JP2014057797A - X線ct検査用具 - Google Patents

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Abstract

【課題】X線CT検査において、水晶体の保護に用いられることができるとともに、CT画像データを的確に取得することが可能なX線CT検査用具を提供すること。
【解決手段】本発明に係るX線CT検査用具1は、X線CT検査において、亜鉛の微粒子及び/または錫の微粒子を含んだ遮へいシート2を被検者の両目から所定の間隔を設けて固定配設する構造を備え、X線に対して被検者の両目を覆うことにより水晶体(眼球)を保護するとともに、検査におけるCT画像の取得にあたっても、低エネルギー成分を遮へいするとともに、高エネルギー成分を透過するので、水晶体における低エネルギー成分の被曝低減効果が得られるとともに、頭部CT検査におけるCT画像データを的確に取得することができるX線CT検査用具1となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、X線CT検査用具に関する。さらに詳しくは、X線CT検査に用いられ、水晶体を保護し、低エネルギー成分を遮へいするとともに、高エネルギー成分を透過して、CT画像データを的確に取得することができるX線CT検査用具に関する。
X線を用いたCT(Computed Tomography:コンピューター断層撮影)検査(X線CT検査)による被曝線量は、他のX線検査による被曝線量より多く、加えて、X線CT検査は、診断対象でない器官や臓器が撮影断面に多く含まれるため、診断対象以外の器官や臓器の被曝を極力抑えることが重要である。そこで、診断には不必要な臓器や部位を効果的に防護・遮へいすることが必要であり、X線CT検査に適した遮へい材料及びそれを適用したX線CT検査用具が求められている。
X線CT検査で被検者に適用されるX線CT検査用具に使用される放射線の遮へいシートの構成材料(遮へい材料)としては、遮へい能力の高さと加工性、経済性などの面から、鉛が広く普及していた。しかし、鉛は、医療用として用いる場合にあっては、体表や消化器官に対する曝露により中毒症状など様々な健康被害を引き起こす可能性がある。また、近年、環境問題への配慮からも鉛の使用を制限する流れが強まっている。そこで、健康や環境上の問題がなく、軽量かつ放射線遮へい効果に優れた新たな防護・遮へい材として、タングステンやビスマス、硫酸バリウムなどを使用したものが開発され(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3等を参照。)、また、種々のX線防護用具が検討されている(例えば、特許文献4及び特許文献5を参照。)。
特開2001−187829号公報 特開2007−212304号公報 特開2008−518274号公報 米国特許第5140710号明細書 米国特許第6320938号明細書
しかし、従来提案されている含鉛シートや含ビスマスシート等の遮へい材料は、いわゆるK吸収端が高く、X線CT検査の画像データを取得する際に必要となるX線の高エネルギー成分までをも遮へいしてしまうため、X線CT検査には適用できなかった。
また、X線CT装置から出力されるX線は連続エネルギー分布であり、このうち、X線の高エネルギー成分が体内を通過し、対向して配置される検出器に入射し、X線CT画像のデータとして利用されることになる。一方、X線の低エネルギー成分は、ほとんどが体内に吸収されてしまうが、X線CT画像を作成ないし取得する目的においては、X線の低エネルギー成分はほとんど不要な成分である。従って、X線被曝を考慮すると、X線の低エネルギー成分をできるだけ除去することが重要である。
加えて、このような、X線の40keV以下の低エネルギー成分の遮へい能を有するとともに、CT画像の取得に必要な、100keV以上のX線の高エネルギー成分の良好な透過性を有する性能を有した、X線CT検査に適するX線遮へいシートを適用したX線CT検査用具はこれまで提供されていないため、水晶体(眼球)については防護・遮へいが必要不可欠な部位でありながら、効果的な対処ができていないのが実情であり、水晶体を適切に保護することができるX線CT検査用具が求められていた。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、X線CT検査において、水晶体の保護に用いられることができるとともに、CT画像データを的確に取得することが可能なX線CT検査用具を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明に係るX線CT検査用具は、亜鉛の微粒子及び/または錫の微粒子と、前記微粒子を分散したバインダーを含んだ遮へいシートを、被検者の両目から所定の間隔を設けて固定配設する構造を備えることを特徴とする。
本発明に係るX線CT検査用具は、前記した本発明において、前記亜鉛成分及び/または錫成分の含有量の合計が前記遮へいシート全体の60.0〜90.0質量%であることを特徴とする。
本発明に係るX線CT検査用具は、前記した本発明において、前記構造がゴーグル形状からなり、前記ゴーグル形状が、前記遮へいシートが前記被検者の両目の前方に位置するように形成されるゴーグル枠と、前記ゴーグル枠を前記被検者の頭部に装着するための装着部材とからなることを特徴とする。
本発明に係るX線CT検査用具は、前記した本発明において、前記構造が、水平面に載置した場合に前記被検者の頭部を挿入可能な略半円状の開口を形成可能な、略四半球状に形成されたシート保持部材の内面または外面に前記遮へいシートが配設されているものであることを特徴とする。
