JP2014116275A - リチウムイオン二次電池用負極及びそれを用いた二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価かつ簡易に製造することのできる高容量でかつサイクル性に優れる非水電解質二次電池用薄膜負極を提供する。
【解決手段】
気相法により、ケイ素Siと元素M(Ni、Ti、Fe)を、0.66<Si/(Si+M)<0.98の組成比(原子数)にて、同時に堆積させて形成された負極活物質層を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極であり、当該活物質層に3〜100nm厚のSiの多い層と3〜100nm厚のSiの少ない層が相分離し、多層構造となっていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高容量かつサイクル性に優れたリチウムイオン二次電池用負極及びそれを用いた二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池の負極には、黒鉛系材料が用いられているが、さらなる容量向上には限界に達している。そこで、黒鉛の10倍程度の容量を有するケイ素(4200mAh/g)を負極活物質として用いて、リチウムイオン二次電池の大幅な高容量化を達成する試みが検討されている。しかしながら、ケイ素を負極活物質として用いた場合、充電および放電に伴う膨張および収縮の度合いが大きいため、充放電に伴う膨張収縮によって活物質が微粉化したり、集電体から脱落したりして、サイクル性が低下するという問題がある。
一方、集電体上に気相法によってケイ素薄膜を形成させた薄膜負極が注目されている。その理由は、結着剤が不要であるので充填率を高めることができ、負極容量を高めることができること、結着剤の電解液耐性を考慮する必要がないこと、リチウムイオン二次電池の水分量を大幅に低減できることを利点とするためである。薄膜負極においても、充放電の際の膨張収縮がサイクル性の低下因子となることが知られているが、薄膜負極のサイクル性の向上のために、表面粗度の高い集電体を基材とすることが開示されている(特許文献1)。そのサイクル性が向上する理由は、表面粗度の高い集電体により、集電体の凹凸に対応したクラックが薄膜に導入され、このクラックが充放電の際の体積変化を吸収するためとされている。しかしながら、表面粗度の高い集電体は、価格が高く、実用化には適さない。
非特許文献1では、ケイ素と、リチウムと合金化しないジルコンから構成される合金薄膜負極が開示されている。膜厚が150nmと極めて薄い場合においてさえも、容量を保持できていない。また、このような薄膜では電池容量が少なく、実用的な容量とのために膜厚を大きくした場合には、膨張収縮際の応力が増大するため、サイクル性がさらに悪化することが予想される。このように、薄膜負極においては、リチウムと合金化しない第2成分を存在せしめるだけでは、サイクル性は向上しない。
特許文献2において、表面粗度の高い集電体を使用したうえで、ケイ素とリチウムと合金化しない元素を同時に気相成膜した負極も開示されている。しかしながら、出力特性を高めるための発明であり、サイクル特性が向上するかは不明である。また、その膜の微細構造も不明である。
特許文献3では、リチウムを吸蔵する金属または合金と、リチウムを吸蔵しない金属または合金を交互に積層した負極が開示されている。一方、特許文献4では、積層体は負極活物質層がケイ素およびリチウムと合金化しない元素を各々含有する第1の層および第2の層を交互に積層したものであり、かつ、それら第1および第2の層におけるケイ素含有率が異なる負極が開示されている。そして、このような組成変動により、応力緩和と各層間の密着力を向上させることができるために、サイクル特性に優れるとしている。しかしながら、前述の構造体を得るには、数回の積層を繰り返す必要があることから、生産安定性が乏しい問題がある。また、積層に起因した各層間の界面は存在することから、その界面での密着力の脆弱性を払拭できないと考えられる。
特許3733067号公報 特開2007−26805号公報 特許3565272号公報 特開2011−165402号公報
Journal of Power Source, 146, 464 (2005)
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、安価かつ簡易に製造することのできる高容量でかつサイクル性に優れる非水電解質二次電池用薄膜負極を提供することにある。
上記課題を解決する本発明は、以下の構成からなる。
