない部分(隙間)が生じる。水素含有水生成用電極10は、負極12の外側部12Soの負極用給電部材15及び負極用支持部材19が存在しない部分に拘束部材40を取り付けることができる。拘束部材40は、負極用給電部材15及び負極用支持部材19とは干渉しないので、負極12、絶縁体13及び正極11を、負極12の外周部全体にわたって均等な力で拘束することができる。
図4、図5に示すように、正極用給電部材14は、正極11の第1の端部11T1から突出しており、負極用給電部材15は、負極12の第1の端部12T1から突出している。このようにすることで、正極用給電部材14及び負極用給電部材15は、図4に示すように、第1の端部11T1、12T1から突出した部分を取付対象ST1に取り付けることができる。その結果、正極11及び負極12は、正極用給電部材14及び負極用給電部材15を介して取付対象ST1に取り付けられる。
本実施形態において、正極用給電部材14及び負極用給電部材15は、図4に示すように、第1の端部11T1、12T1から突出した部分に雄ねじ14S、15Sが設けられている。正極用給電部材14と負極用給電部材15とは、この雄ねじ14S、15Sにそれぞれねじ込まれたボルト32、32によって、取付対象ST1に取り付けられ、固定される。
正極11は、第1の端部11T1が取付対象ST1と接し、かつ正極用給電部材14を介してボルト32によって取付対象ST1に固定されている。同様に、負極12は、第1の端部12T1が取付対象ST1と接し、かつ負極用給電部材15を介してボルト32によって取付対象ST1に固定されている。このため、正極11及び負極12は、それぞれの広い範囲が取付対象ST1と接触するので、取付対象ST1に対して安定して取り付けられる。
また、それぞれのボルト32、32と、雄ねじ14S、15Sにそれぞれねじ込まれたボルト33、33とで、正極用給電部材14と配線とを電気的に接続する端子34及び負極用給電部材15と配線とを電気的に接続する端子34を固定する。このような構造により、端子34、34及び正極用給電部材14、負極用給電部材15を介して、正極11、負極12に電力が印加される。
図4、図5に示すように、正極用支持部材18は、正極11の第2の端部11T2から突出しており、負極用支持部材19は、負極12の第2の端部12T2から突出している。このようにすることで、正極用給電部材14及び負極用給電部材15は、図4に示すように、第2の端部11T2、12T2から突出した部分を取付対象ST2に取り付けることができる。その結果、正極11及び負極12は、正極用支持部材18及び負極用支持部材19を介して取付対象ST2に取り付けられる。
本実施形態において、正極用支持部材18及び負極用支持部材19は、図4に示すように、第2の端部11T2、12T2から突出した部分に雄ねじ18S、19Sが設けられている。正極用支持部材18と負極用支持部材19とは、この雄ねじ18S、19Sにそれぞれねじ込まれたボルト31、31によって、取付対象ST2に取り付けられ、固定される。
正極11は、第2の端部11T2が取付対象ST2と接し、かつ正極用支持部材18を介してボルト31によって取付対象ST2に固定されている。同様に、負極12は、第2の端部12T2が取付対象ST2と接し、かつ負極用支持部材19を介してボルト31によって取付対象ST2に固定されている。このため、正極11及び負極12は、それぞれの広い範囲が取付対象ST2と接触するので、取付対象ST2に対して安定して取り付けられる。
水素含有水生成用電極10は、正極用給電部材14及び負極用給電部材15並びに正極用支持部材18及び負極用支持部材19によって、正極11及び負極12の両側から取付対象ST1、ST2に取り付けられることが可能である。また、水素含有水生成用電極10は、正極用給電部材14及び負極用給電部材15又は正極用支持部材18及び負極用支持部材19の一方を用いて1つの取付対象に取り付けられてもよい。このように、水素含有水生成用電極10は、取付の自由度が高いという利点がある。
図8、図9は、水素含有水生成用電極の変形例を示す側面図である。本変形例において、図8、図9は、図4等に示した拘束部材40は省略している。図8に示す水素含有水生成用電極10a及び図9に示す水素含有水生成用電極10bは、負極12の外側に取り付けられている負極用給電部材14a、14bの外側から拘束部材40が取り付けられる。
図8に示す水素含有水生成用電極10aにおいて、正極用給電部材14aは、正極11の長手方向Eにおける正極11の寸法Lの半分L/2よりも長い部分が、図5に示す正極11の内側部11Siに取り付けられる。負極用給電部材15aは、負極12の長手方向Eにおける負極12の寸法Lの半分L/2よりも長い部分が、図5に示す負極12の外側部12Soに取り付けられる。正極用給電部材14aの正極11に取り付けられる部分の長さ及び負極用給電部材15aの負極12に取り付けられる部分の長さは、いずれもLSである。本実施形態において、LS>L/2である。LSは、正極11及び負極12の長手方向Eにおける寸法Lの70%以上が好ましく、さらにはLSは、Lの80%以上がより好ましい。本実施形態においては、LSはLの95%以上となっている。
図8に示すように、正極用給電部材14aと負極用給電部材15aとは、それぞれ、スポット溶接によって複数箇所の接合部CPで正極11と負極12とに電気的に接合されている。複数の接合部CPは、正極用給電部材14a及び負極用給電部材15aの長手方向において、一部分に偏らないように設けられている。このようにすることで、正極用給電部材14aと負極用給電部材15aとは、正極11と負極12とに、これらの長手方向Eの全体から電力を供給することができる。このため、水素含有水生成用電極10aは、正極11及び負極12の長手方向Eにおける電流の分布を均一に近づけることができるので、負極12の長手方向Eの全域から水素を発生させることができる。また、正極11及び負極12は、それぞれの長手方向Eの広い範囲で、それぞれ正極用給電部材14a及び負極用給電部材15aと電気的に接続しているので、水素含有水生成用電極10aは、電流の効率の低下を抑制して、電流を効率的に利用することができる。すなわち、水素含有水生成用電極10aは、印加される電流の利用効率の低下を抑制できる。結果として、水素含有水生成用電極10aは、単位電力あたりの水素含有量を大きくすることができる。さらに、正極用給電部材14aの正極11に取り付けられる部分の長さ及び負極用給電部材15aの負極12に取り付けられる部分の長さLSを前述した範囲とすることにより、正極11及び負極12を補強することもできる。
