JP2014008042A - 低胞子性アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillustubingensis)変異株、該変異株を用いた糖質分解酵素の製造方法及びバイオエタノールの製造方法 - Google Patents

低胞子性アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillustubingensis)変異株、該変異株を用いた糖質分解酵素の製造方法及びバイオエタノールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
β―グルコシダーゼ、β―キシロシダーゼなどの酵素活性が高く、胞子生産量の少ない菌株を提供し、その菌株を用いたバイオエタノールの製造方法を提供する
【解決手段】
(1)糖化酵素生産性を有し、低胞子性であるアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株。
(2)セルロース系および/またはリグノセルロース系バイオマスを基質とし、アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株の生産物でセルロース系および/またはリグノセルロース系バイオマスを糖化処理し、エタノール発酵菌でアルコール発酵させ、発酵生産物からエタノールを回収することを特徴とするバイオエタノールの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、低胞子性アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株、該変異株を用いた糖質分解酵素の製造方法及びバイオエタノールの製造方法に関するものである。
セルロース系および/またはリグノセルロース系バイオマスを糖質分解酵素で糖化し、エタノール発酵菌である酵母を用いてエタノールへと変換するバイオエタノールの製造においては、バイオマスを効率的に糖に分解することが必要である。効率的にバイオマスを糖化するには、糖質分解酵素は、セルロースを分解する酵素のほかに、ヘミセルラーゼ、具体的にはβ−グルコシダーゼ、β−キシロシダーゼなどの糖質分解酵素活性が重要な役割を果たす。
トリコデルマは優秀なセルロース分解菌であり、その優れたセルロース分解能力を高めるために変異株も多数作出されている(特許文献1)。しかしながらトリコデルマ・レーゼイに代表されるトリコデルマ属のセルラーゼ分解酵素系には、セロビオースを分解するセロビアーゼ(β−グルコシダーゼ)活性が不足しているという知見があり、トリコデルマ属に不足するこれらの酵素を補うためアスペルギルス由来の酵素が広く使用されている(非特許文献1)。トリコデルマ属よりも優れたセルロース及びリグノセルロース分解酵素を生産させる菌株を得るために、様々なセルラーゼ生産菌株が見出されているが、リグノセルロースを分解する能力としては不十分でおり、現在もセルラーゼ製剤の多くはトリコデルマ菌とアスペルギルス属から生産されている。
固体培養(静置培養)による酵素生産方法は、液体培養に比べて必要とされる培養施設が安価にすみ、農産廃棄物などの低コスト材料を培養資材として用いることが可能である。本来、糖質分解酵素を生産するカビ類は液体中で生存するものではないために、固体培養により、菌の持つ潜在的能力を発揮することが可能である。
アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)が培養によって生産する糖質分解酵素は、トリコデルマ酵素と相乗効果を示し(非特許文献2)、同時糖化発酵においてもエタノールの生産性を向上させる効果を示すが、固体培養において、トリコデルマに比べてアスペルギルスは培養途上で多量の胞子を生産する。カビの胞子は多量に吸い込むことでカビ過敏症やアレルギー反応を起こす症例があるため、β−グルコシダーゼ、β−キシロシダーゼなどの酵素活性が高く、胞子生産量の少ない菌株の育成が必要であった。
特開昭60−27384号公報
Biotechnol. Prog., 22, 493-498 (2006) 森林総合研究所研究報告11, 57-63 (2012)
本発明が解決しようとする課題は、β−グルコシダーゼ、β−キシロシダーゼなどの酵素活性が高く、胞子生産量の少ない菌株を提供し、その菌株を用いたバイオエタノールの製造方法を提供するものである。
