JP2014144952A - 双極性トランスカロテノイド塩及びそれらの使用 - Google Patents
双極性トランスカロテノイド塩及びそれらの使用 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014144952A JP2014144952A JP2014003614A JP2014003614A JP2014144952A JP 2014144952 A JP2014144952 A JP 2014144952A JP 2014003614 A JP2014003614 A JP 2014003614A JP 2014003614 A JP2014003614 A JP 2014003614A JP 2014144952 A JP2014144952 A JP 2014144952A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- compound
- tcro
- cation
- mammal
- administering
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- ZTVDNLQVNIPHMW-JQIJEIRASA-N CC(C(C1P)C1(c1ccccc1)c1ccccc1)/C=C(\C)/C(OC)=O Chemical compound CC(C(C1P)C1(c1ccccc1)c1ccccc1)/C=C(\C)/C(OC)=O ZTVDNLQVNIPHMW-JQIJEIRASA-N 0.000 description 1
Landscapes
- Medicinal Preparation (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
【解決手段】下式で示されるトランスカロテノイド化合物。但し、トランスソディウムクロセチネートは除く。YZ−TCRO−ZY[YはNa+、K+等のカチオン;Zはカルボキシル基(COO−)、硫酸基(OSO3−)等の前記カチオンに結合した極性基;TCROはトランスカロテノイド骨格]
【選択図】なし
Description
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する双極性トランスカロテノイド塩(BTCS)化合物、及びそのような化合物の合成に関する。
YZ−TCRO−ZY
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含む、種々の疾患の治療方法に関する。
YZ−TCRO−ZY
を有する化合物を可溶化し、また、合成するいくつかの方法を包含する。
本発明は、疎水性のカロテノイド又はカロテノイド関連骨格が水溶液に溶解することを可能にする一群の化合物である双極性トランスカロテノイド塩、及びそれらの製造方法に関する。これらの塩のカチオンとしては、多くの種が挙げられるが、ナトリウム又はカリウム(これらは大部分の生体系で見出される。)が好適である。本願の発明者が保有する米国特許第6060511号(参照することにより、本明細書にそのまま組み込まれる。)には、トランスソディウムクロセチネート(TSC)(BTCSの1つ)をサフランから製造する抽出方法が記載されている。
YZ−TCRO−ZY
本発明によれば、水溶液中へのトランスカロテノイド又はカロテノイド関連骨格分子の溶解が可能になる。以下、新規の溶解方法を説明する。本方法は、任意の双極性トランスカロテノイド塩及びその組成物に適用される。
出血性ショックの治療のために、大量(推定失血量の3倍)の等張食塩水(生理食塩水とも呼ばれる。)を注入する。等張食塩水は、体内に注入された時に血漿のイオン強度を乱さないように、水1リットル当たりNaCl9gを含有する。この食塩水にTSCを添加すると、優れた注入液が得られることが明らかになっているが、TSC粉末とその食塩水とを単に混合しても、そのような溶液を調製することはできない。(1mL当たり数ミリグラムまでは、)どんなにTSCを添加しても、生理食塩水に溶解するのはTSC約50%である。これは、不溶のTSC粒子がまだ存在することを意味する。それを防止するには、必要量の2倍を超えるTSCを添加し、その後、溶解していない粒子を遠心分離で除去することによって原液を調製すればよい。原液の実際の組成は、UV−可視スペクトロスコピーを用いて確認することができる。この原液は生理食塩水に添加することができるが、TSCは溶解したままである。
TSCのようなBTCSは、極希薄炭酸ナトリウム溶液に溶解する。炭酸ナトリウムの希薄溶液(例えば0.00001〜0.001M溶液)は、脱イオン水のpH(通常5〜6である。)が8.0になるまで、脱イオン水に滴下することができる。これには、例えば脱イオン水50mL当たり、極希薄炭酸ナトリウム2、3滴しか要しない。この炭酸ナトリウム−脱イオン水溶液は、大量のTSC(約10mg/mL)を完全に溶解させることができる。BTCSのカロテノイド部分の疎水性を考慮すると、驚くべき量である。
TSCは水(水道水、蒸留水、脱イオン水)に溶解するが、これらの溶液は、塩基性になるようにpHを調整しない限り安定しない。TSCは、標準水よりも脱イオン水(ごく少量のNa+イオンが存在する。)に多く溶解する。TSCを始めとするBTCSは、脱イオンしただけの水単独に溶解するものの、無調整の脱イオン水をその溶液に添加すると、TSCは析出する。BTCSは、脱イオンしただけの水単独に溶解するが、わずかに塩基性になるようにpHを調整しなければ、脱イオン水の追加はBTCSの析出を引き起こす。
BTCSは、薬物送達を高める送達システムに製剤化することができる。本発明の化合物の製剤化(後述)を参照のこと。
以下、双極性トランスカロテノイド塩の合成に用いることができる新規の合成方法を説明する。場合により、種々の合成ステップには、当業者に自明の変形態様が存在する。