図8に示すように、正極用給電部材14aは、正極11の第1の端部11T1及び第2の端部12T2の両方から突出している。負極用給電部材15aは、負極12の第1の端部12T1及び第2の端部12T2の両方から突出している。このようにすることで、正極用給電部材14a及び負極用給電部材15aは、図8に示すように、第1の端部11T1、12T1から突出した部分を取付対象ST1に、第2の端部11T2、12T2から突出した部分を取付対象ST2に取り付けることができる。その結果、正極11及び負極12は、正極用給電部材14a及び負極用給電部材15aを介して取付対象ST1、ST2に取り付けられる。
本実施形態において、正極用給電部材14a及び負極用給電部材15aは、図8に示すように、第1の端部11T1、12T1から突出した部分に雄ねじ14S1、15S1が設けられている。また、正極用給電部材14a及び負極用給電部材15aは、第2の端部11T2、12T2から突出した部分に雄ねじ14S2、15S2が設けられている。正極用給電部材14aと負極用給電部材15aとは、第1の端部11T1側の雄ねじ14S1、15S1にそれぞれねじ込まれたボルト32、32によって取付対象ST1に取り付けられ、固定される。また、正極用給電部材14aと負極用給電部材15aとは、第2の端部12T2側の雄ねじ14S2、15S2にそれぞれねじ込まれたボルト31、31によって取付対象ST2に取り付けられ、固定される。
ボルト32と、雄ねじ14S1、15S1にそれぞれねじ込まれたボルト33とで、正極用給電部材14、負極用給電部材15と配線とを接続する端子34、34が固定される。このような構造により、端子34、34及び正極用給電部材14a、負極用給電部材15aを介して、正極11、負極12に電力が印加される。水素含有水生成用電極10aは、正極用給電部材14及び負極用給電部材15を正極11及び負極12の両側から突出させている。このため、前述した水素含有水生成用電極10(図4等参照)と同様の作用、効果が得られる。
図9に示す水素含有水生成用電極10bは、正極用給電部材14b及び負極用給電部材15bが、正極11及び負極12の第1の端部11T1、12T1からのみ突出し、第2の端部11T2、12T2からは突出しない点が、図8に示す水素含有水生成用電極10aとは異なる。水素含有水生成用電極10bの他の構造は、図8に示す水素含有水生成用電極10aと同様である。このため、水素含有水生成用電極10bは、正極11及び負極12の第1の端部11T1、12T1側のみが取付対象STに取り付けられること以外は、図8に示す水素含有水生成用電極10aと同様の作用、効果が得られる。
図10、図11は、水素含有水生成用電極の変形例を示す断面図である。図10、図11は、水素含有水生成用電極10c、10dの中心軸Ztと直交する断面を示している。図10に示す水素含有水生成用電極10cは、正極11cと、負極12cと、絶縁体13cとを含み、かつ平面部10Pと、これにつながる曲面部10Rとを有している。正極11cは、長手方向、すなわち筒状の部材である正極11cが延びる方向に向かうスリット11SLaを有している。負極12cは、長手方向、すなわち筒状の部材である負極12cが延びる方向に向かうスリット12SLaを有している。図11に示す水素含有水生成用電極10dは、正極11dと、負極12dと、絶縁体13dとを含み、かつ第1平面部10PAと、これの両端につながる一対の第2平面部10PB、10PBと、一対の第2平面部10PB、10PBとをつなぐ曲面部10Rとを有している。正極11dは、長手方向、すなわち筒状の部材である正極11dが延びる方向に向かうスリット11SLbを有している。負極12dは、長手方向、すなわち筒状の部材である負極12dが延びる方向に向かうスリット12SLbを有している。
水素含有水生成用電極10c、10dが備える正極11c、11d及び負極12c、12dは、平面と曲面とを組み合わせた形状である。また、図1、図2、図8、図9等に示す水素含有水生成用電極10、10a、10bは、円筒形状であるため、正極11及び負極12の全周にわたって曲面である。このように、本実施形態において、水素含有水生成用電極10、10a、10b、10c、10dが備える正極11、11c、11d及び負極12、12c、12dは、少なくとも一部が曲面であればよい。水素含有水生成用電極10は、正極11及び負極12を円筒形状とすることにより、全周にわたって効率よく水素の気泡を負極11から離脱させ、原水Wに溶存させることができる。また、正極11及び負極12を円筒形状とすることにより、製造も容易である。
水素含有水生成用電極10、10a、10b、10c、10dは、正極11、11c、11dと負極12、12c、12dとを曲面を有する形状とすることにより、水素を効率的に発生させることができる。水素含有水生成用電極10、10a、10b、10c、10dを原水W中に投入して使用する場合、曲面の部分が上方(重力の作用する方向とは反対方向側)を向くようにして設置されることが好ましい。次に、正極11、負極12及び絶縁体13が有する開口11H、12H、13Hについて説明する。
図12は、正極及び負極の一部を拡大して示す図である。図13は、正極及び負極が有する開口の拡大図である。図14は、図12のB−B断面図である。図15は、絶縁体の一部を拡大して示す図である。正極11及び負極12は、複数の線状の部分(線状部分)16が交差した、網状の部材である。複数の線状部分16で囲まれる部分が、正極11及び負極12の開口11H、12Hとなる。本実施形態において、正極11及び負極12が有する開口11H、12Hは、菱形形状である。開口11H、12Hは、一方の対角線(第1対角線)TLlが他方の対角線(第2対角線)TLsよりも長くなっている。開口11H、12Hは、第1対角線TLl上の頂部Pa、Pbでの角度が、第2対角線TLs上の頂部Pc、Pdでの角度よりも小さくなっている。
