JP2014050125A - 電気自動車用の電圧コンバータ - Google Patents

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Abstract

【課題】本明細書は、電気自動車に用いる電圧コンバータにおいて発熱を抑制する技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示する電圧コンバータ10は、モータ8に電力を供給するメインバッテリ3の出力電圧を降圧して補機33、34に電力を供給するデバイスである。電圧コンバータ10は、電圧コンバータの温度が予め定められた温度範囲において、電圧コンバータへの入力電圧が予め定められた電圧範囲内にあるときには電圧コンバータの出力電流を第1電流上限値以下に制限し、前記電圧範囲外にあるときには電圧コンバータの出力電流を第1電流上限値よりも低い第2電流上限値に制限するコントローラを備えている。その電圧範囲は、温度上昇に伴って電圧範囲の上限電圧が徐々に低くなり下限電圧が徐々に高まる温度依存性を有して定められている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気自動車用の電圧コンバータに関する。本明細書における「電気自動車」には、モータとエンジンの双方を備えるハイブリッド車や燃料電池車を含む。
電気自動車は、走行用モータに電力を供給するバッテリと、そのバッテリの出力電圧よりも低い電圧で駆動するデバイス群に電力を供給するバッテリを備える。両者を区別するために、本明細書では、前者をメインバッテリと称し、後者を補機バッテリと称する。また、メインバッテリの出力電圧よりも低い電圧で駆動するデバイスを補機と称する。そのような呼称は一般によく知られているものである。
走行中に補機に電力を供給するとともに、補機バッテリのSOC(State Of Charge:バッテリ残量)が低いときには補機バッテリを充電するのにメインバッテリが用いられる。それゆえ、電気自動車はメインバッテリの電圧を降圧して補機(および補機バッテリ)に電力を供給する電圧コンバータを備える。そのような電圧コンバータに関する改良がいくつか提案されている。なお、電気自動車はいくつかの電圧コンバータを備えるが、本明細書では、特に断らない限り「電圧コンバータ」は、上記のごとくメインバッテリの電圧を降圧するデバイスを意味する。
特許文献1から3には、電圧コンバータの発熱(過熱)を抑える技術が開示されている。特許文献1の技術は、電圧コンバータの温度に応じて最大出力制限値を複数段階で減少させて過熱を防止する。特許文献2の技術は、電圧コンバータの出力電圧が高いほど許容電流を小さくして発熱を抑える。特許文献2の技術は、さらに、電圧コンバータの温度に応じて出力電圧を低下させ、発熱を抑える。特許文献3の技術は、電圧コンバータの温度が閾値を超えた場合、出力電圧と出力電流の双方を制限し、発熱を抑える。
また、電圧コンバータは温度が高くなると過剰に降圧してしまう。そこで、特許文献4には、電圧コンバータの温度が高くなるとメインバッテリの出力電圧(即ち電圧コンバータの入力電圧)の下限値を高め、電圧コンバータの出力電圧の過剰な低下を防止する技術が開示されている。
特開2007−168477号公報 特開2011−130555号公報 特開2006−271136号公報 特開2012−085429号公報
本明細書は、特許文献1乃至3の技術とは異なるアプローチで電圧コンバータの発熱を抑制する技術を提供する。
