JP2014037365A - 放射線被ばく後の自己反応性t細胞増殖阻害剤 - Google Patents

放射線被ばく後の自己反応性t細胞増殖阻害剤 Download PDF

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Abstract

【課題】放射線被ばく後に高確率に起こる事が知られている急性及び晩発性放射線障害である自己免疫疾患など免疫系の各種疾患の原因となる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制する方法、並びに放射線被ばく後の自己反応性T細胞の出現を抑制するための自己反応性T細胞増殖抑制剤の提供。
【解決手段】FGFCを有効成分とする、放射線被ばく後の自己反応性T細胞の出現を抑制する方法、そのための自己反応性T細胞増殖抑制剤、及び自己反応性T細胞増殖抑制剤を用いた急性及び晩発性放射線障害性免疫系疾患のための予防方法。また、生体から放射線被ばく後又は被ばく前のT細胞もしくは樹状細胞を含む免疫系細胞又は組織を取り出し、FGFC存在下で培養して、自己反応性T細胞増殖の抑制作用を付与した後に、もとの生体内に戻す自己移植方法、そのための医薬組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、放射線被ばく後の自己反応性T細胞の出現を抑制し、その増殖を阻害するための方法および自己反応性T細胞増殖阻害剤に関する。
福島第一原子力発電所の事故に伴い、放射線障害の防護は喫緊の重要課題となっている。例えば、事故に伴う環境放射線量の増大は一般市民の自然被ばく量を増やし、さらに廃炉作業に伴う職業被ばくは重大な健康障害をもたらす可能性がある。放射線障害の防護には物理的な遮蔽や除染が有効であるが、放射線関連作業においてこれら物理的な対策が不十分である場合には、生体が放射線障害を被る。さらに医療現場においては、放射線によりガン細胞の死滅を狙う治療や重篤疾病治療の為の放射線による透視下における施術などの際には、その周囲の細胞や術者の身体など、本来の標的以外の生体部分が放射線障害を被る場合もある。このように様々な原因で起こりうる放射線生体障害の対策として、生物学的見地からの放射線防護法の開発が必要である。
放射線に被ばくした場合、大量被ばく(10Gy以上)であれば、もはや延命措置を施すことぐらいしかできない。5Gy程度の被ばくの場合には、即座に生存が危ぶまれる場合だけではないが、造血臓器、消化管、中枢神経系への障害が大きく、悪性貧血の発症、腸壁のびらん等が多くの被ばく者で観察される。悪性貧血に対しては、成分輸血及び骨髄移植を行い、腸壁のびらんなど組織の損傷は、損傷部分を大きく切除するなどの患者に多大な負担をかける手法で対処することが一般的であった。
最近、本発明者らによって、FGF1及びFGF2のキメラタンパク質である「FGFC」に、放射線障害により大量の細胞死を起こした腸管上皮細胞や骨髄細胞などの生存及び増殖促進作用が報告された(特許文献2、非特許文献1、非特許文献2)。このことで、放射線障害をうけた組織を再生可能な非侵襲的な放射性障害治療方法への道が開かれることになった。
一方で、5Gy未満の低レベル被ばくの場合であっても、全身被ばく時の場合には、腸管障害など臓器での損傷は特に見られないが、リンパ球などの造血系細胞では、少ない放射線量で障害を受ける。例えば、血球減少による感染症発症や出血を伴う骨髄死は3Gy程度の被ばくから認められ、それ以下の被ばく(0.5〜3Gy)でもリンパ球の一次的な減少が起こる。リンパ球は主に免疫を司るため、例え一次的な減少であってもその影響は重大であると言える。そのためには、感染症予防や出血への対応として抗生物質投与、成分輸血、栄養管理などの対症療法を行った上で自然回復を待つことが一般に行われている。
しかし、実際には、放射線障害により一次的に減少したリンパ球数が元に戻る時(LIP:lymphopenia-induced-proliferation)、自己反応性のリンパ球が増大するという報告がある(非特許文献3)。自己反応性リンパ球は自己免疫疾患の原因となるため、放射線被ばく後長期間を経てから起こる様々な疾患(晩発性疾患)発症のリスクファクターにもなりうる。放射線障害による免疫系の変調、およびその影響には複雑な生理学的プロセスが関わっていることは明らかで、その防護には生物学的見地からの手法が必須と言えるが、現時点ではそのような視点での技術開発は行われていない。
特許第2733207号明細書 特許第5004250号明細書
