JP2014050284A - 波形処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】変流器に磁気飽和が生じても、変流器の二次側電流の波形を補正して、変流器の正確な一次側電流の波形を得ることができる波形処理装置を提供する。
【解決手段】飽和区間判定部203が、積分演算部201により演算された積分値の最大値に対する積分値の比が閾値よりも大きい区間を飽和区間としたとき、波形モデル推定部301により推定された波形モデルに基づいて、飽和区間波形演算部302により、飽和区間における磁気飽和しない変流器を用いたと仮定したときの復元波形を表すデジタル波形データを演算する。そして、波形データ出力部303は、飽和区間判定部203により非飽和区間と判定された区間は、変流器の二次側電流を表すデジタル波形データを出力し、飽和区間判定部により飽和区間と判定された区間は、飽和区間波形演算部302により演算された復元波形を表すデジタル波形データを出力する。
【選択図】図23

Description

この発明は、磁気飽和している変流器の二次電流波形を補正する波形処理装置などに関する。
電力系統電路に設置される変流器は、短絡事故があって過大電流が流れたり直流成分が重畳したりしても、数サイクル間は磁気飽和しないように設計されている。しかし、保護系統のトラブルなどで数サイクル間では保護できないような系統事故の場合は、変流器が磁気飽和を起こすことが予見される。これは、変流器のコアをより大きくすれば回避できる。しかし、変流器の磁気飽和が起こっても事故時の電流値が正確に読み取れないだけで、系統保護リレーは正しく動作するよう設計されている。また、このような稀にしか起こらない系統事故のために巨大なコアの変流器を設置することは、コストの面から経済的でない。
しかしながら、事故時の電流値のより正確な値を得ることは、電力系統事故の解析や故障点の標定にとって可欠である。そこで、変流器において磁気飽和が起こっても、波形データを補正して、変流器の一次側に流れる電流の電流値を正しく読み出す波形処理装置が発明されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
このような従来の第1の波形処理装置として、特許文献1(特表2005−516229号公報)に記載された方法がある。この特許文献1では、ローパスフィルタリングされた電流波形データを数値積分して予測した変流器内の磁束の時系列データYk,Yk-1,…が磁気飽和領域にあってかつ、それらから予測した1サンプル先の磁束データと実データの数値積分で算出された1サンプル先の磁束データとの差をε(Yk+1)とした場合において、その誤差の比率ε(Yk+1)/Yk+1がある閾値を超えていて時系列データが線形性を失っていると判断した場合に、変流器に磁気飽和が起こっていると判断する手法が述べられている。
また、従来の第2の波形処理装置として、特許文献2(特開2002−228688号公報)に記載された方法がある。この特許文献2では、変流器の二次側の電流値とその積分値を変流器の逆モデルに入力することで、(変流器の一次側の波形は再現できないものの)その交流電流の実効値を逆算して出力することのできる装置が提案されている。
また、従来の第3の波形処理装置として、特許文献3(特許第4038490号)に記載された方法がある。この特許文献3では、変流器の二次側波形の各商用周波波形の立ち上がり部分を非飽和部分として、変流器が磁気飽和しなかった場合に予想される変流器の二次側の波形モデル関数がその非飽和部分に一致するようにパラメータを同定して、その波形モデル関数によって飽和部分の波形を推定し、推定した波形を表示する波形処理装置が提案されている。
また、従来の第4の波形処理装置として、特許文献4(特許第4666367号)に記載された方法がある。この特許文献4では、特許文献3の考え方を保護継電器に応用した装置が提案されている。
しかしながら、上記特許文献1の波形処理装置では、ローパスフィルタリングして滑らかにした波形を積分することで更に滑らかになった状態の波形で非線形変化点の検出を行なっているが、ローパスフィルタリングを強力にして高調波成分を完全に除去してしまえば、その波形の積分結果の波形から非線形変化点を見出すことができなくなり、またローパスフィルタリングを甘くすれば高調波の影響によって非線形変化点を誤認する可能性がある。
また、上記特許文献2の波形処理装置では、過大振幅の交流電流波形入力時にこれを補正することはできるが、指数関数的に減衰する直流成分が重畳して片側に振れた交流電流波形のような場合は重畳している減衰直流成分の大きさ、減衰定数、交流成分の大きさ、位相などの値全てを正しく分析して出力することはできない。
また、上記特許文献3および特許文献4の波形処理装置では、波形の立ち上がり部分を無条件に非飽和部分として扱っているが、過大な直流成分の入力などでこの非飽和部分が極端に短くなっていることも想定されるため、変流器の二次側の波形モデル関数のパラメータの計算では、既に磁気飽和してしまっている部分のデータを算入してしまう可能性がある。
特表2005−516229号公報 特開2002−228688号公報 特許第4038490号 特許第4666367号
そこで、この発明の課題は、変流器に磁気飽和が生じても、変流器の二次側電流の波形を補正して、変流器の正確な一次側電流の波形を得ることができる波形処理装置、波形処理方法、波形処理プログラムおよびその波形処理プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
また、この発明のもう1つの課題は、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の波形を記録できる自動オシログラフ装置および自動オシログラフシステムを提供することにある。
また、この発明のもう1つの課題は、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の波形を記録できる波形記録装置を提供することにある。
また、この発明のもう1つの課題は、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の少なくとも実効値を表示する電流計測装置を提供することにある。
本発明者は、磁気飽和時点の検出には、高調波成分をフィルタリングによって低減させた波形データを用いてそれを数値積分することで、変流器のコア内の内部磁束を推定し、上記非線形変化点における内部磁束推定値を閾値として、その推定値以下を非飽和区間と判定したのである。
上記変流器の磁気飽和による波形歪みと高調波による波形歪みを正確に見分けることは困難であるが、磁気飽和時の変流器の二次側波形は、交流波形の半サイクル毎に飽和状態と非飽和状態を繰り返しており、非飽和状態では一次側の正弦波と相似な波形となっているが、飽和状態においては波形が歪み一次側の正弦波よりも振幅が小さくなっている点に本発明者は着目した。
この波形歪み状態を高調波による波形歪み状態と比較すると、一般の高調波による波形歪みの場合は、交流波形の面積において、その影響が振幅増大方向と振幅減少方向にほぼ同一であるのに対し、磁気飽和現象の場合は、非飽和部分では本来の商用周波の正弦波交流波形であるが、半サイクル毎に飽和状態が出現して、その部分では本来の交流波形より振幅が小さくなるという特徴がある。
フーリエ級数展開の理論によれば、いかなる歪み波も高調波の和で表されるが、電力系統において発生する高調波の和が上記の磁気飽和現象時の波形に一致することは考えにくいので、本発明者は、この特徴の差から一般の高調波による波形の歪みと、変流器の磁気飽和現象時の波形の歪みを区別する方法を着想した。
そのような、一般の高調波による波形の歪みと、変流器の磁気飽和現象時の波形の歪みを区別する方法とは、後述する(式2)を用いて判定する方法であり、これによって磁気飽和の有無の判定ミスが殆ど無くなり、また、飽和区間を高調波成分の影響などで不用意に分断することも無く、正しく判定する方法が確立できた。
また、本発明者は、変流器の二次側電流波形において飽和区間と非飽和区間とを判定するのに際して、単に波形の変化状態のみから判断するのではなく、変流器の二次側電流波形を積分して変流器の内部磁束を推定し、そのピーク点を見出して、その周辺の領域であってかつピーク磁束値の75%程度以上の区間を磁気飽和の可能性の大きな区間として、その磁気飽和の可能性の大きな区間において後述する(式1)で算出した交流電流の実効値波形の急変点を見出して、その区間内で最初に急変した点における磁束推定値を変流器の内部磁束の飽和レベルと判断し、それ以降はその飽和レベル以上か以下かで飽和区間と非飽和区間とを判定した方が、波形が正弦波から離れる点を飽和開始点として検出する方法より優れており、高調波による波形の歪などの影響によって誤判定する可能性を著しく低減できることを見出した。
さらに、本発明者は、特許文献3(特許第4038490号)にあるレーベンバーグ・マルカート法(Levenberg-Marquardt algorithm)を用いて試行錯誤的に波形を当て嵌めるよりは、電力系統の周波数が事故時もそれ程も変化しない(変化幅±0.5Hz以下)ことを利用して、以下に説明する(式12)などで解析的に解いた方がより早くて高精度な結果を得られることに気付いたのである。
この発明の波形処理装置は、以下の1)〜9)の全ての要素を含んで構成されたことを特徴とする。
1) 変流器の二次側電流を予め設定されたサンプリング周波数でA/D変換することにより得られたデジタル波形データを積分する積分演算部
2) 上記デジタル波形データを微分する一次微分演算部
3) 上記一次微分演算部により微分された上記デジタル波形データを微分する二次微分演算部
4) 上記一次微分演算部の微分演算の結果と上記二次微分演算部の二次微分演算の結果に基づいて、上記変流器の二次側電流の実効値を上記デジタル波形データのサンプル毎に演算する実効値演算部
5) 上記実効値演算部により演算された上記変流器の二次側電流の実効値の変化に基づいて、上記変流器の飽和現象の有無を判定する飽和現象判定部
6) 上記飽和現象判定部が上記変流器の飽和現象ありと判定したとき、上記積分演算部の積分演算の結果に基づいて、上記変流器の飽和現象ありと判定した直前1サイクル内において、上記積分演算部により演算された上記積分値の最大値に対する上記積分値の比が予め設定された閾値よりも大きい区間を飽和区間と判定する飽和区間判定部
7) 上記飽和区間判定部が、上記積分演算部により演算された上記積分値の最大値に対する上記積分値の比が上記閾値以下の区間を非飽和区間としたとき、その非飽和区間における上記デジタル波形データに基づいて、上記変流器の代わりに磁気飽和しない変流器を用いたときの波形モデルを推定する波形モデル推定部
8) 上記飽和区間判定部が、上記積分演算部により演算された上記積分値の最大値に対する上記積分値の比が上記閾値よりも大きい区間を飽和区間としたとき、上記波形モデル推定部により推定された上記波形モデルに基づいて、上記飽和区間における上記磁気飽和しない変流器を用いたと仮定したときの復元波形を表すデジタル波形データを演算する飽和区間波形演算部
