JP2014063373A - タッチパネルシステム及び電子情報機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 指示体の検出精度が高いタッチパネルシステムと、当該タッチパネルシステムを備えた電子情報機器と、を提供する。
【解決手段】 タッチパネルシステム1は、検出面Pに沿って互いに平行に設けられる複数のドライブラインDLと複数のセンスラインSLとを備えるタッチパネル10と、複数のドライブラインDLを駆動するドライブライン駆動部20と、駆動期間中にセンス信号Siを順次取得して処理することでドライブラインDLとセンスラインSLとが成す容量の面内分布を示す容量信号Ciを生成するセンス信号処理部30と、容量信号Ci中の不適正な容量を検出して補正することで適正化容量信号Eiを生成する容量信号補正部40と、適正化容量信号Eiに基づいて、タッチパネル10の検出面Pに接触または近接する指示体の位置を検出する指示体位置検出部60と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、投影型の静電容量方式のタッチパネルを備えたタッチパネルシステムや、当該タッチパネルシステムを備えた電子情報機器に関する。
近年、タッチパネルの検出面に接触または近接する指示体(例えば、ユーザの指やタッチペンなど、以下同じ)の位置を検出することによって、ユーザの指示を受け付けるタッチパネルシステムが、携帯電話やパソコンなどの電子情報機器に搭載されることが多くなってきている。特に、マルチタッチが可能な投影型の静電容量方式のタッチパネルが、電子情報機器に搭載されることが多くなってきている。
投影型の静電容量方式のタッチパネルシステムとして、タッチパネルの検出面に沿って互いに平行に設けられる複数のドライブラインと、検出面に沿って互いに平行に設けられるとともにドライブラインと交差する複数のセンスラインと、を備えるものがある。このタッチパネルシステムでは、ドライブラインに所定の信号(以下、「ドライブ信号」という)を与えて駆動し、それによってセンスラインに表れる信号(以下、「センス信号」という)を取得して処理することで、検出面に接触または近接する指示体の位置を検出する。
センスラインに表れるセンス信号は、当該センスラインと、当該センスラインと交差するとともに駆動されているドライブラインと、が成す容量(以下、単に「容量」という)に対応する。このタッチパネルシステムでは、それぞれのセンスラインに表れるセンス信号をそれぞれ処理することで容量の面内分布を求め、指示体が存在しない通常時の容量とは異なる容量となっている位置を、検出面に接触または近接する指示体の位置として検出する。
例えば、上記のタッチパネルシステムとして、ドライブラインを1本ずつ逐次駆動することで、容量の面内分布を求めるものがある。また、複数のドライブラインに対して直交系列となるドライブ信号を与えて駆動し、それに応じて得られるセンス信号に対して内積等の所定の演算を施すことで、容量の面内分布を求めるタッチパネルシステムが、特許文献1で提案されている。
特許文献1で提案されているタッチパネルシステムでは、センス信号に対して所定の演算を施す過程において、検出面内の同じ位置の容量が重畳的に加算される。そのため、ドライブラインを1本ずつ逐次駆動するタッチパネルシステムと比較して、SN(Signal to Noise)比を大きくすることが可能となる。
特開2012−118957号公報
しかしながら、特許文献1で提案されているタッチパネルシステムでは、容量の面内分布を求める際に、ドライブラインの本数と同数だけドライブラインを駆動して、ドライブラインの本数と同数だけセンス信号を取得する必要がある。即ち、このタッチパネルシステムでは、ある瞬間ではなく、ドライブラインを所定回数駆動する期間(以下、「駆動期間」とする)中におけるタッチパネル上の指示体を検出するものとなる。そのため、この駆動期間中に容量が変動すると、容量の算出精度が低下することで指示体の検出精度が低下するため、問題となる。特に、このタッチパネルシステムでは、一部の位置の容量の変動が、当該位置の容量の算出結果だけでなく、他の位置の容量の算出結果にも影響を与えるため、問題となる。
なお、タッチパネルの検出面がそれほど大きくない(ドライブラインがそれほど多くない)タッチパネルシステムや、ユーザの操作が遅い電子情報機器に適用されるタッチパネルシステムなど、従前のタッチパネルシステムでは、上記の問題が顕著にならず、無視することが可能である。しかしながら、昨今では、タッチパネルの大型化や、ユーザの操作が速い電子情報機器(例えば、テレビゲーム機など)へのタッチパネルシステムの適用などが進んできており、今後は上記の問題を無視することができなくなると予想される。
そこで、本発明は、指示体の検出精度が高いタッチパネルシステムと、当該タッチパネルシステムを備えた電子情報機器と、を提供する。
上記目的を達成するため、本発明は、検出面に沿って互いに平行に設けられる複数のドライブラインと、前記検出面に沿って互いに平行に設けられるとともに前記ドライブラインと交差する複数のセンスラインと、を備えるタッチパネルと、複数の前記ドライブラインに対して順次変動するドライブ信号を与えることで駆動するドライブライン駆動部と、前記ドライブラインを所定回数駆動する期間である駆動期間中に前記センスラインに表れるセンス信号を順次取得して処理することで、前記ドライブラインと前記センスラインとが成す容量の面内分布を示す容量信号を生成するセンス信号処理部と、前記容量信号中の不適正な容量を検出して補正することで適正化容量信号を生成する容量信号補正部と、前記適正化容量信号に基づいて、前記タッチパネルの前記検出面に接触または近接する指示体の位置を検出する指示体位置検出部と、を備えることを特徴とするタッチパネルシステムを提供する。
さらに、上記特徴のタッチパネルシステムにおいて、前記容量信号補正部が、前記容量信号中で第1閾値以上となる容量を、不適正な容量として検出するものであり、前記第1閾値は、前記検出面に接触または近接する前記指示体が存在しない場合の容量の大きさ以上であると、好ましい。
さらに、上記特徴のタッチパネルシステムにおいて、前記容量信号補正部が直近に生成した前記適正化容量信号を記憶する記憶部を、さらに備え、前記容量信号補正部は、処理対象の前記容量信号中の不適正な容量を、前記記憶部に記憶されている前記適正化容量信号中の容量であって当該不適正な容量と前記検出面内で同位置となる容量で置換して、新たな前記適正化容量信号を生成すると、好ましい。