本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1) 糖化酵素生産性を有し、低胞子性であるアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株。
(2) アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株がKRCF700-33Y株(受託番号:FERM P-22229)である(1)に記載のアスペルギルス・ツビゲンシス変異株。
(3) (1)または(2)に記載のアスペルギルス・ツビゲンシス変異株を培養することを特徴とする糖質分解酵素の製造方法。
(4) 固体培地で培養することを特徴とする(3)に記載の糖質分解酵素の製造方法。
(5) セルロース系および/またはリグノセルロース系バイオマスを基質とし、(1)または(2)に記載のアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株の生産物でセルロース系および/またはリグノセルロース系バイオマスを糖化処理し、エタノール発酵菌でアルコール発酵させ、発酵生産物からエタノールを回収することを特徴とするバイオエタノールの製造方法。
(6) 糖化処理とエタノール発酵を同時に行うことを特徴とする(5)に記載のバイオエタノールの製造方法。
本発明のアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株は、β−グルコシダーゼ、β−キシロシダーゼなどの酵素活性が高く、胞子生産量の少ない菌株であり、カビ過敏症やアレルギー反応を引きおこさずに効率的にバイオエタノールを製造することができる。
実施例2におけるβ−グルコシダーゼ活性(基質:セロビオース)を示すグラフ。 実施例2におけるβ−グルコシダーゼ活性(基質:p−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド)を示すグラフ。 実施例2におけるβ−キシロシダーゼ活性(基質:p−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシド)を示すグラフ。 実施例3におけるエタノール濃度とKRCF700-33Y株酵素の添加率の関係を示すグラフ。
本発明のアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株であるKRCF700-33Y(受託番号:FERM P-22229)はアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)KRCF700 (受託番号:NITE P-1375)を突然変異させることにより得られる変異株である。
変異処理方法としては、紫外線もしくは放射線による照射処理、化学物質(たとえば亜硝酸、塩基類縁化合物(5−ブロモウラシルおよび2−アミノプリンなど)、アルキル化剤(ニトロソグアニジンおよびエチルメタンサルホネートなど)、アクリジン色素類(アクリフラビンおよびプロフラジンなど)、発癌剤(4−ニトロキノリン−1−オキシド)、抗生物質(マイトマイシンCなど))による処理等を挙げることができる。
本発明のアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株は、以下のような菌学的性質を有する。
・KRCF700-33Y株の菌学的性質
ポテトデキストロース寒天培地上において黄色〜黄白色、ビロード状のコロニーが形成される様子が認められ、三浦培地上では白色〜黒褐色、ビロード状のコロニーが形成される。
ポテトデキストロース寒天培地上では胞子の形成を認めるのは困難であり、三浦培地で少数の形成を確認できる。栄養菌糸から直立した表面が平滑な柄の先端部が膨らみ、その周囲からメトレおよびフィアライドが形成される二列のアスペルジラムの形成が観察される。分生子はフィアロ型分生子で、球形〜亜球形、明褐色、1細胞、表面は平滑である。
KRCF700-33Y株のITS-5.8S リボゾームDNA配列は、親株であるKRCF700(アクセッション番号AB298712)と99%以上の相同性を示した。
また、本発明は、アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株を培養することを特徴とする糖質分解酵素の製造方法に関するものである。
