JP2014084232A - 球状水酸アパタイト及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】適切な粒子径を有する略球状であって且つ高い比表面積を有する球状水酸アパタイト及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、2以上のカルボキシル基を有する有機酸,カルシウム化合物,リン化合物,及び尿素を含む水溶液を70℃以上且つ前記水溶液の沸点未満の温度で保温し、均一沈殿法により水酸アパタイトの粒子を沈殿させることを特徴とする球状水酸アパタイトの製造方法である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、2以上のカルボキシル基を有する有機酸,カルシウム化合物,リン化合物,及び尿素を含む水溶液を70℃以上且つ前記水溶液の沸点未満の温度で保温し、均一沈殿法により水酸アパタイトの粒子を沈殿させることを特徴とする球状水酸アパタイトの製造方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、球状水酸アパタイト及びその製造方法に関する。
水酸アパタイトは、生体硬組織を構成する無機成分と極めて近い化学組成を持ち、優れた生体適合性を有する。また、水酸アパタイトは、タンパク質、核酸、細胞などの生理活性物質の吸着剤としても有用である。このため、水酸アパタイトは、生体活性物質を分離するための高速液体クロマトグラフィーのカラムやウィルス吸着用のフィルターなどとしてよく使用されている。
例えば、特許文献1には、吸着材として使用できる程度の大きさの比表面積を有する多孔質な水酸アパタイトが開示されている。
また、水酸アパタイトは、生体親和性が高いため、人工歯根や人工骨などのインプラント材料としても使用される(例えば特許文献2参照)。
例えば、特許文献1には、吸着材として使用できる程度の大きさの比表面積を有する多孔質な水酸アパタイトが開示されている。
また、水酸アパタイトは、生体親和性が高いため、人工歯根や人工骨などのインプラント材料としても使用される(例えば特許文献2参照)。
クロマトグラフィーカラムに水酸アパタイトを充填する場合、カラムの連通性を保つために、適切な粒子径(例えば5μm以上20μm以下)を有する球状の充填剤が望ましい。また、分離効率を向上させるために、より高い比表面積の水酸アパタイトが必要とされている。
しかしながら、特許文献1,2に記載の水酸アパタイトや公知の製造方法(例えば二段階リン酸反応法、擬似体液析出法、スプレードライ法、及び水熱処理法)によって製造された水酸アパタイトでは、平均粒子径の制御はできるが、適切な粒子形状と高い比表面積とを兼ね備えた水酸アパタイトとすることは困難であった。また、前記公知の製造方法によって製造された水酸アパタイトの粒子径分布は広く、平均粒子径を所定の大きさに制御したとしても、平均粒子径に満たない微小の粒子によってカラムが詰まる可能性があるという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、適切な粒子径を有する略球状であって且つ高い比表面積を有する球状水酸アパタイト及びその製造方法を提供することである。
なお、本明細書において、特に指定しない限り“球状”とは後述するアスペクト比が1.0〜1.1の範囲に属する形状であって、かつ全体として曲面により外形が規定されている形状のことを指し、“略球状”とはアスペクト比が1.0〜1.4の範囲に属する形状であって、かつ全体として曲面により外形が規定されている形状のことを指すが、”球状水酸アパタイト”と称した場合には前記“略球状”の水酸アパタイトも包含するものとする。
なお、本明細書において、特に指定しない限り“球状”とは後述するアスペクト比が1.0〜1.1の範囲に属する形状であって、かつ全体として曲面により外形が規定されている形状のことを指し、“略球状”とはアスペクト比が1.0〜1.4の範囲に属する形状であって、かつ全体として曲面により外形が規定されている形状のことを指すが、”球状水酸アパタイト”と称した場合には前記“略球状”の水酸アパタイトも包含するものとする。
発明者らは、球状水酸アパタイトを得る原料及び反応条件を鋭意検討した結果、2以上のカルボキシル基を有する有機酸を用いた場合に、特に優れた結果が得られることを見いだし、本発明を完成した。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、2以上のカルボキシル基を有する有機酸,カルシウム化合物,リン化合物,及び尿素を含む水溶液を70℃以上且つ前記水溶液の沸点未満の温度で保温し、均一沈殿法により水酸アパタイトの粒子を沈殿させることを特徴とする球状水酸アパタイトの製造方法である。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、2以上のカルボキシル基を有する有機酸,カルシウム化合物,リン化合物,及び尿素を含む水溶液を70℃以上且つ前記水溶液の沸点未満の温度で保温し、均一沈殿法により水酸アパタイトの粒子を沈殿させることを特徴とする球状水酸アパタイトの製造方法である。
また、本発明の球状水酸アパタイトの製造方法は、前記水溶液を保温する工程において、70℃以上90℃以下の範囲に前記水溶液の温度を保ち前記水溶液を静置することを特徴とする。
また、本発明の球状水酸アパタイトの製造方法は、前記有機酸が、コハク酸,クエン酸,及びリンゴ酸のうちの少なくとも1つから選択されることを特徴とする。
また、本発明の球状水酸アパタイトの製造方法は、前記カルシウム化合物中のカルシウムと前記リン化合物中のリンのモル比が1.33〜2.00の範囲であることを特徴とする。
