JP2014105352A - アルミニウムめっき液の分析方法およびアルミニウムめっき製品の製造方法 - Google Patents

アルミニウムめっき液の分析方法およびアルミニウムめっき製品の製造方法 Download PDF

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Satoru Tsuchiko
哲 土子
Takayasu Sugihara
崇康 杉原
Akihisa Hosoe
晃久 細江
Junichi Nishimura
淳一 西村
Kazuki Okuno
一樹 奥野
Kotaro Kimura
弘太郎 木村
Kengo Goto
健吾 後藤
Hideaki Sakaida
英彰 境田
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Abstract

【課題】イオン液体を含有するAlめっき液の高い腐食性にも拘わらず、AlCl の濃度を精度高く定量分析することができるAlめっき液の分析方法を提供する。
【解決手段】塩化アルミニウムおよびアルキルイミダゾリウムクロライドの混合比率が異なる複数の基準イオン液体についてラマン強度の測定を行い、一定の波数に出現する規格ピークの強度で規格化されたAlCl に関わる基準規格値と、AlCl の理論濃度値とにより検量線を作成し、アルミニウムめっき液について同様にラマン強度の測定、規格化することにより得られたAlCl に関わる分析用規格値から、検量線に基づきアルミニウムめっき液におけるAlCl の濃度を定量して、アルミニウムめっき液における塩化アルミニウムの含有比率を算出するアルミニウムめっき液の分析方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ラマン分光法を用いてイオン液体を含有するアルミニウムめっき液を定量分析するアルミニウムめっき液の分析方法および前記アルミニウムめっき液の分析方法を利用したアルミニウムめっき製品の製造方法に関する。
アルミニウム(Al)は電気伝導性、耐腐食性、熱伝導性、軽量性などに優れており、キャパシタやリチウムイオン電池などの蓄電デバイスの電極材料として広く用いられている。具体的な一例として、リチウムイオン電池の正極には、Al箔の表面に活物質を塗布した正極材料が使用されている。
そして、近年、単位面積当たりの活物質利用率を向上させるために、Al箔に替えて三次元網目構造のAl多孔体の使用が提案されている(例えば、特許文献1)。
このようなAl多孔体は、連通気孔を有する発泡ウレタン等の樹脂多孔体を支持体として、めっきによりAl被覆を施した後、樹脂多孔体を熱処理により分解、除去することにより作製される。
上記のAlめっきに際しては、水溶液系のめっき液を用いためっきが困難であるため、非水系の溶融塩めっき液を用いためっきが一般に行われており、溶融塩めっき液の内でも、多孔質樹脂支持体の溶解や分解を抑制するために、「イオン液体」と言われる融点が100℃以下の溶融塩が好ましく用いられている。
このようなイオン液体を含有するAlめっき液として、塩化アルミニウム(AlCl)とアルキルイミダゾリウムクロライドとの混合物があり、その内でも、AlClとエチルメチルイミダゾリウムクロライド(EMIC)との混合物(AlCl−EMIC)が一般的に使用されている。
このようなAlCl−EMICを含むイオン液体を含有するAlめっき液を用いたAlめっきは、従来、比較的短時間で行われており、めっき液の管理に関しては、Alめっき液を作製する際に、AlClとEMICのモル比をめっき効率が最も良いとされる2:1に調整しておくだけで充分であると考えられていた。
即ち、前記イオン液体を含有するAlめっきのめっき浴中では、AlClはAlCl とAlCl との形で存在し、このうちAlの電析に寄与するのはAlCl である。このため、通常、めっき浴は、Alめっき液を作製する際にこのAlCl の濃度が最大となるように、AlClとEMICのモル比が2:1に調整される。
特開2011−222483号公報
しかしながら、前記した樹脂多孔体へのAlめっきは、長尺帯状の支持体を連続的にロールから巻き出し、めっき浴を通過させてめっきを施した後、ロールに巻き取る、所謂ロールトゥロール(Roll to Roll)方式を用いて行われるため、長時間で連続的なめっきが必要になってきている。
