JP2014142282A - 座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法およびこれを用いた建物の損失評価方法 - Google Patents

座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法およびこれを用いた建物の損失評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 座屈拘束ブレース単体のフラジリティ曲線を作成することができるフラジリティ曲線作成方法を提供する。
【解決手段】 座屈拘束ブレースにおける層間変形角と損失率の関係を示すフラジリティ曲線を作成する方法である。実際に使用された座屈拘束ブレースの調査結果を基に想定される座屈拘束ブレースの破壊時の芯材歪の平均値および標準偏差を用いて芯材歪と損失率の関係をモデル化し、芯材歪―損失率関係モデルを作成する。実際に使用された座屈拘束ブレースの調査結果からそれぞれ得られる座屈拘束ブレースの仕様による変動2α、およびブレース角度θによる変動 sin2θの分布を求める。これら仕様による変動2αと取付角度による変動 sin2θとの割合( sin2θ)/2αにより示される値の分布および、前記芯材歪・損失率関係モデルを用いて前記フラジリティ曲線を作成する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、座屈拘束ブレースについてのフラジリティ曲線を作成する方法、およびこの曲線用いた建物の損失評価方法に関する。
座屈拘束ブレースは、建物の骨組みに組み込まれ、地震等の際に振動エネルギーを吸収して振動を減衰させるブレースであり、ブレース構造の建物において、採用される例が増えて来ている。
地震リスク評価等において、地震時の建物損失を算出する方法として、一般的にフラジリティ曲線が用いられている。具体的には、建物の地震時の応答もしくは入力地震強さに対して、全壊・半壊といった損傷モードになる確率(生起確率)を算定する。この生起確率を求めるのに用いられるものがフラジリティ曲線と呼ばれるもので、対数正規分布関数で設定されることが多い。フラジリティ曲線によって求めた各損傷モードの生起確率に、予め設定した損傷モードごとの損傷率(金額ベース)を乗じることで、ある地震に対する建物の損傷期待値や90%非超過損失値を算定することができる。
特許第4170306号公報
損傷モードと損失率の関係が建物全体の損失評価に大きく影響するが、提案されているフラジリティ曲線の殆ど全てが地震被害の統計データに基づくものとなっており、個別の建物に対するフラジリティ曲線の設定方法を具体的に示すものは無い。
また、鉄骨構造についてラーメン構造とブレース構造に対するフラジリティ曲線は文献があるが、座屈拘束ブレースを有する建物のフラジリティ曲線を設定した例はない。
特に、従来は建物全体としての評価にフラジリティ曲線が用いられ、座屈拘束ブレースの単体としてフラジリティ曲線を設定した例はない。座屈拘束ブレースを有する建物において、座屈拘束ブレースの単体としてフラジリティ曲線を設定できれば、建物を座屈拘束ブレースとそれぞれ以外との部分に分けて別々に損失評価することができる。それにより、より精度の高い損失評価が可能になると考えられる。
この発明の目的は、座屈拘束ブレース単体のフラジリティ曲線を作成することができるフラジリティ曲線作成方法を提供することである。
これにより、座屈拘束ブレースとそれ以外の部分を別々に損失評価することができ、その結果、より精度の高い損失評価を可能とすることである。
この発明の他の目的は、座屈拘束ブレースとそれ以外の部分を別々に損失評価することができて、精度の高い損失評価が行える建物の損失評価方法を提供することである。
この発明の座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法は、
芯材とこの芯材に沿って配置された拘束材とでなる座屈拘束ブレースにおける層間変形角と損失率の関係を示すフラジリティ曲線を作成する方法であって、