正極11及び負極12は、複数の開口11H、12Hを有するので、開口11H、12Hを通して電気力線を内側と外側とに回すことができる。このため、正極11及び負極12は、両面を電気分解に利用することができるので、水素を効率的に発生させることができる。また、負極12は、線状部分16で囲まれた開口12Hにより、自身が生成する水素の気泡のぬれ角を小さくすることができるので、水素の気泡を小さい状態で離脱させることができる。すなわち、生成される水素と負極12の表面との間に生じる吸着力が、点接触に近い状態になって表面張力が抑制されるので、結果として、負極12は、水素の気泡を小さい状態で離脱させて、多くの水素の気泡を溶存した水素含有水を生成することができる。
本実施形態において、正極11及び負極12の線状部分16は、図14に示すように、断面が長方形(図14の例では正方形)となっている。負極12は、線状部分16が有する角部16Tによって、水素の気泡のぬれ角をさらに小さくして表面張力を抑制することができるので、水素の気泡をより小さい状態で離脱させることができる。このため、負極12は、より小さい水素の気泡を溶存させた水素水を生成することができる。また、負極12は、断面が長方形の線状部分16を有するので、水素の発生に利用することができる表面積を大きくすることができる。これらの作用により、負極12は、水素を原水に溶存させる効率が向上する。
本実施形態において、開口11H、12Hは、図13に示すように、第1対角線TLlが、正極11及び負極12が延びる方向、すなわち長手方向Eに向かっている。第2対角線TLsは、円筒形状の正極11及び負極12の周方向Cに向かっている。正極11及び負極12は、図1、図2に示すように、長手方向Eの両側に端部側開口部10HA、10HBを有している。正極11の内側に発生した酸素の気泡は、図3に示すように、端部側開口部10HA、10HBから水素含有水生成用電極10の外部に放出される。このとき、酸素の気泡が移動する方向に、正極11の開口11Hの長手方向が揃っているので、酸素の気泡は端部側開口部10HA、10HBに移動しやすくなる。その結果、水素含有水生成用電極10は、酸素の気泡を効率的に外部へ放出することができる。また、正極11の開口11Hは、第1対角線TLl上の頂部Pa、Pbの角度が鋭角になるので、酸素の気泡と線状部分16との接触面積を小さくすることができる。その結果、酸素の気泡は、線状部分16から離脱しやすくなるので、水素含有水生成用電極10は、酸素の気泡を効率的に外部へ放出することができる。また、正極11は、線状部分16が角部16Tを有するので、この角部16Tによって、酸素の気泡のぬれ角をさらに小さくして表面張力を抑制することができる。その結果、正極11は、酸素の気泡を線状部分16から速やかに離脱させて端部側開口部10HA、10HBに移動させることができる。このため、水素含有水生成用電極10は、酸素の気泡を効率的に外部へ放出することができる。さらに、酸素の気泡が正極11の内側に沿って移動する過程で、正極11側で新たに生成された酸素の気泡を取り込んで酸素の気泡が成長する。このため、酸素の気泡と原水Wとが接触する面積を小さくして、原水Wへの酸素の溶存を抑制することができる。
図15に示すように、絶縁体13は、複数の線状部材17を交差させ、線状部材17で囲まれる部分が開口13Hとなる網状の部材である。開口13Hは、長方形形状(本実施形態では正方形形状)となっている。開口13Hは、一辺の長さがLaであり、この辺に隣接する辺の長さがLbである。本実施形態において、開口13Hは正方形形状なので、La=Lbである。長さがLaの辺は、正極11及び負極12の長手方向Eと平行であり、長さがLbの辺は、円筒形状の正極11及び負極12の周方向Cと平行である。
本実施形態において、正極11の開口11H及び負極12の開口12Hは、絶縁体13の開口13Hよりも大きい。開口11H、12Hの面積は、第1対角線TLlの長さをLl、第2対角線TLsの長さをLsとすると、Ll×Ls/2である。開口13Hの面積(開口面積)は、La×Lbである。このため、Ll×Ls/2>La×Lbとなる。本実施形態において、例えば、第1対角線TLlの長さLlは6mm、第2対角線TLsの長さLsは3mmであるので、開口11H、12Hの面積は、9mm2となる。開口13Hは、例えば、La=Lb=1.06mmである。すなわち、絶縁体13は、1inchあたり24個の開口13Hが配列されている。開口13Hの面積(開口面積)は、1.12mm2となる。このように、本実施形態において、正極11及び負極12の開口11H、12Hの面積は、開口13Hの面積の8倍程度である。
正極11及び負極12の開口11H、12Hよりも絶縁体13の開口13Hが大きい場合、絶縁体13の開口13Hを通して正極11と負極12とが接触する可能性が高くなる。水素含有水生成用電極10は、正極11及び負極12の開口11H、12Hよりも絶縁体13の開口13Hを小さくすることにより、絶縁体13の開口13Hを通して正極11と負極12とが互いに接触することを回避できる。このように、水素含有水生成用電極10は、正極11と負極12との距離を小さくしても、正極11と負極12との短絡を回避して、両者の絶縁を確保できる。このため、水素含有水生成用電極10は、正極11と負極12とに印加する電圧を低く抑えることが求められる、原水Wに投入する方式に対して好適である。
本実施形態において、絶縁体13は、複数の線状部材17を交差させた網状の部材である。このような網状の部材を用いると、絶縁体13は、厚み方向にある程度の変形が許容されるので、水素含有水生成用電極10が振動又は衝撃を受けたとき、これを絶縁体13が吸収することができる。絶縁体13に、複数の線状部材17を交差させた網状の部材を用いると、移動及び持ち運びが可能な可搬型の水素含有水生成用電極10に好適である。