このように長時間で連続的なめっきを行う場合、時間的経過に伴ってめっき浴中のAlめっき液の組成(AlClとEMICの比率)が変化して、最適とされる比率2:1からずれてくる。例えば、めっき時のジュール発熱によりめっき浴の温度が上昇して100℃を超えると、Alめっき液中のAlClが昇華してAlClの濃度の減少を招くため、AlClとEMICの比率が変化する。そしてこのような比率の変化が生じると、それに伴ってAlの電析に寄与するAlCl の濃度が減少する。
このようにAlの電析に寄与するAlCl の濃度が減少すると、安定した品質のAlめっきが困難となり、製品品質の不安定化を招く恐れがある。このため、めっき中に適宜Alめっき液の組成を分析して、めっき処理の開始から終了までの間、AlCl の濃度が最大となる、即ち、Alめっき液の組成が絶えず2:1となるように、適切に維持、管理する必要があり、Alめっき液を定量的に分析、具体的にはAlめっき液中のAlCl の濃度を定量的に分析する適切な分析方法が必要になってきた。
しかしながら、イオン液体を含有するAlめっき液は一般に腐食性が高いため、汎用的な分析方法を適用することが困難であるという問題があった。このような腐食性が高い液体を非接触で測定する方法としては、赤外分光法やラマン分光法が挙げられる。
この内、赤外分光法の場合には、測定領域が4000〜600cm−1に限られているため、AlCl 等のAl化合物のスペクトルが計測される領域である400cm−1を超える長波長の範囲については適用できない。
一方、ラマン分光法は、Al化合物の測定が可能であるが、ラマン強度が安定しないため、一般的に定量分析には向かないとされている分析方法である。
このように、イオン液体を含有するAlめっき液を定量分析する適当な分析方法が無かったため、適切な分析方法、特にAlの電析に寄与するAlCl の濃度を精度高く定量分析することができる分析方法の開発が求められていた。
そこで、本発明は、イオン液体を含有するAlめっき液の高い腐食性にも拘わらず、AlCl の濃度を精度高く定量分析することができるAlめっき液の分析方法を提供することを課題とする。
ラマン分光法は、前記した腐食性が高い液体を非接触で測定できることに加え、オンラインでリアルタイムに分析を行うことが可能である。また、市販のラマン分光分析装置の中には小型のラマン分光分析装置もあり、大きなスペースを必要としない。
本発明者は、上記の利点に注目してラマン分光法をAlめっき液の定量分析に適用する方法について種々の実験を行った。
その結果、検体をドライ雰囲気で調製し、且つ水分の影響を受けにくい条件で測定したときにAlCl のラマン強度が安定することが分かった。
通常、Alめっきは、Alめっき液が水と反応することを防ぐため、ドライ雰囲気で行われている。また、めっき浴には電流が流れているためAlめっき液に水分が浸入しても電気分解される。このため、Alめっき液は常時ドライな状態に保たれており、このようなAlめっき液を採取し水分の浸入を抑制してラマン分光法により測定することにより、容易にAlCl の濃度を精度高く定量分析することができる。
そして、水分の浸入を抑制するための好ましい雰囲気についてさらに検討を行ったところ、検体のサンプリングおよびラマン強度の測定を露点が−10〜−70℃のドライ雰囲気下で行った場合、ラマン強度がより確実に安定して、より精度の高い定量分析を行うことができることが分かった。
また、AlCl の濃度が異なる種々の検体を用意し、ラマン強度とAlCl の濃度との関係を調べた。その結果、AlCl のラマン強度とAlCl の濃度との間には優れた相関性があることが分かり、予め検量線を作成しておくことにより、分析をより迅速に行うことが可能になることが分かった。
具体的には、まず、塩化アルミニウムおよびアルキルイミダゾリウムクロライドの混合比率が異なる複数の基準イオン液体を準備し、各基準イオン液体についてラマン分光法における波数および強度を測定して基準ピークの測定を行う。次に、得られた基準ピークの内から、例えば、EMICのピーク強度のように、塩化アルミニウムおよびアルキルイミダゾリウムクロライドの混合比率に関係なく一定の波数に出現する規格ピークの強度を測定する。その後、各基準イオン液体についてAlCl に関わる基準ピークの強度を規格ピークの強度を用いて規格化してAlCl の基準規格値とする。