実際に建物に使用された座屈拘束ブレースの調査結果を基に想定される座屈拘束ブレースの破壊時の芯材歪の平均値および標準偏差を用いて芯材歪と損失率の関係をモデル化し、芯材歪・損失率関係モデルを作成する過程と、
実際に建物に使用された座屈拘束ブレースの調査結果からそれぞれ得られる座屈拘束ブレースの仕様による変動2αの分布、および座屈拘束ブレースの取付角度であるブレース角度θによる変動 sin2θの分布を求める過程と、
これら仕様による変動2αと取付角度による変動 sin2θとの割合( sin2θ)/2αにより示される値の分布および、前記芯材歪・損失率関係モデルを用いて前記フラジリティ曲線を作成する過程とを含む。
この方法によると、実際に建物に使用された座屈拘束ブレースの調査結果を基に想定される座屈拘束ブレースの破壊時の芯材歪の平均値および標準偏差を用いるため、適切な芯材歪・損失率関係モデルを作成できる。
また、実際に建物に使用された座屈拘束ブレースの調査結果からそれぞれ得られる座屈拘束ブレースの仕様による変動2αの分布、および座屈拘束ブレースの取付角度であるブレース角度θによる変動 sin2θの分布を求め、これら仕様による変動2αと取付角度による変動 sin2θとの割合( sin2θ)/2αにより示される値の分布を求め、このように求めた分布と前記芯材歪・損失率関係モデルとを用いるため、精度の良いフラジリティ曲線を求めることができる。
このように、座屈拘束ブレース単体のフラジリティ曲線を作成することができる。この座屈拘束ブレース単体のフラジリティ曲線を用いることより、座屈拘束ブレースとそれ以外の部分を別々に損失評価することができ、その結果、より精度の高い損失評価が可能となる。
この発明の座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法において、
座屈拘束ブレースの幅厚比とPE/Py(ただし、PE:拘束材の座屈荷重、Py:芯材の降伏荷重)の分布と、座屈拘束ブレースの性能確認試験における試験体の破壊時の芯材歪および負荷条件となる数値とから、前記想定される座屈拘束ブレースにおける破壊時の芯材歪の平均値を求め、この平均値を、
前記芯材歪・損失率関係モデルを作成する過程で用いる前記座屈拘束ブレースの破壊時の芯材歪の平均値として用いても良い。
この平均値は、2.51%としても良い。
このように座屈拘束ブレースの幅厚比の分布を考慮し、座屈拘束ブレースの性能確認試験における試験体の数値を用いて前記想定される座屈拘束ブレース破壊時の芯材歪の平均値を求めるため、適切な平均値が求められて、芯材歪・損失率関係モデルを高精度化でき、したがってより一層精度の良いフラジリティ曲線が作成できる。
この発明の建物の損失評価方法は、座屈拘束ブレースを有する建物における地震の被災に対する損失を評価する方法であって、前記建物を前記座屈拘束ブレースとこれ以外の部分とに分けて、それぞれに別々に損失評価することとし、前記座屈拘束ブレースの評価に、この発明の上記いずれかの座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法を用いることを特徴とする。
この損失評価方法は、評価対象となる建物を座屈拘束ブレースとこれ以外の部分とを分けて、それぞれに別々に損失評価するため、精度良く損失評価が行える。座屈拘束ブレースの評価については、この発明のフラジリティ曲線作成方法で作成したフラジリティ曲線を用いるため、より一層精度良く損失評価が行える。
この発明の座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法によると、座屈拘束ブレース単体のフラジリティ曲線を作成することができる。これにより、座屈拘束ブレースとそれ以外の部分を別々に損失評価することができ、その結果、より精度の高い損失評価が可能となる。
この発明の建物の損失評価方法によると、座屈拘束ブレースとそれ以外の部分を別々に損失評価することができて、精度の高い損失評価が行える。
