JP2014133890A - 相変化インクに使用するための非晶質材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】コーティングされた紙基材上への印刷を含む、インクジェット印刷に好適な相変化インク組成物に使用するための非晶質化合物を提供する。
【解決手段】以下の式で表わされるイソホロンジアミンのジアミド誘導体である非晶質化合物を含む相変化インク構成成分。
Figure 2014133890

[R及びR’のそれぞれは、互いに独立に同一又は異なっても良いアルキル基(アルキル部分は、C1〜40の直鎖、分岐又は環状、飽和又は不飽和、置換又は非置換である)、或いは置換又は非置換の芳香族若しくはヘテロ芳香族基及びこれらの混合物からなる群から選択される]
【選択図】なし

Description

本実施形態は、室温にて固体であり、溶融インクが基材に適用される高温においては溶融状態であることを特徴とする相変化インク組成物に関する。これらの相変化インク組成物は、インクジェット印刷のために使用できる。本実施形態は、非晶質化合物、結晶性化合物、および場合により着色剤を含む新規な相変化インク組成物、およびそれらの製造方法を対象とする。本明細書に記載される特定の配合物は、非晶質化合物および結晶性化合物の組み合わせを含み、コーティングされた紙基材上に印刷される場合に、高品質の画像を形成する、迅速に結晶化するインク組成物を提供する。
インクジェット印刷プロセスは、室温で固体であり、高温で液体であるインクを利用できる。こうしたインクは、固体インク、ホットメルトインク、相変化インクなどと称され得る。一般に、相変化インク(「ホットメルトインク」または「固体インク」と称される場合もある)は、周囲温度において固相状態であるが、インクジェット印刷デバイスの高い操作温度では液相状態で存在する。噴出温度において、液体インクの液滴は、印刷デバイスから放出され、インク液滴が記録媒体表面と接触したときに、直接または中間加熱転写ベルトもしくはドラムを介して、液滴は素早く固化し、固化したインク液滴の所定のパターンを形成する。
相変化インクは、輸送、長期間貯蔵などの間、室温にて固相状態を保つので、インクジェット印刷機に望ましい。加えて、液体インクジェットインクのインク蒸発の結果としてノズル目詰まりに関連する問題が大きく除外され、それによってインクジェット印刷の忠実度を改善する。さらに、インク液滴が最終記録媒体(例えば、紙、透明材料など)に直接適用される相変化インクジェット印刷機において、液滴は、記録媒体と接触直後に固化し、印刷媒体に沿ったインクの移動が防止され、ドット品質が改善される。
上述の従来の相変化インク技術は、一般に鮮明な画像を製造し、ジェット使用の経済性および多孔質紙での基材自由度を与えるのに成功している一方で、こうした技術はコーティングされた基材については満足するものではない。故に、既知の組成物およびプロセスはそれらの意図する目的に好適であるが、コーティングされた紙基材上に画像を形成または印刷するための追加手段を必要とする。そういうものとして、すべての基材に対して優れた画像品質を顧客に提供するための相変化インク組成物の代替組成物、好ましくはバイオ再生可能な供給源から誘導されるもの、および将来的には印刷技術を見出すことが必要とされている。さらに、プロダクション印刷のような迅速な印刷環境に好適なこうした相変化インク組成物を提供することが必要とされている。
本明細書に例示される実施形態によれば以下が提供される。特に、本実施形態は、イソホロンジアミンのジアミド誘導体である非晶質化合物を含む相変化インク構成成分を提供する。
図1は、本実施形態に従って製造される非晶質構成成分の示差走査熱量測定(DSC)データを例示するグラフである。 図2は、本実施形態に従って製造された非晶質構成成分の経年(頂部)およびフレッシュな(底部)サンプルのH NMRスペクトルである。 図3は、本実施形態に従って製造された非晶質構成成分の経年(破線)およびフレッシュな(実線)サンプルのレオロジーデータを例示するグラフである。 図4は、本実施形態に従って製造された非晶質構成成分を用いて製造された相変化インクのレオロジーデータを例示するグラフである。
相変化インク技術は、多くの市場に対して印刷能および顧客基盤を拡大し、印刷用途の多様性は、プリントヘッド技術、プリントプロセスおよびインク材料の有効な集積によって促進される。相変化インク組成物は、室温(RT)(例えば20〜27℃)で固体であり、溶融インクが基材に適用される高温において溶融状態であることを特徴とする。上記で議論されたように、現在のインク選択肢は多孔質紙基材について成功しているが、これらの選択肢はコーティングされた紙基材については必ずしも満足するものではない。
所望のインク構成成分として使用するのに好適な様々なクラスの材料を選択および同定することを含んで、すべての基材に対して優れた画像品質を顧客に提供するための相変化インク組成物の代替組成物および将来的には印刷技術を見出すことが必要とされている。プロダクション環境においてデジタルプレスが必要とするような高速でこれらのインクを印刷することがさらに必要とされている。
以前には、相変化インク配合物において結晶性および非晶質小分子化合物の混合物を用いることにより、堅牢性インクを提供し、特にコーティングされた紙上に堅牢性の画像を示す相変化インクを提供することが見出された。こうした相変化インクを用いて製造されたプリントサンプルは、現在利用可能な相変化インクに比べて良好な堅牢性を示す。
