JP2013543652A - 改善された熱電性能指数を有するレアアースでドープされた材料 - Google Patents
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Abstract
熱電材料、およびこの材料を使用する熱電変換器を提供する。熱電材料は、半導体材料を含む第1成分と、第1成分に含まれるレアアース材料を含む第2成分と、を有し、故に、半導体材料の性能指数に対して、半導体材料とレアアース材料との複合材料の性能指数を増加させる。熱電変換器は、p型熱電材料およびn型熱電材料を有する。p型熱電材料およびn型熱電材料の少なくとも1つは、p型熱電材料またはn型熱電材料の少なくとも1つにおいてレアアース材料を含む。
Description
本発明は、エネルギー省から授与した契約AL−WFO2008−04で行われた。本発明は、DARPAを代表する陸軍(the Army)から授与した契約W911NF−08−C−0058で行われた。政府が本発明の一定の権利を有する。
本出願は、2010年9月16日に出願された“CEおよびYBでドープされた、改善された熱電性能指数を有するTAGS−85材料(CE− AND YB−DOPED TAGS−85 MATERIALS WITH ENHANCED THERMOELECTRIC FIGURE OF MERIT)”と題する米国特許出願第61/344,700号の関連出願であり、米国特許法第119条の下でこの出願に基づく優先権を主張し、その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、熱電材料およびこれらの材料の性能指数の改善に関する。より具体的には、それは、中温(200−500℃)発電のためのp型極性材料に関する。
熱電(TE)材料は、ここ10年間に研究された最も有力(compelling)かつ魅力的な材料に含まれる。熱電性能の改善は、所与のシステムで最適パラメータが如何に達成され得るかのさらなる理解を必要とする。TE材料の2つの有望なグループは、GeTeおよびPbTeの狭帯域半導体に基づく。GeTeは、Geサイトにおける空隙によって導電性が決定されるp型半導体である。これらの空隙は、空隙ごとに2つの穴が発生することにより電気的特性に影響を及ぼすだけでなく、格子熱伝導率の低下を伴うフォノン散乱にも寄与する。このことは、GeTeを、様々な元素でのドーピングが熱電特性に関与する多数のメカニズムに大幅な影響を及ぼすことができる独特のマトリクスにする。
AgおよびSbでのGeTeのドーピングは、(GeTe)y{AgSbTe2)1−yと典型的に記されるシステムを生成し、それに対しては、頭文字「TAGS」が通常使用される。y=85%に関し、その材料はTAGS−85と呼ばれ、Ag6.52Sb6.52Ge36.96Te50.00の組成式によって記載され得る。TAGS−85は数多くの重要な用途に使用されているが、キャリア濃度および格子熱伝導率のGe空隙の存在への強い依存度により、かつ、それがp型熱電の最も高いZT値の1つを有することにより、それは注目を集め続けている。数多くの研究により、AgとSbとの比率を変化する効果が検討されたが、これらはZTの実質的改善をもたらさらなかった。ゼーベック係数および電気伝導率のキャリア濃度への共依存により、一方の増加は通常、他方の減少をもたらす。これらの輸送パラメータを分離する方法の1つは、PbTeへのTlの添加により近年実証されたように、フェルミレベル付近の状態密度を増加させることである。
レアアース原子でのドーピングは原則として、(i)フェルミレベル付近の改善された電子状態、(ii)追加的なキャリア散乱をもたらす局所欠陥、および/または(iii)局在磁気モーメントによる追加的なキャリア散乱、を形成することによって、3つのメカニズムによる熱電材料の輸送特性に影響を及ぼすことができる。Ce、EuおよびYbレアアース元素は、フェルミレベル付近に共鳴電子状態を形成することができ、電子輸送特性、特に熱電能に強く影響を及ぼすことができる。このことは、例えばCeAl3、YbAl2およびYbAl3などの二元化合物、並びに、例えばRM2X2(ここで、R=Ce、Eu、Vb、M=Mo、Fe、Co、Ni、Cu、およびX=Si、Geである)などの三元化合物で観察されてきた。3dおよび4f−原子でのGeTeのドーピングは、例えばGe1−xMnxTeなどの希釈磁性半導体(DMS)を形成する。
これらの材料の背景の説明は、以下の参考文献のリストで見つけることができ、各参考文献の全体の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
L.E.Bell,サイエンス(Science)2008,321,1457−1461
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G.J.Snyder,E.S.Toberer,ネイチャーマテリアルズ(Nat.Mater.)2008,7,105−114
D.H.Damon,M.S.Lubeli,R.M.Mazelsky,ジャーナル・オブ・フィジックス・アンド・ケミストリー・オブ・ソリッド(J.Phys.Chem.Solids)1967,28,520−522
B.A.Cook,M.J.Kramer,X.Wei,J.L.Harringa,E.M.Levin,ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(J.Appl.Phys.)2007,101,053715−1 − 053715−6
S.H.Yang,T.J.Zhu,S.N.Zhang,J.J.Shen,X.B.Zhao,ジャーナル・オブ・エレクトロニック・マテリアルズ(J.Electron.Mater.)2010,39,2127−2131
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J.P.Heremans,V.Jovovic,E.S.Toberer,A.Saramat,K.Kurosaki,A.Charoenphakdee,S.Yamanaka,G.J.Snyder,サイエンス(Science)2008,321,554−557
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E.M.Levin,B.S.Kuzhel,O.I.Bodak,B.D.Belan,アイ・エヌ・ステット・フィジッカ・ステータス・ソリジ(I. N. Stets. Physica Status Solidi)(b)1990,161,783−795
E.M.Levin,A.V.Pustovit,V.G.Sinushko,O.I.Bodak,アイ・エヌ・ステット・ソビエト・フィジックス・ソリッド・ステート(I. N. Stets, Sov. Phys. Solid State)1992,34(3),454−458
Y.Fukuma,H.Asada,J.Miyashita,N.Nishimura,T.Koyanagi,ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(J.Appl.Phys.)2003,93,7667−7669
E.M.Levin,X.W.Fang,S.L.Bud’ko,W.E.Straszheim,K.Schmidt−Rohr,フィジカル・レビュー(Phys.Rev.)B 2008,77,054418
本発明の一実施形態では、半導体材料を含む第1成分と、第1成分に含まれるレアアース材料を含む第2成分と、を有する熱電材料が提供され、故に、半導体材料の性能指数に対して、半導体材料とレアアース材料との複合材料の性能指数を増加させる。