Nakayama F, Hagiwara A, Umeda S,Asada M, Gotoh M, Oki J, Suzuki M, Imamura T, Akashi M. Post treatmentwith an FGFChimeric growth factor enhances epithelial cell proliferation to improverecovery from radiation-induced intestinal damage. Int. J. Rad. Oncol. Biol.Phys. 78(3), 860-867, 2010. FGFキメラ蛋白質によるマウス骨髄の放射線障害の抑制,後藤 恵美、隠岐 潤子、本田絵美、鈴木 理、浅田 眞弘、萩原亜紀子、中山 文明(放射線医学総合研究所)、明石 真言、今村亨,日本放射線影響学会第53回大会,京都、2010/10/20. Suzuki T, Ogawa S,Tanabe K, Tahara H, Abe R, Kishimoto H. Induction ofAntitumor Immune Response by Homeostatic Proliferation and CD28 Signaling. J. Immunol. 180, 4596-4605, 2008. Imamura T, Friedman SA, Gamble S, Tokita Y, Opalenik SR, Thompson JA, Maciag T. Identification of the domain within fibroblastgrowth factor-1 responsible for heparin-dependence. Biochim Biophys Acta. 1266(2),124-130, 1995. Imamura T, Tanahashi T. A novelchimeric fibroblast growth factor for liver parenchymal cells. Hepatology 23(2),316-319, 1996. Motomura K, Hagiwara A,Komi-Kuramochi A, Hanyu Y, Suzuki M, Kimura M, Oki J, Nakayama F, Akashi M,Imamura T AnFGF1:FGF2 chimeric growth factor exhibits universal FGF receptor specificity,enhanced stability and augmented activity useful for epithelial proliferationand radioprotection. BiochimBiophys Acta. 780(12), 1432-1440, 2008
本発明の課題は、放射線被ばく後に高確率に起こる事が知られている自己免疫疾患などの免疫系の変調を含む各種免疫障害の原因となる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制する方法に関する。
さらに、放射線被ばく後の自己反応性T細胞の偏増殖を抑制するための自己反応性T細胞増殖抑制剤、急性及び晩発性放射線障害による免疫障害予防用医薬組成物を提供することにある。
本発明者らは、以前(1995年)から、FGF1蛋白質の特定の一部領域を、FGF2蛋白質の対応する領域に置換したキメラ蛋白質を多数作製し(非特許文献4)、FGF1蛋白質のアミノ酸配列の41〜83位の部分配列がFGF2蛋白質のアミノ酸配列における対応する領域の部分配列に置換されたキメラ蛋白質(非特許文献1ではFGFC(1211))、及び同様に62〜83位の部分配列が、FGF2蛋白質由来の部分配列に置換されたキメラ蛋白質(非特許文献4ではFGFC(1(1/2)11))が、FGF1と同様の増殖活性を有していながら、ヘパリン非依存性に変化することを見出しており(なお、本発明において、62位、83位などというとき、FGF1の全長のcDNAに対応するアミノ酸配列のN末端を1位のアミノ酸として数えたFGF1アミノ酸配列上の位置を表す。)、FGF1アミノ酸配列の62〜83位の領域がFGF1のヘパリン依存性を決定する領域であることを考察した。その後、キメラ蛋白質「FGFC(1211)」について、ヘパリンの非存在下での、FGF1と同様の強い肝臓細胞増殖促進活性及び神経突起伸展促進活性を確認し(非特許文献5、特許文献1)、さらに上述のように、上記非特許文献1に開示されたFGFC(1211)及びFGFC(1(1/2)11)のFGFCキメラ蛋白質(以下、単にFGFCともいう。)の優れた作用として、創傷治癒効果と共に、実験マウスに対して高レベル(8Gy)のX線照射の前又は後にFGFCを投与しておくことで、腸管障害を大幅に改善することを実証した(特許文献2、非特許文献1、非特許文献2)。このことにより、FGFCは、癌の放射線治療の副作用としての腸管炎、原発事故などの被ばく者に起こる腸管や骨髄の重篤な障害の予防や治療用の医薬組成物として期待されている。
しかしながら、従来FGFCと放射線障害の関係で検討されたのは、腸管障害など臓器の組織レベルで損傷を引き起こすほどの高いレベル(少なくとも5Gy以上)の放射線障害を対象とするものであり、もっぱら放射線により大量の細胞死を起こした腸管などの臓器にわずかに残った消化管幹細胞の増殖促進効果、又は細胞死には至らないもののダメージを受けて弱った細胞の生存性増強効果を観察していたものである。