結晶性および非晶質構成成分で構成された組成物の迅速な結晶化は、組成物の固有の特性ではないことを見出した。結晶性/非晶質混合物の結晶化速度は、独立に結晶性および非晶質構成成分に依存するだけでなく、さらにより重要なことには結晶性および非晶質材料の対の選択によっても影響を受ける。例えば、所与の結晶性構成成分は、1つの非晶質構成成分と混合される場合に迅速に結晶化する組成物を提供し得るが、同じ結晶性構成成分は、異なる非晶質構成成分と混合される場合に徐々に結晶化する組成物をもたらし得る。結晶性および非晶質構成成分の対の化学構造間の関係は、所与の混合物の結晶化速度を制御する。しかし、この場合にインクを迅速に結晶化するために結晶性および非晶質構成成分の特定の対の選択は、複雑化する。
本実施形態は、結晶性および非晶質構成成分に基づくインク組成物のための配合を提供し、これは堅牢性インク、特に相変化インクを提供し、コーティングされた紙上で堅牢性の画像を示すだけでなく、さらに迅速に結晶化し、バイオ再生可能な材料から誘導される。
本実施形態は、一般にそれぞれ約60:40〜約95:5の重量比において(1)結晶性および(2)非晶質化合物のブレンドを含むインクジェット相変化インク組成物の新規なタイプを提供する。より詳細な実施形態において、結晶性構成成分と非晶質化合物との重量比は、約65:35〜約95:5、または約70:30〜約90:10である。
各化合物または構成成分は特定の特性を相変化インクに付与し、これらの非晶質および結晶性化合物のブレンドを組み込んで得られたインクは、コーティングされていないおよびコーティングされた基材上で優れた堅牢性を示す。インク配合物中の結晶性化合物は、冷却時の迅速な結晶化を通して相変化を駆動する。結晶性化合物はまた、最終インクフィルムの構造を設定し、非晶質化合物の粘着性を低下させることによって硬質インクを創製する。非晶質化合物は、粘着性を提供し、印刷されたインクに堅牢性を付与する。
米国特許出願整理番号13/457,157(Gabriel Iftimeらに対して、2012年4月26日付け電子出願)(代理人整理番号20110459−399389)は、結晶性および非晶質構成成分が限られた相溶性を有する組成物を用いることによってインクを迅速に固化できる1つの方法を開示しており、この全体を参考として本明細書に組み込む。限られた相溶性とは、2つの構成成分が、溶融状態から冷却される場合に素早く相分離する傾向を有することを意味する。限られた相溶性は、迅速に結晶化する能力を可能にするために、結晶性および非晶質構成成分の選択された対の化学構造それぞれに存在する官能基間の関係に関して、1組の設計規則を満たすような結晶性および非晶質構成成分を選択することによって、達成される。簡単に設計規則を以下に示す:
(1)相変化インク組成物は、非晶質化合物および結晶性化合物を含む;
(2)非晶質化合物は、少なくとも1つの官能基を有し、少なくとも1つの非晶質末端基に結合している非晶質コア部分を含み、ここでこの非晶質末端基は、アルキル基を含み、ここでこのアルキルは、約1〜約40個の炭素原子を有する直鎖、分岐または環状、飽和または不飽和、置換または非置換であり;非晶質化合物の構造を示すダイアグラムを以下に示す:
Figure 2014133890
(3)結晶性化合物は、少なくとも1つの官能基を有し、少なくとも1つの結晶性末端基に結合している結晶性コア部分を含み、ここでこの結晶性コア基は、芳香族基を含み;結晶性化合物の構造を示すダイアグラムを以下に示す:
Figure 2014133890
(4)非晶質コア部分における官能基は、結晶性コア部分の官能基のいずれとも同一でない。
特に、本実施形態は、脂肪族モノアルコールおよび二酸、例えばテレフタル酸から誘導される安価な急激に溶融する結晶性材料を含有し、これは非晶質バインダ樹脂として機能する他のジエステルに加えて、相変化構成成分として機能する。脂肪族アルコールは、インクにある程度の疎水性を与え、これがインクの展延性を増大させるのを助け、他のインク配合物よりも改善する。結晶性材料は、安価であり、生分解性でもある。これらの材料から製造された相変化インクは、同じ基材上の市販の相変化インクに比べて優れた堅牢性を示す。
迅速な印刷のための試験インクの好適性を評価するために、結晶性構成成分を含有する相変化インクの結晶化速度を測定するための定量方法を開発した。時間分解光学顕微鏡法(TROM)は、種々の試験サンプルを比較でき、結果として、迅速な結晶化インクの設計に関して行われた進行をモニターするための有用なツールである。TROMは、米国特許出願整理番号13/456,847(Gabriel Iftimeらに対して、2012年4月26日付け電子出願)(代理人整理番号20110828−401275)に記載されており、この全体が参考として本明細書に組み込まれる。
TROMは、偏光顕微鏡法(POM)を用いることによって結晶の外観および成長をモニターする。サンプルは、顕微鏡の直交偏光子間に置かれる。結晶性材料は、それらが複屈折であるために視覚可能である。光を通さない、それらの溶融状態のインクと同様の非晶質材料または液体は、POMの下では黒色に見える。故に、POMは、結晶性構成成分を見る場合に画像コントラストを可能にし、溶融状態から設定温度に冷却された場合に結晶性−非晶質インクの結晶化動力学を追跡できる。異なるおよび種々のサンプルを比較できるデータを得るために、実際の印刷プロセスに関連する多くのパラメータを含むことを目的として標準TROM実験条件を設定した。インクまたはインクベースは、18mmの円形の薄いガラススライド間に狭持される。インク層の厚さは、実際に印刷されたインク層に近い20〜25μmに維持される(ファイバーガラススペーサを用いて制御される)。結晶化速度の測定に関して、サンプルは、オフラインホットプレートを介して予測される噴出温度(粘度約10〜12cps)に加熱され、次いで光学顕微鏡と連結させた冷却段階に移される。冷却段階は、熱および液体窒素の制御された供給によって維持される予備設定温度にサーモスタッドで調節する。この実験の準備作業は、インク液滴が実際の印刷プロセスにて噴出される予測ドラム/紙温度(この開示で報告される実験に関しては40℃)をモデルとする。結晶形成および成長は、カメラで記録される。
