JP2014047093A - 導電材料及びその製造方法 - Google Patents

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Takenobu Sakai
酒井  武信
Hiromoto Awano
宏基 粟野
Tomoya Matsunaga
朋也 松永
Ryosuke Maekawa
諒介 前川
Yuichiro Takeda
雄一郎 武田
Takahiro Kato
貴裕 加藤
Shinji Kawasaki
晋司 川崎
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Abstract

【課題】電気抵抗率を低減した導電材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一端が開口しているカーボンナノチューブと、該カーボンナノチューブに添加されたヨウ素とを有し、カーボンナノチューブ及びヨウ素の合計質量に占めるヨウ素の質量の割合が17%以上である導電材料とし、ヨウ素源を含む電解液に、少なくとも一端が開口しているカーボンナノチューブを接触させる工程と、電解液に接触させたカーボンナノチューブを作用極に用いて電解酸化する工程と、を有する導電材料の製造方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブ及び該カーボンナノチューブにドープされたヨウ素を有する導電材料及びその製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(以下において、「CNT」ということがある。)は、電子デバイスの導体配線や自動車におけるワイヤーハーネス等の導電材料として、また、光デバイスの透明電極材料としての利用が期待されている。電子デバイスの導体配線としては、現在、銀や銀パラジウム等が使用されており、耐熱性が要求される用途を除いて、高価な貴金属類が使用されている。また、光デバイスの透明電極材料としては、現在、酸化インジウムスズ(ITO)等のワイドギャップ半導体が広く用いられている。しかしながら、高価な貴金属類や酸化物材料はコスト高や資源枯渇といった問題を有しているため、これらの問題を解決可能なCNTの利用が期待されている。また、自動車におけるワイヤーハーネスとしては、現在、銅やアルミニウムなどの金属導電体が使用されている。CNTは金属よりも軽量であるため、自動車の電装系導電体としてCNTを用いることにより、自動車の軽量化実現に寄与することが期待されている。
このように、CNTは様々な形態での利用が期待されているが、現状では電気抵抗率が高いため、導電体としての性能が不十分である。CNTの電気抵抗率は、3種類の構造(らせん型、ジグザグ型、アームチェア型)によって異なる。これらの中では、金属製の性質を有するアームチェア型CNTの電気抵抗率が最も低いが、その値は10−6Ω・mレベルであり、良導体の要求値である10−7Ω・mレベルには達していない。
そこで、CNTの電気抵抗率を低減するために、CNTの改質が試みられている。CNTの表面又は内部へヨウ素をドープすることにより、CNTの電気抵抗率を低減することが可能になるため、ヨウ素をドープしたCNTに関する多くの研究が提案されている。これまでに、ヨウ素固体の昇華を利用した反応で合成する技術が提案されているが、この手法ではヨウ素ドープ量の調整が困難であり、また、ヨウ素をドープしたCNTを大量に合成することも困難である。
ヨウ素をドープしたCNTに関する技術として、例えば非特許文献1には、ヨウ素をドープすることによってCNTの電気抵抗率を低減することが記載されている。
Chemical Communications、2008年、p.3429−3431
非特許文献1を含む従来技術では、ヨウ素がドープされたCNTの重量に占めるヨウ素重量の割合を10%から15%程度にするのが限界であり、ヨウ素を多量にドープすることができないため、電気抵抗率を十分に低減できなかった。
