JP2014137754A - 病原体の接触感染リスク評価装置、そのプログラム及び接触感染リスク評価システム - Google Patents
病原体の接触感染リスク評価装置、そのプログラム及び接触感染リスク評価システム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014137754A JP2014137754A JP2013006743A JP2013006743A JP2014137754A JP 2014137754 A JP2014137754 A JP 2014137754A JP 2013006743 A JP2013006743 A JP 2013006743A JP 2013006743 A JP2013006743 A JP 2013006743A JP 2014137754 A JP2014137754 A JP 2014137754A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- risk
- splash
- contact
- droplets
- infected
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Medical Treatment And Welfare Office Work (AREA)
Abstract
【課題】様々な条件毎に、感染患者の飛沫による医療従事者等の被感染者の接触感染リスクをシミュレーションすること。
【解決手段】接触感染リスク評価装置10は、接触感染リスクの評価に際する前提条件が入力される入力部38と、入力部38で入力された前提条件に基づき、予め記憶された評価式を用いて、接触感染リスクの大きさを表すリスク値を演算する演算部40とを備えている。演算部40では、飛沫のある飛散方向毎に、環境内の各部位に付着すると想定される飛沫の付着面積が求められ、当該各付着面積と、前記感染患者と前記各部位の位置関係と、前記感染患者の状況による飛沫の発生確率と、前記各飛散方向の飛沫の飛散確率と、所定の接触予防策の実施状況に応じた飛沫の減少率と、前記環境内での被感染者の作業の単位回数当たりの前記各部位への接触回数とに基づき、前記リスク値が求められる。
【選択図】 図1
【解決手段】接触感染リスク評価装置10は、接触感染リスクの評価に際する前提条件が入力される入力部38と、入力部38で入力された前提条件に基づき、予め記憶された評価式を用いて、接触感染リスクの大きさを表すリスク値を演算する演算部40とを備えている。演算部40では、飛沫のある飛散方向毎に、環境内の各部位に付着すると想定される飛沫の付着面積が求められ、当該各付着面積と、前記感染患者と前記各部位の位置関係と、前記感染患者の状況による飛沫の発生確率と、前記各飛散方向の飛沫の飛散確率と、所定の接触予防策の実施状況に応じた飛沫の減少率と、前記環境内での被感染者の作業の単位回数当たりの前記各部位への接触回数とに基づき、前記リスク値が求められる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、病原体の接触感染リスク評価装置、そのプログラム及び接触感染リスク評価システムに係り、更に詳しくは、病原体の感染患者の咳やくしゃみ等によって飛散した飛沫によって、医療施設や福祉施設等における医療従事者や関係職員等の第三者が接触感染するリスクをシミュレーションすることのできる病原体の接触感染リスク評価装置、そのプログラム及び接触感染リスク評価システムに関する。
病原体の主な感染経路として、空気感染、接触感染及び飛沫感染がある。この中で、接触感染は、院内感染の感染経路として特に重要であると考えられており、接触予防策としては、手洗い等の手指衛生や室内の環境表面の清掃を行うことが一般的である。しかしながら、手指衛生は、感染患者や医療従事者等の個人の意識に委ねられるため、感染防止効果に個人差が生じる。また、環境表面の清掃にあっては、清掃範囲や重点的に清掃すべき箇所等を特定する際の科学的根拠がなく、感染防止効果をより確実にするには、必要以上の広範囲に亘って重点的な清掃を行なわざるを得ない。しかしながら、このような多くの箇所の清掃は、医療従事者等の清掃を行う者にとって負担である。そこで、感染患者のマスクの装着、医療従事者による病室内の拭き取り清掃や消毒等の各種の接触予防策をどの程度行えば、接触感染リスクが低減するのかについて、定量的に把握することは重要である。この際、実際の感染患者の飛沫と、前記接触予防策等を組み合わせて評価することは困難であるため、感染患者の咳等による飛沫を模擬的に発生させる装置(例えば、特許文献1参照)を用い、この模擬飛沫を利用することが現実的である。
しかしながら、前記特許文献1等に開示された装置で模擬飛沫を発生させても、様々な条件に応じて変化する病原体の接触感染に伴うリスクを客観的に評価することができず、当該接触感染のリスク評価を行える装置やシステムは現存しない。
本発明は、このような課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、様々な条件毎に、感染患者の飛沫による医療従事者等の被感染者の接触感染リスクをシミュレーションすることができる病原体の接触感染リスク評価装置、そのプログラム及び接触感染リスク評価システムを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、主として、病原体の感染患者が所定の環境内に存在すると想定した場合に、当該環境内の各部位について、前記感染患者の飛沫による第三者への接触感染リスクの評価を行う接触感染リスク評価装置であって、
