JP2014102233A - 電磁波計測装置および電磁波計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁波を簡便に計測する。
【解決手段】本発明による電磁波計測装置(100)は、PN接合構造を有する半導体素子(10)と、半導体素子(10)のバンドギャップエネルギーよりも小さいフォトンエネルギーを有する電磁波の入射された半導体素子(10)において、電磁波の電界強度に応じた半導体素子(10)の変化を測定する測定部(20)とを備える。電磁波は30μmよりも長い波長を有していることが好ましく、また、測定部(20)は室温下であっても電磁波を測定できる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明による電磁波計測装置(100)は、PN接合構造を有する半導体素子(10)と、半導体素子(10)のバンドギャップエネルギーよりも小さいフォトンエネルギーを有する電磁波の入射された半導体素子(10)において、電磁波の電界強度に応じた半導体素子(10)の変化を測定する測定部(20)とを備える。電磁波は30μmよりも長い波長を有していることが好ましく、また、測定部(20)は室温下であっても電磁波を測定できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電磁波計測装置および電磁波計測方法に関する。
電磁波は対象物の観察に用いられる。例えば、周波数100GHz〜10THz、波長30μm〜3mmの範囲の電磁波はテラヘルツ(THz)の電磁波とも呼ばれ、このような電磁波は、プラスチック、布および紙等を透過し、物質固有の吸収スペクトルを有している。このため、テラヘルツの電磁波を利用した物性分析および検査等が、現在検討されている。また、非破壊で成分を分析できるため、従来の内部透視手段(X線、超音波他)に替わる新たな内部透視手段として期待されている。例えば、テロ対策や犯罪対策として、手荷物検査における爆発物(プラスチック爆弾、引火性液体他)、または、郵便封書内の禁止薬物(麻薬、覚醒剤他)といった従来の検査では検出不可能であった測定対象に対して、特徴的なテラヘルツ吸収を利用した分光イメージングの利用が提案されている。
テラヘルツの電磁波を計測する手法として、インコヒーレントな電磁波を計測する手法およびコヒーレントな電磁波を計測する手法がある。インコヒーレントな電磁波は、例えば、ボロメータ、ゴレイセル、パイロメータ等で計測される。しかしながら、これらの計測手法では、電磁波を熱に変換して計測するため、周囲の環境に影響を受けやすく、適切な計測が困難である。
一方、コヒーレントな電磁波を計測する手法として、例えば、電気光学サンプリング(Electro−Optical Sampling)や、光電導アンテナ(Photoconductive Antenna:PCA)などの手法が知られている(特許文献1、2参照)。電気光学サンプリングでは、電磁波を電気光学結晶に入射して結晶の複屈折を誘起し、電磁波によって誘起された複屈折による影響を、短光パルス(プローブ光)を用いて測定することにより、電磁波を計測する。また、光電導アンテナでは、光伝導膜を短波パルス(プローブ光)で励起して光伝導膜中にキャリアを生成させ、電磁波を短波パルスと重なるタイミングで入射することにより、電磁波の強度に比例した電流を計測する。
しかしながら、上述したコヒーレントな電磁波の計測手法では、いずれも、プローブ光の照射が必要である。このため、アライメントおよび同期が必要となり、装置が複雑になることがあった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、電磁波を簡便に計測可能な電磁波計測装置および電磁波計測方法を提供することにある。
本発明による電磁波計測装置は、PN接合構造を有する半導体素子と、前記半導体素子のバンドギャップエネルギーよりも小さいフォトンエネルギーを有する電磁波の入射された前記半導体素子において、前記電磁波の電界強度に応じた前記半導体素子の変化を測定する測定部とを備える。
ある実施形態において、前記電磁波は30μmよりも長い波長を有している。
ある実施形態において、前記測定部の測定は室温下で行われる。
ある実施形態において、前記電磁波計測装置は、前記PN接合構造に対して順バイアス電圧を印加する電圧印加部をさらに備える。
ある実施形態において、前記測定部は、前記PN接合構造からの発光の強度を測定する。
ある実施形態において、前記測定部は、前記PN接合構造を流れる電流の変化を測定する。
ある実施形態において、前記半導体素子の前記PN接合構造はアレイ状に配列されている。
