JP2013533424A - 分割サイクルエンジンのターボ過給小型化圧縮シリンダ - Google Patents

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Abstract

分割サイクルエンジンは膨張機を含み、当該膨張機は膨張シリンダ内に収容された膨張ピストンを含んでいる。圧縮機は圧縮シリンダ内に収容された圧縮ピストンを備えている。クロスオーバー通路は、圧縮シリンダと膨張シリンダを相互に接続している。吸気マニホールドは、圧縮シリンダに接続されている。1.7バール絶対圧以上のブースト圧レベルを提供する昇圧装置は、吸気マニホールドに接続されている。吸気バルブは吸気マニホールドと圧縮シリンダの間に配置されている。吸気バルブの閉じは、0.75以上の圧縮機容積効率を提供するべくタイミング付けられている。圧縮機の排気量は、圧縮機の排気量とブースト圧レベルとの組み合わせが、0.90以上である周囲状態に対しての膨張機容積効率を提供するように、膨張機排気量に見合った大きさにされている。

Description

本発明は内燃機関に関する。より具体的には、本発明は、従来のオットーサイクルの4つのストロークを、4つのストロークのそれぞれがクランクシャフトの1回転内で完了される状態で、2つの対にされたシリンダ、すなわち、クロスオーバーポートによって接続されている1つの吸気/圧縮シリンダ(圧縮機)と1つの動力/排気シリンダ(膨張機)とに分割しているターボ過給された分割サイクルエンジンに関する。
明瞭化の目的のために、本出願で用いられる用語「従来のエンジン」とは、周知のオットーサイクルの4つのストローク(吸気、圧縮、膨張(又は動力)及び排気のストローク)の全てが、エンジンのピストン/シリンダの各組み合わせに含まれている内燃機関を指す。各ストロークは、クランクシャフトの1/2回転(180度クランク角(CA))を必要とし、そして、クランクシャフトの2つの完全な回転(720度CA)が、従来のエンジンの各シリンダで全体のオットーサイクルを完了するために必要とされる。
また、明確化の目的のために、次の定義が、先行技術に開示されているエンジンに適用されるように、かつ、本出願で言及されるように、用語「分割サイクルエンジン」について提供されている。すなわち、
分割サイクルエンジンは、
クランクシャフト軸線の回りに回転可能なクランクシャフトと、
圧縮シリンダ内に摺動自在に収容され、クランクシャフトに作動可能に連結されている圧縮ピストンであって、当該圧縮ピストンがクランクシャフトの単一の回転の間に吸気ストロークと圧縮ストロークを通して往復移動するようにクランクシャフトに連結されている圧縮ピストンを含む圧縮機と、
膨張シリンダ内に摺動可能に収容され、クランクシャフトに作動可能に連結されている膨張(動力)ピストンであって、当該膨張ピストンがクランクシャフトの単一の回転の間に膨張ストロークと排気ストロークを通して往復移動するようにクランクシャフトに連結されている膨張ピストンを含む膨張機と、
圧縮シリンダと膨張シリンダとを相互に接続しているクロスオーバー通路であって、内部に配置された少なくともクロスオーバー膨張(XovrE)バルブを含むか、より好ましくは、間に圧力室を画定するクロスオーバー圧縮(XovrC)バルブとクロスオーバー膨張(XovrE)バルブとを含んでいるクロスオーバー通路と、を備えている。
2003年4月8日にCarmelo J Scuderiに付与された特許文献1(米国特許第6、543、225号)(Scuderi特許)及び2005年10月11日にDavid P. Branyonらに付与された特許文献2(米国特許第6、952、923号)(Branyon特許)は、それぞれ、分割サイクルと同様のタイプのエンジンの広範な議論を含んでいる。加えて、Scuderi特許とBranyon特許は、本発明がさらなる進展を含んでいるエンジンの先行するバージョンの詳細を開示している。Scuderi特許とBranyon特許の両者は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
図1を参照するに、Branyon特許及びScuderi特許に記載されているものと同様のタイプの分割サイクルエンジンの先行技術の例示的な実施形態が、符号10で概略的に示されている。分割サイクルエンジン10は、従来のエンジンの2つの隣接するシリンダを、1つの圧縮シリンダ12と1つの膨張シリンダ14との組み合わせに置き換えている。シリンダヘッド33が、典型的には、シリンダを覆って密封するべく膨張及び圧縮シリンダ12、14の開放端の上に配置されている。
オットーサイクルの4つのストロークは、圧縮シリンダ12がそれに関連付けられた圧縮ピストン20と一緒に吸入及び圧縮ストローク(圧縮シリンダ12とピストン20は総称して圧縮機(12、20)と呼ばれる)を実行し、及び膨張シリンダ14がそれに関連付けられた膨張ピストン30と一緒に膨張及び排気ストローク(膨張シリンダ14とピストン30は一括して膨張機(14、30)と呼ばれる)を実行するように、2つのシリンダ12と14とで「分割」されている。オットーサイクルは、したがって、クランクシャフト軸線17回りのクランクシャフト16の回転(360°CA)ごとに一度、これらの2つのシリンダ12、14で完成される。
吸気ストロークにおいて、吸気がシリンダヘッド33内に配置された吸気マニホールド(ポート)19を介して、圧縮シリンダ12内に引き込まれる。内側に開く(シリンダ内にピストンに向かって内側に開く)ポペット吸気バルブ18が、吸気マニホールド19と圧縮シリンダ12との間の流体の連通を制御する。吸気は吸気マニホールド内で約大気圧である。
圧縮ストロークにおいて、圧縮ピストン20は空気充填物を加圧し、XovrCの開時に、当該空気充填物を典型的にはシリンダヘッド33内に配置されているクロスオーバー通路(ポート)22に押し出す。これは、圧縮シリンダ12及び圧縮ピストン20が、膨張シリンダ14のための吸気通路として作用するクロスオーバー通路22への高圧ガスの供給源であることを意味している。いくつかの実施形態では、2つ以上のクロスオーバー通路22が、圧縮シリンダ12及び膨張シリンダ14を相互に接続している。
分割サイクルエンジン10(及び一般的な分割サイクルエンジン)の圧縮シリンダ12の容積測定の(すなわち、幾何学的な)圧縮比は、本明細書において、分割サイクルエンジンの「圧縮比」と呼ばれる。分割サイクルエンジン10(及び一般的な分割サイクルエンジン)の膨張シリンダ14の容積測定の(すなわち、幾何学的な)圧縮比は、本明細書において、分割サイクルエンジンの「膨張比」と呼ばれる。シリンダの圧縮比は、ピストンがその上死点(TDC)位置にあるときにシリンダ内に囲まれる容積(すなわち、隙間容積)に対する、往復運動するピストンがその下死点(BDC)の位置にあるときにシリンダ(全ての凹部を含む)内に囲まれる(すなわち捕捉される)容積の比として、当該技術分野では知られている。具体的には、本明細書で定義される分割サイクルエンジンについて、クロスオーバー通路(複数)の容積は、圧縮シリンダの圧縮比の決定のためには含まれていない。また、具体的には、本明細書に定義されている分割サイクルエンジンについて、クロスオーバー通路(複数)の容積は膨張シリンダの膨張比の決定には含まれていない。
非常に高い圧縮比(例えば、20対1、30対1、40対1又はそれ以上)のせいで、クロスオーバー通路の入口25において、外開きの(シリンダ及びピストンから離れて外方に開く)ポペットクロスオーバー圧縮バルブ(XovrC)24が圧縮シリンダ12からクロスオーバー通路22への流れを制御するために用いられている。非常に高い膨張比(例えば、20対1、30対1、40対1又はそれ以上)のせいで、クロスオーバー通路22の出口27において、外開きのポペットクロスオーバー膨張バルブ(XovrE)26がクロスオーバー通路22から膨張シリンダ14への流れを制御している。XovrC及びXovrEバルブ24、26の作動速度及び位相付けは、オットーサイクルの4つのストロークの全ての間にクロスオーバー通路22の圧力を高い最小圧力(典型的には全負荷時に20バール以上、例えば、40ないし50バール)に維持するようにタイミング付けられている。
少なくとも1つの燃料インジェクター28が、クロスオーバー通路22の出口端において、膨張ピストン30がその上死点位置に到達する直前に起こる当該XovrEバルブ26の開きに対応させて、加圧された空気に燃料を噴射する。このとき、クロスオーバー通路22内の圧力の膨張シリンダ14内の圧力に対する圧力比は、クロスオーバー通路内の最低圧力が、通常、エンジンの全負荷において20バール絶対圧以上であり、そして排気ストローク中の膨張シリンダ内の圧力が、典型的には、約1ないし2バール絶対圧であるという事実の故に、高い。換言すると、XovrEバルブ26が開いたときに、クロスオーバー通路22内の圧力は膨張シリンダ14内の圧力よりも(典型的には、エンジンの全負荷で20対1以上のオーダーで)実質的に高い。この高い圧力比は、空気及び/又は燃料充填物の初期流れが高速度で膨張シリンダ14内に流れるのを生じさせる。これらの高速流れは音速に到達し、音速流と称される。空気/燃料充填物は、いくつかの動作状態の下では上死点(TDC)の少し前に入り始めるかもしれないが、通常は、膨張ピストン30が上死点(TDC)の位置に到達した直後に膨張シリンダ14に入る。ピストン30が上死点位置から降下を開始し、XovrEバルブ26がまだ開いている間に、シリンダ14内に突出しているスパークプラグ先端39を含んでいるスパークプラグ32が点火され、スパークプラグ先端部39の周りの領域での燃焼を開始させる。燃焼は、膨張ピストンがその上死点(TDC)位置を過ぎて1ないし30度CAの間で開始されてもよい。より好ましくは、燃焼は、膨張ピストンがその上死点(TDC)位置を過ぎて5ないし25度CAの間に、開始されてもよい。最も好ましくは、燃焼は、膨張ピストンがその上死点(TDC)位置を過ぎて10ないし20度CAの間に、開始されてもよい。さらに、燃焼は、グロープラグ、マイクロ波点火装置又は圧縮着火方式などによる、他の点火装置及び/又は方法によって開始されてもよい。空気/燃料充填物の音速流は、分割サイクルエンジン10にとって特に有利である。というのも、それは、膨張ピストン30がその上死点位置から降下している間に着火が開始されたとしても、分割サイクルエンジン10が高い燃焼圧力を維持することを可能にする急速燃焼事象を生じさせるからである。