9) 上記飽和区間判定部により上記非飽和区間と判定された区間は、上記変流器の二次側電流を表す上記デジタル波形データを出力し、上記飽和区間判定部により上記飽和区間と判定された区間は、上記飽和区間波形演算部により演算された上記復元波形を表すデジタル波形データを出力する波形データ出力部
ここで、変流器の飽和現象とは、過大な一次側電流が入力されたことにより磁気飽和状態となって二次側電流の波形に歪が生じる現象を言う。
上記構成によれば、変流器において磁気飽和が起こっても、変流器の二次側電流の波形を補正して、変流器の正確な一次側電流の波形を得ることができ、磁気飽和による波形歪みと高調波による波形歪みを正確に見分けて、磁気飽和による波形歪みの場合に波形の歪んだ部分を補正することにより、電力系統事故時の過電流の実効値をより正しく分析できる。
また、一実施形態の波形処理装置では、
上記一次微分演算部は、
基準となる現在サンプリング時点k(kは1以上の整数)のp(pは1以上の整数)サンプル前とpサンプル後のデータの差分に基づいて、上記一次微分値を演算し、
上記二次微分演算部は、
サンプル時点k−q(qは1以上の整数)およびサンプル時点k+qを基準として上記一次微分演算部により演算された上記一次微分値間の差に基づいて、上記二次微分値を演算し、
上記実効値演算部は、
上記一次微分演算部により演算された上記一次微分値および上記二次微分演算部により演算された上記二次微分値に基づいて、
Figure 2014050284
但し、i(k): kサンプル目の電流値
ω : 基本波の角周波数
fs : サンプリング周波数
により上記変流器の二次側電流の実効値Iを演算する。
上記実施形態によれば、上記式により変流器の二次側電流の実効値Iを演算することによって、変流器の二次側電流である交流電流の実効値波形の急変点を容易に見出すことができる。
また、一実施形態の波形処理装置では、
上記飽和現象判定部は、
上記実効値演算部により演算された上記変流器の二次側電流の実効値をI(k)とし、
現在サンプリング時点kから1サイクル前までの区間における上記実効値I(k)の最大値をSt(k)とし、
上記St(k)と上記I(k)とを用いて、
Figure 2014050284
但し、T : 基本波の周期
fs : サンプリング周波数
[X] : Xを超えない最大整数を表すガウスの記号
St(k) : 区間[k-Tfs,k]におけるI(k)の最大値
によりDstr値を求め、
上記デジタル波形データの全てのサイクルにおいて、
Dstr < α (αは予め設定された閾値)
のとき、上記変流器の飽和現象なしと判定する一方、
上記デジタル波形データの全てのサイクルのうちの1つ以上のサイクルにおいて、
Dstr ≧ α
のとき、上記変流器の飽和現象ありと判定する。
上記実施形態によれば、上記式により求めたDstr値に基づいて飽和現象の発生した交流波形のサイクルを正確に判断できる。
また、一実施形態の波形処理装置では、
上記飽和区間判定部は、
上記積分演算部により演算された積分値に基づいて上記変流器の内部磁束値Φ(k)を求め、
上記実効値演算部により演算された上記変流器の二次側電流の実効値を表す波形データが、現在サンプリング時点kから前1サイクル間において最初の極大点となるサンプリング時点を飽和開始点とし、
上記飽和開始点における上記内部磁束値Φ(k)を上記変流器の内部磁束値の最大値として、その最大値に対する上記変流器の内部磁束値の比が上記閾値よりも大きい区間を上記飽和区間と判定する。
上記実施形態によれば、積分演算部により演算された積分値に基づいて変流器の内部磁束値Φ(k)を求め、その内部磁束値Φ(k)に基づいて変流器の飽和開始点を求めて、さらにその飽和開始点に基づいて飽和区間を容易に判定することができる。
また、一実施形態の波形処理装置では、
上記飽和区間波形演算部は、
上記非飽和区間における上記デジタル波形データに基づいて、上記変流器の二次側電流の減衰直流成分を、
Figure 2014050284
但し、y(t):時刻tにおける上記変流器の一次側の事故電流値を表す関数
A :直流成分のt=0における振幅
α :直流成分の減衰定数
t :事故開始時点を0とした経過時間 [秒]
T :基本波の周期 [秒]
により演算する減衰直流成分演算部を有し、
上記実効値演算部は、
上記デジタル波形データから上記減衰直流成分演算部により演算された上記減衰直流成分を差し引いて得られた上記デジタル波形データの交流波形成分の上記非飽和区間におけるゼロクロス点を含む近傍のデジタル波形データに基づいて、上記変流器の二次側電流の実効値を演算し、
上記実効値演算部により演算された上記変流器の二次側電流の実効値に上記減衰直流成分演算部により演算された上記減衰直流成分を加えることによって、上記飽和区間における上記磁気飽和しない変流器を用いたときの上記復元波形を表すデジタル波形データを演算すると共に、
過大交流成分による飽和波形の場合は、その非飽和部分におけるゼロクロス点周辺データに基づいて、上記実効値演算部により交流成分の実効値を演算して交流波形として再現することによって、上記飽和区間における上記磁気飽和しない変流器を用いたときの上記復元波形を表すデジタル波形データを得る。
上記実施形態によれば、デジタル波形データを飽和部分と非飽和部分に分けた後、非飽和領域の最も安定した部分の波形からその波形の減衰直流成分を推定して、元のデジタル波形データからその減衰直流成分を差し引くことにより非飽和部分においてその交流成分の波形を推定し、その交流成分が飽和波形部分においても本来は同一振幅で継続しているであろうとの仮定に基づいて飽和部分にも延長し、その交流成分の波形に上記減衰直流成分の波形を加算して元の波形を復元し出力することができる。
また、一実施形態の波形処理装置では、
上記のいずれか1つの波形処理装置において、
上記変流器の二次側電流を予め設定されたサンプリング周波数でA/D変換することにより得られた上記デジタル波形データに含まれる高調波成分を除去するフィルタ部を備え、
上記積分演算部は、上記フィルタ部により高調波成分が除去された上記デジタル波形データを積分する。
上記実施形態によれば、変流器の二次側電流のデジタル波形データに含まれる高調波成分をフィルタ部により除去することによって、磁気飽和判定の妨げとなる高調波成分を交流成分から分離でき、非線形変化点の検出漏れを低減できる。
また、この発明の波形記録装置は、
上記のいずれか1つの波形処理装置と、
上記波形処理装置により処理された上記デジタル波形データを記録する記録部と
を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の波形を記録部に記録することができる。
また、この発明の自動オシログラフ装置は、以下の1)〜5)の全ての要素を含んで構成されたことを特徴とする。
1) 電力系統電路の電流を検出する変流器の二次側電流を予め設定されたサンプリング周波数でA/D変換してデジタル波形データを出力するA/D変換器
2) 上記A/D変換器によりA/D変換された上記デジタル波形データを一定時間記憶した後に出力する事故前波形データ用メモリー
3) 上記電力系統電路の電流の波形の異常を検出するための波形異常検出部
4) 上記波形異常検出部が上記電力系統電路の電流の波形の異常を検出すると、上記事故前波形データ用メモリーによって一定時間遅延させた上記デジタル波形データを記憶する波形データ用メモリー
5) 上記波形データ用メモリーに記憶された上記デジタル波形データを処理する上記のいずれか1つの波形処理装置
上記構成によれば、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の波形を記録することができる。
また、この発明の自動オシログラフシステムは、以下の1)〜3)の全ての要素を含んで構成され、そのうちの少なくとも1つに上記のいずれか1つの波形処理装置を備えたことを特徴とする。
1) 電力系統電路の電圧を検出する変圧器の二次電圧および上記電力系統電路の電流を検出する変流器の二次側電流を予め設定されたサンプリング周波数でA/D変換して、そのA/D変換されたデジタル波形データのうちの電力系統事故を含む波形異常時のデジタル波形データを記録する自動オシログラフ装置
2) 上記自動オシログラフ装置から通信ネットワークを介して上記デジタル波形データを受信して保存するサーバー装置
3) 上記サーバー装置に保存された上記デジタル波形データを上記通信ネットワークを介してモニター画面上に表示するクライアント装置
上記構成によれば、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の波形を記録すると共に、記録された一次側電流の波形に基づいて正確な事故解析などが可能になる。
また、この発明の電流計測装置は、
上記波形処理装置と、
上記波形処理装置により演算された上記デジタル波形データの少なくとも実効値を表示する実効値表示部と
を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の少なくとも実効値を表示することができる。
また、この発明の波形処理方法は、以下の1)〜9)の全てのステップを有することを特徴とする。
1) 変流器の二次側電流を予め設定されたサンプリング周波数でA/D変換して得られたデジタル波形データを積分演算部により積分する積分演算ステップ
2) 上記デジタル波形データを一次微分演算部により微分する一次微分演算ステップ
3) 上記一次微分演算部により微分された上記デジタル波形データを二次微分演算部により微分する二次微分演算ステップ
4) 上記一次微分演算部の微分演算の結果と上記二次微分演算部の二次微分演算の結果に基づいて、上記変流器の二次側電流の実効値を上記デジタル波形データのサンプル毎に実効値演算部により演算する実効値演算ステップ
5) 上記実効値演算部により演算された上記変流器の二次側電流の実効値の変化に基づいて、上記変流器の飽和現象の有無を飽和現象判定部により判定する飽和現象判定ステップ
6) 上記飽和現象判定部が上記変流器の飽和現象ありと判定したとき、上記積分演算部の積分演算の結果に基づいて、上記変流器の飽和現象ありと判定した直前1サイクル内において、上記積分演算部により演算された上記積分値の最大値に対する上記積分値の比が予め設定された閾値よりも大きい区間を飽和区間と飽和区間判定部により判定する飽和区間判ステップ
7) 上記飽和区間判定部が、上記積分演算部により演算された上記積分値の最大値に対する上記積分値の比が予め設定された閾値以下の区間を非飽和区間としたとき、その非飽和区間における上記デジタル波形データに基づいて、上記変流器の代わりに磁気飽和しない変流器を用いたときの波形モデルを波形モデル推定部により推定する波形モデル推定ステップ
8) 上記飽和区間判定部が、上記積分演算部により演算された上記積分値の最大値に対する上記積分値の比が上記閾値よりも大きい区間を飽和区間としたとき、上記波形モデル推定部により推定された上記波形モデルに基づいて、上記飽和区間における上記磁気飽和しない変流器を用いたと仮定したときの復元波形を表すデジタル波形データを飽和区間波形演算部により演算する飽和区間波形演算ステップ