トランスソディウムクロセチネート(TSC)は、共役炭素−炭素二重結合を含む対称C10ジアルデヒド(2,7−ジメチルオクタ−2,4,6−トリエン−1,8−ジアール)を[3−カルボメトキシ−2−ブテン−1−イリデン]トリフェニルホスホランとカップリングさせることによって、合成することができる。これにより、クロセチンのトランスジメチルエステルが形成される。そして、このジメチルエステルは、けん化により最終生成物のTSCに変換する。一般に、けん化は、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化ナトリウムのTHF(テトラヒドロフラン)溶液のいずれかでエステルを処理することによって行われるが、この場合、これらの方法では最良の結果が得られなかった。この場合は、エステルをNaOH/メタノール溶液と反応させることによって、けん化を非常に良好に行うことができる。TSCは、けん化の後、真空乾燥により回収する。
2,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエンジアール(2,7−ジメチルオクタ2,4,6−トリエン−1,8ジアール)は、TSC合成の重要な中間体である。この重要な前駆体は、3つの二重結合を有し、それ故、いくつかの異性体が可能である。TSCについては、オールトランス異性体(E,E,E−異性体)が必要である。一般的な合成経路では11ステップの合成を要し、いくつかのステップでは、収率が比較的低く、選択性も乏しい(実施例1参照)。結局、途中で、いくつかの中間体を精製するためにカラムクロマトグラフィーを行う必要がある。
双極性トランスカロテノイド塩の高濃度溶液は、前述のように、炭酸ナトリウムの極希薄溶液に溶解させることによって調製することができる。得られた混合物は、そのまま使用しても、また、生理食塩水又は他の水性溶媒で更に希釈してもよい。双極性トランスカロテノイド塩の溶液は、更に、塩溶液に双極性トランスカロテノイド塩を直接溶解させ、次いで、溶解していない物質を除去することによって調製することができる。
体組織への酸素の送達は、多種多様な状態を制御又は仲介する。クロセチンについて記載されているのと同じ医薬用途、同じ有効量で、本発明の化合物及び組成物を使用することができる。米国特許第4176179号、第4070460号、第4046880号、第4038144号、第4009270号、第3975519号、第3965261号、第3853933号、及び第3788468号(これらは、各々、参照することにより、本明細書にそのまま組み込まれる。)を参照のこと。
双極性トランスカロテノイド塩は、急性及び慢性の呼吸器障害の治療に使用することができる。これらは、動脈酸素分圧が、90〜100mmHgの正常値より低下した状態、例えば、60〜70mmHgの値に低下した状態と説明されている。そのような急性及び慢性の呼吸器障害の例としては、気腫、急性肺傷害(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び喘息が挙げられる。
出血性ショックは、酸素消費の減少によって特徴づけられる。双極性トランスカロテノイド塩は、より多くの酸素を赤血球から組織に拡散させることによって、身体の酸素消費を増加させる。TSCは、出血性ショックの状態にあるラットの酸素消費を増加させることが示され、また、ショックの他の症状を軽減することも示されている。本発明の化合物は、低い血圧を増加させ、増加した心拍数を減少させ、かつショックの間に生じた血液アシドーシスを逆転させる。本発明の化合物は、出血性ショック後の臓器傷害も低減させる。
欧米文化において、主な死因は虚血性心疾患である。死亡は、心臓の収縮能力が徐々に低下するか、或いは、頻繁にあることだが、突然停止するかのいずれかによって生じる。心突然死(SCD)は、症状開始後60秒から24時間後までの時間に生じる。これらの死は、通常、急性冠閉塞(遮断)、又は(場合により閉塞に起因する)心室細動の結果である。
双極性トランスカロテノイド塩は、腎虚血、肝虚血、脊髄虚血及び脳虚血(例えば脳卒中)のような他の形態の虚血(組織又は臓器への血流不足)の治療にも有効である。
手術は、失血又は動脈のクリッピング(例えばバイパス術)のいずれかを伴うことが多いが、これらは虚血の原因となることがある。双極性トランスカロテノイド塩は、手術の前治療に、又は手術中若しくは手術後の治療に有効である。
高血圧症(hypertension)、すなわち高血圧(high blood pressure)は、循環器疾患に関連することが多い。本発明の化合物は、血圧の低下に用いることができる。
BTCSは歩行、走行、リフティング等の間の酸素消費レベルを増加させて、好気的代謝を増強する。持久力も増加する。
外傷性脳損傷後の低酸素症は脳障害を増大させる。BTCSは、衝撃損傷(限局性及びびまん性損傷)後の脳組織中の酸素レベルを増加させる。衝撃損傷の例としては、自動車/オートバイ事故及び落下が挙げられる。BTCSはまた、高酸素療法が用いられる場合に、正常な脳組織に到達する酸素の量を増加させる。
BTCSは、アルツハイマー病における脳の酸素消費レベルを増加させ、それ故、アルツハイマー病の症状を緩和する。血流及び酸素消費は、認知症に罹患していない高齢者に見られる値よりも約30%低いレベルに低下する(Wurtman、Scientific American、第252巻、1985)。
BTCSは、糖尿病の合併症(潰瘍、壊疽、糖尿病性網膜症等)の治療に有用である。糖尿病性足部潰瘍は、高圧酸素呼吸療法を用いた方が、治癒が良好である(M.Kalaniら、Journal of Diabetes & Its Complications、第16巻、2号、153〜158頁、2002)。
双極性トランスカロテノイド塩はまた、脊髄損傷、脳浮腫、貧血及び皮膚乳頭腫の治療にも使用することができる。いずれの場合にも、状態を緩和し、重症度を低下させる。これは、双極性トランスカロテノイド塩の使用に起因する酸素消費の増加によるものと考えられる。
トリフェニルホスフィン(235.6g、0.90mol)をEtOAc(540mL)に溶解させた。すべての固体が溶解するのに約30分を要した。この過程は吸熱的であった(周囲温度が20℃の時、溶液は13℃まで冷却された)。EtOAc(400mL)に溶解させたブロモ酢酸エチル(100mL、0.90mol)の溶液を1.5時間かけて滴下した。その添加の間に白色沈殿が形成した。周囲温度(18℃)で一晩(20時間)攪拌した。