さらに、上記特徴のタッチパネルシステムにおいて、前記容量信号補正部は、処理対象の前記容量信号中の容量と、前記記憶部に記憶されている前記適正化容量信号中の容量であって当該処理対象の前記容量信号中の容量と前記検出面内で同位置となる容量と、の差分の絶対値が第2閾値以下であるとき、当該処理対象の前記容量信号中の容量を、不適正な容量として検出するものであり、前記第2閾値は、前記検出面に前記指示体が接触または近接することで生じる容量の変動の大きさ以下であると、好ましい。
さらに、上記特徴のタッチパネルシステムにおいて、前記容量信号補正部は、処理対象の前記容量信号中の不適正な容量を置換した場合、置換後の容量を用いて他の容量を求め直すことで、新たな前記適正化容量信号を生成すると、好ましい。
さらに、上記特徴のタッチパネルシステムにおいて、前記センス信号処理部は、前記容量信号を生成する過程で、取得した1回分の前記センス信号を処理することによって、前記センスラインと複数の前記ドライブラインとが成す複数の容量を加算または減算して組み合わせた出力値を求め、前記容量信号補正部は、処理対象の前記容量信号中の不適正な容量を置換した場合、置換後の容量と前記出力値とを用いて他の容量を求め直し、前記容量信号補正部は、前記駆動期間中で時間的に後に得られた前記センス信号を処理することで求められる前記出力値を優先的に用いて、他の容量を求め直すと、好ましい。
さらに、上記特徴のタッチパネルシステムにおいて、複数の前記ドライブラインに対して与えられる前記ドライブ信号の成分が、直交系列ないしM系列であると、好ましい。
また、本発明は、上記のタッチパネルシステムを備えたことを特徴とする電子情報機器を提供する。
上記特徴のタッチパネルシステムによれば、駆動期間中に検出面内の一部の位置の容量が変動し、その変動の影響が他の位置の容量に影響を与えることで、容量信号中に不適正な容量が含まれたとしても、その不適正な容量を補正した適正化容量信号に基づいて、指示体が検出される。そのため、タッチパネルシステムにおける指示体の検出精度を、高くすることが可能になる。
さらに、容量信号中において、他の位置の容量の変動の影響やノイズの影響などを受けて、通常ではあり得ない値となっている容量を、不適正な容量であると判断して補正することが可能となる。
本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムの全体的な構造の一例を示すブロック図。 図1のタッチパネルが備えるドライブライン及びセンスラインの構造の一例について示す平面図及び回路図。 タッチパネルの直交並列駆動について説明する図。 タッチパネルに対して図3の直交並列駆動をする場合における処理後信号の復号方法について説明する図。 容量信号補正部による容量信号の補正方法の一例について示すフローチャート。 容量信号補正部による容量信号の補正方法の具体例について示す表。 本発明の実施形態に係る電子情報機器の構成例を示すブロック図。
<<タッチパネルシステム>>
<タッチパネルシステム全体>
以下、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムについて、図面を参照して説明する。最初に、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムの全体的な構造及び動作の一例について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムの全体的な構造の一例を示すブロック図である。また、図2は、図1のタッチパネルが備えるドライブライン及びセンスラインの構造の一例について示す平面図及び回路図である。なお、図2(a)は、タッチパネル10が備えるドライブラインDL及びセンスラインSLの構造について示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)の等価回路を示す回路図である。
図1に示すように、タッチパネルシステム1は、検出面Pに沿って互いに平行に設けられる複数のドライブラインDLと検出面Pに沿って互いに平行に設けられるとともにドライブラインDLと交差する複数のセンスラインSLとを備えるタッチパネル10と、複数のドライブラインDLに対して順次変動するドライブ信号Diを与えることで駆動するドライブライン駆動部20と、ドライブラインDLを所定回数駆動する期間である駆動期間中にセンスラインSLに表れるセンス信号Siを順次取得して処理することでドライブラインDLとセンスラインSLとが成す容量の面内分布を示す容量信号Ciを生成するセンス信号処理部30と、容量信号Ci中の不適正な容量を検出して補正することで適正化容量信号Eiを生成する容量信号補正部40と、容量信号補正部40が直近に生成した適正化容量信号Eiを記憶する記憶部50と、適正化容量信号Eiに基づいて検出面Pに接触または近接する指示体の位置を検出して検出結果信号Tiを生成する指示体位置検出部60と、クロック信号CLKを生成するクロック信号生成部70と、クロック信号CLKに同期したタイミングでドライブライン駆動部20及びセンス信号処理部30を動作させるタッチパネル制御部80と、を備える。
タッチパネル10が備えるドライブラインDLは、X方向(図中上下方向)に沿って延びるように設けられている。一方、タッチパネル10が備えるセンスラインSLは、X方向に対して垂直なY方向(図中左右方向)に沿って延びるように設けられている。即ち、図1に示すタッチパネルシステム1では、ドライブラインDL及びセンスラインSLが、垂直に交差する。なお、ドライブラインDL及びセンスラインSLは、垂直以外の角度で交差してもよい。
また、図2(a)及び図2(b)に示すように、ドライブラインDLは、センスラインSLと交差する部分を除いて局所的に面積が大きくなるドライブラインパッド部DLPを備える。同様に、センスラインSLは、ドライブラインDLと交差する部分を除いて局所的に面積が大きくなるセンスラインパッド部SLPを備える。そして、図2(a)及び図2(b)に示すように、ドライブラインDL及びセンスラインSLが交差する部分では、ドライブラインDLとセンスラインSLとの間に容量Cが形成される。
図2(a)に示す例では、主に隣接するドライブラインパッド部DLPとセンスラインパッド部SLPとの間に容量Cが形成される。なお、ドライブラインDLがドライブラインパッド部DLPを備えず、センスラインSLがセンスラインパッド部SLPを備えなくてもよい。この場合でも、ドライブラインDL及びセンスラインSLの交差する部分において、容量が形成される。