本発明者らは低レベルでの放射線照射でも引き起こされるLIPなど免疫系障害とFGF受容体との関連を研究する中で、このFGFCがLIPに伴う自己反応性リンパ球(T細胞)画分の偏増殖を抑える働きがあることを発見した。
さらにFGFCの有効な投与法についてもマウスを用いて検証し、以下の知見を得た。
(1)FGFCの事前投与により、被ばくが原因のLIPに伴う自己反応性T細胞の偏増殖を抑えることができる。
(2)FGFCが必ずしも直接的にT細胞に働くわけではなく、樹状細胞等を介してT細胞の形質を変化させる。
(3)FGFCを投与したマウスの脾臓から得られる樹状細胞画分を同系統のマウスに移入すると、FGFC投与と同様の効果が得られる。
これらの実験結果からみて、FGFCには、放射線被ばくが原因の自己反応性T細胞の偏増殖を抑制する効果があることが実証された。そのFGFCを医薬として適用するための態様としては、以下の3点が考えられる。
1) 放射線被ばくが原因のLIPに伴う自己反応性T細胞の増殖を抑えるための予防措置としてFGFCをあらかじめ投与しておく。
2) 放射線被ばく後、それが原因となり起こるLIPに伴う自己反応性T細胞の増殖を抑えるための治療措置としてFGFCを投与する。
3) 放射線被ばく後の治療措置として自己の樹状細胞をFGFC処理し、再移入すること。
これらの知見を得たことで、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕 LIP(lymphopenia-induced-proliferation)により引き起こされる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制するための増殖抑制剤であって、FGFCを有効成分とする、自己反応性T細胞増殖抑制剤。
〔2〕 LIPの原因が、放射線被ばくである、前記〔1〕に記載の自己反応性T細胞増殖抑制剤。
〔3〕 前記FGFCが、配列番号1〜6に示されるいずれかのアミノ酸配列、又はそのアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ自己反応性T細胞の増殖抑制活性を保持したFGF1/FGF2キメラ蛋白質である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の増殖抑制剤。
〔4〕 前記増殖抑制剤が、放射線被ばく後に生体内で起こる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制するための有効成分として含まれる急性及び晩発性放射線障害性免疫系疾患のための予防用医薬組成物として用いられることを特徴とする、前記〔1〕又は〔2〕に記載の増殖抑制剤。
〔5〕 FGFCを、放射線被ばく後に生体内で起こる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制するための有効成分として含むことを特徴とする、急性及び晩発性放射線障害性免疫系疾患のための予防用医薬組成物。
〔6〕 放射線被ばく後の生体内で起こる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制する方法であって、放射線被ばく前に又は被ばく後にFGFCを投与することを特徴とする、方法。
〔7〕 放射線被ばく後の生体内で起こる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制する方法であって、生体から取りだした、放射線被ばく後又は被ばく前のT細胞もしくは樹状細胞を含む免疫系細胞又は組織を、FGFC存在下で培養して、自己反応性T細胞増殖の抑制作用を付与した後に、もとの生体内に戻すことを特徴とする、方法。
〔8〕 放射線被ばく後の生体内で起こる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制するための自己移植用免疫系細胞の製造方法であって、自己移植の対象となる生体から、放射線被ばく後又は被ばく前に取りだしたT細胞もしくは樹状細胞を含む免疫系細胞又は組織を、FGFC存在下で培養して、自己反応性T細胞増殖の抑制作用を付与する工程を含むことを特徴とする、製造方法。
〔9〕 自己移植の対象となる生体から、放射線被ばく後又は被ばく前に取りだしたT細胞もしくは樹状細胞を含む免疫系細胞又は組織を、FGFC存在下で培養することで得られる、自己反応性T細胞偏増殖の抑制作用を有する免疫系細胞を有効成分とする、急性及び晩発性放射線障害性免疫系疾患のための予防用医薬組成物。