9) 上記飽和区間判定部により上記非飽和区間と判定された区間は、上記変流器の二次側電流を表す上記デジタル波形データを出力し、上記飽和区間判定部により上記飽和区間と判定された区間は、上記飽和区間波形演算部により演算された上記復元波形を表すデジタル波形データを波形データ出力部により出力する波形データ出力ステップ
上記構成によれば、変流器において磁気飽和が起こっても、変流器の二次側電流の波形を補正して、変流器の正確な一次側電流の波形を得ることができ、磁気飽和による波形歪みと高調波による波形歪みと正確に見分けて、磁気飽和による波形歪みの場合に波形の歪んだ部分を補正することにより、電力系統事故時の過電流の実効値をより正しく分析できる。
また、この発明の波形処理プログラムは、
上記の波形処理方法の上記各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
上記構成によれば、上記波形処理方法の各ステップをコンピュータに実行させることによって、変流器において磁気飽和が起こっても、変流器の二次側電流の波形を補正して、変流器の正確な一次側電流の波形を得ることができ、磁気飽和による波形歪みと高調波による波形歪みを正確に見分けて、磁気飽和による波形歪みの場合に波形の歪んだ部分を補正することにより、電力系統事故時の過電流の実効値をより正しく分析できる。
また、この発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
上記の波形処理プログラムを記録したことを特徴とする。
上記構成によれば、記録された波形処理方法の各ステップをコンピュータに実行させることによって、変流器において磁気飽和が起こっても、変流器の二次側電流の波形を補正して、変流器の正確な一次側電流の波形を得ることができ、磁気飽和による波形歪みと高調波による波形歪みを正確に見分けて、磁気飽和による波形歪みの場合に波形の歪んだ部分を補正することにより、電力系統事故時の過電流の実効値をより正しく分析できる。
以上より明らかなように、この発明によれば、変流器に磁気飽和が生じても、変流器の二次側電流の波形を補正して、変流器の正確な一次側電流の波形を得ることができる波形処理装置、波形処理方法、波形処理プログラムおよびその波形処理プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を実現することができる。
また、この発明によれば、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の波形を記録できる電流計測装置と自動オシログラフ装置および自動オシログラフシステムを実現することができる。
また、この発明によれば、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の少なくとも実効値を表示する電流計測装置を実現することができる。
図1はこの発明の実施の一形態の波形処理装置を備えた自動オシログラフ装置が設置された送電線路の系統図である。 図2は上記自動オシログラフ装置を備えた自動オシログラフシステムの構成図である。 図3は事故時の電圧波形の例を示す図である。 図4は事故時の電流波形の例を示す図である。 図5は飽和特性が急峻な(飽和状態と非飽和状態が明確に分かれている)場合の変流器の一次側電流波形と二次側のシャント抵抗の電圧波形を示す図である。 図6は飽和特性が緩慢な(飽和状態と非飽和状態が明確に分かれていない)場合の変流器の一次側電流波形と二次側のシャント抵抗の電圧波形を示す図である。 図7は上記変流器の飽和時の波形の例を示す図である。 図8は(式1)の演算回路のブロック図である。 図9は上記変流器の飽和時の波形の例を示す図である。 図10は非飽和の場合の波形とそのときのDstr値のグラフである。 図11は図10において更に5次高調波(約15%)を重畳させた時の波形とそのときのDstr値のグラフである。 図12は図10で上記変流器に過大入力を入力した時(若干飽和し始めたところ)の波形とそのときのDstr値のグラフである。 図13は過大入力時の波形とそのときのDstr値のグラフである。 図14はDstr値の演算回路のブロック図である。 図15は上記変流器の二次側電流波形とその積分波形すなわち推定磁束値の変化波形である。 図16は上記変流器の二次側電流波形とその磁束値の変化波形である。 図17は上記変流器の磁気飽和特性が急峻な場合について飽和区間における推定磁束値の変化状況を示す図である。 図18は上記変流器の磁気飽和特性が緩慢な場合について飽和区間における推定磁束値の変化状況示す図である。 図19は飽和領域と非飽和領域の判定関係を示す図である。 図20は上記変流器の二次側電流波形から減衰直流成分を差し引いて交流成分を抽出した波形を示す図である。 図21は抽出した交流成分の非飽和部分の波形から(式1)によって交流成分が飽和しなかった場合のその実効値を示す図である。 図22は交流成分の波形を再現し、(式12)による減衰直流成分を加算し、変流器の磁気飽和がなかった場合の変流器の二次側電流波形を再現し、元の変流器の二次側電流波形に重ねて表した図である。 図23は上記波形処理装置のブロック図である。 図24Aは上記波形処理装置の波形補正部のブロック図のうち、交流成分の抽出と減衰直流成分を推定する要部のブロック図である。 図24Bは上記波形処理装置の入力部のブロック図である。 図24Cは上記波形処理装置の減衰直流成分演算部のブロック図である。 図24Dは上記波形処理装置の直流成分混入判定部/経過時間計時部のブロック図である。 図24Eは上記波形処理装置の交流成分抽出部/減衰直流成分推定部のブロック図である。 図25Aは上記波形処理装置の波形補正部のブロック図のうち、交流成分を推定する部分と交流成分を用いて波形を補正する要部のブロック図である。 図25Bは上記波形処理装置の交流成分実効値演算部のブロック図である。 図25Cは上記波形処理装置の飽和波形補正部のブロック図である。 図25Dは上記波形処理装置の経過時間計時部/正弦波演算部のブロック図である。 図26は上記波形処理装置の波形補正部の全体ブロック図である。 図27は上記変流器の二次側電流による変流器の鉄心磁束の演算原理を説明するための模式図である。
この発明は電力系統電路に設置された変流器が事故時の直流電流成分や過大交流電流成分によって磁気飽和を起こした場合においても、変流器の二次側電流波形を元に変流器一次側の電流波形を正しく推定する手法およびそれを実施する装置に関し、詳しくは電力系統電路に設置された電圧・電流変換器の波形を記録する自動オシログラフ装置(オシロ装置、オシロ、系統現象記録装置、総合記録装置、または単に波形記録器ともいう)において変流器の電流波形を記録し正しく再現する装置、または装置内部のハードウエアおよびソフトウェアに関するものであり、また、本方式を適用した波形記録器や電流計測装置に関するものである。
以下、この発明の波形処理装置、波形記録装置、自動オシログラフ装置、自動オシログラフシステムおよび電流計測装置、波形処理方法、波形処理プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1はこの発明の実施の一形態の波形処理装置17(図2に示す)を備えた自動オシログラフ装置1が設置された送電線路の系統図を示している。
図1において、PWは送電側変電所に設置された電源、L1は電源PWに接続された送電側変電所の母線、L2は上記母線L1に送電線L11,L12を介して接続された受電側変電所の母線、Tは受電側変電所の変圧器である。上記送電線L11,L12の送電側変電所側に電流計測用の変流器CT11,CT12を配設している。また、送電側変電所に、母線L1の電圧を検出する電圧計測用の変圧器PT(Potential Transformer)を配設している。また、R1は電源PWの接地抵抗であり、R2は変圧器Tの接地抵抗である。
そして、自動オシログラフ装置1に、変圧器PTからの母線電圧を表す信号を入力し、変流器CT11,CT12からの送電線L11,L12の電流を表す信号を入力している。
この実施の形態では、自動オシログラフ装置1は、送電側変電所の変圧器PTを介して電圧信号を取得すると共に、変流器CT11,CT12を介して電流信号を取得している。
また、図2は上記自動オシログラフ装置1を備えた自動オシログラフシステムの構成を示している。図2に示すように、自動オシログラフ装置1は、変圧器PTから入力された電圧信号を所定のサンプリング周波数でA/D変換して、デジタル波形データを出力するA/D変換器を含む電圧入力部11と、変流器CT11から入力された電流信号を所定のサンプリング周波数でA/D変換して、デジタル波形データを出力するA/D変換器を含む電流入力部12と、電圧入力部11と電流入力部12からのデジタル波形データを一定時間記憶した後に出力する事故前波形データ用メモリーの一例としての事故前メモリー13と、上記事故前メモリー13からの一定時間遅延させたデジタル波形データを記憶する波形データ用メモリーの一例としての主メモリー14と、上記主メモリー14に記憶されたデジタル波形データを伝送する伝送部15と、電圧入力部11と電流入力部12からのデジタル波形データに基づいて起動を検出するの波形異常検出部の一例としての起動検出部16と、波形処理装置17とを有する。
この自動オシログラフ装置1において、取得した電圧信号,電流信号はA/D変換され、一定時間分リングバッファー状の事故前メモリー13に記憶され、系統事故発生時に電圧低下や電流増大などの一定の起動条件を満たすと、起動検出部16が起動を検出し、その検出時点より一定時間遡った時点からのデジタル波形データが主メモリー14に記憶される。
そして、波形処理装置17は、主メモリー14に記憶されたデジタル波形データに対して、波形を補正する処理を行う。次に、主メモリー14に記憶されたデジタル波形データは、通信ネットワークNを介してサーバー装置21に転送されて保存される。ここで、波形処理装置17の処理は、主メモリー14に記憶されたデジタル波形データを補正して書き換えてもよいし、サーバー装置21に転送するときに行ってもよい。
そうして、新たなデジタル波形データがサーバー装置21に保存されると、サーバー装置21から新たなデジタル波形データが保存されたことをクライアント装置22に通知する。また、クライアント装置22からの要求によってデジタル波形データがサーバー装置21からクライアント装置22に転送され、クライアント装置22のモニター画面上に、その波形や事故部分の実効値、位相角などが表示される。
上記自動オシログラフ装置1と通信ネットワークNとサーバー装置21とクライアント装置22で自動オシログラフシステムを構成している。ここで自動オシログラフ装置1は、1台に限らず、複数台の自動オシログラフ装置が通信ネットワークに接続された自動オシログラフシステムにこの発明を適用してもよい。
図3は事故時の電圧波形の例を示している。図3において、横軸は時間[sec]を表し、縦軸は電圧[V]を表している。