通常の電圧コンバータは、トランジスタ(典型的にはIGBT)のスイッチング素子を備えており、コントローラは、そのスイッチング素子へ与えるPWM信号により出力電圧を調整する。電圧コンバータの入力電圧をVinとし、出力電圧(目標出力電圧)をVoutとすると、デューティ比Dtは、概ね、Dt=Vout/Vinとなる。入力電圧が変動してもデューティ比を調整することによって目標出力電圧を維持することができる。他方、デューティ比が高い領域と低い領域では電圧コンバータの回路の発熱量が大きくなる。そこで、本明細書が開示する技術は、入力電圧が所定の電圧範囲を外れている場合(即ち、デューティ比が所定のデューティ比範囲より低いかあるいは高い場合)に、電圧コンバータの出力電流を小さく制限して発熱を抑える。さらに、温度が高いほど電圧コンバータは発熱するので、上記の電圧範囲に、電圧コンバータの温度上昇に伴って狭まる温度依存性を持たせる。そのような電圧範囲を設定することによって、電圧コンバータの温度が高くても入力電圧が所定の電圧範囲内にあるときには電圧コンバータを駆動し十分な電流を得ることができ、入力電圧がその電圧範囲を外れている場合には出力電流を絞ることで発熱を抑えつつ電圧コンバータを駆動し続けることができる。もちろん、上記の電圧範囲は、所定の温度範囲で上記の温度依存性を有するように設定される。電圧コンバータの温度が所定の温度範囲よりも低いときには、上記のような制限を加える必要はなく、電圧コンバータの温度が所定の温度範囲よりも高くなった場合は、発熱を抑えるために電圧コンバータを停止するのが好ましい。
本明細書が提示する技術の一態様は、次の構成の電圧コンバータに具現化することができる。その電圧コンバータは、モータに電力を供給するメインバッテリの出力電圧を降圧して補機(すなわち、メインバッテリの出力電圧よりも駆動電圧が低いデバイス)に電力を供給する電気自動車用の電圧コンバータである。電圧コンバータのコントローラは、電圧コンバータの温度が予め定められた温度範囲にある場合において、電圧コンバータへの入力電圧が予め定められた電圧範囲内にあるときには電圧コンバータの出力電流を第1電流上限値以下に制限し、前記電圧範囲外にあるときには電圧コンバータの出力電流を第1電流上限値よりも低い第2電流上限値に制限する。そして、上記した電圧範囲が、温度上昇に伴って電圧範囲の上限電圧が徐々に低くなり下限電圧が徐々に高まる温度依存性を有して定められている。
なお、電圧コンバータの温度は、電圧コンバータの素子を直接に計測するセンサのデータでもよいし、電圧コンバータを冷却する冷媒の温度を電圧コンバータの温度の近似値として採用してもよい。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例の電圧コンバータを含む電気自動車の電力系のブロック図である。 コントローラが実行する電流制限処理のフローチャートである。 電圧コンバータの電圧範囲のグラフである。 電流上限値のグラフである。
図面を参照して実施例の電圧コンバータを説明する。実施例での電圧コンバータ10は、電気自動車2に搭載されている。最初に、実施例の電圧コンバータ10を含む電気自動車2の電力系を説明する。
電気自動車2は、メインバッテリ3の電力を使ってモータ8を駆動して走行する。メインバッテリ3は、システムメインリレー4を介して昇降圧コンバータ6に接続しており、昇降圧コンバータ6はインバータ7に接続している。
システムメインリレー4は、車両のメインスイッチに相当するイグニッションスイッチ(不図示)と連動して開閉するリレーであり、メインバッテリ3を車両の電気回路に接続したり切り離したりするリレーである。昇降圧コンバータ6は、メインバッテリ3の出力電圧を昇圧してインバータ7に供給する昇圧機能と、回生時にインバータ7から供給される電力電圧を降圧してメインバッテリ3に供給する降圧機能を兼ね備える。メインバッテリ3の出力電圧は例えば300ボルトであり、昇降圧コンバータ6は、その電圧を例えば600ボルトに昇圧する。逆に、モータ8が発電する回生電力の電圧は600ボルトであり、昇降圧コンバータ6は、その電圧を300ボルトに降圧する。昇降圧コンバータ6の低電圧側にはメインバッテリ3の出力電圧を計測する電圧センサ5が接続されている。電圧センサ5のセンサデータはコントローラ16に送られる。