本発明の一実施形態では、p型熱電材料およびn型熱電材料を有する熱電変換器が提供される。p型熱電材料およびn型熱電材料の少なくとも1つは、p型熱電材料またはn型熱電材料の少なくとも1つにおいてレアアース材料を含む。
前述の本発明の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は例示であるが、本発明を制限しないことが理解されよう。
本発明のより完全な応用およびその多くの付随する利点は、添付の図面に関連して検討されるときに、以下の詳細な説明を参照することによって容易に得られ、同時により良好に理解されるだろう。
GeTeまたはPbTeに基づくナローギャップ半導体の熱電および関連する特性に対する磁性原子でのドーピング効果を理解するために、低磁化材料の磁化率および核磁気共鳴の測定などの追加的な方法を採用する必要があることが判明した。本願では、レアアース元素でのTAGS−85のドーピング効果は、磁化率、Te NMRスペクトル、ゼーベック係数、並びに電気および熱伝導率に示される。レアアース族は、周期表における15元素、プラス、スカンジウムおよびイットリウムで構成される。レアアース元素の化学的性質は、最外部の4dおよび5p殻によって遮蔽されるそれらの4f電子によって大部分は決定されるため、本発明で説明される概念はすべてのレアアース元素に適用される。TAGS−85へのCeおよびYbのサブセットの追加が、特定の実施例として説明される。TAGS−85+1%レアアース材料の力率および性能指数の改善が以下で説明される。
<結果および考察>
X線回折、密度および比熱結果が、以下に記載される。本研究で使用されるサンプルの初期組成は、Ag6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Ce1.00(以下、TAGS−85+1%Ce)およびAg6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Yb1.00(TAGS−85+1%Yb)であった(以下の実験セクションを参照)。図1は、3つのサンプル:TAGS−85+1%Ce、TAGS−85+1%Yb、および比較のための純TAGS−85、の回折パターンを示す。より具体的には、図1は、300KでのTAGS−85、TAGS−85+1%CeおよびTAGS−85+1%YbのX線回折パターンであり、3つ全てのサンプルに対する(220)ピーク付近の拡大図を示す差し込み図を有する。固化したTAGS−85+1%YbおよびTAGS−85+1%Ceで得られたX線回折パターンは、菱面体晶R3m多形体(空間群160)に対する指標とされ、それは、GeTeの高温立方構造からわずかに歪んでいる。レアアース原子は、GeTeマトリクスの構造は変化させなかったが、回折パターンにおけるマイナーラインの存在は、レアアース含有沈殿物の第二相に関連し得る。TAGS−85+1%Ceにおける28.10°および34.36°での小さな追加的なピークはCeTe2およびCeTeに起因することがあり、TAGS−85+1%Ybにおける27.96°および40.02°での小さな追加的なピークはYbTeに起因することがある。GeTeベースのTAGS材料は、350Kから510Kの温度範囲にわたって、低温菱面体晶R3mから高温立体構造への二次の多形転移を示すことができ、それは、(220)二重項に対する高温XRDによって説明された。
X線回折、密度および比熱結果が、以下に記載される。本研究で使用されるサンプルの初期組成は、Ag6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Ce1.00(以下、TAGS−85+1%Ce)およびAg6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Yb1.00(TAGS−85+1%Yb)であった(以下の実験セクションを参照)。図1は、3つのサンプル:TAGS−85+1%Ce、TAGS−85+1%Yb、および比較のための純TAGS−85、の回折パターンを示す。より具体的には、図1は、300KでのTAGS−85、TAGS−85+1%CeおよびTAGS−85+1%YbのX線回折パターンであり、3つ全てのサンプルに対する(220)ピーク付近の拡大図を示す差し込み図を有する。固化したTAGS−85+1%YbおよびTAGS−85+1%Ceで得られたX線回折パターンは、菱面体晶R3m多形体(空間群160)に対する指標とされ、それは、GeTeの高温立方構造からわずかに歪んでいる。レアアース原子は、GeTeマトリクスの構造は変化させなかったが、回折パターンにおけるマイナーラインの存在は、レアアース含有沈殿物の第二相に関連し得る。TAGS−85+1%Ceにおける28.10°および34.36°での小さな追加的なピークはCeTe2およびCeTeに起因することがあり、TAGS−85+1%Ybにおける27.96°および40.02°での小さな追加的なピークはYbTeに起因することがある。GeTeベースのTAGS材料は、350Kから510Kの温度範囲にわたって、低温菱面体晶R3mから高温立体構造への二次の多形転移を示すことができ、それは、(220)二重項に対する高温XRDによって説明された。
図1における差し込み図は、3つ全てのサンプルに対する(220)反射の拡大図を示す:この反射の分裂は、[111]方向に沿った単一セルの伸長、つまり菱面体晶の歪みによる。初めに、TAGS−85+1%CeおよびTAGS−85+1%Ybに対する両ピークが純TAGS−85のそれらと比較して〜0.3°から小さな角度でシフトされるが、それはレアアース原子が格子内に組み込まれることを示すことに留意すべきである。次に、TAGS−85+1%CeおよびTAGS−85+1%Ybサンプルにおける(220)反射の分裂は、300Kで純TAGS−85に対して観察されたものより小さい。純TAGS−85に対する分裂は、菱面体晶から立方晶への漸次的な転換により、温度の上昇とともに減少する。このことは、CeまたはYbでのドーピングがTAGS−85の立方晶形態の安定性を高めることを示唆する。
TAGS−85+1%CeおよびTAGS−85+1%Ybの密度は、純TAGS−85の密度よりわずかに大きい(表参照)。これは2つの理由によることがある:(i)CeおよびYbはサンプルにおいて、他の元素よりも大きい原子質量を有すること、および(ii)ドープされたサンプルが純TAGS−85より少ない微小クラックを含むこと、である。ドープされた材料の比熱は、純TAGS−85の比熱と類似している(表参照)。
[磁化]
図2は、1at.%YbでドープされたTAGS−85に対する、(a)磁化vs.磁場、および(b)M/H比vs.温度、のプロットを示す。磁場50kOeで測定されたとき、サンプルは300Kにおいて、負の(反磁性の)質量磁化(mass magnetization)Mexp=−5.92×10−3emu・g−1を示す。より具体的には、図2aおよび2bはそれぞれ、TAGS−85+1%Ybの、(a)1.8および300Kで測定された磁化Mexp、および(b)測定された(M/H)exp比および計算された常磁性寄与(M/H)parの温度依存性を示し、(a)における差し込み図は、300Kでの、測定された磁化Mexp並びに計算された常磁性Mparおよび反磁性Mdia寄与を示し;(b)における差し込み図は、計算された(H/M)par比vs.温度を示す。
図2は、1at.%YbでドープされたTAGS−85に対する、(a)磁化vs.磁場、および(b)M/H比vs.温度、のプロットを示す。磁場50kOeで測定されたとき、サンプルは300Kにおいて、負の(反磁性の)質量磁化(mass magnetization)Mexp=−5.92×10−3emu・g−1を示す。より具体的には、図2aおよび2bはそれぞれ、TAGS−85+1%Ybの、(a)1.8および300Kで測定された磁化Mexp、および(b)測定された(M/H)exp比および計算された常磁性寄与(M/H)parの温度依存性を示し、(a)における差し込み図は、300Kでの、測定された磁化Mexp並びに計算された常磁性Mparおよび反磁性Mdia寄与を示し;(b)における差し込み図は、計算された(H/M)par比vs.温度を示す。
