本発明は、薄膜材料及び/又は基板の残りの部分に対する損傷の可能性を防止しながら、基板から材料薄膜を除去するための技術を提供する。例えば、SOIウェハを形成するために、材料薄膜をターゲット基板に付着させるか、又は付着させることが可能である。また、材料薄膜は、種々の他の用途にも使用することができる。本発明は、以下の図面及び説明を参照することにより、より良く理解されるであろう。
1.制御された劈開技術
図1は、本発明による基板10の簡略断面図である。図面は単なる例示であり、本発明の請求範囲を限定するものではない。以下の説明はシリコンウェハに関連するが、他の基板を使用することもできる。例えば、基板は、実質的に何らかの単結晶、多結晶、又は非晶質型基板とすることができる。さらに、基板は砒化ガリウム、窒化ガリウム(GaN)等のIII/V族材料から作ることができる。本発明によれば、多層基板を使用することもできる。多層基板は、SOI基板、半導体基板上の種々のサンドイッチ層、及び無数の他の形式の基板を含む。幾つかの実施形態において、多材料ドナー基板は、単結晶シリコンと、GaN又はSiCから成る上層膜とを含むことができる。単なる一例として、基板10は除去されることになる材料領域12を含むシリコンウェハであり、その材料領域12は基板材料から得られた比較的均一な薄膜である。シリコンウェハ10は、上面14、底面16、及び厚さ18を含む。また、基板10は、第1の側面(側面1)と第2の側面(側面2)(これらも図面において以下で参照する)を有する。また、材料領域12は、シリコンウェハの厚さ18内に厚さ20を含む。本発明は、以下の一連のステップを使用して材料領域12を除去するための新規な技術を提供する。
シリコンウェハの上面14を通って選択された深さ24への選択されたエネルギの粒子の注入22がなされ、材料「薄膜」と呼ばれる、材料領域12の厚さ20を規定する。エネルギ粒子をシリコンウェハに注入するために、種々の技術を使用することができる。これらの技術には、例えば、Applied Materials、Eaton Corporation、Varian等の会社で製造されるビームライン・イオン注入装置を使ったイオン注入が含まれる。もしくは、注入は、プラズマ浸漬イオン注入(PIII)技術を使って行う。プラズマ浸漬イオン注入技術の例は、「Recent Application of Plasma immersion Ion Implantation」 Paul K.Chu,and Nathan W.Cheung,SEMICONDUCTOR INTERNATIONAL,165‐172頁,1996年6月、及び「Plasma Immersion Ion Implantation‐A Fledgling Technique for Semiconductor Processing,」,P.K.Chu,S.Qin,C.Chan,N.W.Chan,and L.A.Larson,MaterialS SCIENCE AND ENGINEERING REPORTS:A REVIEW JOURNAL,207‐280頁,R17巻,No.6‐7(1996年11月30日)に記載されており、これらは全ての目的のために引用により本明細書に組み込まれている。もちろん、使用される技術は用途に依存する。
用途に応じて、材料領域12への損傷の可能性を低減するために、より小さい質量の粒子が一般に選択される。すなわち、より小さい質量の粒子は、通過する材料領域に実質的に損傷を与えることなく、基板材料を通過して選択された深さまで容易に移動する。例えば、より小さい質量の粒子(又はエネルギ粒子)は、実質的に何らかの荷電(例えば、正又は負)及び/又は中性の原子、又は分子、又は電子等とすることができる。具体的な実施形態では、粒子は、水素及びその同位体のイオンのようなイオンと、ヘリウム及びその同位体のような希ガスイオンと、ネオンとを含む中性及び/又は荷電粒子とすることができる。また、粒子は、例えば水素ガス、水蒸気、メタン、及び水素化合物といったガス及び、他の軽い原子質量粒子から得ることができる。もしくは、粒子は、前記の粒子、及び/又はイオン及び/又は分子種及び/又は原子種の任意の組み合わせとすることができる。粒子は通常、表面を通って表面下の選択された深さまで貫通するに十分な運動エネルギを有する。
一例としてシリコンウェハに注入する化学種として水素を使用して、注入プロセスは特定の条件セットを使用して実行される。注入ドーズ量は、約1015から約1018atoms/cm2の範囲であり、好ましくは、ドーズ量は約1016atoms/cm2よりも大きい。注入エネルギは、約1KeVから約1MeVの範囲であり、通常は約50KeVである。注入温度は、約−200℃から約600℃の範囲であり、実質的な量の水素イオンが注入シリコンウェハから外に拡散すること及び注入された損傷と応力とをアニールする可能性を防止するために、好ましくは約400℃以下である。水素イオンを、シリコンウェハの中へ選択された深さまで、約+/−0.03から+/−0.05μmの精度で選択的に導入することができる。もちろん、使用するイオンのタイプ及びプロセス条件はその用途に依存する。