選択されたインクのためのTROM方法を用いて得られた結晶化時間は、実際の印刷デバイスにおけるインク液滴の結晶化時間であることとは同一ではないことが理解されるべきである。実際の印刷デバイス、例えば印刷機において、インクは相当速く固化する。TROM方法によって測定される合計結晶化時間と印刷機内のインクの固化時間との間には良好な相関が存在することが決定される。上記で記載される標準化条件において、インクは、TROM方法によって測定される20秒以内、15秒以内、または10秒以内(すなわち合計結晶化時間<20s、<15s、または<10s)に固化し、通常100フィート/分以上の速度での迅速な印刷に好適であることも決定される。そのため、本開示の趣旨上、15秒未満の結晶化速度は、迅速な結晶化であると考えられる。しかし、500フィート/分以上のオーダーの非常に高速な印刷は、TROMによって測定される場合に、標準TROM条件にて約7秒未満の範囲の結晶化速度を有するインクを必要とする。
実際、TROM試験において15秒以下の時間合計(結晶性および非晶質)を有するインクは、約100フィート/分以上の速度での迅速な印刷に好適であることを見出した。
特定実施形態において、相変化インクの合計結晶化時間は、結晶性化合物単独の合計結晶化時間の5倍以下である。さらなる実施形態において、相変化インクの合計結晶化時間は、結晶性化合物単独の合計結晶化時間の4倍以下である。なおさらなる実施形態において、相変化インクの合計結晶化時間は、結晶性化合物単独の合計結晶化時間の3倍以下である。
実施形態において、相変化インクは、特定の特別な物理的な特性を満たす。例えば、本実施形態の相変化インクは、約65℃〜約150℃、または約70℃〜約140℃、または約80℃〜約135℃の融点(T溶融)を有する。他の実施形態において、インクは、10℃/分の速度でのDSCによって決定される場合に、約40℃〜約140℃、または約45℃〜約130℃、または約50℃〜約120℃の結晶化温度(T結晶化)を有する。他の実施形態において、本実施形態のインクは、約100〜約140℃の噴出範囲において約1〜約22cps(センチポイズ)の粘度を有する。特に、本実施形態のインクは、<12cpsまたは約12cps〜約3cps、または約10cps〜約5cpsの140℃での粘度を有する。インクは、室温にて約10cpsより大きい粘度を有していてもよい。
非晶質化合物
実施形態において、非晶質化合物は、結晶性構成成分のためのバインダ剤として、およびいずれかの着色剤または他の微量添加剤として機能する。先行するクラスの非晶質材料は、ある特定の製造欠点を有することを見出した。例えば、非希釈条件下でこうした材料を合成することは非常に困難であることを見出したが、このことは、費用を削減し、材料の環境フットプリントを低減するためには非常に重要である。本実施形態において、新規なアミド非晶質材料が開示される。これらの非晶質材料は、アミド化反応によってイソホロンジアミン(IPDA)から合成された。これらの非晶質材料の大部分は、いかなる溶媒も使用せずに単純な非希釈条件下で行われた。非晶質材料は、噴出範囲(100〜140℃)において、結晶化を示さず、相対的に低い粘度(<10cps)を示す。このクラスのアミド化合物は、その強力な水素結合(H結合)形成にもかかわらず、非晶質材料のための選択肢として以前には同定されていなかったが、これは印刷された画像に堅牢性を付与することが期待される。多くの場合、強力なH結合が、十分に配列された様式で分子間相互作用を確立し、結晶性状態を導く。加えて、大部分のアミドは、非希釈条件下で容易に合成できる。
一般に、小分子は、固化するときに結晶化する傾向があり、低分子量有機固体は結晶である。しかし、結晶化しない小分子非晶質材料が本実施形態において必要とされる。高分子量非晶質材料、例えばポリマーは、高温で粘稠になり、粘着性の液体になるが、十分に低い粘度を示さない。これは、ポリマーは所望の噴出温度(≦140℃)にてプリントヘッドノズルから噴出させることができないことを意味する。故に、本実施形態において、小分子は非晶質固体を形成することを目標としているが、これらの材料には元々の結晶化傾向を克服することが必要とされる。故に、本実施形態は、IPDAのジアミド誘導体である非晶質材料を提供し、これが化学的構造、物理的特性、および相変化インクに使用するための性能に関してより多くのバリエーションを広げる。
IPDAは、その非対称および分岐構造、多官能性基、立体異性体混合物、および低コストといった理由で骨格材料として選択された。加えて、コア環上で1つまたは2つのアミン基を反応させることによって、アミドまたは尿素を誘導する多くの可能性を秘めている。一般に非晶質化合物は、式
Figure 2014133890
(式中、RおよびR’のそれぞれは、互いに独立に、またはそれらは同一または異なることができることを意味して、アルキル基(ここでこのアルキル部分は、約1〜約40個の炭素原子を有する直鎖、分岐または環状、飽和または不飽和、置換または非置換であることができる)あるいは置換または非置換の芳香族またはヘテロ芳香族基およびこれらの混合物からなる群から選択される)
を有するIPDAのジアミドである。
アミド化は、スキーム1において以下に示されるように単純な一工程反応によって行われた。
Figure 2014133890