そこで本発明は、電気抵抗率を低減した導電材料及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ヨウ素源を含む水溶液(電解液)に、作用極、対極、及び、参照極を入れ、作用極及び対極に一定の電圧を印加することにより作用極を酸化させる電解酸化法の作用極にCNTを用いることによって、従来よりも多量のヨウ素をCNTにドープすることが可能になることを知見した。この方法により、電気抵抗率を1×10−6Ω・m未満に低減した導電材料を提供することが可能になる。本発明は、当該知見に基づいて完成させた。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
本発明の第1の態様は、少なくとも一端が開口しているカーボンナノチューブと、該カーボンナノチューブに添加されたヨウ素とを有し、カーボンナノチューブ及びヨウ素の合計質量に占めるヨウ素の質量の割合が17%以上である、導電材料である。
カーボンナノチューブの少なくとも一端が開口していることにより、多量のヨウ素をカーボンナノチューブに添加することが可能になるので、電気抵抗率を低減した導電材料を得ることが可能になる。
また、上記本発明の第1の態様において、ヨウ素は、少なくともカーボンナノチューブの内側に含まれていることが好ましい。かかる形態とすることにより、多量のヨウ素をカーボンナノチューブ内に留めやすくなるので、電気抵抗率を低減した導電材料が得られやすくなる。
本発明の第2の態様は、ヨウ素源を含む電解液に、少なくとも一端が開口しているカーボンナノチューブを接触させる接触工程と、電解液に接触させたカーボンナノチューブを作用極に用いて電解酸化する電解酸化工程と、を有する、導電材料の製造方法である。
少なくとも一端が開口しているカーボンナノチューブを酸化させることによって、電解液に含まれているヨウ素をカーボンナノチューブに添加する形態とすることにより、多量のヨウ素をカーボンナノチューブに添加することが可能になる。したがって、かかる形態とすることにより、電気抵抗率を低減した導電材料を製造することが可能になる。
また、上記本発明の第2の態様において、電解酸化工程で、少なくともカーボンナノチューブの内側に、連なった複数のヨウ素イオンを有するポリヨウ化物イオンが配置されることが好ましい。かかる形態とすることにより、電気抵抗率を低減した導電材料を製造しやすくなる。
本発明によれば、電気抵抗率を1×10−6Ω・m未満に低減した導電材料及びその製造方法を提供することができる。
電解装置10を説明する図である。 ラマン分光分析結果を示す図である。 ラマン分光分析結果を示す図である。 ラマン分光分析結果を示す図である。 軸方向の両端が開口しているCNTへのヨウ素吸着を説明するモデル図である。 軸方向の両端が閉じているCNTへのヨウ素吸着を説明するモデル図である。 X線回折分析結果を示す図である。 CNTの結晶軸を説明する図である。 ラマン分光分析結果を示す図である。 ラマン分光分析結果を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明について説明する。図面では、繰り返される一部符号の記載を省略することがある。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明は以下に示す形態に限定されない。
図1は、本発明の導電材料の製造方法(以下において、「本発明の製造方法」ということがある。)で使用可能な電解装置10を説明する図である。図1では、電解装置10の構造を理解しやすくするため、電解装置10を適宜分解して示しており、電解液を入れた容器、作用極1及び対極6に接続される直流電源、及び、参照極5に接続される機器の記載を省略している。
図1に示した電解装置10は、作用極1と、該作用極1を挟む部材2及び部材3と、該部材2及び部材3を密着した状態で保持する際に用いられる固定具4、4、…と、部材3に接続された参照極5と、対極6と、を有している。作用極1は、導線が接続される白金メッシュ1a、及び、該白金メッシュ1aに密着した状態で保持されるシート状のCNT1b(少なくとも一端が開口している単層カーボンナノチューブを備えたCNT1b)を有し、部材3は、電解液を通過させる孔3aを備えている。