図3に示すように、電圧波形の振幅が低下している部分が事故部分である。
また、図4に事故時の電流波形の例を示している。図4において、横軸は時間[sec]を表し、縦軸は電流[A]を表している。
図4に示すように、事故時の電流振幅は増大するが、電源PWの出力は不連続に電流の瞬時値が変わるのではなく、電流値の連続性を保ちつつ振幅が増大するので、図4のように正側か負側に偏った波形になる。特に直接接地系統では、接地抵抗値が低いため、地絡事故でも事故時の電流値は数万アンペアに達する。
このとき、変流器CT11,CT12が磁気飽和を起こしていると、二次側のシャント抵抗の両端には図5に示すような鋸波状の波形が現われる。図5おいて、横軸は時間[sec]を表し、縦軸は電流[A]を表している。
この鋸波状の波形は、磁気飽和によって変流器の二次側に一次側電流の変化に応じた起電力が発生しなくなるために生ずるものであり、磁気飽和状態が解消されると、元の正弦波状の電流波形となる。
図5の非飽和波形は、理想的な飽和特性を持ったコアを用いた変流器の場合の二次側のシャント抵抗の電圧波形である。一般の変流器のコアは一次側の電流値のある値に対して急激に磁気飽和を起こすのではなく、一次側電流の増加に対して少しずつ内部磁束の増加量が減少し、徐々に飽和領域に達するので、二次側電流の波形は図6に示す飽和波形になる。
図7は図6に示す変流器の磁気飽和時の波形と、次の(式1)を適用した結果を共に示したものである。なお、図7において、横軸は時間[秒]を表し、縦軸は電圧[V]および制御信号[任意目盛]を表している。ここで、制御信号は、(式1)の演算を行う演算回路において扱う数値で表されている。
Figure 2014050284
但し、i(k): kサンプル目の電流値
ω : 基本波の角周波数
fs : サンプリング周波数
ここで、i(k+p)−i(k−p)は、基準となる現在サンプリング時点k(kは1以上の整数)のp(pは1以上の整数)サンプル前とpサンプル後のデータの差分である。また、i(k+p+q)−i(k−p+q)−i(k+p−q)−i(k−p−q)は、サンプル時点k−q(qは1以上の整数)およびサンプル時点k+qを基準として、p(pは1以上の整数)サンプル前とpサンプル後のデータの差分である。
上記(式1)の導出過程について以下に説明する。
変流器の二次側電流および磁束について、次式による一次微分の差分と二次微分の差分をとると正弦波であれば90度位相差のある正弦波が得られる。
系統周波数の変動値はごく僅かであるので、この2つの式の二乗和とすることにより、正弦波の振幅値を検出することができる。
ここで、Iは正弦波の振幅、Idは直流分、ωは角周波数[rad/秒]、θは任意の位相角、fsはサンプリング周波数、kはサンプリング番号とする。
観測波形が正弦波であれば、次の(式1-1)のように仮定できる。
Figure 2014050284
ここで、p=1,2,3,…と置いて上記(式1-1)の一次微分の差分を求めると、
Figure 2014050284
となり、さらに、q=1,2,3,…と置いて二次微分の差分を求めると、
Figure 2014050284
となる。そして、この一次微分の差分を表す(式1-2)と二次微分の差分を表す(式1-3)により、
Figure 2014050284
および、
Figure 2014050284
が得られる。
この(式1-4)と(式1-5)を夫々二乗して、sin+cos=1を適用すると、
Figure 2014050284
となる。
したがって、上記(式1-6)から正弦波電流の実効値Iを表す上記(式1)が導かれる。
図8は上記(式1)の演算を行う演算回路のブロック図を示している。この演算そのものは、マイクロコンピュータやDSP(Digital Signal Processor:デジタル・シグナル・プロセッサ)のプログラムで実現しても良い。
図8において、DL1〜DL5は直列に接続された遅延回路、SUB1は遅延回路DL1の出力X(k+2)から遅延回路DL3の出力X(k)を引き算する減算器、SUB2は遅延回路DL2の出力X(k+1)から遅延回路DL4の出力X(k-1)を引き算する減算器、SUB3は遅延回路DL3の出力X(k)から遅延回路DL5の出力X(k-2)を引き算する減算器、SUB4は減算器SUB1の出力(X(k+2)-X(k))から減算器SUB3の出力(X(k)-X(k-2))を引き算する減算器、GA1は減算器SUB2の出力(X(k+1)-X(k-1))に定数を掛け算する乗算器、GA2は減算器SUB4の出力(X(k+2)-2X(k)+X(k-2))に定数を掛け算する乗算器、SUM1は乗算器GA1の出力xと乗算器GA2の出力yのピタゴラス和√(x+y)を演算する実効値演算部の一例としての演算器である。
上記遅延回路DL1〜DL4と減算器SUB2と乗算器GA1で一次微分演算部を構成している。また、上記遅延回路DL1〜DL5と減算器SUB1,SUB2,SUB4と乗算器GA2で二次微分演算部を構成している。
また、図9は図6の変流器の磁気飽和時の波形と、次の(式2)により求めたDstr値を共に示したものである。なお、図9において、横軸は時間[秒]を表し、縦軸は電圧[V]および制御信号[任意目盛]を表している。ここで、制御信号は、(式2)の演算を行う演算回路において扱う数値で表されている。
Figure 2014050284
但し、T : 商用周波の基本波の周期
fs : サンプリング周波数
[X] : Xを超えない最大整数を表すガウスの記号
St(k) : 区間[k-Tfs,k]におけるI(k)の最大値
ここで、I(k)は、変流器の二次側電流の実効値であり、St(k)は、現在サンプリング時点kから1サイクル前までの区間における実効値I(k)の最大値である。
図9でその計算結果が過電流発生区間内で判定閾値(ここでは例として0.13と図中に表示)を超えている場合、元の波形において磁気飽和現象が発生しているものと判断する。
直流電流成分重畳による磁気飽和現象の場合、電力系統で事故が起こって過電流状態となっても、必ずしもそれ以降の交流波形の第一サイクルから磁気飽和するとは限らず、直流電流成分によって変流器のコアに蓄積される磁束がある閾値を超えた時点で磁気飽和現象が発生するのであるから、電流値の大きさからだけでは飽和点を見出すことはできないし、高調波成分が重畳している場合もあるので、波形の歪み開始点を以って飽和現象の開始点と一概には判断できない難しさがある。
本発明において提案する上記の(式2)は、飽和現象の発生した交流波形のサイクルを正確に判断できる情報を与えてくれるものである。
図10は非飽和の場合の波形とそのときのDstr値のグラフを示している。図10に示すように、非飽和波形の場合、確かにDstr値は判定閾値より小さな値を示している。
図11は図10において更に5次高調波(約15%)を重畳させた時の波形とそのときのDstr値のグラフを示している。一般にこの程度以上に高調波が乗った電力系統の電流波形は経験的に殆どないので、これで高調波による判定間違いが起こらないことは容易に推察できる。
図12は図10で変流器に過大入力を入力した時(若干飽和し始めたところ)の波形とそのときのDstr値のグラフを示している。
また、図13は図12の2倍の過大入力時の波形とそのときのDstr値のグラフを示している。図13では、過大入力時のDstr値は判定レベルの0.13より十分高くなっており、磁気飽和現象の発生を正しく判定できることが判る。
図14はDstr値の演算回路のブロック図を示している。
この演算回路は、図14に示すように、電流I(k+1)を1サンプリング分遅延させる遅延回路DL11と、遅延回路DL11により1サンプリング分遅延した電流I(k)を更に1サンプリング分遅延させる遅延回路DL12と、遅延回路DL11の出力I(k)から遅延回路DL12の出力I(k-1)を引き算する減算器SUB11と、遅延回路DL11の出力I(k)から電流I(k+1)を引き算する減算器SUB12と、減算器SUB11の出力と定数FIX11とを比較する比較器COMP11と、減算器SUB12の出力と定数FIX12とを比較する比較器COMP12と、比較器COMP11の出力と比較器COMP12の出力との否定論理積を演算する論理演算器NAND11とを有する。この実施の形態では、定数FIX11,FIX12を0.0としている。
また、上記演算回路は、遅延回路DL11の出力I(k)と後述する定数倍アンプGA11の出力0.6S(k-1)のいずれか大きい方を区間最大値であるS(k)として出力する演算器MAX11と、論理演算器NAND11の出力の論理が正(1)のときに演算器MAX11の出力をホールドするホールド回路HOLD11と、ホールド回路HOLD11の出力S(k)を1サンプリング分遅延する遅延回路DL13と、遅延回路DL13の出力S(k-1)に定数0.6を掛け算する定数倍アンプGA11とを有する。
さらに、上記演算回路は、ホールド回路HOLD11の出力S(k)から遅延回路DL11の出力I(k)を減算する減算器SUB13と、ホールド回路HOLD11の出力S(k)と遅延回路DL11の出力I(k)とを加算する加算器ADD11と、減算器SUB13の出力を加算器ADD11で割り算する除算器DIV11と、除算器DIV11の出力同士を掛け算する乗算器MULT11と、乗算器MULT11の出力を平均する平均化器AVR11と、遅延回路DL11の出力I(k)と定数FIX13(無入力判定レベル)とを比較する比較器COMP13と、比較器COMP13の出力と平均化器AVR11の出力とを掛け算して、Dstr値を出力する乗算器MULT12とを有する。
上記演算回路では、先ずI(k)の極大点を求めており、その後、その極大点において、I(k)が極大値の場合にI(k)>0.6×S(k−1)ならS(k)=I(k)と置き、その他の場合にS(k)=S(k−1)と置いてS(k)を求め、そのS(k)とI(k)から(式2)の値を算出している。
また、上記(式2)は経験的に求めたもので、何らかの理論的演繹の結果求めたものではないが、正弦波波形に高調波が乗っている場合は、例えば第n次高調波のみ検討してみれば、その正の半サイクルと、負の半サイクルとがバランスして(式2)の演算結果にあまり影響を与えないことが推定できる。しかし、磁気飽和波形の場合は交流波形の1サイクル毎に非飽和部分と飽和部分の組み合わせであり、飽和部分では必ず元の正弦波より絶対値が小さな値となる。そのため、区間最大値であるS(k)との差は大きくなり積算項の分子の演算結果は大きく、分母の演算結果は小さくなり積算結果はより大きな値になるが、非飽和部分では通常の正弦波の場合の値を示すのであるから飽和部分による値の増加分がキャンセルされないので、結果として高調波混入によって波形が歪んでいる場合より磁気飽和によって波形が歪んでいる場合の方が高い値が出てくるのである。
なお、上記(式2)の演算に際しては、I(k)の区間最大値であるS(k)がゼロに近い場合は不確定な値となるので、S(k)がある値以下の場合は、図14にあるように計算結果をゼロとする機能を追加している。
以上が波形の磁気飽和有無の判定方法の説明である。次に飽和部分と非飽和部分との判定方法について説明する。