並行して、各基準イオン液体におけるAlCl の理論濃度値を、塩化アルミニウムおよびアルキルイミダゾリウムクロライドの混合比率に基づいて算出する。
次に、上記で得られたAlCl の基準規格値とAlCl の理論濃度値とを用いて、AlCl の基準規格値とAlCl の理論濃度値との関係を示す検量線を作成する。このように検量線を予め作成しておくことにより、Alめっき液の定量分析をより迅速に行うことができる。
即ち、分析対象のAlめっき液について、上記と同様にして、ラマン分光法における波数および強度を測定して分析用基準ピークの測定を行い、得られた分析用基準ピークの内から、AlCl に関わる分析用基準ピークを、上記規格ピークと同じ波数に出現する分析用規格ピークを用いて規格化してAlCl の分析用規格値とすることにより、この分析用規格値を前記の検量線に照らし合わせるだけで、Alめっき液におけるAlCl の濃度を精度高く定量することができる。
そして、ラマン分光法は、前記の通りオンラインでリアルタイムに分析を行うことが可能であるため、分析結果に基づいてめっき浴の組成の調整を遅延せずに実施することができ、めっき浴の組成を常時適切な組成に維持することが可能となる。また、市販のラマン分光分析装置の中には小型のラマン分光分析装置もあり、大きなスペースを必要としない。
請求項1ないし請求項4に記載の発明は、上記の知見に基づく発明である。
即ち、請求項1に記載の発明は、
塩化アルミニウムおよびアルキルイミダゾリウムクロライドの混合物からなるイオン液体を含有するアルミニウムめっき液の分析方法であって、
前記混合物における前記塩化アルミニウムおよびアルキルイミダゾリウムクロライドの混合比率が異なる複数の基準イオン液体を準備する工程と、
前記基準イオン液体の各々について、ラマン分光法における波数および強度を測定して、基準ピークを測定する工程と、
前記基準イオン液体の各々について、前記基準ピークの内、前記混合比率に関係なく一定の波数に出現する規格ピークの強度を測定する工程と、
前記基準イオン液体の各々について、AlCl に関わる前記基準ピークの強度を、前記規格ピークの強度により規格化してAlCl の基準規格値とする工程と、
前記基準イオン液体の各々について、前記混合比率に基づいてAlCl の理論濃度値を算出する工程と、
AlCl の前記基準規格値と前記理論濃度値に基づいて検量線を作成する工程と
を有するアルミニウムめっき液の分析方法である。
また、請求項2に記載の発明は、
分析対象の前記アルミニウムめっき液について、ラマン分光法における波数および強度を測定して、分析用基準ピークを測定する工程と、
前記分析用基準ピークの内、前記規格ピークと同じ波数に出現する分析用規格ピークを測定する工程と、
AlCl に関わる前記分析用基準ピークの強度を、前記分析用規格ピークの強度により規格化してAlCl の分析用規格値とする工程と、
前記検量線に基づき、前記分析用規格値から前記アルミニウムめっき液におけるAlCl の濃度を定量する工程と、
を有する請求項1に記載のアルミニウムめっき液の分析方法である。
また、請求項3に記載の発明は、
さらに、定量された前記AlCl の濃度に基づき、前記アルミニウムめっき液における塩化アルミニウムの含有比率を算出する
請求項2に記載のアルミニウムめっき液の分析方法である。
また、請求項4に記載の発明は、
前記アルミニウムめっき液からの検体のサンプリング、およびサンプリングされた前記検体の前記ラマン分光法による測定を、露点が−10〜−70℃のドライ雰囲気下で行う請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のアルミニウムめっき液の分析方法である。
次に、アルキルイミダゾリウムクロライドの内でも、炭素数が1〜3のアルキル基から選ばれたアルキル基の1種を有するアルキルイミダゾリウムクロライドが前記のイオン液体を含むアルミニウムめっき液の分析に好ましい。
このような炭素数が1〜3のアルキル基から選ばれたアルキル基の1種を有するアルキルイミダゾリウムクロライドとしては、前記したEMICに加え、ジメチルイミダゾリウムクロライド、ジエチルイミダゾリウムクロライド、プロピルメチルイミダゾリウムクロライドなどを挙げることができる。
