JP2014077109A - 水酸化フラーレン類含有溶液、これを用いた樹脂成形物および樹脂組成物、並びにその製造方法 - Google Patents

水酸化フラーレン類含有溶液、これを用いた樹脂成形物および樹脂組成物、並びにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高価な水酸化フラーレン類の有する機能(例えば、強度、硬度、紫外線吸収力など)を樹脂との複合材料中に経済的に発現できるようにする。このため、水酸化フラーレン類を後工程において低温で除去可能な溶媒中に均一にナノ分散させた水酸化フラーレン類含有溶液を提供する。
【解決手段】 テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒または融解フェノールを連続相に、水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体が分散相として分散されており、前記分散相の個数基準平均粒子径が50nm以下である水酸化フラーレン類含有溶液。この溶液を成形物に塗布した後、混合溶媒であるテトラヒドロフランおよび水を除去して、水酸化フラーレン類層を成形物表面に形成する。または、この溶液と樹脂とを混和した後、混合溶媒を除去して、水酸化フラーレン類含有樹脂組成物とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体(以下、本発明では水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体を水酸化フラーレン類と称する)を含有する液に関する。また、本発明は水酸化フラーレン類含有溶液を用いた樹脂成形物および樹脂組成物、並びにその製造方法に関する。
近年ナノマテリアルであるフラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン類と合成樹脂材料とのナノコンポジット材料の研究が多くなされている。例えば、ナノマテリアルであるフラーレン類と樹脂溶液との混合、フラーレン類と樹脂溶液との溶融混練混合、樹脂重合時でのフラーレン類添加混合が行われている。
一方、ナノマテリアルであるフラーレン類の機能を最大限発揮させるには、フラーレン類をナノレベルの大きさまで均一に分散(すなわちナノ分散)させる必要がある。
しかし、ナノ粒子である水酸化フラーレン類は表面積が大きく、粒子間距離が小さいので、粒子の凝集がはなはだしく起りやすく、工業的に安定なナノ分散系を作りだすことが困難である。さらに、水酸化フラーレン類を完全均一に溶解する溶媒が限られている。そのため、高価な水酸化フラーレン類の有する機能(例えば、強度、硬度、紫外線吸収力など)を樹脂との複合材料中に経済的に発現させることはかなり困難である。
特開2004−75933号公報(特許文献1)には、ポリ水酸化フラーレンまたはポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルと熱可塑性樹脂とを溶融混練して樹脂組成物を得ること、およびポリ水酸化フラーレンまたはポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルとモノマーまたは熱可塑性樹脂前駆体とを重合して樹脂組成物を得ることが開示されている。
特開2005−97329公報(特許文献2)には、フラーレン誘導体をホルムアミド類、スルホキシド類またはスルホン類からなる溶媒に溶解させた高濃度フラーレン誘導体組成物が開示されている。
特開2004−75933号公報 特開2005−97329号公報
特許文献1に開示された樹脂組成物においては、ポリ水酸化フラーレンまたはポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルを熱可塑性樹脂中に溶融混練する際、またはポリ水酸化フラーレンまたはポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルとモノマーまたは熱可塑性樹脂前駆体とを重合する際に、ポリ水酸化フラーレンまたはポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの一部が凝集物として残り易い。特に、水酸基を多数有する水酸化フラーレンのように極性が非常に高いフラーレン誘導体は、水酸化フラーレンの一部が凝集物として残る。
このため、水酸化フラーレンが有する強度、硬度、紫外線吸収力などの機能を熱可塑性樹脂組成物において経済的に発現させることができない。また、このような樹脂組成物をフィルムや成形体にした場合、フィルムや成形体の表面に凝集物が存在するため、種々のトラブルの原因となる。例えば、凝集物の剥離が生じて、製品段階で汚染や異物の混入などのトラブルの原因となるため、精密な製品には使用できないという問題がある。
特許文献2に開示されているように、ホルムアミド類、スルホキシド類またはスルホン類からなる溶媒に水酸化フラーレンを溶解する場合、水酸化フラーレンの水酸基の数が44個と多くなると、これらの溶媒には溶解しなくなる。そのため、安定なナノ分散系を作りだすことができず、水酸化フラーレンの有する強度、硬度、紫外線吸収力などの機能を熱可塑性樹脂複合材料中に経済的に発現させることができない。
また、これらの溶媒は沸点が150℃以上であり、溶媒(溶剤)を除去するためには、高温での加熱乾燥が必要となり、樹脂基材を変質させる虞がある。これを避けるために低温で乾燥させるには、高価な真空装置等が必要となり、フィルム等の形態で連続処理することができず、著しく設備費が高価で且つ生産性が落ちるという問題がある。
本発明は上述の問題を解決し、高価な水酸化フラーレン類の有する機能(例えば、強度、硬度、紫外線吸収力など)を樹脂との複合材料中に経済的に発現させることができるようにすることが課題である。
このため、本発明は、水酸化フラーレン類を、後工程において低温で除去可能な溶媒中に均一にナノ分散させた水酸化フラーレン類含有溶液を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記水酸化フラーレン類含有溶液を用いて、合成樹脂からなる成形物の表面に、水酸化フラーレン類の凝集物が存在しない水酸化フラーレン類層を形成した成形物を提供すること、および、樹脂基材を変質させることなく、このような水酸化フラーレン類層を有する成形物の製造方法を提供することを目的とする。