式中、Rはアルキル基(ここでこのアルキル部分は、約1〜約40個の炭素原子を有する、直鎖、分岐または環状、飽和または不飽和、置換または非置換であることができる)、あるいは置換または非置換の芳香族またはヘテロ芳香族基、およびこれらの混合物からなる群から選択される。酸または酸クロライドの変形を、IPDAと反応させ、対応するジアミドを形成した。これらの酸または酸クロライドとしては、ピバロイルクロライド、2−エチルヘキサン酸、酪酸、ヘキサン酸およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。得られた化合物は、非結晶化非晶質固体であった。非晶質ジアミドは、
Figure 2014133890
およびこれらの混合物からなる群から選択される。一部の非晶質IPDAジアミドの物理的特性を、表1に示す。
Figure 2014133890
本実施形態の相変化インクのための別の重要な要件は、長期間にわたって、インク構成成分が、高い噴出温度で安定であることである。表1の化合物4は、140℃のオーブンにおいて7日間で経年させて、その安定性をテストした。図2は、経年サンプルおよびフレッシュなサンプルのH NMRスペクトルを示し、これらは、非常に似ており、この非晶質サンプルは高い噴出温度にて安定であることを示す。レオロジーデータ(図3)はまた、非晶質は熱安定性であることを示す。
一般的な実施形態において、非晶質化合物は、約−20〜約50℃、または約−10〜約40℃、または約0〜約30℃のTgを有する。さらなる実施形態において、非晶質化合物は、噴出温度付近において(≦140℃、または約100〜約140℃、または約105〜約140℃)、相対的に低い粘度(<200cps、または約1〜約200cps、または約5〜約150cps)を示すが、室温において非常に高い粘度(>10cps)を示す。
実施形態において、非晶質化合物は、相変化インク組成物を形成するために結晶性化合物と配合される。結晶性構成成分はエステルである。このクラスの材料は、容易に生分解性であることが周知である。インク組成物は、良好なレオロジー特性を示す。K−プルーフによってコーティングされた紙に相変化インク組成物によって創製されたプリントサンプルは、優れた堅牢性を示す。
実施形態において、非晶質材料は、インク組成物の総重量の約5重量%〜約40重量%、または約5重量%〜約35重量%、または約10重量%〜約30重量%の量で存在する。
結晶性化合物
実施形態において、結晶性化合物は、以下のスキーム2から製造されるジエステル化合物である。
Figure 2014133890
式中、R”は、飽和またはエチレン性不飽和脂肪族基であり、1つの実施形態においては少なくとも約6個の炭素原子、別の実施形態においては少なくとも約8個の炭素原子、1つの実施形態において約100個以下の炭素原子、別の実施形態において約80個以下、さらに別の実施形態において約60個以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であることができる。特定実施形態において、結晶性化合物は、天然脂肪族アルコール、例えばオクタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、カプリックアルコール(Capric alcohol)、リノレイルアルコールなどから誘導される。上記反応は、スズ触媒、例えばジブチルスズジラウレート(Fascat4202)、ジブチル酸化スズ(Fascat4100);亜鉛触媒、例えばBi cat Z;またはビスマス触媒、例えばBi cat8124;Bi cat8108、チタン触媒、例えば二酸化チタンの存在下、ジメチルテレフタレートおよびアルコールを溶融状態で合わせることによって行われ得る。トレース量の触媒だけがプロセスのために必要である。
実施形態において、触媒は、合計生成物の約0.01重量%〜2重量%または約0.05重量%〜約1重量%の量で存在する。
反応は、約150℃〜約250℃、または約160℃〜約210℃の高温にて行われる。溶媒を含まないプロセスは、環境持続性であり、副生成物に関する問題を排除し、それはまた、より高い反応器処理量を意味する。
これらのアルコールの大部分は、植物油、例えば綿、ココナッツ、パーム核、トウゴマ、菜種、大豆およびヒマワリから誘導されるバイオ再生可能材料である。これらのアルコールは、ジメチルテレフタレートまたはテレフタル酸と反応させて、対応するジエステルを得る。バイオ再生可能なテレフタル酸はいまだ利用可能ではないが、多くの会社が、それを数年以内に利用可能とするために尽力している。そのため、本実施形態と共に使用するために近い将来に100%のバイオ再生可能なジアルキルテレフタレートが得られる可能性は高い。
ジエステル化合物を製造するために使用される特定のアルコール(結晶性化合物として使用するため)を表2に示す。3つの化合物はすべて、所望の温度範囲において非常に急激な転移を示し(すなわち60℃<T<130℃)(表2)、インクの相変化材料のための有望な特性を示していた。
Figure 2014133890
バイオ再生可能な含有量は、バイオ系材料の重量%に基づく。本実施形態の結晶性構成成分を製造するために使用される出発材料のすべては、安価である。さらに、これらの材料は、唯一の副生成物としてのメタノールである溶媒を含まない縮合手順を用いて、単純で低コストであり、環境上安全な合成経路によって調製される。
結晶性材料は、急激な結晶化を示し、約140℃の温度において、相対的に低い粘度(≦10センチポイズ(cps)、または約0.5〜約20cps、または約1〜約15cps)を示すが、室温にて非常に高い粘度(>10cps)を示す。これらの材料は、150℃未満、または約65〜約150℃、または約66〜約145℃の溶融温度(T溶融)を有し、60℃を超える、または約60℃〜約140℃、または約65〜約120℃の結晶化温度(T結晶化)を有する。T溶融とT結晶化との間のΔTは約55℃未満である。