しかしながら、1.85Kでは、磁化は、ブリルアン関数によって記載され得る飽和した挙動を示す。比(M/H)exp=χexp(ここで、MはTAGS−85+1%Ybの測定された質量磁化であり、Hは磁場であり、χexpは質量磁化率である)の温度依存性は、C/T挙動に従い、ここでCはキュリー定数である。120Kでは、全磁化は、大部分が常磁性の状態から大部分が反磁性の状態への転換を示す。それ故に、TAGS−85の全磁化は、2つの寄与:(i)PbTe:(Ag,Sb)マトリクスからの反磁性、および(ii)Yb原子からの常磁性、を含み、つまりχexp=χdia+χparであり、ここでχdiaおよびχparはそれぞれ、質量反磁性(負の)磁化率および常磁性(正の)磁化率である。
反磁性磁化率は、温度の低下とともに常磁性磁化率が増加し、以下の式(1)のように表現され得る間は、温度に依存しない。
式(1)で、以下の式(1a)はモル磁化率であり、mmolは物質の式単位のモル質量であり、Nはアボガドロ数であり、kはボルツマン定数であり、peffは有効モル磁気モーメントである。本研究での最も低い温度、つまり1.85Kでは、χpar>>χdiaである。1.85Kで得られたデータを使用し、キュリー定数C=χpar(1.85K)/T=4.59×10−6K・emu・g−1・Oe−1を決定することができる。任意の温度、例えば300Kに対するχpar=C/Tを計算することができ、χpar=0.15×10−7emu・g−1・Oe−1である。この値およびχexp=−1.07×10−7emu・g−1・Oe−1を使用して、χdia=−1.22×10−7Kemu・g−1・Oe−1を得ることができ、それは磁化測定に良好に合致する。図2aにおける差し込み図は、実験的な磁化Mexp、またχparおよびχdiaM=χHから計算された常磁性Mparおよび反磁性Mdia寄与を示す。図2bにおける差し込み図は、逆数(H/M)par=1/χpar比を示し、それはキュリーの法則に適合し、TAGS−85におけるYbイオンが相互作用しない局在磁気モーメントのシステムを形成することを示す。Ybでドープされたサンプルの化学式は、Ag6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00/Yb1.00と記すことができ、モル質量mmol=212.12gを有する。式(2)を用いて計算されたYb原子あたりの有効磁気モーメントは0.88μBであり、それは、Yb3+に対する原子価4.50μBより小さい。(以下の考察参照)。
図3は、1at%CeでドープされたTAGS−85に対する、(a)磁化vs.磁場、および(b)M/H比vs.温度、の依存性を示す。より具体的には、図3aおよび3bはそれぞれ、TAGS−85+1%Ceの、(a)1.8および300Kで測定された磁化Mexp、および(b)測定された(M/H)exp比率および計算された常磁性寄与(M/H)parの温度依存性を示し、(a)における差し込み図は、300Kでの測定された磁化Mexp、並びに計算された常磁性Mpar寄与を示し、(b)における差し込み図は、計算された(H/M)par比vs.温度を示す。一般的に、依存性は、TAGS−85+1%Ybに対して観察されたものと類似である;違いは、キュリー定数および常磁性寄与の大きさが大きいこと、つまりC=χpar(1.85K)/T=8.62×10−6Kemu・g−1・Oe−1であり、300Kでχpar0.29×10−7emu・g−1・Oe−1であることである。300Kでのχexp=−0.81×10−7emu・g−1・Oe−1を使用して、反磁性寄与χdia=−1.1×10−7emu・g−1・Oe−1を決定することができるが、それはTAGS−85+1%Ybに対して得られたものと非常に近い。それ故に、300Kでは、ドープされた両サンプルは、その大きさがマトリクスの反磁性磁化率よりもさらに小さい、小さな常磁性寄与を有する。TAGS−85+1%Ceの化学式はAg6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Ce1.00と記すことができ、モル質量mmol=211.47gを有する。式(2)を用いて計算されたCe原子ごとの有効磁気モーメントは1.21μBであり、それは、Ce3+に対する原子価2.54μBより小さい(以下の考察参照)。
[125Te NMRスペクトルおよび緩和測定]
図4は、純TAGS−85、並びに1%Ceおよび1%YbでドープされたTAGS−85の125Te NMRスペクトル[図4a]および125Te NMRスピン格子緩和を反映する飽和回復[図4b]を示す。より具体的には、図4aおよび4bはそれぞれ、純TAGS−85、並びにTAGS−85+1%CeおよびTAGS−85+1%Ybの125Teマジック角スピニングNMRスペクトル(スピニング周波数:22kHz、リサイクルディレイ:50ms)、および(b)スピン格子緩和を示す、同一サンプルの正規化積分vs.ディレイ時間、を示す。TAGS−85は、SbおよびAgドーパントなどの材料における様々なタイプの不規則性、Ge副格子における空隙、およびナイトシフトの分配により、幅広いNMRスペクトルを示す。常磁性ドーパントによって作られる磁場は、NMR信号の可観測性を障害することがあるが、現在の材料では、125Te NMR信号はYbおよびCeのドーピング後も可観測性の状態でとどまる。ライン幅のわずかな増加が、ドープされたサンプルに対して観察され、それは常磁性の広がりに寄与することができる。縦(T1)および横(T2)の125Te NMR緩和時間を測定することができ、それらがT1〜4msおよびT2〜0.4msで本質的に変化せずにとどまっていることが分かる[図4b]。マジック角スピニング下の再結合を使用する、方向依存性の相互作用による見掛けの緩和時間T2 *の測定(化学シフト異方性など)はまた、顕著な変化を示さない。
図4は、純TAGS−85、並びに1%Ceおよび1%YbでドープされたTAGS−85の125Te NMRスペクトル[図4a]および125Te NMRスピン格子緩和を反映する飽和回復[図4b]を示す。より具体的には、図4aおよび4bはそれぞれ、純TAGS−85、並びにTAGS−85+1%CeおよびTAGS−85+1%Ybの125Teマジック角スピニングNMRスペクトル(スピニング周波数:22kHz、リサイクルディレイ:50ms)、および(b)スピン格子緩和を示す、同一サンプルの正規化積分vs.ディレイ時間、を示す。TAGS−85は、SbおよびAgドーパントなどの材料における様々なタイプの不規則性、Ge副格子における空隙、およびナイトシフトの分配により、幅広いNMRスペクトルを示す。常磁性ドーパントによって作られる磁場は、NMR信号の可観測性を障害することがあるが、現在の材料では、125Te NMR信号はYbおよびCeのドーピング後も可観測性の状態でとどまる。ライン幅のわずかな増加が、ドープされたサンプルに対して観察され、それは常磁性の広がりに寄与することができる。縦(T1)および横(T2)の125Te NMR緩和時間を測定することができ、それらがT1〜4msおよびT2〜0.4msで本質的に変化せずにとどまっていることが分かる[図4b]。マジック角スピニング下の再結合を使用する、方向依存性の相互作用による見掛けの緩和時間T2 *の測定(化学シフト異方性など)はまた、顕著な変化を示さない。
[熱電能、電気および熱伝導率]