更に、本発明は、前記水酸化フラーレン類含有溶液を用いて、樹脂と混和することにより、凝集物が存在しない水酸化フラーレン類を含有した樹脂組成物を提供すること、および、このような水酸化フラーレン類含有樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒または融解フェノールを連続相に、水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体が分散相として分散されており、前記分散相の個数基準平均粒子径が50nm以下であることを特徴とする水酸化フラーレン類含有溶液により、前記目的を達成する。
前記テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒においては水が15%以上含まれていることが好ましく、水が25%以上含まれていることが更に好ましい。
また、本発明は、少なくとも成形物の表面が重合体の主鎖や側鎖に親水基を有する親水性樹脂からなり、該成形物の表面に、テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒に水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体が個数基準平均粒子径50nm以下で分散された水酸化フラーレン類含有溶液を塗布した後、前記水酸化フラーレン類含有溶液中の混合溶媒であるテトラヒドロフランおよび水を除去することを特徴とする水酸化フラーレン類層を有する成形物の製造方法、並びにこのような製造方法により製造された成形物により、前記目的を達成する。
更に、本発明によれば、少なくとも成形物の表面が重合体の主鎖や側鎖に親水基を有さない疎水性樹脂からなり、該成形物の表面を親水化処理し、該親水化処理した成形物の表面に、テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒に水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体が個数基準平均粒子径50nm以下で分散された水酸化フラーレン類含有溶液を塗布した後、前記水酸化フラーレン類含有溶液中の混合溶媒であるテトラヒドロフランおよび水を除去することを特徴とする水酸化フラーレン類層を有する成形物の製造方法、並びにこのような製造方法により製造された成形物により、前記目的を達成する。
また、本発明によれば、テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒に水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体が個数基準平均粒子径50nm以下で分散された水酸化フラーレン類含有溶液を樹脂と混和した後、前記水酸化フラーレン類含有溶液中の混合溶媒であるテトラヒドロフランおよび水を除去することを特徴とする水酸化フラーレン類含有樹脂組成物の製造方法、並びにこのような製造方法により製造された水酸化フラーレン類含有樹脂組成物により、前記目的を達成する。
なお、本発明における、テトラヒドロフランおよび水の除去は、液相を気相に変えて行われるものであり、乾燥除去または蒸発除去である。
水酸化フラーレン類はフラーレン核に直接に結合している水酸基を含んでいるものであるが、水酸化フラーレン類における水酸基の数によって各種溶媒に溶解する程度が異なっており、特許文献2について述べたように溶解し難く、凝集物が生じることがある。
これに対して、本発明によれば、水よりも沸点の低い両親媒性溶剤であるテトラヒドロフラン(THF:沸点66℃)と水との混合溶媒を連続相にして、分散相の水酸化フラーレン類を個数基準平均粒子径で50nm以下の微粒子とすることにより、凝集物が存在しない、完全均一溶液である水酸化フラーレン類含有溶液を得ることができる。あるいは、融解フェノールを連続相にして、分散相の水酸化フラーレン類を個数基準平均粒子径で50nm以下の微粒子とすることにより、凝集物が存在しない、完全均一溶液である水酸化フラーレン類含有溶液を得ることができる。
ここで、完全均一溶液とは水酸化フラーレン類を0.5wt%濃度にしたとき、常温において目視で透明で凝集物を生じていない溶液と定義する。
本発明者等が鋭意検討したところによれば、水とテトラヒドロフラン(THF)との割合は水酸化フラーレン類における水酸基の数によって異なり、水酸基の数が少ない場合の方が、水の割合が少なくてよい傾向があることが分かった。
水酸基の数が10以上の場合は、完全均一溶液を得るためには混合溶媒において水が15%以上含まれていることが好ましく、更に好ましくは25%以上である。
本発明によれば、前記水酸化フラーレン類含有溶液を、合成樹脂からなる成形物の表面に塗布した後に、前記テトラヒドロフランと水との混合溶媒を除去することにより、成形物の表面に水酸化フラーレン類層を生成することができる。この水酸化フラーレン類層の生成に際して、凝集物が無い完全均一溶液である水酸化フラーレン類含有溶液を使用するので、凝集物が無く、均一で緻密な水酸化フラーレン類層を成形物の表面に生成することができ、水酸化フラーレン類の有する機能(例えば、強度、硬度、紫外線吸収力など)を樹脂との複合材料中に最大限有効に発現させることができる。そのため、高価な水酸化フラーレン類の使用量を減少することができ、良質の水酸化フラーレン類層を有する成形物を経済的に製造することができる。
しかも、テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒の沸点が水より低いため、混合溶媒を除去する際の温度を樹脂に悪影響を与えないような低温とすることができるので、混合溶媒の除去時に合成樹脂を変質・劣化させる虞がない。また、混合溶媒の除去のために高価な減圧乾燥機などの特殊な装置を必要としないので、経済的に水酸化フラーレン類層を有する成形物を製造することができる。
本発明によれば、水酸化フラーレン類をテトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒に分散させたことにより、親水性樹脂または親水化処理した疎水性樹脂からなる成形物の表面に、平滑で緻密で強靭な、剥離し難い水酸化フラーレン類層を生成することができる。