また、本発明の球状水酸アパタイトの製造方法は、前記カルシウム化合物が硝酸カルシウム四水和物であり、前記リン化合物がリン酸であることを特徴とする。
また、本発明の球状水酸アパタイトの製造方法は、前記有機酸がクエン酸であり、前記カルシウム硝酸カルシウム四水和物であり、前記水溶液中において、前記尿素の濃度/前記有機酸の濃度が1倍以上90倍以下であって且つ前記硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.001 mol/dm3以上0.03 mol/dm3以下、または、前記尿素の濃度/前記有機酸の濃度が20倍以上120倍以下であって且つ前記硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.06 mol/dm3以上0.16 mol/dm3以下であることを特徴とする。
本発明の別の態様は、最大外径と最小外径との比が1.0〜1.4である略球状の外形形状を有し、低結晶性水酸アパタイトの単一相からなることを特徴とする球状水酸アパタイトである。
また、本発明の球状水酸アパタイトは、5m2/g以上180m2/g以下の比表面積を有することを特徴とする。
また、本発明の球状水酸アパタイトは、0.5μm以上50μm以下の平均粒子径を有することを特徴とする。
本発明の球状水酸アパタイトは、粒子径のばらつきが少ない略球状の粒子であり、且つ高い比表面積を有する。
本発明の球状水酸アパタイトの製造方法によれば、水酸アパタイト粒子の形状を略球状とすることができ、且つ、比表面積を高めることができる。
本発明の球状水酸アパタイトの製造方法によれば、水酸アパタイト粒子の形状を略球状とすることができ、且つ、比表面積を高めることができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の球状水酸アパタイトおよびその製造方法について説明する。
まず、本実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法について説明する。図1は、本実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法を説明するための図である。
本発明の第1実施形態の球状水酸アパタイトおよびその製造方法について説明する。
まず、本実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法について説明する。図1は、本実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法を説明するための図である。
まず、メスアップ後のリン化合物および有機酸の濃度が所望の濃度となるように秤量したリン化合物(図1においてはオルトリン酸)と有機酸とを純水約50cm3に溶解させ、水溶液Aを調製する。
リン化合物としては、リン酸イオンを含む化合物であれば特に限定されないが、リン酸(オルトリン酸)、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム等が挙げられ、混合水溶液を調製する際にpHの調整が不要となる観点からは、リン酸が特に好ましい。
有機酸は、2以上のカルボキシル基を有していることが好ましい。前記2以上のカルボキシル基を有する有機酸としては、2以上のカルボキシル基を有する有機酸であれば特に限定されないが、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸等が挙げられる。なお、カルボキシル基を1つ有する有機酸(例えば酢酸)を使用すると、生成物は、水酸アパタイトの単一相からなるが、本明細書で定義する略球状(最大外径と最小外径との比が1.0〜1.4)にはなりにくい。
次に、メスアップ後のカルシウム化合物の濃度が所望の濃度となるように秤量したカルシウム化合物(図1においては硝酸カルシウム四水和物)を純水約50cm3に溶解させ、水溶液Bを調製する。
カルシウム化合物としては、カルシウムを含む化合物であれば特に限定されないが、硝酸カルシウム四水和物、塩化カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられ、溶解性の点からは硝酸カルシウム四水和物が特に好ましい。
次に、メスアップ後の尿素の濃度が所望の濃度となるように秤量した尿素を純水約50cm3に溶解させ、水溶液Cを調製する。
前記水溶液Aに前記水溶液Bを加え、次いで前記水溶液Cを加えてメスフラスコを用いて純水で250cm3にメスアップした混合水溶液を調製する。
前記硝酸カルシウム四水和物のカルシウムと、前記リン酸中のリンのモル比は、アパタイトの前駆体のリン酸八カルシウムおよびリン酸四カルシウムの化学量論比を考慮した1.33-2.00の範囲であることが好ましく、リン酸カルシウムの化学量論比を考慮した1.50-1.80の範囲であることがより好ましく、水酸ハイドロキシアパタイトの化学量論比である1.67であることが最も好ましい。
また、リン化合物としてリン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウムを用いる場合には、溶解度の低いものから順に添加することが好ましい。一方、リン化合物としてリン酸を用いる場合には、添加順を考慮せずに用いることが可能である。
前記混合水溶液200cm3をガラス製平底フラスコ(容積250cm3)、またはナス型フラスコ(容積300cm3)に移し、オイルバス (IKA製HBR 4デジタルヒーティングバス) 中で加熱する (加熱条件60~98 ℃,1~72 h)。なお、このときの温度は、フラスコ内に設置した温度計により測定している。得られた生成物を濾過・洗浄し、110℃,24 hで乾燥することによって球状水酸アパタイトを得る。
