JP2014092840A - 飛翔体誘導システム、飛翔体誘導信号発生回路、飛翔体誘導方法及び飛翔体誘導プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】飛翔経路全体に渡り各飛翔点においてシーカで発生する雑音を抑制し、飛翔経路の安定性を維持すること。
【解決手段】飛翔体誘導システムは、誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号により追尾ループを行うシーカ部と、誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出する誤差角処理部と、誤差角、ジンバル角速度指令信号及び誤差角の変化率に基づいて目標空間角及び目標空間角速度を算出する空間角算出部とを備え、空間角算出部は、目標空間角速度の積分値とジンバル角速度指令信号の積分値との差分から計算上の誤差角を算出し、シーカ部から出力された誤差角と計算上の誤差角との差分から目標空間角速度を算出し、ジンバル角速度指令信号と目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、誤差角の変化率と誤差角変化量との差分を用いて目標空間角速度を補正し、目標空間角速度及び目標空間角に基づいて当該飛翔体を目標へ誘導する。
【選択図】図1
【解決手段】飛翔体誘導システムは、誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号により追尾ループを行うシーカ部と、誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出する誤差角処理部と、誤差角、ジンバル角速度指令信号及び誤差角の変化率に基づいて目標空間角及び目標空間角速度を算出する空間角算出部とを備え、空間角算出部は、目標空間角速度の積分値とジンバル角速度指令信号の積分値との差分から計算上の誤差角を算出し、シーカ部から出力された誤差角と計算上の誤差角との差分から目標空間角速度を算出し、ジンバル角速度指令信号と目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、誤差角の変化率と誤差角変化量との差分を用いて目標空間角速度を補正し、目標空間角速度及び目標空間角に基づいて当該飛翔体を目標へ誘導する。
【選択図】図1
Description
本発明は、飛翔体誘導システム、飛翔体誘導信号発生回路、飛翔体誘導方法及び飛翔体誘導プログラムに関し、特に、飛翔体に搭載され目標と会合するように飛翔体を誘導する光学センサを使用した飛翔体誘導システム、飛翔体誘導信号発生回路、飛翔体誘導方法及び飛翔体誘導プログラムに関する。
特許文献1には、角度誤差信号に含まれるノイズの影響を除去した誘導信号を得るための飛翔体の誘導制御装置に関する技術が開示されている。特許文献1にかかる誘導制御装置は、角度誤差信号に含まれるノイズの計算を行い、このノイズ計算値に応じて、追尾ループ時定数及びノイズフィルタ時定数を設定し、適切な帯域を確保した上で誘導信号を計算することにより、飛翔体の運動性能を確保しながらノイズの影響を除去した誘導信号を得る。
特許文献2には、飛翔体の誘導装置の角度追尾ループゲインと一次ノイズフィルタの時定数を適切な値で組み合わせる飛翔体の誘導装置に関する技術が開示されている。
特許文献2にかかる誘導装置は、一次ノイズフィルタの時定数を角度追尾ループゲインの逆数とし、ノイズを含む目視線角を入力としてノイズの除去された目視線角速度である誘導信号を出力する二次のカルマンフィルタのアルゴリズムを用いて角度追尾ループゲインを決定するものである。
特許文献2にかかる誘導装置は、一次ノイズフィルタの時定数を角度追尾ループゲインの逆数とし、ノイズを含む目視線角を入力としてノイズの除去された目視線角速度である誘導信号を出力する二次のカルマンフィルタのアルゴリズムを用いて角度追尾ループゲインを決定するものである。
特許文献3には、時定数可変低域通過フィルタとその時定数を制御する時定数制御器を有する目標追尾装置に関する技術が開示されている。特許文献3にかかる目標追尾装置は、目標の距離に応じて、時定数可変低域通過フィルタの時定数を変化させる。
ここで、以下の場合には、誘導信号に含まれる雑音成分が増強されてしまうおそれがあるという問題点がある。その理由を、図を用いて説明する。まず初めに、図17を用いて、飛翔体と各種角度との関係を説明する。飛翔体Mは、目標距離rに存在する特定の目標物と会合するために飛翔体速度Vmで移動しているものとする。ここで、飛翔体機軸と空間基準角とのなす角を機軸空間角γとする。また、目標物が検出される方向である目視線と空間基準角とのなす角を目標空間角σとする。さらに、目標物を追尾するためのシーカ部の中心軸であるシーカ軸と空間基準角とのなす角をシーカ軸空間角σHとする。これらから、飛翔体機軸とシーカ軸とのなす角をシーカ軸振れ角λとし、シーカ軸と目視線とのなす角を誤差角εとする。
続いて、2次元平面光学センサを使用した誘導装置900を図18及び図19を参照して説明する。図18は、関連技術にかかる飛翔体の誘導装置900の構成を示すブロック図である。誘導装置900は、シーカ部1と、倍率器2と、加算器3と、飛翔体操舵装置4と、機体固定センサ装置5とを備える。シーカ部1は、撮像部1−1と、誤差角検出器1−2と、倍率器1−3と、ジンバル機構1−4と、トルクモータ部1−5と、減算器1−6と、レートセンサ1−7と、ジンバル角度センサ1−8とを備える。
撮像部1−1は、目標空間角σの目標物をシーカ軸空間角σHの方向で撮像する。撮像部1−1で撮像した画像信号は誤差角検出器1−2に接続されている。ここで、図19は、撮像部1−1及び誤差角検出器1−2の構成を示すブロック図である。図19では、撮像部1−1及び誤差角検出器1−2に光学センサを使用した場合を示す。撮像部1−1は、ドーム14001と、光学部14002と、光学フィルタ14003と、アレイセンサ14004と、プリアンプ部14005と、信号処理部14006とを備える。
目標からの光はドーム14001を通して光学部14002により、光学フィルタ14003により不要な波長の光を遮断した後、アレイセンサ14004上に結像される。アレイセンサ14004で結像画像が電気信号に変換され出力されプリアンプ部14005で増幅されて信号処理部14006へ出力される。信号処理部14006は、誤差角検出器1−2に適した画像出力信号に変換し、誤差角検出器1−2へ出力する。誤差角検出器1−2は、入力された画像信号から画像処理によりアレイセンサ14004上の目標の撮像位置を検出してシーカ軸との誤差角信号εとして出力する。
再び図18を参照すると、倍率器1−3は、誤差角検出器1−2からの誤差角信号εをKH倍する。その後、倍率器1−3は、KH倍した誤差角信号εを誘導信号としてシーカ部1の外部に出力し、同時に、ジンバル角速度指令信号σ(・)comとして減算器1−6へ出力する。
減算器1−6の出力はトルクモータ部1−5に入力される。トルクモータ部1−5は、ジンバル角速度指令信号σ(・)comに基づき、ジンバル機構1−4に回転力を加え、ジンバル機構1−4に取り付いている撮像部1−1が旋回する。レートセンサ1−7は、ジンバル機構1−4の出力であるシーカ軸空間角σHから撮像部1−1が旋回するジンバル角速度信号σ(・)Hを検出し、減算器1−6へ出力する。また、ジンバル角度センサ1−8は、機軸空間角γとシーカ軸空間角σHとの差分であるシーカ軸振れ角λを検出し、シーカ部1の外部に出力する。
倍率器2は、シーカ部1からの誘導信号を受け付け、あらかじめ定めた比例航法定数Nの倍率で乗算し、飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comとして減算器3へ出力する。減算器3のもう一方の入力端には機体固定センサ装置5からの出力である飛翔体旋回角速度信号γ(・)が入力される。減算器3は、その減算結果を飛翔体操舵装置4へ出力する。飛翔体操舵装置4は、入力された演算結果に基づいて飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comと旋回角速度が一致するように機体の操舵を行ない、飛翔体Mを旋回させる。
図21は、関連技術にかかる2次元平面内での目標航跡と追尾航跡の例を示す図である。図22は、図21に対応する飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)com及び比例航法倍率Nの波形の例を示す図である。但し、本例では、目標の航跡は倍率KHを「20」とし、飛翔体の速度Vmと目標の速度Vtが一定で比率P=Vm/Vtが「2.0」となる条件とし、比例航法倍率Nは定数とし「3.0」固定としている。また、誤差角度検出器1−2からの誤差角信号ε出力の分解能を「0.273×10−3」radとし、シーカ軸空間角λの揺れによる雑音成分をランダム性とし、その実効値を「0.3×10−3」radとしている。
図21によれば、本例のように比例航法倍率Nを定数として固定すると、目標からの距離が大きい場合、同じ目標の動きでも近距離に比べて飛翔体側から見た目標空間角σの変化率が小さいため、飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comが小さくなる。特に追尾動作開始時点で遠距離であり飛翔体の方向と目標方向の角度に開きがある場合、図21の16002に示すように航跡にふくらみを生じる。また、図22を参照すると、飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comは、17002に示すように、画像センサの配列素子数による量子化雑音が一様に重畳し、また、会合点付近で飛翔体の旋回加速度の増大が発生している。
このように、誘導装置900では、ジンバル角速度指令信号σ(・)comにより比例航法における誘導信号として使用していた。しかし、近年では、前記構成例のように目標検知と追尾に画像処理の技術が採用されるようになっている。この場合、アレイセンサの素子数から定まる分解能に伴う量子化雑音が含まれる。このような場合、遠方目標の像がアレイセンサの1素子内に収まる状態では図20の15001に示すような階段上の不連続な入出力特性となり、センサの配列素子数による連続性が得られる限界と、誘導装置900のデジタル処理による信号の離散化を考慮しなければならなくなった。
例えば、与えられた同じ光学系で、飛翔体の運用条件の範囲の拡大するため、最大追尾角速度を大きくしようとする場合、または、応答性の向上のため追尾時定数を小さくしようとする場合、誤差角に対する比例定数に対応する倍率器1−3の倍率KHを大きくすることが考えられる。しかし、これにはシーカ部のジンバル制御の安定性を考慮する必要がある。この他、画像センサの配列素子数による連続性の限界による量子化雑音が拡大され顕著となる。それ故、飛翔体への操舵コマンドの連続性が失われるという問題がある。
また、飛翔体の航跡に俊敏性を持たせるため、倍率器1−3の倍率KHの増加に加えて、倍率器2に設定される比例航法定数に相当する倍率Nを大きく設定しようとすることが考えられる。しかし、この場合、更に拡大された量子化雑音の不連続性のために飛翔体に対しパルス状の大きな旋回加速度コマンドが発生する現象を無視できないという問題が発生する。
このように、誘導装置900のような技術では、シーカの目標方向とジンバル空間角との誤差角によりジンバルを駆動する信号を発生して、これを比例航法における目標空間角速度を示す誘導信号として使用していた。そのため、運用条件を基に誘導信号中の雑音の大きさを考慮して、誘導飛翔体の運用上問題の発生しない範囲で誤差角に対する倍率KHおよび飛翔体の比例航法定数Nを見出して、ある程度固定的に運用するのが通常であった。それ故、運用条件に柔軟性を持たせるため、飛翔経路の各点において最適な比例航法定数を選び、変化させるようなダイナミックな動作を行うことは難しかった。
また、比例航法定数Nを一定とする上記技術によれば、追尾開始時点で飛翔体の方向と目標方向の角度に開きがあり、目標が遠距離にある場合飛翔経路のふくらみが顕著になる。また、目標の動き方と飛翔経路によっては図22の17002に示すように会合点近傍でミスデスタンス増大につながる可能性のある非常に大きな旋回加速度が発生する可能性があった。
尚、この現象を軽減するためには誤差角に対する比例定数を小さく設定するか、得られた誘導信号に更に雑音成分を抑制するフィルタを設ける必要がある。しかし、比例定数を小さくする場合は、光学系視野の制約から最大追尾角速度の減少と追尾応答性の低下が発生する。また、フィルタを設ける場合も、フィルタにより誘導信号の応答特性が悪化し、結果として、運用条件範囲の拡大に限界を生じてしまう問題があった。
また、上述した特許文献1乃至3では、追尾ループの特性が変化し、追尾特性を最良の状態に固定できない。よって、特許文献1乃至3では、上述した問題を解決することはできない。
