JP2014086916A - 差分画像作成方法および作成装置 - Google Patents

差分画像作成方法および作成装置 Download PDF

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佳孝 辻
Koji Inagaki
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Abstract

【課題】動き補償を適用しつつ、対象画像Pの任意のブロックラインL2のみを復元できるようにする。
【解決手段】圧縮処理の対象画像Pと参照画像Qとの差分画像を作成する。画像P,Qをブロック分割し、円形動体を含む対象ブロック画像P(2,4)の対応位置にある参照ブロック画像Q(2,4)の枠を、動き補償のためにΔx,Δyだけシフトして類似ブロック画像QQ(2,4)を抽出する。抽出した画像QQ(2,4)のうち、ブロックラインL2の領域外の部分を削除して空白領域とし、この空白領域に、L2の境界線上の画素を上方にコピーして作成した充填用画像Wを割り付けて補完ブロック画像QQQ(2,4)を生成し、画像P(2,4)と画像QQQ(2,4)との差分をとる。対象画像PのブロックラインL2内のみを復元する際には、参照画像QのL2内の画像に上記コピー処理を施して画像QQQ(2,4)を作成し、差分処理の逆を行う。
【選択図】図13

Description

本発明は、画像の圧縮処理の技術に関し、特に、処理対象となる対象画像について、所定の参照画像を利用して差分画像を作成し、この差分画像を圧縮することにより圧縮効率を高める技術に関する。
多数の画素の集合として表現される画像データは、テキストデータに比べて極めて情報量が多く、通常は、圧縮された状態で配布され、表示の際にこれを伸張する処理が行われる。特に、フレーム単位の静止画像を時系列的に並べて構成される動画データを取り扱うには、実用上、データの圧縮および伸張技術が不可欠である。
画像データを圧縮する場合、圧縮対象となる対象画像に対して直接圧縮処理を施す代わりに、対象画像について、所定の参照画像を利用して差分画像を作成し、この差分画像に対して圧縮処理を施すのが一般的である。差分画像には、対象画像と参照画像との差を示す情報が含まれていれば足りるため、両画像の差が少ない場合、差分画像の情報量は元の対象画像の情報量に比べて著しく低減することになる。したがって、差分画像に対して圧縮処理を施すようにすれば、圧縮効率を大幅に向上させることができる。
現在、広く利用されているMPEG2などの動画の圧縮方式では、個々の静止画フレームを構成する対象画像を複数のブロックに分割し、同様の方法で参照画像も複数のブロックに分割し、対象ブロック画像とこれに対応する参照ブロック画像との間で差分をとることにより差分ブロック画像を作成し、この差分ブロック画像に対して符号化処理や圧縮処理を行う方法が採用されている。
また、動画の圧縮効率を更に向上させるための方法として、画面内の被写体の動きを予測し、この動きに合致させて、参照ブロックの位置を修正する動き補償という技術も提案されている。この動き補償の技術を採用して参照ブロックの位置を修正すれば、差分演算の対象となる2つのブロック画像の差が小さくなるため、得られる差分画像の情報量を低減させることができ、圧縮効率を高めることができるようになる。
たとえば、下記の特許文献1には、動き補償を行う際に用いる、最も効率の良い動きベクトルを決定する方法が開示されており、特許文献2には、画面端部における動き補償の予測精度を向上させる技術が開示されている。また、特許文献3には、動き補償を行う際に、複数の予測画像の中から原画像との差分が最小となる予測画像を特定する手法が開示されている。
特開平6−121298号公報 特開2000−059779号公報 特開2012−120086号公報
上述したように、ブロック単位で差分画像を作成する処理において、動き補償の技術を採用すると、差分画像の情報量を低減し、圧縮効率を高めることができるようになる。しかしながら、従来提案されている一般的な動き補償を採用すると、元の対象画像(原画像)の一部分のみを復元対象領域として復元する場合にも、当該復元対象領域以外の情報が必要になるため、効率的な復元処理を行うことができないという問題が生じる。
たとえば、1フレームの静止画像をI行J列のブロックに分割して、ブロック単位で差分画像を作成する場合、従来の一般的な動き補償の技術を導入すると、第i行目(1≦i≦I)のブロックラインLiのみを復元する場合でも、第(i−1)行目のブロックラインL(i−1)や第(i+1)行目のブロックラインL(i+1)の情報が必要になる。これは、動き補償により、参照ブロックの位置を修正したため、上下に隣接するブロックラインへの位置ずれが生じるためである。
このため、本来は、1行分のブロックラインの処理を行うだけのハードウェア(メモリやバッファなど)を用意すれば足りる場合でも、動き補償の技術を採用すると、上例の場合3行分のブロックラインの処理を行うハードウェアが必要になる。これは、特に、ゲーム機や携帯型電子端末など、動画再生機能をもった小型の装置を提供する上では、製造コストの高騰を招く要因になる。
そこで本発明は、動き補償の技術を採用しつつ、対象画像に対してより効率的な差分画像を作成することが可能な差分画像作成方法および作成装置を提供することを目的とする。特に、1フレームの一部分を構成する単位処理領域内の画像を復元する場合、当該単位処理領域に関する情報のみを利用した効率的な復元が可能な差分画像作成方法および作成装置を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、与えられた対象画像について、参照画像を利用して差分画像を作成する差分画像作成方法において、
互いに同一のフレームサイズをもった対象画像および参照画像を入力する画像入力段階と、
対象画像および参照画像をそれぞれ同一の分割方法によって複数のブロックに分割することにより、対象画像を複数の対象ブロックの集合体によって構成し、参照画像を複数の参照ブロックの集合体によって構成するブロック分割段階と、
対象画像および参照画像について、同一の定義方法により、1つもしくは複数のブロックからなる所定領域を単位処理領域と定義する単位処理領域定義段階と、
個々の対象ブロックに対して参照画像内の同じ位置に配置された同位参照ブロックを対応づけ、個々の対象ブロック内の対象ブロック画像について、参照画像のうちの、対応する同位参照ブロックの枠内もしくは当該枠を所定の態様でシフトした枠内の類似する画像として、類似ブロック画像を探索する類似ブロック画像探索段階と、
類似ブロック画像について、同位参照ブロックが所属する単位処理領域の領域外の部分の画像情報を削除して空白領域とし、この空白領域に、所定の充填規則に基づいて生成した充填用画像を割り付けて補完することにより、補完ブロック画像を生成する補完ブロック画像生成段階と、
個々の対象ブロック画像とこれに対応して生成された個々の補完ブロック画像との差分をとることにより、個々の差分ブロック画像を生成する差分ブロック画像生成段階と、
個々の差分ブロック画像の集合体からなる差分画像と、参照画像もしくはその代替画像と、個々の類似ブロック画像を探索したときのシフトの態様を示す個々のシフト情報と、個々の補完ブロック画像を生成する際の個々の充填規則と、を出力するデータ出力段階と、
を行うようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述した第1の態様に係る差分画像作成方法において、
補完ブロック画像生成段階で、補完ブロック画像を生成する際に用いる充填規則として、空白領域の近傍に位置する単位処理領域内の画素の画素値に基づいて、充填用画像の画素の画素値を決定する規則を用いるようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述した第2の態様に係る差分画像作成方法において、
補完ブロック画像生成段階で、補完ブロック画像を生成する際に用いる充填規則として、単位処理領域の領域内における、空白領域に接する境界近傍の画素の画素値を、空白領域内の画素にコピーするという規則を用い、充填用画像の画素の画素値を決定するようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述した第2または第3の態様に係る差分画像作成方法において、
補完ブロック画像生成段階で、複数N通りの充填規則に基づいて複数N通りの充填用画像を生成し、各充填用画像を空白領域に割り付けて補完することにより、複数N通りの補完ブロック画像を生成し、
差分ブロック画像生成段階で、N通りの補完ブロック画像のうち、対象ブロック画像に最も類似する画像を選択し、対象ブロック画像と、選択された補完ブロック画像との差分をとることにより差分ブロック画像を生成し、
データ出力段階で、選択された補完ブロック画像を生成する際の充填規則を出力するようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述した第4の態様に係る差分画像作成方法において、
補完ブロック画像生成段階で、補完ブロック画像を生成する際に用いる充填規則として、単位処理領域の領域内における、空白領域に接する境界近傍の画素の画素値を、空白領域内の所定方向に位置する画素にコピーするという規則を用い、充填用画像の画素の画素値を決定し、コピーする方向を変えることにより、複数N通りの充填規則を設定するようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述した第4または第5の態様に係る差分画像作成方法において、
差分ブロック画像生成段階で、補完ブロック画像と対象ブロック画像とについて、それぞれ対応する画素の画素値の差の絶対値の合計値を求め、当該合計値が最も小さい補完ブロック画像を最も類似する画像として選択するようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述した第1の態様に係る差分画像作成方法において、
補完ブロック画像生成段階で、補完ブロック画像を生成する際に用いる充填規則として、予め所定のダミー画素値を定めておき、充填用画像を構成する各画素にダミー画素値を与えるという規則を用いるようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述した第1〜第7の態様に係る差分画像作成方法において、
ブロック分割段階で、縦方向にI分割、横方向にJ分割することにより、I行J列に配列されたI×J個のブロックを構成し、
単位処理領域定義段階で、第i番目の行(1≦i≦I)に所属するJ個のブロックからなるブロックラインを単位処理領域とするようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述した第1〜第8の態様に係る差分画像作成方法において、
類似ブロック画像探索段階で、同位参照ブロックの枠を予め定められた複数通りの態様でシフトさせ、対象ブロック画像と各態様でシフトさせた枠内の画像とをそれぞれ比較し、最も類似した画像を類似ブロック画像とするようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述した第1〜第9の態様に係る差分画像作成方法において、
画像入力段階で、動画を構成する静止画像を時系列に従って順次入力し、第t番目の静止画像を対象画像、第(t−1)番目の静止画像を参照画像とするようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述した第10の態様に係る差分画像作成方法において、
類似ブロック画像探索段階で、時系列に従って順次入力した静止画像群に基づいて動画中の動体を認識し、この動体の移動方向および移動距離を考慮した位置に同位参照ブロックの枠をシフトさせ、類似ブロック画像の探索を行うようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述した第10または第11の態様に係る差分画像作成方法において、
補完ブロック画像生成段階で、時系列に従って順次入力した静止画像群に基づいて動画中の動体を認識し、この動体の移動方向を考慮した充填規則に基づいて補完ブロック画像を生成するようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述した第1〜第12の態様に係る差分画像作成方法によって作成された差分画像に基づいて、元の対象画像を復元する画像復元方法において、
データ出力段階で出力された差分画像と、参照画像もしくはその代替画像と、個々のシフト情報と、個々の充填規則と、を入力するデータ入力段階と、
入力したデータの中から、第i番目(i=1,2,3,... )の単位処理領域に関するデータを抽出する単位処理データ抽出段階と、
単位処理領域に関するデータの中から、第j番目(i=1,2,3,... )のブロックに関するデータを抽出するブロックデータ抽出段階と、
第i番目の単位処理領域に所属する第j番目の参照ブロック内の画像を、当該ブロックについてのシフト情報および充填規則に基づいて、補完ブロック画像に変換するブロック画像変換段階と、
第i番目の単位処理領域に所属する第j番目の差分ブロック画像と、これに対応する補完ブロック画像とに基づいて、第i番目の単位処理領域に所属する第j番目の対象ブロック画像を復元する対象ブロック画像復元段階と、
を行い、単位処理領域の全ブロックについて、それぞれ対象ブロック画像を復元する処理を行い、これら対象ブロック画像の集合体として対象画像の少なくとも一部分の領域を復元するようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、与えられた対象画像について、参照画像を利用して差分画像を作成する差分画像作成方法において、
互いに同一のフレームサイズをもった対象画像および参照画像を入力する画像入力段階と、
対象画像の一部分を構成する部分対象画像について、同一サイズかつ類似している部分参照画像を参照画像内から探索する類似部分探索段階と、
参照画像のフレーム内における部分参照画像の占有位置が、対象画像のフレーム内における部分対象画像の占有位置と同じになるように、部分参照画像をフレーム内で所定方向にシフトし、当該シフトにより画像情報が失われた部分を空白領域とする類似画像を生成する類似画像生成段階と、
類似画像内の空白領域に、所定の充填規則に基づいて生成した充填用画像を割り付けて補完することにより、補完画像を生成する補完画像生成段階と、
対象画像と補完画像との差分をとることにより差分画像を生成する差分画像生成段階と、
差分画像と、参照画像もしくはその代替画像と、シフトの態様を示すシフト情報と、充填規則と、を出力するデータ出力段階と、
を行うようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、上述した第14の態様に係る差分画像作成方法において、
充填規則として、部分参照画像の、空白領域に接する境界近傍の画素の画素値に基づいて、充填用画像の画素の画素値を決定する規則を用いるようにしたものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上述した第14または第15の態様に係る差分画像作成方法において、
補完画像生成段階で、複数N通りの充填規則に基づいて複数N通りの充填用画像を生成し、各充填用画像を空白領域に割り付けて補完することにより、複数N通りの補完画像を生成し、
差分画像生成段階では、N通りの補完画像のうち、対象画像に最も類似する画像を選択し、対象画像と、選択された補完画像との差分をとることにより差分画像を生成するようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述した第14〜第16の態様に係る差分画像作成方法によって作成された差分画像に基づいて、元の対象画像を復元する画像復元方法において、
データ出力段階で出力された差分画像と、参照画像もしくはその代替画像と、シフト情報と、充填規則と、を入力するデータ入力段階と、
シフト情報および充填規則に基づいて、参照画像を補完画像に変換する画像変換段階と、
補完画像と差分画像とに基づいて対象画像を復元する対象画像復元段階と、
を行うようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、画像データの圧縮方法において、上述した第1〜第12、第14〜第16の態様に係る差分画像作成方法により作成された差分画像に対して、データ圧縮処理を施すようにしたものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述した第18の態様に係るデータ圧縮方法により圧縮されたデータを伸張する画像データの伸張方法において、圧縮データに対して、データ伸張処理を施して差分画像を復元し、更に、この差分画像に基づいて、上述した第13もしくは第17の態様に係る画像復元方法を行うことにより対象画像を復元するようにしたものである。
(20) 本発明の第20の態様は、上述した第1〜第12、第14〜第16の態様に係る差分画像作成方法、または、上述した第13もしくは第17の態様に係る画像復元方法を、コンピュータにプログラムを組み込むことにより実行するようにしたものである。
(21) 本発明の第21の態様は、上述した第1〜第12、第14〜第16の態様に係る差分画像作成方法、または、上述した第13もしくは第17の態様に係る画像復元方法を、論理回路が組み込まれた集積回路により実行するようにしたものである。
(22) 本発明の第22の態様は、与えられた対象画像について、参照画像を利用して差分画像を作成する差分画像作成装置において、
互いに同一のフレームサイズをもった対象画像および参照画像を入力する画像入力部と、
対象画像を複数の対象ブロックの集合体によって構成し、参照画像を複数の参照ブロックの集合体によって構成することができるように、対象画像および参照画像をそれぞれ同一の態様で分割する分割方法を定義する分割方法定義部と、
対象画像および参照画像について、同一の定義方法により、1つもしくは複数のブロックからなる所定領域を単位処理領域と定義する単位処理領域定義部と、
分割方法定義部によって定義された分割方法により対象画像を分割し、個々の対象ブロックを抽出するブロック抽出部と、
個々の対象ブロックに対して参照画像内の同じ位置に配置された同位参照ブロックを対応づけ、個々の対象ブロック内の対象ブロック画像について、参照画像のうちの、対応する同位参照ブロックの枠内もしくは当該枠を所定の態様でシフトした枠内の類似する画像として、類似ブロック画像を探索する類似ブロック画像探索部と、
類似ブロック画像について、同位参照ブロックが所属する単位処理領域の領域外の部分の画像情報を削除して空白領域とし、この空白領域に、所定の充填規則に基づいて生成した充填用画像を割り付けて補完することにより、補完ブロック画像を生成する補完ブロック画像生成部と、
個々の対象ブロック画像とこれに対応して生成された個々の補完ブロック画像との差分をとることにより、個々の差分ブロック画像を生成する差分ブロック画像生成部と、
個々の差分ブロック画像の集合体からなる差分画像と、参照画像もしくはその代替画像と、個々の類似ブロック画像を探索したときのシフトの態様を示す個々のシフト情報と、個々の補完ブロック画像を生成する際の個々の充填規則と、を出力するデータ出力部と、
を設けるようにしたものである。
(23) 本発明の第23の態様は、上述した第22の態様に係る差分画像作成装置において、
補完ブロック画像生成部が、複数N通りの充填規則に基づいて複数N通りの充填用画像を生成し、各充填用画像を空白領域に割り付けて補完することにより、複数N通りの補完ブロック画像を生成し、