リン化合物としては、リン酸イオンを含む化合物であれば特に限定されないが、リン酸(オルトリン酸)、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム等が挙げられ、混合水溶液を調製する際にpHの調整が不要となる観点からは、リン酸が特に好ましい。
有機酸は、2以上のカルボキシル基を有していることが好ましい。前記2以上のカルボキシル基を有する有機酸としては、2以上のカルボキシル基を有する有機酸であれば特に限定されないが、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸等が挙げられる。なお、カルボキシル基を1つ有する有機酸(例えば酢酸)を使用すると、生成物は、水酸アパタイトの単一相からなるが、本明細書で定義する略球状(最大外径と最小外径との比が1.0〜1.4)にはなりにくい。
次に、メスアップ後のカルシウム化合物の濃度が所望の濃度となるように秤量したカルシウム化合物(図1においては硝酸カルシウム四水和物)を純水約50cm3に溶解させ、水溶液Bを調製する。
カルシウム化合物としては、カルシウムを含む化合物であれば特に限定されないが、硝酸カルシウム四水和物、塩化カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられ、溶解性の点からは硝酸カルシウム四水和物が特に好ましい。
次に、メスアップ後の尿素の濃度が所望の濃度となるように秤量した尿素を純水約50cm3に溶解させ、水溶液Cを調製する。
前記水溶液Aに前記水溶液Bを加え、次いで前記水溶液Cを加えてメスフラスコを用いて純水で250cm3にメスアップした混合水溶液を調製する。
前記硝酸カルシウム四水和物のカルシウムと、前記リン酸中のリンのモル比は、アパタイトの前駆体のリン酸八カルシウムおよびリン酸四カルシウムの化学量論比を考慮した1.33-2.00の範囲であることが好ましく、リン酸カルシウムの化学量論比を考慮した1.50-1.80の範囲であることがより好ましく、水酸ハイドロキシアパタイトの化学量論比である1.67であることが最も好ましい。
また、リン化合物としてリン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウムを用いる場合には、溶解度の低いものから順に添加することが好ましい。一方、リン化合物としてリン酸を用いる場合には、添加順を考慮せずに用いることが可能である。
前記混合水溶液200cm3をガラス製平底フラスコ(容積250cm3)、またはナス型フラスコ(容積300cm3)に移し、オイルバス (IKA製HBR 4デジタルヒーティングバス) 中で加熱する (加熱条件60~98 ℃,1~72 h)。なお、このときの温度は、フラスコ内に設置した温度計により測定している。得られた生成物を濾過・洗浄し、110℃,24 hで乾燥することによって球状水酸アパタイトを得る。
具体的には、本実施形態では、混合水溶液を、70℃以上且つ混合水溶液の沸点以下(例えば、98℃)の温度で保温する。
混合水溶液の温度が70℃以上であると、加水分解反応が好適に進む。また、混合水溶液の温度が混合水溶液の沸点以下であると、沸騰によって生じる気泡が混合水溶液の自然対流を阻害することを防止できる。
混合水溶液を保温する温度は、例えば、70℃以上90℃以下とすることができる。さらに、混合水溶液を保温するときには、70℃、80℃、90℃等、70℃以上且つ混合水溶液の沸点以下の温度の範囲において一定の温度で保温してよい。混合水溶液を一定温度で保温するための手段は特に限定されないが、たとえばオイルバスなどの装置を用いてもよい。また、混合水溶液の加温のためにマイクロ波照射装置を用いてもよい。
混合水溶液を保温する温度は、例えば、70℃以上90℃以下とすることができる。さらに、混合水溶液を保温するときには、70℃、80℃、90℃等、70℃以上且つ混合水溶液の沸点以下の温度の範囲において一定の温度で保温してよい。混合水溶液を一定温度で保温するための手段は特に限定されないが、たとえばオイルバスなどの装置を用いてもよい。また、混合水溶液の加温のためにマイクロ波照射装置を用いてもよい。
混合水溶液を保温する時間は、1時間以上であればよい。例えば、混合水溶液を24時間,72時間,あるいは1週間保温してもよい。なお、混合水溶液を保温する時間が24時間以上72時間以下であると、球状水酸アパタイトの製造効率がよい。混合水溶液を保温している間に、混合水溶液中には球状水酸アパタイトの沈殿物が生じる。すなわち、本第1実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法は、リン酸,クエン酸,硝酸カルシウム四水和物,及び尿素が混合された水溶液による均一沈殿法である。
ここで、均一沈殿法とは、均一な水溶液から均質な沈殿物を得る方法のことを言う。本発明においては、沈殿剤の尿素の加水分解反応によって、反応溶液のpHが酸性からアルカリ性へシフトし、球状水酸アパタイトが沈殿する。さらに、水溶液内のカルシウムイオン、リン酸イオンおよび尿素の濃度はどの部分でも同じであることから、反応系内の温度管理を精密に行うことにより、この沈殿生成を溶液内のどの場所でも均一に起こすことが可能となる。
ここで、均一沈殿法とは、均一な水溶液から均質な沈殿物を得る方法のことを言う。本発明においては、沈殿剤の尿素の加水分解反応によって、反応溶液のpHが酸性からアルカリ性へシフトし、球状水酸アパタイトが沈殿する。さらに、水溶液内のカルシウムイオン、リン酸イオンおよび尿素の濃度はどの部分でも同じであることから、反応系内の温度管理を精密に行うことにより、この沈殿生成を溶液内のどの場所でも均一に起こすことが可能となる。
球状水酸アパタイトの沈殿物が混合水溶液中に生じたら、ろ過により球状水酸アパタイトを混合水溶液から分離し、洗浄及び乾燥を行なって粉末状とする。