実施形態において、結晶性材料は、インク組成物の総重量の約60重量%〜約95重量%、または約65重量%〜約95重量%、または約70重量%〜約90重量%で存在する。
添加剤
実施形態のインクは、従来の添加剤をさらに含み、こうした従来の添加剤と関連した既知の機能を活用してもよい。こうした添加剤としては、例えば少なくとも1つの酸化防止剤、消泡剤、スリップおよび平滑剤、浄化剤、粘度調整剤、接着剤、可塑剤などを挙げることができる。
インクは、場合により、酸化から画像を保護するための酸化防止剤を含有してもよく、インク貯蔵器にて加熱された溶融物として存在している間、酸化からインク構成成分を保護してもよい。好適な酸化防止剤の例としては、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナムアミド)(IRGANOX1098、BASFから入手可能);2,2−ビス(4−(2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ))エトキシフェニル)プロパン(TOPANOL−205、Vertullusから入手可能);トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート(Aldrich);2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスホナイト(ETHANOX−398、Albermarle Corporationから入手可能);テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホナイト(Aldrich);ペンタエリスリトールテトラステアレート(TCI America);トリブチルアンモニウム次亜リン酸塩(Aldrich);2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール(Aldrich);2,4−ジ−tert−ブチル−6−(4−メトキシベンジル)フェノール(Aldrich);4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール(Aldrich);4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノ−ル(Aldrich);4−ブロモ−2−ニトロフェノール(Aldrich);4−(ジエチルアミノメチル)−2,5−ジメチルフェノール(Aldrich);3−ジメチルアミノフェノール(Aldrich);2−アミノ−4−tert−アミルフェノール(Aldrich);2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール(Aldrich);2,2’−メチレンジフェノール(Aldrich);5−(ジエチルアミノ)−2−ニトロソフェノール(Aldrich);2,6−ジクロロ−4−フルオロフェノール(Aldrich);2,6−ジブロモフルオロフェノール(Aldrich);α−トリフルオロ−o−クレゾール(Aldrich);2−ブロモ−4−フルオロフェノール(Aldrich);4−フルオロフェノール(Aldrich);4−クロロフェニル−2−クロロ−1,1,2−トリ−フルオロエチルスルホン(Aldrich);3,4−ジフルオロフェニル酢酸(Aldrich);3−フルオロフェニル酢酸(Aldrich);3,5−ジフルオロフェニル酢酸(Aldrich);2−フルオロフェニル酢酸(Aldrich);2,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸(Aldrich);エチル−2−(4−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェノキシ)プロピオネート(Aldrich);テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホナイト(Aldrich);4−tert−アミルフェノール(Aldrich);3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチルアルコール(Aldrich);NAUGARD76、NAUGARD445、NAUGARD512、およびNAUGARD524(Chemtura Corporationによって製造)など、ならびにこれらの混合物が挙げられる。存在する場合、酸化防止剤は、いずれかの所望のまたは有効な量、例えばインクの約0.25重量%〜約10重量%またはインクの約1重量%〜約5重量%でインク中に存在してもよい。
着色剤
実施形態において、本明細書で記載される相変化インク組成物はまた、着色剤を含む。故に本実施形態のインクは、着色剤を有するまたは有していないインクであることができる。相変化インクは、場合により、染料または顔料のような着色剤を含有してもよい。着色剤は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック(CMYK)セットから、またはカスタムカラー染料または顔料または顔料混合物から得られたスポットカラーからのいずれかであることができる。染料系着色剤は、結晶性および非晶質構成成分およびいずれかの他の添加剤を含むインクベース組成物と混和性である。