差分ブロック画像生成部が、1つの対象ブロック画像について、N通りの補完ブロック画像のそれぞれを用いてN通りの差分ブロック画像を生成し、
N通りの差分ブロック画像のうち、個々の画素のもつ差分値の絶対値の総和が最も小さい差分ブロック画像を選択する画像選択部を更に設け、
データ出力部が、選択された差分ブロック画像の集合体により差分画像を構成し、これを出力するようにしたものである。
(24) 本発明の第24の態様は、上述した第23の態様に係る差分画像作成装置において、
補完ブロック画像生成部が、補完ブロック画像を生成する際に用いる充填規則として、単位処理領域の領域内における、空白領域に接する境界近傍の画素の画素値を、空白領域内の所定方向に位置する画素にコピーするという規則を用い、充填用画像の画素の画素値を決定し、コピーする方向を変えることにより、複数N通りの充填規則を設定するようにしたものである。
(25) 本発明の第25の態様は、上述した第22〜第24の態様に係る差分画像作成装置において、
分割方法定義部が、縦方向にI分割、横方向にJ分割することにより、I行J列に配列されたI×J個のブロックが構成されるような分割方法を定義し、
単位処理領域定義部が、第i番目の行(1≦i≦I)に所属するJ個のブロックからなるブロックラインを単位処理領域とする定義を行うようにしたものである。
(26) 本発明の第26の態様は、上述した第22〜第25の態様に係る差分画像作成装置において、
類似ブロック画像探索部が、同位参照ブロックの枠を予め定められた複数通りの態様でシフトさせ、対象ブロック画像と各態様でシフトさせた枠内の画像とをそれぞれ比較し、最も類似した画像を類似ブロック画像とするようにしたものである。
(27) 本発明の第27の態様は、上述した第22〜第26の態様に係る差分画像作成装置によって作成された差分画像に基づいて、少なくとも特定の単位処理領域内の部分対象画像を復元する画像復元装置において、
データ出力部から出力された差分画像と、参照画像もしくはその代替画像と、個々のシフト情報と、個々の充填規則と、を入力するデータ入力部と、
入力したデータの中から、特定の単位処理領域に関するデータを抽出して、これを格納する単位処理バッファと、
単位処理バッファから、第j番目(i=1,2,3,... )の参照ブロックおよび必要に応じてこれに隣接する参照ブロック内の画像と、当該第j番目の参照ブロックについてのシフト情報および充填規則とを読み出し、読み出したシフト情報および充填規則に基づいて、読み出した参照ブロック内の画像を第j番目の補完ブロック画像に変換するブロック画像変換部と、
単位処理バッファから読み出した第j番目の差分ブロック画像と、ブロック画像変換部によって変換された第j番目の補完ブロック画像とに基づいて、第j番目の対象ブロック画像を復元する対象ブロック画像復元部と、
を設け、対象ブロック画像復元部から、特定の単位処理領域に所属する対象ブロック画像を順次出力することにより、特定の単位処理領域内の部分対象画像を復元するようにしたものである。
(28) 本発明の第28の態様は、与えられた対象画像について、参照画像を利用して差分画像を作成する差分画像作成装置において、
互いに同一のフレームサイズをもった対象画像および参照画像を入力する画像入力部と、
対象画像の一部分を構成する部分対象画像について、同一サイズかつ類似している部分参照画像を参照画像内から探索する類似部分探索部と、
参照画像のフレーム内における部分参照画像の占有位置が、対象画像のフレーム内における部分対象画像の占有位置と同じになるように、部分参照画像をフレーム内で所定方向にシフトし、当該シフトにより画像情報が失われた部分を空白領域とする類似画像を生成する類似画像生成部と、
類似画像内の空白領域に、所定の充填規則に基づいて生成した充填用画像を割り付けて補完することにより、補完画像を生成する補完画像生成部と、
対象画像と補完画像との差分をとることにより差分画像を生成する差分画像生成部と、
差分画像と、参照画像もしくはその代替画像と、シフトの態様を示すシフト情報と、充填規則と、を出力するデータ出力部と、
を設けるようにしたものである。
(29) 本発明の第29の態様は、上述した第28の態様に係る差分画像作成装置において、
補完画像生成部が、充填規則として、部分参照画像の、空白領域に接する境界近傍の画素の画素値に基づいて、充填用画像の画素の画素値を決定する規則を用いるようにしたものである。
(30) 本発明の第30の態様は、上述した第28または第29の態様に係る差分画像作成装置において、
補完画像生成部が、複数N通りの充填規則に基づいて複数N通りの充填用画像を生成し、各充填用画像を空白領域に割り付けて補完することにより、複数N通りの補完画像を生成し、
N通りの補完画像のうち、対象画像に最も類似する画像を選択する画像選択部を更に備え、
差分画像生成部が、対象画像と、選択された補完画像との差分をとることにより差分画像を生成するようにしたものである。
(31) 本発明の第31の態様は、上述した第28〜第30の態様に係る差分画像作成装置によって作成された差分画像に基づいて、元の対象画像を復元する画像復元装置において、
データ出力部から出力された差分画像と、参照画像もしくはその代替画像と、シフト情報と、充填規則と、を入力するデータ入力部と、
シフト情報および充填規則に基づいて、参照画像を補完画像に変換する画像変換部と、
補完画像と差分画像とに基づいて対象画像を復元する対象画像復元部と、
を設けるようにしたものである。
(32) 本発明の第32の態様は、画像データの圧縮装置において、
上述した第22〜第26、第28〜第30の態様に係る差分画像作成装置に、この差分画像作成装置によって作成された差分画像に対してデータ圧縮処理を施すデータ圧縮部を付加するようにしたものである。
(33) 本発明の第33の態様は、画像データの伸張装置において、
上述した第32の態様に係る画像データの圧縮装置により圧縮されたデータに対して、データ伸張処理を施して差分画像を復元するデータ伸張部を用意し、このデータ伸張部に、上述した第27もしくは第31の態様に係る画像復元装置を付加して、伸張されたデータに基づいて画像を復元できるようにしたものである。
(34) 本発明の第34の態様は、上述した第22〜第26、第28〜第30の態様に係る差分画像作成装置、または、上述した第27もしくは第31の態様に係る画像復元装置を、コンピュータにプログラムを組み込むことにより構成したものである。
(35) 本発明の第34の態様は、上述した第22〜第26、第28〜第30の態様に係る差分画像作成装置、または、上述した第27もしくは第31の態様に係る画像復元装置を、論理回路が組み込まれた集積回路により構成したものである。
本発明によれば、差分画像作成時に、動き補償により参照画像の位置をシフトさせ、このシフトにより食み出た部分の画像情報を破棄し、空白となった部分には所定の充填規則に基づいて作成した充填用画像を割り付けて補完し、対象画像と補完画像との差分をとるようにしたため、対象画像を復元する際には、シフトにより食み出た部分の画像情報は不要になる。このため、動き補償の技術を採用しつつ、対象画像について効率的な差分画像を生成することが可能になる。
特に、画像の1フレームの一部分を構成する単位処理領域内の画像を復元する場合、動き補償を採用したとしても、当該単位処理領域に関する情報のみを利用した効率的な復元が可能になる。その結果、元の画像を復元するために必要なハードウェアの規模を抑えることができ、コストダウンを図ることができるようになる。
たとえば、1フレームの静止画像をI行J列のブロックに分割して、ブロックライン(単位処理領域)ごとに差分画像を作成する場合、第i行目(1≦i≦I)のブロックラインLiの差分画像は、対象画像および参照画像のうち第i行目のブロックラインLiに関する情報のみによって作成されるので、対象画像の第i行目のブロックラインLiを復元する際にも、第i行目のブロックラインLiの情報のみを取り扱えば足りる。そのため、画像復元装置では、1行分のブロックラインの処理に必要なハードウェアを用意しておけば足りるようになり、製造コストを低減することができる。
一般的な動画データの圧縮方法を示す平面図である。 一般的な差分画像の作成方法を示す平面図である。 1フレームの静止画像をI行J列のブロックに分割した例を示す平面図である。 ブロック単位での差分画像の作成方法を示す平面図である。 静止体および動体を含む画像間で差分をとる例を示す平面図である。 図5に示す例におけるブロック単位での差分例を示す平面図である。 図5に示す例に対して動き補償を適用した例を示す平面図である。 図7に示す例におけるブロック単位での差分例を示す平面図である。 差分画像から対象画像を復元する原理を示す平面図である。 ブロックラインごとに差分画像から対象画像を復元する原理を示す平面図である。 ブロックラインごとに差分画像から対象画像を復元する具体例を示す平面図である。 図11に示す具体例において、動き補償が適用されていた場合の問題を示す平面図である。 本発明に係る差分画像作成方法の基本原理を示す平面図である。 図13に示す補完ブロック画像QQQ(2,4)の生成方法を示す平面図である。 図14(d) に示す充填用画像Wの生成プロセスの第1の例を示す平面図である。 異なる3通りの方法により生成された差分ブロック画像の対比を示す平面図である。 図14(d) に示す充填用画像Wの生成プロセスの第2の例を示す平面図である。 図14(d) に示す充填用画像Wの生成プロセスの第3の例を示す平面図である。 図14(d) に示す充填用画像Wの生成プロセスの第4の例を示す平面図である。 図14(d) に示す充填用画像Wの生成プロセスの第5の例を示す平面図である。 図14(d) に示す充填用画像Wの生成プロセスの7通りのバリエーションを対比する平面図である。 図21に示す7通りの補完ブロック画像を用いて生成された差分ブロック画像を示す平面図である。 1つのブロックラインを1単位処理領域とする場合に生じる空白領域を示す平面図である。 1つのブロックを1単位処理領域とする場合に生じる空白領域を示す平面図である。 図24に示す空白領域Vの詳細構成を示す平面図である。 図25に示す各空白領域Vα,Vβ,Vγを充填するための充填用画像の生成方法の具体的な一例を示す平面図である。 本発明に係る差分画像作成方法の基本手順を示す流れ図である。 本発明に係る画像復元方法の基本手順を示す流れ図である。 本発明に係る差分画像作成装置の基本構成を示すブロック図である。 本発明に係る画像復元装置の基本構成を示すブロック図である。 本発明の変形例に係る差分画像作成方法の基本原理を示す平面図である。 本発明の変形例に係る差分画像作成方法および画像復元方法の基本手順を示す流れ図である。 本発明の変形例に係る差分画像作成装置の基本構成を示すブロック図である。 本発明の変形例に係る画像復元装置の基本構成を示すブロック図である。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1. 動き補償を採用した従来の動画圧縮方法 >>>
本発明に係る差分画像作成方法は、特に、動画の各フレームを構成する個々の静止画の画像データを圧縮する用途に好適である。そこで、ここでは、動き補償を採用した従来の一般的な動画圧縮方法の原理を簡単に説明しておく。
図1は、一般的な動画データの圧縮方法を示す平面図である。図の左に示す画像F(1),F(2),F(3),... は、フレーム単位の各静止画像であり、動画データは、これらの静止画像を順番に時系列的に並べることによって構成される。ここでは、このような動画データを圧縮することを考えてみる。この場合、まず、時系列的に連続する画像F(1),F(2)について差分をとって画像D(2)を生成し、画像F(2),F(3)について差分をとって画像D(3)を生成し、... という処理を繰り返してゆき、画像D(2),D(3),... を順次作成してゆく。
画像D(2)は、D(2)=F(1)−F(2)で与えられる差分画像であり、画像D(3)は、D(3)=F(2)−F(3)で与えられる差分画像である。要するに、第t番目のフレームを構成する静止画像F(t)について、第(t−1)番目のフレームを構成する静止画像F(t−1)との差分をとることにより、第t番目の差分画像D(t)が得られることになる(但し、t≧2)。
図2は、一般的な差分画像の作成方法を示す平面図である。ここでは、3原色RGBの各画素値をもったカラー画像からなる対象画像Pと参照画像Qについて、両者の差分をとり、差分画像Dを生成する例が示されている。各画像P,Q,Dは、いずれも同一の画素配列をもった画像であり、個々の画素には、3原色RGBの各画素値が定義されている。
いま、図示のように、この3つの画像上でそれぞれ対応する位置にある画素に着目し、対象画像P上の着目画素Apの画素値を(Rp,Gp,Bp)とし、参照画像Q上の着目画素Aqの画素値を(Rq,Gq,Bq)とし、差分画像D上の着目画素Adの画素値を(Rd,Gd,Bd)とすれば、画素値(Rd,Gd,Bd)は、Rd=Rp−Rq、Gd=Gp−Gq、Bd=Bp−Bqなる単純な減算によって求めることができる。なお、ここでは便宜上、対象画像Pの着目画素Apの画素値から参照画像Qの着目画素Aqの画素値を減じることにより、差分画像Dの着目画素Adの画素値を求める例を示したが、減算を行う際には、どちらからどちらを減じてもかまわない(得られる差分値の符号が変わるだけである)。
また、一対の画像から差分画像を作成するという点では、対象画像Pと参照画像Qとを相互に区別する必要はないが、ここでは、対象画像Pの情報量を低減するために、参照画像Qを利用して差分画像Dを作成し、対象画像Pを、参照画像Qと差分画像Dに置き換える処理を行い、動画データを圧縮する方法を説明するため、差分をとる一対の画像の一方を対象画像Pと呼び、もう一方を参照画像Qと呼んで、相互に区別することにする。
たとえば、図1に示す動画データの圧縮方法の場合、静止画像F(2)を対象画像Pとし、静止画像F(1)を参照画像Qとして差分をとることにより、差分画像D(2)が得られる。同様に、静止画像F(3)を対象画像Pとし、静止画像F(2)を参照画像Qとして差分をとることにより、差分画像D(3)が得られる。この場合、元の対象画像Pは、参照画像Qと差分画像Dとを用いた復元演算(差分演算と逆の演算)を行うことにより復元することができる。たとえば、静止画像F(2)は、参照画像F(1)と差分画像D(2)とを用いた復元演算により復元することができ、静止画像F(3)は、参照画像F(2)と差分画像D(3)とを用いた復元演算により復元することができる。
図2で説明したとおり、差分画像Dは、対象画像Pと参照画像Qについて、それぞれ対応する画素間の画素値の差をとったものであるので、対象画像Pと参照画像Qとが類似していればいるほど、差分画像Dを構成する画素の画素値は小さくなる。たとえば、対象画像Pと参照画像Qとが完全に同一の画像であれば、差分画像Dを構成する全画素の画素値は0になる。動画の場合、通常、時系列で順番に与えられる第t番目のフレーム画像F(t)は、その直前に与えられた第(t−1)番目のフレーム画像F(t−1)に極めて類似していることが多く、両者の差分をとることにより得られる差分画像D(t)を構成する画素の多くは、0もしくは小さな画素値をもった画素になる。
このような理由から、元のフレーム画像F(t)に対して直接圧縮処理を施すよりも、差分画像D(t)に対して圧縮処理を施した方が、圧縮効率は向上する。これは、圧縮時に、画素値の羅列情報をランレングス情報に置き換え、可変長ビットを用いた符号化が行われるためである。0もしくは小さな画素値をもった画素が連続する差分画像D(t)は、高い圧縮効率が得られる特性を有している。
したがって、図1に示す例の場合、最初のフレーム画像F(1)については、差分画像が作成できないので、これを直接圧縮して、圧縮画像C(1)を生成することになるが、続くフレーム画像F(2)については、直前のフレーム画像F(1)との間の差分画像D(2)に対して圧縮を行うことにより、圧縮効率の高い圧縮画像C(2)を作成することができ、同様に、フレーム画像F(3)については、直前のフレーム画像F(2)との間の差分画像D(3)に対して圧縮を行うことにより、圧縮効率の高い圧縮画像C(3)を作成することができる。
かくして、フレーム画像F(1),F(2),F(3),... からなる動画データは、圧縮画像C(1),C(2),C(3),... からなるデータに圧縮されることになる。動画を再生する際には、上述したプロセスと逆のプロセスにより、フレーム画像F(1),F(2),F(3),... を復元すればよい。
なお、一般的な動画データの場合は、上述した例のように、フレーム画像F(t)を対象画像Pとして差分画像Dを生成する際に、直前のフレーム画像F(t−1)を参照画像Qとして利用すればよいが、参照画像Qは必ずしも直前のフレーム画像に限定されるわけではない。たとえば、照明環境が時間的に変化しない室内などについて、定点カメラとして設置された監視カメラからの動画データを圧縮するような場合は、予め動体が存在しない標準状態のフレーム画像F(0)を撮影しておき、常に、このフレーム画像F(0)を参照画像Qとして用いて差分画像Dを作成するようにしてもかまわない。あるいは、過去の複数フレーム分の平均画像を参照画像Qとするような運用も可能である。
続いて、1フレーム分の画像を複数のブロックに分割する取り扱いを説明する。JPEG等の静止画像に対する圧縮方式や、MPEG2などの動画に対する圧縮方式では、図3に示すように、1フレーム分の画像を縦方向にI分割、横方向にJ分割することにより、I行J列に配列されたI×J個のブロックを構成し、個々のブロック単位で処理を行う方法が採られる。1つのブロックは、縦にm個の画素、横にn個の画素を並べたm×nの画素配列によって構成される。このようなブロック単位の取り扱いは、データ圧縮を行うために離散コサイン変換などの符号化処理を行うための便宜である。
図3には、説明の便宜上、I=4、J=5に設定し、1フレーム分の画像を20個のブロックB11〜B45に分けた例を示すが、JPEGやMPEG2などの一般的な画像圧縮方式の規格では、m×nの画素配列として、たとえば、8×8や16×16などのサイズが定められているので、一般的な画像の場合、ブロックの数はより多くなる。ただ、図示の便宜上、以下の説明では、図3に示すように4行5列のブロックに分割する実施例を述べることにする。
図3のように、1フレーム分の画像を複数のブロックに分割して取り扱う場合、差分画像を作成する処理も、個々のブロック単位で行われる。図4は、ブロック単位での差分画像の作成方法を示す平面図である。前述したとおり、差分画像Dは、対象画像Pと参照画像Qとの差分を示す画像であるが、差分画像Dを作成する処理をブロック単位で行う場合、対象画像P,参照画像Q,差分画像Dは、それぞれが同一の分割方法によって複数のブロックに分割される。図示の例の場合、いずれの画像も縦に4分割、横に5分割され、合計20個のブロックに分割されることになる。この3つの画像P,Q,Dは、互いに同一のフレームサイズをもった画像であるため、個々のブロックもそれぞれ同一のサイズのブロックになる。
ここでは、図示のとおり、対象画像Pを構成する各ブロックのうち第i行第j列(1≦i≦I,1≦j≦J)に位置するブロック内の画像を対象ブロック画像P(i,j)と呼び、参照画像Qを構成する各ブロックのうち第i行第j列に位置するブロック内の画像を参照ブロック画像Q(i,j)と呼び、差分画像Dを構成する各ブロックのうち第i行第j列に位置するブロック内の画像を差分ブロック画像D(i,j)と呼ぶことにする。差分ブロック画像D(i,j)は、対象ブロック画像P(i,j)と参照ブロック画像Q(i,j)とについての差分演算(対応する画素の画素値の差を求める演算)によって得られる画像である。