電解装置10を用いてCNT1bにヨウ素をドープする際には、参照極5が接続されている部材3と部材2とで、作用極1(白金メッシュ1a及びCNT1b)を挟み、固定具4、4、…を用いて部材2及び部材3を密着させた状態で固定する。このようにして、作用極1が部材2及び部材3に挟まれた状態で固定されたら、作用極1、部材2、部材3、固定具4、4、…、及び、参照極5を備える構造体と対極6とを、ヨウ素源を含む電解液(水溶液)へと入れる(接触工程)。そして、導線を介して作用極1及び対極6を直流電源に接続し、且つ、参照極5を電位測定器へと接続した後、直流電源から所定の電圧を所定の時間に亘って印加することにより、CNT1bにヨウ素をドープする(電解酸化工程)。電解酸化工程でヨウ素がドープされる際に、CNT1bは酸化される。このような方法でヨウ素をドープすることにより、CNT及びヨウ素の合計質量に占めるヨウ素の質量の割合(以下において、「I含有量」ということがある。)が17%以上である導電材料(ヨウ素が添加されたカーボンナノチューブ)を製造することができる。なお、本発明の製造方法は、室温環境下で行うことができる。
本発明の製造方法において、電解酸化工程で印加される電圧は、電解装置の大きさ、作用極1と対極6との距離、CNT1bの面積等に応じて最適条件が異なるため特に限定されない。当該電圧は、I含有量を増大しやすい形態にする等の観点から、例えば0.5V以上とすることができる。また、後述するように、電圧以外の条件を一定にした場合、電圧を高めることによってI含有量を増大させることが可能になる。すなわち、本発明の製造方法によれば、通電量を制御することによってヨウ素含有量を調整することができる。ところが、電圧をある程度まで高めると、I含有量を高める効果は飽和する。そこで、電解酸化工程で印加される電圧は、例えば5V以下とすることができる。
また、本発明の製造方法において、電解酸化工程で電圧を印加する時間は、電解装置の大きさ、作用極1と対極6との距離、CNT1bの面積等に応じて最適条件が異なるため特に限定されない。当該時間は、例えば1時間から2時間程度とすることができる。
また、本発明の製造方法において、電解液に含有させるヨウ素源は、ヨウ素イオンを生じさせる物質であれば特に限定されない。そのような物質としては、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化マグネシウム(MgI)、ヨウ化カルシウム(CaI)、及び、ヨウ化ストロンチウム(SrI)等を例示することができる。
また、本発明の製造方法において、電解液に含まれるヨウ素源の濃度は、ヨウ素源の種類やカーボンナノチューブの形態及び量等に応じて最適条件が異なるため特に限定されない。例えば、ヨウ素源としてヨウ化ナトリウム(NaI)を用いる場合、I含有量を増大しやすい形態にする等の観点から、濃度は0.1mol/L以上とすることができる。また、後述するように、電解液の濃度以外の条件を一定にした場合、濃度を高めることによってI含有量を増大させることが可能になるが、濃度をある程度まで高めると、I含有量を高める効果は飽和する。そこで、ヨウ素源としてヨウ化ナトリウム(NaI)を用いる場合、濃度は、例えば4mol/L以下とすることができる。
また、本発明の製造方法において、CNT1bに含まれるカーボンナノチューブは、その内側にヨウ素を配置可能にする観点から、少なくとも一端が開口しているカーボンナノチューブであれば、その形態は特に限定されない。カーボンナノチューブは軸方向の一端のみが開口している形態であっても良く、軸方向の両端が開口している形態であっても良い。また、カーボンナノチューブは、少なくとも一端が開口していれば、らせん型、ジグザグ型、及び、アームチェア型の何れの構造であっても良い。また、少なくとも一端が開口していれば、壁の数も特に限定されず、1又は2以上の壁を有する形態のカーボンナノチューブを適宜用いることができる。さらに、カーボンナノチューブの製造方法も特に限定されず、アーク放電法、レーザー蒸着法、化学蒸着法等の公知の方法で製造された、少なくとも一端が開口しているカーボンナノチューブを適宜用いることができる。加えて、カーボンナノチューブの長さ(より具体的には内径に対する軸方向長さの比)も特に限定されないが、後述する実験では、5つのヨウ素原子が連なって形成されるヨウ素分子がカーボンナノチューブの内側に多く存在していることが確認された。したがって、この形態のヨウ素分子をカーボンナノチューブの内側に多く存在させやすくする観点から、カーボンナノチューブの内径に対する軸方向長さの比(軸方向長さ/内径)は10以上とすることが好ましい。