反応フラスコを氷浴中で冷却しながら、ACL−G29−1で得た物質をヨードメタン(64.0mL、1.03mol)で処理した。添加が完了した時(1時間)、反応混合物をTLC(シリカゲル、10%MeOH/CHCl3)でチェックし、かなりの量の出発物質が残っていることが示された。氷浴を外し、反応混合物を1.5時間後にTLCでチェックした。主バンドの幅の減少(出発物質は筋状になる。)に基づき、反応は完全であるように見えた。ロータリーエバポレーターで反応混合物を濃縮し、大部分の溶媒が除去された時、生成物は発泡し始め、蒸気ダクトまで上昇した。出現したホスホニウム塩5は、極めて粘度の高いシロップであったが、取扱いを容易にするために、塩化メチレン溶液として保存した。5の性質が原因で、この物質の定量は行わなかった。
5の一部をCH2Cl2(350mL)に溶解させ、1M NaOH(500mL)と共に45分間激しく攪拌した。有機相を分離し、水相をCH2Cl2で抽出した(2×100mL)。有機相を合わせ、乾燥し(MgSO4)、濃縮して、6を黄色固体8.0gとして得た。1H NMRスペクトルは文献値と一致した。
無水MeOH(650mL)に溶解させたフラン(88.0g、1.29mol)の溶液をN2下で−45℃に冷却した。臭素(68.0mL、1.32mol)の溶液を、≦−45℃を維持する速度で2.5時間かけて滴下した。赤色溶液を2.5時間かけて−10℃に温め、更に2時間そのままに保持した。反応混合物は淡琥珀色であった。Na2CO35gの添加により、かなりの量のガス放出及び4℃の発熱が生じた。反応混合物をドライアイスで冷却し、残りのNa2CO3(全量210g)を50分かけて添加した。一晩(11時間)、−10℃に保持した後、氷浴を外し、反応混合物を室温に温め、20時間攪拌した。
フマルアルデヒドビス(ジメチルアセタール)8(5.29g、0.03mol)をアセトン(120mL)に溶解させた。H2O(1.80mL)及びアンバーリスト15(1.20g)を順次添加した。得られた混合物を5分間激しく攪拌し、次いで、ろ過して樹脂を除去した。この間に、溶液は無色から黄色に変わった。室温下、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮し、小麦色の残留物をクーゲルロール(kugelrohr)で蒸留し(37℃/200ミリtorr)、9を、71.8%の収率で、黄色液体2.80gとして得た。蒸留器が最初に衝突した時に少量の物質が失われた。1H NMRスペクトルは所望の生成物と一致した。GC分析では、純度が80%であることが示された。
フマルアルデヒドビス(ジメチルアセタール)8(72.1g、0.41mol)をアセトン(1600mL)に溶解させた。H2O(25.0mL)及びアンバーリスト15(16.7g、アセトンで予洗)を加えた。混合物を5分間激しく攪拌し、次いで、ろ過して酸性樹脂を除去した。反応混合物はわずかに黄色に呈色し、その色は以前の大規模調製よりもはるかに淡かった。GC分析では、生成物34.5%及び出発物質46.1%の存在が示された。更に5分間、樹脂で処理した。GC分析では、生成物59.5%及び出発物質21.7%の存在が示された。更に10分間、樹脂で処理した(合計時間20分)。GC分析では、生成物73.9%及び出発物質2.0%の存在が示された。室温下、ロータリーエバポレーターでろ液を濃縮して、褐色油状物質54gを得た。減圧蒸留により黄緑色油状物質34.48gを得た。GC分析では、純度64.7%(8.22分)であり、主不純物17.5%(9.00分)及び6.9%(9.14分)が存在することが示された。正味の回収収量は、22.3g(0.17mol)であった。GCによる初期カットの分析では、不純物を極めて多く含んだ物質であることが示された。
アンバーリスト15(8.61g)をアセトン(100mL)中で30分間攪拌し、ろ過によって収集した。アセタール8(35.0g、0.16mol)をアセトニトリル(620mL)に溶解させ、機械的に攪拌しながら、酸性樹脂及び脱イオン水(10.0mL、0.55mol)を添加した。TLC(ヘキサン:Et2O(10:3))で反応過程を観察したところ、15分後には、大部分の出発物質が変換されていた。20分後には、痕跡量のジメチルアセタールしか検出されなかった。樹脂をろ過によって除去し、≦40℃で、ロータリーエバポレーターでろ液を濃縮した。粗生成物をBiotageカラム(7.5×9.0cm)にロードし、ヘキサン中の15%Et2Oで溶出させて、19.8gを得た(収率65%)。
イリド6(7.80g、22mmol)を塩化メチレン(65mL)に溶解させた。フマルアルデヒドモノ(ジメチルアセタール)9(2.80g、17mmol)の溶液を添加し、この溶液を一晩攪拌した。ロータリーエバポレーターで減圧して、溶媒を除去した。粗製物の1H NMRは、所望の生成物が存在することを示した。静置すると、結晶が成長した(トリフェニルホスフィンオキシドと推定された)。この固体(減圧ろ過による乾燥後、14.1g)を石油エーテル中でスラリーとし、ろ過した。ろ液を濃縮して、固体が析出した黄色油状物質を得、これを塩化メチレン(15mL)に溶解させ、Biotage4×7.5cmカラムを用いてクロマトグラフィーを行い、塩化メチレンで溶出させて、10を黄色油状物質1.8gとして得た(収率50%)。黄色油状物質の1H NMRスペクトルは文献値と一致したが、痕跡量の塩化メチレンが残留していたため(0.75当量)、その物質を45分間、ロータリーエバポレーターに入れた。質量は1.5g(収率40.6%)に減少し、塩化メチレンの共鳴は消失した。GC分析の主ピークは12.6分。87.5%(50℃に5分間保持し、20℃/分で最終温度250℃まで上昇させた)。
塩化メチレン(650mL)に溶解させたイリド6(59.2g、0.16mol)の溶液を氷浴中で冷却し、9(25.7g、0.19mol)の溶液を添加した。氷浴が溶けるのを放置したまま、溶液を一晩攪拌した。TLC(ヘキサン:Et2O(10:3))は、生成物のごく近くを移動する少なくとも3つの他の化合物が存在することを示した。GC分析によるアルデヒドの検査では、純度が50.0%であることが示された。溶媒を除去して、固体/油混合物を得た。