燃焼が開始された後に、しかし結果としての燃焼事象がクロスオーバー通路22に入る前に、XovrEバルブ26は閉じられる。燃焼事象は、動力ストロークにおいて膨張ピストン30を下方に駆動する。
排気ストロークの間に、排気ガスはシリンダヘッド33に配置されている排気ポート35を介して膨張シリンダ14の外に送出される。排気ポート35の入口31に配置されている内開きのポペット排気バルブ34は、膨張シリンダ14と排気ポート35との間の流体の連通を制御する。
典型的には、例えば、図1に示すような自然吸気分割サイクルエンジンでは、空気の所与の充填物(すなわち、マス)を吸入するのに要求される圧縮シリンダの排気量(Vd)は、同じ空気の充填物のために、従来のエンジンのシリンダに要求される排気量よりも大きい。自然吸気の分割サイクルエンジンの圧縮シリンダは、より大きく作成されねばならない。というのも、エンジン運転中には、常に圧縮シリンダ内に、圧縮ストロークの終わりに捕捉されて圧縮された空気のマスが存在するからである。したがって、当該圧縮ストロークに直ちに続く後続の吸気ストロークにおいて、捕捉された空気のマスの圧力が大気圧に等しくなるように圧縮ピストンが上死点から十分に下がるまでは、吸気が圧縮シリンダ内に吸入され得ない。このように、吸気ストロークの間に圧縮シリンダによって掃引される容積の一部は、吸気のために利用されていない。そのために、吸気ストロークの残りの期間に吸入空気の必要量を吸入するのに十分な容積を有するように、圧縮シリンダがより大きく作成されねばならないのである。この排気容積の増加は、典型的な自然吸気分割サイクルエンジンの、エンジン排気量当たりのブレーキ出力として定義され、通常、キロワット/リットル又は馬力/リットルとして表現されている出力密度(すなわち、比出力)を減少させる。
また、ミラーサイクルを用いた従来のエンジンを動作させることもまた、内燃機関の技術分野で知られている。内燃機関の効率は、ガスが圧縮ストローク中に圧縮されるよりも膨張ストローク中により多く膨張されるなら増加される。従来のエンジンのミラーサイクルでは、これは典型的には膨張比に対する有効圧縮比を低下させる早期又は遅期の吸気バルブの閉じ(IVC)によって達成される。例えば、従来のエンジンの吸気バルブが遅期(すなわち、吸気ストロークに続く圧縮ストローク中)に閉じられる場合、吸気ストローク中にシリンダ内に吸込まれた吸気の一部は、吸気ポートを介してシリンダ外に押し戻される。吸気バルブは、圧縮ストロークの最初の約20%の間、開いて保たれてもよい。したがって、実際の圧縮は、圧縮ストロークの最後の約80%で起こるのみである。
米国特許第6、543、225号明細書 米国特許第6、952、923号明細書
図2Aを参照するに、ミラーサイクル運転を行うために、遅期の吸気バルブ閉じ(IVC)を利用した自然吸気エンジンの圧力対容積(PV)ダイアグラムの例示的な実施形態が示されている。この実施形態は、自然吸気エンジンを図示しているけれども、同じ原理が同様にターボ過給エンジンにも適用されることが知られている。
図2Aに示されるように、TDCからBDCへのピストンの吸気ストロークの間に、シリンダ圧力はポイント6からポイント1を経由し、そして最後にポイント5に至る一定の圧力線に従う。後続の圧縮ストロークの最初の部分では、吸気バルブが開かれて残っている間、当該シリンダ圧力はポイント5からポイント1に戻る圧力線をたどる。その後、ポイント1で吸気バルブが閉じて、そしてシリンダ圧力は圧縮ストロークの残りの期間にポイント1からポイント2にまで上昇する。経路1から5に沿ってピストンによって掃引された容積は、経路5から1に沿って掃引された容積によって相殺され、有効圧縮比は、オットーサイクルのためのポイント2での容積で除されたポイント5での容積ではなく、ポイント2での容積で除されたポイント1での容積である。
図2Bを参照するに、同様の作用効果を早期の吸気バルブの閉じによって、ミラーサイクルにおいて達成することができる。この場合、圧力はポイント6からポイント1までの吸気ストローク中に一定のままである。その後、ポイント1で吸気バルブが閉じて、シリンダ内の圧力がポイント1からポイント7まで減少する。その後の圧縮ストロークでは、圧力は以前に追跡された経路を相殺してポイント7からポイント1まで増加し、そして圧縮ストロークの残りの期間にポイント2まで続く。正味の結果は、遅期の吸気バルブの閉じと同じである。すなわち、ピストンの全ストロークより少ないストロークが圧縮のために有効に使用され、それによってサイクル当たりの充填物のマスを減少させながら効率向上のための有効な圧縮比を小さくしている。
ミラーサイクルの効率(典型的には、10ないし15%オットーサイクルよりも大きい)の増加は、給気の喪失の結果である、図示平均有効圧力(IMEP)及び出力密度においての減少の分、否定的に相殺されている。何故ならば、シリンダ内の全排気量の一部のみが充填空気で満たされる(すなわち、排気量が犠牲にされている)からである。したがって、オットーサイクルエンジンにおけるのと同じ出力量を達成するためには、ミラーサイクルエンジンは、典型的に、より大きく作られるか、ブーストされるか、又はより攻撃的にブーストされねばならない。
さらに、IVCが遅ければ遅く又は早ければ早く起こるほど、ピストンはより速く移動し、したがって、吸気バルブが閉じるときに、空気が吸気バルブをより速く流れる。これは、従来のミラーサイクルエンジンのエンジン効率(すなわち、ブレーキ燃料消費率(BSFC))を大幅に低下させる、重大なポンピング損失につながる。
Scuderiエンジンは、従来のオットーサイクルの4つのストロークを(その最も単純な構成で)圧縮機と膨張機の対に分ける分割サイクル設計である。圧縮機は、少なくとも1つの圧縮シリンダと吸気及び圧縮ストロークを通して往復する関連する圧縮ピストンとを含んでいる。膨張機は、少なくとも1つの膨張シリンダと膨張(又は動力)及び排気ストロークを通して往復する関連する膨張ピストンとを含んでいる。膨張機と圧縮機はクロスオーバー通路によって接続されている。
往復動内燃機関(RICE)のミラーサイクル運転は、RICEが分割サイクル又は従来のものであるかどうかによらず、ガスが圧縮ストローク中に圧縮されるのよりもガスが膨張ストローク中により多く膨張されるように、エンジンが構成されることを必要としている。従って、ガスが膨張ストローク中に過剰に膨張されるであろうし、効率の増大(すなわち、ブレーキ燃料消費率(BSFC)の減少)の結果となる。従来のRICEにおいて、ミラー運転は、通常、早期又は遅期の吸気バルブの閉じ(IVC)によって行われている。しかしながら、分割サイクルエンジンにおいては、ミラーサイクル運転は、膨張機の排気量に対する圧縮機の排気量を物理的に低減することによって達成することができる。
分割サイクルエンジンのミラーサイクルの構成は、分割サイクルエンジンの膨張機に対して小型化された分割サイクルエンジンの圧縮機に接続されているターボ過給の吸気マニホールドで構成され、1次元サイクルシミュレーションソフトウェアでモデリングされている。いくつかの肯定的な相互作用が、分割サイクルエンジンとミラーサイクルの動作原理の間に発見された。すなわち、
1)分割サイクルエンジンでミラー運転を実現するために膨張機に対して圧縮機を小型化することは、圧縮機の排気量の一部を浪費せずに低減された圧縮を達成する。これに反して、従来のRICEを全負荷時のミラー運転用に構成するためには、そのシリンダがその膨張ストロークの全排気量に対応できる大きさでなければならず、かつその排気量の一部が圧縮ストローク中に早期もしくは遅期のIVCを受け入れるべく浪費されることが必要である。分割サイクルエンジンにおける圧縮機の排気量の減少は、一般的に、ミラーサイクル運転を伴う従来のRICEに比べて、より高いブレーキ平均有効圧力(BMEP)をもたらす。
2)圧縮機の排気量の減少は、最適に捕捉されたマスの状態(すなわち、最適な容積効率)又はそれの近くで吸気バルブを閉じながらの、ミラーサイクル運転を可能にする。このことは、高いピストン(したがって、空気)速度の期間中に、吸気バルブを閉じることが回避されるために、従来のRICEに適用されたミラーサイクルに比べて、減少されたポンピング仕事に帰する。