本発明は、上述した問題点を考慮してなされたものであり、飛翔経路全体に渡り各飛翔点においてシーカで発生する雑音を抑制し、飛翔経路の安定性を維持するための飛翔体誘導システム、飛翔体誘導信号発生回路、飛翔体誘導方法及び飛翔体誘導プログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様にかかる飛翔体誘導システムは、
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号により追尾ループを行うシーカ部と、
前記シーカ部から出力された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出する誤差角処理部と、
前記誤差角、前記ジンバル角速度指令信号及び前記誤差角の変化率に基づいて目標空間角及び目標空間角速度を算出する空間角算出部とを備え、
前記空間角算出部は、
前記目標空間角速度の積分値と前記ジンバル角速度指令信号の積分値との差分から計算上の誤差角を算出し、
前記シーカ部から出力された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から前記目標空間角速度を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する。
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号により追尾ループを行うシーカ部と、
前記シーカ部から出力された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出する誤差角処理部と、
前記誤差角、前記ジンバル角速度指令信号及び前記誤差角の変化率に基づいて目標空間角及び目標空間角速度を算出する空間角算出部とを備え、
前記空間角算出部は、
前記目標空間角速度の積分値と前記ジンバル角速度指令信号の積分値との差分から計算上の誤差角を算出し、
前記シーカ部から出力された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から前記目標空間角速度を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する。
本発明の第2の態様にかかる飛翔体誘導信号発生回路は、
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角と、当該誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号と、当該誤差角に基づいて算出された誤差角の変化率とを受け付け、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出し、
前記受け付けた誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出し、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新し、当該更新された誤差角を用いて前記目標空間角速度を更新し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角を出力する。
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角と、当該誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号と、当該誤差角に基づいて算出された誤差角の変化率とを受け付け、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出し、
前記受け付けた誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出し、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新し、当該更新された誤差角を用いて前記目標空間角速度を更新し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角を出力する。
本発明の第3の態様にかかる飛翔体誘導方法は、
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を検出し、
当該誤差角を固定値で倍率してジンバル角速度指令信号を生成し、
前記ジンバル角速度指令信号により追尾ループを行い、前記誤差角を更新し、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出し、
前記検出された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出し、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新し、
前記検出された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する。
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を検出し、
当該誤差角を固定値で倍率してジンバル角速度指令信号を生成し、
前記ジンバル角速度指令信号により追尾ループを行い、前記誤差角を更新し、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出し、
前記検出された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出し、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新し、
前記検出された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する。
本発明の第4の態様にかかる飛翔体誘導プログラムは、
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を検出する処理と、
前記誤差角を固定値で倍率してジンバル角速度指令信号を生成する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号により追尾ループを行い、前記誤差角を更新する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出する処理と、
前記検出された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出する処理と、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新する処理と、
前記検出された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出する処理と、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正する処理と、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する処理と、
をコンピュータに実行させる。
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を検出する処理と、
前記誤差角を固定値で倍率してジンバル角速度指令信号を生成する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号により追尾ループを行い、前記誤差角を更新する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出する処理と、
前記検出された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出する処理と、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新する処理と、
前記検出された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出する処理と、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正する処理と、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する処理と、
をコンピュータに実行させる。
本発明により、上述した問題点を考慮してなされたものであり、飛翔経路全体に渡り各飛翔点においてシーカで発生する雑音を抑制し、飛翔経路の安定性を維持するための飛翔体誘導システム、飛翔体誘導信号発生回路、飛翔体誘導方法及び飛翔体誘導プログラムを提供することができる。
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
<発明の実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1にかかる飛翔体誘導システム1000の構成を示すブロック図である。飛翔体誘導システム1000は、シーカ部1と、誤差角処理部200と、空間角算出部100とを備える。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる飛翔体誘導システム1000の構成を示すブロック図である。飛翔体誘導システム1000は、シーカ部1と、誤差角処理部200と、空間角算出部100とを備える。
シーカ部1は、飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号により追尾ループを行う。シーカ部1は、図18と同等の構成が適用できる。但し、固定値である倍率KHは、追尾ループの追尾時定数をサーボ系及び光学系を考慮した適切な値であるものとする。
誤差角処理部200は、シーカ部1から出力された誤差角εに基づいて誤差角の変化率ε(・)を算出する。この場合、空間角算出部100は、ジンバル角速度指令信号σ(・)comと目標空間角速度σ(・)^との差分から誤差角変化量ε(・)^を算出する。そして、空間角算出部100は、誤差角の変化率ε(・)と誤差角変化量ε(・)^との差分yrを用いて目標空間角速度σ(・)^を補正する。
図2は、本発明の実施の形態1にかかる誤差角処理部200の構成を示すブロック図である。誤差角処理部200は、1サンプル遅延1−9と、減算器1−10と、倍率器1−11とを備える。1サンプル遅延1−9は、誤差角検出器1−2からの誤差角信号εをデジタル値としてサンプリング間隔ΔTで遅延する。減算器1−10は、誤差角信号εから1サンプル遅延1−9の出力を減算して、倍率器1−11へ出力する。倍率器1−11は、減算器1−10からの出力を1/ΔTで倍率し、誤差角変化率信号ε(・)としてデジタル値で外部に出力する。
空間角算出部100は、誤差角ε、ジンバル角速度指令信号σ(・)com及び誤差角変化率信号ε(・)に基づいて目標空間角σ^及び目標空間角速度σ(・)^を算出する。特に、空間角算出部100は、目標空間角速度σ(・)^の積分値とジンバル角速度指令信号σ(・)comの積分値との差分から計算上の誤差角である計算誤差角ε^を算出する。そして、空間角算出部100は、シーカ部1から(誤差角処理部200を経由して)出力された誤差角εと計算誤差角ε^との差分ypから目標空間角速度σ(・)^を算出する。また、空間角算出部100は、ジンバル角速度指令信号σ(・)comと目標空間角速度σ(・)^との差分から誤差角変化量ε(・)^を算出する。空間角算出部100は、誤差角変化率信号ε(・)と誤差角変化量ε(・)^との差分yrを用いて目標空間角速度σ(・)^を補正する。そして、飛翔体誘導システム1000は、目標空間角速度σ(・)^及び目標空間角σ^に基づいて飛翔体を目標へ誘導する。
具体的には、空間角算出部100は、減算器102と、減算器103と、減算器104と、積分器105と、積分器106と、倍率器107と、倍率器108と、減算器109と、加算器110とを備える。
誤差角処理部200からの誤差角信号εは、減算器102の一方の入力端に接続されている。減算器102の出力端は倍率器107に接続され、その出力端は加算器110の一方の入力端に接続されている。
誤差角処理部200からの誤差角変化率信号ε(・)は、減算器103の一方の入力端に接続されている。減算器103の出力は、倍率器108の入力端に接続され、その出力端は加算器110のもう一方の入力端に接続されている。加算器110の出力端は、空間角算出部100の外部、積分器106及び減算器104の一方の入力端に接続されている。
シーカ部1からのジンバル角速度指令信号σ(・)comは、積分器105及び減算器104のもう一方の入力端に入力されおり、減算器104の出力は減算器103のもう一方の入力端に接続されている。積分器105の出力端と積分器106の出力端は減算器109の2つの入力端に接続され、その出力端は減算器102のもう一方の入力端に接続されている。積分器106の出力端については、空間角算出部100の外部にも接続されている。積分器105の制御入力端には、飛翔体の発射タイミング信号Toが入力されている。