このように、ブロック単位で差分をとる場合、動き補償という技術を採用することにより、後に行う圧縮処理の効率を向上させることができる。この動き補償という技術それ自体は、前掲の特許文献1〜3などに開示されている公知の技術であるが、ここでは、本発明の説明を容易にするため、動き補償の基本原理を簡単に説明しておく。
図5の上段は対象画像Pの具体例を示し、下段は参照画像Qの具体例を示している。いずれの画像も、背景(白地部分)に、2つの物体(ハッチングを施した部分)が配置されている例である。すなわち、対象画像Pには、静止体Spおよび動体Mpが配置されており、参照画像Qには、静止体Sqおよび動体Mqが配置されている。ここで、対象画像Pは参照画像Qの次のフレームに相当する画像であり、両画像における静止体Sp,Sqの位置は同じであるが、動体Mp,Mqの位置は若干変わっている。すなわち、参照画像Q上の動体Mqは、次のフレームである対象画像P上では若干移動して、動体Mpの位置に来ている。
さて、このような2枚の画像P,Qについて、個々のブロック単位で差分をとる処理を行う場合を考える。まず、図5に太線で囲って示す第4行第1列目のブロックの場合、対象ブロック画像P(4,1)と参照ブロック画像Q(4,1)との間で差分がとられ、図6(a) に示すような差分ブロック画像D(4,1)が生成される。静止体の位置は変化しないため、画像P(4,1)と画像Q(4,1)は全く同じ画像になり、得られる差分ブロック画像D(4,1)は図示のとおり差が0の画像(すべての画素値が0の画像)になる。
一方、図5に太線で囲って示す第2行第4列目のブロックの場合、対象ブロック画像P(2,4)と参照ブロック画像Q(2,4)との間で差分がとられ、図6(b) に示すような差分ブロック画像D(2,4)が生成される。動体の位置は変化しているため、画像P(2,4)と画像Q(2,4)は異なる画像になり、得られる差分ブロック画像D(2,4)には、図示のとおり、相違する領域が現れることになる(ここでは、説明の便宜上、二値画像の差分演算の結果を図示しているが、実際には、各画像は濃度値をもった階調画像になる)。
このように、動体が含まれているブロックは、差分ブロック画像に含まれる差分の情報量が多くなるため、圧縮効率を低減させる要因になる。実際、図6(a) に示す差分ブロック画像D(4,1)と図6(b) に示す差分ブロック画像D(2,4)とを比較すれば、前者の情報量に比べて後者の情報量が著しく多いことは一目瞭然である。動き補償は、このような問題に対処するための技術であり、動体の動きを推定して、この動きの分だけブロックの位置をシフトさせて、画像の差を補償するという考え方に基づくものである。
図7は、図5に示す例に対して動き補償を適用した例を示す平面図である。図7に示す対象画像Pおよび参照画像Qは、図5に示す各画像P,Qと全く同じものであり、ブロック分割の態様も同じものである。当然、対象ブロック画像P(2,4)も全く同じである。ただ、相手方の参照ブロック画像に関しては、図5に示す例の場合は、太線で囲って示すように、同じ位置に配置されている参照ブロック(ここでは、同位参照ブロックと呼ぶことにする)の枠内の画像が用いられているのに対して、図7に示す例の場合は、やはり太線で囲って示すように、この同位参照ブロックの枠をやや左上にシフトした枠内の画像が用いられている。
すなわち、図7に示す動き補償を採用した例の場合、対象ブロック画像P(2,4)と同じ位置にある同位参照ブロック画像Q(2,4)を用いる代わりに、そのブロック枠をやや左上にシフトした枠内の画像QQ(2,4)を用いた差分演算が行われる。この画像QQ(2,4)は、同位参照ブロック画像Q(2,4)に比べて、対象ブロック画像P(2,4)により類似した画像になっているため、ここでは、類似ブロック画像QQ(2,4)と呼ぶことにする。
実際、図7に示す例の場合、太線で囲って示す対象ブロック画像P(2,4)内の動体Mpの占有位置と、太線で囲って示す類似ブロック画像QQ(2,4)内の動体Mqの占有位置とは全く同じになっており、両画像は完全に同一の画像になっている。別言すれば、両画像ができるだけ類似するように(この例の場合は、完全に同一となるように)、横方向シフト量Δxおよび縦方向シフト量Δyが設定され、ブロック枠のシフトが行われたことになる。このようなシフトの方向および量は、参照画像Qから対象画像Pに変遷する際に動体の移動を推定することによって求めることができる。
図8は、図7に示す例におけるブロック単位での差分例を示す平面図である。すなわち、図7に太線で囲って示す第4行第1列目の対象ブロック画像P(4,1)の場合、同位参照ブロック画像Q(4,1)との間で差分がとられ、図8(a) に示すような差分ブロック画像D(4,1)が生成される(これは、図6(a) に示す例と同じである)。一方、図7に太線で囲って示す第2行第4列目の対象ブロック画像P(2,4)の場合、同位参照ブロック画像Q(2,4)の代わりに、ブロック枠を若干シフトさせて得られる類似ブロック画像QQ(2,4)との間で差分がとられ、図8(b) に示すような差分ブロック画像DD(2,4)が生成される。
図8(a) に示す例の場合、画像P(4,1)と画像Q(4,1)は全く同じ画像になり、差分ブロック画像D(4,1)は差が0の画像になるが、図8(b) に示す例の場合も、画像P(2,4)と画像QQ(2,4)は全く同じ画像になり、差分ブロック画像DD(2,4)は差が0の画像になる。したがって、いずれの場合も、差分画像を生成することによって情報量を大幅に低減させることができる。結局、このような動き補償を行って得られる差分ブロック画像を含む差分画像DDは、動き補償を行わないで作成した差分画像Dに比べて情報量が低減され、圧縮効率の向上に貢献することができる。
もっとも、図8(b) の場合、差分ブロック画像DD(2,4)が差が0の画像になるためには、背景部分(図7に示す各画像P,Qの白地部分)が均一色の領域(同一の画素値をもった画素で構成される領域)である必要がある。背景部分が一般的な風景画像であると、ブロック枠のシフトにより風景画像から切り出される背景部分に差が生じるため、差分ブロック画像DD(2,4)は差が0の画像にはならない。それでも、図8(b) に示す類似ブロック画像QQ(2,4)と対象ブロック画像P(2,4)との類似度は、図6(b) に示す参照ブロック画像Q(2,4)と対象ブロック画像P(2,4)との類似度よりも格段に向上するため、差分ブロック画像DD(2,4)の情報量は、差分ブロック画像D(2,4)の情報量よりも格段に低減する。これが、動き補償により差分画像の情報量を低減させる基本原理である。
なお、動き補償を採用して差分画像を作成した場合には、元の対象画像を復元する際に、シフトの態様(シフトの方向と量)を示すシフト情報が必要である。たとえば、図8(b) に示す例の場合、対象ブロック画像P(2,4)を復元するためには、差分ブロック画像DD(2,4)と類似ブロック画像QQ(2,4)とを用いた復元演算を行う必要がある。ここで、差分ブロック画像DD(2,4)は、差分画像DDの第2行第4列目のブロックとして切り出すことができるが、類似ブロック画像QQ(2,4)は、参照画像Qの第2行第4列目のブロックとして切り出した同位参照ブロック画像Q(2,4)ではなく、その枠をシフト量Δx,Δyだけシフトさせた枠内の画像として切り出す必要がある。したがって、動き補償を採用した場合は、各差分ブロック画像DD(2,4)にシフト情報(シフト量Δx,Δy)を付加しておく必要がある。
図8(b) において、画像QQ(2,4)および画像DD(2,4)の下に記載した<Δx,Δy>は、このシフト情報を示すものである。このように、動き補償を採用した場合は、各差分ブロック画像DD(i,j)に、必ず所定のシフト情報<Δx,Δy>を付与しておくようにし、元の対象画像Pを復元する際には、このシフト情報を利用して、参照ブロック画像Q(i,j)を類似ブロック画像QQ(i,j)に変換する処理を行うことになる。
なお、図7に示す例の場合、参照ブロック画像Q(2,4)についてはシフトを行う必要があるが、参照ブロック画像Q(4,1)についてはシフトを行う必要はない。したがって、実際には、シフトが必要なブロックと、シフトが不要なブロックとが混在することになる。そこで実用上は、シフトが不要なブロックについては、シフト量を0とする取り扱いを行えば、全ブロックについて画一的な処理を行うことができる。
たとえば、図7に示す例の場合、便宜上、参照ブロック画像Q(4,1)の枠に対して、シフト量Δx=0、Δy=0だけシフトした枠内の画像を類似ブロック画像QQ(4,1)とする取り扱いを行えば、図8(a) に括弧書きで示すように、参照ブロック画像Q(4,1)は、<0,0>なるシフト情報をもつ類似ブロック画像QQ(4,1)として取り扱うことができ、動き補償を採用しないで得られた差分ブロック画像D(4,1)は、<0,0>なるシフト情報をもつ、動き補償を採用して得られた差分ブロック画像DD(4,1)として取り扱うことができる。このような運用を行えば、結局、すべての差分ブロック画像DD(i,j)に所定のシフト量<Δx,Δy>が定義されることになり、このような所定のシフト量<Δx,Δy>が付与された差分ブロック画像DD(i,j)の集合体として、差分画像DDが作成されることになる。
<<< §2. 一部分の画像のみを復元する場合の問題 >>>
図3に示すように、1フレーム分の画像を複数のブロックに分割して取り扱うようにすれば、圧縮された画像を復元する際にも、ブロック単位で復元処理を行えばよいので、一部分の画像のみを復元すれば足りる場合、必要なハードウェアの容量を低減することができる。たとえば、図3に示す例の場合、1行分のブロック(横に並んだ5個のブロック)からなる領域を1つの単位処理領域として取り扱うことにし、この単位処理領域内の画像のみを復元する処理を行うのであれば、4行5列からなる20個のブロックからなる画面全体の画像データを収容するメモリを用意する代わりに、1行5列からなる5個のブロックに相当する部分画像のデータを収容するメモリを用意すれば足りる。
たとえば、小型のゲーム機などでは、個々のキャラクターの画像を、それぞれ別個独立した素材画像としてROM内に圧縮画像データとして用意しておき、ゲームの進行に応じて、必要なキャラクターの素材画像を読み出して伸張し、相互に合成して画面に表示するような方法が採られることが多い。この場合、素材画像の1フレーム全体ではなく、その一部分の単位処理領域内の画像のみを合成すれば足りる場合、当該単位処理領域内の画像のみを復元すれば十分である。
動き補償を行わないデータ圧縮方法では、図4に示すとおり、対象画像Pと参照画像Qとの差分をとり、得られた差分画像Dに対して圧縮処理を行うことになる。このとき、処理が個々のブロック単位で行われることは既に述べたとおりである。したがって、元の対象画像Pを復元するには、図9に示すように、差分画像Dと参照画像Qとを用いた復元処理(差分演算とは逆の演算処理)を行えばよい。この復元処理も、個々のブロック単位で行うことができる。
ここでは、I行J列のブロックに分割された画像のうち、第i番目の行(1≦i≦I)に所属するJ個のブロックからなる領域を第i番目のブロックラインLiと呼ぶことにする。図9に示す例の場合、各画像D,Q,Pは、いずれも4つのブロックラインL1〜L4によって構成されている。差分画像Dを生成する処理は、個々のブロック単位で独立して行われているので、対象画像Pを復元する処理も、個々のブロック単位で独立して行うことができる。したがって、1つのブロックライン内の領域を単位処理領域として取り扱えば、復元処理もこの単位処理領域ごとに別個独立して行うことができる。
図10は、ブロックラインごとに差分画像Dから対象画像Pを復元する原理を示す平面図である。図示のとおり、対象画像Pのうち、第i番目(図示の例では、i=2)のブロックラインLiに対応する単位処理領域(図の実線部分)を復元する際には、差分画像DのブロックラインLiに対応する単位処理領域(図の実線部分)と参照画像QのブロックラインLiに対応する単位処理領域(図の実線部分)とを用いて復元演算を行えばよい。
図11は、ブロックラインLiに対応する単位処理領域についての復元処理の具体例を示す平面図である。差分画像Dの太線で囲って示すブロックラインLi内の画像データと、参照画像Qの太線で囲って示すブロックラインLi内の画像データとに基づいて復元処理を行うことにより、対象画像PのブロックラインLiに対応する単位処理領域を復元することができる。もちろん、実際には、ブロックラインLiを構成する個々のブロック単位で復元処理が行われることになるが、いずれにしても、ブロックラインLiについての復元処理には、隣接するブロックラインL(i−1)やブロックラインL(i+1)の情報は不要である。
ところが、差分画像Dの代わりに、§1で述べた従来の動き補償の技術を導入して差分画像DDを作成した場合は、事情が異なってくる。すなわち、対象画像Pの第i番目のブロックラインLiに対応する単位処理領域を復元する場合、差分画像DDについては、ブロックラインLiに対応する単位処理領域の情報のみで十分であるが、参照画像Qについては、ブロックラインLiに対応する単位処理領域の情報に加えて、必要に応じて、上下に隣接するブロックラインL(i−1),L(i+1)の情報も必要になってくる。これは、差分画像DDを作成する際に、動き補償により、参照ブロックの位置を修正したため、上下のブロックラインへの位置ずれが生じるためである。
図12は、図11に示す具体例において、動き補償を適用した場合の問題を示す平面図である。この図12に示す差分画像DDは、図7に示す動き補償を行って作成された画像であり、太線で囲って示す第2行第4列目の差分ブロック画像DD(2,4)には、シフト情報<Δx,Δy>が付与されている。これは、当該差分ブロック画像DD(2,4)が、図7に示すように、対象ブロック画像P(2,4)と類似ブロック画像QQ(2,4)との差分処理により生成されたものであることを示しており、シフト情報<Δx,Δy>は、同位参照ブロック画像Q(2,4)に対する類似ブロック画像QQ(2,4)の横方向および縦方向のシフト量を示すものである。
したがって、第2行第4列目の対象ブロック画像P(2,4)を復元するには、差分ブロック画像DD(2,4)と類似ブロック画像QQ(2,4)とが必要になる。もちろん、差分ブロック画像DD(2,4)には、シフト情報<Δx,Δy>が付与されているので、参照画像Qの全画像情報があれば、同位参照ブロック画像Q(2,4)のブロック枠を、横方向にΔx,縦方向にΔyだけシフトして、図12に一点鎖線で示すようなシフト枠を設定し、このシフト枠に含まれる画像として、類似ブロック画像QQ(2,4)を得ることができる。
このため、画像全体を処理対象として、対象画像Pの復元を行う際には問題は生じない。たとえば、図1に示す例のように、フレーム画像F(t)を対象画像Pとし、直前のフレーム画像F(t−1)を参照画像Qとして、差分画像DDを作成した場合であれば、参照画像Qは、1フレーム前の対象画像Pとして既に復元されていることになる。ところが、特定のブロックラインLiを単位処理領域として、この単位処理領域についての処理のみを行い、一部分の画像のみを復元する場合には、参照画像Qの単位処理領域外の情報がないため、上記復元処理を行う際に問題が生じる。
すなわち、図12に示す例の場合、類似ブロック画像QQ(2,4)が、ブロックラインL2に対応する単位処理領域よりもシフト量Δyだけ上方に食み出しているため、個々のブロックラインを単位処理領域として取り扱う場合、この上方に食み出した部分の情報が同じ単位処理領域内に存在しないという問題が生じる。なお、類似ブロック画像QQ(2,4)は、同位参照ブロック画像Q(2,4)に対して左方にシフト量Δxだけシフトしているが、横方向に隣接するブロックに関しては、同じ単位処理領域に所属するため問題は生じない。
結局、図12に示す例の場合、類似ブロック画像QQ(2,4)のうち、シフト量Δyだけ上方に食み出している部分についての情報を入手するために、上方に隣接しているブロックラインL1内の情報も必要になる。シフト方向が下方の場合は、下方に隣接しているブロックラインL3内の情報が必要になる。このように、特定のブロックラインLiを単位処理領域として、この単位処理領域についての処理のみを行い、一部分の画像のみを復元する場合であっても、§1で述べた従来の動き補償を施して差分画像DDを作成した場合は、単位処理領域外の情報も必要になる。
これは、本来であれば、1行分のブロックラインの処理を行うだけのハードウェア(メモリやバッファなど)を用意しておけば足りる場合でも、従来の動き補償の技術を採用すると、上例の場合3行分のブロックラインの処理を行うハードウェアが必要になる。これは、特に、ゲーム機や携帯型電子端末など、動画再生機能をもった小型の装置を提供する上では、製造コストの高騰を招く要因になる。
<<< §3. 本発明の基本原理 >>>
本発明は、§2で述べた問題点を解決するための新たな技術を提供するものであり、動き補償の技術を採用しつつ、対象画像を効率的に復元することが可能な差分画像作成方法を提案するものである。ここでは、その基本原理を説明する。
図13は、本発明に係る差分画像作成方法の基本原理を示す平面図であり、第2番目のブロックラインL2を単位処理領域とした場合に、このブロックラインL2に関する差分画像を作成する原理が示されている。この方法は、動き補償を採用するという点に関しては、§1で述べた方法と同様であるが、動き補償の具体的な手法において従来の方法と若干異なっている。
従来の動き補償を採用した方法では、図7に示すように、参照画像Q上において、同位参照ブロック画像Q(2,4)に対して所定のシフト量Δx,Δyだけシフトした位置にある類似ブロック画像QQ(2,4)を探索し、対象ブロック画像P(2,4)と類似ブロック画像QQ(2,4)との差分をとり、差分ブロック画像DD(2,4)を生成していた。
これに対して、図13に示す本発明に係る方法では、参照画像Q上において、類似ブロック画像QQ(2,4)を探索するところまでは従来の方法と同様であるが、この類似ブロック画像QQ(2,4)に対して修正を加えて修正画像QQQ(2,4)を生成し、対象ブロック画像P(2,4)と修正画像QQQ(2,4)との差分をとり、差分ブロック画像DDD(2,4)を生成することになる。図示のとおり、類似ブロック画像QQ(2,4)と、これを修正して得られる修正画像QQQ(2,4)との相違は、前者における第2番目のブロックライン(単位処理領域)の領域外の部分が、後者では充填用画像Wに置き換えられている点である。単位処理領域外の情報を充填用画像Wにより補完した画像であるため、本願では、この修正画像QQQ(2,4)を補完ブロック画像QQQ(2,4)と呼ぶことにする。
図14は、図13に示す補完ブロック画像QQQ(2,4)の生成方法を示す平面図である。図14(a) は、類似ブロック画像QQ(2,4)を示している。この類似ブロック画像QQ(2,4)は、§1で述べたとおり、対象ブロック画像P(2,4)と同じ位置(ブロック配列上での同じ位置、すなわち、第2行第4列の位置)にある同位参照ブロック画像Q(2,4)の枠を所定のシフト量Δx,Δyだけシフトした位置にある枠内の画像として探索され、対象ブロック画像P(2,4)に対してある程度の類似性をもった画像である。
図14(a) に示す枠Fは、この類似ブロック画像QQ(2,4)の輪郭を構成するブロック枠を示しており、対象画像Pや参照画像Qをブロック分割したときに定義される各ブロックの枠と同じサイズの枠である。また、図14(a) に示す水平線Eは、同位参照ブロック画像Q(2,4)が所属する単位処理領域の領域境界線を示すものであり、図13において太線で描かれているブロックラインL2の上方境界線に相当する。
本発明では、まず、この類似ブロック画像QQ(2,4)について、ブロックラインL2(単位処理領域)の領域外の部分の画像情報を削除して空白領域Vとする。図14(b) は、このような処理が行われた状態を示している。要するに、類似ブロック画像QQ(2,4)の枠F内の画像のうち、領域境界線Eから食み出した部分(この例の場合は、領域境界線Eより上の部分)の情報を削除して空白領域Vとする処理が行われることになる。