水素含有水生成用電極10は、絶縁体13の開口13Hが正極11の開口11H及び負極12の開口12Hよりも小さいので、正極11側で発生した酸素の気泡を絶縁体13の線状部材17で捕捉し、大きな気泡とすることができる。酸素の気泡が大きくなることで、原水Wへの酸素の溶存が抑制されるので、水素含有水生成用電極10は、水素の気泡の溶存率が高い水素含有水を生成することができる。また、酸素の気泡が大きくなることで浮力が大きくなる結果、酸素の気泡が正極11の内側を移動しやすくなり、また開口13Hを通過しやすくなるので、水素含有水生成用電極10は、酸素の気泡を内部から放出しやすくなる。
また、線状部材17によって捕捉されなかった酸素の気泡は、絶縁体13の開口13Hを通過して、負極12の線状部分16に付着している水素の気泡を引き連れて線状部分16から離脱させる。このため、水素含有水生成用電極10は、負極12で発生した水素の気泡を負極12から速やかに離脱させて原水W中に溶存させることができる。次に、水素含有水生成用電極10の製造方法を説明する。
<水素含有水生成用電極の製造方法>
図16は、本実施形態に係る水素含有水生成用電極の製造方法のフロー図である。図17から図26は、本実施形態に係る水素含有水生成用電極の製造方法の各工程を示す図である。水素含有水生成用電極10を製造するにあたり、まず、ステップS101において、図17、図18に示すように、導電体である正極材料11M及び負極材料12Mを曲げて略円筒形状の部材とする。正極材料11M及び負極材料12Mは、複数の開口(図4等に示す正極11の開口11H、負極12の開口12Hに相当、図17、図18では省略)を有する板状の導電体である。正極材料11M及び負極材料12Mが曲げられた、略円筒形状の部材は、周方向Cにおける一部が除かれ、長手方向E、すなわち略円筒形状の部材が延びる方向にスリット11SL、12SLを有している。図17に示すように、スリット11SLは、正極材料11Mの対向する端部11MT、11MTの間に形成されている。図18に示すように、スリット12SLは、負極材料12Mの対向する端部12MT、12MTの間に形成されている。
正極材料11Mは、長手方向Eが、図19に示す正極材料の開口11Hの第1対角線TLlと平行になっている。開口11Hの第1対角線TLlは、第2対角線TLsよりも長い。このため、図19に示す開口11Hは、第1対角線TLlよりも短い第2対角線TLsが、正極材料11Mが曲げられた略円筒形状の部材の周方向Cに向かっている。その結果、正極材料11Mを筒状に曲げやすくなり、正極11の寸法精度も確保しやすくなる。
負極材料12Mは、長手方向Eが、図20に示す負極材料の開口12Hの第1対角線TLlと平行になっている。開口12Hの第1対角線TLlは、第2対角線TLsよりも長い。このため、図20に示す開口12Hは、第1対角線TLlよりも短い第2対角線TLsが、負極材料12Mが曲げられた略円筒形状の部材の周方向Cに向かっている。その結果、負極材料12Mを筒状に曲げやすくなり、負極12の寸法精度も確保しやすくなる。
次に、ステップS102において、給電部材及び支持部材が、円筒形状に曲げられた正極材料11Mと負極材料12Mとにそれぞれ取り付けられる(図21、図22参照)。給電部材とは、図21に示す正極用給電部材14と図22に示す負極用給電部材15とをいう。支持部材とは、図21に示す正極用支持部材18と図22に示す負極用支持部材19とをいう。
図21に示すように、正極用給電部材14及び正極用支持部材18は、正極材料11Mの曲がりの内側の面11Miに取り付けられる。正極用給電部材14及び正極用支持部材18は、長手方向が、図19に示す開口11Hの第1対角線TLlと平行になるように正極材料11Mに接続されて、取り付けられる。正極用給電部材14及び正極用支持部材18は、例えば、溶接によって正極材料11Mに接合される。このため、正極用給電部材14と正極材料11Mとは電気的に接続される。
図22に示すように、負極用給電部材15及び負極用支持部材19は、負極材料12Mの曲がりの外側の面12Moに取り付けられる。負極用給電部材15及び負極用支持部材19は、長手方向が、図20に示す開口12Hの第1対角線TLlと平行になるように負極材料12Mに接続されて、取り付けられる。負極用給電部材15及び負極用支持部材19は、例えば、溶接によって負極材料12Mに接合される。このため、負極用給電部材15と負極材料12Mとは電気的に接続される。
正極用給電部材14及び正極用支持部材18が取り付けられた正極材料11Mと、負極用給電部材15及び負極用支持部材19が取り付けられた負極材料12Mとは、めっき(本実施形態では白金めっき)が施される。負極12にめっきを施さない場合、正極用給電部材14及び正極用支持部材18が取り付けられた正極材料11Mのみにめっきが施される。このようにして、正極11及び負極12が完成する。正極11及び負極12は、いずれも筒状の導電体であり、側部に複数の開口を有し、かつ周方向における一部が除かれ、長手方向E、すなわち筒状の導電体が延びる方向にスリット11SL、12SLを有している。
次に、ステップS103に進み、図23に示すように、筒状の導電体であり、側部11Sに複数の開口11Hを有する正極11の側部11Sを、網状の絶縁体13で覆う。絶縁体13で正極11の側部11Sを覆うにあたって、スリット11SLの位置は特に限定されるものではない。
次に、ステップS104において、図24に示すように、負極12を、スリット12SLから正極11及び絶縁体13を通して絶縁体13の外側に取り付ける。正極11及び絶縁体13を負極12のスリット12SLに通すときには、スリット12SLを広げておく。負極12の内側に正極11及び絶縁体13が配置されたら、ステップS105において、広げられていたスリット12SLを閉じる。
その後、ステップS106において、図25に示すように、負極12の外側に、拘束部材40を取り付けて負極12と絶縁体13と正極11とを拘束する。負極用給電部材15と負極用支持部材19との間に複数の拘束部材40が取り付けられる。拘束部材40は、例えば、樹脂製の結束バンドを用いたり、耐食性が高く、かつ原水Wに溶け出さない金属の線材等を用いたりすることができる。負極12と絶縁体13と正極11とが拘束部材40によって拘束されて、図26に示すように、水素含有水生成用電極10が完成する。余分な絶縁体13は、閉じられたスリット12SLから負極12の外部に取り出されていてもよい。