実効的に、注入された粒子は応力を付加し、又は選択された深さで基板上面に平行な平面に沿って破壊エネルギを減少させる。そのエネルギは、部分的に注入化学種及び条件に依存する。これらの粒子は、選択された深さでの基板の破壊エネルギレベルを減少させる。これにより、選択された深さでの注入平面の沿った制御された劈開が可能となる。全ての内部位置での基板のエネルギ状態が基板材料の不可逆破壊(つまり、剥離又は劈開)を起こすには不十分な条件の下で、注入を行うことができる。しかしながら、注入は一般的に、後続の熱処理、例えば熱アニール又は急速熱アニールにより、通常は少なくとも部分的に修復することが可能なある量の欠陥(例えば、微小欠陥)を基板中に生じさせることに留意されたい。
図2は、本発明による注入基板10の断面に沿った簡略エネルギ図200である。この図面は単なる例示であり、本発明の請求範囲を限定するものではない。簡略図は、基板中に劈開を生じさせるエネルギレベル(E)(又は付加的なエネルギ)を表す縦軸201を含む。横軸203は、ウェハの底部から上部までの深さ又は距離を表す。粒子をウェハに注入した後、基板はE205として表わされる平均劈開エネルギを有し、これはウェハ深さに沿った種々の断面領域に沿ってウェハを劈開するのに必要なエネルギ量である。劈開エネルギ(Ec)は、非注入領域のバルク材料破壊エネルギ(Emat)に等しい。選択された深さ20では、注入された粒子が本質的に結晶構造の結合を破壊又は脆弱にし(又は、粒子の存在により生じる応力の増大も基板のより低いエネルギ(Ecz)207に寄与する)、選択された深さで基板を劈開するために必要なエネルギ量を低下させるので、エネルギ(Ecz)207はより低い。本発明は、制御された方法で薄膜を劈開するために、選択された深さでのより低いエネルギ(又は増大した応力)を利用する。
しかしながら、基板は一般に、注入プロセスの後で可能な劈開フロント又は選択された深さを横切る欠陥又は「脆弱」領域を免れない。このような場合には、基板はバルク材料の不均一性、内部応力、欠陥等のランダム変動を受けるので、一般に劈開を制御することはできない。図3は、これらの欠陥を有する注入基板10に関する劈開フロントを横切る簡略エネルギ図300である。図300は単なる例示であり、本発明の請求範囲を限定するものではない。図は、付加的なエネルギ(E)を表す縦軸301と、基板の側面1から側面2までの距離を表す横軸303とを有しており、横軸は基板の劈開フロントに沿った領域を表す。図に示すように、劈開フロントは、それぞれ領域1及び領域2として表す2つの領域305及び307を有しており、この領域は平均劈開エネルギ(Ecz)207より小さい劈開エネルギを有する(おそらく、高濃度の欠陥等による)。従って、各領域は周りの領域よりも低い劈開エネルギを有するので、劈開プロセスは前記領域の一方又は両方で始まる可能性が高い。
前記の図3で説明した基板に対する劈開プロセスの例は、図4を参照して以下に説明する。図4は、注入された基板の中を伝播する複数の劈開フロント401、403の簡略上面図400である。劈開フロントは、詳細には領域1及び2を含む劈開平面の「より脆弱な」領域で始まる。劈開フロントが発生して矢印で示すようにランダムに伝播する。複数の劈開フロント間でのランダムな伝播を利用することについての制約は、異なる劈開フロントを僅かに異なる平面に沿って合流させる可能性、又は亀裂の形成の可能性であり、以下に詳細に説明する。
図5は、複数の劈開フロント、例えば領域1(305)及び領域2(307)を有するウェハから劈開された膜の簡略断面図500である。この図面は単なる例示であり、本発明の請求範囲を限定するものではない。図に示すように、僅かに異なる平面に沿って定められる領域3(309)で領域2からの劈開と合流した領域1からの劈開は、膜に沿って二次的な劈開又は亀裂311を生じる場合がある。差異313の大きさによっては、膜は集積回路又は他の用途向けの基板製造で使用するには十分な品質ではない場合がある。亀裂311を有する基板を加工に使用することはできない。従って、ランダムな方法で複数の劈開フロントを使ってウェハを劈開することは一般に望ましくない。ランダムな方法で複数の劈開フロントを形成する技術の一例は、Michel Bruel(「Bruel」)のフランス原子力エネルギ庁に与えられた米国特許第5,374,564号に記載されている。Bruelは、熱的に活性化された拡散を使って全体的な熱処理(すなわち、注入全平面を熱的に処理すること)によって、注入されたウェハを劈開する技術を説明している。基板の全体的な熱処理は、一般的に独立して伝播する複数の劈開フロントを引き起こす。一般的に、Bruelは、望ましくない結果を生ずる可能性がある、全体的な熱処理による劈開作用を開始させて維持することによる「制御不能」な劈開作用に関する技術を開示している。これらの望ましくない結果は、劈開フロントの不完全な合流、劈開を維持するためのエネルギレベルが必要量を超過するので劈開材料の表面で過剰に粗い表面仕上がり等の潜在的な問題が含む。本発明は、注入された基板のエネルギの制御された分布又は選択的な位置決めにより、ランダムな劈開フロントの形成を克服するものである。