図15は磁気飽和特性が急峻な変流器において、変流器の二次側電流波形とその積分波形すなわち推定磁束値の変化波形(以下磁束値の変化波形という)を、磁気飽和がある場合と無い場合について示している。なお、図15において、横軸は時間[秒]を表し、縦軸は制御信号[任意目盛]を表している。ここで、制御信号は、演算回路において扱う数値で表されている。
図16は磁気飽和特性が緩慢な変流器において、変流器の二次側電流波形とその磁束値の変化波形を、磁気飽和がある場合と無い場合について示している。なお、図16において、横軸は時間[秒]を表し、縦軸は制御信号[任意目盛]を表している。ここで、制御信号は、演算回路において扱う数値で表されている。
図17は変流器の磁気飽和特性が急峻な場合について飽和区間における推定磁束値の変化状況を示したものである。なお、図17において、横軸は時間[秒]を表し、縦軸は制御信号[任意目盛]および制御信号定数[任意目盛]を表している。ここで、制御信号および制御信号定数は、演算回路において扱う数値で表されている。また、H1は推定磁束の最大値であり、H2は磁束飽和レベルである。
図17に示すように、変流器の磁気飽和中は推定磁束値の変化は少なく頭打ちとなっている。したがって、変流器の磁気飽和中の推定磁束値の最大値の約90%程度以上の領域を磁気飽和の可能性が高い区間とし、それを省いた区間の変流器の二次側電流値を非飽和区間の電流値として、その区間のデータを元に変流器の一次側電流波形を推定することができる。
また、図18は変流器の磁気飽和特性が緩慢な場合について飽和区間における推定磁束値の変化状況を示したものである。なお、図18において、横軸は時間[秒]を表し、縦軸は制御信号[任意目盛]および制御信号定数[任意目盛]を表している。ここで、制御信号および制御信号定数は、演算回路において扱う数値で表されている。また、H11は推定磁束の最大値であり、H12は磁束飽和レベルである。また、図を見やすくするために推定磁束の振幅を3倍にしている。
図18では変流器の磁気飽和中も推定磁束値は変化し、極大値を持っている。したがって、変流器の磁気飽和中の推定磁束値の最大値の約75%程度以上の領域を磁気飽和の可能性が高い区間とし、またそれを省いた区間の二次電流値を非飽和区間の値として、非飽和区間のデータを元に変流器の一次側電流波形を推定することができる。
図19は飽和領域と非飽和領域の判定関係を示したものである。なお、図19において、横軸は時間[秒]を表し、縦軸は制御信号[任意目盛]および制御信号定数[任意目盛]を表している。ここで、制御信号および制御信号定数は、演算回路において扱う数値で表されている。図19において、S1は非飽和状態の領域、S2,S3は飽和状態の領域である。
この図19からも明らかなように、飽和部分では変流器の二次側電流がゼロとなるまでの時点でその積分結果である内部磁束が極大値となり、磁気飽和してから変流器の二次側電流波形のゼロクロス点までの部分の変流器の二次側電流波形の面積(図19中の斜線の領域S2の面積)とゼロクロス点からそれ以降で非飽和となる時点までの部分の面積(図19中の縦線の領域S3の面積)は等しい。
したがって、最初の飽和開始時点が判明すれば、非飽和状態への復帰時点も判明する。
また、同様に上記復帰時点から内部磁束が極小値(変流器の二次側電流がゼロ)となるまでの区間の変流器の二次側電流の描く面積と、その時点から再度飽和状態になるまでの面積とは等しいから、再度飽和状態になる飽和開始時点も求めることができる。
一方、最初の飽和開始時点は、その後の交流サイクルにおける飽和開始時点より波形の変化が急峻であり、検出しやすいという特徴がある。本発明の方法によれば、変流器の磁気飽和中の推定磁束値の最大値の75%程度以上の磁気飽和の可能性が高い区間内から(式1)の演算結果の変化点検出によって区間内の先頭の波形の変化点を見つけ出し、この波形の変化点を最初の飽和開始時点として、それ以降は推定磁束値がそのレベルを超える部分を飽和区間、それ以外の部分を非飽和区間として扱うことができる。
以上で飽和区間・非飽和区間の識別が可能である。
次に、非飽和区間のデータから変流器の一次側の電流波形全体を推定する方法の一例を説明する。
この変流器の一次側の電流波形全体の推定は、非飽和区間のデータとモデル式からレーベンバーグ・マルカート法を用いて求めることができるが、同法による同定はいわゆる曲線当てはめと言われる試行錯誤的方法であり、計算は複雑で高度な計算能力を持ったコンピュータなどが必要である。しかるに、飽和領域と非飽和領域の境目が不明確な場合は、非飽和領域の全てのデータを用いた曲線当てはめ手法より非飽和波形の中でも比較的波形の歪み度の少ない部分のデータを用いた同定手法のほうがより正確な結果を得ることができる。ここでは、3点のデータで解析的計算によって同定した後にそれを複数のデータで平均化して精度を向上できる方法を説明する。
送電系統での事故時、変流器の一次側の事故電流波形は、モデル式である次の(式3)によって表現できることが判っている。
Figure 2014050284
上記(式3)は、次の(式4)のように一般化しても問題ない。ここで、交流成分の周波数は事故中も大幅な変動はなく商用周波数±0.5Hzの範囲内である。商用周波の周期Tの事故中の変動幅も±1%に収まる。それ故、 (式4)の角周波数ωおよび周期Tは既知の値として扱うことができる。
Figure 2014050284
但し、y(t):時刻tにおける変流器の一次側の事故電流値を表す関数
A :直流成分のt=0における振幅
α :直流成分の減衰定数
t :事故開始時点を0とした経過時間 [秒]
上記(式4)において、
Figure 2014050284
とすると、一周期後の値は次の(式5)のように表現できる。磁気飽和現象は周期的なので、磁気飽和が発生しても磁気飽和直前のある時点が非飽和であるとその丁度1周期後もまた非飽和である。それ故、次の(式5)が成立する。
Figure 2014050284
上記(式4)から上記(式5)を引くと、次の(式6)が得られる。
Figure 2014050284
したがって、t=0、t=Tのときに次の(式7)、(式8)が得られる。
Figure 2014050284
Figure 2014050284
上記(式7)、(式8)から(式9)が得られる。
Figure 2014050284
これより、次の(式10)が得られる。
Figure 2014050284
上記(式7)に上記(式9)を代入してAについて解くと、次の(式11)が得られる。
Figure 2014050284
したがって、変流器の一次側の電流波形の直流成分の二次側の換算波形は、変流器が磁気飽和しなければ、次の(式12)のように表現できる。
Figure 2014050284
上記(式12)はy(0)、y(T)、y(2T)の3個のデータから算出できるが、非飽和区間であればy(t)、y(t+T)、y(t+2T){ただし、tは時間軸上で非飽和区間内の値}に対しても算出でき、同様の値になるはずである。それらを非飽和区間内において平均化することで更に高精度化することができる。
図20は上記(式12)によって推定した減衰直流成分を元の変流器の二次側電流波形から差し引いて交流成分を抽出した波形である。なお、図20において、横軸は時間[秒]を表し、縦軸は制御信号[任意目盛]を表している。ここで、制御信号は、演算回路において扱う数値で表されている。
上記(式12)を算出するのに交流波形の2サイクル分のデータが必要なので、演算後、元の変流器の二次側電流波形を2サイクル分遅延させており、2サイクル分遅延させた波形から(式12)によって推定した減衰直流成分を差し引いたものである。
図21は図20で抽出した交流成分の非飽和部分の波形から上記(式1)によって交流成分の実効値(磁気飽和しなかった場合)を求めたものである。なお、図21において、横軸は時間[秒]を表し、縦軸は制御信号[任意目盛]を表している。ここで、制御信号は、演算回路において扱う数値で表されている。
図22は図20で求めた交流成分の波形を再現し、上記(式12)による減衰直流成分を加算し、変流器の磁気飽和がなかった場合の変流器の二次側電流波形を再現し、元の変流器の二次側電流波形に重ねて表したものである。なお、図22において、横軸は時間[秒]を表し、縦軸は制御信号[任意目盛]を表している。ここで、制御信号は、演算回路において扱う数値で表されている。
図23は波形処理装置17のブロック図を表したものである。
この波形処理装置17は、図23に示すように、変流器の二次側電流を表すデジタル波形データ(図23では「波形データ」)に基づいて磁気飽和現象が生じているか否かを判定する飽和現象判定部100と、内部磁束値から時間軸上で飽和区間と判断されるエリアと非飽和区間と判断されるエリアを判定する飽和区間判定部200と、判定された非飽和区間のデジタル波形データから飽和現象が起こらなかった場合の変流器の二次側電流の波形を推定し、磁気飽和時に元のデジタル波形データに置き換えて出力する波形データ補正部300と、波形データ補正部300からのデジタル波形データ(図23では「波形データ」)に基づいて、実効値と位相角を算出する実効値・位相角を算出部400とを備えている。上記波形処理装置17は、飽和区間判定部200の前段に、変流器の二次側電流を表すデジタル波形データの高調波成分を抑制するデジタルフィルタ部104を備えている。
上記飽和現象判定部100は、変流器の二次側電流を表すデジタル波形データに基づいて、二次側電流の実効値を演算する実効値演算部101と、実効値演算部101により演算された実効値のピーク値を検出して保持するピークホールド部102と、ピークホールド部102により検出された実効値のピーク値に基づいて、飽和現象の有無を判定する飽和現象判定部103とを有する。
上記飽和区間判定部200は、デジタルフィルタ部104からの高調波成分を抑制されたデジタル波形データを積分する積分演算部201と、積分演算部201からの積分結果のピーク値を検出するピーク検出部202と、ピーク検出部202により検出された積分結果のピーク値に基づいて、飽和区間を判定する飽和区間判定部203とを有する。なお、飽和区間判定部203は、実効値演算部101からの実効値の急変点情報および飽和現象判定部103からの飽和現象の判定結果に基づいて、飽和区間を判定する。
また、上記波形補正部300は、変流器の二次側電流を表すデジタル波形データおよび飽和区間判定部203の判定結果に基づいて、波形モデル式のパラメータを推定する波形モデル推定部301と、波形モデル推定部301により推定された波形モデルに基づいて、飽和区間の元の波形データを算出する飽和区間波形演算部302と、飽和区間判定部203の判定結果に基づいて、飽和区間波形演算部302からの飽和区間の波形データと非飽和区間の波形データを切り換えて出力する波形データ出力部303とを有する。
図24A〜図24Eは波形処理装置17の波形補正部300のうち、交流成分の抽出と減衰直流成分を推定する要部のブロック図を示している。
この波形処理装置17は、図24Aに示すように、入力部501と、減衰直流成分演算部502と、直流成分混入判定部/経過時間計時部503と、交流成分抽出部/減衰直流成分推定部504とを備えている。