拘束部材40によって、円筒形状の部材である負極12及び正極11には、これらの周方向に向かう力が与えられる。このため、正極11及び負極12のスリット11SL、12SLが閉じられる。正極11は、導電体であるとともに弾性体であり、スリット11SLを閉じる程度の変形は、正極11の材料の弾性変形の範囲内における変形である。このため、正極11のスリット11SLが閉じられると、正極11には、閉じられたスリット11SLを開く力が発生する。
正極11は、負極12を介して拘束部材40によって拘束されているため、正極11に発生する前述した力は、正極11及び絶縁体13を負極12に押し付けるように作用する。その結果、絶縁体13が正極11と負極12とに確実に接触するので、絶縁体13の厚みによって正極11と負極12との間に形成される隙間が精度よく規定される。また、正極11に発生する前述した力によって、正極11と、絶縁体13と、負極12との間のずれが抑制される。このようにして、移動可能な可搬型の装置に用いられる水素含有水生成用電極10を製造することができる。
本実施形態に係る水素含有水生成用電極の製造方法は、正極材料11M及び負極材料12Mに給電部材及び支持部材を取り付ける以外は、溶接等の接合を用いていない。このため、拘束部材40を取り外すことによって、水素含有水生成用電極10は、正極11と、負極12と、絶縁体13とに容易に分解することができるので、保守、点検、補修及び部品交換が容易である。また、水素含有水生成用電極10は、リサイクルも容易である。次に、水素含有水生成用電極10を備えた水素含有水生成用装置について説明する。
<水素含有水生成装置>
図27は、本実施形態に係る水素含有水生成装置を示す図である。図28は、本実施形態に係る水素含有水生成装置が備える第1支持体を示す図である。図29は、本実施形態に係る水素含有水生成装置が備える第2支持体を示す図である。図30は、本実施形態に係る水素含有水生成装置が備える保護部材の開口と、負極の開口とを示す図である。水素含有水生成装置100は、前述した水素含有水生成用電極10を備えており、原水W中に投入されて、水素含有水を生成する装置である。
水素含有水生成装置100は、第1支持体101と、第2支持体102と、水素含有水生成用電極10とを含む。本実施形態において、水素含有水生成装置100は、さらに、保護部材103を有する。第1支持体101は、水素含有水生成用電極10の第1の端部10T1側に取り付けられる。第1支持体101は、水素含有水生成装置100の設置対象FLと接する第1の設置部101Cを有する。設置対象FLは、例えば、浴槽の底部又は飲料水タンクの底部等である。本実施形態において、第1の設置部101Cは、第1支持体101の側部のうち、水素含有水生成用電極10の中心軸Ztの周りの側部である。
第2支持体102は、水素含有水生成用電極10の第2の端部10T2側に取り付けられる。第2支持体102は、設置対象FLと接する第2の設置部102Cを有する。本実施形態において、第2の設置部102Cは、第2支持体102の側部のうち、水素含有水生成用電極10の中心軸Ztの周りの側部である。第2支持体102は、水素含有水生成用電極10が有する正極11の側部11Sと直交する方向における正極11の側部11Sから第2の設置部102Cまでの距離(第2支持体側高さ)h2は、正極11の側部11Sと直交する方向における正極11の側部11Sから第1の設置部101Cまでの距離(第1支持体側高さ)h1よりも大きい。これにともなって、図28に示す第1支持体101の高さH1は、図29に示す第2支持体102の高さH2よりも小さくなっている。この例において、第1支持体側高さh1及び第2支持体側高さh2は、いずれも、設置対象FLと設置する部分を基準としている。
水素含有水生成用電極10の第1の端部10T1は、図4等に示す正極11及び負極12の第1の端部11T1、12T1に相当し、第2の端部10T2は、正極11及び負極12の第2の端部11T2、12T2に相当する。負極12の側部12Sと直交する方向は、水素含有水生成用電極10の中心軸Ztと直交する方向に相当する。第1支持体101及び第2支持体102は、例えば、樹脂を成型して製造される。第1支持体101及び第2支持体102は、設置対象FLに設置されたときに水素含有水生成用電極10を指示する。
保護部材103は、筒状(本実施形態では円筒形状)の部材であり、側部に複数の開口103Hを有する。保護部材103が有する複数の開口103Hは、保護部材103の側部を保護部材103の厚み方向に貫通している。保護部材103は、水素含有水生成用電極10の外側、より具体的には負極12の外側に設けられる。保護部材103は、第1の端部103T1は第1支持体101に支持され、第2の端部103T2は第2支持体102に支持される。このような構造により、水素含有水生成用電極10及び保護部材103は、それぞれの両端部側で第1支持体101及び第2支持体102によって支持される。
保護部材103は、水素含有水生成用電極10の外側に設けられて、これを保護する。また、保護部材103は、水素含有水生成装置100の使用時には原水W中に投入されて、原水Wと接触する。このため、保護部材103は、例えば、強度及び耐食性の高いステンレス鋼等で作られている。第1支持体101及び第2支持体102に取り付けられた保護部材103は、水素含有水生成用電極10を保護するため、ある程度の強度を有している。このため、保護部材103は、第1支持体101及び第2支持体102とともに水素含有水生成装置100の強度を確保するための構造部材としての機能も有する。
図27、図28に示すように、第1支持体101は、正極11の側部で囲まれる空間とつながる開口部としての第1開口部101Hを有する。図27、図29に示すように、第2支持体102は、正極11の側部で囲まれる空間とつながる開口部としての第2開口部102Hを有する。第1開口部101H及び第2開口部102Hは、水素含有水生成用電極10の正極11の内部と外部とをつないでおり、正極11側で生成された酸素の気泡の通路となる。正極11の側部で囲まれる空間とつながる開口部は、第1支持体101及び第2支持体102の少なくとも一方が有していればよい。