純TAGS−85および1at%のCeまたはYbでドープされたTAGS−85の2つのサンプルに対するゼーベック係数S、電気伝導率σおよび熱伝導率κの温度依存性が、図5aおよび5bに示される。より具体的には、図5aおよび5bはそれぞれ、TAGS−85、TAGS−85+1%YbおよびTAGS−85+1%Ceの、(a)電気伝導率およびゼーベック係数、(b)熱伝導率および力率S2σ、の温度依存性を示す。輸送測定が、観察可能な微小クラックを有しないサンプルで行われた。電気伝導率は1at%のCeまたはYbを含むサンプルにおいて本質的に変化せずにとどまり、一方、ゼーベック係数は300Kで〜13%、700Kで〜16%増加することが見られる[図5a]。ゼーベック係数の増加は、異なる装置を使用して行われる測定によって確認された。温度サイクルによる可能なヒステリシスを見積もるために、加熱および冷却における両材料の熱電測定を行うことができる。ゼーベック係数に関し、最も大きなヒステリシス(〜6%)は、純TAGS−85およびドープされたサンプルに対して525Kで観察された。しかしながら、測定の各サイクルにおける終端温度、〜300Kおよび750Kにおける熱電能値は、全てのサンプルに対して非常に類似しており、つまり、ゼーベック係数は熱サイクルにおいて変化しない。ドープされたサンプルの電気抵抗はまた、熱ヒステリシスを示すが、熱サイクル後の終端温度での値は再び類似している。
純TAGS−85および1at%のCeまたはYbでドープされたTAGS−85の2つのサンプルに対するゼーベック係数S、電気伝導率σおよび熱伝導率κの温度依存性が、図5aおよび5bに示される。より具体的には、図5aおよび5bはそれぞれ、TAGS−85、TAGS−85+1%YbおよびTAGS−85+1%Ceの、(a)電気伝導率およびゼーベック係数、(b)熱伝導率および力率S2σ、の温度依存性を示す。輸送測定が、観察可能な微小クラックを有しないサンプルで行われた。電気伝導率は1at%のCeまたはYbを含むサンプルにおいて本質的に変化せずにとどまり、一方、ゼーベック係数は300Kで〜13%、700Kで〜16%増加することが見られる[図5a]。ゼーベック係数の増加は、異なる装置を使用して行われる測定によって確認された。温度サイクルによる可能なヒステリシスを見積もるために、加熱および冷却における両材料の熱電測定を行うことができる。ゼーベック係数に関し、最も大きなヒステリシス(〜6%)は、純TAGS−85およびドープされたサンプルに対して525Kで観察された。しかしながら、測定の各サイクルにおける終端温度、〜300Kおよび750Kにおける熱電能値は、全てのサンプルに対して非常に類似しており、つまり、ゼーベック係数は熱サイクルにおいて変化しない。ドープされたサンプルの電気抵抗はまた、熱ヒステリシスを示すが、熱サイクル後の終端温度での値は再び類似している。
[考察]
CeまたはYbでドープされたTAGS−85に対して観察された1つの効果は、700Kにおけるゼーベック係数の16%の増加であり、それは30%高い電気的力率S2σを結果としてもたらす[図5b参照]。700Kでの純TAGS−85が27μW・cm−1・K−2の最大力率に到達する一方、レアアース含有サンプルは、36μW・cm−1・K−2の最大力率を達成する。CeまたはYbでのTAGS−85のドーピングは同様に、力率に影響を与えることに留意すべきである。
CeまたはYbでドープされたTAGS−85に対して観察された1つの効果は、700Kにおけるゼーベック係数の16%の増加であり、それは30%高い電気的力率S2σを結果としてもたらす[図5b参照]。700Kでの純TAGS−85が27μW・cm−1・K−2の最大力率に到達する一方、レアアース含有サンプルは、36μW・cm−1・K−2の最大力率を達成する。CeまたはYbでのTAGS−85のドーピングは同様に、力率に影響を与えることに留意すべきである。
TAGS−85を含むGeTeベースの材料では、Ge副格子における各空隙は、価電子帯に2つの穴を生じさせる。ホール効果測定は、TAGS−85が300Kで〜1021cm−3の穴濃度を有する縮退した半導体(degenerate semiconductor)となることを示した。CeまたはYbでのTAGS−85のドーピングは明確に、半導体の磁性状態を変化させる。TAGS−85+1%CeおよびTAGS−85+1%Ybに対して観察されたキュリータイプの常磁性(図2および3参照)は、ランタニドが材料にわたって拡散され、局在磁気モーメントを運ぶことを示す。
様々な環境におけるCeの局在磁気モーメントの形成は複雑な問題である。セリウムは、Ce3+状態(4f1)で磁気モーメントを運ぶことができ、一方、それはCe4+状態(4f0)で非磁性である。同様に、イットリウムはYb2+状態(4f14)で非磁性であり、Yb3+状態(4f13)で磁気モーメントを運ぶ。それ故に、TAGS−85におけるCeおよびYbの磁気モーメントは、4f−電子に関連するが、磁化率から計算された値は、Ce3+およびYb3+に対して予期されたものより小さい。この低下には、2つの可能な説明がある:(i)CeおよびYbがマトリクスにおいて、非常に小さい二相クラスターを形成すること(純CeまたはYb金属、あるいはそれらのテルル化物)、あるいは(ii)周りの原子とのCeおよびYbの結合により、それらの4f−電子の局在化が低下すること、である。IV−V1半導体は、ランタニドでドープされ得、マトリクスにおけるそれらの存在はEPRによって観察された。3dおよび4f−元素でのPbTeおよびGeTe半導体のドーピング効果は、幾つかの公表文献に記載されている。それは、Mのx/2の濃度が1から4at%である単結晶Pb1−xMxTe固溶体に対して、MnまたはGdが交換相互作用および磁化率に影響を及ぼすことを示している。同様の効果が、M=3d−元素を有するGe1−xMxTe材料で観察される。
材料においてYb3+(磁性)およびYb2+(非磁性)状態の両方が同時に存在し得るPb1−x−yGexYbyTeの磁化率測定。ここでは初めに、異なる原子価状態におけるCeおよびYbの存在が、例えばLm−エッジ分光法などの直接的な方法によって解明されるべきであること、次に、幾らかの量のランタニドはマトリクス内で分散され得ず、結果としてPbTeにおけるCeおよびYb濃度が1at%未満になること、に留意すべきである。しかしながら、CeまたはYbでのTAG−85のドーピングはGeTeのドーピングと類似している、という結論を出すことができる。XRDデータおよびNMRライン幅の僅かな増加は、格子内に位置されたランタニドの4f−局在磁気モーメントによる常磁性の広がりに原因があると考えられ、それは、300Kにおいて1%Ceまたは1%Ybによって作られる僅かな常磁性の寄与と一致する。
300KでのTAGS85+1%CeおよびTAGS−85+1%Ybの全磁化に対する常磁性の寄与は、Mpar=χparHとして見積もることができ、ここでχparは磁化率(図2および3並びに上部記載参照)であり、H=9.4×104OeはNMR実験において用いられる磁石の磁場であり、Mpar≦0.003emu・g−1である。比較のために、1H NMRスペクトルは、大きな広がりを示すか、または常磁性の寄与が〜0.5emu・g−1である場合は観測することさえできない。1H NMRスペクトルにおける常磁性効果は、2つの核種の磁気回転比における差異により125Te NMRスペクトルにおける効果よりも3.5倍大きいが、ともに取得される磁気、NMR、および熱電能データは、純IV−VI半導体に対して観測されるように、CeおよびYbがTAGS−85の格子内に組み込まれることを示す。本発明のスピン−格子125Te NMR緩和データおよびキャリア濃度へのスピン格子緩和の依存性に基づき、1%CeまたはYbでドープされたTAGS−85におけるホール濃度が純TAGS−85における濃度と同じ桁、〜1021cm−3であることもまた、結論付けることができる。