図6は、本発明による、劈開エネルギの選択的位置決めを使った注入された基板10の簡略断面図である。この図は単なる例示であり、本発明の請求範囲を限定するものではない。注入されたウェハは、選択された深さでの材料領域12の制御された劈開作用をもたらす、選択的なエネルギの配置、又は位置決め、又はターゲッティングステップを受ける。1つのインパルス又は複数のインパルスは、エネルギソースを使用して与えられる。ソースの例としては、特に化学的ソース、機械的ソース、電気的ソース、熱シンク又はソースを含む。化学的ソースは、粒子、流体、ガス、又は液体を含むことができる。これらのソースは、材料領域中の応力を増加させるための化学反応を含むこともできる。化学的ソースを、フラッド、時間的変動、空間的変動、又は連続的なものとして導入される。別の実施形態では、機械的ソースは、回転運動、並進運動、圧縮、膨張、又は超音波のエネルギから得る。機械的ソースは、フラッド、時間的変動、空間的変動、又は連続的なものとして導入することができる。さらに別の実施形態では、電気的ソースは、印加される電圧又は印加される電磁場から選択して、フラッド、時間的変動、空間的変動、又は連続的なものとして導入される。さらに別の実施形態では、熱的ソース又はシンクは、放射、対流、又は伝導から選択される。この熱的ソースを、特に光子ビーム、流体噴射、液体噴射、ガス噴射、電場/磁場、電子ビーム、熱電加熱、炉等から選択することができる。熱シンクは、流体噴射、液体噴射、ガス噴射、極低温流体、超冷却液体、熱電冷却手段、電場/磁場等から選択することができる。前述の実施形態と同様に、熱的ソースは、フラッド、時間的変動、空間的変動、又は連続的なものとして与えられる。さらに、前述の実施形態のいずれも、用途に応じて組合わせること又は分割することができる。もちろん、使用するソースのタイプは用途に依存する。
特定の実施形態では、本発明は制御された伝播劈開を提供する。制御された伝播劈開は、図7で説明するように、多数の連続したインパルスを使用して劈開プロセス700を開始させ、おそらく伝播させる。この図は単なる例示であり、本発明の請求範囲を限定するものではない。図示するように、インパルスは基板のエッジに導かれ、基板から材料層を除去するために基板の中心方向に劈開フロントを伝播する。この実施形態では、ソースは多数のパルス(すなわちパルス1、2、及び3)を連続的に基板に加える。劈開作用を開始するために、パルス1(701)は基板のエッジ703に導かれる。また、パルス2(705)は、劈開フロントを拡張するためにパルス1の片側のエッジ707に導かれる。さらに材料層を基板から除去するために、拡張された劈開フロントに沿ってパルス3 709はパルス1の反対側のエッジ711に導かれる。これらのインパルス又はパルスの組み合わせは、基板からの材料層の制御された劈開作用713を与える。
図8は、制御された伝播劈開用の前述の実施形態におけるパルスから選択されたエネルギ800の簡略図である。この図は単なる例示であり、本発明の請求範囲を限定するものではない。図示するように、パルス1は、平均劈開エネルギ(E)を超えるエネルギレベルを有し、これは劈開作用の開始に必要なエネルギである。パルス2及び3は、劈開作用を維持又は持続するために劈開フロントに沿って低いエネルギレベルを使用して作る。特定の実施形態では、パルスはレーザーパルスであり、入射ビームはパルスによって基板の選択された領域を加熱し、熱パルス勾配は補足的な応力を生成し、これらは一緒になって劈開形成又は伝播エネルギを超えて単一の劈開フロントを生成する。好ましい実施形態では、入射ビームは同時に加熱と熱パルス勾配をもたらし、これは劈開エネルギ形成又は伝播エネルギを超える。さらに好ましくは、入射ビームは同時に冷却と熱パルス勾配をもたらし、これは劈開エネルギ形成又は伝播エネルギを超える。
随意的に、基板の内部エネルギ状態又は応力は、劈開作用を開始するのに必要なエネルギレベルの方向に全体的に上昇させることができるが、本発明によって基板に多数の連続的なインパルスを導く前に劈開作用を開始するのには十分ではない。化学的、機械的、熱的(シンク又はソース)、又は電気的等の種々のソースを単独に又は組み合わせて使用することにより、基板の全体的なエネルギ状態を上昇または降下させることができる。化学的ソースは、粒子、流体、ガス、又は液体のような種々のものを含むことができる。これらのソースはまた、材料領域中の応力を増加させるための化学反応を含むことができる。化学的ソースは、フラッド、時間的変動、空間的変動、又は連続的なものとして導入する。他の実施形態では、機械的ソースは、回転運動、並進運動、圧縮、膨張、又は超音波のエネルギから得る。機械的ソースは、フラッド、時間的変動、空間的変動、又は連続的なものとして導入することができる。さらに別の実施形態では、電気的ソースは、印加される電圧、又は印加される電磁場から選択し、フラッド、時間的変動、空間的変動、又は連続的なものとして導入する。さらに別の実施形態では、熱的ソース又はシンクは、放射、対流、又は伝導から選択する。この熱的ソースは、特に光子ビーム、流体噴射、液体噴射、ガス噴射、電場/磁場、電子ビーム、熱電加熱、及び炉から選択することができる。熱シンクは、流体噴射、液体噴射、ガス噴射、低温流体、超冷却液体、熱電冷却手段、電場/磁場等から選択することができる。前述の実施形態と同様に、熱的ソースは、フラッド、時間的変動、空間的変動、又は連続的なものとして与えられる。さらに、前述の実施形態のいずれも用途に応じて組み合わせること又は分割することが可能である。もちろん、使用するソースのタイプも用途に依存する。前述したように、広範囲なソースは、制御された劈開作用を開始するためのエネルギを供給する前に、材料領域中で劈開作用を開始させることなく、材料領域中のエネルギ又は応力のレベルを増加させる。