これで球状水酸アパタイトの粉体が出来上がる。
これで球状水酸アパタイトの粉体が出来上がる。
得られた球状水酸アパタイトの評価・分析は次の手法により行った。
XRD解析:粉末X線回折法 (Powder X-ray diffractometry:XRD) により合成した粉体の結晶相を同定した。測定は理学電機製 MiniFlex型X線回折装置を用いて行なった。
(測定条件)
対陰極:Cu
電圧:30 kV
電流:15 mA
走査範囲 2θ:3 〜 55 °
ゴニオメータ回転速度:4 °・min-1
サンプリング幅:0.02 °
XRD解析:粉末X線回折法 (Powder X-ray diffractometry:XRD) により合成した粉体の結晶相を同定した。測定は理学電機製 MiniFlex型X線回折装置を用いて行なった。
(測定条件)
対陰極:Cu
電圧:30 kV
電流:15 mA
走査範囲 2θ:3 〜 55 °
ゴニオメータ回転速度:4 °・min-1
サンプリング幅:0.02 °
SEM観察:合成粉体の粒子形態を走査型電子顕微鏡法 (SEM) を用いて観察した。装置は日本電子社製 JSM6390LA 走査型電子顕微鏡を用い、加速電圧は10 kVとした。
試料は日進EM製のカーボンテープを用い、アルミニウム製試料台に貼り付け、日本電子社製 JFC-1600 AUTO FINE COATERを用いて白金 (Pt)を蒸着し、これを観察試料とした。
試料は日進EM製のカーボンテープを用い、アルミニウム製試料台に貼り付け、日本電子社製 JFC-1600 AUTO FINE COATERを用いて白金 (Pt)を蒸着し、これを観察試料とした。
FT−IRスペクトル測定:フーリエ変換赤外分光法 (FT-IR) を用い、球状水酸アパタイトの赤外吸収スペクトルを測定した。装置は島津製作所製フーリエ変換赤外分光光度計 (IRPrestige-21)を用いた。
(測定条件)
測定モード :%Transmittance
アポダイズ関数 :Happ-Genzel
積算回数 :40回
分解能 :4 cm-1
測定範囲 :400〜 4000 cm-1
(測定条件)
測定モード :%Transmittance
アポダイズ関数 :Happ-Genzel
積算回数 :40回
分解能 :4 cm-1
測定範囲 :400〜 4000 cm-1
比表面積測定:得られた球状水酸アパタイトの比表面積をBET (Burnauer-Emmett- Teller) 法より測定した。測定装置は島津製作所製流動式比表面積自動測定装置Micromeritics FlowSorb III2305を用いた。測定に用いるサンプルは約0.2 gとし、吸着ガスに28.7%窒素、71.3%ヘリウムの混合ガスを用いた。
粒子径測定:得られた球状水酸アパタイトの平均粒子径(メジアン径)および粒子径分布を、HORIBA LASER SCATTERING PARTICLE SIZE DISTRIBUTION ANALYZER LA-3000を用いて測定した。分散溶媒には純水を用いた。
(測定条件)
レーザー透過率: 91 %
超音波分散時間: 5分間
(測定条件)
レーザー透過率: 91 %
超音波分散時間: 5分間
アスペクト比の測定:SEM画像から任意の粒子10個を選択し、その長軸と短軸の長さを測り、10回の測定の平均をアスペクト比とした。
次に、上記製造方法によって製造された球状水酸アパタイトの構成について説明する。
本第1実施形態の製造方法によって製造された球状水酸アパタイトは、最小外径を分母とする最大外径と最小外径との比率(以下、「アスペクト比」と称する。)が1.0〜1.4である略球状の外形形状を有し、低結晶性水酸アパタイトの単一相からなる。
また、本第1実施形態の製造方法によって製造された球状水酸アパタイトの平均粒子径も、混合水溶液の組成に応じて定まり、0.5μm以上50μm以下のものを得ることが可能であるが、実用上は5μm以上45μm以下であることが好ましく、10μm以上40μm以下が充填剤として特に好ましい。
また、本第1実施形態の製造方法によって製造された球状水酸アパタイトの比表面積は、混合水溶液の組成に応じて定まり、5m2/g以上180m2/g以下のものを得ることが可能であるが、実用上は30m2/g以上170m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上150m2/g以下であると、吸着剤として特に好ましい。
例えば、比表面積100m2/g以上を有する球状水酸アパタイトは、下記表1にNo.1,2,3に示す組成の混合水溶液を90℃で24時間保温する均一沈殿法により得られる。
本第1実施形態の製造方法によって製造された球状水酸アパタイトは、最小外径を分母とする最大外径と最小外径との比率(以下、「アスペクト比」と称する。)が1.0〜1.4である略球状の外形形状を有し、低結晶性水酸アパタイトの単一相からなる。
また、本第1実施形態の製造方法によって製造された球状水酸アパタイトの平均粒子径も、混合水溶液の組成に応じて定まり、0.5μm以上50μm以下のものを得ることが可能であるが、実用上は5μm以上45μm以下であることが好ましく、10μm以上40μm以下が充填剤として特に好ましい。
また、本第1実施形態の製造方法によって製造された球状水酸アパタイトの比表面積は、混合水溶液の組成に応じて定まり、5m2/g以上180m2/g以下のものを得ることが可能であるが、実用上は30m2/g以上170m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上150m2/g以下であると、吸着剤として特に好ましい。