本発明によれば、放射線被ばくにより生じるLIPの悪影響、すなわち自己反応性T細胞の出現を効果的に低減できる。これにより各種自己免疫疾患の発症を有意に抑えることが期待できる。自己反応性T細胞が一度出現すると、それは健康障害の長期にわたるリスクファクターとなりうる。つまり、本発明は放射線被ばくの急性及び晩発性障害を抑えるという、これまでにない視点からの放射線障害の予防および治療の方法となり得る。またFGFCの作用点がT細胞そのものではなく、それらの形質をコントロールする樹状細胞の形質を変化させることで間接的な効果を上げるという点は、従来のFGFC特許との大きな相違点と言える。
放射線照射によるリンパ球数変化に対するFGFCの効果 放射線照射による各種リンパ球画分存在比の変化に対するFGFCの効果 FGFC投与マウスから得た非T非B細胞画分の放射線障害防護活性
1.「LIP」及び「自己反応性T細胞」
(1−1)「自己反応性T細胞」とは
造血幹細胞に由来するT細胞(Tリンパ球)は、すべての獲得免疫応答の中心となっており、表面にT細胞レセプター(TCR)とよばれる抗原受容体を発現する細胞として定義することができる。T細胞は、種々の観点から分類されているが、CD4を表面に発現するCD4陽性細胞(主にはヘルパー細胞)、CD8を表面に発現するCD8陽性細胞(主にはキラーT細胞)と分類されるのが一般的である。CD4陽性細胞は、さらに産生するサイトカインの種類によりTh1及びTh2細胞に分類され、Th1細胞は、炎症性サイトカインγ-IFNを産生してマクロファージを活性化し、多くの炎症反応の惹起に関与するのに対して、Th2細胞はIL-4を産生してB細胞を活性化し、B細胞による抗体産生応答に関与し、CD8陽性のキラー細胞はウイルス感染細胞などの標的細胞を認識して、アポトーシス誘導因子を放出しアポトーシスを誘導するといわれている。
しかしながら、実際のT細胞に起因する病理学的な現象を引き起こす機能的な側面でT細胞を観察すると、このような単純な分類法では表現しきれない場合が多く、特定の機能を有するT細胞群を、T細胞分画に基づき定義することも行われている。
本発明で増殖抑制の対象としている「自己反応性T細胞」は、「LIP(lymphopenia-induced-proliferation)」と呼ばれる現象により出現する(偏増殖する)T細胞群である。一般に、放射線被ばくや抗癌剤治療の後などには一次的にリンパ球数の減少(lymphopenia)が引き起こされ、その後リンパ球数が急激に元に戻る。この現象を「LIP」と呼ぶ。この時に、自己反応性のリンパ球(T細胞)が増大(偏増殖)する(非特許文献3)。
「LIP」及びそれにより出現する自己反応性T細胞の影響は、従来から癌治療や臓器・骨髄移植で注目されており、正負両面からの研究がなされている。すなわち、LIPにより増えてくるT細胞群は抗腫瘍活性を持っている利点がある一方、移植の拒絶に関与していることが知られており、その原因とされたのが、これらのT細胞群中で出現する「自己反応性T細胞」である。
LIPにより増えてくるT細胞群は、形態学的にも様々な形状や特性があり、表面マーカーも様々であって、従来型のT細胞分類法ではどこにも属さないT細胞群であったことから、従来は明確な特定ができなかったが、非特許文献3により、自己反応性T細胞はLIPにより新たに増えるナイーブT細胞画分に含まれていることが報告され、「自己反応性T細胞」が「ナイーブT細胞」であることが確認された。本来の分化過程では、T細胞は胸腺で自己非自己識別の教育を受ける。しかしLIPのような緊急事態では「数合わせ」のためにその過程がスキップされて、大量の「ナイーブ細胞」が出現してくるが、この「ナイーブ細胞」こそが、「自己反応性T細胞」の実態であると考えられている。
したがって、本発明において「自己反応性T細胞」というとき、LIPにより偏増殖する「ナイーブT細胞」を指し、非特許文献3に記載された方法に準拠したT細胞の分画方法により得られる「ナイーブT細胞画分」を、「自己反応性T細胞リッチ画分」として扱っている。
(1−2)「自己反応性T細胞リッチ画分」の分画方法
本発明においては、以下の方法によりマウス脾臓中の免疫細胞で「LIP」を誘導し、非特許文献3記載のT細胞分画方法に準拠した分画方法により、「自己反応性T細胞リッチ画分」を取得する。
具体的には、放射線照射したマウスから取りだした脾臓を単細胞化し、赤血球を溶血除去して得られた細胞懸濁液に以下の組み合わせの蛍光標識抗体を入れ、細胞を標識する。なお、その際標識に用いる蛍光物質はフローサイトメーターにより検出可能で、それぞれの組み合わせの抗体間で異なるものであれば種類は問わない。
CD4陽性ナイーブT細胞画分検出用:抗CD4抗体、抗CD44抗体、抗CD62L抗体
CD8陽性ナイーブT細胞画分検出用:抗CD8抗体、抗CD44抗体、抗CD62L抗体
細胞懸濁液をフローサイトメーターにかけ、蛍光強度により検出される、以下の2種類の画分が目的とする「ナイーブT細胞画分」、すなわち、LIPにより生じる「自己反応性T細胞リッチ画分」である。
(1)CD4陽性ナイーブT細胞画分:CD4陽性、かつ、CD44陰性、かつ、CD62L陽性
(2)CD8陽性ナイーブT細胞画分:CD8陽性、かつ、CD44陰性、かつ、CD62L陽性