実際に、1%Ceまたは1%Ybの添加は、材料の電気伝導率に無視できるほどの効果を有するように見える。一般に、GeTeに対しては232Kである、材料のデバイ温度を超える温度では、希釈磁性不純物は本質的に、フォノンに対して影響を有しない。しかしながら、TAGS−85+1%CeおよびTAGS−85+1%Ybの熱伝導率κは、純TAGS−85に比べ、300Kでは僅かに小さいが、700Kでは6%高い。図5bを参照してほしい。
全熱伝導率は、フォノン伝搬による格子成分κlatと、チャージキャリアによって輸送される熱によるキャリア成分κcarと、の合計である。格子成分は、フォノン散乱の関数であり、それは変数の数によって決まる。元素半導体では、デバイ温度を超える熱伝導率の格子成分は、フォノン散乱速度によって決まり、一般的に温度とともに以下の式(2)のように増加する。
合金半導体では、フォノン散乱速度に対する点欠陥の寄与もまた存在し、それは、i番目の原子の原子質量と合金の平均原子質量との間の差異に比例する量、格子熱伝導率を下げ、以下の式(3)を用いて、格子熱伝導率におけるレアアース原子添加の効果を見積もる。
ここでTは絶対温度であり、εは以下の式(4)で定義される質量変動パラメータである。
ここで、Cjは、質量mjのj番目の元素の濃度であり、以下の式(4a)は、以下の式(5)によって与えられる平均原子質量である。
純TAGS−85およびTAGS−85+1%Ybにおける濃度および原子質量を用いて、式(5)は、Ybの添加が純TAGS−85に対してεの2.6%の増加をもたらすはずであり、一方でTAGS−85+1%Ceでは、εが0.5%増加することを予測する。これらの質量変動による熱伝導率の僅かな減少の予測は、〜300Kでの実験データとの一致を示すが、一方で、〜500Kを超える温度では、反対の効果が観測される:レアアースでドープされたTAGS−85の熱伝導率は純TAGS−85よりも高い。実際に、点欠陥の散乱は通常、フォノン平均自由径路長が大きくなる傾向がある低温でより効果的である一方、レアアース含有組成物における高温での熱伝導率の増加は興味深い。この現象は、格子を部分的に安定化させることによるグリュナイゼンパラメータの減少、またはGeTeにおける菱面体晶から立方相への変形における変化に関することがある。
図6は、性能指数ZT=S2σT/κの温度依存性を示し、ここでκは全熱伝導率κ=κlat+κcarであり、κlatおよびκcarはそれぞれ、TAGS−85+1%Ce、TAGS−85+1%Yb、およびTAGS−85の格子およびキャリア熱伝導率であり、データは、純TAGS−85と比べた、レアアース元素でドープされたTAGS−85の熱電効率の改善を示す。CeおよびYbでドープされたTAGS−85の700Kでの熱伝導率は、純TAGS−85よりも6%高いが、16%のゼーベック係数の増加は、熱伝導率からのネガティブな効果を解消し、ZTは1.5に到達する(ZT∝S2であることに留意すべきである)。これは、バルクp型熱電に対して報告された最も高いZT値の1つである。レアアースを添加してTAGS−85を処理する段階を最適化するステップが行われるとき、2に近づくさらに高いZT値が観測される。
熱電能は様々なパラメータに敏感である。通常、ゼーベック係数の増加は、(i)キャリア濃度の減少、(ii)フェルミレベル付近での共鳴状態の形成、(iii)格子欠陥による散乱、および/または(iv)局在磁気モーメントによる散乱によることがある。熱電能の増加に対する最も単純な説明は、レアアースの添加がキャリア濃度の減少を引き起こすことである。残留する電気伝導率が本質的に変化せず、それは移動度が増加しようとするときのみ生じ得ることに留意すべきである。しかしながら、サンプルの125Te NMR並びにホール効果測定は、それらが300Kで1021cm−3付近の類似のキャリア濃度を有することを明らかにする。これらの測定は、実際のサンプルで実施され、例えば、その結果は、インゴット内の組成変異によるものではない:故に、説明(i)は除外され得る。対照的に、共鳴状態の形成並びに格子歪み(欠陥)、および磁気散乱によるCeまたはYbでドープされたTAGS−85における熱電能の改善は、除外できない。最後の2つの可能性のある効果は、LaまたはLuなどの非磁性元素、あるいはGdでのTAGS−85のドーピングによって明確にされ得、それは、7.55μBのより大きな磁気モーメントを有する。最終的に、レアアース元素でのTAGS−85のドーピングは、立方変更(cubic modification)の安定性を改善するように見える。
1at%レアアースでのTAGS−85のドーピングは、希釈磁性半導体を形成する非干渉局在磁気モーメントを発生させる。局在磁気モーメントは、CeおよびYbの4f1−および4f13−殻と関係があるが、例えば、計算値はCe3+およびYb3+に対して予期されるよりも小さい。これは、CeおよびYb原子の全てが格子および/またはレアアース元素内に組み込まれているわけではなく、異なる程度の4f−電子局在を有する状態にあることが原因であり得る。TAGS−85+1%YbおよびTAGS−85+1%Ceの電気伝導率がTAGS−85と類似である一方、ゼーベック係数および熱伝導率はそれぞれ、15%および11%増加する。ゼーベック係数の増加により、TAGS−85+1%CeおよびTAGS−85+1%Ybの力率は36μW・cm−1・K−2に到達し、それは純TAGS−85の力率である27μW・cm−1・K−2と比較して30%増加している。TAGS−85+1%CeおよびTAGS−85+1%Ybの熱伝導率は6%増加するが、ゼーベック効果の増加は、熱伝導率の減少を解消し、性能指数は25%大きくなり、結果として700KでZT=1.5をもたらすが、それはバルクp型熱電に対して報告された最も高い値の中に含まれる。125Te NMRから見積もられるホール濃度がレアアースドーピングに依存しないことを考慮すると、観測されたゼーベック係数の増加は、フェルミレベル付近の共鳴状態の形成、または格子の歪みおよび局在磁気モーメントによるキャリア散乱の原因となり得る。
<実験>
[サンプル合成]
CeおよびYb添加物を有するTAGS−85インゴットは、融合したシリカアンプルにおける構成元素の直接反応によって調製された。化学量論的量の5N Te、Ge、Ag、およびSbに加えて、十分な量のレアアース元素が添加され、Ag6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Cel.00およびAg6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Yb1.00の通常の組成物を得た。アンプルは1223Kまで加熱され、構成物質を完全に溶かし、定期的に15分ごとに振動させ、固化により均一なインゴットを形成した。3時間後、溶融物は冷却された。固化されたインゴットは典型的に、肉眼ではっきりと見ることができるミリメータサイズの粒子を含む。磁気特性化は、そのように固化されたインゴットから分けられた一片で実施された。輸送測定は、ダイヤモンドソウで切断した後のマスターインゴット内の様々な位置で得られる、〜3×3×8mm3の平均サイズを有する追加サンプルで得られた。CeまたはYbでドープされたTAGS−85サンプルは典型的に、純TAGS−85よりも少数の視覚的に観察できるクラックを含む。
[サンプル合成]