本発明による電磁波計測方法は、PN接合構造を有する半導体素子を用意する工程と、前記半導体素子のバンドギャップエネルギーよりも小さいフォトンエネルギーを有する電磁波の入射された前記半導体素子において、前記電磁波の電界強度に応じた前記半導体素子の変化を測定する工程とを包含する。
ある実施形態において、前記測定する工程では、前記電磁波は30μmよりも長い波長を有している。
ある実施形態において、前記測定する工程では、前記測定は室温下で行われる。
ある実施形態において、前記測定する工程は、前記PN接合構造に対して順バイアス電圧を印加する工程を含む。
ある実施形態において、前記測定する工程では、前記PN接合構造からの発光の強度を測定する。
ある実施形態において、前記測定する工程では、前記PN接合構造を流れる電流の変化を測定する。
ある実施形態において、前記用意する工程では、前記半導体素子の前記PN接合構造はアレイ状に配列されている。
本発明によれば、電磁波を簡便に計測できる。
以下、図面を参照して本発明による電磁波計測装置および電磁波計測方法の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。
図1に、本実施形態の電磁波計測装置100の模式図を示す。電磁波計測装置100は、半導体素子10と、測定部20とを備えている。
半導体素子10はPN接合構造を有している。半導体素子10は、p型半導体層10pおよびn型半導体層10nを有している。p型半導体層10pには正孔(ホール)hが存在しており、n型半導体層10nには電子eが存在している。p型半導体層10pとn型半導体層10nとの境界には、n型半導体層10nからp型半導体層10pに向かう拡散電位Dが形成されている。半導体素子10は、例えば、GaN、または、GaAlAsから形成されている。例えば、半導体素子10として発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)が用いられる。
測定部20は、半導体素子10のPN接合構造に入射した電磁波Eの電界強度に応じた半導体素子10の変化を測定する。半導体素子10のPN接合構造に電磁波Eが入射すると、半導体素子10のPN接合構造内のn型半導体層10n内の電子eは、電磁波Eの電場にしたがって加速され、p型半導体層10p内にあった正孔hと再結合し、半導体素子10に変化が生じる。このときの半導体素子10の変化量は電磁波Eの電界強度に比例する。測定部20は半導体素子10の変化を測定する。測定部20は、室温下であっても電磁波Eを測定できる。
図2に示すように、測定部20は、一例として、PN接合構造からの発光の強度を測定してもよい。例えば、測定部20として、電荷結合素子(Charged Coupled Device:CCD)が用いられる。半導体素子10のPN接合構造に電磁波Eが入射されると、PN接合構造内のn型半導体層10n内の電子eは、電磁波Eの電場に応じて加速され、p型半導体層10p内の正孔hと再結合する。電子eが正孔hと再結合する際に、PN接合構造から発光が生じる。半導体素子10からの発光の強度は電磁波Eの電界強度に比例する。あるいは、図4を参照して後述するように、測定部20は、電磁波Eの入射に応じた半導体素子10を流れる電流の変化を測定してもよい。
例えば、電子eと正孔hとを再結合させるためには、電磁波Eの電界強度は比較的高いことが好ましく、電磁波Eの電界強度が100kV/mを超えていることが好ましい。しかしながら、半導体素子10および測定部20の感度および/または効率を高くできれば、電磁波Eの電界強度はそれほど高くなくてもよい。
本実施形態の電磁波計測装置100では、半導体素子10のバンドギャップエネルギーよりも小さいフォトンエネルギーを有する電磁波の入射された半導体素子10において、電磁波Eの電界強度に応じた半導体素子10の変化を測定する。このため、電磁波計測装置100は、プローブ光を用いることなく、コヒーレントな電磁波Eを低コストで計測できる。なお、電磁波のフォトンエネルギーが半導体素子のバンドギャップエネルギーよりも大きい場合(例えば、電磁波の波長が比較的短い場合)、半導体素子に電磁波が入射すると、電磁波のフォトンエネルギーによってn型半導体層内の電子が励起されてしまい、半導体素子の変化が生じることになる。なお、この場合、電磁波の電界強度に応じた半導体素子の変化が生じていたとしても、実質的には、電磁波のフォトンエネルギーに起因する半導体素子の変化量が大きいため、電磁波の電界強度に応じた半導体素子の変化を測定することが困難である。これに対して、本実施形態の電磁波計測装置100では、半導体素子10には、半導体素子10のバンドギャップエネルギーよりも小さいフォトンエネルギーを有する電磁波が入射されるため、測定部20は、フォトンエネルギーによる励起ではなく、電磁波Eの電界強度に応じた半導体素子10の変化を測定できる。