この「分画方法」は、いわば、「抗体で染めてフローサイトメーターで検出する」工程と表現することができる。「自己反応性T細胞」が増減したことの確認は、フローサイトメーター自身の性能として、上記に示したどの抗体とどの抗体で染まっているか、細胞1つ1つについて検出できるため、各画分を細胞数で表すことができ、フローサイトメーターにかけた全部の細胞数との比を取れば、各分画の比率がわかる。この比率に基づき「自己反応性T細胞」の増減を判定する。
たとえば、本発明において、上記放射線被ばく免疫細胞の培養系にFGFCを添加した場合、ナイーブ細胞の分画比として、CD8陽性T細胞についてはFGFC投与によりナイーブT細胞画分が29.2%から10.4%に下がり(64%減)、CD4陽性T細胞についてはFGFC投与によりナイーブT細胞画分が13.1%から2.9%に下がる(78%減)という結果を得ている。
このことは、明らかにFGFC投与により、「ナイーブT細胞」すなわち「自己反応性T細胞」の偏増殖が抑制されたことを意味する。
2.本発明で用いるFGF1/FGF2キメラ蛋白質(FCFC)について
(2−1)FGF1/FGF2キメラ蛋白質(FCFC)のアミノ酸配列
本発明において、「FGF1/FGF2キメラ蛋白質(FCFC)」とは、上皮成長因子(FGF)のうちのFGF1蛋白質のアミノ酸配列の41〜83位の部分配列が、FGF2蛋白質のアミノ酸配列における対応する領域の部分配列に置換されたキメラ蛋白質(非特許文献1ではFGFC(1211))、及び同様に62〜83位の部分配列が、FGF2蛋白質由来の部分配列に置換されたキメラ蛋白質(非特許文献1ではFGFC(1(1/2)11))を指す。FGFCのアミノ酸配列は基本的にはFGF1蛋白質のアミノ酸配列により構成されており、ヘパリン依存性に関与する部分のアミノ酸配列が、FGF2蛋白質の対応部分配列と置換されている。具体的には、FGF1蛋白質のアミノ酸配列において、41〜83位の配列のうち少なくとも62〜78位の配列を含む部分配列が、FGF2蛋白質のアミノ酸配列における対応する位置の部分配列に置換されており、他の領域はFGF1のアミノ酸配列から構成されている。好ましくは、FGF1アミノ酸配列中の41〜78位の部分配列すべてが対応するFGF2アミノ酸配列(44〜81位に相当)に置換されたアミノ酸配列を有するものである。また、上記のキメラ蛋白質は、その機能を発揮する限りにおいて、そのアミノ酸配列の一部に、付加、欠失、置換、修飾があってもよい。また、用いるFGF1蛋白質およびFGF2蛋白質としては、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ウマ等の哺乳動物のFGFのいずれでもよいが、免疫系による望ましくない反応を避ける意味から、治療対象となる動物と同種の起源のものが好ましい。
本発明の実施態様では、例としてヒト由来のFGF1/FGF2キメラタンパク質(FGFC)について詳細に述べるが、これに限定されるものではない。
非特許文献4においては、FGFC(1211)及びFGFC(1(1/2)11)として、83位アミノ酸が、Lys(K)、Glu(E)及びAsp(D)の3通りの場合のキメラ蛋白質が実質的に開示されているが、特許文献2において、83位がFGF1由来のAsp(D)である「FGF1/FGF2キメラ蛋白質」が、体内半減期の増大効果と共に高い保存安定性効果などの医薬品の「製剤化」にとっての重要な特性をも備えていることが実証されている。したがって、本発明において特に断らない限り、FGF1/FGF2キメラタンパク質(FGFC)というときは、83位がFGF1由来のAsp(D)である場合を指し、その場合のアミノ酸配列は、FGF1の41〜78位のアミノ酸配列またはFGF1の62〜78位のアミノ酸配列がFGF2由来のアミノ酸配列に置換されたキメラ蛋白質と表現することもできる。
また、これらキメラ蛋白質を作製する際に、FGF1 cDNAの全長翻訳産物のN末端〜21位のアミノ酸は、動物組織からFGF1蛋白質抽出時に得られる短縮体アイソフォームと同様に、N末端の21アミノ酸を削除する方が発現量が高く取り扱いやすい。そして、N末端側を大腸菌で生産する際の翻訳とメチオニンの翻訳後切断のためにMet又はMetAlaを付加するような改変も常套手段である。そしてこれらのN末端の違いによってFGF1としての活性に影響が無いことは、既に知られているので、本発明においてFGFC(1211)、FGFC(1(1/2)11)、又は単にFGFCというとき、N末端21アミノ酸を含む全長タイプ、削除した短縮体アイソフォーム及び当該短縮体N末端にMet(M)もしくはMetAla(MA)を付加したトランケート体のいずれのタイプも包含される。ただし、大腸菌宿主での大量発現を意図する場合は、N末端を削除された短縮体又はそのN末端にMet(M)もしくはMetAla(MA)を付加したトランケート体が、発現量が高く溶解性も高いために好ましい。特に83位がAsp(D)のタイプは、形質転換大腸菌を培養し、その菌体破砕物の可溶性画分から、簡単に活性体(封入体でなく正確にフォールディングされたもの)を単離精製できるので最も好ましい(特許文献2)。