この発明の一実施形態に係る座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法を過程順に示す説明図である。 座屈拘束ブレースの性能試験の載荷パータンを示すグラフである。 同性能試験の結果となる芯材の幅厚比とPE/Pyの関係を示すグラフである。 同フラジリティ曲線作成方法の過程で作成した芯材歪と座屈拘束ブレースの損失率の関係を示すモデルのグラフである。 (A)は同座屈拘束ブレースの長さ、層間変位、ブレース角度の関係を示す説明図、(B)は同座屈拘束ブレースの各種断面の例の説明図である。 座屈拘束ブレースの仕様による変動の分布を示すグラフである。 座屈拘束ブレースのブレース角度による変動の分布を示すグラフである。 仕様による変動2αと取付角度による変動 sin2θとの割合により示される値の分布を示すグラフである。 この方法で作成するフラジリティ曲線のグラフである。
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。この座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法は、座屈拘束ブレースにおける層間変形角と損失率の関係を示すフラジリティ曲線a(図1(D),図9)を作成する方法である。図5に示すように、座屈拘束ブレース1は、芯材2とこの芯材2の両面に沿って配置された拘束材3とでなる。芯材2は平鋼板であり、例えば、SN材(建築構造用圧延鋼板)やLY材(極低降伏点鋼材)等の降伏点の低い鉄鋼材料からなる。芯材2は両端が拘束材3から長手方向に突出し、突出した部分が建物躯体との接合部となる。拘束材3は、図5(B)(a)に示すような全体が一体の鋼材またはコンクリートであっても、または同図(B)(b)に示すように溝形鋼材3a内にコンクリートまたはモルタル等の充填材3bを充填したものであっても良い。
図1において、このフラジリティ曲線作成方法は、要点を示すと、同図の(A)に示す芯材歪・損失率関係モデル作成過程と、(B)に示す変動分布作成過程と、(C)に示す変動分布割合作成過程と、(D)に示すフラジリティ曲線作成過程とを含む。
芯材歪・損失率関係モデル作成過程(A)では、実際に建物に使用された座屈拘束ブレースの調査結果を基に想定される座屈拘束ブレースの破壊時の芯材歪の平均値および標準偏差を用いて芯材歪と損失率の関係をモデル化し、芯材歪・損失率関係モデルを作成する。
変動分布作成過程(B)では、実際に建物に使用された座屈拘束ブレースの調査結果からそれぞれ得られる座屈拘束ブレースの仕様による変動2αの分布、および座屈拘束ブレースの取付角度であるブレース角度θによる変動 sin2θの分布を求める。
変動分布割合作成過程(C)では、前記仕様による変動2αと取付角度による変動 sin2θとの割合( sin2θ)/2αにより示される値の分布を作成する。
フラジリティ曲線作成過程(D)では、前記(C)の変動分布割合と(A)の芯材歪・損失率関係モデルとを用いて前記フラジリティ曲線aを作成する。
前記芯材歪・損失率関係モデル作成過程(A)では、より具体的には、座屈拘束ブレースの幅厚比とPE/Py(ただし、PE:拘束材の座屈荷重、Py:芯材の降伏荷重)の分布と、座屈拘束ブレースの性能確認試験における試験体の破壊時の芯材歪および負荷条件となる数値とから、前記想定される座屈拘束ブレースにおける破壊時の芯材歪の平均値を求め、この平均値を用いる。
この建物の損失評価方法は、座屈拘束ブレースを有する建物における地震の被災に対する損失を評価する方法であって、前記建物を前記座屈拘束ブレースとこれ以外の部分とを分けて、それぞれに別々に損失評価することとし、前記座屈拘束ブレースの評価に、この実施形態で述べる座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法で作成したフラジリティ曲線を用いる。また、前記フラジリティ曲線は、建物のLCC(ライフサイクルコスト)の計算にも用いることができる。
以下、このフラジリティ曲線作成方法につき、この方法によって適切なフラジリティ曲線を作成できる理由等と共に、より具体的に説明する。
〔フラジリティ曲線の作成の前提〕