図3及び図4は、本発明の実施の形態2にかかる積分器105及び積分器106の構成を示すブロック図である。図3に示すように、積分器105は、1サンプル遅延5−1と、加算器5−2と、倍率器5−3と、加算器5−4と、1サンプル遅延5−5と、スイッチ5−6とを備える。積分器105の入力信号であるジンバル角速度指令信号σ(・)comは、加算器5−2および1サンプル遅延5−1の入力に接続されている。1サンプル遅延5−1の出力は、加算器5−2のもう一方の入力端に接続されている。加算器5−2の出力は、倍率器5−3に接続され、倍率器5−3の出力は加算器5−4の入力端に接続されている。加算器5−4の出力はスイッチ5−6の一方の入力端に接続されている。また、スイッチ5−6の制御入力端には外部からの発射タイミング信号Toが入力され、スイッチ5−6のもう一方の入力端には信号値「0」が常に入力されている。スイッチ5−6の出力は1サンプル遅延5−5の入力に接続されており、同時に、計算ジンバル空間角σ^Hとして積分器105の外部に出力している。1サンプル遅延5−5の出力については、加算器5−4のもう一方の入力端に接続されている。
図4に示すように、積分器106は、1サンプル遅延6−1と、倍率器6−2と、加算器6−3と、1サンプル遅延6−4とを備える。積分器106の入力信号である計算目標空間角速度σ(・)^は、1サンプル遅延6−1に入力され、1サンプル遅延6−1の出力は倍率器6−2に接続されている。倍率器6−2の出力は加算器6−3の入力に接続され、加算器6−3の出力は計算目標空間角σ^として積分器106の外部に出力されると同時に、1サンプル遅延6−4に入力されている。そして、1サンプル遅延6−4の出力は加算器6−3のもう一方の入力端に接続されている。
ここで、本発明の実施の形態1にかかるシーカ部1及び誤差角処理部200の動作について説明する。まず、シーカ部1は、飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角εを検出する。次に、シーカ部1は、誤差角εを固定値KHで倍率してジンバル角速度指令信号σ(・)comを生成する。また、誤差角処理部200は、検出された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出そして、シーカ部1は、ジンバル角速度指令信号σ(・)comにより追尾ループを行い、誤差角εを更新する。その後、誤差角の検出から追尾ループが繰り返される。また、誤差角処理部200は、シーカ部1により検出された誤差角εに基づいて誤差角の変化率ε(・)を算出する。
図5及び図6は、本発明の実施の形態1にかかる飛翔体誘導方法における空間角算出部100の処理の流れを示すフローチャートである。まず、空間角算出部100は、計算上のジンバル空間角σ^Hと計算上の目標空間角σ^の初期値を"0"とする(S11)。次に、空間角算出部100は、計算上のジンバル空間角σ^Hと計算上の目標空間角σ^との差を求め、計算上の誤差角ε^とする(S12)。そして、空間角算出部100は、シーカ部1で検出した誤差角ε、誤差角処理部200が算出した誤差角変化率ε(・)及びシーカ部1における追尾ループのジンバル角速度指令σ(・)comを入力する(S13)。その後、空間角算出部100は、シーカ部1で検出した誤差角εと計算上の誤差角ε^の差である計算誤差角差分値ypを求め、倍率Kpで固定倍率する(S14)。
また、空間角算出部100は、1サンプル過去のジンバル角速度指令信号σ(・)comと計算上の目標空間角速度σ(・)^の差を求め、現在の計算上の誤差角変化率ε(・)^とする(S15)。そして、空間角算出部100は、シーカ部1及び誤差角処理部200からの誤差角変化率ε(・)と計算上の誤差角変化率ε(・)^の差である計算誤差角変化量差分値yrを求め、倍率Krで固定倍率し、計算上の目標空間角補正値とする(S16)。
その後、空間角算出部100は、ステップS14の結果とステップS16の結果の和により計算上の目標空間角速度σ(・)^とする(S17)。そして、空間角算出部100は、ステップS17で得た計算上の目標空間角速度σ(・)^を積分して、計算上の目標空間角σ^とし、更新及び出力する(S18)。
続いて、空間角算出部100は、飛翔体Mが発射後であるか否かを判定する(S19)。飛翔体Mが発射前である場合、空間角算出部100は、ジンバル角速度指令信号σ(・)comの積分値を"0"に固定し、計算上のジンバル空間角σ^Hとして出力する(S20)。そして、空間角算出部100は、計算更新時間の間隔で待機する(S25)。その後、ステップS12へ戻る。
一方、ステップS19において、飛翔体Mが発射後である場合、空間角算出部100は、ジンバル角速度指令信号σ(・)comを積分して、計算上のジンバル空間角σ^Hとし更新及び出力する(S21)。そして、空間角算出部100は、計算上の目標空間角σ^及び計算上の目標空間角速度σ(・)^を誘導信号として出力する(S22)。
そして、飛翔体Mを目標に誘導する(S23)。空間角算出部100は、飛翔体Mの誘導が終了したか否かを判定する(S24)。飛翔体Mの誘導が終了していないと判定した場合、空間角算出部100は、計算更新時間の間隔で待機する(S25)。その後、ステップS12へ戻る。一方、ステップS24において、飛翔体Mの誘導が終了したと判定した場合、当該処理を終了する。
ここで、空間角算出部100の動作を詳しく説明をする。まず、空間角算出部100は、シーカ部1からのジンバル角速度指令信号σ(・)comについて、発射タイミング信号Toが入力された後、積分器105において積分されて計算ジンバル空間角σ^Hを得る。そして、減算器109は、計算ジンバル空間角σ^Hと、積分器106からの出力である計算目標空間角σ^との差分を計算誤差角ε^として出力する。減算器102は、計算誤差角ε^と、シーカ部1からの誤差角信号εとの差分である計算誤差角差分値ypを出力する。そして、倍率器107は、計算誤差角差分値ypについてKp倍して加算器110へ出力する。
一方、積分器106及び積分器105の入力側の値はそれぞれ、計算目標空間角σ^の微分値及び計算ジンバル空間角σ^Hの微分値となっている。減算器104は、この二つの値の差分を計算上の誤差角の変化量である計算誤差角変化量ε(・)^として出力する。減算器103は、シーカ部1からの誤差角変化率信号ε(・)と計算誤差角変化量ε(・)^との差分である計算誤差角変化量差分値yrを出力する。倍率器108は、計算誤差角変化量差分値yrについてKr倍して、加算器110へ出力する。加算器110は、倍率器107及び倍率器108の出力を加算して、積分器106の入力とし、計算目標空間角σ^を変化させる。この変化はシーカ部1からの誤差角信号εに計算誤差角ε^が一致するように動作する。
このようにして、シーカ部1で検出した誤差角信号ε、誤差角処理部200で算出した誤差角変化率信号ε(・)、及びジンバル角速度指令信号σ(・)comから、計算により、積分器106の出力において目標空間角の値に常に一致するように動作する。従って、その入力側は目標空間角の微分値に対応していることになる。
さらに、図3及び図4を参照し、積分器105および積分器106の動作を説明する。1サンプル遅延5−1は、積分器105の入力信号であるジンバル角速度指令信号σ(・)comについて、サンプリング間隔ΔTだけ過去のジンバル角速度指令信号σ(・)comを加算器5−2へ出力する。加算器5−2は、連続するサンプル間隔のジンバル角速度指令信号σ(・)comを加算し、倍率器5−3へ出力する。倍率器5−3は、ΔT/2倍して加算器5−4へ出力する。加算器5−4は、倍率器5−3の出力に、1サンプル遅延5−5による1サンプル過去の計算ジンバル空間角σ^H出力値を加算し、累積値としてスイッチ5−6へ出力する。
この動作により、ジンバル角速度指令信号σ(・)comに対しサンプリング間隔ΔTによる台形積分が行われ、現在の計算ジンバル空間角σ^Hとしている。なお、1サンプル遅延5−5の入力については、スイッチ5−6により、飛翔体が発射され、発射タイミング信号Toが入力される時点までは「0」が入力される。そのため、積分器105の出力である計算ジンバル空間角σ^Hは、発射時点までは「0」に固定される。従って、発射時点のシーカ軸方向が発射後における計算上の空間基準角となる。
また、1サンプル遅延6−1は、積分器106の入力信号である計算目標空間角速度σ(・)^について、1サンプル分遅延させて倍率器6−2へ出力する。倍率器6−2は、サンプリング間隔ΔTだけ過去の計算目標空間角速度σ(・)^をサンプリング間隔ΔT倍して、加算器6−3へ出力する。加算器6−3は、倍率器6−2の出力に1サンプル遅延6−4による1サンプル過去の計算目標空間角σ^を加算し、累積値として外部へ出力する。この動作により、サンプリング間隔ΔTだけ過去の計算目標空間角速度σ(・)^によるオイラー積分が行われ、現在の計算目標空間角σ^としている。
図7は、本発明の実施の形態1にかかる動作応答例を示す図である。図7では、一例として、空間角算出部100からの計算目標空間角速度σ(・)^出力について、サンプリング間隔ΔTを1/120秒とし、倍率器1−3に設定する倍率KHを「10」、空間角算出部100の倍率器107に設定する倍率Kpを「100」、倍率器108に設定する倍率Krを「0.005」、に設定した場合のシーカ部1への目標空間角σの動きに対する動作応答例を示している。
図7を参照すると、801に示す目標空間角σをシーカ部1入力した場合、シーカ部1からは802に示すジンバル角速度指令信号σ(・)comが出力される。また、空間角算出部100の積分器105の出力からは、803に示す計算ジンバル空間角σ^Hが出力される。空間角算出部100の計算ループ動作により、積分器106の入力端には804に示す計算目標空間角速度σ(・)^の応答が得られる。
このように、飛翔体誘導システム1000は、シーカ部1の倍率KHを追尾ループの追尾時定数をサーボ系及び光学系を考慮した適切な値で固定するため、誤差角ε及びジンバル角速度指令信号σ(・)com内の雑音を抑制することができる。よって、飛翔経路全体に渡り各飛翔点においてシーカで発生する雑音を抑制し、飛翔経路の安定性を維持することができる。
空間角算出部100は、以下のように飛翔体誘導信号発生回路と言い換えることができる。すなわち、飛翔体誘導信号発生回路は、飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角と、当該誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号と、当該誤差角に基づいて算出された誤差角の変化率とを受け付け、前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出し、前記受け付けた誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出し、前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出し、前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新し、当該更新された誤差角を用いて前記目標空間角速度を更新し、前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、前記目標空間角速度及び前記目標空間角を出力する。
このように、空間角算出部100は、シーカ部1の追尾制御ループとは独立して、シーカ部1から得られる誤差角εを基に計算上で目標空間角速度σ(・)を得る手段といえる。そして、空間角算出部100は、シーカ部1から得られる誤差角εから、その変化率ε(・)を得る手段を有する。また、計算上の目標空間角σ^と、シーカ部1の追尾ループのジンバル角速度指令信号σ(・)comを積分して得られたシーカ軸空間角σHとの差から計算誤差角ε^を計算する手段を有する。また、空間角算出部100は、シーカ部1から得られる誤差角εと計算誤差角ε^の差分ypを得て、大きな倍率Kpで拡大する手段を有する。そして、空間角算出部100は、この拡大した差分ypを積分して計算上の目標空間角σ^を更新する手段を有する。また、空間角算出部100は、ジンバル角速度指令信号σ(・)comと拡大差分σ(・)^との差分ε(・)^を得て、シーカ部1から得られた誤差角の変化率ε(・)との差分を得て一定の比率Krで上述の差分σ(・)^を補正する手段を有する。
上述の手段により、シーカ部1から得られた誤差角ε、誤差角変化率ε(・)及びジンバル角速度指令信号σ(・)comから計算上で飛翔体射出時を基準角とした計算目標空間角σ^を得ることができ、計算目標空間角σ^を得る積分演算前の値から目標空間角速度σ(・)^を得ることができる。なお、シーカ部1から得られる誤差角εと計算で得られた誤差角ε^の差分ypの拡大率Kpは、計算処理ループの安定性が崩れない範囲で大きな値の設定が可能で、実際の目標空間角との変化に対する遅れを飛翔体誘導の応答時間に対して無視できる程度小さくすることが可能である。
<発明の実施の形態2>