1.加熱した集電体上に、ケイ素Siと、Ni、Ti、Feからなる群より選択されてなる元素Mを、0.66<Si/(Si+M)<0.98の組成比(原子数)にて、気相法により同時に堆積させて形成された負極活物質層を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
2.該集電体の加熱温度が、150℃以上700℃未満であることを特徴とする1.に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
3.集電体と負極活物質層を有し、該活物質層中に、ケイ素Siと、Ni、Ti、Feからなる群より選択されてなる元素Mを含有すると共に、該活物質層に3〜100nm厚のSiの組成比(原子数)が多い層と3〜100nm厚のSiの組成比が少ない層を有し、該層が相分離し、多層構造となっていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
4.該活物質層全体の、ケイ素Siと前記元素Mの組成比(原子数)が0.81<Si/(Si+M)<0.87であることを特徴とする1.から3.に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
5.以下の要件を満たすことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
(1)集電体と負極活物質層を有し、該活物質層中に、ケイ素SiとNi、Ti、Feからなる群より選択されてなる元素Mを含有すると共に、該活物質層の厚さ断面方向において、ケイ素Siと元素Mの組成比Si/(Si+M)が0.5〜0.98の範囲で、周期3〜100nmにて変動する。
(2)該活物質層において、Xを該活物質層の厚さ方向の軸とし、Yを該活物質層の厚さ方向におけるSi/(Si+M)とするととき、Yの傾き
(Y1−Y2)/(X1−X2)
がゼロである点とそれに近接するゼロである点の間隔が8nmより大きい区間を含まない。
ただし、
X1: 任意の位置(nm)
X2: X1±1(nm)、または、X1±2(nm)
Y1: X1(nm)におけるSi/(Si+M)
Y2: X2(nm)におけるSi/(Si+M)
6.該元素MがNiであり、該負極活物質層がX線回折パターンにおいて、2θが27〜30°の範囲及び46〜49°の範囲のすくなくとも一方に回折ピークを有することを特徴とする3.から5.リチウムイオン二次電池用負極。
7.該集電体の表面粗さRaが0.01μm以上2μm未満であることを特徴とする1.から6.に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
8.1.から7.に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、安価かつ簡易に製造することができ、高容量でかつサイクル性に優れることから、リチウムイオン二次電池の容量増大に大きく寄与するものである。
実施例1の負極の断面を示す走査透過電子顕微鏡写真。 実施例1の負極の断面のEDX検出結果を示す図。 実施例1の負極の、厚さ方向の距離に対する、Si/(Si+Ni)、およびその傾きのプロットを示す図。 実施例1及び3の負極のX線回折パターンを示す図。 比較例1の膜の断面を示す走査透過電子顕微鏡写真。 比較例1の膜の断面のEDX検出結果を示す図。 比較例1の膜の、厚さ方向の距離に対する、Si/(Si+Ni)、およびその傾きのプロットを示す図。 コインセルの構造を示す図。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、集電体と負極活物質層を含有してなり、集電体上の負極活物質層が、それぞれの層を交互に積層することにより形成されたものでなく、ケイ素とその他の元素Mを気相法により同時に集電体上に堆積させることで形成されるものである。すなわち、従来の技術とは異なり、層状の相分離により、交互積層の構造となるが、層間に明確な界面がないことから、各層間の密着力が強固になると期待される。また、一度の気相成膜プロセスにより形成されることから、生産性に優れるものである。
本発明における好適な材料、好適な実施形態などについて、以下に詳細に説明する。
<負極活物質層>
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の負極活物質層は、ケイ素と、後述のその他の元素Mを気相法により同時に集電体上に堆積させることで形成されるものであり、3〜100nm厚のよりSiの多い層と3〜100nm厚のよりSiの少ない層が相分離し、多層構造となっている。元素Мの原子番号がSiより大きい場合には、後述の走査透過電子顕微鏡あるいは透過電子顕微鏡にて得られる明視野像において、Siのより多い層が明るく、Siのより少ない層が暗くなり、元素Mの原子番号がSiより小さい場合は、その逆となることを利用することで、Siのより多い層とSiのより少ない層の判別をすることができる。