また、例えば、電磁波の周波数がTHzのオーダである場合、電磁波のフォトンエネルギーはmeVのオーダである。このため、電磁波のフォトンエネルギーによって励起させた素子の変化を検出しようとする場合、このような素子はノイズの影響を受けやすく、計測装置を冷却しなければ、電磁波を適切に計測することが困難である。これに対して、本実施形態の電磁波計測装置100によれば、電磁波Eの電界強度に応じた半導体素子10の変化を測定するため、室温下であっても、電磁波Eを適切に計測することができる。
本実施形態の電磁波計測装置100は、電磁波Eとしてミリ波から遠赤外波までの広範囲の電磁波を計測可能である。なお、一般的な計測装置では、波長30μmよりも長い電磁波Eを簡単には計測できないため、電磁波計測装置100は、波長30μmよりも長い電磁波Eの計測に好適に用いられる。波長30μmの電磁波Eのエネルギーは約41.4meVに相当する。例えば、半導体素子10がGaNから形成されている場合、バンドギャップエネルギーは約3.4eVであり、また、GaAlAsから形成されている場合、バンドギャップエネルギーは約1.5〜2.5eVである。なお、電磁波計測装置100は、バンドギャップの比較的大きい半導体素子10を用いた上で、波長の比較的短い電磁波(例えば、赤外光や可視光)を計測してもよい。
上述したように、電磁波の電界強度が比較的弱い場合、電磁波が半導体素子に入射しただけでは、電子の加速が十分ではなく、半導体素子内の電子と正孔との再結合が生じず、半導体素子の特性が変化しないことがある。しかしながら、この場合も、電磁波Eが入射する前に、半導体素子10に電圧を印加しておくことにより、測定部20は、半導体素子10の変化に基づいて電磁波Eを計測できる。
図3(a)に、本実施形態の電磁波計測装置100の模式図を示す。本実施形態の電磁波計測装置100は、PN接合構造に対して順バイアス電圧を印加する電圧印加部30をさらに備える点を除いて図2を参照して上述した電磁波計測装置100と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
本実施形態の電磁波計測装置100において、電圧印加部30は、半導体素子10に電圧を印加する。半導体素子10のn型半導体層10n側には電極30nが陰極として設けられており、半導体素子10のp型半導体層10p側には電極30pが陽極として設けられている。電圧印加部30は、半導体素子10に対して電極30pから電極30nに向かう一定の電圧を印加する。この電圧は、電磁波Eが入射しないと仮定した場合に、半導体素子10に印加しても、半導体素子10の変化が生じないが、さらに若干の電圧を加えたと仮定すると、半導体素子10の変化が生じるような電圧である。このような電圧はDCバイアス電圧とも呼ばれる。DCバイアス電圧は、半導体素子10の拡散電位Dを打ち消すように印加される。
図3(b)は、図3(a)に示した電磁波計測装置100において、電圧印加部30がDCバイアス電圧を半導体素子10に印加した状態で半導体素子10に電磁波Eが入射した場合の半導体素子10の電場変化を模式的に示したグラフである。DCバイアス電圧が印加された状態で半導体素子10に電磁波Eが入射されることにより、電磁波Eの電界強度が比較的弱くても、測定部20は半導体素子10の変化(ここでは、半導体素子10からの発光)を測定できる。
なお、図2および図3を参照して説明した電磁波計測装置100では、測定部20は、電磁波に応じた半導体素子10からの発光の強度に基づいて電磁波Eを測定したが、本発明はこれに限定されない。測定部20は、電磁波Eの電界強度に応じて半導体素子10の流れる電流を測定してもよい。
図4に、本実施形態の電磁波計測装置100の模式図を示す。本実施形態の電磁波計測装置100でも、半導体素子10のp型半導体層10pに電極30pが取り付けられており、半導体素子10のn型半導体層10nに電極30nが取り付けられており、電極30p、30nは電圧印加部30に接続されている。ここでは特に限定されないが、電圧印加部30は、図3を参照して上述したように、半導体素子10に対して順方向に電圧を印加することが好ましい。
本実施形態の電磁波計測装置100では、電圧印加部30から半導体素子10に電圧を印加するための配線に、測定部20として直流電流計が設けられている。半導体素子10に電磁波Eが入射すると、半導体素子10のn型半導体層10nの電子eが加速され、半導体素子10の抵抗が変化し、電流量が変化する。半導体素子10を流れる電流の変化量は、電磁波Eの電界強度に応じて異なるため、直流電流計20により、電磁波Eを計測できる。
以下に、図5〜図8を参照して、本実施形態の電磁波計測装置100による電磁波の計測をより具体的に説明する。図5に、本実施形態の電磁波計測装置100による電磁波の計測を説明するための模式図を示す。ここでは、半導体素子10として発光ダイオード(LED)を用いており、図3を参照して上述したように、電圧印加部30がLED10に順バイアス電圧を印加している。
