JP2014136927A - 坑井用電源システム - Google Patents

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Abstract

【課題】坑井内における長期間に亘る使用が可能な電源システムを提供する。
【解決手段】本発明の坑井用電源システムは、坑井H内の温度を使用温度範囲に含み、坑井内に設置された機器に電力を供給する二次電池100と、この二次電池100に対して充電を行う充放電機構72と、を備えており、坑井H内に設置されることを特徴とする。当該電源システムに用いられる二次電池100は、溶融塩電池であってもよく、センサ70や通信手段71を含んでいてもよい。
【選択図】図18

Description

本発明は、油井やガス井等の坑井内に配置される機器に対して電力を供給するための電源システムに関する。
近年、油井やガス井等の坑井を掘削するにあたり、坑跡管理の効率化やコストの低減、安全性の向上等を図るため、掘削しながら坑井情報や地層情報を取得するMWDやLWDと呼ばれるシステムが利用されている。例えば、MWDシステムは、地層を掘削するビットを下端に備えたドリルストリングに対して、ドリルビットの荷重やトルクを検出するセンサや、坑井の位置、方位等を検出するセンサ等を設け、このセンサの検出情報を電磁波や圧力波、音響パルス等を用いて地上に伝送する(例えば、特許文献1参照)。また、坑井の掘削工程の途中や掘削終了後にドリルストリングを坑井から抜き取り、坑井内に測定機器やサンプリング機器を挿入して、各種の測定や地層流体のサンプリングを行うことも行われている(例えば、特許文献2参照)。
特開平7−57179号公報 特開平6−341285号公報
坑井内に配置される各種センサや、検出情報を送信するための送信機等の機器に対する電力の供給は、地上から配策したケーブルによって行われる場合がある。しかしながら、坑井の内部は200℃以上の高温になる場合があるため、耐熱性の高いケーブルを使用する必要がある。耐熱性の高いケーブルは非常に高価であるとともに、深度が大きくなるほど長いケーブルが必要となるため、コスト面で不利である。また、センサ等に対する電力供給が電池によって行われる場合もあるが、この場合、単に坑井内の高温に耐えるだけでなく、長期間にわたる使用が可能であることが要求される。従来、比較的耐熱性の高い塩化チオニルリチウム電池が坑井内で使用されることがあったが、これは一次電池であるため短期間で交換する必要があり、交換のためにドリルストリング等を引き上げなければならないので、時間的なロスが大きく、工期延長の原因になっていた。
現在のところ、坑井内の高温環境下で長期使用が可能な電池は、未だ実用化されていない。
本発明は、このような実情に鑑み、坑井内における長期間に亘る使用が可能な電源システムを提供することを目的とする。
(1)本発明に係る坑井用電源システムは、坑井内の温度を使用温度範囲に含み、前記坑井内に設置されて当該坑井内の機器に対して電力を供給するための二次電池と、この二次電池に対する充放電を行う充放電機構と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、坑井内の温度を使用温度範囲に含む二次電池が用いられるので、高温環境下においてもセンサ等に対する電力の供給が可能になる。そして、充放電機構によって二次電池に対して充電が可能であるので、長期間に亘る使用を実現可能である。
なお、本発明の電源システムは、坑井を掘削するドリルストリングに装着されたセンサ等に対して電力供給を行うもの、坑井に挿入されたドリルストリング以外の管部材(採油管やコイルドチュービング等)に装着されたセンサ等に対して電力供給を行うもの、又はドリルストリング等の管部材に代えて坑井内に挿入される各種の検査機器に対して電力供給するもの等として使用することができる。
(2)前記二次電池は、溶融塩電池であることが好ましい。
溶融塩電池は、他の二次電池、例えばリチウムイオン電池等と比較して、溶融塩の融点が高く実質的な使用温度範囲が高いため、当該使用温度範囲内に坑井内の温度を含むことが可能となる。また、溶融塩電池は、高いエネルギー密度と不燃性という利点を有しているので、容量を確保しながら小型化を図ることができるとともに、坑井内の物質との反応で発火したり可燃性ガスを発生したりすることもない。
(3)前記二次電池は、発電要素を収容した外装と、この外装に付与される振動を低減する制振部とを備えていることが好ましい。
このような構成によって、坑井の掘削等に伴う振動が二次電池に付与されたとしても好適に衝撃を緩和し、破損を防止することができる。
(4)上記電源システムは、前記坑井内に配置された管部材を流れる流体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを前記充放電機構に供給するエネルギー変換機構を備えていることが好ましい。
このような構成によって、坑井内における掘削作業等と同時に充電をも行うことができ、二次電池を長期間にわたって使用することができる。
(5)上記電源システムは、前記二次電池からの電力が供給されて作動するセンサを備えていることが好ましい。