CeおよびYb添加物を有するTAGS−85インゴットは、融合したシリカアンプルにおける構成元素の直接反応によって調製された。化学量論的量の5N Te、Ge、Ag、およびSbに加えて、十分な量のレアアース元素が添加され、Ag6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Cel.00およびAg6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Yb1.00の通常の組成物を得た。アンプルは1223Kまで加熱され、構成物質を完全に溶かし、定期的に15分ごとに振動させ、固化により均一なインゴットを形成した。3時間後、溶融物は冷却された。固化されたインゴットは典型的に、肉眼ではっきりと見ることができるミリメータサイズの粒子を含む。磁気特性化は、そのように固化されたインゴットから分けられた一片で実施された。輸送測定は、ダイヤモンドソウで切断した後のマスターインゴット内の様々な位置で得られる、〜3×3×8mm3の平均サイズを有する追加サンプルで得られた。CeまたはYbでドープされたTAGS−85サンプルは典型的に、純TAGS−85よりも少数の視覚的に観察できるクラックを含む。
[X線回折]
室温X線回折パターンが、λ=1.54ÅのCu−Kα放射線を有するシンタッグ回折計(Scintag diffractometer)を用いて、細かくしたパウダーにおいて得られた。
室温X線回折パターンが、λ=1.54ÅのCu−Kα放射線を有するシンタッグ回折計(Scintag diffractometer)を用いて、細かくしたパウダーにおいて得られた。
[磁気測定]
ドープされたサンプルのバルク磁気磁化(bulk magnetic magnetization)が、0から70kOeまで変化する磁場Hにおいて量子設計超電導量子干渉デバイス磁気探知器(Quantum Design superconducting quantum interference device magnetometer)によって、1.8および300Kで測定された。磁化率の温度依存性は、50−kOe磁場において1.8−350Kの温度範囲で測定された。測定のために、サンプルは、サンプルの最も低い磁化率よりも1桁分小さい低反磁性磁化率、χdia=−1.3×10−8emu・g−1・Oe−1のゲルカプセルに配置された。磁気測定の不確かさは、2%未満であった。
ドープされたサンプルのバルク磁気磁化(bulk magnetic magnetization)が、0から70kOeまで変化する磁場Hにおいて量子設計超電導量子干渉デバイス磁気探知器(Quantum Design superconducting quantum interference device magnetometer)によって、1.8および300Kで測定された。磁化率の温度依存性は、50−kOe磁場において1.8−350Kの温度範囲で測定された。測定のために、サンプルは、サンプルの最も低い磁化率よりも1桁分小さい低反磁性磁化率、χdia=−1.3×10−8emu・g−1・Oe−1のゲルカプセルに配置された。磁気測定の不確かさは、2%未満であった。
[核磁気共鳴(NMR)]
ソリッドステート125Te NMR実験が、22kHzスピニング周波数において2.5−mmマジック角スピニングプローブヘッドを用いて、126MHzでブルッカービオスピン(Bruker Biospin)(ビレリカ(Billerica)、MA)DSX−400分光計(9.3900Tの磁場)において実施された;サンプル質量は〜30mgであった。シグナルは、2μs−tr−3.8μs−trの2つのパルスシーケンス(two−pulse sequence)によって生じるハーンエコー(Hahn echo)後に検知され、ここでtrは回転周期を示す。第2パルスおよびレシーバフェーズは、EXORCYCLEスキームに応じて循環された。測定時間は、各スペクトルに対して略10hであった。125Te NMR化学シフトは、二次基準としての+750ppmでの固体TeO2を通って、溶液中のTe(OH)6に関係(refernced to)した。
ソリッドステート125Te NMR実験が、22kHzスピニング周波数において2.5−mmマジック角スピニングプローブヘッドを用いて、126MHzでブルッカービオスピン(Bruker Biospin)(ビレリカ(Billerica)、MA)DSX−400分光計(9.3900Tの磁場)において実施された;サンプル質量は〜30mgであった。シグナルは、2μs−tr−3.8μs−trの2つのパルスシーケンス(two−pulse sequence)によって生じるハーンエコー(Hahn echo)後に検知され、ここでtrは回転周期を示す。第2パルスおよびレシーバフェーズは、EXORCYCLEスキームに応じて循環された。測定時間は、各スペクトルに対して略10hであった。125Te NMR化学シフトは、二次基準としての+750ppmでの固体TeO2を通って、溶液中のTe(OH)6に関係(refernced to)した。
[熱電能、電気および熱伝導率、およびホール効果]
TAGS−85サンプルの輸送特性が、視覚的に観察できる微小クラックなくサンプルにおいて測定された。高温電気抵抗率測定が、自動データ獲得システム(automated data acquisition system)によって、298Kから773Kの温度範囲内の真空チャンバー(〜10−7torr)で、標準dc4点探査技術(standard dc four−point probe technique)によって実施された。ゼーベック係数および抵抗率は、同一のサンプルにおいて同時に測定された。抵抗率測定の間、サンプルの何れかの端部に配置されたヒーターへの電流は個別に、5Kから10Kの温度差を作り出すように調整された。ゼーベック係数は、熱電対のPtレッグに対して測定された。全体の熱伝導率κ=κlat+κcar(κlatおよびκcarはそれぞれ、格子およびキャリア熱伝導率である)は、熱拡散率α、比熱容量Cp、およびサンプル密度dの3つのパラメータの測定によって、式(1):κ=αCpd として決定された。熱拡散率αは、薄いディスクの前面が真空で1−msレーザーパルスによって照射されるレーザーフラッシュ拡散方法を用いて決定される。赤外検出器は、結果として生じる裏面の温度プロファイルを記録する。
TAGS−85サンプルの輸送特性が、視覚的に観察できる微小クラックなくサンプルにおいて測定された。高温電気抵抗率測定が、自動データ獲得システム(automated data acquisition system)によって、298Kから773Kの温度範囲内の真空チャンバー(〜10−7torr)で、標準dc4点探査技術(standard dc four−point probe technique)によって実施された。ゼーベック係数および抵抗率は、同一のサンプルにおいて同時に測定された。抵抗率測定の間、サンプルの何れかの端部に配置されたヒーターへの電流は個別に、5Kから10Kの温度差を作り出すように調整された。ゼーベック係数は、熱電対のPtレッグに対して測定された。全体の熱伝導率κ=κlat+κcar(κlatおよびκcarはそれぞれ、格子およびキャリア熱伝導率である)は、熱拡散率α、比熱容量Cp、およびサンプル密度dの3つのパラメータの測定によって、式(1):κ=αCpd として決定された。熱拡散率αは、薄いディスクの前面が真空で1−msレーザーパルスによって照射されるレーザーフラッシュ拡散方法を用いて決定される。赤外検出器は、結果として生じる裏面の温度プロファイルを記録する。
[密度および比熱容量の測定]
サンプル密度dが、アルキメデスの方法によって測定された。比熱容量Cpが、パーキンエルマーDSC−4示差走査熱量計(Perkin−Elmer DSC−4 Differential Scanning Calorimeter)で測定された。ホール効果が、300Kにおいて1−T磁場で測定された。熱電能、電気および熱伝導率、並びにホール効果からのキャリア濃度の不確かさはそれぞれ、5、2、5、および10%である。
サンプル密度dが、アルキメデスの方法によって測定された。比熱容量Cpが、パーキンエルマーDSC−4示差走査熱量計(Perkin−Elmer DSC−4 Differential Scanning Calorimeter)で測定された。ホール効果が、300Kにおいて1−T磁場で測定された。熱電能、電気および熱伝導率、並びにホール効果からのキャリア濃度の不確かさはそれぞれ、5、2、5、および10%である。