本発明の糖質分解酵素を製造するための培養条件としては、従来カビの培養に利用されている公知の培地が使用可能であり、液体培養でも固体培養でも糖質分解酵素を生産させることができる。使用する培地は天然培地または合成培地いずれでもよい。炭素源及び窒素源を含む培地で培養することにより良好な糖質分解酵素の生産が可能であり、例えば炭素源としては、アビセルを含む粉末セルロース、セロビオース、ふすま、麦わら、稲わら、もみがら、おから、グルコース、スクロース、水飴、デキストリン、澱粉、グリセロール、糖蜜、米、麦、コーングリッツなどの穀類等、木粉、古紙を含む各種紙・パルプ、各種農産廃棄物、動植物油等を使用し得る。また、窒素源としては、米糠、大豆粉、小麦胚芽、コーン・スティープ・リカー、綿実粕、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素等を使用し得る。その他必要に応じてナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、コバルト、塩素、リン酸、硫酸及びその他のイオンを生成することができる無機塩類を添加することは有効である。
また、菌の発育を助け、糖質分解酵素を生産することができるような有機物及び無機物を適当に添加することができる。さらに、培地には必要に応じて菌の生育や糖質分解酵素の生産を促進するビタミン類等の微量栄養素、発育促進物質、前駆物質などを適当に添加してもよい。培養温度はカビ類の一般的な生育温度である24℃〜30℃前後であり、通気をよくした方が生育は良好である。
本発明方法により製造される糖質分解酵素とは、セルロース系バイオマスを含むリグノセルロース系バイオマスを糖化するために必要な酵素である。リグノセルロースには、植物細胞壁由来の多糖類であるセルロースとヘミセルロースが含まれている。セルロースを分解するのに必要とされる酵素がセルラーゼであり、セルロースをセロオリゴ糖、またはグルコースにまで分解する酵素群の総称であり、作用様式により、エキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカナーゼ及びβ−グルコシダーゼ、もしくはアビセラーゼ、セロビアーゼ、ろ紙分解酵素活性などと表現される。また、ヘミセルロースとは植物細胞壁を構成する多糖類のうち、セルロースとペクチンを除いたものであり、ヘミセルロースを分解する酵素の総称がヘミセルラーゼであり、キシラナーゼ、β−キシロシダーゼ、マンナナーゼ、β−マンノシダーゼ、ガラクタナーゼ、アラビナナーゼ、アラビノフラノシダーゼなどを挙げることができる。これらのヘミセルラーゼとセルラーゼは協調して働くことでリグノセルロース系バイオマスを効率的に分解することが可能である。
本菌は液体培養においても良好に糖質分解酵素を生産するが、固体培地において胞子生産能力が低いという利点を発揮する。本発明方法の固体培養に用いられる培地としては、糸状菌または一部の放線菌について用いられている小麦ふすまや農産廃棄物を用いた公知の酵素生産培地のほか、食用きのこの培養培地として通常用いられる培地を使用することが可能である。すなわち、おが粉、チップなどの培地基材に米ぬか、コーンコブなどを添加して水分量を調整し、ビン、袋、箱などの容器に詰めるか定形状態としたものを滅菌処理したもの等を挙げることができる。
深さのある培養容器を使用することもあるが、培地の厚さを薄くし、全体的に広がりをもった培地の方が菌類の生育上好ましい。
本発明において、固体培養培地に含まれる小麦ふすまおよびコーンコブの量は、それぞれ乾燥重量として40〜95%、5〜40%、好ましくは60〜70%、30〜40%であり、粉末セルロースもしくはパルプなどの炭素源を5〜10%添加する。窒素源として培地資材の乾燥重量100gあたり1〜5%の硫酸アンモニウムを添加することで、酵素の生産量を上げることができる。培地の種類によって異なるが、通常26〜33℃、3日から10日ほど培養を行う。
以上のようにして得られた培養培地に水またはバッファーを加え、破砕し、遠心分離または濾過のような公知の手法によって培地成分及び菌体を除去した上清液を得ることができる。この上清液は粗酵素液として使用可能であるが、培地や菌体を含んだままの破砕液そのままを粗酵素液としてリグノセルロースの分解に利用することができ、酵素糖化反応を利用したバイオエタノールの生産システムに添加する酵素源として使用することも可能である。
さらにまた、本発明は、アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株を用いたバイオエタノールの製造方法に関するものである。