前記接触感染リスクの評価に際する前提条件が入力される入力部と、当該入力部で入力された前提条件に基づき、予め記憶された評価式を用いて、前記接触感染リスクの大きさを表すリスク値を演算する演算部とを備え、
前記演算部では、前記感染患者が飛沫を飛散する可能性のある飛散方向毎に、前記各部位に付着すると想定される飛沫の付着面積が求められ、当該各付着面積と、前記感染患者と前記各部位の位置関係と、前記感染患者の状況による飛沫の発生確率と、前記各飛散方向の飛沫の飛散確率と、所定の接触予防策の実施状況に応じた飛沫の減少率と、前記環境内での被感染者の作業の単位回数当たりの前記各部位への接触回数とに基づき、前記リスク値を求める、という構成を採っている。
前記接触感染リスクの評価に際する前提条件が入力される入力部と、当該入力部で入力された前提条件に基づき、予め記憶された評価式を用いて、前記接触感染リスクの大きさを表すリスク値を演算する演算部とを備え、
前記演算部では、前記感染患者が飛沫を飛散する可能性のある飛散方向毎に、前記各部位に付着すると想定される飛沫の付着面積が求められ、当該各付着面積と、前記感染患者と前記各部位の位置関係と、前記感染患者の状況による飛沫の発生確率と、前記各飛散方向の飛沫の飛散確率と、所定の接触予防策の実施状況に応じた飛沫の減少率と、前記環境内での被感染者の作業の単位回数当たりの前記各部位への接触回数とに基づき、前記リスク値を求める、という構成を採っている。
本発明によれば、感染患者の状況、被感染者による様々な接触予防策の実施の有無等の各種条件毎に、被感染者の接触感染リスクを簡単にシミュレーションすることができ、前記接触予防策の客観的効果の定量的な把握が可能になる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、本実施形態に係る病原体の接触感染リスク評価システムのシステム構成図が示されている。この図において、前記接触感染リスク評価システム10は、病原体の感染患者が所定の環境内に存在すると想定した場合に、当該環境内の各部位について、前記感染患者の飛沫による第三者への病原体の接触感染に関するリスク評価を行うためのシステムである。
この接触感染リスク評価システム10は、人間の咳やくしゃみによる飛沫の飛散状態を模擬した模擬飛沫を発生可能な模擬咳気流発生装置12と、模擬咳気流発生装置12で発生した模擬飛沫の飛散範囲内の各領域それぞれについて、模擬飛沫の付着した面積を検出する飛沫検出手段13と、飛沫検出手段13によって検出された模擬飛沫の付着面積に基づいて、前記接触感染のリスク評価を行う接触感染リスク評価装置15とにより構成されている。
前記模擬咳気流発生装置12は、二酸化炭素ガス等の気体が収容されたガスボンベ17と、ガスボンベ17からの気体を圧縮するコンプレッサー18と、前記気体を外部に噴出する噴出口19を有する噴出ノズル20と、コンプレッサー18と噴出ノズル20の間に設けられた圧力タンク22と、コンプレッサー18と圧力タンク22とを繋ぐ上流側のチューブ24と、圧力タンク22と噴出ノズル20を繋ぐ下流側のチューブ25と、下流側のチューブ25の途中1箇所に設けられ、当該チューブ25内の気体の通過を許容する開放状態と同通過を遮断する閉塞状態との間で切換可能な電磁弁27と、コンプレッサー18の二次圧力と電磁弁27の開閉時間等を制御する制御手段28と、噴出口19の近傍に模擬唾液を噴霧することで、当該模擬唾液を噴出口19から噴出された気体に混合して模擬飛沫を生成する模擬唾液供給手段29とを備えている。
前記噴出ノズル20は、特に限定されるものではないが、一端側が開放して噴出口19を形成する中空ソケット状の筒状体からなる。この噴出ノズル20の下側部分には、下流側のチューブ25が接続されており、下流側のチューブ25を通過した気体が、噴出ノズル20の内部空間20Aにおける下側から同上側に向かって供給される。このため、噴出ノズル20は、その内部空間20Aを形成する内壁部分に気体が当たり、当該気体が内部空間20Aで拡散した上で噴出口19から外側に噴出可能になり、人間の咳等のように、口腔上部に当たって拡散しながら口外に呼気を放出する状態が模擬されることになる。また、図示省略しているが、噴出口19の付近に、当該噴出口19を閉塞しない程度のサイズの板を配置し、当該板に内部空間20Aからの気体を衝突させることで、噴出口19から噴出される気体について、人間の咳等による呼気が歯に衝突することによる渦流を模擬することもできる。
前記制御手段28では、コンプレッサー18の二次圧力となる圧力タンク22の流入側圧力と、電磁弁27の開閉時間を制御することにより、噴出口19から噴出される気体の流量を調整でき、各種病状等を想定した人間の咳やくしゃみを含む様々な状態に相当する気体の流れ状態を生成可能になる。例えば、コンプレッサー18の二次圧力を0.1Mpa、咳噴出時間を0.2秒程度にすることで、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や筋萎縮性側鎖硬化症(ALS)の患者の呼吸状態も再現可能である。