上記入力部501は、図24Bに示すように、変流器の二次側に接続され、二次側電流が流れるシャント抵抗R11と、そのシャント抵抗R11に並列に接続され、二次側電流信号を出力する電圧プローブPBとを有する。この電圧プローブPBからの二次側電流信号は、図示しないA/D変換器によりA/D変換されたデジタル波形データとして、減衰直流成分演算部502と交流成分抽出部/減衰直流成分推定部504に入力される。
また、上記減衰直流成分演算部502は、図24Cに示すように、二次側電流信号を1サイクル遅延させる遅延回路DL21と、遅延回路DL21の出力をホールドするホールド回路HOLD21と、遅延回路DL21の出力を1サイクル遅延させる遅延回路DL22と、遅延回路DL22の出力をホールドするホールド回路HOLD23と、ホールド回路HOLD21の出力とホールド回路HOLD23の出力とを加算する加算器ADD21と、二次側電流信号をホールドするホールド回路HOLD22と、ホールド回路HOLD23の出力とホールド回路HOLD21の出力×2とホールド回路HOLD22の出力と定数FIX21とを加算する加算器ADD22と、加算器ADD21の出力と加算器ADD21の出力と加算器ADD22の出力を掛け算する乗算器MULT21とを有する。上記乗算器MULT21から減衰直流成分演算結果を出力する。
上記ホールド回路HOLD21,HOLD22は、直流成分混入判定部/経過時間計時部503(図24Aに示す)からの直流成分検出タイミング信号によりホールド動作する。
また、上記直流成分混入判定部/経過時間計時部503は、図24Dに示すように、減衰直流成分演算部502(図24Cに示す)のホールド回路HOLD23の出力と定数FIX31とを比較する比較器COMP31と、比較器COMP31の出力を極短時間遅延させて直流成分検出タイミング信号を出力する遅延回路DL31と、計時機能を有するタイマーTIME31と、遅延回路DL31の直流成分検出タイミング信号に基づいてタイマーTIME31の出力をホールドするホールド回路31と、ホールド回路31の出力とタイマーTIME31の出力を加算する加算器ADD31と、加算器ADD31の出力に定数FIX32を掛け算して、直流成分混入時点からの経過時間を出力する乗算器MULT31とを有する。
また、上記交流成分抽出部/減衰直流成分推定部504は、図24Eに示すように、二次側電流信号を2サイクル遅延させる遅延回路DL41と、遅延回路DL41の出力と定数FIX41とを比較する比較器COMP41と、比較器COMP41の出力がS端子に入力され、R端子に定数FIX42が入力されたRSフリップFF41と、ホールド回路HOLD22(図24Cに示す)の出力y(t0+2T)とホールド回路HOLD23(図24Cに示す)の出力y(t0)と加算する加算器ADD41と、加算器ADD41の出力y(t0)−y(t0+2T)と加算器ADD21の出力(y(t0)−y(t0+T))とを掛け算する除算器DIV41と、除算器DIV41の出力((y(t0)−y(t0+T))/(y(t0)−y(t0+2T)))をxとし、乗算器MULT31(図24Dに示す)から直流成分混入時点からの経過時間をyとして、xを演算する演算器XUY41と、RSフリップFF41の出力と乗算器MULT21(図24Cに示す)の出力である減衰直流成分演算結果と演算器XUY41の出力とを掛け算して、減衰直流成分を出力する乗算器MULT41と、遅延回路DL41の出力と乗算器MULT41の出力とを加算して、交流成分抽出波形を出力する加算器ADD42とを有する。
ただし、[数15]の(式12)ではt=0を時刻の基準点と置いているが、実際の装置では時刻の基準点をt=t0と置いており、以後、y(0)はy(to)、y(T)はy(to+T)、y(2T)はy(to+2T)と同義と見なすものとする。
ここで、遅延回路DL41の出力は、二次側電流信号を2サイクル遅延させた2サイクル遅延波形である。
上記[数15]の(式12)から明らかなように、推定には飽和後最小限2サイクル間のデータが必要である。入力波形を1サイクル分ずつ二回遅延させ、2サイクル前のデータが直流成分混入判定閾値を超えると1サイクル前、および2サイクル前のデータがホールドされ、それらのデータを元に(式12)の演算を行なって2サイクル遅れで減衰直流成分を算出し、推定できるのである。
図25A〜図25Dは波形処理装置17の波形補正部300のうち、交流成分を推定する部分と交流成分を用いて波形を補正する部分を表したものである。
この波形処理装置は、図25Aに示すように、交流成分実効値演算部601と、飽和波形補正部602と、経過時間計時部/正弦波演算部603とを備えている。
上記交流成分実効値演算部601は、図25Bに示すように、図8に示す(式1)の演算回路と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付して、説明を省略する。この交流成分実効値演算部601は、交流成分抽出部/減衰直流成分推定部504(図24Eに示す)からの交流成分抽出波形が入力され、(式1)の演算により交流成分実効値を出力する。
また、上記飽和波形補正部602は、図25Cに示すように、交流成分抽出部/減衰直流成分推定部504からの交流成分抽出波形と定数FIX51とを比較する比較器COMP51と、直流成分混入判定部/経過時間計時部503(図24Aに示す)からの直流成分検出タイミング信号と比較器COMP51の出力との論理積を演算する論理積回路AND51と、論理積回路AND51の出力がS端子に入力され、定数FIX52がR端子に入力されたRSフリップフロップFF51と、交流成分抽出部/減衰直流成分推定部504からの減衰直流成分とRSフリップフロップFF51の出力とを掛け算する乗算器MULT51と、RSフリップフロップFF51からの切換タイミング信号に基づいて、交流成分実効値演算部601から交流成分実効値をホールドするホールド回路HOLD51と、RSフリップフロップFF51からの切換タイミング信号とホールド回路HOLD51の出力と実効値をピーク値に換算する定数FIX53(√2)と経過時間計時部/正弦波演算部603からの正弦波波形とを掛け算する乗算器MULT52と、乗算器MULT51の出力と乗算器MULT52の出力とを加算する加算器ADD51と、RSフリップフロップFF51からの切換タイミング信号に基づいて、交流成分抽出部/減衰直流成分推定部504からの2サイクル遅延波形と加算器ADD51の出力とを切り換えるスイッチング回路SW51とを有する。
また、上記経過時間計時部/正弦波演算部603は、図25Dに示すように、計時機能を有するタイマーTIME61と、飽和波形補正部602(図25Eに示す)からの切換タイミング信号に基づいて、タイマーTIME61の出力をホールドするホールド回路HOLD61と、ホールド回路HOLD61の出力とタイマーTIME61の出力とを加算する加算器ADD61と、加算器ADD61の出力と定数FIX61とを掛け算する乗算器MULT61と、乗算器MULT61の出力に基づいて正弦波波形を演算して出力する演算器SIN61とを有する。
図24A〜図24E,図25A〜図25Dに示す波形処理装置において、交流成分抽出部/減衰直流成分推定部504で減衰直流成分が算出でき、観測波形データから減衰直流成分を差し引いて交流成分を求める。
その交流成分が交流成分実効値演算部601に入力され、1サンプル時間毎に4回遅延され、5サンプル分の時系列データに変換される。その5個のデータを(式1)にp=q=1として代入する。このとき、交流波形の非飽和区間が長ければデータの遅延を2サンプル毎や3サンプル毎にしてp=q=2(または3)とすれば、より広い範囲のデータによる交流波形の振幅(実効値ベース)が求まる。
そして、飽和波形補正部602において、交流成分実効値演算部601の交流成分実効値に√2を掛け、経過時間計時部/正弦波演算部603で作成した正弦波波形を掛けて、交流成分の波形を得ることができる。
図26は図2の波形処理装置17の詳細図(図23)の波形データ補正部300の全体ブロック図を示している。
図26に示すように、交流成分抽出部/減衰直流成分推定部504は、変流器の二次側電流値の交流成分の波形を交流成分実効値演算部601に出力し、変流器の二次側電流の減衰直流成分と、変流器の二次側電流波形を2サイクル分遅らせた2サイクル遅延波形を、飽和波形補正部602に出力する。
そして、交流成分実効値演算部601は、直流成分検出タイミング信号に基づいて、交流成分抽出部/減衰直流成分推定部504からの変流器の二次側電流値の交流成分の実効値を求める。また、経過時間計時部/正弦波演算部603において、交流波形部分の補正波形を作成し、飽和波形補正部602は、交流成分実効値演算部601により求めた実効値に変流器の二次側電流の減衰直流成分を加算して、変流器の二次側電流波形を2サイクル分遅らせた2サイクル遅延波形と、補正によって作成した補正波形とを切り替えてを出力している。
図27は変流器の二次側電流による変流器の鉄心磁束の演算原理を説明するための模式図を示している。
図27に示すように、変流器の二次回路は、二次巻線抵抗Rwと回路ケーブル電線抵抗Rcと二次負担抵抗Rbとの和となる変流器の二次回路抵抗Rt、および、二次負担インダクタンスLbの閉回路と見なせる。このとき、二次巻線数nと鉄心磁束φと二次巻き線誘起電圧e2(t)および二次側電流i2(t)の関係は次の通りとなる。
Figure 2014050284
したがって、二次巻線磁束鎖交数nφは、
Figure 2014050284
で表され、一般にLb2(t)の項は無視できるので、
Figure 2014050284
となる。ここで、φ0は積分定数であり、φstrは飽和磁束である。
このように、変流器の二次回路に流れる二次側電流i2(t)の積分値と変流器の二次回路抵抗Rtと二次巻線数nに基づいて、鉄心磁束φを求めることができる。
図24A〜図24Eにおいても明らかなように、これらの処理には最低2サイクル分のデータを必要とし、2サイクル分の遅延が発生するが、リアルタイムで補正波形を出力する必要の無いオフライン解析の場合は全く問題ない。
上記(式2)による磁気飽和現象有無の判定手法は充分実用的なものであるが、それでも強力な高調波外乱に対しては誤判定の可能性がある。そのような誤判定を低減するには、デジタルフィルタ部104として、奇数次高調波成分を除去するフィルタが有効である。これは電力系統に含まれる高調波が主に奇数次であることと、磁気飽和現象が半サイクル毎の繰り返し現象であって、その半サイクルのうち主に1/4サイクルに波形歪みが生じることが多いので、磁気飽和現象が偶数次高調波で表現しやすいことによる。磁気飽和現象による波形歪みは残しておいて系統現象による高調波のみ減衰させておくことが高調波の悪影響を除去する上で効果的である。
上記構成の波形処理装置によれば、変流器において磁気飽和が起こっても、変流器の二次側電流の波形を補正して、変流器の正確な一次側電流の波形を得ることができ、磁気飽和による波形歪みと高調波による波形歪みを正確に見分けて、磁気飽和による波形歪みの場合に波形の歪んだ部分を補正することにより、電力系統事故時の過電流の実効値をより正しく分析できる。