イリド6(59.2g、0.16mol)及びアセタール9(0.19mol)を塩化メチレン(1.1L)中でカップリングさせて、上述のようにワークアップして、黄緑色油状物質80gを得た。粗反応混合物の一部(元の80gのうちの4.13g)をクーゲルロールに入れ、50℃/250mtorrで蒸留した。無色油状物質を濃縮して2.28gとしたが、1H NMRは、それが出発アルデヒドであり、他方、生成物10(1.85g)が蒸留器中に残留していることを示した。50℃/250mtorrのクーゲルロール蒸留によって、大部分の粗生成物から揮発性成分を除去した(正味35g)。
予備蒸留器から得たアセタール10(ACL−G29−8、1.85g、9mmol)をアセトン(33mL)に溶解させた。脱イオン水(0.50mL)及びアンバーリスト15樹脂(0.35g、アセトンで予洗)を添加した。この混合物を20分間攪拌した。ろ過し、ロータリーエバポレーターで濃縮して、黄緑色油状物質1.53gを得た。Biotageカラム(4.5×7cm)を用いてクロマトグラフィーを行い、ヘキサン中の15%Et2Oで溶出させた。このシステムでは分離が不完全であったが、主成分0.32gを単離し、分析した。1H NMRスペクトルは文献データと一致し、IR(1711、1682cm−1)は所望の生成物と一致した。GCでは95.6%。更に0.35gを回収したが、極性のより低い物質と、より高い物質とが交差混入していた。1H NMRスペクトルは、かなり純度の高い物質であることを示した。GCでは90.6%。収率:42%。
G29−9で得たアルデヒド11(0.65g、3.5mmol)を塩化メチレンに溶解させ、マグネチックスターラーで攪拌した。イリド(1.59g、4.4mmol)を加えた。薄黄緑色溶液は、数分以内により暗い色合いの黄色に変わった。10分後のTLCは、出発物質がほぼ完全に消費されたことを示した。20時間攪拌後、反応混合物(褐色溶液)を、シリカゲルが部分的に充填されたピペットに通してろ過した。ろ液を濃縮して褐色固体を得た。少量のCHCl3を含むヘキサン中の5%Et2Oに固体を溶解させた。Biotageカラム(4×7.5cm)を用いてクロマトグラフィーを行い、ヘキサン中の5%Et2Oで溶出させた。主生成物を白色結晶固体045gとして単離した(収率50%)。1H NMRスペクトルは文献データと一致した。
12を上述のようにして更に調製し、クロマトグラフィーで精製後、21.8gを得た(81.6%)。1H NMRスペクトルは所望の生成物と一致した。
ジエステル12(0.45g、1.8mmol)を無水ヘキサン(15.0mL)に入れた。物質の一部は溶解したように見えたが、混合物はかなり濁っていた。この混合物を−78℃の浴中で冷却すると、より多くの物質が溶液から析出したように見えた。ニートのDIBAL−H(2.50mL)を無水ヘキサン(総容積10.0mL)に溶解させたが、そのジエステルをドライアイス浴で冷却している時に、不注意により、DIBAL−H溶液の一部(約2mL)を反応混合物中に吸引してしまった。合計5.0mL(6.7mmol)が添加されるまで、DIBAL−H溶液を更に添加した。CO2浴を温めた。2時間50分攪拌後に、ジエステルが完全に消費されたことがTLCで示された。浴温度を−20℃に調整して、20分間で0℃に加温した。H2O/シリカゲル混合物(2mL/7g)で30分間処理した。K2CO3及びMgSO4を添加した。ろ過して固形物を除去し、塩化メチレンで十分にリンスした。濃縮して、白色固体0.14gを得た(収率50%)。TLCのRf=0.21(5%MeOH/CHCl3)は非常に極性が高いことに注意。塩化メチレンでリンスしても、すべての生成物を回収するのに十分でないことがある。1H NMRスペクトルは文献値と一致した。
ジエステル(5.4g、21mmol)を無水ヘキサン(175mL、溶解性は非常に低い)に入れ、−78℃浴中で冷却して、35分間DIBAL−Hの溶液(無水ヘキサン50mL中14.5mL)で処理した。添加中に激しい気体の発生を観察した。スラリーの色は、先ず白色から暗黄色となり、DIBAL−Hを更に添加すると、色は薄まった。2時間かけて−40℃に温めた後、−28℃の浴に移し、一晩置いた。反応混合物をH2O/シリカゲル(4mL/14.4g)の均質混合物で30分間処理した。MgSO4(7.5g)及びK2CO3(5.1g)を添加し、反応混合物を冷却浴から取り出した。20分間攪拌し、次いで、焼結ガラス漏斗でろ過した。得られた固体を塩化メチレンで洗浄した。これにより相当量の沈殿が形成した。ロータリーエバポレーターに入れて加温することによって、沈殿した固体を溶解させた。焼結ガラス漏斗に残留した固体をEtOAc(4×75mL)で洗浄して、ろ液を濃縮した。
ジエステル(16.4g、6.5mmol)をN2下、無水ヘキサン(500mL)に入れて攪拌し、−78℃に冷却した。ヘキサン(150mL)に溶解させたDIBAL−H(45mL、253mmol)の溶液を1時間かけて添加した。−30℃に温め、一晩(合計17.5時間)攪拌した。H2O/シリカゲル(12.3g/43.7g)の均質混合物を添加して、45分間、混合物を手動でかき混ぜた。K2CO3(15.5g)及びMgSO4(23.5g)を添加した。更に30分間かき混ぜた。焼結ガラス漏斗でろ過し、塩化メチレンでリンスし(恐らく蒸発冷却が原因となって、沈殿が形成される)、ろ液を濃縮した。固体を数回EtOAc(約100mLずつ、合計容積2L)でリンスし、元のろ液と共にプールした。濃縮して、黄色固体8.9g、粗収率81%を得た。1H NMRスペクトルは所望の生成物と一致した。
MnO2(7.80g、90mmol)のスラリーをN2下、氷浴中で冷却した。ジオール13(0.14g、0.8mmol)の溶液を、アセトン溶液(5.0mL)としてピペットで添加した。アセトン2.0mLを更に用いて、フラスコをリンスし、移し替えを完了した。氷浴が溶けるのを一晩放置したまま、反応混合物を攪拌した。Hyfloに通すろ過により固体を除去し、濃縮して、黄色固体を得た。最小量のCHCl3を用いて、10%Et2O/ヘキサンにその物質を溶解させ、シリカゲルのカラム(30×190mm)にアプライし、10%Et2O/ヘキサンで溶出させた。生成物は、溶出する際に黄色のバンドとして目で追うことができ、14を薄黄色固体37mgとして単離した(収率26%)。1H NMRスペクトルは文献値と一致した。