Siをより多く含む層およびSiをより少なく含む層の厚みについて言及する。本発明において、Siをより多く含む層とSiをより少なく含む層の界面は不明瞭であるが、通常の視力を有する者が、走査透過電子顕微鏡あるいは透過電子顕微鏡にて得られる明視野像より測長して求まる厚みであり、その誤差は±1nmである。本発明における各層の厚みはSiをより多く含む層の厚みの下限は好ましくは3nmであり、より好ましくは5nmであり、さらに好ましくは8nmである。上記未満であるとサイクル性が悪化することがある。厚みの上限は好ましくは100nmであり、より好ましくは80nm、さらに好ましくは60nmである。上記を越えるとサイクル性が悪化することがある。
本発明において、その他元素Mとしては、リチウムを吸蔵せず、かつケイ素と金属間化合物を形成する元素が好ましく、具体的にはTi、Ni、Feがより好ましい。これらの元素により、本発明の特徴的な構造が得られる。
活物質相中のSi/(Si+M)の下限は好ましくは0.66であり、より好ましくは0.7であり、さらに好ましくは0.74である。上記未満であると高容量化が達成できないことがあり、また、本発明の特徴的な構造が得られないため、サイクル性に劣ることがある。Si/(Si+M)の上限は好ましくは0.98であり、より好ましくは0.95であり、さらに好ましくは0.93である。上記を越えると本発明の特徴的な構造とならないため、サイクル性に劣ることがある。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の活物質層は、その厚さ方向の組成分布にも特徴を有する。厚さ方向におけるSi/(Si+M)は周期的に変動し、下限は好ましくは0.5であり、より好ましくは0.52、さらに好ましくは0.55である。Si/(Si+M)の上限は好ましくは0.98であり、さらに好ましくは0.95である。上記を越えるとサイクル性が悪化することがある。その周期の下限は、好ましくは3nm、より好ましくは、5nm、さらに好ましくは、10nmである。上限は、好ましくは100nm、より好ましくは80nm、さらに好ましくは60nmである。上記を越えるとサイクル性が悪化することがある。なお、ここでの周期は、Si/(Si+M)の距離に対するプロットをフーリエ変換した際に最も強度の大きい振幅を示すピークの周期である。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の活物質層は、断面方向の組成分布に関して以下の特徴を有する。
Xを該活物質層の厚さ方向の軸とし、Yを該活物質層の厚さ方向におけるSi/(Si+M)とするととき、Yの傾き
(Y1−Y2)/(X1−X2)
がゼロである点とそれに近接する傾きがゼロである点の間隔が8nmより大きい区間を含まない。
ただし、
X1: 任意の位置(nm)
X2: X1±1(nm)、または、X1±2(nm)
Y1: X1(nm)におけるSi/(Si+M)
Y2: X2(nm)におけるSi/(Si+M)
逆に、交互に積層した膜の場合、明瞭な界面を有するために、組成変動の傾きを定めることができ、傾きがゼロである平坦部から増加(あるいは減少)し、傾きがゼロである平坦部に達するまでの区間の間隔が8nmより大きい区間を含んでいる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の活物質層は、加熱した集電体上に気相法にて堆積されるため、結晶性を有する。特に、その他元素MがNiの場合には、そのX線回折パターンにおいて、シリサイドであるNiSi結晶に由来する回折ピークを、2θが27〜30°の範囲及び46〜49°の範囲の少なくとも一方に確認することができる。この結晶ピークをもたらすNiSiは、Siの少ない層に存在すると推定される。そして、Siの少ない層が結晶性を有するため、その層へのLiの進入が困難である。すなわち、良好な体積緩和層として作用することができ、良好なサイクル特性を示すようになる。
<集電体>
集電体は、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する金属材料により構成されているのが好ましい。この金属材料としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどが挙げられる。中でも、金属材料としては、高い電気伝導性が得られることから、銅が好ましい。集電体は、厚みの薄いものであることが好ましく、金属箔であることが好ましい。集電体の厚みの下限は3μmであり、より好ましくは5μmであり、上記未満であると取り扱いが困難であったり、負極活物質堆積後に大きな反りが発生する。厚みの上限は、30μmであり、より好ましくは25μmである。上記を超えると、電池としての重量容量および体積容量を低下させることとなる。