本発明に係るX線CT検査用具は、前記した本発明において、前記シート保持部材に底面部が配設されていることを特徴とする。
本発明に係るX線CT検査用具は、前記した本発明において、前記遮へいシートの厚さが1.5〜4.0mmであることを特徴とする。
本発明に係るX線CT検査用具は、X線CT検査において水晶体を適切に保護するとともに、検査におけるCT画像の取得にあたっても、X線の40keV以下のエネルギー成分(低エネルギー成分)を遮へいするとともに、X線の100keV以上のエネルギー成分(高エネルギー成分)を透過するので、水晶体における低エネルギー成分の被曝低減効果が得られるとともに、頭部CT検査におけるCT画像データを的確に取得することができる。
本発明の第1実施形態に係るX線CT検査用具の一態様を示した概略図である。 第1実施形態に係るX線CT検査用具を被検者Aに装着させた状態を示した図である。 第1実施形態に係るX線CT検査用具の他の態様を示した概略図である。 本発明の第2実施形態に係るX線CT検査用具を示した概略図である。 第2実施形態に係るX線CT検査用具の使用状態を示した図である。 第2実施形態に係るX線CT検査用具の六面図である。 第2実施形態に係るX線CT検査用具の他の態様を示した概略図である 総透過量で規格化したX線スペクトル図である。 透過X線スペクトルを示した図である。 透過X線スペクトルを示した図である。 試験例1における透過X線スペクトルを示した図である。 試験例2における画像評価用ファントムの撮影画像を示した図である。 試験例2における画像評価用ファントムの撮影画像を示した図である。 試験例3における低コントラスト分解能評価モジュールを示した概略図である。 試験例4における頭部ファントムの撮影画像を示した図である。
(I)本発明に係るX線CT検査用具1の構成:
以下、本発明に係るX線CT検査用具1の構成の一例を、図面を用いて説明する。なお、X線CT検査用具1を構成する遮へいシート2については、(II)で詳説する。
(1)第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態に係るX線CT検査用具1の一態様を示した概略図、図2は、第1実施形態に係るX線CT検査用具1を被検者Aに装着させた状態を示した図、をそれぞれ示す。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るX線CT検査用具1は、遮へいシート2を、被検者Aの両目から所定の間隔を設けて固定配設する構造としてゴーグル形状を採用した例を示しており、具体的には、ゴーグル形状として、遮へいシート2が被検者Aの両目の前方に位置するように形成されるゴーグル枠3と、ゴーグル枠3を被検者Aの頭部に装着するための装着部材4と、を基本構成として備えている。
図1に示すように、本実施形態のX線CT検査用具1は、ゴーグル枠3と、ゴーグル枠3を被検者Aの頭部に装着するための装着部材4である取付用ベルト4を備えている。ゴーグル枠3は、被検者Aの水晶体(眼球)を保護するため、被検者Aの両目を覆うように装着され、取付用ベルト4により被検者Aの頭部(顔面)に固定されるようになっている。
ゴーグル枠3は、曲面を成す被検者Aの顔に沿うように形成されることが好ましく、湾曲させた軟質の合成樹脂等や弾性体で構成されるようにしてもよい。図1に示した態様では、装着時に被検者Aの鼻と当たる部分を切り欠いた切り欠き部31が形成されているとともに、被検者Aの両目の前方となる部分を開口させて窓部32が形成されている。また、かかる窓部32には、被検者AがX線CT検査用具1を装着した場合に、被検者Aの両目の前方に存在するように遮へいシート2が配設されている。このようにして、装着時に1面が被検者に向くようにして遮へいシート2を固定して配設することにより、X線CT検査用具1を装着した場合にX線から被検者Aの両目を覆い、水晶体(眼球)を保護することが可能となる。なお、窓部32における遮へいシート2が配設されていない部分については、図示しない透明合成樹脂板等の透明板を装着してもよいし、空洞とされてもよい。また、遮へいシート2は、被検者Aの顔の輪郭に合わせて、被検者Aから見て前方に凸となるアーチ形状とされて配設するようにしてもよい。
なお、ゴーグル枠3の内側である被検者の顔との当接側には、弾性体等から形成される図示しないクッション部を設けるようにしてもよい。
また、本実施形態に係るX線CT検査用具1は、ゴーグル枠3の左右両端側を連結して被検者Aの後頭部に掛けられる取付用ベルト4を備え、また、本態様にあっては、取付用ベルト4は、その長さを調整するためのアジャスター41を備えている。
被検者Aの顔に本実施形態のX線CT検査用具1を装着するには、例えば、被検者Aの両目の前側の窓部32に遮へいシートが存在し、被検者Aの鼻がゴーグル枠3に形成された切り欠き部31に収まる状態となるように、ゴーグル枠3を被検者Aの顔に当て、取付用ベルト4を被検者Aの後頭部にまわし、アジャスター41で長さを調整して締め付けるようにすればよく、ゴーグル枠3は、被検者Aの両目を覆うように、顔の所定位置に支持されることとなる。
図2は、本実施形態に係るX線CT検査用具1を被検者Aに装着させた状態を示した概略図である。図2に示すように、X線CT検査用具1を被検者Aが装着した場合には、ゴーグル枠3の高さHにより遮へいシート2と被検者Aとの間に間隔Sが形成されることになる。
遮へいシート2の形状は、被検者Aの両目の前方に遮へいシートを存在させた場合に、X線に対して被検者Aの両目を覆うことが可能な形状に形成されていれば特に制限はなく、図1では、平面視で略矩形状であり、断面視で平坦板状とされている態様を示している。遮へいシート2の長さや幅は、被検者Aの両目を覆うべく、図1の形状であれば、遮へいシート2の長さは、150〜300mmとすることが好ましく、150〜200mmとすることが特に好ましい。同様に、遮へいシート2の幅は、例えば、20〜50mmとすることが好ましく、20〜30mmとすることが特に好ましい。