また、本発明の製造方法によって製造される導電材料のI含有量は特に限定されないが、従来よりも電気抵抗率を低減可能にする観点からはI含有量を17%以上とすることが好ましい。また、I含有量の上限値も特に限定されないが、例えば60%以下とすることができる。
また、本発明の製造方法によって製造される導電材料に含まれる、ヨウ素の位置は、特に限定されない。後述するように、本発明の製造方法で製造した導電材料は、カーボンナノチューブの内部に多くのヨウ素が配置されている一方、表面分析手法の一つであるXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)によってヨウ素の存在を確認可能であるため、カーボンナノチューブの外表面にも一部のヨウ素が存在していると考えられる。カーボンナノチューブに添加されたヨウ素の全体に占める、カーボンナノチューブの内側に存在しているヨウ素の割合は、例えば、質量%で60%以上99%以下とすることができる。
また、本発明の製造方法によって製造される導電材料の電気抵抗率は特に限定されないが、従来のCNTよりも電気抵抗率を低減可能にする観点からは、1×10−6Ω・m未満とすることが好ましい。
本発明の製造方法は、少なくとも一端が開口しているCNTを作用極に用い、且つ、ヨウ素源を含む電解液を用いて通電させることによりヨウ素をCNTに添加する形態であれば、その他の構成は特に限定されない。例えば、上記説明では、シート状のCNT1bを用いる形態を例示したが、作用極に用いるCNTはシート状でなくても良い。ただし、表面積を大きくすることによって、ヨウ素をドープしたCNTを一度に大量に製造しやすい形態にする等の観点からは、シート状のCNTを用いることが好ましい。
また、本発明の製造方法に関する上記説明では、CNT1bと共に白金メッシュ1aを作用極に用いる形態を例示したが、本発明の製造方法は当該形態に限定されない。ただし、ヨウ素含有量が少ない間においてもCNTにヨウ素を添加する酸化反応が生じやすい形態にする等の観点からは、通電中に分解しない導電性物質であり、且つ、物質を通過させることが可能な孔を有する多孔質部材を、CNTと共に作用極に用いることが好ましい。通電中に分解しない導電性物質としては、白金のほか、金等を例示することができる。
また、本発明の製造方法において、部材2、部材3、及び、固定具4、4、…は、通電中に分解しない公知の物質によって構成することができる。また、参照極5の形態も特に限定されず、例えば、銀/塩化銀電極等の公知の参照極を用いることができる。また、対極6は、通電中に分解しない公知の導電性材料によって構成されていれば良い。そのような導電性材料としては、白金や金等を例示することができる。また、電解液を入れる容器も特に限定されず、通電中に分解しないガラス等の公知の物質で構成した容器を適宜用いることができる。
上記本発明の製造方法によれば、少なくとも一端が開口しているカーボンナノチューブと、該カーボンナノチューブに添加されたヨウ素とを有し、I含有量が17%以上である、導電材料を製造することが可能である。また、このようにして製造した導電材料は、少なくともカーボンナノチューブの内側にヨウ素を含んでいる。上記本発明の製造方法によれば、電気抵抗率が1×10−6Ω・m未満である導電材料を製造することが可能である。
1.導電材料の作製