このように、センサを組み入れた電源システムとすることによって、当該センサによる坑井内の状態の検出・測定等を長期間に亘って行うことができる。
(6)上記電源システムは、前記二次電池からの電力が供給されて作動する通信手段を備えていることが好ましい。
このように、通信手段を組み入れた電源システムとすることによって、センサ等によって検出された情報やその他の情報の通信を長期間に亘って行うことができる。
本発明によれば、坑井内において長期間に亘る使用が可能となる。
溶融塩電池における発電要素の基本構造を原理的に示す略図である。 溶融塩電池本体(電池としての本体部分)の積層構造を簡略に示す斜視図である。 図2と同様の構造についての横断面図である。 外装に収められた状態の溶融塩電池の外観の概略を示す斜視図である。 正極活物質を除く、他の各要素(セパレータ、バインダ、電解液、負極活物質、外装)についての、温度に対応する適用可否を検証(若しくは既知データから予想)した結果の表を表す図である。 使用温度が25℃〜120℃の場合の溶融塩電池の充放電曲線を示すグラフである。 使用温度が25℃〜120℃の場合の溶融塩電池のサイクル特性を示すグラフである。 使用温度が80℃〜140℃の場合の溶融塩電池の充放電曲線を示すグラフである。 使用温度が80℃〜140℃の場合の溶融塩電池のサイクル特性を示すグラフである。 使用温度が140℃〜300℃の場合の溶融塩電池の充放電曲線を示すグラフである。 使用温度が140℃〜300℃の場合の溶融塩電池のサイクル特性を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る制振部を含む溶融塩電池の構成を示す断面図である。 制振部材のみを一例として示した図である。 本発明の他の実施形態に係る制振部を含む溶融塩電池の構成を示す断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る制振部を含む溶融塩電池の構成を示す断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る制振部を含む溶融塩電池の構成を示す断面図である。 溶融塩電池を適用することができる坑井掘削機を示す概略的な正面図である。 ドリルストリングの先端側(下端側)を示す模式的に示す説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
《溶融塩電池の基本構造》
まず、溶融塩電池の基本構造から説明する。
図1は、溶融塩電池における発電要素の基本構造を原理的に示す略図である。図において、発電要素は、正極1、負極2及びそれらの間に介在するセパレータ3を備えている。正極1は、正極集電体1aと、正極材1bとによって構成されている。負極2は、負極集電体2aと、負極材2bとによって構成されている。
正極集電体1aの素材は、例えば、アルミニウム不織布(線径100μm、気孔率80%)である。正極材1bは、正極活物質及びバインダを含み、これらを混練したものである。そして、このように混練したものを、アルミニウム不織布の正極集電体1aに充填し、乾燥後に、例えば、100MPaにてプレスし、正極1の厚みが約1mmとなるように形成される。
一方、負極2においては、アルミニウム製の負極集電体2a上に、負極活物質が、付着して形成されている。
正極1及び負極2の間に介在するセパレータ3は、不織布(厚さ200μm)のような液体を吸蔵し易い材料に電解液(電解質)としての溶融塩を含浸させたものである。溶融塩は、その融点以上の温度では溶融し、高濃度のイオンが溶解した電解液Lとなって、正極1及び負極2に触れている。また、この溶融塩は不燃性である。
次に、より具体的な溶融塩電池の発電要素の構成について説明する。図2は、溶融塩電池本体(電池としての本体部分)10の積層構造を簡略に示す斜視図、図3は同様の構造についての横断面図である。
図2及び図3において、複数(図示しているのは6個)の矩形平板状の負極2と、袋状のセパレータ3に各々収容された複数(図示しているのは5個)の矩形平板状の正極1とが、互いに対向して図3における上下方向すなわち積層方向に重ね合わせられ、積層構造を成している。
セパレータ3は、隣り合う正極1と負極2との間に介在しており、言い換えれば、セパレータ3を介して、正極1及び負極2が交互に積層されていることになる。実際に積層する数は、例えば、正極1が20個、負極2が21個、セパレータ3は「袋」としては20袋であるが、正極1・負極2間に介在する個数としては40個である。なお、セパレータ3は、袋状に限定されず、分離した40個であってもよい。
なお、図3では、セパレータ3と負極2とが互いに離れているように描いているが、溶融塩電池の完成時には互いに密着する。正極1も、当然に、セパレータ3に密着している。また、正極1の縦方向及び横方向それぞれの寸法は、デンドライトの発生を防止するために、負極2の縦方向及び横方向の寸法より小さくしてあり、正極1の外縁が、セパレータ3を介して負極2の周縁部に対向するようになっている。
《溶融塩電池の一形態》
上記のように構成された溶融塩電池本体10は、例えばアルミニウム合金製で直方体状の外装(電池容器)に収容され、素電池すなわち、電池としての物理的な一個体を成す。以下、このような一個体の素電池に対しては、符号Bを付して「溶融塩電池B」と示すことにする。