本実施形態のX線CT検査用具1を使用してX線を用いたCT検査を行い、被検部位を脳等としたCT画像データを取得するには、前記したようにして、被検者Aの顔にX線CT検査用具1を装着させ、X線の照射部に対して遮へいシート2を被検者Aの両目を覆うようにした状態(図2参照)で、被検部位にX線CT装置等のX線照射源からX線を照射するようにすればよい。
なお、本実施形態に係るX線CT検査用具1にあっては、ゴーグル枠3に形成された窓部32の全面に遮へいシート2を固定して配設するようにしてもよい。図3は、第1実施形態に係るX線CT検査用具1の他の態様を示した概略図であり、ゴーグル枠3に形成された窓部32の全面に遮へいシート2を配設した態様を示した図である。
(2)第2実施形態:
図4は、本発明の第2実施形態に係るX線CT検査用具1を示した概略図、図5は、第2実施形態に係るX線CT検査用具1の使用状態を示した図、図6は、第2実施形態に係るX線CT検査用具1の六面図、をそれぞれ示す。図4ないし図6に示すように、本実施形態に係るX線CT検査用具1は、遮へいシート2を、被検者A(図5参照)の両目から所定の間隔を設けて固定配設する構造として、水平面に載置した場合に被検者Aの頭部を挿入可能な略半円状の開口61を形成可能な、略四半球状に形成されたシート保持部材6の内面に遮へいシート2が配設されていることを基本構成として備えている。
本実施形態に係るX線CT検査用具1は、略四半球状に形成されるシート保持部材6の内面に遮へいシート2を固定配設してなり、図4に示すように、水平面(図5参照)に載置した場合にあって、被検者Aの頭部を挿入可能な略半円状の開口61が形成され、また、内部に被検者Aの頭部が載置される空間62が開口61に繋がって形成されることになる。
図5は、第2実施形態に係るX線CT検査用具1の使用状態を示した図であるが、図5に示すように、水平面に載置された場合に形成される開口61から被検者Aの顔を上方に向けて開口61から繋がる空間62の中へ被検者Aの両目が隠れる状態まで挿入し、シート保持部材6の内面61に配設された遮へいシート2が、1面が被検者に向くようにして被検者Aの両目の前方に存在するように位置調整することにより、遮へいシート2を、被検者Aの両目の前方に所定の間隔Sを保った状態で存在させることができる。このようにして遮へいシート2を配設して、遮へいシート2を被検者Aの両目の前方に位置するようにすることにより、X線から被検者Aの両目を覆い、水晶体(眼球)を保護することが可能となる。なお、略四半球状のシート保持部材6は、遮へいシート2の外枠となって、内面に配設された遮へいシート2を略四半球状となるように保持している。シート保持部材6は、内部の状態を観察しやすいように、透明としたり、複数の孔を形成するようにしてもよい。
第2実施形態に係るX線CT検査用具1の六面図を図6に示す(図6中、(A)は正面図(図4の開口方向を正面とする。)、(B)は平面図(上方向から見た図)、(C)は左側面図(左方向から見た図)、(D)は右側面図(右方向から見た図)、(E)は背面図(正面と反対方向(後方)から見た図)、(F)は底面図(下方向から見た図)、をそれぞれ示している。)。本実施形態のX線CT検査用具1の形状(シート保持部材6の形状も同様。)は、略四半球状とされ、図6(A)に示したように、開口61が略半円状とされ、左右から見た場合は略四半円状(図6(C)及び図6(D))、上から見た場合は略半円状(図6(B))の形状とされる。なお、本発明における「略四半球状」、「略半円状」、「略四半円状」等については、例えば、図4等におけるシート保持部材6の開口61を構成する部分について、多少手前に張り出したり、奥に引っ込んだりする等、本発明の目的及び効果を奏する範囲で、若干の形状の変更等は許容範囲である。
開口61は、略半円状となるが、サイズは、被検者Aの頭部を挿入可能なように、その半径(開口61の高さにもなる)を概ね10〜40cm程度とすることが好ましい。同様に、空間62の奥行きも、概ね10〜40cm程度とすることが好ましい。
また、シート保持部材6は、X線CT検査に影響ない低密度でありながら強度のある硬質合成樹脂等で形成することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂やそれらの発泡成形体とすることができる。また、例えば、特開2001−139831号公報や特開2007−284841号公報等に開示される炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等を使用してもよい。シート保持部材6の厚さは、特に制限はないが、概ね1.0〜10.0mmとすることが好ましく、1.0〜5.0mmとすることが特に好ましい。
遮へいシート2の形状は、被検者Aの両目の前方に遮へいシートを存在させた場合に、X線に対して被検者Aの両目を覆うことが可能な形状に形成されていれば特に制限はなく、例えば、図4等に示すように、平面視で略矩形状であり、断面視で平坦板状とされている遮へいシート2を、シート保持部材6の内面に沿って(上方(シート保持部材6の内面の方向)に凸となるアーチ形状とされて)配設するようにしてもよい。また、図1及び図2では、シート保持部材6の内面に配設する態様を示しているが、遮へいシート2を前記した形状等にして、シート保持部材6の外面に配設してもよい。遮へいシート2の長さや幅は、被検者Aの両目を覆うべく、前記したような形状であれば、遮へいシート2の長さは、例えば、150〜300mmとすることが好ましく、150〜200mmとすることが特に好ましい。同様に、遮へいシート2の幅は、例えば、20〜50mmとすることが好ましく、20〜30mmとすることが特に好ましい。