図8は、本発明の実施の形態2にかかる飛翔体誘導システム1001の構成を示すブロック図である。飛翔体誘導システム1001は、上述した実施の形態1にかかる飛翔体誘導システム1000の変形例である。そのため、同等の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図8は、本発明の実施の形態2にかかる飛翔体誘導システム1001の構成を示すブロック図である。飛翔体誘導システム1001は、上述した実施の形態1にかかる飛翔体誘導システム1000の変形例である。そのため、同等の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
飛翔体誘導システム1001は、シーカ部1aと、空間角算出部100と、目標距離出力装置17と、飛翔体速度出力装置18と、デジタルフィルタ11と、カルマンフィルタ部12と、乗算器13と、減算器15と、飛翔体操舵装置14と、機体固定センサ装置16とを備える。尚、空間角算出部100は、実施の形態1と同等である。
シーカ部1aは、シーカ部1の構成に誤差角処理部200を追加したものである。図9は、本発明の実施の形態2にかかるシーカ部1aの構成を示すブロック図である。シーカ部1aは、撮像部1−1と、誤差角検出器1−2と、倍率器1−3と、ジンバル機構1−4と、トルクモータ部1−5と、減算器1−6と、レートセンサ1−7と、ジンバル角度センサ1−8と、1サンプル遅延1−9と、減算器1−10と、倍率器1−11とを備える。
撮像部1−1は、目標空間角σの目標物をシーカ軸空間角σHの方向で撮像する。撮像部1−1で撮像した画像信号は誤差角検出器1−2に接続されている。誤差角検出器1−2からの誤差角信号εは、デジタル値としてサンプリング間隔ΔTで遅延する1サンプル遅延1−9、減算器1−10及び倍率器1−3に入力すると共にシーカ部1aの外部に出力される。1サンプル遅延1−9の出力は減算器1−10に入力され、その出力は倍率器1−11に入力され、誤差角変化率信号ε(・)としてデジタル値でシーカ部1aの外部に出力される。
倍率器1−3からのジンバル角速度指令信号σ(・)comは、デジタル値として減算器1−6に入力されると共にシーカ部1aの外部に出力される。減算器1−6の出力は、トルクモータ部1−5に入力され、ジンバル角速度指令信号σ(・)comに基づきジンバル機構1−4に回転力が加えられ、ジンバル機構1−4に取り付いている撮像部1−1が旋回する。レートセンサ1−7は、ジンバル機構1−4の出力であるシーカ軸空間角σHから撮像部1−1が旋回するジンバル角速度信号σ(・)Hを検出し、減算器1−6へ出力する。また、ジンバル角度センサ1−8は、機軸空間角γとシーカ軸空間角σHとの差分であるシーカ軸振れ角λを検出し、シーカ部1aの外部に出力する。
ここで、シーカ部1aにおける誤差角検出器1−2は、目標検出ロス信号LODを外部へ出力する。図8に示すように、シーカ部1aからのシーカ軸振れ角λ及び目標検出ロス信号LODは、カルマンフィルタ部12に入力される。
図10は、本発明の実施の形態2にかかるデジタルフィルタ11の構成を示すブロック図である。デジタルフィルタ11は、1サンプル遅延群11−1と、フィルタ係数乗算器群11−2と、加算器11−3とを備える。1サンプル遅延群11−1は、デジタルフィルタ11の入力である計算目標空間角速度σ(・)^をσ(・)^inとして受け付ける。1サンプル遅延群11−1の入力及び1サンプル遅延群11−1の各1サンプル遅延の出力端は、フィルタ係数乗算器群11−2の各入力に接続され、その出力は加算器11−3の入力端群に接続されている。加算器11−3の出力σ(・)^outは、デジタルフィルタ11の計算目標空間角速度σ(・)^として外部に接続されている。
図8を参照すると、目標距離出力装置17の目標距離r及び飛翔体速度出力装置18の飛翔体速度Vm及びデジタルフィルタ11からの出力である計算目標空間角速度σ(・)^はデジタル値としてカルマンフィルタ部12に入力している。
図11及び図12は、本発明の実施の形態2にかかるカルマンフィルタ部の一部の構成を示すブロック図である。図11では、カルマンフィルタ部12は、減算器12−1と、状態変数更新スイッチ12−2と、状態変数更新加算値算出12−3と、加算器12−4と、1計算サンプル遅延12−5と、状態遷移演算12−6と、観測変数変換12−7と、観測変数変換12−8と、加算器12−19と、状態変数予測補正計算12−20と、1サンプル遅延12−21とを備える。
カルマンフィルタ部12に入力された計算目標空間角σ^および計算目標空間角速度σ(・)^は、観測値zkとして減算器12−1で観測予測値z^k|k−1との差を取り、観測予測残余分y~kを得て、状態変数更新スイッチ12−2に値を渡す。状態変数更新スイッチ12−2は、カルマンフィルタ部12に入力される目標検出ロス信号LODに応じて出力を"0"又は観測予測残余分y~kのいずれかに切り替える。状態変数更新スイッチ12−2の出力は、状態変数更新加算値算出12−3に入力され、その結果を加算器12−4で状態変数予想値に加えて、状態変数値x^k|kとする。そして、1計算サンプル遅延12−5に設定すると共に、観測変数変換12―8により観測値フィルタ出力値z^kすなわち計算目標空間角σ^および誘導信号σ(・)^oとして出力する。
1計算サンプル遅延12−5からは1サンプル前の状態変数値x^k−1|k−1が出力され、状態遷移演算12−6の出力を加算器12−19の一方の入力とする。状態変数予測補正計算12−20からの出力は加算器12−19のもう一方の入力となっている。なお、状態変数予測補正計算12−20には、1計算サンプルだけ前の飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comが1サンプル遅延12−21を介して入力されている。加算器12−19から出力される状態変数予測値x^k|k−1は、加算器12−4及び観測変数変換12―7に値を渡される。観測変数変換12―7からは減算器12−1に対し、観測予測値z^k|k−1を出力する。
次に、状態変数更新加算値算出12−3に設定するカルマンフィルタゲインKkの算出フローの構成と状態変数予測補正計算12−20に設定するコマンド補正マトリクスBk−1の算出、および、カルマンフィルタ部12から外部に出力される比例航法倍率Nフロー構成について図12を参照して説明する。
図12では、カルマンフィルタ部12は、下限リミッタ12−17と、目標角速度動揺共分散算出12−9と、予測残余成分共分散マトリクス算出12−10と、状態変数共分散予測値算出12−13と、1サンプル遅延12−14と、カルマンフィルタゲイン算出12−11と、コマンド補正マトリクス計算12−18と、比例航法倍率算出12−16と、状態変数共分散算出12−15とを備える。
観測マトリクスHkは、予測残余成分共分散マトリクス算出12−10、カルマンフィルタゲイン算出12−11及び状態変数共分散算出12−15に入力される。観測誤差共分散マトリクスRkは、予測残余成分共分散マトリクス算出12−10に入力される。目標距離rは、下限リミッタ12−17に入力され、その出力は、目標角速度動揺共分散算出12−9、比例航法倍率算出12−16及びコマンド補正マトリクス計算12−18に入力される。カルマンフィルタ部12に入力されるシーカ軸振れ角λ及び飛翔体速度Vmの出力は、比例航法倍率算出12−16及びコマンド補正マトリクス計算12−18に入力されている。比例航法倍率算出12−16の出力である比例航法倍率Nは、カルマンフィルタ部12の外部に出力される。コマンド補正マトリクス計算12−18の出力であるコマンド補正マトリクスBk−1は、図11に示す状態変数予測値補正計算部12−20に設定される。目標角速度動揺共分散算出12−9からの目標動揺共分散マトリクスQk−1及び状態遷移マトリクスFk;k−1は、状態変数共分散予測値算出12−13に入力される。状態変数共分散予測値算出12−13の出力である状態変数共分散予測値P^k|k−1は、予測残余成分共分散マトリクス算出12−10、カルマンフィルタゲイン算出12−11及び状態変数共分散算出12−15に出力される。予測残余成分共分散マトリクス算出12−10の出力である予測残余成分共分散マトリクスSkは、カルマンフィルタゲイン算出12−11に出力される。カルマンフィルタゲイン算出12−11の出力であるカルマンフィルタゲインKkは、図11に示す状態変数更新加算値算出12−3に設定されると共に比例航法倍率算出12−16及び状態変数共分散算出12−15に出力される。状態変数共分散算出12−15の出力である状態変数共分散マトリクスP^k|kは、1サンプル遅延12−14に出力され、その出力からは1サンプル前の状態変数共分散マトリクスであるP^k−1|k−1が出力されて、状態変数共分散予測値算出12−13に戻される。
図8を参照すると、カルマンフィルタ部12からの出力の誘導信号σ(・)^o及び比例航法倍率Nは、乗算器13の2つの入力端に接続されている。計算目標空間角σ^oは、飛翔体誘導システム1001の外部へ出力しており、例えば、飛翔体射出前における目標位置表示装置、又は、目標と飛翔体の距離、相対速度を測定するためのレーダ装置のビームステアリング等で利用できるようにしている。乗算器13の出力である飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comは、減算器15に入力されると共に、カルマンフィルタ部12に入力されている。減算器15のもう一方の入力端には、機体固定センサ装置16からの出力である飛翔体旋回角速度信号γ(・)が入力され、その減算結果の出力は飛翔体操舵装置14に入力される。
続いて、図8のシーカ部1aの動作について図9により説明する。撮像部1−1は、目標空間角σとシーカ軸空間角σHとの差の位置に目標を撮像し、その画像信号を誤差角度検出器1−2へ出力する。誤差角度検出器1−2は、目標画像の位置を検出し、画像中心の画面上の検出位置から誤差角信号εを得て、画像フレームのサンプリング間隔ΔTごとに更新出力する。倍率器1−3は、誤差角信号εをKH倍し、ジンバル角速度指令信号σ(・)comとして出力する。ジンバル機構に取り付いているレートセンサ1−7は、ジンバル機構の角速度を感知してジンバル角速度信号σ(・)Hとして出力する。減算器1−6は、ジンバル角速度指令信号σ(・)comとジンバル角速度信号σ(・)Hとの差をとり、トルクモータ部1−5に入力する。これにより、トルクモータ部1−5は、ジンバル機構1−4をジンバル角速度信号σ(・)Hに一致するようにジンバル機構1−4を旋回させる動作をする。
誤差角度検出器1−2からの誤差角信号εは、1サンプル遅延回路1−9に入力される。減算器1−10は、1サンプル遅延1−9の出力と現在の誤差角信号εとの差を倍率器1−11へ出力する。倍率器1−11は、減算器1−10の出力を1/ΔT倍し、サンプリング間隔ΔT間の誤差角変化率の値を持った誤差角変化率信号ε(・)として出力する。また、誤差角度検出器1−2では、追尾動作中に目標位置を検出できない場合は、その間、目標検出ロス信号LODを出力する。ジンバル角度センサ1−8は機体に固定されており、機軸空間角γに対するジンバル機構1−4のシーカ軸空間角σHの差角を計測し、シーカ軸振れ角λとしてデジタル値でシーカ部1aの外部に出力する。
このようにしてシーカ部1aからは、検出した目標空間角σの動きに対応した誤差角信号ε、誤差角変化率信号ε(・)、ジンバル角速度指令信号σ(・)com及びシーカ軸振れ角λが出力される。目標が検出できていない場合は、シーカ部1aから目標検出ロス信号LODが出力され誤差角信号εが無効であることを知らせる。
空間角算出部100は、図1と同等の構成及び動作である。但し、積分器106の入力端の信号である計算目標空間角速度σ(・)^はデジタルフィルタ11に入力され、不要な高域成分を除去後、積分器106の出力端の信号である計算目標空間角σ^と共にカルマンフィルタ部12に入力される。
デジタルフィルタ11は、入力信号の計算目標空間角速度σ(・)^inに対し、非巡回型の低域通過型のフィルタリング動作をして出力する。尚、デジタルフィルタ11の構成は当事業者によく知られた技術であるため、動作の説明を省略する。
目標距離出力装置17は、飛翔体に備えられた目標との距離の測定手段又は算出手段により目標距離rをカルマンフィルタ部12に出力する。飛翔体速度出力装置18では、飛翔体に備えられた測定手段により飛翔体速度Vmをカルマンフィルタ部12に出力する。
次に、図11及び図12を参照して、カルマンフィルタ部12の動作を説明する。図11において、カルマンフィルタ部12に入力される計算目標空間角σ^及び計算目標空間角速度σ(・)^は観測値zkとして本計算フローに従って線形予測計算によるフィルタリングが行われ、観測値フィルタ出力値z^kとして出力される。
状態変数予測値x^k|k−1には飛翔体の目標視線に直交する加速度成分の影響分を反映するため、飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comを状態変数予測補正計算12−20により補正値を計算し、状態遷移演算12−6からの出力に加算器12−19により加えている。