昇降圧コンバータ6、インバータ7は、コントローラ16によって制御される。詳しくは、コントローラ16は、車速やアクセル開度に応じてモータ8の目標出力を決定し、その目標出力に対応する、昇降圧コンバータ6とインバータ7のPWM信号を生成してそれらに供給する。
メインバッテリ3の出力はまた、電圧コンバータ10にも供給される。電圧コンバータ10は、メインバッテリ3の出力電圧を降圧して補機(カーナビ33、ルームランプ34など)に電力を供給する。「補機」とは、前述したように、駆動電圧がメインバッテリ3の出力電圧よりも低いデバイスであり、一例として、カーナビ33やルームランプ34がある。補機の駆動電圧は、例えば12ボルトである。補機の電力系には、補機バッテリ32が備えられており、補機へは補機バッテリ32からも電力が供給される。また、補機バッテリのSOCが低い場合には、電圧コンバータ10の出力電力(メインバッテリ3の出力電力)で補機バッテリ32が充電される。電圧コンバータ10の出力側の正極には、補機系へ供給する電流を調整する電流制限器31が取り付けられている。また、補機系の電圧を計測する電圧センサ25が、補機バッテリ32と並列に接続されている。
電圧コンバータ10は、冷却器20で冷却される。冷却器20は、冷媒を通す冷却管21、冷媒を循環させる電動ポンプ22、及び、冷媒を冷却するラジエータ23で構成される。冷却管21の途中には温度センサ24が取り付けられている。温度センサ24は、冷媒の温度を計測し、コントローラ16へ送る。なお、冷却器20は、電圧コンバータ10だけでなく、昇降圧コンバータ6やインバータ7も冷却するが、図1では、その冷媒流路の図示を省略している。
電圧コンバータ10は、主な部品として、スイッチング素子13、リアクトル15、ダイオード12、コンデンサ14を備える、スイッチング素子13は、トランジスタであり、典型的にはIGBTである。スイッチング素子13とリアクトル15は、直列に接続されている。スイッチング素子13とリアクトル15は、電圧コンバータ10の高電圧側(メインバッテリ側)の正極と低電圧側(補機バッテリ側)の正極との間に接続されている。スイッチング素子13がメインバッテリ3に近い側に接続されており、リアクトル15が補機バッテリ32に近い側に接続されている。高電圧側の負極と低電圧側の負極は直接接続しており、ダイオード12のアノードが、電圧コンバータ10の共通の負極に接続されている。ダイオード12のカソードは、スイッチング素子13とリアクトル15の中点に接続されている。コンデンサ14は、低電圧側の正極と負極の間に接続されている。
電圧コンバータ10は、コントローラ16が適宜のPWM信号をスイッチング素子13に供給することで所望の降圧比を得る。ここで、降圧比とは、電圧コンバータ10の入力電圧Vinに対する出力電圧Voutの比(Vout/Vin)のことである。スイッチング素子13に与えるPWM信号のデューティ比が出力/入力電圧比(Vout/Vin)に相当する。但し、物理的な回路構成に基づく制限により、デューティ比は0%から100%までフルに使えるわけではないことに留意されたい。このことは、別言すれば、所望の出力電圧Voutに対して対応できる入力電圧の範囲が存在することを意味する。出力電圧Voutに対して、物理的な回路の制限に基づく入力電圧の上限値をVmaxとし、下限値をVminとする。図1に示す電圧コンバータ10の動作は良く知られているので詳しい説明は省略する。
電圧コンバータ10はメインバッテリ3の出力電圧を、補機の駆動電圧まで降圧する。補機の駆動電圧は一定であるが、メインバッテリ3の出力電圧は、メインバッテリ3のSOCに応じて変化する。即ち、電圧コンバータ10の出力電圧Voutは一定であることが望ましいが、入力電圧Vinは変化する場合がある。コントローラ16は、入力電圧Vinの大きさに応じてPWM信号のデューティ比を調整することによって出力電圧Voutを一定に維持する。