また、シート保持部材6の内面や外面(以下、「内面等」とする場合がある。)に遮へいシート2を固定して配設する手段としては、特に制限はなく、例えば、シート保持部材6の内面等に遮へいシート2を図示しない接着剤や接着シートを介在させて被着させる接着手段、シート保持部材6の内面等に遮へいシート2を融着させる融着手段、所定の部材でシート保持部材6の内面等に遮へいシート2を配設する等の従来公知の手段を使用して一体化させればよい。また、遮へいシート2をシート保持部材6の内面等に固定して配設する位置は、特に制限はなく、略四半球状のシート保持部材6に被検者Aの頭部を挿入した場合に、被検者Aの両目の前方となる位置をあらかじめ想定して、シート保持部材6の内面等の任意の位置に配設するようにすればよい。
本態様のX線CT検査用具1を使用してX線を用いたCT検査を行い、被検部位を脳等としたCT画像データを取得するには、図5に示したように、水平面に載置された場合に形成される開口61から被検者Aの顔を上方に向けて被検者Aの頭部を挿入し、被検者Aの両目の前方の位置に遮へいシート2が存在するようにした状態で、被検部位にX線CT装置等のX線照射源からX線を照射するようにすればよい。
なお、略四半球状に形成されたシート保持部材6には、平面状の底面部7を配設するようにしてもよい。図7は、第2実施形態に係るX線CT検査用具1の他の態様を示した概略図であり、図4に示したX線CT検査用具1において、シート保持部材6に底面部7を配設した状態を示した概略図であるが、このようにシート保持部材6に底面部7を形成することにより、シート保持部材6の形状が安定し、強度が向上することになる。
底面部7は、例えば、シート保持部材6と共通する低密度の合成樹脂等を用いて、シート保持部材6と一体化させて形成することが好ましい。また、底面部7の厚さは、概ね0.5〜1.0mm程度とすることが好ましい。なお、底面部7の形状は、シート保持部材6が略四半球状であることから、水平面に載置した場合に形成される開口61と同様、略半円状とされる。
(II)遮へいシートの構成:
遮へいシート2は、X線を用いたCT検査(X線CT検査)時に被検者Aの両目を覆って水晶体を保護するものであるが、検査においてCT画像データを取得するのには不必要なX線の低エネルギー成分のみを遮へいし、CT画像データを取得するのに必要なX線の高エネルギー成分を用いてCT画像データを作成ないし取得することにより、CT検査時におけるX線被曝を可及的に回避し、かつ、有用な検査結果を得ようとするものである。一方、必要な遮へいシート2の条件は、「(1)CT画像データの取得に不必要なX線の低エネルギー成分を確実に遮へいできること」及び「(2)CT画像データの取得に必要なX線の高エネルギー成分は透過させること」とされる。
ここで、(1)に示した「CT画像データの取得に不必要なX線の低エネルギー成分」とは、具体的には、40keV以下のエネルギー成分である。また、(2)に示した「CT画像データの取得に必要なX線の高エネルギー成分」とは、具体的には、100keV以上のエネルギー成分である。
遮へいシート2を構成する金属材料(金属遮へい材料)として考えられる主な金属粉末としては、タングステン、鉛、ビスマス、錫、亜鉛等がある。このうち、鉛は、人の健康や環境への悪影響が大きいので、遮へい材の構成成分としては好ましくないので、対象からは除外する。その他遮へい材料としてよく使用されている硫酸バリウムも含め、以下、参考として言及していく。
図8は、総透過量で規格化したX線スペクトル図であり、硫酸バリウム(参考)、タングステン、ビスマス、錫、亜鉛及び鉛(参考)について、総透過量を揃えた時の、連続X線の透過スペクトルが示されている。各金属とも、配合比率100%の場合で透過量が一定となる厚さを求めて透過X線スペクトルを算出したものである。
なお、図8に示した透過X線スペクトルを求めるにあたって、各吸収体を透過した光子フルエンスのスペクトル形状を比較するため、以下の計算を行った。入射光子フルエンスは管電圧120kVのX線CT装置のX線スペクトルを算出した結果を用い、物理データはNIST Standard Reference Database(National Institute of Standards and Technology)を用いた。そして、光子フルエンスφが厚さtの吸収体を透過後のX線照射線量Xを下記式により算出した。
ここで、Xは吸収体厚tを透過した照射線量、φ(E)はE+dE間の光子フルエン
ス、EはX線エネルギー、μtr/ρは質量エネルギー転移係数、μ(E)は光子エネル
ギーEに対する吸収体の線減弱係数、をそれぞれ示す。そして、金属成分ごとにXの値が等しくなる吸収体厚tを求め、各吸収体厚tによる透過光子フルエンスを算出した結果が図8である。
前記した図8から、CT画像データの取得に必要な100keV前後の高エネルギー帯でのX線透過量は、吸収端により、亜鉛と錫以外の金属成分ではX線CT画像を得るのに重要な90keV以上のX線成分が顕著に低下する一方、亜鉛と錫が最も大きく、高いレベルを維持していることが確認できる。また、図8に示すように、かかる亜鉛と錫は、CT画像データの作成ないし取得にはほとんど不要な40keV以下の低エネルギー帯でのX線遮へい能力も、他の金属成分より優れている。よって、前記した(1)及び(2)の条件を満たす遮へいシート2を構成する金属遮へい成分としては、亜鉛や錫が最も適しているといえるため、本発明にあっては、遮へいシート2の金属遮へい成分として亜鉛と錫を選択している。