ドライブライン駆動部20は、タッチパネル制御部80による制御に従い、所定のタイミングかつ所定のパターンで変動するドライブ信号DiをドライブラインDLに与えて、ドライブラインDLを駆動する。
センス信号処理部30は、センス信号取得部31と、復号処理部32と、を備える。センス信号取得部31は、タッチパネル制御部80による制御に従い、所定のタイミングでセンスラインSLに表れるセンス信号Siを取得して、増幅や変換などの処理を行うことにより処理後信号Aiを生成する。復号処理部32は、タッチパネル制御部80による制御に従い、処理後信号Aiを復号することで容量信号Ciを生成する。
容量信号補正部40は、センス信号処理部30から得られる容量信号Ci中の不適正な容量を検出して補正することで、適正化容量信号Eiを生成する。このとき、容量信号補正部40は、記憶部50が記憶している適正化容量信号Eiと、センス信号処理部30が生成する処理後信号Aiと、を利用する(詳細については後述)。
記憶部50は、容量信号補正部40が処理対象とする容量信号Ciよりも前に得られた容量信号Ciから生成された過去の適正化容量信号Eiを記憶する。具体的に例えば、記憶部50は、容量信号補正部40が直近に生成した適正化容量信号Eiを、記憶する。
そして、指示体位置検出部60が、容量信号補正部40によって生成された適正化容量信号Eiに基づいて、検出面Pに接触または近接する指示体の位置を検出(例えば、適正化容量信号Eiが示す容量の面内分布から、容量が減少している位置を検出)することで、検出結果信号Tiを生成する。
例えば、検出結果信号Tiには、検出された指示体の数や、それぞれの指示体の位置、それぞれの指示体の検出面Pに対する接触または近接の程度を示すデータなどが含まれ得る。そして、この検出結果信号Tiは、例えばタッチパネルシステム1を備える電子情報機器において、ユーザの指示を示す信号として利用される。
<タッチパネルの駆動方法と容量信号の生成方法>
次に、上述したタッチパネルシステム1の各部の具体的な動作例について、図面を参照して説明する。最初に、ドライブライン駆動部20によるタッチパネル10の駆動方法のと、センス信号処理部30による容量信号Ciの生成方法について、図面を参照して説明する。なお、以下では説明の具体化のため、ドライブライン駆動部20が、タッチパネル10を直交並列駆動する場合について例示する。
図3及び図4を参照して、タッチパネル10の直交並列駆動について説明する。図3は、タッチパネルの直交並列駆動について説明する図である。また、図4は、タッチパネルに対して図4の直交並列駆動をする場合における処理後信号の復号方法について説明する図である。なお、図3では説明の簡略化のために、1本のセンスラインSL1と、4本のドライブラインDL1〜DL4のみを示している。また、センスラインSL1とドライブラインD1〜D4のそれぞれとが成すそれぞれの容量をC11〜C41とする。
図3の上側のブロック図に示すように、センス信号取得部31は、センスラインSL1が接続される反転入力端子(−)と出力端子とが増幅容量Cintを介して接続されるとともに非反転入力端子(+)が接地電圧(GND)になるオペアンプから成る増幅部311と、増幅部311の出力端子の電圧値VoutをAD(Analog to Digital)変換するとともに容量C11〜C41を示すデジタルの出力値Coutを出力する出力値生成部312と、を備える。なお、上述の処理後信号Aiは、出力値Coutを示す信号である。
また、図3の下側の表に示すように、タッチパネル10の直交並列駆動では、ドライブラインDL1〜DL4に対して、「1」(正の電圧、+V)と「−1」(負の電圧、−V)を成分として有するドライブ信号が与えられる。なお、ドライブラインDL1〜DL4に対して与えられるドライブ信号は、「1」及び「−1」が順次変動し、所定の周期(本例ではドライブラインDL1〜DL4を4回駆動する期間)で繰り返されるものである。
直交並列駆動では、ドライブラインDL1〜DL4の駆動によって、ドライブラインDL1〜DL4のそれぞれに正または負の電荷が蓄積される。そのため、センスラインSL1には、全ての容量C11〜C41を加算または減算して組み合わせた値に対応した電圧値のセンス信号Si1が表れ、増幅部311の出力端子の電圧値Voutも、容量C11〜C41を加算または減算して組み合わせた値に対応した値となる。
具体的に、1回目の駆動では、ドライブラインDL1〜DL4の全てに対して「1」が与えられるため、増幅部311の出力端子の電圧値Voutは、Vout=(C11+C21+C31+C41)・V/Cintとなる。このとき、電圧V及び増幅容量Cintが既知であるため、出力値生成部312は、電圧値Voutに対して簡単な演算を行う(Cint/Vを乗じる)だけで、容量C11〜C41を加算または減算して組み合わせた出力値Coutを得ることができる。この1回目の駆動では、出力値生成部312が演算を行うと、C11+C21+C31+C41を示す出力値Coutが得られる。
また、2回目の駆動では、ドライブラインDL1,DL3に対して「1」が与えられ、ドライブラインDL2,DL4に対しては「−1」が与えられるため、増幅部311の出力端子の電圧値Voutは、Vout=(C11−C21+C31−C41)・V/Cintとなる。そして、出力値生成部312の演算によって、C11−C21+C31−C41を示す出力値Coutが得られる。
また、3回目の駆動では、ドライブラインDL1,DL2に対して「1」が与えられ、ドライブラインDL3,DL4に対しては「−1」が与えられるため、増幅部311の出力端子の電圧値Voutは、Vout=(C11+C21−C31−C41)・V/Cintとなる。そして、出力値生成部312の演算によって、C11+C21−C31−C41を示す出力値Coutが得られる。
また、4回目の駆動では、ドライブラインDL1,DL4に対して「1」が与えられ、ドライブラインDL2,DL3に対しては「−1」が与えられるため、増幅部311の出力端子の電圧値Voutは、Vout=(C11−C21−C31+C41)・V/Cintとなる。そして、出力値生成部312の演算によって、C11−C21−C31+C41を示す出力値Coutが得られる。