続いて、この空白領域Vに、所定の充填規則Ruleに基づいて生成した充填用画像Wを割り付けて補完することにより、補完ブロック画像QQQ(2,4)を生成する。図14(c) は、この充填用画像Wを生成するプロセスを示しており、図14(d) は、生成した充填用画像Wを空白領域V内に割り付けて補完ブロック画像QQQ(2,4)を生成した状態を示している。
充填用画像Wを生成するための充填規則Ruleとしては、後述するように、様々な規則を設定することができるが、ここでは比較的単純な充填規則として、「単位処理領域の領域内における、空白領域Vに接する境界近傍画素Hの画素値を、空白領域V内の画素にコピーする」という充填規則を採用した場合を例にとって説明する。図14(c) は、このような充填規則に基づいて、充填用画像Wを生成するプロセスを示すものである。すなわち、この例の場合、領域境界線Eの真下に位置する境界近傍画素H(枠Fで切り出された1行分の画素群)の画素値を、それぞれ上方に存在する空白領域V内の画素にコピーする処理が行われる。
図14(d) に示す充填用画像Wは、このような画素値のコピー処理によって生成された画像である。図15は、このような充填用画像Wの生成プロセスをより詳細に説明する平面図である。図に示す小さな正方形は、ブロック枠F内に配列された個々の画素を示している(境界近傍画素Hよりも下方の画素については図示省略)。上述したとおり、境界近傍画素Hは、領域境界線Eの真下に位置する1行分の画素群であり、処理対象領域(この例の場合は、ブロックラインL2)内の上端に位置する画素群ということになる。図では、この境界近傍画素Hに、左から1,2,3,4,... と番号を振って示してある。
境界近傍画素Hから空白領域V内の各画素への画素値のコピーは、真上方向に行われる。この例の場合、空白領域Vは、6つの画素行U1〜U6によって構成されており、境界近傍画素Hの画素値は、この6つの画素行すべての画素に対して行われる。たとえば、番号1が振られた境界近傍画素Hの画素値は、6つの画素行U1〜U6の同じ番号1が振られた画素へコピーされることになる。図では、左から第k番目の画素(記号kが振られた画素)について、このコピーの様子を矢印で示してある。コピーの方向は、矢印Tで示すとおり、領域境界線Eに直交する方向(図の真上方向)ということになる。
対象画像Pがカラー画像の場合、図2に示すように、参照画像Qおよび差分画像Dもカラー画像になり、個々の画素には、たとえば、3原色RGBの画素値が定義される。したがって、図15に示す画素値のコピーも、個々の3原色RGBの各画素値のそれぞれについて行われる。このような画素値のコピーにより、空白領域Vには、充填用画像Wが補完され、得られた補完ブロック画像QQQ(2,4)のブロック枠F内は完全に何らかの画像情報で満たされることになる。
なお、図14(d) 等では、生成された充填用画像Wのうち、斜線ハッチングを施して示す動体部分の画素をコピーすることによって生成された部分には網目ハッチングを施して示し、白地の背景部分の画素をコピーすることによって生成された部分は白地のまま示してある。このように、図14(d) 等に示す補完ブロック画像QQQ(2,4)において、網目ハッチング部分は、斜線ハッチングを施して示す動体の境界近傍部分をコピーすることにより得られた部分であることを便宜的に示すものである。
別言すれば、補完ブロック画像QQQ(2,4)における斜線ハッチングと網目ハッチングの相違は、画素値の相違を示すものではなく(実際、二値画像の場合、両者の画素値は同じになる)、参照画像Qにもともと含まれていた本来の動体部分であるのか、この動体部分をコピーすることにより生成された充填部分であるのか、の相違を示している。結局、補完ブロック画像QQQ(2,4)において、斜線もしくは網目のハッチングを施した領域は、いずれも参照画像Qに含まれていた動体Mqに関連する領域であるが、前者は動体Mqの本来の形状に応じた領域になっているのに対して、後者は動体Mqの本来の形状とは異なる形状の領域になる(偶然、本来の形状と一致することはありうるが)。
これは、図14(a) に示す類似ブロック画像QQ(2,4)と図14(d) に示す補完ブロック画像QQQ(2,4)とを比較すれば一目瞭然である。領域境界線Eより下方における両者の斜線ハッチング部分を比較すると全く同一であるが、網目ハッチング部分は全く異なった形状になっている。その結果、類似ブロック画像QQ(2,4)では、円形の動体の形状がそのまま正しく表現されているが、補完ブロック画像QQQ(2,4)では、動体の形状は円形ではなくいびつな形状になっている。したがって、対象ブロック画像P(2,4)に対する類似度という観点では、類似ブロック画像QQ(2,4)の類似度に比べて、補完ブロック画像QQQ(2,4)の類似度は低下せざるを得ない。
図16は、異なる3通りの方法により生成された差分ブロック画像の対比を示す平面図である。いずれも図13に示す対象画像Pと参照画像Qに基づいて、対象ブロック画像P(2,4)についての差分ブロック画像を生成した例であるが、図16(a) は、同位参照ブロック画像Q(2,4)との差分をとることにより得られた差分ブロック画像D(2,4)を示し、図16(b) は、類似ブロック画像QQ(2,4)との差分をとることにより得られた差分ブロック画像DD(2,4)を示し、図16(c) は、補完ブロック画像QQQ(2,4)との差分をとることにより得られた差分ブロック画像DDD(2,4)を示している。
要するに、図16(a) は、動き補償を行わないで生成された差分ブロック画像D(2,4)を示し、図16(b) は、従来の動き補償を行って生成された差分ブロック画像DD(2,4)を示し、図16(c) は、本発明に係る動き補償を行って生成された差分ブロック画像DDD(2,4)を示している。図16(a) に示す差分ブロック画像D(2,4)に比べて、図16(b) に示す動き補償を適用した差分ブロック画像DD(2,4)の情報量が著しく低減することは、既に§1で述べたとおりである。実際、図示の例の場合、差分ブロック画像DD(2,4)は画素値がすべて0の画像になっている。
一方、本発明に係る動き補償を行って生成された、図16(c) に示す差分ブロック画像DDD(2,4)は、図16(b) に示す差分ブロック画像DD(2,4)に比べると、情報量は多くなっている。これは、補完ブロック画像QQQ(2,4)における網目ハッチングを施した部分において、対象ブロック画像P(2,4)に対する類似度が低下してしまうためである。しかしながら、差分ブロック画像DDD(2,4)は、差分ブロック画像D(2,4)に比べれば、情報量を低減することに成功している。これは動き補償を行った効果である。
結局、差分画像を作成することにより、元の対象画像の情報量を低減し、圧縮効率を高めるという観点からは、図16(b) に示すように、従来の動き補償を行って差分ブロック画像DD(2,4)を作成するのが最も好ましいことになる。しかしながら、この従来の動き補償を採用した場合、§2で述べたとおり、特定の単位処理領域に関する一部分の画像のみを復元する場合に、隣接する単位処理領域の情報が必要になるという問題が生じる。本発明に係る方法では、情報量を低減し圧縮効率を高めるという点では、従来の動き補償を行う方法よりも劣ることになるが、特定の単位処理領域に関する一部分の画像のみを復元する場合に、当該単位処理領域に関する情報のみを用いた復元処理が可能になるという特有の効果が得られることになる。
図13に示すとおり、従来の動き補償では、参照画像Q上において、対象ブロック画像P(2,4)についての同位参照ブロック画像Q(2,4)の枠を、所定方向にシフトさせて類似ブロック画像QQ(2,4)を得る方式をとるため、どうしても、単位処理領域(ブロックラインL2)から食み出た部分についての画像情報が必要になる。ところが、本発明に係る動き補償では、この食み出た部分の画像情報を、所定の充填規則に基づいて生成した充填用画像Wによって補完して補完ブロック画像QQQ(2,4)を生成する、という方式がとられるため、単位処理領域(ブロックラインL2)外の画像情報は一切不要になる。
もっとも、復元時には、差分ブロック画像DDD(2,4)と補完ブロック画像QQQ(2,4)とが必要になるので、補完ブロック画像QQQ(2,4)を生成するために、類似ブロック画像QQ(2,4)を探索したときのシフトの態様を示すシフト情報(図13に示す例の場合は、シフト量を示す値<Δx,Δy>)と、充填用画像Wの生成に用いた充填規則が必要になる。たとえば、図13に示す例の場合、対象ブロック画像P(2,4)の復元時には、補完ブロック画像QQQ(2,4)を生成する必要があるが、そのためには、参照画像QのうちのブロックラインL2内の情報と、シフト情報<Δx,Δy>と、充填用画像Wの生成に用いた充填規則Ruleとがあれば足りる。
図16(b) に示す差分ブロック画像DD(2,4)に、<Δx,Δy>なるシフト情報が付記されているのは、復元時に当該シフト情報が必要になることを示すものであり、図16(c) に示す差分ブロック画像DDD(2,4)に、<Δx,Δy,Rule>なるシフト情報および充填規則が付記されているのは、復元時に当該シフト情報および充填規則が必要になることを示すものである。ここで、シフト情報<Δx,Δy>は、類似ブロック画像QQ(2,4)を探索する際に用いられたシフト情報であり、充填規則Ruleは、補完ブロック画像QQQ(2,4)内の充填用画像Wを生成するために用いられた規則である。
なお、充填規則Ruleとして、常に共通の同一規則を利用するという前提であれば、個々の差分ブロック画像DDD(2,4)にそれぞれ充填規則Ruleを付加する必要はない。たとえば、図15に示す例のように、「領域境界線Eに直交する方向Tに、境界近傍画素Hの画素値をコピーする」という同一の規則を常に利用して充填用画像Wを生成することに決めておけば、差分画像DDD内に充填規則Ruleを組み込む必要はない。
<<< §4. 充填規則のバリエーションとその選択 >>>
図15では、境界近傍画素Hの画素値を上方向Tにコピーするという充填規則Ruleに基づいて充填用画像Wを生成し、これを空白領域Vに充填する補完を行い、補完ブロック画像QQQ(2,4)を生成する例を示した。しかしながら、充填規則Ruleは、この例に限定されるものではなく、この他にも種々の充填規則を定めることが可能である。以下に、充填規則のバリエーションをいくつか例示しておく。
図17〜図19に示す例は、図15に示す例と同様に、単位処理領域の領域内における、空白領域Vに接する境界近傍の画素の画素値(境界近傍画素Hの画素値)を、空白領域V内の画素にコピーするという充填規則を用いた例である点に変わりはないが、コピーの方向Tがそれぞれ異なっている。
図17は、右斜め上方をコピー方向Tに設定してコピーを行った例である。空白領域V内の記号kが振られた画素は、境界近傍画素Hの左から第k番目の画素の画素値がコピーされる画素である。図では、境界近傍画素Hに、左から1,2,3,4,... と記号を振り、更に、ブロック枠Fの左側に隣接する画素にも、a,b,cと記号を振って、空白領域V内の画素へのコピーの態様を示してある。空白領域Vの画素行U1では、1画素分だけ右へずれたコピーがなされ、同様に上の画素行へゆくたびに、1画素分だけ右へずれたコピーがなされることになる。
図18は、コピーする方向として、図15の例と図17の例との中間程度の方向Tを設定した例である。空白領域V内の記号kが振られた画素を見れば、空白領域Vの画素行が2行進むたびに、1画素分だけ右へずれたコピーがなされることがわかる。
図19は、左斜め上方をコピー方向Tに設定してコピーを行った例である。図では、境界近傍画素Hに、左から1,2,3,4,... ,x,y,zと記号を振って、空白領域V内の画素へのコピーの態様を示してある。やはり空白領域V内の記号kが振られた画素を見れば、コピーする方向Tが容易に認識できる。なお、この例では、φという記号が振られた画素には、コピーした画素値ではなく、予め定められた所定のダミー画素値(たとえば、背景画像として利用される可能性の高い色を示す画素値)を与えるようにしている。
これまでの例は、領域境界線Eの直下に隣接する1行分の画素行を境界近傍画素Hとして利用した例であるが、境界近傍画素Hは、必ずしも領域境界線Eに隣接した1行分の画素にする必要はない。図20は、領域境界線Eの直下の1行分の画素行からなる境界近傍画素H1と、その下の1行分の画素行からなる境界近傍画素H2の画素値をコピー元として、2行分の画素単位でコピーを行った例である。コピーする方向Tは真上方向であるが、画素行U2,U4,U6には、境界近傍画素H1の画素値がコピーされ、画素行U1,U3,U5には、境界近傍画素H2の画素値がコピーされることになる。
あるいは、境界近傍画素H1と境界近傍画素H2とについて、上下に隣接する画素間で画素値の平均値を求め、この平均値を上方にコピーするような方法を採ることも可能である。
また、これまでの例はいずれも、空白領域Vの近傍に位置する単位処理領域内の画素の画素値に基づいて、充填用画像Wの画素の画素値を決定する例であったが、充填用画像Wの画素の画素値は、必ずしも空白領域Vの近傍に位置する画素の画素値に基づいて決定する必要はない。たとえば、ブロック枠F内の空白領域Vを除いた全領域の画素の画素値の平均値を、充填用画像Wの全画素の画素値とするような方法を採ることも可能である。もちろん、図19においてφという記号を振って示した一部の画素に利用したように、背景画像として利用される可能性の高い色を示す画素値を予めダミー画素値として定めておき、充填用画像Wを構成する各画素にこのダミー画素値を与えるという充填規則を用いるようにしてもかまわない。
このように、充填規則Ruleとしては、一義的に充填用画像Wの内容を決めることができる規則であれば、任意の規則を定めることができる。ただ、得られる差分ブロック画像DDD(i,j)の情報量を低減し、圧縮効率を高めるためには、できるだけ対象ブロック画像P(i,j)に対する類似度が高い補完ブロック画像QQQ(i,j)が得られるような充填規則を採用するのが好ましい。
このような観点では、空白領域Vの近傍に位置する単位処理領域内の画素の画素値に基づいて、充填用画像Wの画素の画素値を決定する規則を用いるのが好ましく、より具体的には、これまで述べてきた例のように、単位処理領域の領域内における、空白領域Vに接する境界近傍の画素の画素値を、空白領域V内の画素にコピーするという規則により、充填用画像Wの画素の画素値を決定するのが好ましい。
ところで、どのような充填規則を採用すれば、対象ブロック画像P(i,j)に対する類似度が最も高い補完ブロック画像QQQ(i,j)が得られるかは、一概に決めることはできない。実際には、類似ブロック画像QQ(i,j)に含まれている動体Mqの形状や位置に応じて、最適な充填規則は異なってくる。たとえば、図14(b) に示す例の場合、空白領域Vを補完すべき最適な充填用画像Wは、図14(a) の領域境界線Eの上方にある画像(削除された画像)である。これは、この例の場合、動体がたまたま円形をしているためであり、動体の形状や位置が異なれば、最適な充填用画像Wを生成するための充填規則は変わってくる。
このように、実際には、最適な充填規則は個々のケースで異なるので、あらゆるケースおいて最適な結果が得られる共通した充填規則を定めることは困難である。そこで、個々のケースで、それぞれできるだけ最適な充填規則を用いた充填用画像Wを生成することができるようにするためには、予め複数N通りの充填規則を定めておき、個々のケースについて、この複数N通りの充填規則に基づいて複数N通りの充填用画像Wを生成し、各充填用画像Wを空白領域Vに割り付けて補完することにより、複数N通りの補完ブロック画像QQQ1(i,j)〜QQQN(i,j)を生成し、これらN通りの補完ブロック画像のうち、対象ブロック画像P(i,j)に最も類似する画像を選択し、対象ブロック画像P(i,j)と、選択された補完ブロック画像との差分をとることにより差分ブロック画像DDD(i,j)を生成するようにすればよい。
図21は、図14(a) に示す類似ブロック画像QQ(2,4)に基づいて補完ブロック画像QQQ(2,4)を生成するという具体的なケースについて、N=7に設定し、複数7通りの充填規則に基づいて、複数7通りの補完ブロック画像QQQ1(2,4)〜QQQ7(2,4)を生成した例である。この7通りの充填規則は、いずれも基本的には、単位処理領域の領域内における、空白領域Vに接する境界近傍画素Hの画素値を、空白領域V内の画素にコピーするという規則であるが、コピーする方向Tがそれぞれ異なっている。
すなわち、図21(a) に示す補完ブロック画像QQQ1(2,4)は、図14(d) に示す補完ブロック画像QQQ(2,4)と同一の画像であり、図15に示すように、真上方向をコピー方向T1に設定してコピーを行う、という充填規則により、充填用画像Wを生成することにより得られた画像である。これに対して、図21(b) 〜図21(g) に示す補完ブロック画像QQQ2(2,4)〜QQQ7(2,4)は、それぞれコピー方向をT2〜T7に設定してコピーを行う、という充填規則により、充填用画像Wを生成することにより得られた画像である。
このように、異なる充填規則に基づいて生成された7通りの補完ブロック画像QQQ1(2,4)〜QQQ7(2,4)は、互いに内容の異なる画像になるため、対象ブロック画像P(2,4)との間で差分をとった結果も、当然異なったものになる。図22は、図21に示す7通りの補完ブロック画像QQQ1(2,4)〜QQQ7(2,4)と対象ブロック画像P(2,4)との間で差分をとることにより生成された7通りの差分ブロック画像DDD1(2,4)〜DDD7(2,4)を示す平面図である。
ここで、各画像内に括弧書きで示した「Δx,Δy,RuleT1〜RuleT7」は、各差分ブロック画像に付与されたシフト情報および充填規則である。シフト情報はいずれも「Δx,Δy」と共通であるが、充填規則は、「RuleT1〜RuleT7」と異なっている。もっとも、RuleT1〜RuleT7は、いずれも単位処理領域の領域内における、空白領域Vに接する境界近傍画素Hの画素値を、空白領域V内の画素にコピーするという点で共通する規則であり、コピーする方向がT1〜T7と異なっているだけである。
ここでは、説明の便宜上、対象ブロック画像P(2,4)および類似ブロック画像Q(2,4)として、正方形の枠F内に円形の動体が上下左右対称になるように配置された単純な例を示したため、図22に示す7通りの差分ブロック画像は、いずれも似たような幾何学パターンになっているが、実際には、動体の形状や位置に応じて、様々なパターンが得られることになる。こうして得られた7通りの差分ブロック画像の中から、「最適な画像」を1つだけ選択し、これを対象ブロック画像P(2,4)について得られた差分ブロック画像DDD(2,4)として用い、後の圧縮処理に利用すればよい。
ここで、「最適な画像」とは、後の圧縮処理において、最も圧縮効率が高くなるであろう画像であり、一般的には、情報量が最も少ない画像ということができる。実際には、画像を構成する画素の画素値の絶対値の合計値が最小となる画像を「最適な画像」として選択すればよい。なお、このように、図22に示す7通りの差分ブロック画像DDD1(2,4)〜DDD7(2,4)の中から「最適な画像」を選択する処理は、図21に示す7通りの補完ブロック画像QQQ1(2,4)〜QQQ7(2,4)の中から「対象ブロック画像P(2,4)に最も類似している画像」を選択する処理と等価である。