同様な方法により、遮へいシート2における亜鉛の微粒子の部数(遮へいシート2全体に対する亜鉛の微粒子の含有量)を変化させた場合の透過X線フルエンスを求めた結果を図4及び図5に示す。図4及び図5より、透過X線スペクトルのカーブの傾向は、図3に示した亜鉛のカーブの傾向と同様、40keV以下の低エネルギー成分が大幅に減少する一方、100keV以上のCT画像データに影響を与える高エネルギー成分が相対的に多く透過しており、また、亜鉛の含有量を高くすると、全体的に計数が減少し、遮へいシート2の厚さが同じ場合には、スペクトルの立ち上がり部が高エネルギー側にシフトする。加えて、概ね含有量が60.0〜90.0質量%の範囲では、透過X線スペクトル形状はほとんど変化せず、前記した(1)及び(2)の条件を満足することができるものと考えられる。
遮へいシート2における亜鉛の微粒子及び/または錫の微粒子の含有量(複数成分の場合はその合計)は、含有される亜鉛や錫の微粒子の平均粒子径、後記するバインダーを構成する材料、求められる遮へい特性等により適宜決定されるが、前記した図4及び図5に示した内容を考慮するに、含有量は、遮へいシート全体に対して概ね40.0〜90.0質量%の範囲の中から選定し、60.0〜90.0質量%とすることが好ましい。被検者の両目を覆うには、遮へいシート2を所定の長さと幅とし、厚さも一定にした場合に、含有量が60.0質量%より少ないと、含有量が少なすぎて、場合によっては前記した遮へい能力等の本発明の効果を奏することができなくなることがある一方、含有量が90.00質量%を超えると、亜鉛や錫の微粒子の含有量が高すぎて、場合によっては分散が悪くなったり、遮へいシート2にして曲げた際クラックが入ったり、柔軟性に悪影響を及ぼすことがある。加えて、場合によっては遮へいシート2の加工性が悪くなったり、作製が困難になることがある。含有量は、60.0〜85.0質量%とすることが特に好ましい。
遮へいシート2において金属遮へい成分として使用される亜鉛や錫は、微粒子(粉末)状で使用され、亜鉛の微粒子は、金属亜鉛単体のほか、ダイカスト用亜鉛合金、硫化亜鉛、スズ酸亜鉛等の亜鉛化合物を使用することができる。錫の微粒子も、金属錫単体のほか、ピューター等のスズ合金、硫化錫(SnS)等の錫化合物が挙げられる。亜鉛や錫はコスト的にもリーズナブルな材料であり、また、鉛材料とは異なり、環境及び被検者A(人体)への悪影響を抑制することができ、安全で環境・衛生的にも良好となる。また、亜鉛と錫は、その1つを単独で使用してもよく、その2種を組み合わせて使用するようにしてもよい。
亜鉛の微粒子や錫の微粒子の平均粒子径(平均1次粒子径)は、1〜100μmとすることが好ましい。亜鉛や錫の微粒子の平均粒子径をかかる範囲にすることにより、バインダーに対して分散性もよく、前記した効果を効率よく発揮することができる。亜鉛や錫の微粒子の平均粒子径は3〜15μmとすることが特に好ましい。なお、本発明において、「平均粒子径」は、例えば、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を採用することができる。
亜鉛や錫の微粒子を分散させるバインダーとしては、公知の樹脂材料を使用することができるが、エラストマーを使用することが好ましく、例えば、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレン-プロピレンゴム(EPT(EPDM))、シリコーンゴム(Si)、エチレン−酢酸ビニル共重合体ゴム(EVA)、ポリウレタンゴム(PUR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等の従来公知の熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー等を使用することができる。
かかるバインダーは、前記した亜鉛や錫の微粒子を除いた場合における、遮へいシート2の主成分となるが、遮へいシート2全体に対して、例えば、概ね6.0〜37.0質量%の範囲の中から選定し、6.0〜25.0質量%含有するようにすることが好ましい。バインダーの含有量をかかる範囲とすることにより、錫や亜鉛といった金属遮へい成分がバインダーに良好に分散される。バインダーは、遮へいシート2全体に対して、9.0〜25.0質量%含有するようにすることが特に好ましい。
なお、本発明のX線CT検査用具1を構成する遮へいシート2には、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、前記した以外の各種の樹脂成分やゴム成分、及び各種の添加剤を必要に応じて適宜添加することができる。添加剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、加硫剤、加硫助剤、老化防止剤、加工助剤、可塑剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、あるいは加工性を向上させるための減粘剤や増粘剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。
遮へいシート2を製造するには、例えば、金属遮へい成分となる亜鉛や錫の微粒子とバインダー及び必要により各種の添加剤を混合した混合材料を、亜鉛や錫のバインダー(エラストマー)への分散を確実にするために、ロール作業にて混練りし、室温で冷却してから再度ロール作業にて所定の厚さにシート状に分出した後、裁断してコンプレションモールドして加硫シートを作製して、得られた加硫シートを必要な大きさに裁断して、遮へいシート2として使用することができる。なお、熱可塑性エラストマーを使用する場合には、混合材料を押出成形、T型ダイス押出成形、カレンダー成形、プレス成形、射出成形、コーティング、金型成形等の公知の手段によって成形加工することにより、遮へいシート2を簡便に得ることができる。