また、シーカ部1aからの目標検出ロス信号LODは、状態変数x^k|kを更新する観測値残余成分y~kの値を強制的に「0」とする状態変数更新スイッチ12−2に伝えられる。そして、目標が検出されていない場合、観測予測残余分y~kを強制的に「0」として、入力される観測値zkの如何に係わらず状態変数予測値x^k|k−1を更新せず、1サンプル前の状態変数を基本に飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)com分の補正動作のみで線形予測計算動作を維持する。
状態変数更新加算値算出12−3で使用されるカルマンフィルタゲインKkと状態変数予測値補正計算部12−20で使用されるコマンド補正マトリクスBk−1は、それぞれ、図12に示す比例航法倍率算出12−16とコマンド補正マトリクス計算12−18で算出される。
状態遷移演算12−6に設定される状態遷移マトリクスFk;k−1は、追尾目標及び飛翔体に加速が無い状態を想定しており、慣性の法則から、計算のサンプリング間隔をΔTとして、以下の式(2)に示す値に固定している。
図12において、飛翔体速度出力装置18からの飛翔体速度Vmは、比例航法倍率算出12−16に入力され、目標距離出力装置17からの目標距離rは、下限リミッタ12−17に入力される。下限リミッタ12−17においては、予測計算が安定的に行える限界の最小値を最小目標距離rminとした場合、それ以下とならないように以下の式(3)とする。
下限リミッタ12−17から出力される目標距離rは、目標角速度動揺共分散算出12−9、比例航法倍率算出12−16及びコマンド補正マトリクス計算12−18に入力される。目標角速度動揺共分散算出12−9では、追尾の対象となる目標の飛翔性能を考慮した目標空間角σと目標空間角速度σ(・)の分布範囲に対応したシステム動揺共分散マトリクスQk−1として状態変数共分散予測値算出12−13に出力する。比例航法倍率算出12−16では、入力された目標距離r、飛翔体速度Vmおよびカルマンフィルタゲイン算出12−11からのカルマンフィルタゲインKkにより、安定な誘導制御応答が得られる比例航法倍率Nを出力する。
図12において予測残余成分共分散マトリクス算出12−10、状態変数共分散算出12−15及びカルマンフィルタゲイン算出12−11において必要となる観測マトリクスHkは前記式(1)に示す値である。
残余成分共分散マトリクス計算出12−10で必要となる観測誤差共分散マトリクスRkは、計算目標空間角σ^と計算目標空間角速度σ(・)^に含まれるシーカ部1aにおける誤差角変化率信号ε(・)と計算誤差角変化量ε(・)^の観測で想定される誤差分布の共分散値を設定している。本発明の実施形態では、シーカ部1aの光学系及びサーボ系制御のパラメータを固定するため、観測誤差共分散マトリクスRkは固定としている。また、状態変数共分散予測値算出12−13に入力される状態遷移マトリクスFk;k−1は前記式(2)を用いる。
次に、コマンド補正マトリクス計算12−18の動作について説明する。ここで、1サンプル前の飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comによる目標空間角σ及び目標空間角速度σ(・)の変化分を考えると、目標方向と直交する加速度成分と目標距離から、サンプリング間隔ΔTの間にほぼ、以下の式(4)の値だけ変動することが予測される。
また、観測マトリクスHkが式(1)に示す通りであるため、飛翔体速度出力装置18からの飛翔体速度Vm、目標距離出力装置17からの目標距離r及びシーカ部1aからのシーカ軸振れ角λの値により、図11に示す状態変数予測補正計算12−20に設定されるコマンド補正マトリクスBk−1をコマンド補正マトリクス計算12−18では、以下の式(5)として算出し、出力している。
次に、目標角速度動揺共分散算出12−9の算出動作について説明する。本発明の実施形態で捕らえる目標空間角σの動きは、飛翔体側の動きと目標の動きで変動する。しかい、本発明の実施形態の用途を考えると、観測側からは目標の操縦に関するコマンドの内容を知り得ない。そのため、目標角速度動揺共分散算出12−9においては、目標の飛翔旋回加速の性能と飛翔体側の動きの加速性能を想定した分布範囲で算出した目標動揺共分散マトリクスQk−1として状態変数共分散予測値算出12−13に入力する。
ここで、目標方向に対して直交する成分について目標が持つ加速分布変動の分散をstとする。そして、飛翔体側の加速変動の分散をsmである場合、本発明の実施形態においては、最新サンプリングの瞬時において、目標の加速と飛翔体側の加速は独立に発生するものとして扱い、合成した加速の分散値sを、以下の式(6)により算出するものとする。
これは、目標の種類に対応させた数値テーブルを持ち、追尾開始前に追尾する目標に応じて選択し設定する。従って、目標動揺共分散マトリクスQk−1は、想定する追尾目標の目標方向と直交する加速度(目標の旋回加速度に相当)及び飛翔体側加速度の目標方向と直交成分について合成した変動分布に対応した変動成分の標準偏差値a~を用いて、以下の式(11)としている。
このようにして、図8に示す目標距離出力装置17から得られた目標距離rをもとに目標角速度動揺共分散算出12−9において実施される。
次に、本発明の実施形態における観測誤差共分散マトリクスRkの一設定例について説明する。本実施形態では、図8のシーカ部1aに2次元のプラナーアレイの撮像素子を用いるものとする。そのため、撮像素子のサイズに起因する分解能により目標撮像位置の検出に量子化雑音誤差を生じることを想定した場合、シーカ部1aから出力される誤差角εに目標空間角σの誤差分としてそのまま現れる。この量子化雑音誤差成分に追尾ループの雑音によるシーカ軸空間角σHの揺らぎ成分に量子化雑音誤差分が加わって観測誤差から予め除去することができない変動成分なる。
図8に示す空間角算出部100からの出力である計算目標空間角速度σ(・)^については、図4に示す積分器106の動作により、現在の空間角をσ^kとし、iサンプル前の空間角をσ^k−iとした場合、以下の式(14)となっている。
計算目標空間角速度σ(・)^の変動分の標準偏差は、空間角算出部100の応答の影響を無視した場合、式(16)に示した変動成分についての標準偏差とすることができる。式(16)により、各サンプル間の変動が独立であるとして、σ(・)^outkの変動成分標準偏差c~ε(・)を、以下の式(17)とする。
ここで、式(19)の1行目2列目及び2行目1列目の成分については、式(16)に示す通り、式(16)の第1項以外の成分は過去のサンプルであり、その変動成分が独立であることから値は「0」となるため、以下の式(20)とすることができる。
なお、図11の状態変数予測補正計算12−20、図12の目標角速度動揺共分散算出12−9、比例航法倍率算出12−16、下限リミッタ12−17及びコマンド補正マトリクス計算12−18、を除いた部分については、通常の線形予測計算フィルタ(カルマンフィルタ)であり、当事業者にとってよく知られた技術であるため、動作の説明を省略する。
図13及び図14は、本発明の実施の形態2にかかるカルマンフィルタ部12から出力される誘導信号σ(・)^o及び計算目標空間角σ^oの応答例を示す図である。図13は、シーカ部1aが一点に固定され目標距離rが常に2500m一定で目標が目視線と直角方向に最大15Gで加速後、1Gの加速で一定となる場合の応答例を示す。また、図14は、図13と同じ条件で目標距離rのみを200mとした場合を示している。但し、本応答例では、シーカ部1aについては、図9に示す倍率器1−11に設定する倍率KHを「20」、誤差角度検出器1−2からの誤差角信号εの出力の分解能を「0.273×10−3」radとし、シーカ軸角の揺れによる雑音成分をランダム性とし、その実効値を「0.3×10−3」radとしている。
また、サンプリング間隔ΔTを1/120秒とし、空間角算出部100の倍率器107に設定する倍率Kpを「100」、倍率器108に設定する倍率Krを「0.005」に設定している。また、デジタルフィルタ11のフィルタ係数乗算器群11−2に設定しているフィルタ係数を、以下の式(24)としている。そして、前記合成加速度動揺成分aの変動幅標準偏差a~を「17.0」Grmsと置いている。
図13又は図14を参照すると、シーカ部1aへの902に示す目標空間角速度を持つ目標空間角σ入力901に対し、シーカ部1aからは、ジンバル角速度指令信号σ(・)com903が出力される。そして、カルマンフィルタ部12からは計算目標空間角σ^o出力904及び誘導信号σ(・)^o出力905に示す波形が出力される。
このようにして、カルマンフィルタ部12では、目標距離r、目標の飛翔性能を考慮した旋回加速度分布にマッチングさせて、誤差角変化率信号ε(・)と計算誤差角変化量ε(・)^の観測に含まれる雑音成分を抑制した誘導信号の発生を可能としている。
図8において、カルマンフィルタ部12の出力である計算目標空間角速度σ(・)^o及び比例航法倍率Nは乗算器13に入力される。また、乗算器13は、計算目標空間角速度σ(・)^oをN倍して飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comとして減算器15へ出力する。飛翔体旋回角速度γ(・)は、機体固定センサ装置16を通して減算器15に帰還し、飛翔体操舵装置14により飛翔体旋回角速度γ(・)が飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comに一致するよう操舵制御される。
本発明の実施形態による図8に示す構成においては、誘導制御の飛翔体の応答特性は、シーカ部1aの追尾応答の影響は無視することができる。それ故、目標距離r、飛翔体速度Vm及び図12に示すカルマンフィルタゲイン算出12−11からのカルマンフィルタゲインKkの内Kk22に依存することになる。飛翔体操舵装置14の応答の遅れを無視し、飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comによる線形予測補正の効果を無視すると、航跡に振動性を持たない誘導制御となる比例航法倍率Nは、以下の式(25)が一つの目安となる。
従って、図12の比例航法倍率算出12−16では、目標距離出力装置17から得られた目標距離rと飛翔体速度出力装置18からの飛翔体速度Vmを入力し、以下の式(26)の計算を実施して、カルマンフィルタゲインの変化、ミサイル速度の変化、目標距離の変化に対応させてその時点での安定制御の得られる比例航法倍率Nを時間的に刻々と変化させて出力する。
なお、前記式(26)の倍率m、式(27)のNmaxおよびNminは、本実施形態では固定値であるものとする。そして、これらの値は、飛翔体の運用範囲において、俊敏性を失わず航跡に過度なハンチングの発生しない応答が得られ、かつ、誘導信号に含まれる雑音レベルが実用的な範囲に収まる値を設定する。また、式(28)のAmaxは式(27)による値がこの値で制限されない範囲で大きな値とする。
ここで、図15は、本発明の実施の形態2にかかる目標航跡と追尾航跡の例を示す図である。また、図16は、本発明の実施の形態2にかかる飛翔体旋回角速度コマンド及び比例航法倍率の波形の例を示す図である。図15及び図16は、追尾動作開始時点で目標方向が飛翔体の機軸から約60度だけ外れた方向となっている条件での2次元平面内での追尾航跡と、これに対応する飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comおよび比例航法倍率Nの波形を示している。但し、本応答例ではシーカ部1a、空間角算出部100、デジタルフィルタ11及びカルマンフィルタ部12について、前記図13及び図14に示す例と同設定とする。そして、前記式(27)のmの値を「1.3」、Nmaxを「20」、Nminを「2.0」とし、飛翔体の速度Vmと目標の速度Vtが一定で比率P=Vm/Vtが「2.0」となる条件としている。
図15及び図16を参照すると、図15において11001に示す目標の航跡に対し、本例では、ほぼ11002に示す追尾航跡の応答が得られることを示している。つまり、図21に比べてふくらみが抑制されている。この追尾動作中においては、図12に示す比例航法倍率算出12−16の出力からは図16中の12001に示す比例航法倍率Nが出力され、図8に示す乗算器13からは図16中の12002に示す出力される飛翔体旋回角速度コマンドγ(・)comが出力される。
なお、図8において、目標距離出力装置17、飛翔体速度出力装置18、飛翔体操舵装置14及び機体固定センサ装置16は、従来技術によるものであり、本発明の範囲外であるため、動作の説明を省略する。
以上のように本発明の実施の形態は、シーカの追尾制御ループとは独立して、シーカから得られる誤差角を基に計算上で目標空間角速度を得る手段(手段―1)に加え、以下の(手段―2)及び(手段―3)をさらに有するものである。すなわち、(手段―2)とは、得られた空間角速度から、目標の飛翔性能加速度分布による角速度発生分布に整合し、且つ、サーボ動作雑音および、量子化雑音を考慮したカルマンフィルタによる雑音抑制手段といえる。また、(手段―3)とは、カルマンフィルタのフィルタゲイン、目標距離、飛翔体速度及び機体軸とジンバル光軸との角度をもとに、航跡の安定性が損なわれない範囲で俊敏性が得られる航法定数を算出し飛翔体の旋回角速度コマンドを出力する手段といえる。