3)RICEが分割サイクル又は従来のものであっても、ミラー因子(すなわち、圧縮ストローク中におけるガスの圧縮に対する膨張ストローク中のガスの膨張の比)の大きさが、分割サイクルエンジンの圧縮機からターボチャージャー圧縮機へシフトされる圧縮仕事の負荷のレベルを決定する。ターボのコンプレッサはタービンを介して排気ガスによって駆動されているので、それはクランクシャフトのエネルギーの観点からは低い「コスト」で圧縮し、クランクシャフトに配分される仕事において正味の増加をもたらす。アフタークーリングでもって、これはまた全体の圧縮工程のより後期での冷却を許容し、同じ圧力に対してより低い圧縮終了温度の結果となる。当該より低い圧縮終了温度のノック抑制アスペクトは、より積極的なミラー因子で圧縮圧力を高めることを可能にし、より高い総空気量及び燃料流量、よって出力の結果となる。従来のRICEよりもより積極的なミラー因子運転を利用するための前述した分割サイクルの能力は、分割サイクルエンジンがミラーサイクルのこれらの特性のより大きな利点を活用することを可能にしている。
4)エンジンによって用いられる運転上の制約(すなわち、ノックフラクション、膨張シリンダのピーク圧力など)の範囲内での所与の昇圧レベルのためには、圧縮機と膨張機の両方の容積効率が最適又はそれに近いときに、分割サイクルエンジンは最も効率的である。典型的には、圧縮機の容積効率は吸気マニホールドの状態に対応して測定され、少なくとも0.75、より好ましくは少なくとも0.8、さらにより好ましくは少なくとも0.85、最も好ましくは少なくとも0.9、である必要がある。典型的には、膨張機の容積効率は周囲の状態に対して測定され、少なくとも0.90、より好ましくは少なくとも1.0、さらにより好ましくは少なくとも1.1、最も好ましくは少なくとも1.2、である必要がある。
より詳しくは、本発明の例示的な実施形態において、分割サイクルエンジンはクランクシャフト軸線回りに回転可能なクランクシャフトと膨張機排気量を有する膨張機を含んでいる。当該膨張機は、膨張シリンダ内に摺動自在に収容された膨張ピストンを含み、当該膨張ピストンはクランクシャフトの単一の回転の間に、膨張ストロークと排気ストロークを通して往復移動するようにクランクシャフトに作動可能に連結されている。分割サイクルエンジンはまた、膨張機の排気量よりも90%以下である圧縮機の排気量を有する圧縮機を含んでいる。当該圧縮機は、圧縮シリンダ内に摺動自在に収容された圧縮ピストンを含み、当該圧縮ピストンはクランクシャフトの単一の回転の間に、吸気ストロークと圧縮ストロークを通して往復移動するようにクランクシャフトに作動可能に連結されている。クロスオーバー通路は、当該圧縮シリンダ及び膨張シリンダを相互に接続している。当該クロスオーバー通路は、その中に配置された少なくともクロスオーバー膨張バルブを含んでいる。吸気マニホールドは、圧縮シリンダに接続している。昇圧装置が吸気マニホールドに接続されており、当該吸気マニホールドへ1.7バール絶対圧以上のブースト圧レベルを提供するように作動可能である。吸気バルブが吸気マニホールドと圧縮シリンダの間に配置され、両者間の流体の連通を制御すべく作動可能である。当該吸気バルブは、吸気マニホールドの状態に対して0.75以上の圧縮シリンダの容積効率を提供すべくタイミング付けられている吸気バルブの閉じ事象を有している。圧縮機の排気量は、圧縮機の排気量とブースト圧レベルとの組み合わせが、周囲の状態に対して0.90以上である膨張機容積効率を提供するように、膨張機の排気量に見合った大きさにされている。
ブースト作動装置は、ターボチャージャーであってもよい。圧縮機は複数の圧縮シリンダを含むことができ、膨張機は複数の膨張シリンダを含むことができる。当該分割サイクルエンジンはまた、クロスオーバー通路内に配置されたクロスオーバー圧縮バルブを含むことができ、当該クロスオーバー圧縮バルブ及びクロスオーバー膨張バルブは両者間に圧力室を形成している。
圧縮機の排気量は、膨張機の排気量の80%以下、75%以下、あるいは70%以下でもよい。昇圧装置は、2.0バール絶対圧以上、2.3バール絶対圧以上、又は2.5バール絶対圧以上のブースト圧力レベルを提供すべく作動可能であってもよい。吸気マニホールドの状態に対する圧縮機の容積効率は、0.80以上、0.85以上、又は0.90以上でさえあってもよく、一方、周囲の状態に対する膨張機の容積効率は1.0以上、1.1以上、あるいは1.2以上でさえあってもよい。
分割サイクルエンジンを動作させる方法も開示されている。分割サイクルエンジンは、クランクシャフト軸線の回りに回転可能なクランクシャフトと膨張機排気量を有する膨張機を含んでいる。膨張機は、膨張シリンダ内に摺動自在に収容され、クランクシャフトに作動可能に連結された膨張ピストンであって、クランクシャフトの単一の回転の間に膨張ストロークと排気ストロークを通して往復動するような膨張ピストンを含んでいる。分割サイクルエンジンはまた、圧縮機排気量を有する圧縮機を含んでいる。圧縮機は、圧縮シリンダ内に摺動自在に収容され、クランクシャフトに作動可能に連結された圧縮ピストンであって、クランクシャフトの単一の回転の間に吸気ストロークと圧縮ストロークを通して往復動するような圧縮ピストンを含んでいる。クロスオーバー通路は、圧縮シリンダ及び膨張シリンダを相互に接続している。クロスオーバー通路は、その中に配置された少なくともクロスオーバー膨張バルブを含んでいる。吸気マニホールドは、圧縮シリンダに接続している。昇圧装置は、吸気マニホールドに接続されており、吸気マニホールドにブースト圧レベルを提供するように作動可能である。吸気バルブは、吸気マニホールドと圧縮シリンダの間に配置され、その両者間の流体の連通を制御するように作動可能である。本発明による方法は、以下のステップを含んでいる。圧縮機の排気量を膨張機排気量の90%以下となる大きさにすること、昇圧装置から吸気マニホールドに1.7バール絶対以上のブースト圧レベルを分配すること、吸気マニホールドの状態に対する圧縮機容積効率が0.75以上であるように吸気バルブの閉じをタイミング付けること、及び圧縮機の排気量及びや過給圧レベルの組み合わせが、周囲状態に対する0.90以上の膨張機の容積効率を提供するように、膨張機の排気量に対しての圧縮機の排気量の大きさにすることである。
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、添付図面と共になされる本発明の以下の詳細な説明から理解されるであろう。
従来技術の分割サイクルエンジンの断面図である。 遅期の吸気バルブの閉じで実行された従来のミラーサイクルエンジンについての先行技術の圧力対容積線図のグラフ図解である。 早期の吸気バルブの閉じで実行された従来のミラーサイクルエンジンについての先行技術の圧力対容積線図のグラフ図解である。 本発明に係るターボ過給分割サイクルエンジンの例示的な実施形態の横断面図である。 燃料インジェクターが重畳された、図3の3-3線を通って取られた分割サイクルエンジンの断面平面図である。 1.7バール絶対圧の固定ブーストで圧縮機のストローク長さの関数としての、ブレーキ燃料消費率(BSFC)、ブレーキ平均有効圧力(BMEP)及び容積効率(Vol_Eff)のグラフ図解である。 エンジン全負荷でエンジン速度4000rpmにおいて、1.7バール絶対圧、2.0バール絶対圧、及び2.3バール絶対圧のブーストレベルでの圧縮機ストローク長さの関数としての、分割サイクルエンジンの圧縮機及び膨張機の容積効率のグラフ図解である。 ピストン圧縮についての温度と圧力に対してピストン圧縮に続くターボ圧縮についての温度と圧力を比較したグラフ図解である。 1400rpmのエンジン速度(低速)と4000rpmのエンジン速度(高速)での高及び低効率ターボチャージャーのブーストレベルの関数としての、全体的なターボチャージャー効率想定のグラフ図解である。 図8の低効率ターボチャージャー及び高効率ターボチャージャーについて、1400 rpmのエンジン速度でのブーストレベル(及び対応する圧縮機のストローク長さ)の関数としてのブレーキ平均有効圧力(BMEP)と燃料消費率(BSFC)のグラフ図解である。 図8の低効率ターボチャージャー及び高効率ターボチャージャーについて、4000 rpmのエンジン速度でのブーストレベル(及び対応する圧縮機のストローク長さ)の関数としてのブレーキ平均有効圧力(BMEP)と燃料消費率(BSFC)のグラフ図解である。 3バール絶対圧以下のブーストでエンジンの全負荷時における、エンジン速度の関数としてのブレーキ平均有効圧力(BMEP)、圧縮シリンダのピーク圧力、及び膨張シリンダのピーク圧力のグラフ図解である。
本明細書で使用される略語及び用語の定義の以下の用語集が、参照及び明確化のために提供されている。
バール(Bar): 圧力の単位であり、1バール= 105 N/m2である。
バール絶対圧(Bar-abs): 完全な真空を基準にしての圧力であり、すなわち、標準大気圧は1.013バール絶対圧に等しい。
BMEP: ブレーキ平均有効圧力である。用語「ブレーキ」は、摩擦及び寄生損失(FMEP)が計上された後のクランクシャフト(出力軸)に分配されるときの出力を指している。ブレーキ平均有効圧力(BMEP)は、平均有効圧力(MEP)の値で表現されたエンジンのブレーキトルク出力である。BMEPは、エンジン排気量で除されたブレーキトルクに比例する。これは、摩擦による損失が取られた後の性能パラメータである。したがって、BMEP=IMEP-FMEPである。摩擦、この場合には、摩擦平均有効圧力(すなわちFMEP)として知られているMEPの値で通常は表されている。この定義では、典型的な摩擦の値(損失)はFMEPの正の値であり、換言すると、正のFMEPは、クランクシャフトに与えられる仕事の正味の減少となる。
ブースト又はブースト圧力レベル: ターボチャージャーのような昇圧装置からのバール絶対圧での吸気マニホールド圧力である。
ブレーキ燃料消費率(BSFC): 往復動エンジン内の燃料効率の尺度である。それは生成されたブレーキ出力で除された燃料消費の割合であり、典型的にはキロワット時当たりのグラム(g /(kW-hr))の単位で表される。BSFCもまた、出力燃料消費率と考えることができる。
