JP2014143329A - ペロブスカイト構造を利用した電場調整可能なトポロジカル絶縁体 - Google Patents

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Abstract

【課題】スピントロニクスデバイス及び送電網の電流輸送を含む多くの用途に最適な、室温より高い温度で動作可能な電場調整可能なトポロジカル絶縁体を提供する。
【解決手段】ペロブスカイト構造を利用し、電場調整可能なトポロジカル絶縁体が提供され、ここで、ペロブスカイトG型反強磁性絶縁体が[111]方向に成長され、磁性要素が1つの単位層内の非磁性要素と置き換えられ、d電子が単一のバックルした蜂の巣格子上でホップする。
【選択図】図3

Description

本発明は、ペロブスカイト構造を利用する電場調整可能なトポロジカル絶縁体に関する。
フォンクリッチングによる量子ホール効果(QHE)の発見は、凝縮体物理学における新たな章を開いた。ホール伝導度の整数係数が、電子波動関数のトポロジカル特性を表すチャーン数に他ならないことが明らかになった(非特許文献1及び2)。それ以来、凝縮体物理学の研究の主な推進力の1つは、起こり得るトポロジカル状態を調べることであった(非特許文献3〜10)。
ケーン(Kane)とメレ(Mele)によって、グラフェン(炭素原子の二次元蜂の巣格子)上の電子が、スピン軌道相互作用(SOC)によるギャップを開き、量子スピンホール効果(QSHE)絶縁体と呼ばれるトポロジー的に非自明な状態を達成することが明らかにされたときに画期的な発展が起きた(非特許文献4)。また、グラフェンでは固有SOCが極めて小さいためQSHEの検出が見込めないことが分かった。そして、強いSOCを有するHgTe量子井戸でのQSHEが、理論的に予測され(非特許文献5)、実験的に実現された(非特許文献6)。
ケーン−メレ(Kane-Mele)モデル(非特許文献4)とスピンレスのホールデーン(Haldane)モデル(非特許文献3)の両方に共通する本拠地として、蜂の巣格子は、電子系のトポロジカル特性の理解において特別な役割をする。その電子構造をベリー(Berry)曲率形状に注意して要約することは説明に役立つ(非特許文献11)。蜂の巣構造の単位胞には2つのサイトがある。最近傍ホッピングにより、電子の価電子帯(valance band)と伝導帯は、線形的に接触し、したがってブリルアンゾーンの角にある2つの等価でないk点、K及びK’にディラックコーンができる。ブロッホ波動関数は、KとK’のまわりで反対のキラル特徴を示し、これはベリー曲率が反対であるという特徴を有し、これが、トポロジカル状態を調べる際に蜂の巣格子の特別な位置を確立することを、確認することが重要である。
時間反転対称性により、スピンアップチャネルとスピンダウンチャネルのベリー曲率は、図1(a)に示されたように重なる。固有SOCを導入することにより、2つのディラックコーンのギャップが開き、スピンアップチャネルのKとスピンダウンチャネルのK’でベリー曲率が反転して時間反転対称性が保存され、その結果、QSHE状態を特徴づける図1(b)のベリー曲率形状が得られる(非特許文献4)。更に、偏光などの谷自由度に共役な電場によって、スピンアップチャネルとスピンダウンチャネルの両方のKでベリー曲率が反転し、構成図1(c)が得られる(トポロジー的に自明な状態)(非特許文献12〜15)。バックルした蜂の巣格子を有するシリセンに均一な電場を印加することによって実現することができるスタガード電場により(非特許文献16)、Ezawaは、一方のスピンチャネルにおいてのみKでベリー曲率を反転させることができ、その結果、図1(e)で、電荷チャーン数とスピンチャーン数が同時に非ゼロになった(非特許文献15、非特許文献17〜19も参照)。バンドエンジニアリングは、固有SOCを利用してスピン、谷及び副格子の自由度の完全制御に基づく。ところで、図1(d)のベリー曲率形状は、量子異常ホール効果(QAHE)に相当する(非特許文献18〜23)。