典型的な本発明のFGFCタンパク質のアミノ酸配列は、
配列番号1〜6に示されるアミノ酸配列、又はそのアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列(なお、数個とは2〜10アミノ酸を指すが、2〜5の範囲内であることが好ましい。)
と、書き表すことができる。また、製剤化特性などの観点からは、アミノ酸が欠失、置換、挿入、付加された場合でも、前記83位はAsp(D)であることが好ましい。
(2−2)キメラタンパク質の調製方法
本発明のキメラタンパク質の調製方法は特許文献2、非特許文献4、非特許文献6などに記載されたとおり、FGF1及びFGF2をコードするcDNAをカセットフォーマットで作成した後、cDNA上でキメラを作成しそれを大腸菌、酵母、動物細胞などの発現系を用いて発現させることにより得ることができる。
また、本発明のキメラ蛋白質は、典型的には、これら宿主細胞からの発現産物を精製して医薬製剤化するが、キメラcDNAを作成後、ヒトなど治療対象の動物に投与可能な発現ベクターなどを用いて遺伝子治療することができる。
3.本発明における自己反応性T細胞の増殖抑制方法及び増殖抑制剤について
(3−1)本発明の自己反応性T細胞増殖抑制剤
本発明の自己反応性T細胞増殖抑制剤は、放射線被ばくなどが原因となるLIPにともない生じる自己反応性T細胞の偏増殖を効果的に抑える。その薬理効果は樹状細胞等、リンパ球の形質決定に関わる細胞を経由した間接的なものも含まれる。
すなわち、本発明の自己反応性T細胞増殖抑制剤は、放射線被ばくを受けた後で、又は受ける前に医薬組成物として生体に投与することで、放射線被ばくによるLIPにより引き起こされる自己反応性T細胞の出現を抑制することができるので、その後の自己免疫疾患などの免疫系変調に基づく各種免疫系疾患を予防することができる。放射線被ばく後に投与することでも充分にその効果を発揮できるが、癌放射線治療の際など、放射線被ばくが予定されている場合には、あらかじめ本発明のFGFCを有効成分とする自己反応性T細胞増殖抑制剤を被ばく前に投与しておくことで、LIPにより引き起こされる自己反応性T細胞の偏増殖を予防的に抑制することができる。
また、本発明の自己反応性T細胞増殖抑制剤はインビトロで作用させることも可能であり、その際にはT細胞などリンパ球又はこれらを含む組織を、放射線被ばく後もしくは被ばく前に体外に取りだして、FGFCを含有させた培地で培養し、放射線被ばく後もしくは被ばく前の対象に移植により体内に戻すことによっても、同じ効果を得ることができる。
本発明の自己反応性T細胞増殖抑制剤をインビトロで作用させる場合には、T細胞などリンパ球自体に作用させるよりも、樹状細胞等のリンパ球の形質決定に関わる細胞に作用させる方が、より高い自己反応性T細胞の偏増殖抑制効果が得られる。
なお、移植用の細胞、組織の由来は、自己細胞ではなく他者の細胞であっても用いることはできるが、拒絶反応などの望ましくない免疫反応を避けるためには、自己細胞、組織であることが好ましい。
(3−2)本発明の自己反応性T細胞増殖抑制剤を含む急性及び晩発性放射線障害による免疫系疾患予防用医薬組成物
自己反応性T細胞増殖抑制剤を含む急性及び晩発性放射線障害による免疫系疾患予防用医薬組成物は、例えばヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ等の哺乳動物に対して、放射線被ばく前もしくは被ばく後に、非経口的にまたは経口的に安全に投与することができる。
本発明のFGFCを有効成分とする自己反応性T細胞増殖抑制剤を医薬組成物として用いる場合には、医薬的に許容できる溶剤、賦形剤、担体、補助剤などを使用し、製剤製造の常法に従って液剤、注射剤、散剤、顆粒剤、錠剤、坐剤、腸溶剤およびカプセル剤などの医薬組成物とする。医薬組成物中、有効成分であるFGFCの含有量は、0.000001〜1.0重量%程度とすればよい。該医薬組成物は、従来から用いられていた他の放射線障害の予防薬、治療薬と併用することができる。
本医薬組成物の投与量は、剤形、投与ルート、症状等により適宜変更しうるが、例えばヒトを含む哺乳動物に投与する場合、当該キメラ蛋白質を1日当たり、0.01〜10mg/体重1kg程度の範囲が例示される。被ばく前の投与は、3日前〜24時間前であることが好ましく、被ばく後の投与の場合は、被ばく後0時間〜72時間後に、複数回に分けて投与することが好ましい。
さらに、本発明のFGFCを有効成分とする自己反応性T細胞増殖抑制剤を含む医薬組成物は、製剤化した際の特性として、室温(25℃)の温度条件下での安定性が高く、しかも体温(37℃)条件下での蛋白質分解酵素に対する耐性が高いことが期待される(特許文献2)から、放射線被ばく後のLIPに起因する自己反応性T細胞の偏増殖を抑制するための医薬製剤として用いることが好ましい。さらに、容器で保管する際の溶液濃度が低下しにくい、という優れた医薬製剤特性も有しているため、安定した高活性の医薬組成物が提供できる。