実施形態において、本明細書で記載される相変化インク組成物はまた、着色剤を含む。いずれかの所望のまたは有効な着色剤は、着色剤がインクキャリア中に溶解または分散できる限り、相変化インク組成物に利用されることができ、それらとしては染料、顔料、これらの混合物などが挙げられる。インクキャリア中に分散または溶解でき、他のインク構成成分と相溶性である限り、いかなる染料または顔料が選択されてもよい。相変化キャリア組成物は、従来の相変化インク着色剤材料、例えばカラーインデックス(C.I.)溶媒染料、分散染料、改質酸および直接染料、塩基性染料、硫黄染料、バット染料などと組み合わせて使用できる。好適な染料の例としては、Neozapon Red492(BASF);Orasol Red G(Pylam Products);Direct Brilliant PinkB(Oriental Giant Dyes);Direct Red3BL(Classic Dyestuffs);Supranol Brilliant Red3BW(Bayer AG);Lemon Yellow6G(United Chemie);Light Fast Yellow3G(Shaanxi);Aizen Spilon Yellow C−GNH(Hodogaya Chemical);Bemachrome Yellow GD Sub(Classic Dyestuffs);Cartasol Brilliant Yellow4GF(Clariant);Cibanone Yellow2G(Classic Dyestuffs);Orasol Black RLI(BASF);Orasol Black CN(Pylam Products);Savinyl Black RLSN(Clariant);Pyrazol Black BG(Clariant);Morfast Black101(Rohm&Haas);Diaazol Black RN(ICI);Thermoplast Blue 670(BASF);Orasol BlueGN(Pylam Products);Savinyl Blue GLS(Clariant);Luxol Fast Blue MBSN(Pylam Products);Sevron Blue5GMF(Classic Dyestuffs);Basacid Blue750(BASF);Keyplast Blue(Keystone Aniline Corporation);Neozapon Black X51(BASF);Classic Solvent Black7(Classic Dyestuffs);Sudan Blue670(C.I.61554)(BASF);Sudan Yellow146(C.I.12700)(BASF);Sudan Red462(C.I.26050)(BASF);C.I.Disperse Yellow238;Neptune Red Base NB543(BASF、C.I.Solvent Red49);Neopen Blue FF−4012(BASF);Fatsol Black BR(C.I.Solvent Black35)(Chemische Fabriek Triade BV);Morton Morplas Magenta36(C.I.Solvent Red172);金属フタロシアニン着色剤などが挙げられる。ポリマー染料はまた、例えばMilliken&CompanyからMilliken Ink Yellow869、Milliken Ink Blue92、Milliken Ink Red357、Milliken Ink Yellow1800、Milliken Ink Black8915−67、uncut Reactint Orange X−38、uncut Reactint Blue X−17、Solvent Yellow 162、Acid Red52、Solvent Blue44、およびuncut Reactint Violet X−80として市販されるものであることができる。
顔料はまた、相変化インクのための好適な着色剤である。インクベース中の顔料分散液は、共力剤および分散剤によって安定化されてもよい。一般に、好適な顔料は、有機材料または無機材料であってもよい。磁気材料系顔料はまた、例えば堅牢性磁気インク文字認識(MICR)インクの製造に好適である。磁気顔料としては、磁気ナノ粒子、例えば強磁性ナノ粒子が挙げられる。
実施形態において、溶媒染料が利用される。本明細書に使用するのに好適な溶媒染料の例としては、本明細書に開示されるインクキャリアとの相溶性のためにスピリットソルブル染料を挙げることができる。
着色剤は、所望の色または色相を得るためにいずれかの所望のまたは有効量、例えば少なくともインクの約0.1重量%〜約50重量%、少なくともインクの約0.2重量%〜約20重量%、および少なくともインクの約0.5重量%〜約10重量%で相変化インク中に存在してもよい。
インク組成物は、いずれかの所望のまたは好適な方法によって調製できる。例えば、インクキャリアの各構成成分は、共に混合されることができ、その後この混合物を少なくともその融点、例えば約60℃〜約150℃、80℃〜約145℃および85℃〜約140℃に加熱する。着色剤は、インク成分を加熱する前またはインク成分を加熱した後に添加されてもよい。顔料が選択された着色剤である場合、溶融混合物は、磨砕機または媒体ミル装置での粉砕に供されることができ、インクキャリア中の顔料の分散を行う。次いで加熱された混合物は、約5秒〜約30分以上撹拌され、実質的に均質で、均一な溶融物が得られ、続いてインクを周囲温度(通常約20℃〜約25℃)まで冷却する。インクは周囲温度にて固体である。インクは、直接印刷インクジェットプロセスのための装置および間接(オフセット)印刷インクジェット用途に利用できる。1つの特定実施形態において、印刷装置は、圧電印刷プロセスを利用するが、ここでインクの液滴は、圧電振動素子の振幅によって画像様パターンに放出される。本明細書に開示されたインクはまた、他のホットメルト印刷プロセス、例えばホットメルト音響インクジェット印刷、ホットメルト熱インクジェット印刷、ホットメルト連続ストリームまたは偏向インクジェット印刷などに利用されることができる。本明細書に開示される相変化インクはまた、ホットメルトインクジェット印刷プロセス以外の印刷プロセスに使用できる。