前記模擬唾液供給手段29は、模擬唾液が収容されたスプレー缶からなり、模擬唾液を噴出口19から噴出された気体に混合することにより、咳やくしゃみによる飛沫を模擬的に生成可能になっている。本実施形態では、模擬唾液として、精製水に塩化ナトリウムとグリセリンを溶解したものが用いられる。なお、模擬唾液供給手段29としては、前述のスプレー缶に限定されるものではなく、同様の作用を奏する限りにおいて、種々の構造のものを採用することができる。
また、図示省略しているが、圧力タンク22に、その内部の気体を加温するヒータを設けるとともに、下流側のチューブ25の表面に断熱材を設けることで、噴出口19から噴出される気体の温度を人間の体温を考慮した温度に調整することができる。
更に、前記模擬咳気流発生装置12は、前述の構成に限定されるものではなく、人間の咳等による飛沫を模擬的に生成できる限りにおいて、種々の構成を採用することができる。例えば、前記模擬咳気流発生装置12の各構成に対し、圧力タンク22に代えてバッファータンクを用いるとともに、上流側のチューブ24にも電磁弁27を設ける構成としても良い。
前記飛沫検出手段13は、噴出ノズル20から噴出した模擬飛沫が付着する平面状の付着面31を有する板状部材32と、付着面31の画像情報を取得するスキャナ34と、スキャナ34からの画像情報を基に付着面31の領域毎に、付着した模擬飛沫の面積を求める画像解析部35と、画像解析部35で求めた模擬飛沫の付着面積に基づく所定のデータを記憶する記憶部36とを備えている。
前記付着面31は、図2(A)に示されるように、平面視で長方形状をなし、その同図中右上のコーナー部分の上方(同図中紙面直交方向)に噴出口19が存在し、且つ、噴出口19からの模擬飛沫の噴出方向が同図中下方になる向きで配置される。ここで、付着面31は、その直交する2辺が噴出口19を原点とする直交3軸の座標系のx軸、y軸にそれぞれ沿うように配置される。また、同図(B)に示されるように、付着面31に対する噴出口19の高さ、すなわち、前記座標系のz軸方向における噴出口19と付着面31の離間距離を調整可能になっている。また、付着面31は、同図(A)に示されるように、相互に同一面積となる正方形状の領域(グリッド)A1〜Anに予め区分されている。更に、付着面31には、水滴によって変色するコーティングが施された感水紙が敷設されており、噴出口19から噴出された模擬飛沫が付着した部分が黄色から紺色に変色するようになっている。なお、この感水紙は、付着面31の各領域A1〜Anの一部分に等間隔で配置しても良いし、付着面31の全面に配置しても良い。
前記スキャナ34では、付着面31の感水紙の部分の画像情報を取得するようになっている。
前記画像解析部35では、領域A1〜Anに配置された感水紙の中で、模擬飛沫によって斑点状に変色した部分が特定され、当該変色部分の面積が領域A1〜An毎に積算される。なお、ここでの画像処理については、公知の画像解析ソフトウェアがインストールされたコンピュータにより行われるが、本発明の本質部分ではないため、処理手順等についての詳細な説明を省略する。また、各感水紙が各領域A1〜Anのそれぞれ一部分にのみ配置された場合は、領域A1〜Anの平面積に対する感水紙の平面積の割合に応じて、感水紙の変色部分の面積を拡大することで、領域A1〜An毎に付着した模擬飛沫の面積が求められる。また、噴出口19に対する付着面31の高さを変える場合、新たな感水紙に交換され、再度、噴出口19から模擬飛沫が噴出された上で、前述と同様にして検出される。また、これと同様に、模擬咳気流発生装置12での模擬飛沫の発生条件を変えた場合も、その都度、領域A1〜An毎に付着した模擬飛沫の面積が求められる。
前記記憶部36では、模擬飛沫の飛散状態の異なる病状毎、及び噴出口19に対する付着面31の高さ(以下、「飛沫の降下高さ」と称する。)毎に、画像解析部35で求めた各領域A1〜Anに付着した模擬飛沫の面積により、飛沫面積分布データとして記憶される。この飛沫面積分布データは、図2(C)に示されるように、付着面31が、噴出口19から延びるx軸を中心にして左右対称となる位置関係に複製され、左右2つの付着面31,31における各領域A1〜Anにそれぞれ付着した模擬飛沫の面積についてのデータとなる。ここでは、画像解析部35で求めた一方の付着面31の領域A1〜Anと、同図中左右対称となる他方の付着面31の領域A1〜Anに付着した模擬飛沫の面積とが同一であるとされる。
前記接触感染リスク評価装置15は、CPU等の演算処理装置及びメモリやハードディスク等の記憶装置等からなるコンピュータによって構成され、当該コンピュータを以下の各手段として機能させるためのプログラムがインストールされている。
この接触感染リスク評価装置15は、図1に示されるように、接触感染リスクを表す指標となるリスク値を算出するための前提条件が入力される入力部38と、所定のデータが記憶されたデータベース39と、入力部38で入力された前提条件に基づいて、予め記憶された数式である評価式を用いて、接触感染リスクの大きさを表す指標となるリスク値を演算する演算部40とを備えている。
前記入力部38には、想定する感染患者の状況に関する患者情報と、感染患者や被感染者となり得る医療従事者等が施す接触予防策に関する接触予防策情報と、感染患者の存在する環境に関する環境情報とが必要に応じて入力される。具体的に一例を挙げると、感染患者情報としては、インフルエンザ、百日咳、マイコプラズマ肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、筋萎縮性側鎖硬化症(ALS)等の感染患者の病状の他に、座位状態、臥位状態等の感染患者の体位や姿勢等がある。接触予防策情報としては、感染患者のマスクの装着の有無や、室内の拭き取り清掃、消毒等の医療従事者等の動作の有無がある。環境情報としては、想定される感染患者の存在場所(病室、居室、診察室等)の室内のレイアウトがある。当該レイアウトは、当該室内に存在する家具、装具、機器の各部位と感染患者との3次元的な相対位置、前記家具、装具、機器のサイズ等の情報からなる。