また、本発明によれば、前記水酸化フラーレン類含有溶液を樹脂と混和した後に、前記混合溶媒を除去することにより水酸化フラーレン類含有樹脂組成物を製造することができる。この際、水酸化フラーレンが個数基準平均粒子径50nm以下のナノメートルオーダーで分散した凝集物の無い完全均一溶液である水酸化フラーレン類含有溶液を使用することによって、凝集物が無く、ナノメートルオーダーで水酸化フラーレンの特性を最大限発現可能な、水酸化フラーレン類含有樹脂組成物を生成することができる。そのため、高価な水酸化フラーレン類の使用量を減少でき、経済的である。そして、混合溶媒を除去する際の温度は低温でもよいので、混合溶媒の除去時に樹脂を変質・劣化させる虞がなく、しかも、混合溶媒の除去のために高価な減圧乾燥機などの特殊な装置を必要としないので、経済的に水酸化フラーレン類含有樹脂組成物を製造することができる。
本発明の水酸化フラーレン類含有樹脂組成物はナノメートルオーダーの水酸化フラーレンにより樹脂の特性を向上させるので、樹脂基材として各種のものに利用できる。例えば、樹脂改質、表面改質、表面保護、紫外線吸収、ガスバリアー、ラジカル捕捉、プロトン伝導性などの機能を有する材料として、包装用フィルム、食品用フィルム、紫外線防止フィルム、防曇性フィルム、防汚性フィルムなどの農業用・建材用フィルム、反射防止フィルム、偏光フィルムなどの電気・電子材料用フィルム・静電防止フィルム、コーテイング剤等、また立体的な成形体として利用することができる。
混合溶液中の水酸化フラーレンの粒子径分布を示す図である。 水酸化フラーレン・ポリプロピレン積層フィルムの紫外線透過度測定結果を示す図である。 水酸化フラーレン・PVA複合フィルムの強伸度測定結果を示す図である。 水酸化フラーレン・PVA複合フィルムの紫外線透過度測定結果を示す図である。 水酸化フラーレン・ポリプロピレン複合フィルムの紫外線透過度測定結果を示す図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、低温で除去可能な溶媒中に水酸化フラーレン類を均一にナノ分散させた水酸化フラーレン類含有溶液を提供し、この水酸化フラーレン類含有溶液を成形物表面に塗布したり、樹脂と混和したりして、水酸化フラーレン類の機能を最大限発揮させようとするものである。
本発明における水酸化フラーレンはフラーレン核に水酸基が直接に結合しているものであり、また、水酸化フラーレン誘導体はフラーレン核に水酸基の他にハロゲン基が結合したり、フラーレン核の水酸基がエステル結合等で封鎖されたものを含む(なお、本発明では水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体を水酸化フラーレン類と称する)。更に、水酸化フラーレン類にはC60フラーレン核のみならずC70以上の高次フラーレン核を含んでいてもよい。
また、本発明においては、水酸化フラーレン類を0.5wt%濃度にしたとき、常温において目視で透明で凝集物(沈殿物)を生じていない溶液を完全均一溶液と定義する。
本発明者等が鋭意検討したところによれば、連続相である溶媒中にナノメートルオーダー(個数基準平均粒子径が50nm以下、より好ましくは10nm以下)の水酸化フラーレン類を分散させることにより、凝集物(沈殿物)を生じていない完全均一溶液が得られることが分かった。なお、個数基準平均粒子径は動的光散乱法により測定した光強度分布を基準として算出した。
また、水酸化フラーレン類のナノメートルオーダーでの分散性は、水酸化フラーレンの水酸基の数と溶媒の組成に依存することを見いだし本発明に到達した。すなわち、溶媒として水とテトラヒドロフラン(THF)とを混合したものを使用することにより、種々の水酸化フラーレン類をナノメートルオーダーで分散させられること、および水とテトラヒドロフランとの割合は水酸化フラーレン類における水酸基の数によって異なり、水酸基の数が少ない場合の方が、水の割合が少なくてよい傾向があることが分かった。
これにより、水酸化フラーレン類に固有の疎水性の程度に合わせた最適の混合溶媒の組成が存在することを見出した。すなわち、水酸化フラーレン類に固有の疎水性の程度に比べて、混合溶媒の疎水性の程度が大きい(親水性の程度が小さい)場合であっても、混合溶媒の疎水性の程度が小さい(親水性の程度が大きい)場合であっても、フラーレン類含有溶液の分散相を構成する水酸化フラーレン類微粒子の動的光散乱法で求めた個数平均粒子径の直径が50nm(ナノメートル)を大きく超えることを見出した。そして、水酸化フラーレン類の疎水性の程度と水混合溶媒の疎水性の程度が合致した時は、水酸化フラーレン類含有溶液の分散相の個数平均粒子径の直径が50nm以下となる。
疎水性について言えば、水酸化フラーレンはC60フラーレン核に結合する水酸基の数が44個以下の場合、フラーレン核に結合する水酸基の数が少ないほど疎水性の程度が強くなる。すなわち、水酸基の数が30個以上のものは水溶性(親水的)であり、水酸基の数が10個前後では中性の水に対して非水溶性(疎水的)である。水酸化フラーレン誘導体にはフラーレン核にハロゲンが付加されたフラーレン化合物やフラーレン核の水酸基がエステル結合等で封鎖されたフラーレン化合物も含むが、フラーレン核に付加した置換基によっても疎水性の程度が変化する。
本発明において混合溶媒を構成するテトラヒドロフラン(THF)は水よりも沸点が低く(沸点66℃)、親水性と疎水性の物質に親和性のある両親媒性溶剤である。また、本発明の混合溶媒は、溶剤の親媒性を調節するために沸点が100℃以下の溶媒をテトラヒドロフランと水とに混合したものであってもよい。
実験結果によれば、水酸基の数が10以上の場合は、凝集物のない完全均一溶液を得るためには混合溶媒において水が15%以上含まれていることが好ましく、更に好ましくは25%以上であった。
すなわち、水酸基の数が10〜14個ある水酸化フラーレン(C60(OH)n、n=10〜14)のテトラヒドロフランと水との混合溶液において、溶媒の重量比(THF:H O)が(3:1)〜(1:1)の場合、凝集物を生ぜず、褐色透明で完全均一溶解である。この均一溶解液の平均粒子径は10nm以下であった。更に、THFを多く添加すると一部凝集物が生じた。ただし、溶解部分(上澄み液)の平均粒子径は50nm以下のナノメートルオーダーであった。