分割サイクルエンジンの圧縮機: 分割サイクルエンジンの運転サイクルのための圧縮ストローク中に、少なくとも1つの共通の膨張シリンダに圧縮空気を供給する圧縮シリンダと関連するピストンの総数をいう。典型的には、分割サイクルエンジンの圧縮機は、単一の圧縮シリンダとそれに関連付けられた圧縮ピストンを含んでいる。しかしながら、圧縮機が複数の圧縮シリンダとピストンとを含むことも可能である。
分割サイクルエンジンの圧縮機排気量: 圧縮機の各圧縮シリンダが組み合わされた合計排気量(Vd)である。
従来の、又は分割サイクルのシリンダの排気量(Vd): ピストンがその下死点位置からその上死点位置に移動するとき、エンジンのシリンダ内でピストンによって排気される量である。
従来のエンジンの有効圧縮比: シリンダのピストンがその上死点位置にあるときのシリンダ内の容積に対しての、シリンダのピストンがその吸気バルブの閉じる位置にあるときの従来のエンジンのシリンダ内の容積の比率である。
分割サイクルエンジンの膨張機: 分割サイクルエンジンの運転サイクルのための膨張ストロークの間に、少なくとも1つの共通の圧縮シリンダからの圧縮空気を受ける膨張シリンダ及び関連するピストンの総数である。典型的には、分割サイクルエンジンの膨張機は、単一の膨張シリンダとそれに関連付けられた膨張ピストンを含んでいる。しかしながら、膨張機が複数の膨張シリンダとピストンを含むことも可能である。
分割サイクルエンジンの膨張機排気量: 膨張機の各膨張シリンダの組み合わされた合計排気量(Vd)である。
FMEP: 摩擦平均有効圧力である。エンジンフリクションと寄生損失を克服するために必要とされる理論的な平均有効圧力である。摩擦のために失われた平均有効圧力損失と考えることができる。この議論のために定めると、摩擦損失は正のFMEPの値であるということである。
全(100%)エンジン負荷: エンジンが所定の速度で生成することができる最大トルクである。
従来エンジンの幾何学的な圧縮比: 従来のエンジンのシリンダのピストンがその上死点位置にあるときのシリンダ内の容積に対する、シリンダのピストンがその下死点位置にあるときのシリンダ内の容積の比である。
従来エンジンの幾何学的な膨張比: 圧縮及び膨張のストロークが同一のシリンダ内に含まれている従来のエンジンについては、圧縮比と膨張比は同一である。
図示の(Indicated): 摩擦損失が考慮される前に、ピストンの頂部に分配される出力を指す。
図示平均有効圧力(IMEP): シリンダ圧力から計算される平均有効圧力である。IMEPはまたPV曲線の内側の領域の積分であり、排気量で除された図示エンジントルクに比例する。実際には、全ての図示されたトルクと出力の値は、このパラメータからの派生である。
IVC: 吸気バルブの閉じ、すなわち、吸気バルブの閉じる事象。圧縮ピストンの下死点(BDC)に関連しての吸気バルブの閉じるタイミングである。早期吸気バルブの閉じは、BDC前の吸気バルブの閉じであり、遅期吸気バルブの閉じはBDC後の吸気バルブの閉じである。
ノック: 空気/燃料混合物の圧縮中での自己着火の傾向である。
ノックフラクション(また、一般にノックインデックス又はノックマージン又はノック数と呼ばれる): 圧縮中に特定の空気/燃料混合物が自己着火に到達する傾向の相対的な指標を提供する予測パラメータである。自己着火は、通常、「1」の値のノックフラクションで表され、一方、自己着火する傾向が無いのは、通常ゼロのノックフラクションで表される。例えば、0.8のノックフラクションは、自己着火のための物理的及び化学的状態の前提が自己着火を生成するために必要な値の80%に達したことを示す。
mm: ミリメートル。
寄生損失: アクセサリーや補助装置を動作させるためにエンジンが被ったエネルギーの損失である。これは、ポンプや電気発生装置などの物品を駆動するためのエネルギーを含んでいる。エンジンのブレーキ出力は、これらの損失によって減少される。
出力密度(すなわち比出力): エンジン排気量当りのブレーキ出力(クランクシャフトで発生された出力)であり、通常、キロワット/リットル又は馬力/リットルで表される。
RICE:往復動内燃機関である。往復動するピストンと内燃プロセスを有する任意のエンジンであり、従来のエンジン又は分割サイクルエンジンのいずれであってもよい。
RPM(rpm): 毎分回転数である。
分割サイクルエンジンの排気量: 分割サイクルエンジンの圧縮機と膨張機の排気量の合計である。
ターボ: ターボチャージャーである。
従来の、又は分割サイクルの容積効率: Vol_Effと略称される。基準位置と同じ圧力及び温度の空気で満たされた場合に、シリンダの排気容積に捕捉される空気の理論上の質量(マス)に比べての、サイクルの閉じ部分の間にシリンダ内に捕捉された空気の実際の質量(マス)の比である。基準位置は、通常、周囲の状態(すなわち、大気の温度と圧力での空気)又は吸気マニホールドの状態(吸気マニホールドの温度及び圧力での空気)のどちらかである。容積効率は以下の式で定義され得る:Vol_Eff= ma/(da*Vd)、ここで「ma」は、サイクル当たりにシリンダ内に捕捉された空気の質量(マス)であり、「da」は基準状態での空気の密度であり、そして「Vd」は本明細書で定義されているシリンダ排気量である。
分割サイクルエンジンの圧縮機の容積効率: 基準位置と同じ圧力及び温度の空気で満たされた場合に、圧縮機の排気容積に捕捉される空気の理論上の質量(マス)に比べての、サイクルの閉じ部分の間に圧縮機に捕捉された空気の実際の質量(マス)の比である。
分割サイクルエンジンの膨張機の容積効率: 基準位置と同じ圧力及び温度の空気で満たされた場合に、膨張機の排気容積に捕捉される空気の理論上の質量(マス)に比べての、サイクルの閉じ部分の間に膨張機に捕捉された空気の実際の質量(マス)の比である。
XOVER(Xovr):クロスオーバー。
図面の図3及び図4を詳細に参照すると、符号50は、本発明による分割サイクルエンジンの例示的な実施形態を概略的に示している。図に示すように、エンジン50は、クランクシャフト軸線54の回りに時計回り方向に回転可能なクランクシャフト52を含んでいる。クランクシャフト52は、角度的に変位された隣接する先導及び従動のクランクスロー56,58を含み、それぞれはコネクティングロッド60,62に連結されている。
エンジン50は、隣り合うシリンダの対、すなわち、クランクシャフト52の反対側のシリンダの一端部においてシリンダヘッド70によって閉じられている圧縮シリンダ66と膨張シリンダ68を画成するシリンダブロック64をさらに備えている。
圧縮ピストン72は、圧縮シリンダ66内に収容され(それによって圧縮機(66、72)を定めている)、上死点(TDC)と下死点(BDC)の位置の間でのピストンの往復動のためにコネクティングロッド62に連結されている。膨張ピストン74は、膨張シリンダ68内に収容され(それによって膨張機(68、74)を定めている)、そして同様のTDC/BDCの往復動のためにコネクティングロッド60に連結されている。この実施形態では、膨張ピストン74が20度のクランク角の分、圧縮ピストン72に先行している。換言すると、圧縮ピストン72は、膨張ピストン74がそのTDC位置に到達した後の20度のクランクシャフトの回転で、そのTDC位置に達する。
図面に示された実施の形態は、1つだけの膨張シリンダを含む膨張機にクロスオーバー通路によって接続された、1つだけの圧縮シリンダを含む圧縮機を示しているが、圧縮機は、関連付けられ、及び膨張機に接続された複数の圧縮シリンダを含み、及び/又は膨張機は、関連付けられ、及び圧縮機に接続された複数の膨張シリンダを含んでもよいことが理解されるべきである。しかしながら、簡潔化の目的のために、以下の説明は、単一の膨張シリンダを有する膨張機と対の単一の圧縮シリンダを有する圧縮機に言及する。
以下により詳細に説明されるように、圧縮機の排気量(Vd)は膨張機の排気量(Vd)よりもかなり小さい。より具体的には、圧縮機の容量は、膨張機の排気量の90%、80%、75%、又は70%以下であってもよい。従って、ガスは、ミラーサイクル運転を可能にするために、圧縮ストロークで圧縮されるよりも膨張ストロークにおいてより多く膨張される。
シリンダヘッド70は、シリンダ66,68内への、外への、及びその間でのガスの流れのための構造を提供している。ガスの流れの順において、シリンダヘッドは、吸気がそれを通して圧縮シリンダ66内に引き込まれる吸気マニホールド(又は吸気ポート)76、圧縮空気が圧縮シリンダ66から膨張シリンダ68に移送される、一対の個別のクロスオーバー(Xovr)通路(又はポート)78及び79、及び消費されたガスが膨張シリンダから排出される排気ポート80を含んでいる。
圧縮シリンダ66へのガスの流れは、内側に開くポペット型の吸気バルブ82によって制御される。クロスオーバー通路78、79の各々への及び各々からのガスの流れは、一対の外側に開くポペット型のバルブ、すなわち、クロスオーバー通路78、79の入口端部におけるクロスオーバー圧縮(XovrC)バルブ86及びクロスオーバー通路78、79の出口端部におけるクロスオーバー膨張(XovrE)バルブ88によって制御されている。排気ポート80からの排気ガスの流れは、内側に開くポペット型の排気バルブ94によって制御される。これらのバルブ82、86、88及び94は、機械的に駆動されるカム、可変バルブ作動技術等のような任意の適切な方法で作動させることができる。
各クロスオーバー通路78、79は、その内部に配置された少なくとも1つの高圧燃料インジェクター96を有している。当該燃料インジェクター96は、クロスオーバー通路78、79内の圧縮空気の充填物に燃料を噴射するように動作する。
