JP2013529891A - 無標識オンターゲット薬理学方法 - Google Patents

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Abstract

開示されたものは、無標識バイオセンサ細胞アッセイ及び無標識バイオセンサの統合的薬理学を用いて分子のオン標的の薬理学を決定するための方法及び機械である。

Description

「先に出願された米国出願の利益の主張」
本願は、2010年3月19日に出願された米国仮出願第61/315,653号に基づく優先権の利益を主張するものである。
「関連出願の相互参照」
無標識統合的薬理学を使用して分子薬理学を決定する方法と題する2010年3月19日に出願された米国仮出願第61/315625号の全体が本明細書に参考として援用される。
本開示はバイオセンサに関し、より具体的に標的及び分子を特徴づけるようなバイオセンサの使用に関する。本開示はまた、分子のオンターゲット薬理学(on−target pharmacology)を決定する方法及び創薬の方法にも関する。
本開示は、無標識オンターゲット薬理学研究法のための方法、組成物、物品、及び機械を提供し、ならびにシステム生物学や分子のシステム薬理分析や創薬を行うことを提供する。本開示はまた、無標識細胞の統合的薬理学研究法と連携し、複数のアッセイフォーマットを使用して分子のオンターゲット薬理学を決定する方法を提供する。
図1A〜1Hは、開示された方法がどのように無標識オンターゲット薬理学研究法を使用してβ2アドレナリン受容体アゴニストサルブタモールのオンターゲット薬理学を決定するかを示す代表的な方法の例を示す。オンターゲット薬理研究法は、無標識バイオセンサの出力シグナルの観点から、薬物の薬理学的な数値的記述を生成するためのアッセイ形式のパネルを使用している。 図1Aはサルブタモールとの持続的な刺激に応答する休止A431細胞のDMRシグナルを示している。これは、持続的な刺激アッセイである。 図1Bは休止A431細胞のサルブタモールで前処理していない(DMSO−プロプラノロール)場合と前処理している(サルブタモール−プロプラノロール)場合のプロプラノロールDMRシグナルとを示す。これは順次刺激アッセイである。 図1Cは、サルブタモールが存在しない(フォルスコリン)場合と存在する(フォルスコリン+サルブタモール)場合のフォルスコリンと応答する休止A431細胞のDMRシグナルを示している。これは、共刺激アッセイである。 図1Dは、エピネフリンで前処理したA431細胞のサルブタモールDMRシグナルを示している。これは、細胞が受容体のために内因性アゴニストで事前に刺激される逆順次刺激アッセイである。 図1Eは、休止A431細胞のTBBで前処理されていない(DMSO−サルブタモール)場合と前処理された(TBB−サルブタモール)場合のサルブタモールDMRシグナルを示す。これは順次刺激アッセイである。 図1Fは、A431細胞の百日咳毒素で前処理されていない(DMSO−サルブタモール)場合と前処理された(PTX−サルブタモール)場合のサルブタモールDMRシグナルを示す。ここでは、細胞は百日咳毒素で一晩処理することにより、あらかじめ調整されている。 図1Gは、休止A431細胞のサルブタモールで前処理されていない(DMSO−エピネフリン)場合と前処理された(サルブタモール−エピネフリン)場合のエピネフリンDMRシグナルを示す。これは細胞が内因β2ARアゴニストエピネフリンで刺激し、続いて分子に事前に晒されている古典的な順次アンタゴニストアッセイである。 図1Hは、4つのマーカー、2nMエピネフリン、1μMヒスタミン、32nM上皮細胞増殖因子、及び1μMニコチン酸のパネルに対するA431細胞におけるサルブタモールDMRの変調インデックスを示している。図1A〜1Hで示したすべての実験において、サルブタモールの濃度は10μMであった。 図2は、オンターゲット薬理学研究法含む開示された方法に従った既知のアドレナリン受容体薬物分子のクラスターのヒートマップを示す。ヒートマップは、一次元の類似性分析を用いて行った。変調百分率の計算のために、各マーカー誘起DMRシグナルのために1つ又は2つのDMR事象が使用された。他のアッセイのために、5時間範囲応答から成る同一の数値行列は分子の応答を記述するために使用された。5時間範囲応答は3分、5分、9分、15分及び50分の後の刺激でのDMRシグナルの実際の値であった。β−アドレナリンアゴニストの場合は、サブクラスタがほとんど同じ適応症を有する薬物分子で構成されていることは明白である。