前記データベース39には、感染患者の病状毎の飛沫の発生確率と、感染患者の存在する環境内での飛沫の飛散確率と、接触予防策の実施状況に応じた飛沫の減少率と、前記環境内での医療従事者等の作業の単位回数当たりの家具や機器等の接触面における接触回数とが記憶されている。
ここで、前記飛沫の発生確率は、患者の病状毎に咳等のし易さに対応した正数からなる値によって表され、病状毎に記憶される。この発生確率は、医学的見地や実験等によって予め経験的に求めた数値が採用され、咳等の発生頻度が少なくなる程、小さくなるように設定されている。例えば、ぜんそく患者のように咳の頻度が高い場合に大きくなり、インフルエンザを1とした場合に、百日咳、マイコプラズマ肺炎の場合は、20〜50の値を採る。
また、前記飛沫の飛散確率としては、感染患者の体位や姿勢毎に、予め定めた複数の方向それぞれに飛沫が生じる確率が記憶されている。本実施形態では、特に限定されるものではないが、感染患者の前方向、当該前方向に対して同一平面内でそれぞれ90度、45度の角度をなす左右両側の側方向、斜前方向の合計5方向を飛散方向とし、感染患者の体位や姿勢毎に、各飛散方向における飛沫の飛散確率が記憶されている。例えば、感染患者の左手に点滴がされている場合、感染患者は、咳をするときに右手で口を押さえることが多く、右を向き易くなることから、左側方向=0、左斜前方向=0、前方向=1、右側方向=3、右斜前方向=1となる。
更に、前記飛沫の減少率としては、感染患者や医療従事者等が感染を予防するために行う接触予防策を行った場合、すなわち、例えば、感染患者のマスクの装着、医療従事者等の室内の拭き取り清掃及び消毒等をそれぞれ単独又は複合して行った場合、当該対策の実施によって、被感染者となる医療従事者等への病原体の体内取り入れを阻止可能な割合(0以上1未満の数値)が、対策毎に記憶されている。なお、この減少率は、予め実験等によって経験的に求めた数値が採用される。例えば、感染患者がマスクをした場合の「0.5」、医療従事者等が部屋の拭き取りを入念に行った場合の「0.9」等が挙げられる。
また、前記接触回数は、医療従事者等が、看護動作等による作業を1回行う際に、環境内の各家具、装具、機器等の接触面に接触する回数、例えば、医療従事者が、感染患者の病室に入ってから作業を終えて病室を出るまでに前記各接触面に接触する回数であり、環境内の部位毎に記憶されている。この接触回数としては、例えば、ベッド表面「1.24」、オーバテーブル「1.64」、ベッドの手摺「3.12」、ベットサイドテーブルの表面「0.92」、カーテン「0.92」、ナースコール「0.60」、椅子「0.56」、ライトスイッチ「0.52」等を例示できる。なお、当該接触回数についても、予め実験等によって経験的に求めた数値が採用される。
前記演算部40は、入力部38で入力された室内レイアウトの各部位について、前記飛散方向毎に想定される飛沫の付着面積を求める面積演算手段42と、入力部38で入力された前提条件に応じてデータベース39内の各種データを抽出するデータ抽出手段43と、面積演算手段42で得られた飛散方向毎の飛沫の付着面積及びデータ抽出手段43で抽出された各種データを前記評価式に代入して前記リスク値を算出するリスク値算出手段44とを備えている。
この演算部40では、次の手順により、予め指定した室内レイアウト内に存在する各家具、装具、機器等の部位毎にリスク値が求められる。なお、以下では、図3(A)に示される室内レイアウトの各種情報が入力部38から入力されたとして、レイアウト中に存在する特定部位を対象部位として、当該対象部位のリスク値を求める手順を説明する。
第1に、面積演算手段42で次の処理が行われる。すなわち、先ず、前記飛沫検出手段13の記憶部36から、前記患者情報及び前記環境情報に対応する前記飛沫面積分布データが抽出される。具体的には、入力部38で入力された前提条件に一致若しくは近似する病状及び前記降下高さの飛沫面積分布データが抽出される。そして、この飛沫面積分布データを利用し、前記対象部位で想定される飛沫の付着面積が求められる。ここでは、前記室内レイアウト内で、図3(B)に示されるように、感染患者が前述した5方向の飛散方向(同図中太線矢印方向)に咳等をすると仮定し、当該各飛散方向それぞれについて、対象部位に付着すると思われる飛沫の付着面積が求められる。すなわち、飛沫の発生方向をx軸方向とした前記xy座標系かならなる飛沫面積分布データを前記5方向の角度(0度、45度、90度、−45度、−90度)で回転し、感染患者の口元部分を原点とする室内レイアウトのXY座標系に変換し、当該XY座標系における対象部位に相当する位置の飛沫面積分布データの飛沫面積を総合計することで、前記付着面積が求められる。
第2に、データ抽出手段43により、予め指定された病状に対応する飛沫の発生確率と、前記5方向の飛散方向それぞれについての飛沫の飛散確率と、予め指定された接触予防策に対応する飛沫の減少率と、前記対象部位の接触面における接触回数とがデータベース39から抽出される。