図4は、このような外装11に収められた状態の溶融塩電池Bの外観の概略を示す斜視図である。図において、外装11は、直方体の上面を除く容器本体11mと、その上面に取り付けられる蓋部11tとによって、構成されている。外装11の両側面上部には、連結及び電気的接続のための孔11a及び11bが形成されている。また、通常は、外装11の上部には、内部の気圧が過度に上昇したときに放圧するための安全弁12が設けられている。なお、外装11は、正極1及び負極2とは、電気的に絶縁されている。
なお、図4に示した溶融塩電池Bの一個体形状は、一例に過ぎず、使用される環境等に応じて形状・寸法は任意に設定することができる。また、外装11には、孔11a,11bに代えて、電気的な接続を行うための端子が蓋部11t等から突出されていてもよい。
上記のような溶融塩電池Bは、用途に必要な電圧や電流容量を得るべく、複数個が集まって互いに直列又は直並列に接続され、組電池を構成した状態で使用することができる。
《使用温度に対応した具体的材料》
次に、正極材1bを構成する正極活物質及びバインダ、負極材2bを構成する負極活物質、セパレータ3、外装11、及び、電解液Lについて、使用温度別に、具体例を挙げて説明する。図5は、正極活物質を除く、他の各要素(セパレータ、バインダ、電解液、負極活物質、外装)についての、温度に対応する適用可否を検証(若しくは既知データから予想)した結果の表を表す図である。横軸は使用温度[℃]を表している。
まず、セパレータに関しては、PO(ポリオレフィン)系材料(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)であれば、20℃〜140℃での使用が可能である。PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の多孔質体は、20℃〜250℃での使用が可能である。ガラス繊維又はセラミックスであれば、20℃〜300℃を超える温度での使用が可能である。
バインダに関しては、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)であれば、20℃〜140℃での使用が可能である。PTFEは、20℃〜250℃での使用が可能である。バインダレス(バインダを使用しない。)の場合は、20℃〜300℃を超える温度での使用が可能である。なお、バインダレスの場合には、正極集電体として、多孔質金属体を使用すべきである。
電解液に関しては、有機カチオン及びアニオンとしてFSA(ビスフルオロスルフォニルアミド)を含むもの、又はNaFSA(ナトリウム ビスフルオロスルフォニルアミド)であれば、25℃〜120℃での使用が可能である。NaFSA−KFSA(カリウム ビスフルオロスルフォニルアミド)の混合物(モル比は56:44)であれば、80℃〜140℃での使用が可能である。なお、「NaFSA−KFSAの混合物」とは、「NaFSAとKFSAとの混合物」、という意味である。以下同様に、この「−」(ハイフン)を用いる。NaTFSA(ナトリウム ビストリフルオロメチルスルフォニルアミド)−CsTFSA(セシウム ビストリフルオロメチルスルフォニルアミド)の混合物(モル比は20:80)であれば、140℃〜300℃を超える温度での使用が可能である。
また、更に、図5に示す、NaFSA−KFSA−CsFSAの混合物、NaTFSA−KTFSA−CsTFSAの混合物、NaFTA−KFTA−CsFTAの混合物(FTA:フルオロスルフォニルトリフルオロメチルスルフォニルアミド)であれば、45℃〜140℃での使用が可能である。
なお、有機カチオンとしては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン等のアルキルイミダゾール系カチオン、N−エチル−N−メチルピロリジニウムカチオン等のアルキルピロリジニウム系カチオン、1−メチル−ピリジニウムカチオン等のアルキルピリジニウム系カチオン、トリメチルヘキシルアンモニウムカチオン等の4級アンモニウム系カチオン等を用いることができる。
負極活物質に関しては、負極に析出する金属ナトリウムであれば、20℃〜約100℃までの使用が可能である。Sn(錫)又はこれを含む錫系材料は、約90℃〜220℃までの使用が可能である。シリコン系材料(例えばSi,ZnSi,SiO)であれば、20℃〜300℃までの使用が可能である。また、カーボン系材料(例えばハードカーボン)及び、チタン酸化物系材料(例えばNaTi12,NaTi,)であれば、20℃〜300℃までの使用が可能である。
外装に関しては、アルミニウム板、ステンレス板、又は銅板の両面に絶縁被覆を施した複層板であれば、20℃〜約120℃までの使用が可能である。ここで、「板」とは箔状も含む。また、絶縁被膜を施さない金属板(但し、正極・負極との絶縁は確保されているとする。)であれば、20℃〜300℃までの使用が可能である。但し、絶縁被膜を施さない金属板は、他の構造で絶縁を確保する必要が生じるので、可能であれば、絶縁被覆を施した複層板を用いることが好ましいと考えられる。
また、図5には示していないが、正極活物質としては、NaCrO又は、Na2/3(Fe1/3Mn2/3)Oを、20℃〜300℃の温度範囲で用いることができる。