いずれかの好適な基材または記録シートが利用できる。
実施例1
化合物1のための合成手順
アルゴン入口およびラバーセプタムを備えた100mLの3ツ口丸底フラスコに、トリエチルアミン(7.85グラム,77.51ミリモル,Sigma Aldrichから入手可能)およびジクロロメタンを添加し、モレキュラーシーブ(50mL)で乾燥させた。フラスコは、氷浴を用いて0℃に冷却した。ピバロイルクロライド(8.50グラム,70.46ミリモル,Sigma Aldrichから入手可能)をシリンジを介して徐々に添加し、その間に溶液は明黄色になった。3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(IPDA,6.0グラム,35.23ミリモル,Sigma Aldrichから入手可能)を徐々に添加し、その間に白色沈殿物が形成し始めた。ジクロロメタン(25mL)をさらに添加し、氷浴を取り除いた。室温で一晩撹拌した(約20時間)。飽和炭酸水素ナトリウム(100mL)でクエンチし、その間すべての固体残渣が溶解した。ジクロロメタン(100mL)で希釈した。分液漏斗に混合物を添加し、ジクロロメタン(2x50mL)で抽出した。合わせた有機層を、水(2x100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、ロータリエバポレータで溶媒を除去して、白色粉末を得た。真空を用いて生成物をさらに乾燥し、11.64グラム(97%収率)を得た。H NMRは、所望の生成物が形成されたことを示した。表1は、物理的特性を示す。
実施例2
化合物4のための合成手順
ディーンスタークトラップおよび冷却器、熱電対およびアルゴン入口を備えた100mLの3ツ口丸底フラスコに、3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(IPDA,20グラム,117.44ミリモル,Sigma Aldrich(St.Louis,Missouri)から入手可能)およびヘキサン酸(27.28グラム,234.88ミリモル,Sigma Aldrichから入手可能)を添加した。混合物をアルゴン下で160℃まで徐々に加熱し、その間試薬が溶融/溶解した。温度を180℃に上昇させた。反応混合物を、3.1mLの水をディーンスタークトラップ中に回収している間に180℃で一晩(約20時間)撹拌した。真空を約10分間適用した(1〜2mm−Hg)。アルゴン下約140℃に冷却し、アルミニウムトレイに放出し、室温まで冷却させ、37.8グラム(88%収率)の生成物をガラス状の明褐色固体として得た。H NMRは、所望の生成物が形成されたことを示した。表1は、物理的特性を示す。
実施例3
化合物3のための合成手順
酪酸をヘキサン酸の代わりに使用する以外、実施例2と同じ手順を用いてこのジアミドを製造した。
実施例4
化合物2のための合成手順
2−エチルヘキサン酸をヘキサン酸の代わりに使用する以外、実施例2と同じ手順を用いてこのジアミドを製造した。
材料特性
実施例2のジアミドの示差走査熱量測定(DSC)データは、ガラス転移を示したが、結晶化ピークは示さなかった(図1に示されるように)ので、この材料が非晶質固体であることを示す。ガラス転移温度(Tg)は20℃である。実施例2のジアミドはまた、高温(>100℃)で相対的に低粘度(<10cps)であるが、このことが材料を堅牢性インクの非晶質構成成分についての良好な候補にする。
実施例5
ジステアリルテレフタレート(化合物5)の合成
ダブルタービン攪拌機および蒸留装置を備えた2LのBuchi反応器に、ジメチルテレフタレート(315.8グラム)、ステアリルアルコール(879.7グラム)を充電し、窒素パージ下で1時間130℃に加熱し、その後撹拌を開始し、続いてTyzor触媒(3.0グラム,Dupontから入手可能)を添加した。次いで反応混合物を145℃に加熱し、続いて3〜4時間かけて190℃まで温度を徐々に上昇させたが、こうしてメタノールの発生を制御された様式で蒸留する。生成物への>96%の転化率がH NMR分光測定によって決定されるように達成されるまで反応温度を190℃でさらに16時間維持した。生成物を低粘度液体として放出し、これが冷却時に固化して、1050グラムの白色固体を得た(96.2%収率)。生成物は、H NMR分光測定によって純粋であることが示され、トレース量のモノエステルを有していた。この化合物の物理的な特性を表2に示す。
実施例6
インクの配合
インクサンプルを、化合物4および化合物2、結晶性材料(ジステアリルテレフタレート(DST)(上述のように)および顔料濃縮物から配合した。顔料濃縮物を製造するプロセスは、米国特許出願整理番号13/680,716に記載されている。配合を表3に示し、インクサンプルをインク1およびインク2として標識した。顔料濃縮物はDST結晶、シアン顔料B4G、ポリエチレンイミン分散剤およびSunFlo SFD−B124共力剤を含有していた。インク1およびインク2についての顔料濃縮物の顔料含有量は、それぞれ15%および25%であった。こうした比それぞれが、得られたインクに2%顔料充填量を与えた。
インク濃縮物ビヒクルは、DST(89.6g)およびポリエチレンイミン分散剤(32.0g)を含み、これに共力剤Solsperse5000(Lubrizol Corpから入手可能(6.4g))および顔料Hostaperm Blue B4G(Clariant Corp.から入手可能(32.0g))を添加した。撹拌されたインク濃縮物(12.0g)に、上述された希釈剤の均質な溶融混合物(138.0g)を徐々に添加した。得られたインクを磁性撹拌棒を用いて120℃の温度で1時間撹拌した。