定義:
ここに開示されている様々な実施例は、図がある場合には図を参照して詳細に説明される。様々な実施例に対する参照物は本開示の範囲を限定するものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、本明細書に記載されている例は限定的なものではなく、特許請求の範囲の実施可能な多くの実施例のいくつかを記載しているに過ぎない。
無標識バイオセンサの細胞アッセイは、刺激に応答した細胞内での細胞応答を検出するために一般的に無標識バイオセンサを使用している。結果として得られるバイオセンサシグナルは、一般的に、細胞に作用する分子薬理学の複雑さを反映した統合された応答である。伝統的には、無標識バイオセンサ細胞アッセイは、分子の刺激により、細胞の動態応答を直接監視して、細胞に作用する分子の一次的プロファイルを導く。あるいは、無標識バイオセンサ細胞アッセイはまた、細胞内のマーカー誘発性バイオセンサシグナルに分子の影響を調べるために使用され、細胞内のマーカートリガ経路に対する分子の二次的プロファイルを導くことができる。マーカーは、細胞内で再現可能なバイオセンサシグナルをトリガすることが知られている分子である。マーカーは、多くの場合、受容体の内因性アゴニスト又はアクチベーターである。これらのアッセイは、標的特異性、効能及び効果、並びに作用のモード(すなわち、アゴニズム、又はアンタゴニズム、又はインバースアゴニズム)の状況における分子の薬理学的特性評価を可能にする。これらのアッセイにおいて、薬理学的特性は、多くの場合、ポジティブなDMR(P−DMR)又はネガティブなDMRのような特定の無標識事象(N−DMR)の振幅や速度論的パラメータを分析することによって行われる(United States Patent Application No. 20090093011. Fang, Y. et al. Biosensors for ligand directed functional selectivity、参照)。これらのアッセイは、受容体(例えば、β2−アドレナリン受容体など)を介して作用する分子のリガンド指向機能選択性の決定を可能にするが、これらのアッセイは、しばしば以下のいくつかの制限を受ける。(1)効果的な多数のパラメータ分析は運動高品質アッセイデータを必要とし、特に無標識バイオセンサプロファイルのフィッティングすることは、各バイオセンサ事象への理解が欠乏し、及び/又はバイオセンサシグナルの各タイプを記述するために意味のある数学の方程式が欠乏しているので、非常に骨の折れることである。(2)これらのアッセイは多くの場合、特に初期のシグナル伝達事象に得られたバイオセンサの出力シグナルに支配的な役割を果たし、これらの事象に限られているので、リガンド指向機能選択性の決定が大きく制限されている。
分子を特徴付けるための無標識の統合薬理学研究法も参照可能である(United States Application No. 12/623,693. Fang, Y. et al. ”Methods for Characterizing Molecules”, Filed November 23, 2009; United States Application No. 12/623,708. Fang, Y. et al. ”Methods of creating an index”, filed November 23, 2009、参照)。この無標識統合的薬理学研究法において、無標識バイオセンサは、人間の生理と人間の病態生理学に代表的な細胞の異なるタイプのパネルに分子の活動を直接監視することによって、薬剤候補分子のシステム細胞薬理学を決定するために使用され、同様に、マーカー分子のパネルによる個別に又は集合的な刺激に応答して各細胞のバイオセンサシグナルを変調する薬剤候補分子の能力を決定するために使用される。