<結果>
1at%CeまたはYbを有するTAGS−85のドーピングは、キュリーの法則に従う非干渉局在磁気モーメントを有する希釈磁性半導体システムを形成する。X線回折パターンおよび常磁性効果に起因する125Te NMRにおける僅かな広がりは、CeおよびYb原子が格子内に組み込まれることを示唆する。125Te NMRスピン格子緩和およびホール効果は、〜1021cm−3の類似のホール濃度を示す。700Kでは、CeおよびYbでドープされたサンプルの電気伝導率は、純TAGS−85の電気伝導率と類似するが、一方で、熱伝導率およびゼーベック係数はそれぞれ、6%および16%大きい。観察された熱電能の増加に関与する可能なメカニズムは、(i)フェルミレベル付近での共鳴状態の形成、および(ii)格子歪みおよび/または常磁性イオンによるキャリア散乱を含むことができる。205μV・K−1までゼーベック係数が増加することにより、CeおよびYbでドープされたサンプルの熱電力率は36μW・cm−1・K−2に到達し、それは純TAGS−85に対して測定された値である27μW・cm−1・K−2より大きい。ゼーベック係数の増加は熱伝導率の増加を解消し、純TAGS−85に対して観察されたものと比較して、700Kで25%の性能指数の全体的な増加をもたらす。
1at%CeまたはYbを有するTAGS−85のドーピングは、キュリーの法則に従う非干渉局在磁気モーメントを有する希釈磁性半導体システムを形成する。X線回折パターンおよび常磁性効果に起因する125Te NMRにおける僅かな広がりは、CeおよびYb原子が格子内に組み込まれることを示唆する。125Te NMRスピン格子緩和およびホール効果は、〜1021cm−3の類似のホール濃度を示す。700Kでは、CeおよびYbでドープされたサンプルの電気伝導率は、純TAGS−85の電気伝導率と類似するが、一方で、熱伝導率およびゼーベック係数はそれぞれ、6%および16%大きい。観察された熱電能の増加に関与する可能なメカニズムは、(i)フェルミレベル付近での共鳴状態の形成、および(ii)格子歪みおよび/または常磁性イオンによるキャリア散乱を含むことができる。205μV・K−1までゼーベック係数が増加することにより、CeおよびYbでドープされたサンプルの熱電力率は36μW・cm−1・K−2に到達し、それは純TAGS−85に対して測定された値である27μW・cm−1・K−2より大きい。ゼーベック係数の増加は熱伝導率の増加を解消し、純TAGS−85に対して観察されたものと比較して、700Kで25%の性能指数の全体的な増加をもたらす。
<中温ナノバルク材料>
本発明の一実施形態では、TAGSと呼ばれる中温(100−300℃)ナノバルク材料がホットプレスされ熱処理され得、ビレットまたは他のナノバルク複合材料を形成する。本発明によるこのような材料は次いで、バルクまたは薄膜タイプの熱電デバイスに利用され得る。より具体的には、PbTe合金(または本明細書に記載の他の合金)が、スピノーダル分解として知られるプロセスによって超微細沈殿物の形成を誘発するために調製され得る。幾つかの添加剤はPbTeと不溶であり、GeTe、SnTe、およびMnTeを含む。凝固速度および熱処理などの様々な処理方法と結合されたこれらの添加剤の体系的処理を介して、熱的に安定な第二相含有物の均一な分布を含むナノ構造PbTe合金が期待される。本発明によるこれらの他の材料は次いで、バルクまたは薄膜タイプの熱電デバイスに利用され得る。
本発明の一実施形態では、TAGSと呼ばれる中温(100−300℃)ナノバルク材料がホットプレスされ熱処理され得、ビレットまたは他のナノバルク複合材料を形成する。本発明によるこのような材料は次いで、バルクまたは薄膜タイプの熱電デバイスに利用され得る。より具体的には、PbTe合金(または本明細書に記載の他の合金)が、スピノーダル分解として知られるプロセスによって超微細沈殿物の形成を誘発するために調製され得る。幾つかの添加剤はPbTeと不溶であり、GeTe、SnTe、およびMnTeを含む。凝固速度および熱処理などの様々な処理方法と結合されたこれらの添加剤の体系的処理を介して、熱的に安定な第二相含有物の均一な分布を含むナノ構造PbTe合金が期待される。本発明によるこれらの他の材料は次いで、バルクまたは薄膜タイプの熱電デバイスに利用され得る。
<本発明の態様>
本発明の一態様では、半導体材料を含む第1成分;および、第1成分に含まれるレアアース材料を含む第2成分;を含む、熱電材料が提供される。半導体材料におけるレアアース材料の含有は、半導体材料の性能指数に対して、半導体材料とレアアース材料との複合材料の性能指数を増加させる。
本発明の一態様では、半導体材料を含む第1成分;および、第1成分に含まれるレアアース材料を含む第2成分;を含む、熱電材料が提供される。半導体材料におけるレアアース材料の含有は、半導体材料の性能指数に対して、半導体材料とレアアース材料との複合材料の性能指数を増加させる。
本発明のこの態様では、半導体材料は、レアアース材料を含むGeTeベースの合金であり得る。レアアース材料は、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、またはその合金または組み合わせの少なくとも1つを含むことができる。レアアース材料は、0.1%から25%の濃度を有することができる。GeTe合金は、AgおよびSbの少なくとも1つを含むことができ、より具体的には、(GeTe)y{AgSbTe2)1−y、およびAg6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Ce1.00、またはAg6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Yb1.00、あるいはAg6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Gd1.00であり得る。
本発明のこの態様では、半導体材料は、レアアース材料を含むPbTeベースの合金であり得る。レアアース材料は、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、またはその合金の少なくとも1つを含むことができる。レアアース材料は、0.1%から25%の濃度を有することができる。PbTe合金は、AgおよびSbの少なくとも1つを含むことができ、より具体的には、(PbTe)y{AgSbTe2)1−y、およびAg6.52Sb6.52Pb36.96Te49.00Ce1.00、またはAg6.52Sb6.52Pb36.96Te49.00Yb1.00、あるいはAg6.52Sb6.52Pb36.96Te49.00Gd1.00であり得る。
本発明の一態様では、p型熱電材料およびn型熱電材料を有する熱電変換器が提供される。p型熱電材料およびn型熱電材料の少なくとも1つは、p型熱電材料またはn型熱電材料の少なくとも1つにおいてレアアース材料を含む。
本発明のこの態様では、レアアース材料は、p型熱電材料またはn型熱電材料の少なくとも1つにおいて、電気的キャリアを散乱させることができる。p型熱電材料およびn型熱電材料は、GeTe合金、PbTe合金、またはその組み合わせであり得る。
本発明のこの態様では、p型熱電材料およびn型熱電材料は、300Kから1300Kの温度範囲または100Kから300Kの温度範囲において、熱電として作動することができる。