ごく最近、シリセン層の両側に2つの強磁性体によってスタガード磁場が生成された電場調整可能なトポロジカル絶縁体を提案した非特許文献24が発表された。しかしながら、この文献によって提案された材料は、例えば約−200℃と、室温よりかなり低い温度領域でしか機能せず、したがって、この材料を使用する装置は、適切に動作するために冷凍装置を必要とする。
本発明の目的は、室温及び更に高い温度でも機能するペロブスカイト構造を利用する電場調整可能なトポロジカル絶縁体を提供することである。
本発明の一態様によれば、ペロブスカイト構造を利用して電場調整可能なトポロジカル絶縁体が提供され、ペロブスカイトG型反強磁性絶縁体が[111]方向に成長され、磁性元素は単一原子層において非磁性要素と置き換えられ、ここでd電子がバックルした蜂の巣格子上をホップする。
本発明によれば、バルクが絶縁体でありながら、そのサンプルの周辺が金属特性を有する電場調整可能なトポロジカル絶縁体が提供される。更に、そのエッジ状態は、欠陥(磁性又は非磁性に関わらず)によって決して散乱されず、したがって散逸がなく、即ち電流が無損失である完全にスピン偏極された量子化電流を有する。したがって、電場が材料表面に印加される限り、電流はそのエッジに沿って循環し続ける。この状態は、室温よりかなり高い温度まで、例えば約300℃度まで持続する。本発明の材料は、非磁性欠陥と磁性欠陥の両方に頑強なスピン偏極された量子化エッジ電流を提供し、スピン偏極が電場を反転させることによって調整可能なので、スピントロニクス用途に理想的である。また、材料(又は、状態)は、無散逸電流を提供し、これは電力損失を制限するので、送電網内の電流輸送に役立つ。
蜂の巣格子上の絶縁状態に関するベリー曲率とチャーン数の構成の図であり、(a)単純な蜂の巣格子、(b)QSHE、(c)時間反転対称性が壊れた自明状態、(d)QAHE、(e)電荷とスピンチャーン数が同時に非ゼロのトポロジカル状態である。 (a)固有SOCが正(λ>0)と仮定した場合のスタガード電位Vと反強磁性磁場Mの状態図である。(b)及び(c)M<λとM>λの場合の電場調整時に交差するエネルギー準位の概略図である。(d)V=0.25、M=0.2及びλ=0.1の場合の蜂の巣格子のN=100ジグザグリボンのバンド構造である。 (a)B(濃い色)の1つの層がB’(淡い色)で置き換えられた6層ABB’Xペロブスカイトの三次元構造を示す概略図である。(b)及び(c)B’カチオンによって構成されたバックルした蜂の巣格子の側面と上面図を示す概略図である。(d)相互作用のないeg系の強束縛バンド構造を示す図であり、各バンドは、占有された場合の対応する電子構成で表される。挿絵は、B’の2つのeg軌道を示す。 [111]方向に沿った超単位胞(AB’)/(Aを有するLaCrAgO及びLaCrAuOに関する第一原理計算に基づくバンド構造を示す図面である。 新しいトポロジカル状態の2つのコピーによって構成された「合成QSHE」絶縁体の装置を示す概略図である。
固有スピン軌道相互作用がある状態でスタガード電位と反強磁性交換磁場によるバンドエンジニアリングに基づく蜂の巣格子上の電子には、チャーン数とスピンチャーン数が同時に非ゼロになるトポロジカル状態が可能である。第一原理計算により、このことは、[111]方向に沿って成長されたペロブスカイトG型反強磁性絶縁体において、1原子層の磁性要素が非磁性要素と置き換えられることによって実現され、ここでd電子系はバックルした蜂の巣格子上でホップすることが確認された。
本発明では、固有SOCが存在する状態で、スタガード磁場が、Ezawaによって提案された偏光によって提供されるものと類似の役割を果たすことが分かった(非特許文献15)。スタガード磁場は、反強磁性(AFM)絶縁体によって実現できるので、光で支援した手法と比較して図1(e)のトポロジカル状態に基づくコンパクトで安定した装置が可能である。