細胞上の分子の直接活動はその一次的プロファイルを導き、マーカーによって誘発されるバイオセンサシグナル対する分子の修飾は二次的プロファイルの結果をもたらす。プロファイルの両方のタイプは、リアルタイム運動細胞応答として一般的に記録される。分子の非存在下での一次的プロファイルとマーカーのパネルが活動する複数の細胞に亘る分子の存在下での二次的プロファイルとを比較することは、これらのマーカーに対する分子の変調プロファイルのパネルを導く。プロファイルの全部又は一部のパネルは、例えば、インデックスを生成するために組み合わせることができる。例えば、細胞のパネルに作用する分子のすべての一次的プロファイルのアセンブリが分子バイオセンサプライマリインデックスを生成する一方で、対応する細胞に作用マーカーのパネルに対して分子の変調プロファイルのアセンブリは分子バイオセンサ変調インデックスを生成し、そして、分子バイオセンサ変調インデックスと分子バイオセンサプライマリインデックスの組み合わせは、分子バイオセンサのインデックスを生成する。薬理学的に知られているモジュレーターのパネルの既定インデックスと分子インデックスを比較することにより、細胞受容体又は標的又は分子が介入している経路を決定することが可能になる。この無標識細胞の統合的薬理学研究法は、複合薬理学及び表現型の薬理学に関する情報を提供する。しかし、この無標識細胞の統合的な薬理学はまた、特定の標的に作用する分子のオンターゲット薬理学を決定するための限られた解決を持っている。
開示された分子のオンターゲット薬理学を決定する方法は、a)アッセイ形式のパネルからバイオセンサの応答を収集するステップと、b)バイオセンサの応答を分析するステップと、c)分子のオンターゲット薬理学を決定するステップと、を含むものであって、又は方法単独、又は本明細書に開示される任意の方法もしくはステップ、物品、組成物、もしくは機械との任意の組み合わせを含むものである。
また、開示された分子のオンターゲット薬理学を決定する方法において、前記バイオセンサの応答は、無標識バイオセンサの応答であり、前記パネルが2ないし10のアッセイ形式で構成されており、前記アッセイ形式が持続アゴニズム刺激アッセイ、拮抗作用アッセイ、順次刺激アッセイ、逆順次刺激アッセイ、共刺激アッセイ、変調アッセイ、及び変調プロファイリングアッセイから選択されており、前記アッセイ形式が持続アゴニズム刺激アッセイ、順次拮抗刺激アッセイ、逆順次刺激アッセイ、経路モジュレーターとの共刺激、及び別個の経路のためのマーカーのパネルの変調から選択され、前記アッセイの1つ以上が所定の時間範囲からデータを収集するものであって、又は方法単独、又は本明細書に開示される任意の方法もしくはステップ、物品、組成物、もしくは機械との任意の組み合わせを含むものである。
また、開示された分子のオンターゲット薬理学を決定する方法は、3ないし20の、3ないし15の、3ないし10の、3ないし7の、又は3ないし5の時間範囲の応答があり、前記時間範囲応答は0ないし3分、3ないし6分、6ないし10分、10ないし20分、20ないし50分、50ないし120分の刺激後に取られ、前記時間範囲応答は細胞シグナル伝達の異なる波をカバーし、前記時間範囲応答は3、5、9、15、及び50分の刺激後に取られ、前記バイオセンサの応答を分析することは、DMRのシグナルを数値的に記述することを含むものであって、又は方法単独、又は本明細書に開示される任意の方法もしくはステップ、物品、組成物、もしくは機械との任意の組み合わせを含むものである。
また、開示された分子のオンターゲット薬理学を決定する方法は、前記数値的に記述されたDMRシグナルを数字の行列に規則正しく配置するステップをさらに含むこと、前記数字の行列はクラスタリングアルゴリズムの分析を行うことにより生成されること、前記クラスタリングアルゴリズムの分析は、一次元又は二次元であること、前記クラスタリングアルゴリズムは、階層型、K−平均型、又はマルコフ型のクラスタリングアルゴリズムであること、前記クラスタリングアルゴリズムは、階層型クラスタリングアルゴリズムであること、前記階層型はペアワイズ最リンケージを用いてグループをリンクすること、前記クラスタリングアルゴリズムは、そのメトリックに対してユークリッド距離を用いること、前記クラスタがヒートマップとして表示されていることを含むものであって、又は方法単独、又は本明細書に開示される任意の方法もしくはステップ、物品、組成物、もしくは機械との任意の組み合わせを含むものである。