また、上記波形処理装置において、上記[数4]の(式1)により変流器の二次側電流の実効値Iを演算することによって、変流器の二次側電流である交流電流の実効値波形の急変点を容易に見出すことができる。
また、上記波形処理装置において、上記(式3)により求めたDstr値に基づいて飽和現象の発生した交流波形のサイクルを正確に判断することができる。
また、上記積分演算部201により演算された積分値に基づいて変流器の内部磁束値Φ(k)を求め、その内部磁束値Φ(k)に基づいてピーク検出部202により変流器の飽和開始点を求めて、さらにその飽和開始点に基づいて飽和区間判定部203により飽和区間を容易に判定することができる。
また、デジタル波形データを飽和部分と非飽和部分に分けた後、非飽和領域の最も安定した部分の波形から減衰直流成分演算部502によりその波形の減衰直流成分を推定して、交流成分抽出部/減衰直流成分推定部504により元のデジタル波形データからその減衰直流成分を差し引くことにより非飽和部分においてその交流成分の波形を推定し、飽和現象が生じなければその交流成分が飽和波形部分においても同一振幅で継続しているとの仮定に基づいて飽和部分にも延長し、飽和波形補正部602において、その交流成分の波形に上記減衰直流成分の波形を加算して元の波形復元し出力することができる。
また、上記変流器の二次側電流のデジタル波形データに含まれる高調波成分をデジタルフィルタ部104により除去することによって、磁気飽和の判定の妨げとなる高調波成分をデジタル波形データから分離でき、非線形変化点の誤検出を防止できる。
また、上記波形処理装置と、その波形処理装置により処理されたデジタル波形データを記録する記録部とを備えた波形記録装置によれば、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の波形を記録部に記録することができる。
また、上記構成の自動オシログラフ装置によれば、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の波形を記録することができる。
また、上記構成の自動オシログラフシステムによれば、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の波形を記録すると共に、記録された一次側電流の波形に基づいて正確な事故解析などが可能になる。
なお、この発明の波形処理装置と、その波形処理装置により演算されたデジタル波形データの少なくとも実効値を表示する実効値表示部とを備えた電流計測装置によれば、上記波形処理装置により得られた変流器の正確な一次側電流の実効値を表示することができる。
また、この発明の波形処理方法は、以下の1)〜9)の全てのステップを含んで構成されることを特徴とする。
1) 変流器の二次側電流を予め設定されたサンプリング周波数でA/D変換して得られたデジタル波形データを積分演算部201により積分する積分演算ステップ
2) デジタル波形データを一次微分演算部(DL1〜DL4,SUB2,GA1)により微分する一次微分演算ステップ
3) 一次微分演算部により微分されたデジタル波形データを二次微分演算部(DL1〜DL5,SUB1,SUB2,SUB4,GA2)により微分する二次微分演算ステップ
4) 一次微分演算部の微分演算の結果と二次微分演算部の二次微分演算の結果に基づいて、変流器の二次側電流の実効値をデジタル波形データのサンプル毎に実効値演算部(SUM1)により演算する実効値演算ステップ
5) 実効値演算部により演算された変流器の二次側電流の実効値の変化に基づいて、変流器の飽和現象の有無を飽和現象判定部100により判定する飽和現象判定ステップ
6) 飽和現象判定部100が変流器の飽和現象ありと判定したとき、積分演算部201の積分演算の結果に基づいて、変流器の飽和現象ありと判定した直前1サイクル内において、積分演算部201により演算された積分値の最大値に対する積分値の比が予め設定された閾値よりも大きい区間を飽和区間と飽和区間判定部200により判定する飽和区間判ステップ
7) 飽和区間判定部200が、積分演算部201により演算された積分値の最大値に対する積分値の比が予め設定された閾値以下の区間を非飽和区間としたとき、その非飽和区間におけるデジタル波形データに基づいて、変流器の代わりに磁気飽和しない変流器を用いたときの波形モデルを波形モデル推定部301により推定する波形モデル推定ステップ
8) 飽和区間判定部200が、積分演算部201により演算された積分値の最大値に対する積分値の比が閾値よりも大きい区間を飽和区間としたとき、波形モデル推定部301により推定された波形モデルに基づいて、飽和区間における磁気飽和しない変流器を用いたと仮定したときの復元波形を表すデジタル波形データを飽和区間波形演算部302により演算する飽和区間波形演算ステップ
9) 飽和区間判定部200により非飽和区間と判定された区間は、変流器の二次側電流を表すデジタル波形データを出力し、飽和区間判定部200により飽和区間と判定された区間は、飽和区間波形演算部302により演算された復元波形を表すデジタル波形データを波形データ補正部300により出力する波形データ出力ステップ
上記構成の波形処理方法によれば、変流器において磁気飽和が起こっても、変流器の二次側電流の波形を補正して、変流器の正確な一次側電流の波形を得ることができ、磁気飽和による波形歪みと高調波による波形歪みを正確に見分けて、磁気飽和による波形歪みの場合に波形の歪んだ部分を補正することにより、電力系統事故時の過電流の実効値をより正しく分析できる。
また、上記波形処理方法の上記各ステップをコンピュータに実行させる波形処理プログラムによれば、変流器において磁気飽和が起こっても、変流器の二次側電流の波形を補正して、変流器の正確な一次側電流の波形を得ることができ、磁気飽和による波形歪みと高調波による波形歪みを正確に見分けて、磁気飽和による波形歪みの場合に波形の歪んだ部分を補正することにより、電力系統事故時の過電流の実効値をより正しく分析できる。
また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された上記波形処理プログラムを読み出して波形処理方法の各ステップをコンピュータに実行させることによって、変流器において磁気飽和が起こっても、変流器の二次側電流の波形を補正して、変流器の正確な一次側電流の波形を得ることができ、磁気飽和による波形歪みと高調波による波形歪みを正確に見分けて、磁気飽和による波形歪みの場合に波形の歪んだ部分を補正することにより、電力系統事故時の過電流の実効値をより正しく分析できる。
この発明の波形処理装置、波形記録装置、自動オシログラフ装置、自動オシログラフシステムによれば、従来波形の図形的補間に頼っていたものが、変流器内部の磁束の推定値を元にした値で時間軸上の飽和領域、非飽和領域を理論的に判定し、非飽和領域の最も安定した部分の波形から減衰直流成分の波形を推定して、さらには交流成分の波形を推定することで、上記減衰直流成分の波形を加算して元の波形を補正し復元して出力することができる。
また、この発明に用いた交流電流の実効値波形の振幅演算法は、僅か5サンプルの波形データから交流電流の実効値波形の振幅値を算出可能である。それ故、非飽和区間が短い場合でもその中に5サンプル分以上のデータが含まれていれば交流電流の実効値波形の振幅値を算出可能である。
また、この発明の波形処理装置では、レーベンバーグ・マルカート法を用いずに解析的手法で減衰直流成分を求めているので、計算が速く、サーバー装置やクライアント装置上でなくとも波形の補正が可能である。本手法は、主にオフラインでの飽和電流波形データの補正に用いられるが、2サイクルの遅延が容認できる場合は、実施の形態に示しているようにA/D変換器、D/A変換器付きのマイクロコンピュータなどを用いて、ほぼリアルタイムに飽和波形の補正が可能である。
この発明の波形処理装置は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、この発明の波形処理装置としては、各機能を実現する制御プログラム(波形処理プログラム)の命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリー等の記憶装置(記録媒体)などを備える。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD(コンパクトディスク)−ROM/MO(光磁気)/MD(ミニディスク)/デジタルビデオディスク/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリー系などを用いることができる。
また、コンピュータを通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
1…自動オシログラフ装置
11…電圧入力部
12…電流入力部
13…事故前メモリー
14…主メモリー
15…伝送部
16…起動検出部
17…波形処理装置
21…サーバー装置
22…クライアント装置
100…飽和現象判定部
101…実効値演算部
102…ピークホールド部
103…飽和現象判定部
104…デジタルフィルタ部
200…飽和区間判定部
201…積分演算部
202…ピーク検出部
203…飽和区間を判定する飽和区間判定部
300…波形データ補正部
301…波形モデル推定部
302…飽和区間波形演算部
303…波形データ出力部
400…実効値・位相角を算出部
501…入力部
502…減衰直流成分演算部
503…直流成分混入判定部/経過時間計時部
504…交流成分抽出部/減衰直流成分推定部
601…交流成分実効値演算部
602…飽和波形補正部
603…経過時間計時部/正弦波演算部
CT11,CT12…変流器
L1,L2…母線
L11,L12…送電線
N…ネットワーク
PT…変圧器
PW…電源
R1,R2…接地抵抗
R11…シャント抵抗
T…変圧器

Claims (13)

  1. 変流器の二次側電流を予め設定されたサンプリング周波数でA/D変換することにより得られたデジタル波形データを積分する積分演算部と、
    上記デジタル波形データを微分する一次微分演算部と、
    上記一次微分演算部により微分された上記デジタル波形データを微分する二次微分演算部と、
    上記一次微分演算部の微分演算の結果と上記二次微分演算部の二次微分演算の結果に基づいて、上記変流器の二次側電流の実効値を上記デジタル波形データのサンプル毎に演算する実効値演算部と、
    上記実効値演算部により演算された上記変流器の二次側電流の実効値の変化に基づいて、上記変流器の飽和現象の有無を判定する飽和現象判定部と、
    上記飽和現象判定部が上記変流器の飽和現象ありと判定したとき、上記積分演算部の積分演算の結果に基づいて、上記変流器の飽和現象ありと判定した直前1サイクル内において、上記積分演算部により演算された上記積分値の最大値に対する上記積分値の比が予め設定された閾値よりも大きい区間を飽和区間と判定する飽和区間判定部と、