アセトン(500mL)に溶解させたジオール13(2.70g、16mmol)の溶液をN2下、氷浴中で冷却した。MnO2(60.0g、0.69mol)を、20分間に何回かに分けて添加した。氷浴が溶けるのを放置したまま、反応混合物を一晩攪拌した。反応混合物を、Hyfloに通してろ過し、ろ液を濃縮して、黄色固体1.6gを得た(粗収率61%)。1H NMRは文献値と一致した。粗黄色固体を塩化メチレン(ヘキサン中の少量の10%Et2Oと共に添加した。)に溶解させ、Biotageシリカゲルカラム(4×7.5cm)にチャージした。先ず、ヘキサン中の10%エーテル(1L)で溶出させ、次いで、15%Et2O(1L)及び20%Et2O(0.5L)まで極性を上げた。黄色固体1.0gを回収した(収率38%)。1H NMRスペクトルは所望の生成物と一致した。
アセトン(500mL)に溶解させたジオール(9.31g、60mmol)の溶液をN2下、氷浴中で冷却した。MnO2(100g、1.15mol)を添加して、氷浴が溶けるのを放置したまま、混合物を一晩攪拌した。24時間後にIRでチェックすると、かなりの量の生成物が形成されていたが、依然としてかなり多くのアルコールが存在していた。酸化剤50gを更に添加し、もう一晩攪拌を続けた。反応混合物の一部をろ過し、1H NMRでチェックし、出発物質の消費に基づいて、反応は完了したと思われた。反応混合物の残りを、Hyfloのパッドに通してろ過して、アセトンで十分にリンスした。濃縮して、暗黄色固体を得た。ベンゼン40mLで一度共沸させ、次いで、40℃で5時間、更に室温で一晩、真空乾燥した。5.28gを回収した(収率58%)。1H NMR及びIRスペクトルは所望の生成物と一致した。
オーバーヘッドスターラー、冷却器及び温度計を取り付けた2L容の三つ口フラスコ中で、メタノール900mLにチグリン酸15(89.8g、0.9mol)及び濃硫酸5mL(0.09mol)を溶解させた溶液を20時間加熱還流した。溶液を25℃に冷却し、ロータリーエバポレーターで30℃、27インチHg減圧下で過剰のメタノールを除去した。回収したメタノール蒸留液のGLC分析により、オーバーヘッドに生成物が存在することが示された。得られた2相の小麦色濃縮液をエチルエーテル500mLに入れ、水250mL、10%炭酸水素ナトリウム水溶液250mL及び飽和食塩水250mLで順次洗浄した。エーテル溶液を無水炭酸カリウムで乾燥させ、ろ過し、ロータリーエバポレーターで25℃、27in Hg減圧下で溶媒除去し、粗チグリン酸メチル43.6gをほぼ無色の油状物質として得た(収率42%)。GLC分析により、出発物質であるチグリン酸の保持時間3.8分に対して、保持時間が2.7分の1つの主揮発性生成物が示された。CDCl3中でのプロトンNMRは、痕跡量のエチルエーテルの混入を伴った予想シグナルを示した。1.79ppm(d,3H)、1.83(s,3H)、3.73(s,3H)、6.86(q,6.6Hz)。IR(KBrでニート):1718cm−1にエステルカルボニル。この油状物質は、そのまま次のステップで使用した。
オーバーヘッドスターラー、温度計及び冷却器を取り付けた1L容の四つ口フラスコ中で、四塩化炭素500mL中の粗チグリン酸メチル(43.6g、0.38mol)、N−ブロモスクシンイミド(68g、0.38mol)及び70%ベンゾイルペルオキシド(5.34g、0.015mol)の攪拌混合物を2時間加熱還流した。20℃に冷却した後、不溶性のスクシンイミド(38.1g、回収率100%)を吸引ろ過して除去した。ろ液を水250mLで3回洗浄して、MgSO4で乾燥させ、次いで、ロータリーエバポレーターで25℃、26in Hg減圧下で除き、黄色油状物質78.8gを得た。CDCl3に溶解させた上記油状物質のプロトンNMRから複雑なスペクトルを得た。所望のγ−ブロモエステルのメチレンプロトンは、4.04ppmを中心とする二重線(8.6Hz)に帰属され、α−ブロモ異性体の同プロトンは4.24ppmの一重線に帰属された。これらのシグナル、及び1.6〜2.0ppmのメチル多重線のプロトン積分値から、以下の組成(モル%)が示唆された。
γ−ブロモエステル:59%
α−ブロモエステル:26%
出発物質:15%
温度計、100mLの定圧添加漏斗、及び静止窒素システムに接続した冷却器を取り付けた2L容の四つ口フラスコ中で、ベンゼン350mLに粗γ−ブロモチグリン酸メチル(78.8g)を攪拌して溶解させた溶液に、ベンゼン350mLに溶解させたトリフェニルホスフィン(95g、0.36mol)の溶液を1.75時間かけて滴下して処理した。混合物の温度は、わずかに発熱して24℃から27℃に上昇し、その他は周囲条件であった。添加後、反応物を一晩激しく攪拌して、フラスコの壁に付着した帯黄色ガム状物質を含有する白色固体のスラリーを得た。帯黄色ガム状物質を乱さずに白色固体を焼結ガラス漏斗で吸引ろ過した。フラスコをベンゼン100mLで2回洗浄して、フィルターに注いだ。フィルターケーキをベンゼン50mLで洗浄し、次いで、ヘキサン50mLで2回洗浄した。湿ケーキを真空乾燥器中、周囲温度で5.5時間かけて乾燥させた。乾燥した白色粉末(93g、mp=125℃dec)を加熱しながら、アセトニトリル150mLに溶解させ、透明な黄色溶液を得た。この熱溶液に酢酸エチル(300mL)を添加し、更に酢酸エチル約100mLを添加した後に、生成物が結晶化し始めた。フラスコを冷蔵庫に一晩保存した。生成物を吸引ろ過して、最小量のアセトニトリル及び酢酸エチル(1:2)で洗浄した。45.0g。mp=187〜190℃(分解)。文献mp=183℃(分解)。