また、開示された試験分子の位置を変更する方法は、アッセイ形式のパネルから試験分子のバイオセンサの応答を収集するステップと、試験分子のバイオセンサの応答を分析するステップと、試験分子のオンターゲット薬理学を決定するステップと、同じ標的に作用する既存の薬物分子と前記試験分子をクラスタリングして、薬物分子のオン標的の薬理学で最も似ているものを識別するステップと、前記最も似ている薬物分子のしるしに前記試験分子を再配置するものである。
A.組成物、方法、物品、及び機械:
製薬及びバイオテクノロジー産業は一見すると相容れない目標、(1)新薬のための低い消耗率を達成し、(2)市場への新薬の導入時間を短縮することによって挑戦されている。創薬は、化学物質のほぼ無制限の数のうち、所望の薬理学的及び生理学的性質を持つとらえどころのない分子を選択する必要がある。残念なことに、薬剤の選択は非常に高価であり、本質的に低効率なプロセスになることになり得る。高度な技術に多額の投資にもかかわらず、新薬承認の数は近年低水準にとどまっている。現在の研究開発と生産性のギャップが広くなり、年間に導入された新薬候補の数に比べて製薬研究開発の支出が増加して、そしてその問題と潜在的な解決策についていくつかの異論を生んでいる。
状況が悪化ことに、ゲノミクス及びプロテオミクスの最近の進歩は、新薬のための潜在的な標的の数を著しく増やした。標的指向の創薬技術は、既知の標的に対する前回の成功にもかかわらず、多くの場合、新しい標的(以前の薬の標的ではないつまり標的)に対して薬を供給することができなかった。重要なことは、過去10年間で、業界全体で年間、このような”革新的な”目標に対して平均して二から三の低分子薬しかない。結果として、多くの企業が創薬と開発に使用されるツール、技術、及び慣行を見直している。この傾向は、特に創薬において、薬物作用のシステム生物学やシステム薬理学に基づく評価と検証のための、より生理学的に関連する技術の必要性を強調している。
1.無標識バイオセンサ:
a)バイオセンサとバイオセンサアッセイ:
無標識の細胞ベースアッセイは、一般的にバイオセンサを用いて生細胞における分子誘発性の応答を監視する。当該分子は天然のもの又は人工のものであることができ、精製されている又は浄化されていない混合物であることができる。典型的な場合、バイオセンサは、光学的トランスデューサ、電気的トランスデューサ、熱量的トランスデューサ、音響的トランスデューサ、磁気的トランスデューサなどのトランスデューサを用いて、バイオセンサに接触した細胞における分子認識事象又は分子誘発性の変化を定量化可能なシグナルに変換する。これら無標識のバイオセンサは分子相互作用の分析に使用されることができ、当該分析は、どのように分子錯体が形成及び分離するかを経時的に特性化すること、又は細胞応答についてはどのように細胞が刺激に対して応答するかを特性化することを含む。本方法に適用可能なバイオセンサは、例えば、表面プラズモン共振型(SPR)バイオセンサ及び共振導波路回折格子型(RWG)バイオセンサ、共振ミラー、エリプソメータなどの光学バイオセンサシステム、及び生体インピーダンスシステムなどの電気バイオセンサシステムを含む。
(1)SPRバイオセンサとそのシステム:
SPRは入射光の範囲をカバーするプリズムに依存しており、プリズムは、くさび状の偏光された光を、導電性金属フィルム(例えば金)を含む平面ガラス基板に導き、これによって表面プラズモンを励起する。発生するエバネセント波は金層内の自由電子雲と相互作用して吸収され、電子電荷密度波(すなわち表面プラズモン)を生成し、反射光の強度を低下させる。この発生する強度が最小の共振角度は、センサ表面の反対の面にある金層に近接した溶液の屈折率の関数である。
(2)RWGバイオセンサとシステム:
RWGバイオセンサは、例えば、基板(例えばガラス)、回折格子又は周期構造が組み込まれた導波路薄膜、及び細胞層を含み得る。RWGバイオセンサは、回折格子による光の導波路への共振結合を使用して溶液と表面との接触面における全反射を導き、これによって当該接触面において電磁場を生成する。この電磁場の性質は一過性のものであり、これは当該電磁場がセンサ表面から急激に減衰することを意味し、当該電磁場が初期値の1/eに減衰する距離は侵入深さとして知られており、侵入深さは特定のRWGバイオセンサ構成の関数であるが、典型的な場合約200nmである。このタイプのバイオセンサはエバネセント波を利用してバイオセンサ表面又はその近傍における細胞層のリガンド誘発性変化を特性化する。
RWG機器は角度シフト又は波長シフトの測定に基づいたシステムへさらに分割されることができる。波長シフトの測定において、一定の角度の入射波長の範囲をカバーする偏光された光が使用されて導波路を照射し、特定の波長の光は当該導波路に結合されかつ当該導波路に沿って伝播する。一方、角度シフトの機器において、センサは単色光を用いて投射され、当該光が共振的に結合される角度が測定される。
共振条件はバイオセンサの表面に直接接触している細胞層(例えば、細胞密度、細胞付着、及び細胞状態)の影響を受ける。リガンド又は検体が生細胞における細胞標的(例えば、GPCR、イオンチャネル、キナーゼ)と相互作用した場合、細胞層内の局所的な屈折率の変化は共振角度(又は波長)のシフトとして検出されることができる。
コーニング(登録商標)Epic(登録商標)システムは、無標識の生物化学的すなわち細胞ベースのアッセイのためにRWGバイオセンサを使用する(コーニング社、コーニング、NY)。Epic(登録商標)システムは、RWGプレートリーダ及びSBS(生体分子スクリーニング協会)標準のマイクロタイタープレートで構成されている。当該プレートリーダにおける検出システムは、細胞のリガンド誘発性変化を受けると、統合されたファイバ光学系を用いて入射光の波長シフトを測定する。一組の照射−検出ヘッドは直線的に設けられ、これによって反射スペクトルは384ウェルのマイクロプレートのコラム内のウェルの各々から同時に収集される。プレート全体が走査され、センサの各々が複数回アドレス指定され、コラムの各々が順次アドレス指定される。入射光の波長は分析用に収集されかつ使用される。温度管理ユニットが機器に含まれることができ、これによって温度変化による入射波長の擬似シフトが最小限にする。測定された応答は細胞の集団の平均的な応答を表している。当該システムの様々な機能が自動化されることができ(例えばサンプルローディング)、また、多重化されることができる(例えば96ウェル又は386ウェルのマイクロタイタープレート)。液体操作はオンボードの液体操作部又は外部の付属液体操作部によって行われる。特に、分子溶液は、下部に培養された細胞を含んでいる細胞アッセイプレートのウェルへ直接付加又はピペッティングされる。当該細胞アッセイプレートは細胞を覆う特定のアッセイバッファ溶液の領域を含む。さらに、特定の回数のピペッティングによる単純な混合ステップは分子付加ステップに組み込まれることができる。
(3)電気バイオセンサとそのシステム:
電気バイオセンサは、基板(例えばプラスチック)、電極、及び細胞層で構成されている。この電気的検出方法において、細胞は基板上に設けられた小さな金電極上において培養され、システムの電気インピーダンスは時間に従う。当該インピーダンスは細胞層の導電性の変化の尺度である。典型的な場合、固定又は変更された周波数における小さな一定の電圧が電極又は電極アレイに加えられ、回路の電流が経時的に監視される。電流のリガンド誘発性変化は細胞応答の尺度を提供する。全ての細胞検知に対するインピーダンス測定は1984年に初めて実現された。それ以降、インピーダンスベースの測定は、細胞付着、細胞拡散、細胞の微細動作、細胞の形態変化、及び細胞死を含む幅広い細胞事象の研究に用いられている。従来のインピーダンスシステムは、小さな検出電極及び大きな基準電極を使用したため、大きなアッセイのばらつきに悩まされている。このばらつきを克服するために、CellKeyシステム(MDS Sciex社、南サンフランシスコ、CA)、RT−CES(ACEA Biosciences社、サンディエゴ、CA)などの最新世代のシステムは、微小電極アレイを有する集積回路を使用する。