(3−3)本発明の自己反応性T細胞増殖抑制剤をインビトロで用いる場合
本発明の自己反応性T細胞増殖抑制剤は、直接生体に投与する場合のみならず、インビトロでも効果を発揮するため、生体から被ばく後又は被ばく前のT細胞、組織、もしくは樹状細胞等のリンパ球の形質決定に関わる細胞、組織を取りだして、FGFCを含有させた一般培地中で培養し、自己反応性T細胞増殖の抑制作用が十分あることを確認してから生体内に戻す操作をする。
その際の培地中のFGFCの量は、5〜100mg/l、好ましくは20〜50mg/lであり、自己反応性T細胞増殖の抑制作用を充分に付与させるためには、通常12〜72時間、好ましくは24〜48時間培養する必要がある。
得られた培養細胞又は組織を生体内に戻す操作は、通常の細胞移植操作が適用できる。具体的には、培養細胞を生理食塩水で充分に洗浄した後、生理食塩水に懸濁し、静脈注射により生体に戻す。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
本発明におけるその他の用語や概念は、当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものであり、本発明を実施するために使用する様々な技術は、特にその出典を明示した技術を除いては、公知の文献等に基づいて当業者であれば容易かつ確実に実施可能である。また、各種の分析などは、使用した分析機器又は試薬、キットの取り扱い説明書、カタログなどに記載の方法を準用して行った。
なお、本明細書中に引用した技術文献、特許公報及び特許出願明細書中の記載内容は、本発明の記載内容として参照されるものとする。
〔実施例1〕放射線照射が原因のLIPに伴い起こる自己反応性T細胞画分の増殖阻害
33μg/mlの濃度で生理食塩水に溶解したFGFCをマウス(BALB/cCRSLC, 8週齢、オス)に一匹当たり300μl投与し、24時間後に6Gyの強度でX線を全身照射した。対象実験として生理食塩水のみを投与したマウスも同じ条件でX線照射を行った。以下はFGFC投与群、生理食塩水投与群、それぞれ20匹を用いて行った実験の結果である。
照射後、様々な時間をおいた後マウスから脾臓を取り出し、40μmのナイロンメッシュを用いて単細胞化後、0.75%塩化アンモニウム-トリスバッファ(pH7.65)を用いて赤血球を溶血させ除去する。得られた細胞懸濁液に以下の組み合わせの蛍光標識抗体を入れ、細胞を標識した。本実施例で標識に用いた蛍光物質は、各抗体に対して下記の括弧内の通りである。
CD4陽性ナイーブT細胞画分検出用:抗CD4抗体(eBioscience社製)、抗CD44抗体(eBioscience社製)、抗CD62L抗体(eBioscience社製)
CD8陽性ナイーブT細胞画分検出用:抗CD8抗体(eBioscience社製)、抗CD44抗体、抗CD62L抗体
細胞懸濁液をフローサイトメーターにかけ、脾臓中の全リンパ球数を測定するとともに、フローサイトメトリー解析により、各種抗体で識別されたリンパ球の種類ごとの蛍光強度を測定し、リンパ球の存在比率を算出した。
その結果、脾臓由来の総リンパ球数はFGFC投与に関係なく照射後24時間で数%に減少し、照射後10日を経過するまで増加は認められなかった(図1)。この間、各種リンパ球画分の存在比率変化についてもFGFC投与の影響はなかった。その後、総リンパ球数の回復はFGFC投与群が速く、照射後20日では対照群と明らかな差を見せた(図1)。
FGFC非投与群については総リンパ球数の回復が遅いにもかかわらず、CD4+およびCD8+両方のT細胞についてナイーブ細胞の偏増殖がみられた。図2において線で囲んだ部分がナイーブT細胞画分である。CD8陽性T細胞のナイーブT細胞画分はFGFC投与によりが29.2%から10.4%に下がり(64%減)、CD4陽性T細胞におけるナイーブT細胞画分は、FGFC投与により13.1%から2.9%に下がった(78%減)。非特許文献3に記載されているように、これらのナイーブT細胞画分は上記(1−1)で述べた自己反応性T細胞が多く含まれている画分であり、FGFCの投与が自己反応性T細胞の偏増殖を抑制したと言える。
つまり、このことは、FGFCが「自己反応性T細胞」の偏増殖を抑制する偏増殖抑制剤として用いることができることを示している。
〔実施例2〕FGFCを投与したマウスから調製した非T非B細胞画分の放射線障害防護効果
33μg/mlの濃度で生理食塩水に溶解したFGFC(対象実験群は生理食塩水のみ)をマウス(BALB/cCRSLC, 8週齢、オス)に一匹当たり300μl投与し、24時間後に脾臓を取り出し、実施例1と同様にT細胞細胞懸濁液を得た(なお、実験は、16匹のFGFC投与群マウス及び同数の生理食塩水投与群マウスを用いて行った。)。