本発明において、集電体が銅箔の場合、圧延銅箔または電解銅箔を好適に使用することができる。
さらに、集電体の表面は、適度に粗面化されているのが好ましい。いわゆるアンカー効果によって集電体と負極活物質層との間の密着性が向上するからである。集電体の表面粗さRaの上限値は特に制限されるものではないが、表面粗さRaが2μmを超えるものは電池として実用的な銅箔としては一般に入手しにくいため、表面粗さRaの好ましい範囲の上限値としては2μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。また、表面粗さRaの下限値は、0.01μm以上であることが好ましい。 集電体の表面粗さRaの下限は好ましくは0.05μmであり、より好ましくは0.1μmである。上記未満であると、基材との密着が確保できず、サイクル性が不良となる。
集電体の表面粗さRaの上限は好ましくは2μmであり、より好ましくは1μmである。上記を超える表面粗さの銅箔は一般に入手しにくいためである。
なお、表面粗さRaは、日本工業規格(JIS B 0601−1994)に定められており、たとえば表面粗さ計により測定することができる。
高い電気伝導性、表面粗さ、入手し易さを考慮すると、銅箔は電解銅箔が最も好ましい。
<負極の製造方法>
負極活物質層が気相法によって集電体上に形成されることで、本発明の負極が製造される。気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法、より具体的には電子ビーム蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(CVD;ChemicalVapor Deposition )法、プラズマ化学気相成長法あるいは溶射法などが挙げられる。なかでも、堆積速度が速く、生産性に優れる電子ビーム蒸着法が好ましい。
本発明の負極活物質層は、前記気相法によりSiとその他金属Mを同時に集電体上に堆積することで形成されるため、例えば電子ビーム蒸着をするにあたっては、2つの蒸着源が必要となる。そして、負極活物質層中の元素の組成は、電池ビームの出力によりSiとその他金属Mの成膜速度を変更することで、コントロールすることができる。製造装置の規模や態様により、望ましい成膜速度を得るための電子ビームの出力は異なる。望ましいSiの成膜速度は1nm/s以上であり、これ未満であると、生産性に劣るものとなる。その他元素Mの成膜速度は、Siの成膜速度に応じて、所定の組成となるように選定すればよい。
本発明の負極活物質層を形成させるには、該負極活物質層形成時に集電体を所定の温度で加熱することが好ましい。加熱により相分離が促進され、本発明の特徴である結晶性が発現するためである。また、活物質層と集電体がその界面において原子レベルで拡散することや、成膜時の応力が緩和されることにより、集電体と負極活物質層の密着力が強固になるからである。特に、集電体の表面粗さRaが0.3μm未満の場合に、活物質層と集電体が密着しないことがあるが、本発明では加熱により、集電体の表面粗さRaが0.3μm未満の場合であっても、好適に密着することができる。加熱温度の下限は、150℃であり、より好ましくは200℃以上である。上記未満であると、活物質層と集電体が密着しないことがある。加熱温度の上限は700℃であり、好ましくは600℃である。上記を越えると、サイクル特性が悪化したり、活物質層と集電体が密着しないことがある。
<リチウムイオン二次電池>
本発明において、リチウム二次電池は、上記本発明の電極からなる負極と、正極と、セパレータ、非水電解質とを備えることを特徴としている。
正極は、例えば、一対の面を有する正極集電体に正極活物質層が設けられたものである。この正極集電体は、例えば、アルミニウム、ニッケル、あるいはステンレスなどの金属材料によって構成されている。なお、正極活物質層は、正極活物質を含んでおり、必要に応じて結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
正極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn22、LiMnO2、LiCo2Ni22、LiNi2Co2Mn22などのリチウム含有遷移金属酸化物や、MnO2などのリチウムを含有していない金属酸化物が例示される。また、この他にも、リチウムを電気化学的に挿入・脱離する物質であれば、制限なく用いることができる。