このように、第2支持体側高さh2を第1支持体側高さh1よりも大きくすることにより、水素含有水生成用電極10は、第1支持体101から第2支持体102に向かうにしたがって設置対象FLからの距離が大きくなるように、設置対象FLの接地面に対して傾斜することになる。水素含有水生成用電極10の正極11は筒状であり、中心軸Ztと平行な方向において、中心軸Ztと直交する断面の形状は一定である。このため、正極11、特に第1の設置部101C及び第2の設置部102Cからより離れた方の正極11の内側(正極上部内側)は、第1支持体101から第2支持体102に向かうにしたがって設置対象FLからの距離が大きくなるように傾斜している。
水素含有水生成装置100は、正極11及び正極11の正極上部内側を、前述したように傾斜させることによって、正極11側に発生した酸素の気泡は正極11の正極上部側に集まる。そして、酸素の気泡は、浮力の影響によって正極上部内側に沿って第2支持体102の第2開口部102Hに向かって移動して、水素含有水生成装置100の外部、より具体的には水素含有水生成用電極10の外部に放出される。このように、水素含有水生成装置100は、正極11を第2開口部102Hに向かうにしたがって設置対象FLの接地面から離れるように傾斜させるので、酸素の気泡の浮力を利用して、正極11内の酸素の気泡を効率よく、かつ速やかに第2開口部102Hから外部に放出することができる。このため、水素含有水生成装置100は、水素含有水生成用電極10への通水がない場合でも、正極11内の酸素の気泡を外部へ放出することができる。
水素含有水生成用電極10の設置対象FLの接地面とのなす角度(傾斜角度)をθとする。本実施形態において、傾斜角度θは、便宜上、設置対象FLの接地面と平行な仮想の接地面FLvと水素含有水生成用電極10の中心軸Ztとのなす角度としている。傾斜角度θは、酸素の気泡を効率よく水素含有水生成用電極10の外部に放出させる観点からは0.5度以上が好ましく、より好ましくは1度以上、さらには1.5度以上が好適である。傾斜角度θがこの範囲であれば、水素含有水生装置100は、水素含有水生成用電極10内の気泡を効率よく、かつ速やかに放出することができる。
傾斜角度θを大きくすると、正極11で発生した酸素の気泡が合体して十分な大きさとなる前に原水中へ放出される。その結果、傾斜角度θが大きいと、原水中に溶存する酸素の量が増加する傾向にある。原水中に溶存する酸素の量を抑制するという観点からは5度以下が好ましく、より好ましくは4度以下、さらには3度以下が好適である。傾斜角度θがこの範囲であれば、水素含有水生成装置100は、原水中に溶存する酸素の量を抑制することができる。また、傾斜角度θがこの範囲であれば、水素含有水生成装置100の高さ、具体的には図27に示す第2支持体102の高さH2が無闇に増加することを抑制して、水素含有水生成装置100をコンパクトにすることができる。傾斜角度θは、0.5度以上5度以下が好ましく、より好ましくは1度以上4度以下、さらには1.5度以上3度以下が好適である。本実施形態において、傾斜角度θは、2度としている。
水素含有水生成装置100は、第1支持体101に第1開口部101Hを備え、第2支持体102に第2開口部102Hを備えている。このため、第1開口部101H及び第2開口部102Hの少なくとも一方から水素含有水生成用電極10を洗浄することができる。例えば、第1開口部101Hからホース等で洗浄水を水素含有水生成用電極10に噴射してこれを洗浄したり、第1開口部101Hからブラシ等を差し込んで、水素含有水生成用電極10、特に正極11の汚れを除去したりすることができる。このように、水素含有水生成装置100は、第1開口部101H及び第2開口部102Hを備えるので、水素含有水生成用電極10を洗浄する際の作業を容易にすることができる。水素含有水生成用電極10は、水による洗浄の他、例えば、洗浄液(例えばクエン酸の水溶液)に水素含有水生成装置100ごと、所定時間浸漬させることにより正極11及び負極12の表面に析出したミネラル分を除去する。このように、水素含有水生成用電極10は、洗浄に用いる水又は洗浄液を、原水Wと分離して供給する必要はないので、簡易な構造とすることができる。なお、水素含有水生成装置100は、第1開口部101H及び第2開口部102Hの少なくとも一方を有していれば、前述した作用及び効果を得ることができる。次に、保護部材103の開口103Hと負極12の開口12Hとの関係を説明する。
本実施形態において、図30に示すように、保護部材103の開口103Hの形状は、直径がDの円形である。保護部材103の開口103Hは、負極12の開口12Hよりも大きい。具体的には、開口103Hの面積は、π×D2/4であり、開口12Hの面積はLl×Ls/2なので、π×D2/4>Ll×Ls/2である。このようにすることで、負極12側で発生した水素の気泡を、保護部材103の開口103Hを効率よく通過させて、原水Wに水素の気泡を効率よく溶存させることができる。保護部材103の開口103Hの形状を円形とすることにより、開口103Hを容易に製造することができる。
図31は、本実施形態に係る水素含有水生成装置の他の使用態様を示す図である。水素含有水生成装置100は、第2支持体102の第2開口部102H側を設置対象FLに向けて設置してもよい。あるいは、水素含有水生成装置100は、第1支持体101の第1開口部101H側を設置対象FLに向けて設置してもよい。このようにすると、水素含有水生成用電極10の中心軸Ztは、設置対象FLの接地面と直交するようになる。設置対象FLとは反対側に配置されている第1支持体101の第1開口部101Hから、水素含有水生成用電極10の正極11側で発生した酸素の気泡が原水W中に放出される。第1支持体101の第1開口部101H側を設置対象FLに向けて設置した場合、第2支持体102の第2開口部102Hから、水素含有水生成用電極10の正極11側で発生した酸素の気泡が原水W中に放出される。