そして、前記(手段−2)には、量子化雑音に関する観測雑音マトリクスと、予め調べた目標の飛翔加速度分布及び、飛翔体側の加速度分布を基に目標距離から目標空間角及び角速度の動揺に関する共分散マトリクスを計算する手段により得られた結果をカルマンフィルタゲインの計算に反映し、慣性の法則を考慮した線形予測計算によるフィルタリングを行って、誘導信号を出力する手段を有している。これにより、目標の飛翔加速度分布と飛翔体側の飛翔加速度分布に整合しつつ不要な雑音を抑圧するフィルタリングを可能とする効果がある。
また、前記(手段−3)には、飛翔体機軸に対するシーカ軸の角度、飛翔体速度、目標距離及び(手段―2)で得られたカルマンフィルタゲインにより、飛翔制御の安定性が確保できる比例航法定数を算出する手段を有し、得られた比例航法定数を前記(手段―2)の出力である誘導信号に乗算して飛翔体旋回角速度コマンドを生成し、出力する手段を有している。この手段により、フィルタリングの応答に対応させて、飛翔経路の安定性を維持しつつ最大の俊敏性を引き出す比例航法の飛翔体誘導が得られる効果がある。
以上説明したように、本発明の実施形態に係わる上述の手段によれば、シーカ部分と目標空間角速度を得る手段とは切り離されているため、目標空間角速度の応答特性の設定は独立で、シーカ部分の追尾諸特性を変更することなく自由に設定できる。これにより、シーカの追尾特性を最良点に固定し、得られた目標空間角速度を基に、目標の飛翔性能加速度分布による角速度発生分布に整合し、且つ、量子化雑音を考慮した線形予測計算によるカルマンフィルタにより時間的に刻々と変化する各飛翔位置での、目標の飛翔性能に整合しつつ雑音を抑制するフィルタリングが可能となって、旋回角速度コマンドの中の雑音を削減でき、その分、航法定数を大きくすることができる効果がある。
また、カルマンフィルタのフィルタゲイン、目標距離、飛翔体速度及び機体軸とジンバル光軸との角度をもとに、航跡の安定性が損なわれない範囲で俊敏性が得られる航法定数を刻々算出し飛翔体の旋回角速度コマンドを出力することが可能で、飛翔経路全体に渡り、各飛翔点においてシーカで発生する雑音を抑制し、飛翔経路の安定性を維持しつつ、最大の俊敏性を引き出す比例航法の飛翔体誘導が得られる効果があり、このため、目標の回避行動に伴う会合点近傍でミスデスタンスの増大に関係する飛翔体旋回加速度が急増する現象を軽減し、目標方向と飛翔体の射出方向を遠距離において大きくとっても目標との会合点までの航跡長の増大を抑える効果を持つことを特徴とし、従来技術に対して更なる運用条件範囲の拡大を行うことができる。
また、本発明の実施形態は以下のように言い換えることができる。すなわち、飛翔体誘導システム1001は、飛翔体の進行方向とシーカ軸とのなす角であるシーカ軸振れ角λ、当該飛翔体と目標との距離r及び当該飛翔体の速度Vmを用いて目標空間角速度及び目標空間角から雑音成分を除去するフィルタ部をさらに備える。そして、飛翔体誘導システム1001は、当該フィルタ部により雑音成分が除去された目標空間角速度及び目標空間角に基づいて当該飛翔体を目標へ誘導する。これにより、目標と自己との飛翔加速度分布の整合を取ることができる。
また、当該フィルタ部は、目標及び飛翔体の加速度分布に基づいて距離から目標空間角及び目標空間角速度の動揺に関する共分散マトリクスを算出し、共分散マトリクスと量子化雑音に関する観測雑音マトリクスとに基づいてフィルタゲインを算出し、フィルタゲインを用いて目標空間角速度及び目標空間角から雑音成分を除去する。
さらに、当該フィルタ部は、シーカ軸振れ角、距離、速度及びフィルタゲインに基づいて比例航法定数を算出し、フィルタ部により雑音成分が除去された目標空間角速度を比例航法定数により倍率して飛翔体旋回角速度コマンドを算出し、飛翔体旋回角速度コマンドに基づいて当該飛翔体を目標へ誘導すると共に、当該飛翔体旋回角速度コマンドをフィルタ部へ帰還させる。つまり、比例航法倍率を算出することで、航跡のふくらみが減少し、経路安定性維持及び俊敏性が確保される。また、会合点近傍でのミスデスタンスを減少し、飛翔体旋回加速度の急増を軽減、航跡長の増大を抑制することができる。
さらにまた、当該フィルタ部は、シーカ部において目標が検出されなかった場合、1サンプル前の状態変数と飛翔体旋回角速度コマンドとを用いて補正された値を雑音成分が除去された目標空間角速度及び目標空間角とする。これにより、例えば、目標検出ロス信号の通知に応じて、補正動作のみで線形予測計算動作を維持することができる。
また、当該フィルタ部は、距離の所定の下限値以上に保持する下限リミッタをさらに備える。これにより、予測計算を安定的に行うことができる。
以上説明したように、本発明においては、以下に記載するような効果を奏する。第1の効果はシーカ部から得られた目標方向との誤差角とジンバル角速度指令信号σ(・)comから計算上で目標空間角と目標空間角速度を得ることができる構成となっており、シーカ部分の追尾ループとは分離しているため、目標空間角速度算出の応答設定および、それに基づき発生する誘導信号の応答特性の設定がシーカの追尾ループに影響しなくなり、シーカ部分の追尾ループの諸特性を変更することなく自由に設定できる効果が得られることである。
第2の効果は計算上で目標空間角と目標空間角速度を得ることができる構成としており、得られた目標空間角と目標空間角速度に対して線形予測フィルタ(カルマンフィルタ)によるフィルタリングが可能で、刻々と変化する目標との距離と目標飛翔性能にフィルタリングを整合させることにより、飛翔体の誘導特性の低下を起こさない範囲で誘導信号に含まれる雑音成分を抑圧できることである。
第3の効果は、刻々と変化するフィルタ特性に対応させて、飛翔制御の安定性が確保できる範囲で大きな比例航法定数を出力する手段を設けているため、各飛翔点において第2の効果と併せて飛翔体旋回角速度コマンド中の雑音を増大させることなく、最大の俊敏性を引き出す比例航法の飛翔体誘導が得られる効果があり、このため、会合点近傍で目標の回避行動に伴う飛翔体旋回加速度が急増現象の可能性を軽減し、また、目標方向と飛翔体の射出方向を遠距離において大きくとっても目標との会合点までの航跡長の増大を抑えることができることである。
<発明の実施の形態3>
本発明の実施の形態3として、実施の形態2に変更を加えても良い。その場合、基本的構成は実施の形態2の通りである。しかし、前記式(6)の飛翔体側の加速変動の分散値smについては、追尾フェーズの段階に区分けした統計により数値を決定し、各フェーズの時間帯に対応させてダイナミックに数値を切り替える構成としてもよい。つまり、追尾フェーズによりその値が大きく変わることが容易に想定されるため、飛翔経路全体での統計から数値を設定・固定するのではなく、更に工夫を加えたものといえる。これにより、無駄な応答性を持つことに起因する誘導信号の雑音成分を軽減する効果が得られる。
本発明の実施の形態3として、実施の形態2に変更を加えても良い。その場合、基本的構成は実施の形態2の通りである。しかし、前記式(6)の飛翔体側の加速変動の分散値smについては、追尾フェーズの段階に区分けした統計により数値を決定し、各フェーズの時間帯に対応させてダイナミックに数値を切り替える構成としてもよい。つまり、追尾フェーズによりその値が大きく変わることが容易に想定されるため、飛翔経路全体での統計から数値を設定・固定するのではなく、更に工夫を加えたものといえる。これにより、無駄な応答性を持つことに起因する誘導信号の雑音成分を軽減する効果が得られる。
図8に示す構成では、空間角算出部100、デジタルフィルタ11、カルマンフィルタ部12及び乗算器13は分離した構成となっているが、これらは全て共通のサンプリング間隔によるデジタル処理が可能であるため、これらを統合してひとつのCPUによるプログラム処理としても良い。
<その他の発明の実施の形態>
本発明の実施の形態1乃至3では、図1又は図8に示す空間角算出部100を保有している。そして、シーカ部1等からのジンバル角速度指令信号σ(・)com、誤差角信号εおよび誤差角変化率信号ε(・)により、計算ループを用いて計算目標空間角σ^と計算目標空間角速度σ(・)^を得ることができる。この特徴により、飛翔体を誘導するための誘導信号にシーカ部1等の追尾応答特性が影響しない計算目標空間角速度σ(・)^を使用することが可能となっている。
本発明の実施の形態1乃至3では、図1又は図8に示す空間角算出部100を保有している。そして、シーカ部1等からのジンバル角速度指令信号σ(・)com、誤差角信号εおよび誤差角変化率信号ε(・)により、計算ループを用いて計算目標空間角σ^と計算目標空間角速度σ(・)^を得ることができる。この特徴により、飛翔体を誘導するための誘導信号にシーカ部1等の追尾応答特性が影響しない計算目標空間角速度σ(・)^を使用することが可能となっている。
また、本発明の実施の形態2及び3では、更に、得られた計算目標空間角σ^と計算目標空間角速度σ(・)^に対しフィルタリングを行う図8に示すカルマンフィルタ部12を保有する。また、図12に示す目標角速度動揺共分散算出12−9設けており計算目標空間角速度σ(・)^に対し、目標距離r、と目標の飛翔旋回加速分布にマッチングさせたシーカ部1aに含まれる雑音成分の抑圧が可能となっている。
また、本発明の実施の形態2及び3では、図8に示すカルマンフィルタ部12には図12に示す比例航法倍率算出12−16を保有している。そして、これから得られる比例航法倍率の値により、目標との会合点に至る各点において可能な限り俊敏な飛翔制御を行えることを特徴としている。
以上の特徴から、本発明の実施の形態1乃至3では、追尾ループの追尾時定数をサーボ系及び光学系を考慮した適切な値に固定し、これとは独立して目標の飛翔性能にマッチングさせたシーカ部の雑音抑圧のフィルタリング動作を時々刻々と変化する目標までの距離、飛翔体速度に対応させて変化・設定できることが可能である。
また、本発明の実施の形態2及び3では、前記の通り変化・設定した応答特性に対応させて逐次適切な比例航法の比例定数を出力する手段を設けている。このため、誘導信号の雑音を抑制すると共に航跡の安定性を維持しつつ俊敏性が得られ、目標方向と飛翔体の射出方向を大きく取っても目標との会合点までの航跡の距離の増大を抑えることができることを特徴とする。また、目標の回避行動に伴う会合点近傍で飛翔体旋回加速度が急増する現象の軽減が可能である。
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号により追尾ループを行うシーカ部と、
前記シーカ部から出力された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出する誤差角処理部と、
前記誤差角、前記ジンバル角速度指令信号及び前記誤差角の変化率に基づいて目標空間角及び目標空間角速度を算出する空間角算出部とを備え、
前記空間角算出部は、
前記目標空間角速度の積分値と前記ジンバル角速度指令信号の積分値との差分から計算上の誤差角を算出し、
前記シーカ部から出力された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から前記目標空間角速度を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する飛翔体誘導システム。
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号により追尾ループを行うシーカ部と、
前記シーカ部から出力された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出する誤差角処理部と、
前記誤差角、前記ジンバル角速度指令信号及び前記誤差角の変化率に基づいて目標空間角及び目標空間角速度を算出する空間角算出部とを備え、
前記空間角算出部は、
前記目標空間角速度の積分値と前記ジンバル角速度指令信号の積分値との差分から計算上の誤差角を算出し、
前記シーカ部から出力された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から前記目標空間角速度を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する飛翔体誘導システム。
(付記2)
前記飛翔体の進行方向と前記シーカ軸とのなす角であるシーカ軸振れ角、当該飛翔体と前記目標との距離及び当該飛翔体の速度を用いて前記目標空間角速度及び前記目標空間角から雑音成分を除去するフィルタ部をさらに備え、
前記フィルタ部により雑音成分が除去された前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する
ことを特徴とする付記1に記載の飛翔体誘導システム。
前記飛翔体の進行方向と前記シーカ軸とのなす角であるシーカ軸振れ角、当該飛翔体と前記目標との距離及び当該飛翔体の速度を用いて前記目標空間角速度及び前記目標空間角から雑音成分を除去するフィルタ部をさらに備え、