上記のようにして得られた出力値Coutから、それぞれの容量C11〜C41を求めるためには、図4に示すように復号処理部32による出力値Coutの復号が必要となる。なお、図4では、4本のセンスラインSL1〜SL4と、ドライブラインDL1〜DL4と、が成す容量C11〜C44をそれぞれ求める場合について説明するが、ドライブラインDL1〜DL4に与えられるドライブ信号は、図3と同様である。
また、図4(a)に示すように、センスラインSL1とドライブラインDL1〜DL4とが成す容量をC11〜C41、センスラインSL2とドライブラインDL1〜DL4とが成す容量をC12〜C42、センスラインSL3とドライブラインDL1〜DL4とが成す容量をC13〜C43、センスラインSL4とドライブラインDL1〜DL4とが成す容量をC14〜C44とする。さらに、1回目〜4回目の駆動時におけるセンスラインSL1の出力値をCout11〜Cout41、1回目〜4回目の駆動時におけるセンスラインSL2の出力値をCout12〜Cout42、1回目〜4回目の駆動時におけるセンスラインSL3の出力値をCout13〜Cout43、1回目〜4回目の駆動時におけるセンスラインSL4の出力値をCout14〜Cout44とする。
この場合、図4(b)に示すように、出力値Cout11〜Cout44の行列「Cout」は、ドライブ信号の行列「H」と容量C11〜C44の行列「C」との内積になる。なお、行列「Cout」は、出力値が得られるセンスラインSL1〜SL4を行、出力値が得られる順番を列としたものである。また、行列「H」は、ドライブ信号の成分を与えるドライブラインDL1〜DL4を行、ドライブ信号の成分を与える順番を列としたものである。また、行列「C」は、ドライブラインDL1〜DL4が延びる方向(X方向)に沿った容量を行、センスラインSL1〜SL4が延びる方向(Y方向)に沿った容量を列としたものである。
ここで、説明の具体化のために、図3に示したセンスラインSL1及び容量C11〜C41に着目する。なお、以下の説明は、これ以外のセンスラインSL2〜SL4及び容量C12〜C42,C13〜C43,C14〜C44についても、同様に妥当するものである。
図4(b)における内積「H」・「C」の第1行第1列の成分であるCout11は、下記式(1)となる。同様に、内積「H」・「C」の第2行第1列の成分であるCout21は下記式(2)、内積「H」・「C」の第3行第1列の成分であるCout31は下記式(3)、内積「H」・「C」の第4行第1列の成分であるCout41は下記式(4)となる。
Cout11=C11+C21+C31+C41 ・・・(1)
Cout21=C11−C21+C31−C41 ・・・(2)
Cout31=C11+C21−C31−C41 ・・・(3)
Cout41=C11−C21−C31+C41 ・・・(4)
直交並列駆動では、ドライブラインDL1〜DL4に対して与えられるドライブ信号の成分「1」及び「−1」が直交系列となるため、行列「H」が直交行列になる。そのため、図4(c)に示すように、ドライブ信号の行列「H」の転置行列(行の成分と列の成分を入れ替えた行列)「H」と行列「Cout」との内積を求めるのみで、行列「C」(即ち、容量の面内分布)を求めることができる。なお、本例では、行列「H」が行列「H」と等しくなる。
具体的に、内積「H」・「Cout」の第1行第1列の演算結果は、下記式(5)となる。同様に、内積「H」・「Cout」の第2行第1列の演算結果は下記式(6)となり、内積「H」・「Cout」の第3行第1列の演算結果は下記式(7)となり、内積「H」・「Cout」の第4行第1列の演算結果は下記式(8)となる。なお、下記式(5)〜(8)の右辺は、下記式(5)〜(8)の左辺に対して上記式(1)〜(4)をそれぞれ代入することで求められる。
Cout11+Cout21+Cout31+Cout41=4・C11 ・・・(5)
Cout11−Cout21+Cout31−Cout41=4・C21 ・・・(6)
Cout11+Cout21−Cout31−Cout41=4・C31 ・・・(7)
Cout11−Cout21−Cout31+Cout41=4・C41 ・・・(8)
このように、直交並列駆動では、復号処理部32の復号処理(行列の演算)によって、t倍(図4の例では4)の容量C11〜C41が求められるため、復号処理部32が生成する容量信号Ciでは、ノイズの影響をt1/2倍に低減することが可能となる。
ただし、上記式(1)〜(8)の演算では、駆動期間中(1回目〜4回目の駆動が行われる期間中)に容量C11〜C41が変動しないことを前提としている。そのため、例えば検出面P内の一部に指示体が接触または近接するなどして、駆動期間中に容量C11〜C41のいずれか1つでも変動すると、その変動した容量については、上記式(1)〜(4)で値が統一されないことになる。すると、上記式(5)〜(8)のように連立方程式を解いて容量C11〜C41を求めるときに、変動した容量の影響を受けて他の容量が正しく求められなくなり、指示体の検出精度が低下することが生じ得る。
そこで、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステム1では、以下説明するように、容量信号補正部40が、容量信号Ci中の不適正な容量を検出して補正する。これにより、ドライブラインDL1〜DL4の駆動期間中に容量C11〜C41の少なくとも1つが変動したとしても、その変動が他の容量の演算結果に影響を与えることを抑制する。
<容量信号の補正方法>
容量信号補正部40による容量信号Ciの補正方法(適正化容量信号Eiの生成方法)について、図面を参照して説明する。図5は、容量信号補正部による容量信号の補正方法の一例について示すフローチャートである。なお、図5に示すフローチャートは、1つの適正化容量信号Eiを生成する際の容量信号補正部40の動作を示すものであり、繰り返し行われるものである。また、以下の説明では、生成されたタイミングが異なる同種の信号や当該信号中の成分を、「´」を付加することで区別する。
図5に示すように、容量信号補正部40は、最初に処理対処の容量信号Ciをセンス信号処理部30から取得する(ステップ#1)。また、容量信号補正部40は、記憶部50から、前回の図5の動作により得られて記憶部50に記憶された適正化容量信号Ei´(即ち、容量信号補正部40が直近に生成した適正化容量信号Ei´であり、以下「前回の適正化容量信号Ei´」という)を取得する(ステップ#2)。なお、このステップ#1及びステップ#2は、どちらを先に行なってもよい。