メインバッテリ3は大出力であるため、大電流が流れる電圧コンバータ10は発熱し易い。一般に降圧コンバータ(電圧コンバータ10)は、デューティ比が大き過ぎたり小さ過ぎたりすると、それらの間の中庸の範囲で使う場合と比較して発熱量が大きいことが知られている。デューティ比が大きいと、スイッチング素子の発熱量が増し、デューティ比が小さいと、リアクトルやコンデンサの発熱量が増す。発熱量が大きくならないデューティ比の範囲は、物理的な回路の形態に依存する。
また、発熱量は、電圧コンバータ10の温度にも依存する。より正確には、スイッチング素子やリアクトルなどの回路素子の温度に依存する。
電圧コンバータ10の温度が上限値を超えた場合は電圧コンバータ10を停止するしかない。そこで、コントローラ16は、電圧コンバータ10をできるだけ長く駆動し続けることができるように、発熱量を抑制する。具体的には、コントローラ16は、電圧コンバータ10の温度と入力電圧Vinに基づいて出力電流を制御し、電圧コンバータ10の発熱量を抑制する。その制御について次に説明する。
図2に、コントローラ16が実施する発熱量抑制のための電流制限処理のフローチャートを示す。なお、コントローラ16は、電圧コンバータ10を冷却する冷媒の温度を電圧コンバータ10の温度Twを、電圧コンバータ10の温度の代わりに用いる。また、コントローラ16は、次の2つのマップを記憶している。一つは、電圧コンバータ10の電圧範囲と電圧コンバータの温度との関係を記したマップであり、もう1つは、電圧コンバータ10の出力電流の上限値(電流上限値)のマップである。前者を図3に示し後者を図4に示す。図3、図4の横軸はいずれも、冷媒温度Tw(電圧コンバータの温度の代替値)を表している。
コントローラ16が実施する処理の説明に先立って電圧コンバータ10の電流制限について説明する。コントローラ16は、電圧コンバータ10の出力側に設けられた電流制限器31を使って、電圧コンバータ10の出力電流Ioutが所定の上限値Imaxを超えないように制限する。コントローラ16は、上限値Imaxを、初期上限値I0、第1電流上限値I1、及び、第2電流上限値I2の3段階で制限する。コントローラ16は、冷媒温度Tw(電圧コンバータの温度の近似値)と図3に示す電圧範囲に応じて、3つの上限値のいずれかを選択する。
図3の技術的意味を説明する。図3の縦軸は電圧コンバータ10の入力電圧Vinを示しており、横軸は冷媒温度Twを示している。前述したように、冷媒温度Twは、電圧コンバータ10の温度の近似値として用いられる。図3において、VmaxとVminは、電圧コンバータ10の出力電圧Voutを実現可能な入力電圧の上限と下限を示している。コントローラ16は、入力電圧VinがVmaxを超えるか、あるいは、Vminを下回る場合には、所望の出力電圧Voutが達成できないとして電圧コンバータ10を停止する。入力電圧VinがVminを下回る場合の一例は、メインバッテリ3のSOCが極端に低い場合である。なお、電圧コンバータ10の入力電圧Vinは電圧センサ5によって計測することができ、出力電圧Voutは電圧センサ25によって計測することができる。
図3には、温度T2<冷媒温度Tw<温度T3の間で、冷媒温度Twの上昇に伴って電圧範囲の上限電圧Vhighが徐々に低くなり下限電圧Vlowが徐々に高まる温度依存性の電圧範囲Vrngが示されている。コントローラ16は、入力電圧Vinがこの電圧範囲Vrng内にあるときには出力電流Ioutの上限値を第1電流上限値I1に設定し、電圧範囲Vrngを外れているときには出力電流Ioutの上限値を第2電流上限値I2に設定する。ここで、図3に示すように、第1電流上限値I1>第2電流上限値I2である。