座屈拘束ブレースを大地震後に補修するか否かを想定する。本来座屈拘束ブレースは、一般的な構造部材と同様に、大地震で降伏した場合には交換するなどの復旧作業が必要となる。しかし、拘束材で覆われた芯材の状況を把握することは容易ではない。構造設計者が応答解析等で降伏したかどうかの検討を行うことが望ましいが、現実的には考え難い。そのため、実際の被災調査においては、外観検査のみによって座屈拘束ブレースの復旧が検討されるものと考えられる。すなわち、芯材が降伏していても外観上健全であれば、座屈拘束ブレースが補修されることがないという前提でフラジリティ曲線を設定する。
〔フラジリティ曲線の作成手順の概要〕
このフラジリティ曲線の設定は、次のような手順で行った。なお、ここで述べる手順は、図1(A)〜(D)と共に前述した手順と同じではあるが、区分の仕方が異なっている箇所がある。
1.歪−損失関係の算定(芯材歪・損失率関係モデル作成過程(A))
・座屈拘束ブレースが破壊する芯材歪量の把握
・破壊時に芯材歪量に影響する拘束材仕様と芯材幅厚比の関係の把握
・実際に出荷された座屈拘束ブレースの、拘束材仕様と芯材幅厚比の把握
・芯材歪と座屈拘束ブレースの損失率の関係を算定
2.層間変形角−歪関係算定(変動分布作成過程(B),変動分布割合作成過程(C)) ・層間変形角と芯材歪の関係式算定
・座屈拘束ブレース採用物件での座屈拘束ブレース取付角度の把握
・座屈拘束ブレース採用物件でのフレーム対角長さと塑性域長さの関係の把握
3.層間変形角−損失関係の算定(フラジリティ曲線作成過程(D))
上記手順から分かるとおり、従来のフラジリティ曲線では中波・大破といった損傷モードを設定し、各損傷モードの発生確率を算定する関数としてフラジリティ曲線を設定していた。そして、損傷モード別に場合分けして部材の損傷率を算定していた。これは、建物ごとに設計法にバラツキがあり、同じ応答値でも損傷の程度が大きく異なる可能性を踏まえたものと考えることができる。
これに対して、座屈拘束ブレースでは、ある程度の仕様が共通しており、変形量に対する損傷度合いも精度良く推定できるため、層間変形角から直接に損失率算定しても差し支えないと考えた。特に、共通の仕様を持つ座屈拘束ブレースに限定すると、層間変形角から直接に算定しても差し支えない。上記の座屈拘束ブレースの共通した仕様は、例えば、後述の要件を備えることである。
〔歪―損失関係の算定〕
まず、座屈拘束ブレースが破壊する状況を把握するために、特定の仕様の範囲での座屈拘束ブレースの評定資料を参照した。なお、この実施形態において調査対象とした座屈拘束ブレースは、全てこの特定の仕様の範囲のものである。この評定資料によると、座屈拘束ブレースの性能確認実験は、正負交番漸増繰り返し静的載荷となっており、芯材歪量で制御されている(図2)。
破壊状況も、芯材歪量との関係から考察がなされている。また、座屈拘束ブレースの破壊状況を考え、補修する場合には常に全部材交換であり、一部の補修という状況はないものとした。つまり、実現場においては座屈拘束ブレースの損失率は常に0(何もしない)か、1(全部材交換)のどちらかである。そこで、歪―損失関係を算定するに当たって、まず全部材交換に至る芯材歪量を把握することにした。
前記評定資料によると、破壊するときの芯材歪は、芯材の幅厚比と拘束材の仕様に依存する。簡単に言えば、幅厚比が小さいほど、また拘束材の拘束力が大きいほど、破壊時の芯材歪が大きくなる。本発明に採用している座屈拘束ブレースは、幅厚比が4以上、11以下という仕様規定があり、また、芯材に対する拘束力の強さから算定されるPE/Pyなる数値が1.3以上でなければならないとされている。なお、PEは拘束材の座屈荷重、Pyは芯材の降伏荷重である。これらの幅厚比およびPE/Pyの要件を備えるものが前述の「共通の仕様を持つ座屈拘束ブレース」である。
ここで、実際に出荷されて建物に使用されている座屈拘束ブレースの芯材の幅厚比とPE/Pyがどのように分布しているのか調査を行った(表1)。
Figure 2014142282