遮へいシート2の厚さは、含有される錫や亜鉛の微粒子の含有量や平均粒子径、バインダーを構成する材料、求められる遮へい特性、遮へいシート2の長さや幅等により適宜決定されるが、概ね1.0〜7.0mmの範囲の中から選定し、1.5〜4.0mmとすることが好ましい。遮へいシート2の厚さが1.5mmより少ないと、厚さが少なすぎて、使用するバインダー等の構成材料によっては遮へいシート2の機械的強度等が不足する場合があり、一方、遮へいシート2の厚さが4.0mmを超えると、遮へいシート2が厚すぎて、使い勝手が悪くなり、また、X線CT検査用具1の構成部材への負担となったり、加工性に悪影響を与える場合がある。遮へいシート2の厚さは、2.0〜4.0mmとすることが特に好ましい。
本態様のX線CT検査用具1を使用してX線を用いたCT検査を行い、被検部位を脳等としたCT画像データを取得するには、前記した(I)で説明した方法で、被検部位にX線CT装置等のX線照射源からX線を照射するようにすればよいが、被検部位が防護部位付近である場合には、X線が被検部位だけでなく防護部位に照射されてしまう可能性があるが、X線CT検査用具1で防護部位である水晶体を覆っていることにより、X線の40keV以下のエネルギー成分(低エネルギー成分)が遮へいされて、防護部位における被曝低減効果が得られることになる。
また、被検部位に対する、CT画像データも的確に取得することができる。前記したように、X線照射源から出力されるX線は連続エネルギー分布であるが、このうち、X線の100keV以上のエネルギー成分(高エネルギー成分)が体内を通過し、X線照射源と対向して配置される検出器に入射し、X線CT画像のデータとして利用されることになる。一方、X線の低エネルギー成分は、ほとんどが体内に吸収されてしまう。X線CT画像を作成ないし取得する目的においては、X線の低エネルギー成分は殆ど不要な成分であるため、CT画像データの取得等には悪影響はない。
なお、被検者Aと遮へいシート2との間隔S(図2参照。概ね、遮へいシート2と被検者Aの眼球との距離を指す。)は、含有される錫や亜鉛の微粒子の含有量や平均粒子径、バインダーを構成する材料、求められる遮へい特性等により適宜決定すればよく、概ね15〜60mmとなるようにX線CT検査用具1を構成することが好ましい。間隔Sが15mmより小さいと、遮へいシート2と被検者Aとの間隔が狭すぎ、アーチファクトが発生して、鮮明な画像が得られなくなる場合があり、間隔Sが60mmを超えると、間隔が広すぎて、CT検査における水晶体の遮へい効果が得られにくくなる場合がある。被検者Aと遮へいシート2との間隔Sは20〜40mmとなるようにX線CT検査用具1を構成することが特に好ましい。
(III)本発明の効果:
以上説明した本発明に係るX線CT検査用具1は、X線CT検査において、亜鉛の微粒子及び/または錫の微粒子を含んだ遮へいシート2を被検者Aの両目から所定の間隔を設けて保持する構造を備え、X線に対して被検者Aの両目を覆うことにより水晶体(眼球)を保護するとともに、検査におけるCT画像の取得にあたっても、X線の40keV以下のエネルギー成分(低エネルギー成分)を遮へいするとともに、X線の100keV以上のエネルギー成分(高エネルギー成分)を透過するので、水晶体における低エネルギー成分の被曝低減効果が得られるとともに、頭部CT検査におけるCT画像データを的確に取得することができるX線CT検査用具1となる。
(IV)実施形態の変形;
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記し
た実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる
範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。ま
た、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達
成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実
施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本
発明に含まれるものである。
例えば、本発明のX線CT検査用具1の構成については、第1実施形態(図1ないし図3)及び第2実施形態(図4ないし図7)を例示して説明したが、本発明のX線CT検査用具1はかかる構成に限定されず、前記した構成の遮へいシート2を、被検者Aの両目から所定の間隔を設けて保持することが可能な任意の構造を採用することができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに限定され
るものではない。
[製造例1〜製造例3]
遮へいシートの製造:
下記の方法を用いて、本発明のX線CT検査用具を構成する遮へいシートを製造した。
金属遮へい材料として亜鉛の微粒子を用いて、表1の組成からなる製造例1〜製造例3の遮へいシートを製造した。なお、亜鉛の微粒子の平均粒子径は、1〜100μmのものを用いた。また、表1に示した組成において、亜鉛の微粒子はX線遮へい用の金属遮へい材料であり、エラストマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体:EVA)はバインダーとなる。
(組成)
製造例1〜製造例3の遮へいシートは、亜鉛の微粒子とエラストマーとの分散を確実にするために、ロール作業にて混練りし、室温で冷却してから再度ロール作業にて所定の厚さにシート状に分出した後、裁断してコンプレションモールドして加硫シートを作製し、これを必要な大きさに裁断して、遮へいシートとして使用した。