また、C60(OH)10について、テトラヒドロフランと水との混合溶媒における水の割合を0%、10%、15%、20%、25%、50%、75%、90%および100%として、C60(OH)10を0.5wt%濃度で分散させた。水の割合が15%、20%、25%および、50%の場合は凝集物のない完全均一溶液であったが、水の割合が0%、10%、75%、90%および100%の場合は凝集物が存在することが目で見て分かった。
水酸基の数が36〜44個ある水酸化フラーレン(C60(OH)n、n=36〜44)のTHFとH Oとの混合溶液においては、溶媒の重量比(THF:H O)が(1:3)〜(0:1)の場合、凝集物を生ぜず、褐色透明で完全均一溶解であった。この溶解液における水酸化フラーレンの平均粒子径は10nm以下であった。
このように、水酸化フラーレンの水酸基の数によりTHFと水の混合比率が変わる。水酸基の数が10前後ではTHFの比率を多く、水酸基の数が40前後では水の比率を多くすると、完全均一にナノメートルオーダーで水酸化フラーレンが分散した水酸化フラーレン類含有溶液を得ることができる。水酸化フラーレンのナノメートルオーダーでの分散性は、水酸化フラーレンの水酸基の数と混合溶媒組成に依存するので、用途に応じて、上記の適切な水酸基の数と混合溶媒組成を選択すればよい。
以下に、具体的実施例に基づいて、混合溶媒による水酸化フラーレン類含有溶液の特性を説明する。
水酸化フラーレンC60(OH)10(フロンテイアカーボン社製)0.1gをTHFと水(pH 6〜7の中性の水、以下水と略す)の重量比率が75:25の混合溶媒20gに加えて、0.5wt%の濃度、室温で1日放置後の溶解性を調べた。ここで、完全均一溶解とはフラーレン類を0.5wt%濃度にしたとき、目視で透明で凝集物を生じていない溶液と定義した。
また、粒子径測定は完全均一溶解液をシスメックス社製ゼータ電位・粒子径・分子量測定装置(Zetasizer Nano)を用いて0.1wt%濃度で動的光散乱法により測定し、個数基準平均粒子径を算出した。
この溶解液は、淡褐色透明であり、凝集物は見られず、完全均一溶解性を示し、個数基準平均粒子径は2.6nmであった(表1参照)。
Figure 2014077109


水酸化フラーレンC60(OH)10(フロンテイアカーボン社製)0.1gをTHFと水の重量比率が50:50の混合溶媒20gに加えて、0.5wt%の濃度、室温で1日放置後の溶解性と個数基準平均粒子径を、実施例1と同方法にて調べた。この溶解液は、淡褐色透明であり、凝集物は見られず、完全均一溶解性を示し、個数基準平均粒子径は3.6nmであった(表1および図1参照)。
水酸化フラーレンC60(OH)44(Nano Reseach 2011,4,204-215 (非特許文献)の論文に基づいて大阪大学にて合成)0.1gをTHFと水の重量比率が25:75の混合溶媒20gに加えて、0.5wt%の濃度、室温で1日放置後の溶解性と個数基準平均粒子径を、実施例1と同方法にて調べた。この溶解液は、淡黄色透明であり、凝集物は見られず、完全均一溶解性を示し、個数基準平均粒子径は2.3nmであった(表1参照)。
水酸化フラーレンC60(OH)44(大阪大学にて合成)0.1gをTHFと水の重量比率が10:90の混合溶媒20gに加えて、0.5wt%の濃度、室温で1日放置後の溶解性と個数基準平均粒子径を、実施例1と同方法にて調べた。この溶解液は、淡黄色透明であり、凝集物は見られず、完全均一溶解性を示し、個数基準平均粒子径は2.3nmであった(表1および図1参照)。
水酸化フラーレンC60(OH)36(ACS Nano,2008,2,327-333(非特許文献)の論文に基づいて大阪大学にて合成)0.1gをTHFと水の重量比率が10:90の混合溶媒20gに加えて、0.5wt%の濃度、室温で1日放置後の溶解性と個数基準平均粒子径を、実施例1と同方法にて調べた。この溶解液は、淡褐色透明であり、凝集物は見られず、完全均一溶解性を示し、個数基準平均粒子径は1.7nmであった(表1参照)。
〈比較例1〉
水酸化フラーレンC60(OH)10(フロンテイアカーボン社製)0.1gをTHFと水の重量比率が90:10の混合溶媒20gに加えて、0.5wt%の濃度、室温で1日放置後の溶解性と個数基準平均粒子径を、実施例1と同方法にて調べた。この溶解液は、淡褐色混濁であり、凝集物を発生し、完全均一溶解性ではなかった。個数基準平均粒子径は77.4nmであった(表1および図1参照)。
〈比較例2〉
水酸化フラーレンC60(OH)10(フロンテイアカーボン社製)0.1gをTHFと水の重量比率が25:75の混合溶媒20gに加えて、0.5wt%の濃度、室温で1日放置後の溶解性と個数基準平均粒子径を、実施例1と同方法にて調べた。この溶解液は、淡褐色混濁であり、凝集物を発生し、完全均一溶解性ではなかった。個数基準平均粒子径は108.4nmであった(表1および図1参照)。
〈比較例3〉
水酸化フラーレンC60(OH)10(フロンテイアカーボン社製)0.1gをTHFと水の重量比率が10:90の混合溶媒20gに加えて、0.5wt%の濃度、室温で1日放置後の溶解性と個数基準平均粒子径を、実施例1と同方法にて調べた。この溶解液は、淡褐色混濁であり、凝集物を発生し、完全均一溶解性ではなかった。個数基準平均粒子径は194.4nmであった(表1参照)。
〈比較例4〉
水酸化フラーレンC60(OH)44(大阪大学にて合成)0.1gをTHFと水の重量比率が100:0の混合溶媒20gに加えて、0.5wt%の濃度、室温で1日放置後の溶解性と個数基準平均粒子径を、実施例1と同方法にて調べた。この溶解液は、混濁であり、凝集物を発生し、完全均一溶解性ではなかった。個数基準平均粒子径は500nm以上であった(表1参照)。
〈比較例5〉
水酸化フラーレンC60(OH)44(大阪大学にて合成)0.1gをTHFと水の重量比率が50:50の混合溶媒20gに加えて、0.5wt%の濃度、室温で1日放置後の溶解性と個数基準平均粒子径を、実施例1と同方法にて調べた。この溶解液は、淡黄色混濁であり、凝集物を発生し、完全均一溶解性ではなかった。個数基準平均粒子径は500nm以上であった(表1参照)。
水酸化フラーレンC60(OH)10(フロンテイアカーボン社製)0.001gに0.08wt%の濃度になるようフェノール(固体)1.25gを加え、80℃の湯浴にてフェノールを融解させて液体とし、超音波照射後、水酸化フラーレンの溶解状態を調べた。この溶解液は、淡褐色透明であり、凝集物は見られず、完全均一溶解性を示した(表1参照)。