特定の実施形態では、エネルギソースは基板劈開面のエネルギレベルを劈開フロントの伝播エネルギを超えて上昇させるが、劈開フロントの自己開始を引き起こすには十分ではない。特に、熱又は熱の無い形態(例えば冷却ソース)での熱エネルギソース又はシンクは、劈開フロントを開始させることなく、基板のエネルギ状態又は応力レベルを増加させるために、基板に全体的に加えることができる。もしくは、エネルギソースは、電気的、化学的、又は機械的とすることができる。導かれたエネルギソースは、劈開フロントを開始させるために、基板材料の選択された領域へエネルギを与え、劈開フロントは、材料薄膜を除去されるまで基板の注入領域を通って自己伝播する。劈開作用を開始させるために、種々の技術を使用することができる。これらの技術を以下に図面を通して説明する。
図9は、本発明の一態様による、単一の制御されたソースを使用する、制御された劈開作用に関するエネルギ状態900の簡略図である。この図は単なる例示であり、本発明の請求範囲を限定するものではない。この実施形態では、基板のエネルギレベル又は状態は、広範囲なエネルギソースを使用して劈開フロントの伝播エネルギ状態を超えて上昇させるが、このエネルギレベルは劈開フロントの開始に必要なエネルギ状態よりも低い。劈開フロントを開始させるために、レーザーのようなエネルギソースはビームをパルス形態で基板のエッジに導いて劈開作用を開始する。もしくは、エネルギソースは、冷却媒体をパルス形態で基板のエッジに導き劈開作用を開始させる、冷却流体(例えば液体、ガス)である。広範囲なエネルギソースは、一般的に開始エネルギより低いエネルギレベルを必要とする劈開作用を維持する。
本発明の別の態様を図10及び11で説明する。図10は、回転力1001と1003を受ける注入された基板1000の簡略図である。この図は単なる例示であり、本発明の請求範囲を限定するものではない。図示するように、基板は上面1005、底面1007、及び選択された深さの注入された領域1009を含む。エネルギソースは、光ビーム又は熱的ソースを使用して基板の全体的なエネルギレベルを劈開フロントの伝播エネルギ状態を超えて上昇させるが、このエネルギレベルは劈開フロントを開始するために必要なエネルギ状態よりは低い。基板は上面で時計回りに回転する回転力1001及び下面で反時計回りに回転する回転力1003を受け、注入された領域1009に応力が発生して劈開フロントが開始する。もしくは、上面は反時計回りの回転力を受け、底面は時計回りの回転力を受ける。もちろん、この実施形態では力の方向は一般に問題とならない。
図11は、本発明による、回転力を使用する制御された劈開作用に関するエネルギ状態の簡略図である。この図は単なる例示であり、本発明の請求範囲を限定するものではない。前述のように、基板のエネルギレベル又は状態は、広範囲なエネルギソース(例えば熱、ビーム)を使用して、劈開フロントの伝播エネルギ状態を超えて上昇させるが、このレベルは劈開フロントの開始に必要なエネルギ状態よりも低い。劈開フロントを開始させるために、注入された領域に加えられる回転力のような機械的なエネルギ手段によって劈開フロントが開始する。特に、基板の注入された領域に加えられる回転力は、基板の中心ではゼロ応力、外周では本質的に半径に比例して最大応力を生成する。この例では、中心部の開始パルスは基板を劈開するための半径方向に拡張する劈開フロントを生じる。
除去された材料領域は、加工用のシリコン材料薄膜を提供する。シリコン材料は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板で使用するために、限定された表面粗さ及び所望の平坦度特性を有する。特定の実施形態では、取り外した膜の表面粗さは約60nm未満、又は約40nm未満、又は約20nm未満の特徴をもつ。従って、本発明は既存の技術よりも滑らかで均一な薄膜のシリコンを提供する。
特定の実施形態では、エネルギソースは本発明の実施形態により加圧(例えば圧縮)された流体噴射とすることができる。図12Aは、本発明の実施形態による制御された劈開プロセスを行うために使用される流体ノズル608からの流体噴射の簡略断面図を示している。流体噴射607(又は液体噴射、又はガス噴射)は基板10のエッジ領域に衝突し、制御された劈開プロセスを開始させる。例えば機械的、化学的、熱的な力を使用して、基板10からある厚さの材料領域12を劈開させるために、圧縮又は加圧された流体ソースからの流体噴射を選択された深さ603にある領域に導く。図示するように、流体噴射は、基板10を選択された深さ603で相互に分離している領域609及び領域611を含む2つの領域に分割する。また、基板10から材料12を分離するために、制御された劈開プロセスを開始して維持するように、流体噴射を調節することもできる。用途に応じて、流体噴射は、所望の制御された劈開プロセスを達成するために、方向、位置、及び大きさを調節することができる。流体噴射は、液体噴射又はガス噴射、又は液体とガスの組み合わせとすることができる。流体噴射は、環境(つまり室内)温度で基板から薄膜を分離することができるが、分離プロセスを促進するために、基板及び/又は噴射を加熱又は冷却することもできる。