前記フィルタ部により雑音成分が除去された前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する
ことを特徴とする付記1に記載の飛翔体誘導システム。
(付記3)
前記フィルタ部は、
前記目標及び前記飛翔体の加速度分布に基づいて前記距離から前記目標空間角及び前記目標空間角速度の動揺に関する共分散マトリクスを算出し、
前記共分散マトリクスと量子化雑音に関する観測雑音マトリクスとに基づいてフィルタゲインを算出し、
前記フィルタゲインを用いて前記目標空間角速度及び前記目標空間角から雑音成分を除去する
ことを特徴とする付記2に記載の飛翔体誘導システム。
前記フィルタ部は、
前記目標及び前記飛翔体の加速度分布に基づいて前記距離から前記目標空間角及び前記目標空間角速度の動揺に関する共分散マトリクスを算出し、
前記共分散マトリクスと量子化雑音に関する観測雑音マトリクスとに基づいてフィルタゲインを算出し、
前記フィルタゲインを用いて前記目標空間角速度及び前記目標空間角から雑音成分を除去する
ことを特徴とする付記2に記載の飛翔体誘導システム。
(付記4)
前記フィルタ部は、
前記シーカ軸振れ角、前記距離、前記速度及び前記フィルタゲインに基づいて比例航法定数を算出し、
前記フィルタ部により雑音成分が除去された前記目標空間角速度を前記比例航法定数により倍率して飛翔体旋回角速度コマンドを算出し、
前記飛翔体旋回角速度コマンドに基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導すると共に、当該飛翔体旋回角速度コマンドを前記フィルタ部へ帰還させる
ことを特徴とする付記3に記載の飛翔体誘導システム。
前記フィルタ部は、
前記シーカ軸振れ角、前記距離、前記速度及び前記フィルタゲインに基づいて比例航法定数を算出し、
前記フィルタ部により雑音成分が除去された前記目標空間角速度を前記比例航法定数により倍率して飛翔体旋回角速度コマンドを算出し、
前記飛翔体旋回角速度コマンドに基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導すると共に、当該飛翔体旋回角速度コマンドを前記フィルタ部へ帰還させる
ことを特徴とする付記3に記載の飛翔体誘導システム。
(付記5)
前記フィルタ部は、
前記シーカ部において目標が検出されなかった場合、1サンプル前の状態変数と前記飛翔体旋回角速度コマンドとを用いて補正された値を前記雑音成分が除去された前記目標空間角速度及び前記目標空間角とする
ことを特徴とする付記4に記載の飛翔体誘導システム。
前記フィルタ部は、
前記シーカ部において目標が検出されなかった場合、1サンプル前の状態変数と前記飛翔体旋回角速度コマンドとを用いて補正された値を前記雑音成分が除去された前記目標空間角速度及び前記目標空間角とする
ことを特徴とする付記4に記載の飛翔体誘導システム。
(付記6)
前記フィルタ部は、前記距離の所定の下限値以上に保持する下限リミッタをさらに備えることを特徴とする付記2乃至5のいずれか1項に記載の飛翔体誘導システム。
前記フィルタ部は、前記距離の所定の下限値以上に保持する下限リミッタをさらに備えることを特徴とする付記2乃至5のいずれか1項に記載の飛翔体誘導システム。
(付記7)
前記空間角算出部は、
前記シーカ部から出力された誤差角と前記計算上の誤差角との差分を所定値により倍率して前記目標空間角速度を算出し、
前記所定値は、計算処理ループの安定性が崩れない範囲で大きな値である
ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の飛翔体誘導システム。
前記空間角算出部は、
前記シーカ部から出力された誤差角と前記計算上の誤差角との差分を所定値により倍率して前記目標空間角速度を算出し、
前記所定値は、計算処理ループの安定性が崩れない範囲で大きな値である
ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の飛翔体誘導システム。
(付記8)
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角と、当該誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号と、当該誤差角に基づいて算出された誤差角の変化率とを受け付け、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出し、
前記受け付けた誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出し、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新し、当該更新された誤差角を用いて前記目標空間角速度を更新し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角を出力する
飛翔体誘導信号発生回路。
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角と、当該誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号と、当該誤差角に基づいて算出された誤差角の変化率とを受け付け、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出し、
前記受け付けた誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出し、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新し、当該更新された誤差角を用いて前記目標空間角速度を更新し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角を出力する
飛翔体誘導信号発生回路。
(付記9)
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を検出し、
当該誤差角を固定値で倍率してジンバル角速度指令信号を生成し、
前記ジンバル角速度指令信号により追尾ループを行い、前記誤差角を更新し、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出し、
前記検出された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出し、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新し、
前記検出された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する
飛翔体誘導方法。
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を検出し、
当該誤差角を固定値で倍率してジンバル角速度指令信号を生成し、
前記ジンバル角速度指令信号により追尾ループを行い、前記誤差角を更新し、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出し、
前記検出された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出し、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新し、
前記検出された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する
飛翔体誘導方法。
(付記10)
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を検出する処理と、
前記誤差角を固定値で倍率してジンバル角速度指令信号を生成する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号により追尾ループを行い、前記誤差角を更新する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出する処理と、
前記検出された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出する処理と、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新する処理と、
前記検出された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出する処理と、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正する処理と、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する処理と、
をコンピュータに実行させる飛翔体誘導プログラム。
飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を検出する処理と、
前記誤差角を固定値で倍率してジンバル角速度指令信号を生成する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号により追尾ループを行い、前記誤差角を更新する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出する処理と、
前記検出された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出する処理と、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新する処理と、
前記検出された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出する処理と、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正する処理と、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する処理と、
をコンピュータに実行させる飛翔体誘導プログラム。
1000 飛翔体誘導システム
1001 飛翔体誘導システム
1 シーカ部
1a シーカ部
1−1 撮像部
1−2 誤差角検出器
1−3 倍率器
1−4 ジンバル機構
1−5 トルクモータ部
1−6 減算器
1−7 レートセンサ
1−8 ジンバル角度センサ
1−9 1サンプル遅延
1−10 減算器
1−11 倍率器
200 誤差角処理部
100 空間角算出部
102 減算器
103 減算器
104 減算器
105 積分器
5−1 1サンプル遅延
5−2 加算器
5−3 倍率器
5−4 加算器
5−5 1サンプル遅延
5−6 スイッチ
106 積分器
6−1 1サンプル遅延
6−2 倍率器
6−3 加算器
6−4 1サンプル遅延
107 倍率器
108 倍率器
109 減算器
110 加算器
11 デジタルフィルタ
11−1 1サンプル遅延群
11−2 フィルタ係数乗算器群
11−3 加算器
12 カルマンフィルタ部
12−1 減算器
12−2 状態変数更新スイッチ
12−3 状態変数更新加算値算出
12−4 加算器
12−5 1計算サンプル遅延
12−6 状態遷移演算
12―7 観測変数変換
12―8 観測変数変換
12−9 目標角速度動揺共分散算出
12−10 予測残余成分共分散マトリクス算出
12−11 カルマンフィルタゲイン算出
12−13 状態変数共分散予測値算出
12−14 1サンプル遅延
12−15 状態変数共分散算出
12−16 比例航法倍率算出
12−17 下限リミッタ
12−18 コマンド補正マトリクス計算
12−19 加算器
12−20 状態変数予測補正計算
12−21 1サンプル遅延
13 乗算器
14 飛翔体操舵装置
15 減算器
16 機体固定センサ装置
17 目標距離出力装置
18 飛翔体速度出力装置
801 目標空間角σの入力
802 ジンバル角速度指令信号σ(・)comの出力
803 計算ジンバル空間角σ^Hの出力
804 計算目標空間角速度σ(・)^の応答
900 誘導装置
2 倍率器
3 加算器
4 飛翔体操舵装置
5 機体固定センサ装置
14001 ドーム
14002 光学部
14003 光学フィルタ
14004 アレイセンサ
14005 プリアンプ部
14006 信号処理部
M 飛翔体
σ 目標空間角
σH シーカ軸空間角
σ(・)com ジンバル角速度指令信号
σ^ 計算目標空間角
σ^o 計算目標空間角
σ(・) 目標空間角速度
σ(・)^ 計算目標空間角速度
σ(・)^in 計算目標空間角速度
σ(・)^out 計算目標空間角速度
σ(・)H ジンバル角速度信号
σ^H 計算ジンバル空間角
σ(・)^o 誘導信号/計算目標空間角速度
ε 誤差角信号
ε(・) 誤差角変化率信号
ε^ 計算誤差角
ε(・)^ 計算誤差角変化量
yp 計算誤差角差分値
yr 計算誤差角変化量差分値
r 目標距離
rmin 最小目標距離
ΔT サンプリング間隔
λ シーカ軸振れ角
LOD 目標検出ロス信号