次ぎに、本発明の水酸化フラーレン類含有溶液を用いて、親水性または疎水性の合成樹脂からなる成形物の表面に、水酸化フラーレン類の凝集物が存在しない水酸化フラーレン類層を形成した水酸化フラーレン複合体について説明する。
少なくとも成形物の表面が親水性樹脂(すなわち、重合体の主鎖や側鎖に水酸基などの親水基を有する高分子体)からなる場合は、本発明の水酸化フラーレン類含有溶液を成形物の表面に塗布した後、水酸化フラーレン類含有溶液中の混合溶媒であるテトラヒドロフランおよび水を除去することにより、水酸化フラーレン類層を成形物の表面に形成する。
他方、少なくとも成形物の表面が疎水性樹脂(すなわち、重合体の主鎖や側鎖に親水基を有さない高分子体)からなる場合は、コロナ放電やプラズマ照射などを用いて親水化処理を行って、予め樹脂の表面に水酸基、カルボニル基などの極性基を生成させておき、本発明の水酸化フラーレン類含有溶液を親水化処理した成形物の表面に塗布した後、水酸化フラーレン類含有溶液中の混合溶媒であるテトラヒドロフランおよび水を除去することにより、水酸化フラーレン類層を成形物の表面に形成する。
なお、塗布方法としては、スピンコート法、キャスト法、スプレー法、デップコート法、ロールコート法、蒸着法など任意の方法を選択することができる。
本発明における親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミド、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプンなどの樹脂が挙げられる。
また、疎水性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン共重合樹脂、ポリブテン樹脂、ポリエチレン‐ブテン共重合樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル‐スチレン(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリケトン樹脂、フッ素樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン樹脂およびこれらの共重合体ないし混合物、天然ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリイソブチレンゴムなどゴム類が挙げられる。
本発明によれば、テトラヒドロフランと水との混合物である混合溶媒が連続相であり、水酸化フラーレン類が分散相である水酸化フラーレン類含有溶液を親水性樹脂に塗布した後に、前記混合溶媒を乾燥除去することにより、平滑で緻密で強靭な、剥離し難い水酸化フラーレン類層を生成することができる。平滑で緻密で強靭な水酸化フラーレン類の皮膜形成の過程は明確ではないが、下記のように形成されると思われる。
本発明の混合溶媒を構成するテトラヒドロフランは水よりも沸点の低い親水性と疎水性の物質に親和性のある両親媒性溶剤である。従って、テトラヒドロフランと水との混合溶媒が蒸発する際には、THF:水=93:7の共沸混合物を形成して蒸発するため、沸点の低いテトラヒドロフランが優先的に蒸発する。(THF〜水)系の気液平衡からTHFを完全に流出除去し、水が残るために必要な水含量を推算すると7%程度の水含量であるので、15%以上の水含量であれば、水酸化フラーレン類含有溶液からTHFが完全に溜出除去された時点では、水酸化フラーレン類含有溶液は水とフラーレン類から構成されていると考えられる。
一方、テトラヒドロフラン(THF)と水との混合物である混合溶媒は、水酸化フラーレン類を溶解する機能を有すると共に、親水性樹脂に対しては親水性樹脂を溶解または膨潤させる機能を有する。
従って、親水性樹脂の表面に本発明の水酸化フラーレン類含有溶液を塗布した後、混合溶媒を蒸発除去する過程で水より沸点の低いTHFが先に蒸発する。THFが蒸発して生じた空間には残りの水酸化フラーレン類含有溶液が浸透する。このような過程の繰返しによってTHFが総て気化して外部に放散した部分には水と水酸化フラーレン類が充填されるが、水は親水性樹脂との結合が強いため水酸化フラーレン類は親水性樹脂との界面に析出して皮膜を形成する。
残余の水分の蒸発に伴って樹脂表面と水酸化フラーレン類皮膜との界面に水が凝集して樹脂表面の水酸基と水酸化フラーレン類皮膜表面の水酸基との間が水を介して結合する。
次いで、水が消失する過程で樹脂表面と水酸化フラーレン類皮膜の水酸基が水素結合する。その結果、親水性樹脂の表面に平滑で緻密で強靭な水酸化フラーレン類層(皮膜)が形成されると思われる。
また、本発明によれば疎水性樹脂の場合も、本発明の水酸化フラーレン類含有溶液を塗布した後に混合溶媒を乾燥除去することにより、樹脂の表面に平滑で緻密で強靭な水酸化フラーレン類層(皮膜)を形成できる。その皮膜形成の過程は明確ではないが、下記のように形成されると思われる。
本発明では、まず疎水性樹脂の表面をコロナ放電やプラズマ照射などを用いて親水化処理を行って、予め樹脂の表面に水酸基、カルボニル基などの極性基を生成させておく。本発明の混合溶媒はテトラヒドロフランおよび水を含んでいるので、親水化処理した疎水性樹脂を溶解または膨潤させる機能を有している。
樹脂の表面に水酸化フラーレン類含有溶液を塗布した後、混合溶媒を蒸発除去する過程で水より沸点の低いTHFが先に蒸発する。THFが蒸発して生じた空間には残りの水酸化フラーレン類含有溶液が浸透する。このような過程の繰返しによってTHFが総て気化して外部に放散した部分には水と水酸化フラーレン類が充填されるが、水は疎水性樹脂の表面の極性基との結合が強いため水酸化フラーレン類は疎水性樹脂の界面に析出して皮膜を形成する。
残余の水分の蒸発に伴って樹脂表面と水酸化フラーレン類皮膜との界面に水が凝集して樹脂表面の極性基と水酸化フラーレン類皮膜表面の水酸基との間が水を介して結合する。
次いで、水が消失する過程で疎水性樹脂の表面の極性基と水酸化フラーレン類皮膜の水酸基が水素結合し、その結果、疎水性樹脂の表面に平滑で緻密で強靭な水酸化フラーレン類の皮膜が形成されると思われる。