好ましい実施形態では、エネルギソースは、例えば静的な圧縮流体のような圧縮性ソースである。図12Bは、本発明の実施形態による圧縮流体ソース607の簡略断面図を示している。圧縮流体ソース607(例えば、加圧された液体、加圧されたガス)を、基板10の外周又はエッジを取り囲む密閉チャンバー621に供給する。図示するように、チャンバーは装置623によって囲まれており、装置623は、例えばOリング625等により密閉され、基板の外側エッジを取り囲んでいる。チャンバーの圧力は、注入された材料の選択された深さでの制御された劈開プロセスを開始するために基板10のエッジ領域に加えられる圧力PCに維持される。基板の外面又は表面は、大気圧、例えば1気圧以下とすることができる圧力PAに維持される。高いチャンバーの圧力と大気圧との間に差圧が存在する。この差圧は、選択された深さ603の注入された領域に力を加える。選択された深さの注入された領域は、任意の結合された領域を含む周囲領域よりも構造的に脆弱である。制御された劈開プロセスが開始されるまで、差圧により力が加えられる。制御された劈開プロセスは、基板材料611から所定の厚さの材料609を分離して、選択された深さで基板材料から材料を引き裂く。さらに、圧力PCは「てこの作用」によって材料領域12を基板材料611から分離させる。劈開プロセス中、基板10から材料12を分離するために、制御された劈開プロセスを開始して維持するように、チャンバー内の圧力を調節することもできる。用途に応じて、所望の制御された劈開プロセスを達成するために、圧力の大きさを調節することができる。流体圧力は、液体又はガス、又は液体とガスの組み合わせから得ることができる。随意的に、ピン又はブレードからの機械的な力は、劈開プロセスを開始するために注入される領域のエッジに加えることができ、これにより一般的に、チャンバーとその周囲との間で必要な最大差圧を低減することができる。
好ましい実施形態では、本発明は既存の技術で使用される温度よりも低い温度で実行される。特に、本発明は、既存の技術のように劈開作用を開始して維持するために基板全体の温度を上げることを必要としない。シリコンウェハと水素注入に関する実施形態において、基板温度は劈開プロセス中に約400℃を超えない。もしくは、基板温度は劈開プロセス中に約350℃を超えない。もしくは、基板温度は熱シンク、例えば冷却流体、極低温流体により実質的に注入温度よりも低温に維持される。従って、本発明は、ランダムな劈開フロントからの過剰なエネルギ放出による不必要な損傷の可能性を低減し、これにより一般的に、取り外された膜及び/又は基板の表面品質を改善する。従って、本発明は、高い全収率と品質で、結果として生じる膜を基板上に提供する。
前述の実施形態は、基板から材料薄膜を劈開することに関して説明される。しかしながら、制御された劈開プロセスの前に補強部材等の加工物の上に基板を配置することができる。工作物は、制御された劈開プロセス中に材料薄膜に対して構造上の支持を提供するために、基板の上面又は注入された表面に結合する。工作物は、種々の接合又は結合技術、例えば静電気、接着剤、原子間結合を使用して基板に結合させることができる。これらの接合技術のいくつかを本明細書で説明する。工作物は、誘電材料(例えば、石英、ガラス、サファイヤ、窒化シリコン、二酸化シリコン)、導電材料(シリコン、炭化シリコン、ポリシリコン、III/V族材料、金属)、及びプラスチック(例えば、ポリイミドベースの材料)から作ることができる。もちろん、使用される工作物のタイプは用途に依存することになる。
もしくは、取り外される膜を有する基板は、制御された劈開プロセスの前に補強部材等のような搬送基板上に一時的に配置することができる。制御された劈開プロセス中に材料薄膜に対する構造的な支持をもたらすために、膜を有する基板の上面又は注入される表面に搬送基板を結合する。種々の接合又は結合技術、例えば静電気、接着剤、原子間結合を使用して、膜を有する基板に搬送基板を一時的に結合することができる。これらの接合技術のいくつかを本明細書で説明する。搬送基板は、誘電材料(例えば、石英、ガラス、サファイヤ、窒化シリコン、二酸化シリコン)、導電材料(シリコン、炭化シリコン、ポリシリコン、III/V族材料、金属)、プラスチック(例えば、ポリイミドベースの材料)から作ることができる。もちろん、使用される搬送基板のタイプは用途に依存することになる。さらに、制御された劈開プロセスの後で劈開された基板から材料薄膜を除去するために、搬送基板を利用することができる。
2.シリコン・オン・インシュレータ(SOI)プロセス
本発明によるシリコン・オン・インシュレータ基板を製造するためのプロセスを以下に簡単に説明する。
(1)ドナーシリコンウェハ(誘電材料で被覆されていてもよい)を準備し、
(2)シリコン膜の厚さを規定する選択された深さまでシリコンウェハ中に粒子を導入し、
(3)ターゲット基板材料(誘電材料で被覆されていてもよい)を準備し、
(4)注入された表面をターゲット基板材料に結合することによってドナーシリコンウェハをターゲット基板材料に接合し、
(5)劈開作用を開始することなく選択された深さでの注入領域の全体的な応力(又はエネルギ)を増大させ(任意)、
(6)選択された深さでの制御された劈開作用を開始させるために接合された基板の選択された領域に応力(又はエネルギ)を与え、