株式会社名城ナノカーボン製の単層カーボンナノチューブ(炭素濃度>90%)をシート状にしたシート状のCNTをCNT1bとし、ヨウ素源にヨウ化ナトリウム(NaI)を用いたヨウ化ナトリウム水溶液を電解液とし、白金を対極6とし、銀/塩化銀電極を参照極5とした電解装置10を用い、電解液濃度、電圧、及び、電圧印加時間をそれぞれ変更した複数の条件で本発明の導電材料を作製した。作製条件を表1に示す。
2.電気抵抗率の測定
作製した本発明の導電材料、及び、ヨウ素をドープしていないCNTを、それぞれエタノールに希釈した後、超音波分散し、得られた分散液をガラス上にスプレーコートすることにより、透明導電ガラスを作製した。
電気抵抗率を測定するために、5mm角の開口部が2mm間隔で4個形成されたメタルマスクを上記透明導電ガラス上に設置し、蒸着法により4端子金電極を形成した。これら4つの端子の両端2つを電圧極、内側2つの端子を電流極として、4端子法により電気抵抗率を測定した。電気抵抗率の測定結果を表1に示す。
3.I含有量の測定
作製した本発明の導電材料、及び、ヨウ素をドープしていないCNTについて、示差熱天秤(TG)により、ヨウ素の含有量を測定した。ヨウ素は加熱処理することにより分解揮発する。その温度範囲は250℃までと言われている。一方、CNTは250℃付近まででは分解しない。また、100℃までは水分の蒸発による重量減少がある。そこで、TG特性の100℃から250℃における重量減少はヨウ素の重量(Wi)とし、250℃加熱残渣をカーボンナノチューブの重量(Wc)とした。今回の実験では、得られた結果を下記式に代入して得られる値を、I含有量とした。I含有量の結果を表1に示す。
I含有量(%)=100Wi/(Wi+Wc)
4.電解酸化条件と電気抵抗率及びI含有量との関係
表1のNo.1乃至No.11が本発明の製造方法で製造した導電材料の結果であり、No.12がヨウ素をドープしていないCNTの結果である。
表1のNo.1乃至No.6に示したように、電圧及び電圧印加時間を一定にした場合、電解液濃度を増大させるにつれてI含有量が増大する傾向が確認されたが、電解液濃度が4mol/Lを超えると、I含有量の増大効果は飽和した。
また、表1のNo.7乃至No.10に示したように、電解液濃度及び電圧印加時間を一定にした場合、電圧を増大させるにつれてI含有量が増大する傾向が確認されたが、電圧を4VにしたNo.8のI含有量と電圧を5VにしたNo.9のI含有量との間に大差はなかった。そのため、電圧を5Vより高めても、I含有量の増大効果は限定されると考えられる。
また、電解液濃度及び電圧を一定とし、電圧印加時間の条件を変えたNo.4及びNo.11の結果を比較すると、電気抵抗率及びI含有量ともに、同程度の結果が得られた。したがって、電解液濃度や電圧と比較して、電圧印加時間の長短が電気抵抗率及びI含有量に及ぼす影響は限定されることが確認された。
また、ヨウ素をドープしていないCNT(No.12)の電気抵抗率は5.2×10−6Ω・mであったが、I含有量が17%以上であるNo.1乃至No.11の導電材料は、電気抵抗率が1×10−6Ω・m未満(より具体的には2.7×10−7Ω・m以下)となった。したがって、本発明の製造方法によれば、電気抵抗率を1×10−6Ω・m未満に低減した導電材料を製造可能であることが確認された。
5.ヨウ素の構造調査
電解液に浸す前のCNT(未処理)、電解液に浸すのみで電圧を印加しなかったCNT(電圧印加せず)、及び、定電圧2Vを1時間に亘って印加することにより本発明の製造方法で製造した導電材料(本発明)について、ラマン分光分析を行った。結果を図2に示す。
電解液に浸すのみで電圧を印加しなかったCNT、及び、電解液に浸す前のCNTでは、Gバンドのピーク及びGバンドのピークが確認されたが、本発明の製造方法で製造した導電材料ではかなりブロードなピークとなり、GバンドとGバンドとのピーク分離の特定が困難であった。これは、電解処理により結晶性が低下したこと、すなわち、CNTに多量のヨウ素が添加されたことを示唆している。