次に、容量信号補正部40は、例えば、処理対象の容量信号Ci中のそれぞれの容量Cの大きさを確認したり、処理対象の容量信号Ci中の容量Cと前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´とを比較したりすることで、処理対象の容量信号Ci中の不適正な容量Cを検出する(ステップ#3)。
具体的に例えば、容量信号補正部40は、例えば以下の(条件1)または(条件2)を満たす処理対象の容量信号Ci中の容量Cを、不適正な容量であると判断する。なお、以下では(条件1)及び(条件2)の双方を用いて、処理対象の容量信号Ci中の不適正な容量Cを検出する場合について説明するが、(条件1)及び(条件2)のいずれか一方のみを用いて処理対象の容量信号Ci中の不適正な容量Cを検出してもよいし、別の条件を用いて処理対象の容量信号Ci中の不適正な容量Cを検出してもよい。
C≧TH1 ・・・(条件1)
容量信号補正部40は、処理対象の容量信号Ci中で、第1閾値TH1以上となる容量Cを、不適正な容量として検出する。なお、第1閾値TH1は、検出面Pに接触または近接する指示体が存在しない場合の容量の大きさ以上の値とする。例えば、検出面Pに接触または近接する指示体が存在しない場合の容量の大きさに、ノイズ等の影響による変動成分を加えた値としてもよい。
検出面Pに、人の指等の接地された物体である指示体が接触または近接すると、当該指示体はシールドとして振る舞うため、指示体が接触または近接した位置におけるドライブラインDL及びセンスラインSL間の容量は、検出面Pに接触または近接する指示体が存在しない場合と比較して小さくなる。そのため、第1閾値TH1以上の容量Cは、通常ではあり得ない値となっており、他の位置の容量の変動の影響やノイズの影響などを受けている可能性が高い。したがって、上記(条件1)を満たす容量Cは、不適正な容量であると言える。
|C−C´|≦TH2 ・・・(条件2)
容量信号補正部40は、処理対象の容量信号Ci中の容量Cと、当該容量Cと検出面P内で同位置となる前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´と、の差分の絶対値が、第2閾値TH2(正の値)以下であるとき、当該容量Cを不適正な容量として検出する。なお、第2閾値TH2は、検出面Pに指示体が接触または近接することで生じる容量の変動の大きさ(正の値)以下の値とする。
検出面Pに指示体が接触または近接することによる容量の変動の大きさは、他の位置の容量の変動の影響やノイズの影響などを受けて見かけ上(演算結果上)変動する容量の大きさよりも、十分に大きい。そのため、検出面Pに指示体が接触または近接することで生じる容量の変動の大きさ以下だけ変動している容量Cは、実際には変動していないが見かけ上(演算結果上)変動している可能性が高いものである。したがって、上記(条件2)を満たす容量Cは、不適正な容量であると言える。
ところで、上記(条件2)は、処理対象の容量信号Ci中の容量Cが、当該容量Cと検出面P内で同位置となる前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´と略同一の場合も満たされる。そのため、このような容量Cは不適正な容量として判断され、補正の対象になる。しかしながら、後述のように、補正の対象となる容量Cは、当該容量Cと検出面P内で同位置となる前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´で置換されることで補正されるため、補正による容量の変動は略無く、指示体の検出には影響がない。
容量信号補正部40は、処理対象の容量信号Ci中から不適正な容量Cを検出しない場合(ステップ#4,NO)、処理対象の容量信号Ciを、今回の図5の動作により生成した適正化容量信号Eiとする(ステップ#5)。そして、容量信号補正部40は、今回の図5の動作で得られた適正化容量信号Eiを、指示体位置検出部60に与えるとともに、記憶部50に記憶させる(ステップ#6)。
一方、容量信号補正部40は、処理対象の容量信号Ci中から不適正な容量Cを検出する場合(ステップ#4,YES)、その不適正な容量Cを補正した処理対象の容量信号Ciを、今回の図5の動作により生成した適正化容量信号Eiとする(ステップ#7)。
このとき、容量信号補正部40は、処理対象の容量信号Ci中の不適正な容量Cを、当該容量Cと検出面P内で同位置となる前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´で置換することで、補正を行う。さらに、容量信号補正部40は、置換後の容量を用いて他の容量を求め直して、適正化容量信号Eiを生成する。そして、容量信号補正部40は、今回の図5の動作で得られた適正化容量信号Eiを、指示体位置検出部60に与えるとともに、記憶部50に記憶させる(ステップ#6)。
以上のように、本発明の実施形態に係るタッチパネルシステム1では、駆動期間中に検出面P内の一部の位置の容量が変動し、その変動の影響が他の位置の容量に影響を与えることで、容量信号Ci中に不適正な容量が含まれたとしても、その不適正な容量を補正した適正化容量信号Eiに基づいて、指示体が検出される。そのため、タッチパネルシステム1における指示体の検出精度を、高くすることが可能になる。
[具体例]
容量信号補正部40による容量信号Ciの補正方法の具体例について、図面を参照して説明する。図6は、容量信号補正部による容量信号の補正方法の具体例について示す表である。なお、図6(a)は、実際の容量の面内分布の具体例を示す表である。また、図6(b)は、実際の容量の面内分布が図6(a)である場合に得られる容量信号が示す容量の面内分布の具体例を示す表である。また、図6(c)は、容量信号が示す容量の面内分布が図6(b)である場合に得られる適正化容量信号が示す容量の面内分布を示す表である。
図6(a)〜(c)に示す表は、図3及び図4に対応したものであり、1本のセンスラインSL1と、4本のドライブラインDL1〜DL4と、が成す4つの容量C11〜C41の変動を示したものである。また、図6(a)〜(c)に示す表では、ドライブラインの1回目〜4回目の駆動をする期間を駆動期間Q1、5回目〜8回目の駆動をする期間を駆動期間Q2としており、それぞれの駆動期間Q1,Q2において、図3の下側の表に示したドライブ信号の成分がドライブラインDL1〜DL4に対して与えられ、ドライブラインDL1〜DL4が駆動される。