正極結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
正極導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックあるいはケチェンブラックなどの炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などでもよい。
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡(ショート)を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜や、セラミックからなる多孔質膜などによって構成されており、これらの2種以上の多孔質膜が積層されたものであってもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は、ショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による二次電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100℃以上160℃以下でシャットダウン効果を得ることができると共に、電気化学的安定性が優れているので好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安定性を備えた樹脂であれば、ポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合させたものや、ブレンド化したものであってもよい。
本発明のリチウム二次電池に用いる電解質の溶媒は、特に限定されるものではないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネートと、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネートとの混合溶媒が例示される。また、前記環状カーボネートと1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル系溶媒との混合溶媒も例示される。また、電解質の溶質としては、LiPF、LiBF、LiCF3SO、LiN(CFSO)、LiN(CSO2)、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO)3、LiC(CSO)など及びそれらの混合物が例示される。さらに電解質として、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、LiI、LiNなどの無機固体電解質が例示される。本発明のリチウム二次電池の電解質は、イオン導電性を発現させる溶質としてのLi化合物とこれを溶解・保持する溶媒が電池の充電時や放電時あるいは保存時の電圧で分解しない限り、制約なく用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
本発明の負極の性能は以下の方法により測定した。
(1)活物質層の組成分析(Si/(Si+M))
負極活物質薄膜の表面のエネルギー分散型X線分析(EDX:Energy Dispersive X−ray spectrometer)により測定した。
(2)走査透過電子顕微鏡
イオンフォーカスビームにより微少薄片(幅5μm、奥行き100nm)を作製し、日立ハイテクノロジーズ製 HD−2700の走査透過電子顕微鏡を用いて、明視野像を測定した。加速電圧 は200kVである。
(3)断面の組成分布(Si/(Si+M))
(2)の走査透過電子顕微鏡で得られる断面の300000倍の明視野像に対して、装置に取り付けられたEDAX製 GenesisのX線検出器 (Si/Li半導体検出器)により、EDX測定を行うことで断面の組成分布を測定した。その他の条件は以下のようになっている。
エネルギー分解能:約140eV
X線取出角:25.7度
立体角:0.31sr
測定距離:450nm
取込点数:300点
取込時間:1sec/点
Si、M以外にも、コンタミネーションであるOや、集電体の元素(例えばCu)が検出されるが、線分析により求まるSiとMの原子%からSi/(Si+M)を算出し、これを厚さ方向の測定距離に対してプロットする。活物質層のみが含まれる範囲にある256点にてフーリエ変換を行い、最も強度の大きいピークの周波数の逆数を周期とした。活物質層のみが含まれる範囲において、Si/(Si+M)の傾きを算出し、測定距離に対してプロットする。