(4)高い空間分解能のバイオセンサ画像化システム:
SPR画像化システム、エリプソメトリ画像化システム、及びRWG画像化システムを含む光学バイオセンサ画像化システムは、高い空間分解能を提供し、本開示の実施例に使用されることができる。例えば、SPRイメージャ(登録商標)2(GWC Technologies社)は、プリズムに結合したSPRを使用し、固定入射角度にてSPR測定を行い、CCDカメラを用いて反射光を収集する。表面の変化は反射率変化として記録される。従って、SPR画像化は、すべてのアレイの要素に対する測定結果を同時に収集する。
画像化ベースの用途にはRWGバイオセンサに基づいた波長走査型光学尋問システムが用いられることができる。このシステムにおいて、センサすなわちマイクロプレート型のRWGバイオセンサのアレイに投射するのに高速の調節可能レーザ源が使用される。当該センサのスペクトルは、当該センサから反射された光学パワーをレーザ波長が走査する際の時間の関数として検出することによって解釈されることができ、コンピュータ化された共振波長尋問モデリングを用いた測定データの分析は、固定化受容体又は細胞層を有するバイオセンサの空間分解された画像の説明を与える。画像センサの使用は、画像化ベースの尋問構成につながる。二次元の無標識画像は部品を移動することなく得られることができる。
一方、横磁場モードすなわちp−偏光されたTMモードの角度尋問システムが使用されることもできる。このシステムは、約200μmx3000μm又は200μmx2000μmの大きさのRWGセンサに照射するような各光ビームアレイを生成する投光システムと、これらセンサから反射された光ビームの角度の変化を記録するCCDカメラベースの受光システムと、で構成されている。アレイ化された光ビームは、回折光学レンズと組み合わせたビームスプリッタを用いて得られることができる。このシステムは、最大49センサ(7x7ウェルセンサアレイ内)が3秒ごとに同時にサンプリングされること又は全384ウェルのマイクロプレートが10秒毎に同時にサンプリングされることを可能にする。
さらに、波長走査型尋問システムが使用されることもできる。このシステムにおいて、一定の角度の入射波長の範囲をカバーする偏光された光が導波路回折格子型バイオセンサに亘って照射及び走査されるのに使用され、各位置における反射光が同時に記録されることができる。走査中にバイオセンサにおける高分解能画像が得られることもできる。
b)バイオセンサパラメータ:
RWGバイオセンサ又は生体インピーダンスバイオセンサなどの無標識バイオセンサはリガンド誘発性の細胞応答をリアルタイムで追跡することができる。非侵襲的かつ操作不要のバイオセンサの細胞アッセイは細胞シグナル伝達の予備知識を必要としない。得られるバイオセンサシグナルはリガンド薬理及び受容体シグナル伝達に関する高度な情報を含む。多重パラメータは刺激された細胞の動的バイオセンサ応答から抽出されることができる。これらパラメータは動態全体、段階、シグナル振幅、を含み、さらに1の段階から他の段階への遷移時間を含む動態パラメータ、及び各段階の動態を含むが、これらに限定されない(Fang, Y., and Ferrie, A.M. (2008) “label-free optical biosensor for ligand-directed functional selectivity acting on β2 adrenoceptor in living cells”. FEBS Lett. 582, 558-564; Fang, Y., et al., (2005) “Characteristics of dynamic mass redistribution of EGF receptor signaling in living cells measured with label free optical biosensors”. Anal. Chem., 77, 5720-5725; Fang, Y., et al., (2006) “Resonant waveguide grating biosensor for living cell sensing”. Biophys. J., 91, 1925-1940、参照)。