一方、水酸化フラーレン類層と水酸化フラーレン類の粒子径との関係で検討すると、本発明の水酸化フラーレン類含有溶液の分散相である水酸化フラーレン類の粒子の個数平均粒子径は50nm以下であり、水酸化フラーレン類含有溶液中に凝集物が存在しないので、樹脂の表面に平滑で緻密な水酸化フラーレン類層を形成することができる。逆に、水酸化フラーレン類含有溶液の分散相の個数平均粒子径の直径が50nmを超えて大きくなると、樹脂の表面に形成された水酸化フラーレン類層の皮膜は緻密性がなくなり、水酸化フラーレン類層の屈曲耐久性も低くなる。
また、樹脂表面に形成される水酸化フラーレン類層(皮膜)について言えば、一般的に、水酸化フラーレン類層は多数の薄層片が積層されて形成されており、薄層片の平均厚みは、積層粒子間の空隙の大きさに影響されるため、水酸化フラーレン類含有溶液の分散相の粒子の平均直径によって決まってくる。そのため、水酸化フラーレン類含有溶液の塗布厚みや分散相の濃度が同一の場合は、水酸化フラーレン類含有溶液の分散相の個数平均粒子径が小さいほど薄層片の層数が多くなる。
そして、皮膜の特性は薄層片の層数に対して依存性が高いので、同一厚さの水酸化フラーレン類の皮膜が形成された場合は、薄層片の層数が多いほど皮膜の特性は向上する。高価な水酸化フラーレン類の使用量を少なくして、所定の性能を発揮させるためには、水酸化フラーレン類含有溶液の分散相の個数平均粒子径が小さいことが望ましい。皮膜の特性を有効に発揮させるという観点から、本発明においては、分散相の個数平均粒子径の直径は50nm以下、好ましくは20nm以下であることが望ましい。
更に、本発明によれば、本発明の水酸化フラーレン類含有溶液と樹脂とを混和し、その後、水酸化フラーレン類含有溶液中の混合溶媒であるテトラヒドロフランおよび水を除去することにより、凝集物が存在しない水酸化フラーレン類を含有した樹脂組成物を得ることができる。樹脂としては、前述の親水性樹脂および疎水性樹脂を利用することが可能である。
水酸化フラーレンと樹脂との複合体である水酸化フラーレン類含有樹脂組成物を作成するには混和方法が有効である。
混和方法としては(a)水酸化フラーレン類含有溶液と樹脂溶液とを混合する方法、(b)水酸化フラーレン類含有溶液と樹脂とを混練する方法、(c)水酸化フラーレン類含有溶液を樹脂モノマーに重合中に別添加して重合する方法がある。これらいずれの方法を用いてもよい。
次に、親水性樹脂としてポリビニルアルコール樹脂、疎水性樹脂としてポリプロピレン樹脂を代表例として、本発明の水酸化フラーレン類含有溶液と成形物(フィルム)に塗布したもの、または混和して得られたものからなる、水酸化フラーレン樹脂複合体の特性を説明する。なお、本発明の水酸化フラーレン類含有溶液による性能が発揮できるものであれば、水酸化フラーレン樹脂複合体の組成および用途に関しては以下の記載に限定されない。
〔水酸化フラーレン類含有溶液を塗布した複合体の特性〕
水の含量が25%(重量)であるTHFと水との混合溶媒を連続層とし、水酸基の数が10個である水酸化フラーレンC60(OH)10を分散相として、液中に分散している水酸化フラーレンの濃度が0.1wt%である水酸化フラーレン分散液を作った。この分散液における分散相の個数平均粒子径の直径をシスメックス社動的光散乱法(シスメックス社製ゼータ電位・粒子径・分子量測定装置を利用)で測定した。その結果、個数平均粒子径は2.6nmであった。
前記水酸化フラーレン分散液を、40μmの厚みのポリビニルアルコール樹脂フィルムの表面に150nmの厚みで塗布した後、前記混合溶媒を乾燥除去した。これにより、水酸化フラーレンが表面に積層されたポバール樹脂フィルム(以下、フラーレン積層ポバールフィルムという)が得られた。
ポバールフィルムとフラーレン積層フィルムの酸素透過度を湿度60%の雰囲気で測定した結果下記の通りであった。
ポバールフィルム 4.45 cm/ m・ day・atm
フラーレン積層ポバールフィルム 0.66 cm/ m・ day・atm
ポバールフィルムは水蒸気の影響で酸素透過度が増加したが、フラーレン積層ポバールフィルムでは疎水性水酸化フラーレンの防湿効果によって酸素透過度の増加を防止できたと判断された。
〈比較例6〉
水の含量が75%であるTHFと水との混合溶媒に、水酸化フラーレンの濃度を実施例7と同一にした水酸化フラーレン分散液を作り、実施例7と同一の方法で分散相の個数平均粒子径の直径を測定した。その結果、個数平均粒子径は108.4nmであった。
前記水酸化フラーレン分散液を実施例7と同一の厚みのポリビニルアルコール樹脂フィルムの表面に実施例7と同一の厚みで塗布した後、混合溶媒を乾燥除去した。これによりフラーレン積層ポバールフィルムが得られた。
フラーレン積層フィルムの酸素透過度を実施例7と同一の条件で測定した結果、0.93
cm/ m・ day・atmであった。
水酸化フラーレン分散液の分散相の個数平均粒子径が108.4nmであると、水酸化フラーレン皮膜は緻密性がなくなり、耐水性などの水酸化フラーレン皮膜の特性が低下した結果、フラーレン積層ポバールフィルムの酸素透過度が増加したと考えられる。
水の含量が25%であるTHFと水との混合溶媒を連続層とし、水酸基の数が10個である水酸化フラーレンC60(OH)10を分散相として、液中に分散している水酸化フラーレンの濃度が0.1wt%である水酸化フラーレン分散液を作った。動的光散乱法で分散相の個数平均粒子径の直径を測定した結果2.6nmであった。
前記水酸化フラーレン分散液を、予めコロナ放電を用いて表面に極性基を生成させた40μmの厚みのポリプロピレン樹脂フィルムの表面に54nmの厚みで塗布した後、前記混合溶媒を乾燥除去した。これにより水酸化フラーレンが表面に積層されたポリプロピレン樹脂フィルム(以下、フラーレン積層PPフィルム1という)が得られた
フラーレン積層PPフィルム1の紫外可視吸光度測定を日本分光社製の紫外分光光度計(V−550)を用いて、レファレンス側に空気、25℃、波長200〜700nmにて測定し、その結果を図2に示した。
実施例8と後述の比較例8とを対比した結果、フラーレン積層PPフィルムはPPフィルムに比べて紫外線吸収効果が大きかった。緻密な水酸化フラーレン皮膜によって紫外線防止に効果が発現したと考えられた。
〈比較例7〉
水の含量が75%であるTHFと水との混合溶媒に、水酸化フラーレンの濃度を実施例7と同一にした水酸化フラーレン分散液を作り、実施例7と同一の方法で分散相の個数平均粒子径の直径を測定した。その結果、個数平均粒子径は108.4nmであった。