エンジン50はまた、膨張シリンダ内の適切な場所に位置された1つ又は複数のスパークプラグ98又は他の着火装置を含み、混合された燃料と空気の充填物が着火され、膨張ストローク中に燃焼され得る。
エンジン50はまた、シリンダの吸気充填圧力を、1.7バール絶対圧以上(例えば、2バール絶対圧、2.3バール絶対圧、2.5バール絶対圧、3バール絶対圧以上)に上昇させることができるターボチャージャー100、スーパーチャージャー又は同様のもののような昇圧装置を含んでいる。この実施形態では、ターボチャージャー100は、ロータリーコンプレッサー104を駆動する排気タービン102を含んでいる。タービンは、エンジン50の排気ポート80から加圧された排気ガスを受け取るべく接続されている排気ガス入口106を有している。タービン102は、コンプレッサー104を駆動するために排気ガスの廃エネルギーを利用し、コンプレッサー104は空気入口108を介して大気圧下で周囲の空気を吸い込み、そして圧縮空気出口110を介して加圧された空気を排出する。圧縮された空気はインタークーラー112を通過し、大気圧よりも高く昇圧された絶対圧力で圧縮シリンダ66の吸気マニホールド76に入る。
ターボチャージャー100はインタークーラーと相まって単段デバイスとして示されているが、他のタービンシステムも、本発明の範囲内であることを理解すべきである。したがって、昇圧装置は、複数の過給段階を含むことができ、複数段のインタークーラーに結合されてもよい。このようなターボチャージャーシステムの例としては、これらに限定されないが、2段階システム、並列シーケンシャルシステムや変調シリーズシーケンシャルシステムを含む。昇圧装置は、昇圧装置が吸入空気の圧力を大気圧以上の一定量に増加させることが可能である限り、特定の構造に特に限定されない。
現在の分割サイクルエンジン50では、ターボチャージャー100は圧縮の初期作業を行うために廃熱エネルギー(そうでなければ、大気中に廃棄されるエネルギー)を使用している。これは、自然吸気分割サイクルエンジンが所与の空気充填物のために達成するであろう圧縮終わりの制約(例えば、ピークシリンダ圧力、温度、ノックフラクション等)に到達するのに、エンジン50の圧縮ピストン72によって必要とされる全仕事を低減する。
したがって、その所定の制約(ピークシリンダ圧力、ノックフラクション等)の制限内でエンジン50を運転させながら、ターボチャージャーシステム100からのブーストを大きくすればするほど、全体的な圧縮仕事負荷が圧縮機66、72からより多くターボチャージャーのコンプレッサー104にシフトされ得る。結果として、膨張機68に対する圧縮機66の大きさは、エンジンの運転上の制約を超えずにブースト圧を増大することでもって徐々に低減することができる。この膨張機に対する圧縮機の小型化は、ミラー因子(すなわち、圧縮ストローク中のガスの圧縮に対しての膨張ストローク中のガスの膨張の比)を大幅に増加させ、それ故に、ブレーキ平均有効圧力(BMEP)を増加させ、ブレーキ燃料消費率(BSFC)を減少させる。
膨張機排気量に対して圧縮機排気量を減少させることは、吸気バルブ82を最適に捕捉された質量(マス)状態(すなわち、75%、80%、85%、90%以上の吸気マニホールド状態に対して最適な圧縮機容積効率)又はそれに近い状態にまだ閉じながら、ミラーサイクル運転を可能にする。ミラーサイクル運転の結果をもたらすために圧縮シリンダ66を小型化すると、同じミラーサイクル運転を実行するために早期又は遅期の吸気バルブの閉じを採用している従来のミラーサイクルエンジンに比べて、減少されたポンプ仕事に帰する。ポンプ仕事の低減は、分割サイクルエンジン50の運転サイクルにおける高いピストン72(したがって、空気)速度の期間中に、吸気バルブ82を閉じることの回避によるものである。対照的に、吸気バルブがミラー運転のために徐々により遅く又はより早く閉じるとき(すなわち、圧縮機容積効率が次第に悪化するとき)は、ピストン速度とポンピング損失は、従来のエンジンにおいては大幅に増加するであろう。結果として、分割サイクルエンジン50は、従来のエンジンよりもより積極的なミラー因子運転と利点を達成することができる。
加えて、分割サイクルエンジンでミラー運転を実現するために、圧縮機を小型化することは、圧縮機の排気量の一部を浪費しない。これに反して、全負荷時のミラー運転用に従来のエンジンを設定するためには、そのシリンダがその膨張ストロークの全排気量に対応できる大きさとされねばならず、その排気量の一部を圧縮ストローク中の早期もしくは遅期の吸気バルブの閉じに対応するために必然的に無駄にしなければならない。結果として、分割サイクルエンジンでの圧縮機の排気量の減少は、ミラーサイクル運転を伴う従来のエンジンに比べて概ねより高いブレーキ平均有効圧力(BMEP)を提供する。
図5に示されるように、最適なパフォーマンスのためには、圧縮機の排気量にブーストを一致させるように注意が払われなければならない。不十分なブースト及び/又は圧縮機排気量は、図5の左側に向かって示されるように、膨張機の充填不足に帰する。膨張機の容積効率が、望ましくなく低く(すなわち、周囲状態に対して測定されたとき0.90より下)なった場合、パフォーマンスは最適でないことが見出されている。膨張機の容積効率が低すぎる場合には、それは、圧縮機が膨張機を満たすには十分な排気量を有していなかったこと、及びエンジン性能が低下するであろうことを示している。具体的には、エンジンで用いられている運転上の制約の範囲内での所与の昇圧レベルについて、図5に示されるように、分割サイクルエンジンは、圧縮機と膨張機の両方の容積効率が最適又はその近くにあるときに、最も効率的である。
図5において、ターボチャージャー100は、エンジン50の吸気マニホールド76へ1.7バール絶対圧の一定のブーストを提供するように設定され、及び吸気バルブ82の閉じ(IVC)タイミングが、膨張シリンダ68のピークシリンダ圧力(PCP)の制約が所定の最大値を超えるのを防止するために利用されている。加えて、圧縮機(66、72)と膨張機(68、74)は、87mmの固定されたボア径を有するように設定され、膨張機はまた87mmの固定のストローク長さを有するように設定されている。圧縮機のストローク長さは、50mmから90mmに変化された(すなわち、圧縮機の排気量が、圧縮ピストン72のストローク長さの大きさを変えることにより変化された)。
図5の上のグラフ120は、圧縮機のストローク長さの関数としてのブレーキ燃料消費率(BSFC)を示している。図5の中央のグラフ122は、圧縮機のストローク長さの関数としてのブレーキ平均有効圧力(BMEP)を示している。図5の下の二つのグラフ124、126は、圧縮機のストローク長さの関数としての容積効率を示し、圧縮機の容積効率126は吸気マニホールド状態を基準とされ、そして膨張機の容積効率124は周囲状態を基準とされている。
50mmの圧縮機のストローク長さでは、圧縮機(66、72)の排気量は膨張機(68、74)の排気量のわずか57%(すなわち、50mm/87mm=0.57)である。この小型化された圧縮機の排気量では、吸気バルブ82は、エンジン50が膨張機シリンダ68のピーク圧力限界より下で良好に運転を継続しながら、最大限の容積効率を提供するように作動することができる。すなわち、吸気バルブ82は、最適に(すなわち最大に)捕捉された質量(マス)状態で閉じるようにタイミング付けられ、そこで吸気マニホールド76の状態(理論容積効率の上限は1.00である)を基準としたとき、圧縮機の容積効率は約0.92である。
しかしながら、50mmのストロークでは、0.92の最大の容積効率で動作している場合であっても、このブーストレベルで膨張機を十分に満たすには圧縮機の大きさが小さすぎる。結果として、周囲の状態を基準としたときに0.85(ここで、0.90以下の膨張機の容積効率は望ましくないと考えられている)の値を有する膨張機の容積効率は、容認できないほど低い。したがって、望ましくはないが、BMEPは約10.8バール(グラフ122)に低下し、BSFCは約285g/kW-hr(グラフ120)に上昇する。
図5を参照するに、圧縮機ストローク長さが50から65mmまで上がるとき、吸気バルブ82は最適に捕捉された質量(マス)状態で閉じ続け、そして圧縮機は、0.92の最大容積効率で動作し続ける。加えて、圧縮機のストロークが50から65mmまで増加するにつれて、膨張機は圧縮機からより大きな量の充填空気を受け取るので、膨張機の容積効率は0.85から1.10に増加する。膨張シリンダ68のピーク圧力は、膨張機の容積効率が1.10に達するときのピーク圧力の所定の限界が達成されるまで、膨張機の容積効率が増加するにつれて継続的に上昇する。
65mmの圧縮機ストローク長さでの、圧縮機の排気量は、膨張機の排気量の75%(すなわち、65mm/87mm=0.75)である。この膨張機の容積に対する圧縮機の容積の比において、エンジン50の運転状態は次の通りである。
1) ブースト圧は1.7バール絶対圧、
2) 圧縮機の容積効率は、吸気マニホールドの状態に対して0.92に最大化され、
3) 膨張機の容積効率は、周囲の状態に対して1.10に最大化され、そして
4) 膨張機のピーク圧力は、その所定の最大限界である。
本質的に、1.7バール絶対圧の与えられた昇圧レベルに対して、膨張シリンダの所定のピーク圧力限界の範囲内で動作しながら、吸気マニホールドの状態に対しての0.92の最適な圧縮機の容積効率を提供するために吸気バルブ82はタイミング付けられ、周囲の状態に対しての1.10の最大の膨張機の容積効率を提供するために、圧縮機の排気量は膨張機の排気量の75%になるような大きさにされている。これらの最適化されたパラメータの下では、ミラーサイクル運転が最も有益であり、そしてエンジン50は、12.8バールのピークBMEPと282g/ KW-hrの最小BSFCで作動する。