図5に示した構成では、電磁波生成部110が、電磁波計測装置100に対してTHzの電磁波Eを照射する。電磁波生成部110は、レーザ光Laを用いてTHzの電磁波を生成する。例えば、レーザ光Laは、チタンサファイアレーザから出射され、波長約800nm、フェムト秒オーダの光である。例えば、レーザ光Laのパルス幅は100fsである。
電磁波生成部110は、周波数ωのレーザ光LaをレンズL1で集光する過程において非線形光学結晶NOを用いて2倍高調波を生成する。例えば、非線形光学結晶NOとしてBBO(β−BaB2O4)が用いられる。
その後、レーザ光Laおよび2倍高調波を混合させることにより、大気中でプラズマチャンネルPCを発生させる。プラズマチャンネルPCから、THzの電磁波を含む電磁波が放出される。
プラズマチャンネルにおいて生成した電磁波のうち、THzの電磁波を取り出す。具体的には、プラズマにおいて発生した電磁波のうちTHzの電磁波は、ポリマーフィルタPLを通過し、軸外し放物面鏡OAP(Off−Axis Parabolic)にて方向を曲げられるとともに集光される。軸外し放物面鏡OAPの集光位置にはLED10が配置されている。
軸外し放物面鏡OAPからLED10に到達する前に、THzの所定の電磁波Eを通過させるバンドパスフィルタBFが配置されている。ここでは、バンドパスフィルタBFはローパスフィルタである。
ここでは、電圧印加部30としてデジタルジェネレータが用いられ、LED10には、デジタルジェネレータ30からDCバイアス電圧が印加される。例えば、LED10として、株式会社東芝製の赤外LED TLN1108を用いており、このLED10の立ち上がり時間、立ち下がり時間の標準値は15nsである。
上述した説明から理解されるように、LED10に、THzの電磁波Eが入射すると、LED10から発光が生じる。この電磁波計測装置100では、測定部20として、電荷結合素子(Charged Coupled Device:CCD)を用いており、測定部20は、LED10からの発光を直接的に測定する。デジタルジェネレータ30は、DCバイアス電圧を印加するとともに、パルス状のレーザ光Laと合わせてCCD20が撮像を行うようにCCD20をトリガする。
図5に示した構成で測定を行う前に、まず、LED10の応答特性を測定した。ここで、図6(a)〜図6(c)を参照して、LED10の応答特性を説明する。LED10に対して、図6(a)に示すように、所定のDCバイアス電圧を印加した状態で、所定のパルス波を印加する。ここでは、パルス幅は5nsから1000nsを超えるまで変化させる。DCバイアス電圧に対する矩形パルス波の電圧は最大0.3Vである。
図6(b)に、DCバイアス電圧が0V、0.57V、1.48Vである場合のパルス幅に対するLED10の発光強度を示す。DCバイアス電圧が0Vの場合、パルス幅が約30nsよりも広いとLED10は発光し、パルス幅が広くなるほどLED10の発光強度は増加し、パルス幅が300nsを超える付近でLED10の発光強度は飽和する。
DCバイアス電圧が0.57Vの場合、パルス幅が約5nsよりも広いと、LED10は発光し、パルス幅が広くなるほど、LED10の発光強度は増加し、パルス幅が300nsを超える付近でLED10の発光強度は飽和する。また、DCバイアス電圧が1.48Vの場合、パルス幅が約5nsであってもLED10は比較的強く発光しており、パルス幅が広くなるほどLED10の発光強度は増加し、パルス幅が300nsを超える付近でLED10の発光強度は飽和する。このように、LED10において、DCバイアス電圧が高いほど、パルス幅が狭くても発光する。
また、図6(b)から理解されるように、DCバイアス電圧が0Vの場合、パルス幅が狭くなるとともに発光強度が急激に低下する一方で、DCバイアス電圧を印加する場合には、パルス幅が比較的狭くなっても、発光強度の低下をある程度抑制することができる。
さらに、図6(b)から理解されるように、同一のDCバイアス電圧で比較する場合、パルス幅が約300nsよりも狭い場合、パルス幅が広いほどLED10の発光強度は高くなる。また、同一のパルス幅で比較する場合、DCバイアス電圧が高いほどLED10の発光強度は高い。以上から、LED10は、ナノ秒オーダのパルス幅を有する電磁波に対して応答することが理解される。
図6(c)に、パルス幅が5ns、10ns、20nsの場合のDCバイアス電圧に対するLED10の発光強度を示す。パルス幅が5nsの場合、DCバイアス電圧が1Vよりも高くなるとLED10は発光し、DCバイアス電圧がさらに高くなるにつれてLED10の発光強度は増加する。DCバイアス電圧が約2Vを超える付近でLED10の発光強度は飽和する。