水素含有水生成用電極10の負極12側で発生した水素の気泡は、負極12の全周から原水W中に放出され、保護部材103の開口103Hを通過していく。このように、水素含有水生成装置100は、第1支持体101及び第2支持体102の両方が設置対象FLに設置されてもよいし、第2支持体102のみが設置対象FLに設置されてもよい。このため、水素含有水生成装置100は、使用する環境に応じて異なる態様で使用されることが可能である。
水素含有水生成装置100は、第1支持体101と第2支持体102とで、面積がより大きい方を設置対象FLに向けて設置することが好ましい。このようにすれば、水素含有水生成装置100を安定して設置することができる。
(水素含有水生成用電極の取付構造)
図32、図33は、本実施形態に係る水素含有水生成装置に水素含有水生成用電極を取り付けるときの取付構造を示す図である。図34は、本実施形態に係る水素含有水生成装置に水素含有水生成用電極を取り付けるときの他の取付構造を示す図である。図32、図33は、水素含有水生成装置100を浴槽に投入して使用する場合を示している。図32、図33に示すように、本実施形態において、水素含有水生成用電極10は、正極用給電部材14及び負極用給電部材15によって第1支持体101及び第2支持体102に支持されている。正極用給電部材14及び負極用給電部材15並びに正極用支持部材18及び負極用支持部材19を利用することにより、水素含有水生成用電極10を、比較的簡単な構造で第1支持体101と第2支持体102とに取り付けることができる。
図32に示すように、正極11の第1の端部11T1側から突出した正極用給電部材14及び負極12の第1の端部12T1側から突出した負極用給電部材15が、第1支持体101に取り付けられている。第1支持体101は、図4に示す取付対象ST1に相当する。図33に示すように、正極11の第2の端部11T2側から突出した正極用支持部材18及び負極12の第2の端部12T2側から突出した負極用支持部材19が、第2支持体102に取り付けられている。第2支持体102は、図4に示す取付対象ST2に相当する。
第1支持体101は、取付座101Bと、筒状の側部側カバー101CSと、平板状の蓋101CBとを有している。取付座101Bは、水素含有水生成用電極10及び保護部材103を支持する。取付座101Bは、水素含有水生成用電極10とは反対側に、取付座101Bから離れる方向に向かって延在する筒状の部材(以下、筒状部材という)101IWを有している。筒状部材101IWは、内側の部分が正極11の内部と第1支持部材101の外部とをつなぐ通路となっている。蓋101CBは、側部側カバー101CSの端部及び筒状部材101IWの端部に取り付けられる。蓋101CBは、筒状部材101IWの内側とつながる開口101CBHを有している。筒状部材101IW、より具体的には筒状部材101IWの内側と蓋101CBの開口101CBHとが、第1開口部101Hとなる。
取付座101Bは、正極用給電部材14及び負極用給電部材15が取り付けられ、これらを介して水素含有水生成用電極10を支持する部材である。正極用給電部材14及び負極用給電部材15は、図32に示すように、雄ねじ14S、15Sにそれぞれねじ込まれたボルト32によって、取付座101Bに取り付けられ、支持される。正極11及び負極12の第1の端部11T1、12T1は、取付座101Bの一方の面である取付面101Pと接する。取付座101Bは、正極11及び負極12の第1の端部11T1、12T1とボルト32、32とに挟持される。このような構造により、水素含有水生成用電極10は、正極用給電部材14及び負極用給電部材15を介して取付座101Bに取り付けられ、支持される。
第1支持体101が有する第1開口部101Hは、正極11及び負極12の第1の端部11T1、12T1側の開口部と対向しているので、正極11内の酸素の気泡は、第1開口部101Hを通過して水素含有水生成装置100の外部に放出される。
取付座101Bと、蓋101CBと、側部側カバー101CSと、筒状部材101IWとで囲まれる空間(第1支持部材内部空間)101SPに、正極用給電部材14と配線25とを接続する端子34及び負極用給電部材15と配線25とを接続する端子34が配置される。配線25は、側部側カバー101CSに設けられた孔102SPHに設けられたグロメット26を通して、第1支持部材内部空間101SPから外部に引き出される。端子34、34には、配線25が電気的に接続されている。配線25と第1支持体101の側部側カバー101CSとの間に介在するグロメット26は、配線25を保護し、第1支持部材内部空間101SPを防水するための部材であり、例えばゴム製である。第1支持部材内部空間101SP内には、例えば、防水剤が充填されている。防水剤によって、正極用給電部材14、負極用給電部材15、端子34及び配線25を防水する。
図33に示すように、正極用支持部材18及び負極用支持部材19は、雄ねじ18S、19Sにそれぞれねじ込まれたボルト31によって第2支持部材102に取り付けられ、支持される。正極11及び負極12の第2の端部11T2、12T2は、第2支持部材102の一方の面である取付面102Pと接する。第2支持部材102は、正極11及び負極12の第2の端部11T2、12T2とボルト31、31とに挟持される。ボルト31は、第2支持部材102の取付面102Pとは反対側の面に設けられた座繰り穴102BH内に埋め込まれる。このような構造により、水素含有水生成用電極10は、正極用支持部材18及び負極用支持部材19を介して第2支持部材102に取り付けられ、支持される。なお、第2支持部材102は、第1支持部材101とともに保護部材103も支持している。
前述したように、水素含有水生成用電極10及び保護部材103は、長手方向における両端部がそれぞれ第1支持部材101と第2支持部材102とに支持される。水素含有水生成装置100は、水素含有水生成用電極10及び保護部材103長手方向の両側から支持することにより、これらを確実に支持して強固な構造体とすることができる。