前記水酸化フラーレン分散液を、実施例8と同一の表面処理を施した実施例8と同一の厚みのポリプロピレン樹脂フィルムの表面に、実施例8と同一の厚みで塗布した後、混合溶媒を乾燥除去した。これによりフラーレン積層PPフィルム2が得られた。
フラーレン積層PPフィルム2の紫外可視透過度測定を実施例8と同一の方法で測定し、その結果を図2に示した。
実施例8と比較例7を対比した結果、フラーレン積層PPフィルムはフラーレン積層PPフィルム2に比べて紫外線吸収効果が大きかった。
凝集物の存在に加え、水酸化フラーレン分散液の分散相の個数平均粒子径が108.4nmであると、水酸化フラーレン皮膜は緻密性がなくなり、水酸化フラーレン皮膜の特性が低下した結果、フラーレン積層ポバールフィルム2の紫外線防止効果が低下したと考えられる。
〈比較例8〉
実施例8と同一の表面処理を施した実施例8と同一の厚みのポリプロピレン樹脂フィルム(以下、PPフィルムという)の紫外可視透過度測定を実施例8と同一の方法で測定した。その結果を図2に示した。
〔積層フィルムの接触角特性〕
スライドグラス上に濃度5wt%PVA(クラレ社製、鹸化度98%、重合度1700)水溶液を流し、40μmのPVAフィルムを作成した。スピンコーターにて2000rpm30秒の条件で0.19wt%の水酸化フラーレンC60(OH)10(フロンテイアカーボン社製)をTHF:水(重量比 75:25)の混合溶媒に分散させて水酸化フラーレン分散液を作った。PVAフィルムの上にこの水酸化フラーレン分散液を塗布して、水酸化フラーレン/PVA積層フィルムを作成した。その積層フィルムを1日間室温で乾燥後、真空乾燥1日行い、前記混合溶媒を除去した。この水酸化フラーレン/PVA積層フィルムについて、協和界面科学社製の接触角計を用いて25℃にて水との接触角を測定した。その結果を表2に示した。
〈比較例9〉
スライドグラス上に実施例9で用いた濃度5wt%PVA(クラレ社製、鹸化度98%、重合度1700)水溶液を流し、40μmのPVAフィルムを作成した。次に、実施例9と同操作で真空乾燥1日行い、25℃にて水との接触角を測定した。その結果を表2に示した。
Figure 2014077109

表2に示したように、水酸化フラーレン/PVA積層フィルムはPVAフィルムより耐水性が大幅に向上した。
〔複合体のフィルム強伸度〕
水酸化フラーレンC60(OH)44(フロンテイアカーボン社製)をTHF:水(25:75)の混合溶媒に分散させて、液中に分散している水酸化フラーレンの濃度が0.5wt%である水酸化フラーレン分散液を作った。この水酸化フラーレン分散液2.04gをポリビニルアルコール(PVA)(クラレ社製、鹸化度98%、重合度1700)の水溶液(濃度5.0wt%)10gに添加して複合体用溶液とした。これを60mm×150mmのガラス板上に流し、3日間室温で乾燥後、真空乾燥を1日行い、フィルム(水酸化フラーレン・PVA複合フィルム)を作成した。この時、水酸化フラーレンC60(OH)44の含有量はPVAに対して2wt%となる。この複合体のフィルム強伸度測定を島津製オートグラフにて、5Nのロードセルを用いて引張り速度100mm/min、室温27℃で行った。その結果を図3および表3に示した。
実施例10で用いた濃度0.5wt%の水酸化フラーレンC60(OH)44の水酸化フラーレン分散液5.10gを濃度5.0wt%PVA水溶液10gに添加し、複合体のフィルムを作成した。水酸化フラーレンC60(OH)44の含有量はPVAに対して5wt%となる。実施例9と同様の操作を行い、この複合フィルム強伸度測定を行った。その結果を図3および表3に示した。
〈比較例10〉
実施例10で用いた5.0wt%PVA水溶液10gを実施例10と同様の操作を行い、PVAフィルムを作成し、このPVAフィルムのフィルム強伸度測定を行った。その結果を図3および表3に示した。
Figure 2014077109

図3および表3に見られるように、水酸化フラーレン・PVA複合フィルムはPVAフィルムに比較して引張強度(伸び100%での応力および破断時応力)および引張弾性率が大幅に向上した。このことにより、強度、剛性などの力学特性に優れた樹脂組成物が得られたことを確認できた。
〔複合体の紫外線防止効果〕
水酸化フラーレンC60(OH)10(フロンテイアカーボン社製)をTHF:水(75:25)の混合溶媒に分散させて、液中に分散している水酸化フラーレンの濃度が0.5wt%である水酸化フラーレン分散液を作った。この水酸化フラーレン分散液1.02gをポリビニルアルコール(PVA)(クラレ社製、鹸化度98%、重合度1700)の水溶液(濃度5.0wt%)10gに添加して複合体溶液とした。これを60mm×150mmのガラス板上に流し、3日間室温で乾燥後、真空乾燥を1日行い、THFと水とを除去して、水酸化フラーレン・PVA複合フィルムを作成した。この時、水酸化フラーレンC60(OH)10の含有量はPVAに対して1wt%となる。この複合フィルムの紫外可視透過度を日本分光社製の紫外分光光度計(V−550)を用いて、レファレンス側に空気、25℃、波長200〜700nmにて測定し、その結果を図4に示した。
実施例12で用いた濃度5.0wt%PVA水溶液10gを実施例12と同様に60mm×150mmのガラス板上に流し、3日間室温で乾燥後、真空乾燥を1日行い、PVAフィルムを作成した。水酸化フラーレンC60(OH)10(フロンテイアカーボン社製)をTHF:水(75:25)の混合溶媒に分散させて、液中に分散している水酸化フラーレンの濃度が0.2wt%である水酸化フラーレン分散液を作った。この分散液0.6gを前記PVAフィルム上に塗布して水酸化フラーレン/PVA積層フィルムを作成した。この時の水酸化フラーレンC60(OH)10層の厚さは0.16μmであった。実施例12と同操作にて、紫外可視透過度を測定し、その結果を図4に示した。
〈比較例11〉
実施例12で用いた濃度5.0wt%PVA水溶液10gを実施例12と同様に60mm×150mmのガラス板上に流し、3日間室温で乾燥後、真空乾燥を1日行い、PVAフィルムを作成した。このフィルムの紫外可視透過度を測定し、その結果を図4に示した。
図4に見られるように、水酸化フラーレン・PVA混和複合体のフィルムおよび水酸化フラーレン/PVA積層フィルムは、PVAフィルムに比較して紫外線透過率が小さく、紫外線防止効果が大幅に向上していた。