遮へいシートの形状は、平面視で矩形状、断面視で平坦板状とし、サイズは、製造例1〜製造例3のそれぞれについて、長さを150mm、200mm(2種類)、幅を30mm(1種類)、厚さを1.0mm、2.0mm、3.0mm及び4.0mm(4種類)のものを準備した。
[試験例1]
透過X線スペクトルの測定:
製造例1〜製造例3で得られた遮へいシートについて、下記の方法を用いて透過X線スペクトルを測定した。なお、遮へいシートのサイズは、長さ150mm×幅30mm×厚さは4.0mmのものを用いた。
(測定方法)
透過X線スペクトルの測定は、CdTe(Amptec:123X)検出器を用いて、検出器から距離20mmの位置に試料を配置し、管電圧を120kV、管電流を0.05mA、X線管焦点から検出器までの距離を2.8mとして、検出器の前面に配置したコリメータ(φ0.5mm)を通過した光子を測定した。測定結果を図11に示す。
図11は、透過X線スペクトルを示した図である。図11に示すように、製造例1〜製造例3の全ての遮へいシートについて、40keV以下の低エネルギー成分が大幅に減少する一方、100keV以上のCT画像データに影響を与える高エネルギー成分が相対的に多く透過しており、図8(及び図9、図10)と同様な傾向となっていることが確認できた。また、図9及び図10の計算結果と同様に、亜鉛の微粒子の含有量を高くすると、全体的に係数が減少し、スペクトルの立ち上がり部が高エネルギー側にシフトすることが確認できた。
[試験例2]
アーチファクトの影響の確認:
X線CT検査におけるアーチファクト(Artifacts)とは、実際の物体ではない二次的に発生した画像(偽像)のことを意味し、CT画像は検査目的部位にアーチファクトができる限り存在しないことが望ましいが、密度の違う物質(遮へいシート)が近接している場合、アーチファクトという偽像が現れる。そこで、X線CT検査における画像取得へのアーチファクトの影響を検証するため、下記の測定方法により画像を撮影し、アーチファクトの影響の有無を確認した。
(測定方法)
製造例2の遮へいシート(長さ150mm×幅30mm×厚さ1.0mm(製造例2a)、長さ200mm×幅30mm×厚さ1.0mm(製造例2b)の2種類)について、画像評価用ファントム(Catphan:The Phantom Laboratory社製)の上方に遮へいシートを載置し、被写体(画像評価用ファントム)と遮へいシートの間隔を0mm、20mm、40mmとして画像を撮影した。また、ブランクとして、遮へいシートを載置しない画像も併せて撮影した。なお、前記の間隔の調整は、遮へいシートの片方の面(被写体側の面。被検者と対向する面となる。以下同じ。)に遮へいシートと同じ長さ及び幅であって、前記した間隔に対応する厚さの緩衝材(ウレタンシート)を配設して(0mmの場合、緩衝材を配設しない。)実施した(以下、緩衝材を配設した製造例2の遮へいシートを、実施例2とする。)。撮影した画像を図12(実施例2a)及び図13(実施例2b)に示す。なお、図12及び図13中、(A)は遮へいシートを載置しない状態(ブランク)、(B)は間隔が0mm(緩衝材を配設しない)、(C)は間隔が20mm、(D)は間隔が40mm、の場合の結果である。
図12及び図13は画像評価用ファントムの撮影画像を示した図である。シート直下のアーチファクトが顕著に発生している箇所は、画像診断は困難であるが、図12(実施例2a:長さ150mm)及び図13(実施例2b:長さ200mm)とも、間隔が0mmの場合(図12(B)及び図13(B))には、アーチファクトにより遮へいシート付近は殆ど確認できない状態であり、他の部位に比べて鮮明でないことが確認できた。なお、ブランクである遮へいシートなしの画像(図12(A)及び図13(A))状態と最も近い画像となったのは、実施例2aでは間隔(緩衝材の厚さ)を40mmとした場合であり(図12(D))、実施例2bでも、間隔(緩衝材の厚さ)を40mmにすれば(図13(D))、ほんのわずかながらアーチファクトが残るものの、画像の撮影には問題ないレベルであることが確認できた。
[試験例3]
コントラスト・ノイズ比(CNR)及び水晶体の吸収線量の確認:
脳CT検査を想定した場合、画質の変化で問題となるのは小脳実質部位である。該当位置の画質変化を調べるために、画像評価用ファントムの低コントラスト分解能評価モジュールを用い、下記の測定方法を用いて低コントラスト分解能の変化を確認した。なお、図14は低コントラスト分解能評価モジュールを示した概略図であり、図14(A)は構造図、図14(B)はピクセル値の測定位置を示した図、である。
(測定方法)
小脳実質部位置を想定し、図14(B)に示した低コントラスト分解能評価モジュール内の2ヶ所におけるピクセル値を測定し(C1、C2)、かかるピクセル値の差とピクセル値それぞれの標準偏差(σ1,σ2)からCNR(コントラスト・ノイズ比)を下記式(1)により算出した。結果を表2に示す。
なお、使用した遮へいシートは、製造例1〜製造例3のそれぞれについて、長さを150mmと200mm、幅を30mm、厚さを1.0mm、2.0mm、3.0mm及び4.0mmとした。また、遮へいシートと低コントラスト分解能評価モジュール被写体(画像評価用ファントム)と遮へいシートの間隔を0mm、20mm、40mmとして画像を撮影した。また、ブランクとして、遮へいシートを載置しない画像も併せて撮影した。なお、前記の間隔の調整は、遮へいシートの片方の面(被写体側の面)に遮へいシートと同じ長さ及び幅であって、前記した間隔に対応する厚さの緩衝材(ウレタンシート)を配設して(0mmの場合、緩衝材を配設しない。)実施した(以下、緩衝材を配設した製造例1〜製造例3の遮へいシートを、実施例1〜実施例3とする。)。