次に、上記の結果を、電解液を中心として見た温度範囲ごとに分けるとすると、25℃〜120℃、80℃〜140℃、140℃〜300℃の3つの範囲に分けることが好ましい。そこで、これらの3つの使用温度の範囲において、好適な材料についてまとめると、以下のようになる。
《使用温度別の好適材料》
(使用温度:25℃〜120℃)
[外装]
アルミニウム板、ステンレス板又は銅板に、絶縁被膜を施した複層板
[正極]
正極活物質:NaCrO又は、Na2/3(Fe1/3Mn2/3)O
バインダ:PVDF又はPTFE
[負極]
負極活物質:金属ナトリウム、錫系材料、シリコン系材料、カーボン系材料、及び、チタン酸化物系材料の内の少なくとも1種類を含むもの
[セパレータ]
ポリオレフィン系材料、PTFE、ガラス繊維又はセラミックス
[電解液]
有機カチオン及びアニオンとしてのFSA、又はNaFSAを含む電解液
(使用温度:80℃〜140℃)
[外装]
アルミニウム板、ステンレス板又は銅板に、絶縁被膜を施した複層板
[正極]
正極活物質:NaCrO又は、Na2/3(Fe1/3Mn2/3)O
バインダ:PVDF又はPTFE
[負極]
負極活物質:金属ナトリウム、錫系材料、シリコン系材料、カーボン系材料、及び、チタン酸化物系材料の内の少なくとも1種類を含むもの
[セパレータ]
ポリオレフィン系材料、PTFE、ガラス繊維又はセラミックス
[電解液]
NaFSA−KFSAの混合物を含む電解液
(使用温度:140℃〜300℃)
[外装]
アルミニウム板、ステンレス板又は銅板
[正極]
正極活物質:NaCrO又は、Na2/3(Fe1/3Mn2/3)O
バインダ:バインダレス又はPTFE
[負極]
負極活物質:錫系材料、シリコン系材料、カーボン系材料、及び、チタン酸化物系材料の内の少なくとも1種類を含むもの
[セパレータ]
PTFE、ガラス繊維又はセラミックス
[電解液]
NaTFSA−CsTFSAの混合物を含む電解液
次に、上記の好適な材料のうちから、正極活物質、バインダ、負極活物質、電解液を選択した場合の充放電試験の結果の一例を示す。
図6は、使用温度が25℃〜120℃の場合の溶融塩電池の充放電曲線を示すグラフである。この溶融塩電池としては、一例としてコインセルを用いた。コインセルの外装部分は、材質がステンレスで内面にはPTFEの絶縁被膜が施されている。コインセルの形態は前述の外装11とは異なるが、充放電試験の結果には大きな影響は与えないと考えられる。
正極材は、NaCrO、デンカブラック(カーボンブラック)、及びPVDFを重量比85:10:5で混合したものとした。負極材は、NaTi、デンカブラック、及びPVDFを重量比80:15:5で混合したものとした。また、電解液(電解質)は、NaFSAとPy13FSA(N−メチル−N−プロピルピロリジニウムFSA)とを、20:80のモル比で混合したものとした。
図6において、細線は2サイクル目の充放電曲線を表し、太線は10サイクル目の充放電曲線を表している。図示のように、2つの充放電曲線の形に大きな差は無い。また、充放電曲線としては、充電は十分な容量に達し、放電は十分な容量まで緩やかに電圧が変化しているので、良い形である。すなわち、良好な充放電効率が得られている。
図7は、使用温度が25℃〜120℃の場合の溶融塩電池のサイクル特性を示すグラフであり、サイクル数の増大に伴って、充電容量(菱形風正方形のプロット点)、放電容量(正方形のプロット点)、クーロン効率(三角のプロット点)がそれぞれどのように変化するかを表している。図において、例えば5〜10サイクルを見ると、充電容量、放電容量及びクーロン効率ともに、非常に緩やかに変化する安定した良好な特性を示す。
図8は、使用温度が80℃〜140℃の場合の溶融塩電池の充放電曲線を示すグラフである。この溶融塩電池としては、先例と同様のコインセルを用いた。
正極材は、NaCrO、デンカブラック、及びPVDFを重量比85:10:5で混合したものとした。負極材は、NaTi、デンカブラック、及びPVDFを重量比80:15:5で混合したものとした。また、電解液(電解質)は、NaFSAとKFSAとを、56:44のモル比で混合したものとした。
図8において、細線は2サイクル目の充放電曲線を表し、太線は10サイクル目の充放電曲線を表している。図示のように、2つの充放電曲線の形に大きな差は無い。また、充放電曲線としては、充電は十分な容量に達し、放電は十分な容量まで緩やかに電圧が変化しているので、良い形である。すなわち、良好な充放電効率が得られている。
図9は、使用温度が80℃〜140℃の場合の溶融塩電池のサイクル特性を示すグラフであり、サイクル数の増大に伴って、充電容量(菱形風正方形のプロット点)、放電容量(正方形のプロット点)、クーロン効率(三角のプロット点)がそれぞれどのように変化するかを表している。図において、例えば5〜10サイクルを見ると、充電容量、放電容量及びクーロン効率ともに、非常に緩やかに変化する安定した良好な特性を示す。
図10は、使用温度が140℃〜300℃の場合の溶融塩電池の充放電曲線を示すグラフである。この溶融塩電池としては、先例と同様のコインセルを用いた。