また、図6(a)〜(c)に示すそれぞれの表では、検出面Pに接触または近接する指示体が存在しない場合の容量が「10」であり、上記(条件1)の第1閾値TH1を「11」、上記(条件2)の第2閾値TH2を「0.5」とする。また、駆動期間Q1の開始時点において、記憶部50に記憶されている前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´11〜C´41は、全て「10」であるものとする。
(駆動期間Q1)
図6(a)に示すように、駆動期間Q1では、検出面Pに接触または近接する指示体が存在しないため、1回目〜4回目の駆動時における実際の容量C11〜C41が、全て「10」になっている。この場合、上記式(1)〜(4)によって得られるセンスラインSL1の出力値Cout11〜Cout41は、以下の計算式に示す通りである。
Cout11=10+10+10+10=40
Cout21=10−10+10−10=0
Cout31=10+10−10−10=0
Cout41=10−10−10+10=0
そして、この出力値Cout11〜Cout41を用いて上記式(5)〜(8)によって求められる、容量信号Ci中の容量C11〜C41は、以下の計算式及び図6(b)に示す通り、全て「10」になる。
40+0+0+0=4・C11 C11=10
40−0+0−0=4・C21 C21=10
40+0−0−0=4・C31 C31=10
40−0−0+0=4・C41 C41=10
この場合、容量信号Ci中の容量C11〜C41の全てが「10」であり、第1閾値TH1の「11」よりも小さくなる。そのため、上記(条件1)を満たす容量は存在しない。
一方、容量信号Ci中の容量C11〜C41と、前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´11〜C´41と、の検出面P内の対応する位置毎の差分は全て「0」であり、当該差分は第2閾値TH2の「0.5」以下となる。そのため、容量信号Ci中の容量C11〜C41は、上記(条件2)を満たす。
このとき、容量信号補正部40は、容量信号Ci中の容量C11〜C41を不適正な容量として検出し、これを補正することで、適正化容量信号Eiを生成する(図5のステップ#7)。具体的に、容量信号補正部40は、容量信号Ci中の不適正な容量C11〜C41を、前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´11〜C´41で置換した上で、出力値Cout11〜Cout41を示す上記式(1)〜(4)の中から必要なものを用いて他の容量を求め直すことで、図6(c)に示す適正化容量信号Ei中の容量C11〜C41を求める。
ただし、この駆動期間Q1の例では、容量信号Ci中の容量C11〜C41の全てが、前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´11〜C´41で置換されるため、上記式(1)〜(4)を用いた演算は不要となる。また、この駆動期間Q1の例では、容量信号Ci中の容量C11〜C41の全てが、当該容量C11〜C41と等しい前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´11〜C´41で置換されるため、補正による容量の変動は無い。したがって、容量信号補正部40が最終的に生成する適正化容量信号Eiの容量C11〜C41は、前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´11〜C´41及び容量信号Ci中の容量C11〜C41と同じ「10」となる。
そして、容量信号補正部40は、生成した適正化容量信号Eiを、記憶部50に記憶させる(図5のステップ#6)。これにより、駆動期間Q1の次の駆動期間Q2の開始時点において、記憶部50に記憶されている前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´11〜C´41が、全て「10」になる。
(駆動期間Q2)
図6(a)に示すように、駆動期間Q2では、実際の容量C11,C21は全て「10」になっているが、実際の容量C31,C41は、6回目から8回目にかけて大きく減少している。この場合、上記式(1)〜(4)によって得られるセンスラインSL1の出力値Cout11〜Cout41は、以下の計算式に示す通りとなる。
Cout11=10+10+10+10=40
Cout21=10−10+9−8=1
Cout31=10+10−8−6=6
Cout41=10−10−7+6=−1
そして、この出力値Cout11〜Cout41を用いて上記式(5)〜(8)によって求められる、容量信号Ciが示す容量C11〜C41は、以下の計算式及び図6(b)に示す通りである。
40+1+6+(−1)=4・C11 C11=11.5
40−1+6−(−1)=4・C21 C21=11.5
40+1−6−(−1)=4・C31 C31=9
40−1−6+(−1)=4・C41 C41=8
図6(a)に示すように、この駆動期間Q2の例では、駆動期間Q2を通して実際の容量C11,C21が「10」のまま変動していないにもかかわらず、容量信号Ci中では「10」と異なる値「11.5」になっている。この場合、容量信号Ci中の容量C11,C21は、第1閾値TH1の「11」以上となるため上記(条件1)を満たす。そこで、容量信号補正部40が、容量信号Ci中の容量C11,C21を不適正な容量として検出する。
一方、容量C31,41は、第1閾値TH1の「11」以上とはならないため、上記(条件1)を満たさない。さらに、容量C31,41は、前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´31,C´41(共に「10」)との差分が、「1」,「2」となり、第2閾値TH2の「0.5」以下にはならないため、上記(条件2)も満たさない。そのため、容量信号補正部40は、容量信号Ci中の容量C31,C41を、不適正な容量として検出しない。
この場合、容量信号補正部40は、容量信号Ci中の不適正な容量C11,C21を、前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´11,C´21で置換した上で、出力値Cout11〜Cout41を示す上記式(1)〜(4)の中から必要なものを用いて他の容量C31,C41を求め直すことによって、図6(c)に示す適正化容量信号Ei中の容量C11〜C41を求める。