例えば、比表面積100m2/g以上を有する球状水酸アパタイトは、下記表1にNo.1,2,3に示す組成の混合水溶液を90℃で24時間保温する均一沈殿法により得られる。
図2は、上記表1におけるNo.1の球状水酸アパタイトのSEM写真である。図3は、上記表1におけるNo.2の球状水酸アパタイトのSEM写真である。図4は、上記表1におけるNo.3の球状水酸アパタイトのSEM写真である。
上記表1及び図2ないし図4に示すように、上記表1におけるNo.1ないしNo.3の球状水酸アパタイトは、アスペクト比が1.0〜1.4である略球状ということができる。さらに上記表1におけるNo.1ないしNo.3の球状水酸アパタイトは、アスペクト比が1.0〜1.1の範囲に属しており、本明細書において定義された球状である。
上記表1及び図2ないし図4に示すように、上記表1におけるNo.1ないしNo.3の球状水酸アパタイトは、アスペクト比が1.0〜1.4である略球状ということができる。さらに上記表1におけるNo.1ないしNo.3の球状水酸アパタイトは、アスペクト比が1.0〜1.1の範囲に属しており、本明細書において定義された球状である。
図5は、上記表1におけるNo.1ないしNo.3の水酸アパタイトに対してXRD解析をした結果を示す図であり、(a)は上記表1におけるNo.1、(b)は上記表1におけるNo.2、(c)は上記表1におけるNo.3の結果を示す。
上記No.1ないしNo.3に示した球状水酸アパタイトは、図5に示すように、水酸アパタイトの単一相からなる。
上記No.1ないしNo.3に示した球状水酸アパタイトは、図5に示すように、水酸アパタイトの単一相からなる。
図6は、上記表1におけるNo.1ないしNo.3の水酸アパタイトのFT−IRスペクトルを示す図であり、(a)は上記表1におけるNo.1、(b)は上記表1におけるNo.2、(c)は上記表1におけるNo.3の結果を示す。
上記No.1ないしNo.3に示した球状水酸アパタイトは、図6に示すように、O-Hの伸縮振動に基づく吸収が3600cm-1付近に、H-O-Hの変角振動に基づく吸収が1660cm-1付近に認められた。また、1100~960cm-1、600および560cm-1 付近にリン酸基(PO4 3-)に基づく吸収が認められた。さらに、1551,1455,1430,880cm-1および864cm-1付近に炭酸基(CO3 2-)に基づく吸収も見られた。
上記No.1ないしNo.3に示した球状水酸アパタイトは、図6に示すように、O-Hの伸縮振動に基づく吸収が3600cm-1付近に、H-O-Hの変角振動に基づく吸収が1660cm-1付近に認められた。また、1100~960cm-1、600および560cm-1 付近にリン酸基(PO4 3-)に基づく吸収が認められた。さらに、1551,1455,1430,880cm-1および864cm-1付近に炭酸基(CO3 2-)に基づく吸収も見られた。
図7は、上記表1におけるNo.1ないしNo.3の水酸アパタイトの粒子径と頻度を示す図であり、(a)は上記表1におけるNo.1、(b)は上記表1におけるNo.2、(c)は上記表1におけるNo.3の結果を示す。
上記No.1ないしNo.3に示した球状水酸アパタイトは、図7に示すように粒子径がメジアン径の近傍の範囲に集まった粒子径分布を示している。具体的には、上記No.1ないしNo.3は、粒子径分布幅が平均粒子径の0.3倍以上3.3倍以下の範囲にあり、粒子径分布幅が狭いと言える。
上記No.1ないしNo.3に示した球状水酸アパタイトは、図7に示すように粒子径がメジアン径の近傍の範囲に集まった粒子径分布を示している。具体的には、上記No.1ないしNo.3は、粒子径分布幅が平均粒子径の0.3倍以上3.3倍以下の範囲にあり、粒子径分布幅が狭いと言える。
以上説明したように、本第1実施形態の球状水酸アパタイトは、適切な粒子径を有する略球状であって且つ高い比表面積を有する。
また、本実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法によれば、略球状に形成された、比表面積が大きな球状水酸アパタイトを効率よく製造することができる。
また、本実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法によれば、略球状に形成された、比表面積が大きな球状水酸アパタイトを効率よく製造することができる。
なお、従来の二段階リン酸化反応法と擬似体液析出法では、比表面積が高い(100m2/g程度)粒子を得ることができるが、生成物の粒子径が小さく(例えば数百nmから数μm程度)、カラムに充填して用いる吸着材として使用しにくい。また、従来のスプレードライ法と水熱処理法では、生成物の粒子径を数マイクロメートルから数百マイクロメートルの範囲で制御することができるが、比表面積を高めることが難しい。
これに対して、本実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法では、生成物の粒子径の制御が容易であり、また比表面積を高めることもできる。
これに対して、本実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法では、生成物の粒子径の制御が容易であり、また比表面積を高めることもできる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の球状水酸アパタイトおよびその製造方法について説明する。なお、以下の各実施形態において、上述の第1実施形態と同様の工程及び構成については、同一の参照符号を付すことにより重複する説明を省略する。
本第2実施形態では、上述の第1実施形態に対して、クエン酸に代えてコハク酸を使用する点が異なっている。