正極材は、NaCrO、アセチレンブラック、及びPTFEを重量比85:10:5で混合したものとした。負極材は、ハードカーボンを用いた。また、電解液(電解質)は、NaTFSAとPy13TFSA(N−メチル−N−プロピルピロリジニウムTFSA)とを、10:90のモル比で混合したものとした。
図10において、細線は2サイクル目の充放電曲線を表し、太線は10サイクル目の充放電曲線を表している。図示のように、2つの充放電曲線の形に大きな差は無い。また、充放電曲線としては、充電は十分な容量に達し、放電は十分な容量まで緩やかに電圧が変化しているので、良い形である。すなわち、良好な充放電効率が得られている。
図11は、使用温度が140℃〜300℃の場合の溶融塩電池のサイクル特性を示すグラフであり、サイクル数の増大に伴って、充電容量(菱形風正方形のプロット点)、放電容量(正方形のプロット点)、クーロン効率(三角のプロット点)がそれぞれどのように変化するかを表している。図において、例えば5〜10サイクルを見ると、充電容量、放電容量及びクーロン効率ともに、非常に緩やかに変化する安定した良好な特性を示す。
以上のように、3つの使用温度の範囲において、好適な材料を選択することにより、25℃〜300℃までの広い温度範囲で、電池としての性能(充放電効率、サイクル特性)に優れた溶融塩電池を提供することができる。
なお、実施例は一例であるが、使用温度の範囲ごとに、前述の好適な材料から任意の材料を選択することによって、同様の結果が得られると考えられる。
《制振部を有する溶融塩電池の構成》
本発明に係る溶融塩電池(特許請求の範囲に記載の溶融塩電池(二次電池))は、1又は複数個の上述した溶融塩電池Bと、次に説明する制振部30とを備えている。この制振部30は、溶融塩電池Bの外装11内へ伝達される振動を低減することによって、溶融塩電池Bの破損等を防止し、耐久性を高めている。なお、上記説明においては、外装11内に溶融塩電池本体10(発電要素)を収容した素電池を「溶融塩電池B」と示したが、これに加えて、以下の説明においては、この溶融塩電池Bと制振部30とを備えた溶融塩電池を、符号100を付して「溶融塩電池100」(又は「溶融塩組電池100」)と示すことにする。
図12は、本発明の一実施形態に係る、制振部30を含む溶融塩電池100の構成を示す断面図である。この実施形態の溶融塩電池100は、上述した溶融塩電池Bの複数個をケース20内に収容した溶融塩組電池100として構成されている。溶融塩組電池100は、複数個の溶融塩電池Bと、この溶融塩電池Bを収容する蓋付きのケース20と、溶融塩電池Bとケース20の内面(底面も含む)との間、及び隣接する溶融塩電池Bの間に設けられた制振部材(制振手段)21,22とを備えている。制振部材21,22は、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性及び若干の粘性を有する弾性材料からなり、少なくとも前述した溶融塩電池Bの各使用温度において変質や性能の劣化を生じることがない耐熱性を有する材料により形成されている。
制振部材21,22は、外部から溶融塩組電池100に付与される振動をケース20の内部で吸収し、各溶融塩電池Bへの衝撃を緩和する制振効果を発揮する。従って、強い振動が発生する環境下での使用にも好適に対応することが可能である。ここに、ケース20と制振部材21,22とによって、溶融塩電池Bへ付与される振動を軽減する制振部30が構成されている。なお、強い振動が発生する環境下での溶融塩電池Bの使用例として、後で説明する坑井掘削機への適用がある。この場合、溶融塩電池Bが耐え得る振動は1G以上であり、好ましくは6G、より好ましくは12Gの振動にも耐える構成とされる。
また、本実施形態では、溶融塩組電池100全体の耐振動性能が高められるので、個々の溶融塩電池Bに求められる耐振動性能(例えば外装11の素材強度、接合強度、セパレータ3の強度等)を低減することができ、低コスト化が可能になる。
なお、制振部材21,22は、隣接する溶融塩電池Bの間、又はケース20の内面と溶融塩電池Bとの間の全てに対して設けられていなくても良く、必要な制振効果を得るに必要な箇所に対して設けられていればよい。また、ケース20内には、複数個の溶融塩電池Bではなく、一つの(単独の)溶融塩電池Bが収容されていてもよい。この場合、ケース20の内面と溶融塩電池Bとの間に制振部材21,22を設ければよい。
制振部材21,22は、ラバーヒータとして構成されていてもよい。この場合、図13に示されるように、制振部材21(22)の内部に発熱体21b(22b)を埋設し、この発熱体21b(22b)に通電することによって、制振部材21(22)を介して各溶融塩電池Bの外装11を加熱し、溶融塩電池Bの電解質を溶融させることができる。この場合、制振部材21(22)は、各溶融塩電池Bに対する衝撃を緩和する機能だけでなく、発熱体21b(22b)の熱を溶融塩電池Bに伝達する熱伝導体としての機能をも有する。このように制振部材21(22)が構成されることによって、所定の使用温度に達していない状況であっても溶融塩組電池100を好適に使用することが可能となっている。なお、本発明においては、発熱体21b(22b)は必ずしも必要ではなく、特に発熱体21b(22b)に対する通電が困難な環境下では発熱体21b(22b)を省略することが望ましい。