(4)X線回折パターン
負極活物質薄膜のX線回折パターンを、CuKα線を光源として用い、加速電圧を40kV、電流を30mA、測定間隔を0.05°として、2θ/θ法にて測定した。
以下の実施例及び比較例においては、対極としてリチウム箔を用いた試験用電池(ハーフセル)を用いていたものもあるが、これは本発明にかかる負極の特性のみを評価することを目的としたためである。
(実施例1)
300℃に加熱した厚さ15μmの電解銅箔(Ra=0.2μm)に、電子ビーム蒸着により、Si/(Si+Ni)=0.84である負極活物質層を厚さ4μmで形成させた。このような組成の制御は、電子ビームの出力制御により、SiとNiの各々の蒸着源の成膜レートを変化させることで行った。成膜に要した時間は8分である。
EDXによって、負極活物質層のSi/(Si+Ni)が0.84であること確認した。
このようにして得られた負極の断面を走査透過電子顕微鏡により観察したところ、図1に示すような層状構造が確認できた。一般的に、軽原子は重原子より明るい像となる。本実施例では、SiがNiより軽いため、明るく観察される層がSiがより多い層となり、暗く観察される層がSiがより少ない層となる。Siのより多い層の厚みは10〜30nmであり、Siのより少ない層の厚みは5〜20nmであることが確認できた。また、Siのより多い層とより少ない層の界面は、比較例1の交互に積層した膜よりも不明瞭である。
図2はEDX線分析を行った箇所と、その箇所における各元素の検出強度を示すものである。図3には、図2のEDX線分析に結果に基づいて算出したSiの組成比(原子数)Si/(Si+Ni)の厚さ方向の距離に対するプロットを示しており、Si/(Si+Ni)が0.6〜0.95の間で変動がしていることが確認できる。また、フーリエ変換により周期を算出したところ、40nmであった。また、図3には、厚さ方向の距離すなわちXに対する、Si/(Si+Ni)の傾きすなわちYの傾きのプロットも示しており、傾きの値がゼロである点と近接するゼロの点の間隔が8nmより大きい区間が存在しないことが確認できる。
図4に示すX線回折パターンにおいて、2θが27〜30°と46〜49°の範囲にピークを確認できた。
直径11mmに切り出した負極、直径13mmのリチウム箔、微孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータを使用し、2032型コインセルを作製した。この際、電解液には、炭酸エチレン(EC)50重量%と炭酸ジエチル(DEC)50重量%とを混合した溶媒に、電解質塩としてLiPFを1mol/kgの濃度で溶解させたものを用いた。コインセルの作製は、露点−60℃のドライルーム内で実施した。
サイクル試験は、放電電圧0V、充電電圧1Vとして、0.6mA/cmの定電流密度にて実施した。(50または100サイクルの放電容量/2サイクル目の放電容量)×100により、50サイクル、100サイクルの放電容量維持率(%)を算出した。
(比較例1)
Si/(Si+Ni)=0.92と0.6の層を交互に蒸着して11層ずつ積層し、約400nmの膜を得た。各層の厚みは、それぞれ20nm、10nmである。図4の走査透過電子顕微鏡において、実施例1よりは明瞭な界面が確認できる。図5はEDX線分析を行った箇所を示している。図6は、図5のEDX線分析の結果に基づいて算出したSi/(Si+Ni)およびその傾きの厚さ方向の距離に対するプロットである。傾きの値がゼロである点と近接するゼロの点の間隔が8nmより大きい区間が存在する。
(比較例2)
負極活性物質層の膜厚を4μmとしたこと以外は、比較例1と同様に実施した。蒸着層が電解銅箔から剥離し、サイクル特性を評価することはできなかった。
(比較例3)
300℃に加熱した電解銅箔に、電子ビーム蒸着により、Siのみを2.5μm蒸着した。実施例1と同様にコインセルを作製し、サイクル特性を評価した。
(実施例2)
サイクル試験における電流密度を0.2mA/cm2としたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
(実施例3)
加熱温度を400℃に変更したこと以外は、実施例1と同様に実施した。走査透過電子顕微鏡により、Siのより多い層の厚みが10〜30nmであり、Siのより少ない層の厚みが5〜20nmであることが確認できた。図4に示すX線回折パターンにおいて、2θが27〜30°と46〜49°の範囲にピークを確認できた。
(実施例4)
サイクル試験における電流密度を0.2mA/cm2としたこと以外は、実施例3と同様に実施した。
(実施例5)
加熱温度を200℃に変更したこと以外は、実施例1と同様に実施した。走査透過電子顕微鏡により、Siのより多い層の厚みが10〜30nmであり、Siのより少ない層の厚みが5〜20nmであることが確認できた。