具体的に、容量信号補正部40は、容量信号Ci中の不適正な容量C11を、前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´11で置換する。同様に、容量信号補正部40は、容量信号Ci中の不適正な容量C21を、前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´1で置換する。これにより、適正化容量信号Ei中の容量C11,C21は、それぞれ「10」となる。さらに、容量信号補正部40は、以下の計算式に示す通り、置換した容量C11,C21を、Cout31,Cout41を示す上記式(3),(4)に適用することで、適正化容量信号Ei中の容量C31,C41を求める。
Cout31=10+10−C31−C41=6
Cout41=10−10−C31+C41=−1
C31=7.5
C41=6.5
そして、容量信号補正部40は、生成した適正化容量信号Eiを、記憶部50に記憶させる(図5のステップ#6)。
このように、容量信号補正部40は、容量信号Ci中の不適正な容量C11,C21を、直近に生成された適正化容量信号Ei´中の容量C´11,C´21で置換して補正するため、簡易的かつ確実に適正な容量へと補正することが可能になる。さらに、容量信号補正部40は、容量信号Ci中の不適正な容量を置換した後に、他の容量を求め直すことで、容量信号Ci中の不適正な容量C11,C21を補正するだけでなく、容量信号Ciの算出時に不適正な容量C11,C21が吸収した変動成分を、実際に変動があった他の容量C31,41に戻すことが可能になる。
なお、上記の駆動期間Q2の例において、置換によって適正化容量信号Ei中の容量C11,C21の値が得られているときに、上記式(3),(4)を用いて他の容量C31,C41を求める場合について例示したが、他の式(例えば、上記式(1)及び(2))を用いて容量C31,C41を求めることも可能である。
ただし、駆動期間Q2中で時間的に後に得られたセンス信号Siを処理することで求められる出力値(順に、Cout41,Cout31,Cout21,Cout11)ほど、現在の容量の面内分布に近い状態を示すものとなる。そのため、上記例のように、駆動期間Q2中で時間的に後に得られたセンス信号Siを処理することで求められる出力値Cout31,41(上記式(3),(4))を優先的に用いて、他の容量C31,C41を求め直すと、適正化容量信号Eiが示す容量の面内分布のリアルタイム性を向上させることができるため、好ましい。
また、上記の駆動期間Q2の例では、容量信号Ci中の置換される容量の数(既知数)が2つであったため、他の2つの容量(未知数)を求め直す際に、これと同数(2つ)の式(3),(4)が必要になる。このように、原則として、容量信号Ci中の置換されない容量(未知数)の数と同数の式が必要となる。
また、例えば容量信号Ci中の2つの容量C21,C41が置換される場合、上述の駆動期間Q2の例と同様に上記式(3),(4)を優先的に用いて残りの容量C11,C31を求めようとすると、上記式(3),(4)では容量C11,C31の係数が同じであるため、このままでは容量C11,C31を求めることができない。そこで、このような場合は、上記式(3)の次に優先される上記式(2)を用いればよい。
<<M系列>>
ここまで、ドライブ信号の成分として直交系列を用いるケースを説明したが、擬似直交系列であるM系列を用いてもよい。即ち、ドライブ信号の成分である行列「H」を、1行目に符号長N(=2−1)のM系列符号を当てはめ、2行目以降にはそれを順次1bit毎巡回シフトした符号を当てはめたものとしてもよい。この場合も、「H」の転置行列「H」と行列「Cout」との内積を求めるのみで、行列「C」(即ち、容量の面内分布)を求めることができる。但し直交系列を用いた場合と異なり、M系列を用いた場合は内積演算結果に誤差を含むが、N=63または127のように符号長Nを大きくすることで、SN比の劣化を抑制することが可能である。
<<電子情報機器>>
上述のタッチパネルシステム1を備えた、本発明の実施形態に係る電子情報機器の構成例について、図7を参照して説明する。図7は、本発明の実施形態に係る電子情報機器の構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、本発明の実施形態に係る電子情報機器100は、表示装置101と、表示装置101を制御する表示装置制御部102と、上述のタッチパネル10に相当するタッチパネル103と、上述のタッチパネルシステム1におけるタッチパネル10を除いた各部(ドライブライン駆動部20、センス信号処理部30、容量信号補正部40、記憶部50、指示体位置検出部60、クロック信号生成部70及びタッチパネル制御部80)に相当するタッチパネルコントローラ104と、ユーザに押下されることでユーザの指示を受け付けるボタンスイッチ部105と、撮像により画像データを生成する撮像部106と、入力される音声データを音声として出力する音声出力部107と、集音により音声データを生成する集音部108と、音声出力部107に与える音声データの処理や集音部108から与えられる音声データの処理を行う音声処理部109と、電子情報機器100の外部の機器と通信データを無線により通信する無線通信部110と、無線通信部110が無線により通信する通信データを電磁波として放射するとともに電子情報機器100の外部の機器から放射された電磁波を受信するアンテナ111と、電子情報機器100の外部の機器と通信データを有線により通信する有線通信部112と、各種データを記憶するメモリ113と、電子情報機器100の全体の動作を制御する本体制御部114と、を備える。
なお、上述の容量信号補正部40、指示体位置検出部60、クロック信号生成部70及びタッチパネル制御部80の一部または全部を、タッチパネルコントローラ104ではなく、本体制御部114の一部としてもよい。同様に、上述の記憶部50を、タッチパネルコントローラ104ではなく、メモリ113の一部としてもよい。
また、図7に示す電子情報機器100は、タッチパネルシステム1の適用例の1つに過ぎない。上述タッチパネルシステム1は、電子情報機器100とは異なる構成の電子情報機器に対しても、適用可能である。
<<変形等>>
[1] 上記(条件1)における第1閾値TH1及び上記(条件2)における第2閾値TH2は、外部からの操作によって書換可能であると、好ましい。具体的に例えば、第1閾値TH1及び第2閾値TH2が、タッチパネルシステム1または当該タッチパネルシステム1を備えた電子情報機器100の出荷時や、出荷後のキャリブレーション時において、自動または手動で設定されると、好ましい。このように構成すると、第1閾値TH1及び第2閾値TH2を、適切な値として設定することが可能になる。