「最適な画像」として選択された差分ブロック画像DDD(2,4)には、シフト情報とともに充填規則が付加される。上述したように、「最適な画像」を得るための充填規則(上例の場合は、コピーする方向T)は個々のケースで異なるので、個々のブロックごとに得られた差分ブロック画像DDD(i,j)には、それぞれ固有のシフト情報および充填規則が付加されることになる。対象画像Pを復元する際には、個々の差分ブロック画像DDD(i,j)の情報とともに、これに付加されている固有のシフト情報および充填規則が必要になる。
以上、対象画像Pおよび参照画像Qを、縦方向にI分割、横方向にJ分割することにより、I行J列に配列されたI×J個のブロックを構成し、第i番目の行(1≦i≦I)に所属するJ個のブロックからなるブロックラインLiを単位処理領域とする場合について、補完ブロック画像QQQ(i,j)を生成するための充填規則を述べた。この場合の充填規則は、基本的に、ブロックラインLiの上方もしくは下方に食み出した部分として生じる空白領域Vに、充填用画像Wを充填して補完するための規則ということになる。
たとえば、図23に示す例の場合、単位処理領域となるブロックラインLiから、類似ブロック画像QQ(i,j)のブロック枠Fが食み出したことにより、図にドットによるハッチングを施して示す空白領域Vが生じることになる。この空白領域Vは、基本的に、ブロックラインLiの上方の境界線から上方に食み出した部分か、ブロックラインLiの下方の境界線から下方に食み出した部分ということになる。別言すれば、空白領域Vは、ブロック枠Fの縦方向のシフトに起因して生じることになる。
図示の例の場合、ブロック枠Fは、元の同位参照ブロック画像Q(i,j)の枠を縦方向および横方向の双方にシフトさせたものになっているが、この実施例では、1行のブロックラインLi全体を単位処理領域としているため、同位参照ブロック画像Q(i,j)の左隣の参照ブロック画像Q(i,j−1)および右隣の参照ブロック画像Q(i,j+1)も、同じ単位処理領域に含まれる画像情報になる。したがって、この例の場合、横方向のシフトに起因して空白領域Vが生じることはなく、充填規則は、縦方向のシフトに起因して生じる空白領域Vを充填するための規則であれば足りる。
ところが、単位処理領域として、1行分のブロックラインに満たない領域を定義した場合には、横方向のシフトに起因して空白領域Vが生じる可能性があり、縦方向のシフトに起因して生じる空白領域と横方向のシフトに起因して生じる空白領域との双方に適用可能な充填規則を定めておく必要がある。ここでは、そのような極端な例として、1つのブロックを1単位処理領域とする例を考えてみよう。
図24は、このように1つのブロックを1単位処理領域とした場合に生じる空白領域Vを示す平面図である。この例も、図23に示す例と同様に、類似ブロック画像QQ(i,j)のブロック枠Fは、元の同位参照ブロック画像Q(i,j)の枠を縦方向および横方向の双方にシフトさせたものになっている。ただ、1つのブロックが1単位処理領域となっているため、同位参照ブロック画像Q(i,j)の左右に隣接する参照ブロック画像Q(i,j−1),Q(i,j+1)の画像情報は、単位処理領域外の情報ということになり、利用することができない。このため、空白領域Vは、縦方向シフトと横方向シフトの双方に起因して生じた領域になり、充填規則としては、双方のシフトに起因して生じる空白領域Vを充填することができる規則を用いる必要がある。
図25は、図24に示す空白領域Vの詳細構成を示す平面図である。ここでは、図示のとおり、同位参照ブロック画像Q(i,j)の上端位置に水平境界線Ehを定義し、左端位置に垂直境界線Evを定義し、類似ブロック画像QQ(i,j)の枠F内に生じた空白領域Vを、3つの空白領域Vα,Vβ,Vγに分けて考えることにする。
この場合、空白領域Vαについては、これまで述べてきた充填規則をそのまま転用して充填用画像を生成することができる。たとえば、水平境界線Ehに沿った1行分の境界近傍画素Hの画素値を真上方向にコピーする、という充填規則を適用すればよい。空白領域Vβについては、上記充填規則を90°回転させて適用すればよい。すなわち、垂直境界線Evに沿った1列分の境界近傍画素の画素値を左方向にコピーする、という充填規則を適用すればよい。一方、空白領域Vγについては、たとえば、同位参照ブロック画像Q(i,j)の左上隅のコーナー画素の画素値をコピーする、という充填規則を適用することができる。
図26は、図25に示す各空白領域Vα,Vβ,Vγを充填するための充填用画像の生成方法の具体的な一例を示す平面図であり、上述した各充填規則に沿ったコピーを行った結果を示すものである。すなわち、空白領域Vα内の画素については、水平境界線Ehに沿った1行分の境界近傍画素(1,2,3,... と記号を振った画素)の画素値を真上方向Tαにコピーし、空白領域Vβ内の画素については、垂直境界線Evに沿った1列分の境界近傍画素(1,a,b,c,... と記号を振った画素)の画素値を左方向Tβにコピーすればよい。また、空白領域Vγ内の画素については、太線で囲って示すコーナー画素(1と記号を振った画素)の画素値を斜め左上方向Tγに広げるようにコピーすればよい。
もちろん、ここに示す充填規則は一例であり、たとえば、空白領域Vγ内の画素については、予め定められた所定のダミー画素値(たとえば、背景画像として利用される可能性の高い色を示す画素値)を与えるようにしてもかまわない。
<<< §5. 本発明の基本的な実施形態 >>>
続いて、§3で述べた基本原理に基づく本発明の基本的な実施形態を説明する。
<5−1.本発明に係る差分画像作成方法>
図27は、本発明に係る差分画像作成方法の基本手順を示す流れ図である。この差分画像作成方法は、与えられた対象画像Pについて、参照画像Qを利用して差分画像Dを作成する方法であり、図示のとおり、ステップS1〜S9の各段階によって構成される。実際には、これらの各段階は、所定のプログラムが組み込まれたコンピュータもしくは所定の論理回路が組み込まれた集積回路によって実行される。
まず、ステップS1の画像入力段階では、互いに同一のフレームサイズをもった対象画像Pおよび参照画像Qの入力が行われる。以下の各段階は、図2に示すとおり、ステップS1で入力した対象画像Pおよび参照画像Qについて差分をとり、差分画像D(実際には、本発明に係る動き補償が施された差分画像DDD)を作成する処理を行う段階ということになる。ステップS1の画像入力段階では、図1を参照して説明したとおり、動画を構成する静止画像を時系列に従って順次入力し、第t番目の静止画像を対象画像P、第(t−1)番目の静止画像を参照画像Qとすることができる。
ステップS2のブロック分割段階では、入力した対象画像Pおよび参照画像Qをそれぞれ同一の分割方法によって複数のブロックに分割する処理が行われる。具体的には、図3に例示するように、各画像を縦方向にI分割、横方向にJ分割することにより、I行J列に配列されたI×J個のブロックが構成される。その結果、対象画像Pは複数の対象ブロック画像P(i,j)の集合体によって構成される。ここで、対象ブロック画像P(i,j)は、対象画像Pを構成する第i番目の行(1≦i≦I)、第j番目の列(1≦j≦J)に位置する対象ブロック内の画像である。同様に、参照画像Qは複数の参照ブロック画像Q(i,j)の集合体によって構成される。
個々のブロックのサイズm×nは、後に行われる圧縮処理で採用する圧縮方式の規約によって定められるが、一般的な画像圧縮方式では、8×8もしくは16×16のサイズが用いられることが多い。
次のステップS3の単位処理領域定義段階では、対象画像Pおよび参照画像Qについて、同一の定義方法により、1つもしくは複数のブロックからなる所定領域を単位処理領域と定義する処理が行われる。§3では、この単位処理領域定義段階で、第i番目の行(1≦i≦I)に所属するJ個のブロックからなるブロックラインLiを単位処理領域とした例を述べた。もちろん、単位処理領域は、任意のブロックから構成することができ、図24では、単一のブロックを単位処理領域とする例を示した。
続く、ステップS4では、対象画像Pを構成する複数の対象ブロックのうちの1つのブロックが抽出され、以下、ステップS7の段階まで、抽出された1つの対象ブロックに関する処理が実行される。ここでは、第i行第j列目の対象ブロックが抽出されたものとして、以下の説明を行う。
まず、ステップS5の類似ブロック画像探索段階では、抽出された第i行第j列目の対象ブロックに対して参照画像Q内の同じ位置(第i行第j列目)に配置された同位参照ブロックを対応づけ、抽出された対象ブロック内の対象ブロック画像P(i,j)について、参照画像Qのうちの、対応する同位参照ブロックの枠内もしくは当該枠を所定の態様でシフトした枠内の類似する画像として、類似ブロック画像Q(i,j)を探索する処理が行われる。なお、本願において、「類似する画像」とは、「同一の画像」も含む概念であり、「同一の画像」も「類似する画像」の範疇に含まれるものである。
図7に示す例の場合、第4行第1列目の対象ブロック画像P(4,1)については、参照画像Qのうちの、対応する第4行第1列目の同位参照ブロックの枠内の画像(同位参照ブロック画像Q(4,1))が、そのまま類似ブロック画像QQ(4,1)として探索される。この場合、類似ブロック画像QQ(4,1)は、同位参照ブロック画像Q(4,1)と同一の画像になり、シフト量は、Δx=0,Δy=0ということになる。したがって、照明環境などの変化がなく、静止体Sp,Sqの画像が完全同一であるとすると、類似ブロック画像QQ(4,1)は、対象ブロック画像P(4,1)と同一の画像ということになる。
これに対して、第2行第4列目の対象ブロック画像P(2,4)については、参照画像Qのうちの、対応する第2行第4列目の同位参照ブロックの枠を、横方向にΔx、縦方向にΔyという変位量をもった態様でシフトし、シフト後の枠内の画像として、類似ブロック画像QQ(2,4)が探索される。この場合、類似ブロック画像QQ(2,4)の内容は、同位参照ブロック画像Q(2,4)の内容とは異なる。
なお、対象ブロック画像P(i,j)に類似する画像として、類似ブロック画像QQ(i,j)を探索する具体的な方法としては、たとえば、同位参照ブロックの枠を予め定められた複数通りの態様(たとえば、縦に1画素ずつシフトさせる縦シフトと横に1画素ずつシフトさせる横シフトを組み合わせた態様)でシフトさせ、対象ブロック画像と、各態様でシフトさせた枠内の画像とをそれぞれ比較し、最も類似した画像を類似ブロック画像とする方法を採ることができる。この方法は、いわば枠を少しずつシフトさせる試行錯誤を行い、それぞれについて対象ブロック画像P(i,j)との類似度を判定し、最も類似度の高かった画像を類似ブロック画像QQ(i,j)とする手法と言うことができる。
もちろん、何らかの論理的な根拠に基づいて、類似ブロック画像QQ(i,j)を探索することも可能である。たとえば、ステップS1の画像入力段階において、動画を構成する静止画像を時系列に従って順次入力した場合は、これら静止画像群に基づいて動画中の動体を認識することができる。したがって、この動体の移動方向および移動距離を考慮した位置に同位参照ブロックの枠をシフトさせ、類似ブロック画像の探索を行うことも可能である。このように、動き補償を行うための類似ブロック画像の探索方法は、前掲の各特許文献等にも開示されている公知の技術であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
こうして、類似ブロック画像QQ(i,j)が探索されたら、続くステップS6の補完ブロック画像生成段階において、探索された類似ブロック画像QQ(i,j)に基づいて、補完ブロック画像QQQ(i,j)を生成する処理が行われる。その具体的な方法は、図14を参照して§3で説明したとおりである。すなわち、探索された類似ブロック画像QQ(i,j)について(図14(a) )、同位参照ブロック(参照画像Q上の第i行第j列目のブロック)が所属する単位処理領域(§3の例の場合は、第i番目のブロックラインLi)の領域外の部分の画像情報を削除して空白領域Vとし(図14(b) )、この空白領域Vに、所定の充填規則に基づいて生成した充填用画像Wを割り付けて補完することにより(図14(c) ,(d) )、補完ブロック画像QQQ(i,j)を生成すればよい。
こうして、補完ブロック画像QQQ(i,j)が生成されたら、続くステップS7の差分ブロック画像生成段階において、対象ブロック画像P(i,j)と、これに対応して生成された補完ブロック画像QQQ(i,j)との差分をとることにより、差分ブロック画像DDD(i,j)を生成する処理が行われる。なお、この差分ブロック画像DDD(i,j)には、図16(c) に示すように、類似ブロック画像QQ(i,j)を探索したときのシフトの態様を示すシフト情報<Δx,Δy>と、補完ブロック画像QQQ(i,j)を生成する際に用いた充填規則Rule(充填用画像Wを生成するための規則)とが付与されることになる。
以上述べたステップS4〜S7の処理が、全ブロックについて完了するまで、ステップS8を経て繰り返し実行されることになる。こうして、ブロック分割段階で分割したすべてのブロックについて、ステップS4〜S7の処理が完了したら、最後のステップS9のデータ出力段階が実行される。すなわち、個々の差分ブロック画像DDD(i,j)の集合体によって構成される差分画像DDDと、参照画像Qと、個々の類似ブロック画像QQ(i,j)を探索したときのシフトの態様を示す個々のシフト情報と、個々の補完ブロック画像を生成する際の個々の充填規則Ruleと、が出力されることになる。
なお、ステップS1の画像入力段階で、動画を構成する静止画像を時系列に従って順次入力し、第t番目の静止画像を対象画像P、第(t−1)番目の静止画像を参照画像Qとした場合は、ステップS9のデータ出力段階で、第t番目の対象画像Pについての差分画像DDDとともに出力される参照画像Qは、実際には、第(t−1)番目の対象画像Pについての差分画像DDDによって代用されることになる。したがって、ステップS9では、参照画像Qそのものを出力する代わりに、その代替画像(参照画像Qを得ることができる画像)を出力してもかまわない。§1で述べたとおり、こうしてステップS9において出力された差分画像DDDに対しては、後の段階でデータ圧縮処理が施される。かくして、時系列的に連続して与えられる複数の対象画像Pからなる動画データに対するデータ圧縮が行われることになる。
また、§4で説明したように、実用上は、ステップS6の補完ブロック画像生成段階では、複数N通りの充填規則に基づいて複数N通りの充填用画像Wを生成し、各充填用画像Wをそれぞれ空白領域Vに割り付けて補完することにより、複数N通りの補完ブロック画像を生成するようにし(たとえば、図21に示す例では、7通りの補完ブロック画像QQQ1〜QQQ7を生成している)、ステップS7の差分ブロック画像生成段階では、これらN通りの補完ブロック画像のうち、対象ブロック画像P(i,j)に最も類似する画像を選択し、対象ブロック画像と、選択された補完ブロック画像との差分をとることにより最終的な差分ブロック画像DDD(i,j)を生成するようにするのが好ましい。この場合、ステップS9のデータ出力段階では、選択された補完ブロック画像を生成するための充填規則を出力するようにすればよい。
なお、対象ブロック画像P(i,j)に最も類似する画像を選択するためには、たとえば、補完ブロック画像QQQ(i,j)と対象ブロック画像P(i,j)とについて、それぞれ対応する画素の画素値の差の絶対値の合計値を求め、当該合計値が最も小さい補完ブロック画像を最も類似する画像として選択すればよい。
ステップS6の補完ブロック画像生成段階で、補完ブロック画像QQQ(i,j)を生成するための実用的な充填規則としては、§4でいくつかのバリエーションを述べたように、単位処理領域の領域内における、空白領域Vに接する境界近傍の画素の画素値を、空白領域V内の所定方向に位置する画素にコピーすることにより充填用画像Wの画素の画素値を決定する、という規則を設定すればよい。そうすれば、コピーする方向Tを変えることにより、複数N通りの充填規則を設定することが可能になる。
また、ステップS1の画像入力段階で、動画を構成する静止画像を時系列に従って順次入力する場合、ステップS6の補完ブロック画像生成段階では、時系列に従って順次入力した静止画像群に基づいて動画中の動体を認識することができるので、この動体の移動方向を考慮した充填規則に基づいて補完ブロック画像を生成するようにしてもよい。たとえば、動体が所定方向に移動していると判断できる場合には、画素値をコピーする方向を、この移動方向に向かう方向に設定するようにすれば、より適切な補完ブロック画像を生成することができるようになる。
<5−2.本発明に係る画像復元方法>
図28は、本発明に係る画像復元方法の基本手順を示す流れ図である。この画像復元方法は、図27の流れ図に示す差分画像作成方法によって作成された差分画像DDDに基づいて、元の対象画像Pを復元する方法であり、実際には、これらの各段階は、所定のプログラムが組み込まれたコンピュータもしくは所定の論理回路が組み込まれた集積回路によって実行される。
まず、ステップS11のデータ入力段階では、図27のステップS9に示すデータ出力段階で出力された差分画像DDDと、参照画像Qもしくはその代替画像と、個々のシフト情報と、個々の充填規則Ruleと、が入力される。なお、データ出力段階で出力された差分画像DDDに対して、データ圧縮処理が施されていた場合には、まず、圧縮されたデータに対して、データ伸張処理を施して差分画像DDDを復元し、復元した差分画像DDDを用いて以下の各処理が実行されることになる。
次のステップS12の単位処理データ抽出段階では、1つの単位処理領域に関するデータの抽出が行われる。すなわち、ステップS11で入力したデータの中から、第i番目(i=1,2,3,... )の単位処理領域に関するデータが抽出される。§3で述べた例のように、1ブロックラインを単位処理領域に設定した場合は、差分画像DDDおよび参照画像Qの中の第i番目のブロックラインLiに関するデータが抽出されることになる。
次のステップS13のブロックデータ抽出段階では、1つのブロックに関するデータの抽出が行われる。すなわち、ステップS12で抽出された1つの単位処理領域に関するデータの中から、第j番目(i=1,2,3,... )のブロックに関するデータが抽出される。§3で述べた例の場合、第i行第j列の差分ブロック画像DDD(i,j)が抽出されることになる。前述したとおり、この差分ブロック画像DDD(i,j)には、シフト情報<Δx,Δy>と充填規則Ruleが付与されているので、これらの情報も併せて抽出される。
そして、ステップS14のブロック画像変換段階では、第i番目の単位処理領域(ブロックラインLi)に所属する第j番目の参照ブロック画像Q(i,j)を、当該ブロックについて抽出されたシフト情報<Δx,Δy>および充填規則Ruleに基づいて、補完ブロック画像QQQ(i,j)に変換する処理が行われる。この変換処理の具体的な方法は、図23に示すとおりである。
すなわち、まず、参照ブロック画像Q(i,j)のブロック枠Fを、シフト情報Δx,Δyに応じてシフトし、必要に応じて左右に隣接する参照ブロック画像Q(i,j−1),Q(i,j+1)の情報を用いて、シフトした枠F内の画像のうち、ブロックラインLiの内部の画像を取得し、類似ブロック画像QQ(i,j)を生成する。ステップS12では、ブロックラインLiに関するデータしか抽出していないので、ブロックラインL(i−1)に関するデータは存在せず、図23に示すように、類似ブロック画像QQ(i,j)の一部分は空白領域Vになる。
そこで、充填規則Ruleを参照して、この空白領域Vを充填するための充填用画像Wを生成する。充填規則Ruleとして、たとえば、図15に例示したような規則が採用されていた場合には、類似ブロック画像QQ(i,j)の空白領域Vには、境界近傍画素Hの画素値がコピーされ、図14(d) に示すような補完ブロック画像QQQ(i,j)が得られることになる。