また、幅厚比とPE/Pyの関係を図3に示す。表1の実際に出荷された座屈拘束ブレースの幅厚比とPE/Pyの関係は、エリアE1、E2、E3に分布していた。エリアE1内は4本、エリアE2内は15本、エリアE3内は31本であった。●印は実際に出荷された座屈拘束ブレースのうち、表1で数値を記載した代表値を示す。実線の丸印で数字を囲んだものと、破線の丸印で数字を囲んだものとは、評定資料に記載された試験体を示す。試験体の数値は、丸印内の上段が破壊時の芯材歪、下段が当該歪での載荷サイクルの回数を示している。例えば、丸印内の記載が「3%,12」であれば、3%歪の12サイクル目で破壊に至ったことを示す。
図3から読み取れるのは、実験ではPE/Pyが比較的小さいものを中心に実験を行っているが、実際に出荷されているのはPE/Pyが7以上でPE/Pyが小さいものが大半となっていることが分かる。図3の破線で示す直線は、破壊時の芯材歪が2.5%から3.0%になる境界と考え、本発明者が定めたものである。今回調査した資料において、実際に出荷され使用された座屈拘束ブレースは57種類あるが、破壊時の歪が3.0%になるのは1種類のみ(図3中の矢印を付したもの)と考えられる。
すなわち、実際に設計される座屈拘束ブレースの98%(=56/57)は芯材歪2.5%に、残りの2%(=1/57)は、芯材歪3.0%にそれぞれ至った場合、交換が必要になると考えられる。確率統計的に考えると、座屈拘束ブレースが破壊するときの芯材歪の平均値は2.51%、標準偏差は0.066となる。これをもとに芯材歪と損傷率DCR(Damage Cost Ratio)の関係を対数正規分布でモデル化すると、図4のようになる。これが、前述の芯材歪・損失率関係モデルである。
〔層間変形角−損傷費用率関係の算定〕
層間変形角と芯材歪の関係を図5(A)より求める。
ここで、h:構造階高、l:スパン、LF 構造芯間長さ、L:座屈拘束ブレースの塑性域長さ、δ:層間変位、θ:ブレース角度
Figure 2014142282
Figure 2014142282

Figure 2014142282
座屈拘束ブレースの塑性域長さをLとし、構造材芯間長さLとの関係を
=αL
とおくと、層端変形角Rとブレース歪εの関係を以下のように求めることができる。
Figure 2014142282

(1)式
ここで、2αは座屈拘束ブレースの仕様により変動し、 sin2θは座屈拘束ブレースの取り付け角度であるブレース角度θにより変動する。つまり、2αと sin2θは独立変数と考える。実物件を調査したところ、それぞれの平均値μと標準偏差σは表2のようになった。
Figure 2014142282
表2のパラメータをもとに、2αと sin2θの分布を対数正規分布でモデル化した。モデル化の手順は、2αと sin2θの分布がいずれもσ/μ≦0.30であることを利用すると、対数変数の平均値λと標準偏差ζは、
Figure 2014142282
となる。このモデル化により、変数は任意の正の数となり得るが、実情を鑑みて2αと sin2θの範囲を以下のように定め、その範囲のみでの分布となるように補正を行う(図6、図7)。
Figure 2014142282
これらを踏まえ、( sin2θ)/(2α)の分布を検討する。その結果、平均値は0.884、標準偏差は0.152となる。
これも対数正規分布でモデル化すると、図8のような分布になる。
〔層間変位角−損傷費用率関係の算定〕
先に求めた(sin2θ)/2aの分布を等確率でn分割したものにRを乗じ、前記(1)式から座屈拘束ブレースの芯材歪εi(i=1,2,3,…)を求める。このとき、εiを用いた前述の図4で求めた対数正規分布から損傷率を求めることができる。層角変形角Rのときの座屈拘束ブレースの損傷率をDCR(R),層間変形角Rのときのi番目の芯材歪εiによる座屈拘束ブレースの損傷率をDCR(εi|R)とおくと、
Figure 2014142282
Rを順次入力し、RとDCRの関係を求め、対数正規分布でモデル化すると図9のようになる。このモデルが座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線となる。
このとき、対数変数の平均値λと、標準偏差ζは、
λ=−3.55
ζ=0.174
となる。
この実施形態の座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法によると、このように、実際に建物に使用された座屈拘束ブレースの調査結果を基に想定される座屈拘束ブレースの破壊時の芯材歪の平均値および標準偏差を用いるため、適切な芯材歪―損失率関係モデルを作成できる。