パルス幅が10nsの場合、DCバイアス電圧が約0.5Vよりも高くなるとLED10は発光し、DCバイアス電圧がさらに高くなるにつれてLED10の発光強度は増加する。DCバイアス電圧が約2Vを超える付近でLED10の発光強度は飽和する。
パルス幅が20nsの場合、DCバイアス電圧が0VでもLED10は発光しており、DCバイアス電圧が高くなるにつれてLED10の発光強度は増加し、DCバイアス電圧が約2Vを超える付近でLED10の発光強度は飽和する。
なお、このような応答特性を有するLED10を用いた場合、DCバイアス電圧を3.5V未満にすると、LED10のみでは発光せず、LED10の発光は電磁波Eが入射した場合に生じることになる。なお、DCバイアス電圧が3.5V以上であると、電磁波Eの入射に関わらずLED10が発光するため、図6(c)では、発光強度を示していない。ただし、この場合であっても、厳密には、比較的高いDCバイアス電圧を一定値で印加した状態で電磁波Eの入射前後のLED10の発光強度の差を求めることにより、電磁波Eの電界強度に応じたLED10の発光強度を測定できる。
図7(a)〜図7(d)に、図5に示した構成において、異なるDCバイアス電圧に応じたLED10からの発光強度分布を示したCCD像を示す。図7(a)〜図7(d)は、DCバイアス電圧をそれぞれ3.78V、5.61V、5.81V、5.83Vとした場合のCCD像である。
図7(a)〜図7(d)の比較から理解されるように、DCバイアス電圧が増加するほどLED10の発光強度は増加し、特に、DCバイアス電圧が5.6〜5.8V付近では、DCバイアス電圧のわずかな増加により、LED10からの発光強度が大きく増加する。
図8(a)は、図7のCCD像における発光強度を示したグラフである。DCバイアス電圧が3.78V、5.61V、5.81Vおよび5.83Vのそれぞれの場合の横方向に沿った画素の強度の積算結果を示す。図8(a)から明らかであるように、DCバイアス電圧が3.78Vの場合、発光強度はかなり低く、DCバイアス電圧が5.61V、5.63Vおよび5.83Vである場合、DCバイアス電圧が大きいほど、発光強度が増大する。
図8(b)は、電磁波の電界強度に応じたDCバイアス電圧に対する発光強度を示すグラフである。ここでは、電磁波Eが照射されない場合(電磁波Eの電界強度0)、電磁波Eの電界強度が0.45MV/cm、0.77MV/cmの場合の発光強度を示す。図5を参照して上述したように、電磁波はレーザ光Laから形成され、レーザ光Laのエネルギーは電磁波Eの電界強度に対応する。ここでは、レーザ光Laのエネルギーが18mJの場合、集光位置における電磁波Eの電界強度は0.45MV/cmとなり、また、レーザ光Laのエネルギーが30mJの場合、集光位置における電磁波Eの電界強度は0.77MV/cmとなる。
電磁波Eの電界強度が0.45MV/cmの場合、DCバイアス電圧の増加に対する発光強度の増加の割合は比較的小さく、電磁波Eの電界強度が0.77MV/cmの場合、DCバイアス電圧の増加に対する発光強度の増加の割合は比較的大きい。このように、レーザ光の強度が比較的高い場合、DCバイアス電圧の増加に対する発光強度の増加の割合は比較的大きくなる。以上のようにして、本実施形態の電磁波計測装置10により、電磁場Eの電界強度に応じた半導体素子10の変化を測定できることが確認された。
なお、上述した説明では、半導体素子10は1か所で発光したが、本発明はこれに限定されない。半導体素子10は複数個所で発光してもよい。
図9に、本実施形態の電磁波計測装置100の模式図を示す。電磁波計測装置100においてPN接合構造を有する半導体素子10がアレイ状に配列されている。例えば、アレイ状の半導体素子10としてLEDアレイが用いられ、アレイ状の測定部20としてCCDアレイが用いられる。各LEDからの発光強度は、CCDアレイの各画素が測定する。このように、半導体素子10および測定部20をアレイ状に設けることにより、電磁波Eを広い面積で短時間に計測できる。本実施形態の電磁波計測装置100は、イメージングデバイスとして好適に用いられる。本実施形態のようにアレイ化することにより、走査型イメージングデバイスと比べて、テラヘルツ像の取得をより高速に行うことができる。
なお、電磁波計測装置100は、コヒーレントな電磁波Eを対象物に照射した後、対象物の物性の反映された電磁波Eを計測してもよい。この場合、計測結果から、位相情報を取得でき、さらに、対象物の物性(例えば、屈折率等)を計測することができる。例えば、DCバイアス電圧を印加するタイミングを少しずつずらしながら計測した結果を処理することによって電磁波の時間波形を計測でき、時間波形の計測された電磁波を用いることにより、対象物の物性の反映された位相情報を取得できる。また、本実施形態の電磁波計測装置100では、電磁波Eを熱等に変換することなく検出しているため、半導体素子10に向かう電磁波Eの偏光および/または位相に応じて分離することにより、対象物の偏光等に対する特性を測定することができる。