オーバーヘッドスターラー、添加漏斗及び温度計を取り付けた5L容の五つ口フラスコ中で、水250mLに溶解させた水酸化ナトリウム(5.12g、0.128mol)の溶液を、水2500mL中でγ−ブロモチグリン酸メチルのトリフェニルホスホニウム塩(58.3g、0.128mol)を激しく攪拌した溶液に、25℃で41分かけて滴下した。得られた黄色スラリーを室温で10分間攪拌し、次いで、吸引ろ過した。フィルターケーキを水1800mLで洗浄し、次いで、窒素雰囲気下、フィルター上で完全に乾燥させた。次いで、この黄色固体を室温及び27”Hg減圧下で、P2O5を入れた真空デシケーター中で一晩乾燥させた。35.3g(収率73.7%)。mp=145〜150℃。文献mp=145〜165℃。プロトンデカップリングを行ったCDCl3中のリンNMRは、17.1ppm及び21.1ppmに93:7の比で2つのピークを示した。プロトンNMR(CDCl3、TMS)ppm1.89(s,3H)、3.58(s,3H)、7.3〜7.8(m,17H)。小さいが検出可能な1.74ppmでの一重線もこのスペクトルに現れ、これは不純物に起因すると考えた。この固体は、それ以上精製せずに次のステップに使用した。
ジアルデヒド14(0.48g、2.9mmol)を100mL容丸底フラスコに入れた。ベンゼン(20mL)を添加し、マグネチックスターラーで攪拌して固体を溶解させた。イリドを添加し、ベンゼン10mLを更に用いて、その化合物をフラスコに洗い入れた。加温して、6時間激しく還流した。反応混合物を一晩冷却した。文献の報告とは逆に、非常に少量の固体しか形成されなかった。反応混合物を濃縮し、残渣をMeOH(30mL)に入れ、30分間沸騰させた。周囲温度まで冷却し、得られた固体を真空ろ過により収集した。CDCl30.5mLに20mgを溶解させることによってNMR試料を調製し、多少驚くことに、この時、完全に溶解させるのにヒートガンで加温する必要があった。1H NMRスペクトルを記録して、所望の生成物と一致することがわかった。残りの物質を熱ベンゼンに溶解させ、ろ過し、ろ液を濃縮し、MeOH中に入れ、氷浴中で冷却し、赤色固体334mgを収集した(収率33%)。この物質の溶解性は、最初に単離した物質よりも何ら高くないようであった。
ジアルデヒド14(5.78g、35mmol)をN2下でベンゼン(300mL)に溶解させた。イリド20(35.3g、94mmol)を添加して、得られた混合物を加温して6時間還流し、暗赤色溶液を形成した。反応混合物を一晩冷却させた後、赤色固体を真空ろ過により収集し、メタノールでリンスした。RBF500mLに移して、メタノール約65mLと共に30分間還流した。冷却し、赤色固体を収集した。冷メタノールでリンスし、真空乾燥し、21(3.00g)を赤色固体として得た。1H NMR及びIRスペクトルは所望の生成物と一致した。
THF(2mL)中のジエステル21(100mg、0.28mmol)及び1N NaOH(0.56mL、2当量)の攪拌懸濁液を添加した。室温で一晩攪拌した。TLCは出発物質のみの存在を示した。加温して還流したが、数時間後も変化はなかった。より多量の固体を溶解させようとTHF(6mL)を添加したが、重要でないように思われた。一晩還流し続けた。より多量のTHFを添加し(約6mL、TLCは出発物質のみの存在を示した)、もう一晩還流した。濃縮し、1H NMRでチェックしたが、出発物質のみであった(メチル及びメチルエステルの積分値に基づく)。加熱マントルで加温しながらピリジン(10mL)に溶解させた。2.5N NaOH(1.0mL)を添加した。数分後に暗橙色溶液が紅色に変わった。加熱マントルを取り外し、固体が形成し始め、マントルを30分間再度使用し、次いで、室温で一晩攪拌した。高真空で濃縮した。残渣はクロロホルム、DMSO、ピリジンに不溶であり、H2Oにやや溶けにくかった。IR(ヌジョールムル)は、出発物質の特徴であるC=O吸収を示した。
ジエステル21(37mg、0.10mmol)をフラスコに秤量し、ジエチルエーテル(4mL)中で攪拌した。溶媒は橙色を呈したが、固体は依然として存在した。2.5N NaOH1mLを添加して、加温して還流した。半時間後、エーテルの大部分が蒸発した。これをTHF(3mL)と交換し、数時間還流を続けた。固体を真空ろ過により収集し、脱イオン水でリンスし、次いで、真空乾燥器中で乾燥させた。IRは出発物質のみの存在を示した。
ジエステル21(32mg、8.9mmol)をフラスコに秤量し、メタノール(1.5mL)中で攪拌した。溶媒は橙/赤色を呈したが、固体は依然として存在した。40%NaOH1.5mLを添加して、加温して17時間還流した。室温に冷却した後、橙色固体を真空ろ過により収集し、脱イオン水でリンスした。40℃で真空乾燥して、1を橙色粉末21mgとして得た(59%)。IR(KBrペレット) 3412、1544、1402cm−1。この化合物は恐らく吸湿性である。カルボニルの高磁場シフトは共役と合致している。
ジエステル1(35mg)を用いて繰り返し、15時間還流した。反応混合物を氷浴中で冷却し、真空ろ過により収集し、冷脱イオン水で洗浄した。40℃で真空乾燥した。1を橙色固体25.5mgとして回収した(65%)。
ジエステル21(0.48g、1.3mmol)をメタノール(15.0mL)及び40%水酸化ナトリウム(15.0mL)中に入れ、加温して還流した。不均一な赤色混合物が約2時間後に橙色に変わった。6時間後に加熱を止めて、この混合物を一晩冷却させた。橙色固体を真空ろ過により収集し、冷脱イオン水で洗浄した。真空乾燥して、脆い橙色固体0.36gを得た(収率68%)。
ジエステル21(1.10g、3.1mmol)を100mL容の回収フラスコに入れて、メタノール(20mL)及び40%NaOH(20mL)中で12時間加熱還流した。氷浴中で冷却した後、橙色固体を真空ろ過により収集し、脱イオン水でリンスした。真空乾燥し、1.4g(100%)を得た。C20H22O4Na2−0.4H2Oに関する分析計算値:C:63.29、H:6.05、Na:12.11、H2O:1.90。実測値:C:63.41、H:6.26、Na:11.75、H2O:1.93。
ジエステル21(3.00g、8.4mmol)をメタノール(80mL)及び40%NaOH(60mL)中で12時間還流した。上述のように、生成物を橙色固体として単離した(2.7g、80%)。C20H22O4Na2−0.4H2Oに関する分析計算値:C:63.29、H:6.05、Na:12.11、H2O:1.90。実測値:C:63.20、H:6.00、Na:11.93、H2O:1.81。試料ACL−G29−23、−24及び25をめのう乳鉢で摩砕し、ACL−G29−Aとして混ぜ合わせた。