そして、前記したアルキルイミダゾリウムクロライドの内でも、EMICが特に好ましい。
請求項5および請求項6に記載の発明は、上記の知見に基づく発明である。
即ち、請求項5に記載の発明は、
前記アルキルイミダゾリウムクロライドが、炭素数が1〜3のアルキル基から選ばれたアルキル基の1種を有する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のアルミニウムめっき液の分析方法である。
また、請求項6に記載の発明は、
前記アルキルイミダゾリウムクロライドが、エチルメチルイミダゾリウムクロライドである請求項5に記載のアルミニウムめっき液の分析方法である。
前記したように、ラマン分光法はオンラインでリアルタイムに分析を行うことが可能であるため、分析結果に基づいてめっき浴の組成の調整を遅延せずに実施することができ、めっき浴の組成を常時適切な組成に維持することが可能となる。この結果、長時間で連続的なめっきを行う場合であっても、安定した品質のAlめっき製品を製造することができる。
具体的には、Alめっき液におけるAlCl の濃度が上記のラマン分光法による分析により減少していることが判明した場合には、AlClをAlめっき液に補充して、めっき浴の組成をAlCl:EMIC=2:1(モル比率)に回復させることにより、AlCl の濃度を好適に維持、管理することができる。
請求項7に記載の発明は、上記の知見に基く発明であり、
塩化アルミニウムとアルキルイミダゾリウムクロライドが所定の比率で混合されてなる混合物を含有するアルミニウムめっき液を用いてめっきを行うアルミニウムめっき製品の製造方法であって、
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のアルミニウムめっき液の分析方法を用いて、前記アルミニウムめっき液におけるAlCl の濃度を定量分析し、
前記濃度に基いて前記混合物の前記比率を調整して、前記アルミニウムめっき液における前記AlCl の濃度を所定の値とする
アルミニウムめっき製品の製造方法である。
本発明によれば、イオン液体を含有するAlめっき液の高い腐食性にも拘わらず、AlCl の濃度を精度高く定量分析することができるAlめっき液の分析方法を提供することができる。
また、長時間で連続的なめっきを行う場合であっても、前記Alめっき液の分析方法を用いてAlめっき液の組成を適切に維持、管理することにより、安定した品質のAlめっき製品を製造することができるAlめっき製品の製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態で測定されたイオン液体Alめっき液のラマンスペクトルの1例を示す図である。
以下、本発明を実施の形態に基づき説明する。なお、以下の実施の形態においては、Alめっき液として、AlClおよびEMICからなるイオン液体を含有するめっき液を用いている。
1.ラマン分光法
最初に、ラマン分光法の概要について説明する。
ラマン分光法は、物質に単色光(レーザー)を照射して励起させ、それによりラマン散乱される光をスペクトルとして得、得られたスペクトルに基づいてその物質を測定する方法であり、ラマン散乱測定方法とも呼ばれる。
前記したように、イオン液体を含有するAlめっき液は反応性に富んでおり、水分と激しく反応する。そこで、イオン液体を含有するAlめっき液を石英セルなどに封入して検体を作製する場合や、この検体を用いて測定を行う場合には、水分の影響を避けるため、十分に低露点のドライ雰囲気下、例えば、露点が−10〜−70℃のドライ雰囲気のグローブボックス内等で行うことが好ましい。
そして、照射する励起光としては、波長が785nmのArレーザを用いることが好ましい。
2.AlCl の濃度の定量方法
次に、上記のラマン分光法に基づいてAlCl の濃度の定量を行う手順を具体的に説明する。
(1)検量線の作成
まず、AlCl の濃度の定量に用いる検量線を作成する。
(a)基準イオン液体の調製およびAlCl の理論濃度の算出
最初に、AlCl の濃度が異なる複数種類の基準イオン液体を検量線作成用検体として準備する。
このとき、各基準イオン液体中のAlCl の濃度は、AlClとEMICの混合比率(モル比率)によって理論的に算出することができることを利用する。