また、実際に建物に使用された座屈拘束ブレースの調査結果からそれぞれ得られる座屈拘束ブレースの仕様による変動2αの分布、および座屈拘束ブレースの取付角度であるブレース角度θによる変動 sin2θの分布を求め、これら仕様による変動2αと取付角度による変動 sin2θとの割合( sin2θ)/2αにより示される値の分布を求め、このように求めた分布と前記芯材歪―損失率関係モデルとを用いるため、精度の良いフラジリティ曲線を求めることができる。
このように、座屈拘束ブレース単体のフラジリティ曲線を作成することができる。この座屈拘束ブレース単体のフラジリティ曲線を用いることより、座屈拘束ブレースとそれ以外の部分を別々に損失評価することができ、その結果、より精度の高い損失評価が可能となる。
また、上記のように座屈拘束ブレースの幅厚比の分布を考慮し、座屈拘束ブレースの性能確認試験における試験体の数値を用いて前記想定される座屈拘束ブレース破壊時の芯材歪の平均値を求めるため、適切な平均値が求められて、芯材歪・損失率関係モデルを高精度化でき、したがってより一層精度の良いフラジリティ曲線が作成できる。
1…座屈拘束ブレース
2…芯材
3…拘束材
a…フラジリティ曲線
h…構造階高
l…スパン
LF …構造芯間高さ
L…座屈拘束ブレースの塑性域長さ
δ…層間変位
θ…ブレース角度

Claims (4)

  1. 芯材とこの芯材に沿って配置された拘束材とでなる座屈拘束ブレースにおける層間変形角と損失率の関係を示すフラジリティ曲線を作成する方法であって、
    実際に建物に使用された座屈拘束ブレースの調査結果を基に想定される座屈拘束ブレースの破壊時の芯材歪の平均値および標準偏差を用いて芯材歪と損失率の関係をモデル化し、芯材歪・損失率関係モデルを作成する過程と、
    実際に建物に使用された座屈拘束ブレースの調査結果からそれぞれ得られる座屈拘束ブレースの仕様による変動2αの分布、および座屈拘束ブレースの取付角度であるブレース角度θによる変動 sin2θの分布を求める過程と、
    これらの仕様による変動2αと取付角度による変動 sin2θとの割合( sin2θ)/2αにより示される値の分布および、前記芯材歪・損失率関係モデルを用いて前記フラジリティ曲線を作成する過程とを含む、
    座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法。
  2. 請求項1に記載の座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法において、
    座屈拘束ブレースの幅厚比とPE/Py(ただし、PE:拘束材の座屈荷重、Py:芯材の降伏荷重)の分布と、座屈拘束ブレースの性能確認試験における試験体の破壊時の芯材歪および負荷条件となる数値とから、前記想定される座屈拘束ブレースにおける破壊時の芯材歪の平均値を求め、この平均値を、
    前記芯材歪・損失率関係モデルを作成する過程で用いる前記座屈拘束ブレースの破壊時の芯材歪の平均値として用いる、
    座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法において、前記破壊時の芯材歪の平均値を2.51%とする、
    座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法。
  4. 座屈拘束ブレースを有する建物における地震の被災に対する損失を評価する方法であって、前記建物を前記座屈拘束ブレースとこれ以外の部分とに分けて、それぞれに別々に損失評価することとし、前記座屈拘束ブレースの評価に、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の座屈拘束ブレースのフラジリティ曲線作成方法を用いることを特徴とする建物の損失評価方法。
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