最後に、リスク値算出手段44では、以下の評価式により、対象部位のリスク値RCが求められる。
ここで、Iα(α=1〜5)は、面積演算手段42で求めた各飛散方向における対象部位の飛沫の付着面積であり、aα(α=1〜5)は、添字αが同一となるIαの飛散方向における飛散確率であり、fは、病状による飛沫の発生確率であり、pは、接触予防策の実施による飛沫の減少率であり、Aγは、対象部位の接触面γへの接触回数であり、nは、飛散方向の数であり、本実施形態では、n=5となる。
そして、以上と同様の手順により、予め入力された室内レイアウト内の各種の家具、装具、機器等の各部位の接触面におけるリスク値RCが求められる。
以上の接触感染リスク評価システム10では、接触感染リスクを評価するときに、先ず、模擬咳気流発生装置12で、シミュレーションしたい病状の感染患者の咳等による模擬飛沫を発生させる。この際、感染患者の存在する環境を想定して、前記飛沫の降下高さを変化させる。そして、飛沫検出手段13で、模擬咳気流発生装置12からの模擬飛沫について前記飛沫面積分布データが求められる。最後に、接触感染リスク評価装置15で、シミュレーションしたい前提条件と飛沫検出手段13で求めた飛沫面積分布データとから、評価式への代入値が決定され、感染患者が存在する空間内における各部位のリスク値RCが求められる。
従って、このような実施形態では、リスク値RCを用いることで、病室や診察室内で感染患者の咳等による飛沫が付着した部分に接触することによる接触感染リスクの客観的な評価が可能になる。このため、感染患者の病状毎の接触感染リスクの評価を客観的に行うことができ、また、マスクや拭き取り等の感染予防策による感染防止効果の客観的な検証も可能になる。
なお、前記実施形態では、接触感染リスク評価装置15に、模擬咳気流発生装置12及び飛沫検出手段13を含めたシステム10として構成した場合を図示説明したが、本発明はこれに限らず、模擬咳気流発生装置12及び飛沫検出手段13を省略し、飛沫面積分布データに相当する面積を接触感染リスク評価装置15に入力して、リスク値RCを求めることもできる。
また、接触感染リスク評価装置15にデータベース39を設けない構成としても良く、この構成の場合は、当該データベース39に記憶されているデータの中で必要なデータを接触感染リスク評価装置15に直接入力すれば良い。
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
10 接触感染リスク評価システム
12 模擬咳気流発生装置
13 飛沫検出手段
15 接触感染リスク評価装置
38 入力部
39 データベース
40 演算部
42 面積演算手段
43 データ抽出手段
44 リスク値算出手段
12 模擬咳気流発生装置
13 飛沫検出手段
15 接触感染リスク評価装置
38 入力部
39 データベース
40 演算部
42 面積演算手段
43 データ抽出手段
44 リスク値算出手段
Claims (5)
- 病原体の感染患者が所定の環境内に存在すると想定した場合に、当該環境内の各部位について、前記感染患者の飛沫による第三者への接触感染リスクの評価を行う接触感染リスク評価装置であって、
前記接触感染リスクの評価に際する前提条件が入力される入力部と、当該入力部で入力された前提条件に基づき、予め記憶された評価式を用いて、前記接触感染リスクの大きさを表すリスク値を演算する演算部とを備え、
前記演算部では、前記感染患者が飛沫を飛散する可能性のある飛散方向毎に、前記各部位に付着すると想定される飛沫の付着面積が求められ、当該各付着面積と、前記感染患者と前記各部位の位置関係と、前記感染患者の状況による飛沫の発生確率と、前記各飛散方向の飛沫の飛散確率と、所定の接触予防策の実施状況に応じた飛沫の減少率と、前記環境内での被感染者の作業の単位回数当たりの前記各部位への接触回数とに基づき、前記リスク値を求めることを特徴とする病原体の接触感染リスク評価装置。 - 所定のデータが記憶されたデータベースを更に備え、
前記データベースには、前記感染患者の状況毎の前記飛沫の発生確率、前記飛散方向毎の前記飛沫の飛散確率、前記接触予防策毎の前記飛沫の減少率、及び前記部位毎の前記接触回数を含む各種データが記憶されており、
前記演算部は、前記位置関係に応じて、前記各部位における前記飛散方向毎の前記付着面積を求める面積演算手段と、前記前提条件に対応する各種データを前記データベースから抽出するデータ抽出手段と、前記面積演算手段で得られた飛散方向毎の前記付着面積及び前記データ抽出手段で抽出された各種データを前記評価式に代入して前記リスク値を求めるリスク値算出手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の病原体の接触感染リスク評価装置。 - 前記リスク値算出手段では、前記飛散方向毎に、前記付着面積及び前記飛散確率を乗じた値を総合計した値に、前記データ抽出手段で抽出された各種データを相互に乗じることで前記リスク値を求めることを特徴とする請求項2記載の病原体の接触感染リスク評価装置。