即ち、イオン液体中においてEMICはEMIとClとに解離するが、そこにAlClがあると、イオン液体全体における正負の電荷のバランスを取るために、ClがAlClと結びついてAlCl を生成する。しかし、AlClの比率が高くなってくると、AlCl のままでは正負の電荷のバランスが取れなくなるため、AlCl が順次AlClと結びついてAlCl を生成して、安定化する。
例えば、EMIC:AlCl=1:1(AlClのモル比率:50%)の場合には、全てがAlCl となり、AlCl の濃度(モル濃度)は0%となる。そして、EMIC:AlCl=2:3(AlClのモル比率:60%)の場合には、AlCl とAlCl とが半々に生成されて、AlCl の濃度は50%となる。また、EMIC:AlCl=1:2(AlClのモル比率:67%)の場合には、全てがAlCl となり、AlCl の濃度は100%となる。
このように、AlClとEMICの混合比率(モル比率)を定めることにより、イオン液体中のAlCl の濃度を理論的に算出することができる。
上記に基づき、AlClのモル比率が50%、60%、67%の3種類のAlCl の濃度が異なる基準イオン液体を窒素雰囲気グローブボックス内で調製することにより、サンプル1、サンプル2、サンプル3の検量線作成用検体を準備する。
(b)基準ピークの測定
次に、各サンプルを石英セルに封入し、励起波長785nm、測定範囲(ラマンシフト)1000〜200cm−1でラマン散乱測定を行い、図1に示すような基準ピークの波形を得る。なお、図1はサンプル3を測定して得られた波形であり、縦軸は強度(ラマン強度)(cnt)、横軸はラマンシフト(cm−1)である。
図1に示すように、AlCl に関わる基準ピークはラマンシフト310.1cm−1と378.6cm−1に表れる。また、600cm−1のピークは、AlClとEMICとの混合比率の変化に関係なく一定の波数に出現するEMICに関わる基準ピークである。
(c)基準規格値の算定
次に、上記AlCl に関わる基準ピークを、EMICに関わる基準ピークにより規格化することにより、AlCl の基準規格値を算出する。
(d)検量線の作成
その後、得られたAlCl の基準規格値を縦軸、AlCl の理論濃度を横軸として、複数プロットすることにより、検量線を作成する。
(2)Alめっき液におけるAlCl の濃度の定量
次に、分析対象であるAlめっき液におけるAlCl の濃度の定量について説明する。
ラインで使用中のめっき浴からAlめっき液をサンプリングして検体を作製した後、同様に、ラマン散乱測定を行い、分析用基準ピークを測定する。その後、AlCl に関わる分析用基準ピークの強度を、前記規格ピークと同じ波数に出現する分析用規格ピークにより規格化してAlCl の分析用規格値とする。得られたAlCl の分析用規格値を、検量線と照らし合わせて対比することにより、Alめっき液におけるAlCl の濃度を求める。
(3)Alめっき液におけるAlCl の濃度管理
以上のように、本実施の形態のイオン液体を含むAlめっき液の分析方法によれば、腐食性が高くて測定が困難なAlめっき液におけるAlCl の濃度をオンラインでリアルタイムに測定することが可能となる。そして、規格化された測定結果を用いて分析を行っているため、高い精度で分析を行うことができる。
そして、得られたAlCl の濃度は、前記したように、AlClとEMICのモル比と対応しているため、AlCl の濃度からアルミニウムめっき液における塩化アルミニウムの含有比率を算出することができる。そして、その結果に基づいて、直ちに、AlClとEMICのモル比を調節することができるため、常時、Alめっき液の組成を適切に管理することができる。
3.アルミニウムめっき製品の製造
長時間、連続的なめっきを行った場合、AlCl が消費されて、AlCl の濃度が減少してくる。また、前記したように、AlClの昇華などによってAlClのモル比が低下してくるため、AlCl の濃度がさらに減少する。この結果、安定した品質のAlめっきが困難となり、製品品質の不安定化を招く。
そこで、分析結果に基づいてAlめっき液の組成の調整を行う必要があるが、本実施の形態においては、ラマン分光法を用いてオンラインでリアルタイムに分析を行っているため、分析結果に基づいて、即時にAlめっき液の組成を調整することができ、AlCl の濃度を常時ほぼ100%に維持、管理することができる。