水酸化フラーレンC60(OH)10(フロンテイアカーボン社製)をTHF:水(75:25)の混合溶媒に分散させて、液中に分散している水酸化フラーレンの濃度が0.5wt%である水酸化フラーレン分散液を作った。この水酸化フラーレン分散液2.67gとポリプロピレン80gとをプレブレンドした後、210℃に設定したラボミキサーで溶融して、水酸化フラーレン含有樹脂フィルムを作成した。この水酸化フラーレン・ポリプロピレン複合フィルムの紫外可視透過度を測定し、その結果を図5に示した。
〈比較例12〉
水酸化フラーレンC60(OH)10(フロンテイアカーボン社製)をTHF:水(25:75)の混合溶媒に分散させて、液中に分散している水酸化フラーレンの濃度が0.5wt%である水酸化フラーレン分散液を作った。この水酸化フラーレン分散液2.67gとポリプロピレン80gとをプレブレンドした後、210℃に設定したラボミキサーで溶融して、水酸化フラーレン含有樹脂フィルムを作成した。この複合フィルムの紫外可視透過度を測定し、その結果を図5に示した。
〈比較例13〉
実施例14で用いたポリプロピレン80gを実施例14と同様に210℃に設定したラボミキサーで溶融した後、ポリプロピレンフィルムを作成した。このフィルムの紫外可視透過度を測定し、その結果を図5に示した。
図5に見られるように、実施例14の水酸化フラーレン・ポリプロピレン複合体のフィルムは比較例13のポリプロピレンフィルムに比較して紫外線透過率が小さく、紫外線防止効果が大幅に向上した。
なお、比較例12における水酸化フラーレン分散液は比較例2の水酸化フラーレン分散液と同じであり、凝集物が存在するので、実施例14に比べて緻密な水酸化フラーレン含有樹脂フィルムになっていない。そのため、実施例14に比較して紫外線透過率が少し大きくなっている。
〔複合体の収縮防止効果〕
実施例12と同条件で水酸化フラーレン・ポリプロピレン複合フィルムを作成し、50mm×10mmの大きさのフィルムを150℃の雰囲気下に10分、20分、30分間置き、50mm辺の長さの線収縮率を測定した。その結果を表4に示した。
なお、線収縮率の定義は次式とした。
線収縮率(%)={(元の一辺の長さー収縮した後の長さ)/(元の長さ)}×100
〈比較例14〉
実施例15で用いたポリプロピレン80gを実施例14と同様に210℃に設定したラボミキサーで溶融した後、ポリプロピレンフィルムを作成した。実施例15と同条件にてこのフィルムの線収縮率を測定した。その結果を表4に示した。
Figure 2014077109
表4に見られるように、水酸化フラーレン・ポリプロピレン複合フィルムは、ポリプロピレンフィルムに比較して、線収縮率が小さく、線収縮防止効果が大幅に向上した。

Claims (8)

  1. テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒または融解フェノールを連続相に、水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体が分散相として分散されており、前記分散相の個数基準平均粒子径が50nm以下であることを特徴とする水酸化フラーレン類含有溶液。
  2. 前記テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒において水が15%以上含まれていることを特徴とする請求項1記載の水酸化フラーレン類含有溶液。
  3. 少なくとも成形物の表面が重合体の主鎖や側鎖に親水基を有する親水性樹脂からなり、該成形物の表面に、テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒に水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体が分散された請求項1または請求項2に記載の水酸化フラーレン類含有溶液を塗布した後、前記水酸化フラーレン類含有溶液中の混合溶媒であるテトラヒドロフランおよび水を除去することを特徴とする水酸化フラーレン類層を有する成形物の製造方法。
  4. 少なくとも成形物の表面が重合体の主鎖や側鎖に親水基を有さない疎水性樹脂からなり、該成形物の表面を親水化処理し、該親水化処理した成形物の表面に、テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒に水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体が分散された請求項1または請求項2に記載の水酸化フラーレン類含有溶液を塗布した後、前記水酸化フラーレン類含有溶液中の混合溶媒であるテトラヒドロフランおよび水を除去することを特徴とする水酸化フラーレン類層を有する成形物の製造方法。
  5. テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒に水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体が分散された請求項1または請求項2に記載の水酸化フラーレン類含有溶液を樹脂と混和した後、前記水酸化フラーレン類含有溶液中の混合溶媒であるテトラヒドロフランおよび水を除去することを特徴とする水酸化フラーレン類含有樹脂組成物の製造方法。
  6. 少なくとも成形物の表面が親水性樹脂からなる成形物であって、前記成形物の表面部に水酸化フラーレン類層が形成されていることを特徴とする前記請求項3に記載の方法により製造された成形物。
  7. 少なくとも成形物の表面が疎水性の樹脂からなる成形物であって、前記成形物の表面に水酸化フラーレン類層が形成されていることを特徴とする前記請求項4に記載の方法により製造された成形物。
  8. テトラヒドロフランと水とからなる混合溶媒に水酸化フラーレンまたは水酸化フラーレン誘導体が個数基準平均粒子径50nm以下で分散された水酸化フラーレン類含有溶液と樹脂とを混和した後、前記水酸化フラーレン類含有溶液中の混合溶媒であるテトラヒドロフランおよび水を除去することにより得られた前記請求項5に記載の方法により製造された水酸化フラーレン類含有樹脂組成物。
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