また、本発明の製造方法で製造した導電材料、及び、電解液に浸すのみで電圧を印加しなかったCNTでは、170cm−1と180cm−1との間にピークが確認され、その強さは本発明の製造方法で製造した導電材料においてより顕著であった。本発明の製造方法で製造した導電材料の低波長側を抽出して拡大したラマンスペクトルを図3に示す。ラマン分光分析に加えて、XPS分析及び文献調査を行ったところ、低波長側のピークは、図3に示したように、I に由来するピークとI に由来するピークであった。図3より、I に由来するピークよりもI に由来するピークが顕著に確認されたため、本発明の導電材料に添加されたヨウ素は、主にIであることが特定された。
6.ヨウ素の吸着位置の確認
6.1.ラマン分光分析
ヨウ素の吸着位置を確認するため、両端が閉じているカーボンナノチューブ(以下において、「閉端CNT」ということがある。)をシート状に加工したシート状のCNTを作用極に用いたほかは同様の条件で電解酸化処理を施すことにより、閉端CNTへヨウ素のドープを試みた。両端が開口しているカーボンナノチューブ(以下において、「開端CNT」ということがある。)をシート状に加工したシート状のCNTを作用極に用いて電解酸化処理を施すことによりヨウ素をドープした導電材料のラマンスペクトル、閉端CNTに要素をドープした物質のラマンスペクトル、及び、電解酸化処理を施す前のCNT(未処理CNT)のラマンスペクトルを、図4に示す。なお、図4は、1600cm−1付近のラマンスペクトルを拡大して示している。
図4に示したように、閉端CNTのGバンドに起因するピークは、未処理CNTのGバンドに起因するピークよりも、紙面右側へシフトしており、開端CNTのGバンドに起因するピークは、閉端CNTのGバンドに起因するピークよりも更に紙面右側へシフトしていた。具体的には、開端CNTのGバンドに起因するピーク位置は1596.315cm−1であり、閉端CNTのGバンドに起因するピーク位置は1592.098cm−1であり、未処理CNTのGバンドに起因するピーク位置は1589.988cm−1であった。ピーク位置のシフトは元素の結合状態が変化したことを意味するため、開端CNTには閉端CNTよりも多くのヨウ素が添加されたことが示唆される。
図5Aは開端CNTへのヨウ素吸着を説明する図であり、図5Bは閉端CNTへのヨウ素吸着を説明する図である。図5Aに示したように、開端CNTは軸方向の端部が開いているため、ヨウ素はCNTの外表面のみならず、CNTの内側にも入り込むことが可能と考えられる。これに対し、図5Bに示したように、閉端CNTは軸方向の両端が閉じているため、ヨウ素はCNTの内側に入り込み難い。したがって、閉端CNTにドープされたヨウ素は、閉端CNTの外表面にのみ存在可能と考えられる。これを踏まえて図4を確認すると、開端CNTのGバンドの起因するピーク位置が閉端CNTのGバンドに起因するピークよりも更に紙面右側へシフトしていたのは、閉端CNTよりも開端CNTにより多くのヨウ素がドープされたためであり、開端CNTにドープされたヨウ素は、開端CNTの外表面及び内側に存在していると考えられる。
6.2.X線回折分析
ヨウ素の吸着位置を特定するため、1mol/Lのヨウ素源(NaI)を含有する電解液中に1時間浸漬する一方で電圧を印加しなかった開端CNT(0V)、及び、1mol/Lのヨウ素源(NaI)を含有する電解液を用いて0.7Vの電圧を1時間に亘って印加する電解酸化工程を行った開端CNT(0.7V)について、X線回折分析を行った。結果を図6Aに示す。また、開端CNTの結晶軸(a軸及びb軸)の説明を図6Bに示す。図6Aに示したように、開端CNT(0V)の(100)、(110)、及び、(200)の回折角2θの位置は、開端CNT(0.7V)の(100)、(110)、及び、(200)の回折角2θの位置と一致していた。ここで、開端CNTに添加されたヨウ素が開端CNTの外表面に多く吸着している場合、a軸方向やb軸方向に隣接する開端CNT間の距離が、ヨウ素が添加されていない開端CNTにおける開端CNT間の距離と非同一になる。図6Aより、開端CNT(0.7V)の(100)、(110)、及び、(200)の回折角2θの位置は、開端CNT(0V)の(100)、(110)、及び、(200)の回折角2θの位置に一致しているので、開端CNT(0.7V)に添加されたヨウ素の多くは開端CNTの内側に存在していると考えられる。