具体的には、ラマン分光法による分析により、Alめっき液におけるAlCl の濃度が予め定められた下限値(例えば90%)を下回っていることが判明した場合には、AlClをAlめっき液に補充して、AlCl の濃度を100%に回復させる。このとき、補充量は、前記したAlClとEMICの混合比率(モル比率)を定めることにより、イオン液体中のAlCl の濃度を理論的に算出することができることを利用して、適切に算出することができる。
このように、本実施の形態によれば、AlCl の濃度を常時ほぼ100%に維持、管理することができるため、長時間で連続的なめっきを行う場合であっても、安定した品質のAlめっき製品を製造することができる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。

Claims (7)

  1. 塩化アルミニウムおよびアルキルイミダゾリウムクロライドの混合物からなるイオン液体を含有するアルミニウムめっき液の分析方法であって、
    前記混合物における前記塩化アルミニウムおよびアルキルイミダゾリウムクロライドの混合比率が異なる複数の基準イオン液体を準備する工程と、
    前記基準イオン液体の各々について、ラマン分光法における波数および強度を測定して、基準ピークを測定する工程と、
    前記基準イオン液体の各々について、前記基準ピークの内、前記混合比率に関係なく一定の波数に出現する規格ピークの強度を測定する工程と、
    前記基準イオン液体の各々について、AlCl に関わる前記基準ピークの強度を、前記規格ピークの強度により規格化してAlCl の基準規格値とする工程と、
    前記基準イオン液体の各々について、前記混合比率に基づいてAlCl の理論濃度値を算出する工程と、
    AlCl の前記基準規格値と前記理論濃度値に基づいて検量線を作成する工程と
    を有するアルミニウムめっき液の分析方法。
  2. 分析対象の前記アルミニウムめっき液について、ラマン分光法における波数および強度を測定して、分析用基準ピークを測定する工程と、
    前記分析用基準ピークの内、前記規格ピークと同じ波数に出現する分析用規格ピークを測定する工程と、
    AlCl に関わる前記分析用基準ピークの強度を、前記分析用規格ピークの強度により規格化してAlCl の分析用規格値とする工程と、
    前記検量線に基づき、前記分析用規格値から前記アルミニウムめっき液におけるAlCl の濃度を定量する工程と、
    を有する請求項1に記載のアルミニウムめっき液の分析方法。
  3. さらに、定量された前記AlCl の濃度に基づき、前記アルミニウムめっき液における塩化アルミニウムの含有比率を算出する
    請求項2に記載のアルミニウムめっき液の分析方法。
  4. 前記アルミニウムめっき液からの検体のサンプリング、およびサンプリングされた前記検体の前記ラマン分光法による測定を、露点が−10〜−70℃のドライ雰囲気下で行う請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のアルミニウムめっき液の分析方法。
  5. 前記アルキルイミダゾリウムクロライドが、炭素数が1〜3のアルキル基から選ばれたアルキル基の1種を有する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のアルミニウムめっき液の分析方法。
  6. 前記アルキルイミダゾリウムクロライドが、エチルメチルイミダゾリウムクロライドである請求項5に記載のアルミニウムめっき液の分析方法。
  7. 塩化アルミニウムとアルキルイミダゾリウムクロライドが所定の比率で混合されてなる混合物を含有するアルミニウムめっき液を用いてめっきを行うアルミニウムめっき製品の製造方法であって、
    請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のアルミニウムめっき液の分析方法を用いて、前記アルミニウムめっき液におけるAlCl の濃度を定量分析し、
    前記濃度に基いて前記混合物の前記比率を調整して、前記アルミニウムめっき液における前記AlCl の濃度を所定の値とする
    アルミニウムめっき製品の製造方法。
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