我々のアイデアを実現する材料として、ペロブスカイト構造(非特許文献25)のd電子系に注目する。最初に、磁性B原子上のG型AFM秩序を有するペロブスカイト絶縁体ABO3を選択する。シャオ(Xiao)らによって最初に記述されたように(非特許文献9)、[111]方向に沿って、B原子は、バックルした蜂の巣格子の積み重ねを構成し、この積み重ねは、原子的精度を有する最先端分子線エピタキシー(MBE)によって成長させることができる(非特許文献26)。成長過程で、B原子のバックルした一蜂の巣原子層が、非磁性のB’原子のものと置き換えられ、元素B’は、d8構成を構成するようにBと共役に選択される。バックルした蜂の巣格子上のB’−d電子に関して、固有SOCが大きくなり、均一の電場が、2つの副格子のスタガード電位を引き起こし、両側のB原子のG型AFM秩序が、AFM交換磁場を提供する。材料設計によって純粋的に交換場である磁場を与え、これにより永久強磁性体からの漏えい磁界を避けることができる。本発明の有効性は、幾つかの材料に関して第一原理計算を行なうことにより確認された。遷移金属ペロブスカイトにおいて、数十meVの固有SOCが確認され、これは、シリセンより一桁大きく、室温を超えても新しいトポロジカル状態を使用可能にする。
[有効モデルと状態図]
AFM交換磁場と平面に垂直な均一電場との下でバックルした蜂の巣格子上の電子の4バンドハミルトニアンに基づいて我々の手法を説明する(電子構造が2つの縮退eg軌道を含むd8系では、k・p摂動理論を用いて4バンドハミルトニアンを2バンドハミルトニアンに縮小することによって有効H0を得ることができる)。
は2つの非等価なK及びK’点のまわりで成り立ち、但しz軸がペロブスカイト構造の[111]方向に沿っている;σは、副格子のパウリ行列であり、τz=±1とsz=±1は、谷とスピンを示す二値自由度である。最初の2つの項は、単純なグラフェンと同じ最近傍ホッピングによるものであり(式1のすぐ前のかっこ内の注を参照)、第3項は、定義上正結合係数λ>0を有する固有SOCのものであり、これは、より重いホスト遷移金属原子とバックルした構造によって大きくなる可能性があり、第4項は、バックルした構造上の均一電位によって得られ、最後の項は、AFM交換磁場である。化学ポテンシャルは、0に設定され、全てのエネルギーは、この研究では最近傍ホッピング積分の単位で測定される。後で示すように、このモデルハミルトニアンは、[111]方向に沿って成長されたペロブスカイト構造を有する遷移金属酸化物の低エネルギー物理を示す。
M場とλが固定されている間に電位Vを調整する際の系の挙動は、以下のように明らかにされ、これは我々の材料設計及び実験的操作と直接対応する。0<M<λの場合、V=0でのギャップはスピンアップチャネルとスピンダウンチャネルの両方ともトポロジー的に非自明で、QSHE状態を特徴づける(図1(c)を参照)。図2(b)に示されたように、Vが大きくなるとき、スピンアップチャネルのギャップは縮小し、V=λ−MになるとK’点(τz=−1)で閉じた後に、再び開く。この量子相転移は、スピンアップチャネルを自明状態にするが、スピンダウンチャネルは非自明のままである。一方のスピンチャネルだけ非自明なギャップを呈するこの絶縁状態は、Ezawaによって述べられたように、QSHEやQAHEなどの他のトポロジカル状態とは異なる(非特許文献15)。Vが更に大きくなるとき、スピンダウンチャネルのギャップは縮小し、V=λ+MになるとK点(τz=1)で閉じた後に、再び開き、これによりスピンダウンチャネルも自明になり、系は、第2の量子相転移によって自明な絶縁状態になる。
M>λの場合、V=0では系はスピンアップチャネルとスピンダウンチャネルの両方で自明なギャップを呈する(図1(c)を参照)。図2(c)で分かるように、Vが大きなるとき、τz=−1で、スピンダウンチャネルのギャップが縮小し、V=M−λで閉じた後に、再び開き、これにより、スピンダウンチャネルがトポロジカル状態になる。Vが更に大きくなるとき、スピンダウンチャネルのギャップはτz=1で縮小し、、V=λ+Mで閉じた後に、再び開き、これにより、系は自明な絶縁体状態になる。