[2] 図6では、連続する駆動期間Q1及びQ2が、全く重複しない場合について例示しているが、これらの駆動期間は一部が重複していてもよい。具体的に例えば、図6に示す例において、1回目〜4回目の駆動期間Q1の次が、2回目〜5回目の駆動期間であってもよい。この場合、ドライブラインDL1〜DL4が1回駆動される毎に、新たな適正化容量信号Eiを得ることができるため、指示体の検出回数を多くする(指示体の検出を密に行う)ことが可能になる。
[3] 上記(条件2)について、上限値である第2閾値TH2のみを設定しているが、さらに下限値である第3閾値TH3(第2閾値より小さい正の値)を設定してもよい。即ち、上記(条件2)を、下記の例のように変形してもよい。なお、第3閾値TH3は、実際の容量が変動していない場合に容量信号Ci中の容量に生じ得る変動の大きさ以上の値とする。
TH3≦|C−C´|≦TH2 ・・・(条件2の変形例)
このように構成すると、例えば検出面Pに指示体が接触または近接していない状態が継続する場合において、処理対象の容量信号Ci中の容量Cと、当該容量Cと検出面P内で同位置となる前回の適正化容量信号Ei´中の容量C´と、の差分の絶対値が、第3閾値TH3よりも小さくなるため、容量信号Ci中から不適正な容量が検出されなくなる。したがって、容量信号Ci中の容量Cを補正するための演算を、省略することが可能になる。
[4] また、図5の動作を初めて行う時は、記憶部50に適正化容量信号Ei´が記憶されていない。そこで、図5の動作を初めて行う時に、得られた容量信号Ciをそのまま適正化容量信号Eiとして、記憶部50に記憶させてもよい(図5において、ステップ#2〜#4を行わず、ステップ#1,#5,#6を行ってもよい)。また、記憶部50に、予めダミーの適正化容量信号Ei´を、記憶させておいてもよい。
本発明は、大型のタッチパネルを備えたタッチパネルシステムや、ユーザによる素早い操作が行われるタッチパネルシステム、これらのタッチパネルシステムを備えた電子情報機器に対して、好適に利用され得る。
1 : タッチパネルシステム
10 : タッチパネル
20 : ドライブライン駆動部
30 : センス信号処理部
31 : センス信号取得部
32 : 復号処理部
40 : 容量信号補正部
50 : 記憶部
60 : 指示体位置検出部
70 : クロック信号生成部
80 : タッチパネル制御部
100 : 電子情報機器
DL : ドライブライン
SL : センスライン
P : 検出面
Di : ドライブ信号
Si : センス信号
Ai : 処理後信号
Ci : 容量信号
Ei : 適正化容量信号

Claims (8)

  1. 検出面に沿って互いに平行に設けられる複数のドライブラインと、前記検出面に沿って互いに平行に設けられるとともに前記ドライブラインと交差する複数のセンスラインと、を備えるタッチパネルと、
    複数の前記ドライブラインに対して順次変動するドライブ信号を与えることで駆動するドライブライン駆動部と、
    前記ドライブラインを所定回数駆動する期間である駆動期間中に前記センスラインに表れるセンス信号を順次取得して処理することで、前記ドライブラインと前記センスラインとが成す容量の面内分布を示す容量信号を生成するセンス信号処理部と、
    前記容量信号中の不適正な容量を検出して補正することで適正化容量信号を生成する容量信号補正部と、
    前記適正化容量信号に基づいて、前記タッチパネルの前記検出面に接触または近接する指示体の位置を検出する指示体位置検出部と、
    を備えることを特徴とするタッチパネルシステム。
  2. 前記容量信号補正部が、前記容量信号中で第1閾値以上となる容量を、不適正な容量として検出するものであり、
    前記第1閾値は、前記検出面に接触または近接する前記指示体が存在しない場合の容量の大きさ以上であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルシステム。
  3. 前記容量信号補正部が直近に生成した前記適正化容量信号を記憶する記憶部を、さらに備え、
    前記容量信号補正部は、処理対象の前記容量信号中の不適正な容量を、前記記憶部に記憶されている前記適正化容量信号中の容量であって当該不適正な容量と前記検出面内で同位置となる容量で置換して、新たな前記適正化容量信号を生成することを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネルシステム。
  4. 前記容量信号補正部は、処理対象の前記容量信号中の容量と、前記記憶部に記憶されている前記適正化容量信号中の容量であって当該処理対象の前記容量信号中の容量と前記検出面内で同位置となる容量と、の差分の絶対値が第2閾値以下であるとき、当該処理対象の前記容量信号中の容量を、不適正な容量として検出するものであり、
    前記第2閾値は、前記検出面に前記指示体が接触または近接することで生じる容量の変動の大きさ以下であることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネルシステム。
  5. 前記容量信号補正部は、処理対象の前記容量信号中の不適正な容量を置換した場合、置換後の容量を用いて他の容量を求め直すことで、新たな前記適正化容量信号を生成することを特徴とする請求項3または4に記載のタッチパネルシステム。
  6. 前記センス信号処理部は、前記容量信号を生成する過程で、取得した1回分の前記センス信号を処理することによって、前記センスラインと複数の前記ドライブラインとが成す複数の容量を加算または減算して組み合わせた出力値を求め、
    前記容量信号補正部は、処理対象の前記容量信号中の不適正な容量を置換した場合、置換後の容量と前記出力値とを用いて他の容量を求め直し、
    前記容量信号補正部は、前記駆動期間中で時間的に後に得られた前記センス信号を処理することで求められる前記出力値を優先的に用いて、他の容量を求め直すことを特徴とする請求項5に記載のタッチパネルシステム。
  7. 複数の前記ドライブラインに対して与えられる前記ドライブ信号の成分が、直交系列ないしM系列であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のタッチパネルシステムを備えたことを特徴とする電子情報機器。
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