- 病原体の感染患者が所定の環境内に存在すると想定した場合に、当該環境内の各部位について、前記感染患者の飛沫による第三者への接触感染リスクの評価を行う接触感染リスク評価装置を構成するコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記感染患者が飛沫を飛散する可能性のある飛散方向毎に、前記各部位に付着すると想定される飛沫の付着面積が求められ、当該各付着面積と、前記感染患者と前記各部位の位置関係と、前記感染患者の状況による飛沫の発生確率と、前記各飛散方向の飛沫の飛散確率と、所定の接触予防策の実施状況に応じた飛沫の減少率と、前記環境内での被感染者の作業の単位回数当たりの前記各部位への接触回数とに基づき、予め記憶された評価式を用いて、前記接触感染リスクの大きさを表すリスク値を演算により求める処理を前記コンピュータに実行させるための接触感染リスク評価装置のプログラム。 - 病原体の感染患者が所定の環境内に存在すると想定した場合に、当該環境内の各部位について、前記感染患者の飛沫による第三者への接触感染リスクの評価を行う接触感染リスク評価システムであって、
前記感染患者の飛沫の飛散状態を模擬した模擬飛沫を発生可能に設けられた模擬咳気流発生装置と、前記模擬飛沫の飛散範囲内の各領域それぞれについて、前記模擬飛沫が付着する面積を検出する飛沫検出手段と、当該飛沫検出手段によって検出された前記面積から、前記接触感染リスクの評価に際する前提条件に基づき、予め記憶された評価式を用いて、前記接触感染リスクの大きさを表すリスク値を求める接触感染リスク評価装置とを備え、
前記接触感染リスク評価装置は、前記前提条件が入力される入力部と、当該入力部で入力された前提条件に基づいて前記リスク値を演算する演算部とを備え、
前記演算部では、当該飛沫検出手段による検出結果を用い、前記感染患者が飛沫を飛散する可能性のある飛散方向毎に、前記各部位に付着すると想定される飛沫の付着面積が求められ、この飛沫の各付着面積と、前記感染患者と前記各部位の位置関係と、前記感染患者の状況による飛沫の発生確率と、前記各飛散方向の飛沫の飛散確率と、所定の接触予防策の実施状況に応じた飛沫の減少率と、前記環境内での被感染者の作業の単位回数当たりの前記各部位への接触回数とに基づき、前記リスク値を求めることを特徴とする病原体の接触感染リスク評価システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013006743A JP2014137754A (ja) | 2013-01-17 | 2013-01-17 | 病原体の接触感染リスク評価装置、そのプログラム及び接触感染リスク評価システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013006743A JP2014137754A (ja) | 2013-01-17 | 2013-01-17 | 病原体の接触感染リスク評価装置、そのプログラム及び接触感染リスク評価システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014137754A true JP2014137754A (ja) | 2014-07-28 |
Family
ID=51415202
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013006743A Pending JP2014137754A (ja) | 2013-01-17 | 2013-01-17 | 病原体の接触感染リスク評価装置、そのプログラム及び接触感染リスク評価システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014137754A (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111095345A (zh) * | 2018-02-14 | 2020-05-01 | 松下知识产权经营株式会社 | 风险评价系统以及风险评价方法 |
CN111788638A (zh) * | 2018-07-13 | 2020-10-16 | 松下知识产权经营株式会社 | 感染风险评价方法、感染风险评价系统以及感染风险评价程序 |
WO2022009394A1 (ja) * | 2020-07-09 | 2022-01-13 | 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 | 感染管理装置、感染管理方法及び感染管理プログラム |
WO2022040247A1 (en) * | 2020-08-17 | 2022-02-24 | Massachusetts Institute Of Technology | Respiratory system simulator systems and methods |
WO2022085292A1 (ja) * | 2020-10-19 | 2022-04-28 | 日本電気株式会社 | 画像分析装置、画像分析方法、および記録媒体 |
WO2022107215A1 (ja) * | 2020-11-17 | 2022-05-27 | 日本電気株式会社 | リスク情報生成装置、リスク情報生成方法、及びプログラム |
WO2022181033A1 (ja) * | 2021-02-24 | 2022-09-01 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 感染対策システム、感染対策方法及びプログラム |
WO2022181034A1 (ja) * | 2021-02-26 | 2022-09-01 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 感染リスク評価システム、感染リスク評価方法、及びプログラム |