図14は、他の実施形態に係る制振部30を含む溶融塩電池100の構成を示す断面図である。なお、図において、溶融塩電池Bはケース20内に単独で存在するか、又は、図の紙面に垂直な方向に複数個並んで溶融塩組電池100を構成している。
複数個の溶融塩電池Bが並んでいる場合、隣接する溶融塩電池B間には前述の実施形態のような制振部材21,22は挟まれておらず、外装11同士は互いに密接させてもよいし、若干の隙間があってもよい。複数個の溶融塩電池Bは、ケース20の内面(正面、背面、左右両側面、底面)から突出するように固定された支持部材(制振手段)24により支持されている。支持部材24は、上述の制振部材21,22と同様にシリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性材料からなり、振動や衝撃の吸収に優れた弾性を有する。なお、ゴムの代わりに例えばコイルばねを使用することも可能である。
また、ケース20内にはオイル(制振手段)25が、溶融塩電池Bの上部を浸けない程度にまで満たされている。オイル25としては、シリコーンオイル、フッ素系オイルが好適であり、また、さらさらした液質のものではなく、十分な粘性を有するものが好適である。オイル25の浮力により、底面の支持部材24にかかる荷重負担が軽減されている。また、正面、背面、左右両側面の支持部材24は、外装11の姿勢が鉛直になるよう支えている程度であるので、底面の支持部材24に比べて荷重負担は少ない。
図14に示す溶融塩組電池100では、支持部材24とともに、オイル25がその液状粘性によって外装11への衝撃及び全体の揺れを緩和する制振効果を発揮する。従って、溶融塩組電池100の耐振動性能を高めることができる。なお、支持部材24が外装11に触れている面積は比較的少なっているので、ケース20の揺れが外装11に伝わりにくくすることができる。本実施形態では、主としてオイル25が制振部30として機能し、制振部材21がオイル25による制振機能を補助している。
なお、本実施形態において、ケース20の内部の下方には、ヒータ23が設けられていてもよい。このヒータ23に通電することによりオイル25が加熱され、加熱されたオイル25は、熱媒体となって各外装11を加熱し、溶融塩電池Bの電解質を溶融させることができる。
図15は、更に他の実施形態に係る制振部30を有する溶融塩電池100の断面図である。
本実施形態が上記実施形態と異なるのは、ケース20の形態と、ケース20に対する溶融塩電池Bの支持構造とである。その他は、第2実施形態と同様であるため、同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
図15において、ケース20は、本体部20aと、蓋20bと、本体部20aの上端に取り付けられたシール部20cとによって構成されている。シール部20cの材質は、例えばゴムや、ナイロン系の樹脂であり、オイル25が容易にこぼれ出ない程度のシール性があればよい。溶融塩電池Bの左右上端には吊り下げ用の支持片11cが設けられ、蓋20bの内部裏面にも支持片20b1が設けられている。これらの支持片11c−支持片20b1間にワイヤ26(チェーン等でも可)を掛けて、蓋20bに対して溶融塩電池Bを吊り下げている。溶融塩電池Bは、図8の紙面に垂直な方向へ複数個並べられている場合には、全ての溶融塩電池Bが同様に吊り下げられている。但し、複数個の溶融塩電池B全体を一纏めにして吊り下げることも可能である。
外装11は、ケース20(蓋20b)に対して固定されず、吊り下げられているので、ケース20の揺れが外装11に直接的に伝わりにくく、しかも、外装11の揺れはオイル25の粘性で緩和される。このように、本実施形態では、オイル25が主として制振部30として機能を有し、更に、吊り下げ構造が制振部30としての機能を補助している。
図16は、更に他の実施形態に係る制振部30を有する溶融塩電池の断面図である。本実施形態は、例えば図12に示す溶融塩組電池100の構成に、更なる制振機構200を付加したものである。この制振機構200は、ケース20と床面(設置面)F(何らかの固定台でもよい。)との間に設けられた複数の防振ゴム201を備えている。この防振ゴム201は、一般に建造物における免震構造に適用される免震ゴムのように作用し、床面Fからケース20に伝わる衝撃や揺れを大幅に低減することができる。
《溶融塩電池100の使用態様》
次に、以上に説明した制振部30を有する溶融塩電池の一使用態様について説明する。
図17は、溶融塩電池100を適用することができる坑井掘削機50を示す概略的な正面図である。
本実施形態の坑井掘削機50は、地下資源の採取あるいは土木工事を目的として地下に孔(坑井)を掘削するものであり、特に石油、天然ガス、地熱蒸気などの地下流体資源を採取するためにその賦存地層まで大深度の坑井を能率よく掘削するロータリー式掘削機とされている。
このロータリー式掘削機50は、陸上に設置された下盤51上に構築されるやぐら52と、このやぐら52に吊り持ち支持されるとともに、先端部に岩石を破砕するためのビット(掘削工具)53を取り付けたドリルストリング(掘削管)54と、ドリルストリング54を上下方向に昇降させる巻上装置55と、ドリルストリング54を回転させる回転装置56と、坑井H内に掘削流体である泥水を供給する泥水供給装置58等を備えて構成されている。