(7)制御された劈開作用を持続するように接合された基板に付加的なエネルギを与えて、シリコンウェハからシリコン膜の厚さを除く(任意)、
(8)ドナーシリコンウェハのターゲット基板との接合を完了し、
(9)シリコン膜の厚さの表面を研磨する。
前記の一連のステップは、本発明によって劈開フロントを形成するために、多層基板構造の選択された領域へ与えるエネルギを使用して、制御された劈開作用を開始するステップを提供する。この開始ステップは、基板に与えるエネルギ量を制限することにより制御された方法で劈開プロセスを開始する。さらに劈開作用の伝播は、劈開作用を持続するために基板の選択された領域へ付加的なエネルギを与えることにより、又はさらに劈開作用の伝播のために開始ステップからのエネルギを使用することにとって行うことができる。この一連のステップは単なる一例であり、本明細書で規定する請求の範囲を限定するものではない。前述の一連のステップに関するさらなる詳細は、図13−18を参照して以下に説明する。
図13−18は、本発明によるSOIウェハの製造プロセスが行われる基板の簡略断面図である。このプロセスは、図13に示すようにシリコンウェハ2100と類似した半導体基板を準備することで始まる。基板又はドナーは、除去される材料領域2101を含んでおり、これは基板材料から得られる比較的均一な薄膜である。シリコンウェハは上面2103、底面2105、及び厚さ2107を含んでいる。また、材料領域は、シリコンウェハの厚さ2107内に厚さ(Z0)を含んでいる。必要に応じて、誘電体層2102(例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン)は基板の上面を覆っている。本発明のプロセスは、SOIウェハの製造のために、以下の一連のステップを使用して材料領域2101を除去するための新規な技術を提供する。
選択されたエネルギ粒子2109は、シリコンウェハの上面を通って選択された深さまで注入され、その深さは材料の薄膜と呼ばれる材料領域の厚さを規定する。図示するように、粒子は選択された深さ(z0)で所望の濃度2111を有する。エネルギ粒子をシリコンウェハ中に注入するために種々の技術を使用することができる。これらの技術は、例えば、Applied Materials、Eaton Corporation、Varian等の会社で製造されるビームラインイオン注入装置を使用したイオン注入が含まれる。もしくは、プラズマ浸潰イオン注入(PIII)技術を使用して注入を行うこともできる。もちろん使用される技術は用途に依存する。
用途によっては、材料領域への損傷の可能性を低減するために、より小さい質量の粒子を一般的に選択する。すなわち、より小さい質量の粒子は、粒子が通過する材料領域に実質的な損傷を与えることなく、選択された深さまで容易に基板材料中を移動する。例えば、より小さい質量の粒子(又はエネルギ粒子)は、実質的に何らかの荷電(例えば、正又は負)及び/又は中性の原子、又は分子、又は電子等とすることができる。具体的な実施形態では、粒子は、水素及びその同位体のイオンのようなイオンと、ヘリウム及びその同位体のような希ガスイオンと、ネオンとを含む中性及び/又は荷電粒子とすることができる。また、粒子は、ガス、例えば水素ガス、水蒸気、メタン、及び水素化合物のような化合物、及び他の軽い原子質量粒子から得ることができる。もいくは、粒子は前記の粒子、及び/又はイオン及び/又は分子化学種及び/又は原子化学種の任意の組み合わせとすることができる。
プロセスは、図14に説明するように注入されたシリコンウェハ2100を工作物2201又はターゲットウェハに結合するステップを使用する。工作物は、誘電材料(例えば、石英、ガラス、サファイヤ、窒化シリコン、二酸化シリコン)、導電材料(シリコン、炭化シリコン、ポリシリコン、III/V族材料、金属)、及びプラスチック(例えば、ポリイミドベースの材料)から作られる基板のような、種々の他のタイプの基板とすることができる。しかしながら、本実施例では、工作物はシリコンウェハである。
特定の実施形態では、シリコンウェハ同士を低温熱工程を使って結合又は融着する。低温熱工程は一般に、注入された粒子が制御できない劈開作用を生じる場合のある過剰な応力を材料領域に与えないことを保証する。1つの態様において、低温接合プロセスは自己接合プロセスにより生じる。特に、1つのウェハは、酸化物を除去するために剥離される(又は、1つのウェハは酸化しない)。洗浄液は、ウェハ表面を処理してウェハ表面にO‐H結合を形成する。ウェハ洗浄に使用される溶液の例は、H2O2‐H2SO4の混合物である。ドライヤは、何らかの残留した液体又は粒子をウェハ表面から除去するためにウェハ表面を乾燥させる。自己接合は、酸化されたウェハの面に洗浄されたウェハの面を対向配置させることにより行われる。
もしくは、自己接合プロセスは、プラズマ洗浄によって、接合されることになるウェハ表面の一方を活性化することによって行われる。特に、プラズマ洗浄は、アルゴン、アンモニア、ネオン、水蒸気、及び酸素のようなガスから得られるプラズマを使用してウェハ表面を活性化する。活性化されたウェハ表面2203を、表面に酸化物2205を有する他方のウェハの面に対向配置させる。ウェハは、露出されたウェハ面を有するサンドイッチ構造である。選択された量の圧力をウェハの各露出面に加えて、一方のウェハを他方のウェハへ自己接合させる。