(実施例6)
NiをTiに変更したこと以外は、実施例1と同様に実施した。走査透過電子顕微鏡により、Siのより多い層の厚みが10〜30nmであり、Siのより少ない層の厚みが5〜20nmであることが確認できた。
(実施例7)
NiをFeに変更し、Si/(Si+Fe)=0.87としたこと以外は、実施例1と同様に実施した。走査透過電子顕微鏡により、Siのより多い層の厚みが10〜30nmであり、Siのより少ない層の厚みが5〜20nmであることが確認できた。
(実施例8)
実施例1で作製した負極を使用し、正極をLiCoOが塗布されたアルミ箔としたコインセルを作製した。サイクル試験は、放電電圧3V、充電電圧4Vとして、0.2mA/cm2 の定電流密度にて実施した。(50または100サイクルの放電容量/2サイクル目の放電容量)×100により、50サイクル、100サイクルの放電容量維持率(%)を算出した。
表1に実施例と比較例のサイクル特性の結果を示すが、本発明により、Si単独の負極活性物質層を用いた場合よりサイクル特性が飛躍的に向上することを確認できる。
本発明により、リチウムイオン二次電池に使用できる、サイクル特性に優れる高容量の負極を安価に製造できることから、産業界に大きく寄与することが期待される。
20 コイン型電池
21 正極ケース
22 正極
23 セパレータ
24 負極
25 ガスケット
26 封口板

Claims (8)

  1. 加熱した集電体上に、ケイ素Siと、Ni、Ti、Feからなる群より選択されてなる元素Mを、0.66<Si/(Si+M)<0.98の組成比(原子数)にて、気相法により同時に堆積させて形成された負極活物質層を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
  2. 該集電体の加熱温度が、150℃以上700℃未満であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  3. 集電体と負極活物質層を有し、該活物質層中に、ケイ素Siと、Ni、Ti、Feからなる群より選択されてなる元素Mを含有すると共に、該活物質層に3〜100nm厚のSiの組成比(原子数)が多い層と3〜100nm厚のSiの組成比が少ない層を有し、該層が相分離し、多層構造となっていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
  4. 該活物質層全体の、ケイ素Siと前記元素Mの組成比(原子数)が0.81<Si/(Si+M)<0.87であることを特徴とする請求項1から3に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  5. 以下の要件を満たすことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
    (1)集電体と負極活物質層を有し、該活物質層中に、ケイ素SiとNi、Ti、Feからなる群より選択されてなる元素Mを含有すると共に、該活物質層の厚さ断面方向において、ケイ素Siと元素Mの組成比Si/(Si+M)が0.5〜0.98の範囲で、周期3〜100nmにて変動する。
    (2)該活物質層において、Xを該活物質層の厚さ方向の軸とし、Yを該活物質層の厚さ方向におけるSi/(Si+M)とするととき、Yの傾き
    (Y1−Y2)/(X1−X2)
    がゼロである点とそれに近接するゼロである点の間隔が8nmより大きい区間を含まない。
    ただし、
    X1: 任意の位置(nm)
    X2: X1±1(nm)、または、X1±2(nm)
    Y1: X1(nm)におけるSi/(Si+M)
    Y2: X2(nm)におけるSi/(Si+M)
  6. 該元素MがNiであり、該負極活物質層がX線回折パターンにおいて、2θが27〜30°の範囲及び46〜49°の範囲のすくなくとも一方に回折ピークを有することを特徴とする請求項3から5に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  7. 該集電体の表面粗さRaが0.01μm以上2μm未満であることを特徴とする請求項1から6に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  8. 請求項1から7に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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