上記の分析に対称性の考慮を加えれば、図2(a)に示されたような詳細な状態図を構成することができる。新しいトポロジカル状態は、3つの場|V|と|M|と|λ|の絶対値が三角形となったときに実現され、これは、3つの自由度σz、τz及びszの間の織り合いが新しいトポロジカル状態に重要であることをはっきり示す。図2(d)には、バックルした蜂の巣格子のジグザグリボンの典型的なバンド構造が示され、フェルミレベルで交差し、向かい合う二つのエッジに局所化された2つのエッジ状態がある(図1(e)を参照)。この状態図は、非特許文献15のものと類似しているが、この状態図では同じチャーン数を有する状態が対角線方向にあり、非特許文献15では同じ半分の空間内にある点が異なり、これは、2つのハミルトニアンにおける制御場の違いによるものである。
実験
[材料の実現]
図3(a)に示されたペロブスカイトABO3材料では、AとBは、互いに
入り込む2つの単純立方格子を構成する。遷移金属Bのまわりの6個の酸素によって構成された八面体ケージは、d電子のダブレットeg及びトリプレットt2g軌道を生成する。[111]方向に、単純立方構造は、図3(b)及び(c)に示されたようなバックルした蜂の巣格子の積み重ねとして見ることができる。新しい座標では、2つのeg軌道の間に固有SOCが現われる。材料合成に関して、レーザ分子線エピタキシー(MBE)技術の最近の進歩により、ペロブスカイト構造を[111]方向に原子精度で成長させることができる(非特許文献26)。最初にシャオらによって示されたように、これらの全てによって、ペロブスカイト構造内のd電子が、トポロジカル状態を実現するのにきわめて有望なプラットホームになる(非特許文献9)。
ペロブスカイト構造を有する多くの遷移金属酸化物が、ワイドギャップ反強磁性絶縁体として知られている。これらの材料のサブグループとして、バックルした蜂の巣格子の2つの副格子においてスピンが反強磁性的に整列するいわゆるG型AMF秩序をとる。これは、本発明において、材料設計と磁場操作によってポロジカル状態を実現する下地である。Bのバックルした一つの層は、非磁性元素B’と置き換えられ、バックルした蜂の巣格子の単一層上のB’−d電子が得られ、これらは、母材ABO3のG型AMF秩序からのAFM交換磁場を受ける(実際には、2つの磁気構成がある。発明者によって行なわれた第一原理計算から、AB’O3層内で所望のAFM磁化を引き起こすものが常により低いエネルギーを有することが分かった)。
g軌道とt2g軌道の間にはギャップ(10Dq)があり、このために、t2g軌道が低エネルギー物理から除外される。各単位胞では、2個のB’原子が、計4つのeg軌道を拠出する。これらの4つの軌道のバンド構造は、図3(d)に示されたように、スレイター=コスター形式によって示されたホッピング積分による強束縛ハミルトニアンによって与えられる。2つのフラットバンドと交差する2つの分散バンドが見える。シャオら(非特許文献9、18、19)は、フラットバンドに注目し、d7(t6 2g1 g)構成を使用することによって強い電子相関に基づいてトポロジカル状態に関する興味深いシナリオを構築した。ここで、我々は、d8(t6 2g2 g)系を考えることによって、フェルミレベルで交わる2つの分散バンドに的を絞る。
上記のアイデアを検証するために、第一原理計算は、バックルした蜂の巣格子上にd8(t6 2g2g)系を実現するために母材LaCrO3に、La2Ag26又はLa2Au26が一層挿入された系について行なわれた。計算に使用された超単位胞は、(La2B’26)/(La2265の構成を有する6層を有する。計算は、ウィーン非経験的シミュレーションパッケージ(VASP)(非特許文献28)で実現されたような交換相関のためのPerdew、Burke及びEhzorhof(PBE)のパラメータ化(非特許文献27)における一般化勾配近似(GGA)手法内で密度汎関数理論(DFT)を使用して行なわれる。バルク格子定数は、LaCrO3は3.85Åに設定され、原子位置は、超単位胞内で緩和される。Crの3d電子のオンサイトクーロン相互作用は、有効なU値(Ueff=U−J=5.4eV)によるDudarevの方法(非特許文献29)によって処理される。主要結果がU値の大きい窓に関して有効であることを確認した。運動量空間メッシュは、6×6×1であり、カットオフエネルギーは、440eVである。