分割サイクルエンジン50(及び概略的に分割サイクルエンジン)は、理想的な運転パラメータ未満で機能することができ、そしてミラーサイクル運転から大きな利益を得ることができることに留意すべきである。しかしながら、ミラーサイクル運転の利点が分割サイクルエンジンで実用的な意義を有するためには、次の閾エンジン運転パラメータが満たされるか、それが超えられねばならない:
1)昇圧装置は、1.7バール絶対圧以上のブースト圧力レベルを吸気マニホールドに提供するように作動可能であること、
2)吸気バルブの閉じ事象が、吸気マニホールドの状態に対する0.75以上の圧縮機の容積効率を提供するべくタイミング付けられていること、そして
3)圧縮機の排気量は、圧縮機の排気量とブースト圧力レベルの組み合わせが、周囲の状態に対する0.90以上である膨張機の容積効率を提供するように、膨張機の排気量に見合った大きさにされていることである。
膨張機の容積効率は、主に二つのパラメータ、すなわち、吸気マニホールドへのブースト圧力レベルと膨張機の排気量に対する圧縮機の排気量とに依存していることにも留意すべきである。膨張機を満たし、そして必要な膨張機の容積効率を達成するために適切な空気質量(マス)を提供しているのは、主にブースト圧レベルと圧縮機の排気量の組み合わせである。
65mmを越える圧縮機ストロークについて図5を再び参照すると、所定のピーク膨張シリンダ圧力を超えることなく、0.92の最大の圧縮機容積効率を維持するためには、圧縮機が膨張機に対して大き過ぎることになる。したがって、膨張機の容積効率を維持し、そして膨張シリンダのピーク圧力がその限界を超えることを防止するために、吸気バルブ82は、圧縮機のストロークが増加するにつれ圧縮機の容積効率を犠牲にするように、それに応じて、より早く又はより遅くのいずれかで閉じられねばならない。結果として、BSFC及びBMEPの両方が悪化する。例えば、90mmの圧縮機ストローク長さでは、BSFCは282g/ kW-hrから最大値の305g/ kW-hrに上昇し、そしてBMEPは12.8バールから10バールの最低に落ちている。
図6は、4000rpmの全負荷状態でミラーサイクル運転中での種々のブーストレベルについて、ガソリンを燃料とする分割サイクルエンジン50の容積効率特性を示す。この場合における制限的制約は、ガソリンエンジンの場合に、ピーク膨張シリンダ圧力が越えられる前に典型的には越えられるノックフラクションとなるべく選択された。前と同じように、エンジン50の圧縮機(66、72)と膨張機(68、74)は共に87mmの固定ボア径を有するように設定され、そして膨張機はまた、87mmの固定ストローク長さを有するように設定された。従って、圧縮機の排気量は、圧縮ピストン72のストローク長さの大きさを変えることにより変更された。
図5に示された場合とは異なり、吸気バルブ82の吸気バルブの閉じ(IVC)タイミングは変更されなかったということに注意することが重要である。むしろ、IVCタイミングは、ブーストレベルや圧縮機の排気量にかかわらず0.90以上に圧縮機効率を最大化するべくその最適に捕捉された質量(マス)状態に固定された。
図6を参照するに、圧縮機ストローク長さに対して、3対の圧縮機と膨張機の容積効率グラフがプロットされている。各々の圧縮機容積効率グラフ132、136、140は吸気マニホールドの状態を基準にしており、各々の膨張機容積効率グラフ130、134、138は、周囲の状態を基準にしている。グラフ132及び130は、60mmから80mmの圧縮機のストローク範囲で、1.7バール絶対圧のブーストレベルについて、圧縮機(66、72)と膨張機(68、74)の容積効率をそれぞれ示している。グラフ136及び134は、55mmから70mmの圧縮機のストローク範囲で、2.0バール絶対圧のブーストレベルについて、圧縮機(66、72)と膨張機(68、74)の容積効率をそれぞれ示している。グラフ140及び138は、45mmから65mmの圧縮機のストローク範囲で、2.3バール絶対圧のブーストレベルについて、圧縮機(66、72)と膨張機(68、74)の容積効率をそれぞれ示している。
上記の各ケースでは、各ブーストレベル、すなわち、1.7、2.0及び2.3バール絶対圧について同一の所定のノックフラクション限界(142、144及び146)が到達されるまで、圧縮ストロークが掃引された。1.7バールのブーストでは、ノックフラクション限界142は約77mmの圧縮ストローク長さと約1.28の膨張機の容積効率で到達された。2.0バールのブーストでは、ノックフラクション限界144は約68mmの圧縮ストローク長さと約1.37の膨張機の容積効率で到達された。2.3バールのブーストでは、ノックフラクション限界146は約62mm圧縮ストローク長さと約1.43の膨張機の容積効率で到達された。
ガソリン分割サイクルエンジン50の次の3つの重要な特性が、図6に示されたグラフのファミリィ(130、132、134、136、138及び140)から導きだされる。
1) 最大に捕捉された質量(マス)状態で吸気バルブを閉じて運転する場合は、圧縮機の容積効率(132、136、140)は、ブーストレベルや圧縮機の大きさに関係なく、本質的に一定のままである。
2) 同一のノックフラクション限界(142,144及び146)については、ブーストレベルが増加(1.7から2.0から2.3バール絶対圧)するにつれ、圧縮機の大きさはそれぞれ減少(77mmから68mmから62mm)する。
3) 同一のノックフラクション限界(142、144及び146)について、膨張機の容積効率(130、134及び138)は、圧縮機の大きさが減少しているにもかかわらず、ブーストの増加に伴い増加している(1.28から1.37から1.43へ)。結果として、膨張機の容積効率が増加しているので、質量(マス)空気と燃料の流れもまた増加しなければならず、それ故に、比出力もまた増加する。
図7を参照するに、温度対圧縮比較がミラー運転を利用した本分割サイクルエンジンのもう一つの利点を示している。グラフ150は、温度に対する、純粋なピストン圧縮装置(すなわち、自然吸気で、ミラー運転なし、ターボチャージャーなし)を有する分割サイクルエンジンの圧縮シリンダ内の圧縮圧力を示している。グラフ152は、温度に対する、ピストン圧縮に先立ってターボ過給及び中間冷却(すなわち、ミラー運転)の装置を有する分割サイクルエンジンの圧縮シリンダ内の圧縮圧力を示している。当該ターボ過給/中間冷却装備のグラフ152の結果は、純粋なピストン圧縮のグラフ150の圧縮圧力の終端における温度に比べて著しく低い最終温度に帰している。例えば、40バール絶対圧の圧縮圧力の終わりでは、ターボ過給/中間冷却装備の圧縮シリンダ内の温度は、グラフ152に示すように、約475℃である一方、純粋なピストン圧縮装置の圧縮シリンダ内の温度は、グラフ150に示すように、約550℃である。
この低い温度の利点は、ターボ過給/中間冷却装備のミラーサイクルエンジンにとって、従来の、又は分割サイクルであるかによらず、一般的に事実である。しかしながら、従来のエンジンよりもより積極的なミラー因子運転を活用するための、前述した分割サイクルエンジンの能力は、分割サイクルエンジンが、従来のエンジンよりも全体の圧縮過程のより後半に中間冷却することを可能にしており、その結果、同じ圧力について従来のミラーサイクルエンジンの圧縮終了温度よりも低い温度に帰している。
図8から10は、本分割サイクルエンジン50でのミラーサイクルの性能向上においてのターボチャージャー効率の効果を示している。図8は、1400RPMと4000rpmの2つのエンジン速度での低効率及び高効率のターボチャージャーシステムについてのブーストレベルの関数として、全体的なターボチャージャー効率の代表値を示している。これらのターボチャージャー効率の見積もりは、ミラー分割サイクルエンジンの以下のサイクル分析に使用された。より具体的には、グラフ160は、1400RPMでの楽観的な全体のターボチャージャー効率の見積りを表し、そしてグラフ162は1400rpmでの悲観的な全体のターボチャージャー効率の見積もりを表している。加えて、グラフ164は、4000RPMでの楽観的な全体のターボチャージャー効率を表し、そしてグラフ166は、4000rpmでの悲観的な全体のターボチャージャー効率の見積りを表している。
全てのターボチャージャーシステムは独自のものであるが、ターボチャージャーシステムの(1400RPMのような)低い速度での全体的なターボチャージャー効率は、同じターボチャージャーシステムの(4000RPMのような)より高いエンジン速度での全体的なターボチャージャー効率と同じ程度には発散しないと概略的に言うことができる。これは、図8に示されており、ここでは、1400rpmでの全体的な効率は、高く推定された効率のターボチャージャーグラフ160と低く推定された効率のターボチャージャーグラフ162の両方について、1.7バールブーストから2.9バールブーストの全ブースト範囲にわたる値において、比較的近くに留まっている。例えば、効率は、グラフ162と160のそれぞれで1.7バールのブーストでは約47と53の間で変化し、効率はグラフ162と160のそれぞれで2.9バールのブーストでは約46と52の間で変化している。