1. E.Buchta 及び F.Andree, Naturwiss. 1959, 46, 74.
2. F.J.H.M.Jansen, M.Kwestro, D.Schmitt, J.Lugtenburg, Recl.Trav.Chim. Pays−Bas 1994, 113, 552.
3. R.Gree, H.Tourbah, R.Carrie, Tetrahedron Letters 1986, 27, 4983.
4. G.M.Coppola, Syn.Commun. 1984, 1021.
5. D.S.Letham 及び H.Young, Phytochemistry 1971, 10, 2077.
6. E.Buchta 及び F.Andree, Chem.Ber. 1960, 93, 1349.
TSCは、吸入経路によりラットに与えられた。10匹のラットは、肺に直接TSCを投与された。これは、気管にチューブを挿入し、空気約3〜6mLと共にTSC溶液(希薄炭酸ナトリウム溶液に溶解したTSC)0.2mLを噴霧することによって行った。検討した全投与量(0.5〜2mg/kg)について、薬物投与後1分以内は薬物の約20%が血流中に存在した。0.8〜1.6mg/kgの投与量については、少なくとも2時間、薬物が血流中に存在した。
プロトンNMR及びカーボンNMRは、以前得た所望のメチルエステルのスペクトルと合致した。
クロセチンの二ナトリウム塩(13.6g)を脱イオン水150mLに入れてスラリーとし、室温で1時間、マグネチックスターラーで攪拌した。スラリーをブフナー漏斗で吸引ろ過した。そして、得られた橙色ペーストを水で洗浄して、橙色ろ液のpHを観察した。
1. Tetrahedron Letters, 27, 4983−4986 (1986).
2. F.J.H.M. Jansen, M.Kwestro, D.Schmitt & J.Lugtenburg, Recl.Trav.Chem. Pays−Bas, 113, 552−562 (1994), 及び当該文献で引用された参照文献.
3. J.H.Babler, US Patent No. 4,107,030, Apr 21, 1992.
4. T.W.Gibson & P.Strassburger, J.Org.Chem., 41, 791 (1976) & J.M.Snyder & C.R.Scholfield, J.Am.Oil Chem.Soc., 59, 469 (1982).
実施例5の方法に従って合成したTSC物質について、254nmの吸光度に対する421nmの吸光度の比は、UV−可視分光光度計を用いて11.1であった。
TSCは、ラットにおいて、(胃管栄養法(gavage)により)経口投与した場合に血流に吸収されることが示された。2匹のラットにおいて、与えた投与量の1〜2%が、投与後15〜30分の時点で血流に存在することが判明した。経口的に吸収される量は、実際には、その時点よりも前に最大になった。
Claims (42)
- 下記構造:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する化合物であって、
トランスソディウムクロセチネートでない化合物。 - Yが、Na+、K+、Li+からなる群より選ばれる一価金属イオン、又はR4N+、R3S+[Rは、H、又はCnH2n+1(nは1〜10)である。]からなる群より選ばれる有機カチオンである、請求項1に記載の化合物。
- Zが、カルボキシル(COO−)基、硫酸基(OSO3 −)、又はモノリン酸基(OPO3 −)、(OP(OH)O2 −)、ジリン酸基、トリリン酸、又はそれらの組合せからなる群より選ばれる、請求項1に記載の化合物。
- TCROが、炭素原子を含む共役した炭素−炭素二重結合及び単結合であり、1つの炭素−炭素二重結合の周囲の4つの単結合がすべて同一平面内に位置する、請求項1に記載の化合物であって、
直鎖状である化合物。 - 哺乳動物における酸素の拡散性を増大させる方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - 前記投与が吸入による、請求項9に記載の方法。
- 呼吸器疾患を治療する方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - 気腫を治療する方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - 出血性ショックを治療する方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - 循環器疾患を治療する方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - アテローム性動脈硬化を治療する方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - 喘息を治療する方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - 脊髄損傷を治療する方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - 脳浮腫を治療する方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - 乳頭腫を治療する方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - 低酸素症を治療する方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - 可視光波長領域で生じた最大ピークの吸光度を、UV波長領域で生じたピークの吸光度で割った値が7.5を超える双極性トランスカロテノイド塩組成物。
- 可視光波長領域で生じた最大ピークの吸光度を、UV波長領域で生じたピークの吸光度で割った値が7.5を超えるトランスソディウムクロセチネート組成物。
- 哺乳動物における酸素の拡散性を増大させる方法であって、
治療有効量の双極性トランスカロテノイド塩を哺乳動物に投与することを含み、
可視光波長領域で生じた最大ピークの吸光度を、UV波長領域で生じたピークの吸光度で割った値が7.5を超える方法。 - 気腫を治療する方法であって、
治療有効量の双極性トランスカロテノイド塩を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
可視光波長領域で生じた最大ピークの吸光度を、UV波長領域で生じたピークの吸光度で割った値が7.5を超える方法。 - 出血性ショックを治療する方法であって、
治療有効量の双極性トランスカロテノイド塩を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
可視光波長領域で生じた最大ピークの吸光度を、UV波長領域で生じたピークの吸光度で割った値が7.5を超える方法。 - 前記双極性トランスカロテノイド塩がトランスソディウムクロセチネートである、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
- 哺乳動物における酸素の拡散性を増大させる方法であって、
治療有効量のトランスソディウムクロセチネートを、吸入によって哺乳動物に投与することを含む方法。 - オレフィンジアルデヒドの異性体混合物をオールトランスアルデヒドに変換する方法であって、
ジアルデヒドの前記異性体混合物を、溶媒中でスルフィン酸を用いて異性化することを含む方法。 - 前記スルフィン酸が式RSO2H[Rは、C1〜C10の直鎖若しくは分岐アルキル基、又はアリール基である。]を有する、請求項28に記載の方法。
- 前記溶媒が、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン又はジアルキルエーテルからなる群より選ばれ、前記アルキル基がC1〜C10の直鎖又は分岐アルキル基である、請求項28に記載の方法。
- 前記スルフィン酸がパラ−トルエンスルフィン酸であり、前記溶媒が1,4−ジオキサンである、請求項28に記載の方法。
- 前記オレフィンジアルデヒドが2,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエンジアールである、請求項28に記載の方法。
- 前記オレフィンジアルデヒドが2,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエンジアールであり、前記スルフィン酸がパラ−トルエンスルフィン酸であり、前記溶媒が1,4−ジオキサンである、請求項28に記載の方法。
- 虚血を治療する方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - 外傷性脳損傷を治療する方法であって、
下記式:
YZ−TCRO−ZY
[式中、
Yはカチオンであり、
Zは、前記カチオンに結合した極性基であり、
TCROはトランスカロテノイド骨格である。]
を有する治療有効量の化合物を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
前記化合物がトランスソディウムクロセチネートでない方法。 - 哺乳動物における虚血を治療する方法であって、
治療有効量の双極性トランスカロテノイド塩を哺乳動物に投与することを含み、