図34に示す水素含有水性性装置100aが有する第1支持体101aは、取付座101Baと、筒状の側部側カバー101CSaと、平板状の蓋101CBaとを有している。取付座101Baは、図32に示す取付座101Bが有していた筒状部材101IWを有していない。このため、第1支持体101aは、図32に示す第1支持体101が有していた第1開口部101Hを有していない。正極用給電部材14、負極用給電部材15、端子34及び配線25は、取付座101Baと、側部側カバー101CSaと、蓋101CBaとで囲まれる第1支持部材内部空間101SPa内に配置される。第1支持部材内部空間101SPa内には防水剤が充填される。第1支持体101aの他の構造及び水素含有水生成用電極10との関係は、図32に示す第1支持体101と同様である。図33に示す第2支持体102は、水素含有水性性装置100aにそのまま適用される。
配線25は、コネクタ27を介して電源20に接続される。電源20は、例えば、二次電池であり、本実施形態では鉛蓄電池である。電源20は、コントロールパネル21を有している。コントロールパネル21は、制御装置(例えば、マイクロコンピュータ)21Cと、電源スイッチ22と、表示装置23とを含む。表示装置23は、例えば、単数若しくは複数の発光ダイオード又は液晶表示パネル等である。電源20は、充電用のAC(Alternative Current)アダプタ24が接続可能である。電源スイッチ22がONにされると、電源20から水素含有水生成用電極10に電力が印加され、水素含有水生成用電極10は、原水Wを電気分解して水素含有水を生成する。本実施形態において、制御装置21Cは、電源スイッチ22がONにされてから所定の時間(例えば、10分から20分程度)経過すると、自動的に電力の供給を停止する。このようにすることで、特に、水素含有水生成装置100を浴槽に投入して水素を含有した温水を生成する場合、入浴が終了した後まで電力が供給し続けられることを回避できるので、電源20の電力消費を抑制することができる。
ACアダプタ24は、交流を直流に変換して、電源20を充電する。本実施形態において、水素含有水生成装置100は、電源20から供給される直流電力によって水素含有水を生成するが、例えば、ACアダプタ24から供給される直流電力によって水素含有水を生成することもできる。この場合、例えば、制御装置21Cは、水素含有水生成用電極10への電力の供給を、電源20又はACアダプタ24に切り替える。
表示装置23は、電源20を充電するタイミング、水素含有水生成用電極10を洗浄したりメンテナンスしたりするタイミング等を表示する。制御装置20Cは、充電のタイミングになった場合、例えば、表示装置23が有する充電報知用のランプを点滅させたり、洗浄のタイミングになった場合、例えば、表示装置23が有する洗浄報知用のランプを点滅させたりする。このようにすることで、水素含有水生成装置100の使用者は、充電又は洗浄のタイミングを把握することができる。
制御装置21Cは、電源20から配線25に接続しているコネクタ27が引き抜かれた場合又は水素含有水生成装置100が原水Wから引き上げられた場合等には、電源20からの電力の出力を停止、すなわち、電源スイッチ22がOFFにされた状態とする。例えば、制御装置21Cは、水素含有水生成用電極10に流れる電流が所定の値以下又は0になった場合、電源20からの電力の出力を停止する。水素含有水生成用電極10が水中から引き上げられると、正極11と負極12との間に原水Wが存在しなくなる結果、水素含有水生成用電極10に流れる電流が所定の値以下又は0になるからである。また、コネクタ27が電源20から引き抜かれると、配線25を介して水素含有水生成用電極10に電流が流れなくなるからである。制御装置21Cは、前述したように電源20の電力の出力を制御することで、安全性を向上させることができる。
本実施形態では、ACアダプタ24を電源20に接続して充電したが、電源20の充電は、このような態様に限定されるものではない。例えば、電磁誘導を利用した非接触式の充電方式によって電源20を充電してもよい。このようにすることで、電源20及び充電装置の防水を確保しやすくなる。次に、水素含有水生成装置100の変形例を説明する。
(変形例)
図35から図37は、本実施形態に係る水素含有水生成装置の変形例を示す図である。この水素含有水生成装置100bは、使用時には、第2支持体102bから、折り畳み可能な収納式の脚部104を取り出して設置対象FLに設置させる。脚部104は、例えば、図36に示すように、第2支持体102bの設置対象FL側に設けられた回動軸Zrを中心として回動する棒状の部材である。脚部104は、第2支持体102bの幅方向両側に1個ずつ配置される。水素含有水生成装置100bを使用しない場合、脚部104は、第2支持体102bの設置対象FL側に設けられた格納部106に格納される。水素含有水生成装置100bを使用する場合、脚部104は、格納部106から引き出され、回動軸Zrを中心として回動する。そして、回動軸Zrとは反対側の端部104Sが設置対象FLと接触する。
このようにすることで、水素含有水生成装置100bは、図37に示すように、第1支持体101の第1の設置部101Cと、脚部104の端部104Sとで設置対象FLに設置される。第2支持体102bは、脚部104によって第1支持体101よりも設置対象FLから離れることになる。このため、水素含有水生成装置100bの水素含有水生成用電極10は、設置対象FLの接地面に対して、第1支持体101から第2支持体102bに向かうにしたがって設置対象FLから離れるように傾斜する。このとき、水素含有水生成用電極10の中心軸Ztと、設置対象FL(本例では仮想の接地面FLv)とのなす角度が前述した傾斜角度θである。
水素含有水生成装置100bは、第2支持体102に収納式の脚部104を備える。このため、第2支持体102b及び第1支持体101を同一の形状とすることができるので、部品の共通化を図ることが可能である。また、第2支持体102は、使用時に脚部104を引き出せばよいので、第1支持体101と同等の寸法にすることができる。このため、第2支持体102bをコンパクトにできるので、結果として水素含有水生成装置100bをコンパクトにすることができる。
以上、本実施形態を説明したが、前述した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。