本発明のこの態様では、p型熱電材料またはn型熱電材料の少なくとも1つにおけるレアアース材料およびナノ構造元素は、p型熱電材料またはn型熱電材料におけるフォノン散乱によって、p型熱電材料またはn型熱電材料の少なくとも1つの格子熱伝導率を減少させることができる。熱電材料におけるナノ構造元素、および格子熱伝導率を減少させるその効果の記述については、例えば、Venkatasubramanianら、ネイチャー(Nature)、Vol.413、597−602頁、2001年(その内容は全て、参照により本明細書に組み込まれる)を参照できる。
本発明のこの態様では、レアアース材料は、p型熱電材料またはn型熱電材料の少なくとも1つにおいて電気的キャリアの散乱を作り、量子閉じ込めによってキャリアに対する状態密度を増加させることができる。熱電材料における電気的キャリアの散乱、および量子閉じ込めによってキャリアに対する状態密度を増加させるその効果の記述については、例えば、Hicksら、フィジカル・レビューB(Phys.Rev.B)47、12727−12731頁、1993年(その内容は全て、参照により本明細書に組み込まれる)を参照できる。
本発明のこの態様では、レアアース材料は、p型熱電材料またはn型熱電材料の少なくとも1つにおいて電気的キャリアの散乱を作ることができ、p型熱電材料またはn型熱電材料においてキャリアに対する共鳴状態を提供し、p型熱電材料またはn型熱電材料のゼーベック係数を増加させる。熱電材料におけるキャリアに対する共鳴状態、およびゼーベック係数を増加させるためのその効果の記述については、例えば、Heremansら、サイエンス(Science)、Vol.321、554−557頁、2008年(その内容は全て、参照により本明細書に組み込まれる)を参照できる。
本発明のこの態様では、p型熱電材料またはn型熱電材料の少なくとも1つにおけるレアアース材料およびナノ構造元素は、p型熱電材料またはn型熱電材料における格子熱伝導率、量子閉じ込め、および共鳴状態の少なくとも1つを低減させることができる。
本発明の一態様では、半導体材料においてZT性能指数を改善させるための方法が提供される。本方法は、半導体材料において、半導体材料における電気的キャリアを磁気的に散乱させるレアアース材料を提供する。本発明のこの態様では、磁性材料は、Ce、Yb、Gd、またはその合金の少なくとも1つであり得る。
本発明の数多くの修正および変更が、上記の教示を踏まえて可能である。したがって、本発明が添付の特許請求の範囲内において、本明細書に具体的に記載された以外で実行され得ることが理解されよう。
Claims (29)
- 半導体材料を含む第1成分と、
前記第1成分に含まれるレアアース材料を含む第2成分と、
を含む熱電材料であって、故に、前記半導体材料の性能指数に対して、前記半導体材料と前記レアアース材料との複合材料の性能指数を増加させる、熱電材料。 - 前記半導体材料はGeTe合金を含み、前記GeTe合金は前記レアアース材料を含む、請求項1に記載の材料。
- 前記レアアース材料が、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、またはその合金の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の材料。
- 前記レアアース材料が、0.1%から25%の濃度を含む、請求項2に記載の材料。
- 前記GeTe合金が、AgおよびSbの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の材料。
- 前記GeTe合金が、(GeTe)y{AgSbTe2)1−yを含む、請求項2に記載の材料。
- 前記GeTe合金が、Ag6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Ce1.00を含む、請求項2に記載の材料。
- 前記GeTe合金が、Ag6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Yb1.00を含む、請求項2に記載の材料。
- 前記GeTe合金が、Ag6.52Sb6.52Ge36.96Te49.00Gd1.00を含む、請求項2に記載の材料。
- 前記半導体材料はPbTe合金を含み、前記PbTe合金は前記レアアース材料を含む、請求項1に記載の材料。
- 前記レアアースドーパントは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、またはその合金の少なくとも1つを含む、請求項10に記載の材料。
- 前記レアアース材料は、0.1%から25%の濃度を含む、請求項10に記載の材料。
- 前記PbTe合金は、AgおよびSbの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の材料。
- 前記PbTe合金は、(PbTe)y{AgSbTe2)1−yを含む、請求項10に記載の材料。
- 前記GeTe合金は、Ag6.52Sb6.52Pb36.96Te49.00Ce1.00を含む、請求項10に記載の材料。
- 前記GeTe合金は、Ag6.52Sb6.52Pb36.96Te49.00Yb1.00を含む、請求項10に記載の材料。
- 前記GeTe合金は、Ag6.52Sb6.52Pb36.96Te49.00Gd1.00を含む、請求項10に記載の材料。
- p型熱電材料と、n型熱電材料と、を含み、
前記p型熱電材料および前記n型熱電材料の少なくとも1つは、前記p型熱電材料または前記n型熱電材料の少なくとも1つにおいてレアアース材料を含む、熱電変換器。 - 前記レアアース材料は、前記p型熱電材料または前記n型熱電材料の少なくとも1つにおいて電気的キャリアを散乱させる、請求項18に記載の変換器。
- 前記p型熱電材料および前記n型熱電材料の少なくとも1つはGeTe合金を含む、請求項18に記載の変換器。
- 前記p型熱電材料および前記n型熱電材料の少なくとも1つはPbTe合金を含む、請求項18に記載の変換器。
- 前記p型熱電材料および前記n型熱電材料は、300Kから1300Kの温度範囲において熱電として作動する、請求項18に記載の変換器。
- 前記p型熱電材料および前記n型熱電材料は、100Kから300Kの温度範囲において熱電として作動する、請求項18に記載の変換器。
- 前記p型熱電材料または前記n型熱電材料の少なくとも1つにおける前記レアアース材料およびナノ構造元素は、前記p型熱電材料または前記n型熱電材料におけるフォノン散乱によって、前記p型熱電材料または前記n型熱電材料の少なくとも1つの格子熱伝導率を減少させる、請求項18に記載の変換器。
- 前記レアアース材料は、前記p型熱電材料または前記n型熱電材料の少なくとも1つにおいて電気的キャリアの散乱を作り、量子閉じ込めによって前記キャリアに対する状態密度を増加させる、請求項18に記載の変換器。
- 前記レアアース材料は、前記p型熱電材料または前記n型熱電材料の少なくとも1つにおいて電気的キャリアの散乱を作り、前記p型熱電材料または前記n型熱電材料における前記キャリアに対する共鳴状態を提供し、前記p型熱電材料または前記n型熱電材料のゼーベック係数を増加させる、請求項18に記載の変換器。
- 前記p型熱電材料または前記n型熱電材料の少なくとも1つにおける前記レアアース材料およびナノ構造元素は、前記p型熱電材料または前記n型熱電材料における格子熱伝導率、量子閉じ込め、および共鳴状態の少なくとも1つを減少させる、請求項18に記載の変換器。
- 半導体材料において電気的キャリアを散乱させるレアアース材料を前記半導体材料に提供する段階を含む、半導体材料においてZT性能指数を改善させる方法。
- 前記提供段階は、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、またはその合金の少なくとも1つを前記レアアース材料として提供する段階を含む、請求項28に記載の方法。
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