次に、本発明の第2実施形態の球状水酸アパタイトおよびその製造方法について説明する。なお、以下の各実施形態において、上述の第1実施形態と同様の工程及び構成については、同一の参照符号を付すことにより重複する説明を省略する。
本第2実施形態では、上述の第1実施形態に対して、クエン酸に代えてコハク酸を使用する点が異なっている。
本第2実施形態の製造方法において使用する混合水溶液の組成の一例としては、例えば、硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.0167mol/dm3、リン酸の濃度が0.01mol/dm3、尿素の濃度が0.5mol/dm3、コハク酸の濃度が0.100mol/dm3が挙げられる。
混合水溶液は90℃で24時間あるいは72時間保温される。
このような構成であっても上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
混合水溶液は90℃で24時間あるいは72時間保温される。
このような構成であっても上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
図8は、本第2実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法により製造された球状水酸アパタイトに対するXRD解析をした結果を示す図である。図9は、本第2実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法により製造された球状水酸アパタイトを示すSEM写真である。
図8に示すように、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、水酸アパタイトの単一相からなる生成物が得られた。
また、図9に示すように、生成物の形状は、本明細書で定義する略球状をなしている。
よって、このような構成であっても上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
図8に示すように、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、水酸アパタイトの単一相からなる生成物が得られた。
また、図9に示すように、生成物の形状は、本明細書で定義する略球状をなしている。
よって、このような構成であっても上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
第3実施形態では、上述の第2実施形態に対して、クエン酸のみ使用することに代えて、クエン酸とリンゴ酸とを混合して使用する点が異なっている。
本第3実施形態の製造方法において使用する混合水溶液の組成の一例としては、例えば、硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.0835mol/dm3、リン酸の濃度が0.050mol/dm3、尿素の濃度が0.7mol/dm3、クエン酸の濃度が0.05mol/dm3、リンゴ酸の濃度が0.05mol/dm3である。
混合水溶液は90℃で24時間保温される。
第3実施形態では、上述の第2実施形態に対して、クエン酸のみ使用することに代えて、クエン酸とリンゴ酸とを混合して使用する点が異なっている。
本第3実施形態の製造方法において使用する混合水溶液の組成の一例としては、例えば、硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.0835mol/dm3、リン酸の濃度が0.050mol/dm3、尿素の濃度が0.7mol/dm3、クエン酸の濃度が0.05mol/dm3、リンゴ酸の濃度が0.05mol/dm3である。
混合水溶液は90℃で24時間保温される。
図10は、本第3実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法により製造された球状水酸アパタイトに対するXRD解析をした結果を示す図である。図11は、本実施形態の球状水酸アパタイトの製造方法により製造された球状水酸アパタイトを示すSEM写真である。
図10に示すように、本第3実施形態でも、第1実施形態と同様に、水酸アパタイトの単一相からなる生成物が得られた。また、図11に示すように、生成物の形状は、本明細書で定義する略球状をなしている。
よって、このような構成であっても上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
図10に示すように、本第3実施形態でも、第1実施形態と同様に、水酸アパタイトの単一相からなる生成物が得られた。また、図11に示すように、生成物の形状は、本明細書で定義する略球状をなしている。
よって、このような構成であっても上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
次に、以下に示す各実施例に基づいて、本発明の球状水酸アパタイト及びその製造方法についてより詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例では、カルシウム化合物として硝酸カルシウム四水和物、リン化合物としてリン酸、2以上のカルボキシル基を有する有機酸としてクエン酸を用い、各々の組成を変化させた場合における、上記第1実施形態の製造方法により製造された球状水酸アパタイトの外形形状を示す。
本実施例で使用した混合水溶液の組成を下記表2に示す。
本実施例では、カルシウム化合物として硝酸カルシウム四水和物、リン化合物としてリン酸、2以上のカルボキシル基を有する有機酸としてクエン酸を用い、各々の組成を変化させた場合における、上記第1実施形態の製造方法により製造された球状水酸アパタイトの外形形状を示す。
本実施例で使用した混合水溶液の組成を下記表2に示す。