    上記飽和区間判定部が、上記積分演算部により演算された上記積分値の最大値に対する上記積分値の比が上記閾値以下の区間を非飽和区間としたとき、その非飽和区間における上記デジタル波形データに基づいて、上記変流器の代わりに磁気飽和しない変流器を用いたときの波形モデルを推定する波形モデル推定部と、
    上記飽和区間判定部が、上記積分演算部により演算された上記積分値の最大値に対する上記積分値の比が上記閾値よりも大きい区間を飽和区間としたとき、上記波形モデル推定部により推定された上記波形モデルに基づいて、上記飽和区間における上記磁気飽和しない変流器を用いたと仮定したときの復元波形を表すデジタル波形データを演算する飽和区間波形演算部と、
    上記飽和区間判定部により上記非飽和区間と判定された区間は、上記変流器の二次側電流を表す上記デジタル波形データを出力し、上記飽和区間判定部により上記飽和区間と判定された区間は、上記飽和区間波形演算部により演算された上記復元波形を表すデジタル波形データを出力する波形データ出力部と
    を備えたことを特徴とする波形処理装置。
  2. 請求項1に記載の波形処理装置において、
    上記一次微分演算部は、
    基準となる現在サンプリング時点k(kは1以上の整数)のp(pは1以上の整数)サンプル前とpサンプル後のデータの差分に基づいて、上記一次微分値を演算し、
    上記二次微分演算部は、
    サンプル時点k−q(qは1以上の整数)およびサンプル時点k+qを基準として上記一次微分演算部により演算された上記一次微分値間の差に基づいて、上記二次微分値を演算し、
    上記実効値演算部は、
    上記一次微分演算部により演算された上記一次微分値および上記二次微分演算部により演算された上記二次微分値に基づいて、
    Figure 2014050284
    但し、i(k): kサンプル目の電流値
    ω : 基本波の角周波数
    fs : サンプリング周波数
    により上記変流器の二次側電流の実効値Iを演算することを特徴とする波形処理装置。
  3. 請求項1または2に記載の波形処理装置において、
    上記飽和現象判定部は、
    上記実効値演算部により演算された上記変流器の二次側電流の実効値をI(k)とし、
    現在サンプリング時点kから1サイクル前までの区間における上記実効値I(k)の最大値をSt(k)とし、
    上記St(k)と上記I(k)とを用いて、
    Figure 2014050284
    但し、T : 基本波の周期
    fs : サンプリング周波数
    [X] : Xを超えない最大整数を表すガウスの記号
    St(k) : 区間[k-Tfs,k]におけるI(k)の最大値
    によりDstr値を求め、
    上記デジタル波形データの全てのサイクルにおいて、
    Dstr < α (αは予め設定された閾値)
    のとき、上記変流器の飽和現象なしと判定する一方、
    上記デジタル波形データの全てのサイクルのうちの1つ以上のサイクルにおいて、
    Dstr ≧ α
    のとき、上記変流器の飽和現象ありと判定することを特徴とする波形処理装置。
  4. 請求項1から3までのいずれか1つに記載の波形処理装置において、
    上記飽和区間判定部は、
    上記積分演算部により演算された積分値に基づいて上記変流器の内部磁束値Φ(k)を求め、
    上記実効値演算部により演算された上記変流器の二次側電流の実効値を表す波形データが、現在サンプリング時点kから前1サイクル間において最初の極大点となるサンプリング時点を飽和開始点とし、
    上記飽和開始点における上記内部磁束値Φ(k)を上記変流器の内部磁束値の最大値として、その最大値に対する上記変流器の内部磁束値の比が上記閾値よりも大きい区間を上記飽和区間と判定することを特徴とする波形処理装置。
  5. 請求項2に記載の波形処理装置において、
    上記飽和区間波形演算部は、
    上記非飽和区間における上記デジタル波形データに基づいて、上記変流器の二次側電流の減衰直流成分を、
    Figure 2014050284
    但し、y(t):時刻tにおける上記変流器の一次側の事故電流値を表す関数
    A :直流成分のt=0における振幅
    α :直流成分の減衰定数
    t :事故開始時点を0とした経過時間 [秒]
    T :基本波の周期 [秒]
    により演算する減衰直流成分演算部を有し、
    上記実効値演算部は、
    上記デジタル波形データから上記減衰直流成分演算部により演算された上記減衰直流成分を差し引いて得られた上記デジタル波形データの交流波形成分の上記非飽和区間におけるゼロクロス点を含む近傍のデジタル波形データに基づいて、上記変流器の二次側電流の実効値を演算し、
    上記実効値演算部により演算された上記変流器の二次側電流の実効値に上記減衰直流成分演算部により演算された上記減衰直流成分を加えることによって、上記飽和区間における上記磁気飽和しない変流器を用いたときの上記復元波形を表すデジタル波形データを演算すると共に、
    過大交流成分による飽和波形の場合は、その非飽和部分におけるゼロクロス点周辺データに基づいて、上記実効値演算部により交流成分の実効値を演算して交流波形として再現することによって、上記飽和区間における上記磁気飽和しない変流器を用いたときの上記復元波形を表すデジタル波形データを得ることを特徴とする波形処理装置。
  6. 請求項1から5までのいずれか1つに記載の波形処理装置において、
    上記変流器の二次側電流を予め設定されたサンプリング周波数でA/D変換することにより得られた上記デジタル波形データに含まれる高調波成分を除去するフィルタ部を備え、
    上記積分演算部は、上記フィルタ部により高調波成分が除去された上記デジタル波形データを積分することを特徴とする波形処理装置。
  7. 請求項1から6までのいずれか1つに記載の波形処理装置と、
    上記波形処理装置により処理された上記デジタル波形データを記録する記録部と
    を備えたことを特徴とする波形記録装置。
  8. 電力系統電路の電流を検出する変流器の二次側電流を予め設定されたサンプリング周波数でA/D変換してデジタル波形データを出力するA/D変換器と、
    上記A/D変換器によりA/D変換された上記デジタル波形データを一定時間記憶した後に出力する事故前波形データ用メモリーと、
    上記電力系統電路の電流の波形の異常を検出するための波形異常検出部と、
    上記波形異常検出部が上記電力系統電路の電流の波形の異常を検出すると、上記事故前波形データ用メモリーによって一定時間遅延させた上記デジタル波形データを記憶する波形データ用メモリーと、
    請求項1から6までのいずれか1つに記載の波形処理装置と
    を備え、
    上記波形データ用メモリーに記憶された上記デジタル波形データを上記波形処理装置により処理することを特徴とする自動オシログラフ装置。
  9. 電力系統電路の電圧を検出する変圧器の二次電圧および上記電力系統電路の電流を検出する変流器の二次側電流を予め設定されたサンプリング周波数でA/D変換して、そのA/D変換されたデジタル波形データのうちの電力系統事故を含む波形異常時のデジタル波形データを記録する自動オシログラフ装置と、
    上記自動オシログラフ装置から通信ネットワークを介して上記デジタル波形データを受信して保存するサーバー装置と、
    上記サーバー装置に保存された上記デジタル波形データを上記通信ネットワークを介してモニター画面上に表示するクライアント装置と
    を備え、
    上記自動オシログラフ装置または上記サーバー装置または上記クライアント装置の少なくとも1つに、請求項1から6までのいずれか1つに記載された波形処理装置を備えたことを特徴とする自動オシログラフシステム。
  10. 請求項1から6までのいずれか1つに記載の波形処理装置と、
    上記波形処理装置により演算された上記デジタル波形データの少なくとも実効値を表示する実効値表示部と
    を備えたことを特徴とする電流計測装置。
  11. 変流器の二次側電流を予め設定されたサンプリング周波数でA/D変換して得られたデジタル波形データを積分演算部により積分する積分演算ステップと、
    上記デジタル波形データを一次微分演算部により微分する一次微分演算ステップと、
    上記一次微分演算部により微分された上記デジタル波形データを二次微分演算部により微分する二次微分演算ステップと、
    上記一次微分演算部の微分演算の結果と上記二次微分演算部の二次微分演算の結果に基づいて、上記変流器の二次側電流の実効値を上記デジタル波形データのサンプル毎に実効値演算部により演算する実効値演算ステップと、
    上記実効値演算部により演算された上記変流器の二次側電流の実効値の変化に基づいて、上記変流器の飽和現象の有無を飽和現象判定部により判定する飽和現象判定ステップと、
    上記飽和現象判定部が上記変流器の飽和現象ありと判定したとき、上記積分演算部の積分演算の結果に基づいて、上記変流器の飽和現象ありと判定した直前1サイクル内において、上記積分演算部により演算された上記積分値の最大値に対する上記積分値の比が予め設定された閾値よりも大きい区間を飽和区間と飽和区間判定部により判定する飽和区間判ステップと、
    上記飽和区間判定部が、上記積分演算部により演算された上記積分値の最大値に対する上記積分値の比が予め設定された閾値以下の区間を非飽和区間としたとき、その非飽和区間における上記デジタル波形データに基づいて、上記変流器の代わりに磁気飽和しない変流器を用いたときの波形モデルを波形モデル推定部により推定する波形モデル推定ステップと、
    上記飽和区間判定部が、上記積分演算部により演算された上記積分値の最大値に対する上記積分値の比が上記閾値よりも大きい区間を飽和区間としたとき、上記波形モデル推定部により推定された上記波形モデルに基づいて、上記飽和区間における上記磁気飽和しない変流器を用いたと仮定したときの復元波形を表すデジタル波形データを飽和区間波形演算部により演算する飽和区間波形演算ステップと、
    上記飽和区間判定部により上記非飽和区間と判定された区間は、上記変流器の二次側電流を表す上記デジタル波形データを出力し、上記飽和区間判定部により上記飽和区間と判定された区間は、上記飽和区間波形演算部により演算された上記復元波形を表すデジタル波形データを波形データ出力部により出力する波形データ出力ステップと
    を有することを特徴とする波形処理方法。
  12. 請求項11に記載の波形処理方法の上記各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする波形処理プログラム。
  13. 請求項12に記載の波形処理プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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