本発明のバイオエタノールの製造方法において基質となるセルロース系および/またはリグノセルロース系バイオマスとは、木本植物、草本植物、それらの加工物およびそれらの廃棄物からなる群より選ばれるものであり、効率的に反応を進めるためには脱リグニン処理を行った方が好ましい。木本植物の例としては、スギ、ヒノキ、カラマツ、ポプラ、シラカバ、ヤナギ、ユーカリ、タケ、ササ、アブラヤシ、サゴヤシなどを例示することができる。また、樹皮、枝条、果房、果実殻等も使用することができる。また、これらを使った合板、繊維板、集成材のような加工材、建築解体材も使用可能である。さらに、古紙を含む紙や紙の加工物も使用可能である。草本植物とは、イネ、麦、サトウキビ、ススキ、トウモロコシなどを挙げることができ、稲わら、麦わら、もみ殻などの副産物も含まれる。また、菌床栽培により発生する廃菌床等を挙げることができる。
本発明のバイオエタノールは、糖化反応とエタノール発酵を同時に行う同時糖化発酵の方が効率が高いが、糖化反応を先に実施し、その糖化液を発酵させる方式でもよい。同時糖化発酵では同一の反応容器において糖化反応と発酵反応を行うため、製造コストを削減することができるので有利であるが、糖化反応と発酵を別々の反応器で行う方式でもバイオエタノールを製造可能である。効率的に撹拌を行える容器を使用することで反応効率を上昇させることができる。
エタノール発酵菌、具体的にはサッカロマイセス属、ザイモモナス属、ピキア属などを例として利用することが可能である。また、遺伝子組み換えされたものもエタノール発酵が可能であれば使用可能である。これらのエタノール発酵菌はエタノール発酵反応前に適切な液体培地で前培養し、菌体量を増加させておくことが望ましい。
反応に用いる酵素の種類は、アスペルギルス・ツビゲンシスの生産する酵素のみではセルロース分解力が弱いため、ろ紙分解活性の高い酵素との併用が望ましい。ろ紙分解活性の高い酵素源は、市販品であっても菌を培養した培養液やそれらの部分精製品でもよく、リグノセルロース1gあたり1-50FPU(Filter Paper Unit、ろ紙分解活性)を加える。アスペルギルス・ツビゲンシスの酵素と、これらのろ紙分解活性の高い酵素を併用することで、効率的なリグノセルロース分解酵素液を得ることができ、同時糖化発酵においては、リグノセルロースと混合酵素、酵母を合わせて反応液のpHを5前後に調整し、酵母の至適温度である33℃から44℃にて撹拌反応を行うことによりバイオエタノールを
製造することができる。
製造例1
セルラーゼ生産能を有し、かつ各種ヘミセルラーゼ活性に優れているものの胞子生産量の多いアスペルギルス・ツビゲンシスKRCF700(受託番号:NITE P-1375)を用い、ポテトデキストロース寒天培地上で28℃、2週間培養し、胞子を十分形成させ、胞子懸濁液を調製した。この胞子懸濁液を紫外線光源の下に静置し、一定時間経過ごとに懸濁液の一部を取り出して適宜希釈し、ポテトデキストロース寒天培地に塗布して数日間培養し、生育してきたコロニーを釣菌して色素の結合したセルロースであるAZCL-HE-celluloseを含む寒天培地に塗布し、セルラーゼを生産しており、かつ胞子生産量の低い菌を選択した。このようにして選択された菌を10%米ぬかを含む小麦ふすまからなる固体培地に種菌し、3日間培養した後、バッファーを加えて破砕することで粗酵素液を製造し、その粗酵素液に含まれるβ−グルコシダーゼ、β−キシロシダーゼ活性を測定した。β−グルコシダーゼ、β−キシロシダーゼの活性測定にはp−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド、p−ニトロフェニル−β−D−キシロピラノシドをそれぞれ酵素反応の基質として用い、生成したp−ニトロフェノールの量を比色定量することで活性の測定を行った。胞子生産量が少なく、上記酵素活性の高い菌株としてKRCF700-33Y (受託番号:FERM P-22229)が得られた。
実施例1
100 ml容の三角フラスコに、培地の含水率を70%、含水状態での培地重量を1本当たり10 gとして培地を作製した。組成は5%スギパルプ、33%コーンコブ、62%小麦ふすまとし、培地乾燥重量の2.5%にあたる量の硫安を添加した。シリコン栓をしてオートクレーブにて20分間滅菌処理を行った。PDAプレート上で約10日間生育させたアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)KRCF700-33Y株を培地ごと直径9 mmのコルクボーラーで打ち抜き、滅菌水1 mlを添加して、粉砕用ビーズを入れた容器内で破砕処理を行い、破砕液を培地に均一に散じて植菌した。アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)KRCF700-33Y株はPDAプレート上10日間の培養ではほとんど胞子を生産せず、アスペルギルス・ニガー(A. niger)NBRC31125, アスペルギルス・アクレアタス(A. aculeatus)JCM22414は胞子ごと破砕処理を行い、植菌した。28℃、湿度60%のチャンバー内で6日間、静置培養を行った結果、KRCF700-33Y株は固体培地表面上に胞子をほとんど産生しなかった。一方、NBRC 31125及びJCM 22414はPDAプレートでの培養時と同様に固体培地表面に多量の黒色胞子を産生した。