JP2022178392A (ja) * | 2021-05-20 | 2022-12-02 | キヤノンマーケティングジャパン株式会社 | 情報処理システム、情報処理システムの制御方法、電子機器、情報処理装置、プログラム及び記録媒体。 |
US11531311B2 (en) | 2018-08-30 | 2022-12-20 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Droplet range control system and method for controlling range of droplets |
-
2013
- 2013-01-17 JP JP2013006743A patent/JP2014137754A/ja active Pending
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111095345A (zh) * | 2018-02-14 | 2020-05-01 | 松下知识产权经营株式会社 | 风险评价系统以及风险评价方法 |
CN111788638A (zh) * | 2018-07-13 | 2020-10-16 | 松下知识产权经营株式会社 | 感染风险评价方法、感染风险评价系统以及感染风险评价程序 |
US11531311B2 (en) | 2018-08-30 | 2022-12-20 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Droplet range control system and method for controlling range of droplets |
WO2022009394A1 (ja) * | 2020-07-09 | 2022-01-13 | 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 | 感染管理装置、感染管理方法及び感染管理プログラム |
WO2022040247A1 (en) * | 2020-08-17 | 2022-02-24 | Massachusetts Institute Of Technology | Respiratory system simulator systems and methods |
WO2022085292A1 (ja) * | 2020-10-19 | 2022-04-28 | 日本電気株式会社 | 画像分析装置、画像分析方法、および記録媒体 |
JP2022066627A (ja) * | 2020-10-19 | 2022-05-02 | 日本電気株式会社 | 画像分析装置、画像分析方法、およびプログラム |
JP7196890B2 (ja) | 2020-10-19 | 2022-12-27 | 日本電気株式会社 | 画像分析装置、画像分析方法、およびプログラム |
WO2022107215A1 (ja) * | 2020-11-17 | 2022-05-27 | 日本電気株式会社 | リスク情報生成装置、リスク情報生成方法、及びプログラム |
WO2022181033A1 (ja) * | 2021-02-24 | 2022-09-01 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 感染対策システム、感染対策方法及びプログラム |
WO2022181034A1 (ja) * | 2021-02-26 | 2022-09-01 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 感染リスク評価システム、感染リスク評価方法、及びプログラム |
JP2022178392A (ja) * | 2021-05-20 | 2022-12-02 | キヤノンマーケティングジャパン株式会社 | 情報処理システム、情報処理システムの制御方法、電子機器、情報処理装置、プログラム及び記録媒体。 |
JP7244776B2 (ja) | 2021-05-20 | 2023-03-23 | キヤノンマーケティングジャパン株式会社 | 情報処理システム、情報処理システムの制御方法、電子機器、情報処理装置、プログラム及び記録媒体。 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2014137754A (ja) | 病原体の接触感染リスク評価装置、そのプログラム及び接触感染リスク評価システム | |
JP7398745B2 (ja) | 飛沫感染抑制システム、及び、飛沫感染抑制方法 | |
Chen et al. | Simplified models for exhaled airflow from a cough with the mouth covered | |
Xu et al. | Human exhalation characterization with the aid of schlieren imaging technique | |
Pantelic et al. | Effectiveness of a personalized ventilation system in reducing personal exposure against directly released simulated cough droplets | |