各々の混合水溶液を、90℃で72時間保温した。その後、第1実施形態で説明した通りに濾過,洗浄,及び乾燥をし、得られた粉体のSEM写真をそれぞれ撮影した。
図12は、実施例1における球状水酸アパタイトのSEM写真であり、(a)は上記表2におけるNo.1、(b)は上記表2におけるNo.2、(c)は上記表2におけるNo.3、(d)は上記表2におけるNo.4、(e)は上記表2におけるNo.5、(f)は上記表2におけるNo.6、(g)は上記表2におけるNo.7、(h)は上記表2におけるNo.8、(i)は上記表2におけるNo.9を示す。
図12に示すように、本実施例におけるNo.1ないし9に示す球状水酸アパタイトの外形形状は、いずれも本明細書において定義する略球状であった。
図12は、実施例1における球状水酸アパタイトのSEM写真であり、(a)は上記表2におけるNo.1、(b)は上記表2におけるNo.2、(c)は上記表2におけるNo.3、(d)は上記表2におけるNo.4、(e)は上記表2におけるNo.5、(f)は上記表2におけるNo.6、(g)は上記表2におけるNo.7、(h)は上記表2におけるNo.8、(i)は上記表2におけるNo.9を示す。
図12に示すように、本実施例におけるNo.1ないし9に示す球状水酸アパタイトの外形形状は、いずれも本明細書において定義する略球状であった。
(実施例2)
本実施例では、第1実施形態で説明した製造方法において、混合水溶液の保温温度が互いに異なる例を示す。
本実施例で使用した混合水溶液の組成は、硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.0835mol/dm3、リン酸の濃度が0.050mol/dm3、尿素の濃度が0.3mol/dm3、クエン酸の濃度が0.01mol/dm3である。
また、混合水溶液の保温温度は、70℃、80℃、98℃とし、保温時間は24時間とした。なお、参考例として、混合水溶液の保温温度が60℃の場合についても以下に示す。
本実施例における球状水酸アパタイトの形状及び収率について下記表3に示す。
本実施例では、第1実施形態で説明した製造方法において、混合水溶液の保温温度が互いに異なる例を示す。
本実施例で使用した混合水溶液の組成は、硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.0835mol/dm3、リン酸の濃度が0.050mol/dm3、尿素の濃度が0.3mol/dm3、クエン酸の濃度が0.01mol/dm3である。
また、混合水溶液の保温温度は、70℃、80℃、98℃とし、保温時間は24時間とした。なお、参考例として、混合水溶液の保温温度が60℃の場合についても以下に示す。
本実施例における球状水酸アパタイトの形状及び収率について下記表3に示す。
表3において保温温度が60℃である場合では、沈殿物が生じなかったために形状及び収率が不明であるため、「-」としている。
図13は、混合水溶液の保温温度が70℃、80℃、98℃である各例の水酸アパタイトのSEM写真であり、図13(a)は70℃の場合、図13(b)は80℃の場合、図13(c)は98℃の場合である。
図13(a)、及び図13(b)に示すように、保温温度が70℃あるいは80℃である場合には規則的な球状をなす球状水酸アパタイトが得られた。また、図13(c)に示すように、保温温度が98℃である場合には、球状をなす構造が一部に見られるものの、水酸アパタイトの凝集塊が見られた。
図13(a)、及び図13(b)に示すように、保温温度が70℃あるいは80℃である場合には規則的な球状をなす球状水酸アパタイトが得られた。また、図13(c)に示すように、保温温度が98℃である場合には、球状をなす構造が一部に見られるものの、水酸アパタイトの凝集塊が見られた。
また、混合水溶液の保温温度が70℃、80℃、98℃である各例の水酸アパタイトに対して、XRD解析を行った。図14は、XRD解析の結果を示すグラフであり、図14(a)は保温温度が70℃の場合、図14(b)は保温温度が80℃の場合、図14(c)は保温温度が98℃の場合を示している。図14に示すように、保温温度が70℃以上98℃以下のいずれの例においても、球状水酸アパタイトは水酸アパタイトの単一相からなることが分かった。
(実験例)
次に、上述の第1実施形態で説明した製造方法において、カルシウム化合物,リン化合物,2以上のカルボキシル基を有する有機酸,及び尿素の濃度を変えた複数の例を示す。
本実験例における実験条件は、カルシウム化合物として硝酸カルシウム四水和物、リン化合物としてリン酸、2以上のカルボキシル基を有する有機酸としてクエン酸を用い、保温温度は90℃であり、保温時間は24時間である。
また、実験を行なった濃度条件を下記表4に示す。
次に、上述の第1実施形態で説明した製造方法において、カルシウム化合物,リン化合物,2以上のカルボキシル基を有する有機酸,及び尿素の濃度を変えた複数の例を示す。
本実験例における実験条件は、カルシウム化合物として硝酸カルシウム四水和物、リン化合物としてリン酸、2以上のカルボキシル基を有する有機酸としてクエン酸を用い、保温温度は90℃であり、保温時間は24時間である。
また、実験を行なった濃度条件を下記表4に示す。
図15は、上記表4に示す濃度条件により球状水酸アパタイトの製造を試みた結果について、アスペクト比が1.0〜1.4の略球状をなす粒子が得られた条件を「●(良好)」、略球状とは認められない条件を「×(不良)」として示した散布図である。図15において、横軸は、尿素とクエン酸のモル濃度比であり、縦軸は、硝酸カルシウム4水和物の濃度である。