(CNR)
遮へいシートを用いることにより、一次線の減少とビームハードニング(低エネルギーのX線がより多く減衰する現象)あるいは散乱線により、CNRは変化すると考えられる。表2より、概ね、遮へいシートの長さと厚さが増加するにつれて、CNR値は低下傾向が確認できた。これは、遮へいシートの長さや厚さとともに、線量が相対的に低下するためと考えられる(なお、CNRの誤差はおよそ10%程度である。)。
また、水晶体の吸収線量は、ガラス線量計(352M:(株)千代田テクノル製)により遮へいシートを使用しない場合に対する比として求めた。結果を表3に示す。
(水晶体の吸収線量)
吸収線量の比は、被曝線量の低減量の目安となる。表3に示すように、概ね、亜鉛の微粒子の含有量、遮へいシートの長さや厚さが増えるにつれて、また、間隔が狭いほど水晶体の吸収線量は減少傾向にあることが確認できた(なお、吸収線量の誤差は20%程度である。)。
遮へいシートの厚さの算出:
遮へいシートをX線源と検出器の間に置いた時のX線の光子の数(N)は、下記式(2)により求められる。ここで、Nは減衰前の光子数、μはシートの線減弱係数、tは遮へいシートの厚さである。
式(2)より遮へいシートの厚さtについて求めると式(3)を得る。
40keV以下の吸収線量に寄与するX線を50分の1に減弱させる各シートの厚さは、μの値を各シートの配合成分のμから計算で求めておき、式(3)により求められる。製造例1〜製造例3の遮へいシートについて算出した場合、製造例1は3.6mm、製造例2は2.4mm、製造例3は2.0mmであった。
[試験例4]
頭部ファントムを用いた画像の取得:
前記の算出結果も踏まえて、製造例1(長さ200mm、幅30mm、厚さ4.0mm)、製造例2(長さ150mm、幅30mm、厚さ3.0mm)、製造例3(長さ200mm、幅30mm、厚さ2.0mm)の遮へいシートについて、頭部ファントム(PH2:(株)京都科学製)を用いて画像を撮影した。なお、頭部ファントムと遮へいシートの間隔は40mmとして、間隔の調整は、遮へいシートの片方の面(被写体側の面)に遮へいシートと同じ長さ及び幅であって、前記した間隔に対応する厚さの緩衝材(ウレタンシート)を配設して実施した(以下、緩衝材を配設した製造例1〜製造例3の遮へいシートを、実施例1〜実施例3とする。)。結果を図15に示す。
図15は、頭部ファントムの撮影画像を示した図である((A)は実施例1、(B)は実施例2、(C)は実施例3、をそれぞれ示す。)。図15の結果より、アーチファクトの影響の少ない間隔(緩衝材であるウレタンの厚さを40mm)として、前記したサイズの遮へいシートを選択した本発明のX線CT検査用具の構成で、良好な画像が取得可能であることが確認できた。
また、試験例4で用いた各撮影条件でのCNR及び水晶体吸収線量の比の結果を表4に示す。試験例4と同様、間隔(緩衝材の厚さ)は40mmとしている。
(結果)
表3の結果から、測定条件により27〜63%の被曝線量の低減を図られることが確認できたが、表4の結果から、試験例4で採用した構成により、0.5(50%)程度の被曝線量が低減できることが確認できた。
本発明は、X線CT検査を実施するに際して、眼球の前面に配置することにより水晶体の保護に用いられることができ、また、検査結果の取得についても、CT画像データの取得に不要な、X線の低エネルギー成分を遮へいする一方、CT画像の取得に必要なX線の高エネルギー成分を透過し、人体への悪影響をできる限り抑えながらCT画像データを的確に取得することができるものであり、産業上の利用価値はきわめて高い。
1 …… X線CT検査用具
2 …… 遮へいシート
3 …… ゴーグル枠
31 …… 切れ込み部
32 …… 窓部
4 …… 取付用ベルト(装着部材)
41 …… アジャスター
6 …… シート保持部材
61 …… 開口
62 …… 空間
7 …… 底面部
A …… 被検者
H …… ゴーグル枠の高さ
S …… 間隔

Claims (6)

  1. 亜鉛の微粒子及び/または錫の微粒子と、前記微粒子を分散したバインダーを含んだ遮へいシートを、被検者の両目から所定の間隔を設けて固定配設する構造を備えることを特徴とするX線CT検査用具。
  2. 前記亜鉛成分及び/または錫成分の含有量の合計が前記遮へいシート全体の60.0〜90.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載のX線CT検査用具。
  3. 前記構造がゴーグル形状からなり、
    前記ゴーグル形状が、前記遮へいシートが前記被検者の両目の前方に位置するように形成されるゴーグル枠と、前記ゴーグル枠を前記被検者の頭部に装着するための装着部材とからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線CT検査用具。
  4. 前記構造が、水平面に載置した場合に前記被検者の頭部を挿入可能な略半円状の開口を形成可能な、略四半球状に形成されたシート保持部材の内面または外面に前記遮へいシートが配設されているものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線CT検査用具。
  5. 前記シート保持部材に底面部が配設されていることを特徴とする請求項4に記載のX線CT検査用具。
  6. 前記遮へいシートの厚さが1.5〜4.0mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のX線CT検査用具。
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