もしくは、ウェハ表面に配置した接着剤を一方のウェハを他方のウェハに接合するために使用する。接着剤は、エポキシ、ポリイミドタイプの材料等を含む。スピンオンガラス層は、1つのウェハ表面を別のウェハの面に接合するために使用することができる。これらのスピンオンガラス(「SOG」)材料は、特にシロキサン又はケイ酸塩を含み、これらは多くの場合、アルコールベースの溶剤等と混合される。SOGは、ウェハ表面に施工した後に硬化させるために、多くの場合に低温(例えば、150から250℃)が必要とされるので、望ましい材料である。
もしくは、ドナーウェハをターゲットウェハに結合するために、種々の他の低温技術を使用することができる。例えば、静電接合技術は、2つのウェハを結合するために使用することができる。特に、一方又は両方のウェハ表面は、他方のウェハ表面に引き付けるためにを帯電させる。さらに、種々の一般に公知の技術を用いて、ドナーウェハをターゲットウェハに融着させることができる。もちろん、使用する技術は用途に依存する。
図15に示すようにウェハをサンドイッチ構造2300に接合した後、本方法は、絶縁体2305の上にある基板材料の薄膜2101をターゲットシリコンウェハ2201に与えるために基板材料を除去するための、制御された劈開作用を含んでいる。制御された劈開は、ドナー及び/又はターゲットウェハへのエネルギソースの選択的なエネルギの配置、又は位置決め、又はターゲッティング2301、2303により行われる。例えば、劈開作用を開始させるためにエネルギインパルスを使用することができる。特に機械的ソース、化学的ソース、熱シンク又はソース、電気的ソースを含むエネルギソースを使用して、1つのインパルス(又は複数のインパルス)を与える。
制御された劈開作用は、前述の技術等により開始され、図15により説明する。例えば、制御された劈開作用を開始するためのプロセスは、基板中の選択された深さ(z0)で制御された劈開作用を開始するために、基板の選択された領域にエネルギ2301と2303を与えるステップを使用し、ここでは基板から除去する基板材料の一部を自由にするために、伝播する劈開フロントを使用して劈開作用を行う。特定の実施形態では、この方法は前述したように、劈開作用を開始するために単一のインパルスを使用する。もしくは、この方法は開始インパルスを使用し、これに続いて基板の選択された領域への別のインパルス又は連続的なインパルスを与える。もしくは、この方法は、基板に沿って走査されるエネルギによって維持される劈開作用を開始するためにインパルスを与える。もしくは、基板の選択された領域を横切ってエネルギを走査して、制御された劈開作用を開始及び/又は持続することができる。
随意的に、基板材料のエネルギ又は応力は、劈開作用を開始するのに必要なエネルギレベルの方向にを増大させるが、本発明によって基板に1つのインパルス又は複数の連続的なインパルスを導く前に劈開作用を開始させるのには十分ではない。基板の全体的なエネルギ状態は、化学的、機械的、熱的(シンク又はソース)、又は電気的等のような種々のソースを単独で又は組み合わせて使用することにより、上昇または降下させることができる。化学的ソースは、粒子、流体、ガス、又は液体を含むことができる。これらのソースは、材料領域中の応力を増加させるための化学反応を含むこともできる。化学的ソースは、フラッド、時間的変動、空間的変動、又は連続的なものとして導入する。別の実施形態では、機械的ソースは、回転運動、並進運動、圧縮、膨張、又は超音波のエネルギから得る。機械的ソースは、フラッド、時間的変動、空間的変動、又は連続的なものとして導入することができる。さらに別の実施形態では、電気的ソースは、印加される電圧又は印加される電磁場から選択し、フラッド、時間的変動、空間的変動、又は連続的なものとして導入する。さらに別の実施形態では、熱的ソース又はシンクは、放射、対流、又は伝導から選択する。この熱的ソースは、特に光子ビーム、流体噴射、液体噴射、ガス噴射、電場/磁場、電子ビーム、熱電加熱、炉から選択することができる。熱シンクは、流体噴射、液体噴射、ガス噴射、極低温流体、超冷却液体、熱電冷却手段、電場/磁場等から選択することができる。前述の実施形態と同様に、熱的ソースは、フラッド、時間的変動、空間的変動、又は連続的なものとして与える。さらに、前述の実施形態のいずれも、用途に応じて組み合わせること又は分割するこができる。もちろん、使用するソースのタイプは用途に依存する。前述したように、広範囲なソースは、制御された劈開作用を開始するためのエネルギを与える前に、材料領域中で劈開作用を開始させることなく、材料領域中のエネルギ又は応力のレベルを増加させる。
好ましい実施形態では、この方法は、粒子を基板に導入する温度よりも低い温度を維持する。幾つかの実施形態において、劈開作用の伝播を開始するためのエネルギを導入するステップ中に、基板温度を−200℃と450℃の間に維持する。基板温度を400℃未満又は350℃未満の温度に維持することも可能である。好ましい実施形態では、この方法は、劈開作用の開始及び維持に熱シンクを使用し、これは室温よりかなり低温の条件で発生する。