Figure 2014133890
インク濃縮物をUnion Process Model01磨砕機を用いて調製し、1800gの1/8”Grade440Cステンレススチール媒質を充填した。濃縮ビヒクルの構成成分を溶融し、均質になるまでビーカー中で撹拌し、次いで磨砕機に充填した。100rpmにて撹拌しながら、共力剤粉末を2〜3分かけて添加し、続いて顔料Hostaperm Blue B4G(Clariant Corporationから入手可能)を5分間かけて添加した。混合物を100rpmにて30分間撹拌し、乾燥粉末を十分湿潤させることができ、次いでミル加工速度を約18時間にわたって300rpmに増大させた。次いで得られたインク濃縮物を濾過によって分散媒質から分離させた。
インクは、上述の溶融インク濃縮物に均質な溶融希釈剤混合物を添加することによって調製し、これを磁性撹拌棒を用いて350rpmにて撹拌した。以下のそれぞれの場合に、希釈剤混合物をジステアリルテレフタレート(DST)(109.3g)および非晶質樹脂化合物2(28.7g)を含んでいた。
図4は、インクサンプルインク1のレオロジーデータを示す。インクは約90℃にて>10cpsへの急激な相転移を示し、140℃での粘度は約11.05cpsであったが、これは受容可能な噴出粘度(10cps)に非常に近い。粘度のさらなる低下は、粘度調整剤を用いることによって、または非晶質材料の量を低減することによって達成できる。
インクテストおよび評価
結晶化速度
結晶化速度は、製造インクの非常に重要な特徴である。結晶化速度は、印刷後にインクに接触できる速度を指定し、印刷速度および普通紙の透き通しに影響する。結晶化速度がより速くなると、印刷速度が速くなる。インクベースサンプルは、80重量%のDST結晶および20重量%の化合物4から製造した。結晶化速度は、時間分解光学顕微鏡法(TROM)実験を用いて測定した。
化合物4からのインクベースは、合計5秒の非常に迅速な結晶化速度を示した(結晶化オンセット時間は4秒、結晶化経過時間は1秒)。その結果は、現在の主流のChandraインクに匹敵し、非晶質は結晶化速度に影響しなかったことを示した。
堅牢性テスト
インク1および2を、低圧に設定された圧力ロールを装備したK−プルーファーグラビア印刷プレートを用いて、Xerox(登録商標)Digital Color Elite Gloss120gsm(DCEG)コーティング紙上に印刷した。グラビアプレート温度を142℃に設定したが、実際のプレート温度は約134℃である。K−プルーファー装置(RK Print Coat Instrument Ltd.,Litlington,Royston,Heris,SG80OZ,U.K.によって製造)は、小規模で種々のインクをスクリーニングするため、および種々の基材上の画像品質を評価するために有用な印刷ツールである。インクは、基材から容易に除去できない堅牢性の画像を与えた。垂直から約15°の角度にて湾曲した先端を有する金属先端を、528gの重りを適用し、約13mm/sの速度で画像を横切って引き寄せた場合に、インクは画像から明確には取り除かれなかった。先端は、約12mmの曲率半径を有する旋盤円形ノーズ切削ビットに類似する。

Claims (10)

  1. イソホロンジアミンのジアミド誘導体である非晶質化合物を含む相変化インク構成成分。
  2. 前記非晶質化合物が、以下の一般式を有する、請求項1に記載の相変化インク構成成分
    Figure 2014133890
    (式中、RおよびR’のそれぞれは、互いに独立に、またはそれらは同一または異なることができることを意味して、アルキル基(ここでこのアルキル部分は、約1〜約40個の炭素原子を有する直鎖、分岐または環状、飽和または不飽和、置換または非置換であることができる)あるいは置換または非置換の芳香族またはヘテロ芳香族基およびこれらの混合物からなる群から選択される)。
  3. 前記非晶質化合物が約−20〜約50℃のTgを有する、請求項1に記載の相変化インク構成成分。
  4. 前記非晶質化合物が、140℃で約200cps未満の粘度を有する、請求項1に記載の相変化インク構成成分。
  5. 前記非晶質化合物が、室温で約10cpsを超える粘度を有する、請求項1に記載の相変化インク構成成分。
  6. 前記非晶質化合物が、アミド化反応によってイソホロンジアミンから合成される、請求項1に記載の相変化インク構成成分。
  7. 請求項1に記載の相変化インク構成成分を含む相変化インク。
  8. イソホロンジアミンのジアミド誘導体であり、イソホロンジアミンと酸または酸クロライドとから以下に示されるようなアミド化反応によって合成される非晶質化合物を含む相変化インク構成成分
    Figure 2014133890
    (式中、Rは、アルキル基(ここでこのアルキル部分は、約1〜約40個の炭素原子を有する直鎖、分岐または環状、飽和または不飽和、置換または非置換であることができる)あるいは置換または非置換の芳香族またはヘテロ芳香族基およびこれらの混合物からなる群から選択される)。
  9. 前記酸または酸クロライドが、ピバロイルクロライド、2−エチルヘキサン酸、酪酸、ヘキサン酸およびこれらの混合物から選択される、請求項8に記載の相変化インク構成成分。
  10. Figure 2014133890
    およびこれらの混合物からなる群から選択される、イソホロンジアミンのジアミド誘導体である非晶質化合物を含む相変化インク構成成分。
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