胞子量の測定結果を表1に示す。
Figure 2014008042
実施例2
培養を終了した100 ml容の三角フラスコに、1本当たり15 mlの20 mMクエン酸バッファー(pH 5.0)を加え、ハンディーホモジナイザーで破砕処理を行った。破砕液を遠心処理し、得られた上清の酵素活性を測定し、図1〜図3に結果を示した。β−グルコシダーゼ活性はセロビオース(図1)及びパラニトロフェニル-β−D-グルコピラノシド(pNP-Glcp)を基質とし(図2)、β−キシロシダーゼ活性はパラニトロフェニル-β−D-キシロピラノシド(pNP-Xylp)を基質とした(図3)。遊離した還元糖量はDNS法で定量し、遊離したパラニトロフェノール量は408 nmで定量して酵素活性を測定した。図1〜図3に示した結果から明らかなとおり、KRCF700-33Y株はセロビオース、pNP-Glcpのどちらを基質としても、最も高いβ−グルコシダーゼ活性を示し、β−キシロシダーゼ活性はNBRC31125と比肩するものであった。
実施例3
同時糖化発酵によるエタノール生産試験は、19 ml容のスクリュー瓶で行い、タケパルプ(15wt%)、オンサイト生産による酵素破砕液、酵母、バッファー (終濃度25mM クエン酸ナトリウム, pH 4.8) を混合した後、チューブ付きのシリコン栓を取り付け、トラップを設けてスターラーによる攪拌下、4日間の反応を行った。酵素破砕液は、乾燥パルプ1gあたり、破砕液0.8 gを添加した。反応終了後、遠心処理によって不要物を取り除いてからバイオセンサBF-5D (王子計測) によって溶液中のエタノール及びグルコース濃度を求めた。タケパルプは、反応前の混合物に流動性は見受けられず、4日間の同時糖化発酵の反応初期にはほとんど攪拌子で攪拌することはできなかった。しかし、糖化酵素による反応が進むにつれて液化し、攪拌が可能となったが、KRCF700-33Y酵素を添加しなかった場合では4日間の反応終了後もパルプの均一な液化は確認できず、エタノール変換効率は低かった。図4に結果を示す。図4の結果から明らかなように、KRCF700-33Y酵素の添加割合が15-20%で最も効果的な変換による高いエタノール濃度が得られた。
本発明のアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株は、低胞子性であり、しかも糖化酵素活性が高い。従って、バイオエタノールの生産に極めて有用な発明である。

Claims (6)

  1. 糖化酵素生産性を有し、低胞子性であるアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株。
  2. アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株がKRCF700-33Y株(受託番号:FERM P-22229)である請求項1に記載のアスペルギルス・ツビゲンシス変異株。
  3. 請求項1または請求項2に記載のアスペルギルス・ツビゲンシス変異株を培養することを特徴とする糖質分解酵素の製造方法。
  4. 固体培地で培養することを特徴とする請求項3に記載の糖質分解酵素の製造方法。
  5. セルロース系および/またはリグノセルロース系バイオマスを基質とし、請求項1または請求項2に記載のアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubingensis)変異株の生産物でセルロース系および/またはリグノセルロース系バイオマスを糖化処理し、エタノール発酵菌でアルコール発酵させ、発酵生産物からエタノールを回収することを特徴とするバイオエタノールの製造方法。
  6. 糖化処理とエタノール発酵を同時に行うことを特徴とする請求項5に記載のバイオエタノールの製造方法。
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