ドリルストリング54は、一連のパイプによって構成されており、上から順にケリー59、ドリルパイプ60、ドリルカラー61を備えている。ビット53は、ドリルカラー61の下端部に設けられている。
回転装置56は、ドリルストリング54の上端に接続された回転継手62と、下盤51に設けられ、図示しない原動機によってドリルストリング54のケリー59を上下方向の軸心回りに回転させる回転テーブル63と、を備えている。このドリルストリング54の回転によってビット53が地層を掘り進むようになっている。
巻上装置55は、滑車65を用いてドリルストリング54を上下方向に昇降させ、ドリルストリング54の下端部のビット53から坑底に付与される荷重を調整することができる。
泥水供給装置58は、泥水ポンプ66から泥水を送出し、回転継手62を介してドリルストリング54の内部に泥水を流動させ、ビット53から坑底に泥水を噴出させる。ビット53から噴出された泥水は、ドリルストリング54の外側と坑井Hとの間の環状隙間を通って地上まで戻される。これにより、ビット53によって破砕された掘屑を地上へ排出することができるとともに、坑井H内の圧力制御による地層流体の流入防止、ドリルストリング54の摩擦低減、坑井内機器の冷却等が図られている。
図18は、ドリルストリング54の先端側(下端側)を模式的に示す説明図である。ドリルストリング54の下部にはドリルカラー61が設けられ、このドリルカラー61の下端部にビット53が取り付けられている。また、ドリルカラー61には、坑底付近の状態を検出するためのセンサ70と、このセンサ70の検出情報等を送受信する送受信機(通信手段)71と、センサ70及び送受信機71に供給するための電気エネルギーを蓄える二次電池73と、この二次電池73に対する充放電を行う充放電機構72と、充放電機構72に電気エネルギーを供給するエネルギー変換(生成)機構74と、を備えている。そして、センサ70、送受信機71、充放電機構72、エネルギー変換機構74、及び二次電池73によって、当該二次電池73を電源とする電源システムが構成されている。
センサ70は、例えば、坑底付近の温度や圧力を計測するセンサ、坑井の方位や傾斜等を計測するセンサ、ビット53の振動、荷重、トルク等を測定するセンサ、地層評価情報(地層ガンマー線、地層比抵抗等)を測定するセンサ、ドリルカラー61の内部又は外部を流れる流体(掘削流体、地層流体(油・ガス)等)の粘性や圧力等を計測するセンサ等の各種センサのうち少なくとも一つを含む。
送受信機71は、地上に設置された送受信機(図示省略)との間で情報の伝達を行うものであり、例えば、前述の各種センサ70によって検出された情報を送信したり、地上の送受信機から各種情報(制御情報等)を受信したりするために用いられる。
送受信機71には、送信する情報に対応した圧力波を泥水に発生させてドリルストリング54内を通して伝播させるマッドパルス方式や、電磁波によって情報を送受信する電磁波方式等が採用される。
各種センサ70や送受信機71は、二次電池73からの電力が供給されて作動する。この二次電池73は、充放電機構72によって充放電される。
充放電機構72は、二次電池に蓄えられた電気エネルギー(電荷)をセンサ70や送受信機71等の機器に供給する放電機能、及びエネルギー変換機構74から供給された電気エネルギーを二次電池73に蓄える充電機能を実現するために、電流や電圧の制御、充放電時期の管理、直流と交流との変換等を行う充放電回路を備えている。
エネルギー変換機構74は、ドリルカラー61の内部に回転可能に支持されたスクリュー75と、このスクリュー75の回転動力(運動エネルギー)を電気エネルギーに変換するジェネレータ(発電機)76とを備えている。そして、ドリルカラー61を流れる流体、例えば、掘削流体である泥水や地層中の流体(油、ガス)の流れによってスクリュー75を回転させ、この回転動力によってジェネレータ76を作動させることで発電を行い、充放電機構72を介して二次電池73に充電することができる。
なお、センサ70や送受信機71等の電気機器は、二次電池73からだけでなく、必要に応じてエネルギー変換機構74から直接的に電気エネルギーが供給されるように構成されていてもよい。
掘削機50のドリルカラー61に設けられた二次電池73には、前述したような溶融塩電池100(又はB)が用いられている。
掘削機50に用いられる二次電池73は、掘削時における環境温度である約165℃〜200℃の温度に耐える必要がある。本発明の溶融塩電池100は、前述したように幅広い使用温度域で使用可能であるとともに、最も高温の使用温度範囲が140℃〜300℃とされているので、掘削機50のドリルストリング54に対して好適に適用することが可能となっている。また、掘削機50に用いられる二次電池73は、少なくとも数週間(例えば2〜6週間)は継続して使用可能であることが求められる。本発明の溶融塩電池100は、高温の環境下においても自己放電が少なく、しかも充放電機構72によって充電可能であるので、所定期間の継続使用の要求にも十分に応えることができる。また、溶融塩電池100は、不燃性の電解質が用いられており、坑井の周囲に存在する物質(水等)との反応によって発火したり可燃性ガスを発生したりすることもない。