電圧範囲Vrngと電流上限値の関係について説明する。前述したように、電圧範囲Vrngは、冷媒温度Twの上昇(電圧コンバータ10の温度上昇)に伴って電圧範囲の上限電圧Vhighが徐々に低くなり下限電圧Vlowが徐々に高まる温度依存性を有している。他方、先に述べたデューティ比の説明から、一定の出力電圧Voutを維持するには、入力電圧Vinが高くなればデューティ比を下げ、入力電圧Vin低くなればデューティ比を上げることになる。電圧範囲Vrngはデューティ比の所定の範囲と対応しており、入力電圧Vinが電圧範囲Vrngを外れると、出力電圧Voutを維持するためにデューティ比を所定の範囲を超えて大きくするかあるいは小さくする必要がある。そして、デューティ比が所定の範囲を超えて大きく(あるいは小さく)なると電圧コンバータ10の発熱量は増大する。即ち、入力電圧Vinが電圧範囲Vrngを外れる場合は、出力電圧Voutを維持するのにデューティ比を大きくするかあるいは小さくする必要があり、そうすると電圧コンバータ10の発熱量が増す傾向となる。そこで、そのような場合、コントローラ16は出力電流を第2電流上限値I2(I2<I1)に制限する。電圧コンバータ10に流れる電流を制限することで、デューティ比の偏りによる発熱量の増加を相殺し、トータルでの発熱量を抑制する。
なお、図3の温度T1は、冷媒温度Tw(電圧コンバータ10の温度)がT1以下であれば、上記のような漸減する電圧範囲を設定せずとも電圧コンバータ10の発熱量が大きくならない温度である。図3の温度T3は、冷媒温度Tw(電圧コンバータの温度)がT3以上である場合は、すでに温度が高すぎるとして電圧コンバータ10を停止する必要がある温度である。
図2に戻ってコントローラ16が実施する処理を説明する。コントローラ16は、まず、温度センサ24を使って冷媒温度Tw(電圧コンバータの温度に相当)を取得する(S2)。次いでコントローラ16は、冷媒温度Twを第2温度T2と比較する(S4)。コントローラ16の処理は、Tw<T2の場合はステップS6へ移行し、そうでない場合はステップS8へ移行する。ステップS6では、コントローラ16は、冷媒温度Twを第1温度T1と比較する。コントローラ16は、Tw<T1の場合、電流上限値Imaxに最も大きい初期上限値I0を設定する(I0>I1>I2)。そうでない場合、即ち、冷媒温度Twが第1温度T1と第2温度T2の間にある場合には、電流上限値Imaxに第1電流上限値I1を設定する。冷媒温度Tw(即ち電圧コンバータ10の温度)が第1温度T1以下の場合は、電圧コンバータ10の発熱量が小さいので、コントローラ16は最も大きい電流上限値(初期上限値I0)を設定する。冷媒温度Twが第1温度T1と第2温度T2の間にある場合には、電圧コンバータ10の発熱量がやや多いとして、電流上限値Imaxに第1電流上限値I1を設定する(I0>I1)。
一方、冷媒温度Twが第2温度T2よりも大きい場合(ステップS4:NO)、コントローラ16はさらに、冷媒温度Twを第3温度T3と比較する(S8)。冷媒温度Twが第2温度T2と第3温度T3の間にある場合(S8:YES)、電圧コンバータ10の発熱量が現在以上に増加すると過熱ぎみとなるので、前述した温度依存性を有する電圧範囲Vrngに基づいて電流上限値を設定する。即ち、コントローラ16は、入力電圧Vinが電圧範囲Vrng(下限電圧Vlowと上限電圧Vhighの間)にある場合には電圧コンバータ10の出力電流上限値を第1電流上限値I1に設定し、入力電圧Vinが電圧範囲Vrngを外れている場合には、電流上限値を第2電流上限値I2(I1>I2)に設定する(S10)。別言すれば、コントローラ16は、入力電圧Vinが予め定められた電圧範囲Vrng内にあるときには電圧コンバータ10の出力電流Ioutを第1電流上限値I1以下に制限し、電圧範囲Vrng外にあるときには出力電流を第1電流上限値I1よりも低い第2電流上限値I2に制限する。ここで、電圧範囲Vrngは、予め定められた温度範囲(T2<Tw<T3)において、温度上昇に伴って電圧範囲の上限電圧Vhighが徐々に低くなり下限電圧Vlowが徐々に高まる温度依存性を有して定められている。