次いで、Miltenyi Biotec社MACS Pan T cell Isolation Kit IIを用いて、B細胞や樹状細胞など、T細胞以外の細胞を抗体標識し、磁気ビーズを用いて精製カラムに結合させた後、「T細胞画分」を素通り画分として分画した。一方「非T非B細胞画分」は、脾臓細胞を抗CD3-ビオチン化抗体(T細胞を特異認識、Miltenyi Biotec社製)と抗B220-ビオチン化抗体(B細胞を特異認識、Miltenyi Biotec社製)で標識後、アビジン磁気ビーズを用いた精製カラム(Miltenyi Biotec社製)でこれら標識画分を除去することで行った。
ここで得られる「非T非B細胞画分」には、主に、樹状細胞、NK細胞、マクロファージが含まれる。
得られたT細胞画分、非T非B細胞画分(それぞれ約100万個)をそれぞれ同系統のマウス16匹のそれぞれに尾静脈経由で移入し、24時間後、8Gyの強度でX線を全身照射した。その後のマウスの生存率を約1ヶ月にあたり観察したところ(図3)、FGFC投与したマウスから得た非T非B細胞画分を移入したマウスの生存率が有意に上昇することがわかった。今回の結果から、増殖因子であるFGFCがT細胞に直接働くだけでなく、むしろ非T非B細胞への作用を介した間接的効果が自己反応性T細胞の偏増殖を効率的に抑制することを示している。
[配列表フリーテキスト]
配列番号1:FGFC(intact N-term/41-78/83D)
配列番号2:FGFC(intact N-term/62-78/83D)
配列番号3:FGFC(MA/41-78/83D)
配列番号4:FGFC(MA/62-78/83D)
配列番号5:FGFC(M/41-78/83D)
配列番号6:FGFC(M/62-78/83D)
配列番号7:human FGF1
配列番号8:human FGF2 (Methionine-initiated translation product)

Claims (9)

  1. LIP(lymphopenia-induced-proliferation)により引き起こされる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制するための増殖抑制剤であって、FGFCを有効成分とする、自己反応性T細胞増殖抑制剤。
  2. LIPの原因が、放射線被ばくである、請求項1に記載の自己反応性T細胞増殖抑制剤。
  3. 前記FGFCが、配列番号1〜6に示されるいずれかのアミノ酸配列、又はそのアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ自己反応性T細胞の増殖抑制活性を保持したFGF1/FGF2キメラ蛋白質である、請求項1又は2に記載の増殖抑制剤。
  4. 前記増殖抑制剤が、放射線被ばく後に生体内で起こる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制するための有効成分として含まれる急性及び晩発性放射線障害性免疫系疾患のための予防用医薬組成物として用いられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の増殖抑制剤。
  5. FGFCを、放射線被ばく後に生体内で起こる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制するための有効成分として含むことを特徴とする、急性及び晩発性放射線障害性免疫系疾患のための予防用医薬組成物。
  6. 放射線被ばく後の生体内で起こる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制する方法であって、放射線被ばく前に又は被ばく後にFGFCを投与することを特徴とする、方法。
  7. 放射線被ばく後の生体内で起こる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制する方法であって、生体から取りだした、放射線被ばく後又は被ばく前のT細胞もしくは樹状細胞を含む免疫系細胞又は組織を、FGFC存在下で培養して、自己反応性T細胞増殖の抑制作用を付与した後に、もとの生体内に戻すことを特徴とする、方法。
  8. 放射線被ばく後の生体内で起こる自己反応性T細胞の偏増殖を抑制するための自己移植用免疫系細胞の製造方法であって、自己移植の対象となる生体から、放射線被ばく後又は被ばく前に取りだしたT細胞もしくは樹状細胞を含む免疫系細胞又は組織を、FGFC存在下で培養して、自己反応性T細胞増殖の抑制作用を付与する工程を含むことを特徴とする、製造方法。
  9. 自己移植の対象となる生体から、放射線被ばく後又は被ばく前に取りだしたT細胞もしくは樹状細胞を含む免疫系細胞又は組織を、FGFC存在下で培養することで得られる、自己反応性T細胞偏増殖の抑制作用を有する免疫系細胞を有効成分とする、急性及び晩発性放射線障害性免疫系疾患のための予防用医薬組成物。
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