また、上記溶融塩電池100は制振部30を備えている。従って、坑井Hの掘削に伴う大きな振動が付与されるような環境下においても好適に溶融塩電池100を使用することが可能となっている。この溶融塩電池100は、ドリルストリング54の外面又は内面に装着するか、ドリルストリング54の内部に組み込むことができる。いずれの場合においてもドリルストリング54の形状に適合した形状、例えば、ドリルストリング54の筒形状に則した筒形状や円弧形状(C字形状)に形成することができる。
各種センサ70、送受信機71、充放電機構72、エネルギー変換機構74、及び二次電池73からなる電源システムは、坑井Hを掘削している最中のドリルストリング54だけでなく、掘削終了後又は掘削工程の途中にドリルストリング54に代えて坑井H内に挿入される各種測定機器や各種管部材(石油やガス等の地層流体(生産流体)を流通させるための採取管等)に対して適用することができる。そして、二次電池73には、適用される坑井の状況に応じて以下に示すような様々な条件が求められる。
例えば、坑井における二次電池の一の使用条件として、180℃以上の、場合によっては225℃程度の高温における使用が求められる場合がある。本実施形態の溶融塩電池100(又はB)は、前述したように幅広い使用温度域で使用可能であるとともに、最も高温の使用温度範囲が140℃〜300℃とされている。かかる使用温度範囲の溶融塩電池を用いれば、当該使用条件にも好適に対応することが可能となる。また、当該使用温度範囲における溶融塩電池であれば熱に起因する自己放電も少なく、充放電機構72によって充電も可能であるため使用期間の条件も好適に満たすことができる。
坑井における二次電池の他の使用条件として、使用温度はそれほど高くないが(例えば、60℃〜150℃)、長期間の常用が求められる場合がある。本発明の溶融塩電池100は、充放電機構72によって充電可能であるため、使用期間の条件を好適に満たすことができる。また、本発明の溶融塩電池100(又はB)は、前述したように使用温度範囲が80℃〜140℃、又は、25℃〜120℃とされている。従って、いずれかの使用温度範囲の溶融塩電池を用いれば、当該使用条件にも対応することが可能となる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明に係る電源システムは、在来型の油田やガス田から油又はガス等を採取するための坑井だけでなく、オイルシェールやオイルサンド等の非在来型の油田又はガス田から油又はガスを採取するための坑井にも適用することができる。また、地熱開発のための坑井にも適用可能である。
また、本発明に係る電源システムは、センサや通信手段以外の機器、例えば、各種バルブを操作するためのソレノイド等(アクチュエータ)に対して電力供給を行うものであってもよく、或いはセンサや通信手段以外の機器を含んでいてもよい。例えば、電源システムは、地層流体をサンプリングするためのサンプリング機器に対して電力供給を行うものであってもよい。また、電源システム自身が、サンプリング機器に備わっていてもよく、このサンプリング機器に備わったセンサや通信手段、ソレノイド等に対して電力供給を行うものであってもよい。
また、上記実施形態において、溶融塩電池は、主にカチオンとしてナトリウムイオンを含む溶融塩が用いられているが、リチウムイオンを含む溶融塩が用いられてもよい。
本発明の二次電池は、必ずしも溶融塩電池でなくてもよく、温度等の条件を満たせばその他の二次電池、例えばリチウムイオン電池、ナトリウム−硫黄電池等を適用することができる。
10 溶融塩電池本体(発電要素)
20 外装
30 制振部
70 センサ
71 送受信機(通信手段)
72 充放電機構
73 二次電池
100 溶融塩電池(溶融塩組電池)
B 溶融塩電池
H 坑井

Claims (6)

  1. 坑井内の温度を使用温度範囲に含み、かつ前記坑井内に設置されて当該坑井内の機器に対して電力を供給するための二次電池と、この二次電池に対する充放電を行う充放電機構と、を備えていることを特徴とする坑井用電源システム。
  2. 前記二次電池が、溶融塩電池である、請求項1に記載の坑井用電源システム。
  3. 前記二次電池は、発電要素を収容した外装と、この外装に付与される振動を低減する制振部とを備えている、請求項1又は2に記載の坑井用電源システム。
  4. 前記坑井内に配置された管部材を流れる流体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを前記充放電機構に供給するエネルギー変換機構を備えている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の坑井用電源システム。
  5. 前記二次電池からの電力が供給されて作動するセンサを備えている請求項1〜4のいずれか1項に記載の坑井用電源システム。
  6. 前記二次電池からの電力が供給されて作動する通信手段を備えている請求項1〜5のいずれか1項に記載の坑井用電源システム。
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