Yang et al. | Performance evaluation of a novel personalized ventilation–personalized exhaust system for airborne infection control | |
Chen et al. | The effectiveness of an air cleaner in controlling droplet/aerosol particle dispersion emitted from a patient's mouth in the indoor environment of dental clinics | |
Yang et al. | The size and concentration of droplets generated by coughing in human subjects | |
Lindsley et al. | Dispersion and exposure to a cough-generated aerosol in a simulated medical examination room | |
Lai et al. | Effectiveness of facemasks to reduce exposure hazards for airborne infections among general populations | |
Patel et al. | Respiratory source control using a surgical mask: An in vitro study | |
Tang et al. | A schlieren optical study of the human cough with and without wearing masks for aerosol infection control | |
Pantelic et al. | Personalized ventilation as a control measure for airborne transmissible disease spread | |
Li et al. | Investigating the influences of ventilation on the fate of particles generated by patient and medical staff in operating room | |
Hui et al. | Airflows around oxygen masks: a potential source of infection | |
Han et al. | Measurements of exhaled airflow velocity through human coughs using particle image velocimetry | |
Al Assaad et al. | Evaluation of different personalized ventilation air terminal devices: Inhalation vs. clothing-mediated exposures | |
Kolewe et al. | Check the gap: facemask performance and exhaled aerosol distributions around the wearer | |
Huang et al. | Evaluation of SARS-CoV-2 transmission in COVID-19 isolation wards: on-site sampling and numerical analysis | |
Li et al. | How the high-volume evacuation alters the flow-field and particle removal characteristics in the mock-up dental clinic | |
Chen et al. | Conversational head movement decreases close-contact exposure to expired respiratory droplets | |
Jia et al. | Effectiveness of respiratory protective equipment on source control of exhaled pollutants | |
Schumann et al. | Experimental analysis of airborne contaminant distribution in an operating room with different ventilation schemes | |
Ganann et al. | The FEES box: a novel barrier to contain particles during aerosol-generating procedures | |
Wei et al. | Effect of ambient interferences on the effectiveness of a wearable ventilation for reducing pollutant exposure |