一方、冷媒温度Twが第3温度T3以上の場合(S8:NO)、電圧コンバータ10の温度は既に過剰であるとして、コントローラ16は電圧コンバータ10を停止する(S12)。コントローラ16は、図2の処理を一定の周期で繰り返し実行する。
実施例の電圧コンバータ10は、その温度Twが第2温度T2と第2温度T3の間にある間、温度依存の電圧範囲Vrngに基づいて出力電流Ioutの上限値を設定する。上記の処理によって、電圧コンバータ10は、過熱を防止しつつ、出力電流を第2電流上限値I2まで下げずに済む範囲を拡げることが可能となる。
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。実施例では、電圧コンバータの温度として冷媒温度Twを用いた。冷媒温度でなく、電圧コンバータの温度を直接計測してもよい。
温度依存性を有する電圧範囲Vrngは、電圧コンバータの温度が特定の温度範囲(第2温度T2と第3温度T3の間)で定義されればよい。電圧コンバータの温度が第2温度T2より低い場合は、電圧コンバータの温度が十分に低い状態であり、温度依存性を有する電圧範囲を用いるまでもなく電圧コンバータが過熱することはない。電圧コンバータの温度が第3温度T3よりも高い場合は、既に過熱気味であるので、直ちに電圧コンバータを停止するのが好ましい。
実施例の電圧コンバータ10は、モータのみを駆動力とする電気自動車2に搭載されている。電圧コンバータ10は、モータとエンジンの双方を駆動力とする電気自動車、即ちハイブリッド車に適用することも好適である。また、電圧コンバータ10は、メインバッテリとして燃料電池を採用する電気自動車に適用することも好適である。
実施例での説明において、「〜以上」、「〜以下」という表現は、「〜を超える」、「〜を下回る」という表現に置き換えてもよいし、同様に、「〜を超える」、「〜を下回る」という表現は、「〜以上」、「〜以下」という表現に置き換えてもよい。所定の閾値を挟んで処理(あるいはパラメータ)を変えることが重要であり、その閾値がどちらに含まれるかは重要ではない。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:電気自動車
3:メインバッテリ
4:システムメインリレー
5:電圧センサ
6:昇降圧コンバータ
7:インバータ
8:モータ
10:電圧コンバータ
12:ダイオード
13:スイッチング素子
14:コンデンサ
15:リアクトル
16:コントローラ
20:冷却器
21:冷却管
22:ポンプ
23:ラジエータ
24:温度センサ
25:電圧センサ
31:電流制限器
32:補機バッテリ
33:カーナビ(補機)
34:ルームランプ(補機)

Claims (2)

  1. モータに電力を供給するメインバッテリの出力電圧を降圧して補機に電力を供給する電気自動車用の電圧コンバータであり、
    電圧コンバータの温度が予め定められた温度範囲にある場合において、電圧コンバータへの入力電圧が予め定められた電圧範囲内にあるときには電圧コンバータの出力電流を第1電流上限値以下に制限し、前記電圧範囲外にあるときには電圧コンバータの出力電流を第1電流上限値よりも低い第2電流上限値に制限するコントローラを備えており、
    前記電圧範囲が、温度上昇に伴って電圧範囲の上限電圧が徐々に低くなり下限電圧が徐々に高まる温度依存性を有して定められている、
    ことを特徴とする電圧コンバータ。
  2. コントローラは、電圧コンバータを冷却する冷媒温度を電圧コンバータの温度として用いることを特徴とする請求項1に記載の電圧コンバータ。
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