To 発射タイミング信号
Vm 飛翔体速度
Vt 目標速度
Kk カルマンフィルタゲイン
KH 倍率
Kp 倍率
Kr 倍率
m 倍率
N 比例航法倍率
γ 機軸空間角
γ(・) 飛翔体旋回角速度信号
γ(・)com 飛翔体旋回角速度コマンド
Bk−1 コマンド補正マトリクス
Fk;k−1 状態遷移マトリクス
Hk 観測マトリクス
P^k|k 状態変数共分散マトリクス
P^k|k−1 状態変数共分散予測値
P^k−1|k−1 1サンプル前の状態変数共分散マトリクス
Qk−1 目標動揺共分散マトリクス
Rk 観測誤差共分散マトリクス
Sk 予測残余成分共分散マトリクス
st 加速分布変動の分散
sm 飛翔体側の加速変動の分散
s 合成した加速の分散値
x^k|k−1 状態変数予測値
x^k|k 状態変数値
x^k−1|k−1 状態変数値
y~k 観測予測残余分
zk 観測値
z^k 観測値フィルタ出力値
z^k|k−1 観測予測値
a 合成加速度動揺成分
a~ 変動幅標準偏差
σ(・・) 角加速度
σ(・・)~ 変動幅の標準偏差
Wk 変動成分
Δε 分解能幅
SΔε 分散値
SH 分散値
b~ε 標準偏差
σ^k 現在の空間角
σ^k−i iサンプル前の空間角
c~ε(・) 変動成分標準偏差
vk 変動成分
1001 飛翔体誘導システム
1 シーカ部
1a シーカ部
1−1 撮像部
1−2 誤差角検出器
1−3 倍率器
1−4 ジンバル機構
1−5 トルクモータ部
1−6 減算器
1−7 レートセンサ
1−8 ジンバル角度センサ
1−9 1サンプル遅延
1−10 減算器
1−11 倍率器
200 誤差角処理部
100 空間角算出部
102 減算器
103 減算器
104 減算器
105 積分器
5−1 1サンプル遅延
5−2 加算器
5−3 倍率器
5−4 加算器
5−5 1サンプル遅延
5−6 スイッチ
106 積分器
6−1 1サンプル遅延
6−2 倍率器
6−3 加算器
6−4 1サンプル遅延
107 倍率器
108 倍率器
109 減算器
110 加算器
11 デジタルフィルタ
11−1 1サンプル遅延群
11−2 フィルタ係数乗算器群
11−3 加算器
12 カルマンフィルタ部
12−1 減算器
12−2 状態変数更新スイッチ
12−3 状態変数更新加算値算出
12−4 加算器
12−5 1計算サンプル遅延
12−6 状態遷移演算
12―7 観測変数変換
12―8 観測変数変換
12−9 目標角速度動揺共分散算出
12−10 予測残余成分共分散マトリクス算出
12−11 カルマンフィルタゲイン算出
12−13 状態変数共分散予測値算出
12−14 1サンプル遅延
12−15 状態変数共分散算出
12−16 比例航法倍率算出
12−17 下限リミッタ
12−18 コマンド補正マトリクス計算
12−19 加算器
12−20 状態変数予測補正計算
12−21 1サンプル遅延
13 乗算器
14 飛翔体操舵装置
15 減算器
16 機体固定センサ装置
17 目標距離出力装置
18 飛翔体速度出力装置
801 目標空間角σの入力
802 ジンバル角速度指令信号σ(・)comの出力
803 計算ジンバル空間角σ^Hの出力
804 計算目標空間角速度σ(・)^の応答
900 誘導装置
2 倍率器
3 加算器
4 飛翔体操舵装置
5 機体固定センサ装置
14001 ドーム
14002 光学部
14003 光学フィルタ
14004 アレイセンサ
14005 プリアンプ部
14006 信号処理部
M 飛翔体
σ 目標空間角
σH シーカ軸空間角
σ(・)com ジンバル角速度指令信号
σ^ 計算目標空間角
σ^o 計算目標空間角
σ(・) 目標空間角速度
σ(・)^ 計算目標空間角速度
σ(・)^in 計算目標空間角速度
σ(・)^out 計算目標空間角速度
σ(・)H ジンバル角速度信号
σ^H 計算ジンバル空間角
σ(・)^o 誘導信号/計算目標空間角速度
ε 誤差角信号
ε(・) 誤差角変化率信号
ε^ 計算誤差角
ε(・)^ 計算誤差角変化量
yp 計算誤差角差分値
yr 計算誤差角変化量差分値
r 目標距離
rmin 最小目標距離
ΔT サンプリング間隔
λ シーカ軸振れ角
LOD 目標検出ロス信号
To 発射タイミング信号
Vm 飛翔体速度
Vt 目標速度
Kk カルマンフィルタゲイン
KH 倍率
Kp 倍率
Kr 倍率
m 倍率
N 比例航法倍率
γ 機軸空間角
γ(・) 飛翔体旋回角速度信号
γ(・)com 飛翔体旋回角速度コマンド
Bk−1 コマンド補正マトリクス
Fk;k−1 状態遷移マトリクス
Hk 観測マトリクス
P^k|k 状態変数共分散マトリクス
P^k|k−1 状態変数共分散予測値
P^k−1|k−1 1サンプル前の状態変数共分散マトリクス
Qk−1 目標動揺共分散マトリクス
Rk 観測誤差共分散マトリクス
Sk 予測残余成分共分散マトリクス
st 加速分布変動の分散
sm 飛翔体側の加速変動の分散
s 合成した加速の分散値
x^k|k−1 状態変数予測値
x^k|k 状態変数値
x^k−1|k−1 状態変数値
y~k 観測予測残余分
zk 観測値
z^k 観測値フィルタ出力値
z^k|k−1 観測予測値
a 合成加速度動揺成分
a~ 変動幅標準偏差
σ(・・) 角加速度
σ(・・)~ 変動幅の標準偏差
Wk 変動成分
Δε 分解能幅
SΔε 分散値
SH 分散値
b~ε 標準偏差
σ^k 現在の空間角
σ^k−i iサンプル前の空間角
c~ε(・) 変動成分標準偏差
vk 変動成分
Claims (10)
- 飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号により追尾ループを行うシーカ部と、
前記シーカ部から出力された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出する誤差角処理部と、
前記誤差角、前記ジンバル角速度指令信号及び前記誤差角の変化率に基づいて目標空間角及び目標空間角速度を算出する空間角算出部とを備え、
前記空間角算出部は、
前記目標空間角速度の積分値と前記ジンバル角速度指令信号の積分値との差分から計算上の誤差角を算出し、
前記シーカ部から出力された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から前記目標空間角速度を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する飛翔体誘導システム。 - 前記飛翔体の進行方向と前記シーカ軸とのなす角であるシーカ軸振れ角、当該飛翔体と前記目標との距離及び当該飛翔体の速度を用いて前記目標空間角速度及び前記目標空間角から雑音成分を除去するフィルタ部をさらに備え、
前記フィルタ部により雑音成分が除去された前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する
ことを特徴とする請求項1に記載の飛翔体誘導システム。 - 前記フィルタ部は、
前記目標及び前記飛翔体の加速度分布に基づいて前記距離から前記目標空間角及び前記目標空間角速度の動揺に関する共分散マトリクスを算出し、
前記共分散マトリクスと量子化雑音に関する観測雑音マトリクスとに基づいてフィルタゲインを算出し、
前記フィルタゲインを用いて前記目標空間角速度及び前記目標空間角から雑音成分を除去する
ことを特徴とする請求項2に記載の飛翔体誘導システム。 - 前記フィルタ部は、
前記シーカ軸振れ角、前記距離、前記速度及び前記フィルタゲインに基づいて比例航法定数を算出し、
前記フィルタ部により雑音成分が除去された前記目標空間角速度を前記比例航法定数により倍率して飛翔体旋回角速度コマンドを算出し、
前記飛翔体旋回角速度コマンドに基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導すると共に、当該飛翔体旋回角速度コマンドを前記フィルタ部へ帰還させる
ことを特徴とする請求項3に記載の飛翔体誘導システム。 - 前記フィルタ部は、
前記シーカ部において目標が検出されなかった場合、1サンプル前の状態変数と前記飛翔体旋回角速度コマンドとを用いて補正された値を前記雑音成分が除去された前記目標空間角速度及び前記目標空間角とする
ことを特徴とする請求項4に記載の飛翔体誘導システム。 - 前記フィルタ部は、前記距離の所定の下限値以上に保持する下限リミッタをさらに備えることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の飛翔体誘導システム。
- 前記空間角算出部は、
前記シーカ部から出力された誤差角と前記計算上の誤差角との差分を所定値により倍率して前記目標空間角速度を算出し、
前記所定値は、計算処理ループの安定性が崩れない範囲で大きな値である
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の飛翔体誘導システム。 - 飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角と、当該誤差角を固定値で倍率したジンバル角速度指令信号と、当該誤差角に基づいて算出された誤差角の変化率とを受け付け、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出し、
前記受け付けた誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出し、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新し、当該更新された誤差角を用いて前記目標空間角速度を更新し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角を出力する
飛翔体誘導信号発生回路。 - 飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を検出し、
当該誤差角を固定値で倍率してジンバル角速度指令信号を生成し、
前記ジンバル角速度指令信号により追尾ループを行い、前記誤差角を更新し、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出し、
前記検出された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出し、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新し、
前記検出された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出し、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出し、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正し、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する
飛翔体誘導方法。 - 飛翔体の目標方向とシーカ軸とのなす角である誤差角を検出する処理と、
前記誤差角を固定値で倍率してジンバル角速度指令信号を生成する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号により追尾ループを行い、前記誤差角を更新する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号に基づき計算上の誤差角を算出する処理と、
前記検出された誤差角と前記計算上の誤差角との差分から当該飛翔体を前記目標へ誘導するための目標空間角速度を算出する処理と、
前記目標空間角速度を積分して目標空間角を算出する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号の積分値と前記目標空間角との差分から前記計算上の誤差角を更新する処理と、
前記検出された誤差角に基づいて誤差角の変化率を算出する処理と、
前記ジンバル角速度指令信号と前記目標空間角速度との差分から誤差角変化量を算出する処理と、
前記誤差角の変化率と前記誤差角変化量との差分を用いて前記目標空間角速度を補正する処理と、
前記目標空間角速度及び前記目標空間角に基づいて当該飛翔体を前記目標へ誘導する処理と、
をコンピュータに実行させる飛翔体誘導プログラム。
Priority Applications (1)
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JP2012241618A JP2014092840A (ja) | 2012-11-01 | 2012-11-01 | 飛翔体誘導システム、飛翔体誘導信号発生回路、飛翔体誘導方法及び飛翔体誘導プログラム |
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2012
- 2012-11-01 JP JP2012241618A patent/JP2014092840A/ja active Pending
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