これとは対照的に、4000rpmでの全体的なターボチャージャー効率は、高く推定された効率の場合のグラフ164と低く推定された効率の場合のグラフ166の間でブースト範囲にわたり顕著な相違を有している。例えば、グラフ166と164で1.7バール及び2.0バールのブーストの間での効率はほぼ同じである。しかしながら、2.0バールのブーストを超えると、グラフ166と164は、それらが2.9バールブーストに到達し、高く推定された効率のターボチャージャーについての全体的な効率が約48(グラフ164)である一方、低く推定された効率のターボチャージャーの全体的な効率が約32であるときまで実質的に発散する。これらの全体的なターボチャージャー効率とそれぞれの発散は、エンジン50のようなターボ過給のミラー分割サイクルエンジンにおいて、図9及び10に示されるように、エンジン性能に大きな影響を与える。
図9は、図8に例示した高効率及び低効率のターボチャージャーの両方について、ブーストレベルの同じ範囲にわたっての、低いエンジン速度(1400rpm)、かつ全負荷での(BMEPとBSFCに関しての)エンジン性能を示している。固定のノックフラクションを維持するために、対応するブーストレベルとの組み合わせで必要とされる圧縮機のストロークの長さ(すなわち、圧縮機の大きさ)もまた、x-軸に重ねて表示されている。より具体的には、グラフ170は1400RPMにおける高効率ターボチャージャーについてのBMEPを示し、そしてグラフ172は1400rpmにおける低効率ターボチャージャーについてのBMEPを示している。また、グラフ174は1400rpmにおける高効率ターボチャージャーについてのBSFCを示し、そしてグラフ176は1400RPMでの低効率ターボチャージャーについてのBSFCを示している。高効率ターボチャージャーと低効率ターボチャージャーとの両方の1400rpmにおける全体的なターボチャージャー効率は、1.7バールのブーストから2.9バールのブーストのブースト範囲にわたり(図8のグラフ160及び162に示されたように)互いにかなり近接して跡をたどっているので、図9のBSFC曲線174,176及びBMEP曲線170、172もまたそうであると分かる。
図10は、図8に例示した高効率及び低効率のターボチャージャーの両方についてブーストレベルの同じ範囲にわたって、高いエンジン速度(4000RPM)、かつ全負荷での(BMEPとBSFCに関しての)エンジン性能を示している。固定のノックフラクションを維持するために、対応するブーストレベルとの組み合わせで必要とされる圧縮機のストロークの長さ(すなわち、圧縮機の大きさ)もまた、x-軸に重ねて表示されている。より具体的には、グラフ180は4000rpmにおける高効率ターボチャージャーについてのBMEPを示し、グラフ182は4000rpmにおける低効率ターボチャージャーについてのBMEPを示している。また、グラフ184は、4000RPMでの高効率ターボチャージャーについてのBSFCを示し、グラフ186は4000RPMで低効率ターボチャージャーについてのBSFCを示している。
1.7から2.0バールのブーストの範囲内で、高効率ターボチャージャーと低効率ターボチャージャーの両方の4000rpmでの全体的なターボチャージャー効率は、(図8のグラフ164及び166に示されるように)、互いかなり近接して跡をたどる。結果として、図9のBSFC曲線184,186及びBMEP曲線180、182はまた、1.7から2.0バールの同じブースト範囲にわたり互いにかなり近接して跡をたどる。
しかしながら、2.0バールから2.9バールの高いブーストレベルにおいて、高効率ターボチャージャーと低効率ターボチャージャーの両方の4000rpmにおける全体的なターボチャージャー効率は(再度、図8のグラフ164及び166に示されたように)急速に発散する。従って、関連するBSFC曲線184,186及びBMEP曲線180、182もまた、2.0から2.9バールの同じブースト範囲で急速に発散する。
図9と10の更なる比較が、低い及び高いエンジン速度運転での圧縮機ストローク長さについての許容できるトレードオフは約55mmであることを明らかにしている。87mmの固定の膨張機ストローク長さに基づけば、圧縮機の排気量は膨張機の排気量の約63%(すなわち、55mm/87mm=0.63)である。図11に移るに、エンジン50は、55mmのストローク長を有する圧縮機と87mmのストローク長さを有する膨張機のための大きさにされている。圧縮機と膨張機の両方のボアの直径は87mmに固定された。エンジン速度は、全負荷で1400から4000RPMまで変えられ、そして3バール絶対圧以下のターボブーストが適用された。ターボチャージャーシステムの全体的な効率は、図8の低効率ターボチャージャーシステムのものであると仮定された(すなわち、1400RPMでグラフ162及び4000RPMでグラフ166)。
したがって、図11において、グラフ190は、1400から4000RPMの速度範囲の全体にわたるこの実施形態のエンジン50についての全負荷BMEPである。グラフ192は、速度範囲の全体にわたるバール絶対圧(左のy-軸から読み取られる)でのピーク膨張シリンダ圧力を示している。グラフ194は、速度範囲の全体にわたるバール絶対圧(また、左のy-軸から読み取られる)でのピーク圧縮シリンダ圧力を表している。一般的にエンジン速度とBMEPと共に増加する、得られた圧縮シリンダ66のピーク圧力と膨張シリンダ68のピーク圧力は、ほとんどのパフォーマンス向上スキームを提供するとき増加される膨張仕事の代わりに減少される圧縮仕事のせいで、増加されたBMEPを提供する積極的なミラー因子に起因して低い。例を挙げると、4000rpmのエンジン速度と約19バールのエンジンBMEPで、ピーク膨張シリンダ圧力は約94バール絶対圧であり、ピーク圧縮シリンダ圧力は約79バール絶対圧である。
一般的に、ピークシリンダ圧力が低ければ低いほど、エンジン性能と重量のためにはより有利である。したがって、3500RPM以上のエンジン速度と15バール以上のエンジンBMEPを有するガソリン分割サイクルエンジンのためには、120バール未満のピーク膨張シリンダ圧力を有することが望ましく、110バール未満のピーク膨張シリンダ圧力を有することがより望ましく、そして100バール未満のピーク膨張シリンダ圧力を有することが最も望ましい。さらに、3500RPM以上のエンジン速度と15バール以上のエンジンBMEPを有するガソリン分割サイクルエンジンのためには、100バール未満のピーク圧縮シリンダ圧力を有することが望ましく、90バール未満のピーク圧縮シリンダ圧力を有することがより望ましく、そして80バール未満のピーク圧縮シリンダ圧力を有することが最も望ましい。
ここに記載された本発明及び本発明の実施形態は、特定の燃料に限られない。当業者は、本発明が任意の往復動内燃機関(例えば、ガソリン、ディーゼル、天然ガス等)への適用に適した任意の燃料でもって利用され得ることを認識するであろう。
本発明が特定の実施例を参照して説明されたが、多数の変更が記載された本発明の概念の精神及び範囲内でなされ得ることが理解されるべきである。したがって、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の言語で定義された全範囲を有していることが意図されている。

Claims (32)

  1. クランクシャフト軸線の回りに回転可能なクランクシャフトと、
    膨張機の排気量を有する膨張機であって、膨張シリンダ内に摺動自在に収容されクランクシャフトに作動可能に連結された膨張ピストンであって、クランクシャフトの単一の回転の間に膨張ストロークと排気ストロークを通して往復動するような膨張ピストンを含む膨張機と、
    膨張機の排気量の90%以下である圧縮機の排気量を有する圧縮機であって、圧縮シリンダ内に摺動自在に収容されクランクシャフトに作動可能に連結された圧縮ピストンであって、クランクシャフトの単一の回転の間に吸気ストロークと圧縮ストロークを通して往復動するような圧縮ピストンを含む圧縮機と、
    圧縮シリンダ及び膨張シリンダを相互に接続するクロスオーバー通路であって、そこに配置された少なくともクロスオーバー膨張バルブを含むクロスオーバー通路と、
    圧縮シリンダに接続された吸気マニホールドと、
    吸気マニホールドに接続され、吸気マニホールドへ1.7バール絶対圧以上のブースト圧レベルを提供すべく作動可能である昇圧装置と、
    吸気マニホールドと圧縮シリンダとの間に配置され、その両者間の流体の連通を制御すべく作動可能な吸気バルブであって、吸気マニホールドの状態に対する0.75以上の圧縮機容積効率を提供するようにタイミング付けられた吸気バルブの閉じ事象を有する吸気バルブと、
    圧縮機の排気量とブースト圧レベルの組み合わせが周囲状態に対して0.90以上の膨張機容積効率を提供するように、膨張機の排気量に対した大きさにされている圧縮機の排気量と、
    を備えることを特徴とする分割サイクルエンジン。