こうして、ステップS14の変換段階により、補完ブロック画像QQQ(i,j)が得られたら、続いて、ステップS15の対象ブロック画像復元段階において、第i番目の単位処理領域に所属する第j番目の差分ブロック画像DDD(i,j)と、これに対応する補完ブロック画像QQQ(i,j)とに基づいて、第i番目の単位処理領域に所属する第j番目の対象ブロック画像P(i,j)を復元する処理が行われる。具体的には、図16(c) に示す差分演算と逆の演算処理を行うことにより、差分ブロック画像DDD(i,j)と補完ブロック画像QQQ(i,j)に基づいて、対象ブロック画像P(i,j)が復元されることになる。
このステップS13〜S15の処理は、単位処理領域内の全ブロックについて完了するまで、ステップS16を経て繰り返し実行される。具体的には、ステップS12で抽出されたブロックラインLiに所属する第1番目のブロックから第J番目のブロックに至るまで、ステップS13〜S15の処理が繰り返され、その結果、第i番目のブロックラインLiに所属するJ個の対象ブロック画像P(i,1)〜P(i,J)が復元されることになる。もし、1行分のブロックラインに対応する部分画像を復元するだけで足りる場合は、これで処理終了である。
1フレームの画像全体を復元する場合は、ステップS12〜S16の処理が、1フレームの画像データ内の全単位処理領域について完了するまで、ステップS17を経て繰り返し実行される。こうして、最終的に、I×J個の対象ブロック画像P(1,1)〜P(I,J)が復元されることになる。こうして、全単位処理領域の全ブロックについて、それぞれ対象ブロック画像を復元する処理が完了したら、これら対象ブロック画像P(1,1)〜P(I,J)の集合体として、対象画像Pを復元することができる。
<5−3.本発明に係る差分画像作成装置>
続いて、図29のブロック図を参照しながら、本発明に係る差分画像作成装置100の基本構成を説明する。この差分画像作成装置100は、§3で述べた基本原理に基づき、与えられた対象画像Pについて、参照画像Qを利用して差分画像DDDを作成する機能をもった装置である。実際には、この差分画像作成装置100は、所定のプログラムが組み込まれたコンピュータもしくは所定の論理回路が組み込まれた集積回路によって構成される。
まず、画像入力部110は、互いに同一のフレームサイズをもった対象画像Pおよび参照画像Qを入力するための構成要素である。動画を入力する場合は、図1を参照して説明したとおり、動画を構成する静止画像を時系列に従って順次入力し、第t番目の静止画像を対象画像P、第(t−1)番目の静止画像を参照画像Qとすることができる。
分割方法定義部120は、入力した対象画像Pおよび参照画像Qを、それぞれ同一の態様で分割する分割方法を定義する構成要素であり、具体的には、図3に例示するように、各画像を縦方向にI分割、横方向にJ分割することにより、I行J列に配列されたI×J個のブロックに分割する方法を定義する。この分割方法による分割を行うことにより、対象画像Pは複数の対象ブロック画像P(i,j)の集合体によって構成され、参照画像Qは複数の参照ブロック画像Q(i,j)の集合体によって構成される。対象ブロック画像P(i,j)および参照ブロック画像Q(i,j)は、各画像を構成する第i番目の行(1≦i≦I)、第j番目の列(1≦j≦J)に位置するブロック内の画像ということになる。
ブロック抽出部130は、分割方法定義部120によって定義された分割方法により対象画像Pを分割し、個々の対象ブロックを抽出する処理を行う。抽出されたブロックの情報(対象ブロック画像P(i,j)の画像データ)は、類似ブロック画像探索部140に与えられる。
類似ブロック画像探索部140は、参照画像Q内を探索することにより、ブロック抽出部130から与えられた対象ブロック画像P(i,j)に類似する類似ブロック画像QQ(i,j)を探索する処理を行う。たとえば、図7には、対象ブロック画像P(4,1)に類似する類似ブロック画像QQ(4,1)を探索した例(この場合、シフト量は0であり、類似ブロック画像QQ(4,1)は参照ブロック画像Q(4,1)に一致する)や、対象ブロック画像P(2,4)に類似する類似ブロック画像QQ(2,4)を探索した例(この場合、シフト量は、ΔxおよびΔy)が示されている。
類似ブロック画像探索部140は、分割方法定義部120によって定義された分割方法により参照画像Qを対象画像Pに対する分割方法と同じ態様で分割することができるので、個々の対象ブロックに対して、参照画像P内の同じ位置に配置された同位参照ブロックを対応づけ、個々の対象ブロック内の対象ブロック画像P(i,j)について、参照画像Qのうちの、対応する同位参照ブロックの枠内の類似する画像として、もしくは当該枠を所定の態様でシフトした枠内の類似する画像として、類似ブロック画像QQ(i,j)を探索する処理を行う。
具体的には、たとえば、同位参照ブロックの枠を予め定められた複数通りの態様でシフトさせ、対象ブロック画像P(i,j)と、各態様でシフトさせた枠内の画像とをそれぞれ比較し、最も類似した画像を類似ブロック画像QQ(i,j)とする方法を採ることができる。あるいは、ステップS1の画像入力段階において、動画を構成する静止画像を時系列に従って順次入力した場合は、これら静止画像群に基づいて動画中の動体を認識し、その移動方向および移動距離を考慮した位置に同位参照ブロックの枠をシフトさせ、類似ブロック画像QQ(i,j)を探索してもよい。
類似ブロック画像QQ(i,j)が探索されたら、そのときのシフト情報(類似ブロック画像QQ(i,j)の枠が、同位参照ブロック画像Q(i,j)の枠からどれだけシフトしているかを示す情報)も類似ブロック画像探索部140から出力される。§3で述べた実施例では、このシフト情報を<Δx,Δy>として例示したが、このブロック図では、記号Shift(1組のシフト情報を示す場合)もしくは記号Shifts(複数組のシフト情報を示す場合)を用いて示すことにする。図において類似ブロック画像探索部140のブロックから右方に出力されている記号Shiftsの矢印は、このシフト情報を示している。もちろん、シフト情報Shiftは、必ずしも<Δx,Δy>のように、縦横のシフト量を示す情報である必要はなく、たとえば、シフト方向を示す角度とシフトの距離を示す情報を用いてもかまわない。
単位処理領域定義部150は、対象画像Pおよび参照画像Qについて、同一の定義方法により、1つもしくは複数のブロックからなる所定領域を単位処理領域と定義する処理を行う。上述したように、分割方法定義部120によって、各画像I行J列に配列されたI×J個のブロックに分割する分割方法が定義された場合、単位処理領域定義部150は、第i番目の行(1≦i≦I)に所属するJ個のブロックからなるブロックラインLiを単位処理領域とする定義を行うことができる。
補完ブロック画像生成部160は、類似ブロック画像探索部140から与えられた類似ブロック画像QQ(i,j)について、同位参照ブロックが所属する単位処理領域の領域外の部分の画像情報を削除して空白領域Vとし、この空白領域Vに、所定の充填規則Ruleに基づいて生成した充填用画像Wを割り付けて補完することにより、補完ブロック画像QQQ(i,j)を生成する処理を行う。具体的な処理の内容は、図14や図15に例示したとおりである。
なお、実用上は、§4で述べたように、補完ブロック画像生成部160は、複数N通りの充填規則Rulesに基づいて複数N通りの充填用画像Wを生成し、各充填用画像Wを空白領域Vに割り付けて補完することにより、複数N通りの補完ブロック画像QQQ1(i,j)〜QQQN(i,j)を生成するのが好ましい。たとえば、図21には、7通りの補完ブロック画像QQQ1(2,4)〜QQQ7(2,4)を生成した例が示されている。補完ブロック画像生成部160は、このとき用いた複数N通りの充填規則Rulesを併せて出力する。
複数N通りの充填規則Rulesとしては、たとえば、単位処理領域の領域内における、空白領域に接する境界近傍画素Hの画素値を、空白領域V内の所定方向に位置する画素にコピーするという基本規則により充填用画像Wの画素の画素値を決定することにしておき、コピーする方向Tを変えることにより、複数N通りの充填規則Rulesを設定することができる。図21に示す例は、コピーする方向TをT1〜T7の7通りに設定した例である。
差分ブロック画像生成部170は、ブロック抽出部130から与えられる個々の対象ブロック画像P(i,j)と、これに対応して生成された個々の補完ブロック画像QQQ(i,j)との差分をとることにより、個々の差分ブロック画像DDD(i,j)を生成する処理を行う。
特に、ここに示す実施形態の場合、上述したとおり、補完ブロック画像生成部160が、複数N通りの充填規則Rulesに基づいて、複数N通りの補完ブロック画像QQQ1(i,j)〜QQQN(i,j)を生成するので、差分ブロック画像生成部170も、これに応じて、1つの対象ブロック画像P(i,j)について、N通りの補完ブロック画像QQQ1(i,j)〜QQQN(i,j)のそれぞれを用いてN通りの差分ブロック画像DDD1(i,j)〜DDDN(i,j)を生成する処理を行う。
画像選択部180は、こうして生成されたN通りの差分ブロック画像DDD1(i,j)〜DDDN(i,j)のうち、最も圧縮効率の高い画像を1つだけ選択する。具体的には、個々の画素のもつ差分値の絶対値の総和が最も小さい差分ブロック画像を選択すればよい。選択された画像は、最終的な差分ブロック画像DDD(i,j)として出力される。また、画像選択部180からは、選択結果を示す選択信号selも出力される。
データ出力部190は、こうして選択された差分ブロック画像DDD(i,j)の集合体により差分画像DDDを構成し、これを出力する。また、画像入力部110内の参照画像Q(差分画像DDDの作成に利用された画像)もしくはその代替画像と、個々の類似ブロック画像QQ(i,j)を探索したときのシフトの態様を示す個々のシフト情報Shiftsと、個々の補完ブロック画像QQQ(i,j)を生成する際に用いた個々の充填規則Rulesと、を併せて出力する。なお、最終的に出力する充填規則Rulesは、画像選択部180で選択された差分ブロック画像DDD(i,j)に関する充填規則だけでよいので、データ出力部190は、補完ブロック画像生成部160から与えられる充填規則の中から、選択信号selによって示される選択結果に対応する充填規則のみを選択して出力すればよい。
なお、補完ブロック画像生成部160が、常に同一の充填規則Ruleに基づいて、1通りの補完ブロック画像QQQ(i,j)のみを生成する構成にした場合(この場合、圧縮効率の高い差分画像DDDを作成する効果は若干低下することになる)、差分ブロック画像生成部170は、この1通りの補完ブロック画像QQQ(i,j)を用いて差分ブロック画像DDD(i,j)を生成する処理を行えばよいので、画像選択部180は省略することができる。
こうしてデータ出力部190から出力される差分画像DDD、参照画像Qもしくはその代替画像、シフト情報shifts、充填規則Rulesが揃えば、これらに基づいて、元の対象画像Pを復元することができる。このような復元を行うための画像復元装置は、次の§5−4で述べる。
なお、§1で述べたとおり、実用上は、データ出力部190から出力されたデータに対してデータ圧縮処理を実行するデータ圧縮装置が付加され、時系列的に連続して与えられる複数の対象画像Pからなる動画データに対するデータ圧縮が行われることになる。
<5−4.本発明に係る画像復元装置>
続いて、図30のブロック図を参照しながら、本発明に係る画像復元装置200の基本構成を説明する。この画像復元装置200は、図29に示す差分画像作成装置100によって作成された差分画像DDDに基づいて、少なくとも特定の単位処理領域内の部分対象画像を復元する機能をもった装置であり、実際には、この画像復元装置200は、所定のプログラムが組み込まれたコンピュータもしくは所定の論理回路が組み込まれた集積回路によって構成される。
まず、データ入力部210は、図29に示す差分画像作成装置100のデータ出力部190から出力された差分画像DDDと、参照画像Qもしくはその代替画像と、個々のシフト情報Shiftsと、個々の充填規則Rulesと、を入力する構成要素である。データ出力部190から出力されたデータに対してデータ圧縮処理が施されていた場合には、このデータ入力部210の前段にデータ伸張装置を付加し、圧縮されたデータに対して、データ伸張処理を施す必要がある。
単位処理バッファ220は、データ入力部210が入力したデータの中から、特定の単位処理領域に関するデータを抽出して、これを格納する処理を行う。たとえば、§3で述べた実施形態の場合、1行分のブロックラインが単位処理領域として設定されているので、単位処理バッファ220は、データ入力部210内のデータの中から、特定のブロックラインに関するデータのみを抽出する処理を行う。
ここでは、便宜上、対象画像Pのうち、第i番目のブロックラインLi内の部分対象画像Li(P)を復元する場合を例にとって以下の説明を行うことにする。この場合、単位処理バッファ220は、データ入力部210内に用意された差分画像DDD、参照画像Q、シフト情報Shifts、充填規則Rulesのうち、ブロックラインLiに関する情報のみを抽出して格納する処理を行うことになる。図に示す「Li(DDD,Q,Shifts,Rules)」なる記号は、こうして抽出されたブロックラインLiに関する情報を示している。
ブロック画像変換部230は、単位処理バッファ220から、第j番目(i=1,2,3,... )の参照ブロック画像Q(i,j)と、必要に応じて、これに隣接する参照ブロック画像Q(i,j−1),Q(i,j+1)を読出し、更に、当該第j番目の参照ブロックについてのシフト情報Shiftおよび充填規則Ruleを読み出す。そして、読み出したシフト情報shiftおよび充填規則Ruleに基づいて、読み出した参照ブロック画像を第j番目の補完ブロック画像QQQ(i,j)に変換する処理を行う。
この変換処理の具体的な方法は、図23に示すとおりである。まず、シフト情報Shiftに基づいて、参照ブロック画像Q(i,j)のブロック枠Fをシフトし、このシフトにより必要になる隣接する参照ブロック画像を読み出す。図示の例の場合、枠Fは左方向にシフトするため、左側に隣接する参照ブロック画像Q(i,j−1)を読み出す必要が生じる。この場合、右側に隣接する参照ブロック画像Q(i,j+1)を読み出す必要はない。
そして、シフトした枠F内の画像のうち、ブロックラインLiの内部の画像を取得し、類似ブロック画像QQ(i,j)を生成する。単位処理バッファ220には、ブロックラインLiに関するデータしかないので、ブロックラインL(i−1)に関するデータは存在せず、図23に示すように、類似ブロック画像QQ(i,j)の一部分は空白領域Vになる。
そこで、充填規則Ruleを参照して、この空白領域Vを充填するための充填用画像Wを生成する。充填規則Ruleとして、たとえば、図15に例示したような規則が採用されていた場合には、類似ブロック画像QQ(i,j)の空白領域Vには、境界近傍画素Hの画素値がコピーされ、図14(d) に示すような補完ブロック画像QQQ(i,j)が得られることになる。
最後に、対象ブロック画像復元部240において、単位処理バッファ220から読み出した第j番目の差分ブロック画像DDD(i,j)と、ブロック画像変換部230によって変換された第j番目の補完ブロック画像QQQ(i,j)とに基づいて、第j番目の対象ブロック画像P(i,j)を復元する処理が行われる。
このような処理を、ブロックラインLiを構成する第1番目のブロックから第J番目のブロックまで繰り返せば、対象ブロック画像復元部240により、第1番目の対象ブロック画像P(i,1)〜第J番目の対象ブロック画像P(i,J)が復元されることになる。かくして、対象ブロック画像復元部240は、特定の単位処理領域(ブロックラインLi)に所属する対象ブロック画像P(i,j)を順次出力することにより、当該特定の単位処理領域(ブロックラインLi)内の部分対象画像Li(P)を復元することができる。
ここで、単位処理バッファ220、ブロック画像変換部230、対象ブロック画像復元部240は、いずれも1つの単位処理領域(1ブロックライン)のデータを処理するためのデータ容量を備えていれば足りるので、一部分の画像だけを復元するためのハードウェアを構成する上では、メモリ等の容量を節約することが可能になり、コストダウンを図ることができる。
<<< §6. 本発明の変形例に係る実施形態 >>>
これまで、対象画像Pおよび参照画像Qを複数のブロックに分割し、1つもしくは複数のブロックからなる領域を単位処理領域と定義し、この単位処理領域ごとに画像復元が可能な態様で差分画像DDDを作成する実施形態を述べてきた。しかしながら、本発明に係る技術思想は、必ずしも画像をブロック分割する場合のみに適用されるものではなく、ブロック分割を行わない場合にも適用することが可能であり、その場合でも、本発明の適用により、差分画像の情報量を低減させる(圧縮効率を向上させる)という固有の作用効果が得られるものである。すなわち、本発明によれば、ブロック分割しない対象画像に対しても、動き補償の技術を採用しつつ、効率的な復元が可能になる差分画像作成方法を提供することができる。
そこで、§6では、画像をブロック分割しない場合に本発明を適用した例を、本発明の変形例に係る実施形態として説明することにする。
<6−1.変形例の基本原理>
ここでは、まず、この変形例の基本原理を図31を参照しながら説明する。もちろん、この基本原理の根底にある技術思想は、§3で述べた基本原理と共通するものである。
ここでは、図31上段に示すような同じサイズの対象画像Pと参照画像Qが与えられた場合に、両者の差分をとって差分画像DDDを作成する場合を考える。対象画像Pと参照画像Qは、いずれも同じ犬を被写体として含む画像であるため、この犬の部分については類似している。しかしながら、両者では、犬の配置が異なっているため、このままの状態で両者の差分をとると、対応する位置にある画素同士では、その画素値に大きな違いが生じ、結果的に、情報量の大きな差分画像Dが得られることになり、圧縮効率はそれほど向上しないことになる。
ここで、対象画像Pの中の犬を被写体とした領域(一点鎖線で区分けした領域)を部分対象画像Paとし、参照画像Qの中の犬を被写体とした領域(一点鎖線で区分けした、部分対象画像Paと同じサイズをもった領域)を部分参照画像Qaとして、これらの画像Pa,Qa同士を比べれば、類似度が格段に向上することが理解できよう。すなわち、部分対象画像Paと部分参照画像Qaとは互いに類似していることになり、もし、これら両画像Pa,Qaについて差分画像を生成すれば、情報量は大幅に低減されることになる。
しかしながら、実際には、対象画像Pは、フレームFpのサイズをもった画像であり、部分対象画像Paはそのうちの一部分にすぎない。同様に、参照画像Qは、フレームFqのサイズをもった画像であり、部分参照画像Qaはそのうちの一部分にすぎない。したがって、対象画像Pと参照画像Qとの差分画像は、あくまでも、フレームFp,Fqのサイズの画像同士で差分をとった画像でなければならない。
そこで、図31の中段に示すように、参照画像Qと同一のサイズをもった類似画像QQを作成してみる。この類似画像QQのフレームは、参照画像QのフレームFqと同一のものであり、当然、対象画像PのフレームFpとも同一である。この類似画像QQは、参照画像QのフレームFq内における部分参照画像Qaの占有位置が、対象画像PのフレームFp内における部分対象画像Paの占有位置と同じになるように、部分参照画像QaをフレームFq内で所定のシフト方向(図の例の場合、参照画像Q内に矢印Sで示す斜め右上方向)にシフトし、当該シフトにより画像情報が失われた部分を空白領域Vとすることにより生成された画像である。