可視光波長領域で生じた最大ピークの吸光度を、UV波長領域で生じたピークの吸光度で割った値が7.5を超える方法。 - 外傷性脳損傷を治療する方法であって、
治療有効量の双極性トランスカロテノイド塩を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
可視光波長領域で生じた最大ピークの吸光度を、UV波長領域で生じたピークの吸光度で割った値が7.5を超える方法。 - パフォーマンスを増強する方法であって、
有効量の双極性トランスカロテノイド塩を哺乳動物に投与することを含み、
可視光波長領域で生じた最大ピークの吸光度を、UV波長領域で生じたピークの吸光度で割った値が7.5を超える方法。 - 糖尿病を治療する方法であって、
治療有効量の双極性トランスカロテノイド塩を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
可視光波長領域で生じた最大ピークの吸光度を、UV波長領域で生じたピークの吸光度で割った値が7.5を超える方法。 - アルツハイマー病を治療する方法であって、
治療有効量の双極性トランスカロテノイド塩を、治療を要する哺乳動物に投与することを含み、
可視光波長領域で生じた最大ピークの吸光度を、UV波長領域で生じたピークの吸光度で割った値が7.5を超える方法。 - 前記双極性トランスカロテノイド塩がトランスソディウムクロセチネートである、請求項36〜40のいずれか一項に記載の方法。
- 哺乳動物の手術に起因する虚血を治療又は予防し、或いはその量を減少させる方法であって、
治療有効量の双極性トランスカロテノイド塩を、手術前、手術中又は手術後に、哺乳動物に投与することを含む方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014003614A JP2014144952A (ja) | 2014-01-10 | 2014-01-10 | 双極性トランスカロテノイド塩及びそれらの使用 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014003614A JP2014144952A (ja) | 2014-01-10 | 2014-01-10 | 双極性トランスカロテノイド塩及びそれらの使用 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009279890A Division JP2010090151A (ja) | 2009-12-09 | 2009-12-09 | 双極性トランスカロテノイド塩及びそれらの使用 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016096472A Division JP2016183174A (ja) | 2016-05-12 | 2016-05-12 | 双極性トランスカロテノイド塩及びそれらの使用 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014144952A true JP2014144952A (ja) | 2014-08-14 |
Family
ID=51425507
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014003614A Pending JP2014144952A (ja) | 2014-01-10 | 2014-01-10 | 双極性トランスカロテノイド塩及びそれらの使用 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014144952A (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US2948748A (en) * | 1960-08-09 | Esters thereof | ||
US5107030A (en) * | 1991-03-04 | 1992-04-21 | Loyola University Of Chicago | Method of making 2,7-dimethyl-2,4,6-octatrienedial and derivatives thereof |
JPH1119261A (ja) * | 1997-07-01 | 1999-01-26 | Takenaka Komuten Co Ltd | 低圧トレーニング施設 |
JPH11180901A (ja) * | 1997-10-03 | 1999-07-06 | F Hoffmann La Roche Ag | カロテノイドの製造 |
US6060511A (en) * | 1995-10-05 | 2000-05-09 | Gainer; John L. | Trans-sodium crocetinate, methods of making and methods of use thereof |
-
2014
- 2014-01-10 JP JP2014003614A patent/JP2014144952A/ja active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US2948748A (en) * | 1960-08-09 | Esters thereof | ||
US5107030A (en) * | 1991-03-04 | 1992-04-21 | Loyola University Of Chicago | Method of making 2,7-dimethyl-2,4,6-octatrienedial and derivatives thereof |
US6060511A (en) * | 1995-10-05 | 2000-05-09 | Gainer; John L. | Trans-sodium crocetinate, methods of making and methods of use thereof |
JPH1119261A (ja) * | 1997-07-01 | 1999-01-26 | Takenaka Komuten Co Ltd | 低圧トレーニング施設 |
JPH11180901A (ja) * | 1997-10-03 | 1999-07-06 | F Hoffmann La Roche Ag | カロテノイドの製造 |
Non-Patent Citations (4)
Title |
---|
JPN6016000219; Crit. Care Med. Vol.28, No.6, 2000, p.1968-1972 * |
JPN6016000220; THE LUNG perspectives Vol.9, No.2, 2001, p.161-165 * |
JPN6016000222; 日本臨牀 Vol.58, No.8, 2000, p.1587-1591 * |
JPN6016000224; Phorochemisrry and Phorobiology Vol.38, No.2, 1983, p.241-243 * |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5774655B2 (ja) | 二極性トランスカロテノイド塩およびそれらの使用 | |
US7919527B2 (en) | Bipolar trans carotenoid salts and their uses | |
IL173666A (en) | A pharmaceutical preparation containing trans-carotenoid bipolar salts and uses of these salts | |
JP2010077154A (ja) | トランスカロテノイド、それらの合成、配合、および使用 | |
JP2010090151A (ja) | 双極性トランスカロテノイド塩及びそれらの使用 | |
JP2018135329A (ja) | 双極性トランスカロテノイド塩及びそれらの使用 | |
JP2016183174A (ja) | 双極性トランスカロテノイド塩及びそれらの使用 | |
JP2014144952A (ja) | 双極性トランスカロテノイド塩及びそれらの使用 | |
AU2011265546B2 (en) | Bipolar Trans Carotenoid Salts and Their Uses |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150127 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20150219 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150727 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20160112 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160512 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20160513 |