図4(a)及び(b)に、GGA+U+SOC計算から得られたLaCrAgOとLaCrAuOのバンド構造を示す。まず、2つの材料内に、図3(d)のフェルミレベルに近い2つのフラットバンドと2つの分散バンドが実現される。強束縛モデルの図3(b)にはなかったKとK’における2つのギャップは、LaCrO3及びSOCからのAFM交換磁場によってもたらされた。KとK’における2つのギャップから、AFM交換磁場とSOCは、LaCrAgOの場合はM=0.141eVとλ=7.3meV、またLaCrAuOの場合はM=0.166eVとλ=32.91meVに算出される。また、幾つかの他の可能な材料に関して計算が行われ、結果が表1に一覧にされ、この表に、GGA+U+SOC計算から求められたAFM秩序とSOCのパラメータが示され、KNiInFとKNiTlFに関して、In2+及びTl2+の電子配置は、5s1と6s1である。最大の非自明ギャップが、2λによって示されるので、第一原理計算からの結果から、室温より十分に高い約660K(LaCrAuOの場合は2λ=65.82meVなので)でトポロジカル材料が実現されることがあることが分かる。新しいトポロジカル状態を実現する典型的な電場は、約0.1V/Åである。
[応用]
恐らく室温で実現可能なこの新しいトポロジカル状態は、スピントロニクス応用に理想的であり、その理由は、このトポロジカル状態が、非磁性欠陥と磁性欠陥の両方に頑強なスピン偏極量子化エッジ電流を提供し、このスピン偏極が電場を反転させることによって調整可能だからである。これは、無散逸電流の特徴により、送電網内の電流輸送に理想的である。
新しいトポロジカル状態の2つの複製を使用することにより、「複合QSHE絶縁体」を実現することができる。図5(a)に示されたように、我々は、反対のバイアス電圧を有する2対の電極(即ち、丸い角を有する2つの上側と2つの下側の正方形板状物体)を製造することができる。2つのパッチは、逆のカイラリティとスピンを有する状態を示す。この装置を利用してスピンホール伝導度を測定することができる。図5(b)に示されたように、正スピン電流Isが左電極から注入されたとき、出て行くスピンアップ電流は、左電極から上側パッチの上縁部に沿って流れ(上向きの濃い色の実曲線)、入ってくるスピンダウン電流は、2つの電極の間の直線に沿って左電極に流れ込み(緑の実線)、その結果、電荷電流がゼロになる。電荷電流が上縁だけに流れ、そこに電荷を溜めるので、装置の上縁と下縁の間のホール電圧降下を検出することができる。前に実現されたQSHEと比較したとき、時間反転対称性の破壊的な摂動、例えば磁界又は磁性不純物が、装置の中心でスピンアップとスピンダウンによる逆の電荷電流を後方散乱することがなく、その理由は、そのとき電荷電流が、図5(b)に示されたように異なるパッチ内に分散されるからである。
[討論]
このトポロジカル状態は、電場によって蜂の巣格子面に対する反転対称が破られているために、僅かであるが、存在するRashba SOCに対して頑強である(非特許文献22及び23)。実際に、グラフェンでは、λR>λの場合に非自明なバンドギャップが閉じ、QSHEが、Rashba SOCによる2つのスピンチャネルの混合により破壊されることが知られている(非特許文献4)。例えばV=M>0を有する新しいトポロジカル状態において、2(2M−λ)のギャップは、スピンアップチャネルで開かれ、一方スピンダウンチャネルのギャップは2λである。表1に示されたようにM≫λなので、固有のものより強力なRashba SOCでさえ、
2つのスピンチャネルを混合してギャップを閉じることはできない。
本発明の材料は、スピントロニクス装置や送電網の電流輸送などの量子装置に最適である。
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Claims (1)

  1. ペロブスカイト構造を利用する電場調整可能なトポロジカル絶縁体であって、ペロブスカイトG型反強磁性絶縁体が[111]方向に成長され、前記磁性要素が一単位層内で非磁性要素と置き換えられ、d電子が単一のバックルした蜂の巣格子上でホップするトポロジカル絶縁体。
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