図示の例の場合、シフトの方向および距離は、横方向シフト量Δxと縦方向シフト量Δyによって示されている。フレームFqを固定した状態において、参照画像Qの内容だけをシフト方向Sにシフトしたため、類似画像QQ上では、参照画像Qの上辺近傍領域の情報(雲)および右辺近傍領域の情報(花)は失われてしまう。また、類似画像QQの下辺近傍領域および左辺近傍領域には、画像の情報がないため、これらの領域は空白領域Vになる。
このように、類似画像QQは、参照画像Qに比べると、一部の領域の情報が欠落した画像になっているが、対象画像Pに対するミクロ的視野に立った類似性は、参照画像Qよりも向上しており、文字どおり、対象画像Pに「類似する画像」になっている。したがって、対象画像Pと参照画像Qとの差分演算によって得られた差分画像Dよりも、対象画像Pと類似画像QQとの差分演算によって得られた差分画像DDの方が、情報量は低減し、圧縮効率は高まることになる。
すなわち、対象画像Pと参照画像Qとを、マクロ的な視野に立って比較すると(たとえば、人間が両画像を全体観察すると)、配置は違うが同じ犬が被写体として含まれている画像である点において、両画像に類似性を見出すであろうが、ミクロ的な視野に立って比較すると(たとえば、対応する位置にある2つの画素の画素値を比較すると)、両画像の類似性は低くなってしまう。これに対して、対象画像Pと類似画像QQとを比較すると、マクロ的な視野に立っても、ミクロ的な視野に立っても、類似性が見出されることになる。
もっとも、類似画像QQは、画像情報が何ら定義されていない空白領域V(ドットによるハッチングを施した領域)を含む不完全な画像であるので、この空白領域Vに、所定の充填規則Ruleに基づいて生成した充填用画像Wを割り付けて補完することにより、図31の下段に示すような補完画像QQQを作成する。図に斜線によるハッチングを施した領域が、この充填用画像Wによる補完を行った領域であり、この領域には、何らかの画素値をもった画素が配置されている。したがって、補完画像QQQは、フレームFq内に配置された画素から構成される正常な画像である。
対象画像Pと補完画像QQQは同じサイズの画像であるので、両者の差分をとることにより、差分画像DDDを得ることができる。この差分画像DDDには、シフトの態様を示すシフト情報Shift(この例の場合は、シフト量Δx,Δy)と、充填用画像Wを生成する際に用いた充填規則Ruleとを付加しておくようにする。これらの情報は、対象画像Pを復元する際に必要になる。
充填用画像Wを生成する際の充填規則Ruleとしては、§4で述べたように、様々な規則を用いることができる。たとえば、図示の例の場合、類似画像QQ内に配置された部分参照画像Qaの左辺周辺画素や下辺周辺画素の画素値を左方向や下方向にコピーすることにより、空白領域V内の各画素に画素値を定義することができ、充填用画像Wを生成することができる。具体的には、たとえば、図26に例示した画素値のコピー方法に準じた充填規則Ruleを設定しておけばよい。
このように、補完画像QQQのうち、充填用画像Wの部分は、充填規則Ruleに基づいて生成された情報であるため、対象画像Pの対応する領域の画像とはかけ離れたものになる可能性が高い。図31に示す例の場合、対象画像Pの左辺近傍領域には花の画像が配置され、下辺近傍領域にはフェンスの画像が配置されている(以下、これらの領域をL字状領域と呼ぶ)。これに対して、補完画像QQQのL字状領域(斜線によるハッチングを施して示した充填用画像Wの部分)には、花やフェンスといった画像の情報は含まれておらず、差分画像DDDのL字状領域に得られる差分値は、比較的大きな値になる可能性が高い。
それでも、対象画像Pのうちの部分対象画像Paが割り付けられている領域と、補完画像QQQのうちの部分参照画像Qaが割り付けられている領域との類似度はかなり高くなるため、差分画像DDDの同領域に得られる差分値は、かなり小さくなることが予想される。別言すれば、対象画像Pにおいて、花とフェンスが配置されているL字状領域に関しては、参照画像Qとの差分をとろうが、補完画像QQQ(充填用画像W)との差分をとろうが、得られる差分値は大きくならざるを得ない(いずれにしても類似性は低い)。これに対して、部分対象画像Paの領域に関しては、参照画像Qとの差分をとるよりも、補完画像QQQとの差分をとった方が、はるかに小さな差分値が得られることになる(後者の方が、はるかに類似性が高い)。
このような理由により、対象画像Pと参照画像Qとの差分演算によって得られた差分画像Dに比べて、対象画像Pと補完画像QQQとの差分演算によって得られた差分画像DDDの方が、トータルとして小さな差分値をもった差分画像ということになり、その後に行われるデータ圧縮処理の圧縮効率を高めることができる。結局、この変形例も、動き補償の技術を採用した差分画像作成方法ということができ、対象画像を効率的に圧縮し、これを復元することが可能になるという利点が得られる。
<6−2.変形例に係る差分画像作成方法および画像復元方法>
図32は、本発明の変形例に係る差分画像作成方法および画像復元方法の基本手順を示す流れ図である。前半のステップS21〜S26は、与えられた対象画像について、参照画像を利用して差分画像を作成する方法の手順を示し、後半のステップS27〜S29は、前半で作成された差分画像に基づいて、元の対象画像を復元する画像復元方法の手順を示す。実際には、これらの各ステップは、所定のプログラムが組み込まれたコンピュータもしくは所定の論理回路が組み込まれた集積回路によって実行される。
まず、ステップS21の画像入力段階では、図31の上段に示す例のように、互いに同一のフレームサイズをもった対象画像Pおよび参照画像Qを入力する処理が行われる。
続く、ステップS22の類似部分探索段階では、対象画像Pの一部分を構成する部分対象画像Paについて、同一サイズかつ類似している部分参照画像Qaを参照画像Q内から探索する処理が行われる。図31に示す例は、被写体として含まれる犬の近傍の画像を部分対象画像Paとして認識し、参照画像Q内から、この部分対象画像Paと同一サイズかつ類似している部分参照画像Qaが探索された例である。
対象画像Pが動画を構成する1枚のフレーム画像である場合は、この動画を構成する複数枚のフレーム画像を解析して動体を認識し、当該動体の近傍領域を部分対象画像Paとして認識することができる。一般に、認識された動体は、後続するフレーム画像においても追跡処理が行われるため、個々のフレーム画像において、動体の占有領域を認識することができる。したがって、個々のフレーム画像として与えられる対象画像Pについて、動体の占有領域に基づいて部分対象画像Paを決定することができる。
参照画像Q内から、部分対象画像Paと同一サイズかつ類似している部分参照画像Qaを探索する手法は、これまで述べてきた基本的な実施形態において、対象ブロック画像P(i,j)に類似した類似ブロック画像QQ(i,j)を探索する手法と同様の手法を採ることができる。もちろん、動体追跡の技術を利用すれば、その結果を利用して、部分参照画像Qaの位置を予測することも可能である。
次のステップS23の類似画像生成段階では、図31中段に示すように、参照画像QのフレームFq内における部分参照画像Qaの占有位置が、対象画像PのフレームFp内における部分対象画像Paの占有位置と同じになるように、部分参照画像QaをフレームFq内で所定方向Sにシフトし、シフトにより画像情報が失われた部分を空白領域Vとする類似画像QQを生成する処理が行われる。
そして、ステップS24の補完画像生成段階では、図31下段に示すように、類似画像QQ内の空白領域Vに、所定の充填規則Ruleに基づいて生成した充填用画像Wを割り付けて補完することにより、補完画像QQQを生成する処理が行われる。充填規則Ruleとしては、たとえば、部分参照画像Qaの空白領域Vに接する境界近傍画素Hの画素値に基づいて、充填用画像Wの画素の画素値を決定する規則を用いることができる。
続くステップS25の差分画像生成段階では、対象画像Pと補完画像QQQとの差分をとることにより差分画像DDDを生成する処理が行われる。そして、最後に、ステップS26のデータ出力段階において、差分画像DDDと、参照画像Qもしくはその代替画像と、シフトの態様を示すシフト情報Shiftと、充填規則Ruleと、を出力する処理が行われる。出力されたこれらの各データは、元の対象画像Pを復元するために必要なデータである。
なお、この変形例においても、§4で述べた方法を適用することが可能である。すなわち、ステップS24の補完画像生成段階で、複数N通りの充填規則に基づいて複数N通りの充填用画像Wを生成し、各充填用画像Wを空白領域Vに割り付けて補完することにより、複数N通りの補完画像QQQ1〜QQQNを生成し、ステップS25の差分画像生成段階では、N通りの補完画像QQQ1〜QQQNのうち、対象画像Pに最も類似する画像を選択し、対象画像Pと、選択された補完画像QQQとの差分をとることにより差分画像DDDを生成すればよい。
次に、後半の画像復元方法を説明する。なお、図32の流れ図では、説明の便宜上、前半の差分画像作成方法の各ステップS21〜S26に続けて、後半の画像復元方法の各ステップS27〜S29を記載しているが、実際には、前半の差分画像作成方法によって差分画像が作成されたら、必要に応じて、これを圧縮する処理、保存する処理、配布する処理などが行われることになる。そして、元の画像を再生するときに、配布された圧縮データを伸張してから、ステップS27以降の画像復元方法が実行されることになる。
まず、ステップS27のデータ入力段階では、ステップS26のデータ出力段階で出力された差分画像DDDと、参照画像Qもしくはその代替画像と、シフト情報Shiftと、充填規則Ruleと、が入力される。そして、ステップS28の画像変換段階では、シフト情報Shiftおよび充填規則Ruleに基づいて、参照画像Qを補完画像QQQに変換する処理が行われる。この処理の具体的な内容は、図31の右欄に示すとおりである。最後のステップS29では、補完画像QQQと差分画像DDDに基づいて対象画像Pを復元する対象画像復元段階が実行される。この処理は、ステップS25の差分画像生成段階で行われた差分演算に対する逆演算を行うことにより実施される。
<6−3.変形例に係る差分画像作成装置>
続いて、図33のブロック図を参照しながら、本発明の変形例に係る差分画像作成装置300の基本構成を説明する。この差分画像作成装置300は、§6−1で述べた基本原理に基づき、与えられた対象画像Pについて、参照画像Qを利用して差分画像DDDを作成する機能をもった装置である。実際には、この差分画像作成装置300は、所定のプログラムが組み込まれたコンピュータもしくは所定の論理回路が組み込まれた集積回路によって構成される。
まず、画像入力部310は、互いに同一のフレームサイズをもった対象画像Pおよび参照画像Qを入力するための構成要素である。動画を入力する場合は、図1を参照して説明したとおり、動画を構成する静止画像を時系列に従って順次入力し、第t番目の静止画像を対象画像P、第(t−1)番目の静止画像を参照画像Qとすることができる。
類似部分探索部320は、この対象画像Pの一部分を構成する部分対象画像Paについて、同一サイズかつ類似している部分参照画像Qaを参照画像Q内から探索する処理を行う。具体的な処理方法は、§6−2で述べたとおりである。
類似画像生成部330は、参照画像QのフレームFq内における部分参照画像Qaの占有位置が、対象画像PのフレームFp内における部分対象画像Paの占有位置と同じになるように、部分参照画像Qaをフレーム内で所定方向Sにシフトし、当該シフトにより画像情報が失われた部分を空白領域Vとする類似画像QQを生成する処理を行う。シフトの態様を示す情報は、シフト情報Shiftとして出力される。
補完画像生成部350は、類似画像QQ内の空白領域Vに、所定の充填規則Ruleに基づいて生成した充填用画像Wを割り付けて補完することにより、補完画像QQQを生成する処理を行う。充填規則Ruleとしては、たとえば、部分参照画像Qaの、空白領域Vに接する境界近傍画素Hの画素値に基づいて、充填用画像Wの画素の画素値を決定する規則を用いることができる。
なお、図33に示す差分画像作成装置300においても、§4で述べた変形例を適用しており、補完画像生成部350は、複数N通りの充填規則に基づいて複数N通りの充填用画像Wを生成し、各充填用画像Wを空白領域Vに割り付けて補完することにより、複数N通りの補完画像QQQ1〜QQQNを生成する機能を有している。図では、N=3として、3通りの補完画像QQQ1〜QQQ3が生成された例が示されている。これらの補完画像は、部分参照画像Qaの部分を共通とし、充填用画像Wの部分のみが異なる画像である。補完画像生成部350からは、このとき用いた3通りの充填規則Rule1〜3が出力される。
画像選択部340は、こうして得られたN通りの補完画像(ここに示す例の場合は、3通りの補完画像QQQ1〜QQQ3)のうち、対象画像Pに最も類似する画像を選択する処理を行う。そして、差分画像生成部360は、対象画像Pと、選択された補完画像QQQとの差分をとることにより差分画像DDDを生成する。
なお、実際には、N通りの補完画像の中から対象画像Pに最も類似する画像を選択する処理は、対象画像Pと個々の補完画像とについて差分をとり、差分値が最も小さくなる補完画像を最も類似する画像として選択する処理として行われるので、画像選択部340によって行われる処理と、差分画像生成部360によって行われる処理とは、いずれも、対象画像Pと個々の補完画像とについて差分をとり、差分画像を生成する処理ということになる。したがって、実用上は、画像選択部340と差分画像生成部360とは統合するのが好ましい。
データ出力部370は、こうして得られた差分画像DDDと、画像入力部310が入力した参照画像Qもしくはその代替画像と、類似画像生成部330から与えられるシフト情報Shiftと、補完画像生成部350から与えられる充填規則Ruleと、を出力する処理を行う。なお、図示の例では、補完画像生成部350からデータ出力部370に対して3通りの充填規則Rule1〜3が与えられることになるが、データ出力部370は、画像選択部340から与えられる選択信号に基づいて、選択された補完画像QQQに対応する充填規則Ruleのみを出力することになる。
こうしてデータ出力部370から出力される差分画像DDD、参照画像Qもしくはその代替画像、シフト情報shift、充填規則Ruleが揃えば、これらに基づいて、元の対象画像Pを復元することができる。このような復元を行うための画像復元装置は、次の§6−4で述べる。
なお、§1で述べたとおり、実用上は、データ出力部370から出力されたデータに対してデータ圧縮処理を実行するデータ圧縮装置が付加され、時系列的に連続して与えられる複数の対象画像Pからなる動画データに対するデータ圧縮が行われることになる。
<6−4.変形例に係る画像復元装置>
続いて、図34のブロック図を参照しながら、本発明の変形例に係る画像復元装置400の基本構成を説明する。この画像復元装置400は、図33に示す差分画像作成装置300によって作成された差分画像DDDに基づいて、元の対象画像Pを復元する機能をもった装置であり、実際には、この画像復元装置400は、所定のプログラムが組み込まれたコンピュータもしくは所定の論理回路が組み込まれた集積回路によって構成される。
まず、データ入力部410は、図33に示す差分画像作成装置300のデータ出力部370から出力された差分画像DDDと、参照画像Qもしくはその代替画像と、シフト情報Shiftと、充填規則Ruleと、を入力する構成要素である。データ出力部370から出力されたデータに対してデータ圧縮処理が施されていた場合には、まず、データ入力部410の前段にデータ伸張装置を付加し、圧縮されたデータに対して、データ伸張処理を施す必要がある。
画像変換部420は、データ入力部410が入力したシフト情報Shiftおよび充填規則Ruleに基づいて、参照画像Qを補完画像QQQに変換する処理を行う。この処理の具体的な内容は、図31の右欄に示すとおりである。そして、対象画像復元部430は、画像変換部420から得られた補完画像QQQと、データ入力部410が入力した差分画像DDDとに基づいて、対象画像Pを復元する処理を行う。この処理は、図33に示す差分画像生成部360によって行われた差分演算に対する逆演算を行うことにより実施される。
100:差分画像作成装置
110:画像入力部
120:分割方法定義部
130:ブロック抽出部
140:類似ブロック画像探索部
150:単位処理領域定義部
160:補完ブロック画像生成部
170:差分ブロック画像生成部
180:画像選択部
190:データ出力部
200:画像復元装置
210:データ入力部
220:単位処理バッファ
230:ブロック画像変換部
240:対象ブロック画像復元部
300:差分画像作成装置
310:画像入力部
320:類似部分探索部
330:類似画像生成部
340:画像選択部
350:補完画像生成部
360:差分画像生成部
370:データ出力部
400:画像復元装置
410:データ入力部
420:画像変換部
430:対象画像復元部
Ad,Ap,Aq:各画像の着目画素
B11〜B45:個々のブロック
Bd:差分画像の青色画素値
Bp:対象画像の青色画素値
Bq:参照画像の青色画素値
C(1)〜C(3):圧縮画像
D:差分画像
D(2),D(3):差分画像
D(i,j):第i行第j列に位置する差分ブロック画像(動き補償の適用なし)
DD(i,j):第i行第j列に位置する差分ブロック画像(従来の動き補償適用)
DDD:差分画像
DDD(i,j):第i行第j列に位置する差分ブロック画像(本発明の動き補償適用)
DDD1(i,j)〜DDD7(i,j):差分ブロック画像(本発明の動き補償適用)
E:領域境界線
Eh:水平境界線
Ev:垂直境界線
F:ブロックの枠
F(1)〜F(3):フレーム単位の静止画像
Fp:対象画像Pのフレーム
Fq:参照画像Qのフレーム
Gd:差分画像の緑色画素値
Gp:対象画像の緑色画素値
Gq:参照画像の緑色画素値
H,H1,H2:境界近傍画素
I:1フレームの静止画像を構成するブロックの行数
i:ブロックの行番号
J:1フレームの静止画像を構成するブロックの列数
j:ブロックの列番号
k,k1,k2:画素番号
Li:第i番目のブロックライン
Li(P):第i番目のブロックライン内の部分対象画像
Mp:対象画像P内の動体
Mq:参照画像Q内の動体
m:1ブロックを構成する画素の行数
n:1ブロックを構成する画素の列数
P:対象画像
Pa:部分対象画像
P(i,j):第i行第j列に位置する対象ブロック画像
Q:参照画像
Qa:部分参照画像
Q(i,j):第i行第j列に位置する参照ブロック画像(同位参照ブロック画像)
QQ:類似画像
QQ(i,j):第i行第j列に位置する対象ブロック画像に対応する類似ブロック画像
QQQ,QQQ1〜QQQ3:補完画像
QQQ(i,j):第i行第j列に位置する対象ブロック画像に対応する補完ブロック画像
QQQ1(i,j)〜QQQ7(i,j):補完ブロック画像
Rd:差分画像の赤色画素値
Rp:対象画像の赤色画素値
Rq:参照画像の赤色画素値
Rule,Rule1〜3,Rules:充填規則
S:シフト方向
S1〜S29:流れ図の各ステップ
sel:選択信号
Shift,Shifts:シフト情報
Sp:対象画像P内の静止体
Sq:参照画像Q内の静止体
T,T1〜T7,Tα,Tβ,Tγ:コピーする方向
U1〜U6:充填用画像の画素行
V,Vα,Vβ,Vγ:空白領域
W:充填用画像
Δx:横方向シフト量
Δy:縦方向シフト量
φ:任意のダミー画素値

Claims (35)

  1. 与えられた対象画像について、参照画像を利用して差分画像を作成する方法であって、
    互いに同一のフレームサイズをもった対象画像および参照画像を入力する画像入力段階と、
    前記対象画像および前記参照画像をそれぞれ同一の分割方法によって複数のブロックに分割することにより、前記対象画像を複数の対象ブロックの集合体によって構成し、前記参照画像を複数の参照ブロックの集合体によって構成するブロック分割段階と、