  2. 圧縮機は、膨張機排気量の80%以下である圧縮機の排気量を有することを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  3. 圧縮機は、膨張機排気量の75%以下である圧縮機の排気量を有することを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  4. 圧縮機は、膨張機排気量の70%以下である圧縮機の排気量を有することを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  5. 昇圧装置は、吸気マニホールドに2.0バール絶対圧以上のブースト圧レベルを提供すべく作動可能であることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  6. 昇圧装置は、吸気マニホールドに2.3バール絶対圧以上のブースト圧レベルを提供すべく作動可能であることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  7. 昇圧装置は、吸気マニホールドに2.5バール絶対圧以上のブースト圧レベルを提供すべく作動可能であることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  8. 吸気バルブの閉じ事象が、0.80以上の吸気マニホールドの状態に対する圧縮機容積効率を提供するためにタイミング付けられていることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  9. 吸気バルブの閉じ事象が、0.85以上の吸気マニホールドの状態に対する圧縮機容積効率を提供するためにタイミング付けられていることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  10. 吸気バルブの閉じ事象が、0.90以上の吸気マニホールドの状態に対する圧縮機容積効率を提供するためにタイミング付けられていることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  11. 圧縮機の排気量は、圧縮機の排気量とブースト圧力レベルの組み合わせとが、1.0以上である、周囲状態に対する膨張機容積効率を提供するように、膨張機の排気量に合わせた相対的な大きさにされていることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  12. 圧縮機の排気量は、圧縮機の排気量とブースト圧力レベルの組み合わせとが、1.1以上である、周囲状態に対する膨張機容積効率を提供するように、膨張機の排気量に合わせた相対的な大きさにされていることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  13. 圧縮機の排気量は、圧縮機の排気量とブースト圧力レベルの組み合わせとが、1.2以上である、周囲状態に対する膨張機容積効率を提供するように、膨張機の排気量に合わせた相対的な大きさにされていることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  14. 昇圧装置は、2.0バール絶対圧以上のブースト圧レベルを吸気マニホールドに提供するべく作動可能であり、
    吸気バルブの閉じ事象は、0.80以上の吸気マニホールドに対する圧縮機容積効率を提供するべくタイミング付けられ、そして
    圧縮機の排気量は、圧縮機の排気量とブースト圧レベルの組み合わせとが、1.0以上である、周囲の状態に対する膨張機容積効率を提供するように、膨張機の排気量に相対的な大きさにされていることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  15. 昇圧装置は、2.3バール絶対圧以上のブースト圧レベルを吸気マニホールドに提供するべく作動可能であり、
    吸気バルブの閉じ事象は、0.85以上の吸気マニホールドに対する圧縮機容積効率を提供するべくタイミング付けられ、そして
    圧縮機の排気量は、圧縮機の排気量とブースト圧レベルの組み合わせとが、1.1以上である、周囲の状態に対する膨張機容積効率を提供するように、膨張機の排気量に相対的な大きさにされていることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  16. 昇圧装置は、ターボチャージャーであることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  17. 圧縮機は、複数の圧縮シリンダを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  18. 膨張機は、複数の膨張シリンダを備えていることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  19. クロスオーバー通路内に配置されたクロスオーバー圧縮バルブを含み、当該クロスオーバー圧縮バルブとクロスオーバー膨張バルブはその間に圧力室を形成していることを特徴とする請求項1に記載の分割サイクルエンジン。
  20. 分割サイクルエンジンを運転する方法であって、
    当該エンジンは、
    クランクシャフト軸線の回りに回転可能なクランクシャフトと、
    膨張機の排気量を有する膨張機であって、膨張シリンダ内に摺動自在に収容されクランクシャフトに作動可能に連結された膨張ピストンであって、クランクシャフトの単一の回転の間に膨張ストロークと排気ストロークを通して往復動するような膨張ピストンを含む膨張機と、
    圧縮機の排気量を有する圧縮機であって、圧縮シリンダ内に摺動自在に収容されクランクシャフトに作動可能に連結された圧縮ピストンであって、クランクシャフトの単一の回転の間に吸気ストロークと圧縮ストロークを通して往復動するような圧縮ピストンを含む圧縮機と、
    圧縮シリンダ及び膨張シリンダを相互に接続するクロスオーバー通路であって、そこに配置された少なくともクロスオーバー膨張バルブを含むクロスオーバー通路と、
    圧縮シリンダに接続された吸気マニホールドと、
    吸気マニホールドに接続され、吸気マニホールドへブースト圧レベルを提供すべく作動可能である昇圧装置と、
    吸気マニホールドと圧縮シリンダとの間に配置され、その両者間の流体の連通を制御すべく作動可能な吸気バルブと、を含み、
    当該方法は、
    圧縮機の排気量を膨張機の排気量の90%以下の大きさにするステップと、
    昇圧装置から吸気マニホールドへ1.7バール絶対圧以上のブースト圧レベルを配分するステップと、
    吸気マニホールドの状態に対する圧縮機容積効率が0.75以上であるように吸気バルブの閉じをタイミング付けるステップと、
    圧縮機の排気量とブースト圧レベルの組み合わせが、0.90以上の、周囲状態に対する膨張機容積効率を提供するように、膨張機の排気量に対する圧縮機の排気量の大きさを設定するステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
  21. 圧縮機の排気量を膨張機の排気量の80%以下の大きさに設定するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  22. 圧縮機の排気量を膨張機の排気量の75%以下の大きさに設定するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  23. 圧縮機の排気量を膨張機の排気量の70%以下の大きさに設定するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  24. 昇圧装置から2.0バール絶対圧以上のブースト圧レベルを吸気マニホールドに配送するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  25. 昇圧装置から2.3バール絶対圧以上のブースト圧レベルを吸気マニホールドに配送するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  26. 昇圧装置から2.5バール絶対圧以上のブースト圧レベルを吸気マニホールドに配送するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  27. 吸気マニホールドの状態に対する圧縮機容積効率が0.80以上であるように、吸気バルブの閉じタイミングを設定するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  28. 吸気マニホールドの状態に対する圧縮機容積効率が0.85以上であるように、吸気バルブの閉じタイミングを設定するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  29. 吸気マニホールドの状態に対する圧縮機容積効率が0.90以上であるように、吸気バルブの閉じタイミングを設定するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  30. 圧縮機の排気量とブースト圧レベルの組み合わせが、1.0以上の、周囲状態に対する膨張機容積効率を提供するように、膨張機の排気量に対する圧縮機の排気量の大きさにするステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  31. 圧縮機の排気量とブースト圧レベルの組み合わせが、1.1以上の、周囲状態に対する膨張機容積効率を提供するように、膨張機の排気量に対する圧縮機の排気量の大きさにするステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  32. 圧縮機の排気量とブースト圧レベルの組み合わせが、1.2以上の、周囲状態に対する膨張機容積効率を提供するように、膨張機の排気量に対する圧縮機の排気量の大きさにするステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
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