図16に説明するように、幾つかの実施形態によってターゲットウェハ2201と材料領域の薄膜2101との間に最終的な接合ステップが行われる。1つの実施形態では、一方のシリコンウェハは二酸化シリコンの被覆層を有し、この層は図14に示すように材料薄膜を劈開する前に表面を覆って熱的に成長させたものである。二酸化シリコン2205は、種々の他の技術、例えば化学気相成長法を使用して形成することもできる。各ウェハ表面の間の二酸化シリコン2205は、このプロセスで熱的に互いに融着する。
幾つかの実施形態において、ターゲットウェハ又は材料領域の薄膜のいずれかから(ドナーウェハからの)の酸化シリコン表面は、さらに一緒に加圧され、酸化雰囲気2401に曝される。酸化雰囲気は、スチーム酸化、水素酸化等用の拡散炉内とすることができる。圧力と酸化雰囲気との組み合わせは、酸化物表面又は界面2305でシリコン材料の薄膜2101をターゲットシリコンウェハ2201に融着する。これらの実施形態は、高温(例えば700℃)を必要とする場合が多い。
もしくは、2つのシリコン表面はさらに一緒に加圧され、2つのウェハ間に印加された電圧を受ける。印加された電圧は、ウェハの温度を上昇させてウェハ間の接合を誘発する。この技術は、各ウェハの間の接合動作を開始するために実質的に有意な機械的な力を必要としないので、接合プロセス中にシリコンウェハ中へ導入される結晶欠陥の量を制限する。もちろん、使用される技術は用途に依存する。
ウェハを接合した後、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)は図14にも説明するように、シリコン材料の上層膜2101と、ターゲット基板2201とシリコンウェハ2100との間に挟まれた酸化物層2205とを有するターゲット基板を備える。シリコン材料膜の取り外された表面は粗く2404、表面仕上げを必要とする場合が多い。表面仕上げは、研削及び/又は研磨技術の組み合わせを使って行われる。幾つかの実施形態において、取り外された表面は、例えば、取り外された表面上に配置される研磨材を回転させて、表面の不完全性又は粗さを取り除くような技術を使った研削工程を受ける。Discoと呼ばれる会社で製造される「裏面研削装置」のような機械は、この技術を可能にする。
もしくは、化学的機械的研磨又は平坦化(CMP)技術は、図17で説明するように、膜の取り外された表面を仕上げる。CMPでは、回転するプラテン2503に取り付けられる研磨表面2501にスラリー混合物を直接加える。このスラリー混合物は、スラリーソースに接続されたオリフィスを通して研磨表面に移送させることができる。スラリーは、研磨剤と酸化剤、例えばH2O2、KIO3、硝酸鉄を含む溶液である場合が多い。研磨剤は、ホウケイ酸ガラス、二酸化チタン、窒化チタン、酸化アルミ、三酸化アルミ、硝酸鉄、酸化セリウム、二酸化シリコン(コロイドシリカ)、窒化シリコン、炭化シリコン、黒鉛、ダイヤモンド、およびそれらの任意の混合物である場合が多い。この研磨剤は、脱イオン水及び酸化剤等の溶液中で混合される。好ましくは、溶液は酸性である。
この酸性溶液は一般に、研磨プロセス中にウェハからのシリコン材料と相互作用する。研 磨プロセスでは、好ましくはポリウレタン研磨パッドを使用する。この研磨パッドの一例は、Rodel社で製造され、IC‐1000の商標名で販売されているものである。研磨パッドは選択された速度で回転させる。膜を有するターゲットウェハをピックアップするキャリアヘッドは、選択された力が膜に加わるようにターゲットウェハの裏面に選択された量の圧力を加える。研磨プロセスは、ほぼ選択された量の膜材料を除去し、図18に示すように、後続の工程のために比較的滑らかな膜表面2601を提供する。
特定の実施形態では、酸化物の薄膜2406は、図16に説明するようにターゲットウェハの上に横たわる材料膜を覆っている。酸化物層は、熱アニール工程中に生じ、このことは材料膜をターゲットウェハに永久に接合させるものとして前記に説明されている。これらの実施形態では、最初に酸化物を除去するために仕上げプロセスを選択的に調節し、続いて膜を研磨することでプロセスを完了させる。もちろん、一連のステップは特定の用途に依存する。
前記ではシリコンウェハに関して説明したが、他の基板を使用することができる。例えば、基板は実質的に何らかの単結晶、多結晶、又は非晶質型の基板とすることができる。さらに、基板は、砒化ガリウム、窒化ガリウム(GaN)等のIII/V族材料から作ることができる。本発明によれば、多層基板を使用することもできる。多層基板は、SOI基板、半導体基板上の種々のサンドイッチ層、及び無数の他のタイプ基板を含む。幾つかの実施形態において、多材料ドナー基板は、単結晶シリコンと、GaN又はSiCから成る上層とを含むことができる。さらに、前述の実施形態は、全体的には、制御された劈開作用を開始するためにエネルギパルスを与えることに関連する。パルスは、制御された劈開作用を開始するために基板の選択された領域を横切って走査されるエネルギに置き換えることができる。また、制御された劈開作用を持続又は維持するために、基板の選択された領域を横切ってエネルギを走査することもできる。当業者であれば、本発明によって使用できる種々の代替例、変更例、及び変形例を容易に認識できるはずである。
前記は特定の実施形態の十分な説明であるが、種々の変更例、代替構造、及び均等物を使用することができる。従って、前述の説明及び例示は、特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を限定するものと見なすべきではない。