図15において枠線L1の内側にある領域は、アスペクト比が1.0〜1.4の略球状をなす球状水酸アパタイトの沈殿が生じる可能性が高い領域である。枠線L1は、尿素の濃度/有機酸(クエン酸)の濃度が濃度比として1倍以上90倍以下であって、且つ硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.001 mol/dm3以上0.03 mol/dm3以下である領域と、尿素の濃度/有機酸(クエン酸)の濃度が濃度比として20倍以上120倍以下であって、且つ硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.06 mol/dm3以上0.16 mol/dm3以下である領域とを含んでいる。
なお、枠線L1で囲まれた条件のうち、枠線L1で囲まれる各々の領域の中央に行くに従って、球状水酸アパタイトのアスペクト比が低下する可能性が高くなると考えられる。すなわち、例えば、図15において尿素の濃度/有機酸(クエン酸)の濃度が濃度比として1倍以上80倍以下であって、且つ硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.001 mol/dm3以上0.025 mol/dm3である領域と、尿素の濃度/有機酸(クエン酸)の濃度が濃度比として20倍以上110倍以下であって、且つ硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.07 mol/dm3以上0.14 mol/dm3以下である領域では、より略球状をなす球状水酸アパタイトの沈殿が生じる可能性が高い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
Claims (9)
- 2以上のカルボキシル基を有する有機酸,カルシウム化合物,リン化合物,及び尿素を含む水溶液を70℃以上且つ前記水溶液の沸点未満の温度で保温し、均一沈殿法により水酸アパタイトの粒子を沈殿させることを特徴とする球状水酸アパタイトの製造方法。
- 請求項1に記載の球状水酸アパタイトの製造方法であって、
前記水溶液を保温する工程では、70℃以上90℃以下の範囲に前記水溶液の温度を保ち前記水溶液を静置する
ことを特徴とする球状水酸アパタイトの製造方法。 - 請求項1から2のいずれか一項に記載の球状水酸アパタイトの製造方法であって、
前記有機酸は、コハク酸,クエン酸,及びリンゴ酸のうちの少なくとも1つから選択される
ことを特徴とする球状水酸アパタイトの製造方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の球状水酸アパタイトの製造方法であって、
前記カルシウム化合物と前記リン化合物中のカルシウムとリンのモル比が1.33〜2.00の範囲である
ことを特徴とする球状水酸アパタイトの製造方法。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の球状水酸アパタイトの製造方法であって、
前記カルシウム化合物は硝酸カルシウム四水和物であり、前記リン化合物はリン酸である
ことを特徴とする球状水酸アパタイトの製造方法。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の球状水酸アパタイトの製造方法であって、
前記有機酸がクエン酸であり、
前記カルシウム硝酸カルシウム四水和物であり、
前記水溶液中において、
前記尿素の濃度/前記有機酸の濃度が1倍以上90倍以下であって且つ前記硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.001 mol/dm3以上0.03 mol/dm3以下、または、
前記尿素の濃度/前記有機酸の濃度が20倍以上120倍以下であって且つ前記硝酸カルシウム四水和物の濃度が0.06 mol/dm3以上0.16 mol/dm3以下
であることを特徴とする球状水酸アパタイトの製造方法。 - 最大外径と最小外径との比が1.0〜1.4である略球状の外形形状を有し低結晶性水酸アパタイトの単一相からなることを特徴とする球状水酸アパタイト。
- 請求項7に記載の球状水酸アパタイトであって、5m2/g以上180m2/g以下の比表面積を有することを特徴とする球状水酸アパタイト。
- 請求項7または8に記載の球状水酸アパタイトであって、0.5μm以上50μm以下の平均粒子径を有することを特徴とする球状水酸アパタイト。
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JP2012231346A JP2014084232A (ja) | 2012-10-19 | 2012-10-19 | 球状水酸アパタイト及びその製造方法 |
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CN116161955A (zh) * | 2022-12-19 | 2023-05-26 | 南京航空航天大学 | 一种高强度羟基磷灰石骨组织工程支架的常温一步挤出3d打印成形制备方法 |
-
2012
- 2012-10-19 JP JP2012231346A patent/JP2014084232A/ja active Pending
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CN116161955A (zh) * | 2022-12-19 | 2023-05-26 | 南京航空航天大学 | 一种高强度羟基磷灰石骨组织工程支架的常温一步挤出3d打印成形制备方法 |
CN116161955B (zh) * | 2022-12-19 | 2024-05-03 | 南京航空航天大学 | 一种高强度羟基磷灰石骨组织工程支架的常温一步挤出3d打印成形制备方法 |
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