本発明によれば、電磁波を簡便に計測できる。例えば、本実施形態の電磁波計測装置は、研究・分析用機器としてだけでなく、郵便物または空港等の検査装置として好適に用いられる。
10 半導体素子
20 測定部
100 電磁波計測装置
20 測定部
100 電磁波計測装置
Claims (14)
- PN接合構造を有する半導体素子と、
前記半導体素子のバンドギャップエネルギーよりも小さいフォトンエネルギーを有する電磁波の入射された前記半導体素子において、前記電磁波の電界強度に応じた前記半導体素子の変化を測定する測定部と
を備える、電磁波計測装置。 - 前記電磁波は30μmよりも長い波長を有している、請求項1に記載の電磁波計測装置。
- 前記測定部の測定は室温下で行われる、請求項1または2に記載の電磁波計測装置。
- 前記PN接合構造に対して順バイアス電圧を印加する電圧印加部をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の電磁波計測装置。
- 前記測定部は、前記PN接合構造からの発光の強度を測定する、請求項1から4のいずれかに記載の電磁波計測装置。
- 前記測定部は、前記PN接合構造を流れる電流の変化を測定する、請求項1から4のいずれかに記載の電磁波計測装置。
- 前記半導体素子の前記PN接合構造はアレイ状に配列されている、請求項1から6のいずれかに記載の電磁波計測装置。
- PN接合構造を有する半導体素子を用意する工程と、
前記半導体素子のバンドギャップエネルギーよりも小さいフォトンエネルギーを有する電磁波の入射された前記半導体素子において、前記電磁波の電界強度に応じた前記半導体素子の変化を測定する工程と
を包含する、電磁波計測方法。 - 前記測定する工程において、前記電磁波は30μmよりも長い波長を有している、請求項8に記載の電磁波計測方法。
- 前記測定する工程において、前記測定は室温下で行われる、請求項8または9に記載の電磁波計測方法。
- 前記測定する工程は、前記PN接合構造に対して順バイアス電圧を印加する工程を含む、請求項8から10のいずれかに記載の電磁波計測方法。
- 前記測定する工程において、前記PN接合構造からの発光の強度を測定する、請求項8から11のいずれかに記載の電磁波計測方法。
- 前記測定する工程において、前記PN接合構造を流れる電流の変化を測定する、請求項8から11のいずれかに記載の電磁波計測方法。
- 前記用意する工程において、前記半導体素子の前記PN接合構造はアレイ状に配列されている、請求項8から13のいずれかに記載の電磁波計測方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012256335A JP2014102233A (ja) | 2012-11-22 | 2012-11-22 | 電磁波計測装置および電磁波計測方法 |
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JP2014102233A true JP2014102233A (ja) | 2014-06-05 |
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ID=51024841
Family Applications (1)
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JP2012256335A Pending JP2014102233A (ja) | 2012-11-22 | 2012-11-22 | 電磁波計測装置および電磁波計測方法 |
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JP (1) | JP2014102233A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7376828B2 (ja) | 2020-02-25 | 2023-11-09 | 日本電信電話株式会社 | 測定装置、オンチップ計測デバイス、および測定方法 |
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2012
- 2012-11-22 JP JP2012256335A patent/JP2014102233A/ja active Pending
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