6.3.電解液濃度とヨウ素吸着量及び吸着位置との関係調査
表1に示したNo.4、No.5、及び、No.6の導電材料(電圧2V及び電圧印加時間1時間とする一方、電解液の濃度を1mol/L、0.5mol/L、及び、0.1mol/Lとして作製した導電材料)、並びに、表1に示したNo.12のCNTについて、ラマン分光分析を行った。結果を図7に示す。
図7に示したように、電解液の濃度が増大するにつれて、単層CNTのGバンドに由来するピークに対するI に由来するピークの強度比が大きくなった。この結果から、ヨウ素源としてヨウ化ナトリウム(NaI)を使用すると、少なくとも電解液の濃度が1mol/L以下である場合は、電解液濃度を増大するほどヨウ素の添加量が増大すると言える。
図7に示したラマンスペクトルから、1600cm−1付近のみを抽出したラマンスペクトルを図8に示す。図8より、電解質の濃度を1mol/LとしたNo.4は電解質の濃度を0.1mol/LとしたNo.6や電解質の濃度を0.5mol/LとしたNo.5よりも、ピークシフトの程度が大きくなった。
また、図7及び図8にラマン分光分析結果を示した4つの試料について、XPS分析を行った。ラマン分光分析により得られた単層CNTのGバンドに由来するピーク位置及びピークシフト量の結果を表2に、XPS分析により得られた炭素及びヨウ素の元素比の結果(炭素を100で固定)を表3に、それぞれ示す。
表2に結果を示したラマン分光分析では、電解液の濃度が0.1mol/Lや0.5mol/Lの場合よりも1mol/Lの場合の方が、ピークシフト量が大きく、電解液の濃度を高めることによりヨウ素添加量が増大する結果が得られた。これに対し、表3に結果を示したXPS分析では、濃度が0.5mol/Lまでは電解液の濃度を増大するほどヨウ素の検出量が増大する結果が得られたが、濃度を1mol/Lとした場合のヨウ素検出量は、濃度を0.5mol/Lとした場合のヨウ素検出量よりも少なかった。表面分析手法の一つであるXPS分析の結果は、電解液の濃度を増大させてもCNTの外表面に存在するヨウ素量は増大し難いことを示している。これらの結果から、CNTへと添加されたヨウ素は、CNTの外表面よりもCNTの内側に多く存在していると考えられる。なお、図3乃至図8、及び、表2乃至表3に示した結果から、CNTへと添加されたヨウ素の60%以上99%以下程度が、CNTの内側に存在していると推定される。
6.4.ヨウ素がCNTの内側に存在しやすい理由に関する考察
ヨウ素がCNTの内側に存在しやすいのは、電極酸化の過程において、ポリヨウ化物イオンが形成されることが一つの要因であると予想される。図3に示したように、本発明の導電材料にはI やI のように分子状形態のヨウ素がCNTに吸着している。このような分子状のヨウ素は、CNT内側の細長い空間に収まることで相互作用が大きくなり、多少の電荷移動反応を起こしながら安定化すると考えられる。
1…作用極
1a…白金メッシュ
1b…CNT
2、3…部材
3a…孔
4…固定具
5…参照極
6…対極
10…電解装置

Claims (4)

  1. 少なくとも一端が開口しているカーボンナノチューブと、該カーボンナノチューブに添加されたヨウ素とを有し、前記カーボンナノチューブ及び前記ヨウ素の合計質量に占める前記ヨウ素の質量の割合が17%以上である、導電材料。
  2. 前記ヨウ素は、少なくとも前記カーボンナノチューブの内側に含まれている、請求項1に記載の導電材料。
  3. ヨウ素源を含む電解液に、少なくとも一端が開口しているカーボンナノチューブを接触させる接触工程と、
    前記電解液に接触させた前記カーボンナノチューブを作用極に用いて、電解酸化する電解酸化工程と、
    を有する、導電材料の製造方法。
  4. 前記電解酸化工程で、少なくとも前記カーボンナノチューブの内側に、連なった複数のヨウ素イオンを有するポリヨウ化物イオンが配置される、請求項3に記載の導電材料の製造方法。
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