    前記対象画像および前記参照画像について、同一の定義方法により、1つもしくは複数のブロックからなる所定領域を単位処理領域と定義する単位処理領域定義段階と、
    前記個々の対象ブロックに対して前記参照画像内の同じ位置に配置された同位参照ブロックを対応づけ、前記個々の対象ブロック内の対象ブロック画像について、前記参照画像のうちの、対応する同位参照ブロックの枠内もしくは当該枠を所定の態様でシフトした枠内の類似する画像として、類似ブロック画像を探索する類似ブロック画像探索段階と、
    前記類似ブロック画像について、前記同位参照ブロックが所属する単位処理領域の領域外の部分の画像情報を削除して空白領域とし、この空白領域に、所定の充填規則に基づいて生成した充填用画像を割り付けて補完することにより、補完ブロック画像を生成する補完ブロック画像生成段階と、
    個々の対象ブロック画像とこれに対応して生成された個々の補完ブロック画像との差分をとることにより、個々の差分ブロック画像を生成する差分ブロック画像生成段階と、
    前記個々の差分ブロック画像の集合体からなる差分画像と、前記参照画像もしくはその代替画像と、前記個々の類似ブロック画像を探索したときのシフトの態様を示す個々のシフト情報と、前記個々の補完ブロック画像を生成する際の個々の充填規則と、を出力するデータ出力段階と、
    を有することを特徴とする差分画像作成方法。
  2. 請求項1に記載の差分画像作成方法において、
    補完ブロック画像生成段階で、補完ブロック画像を生成する際に用いる充填規則として、空白領域の近傍に位置する単位処理領域内の画素の画素値に基づいて、充填用画像の画素の画素値を決定する規則を用いることを特徴とする差分画像作成方法。
  3. 請求項2に記載の差分画像作成方法において、
    補完ブロック画像生成段階で、補完ブロック画像を生成する際に用いる充填規則として、単位処理領域の領域内における、空白領域に接する境界近傍の画素の画素値を、空白領域内の画素にコピーするという規則を用い、充填用画像の画素の画素値を決定することを特徴とする差分画像作成方法。
  4. 請求項2または3に記載の差分画像作成方法において、
    補完ブロック画像生成段階で、複数N通りの充填規則に基づいて複数N通りの充填用画像を生成し、各充填用画像を空白領域に割り付けて補完することにより、複数N通りの補完ブロック画像を生成し、
    差分ブロック画像生成段階で、前記N通りの補完ブロック画像のうち、対象ブロック画像に最も類似する画像を選択し、対象ブロック画像と、選択された補完ブロック画像との差分をとることにより差分ブロック画像を生成し、
    データ出力段階で、選択された補完ブロック画像を生成する際の充填規則を出力することを特徴とする差分画像作成方法。
  5. 請求項4に記載の差分画像作成方法において、
    補完ブロック画像生成段階で、補完ブロック画像を生成する際に用いる充填規則として、単位処理領域の領域内における、空白領域に接する境界近傍の画素の画素値を、空白領域内の所定方向に位置する画素にコピーするという規則を用い、充填用画像の画素の画素値を決定し、コピーする方向を変えることにより、複数N通りの充填規則を設定することを特徴とする差分画像作成方法。
  6. 請求項4または5に記載の差分画像作成方法において、
    差分ブロック画像生成段階で、補完ブロック画像と対象ブロック画像とについて、それぞれ対応する画素の画素値の差の絶対値の合計値を求め、当該合計値が最も小さい補完ブロック画像を最も類似する画像として選択することを特徴とする差分画像作成方法。
  7. 請求項1に記載の差分画像作成方法において、
    補完ブロック画像生成段階で、補完ブロック画像を生成する際に用いる充填規則として、予め所定のダミー画素値を定めておき、充填用画像を構成する各画素に前記ダミー画素値を与えるという規則を用いることを特徴とする差分画像作成方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の差分画像作成方法において、
    ブロック分割段階で、縦方向にI分割、横方向にJ分割することにより、I行J列に配列されたI×J個のブロックを構成し、
    単位処理領域定義段階で、第i番目の行(1≦i≦I)に所属するJ個のブロックからなるブロックラインを単位処理領域とすることを特徴とする差分画像作成方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の差分画像作成方法において、
    類似ブロック画像探索段階で、同位参照ブロックの枠を予め定められた複数通りの態様でシフトさせ、対象ブロック画像と各態様でシフトさせた枠内の画像とをそれぞれ比較し、最も類似した画像を類似ブロック画像とすることを特徴とする差分画像作成方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の差分画像作成方法において、
    画像入力段階で、動画を構成する静止画像を時系列に従って順次入力し、第t番目の静止画像を対象画像、第(t−1)番目の静止画像を参照画像とすることを特徴とする差分画像作成方法。
  11. 請求項10に記載の差分画像作成方法において、
    類似ブロック画像探索段階で、時系列に従って順次入力した静止画像群に基づいて動画中の動体を認識し、この動体の移動方向および移動距離を考慮した位置に同位参照ブロックの枠をシフトさせ、類似ブロック画像の探索を行うことを特徴とする差分画像作成方法。
  12. 請求項10または11に記載の差分画像作成方法において、
    補完ブロック画像生成段階で、時系列に従って順次入力した静止画像群に基づいて動画中の動体を認識し、この動体の移動方向を考慮した充填規則に基づいて補完ブロック画像を生成することを特徴とする差分画像作成方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の差分画像作成方法によって作成された差分画像に基づいて、元の対象画像を復元する画像復元方法であって、
    データ出力段階で出力された差分画像と、参照画像もしくはその代替画像と、個々のシフト情報と、個々の充填規則と、を入力するデータ入力段階と、
    入力したデータの中から、第i番目(i=1,2,3,... )の単位処理領域に関するデータを抽出する単位処理データ抽出段階と、
    前記単位処理領域に関するデータの中から、第j番目(i=1,2,3,... )のブロックに関するデータを抽出するブロックデータ抽出段階と、
    第i番目の単位処理領域に所属する第j番目の参照ブロック内の画像を、当該ブロックについてのシフト情報および充填規則に基づいて、補完ブロック画像に変換するブロック画像変換段階と、
    第i番目の単位処理領域に所属する第j番目の差分ブロック画像と、これに対応する補完ブロック画像とに基づいて、第i番目の単位処理領域に所属する第j番目の対象ブロック画像を復元する対象ブロック画像復元段階と、
    を有し、単位処理領域の全ブロックについて、それぞれ対象ブロック画像を復元する処理を行い、これら対象ブロック画像の集合体として対象画像の少なくとも一部分の領域を復元することを特徴とする画像復元方法。
  14. 与えられた対象画像について、参照画像を利用して差分画像を作成する方法であって、
    互いに同一のフレームサイズをもった対象画像および参照画像を入力する画像入力段階と、
    前記対象画像の一部分を構成する部分対象画像について、同一サイズかつ類似している部分参照画像を前記参照画像内から探索する類似部分探索段階と、
    前記参照画像のフレーム内における前記部分参照画像の占有位置が、前記対象画像のフレーム内における前記部分対象画像の占有位置と同じになるように、前記部分参照画像をフレーム内で所定方向にシフトし、当該シフトにより画像情報が失われた部分を空白領域とする類似画像を生成する類似画像生成段階と、
    前記類似画像内の前記空白領域に、所定の充填規則に基づいて生成した充填用画像を割り付けて補完することにより、補完画像を生成する補完画像生成段階と、
    前記対象画像と前記補完画像との差分をとることにより差分画像を生成する差分画像生成段階と、
    前記差分画像と、前記参照画像もしくはその代替画像と、前記シフトの態様を示すシフト情報と、前記充填規則と、を出力するデータ出力段階と、
    を有することを特徴とする差分画像作成方法。
  15. 請求項14に記載の差分画像作成方法において、
    充填規則として、部分参照画像の、空白領域に接する境界近傍の画素の画素値に基づいて、充填用画像の画素の画素値を決定する規則を用いることを特徴とする差分画像作成方法。
  16. 請求項14または15に記載の差分画像作成方法において、
    補完画像生成段階で、複数N通りの充填規則に基づいて複数N通りの充填用画像を生成し、各充填用画像を空白領域に割り付けて補完することにより、複数N通りの補完画像を生成し、
    差分画像生成段階では、前記N通りの補完画像のうち、対象画像に最も類似する画像を選択し、対象画像と、選択された補完画像との差分をとることにより差分画像を生成することを特徴とする差分画像作成方法。
  17. 請求項14〜16のいずれかに記載の差分画像の作成方法によって作成された差分画像に基づいて、元の対象画像を復元する画像復元方法であって、
    データ出力段階で出力された差分画像と、参照画像もしくはその代替画像と、シフト情報と、充填規則と、を入力するデータ入力段階と、
    前記シフト情報および前記充填規則に基づいて、前記参照画像を補完画像に変換する画像変換段階と、
    前記補完画像と前記差分画像とに基づいて対象画像を復元する対象画像復元段階と、
    を有することを特徴とする画像復元方法。
  18. 請求項1〜12、14〜16のいずれかに記載の差分画像作成方法によって作成された差分画像に対して、データ圧縮処理を施してデータ圧縮を行うことを特徴とする画像データの圧縮方法。
  19. 請求項18に記載の画像データの圧縮方法により圧縮されたデータに対して、データ伸張処理を施して差分画像を復元し、更に、この差分画像に基づいて、請求項13もしくは17に記載の画像復元方法を行うことにより対象画像を復元することを特徴とする画像データの伸張方法。
  20. 請求項1〜12、14〜16のいずれかに記載の差分画像作成方法、または、請求項13もしくは17に記載の画像復元方法をコンピュータに実行させるプログラム。
  21. 請求項1〜12、14〜16のいずれかに記載の差分画像作成方法、または、請求項13もしくは17に記載の画像復元方法を実行する論理回路が組み込まれた集積回路。
  22. 与えられた対象画像について、参照画像を利用して差分画像を作成する装置であって、
    互いに同一のフレームサイズをもった対象画像および参照画像を入力する画像入力部と、
    前記対象画像を複数の対象ブロックの集合体によって構成し、前記参照画像を複数の参照ブロックの集合体によって構成することができるように、前記対象画像および前記参照画像をそれぞれ同一の態様で分割する分割方法を定義する分割方法定義部と、
    前記対象画像および前記参照画像について、同一の定義方法により、1つもしくは複数のブロックからなる所定領域を単位処理領域と定義する単位処理領域定義部と、
    前記分割方法定義部によって定義された分割方法により前記対象画像を分割し、個々の対象ブロックを抽出するブロック抽出部と、
    前記個々の対象ブロックに対して前記参照画像内の同じ位置に配置された同位参照ブロックを対応づけ、前記個々の対象ブロック内の対象ブロック画像について、前記参照画像のうちの、対応する同位参照ブロックの枠内もしくは当該枠を所定の態様でシフトした枠内の類似する画像として、類似ブロック画像を探索する類似ブロック画像探索部と、
    前記類似ブロック画像について、前記同位参照ブロックが所属する単位処理領域の領域外の部分の画像情報を削除して空白領域とし、この空白領域に、所定の充填規則に基づいて生成した充填用画像を割り付けて補完することにより、補完ブロック画像を生成する補完ブロック画像生成部と、
    個々の対象ブロック画像とこれに対応して生成された個々の補完ブロック画像との差分をとることにより、個々の差分ブロック画像を生成する差分ブロック画像生成部と、
    前記個々の差分ブロック画像の集合体からなる差分画像と、前記参照画像もしくはその代替画像と、前記個々の類似ブロック画像を探索したときのシフトの態様を示す個々のシフト情報と、前記個々の補完ブロック画像を生成する際の個々の充填規則と、を出力するデータ出力部と、
    を備えることを特徴とする差分画像作成装置。
  23. 請求項22に記載の差分画像作成装置において、
    補完ブロック画像生成部が、複数N通りの充填規則に基づいて複数N通りの充填用画像を生成し、各充填用画像を空白領域に割り付けて補完することにより、複数N通りの補完ブロック画像を生成し、
    差分ブロック画像生成部が、1つの対象ブロック画像について、前記N通りの補完ブロック画像のそれぞれを用いてN通りの差分ブロック画像を生成し、
    前記N通りの差分ブロック画像のうち、個々の画素のもつ差分値の絶対値の総和が最も小さい差分ブロック画像を選択する画像選択部を更に設け、
    データ出力部が、選択された差分ブロック画像の集合体により差分画像を構成し、これを出力することを特徴とする差分画像作成装置。
  24. 請求項23に記載の差分画像作成装置において、
    補完ブロック画像生成部が、補完ブロック画像を生成する際に用いる充填規則として、単位処理領域の領域内における、空白領域に接する境界近傍の画素の画素値を、空白領域内の所定方向に位置する画素にコピーするという規則を用い、充填用画像の画素の画素値を決定し、コピーする方向を変えることにより、複数N通りの充填規則を設定することを特徴とする差分画像作成装置。
  25. 請求項22〜24のいずれかに記載の差分画像作成装置において、
    分割方法定義部が、縦方向にI分割、横方向にJ分割することにより、I行J列に配列されたI×J個のブロックが構成されるような分割方法を定義し、
    単位処理領域定義部が、第i番目の行(1≦i≦I)に所属するJ個のブロックからなるブロックラインを単位処理領域とする定義を行うことを特徴とする差分画像作成装置。
  26. 請求項22〜25のいずれかに記載の差分画像作成装置において、
    類似ブロック画像探索部が、同位参照ブロックの枠を予め定められた複数通りの態様でシフトさせ、対象ブロック画像と各態様でシフトさせた枠内の画像とをそれぞれ比較し、最も類似した画像を類似ブロック画像とすることを特徴とする差分画像作成装置。
  27. 請求項22〜26のいずれかに記載の差分画像作成装置によって作成された差分画像に基づいて、少なくとも特定の単位処理領域内の部分対象画像を復元する画像復元装置であって、
    データ出力部から出力された差分画像と、参照画像もしくはその代替画像と、個々のシフト情報と、個々の充填規則と、を入力するデータ入力部と、
    入力したデータの中から、前記特定の単位処理領域に関するデータを抽出して、これを格納する単位処理バッファと、
    前記単位処理バッファから、第j番目(i=1,2,3,... )の参照ブロックおよび必要に応じてこれに隣接する参照ブロック内の画像と、当該第j番目の参照ブロックについてのシフト情報および充填規則とを読み出し、読み出したシフト情報および充填規則に基づいて、読み出した参照ブロック内の画像を第j番目の補完ブロック画像に変換するブロック画像変換部と、
    前記単位処理バッファから読み出した第j番目の差分ブロック画像と、前記ブロック画像変換部によって変換された前記第j番目の補完ブロック画像とに基づいて、第j番目の対象ブロック画像を復元する対象ブロック画像復元部と、
    を備え、前記対象ブロック画像復元部から、前記特定の単位処理領域に所属する対象ブロック画像を順次出力することにより、前記特定の単位処理領域内の部分対象画像を復元することを特徴とする画像復元装置。
  28. 与えられた対象画像について、参照画像を利用して差分画像を作成する装置であって、
    互いに同一のフレームサイズをもった対象画像および参照画像を入力する画像入力部と、
    前記対象画像の一部分を構成する部分対象画像について、同一サイズかつ類似している部分参照画像を前記参照画像内から探索する類似部分探索部と、
    前記参照画像のフレーム内における前記部分参照画像の占有位置が、前記対象画像のフレーム内における前記部分対象画像の占有位置と同じになるように、前記部分参照画像をフレーム内で所定方向にシフトし、当該シフトにより画像情報が失われた部分を空白領域とする類似画像を生成する類似画像生成部と、
    前記類似画像内の前記空白領域に、所定の充填規則に基づいて生成した充填用画像を割り付けて補完することにより、補完画像を生成する補完画像生成部と、
    前記対象画像と前記補完画像との差分をとることにより差分画像を生成する差分画像生成部と、
    前記差分画像と、前記参照画像もしくはその代替画像と、前記シフトの態様を示すシフト情報と、前記充填規則と、を出力するデータ出力部と、
    を備えることを特徴とする差分画像作成装置。
  29. 請求項28に記載の差分画像作成装置において、
    補完画像生成部が、充填規則として、部分参照画像の、空白領域に接する境界近傍の画素の画素値に基づいて、充填用画像の画素の画素値を決定する規則を用いることを特徴とする差分画像作成装置。
  30. 請求項28または29に記載の差分画像作成装置において、
    補完画像生成部が、複数N通りの充填規則に基づいて複数N通りの充填用画像を生成し、各充填用画像を空白領域に割り付けて補完することにより、複数N通りの補完画像を生成し、
    前記N通りの補完画像のうち、対象画像に最も類似する画像を選択する画像選択部を更に備え、
    差分画像生成部が、対象画像と、選択された補完画像との差分をとることにより差分画像を生成することを特徴とする差分画像作成装置。
  31. 請求項28〜30のいずれかに記載の差分画像の作成装置によって作成された差分画像に基づいて、元の対象画像を復元する画像復元装置であって、
    データ出力部から出力された差分画像と、参照画像もしくはその代替画像と、シフト情報と、充填規則と、を入力するデータ入力部と、
    前記シフト情報および前記充填規則に基づいて、前記参照画像を補完画像に変換する画像変換部と、
    前記補完画像と前記差分画像とに基づいて対象画像を復元する対象画像復元部と、
    を備えることを特徴とする画像復元装置。
  32. 請求項22〜26、28〜30のいずれかに記載の差分画像作成装置に、この差分画像作成装置によって作成された差分画像に対してデータ圧縮処理を施すデータ圧縮部を付加することにより構成されることを特徴とする画像データの圧縮装置。
  33. 請求項32に記載の画像データの圧縮装置により圧縮されたデータに対して、データ伸張処理を施して差分画像を復元するデータ伸張部と、請求項27もしくは31に記載の画像復元装置とを備え、前記差分画像に基づいて、前記画像復元装置による画像復元を行うことを特徴とする画像データの伸張装置。
  34. 請求項22〜26、28〜30のいずれかに記載の差分画像作成装置、または、請求項27もしくは31に記載の画像復元装置としてコンピュータを機能させるプログラム。
  35. 請求項22〜26、28〜30のいずれかに記載の差分画像作成装置、または、請求項27もしくは31に記載の画像復元装置として機能する論理回路が組み込まれた集積回路。
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