クラスタリング又は類似の分析では、各ノード(すなわち、分子)に対してエッジの属性(すなわち、バイオセンサ、細胞応答データ)が異なることがある。例えば、細胞内の分子プロファイル(一次的、二次的)では、エッジの属性は、特定の運動パラメータ(例えば、DMRシグナルのDMR事象の振幅や速度)、又は所定時間の刺激後のバイオセンサシグナルの実際の値、又は複数又はすべての時間ポイントの刺激後のバイオセンサシグナルの実際の値であることがある。分子バイオセンサの二次的プロファイルに対するエッジの属性はまた、それぞれのマーカーの一次的プロファイルに正規化した後の特定のマーカーに対するバイオセンサシグナルの出力パラメータの変調率とすることができる。その結果、集団のエッジの属性はノード分子の無標識薬理学を表示するための効果的な意味を表し、開示された方法に基づいて分子の既知の分子との類似性が比較でき、分子を決定することができるようになる。
c)DMRのパラメータ:
(1)バイオセンサ出力パラメータ:
多くの異なるバイオセンサの出力パラメータが本明細書で説明されている。例えば、細胞内の刺激で誘発される指向質量再分配の動態を規定する6つのパラメータとして、全体の動態(すなわち、形状)、応答の位相(休止A431細胞におけるEGF誘導DMRシグナルの特定の例では、ポジティブな動的質量再分配(P−DMR)、ネガティブな動的質量再分配(N−DMR)、及び回復したポジティブな動的質量再分配(RP−DMR)の細胞応答に関連する3つの主要な位相がある。)、動態、各相の合計持続時間、各DMRの事象の合計振幅、並びにP−DMR 相からN−DMR相へ若しくはN−DMR 相からRP−DMR相への遷移時間であり得る。動的質量再分配は、しばしば、動的な細胞物質の再配布又は方向性質量の再分配と呼ばれている。他のバイオセンサの出力パラメータは、共振ピークから入手することができる。例えば、ピークの位置、強度、ピーク形状及びピーク半値幅(PWHM)を使用することができる。バイオセンサの出力パラメータはまた、バイオセンサの共振バンド画像から取得することもできる。バンドの形状、位置、強度、分布及び幅の5つの追加特徴のこれらのパラメータはすべて、本明細書に開示されるようなバイオセンサを使用して、任意の細胞アッセイの任意のアプリケーションのために独立して、又は一緒に使用することができる。任意のサブセット又は組み合わせでパラメータを使用すると、細胞受容体アッセイのためのシグネチャやEGF受容体ベースのアッセイのために特定のシグネチャなどの所定のアッセイ又は特定のアッセイの所定のバリエーションのためのシグネチャを生成することができる。
(a)刺激誘発指向質量再分配の動態に関連するパラメータ:
刺激誘発DMRの動態に関連する多くのバイオセンサの出力パラメータがある。これらのパラメータは変化率を見ており、変化率は細胞へ発生している刺激の事象としてバイオセンサデータ出力に発生している。刺激事象は、例えば、培地への分子の添加、培養培地から分子の除去、温度の変化やpHの変化、又は、細胞への放射線の導入などの細胞の状態を変化させ得る任意の事象である。刺激事象は、刺激事象によって生成された細胞上の方向性の質量再分配など何らかの効果で刺激効果を産生され得る。刺激事象は、分子、化学物質、生化学物質、生物学物質、ポリマーである可能性がある。生化学物質又は生物学物質は、ペプチド、合成ペプチド又は天然に存在するペプチドであり得る。例えば、多くの異なるペプチドはブラジキニン炎症性ペプチド、プロテアーゼ酵素トロンビン、及び血圧調節アンジオテンシンペプチドを含むシグナル伝達分子として機能する。これら3つのタンパク質は、それらの配列と生理学で区別され、別の細胞表面受容体を介して作用する一方で、それらは細胞表面受容体のGタンパク質共役受容体(GPCR)と呼ばれる共通の分類に分けられている。GPCRの他のポリペプチドリガンドは、バソプレッシン、オキシトシン、ソマトスタチン、ニューロペプチドY、GnRH、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺ホルモン、オレキシン、ウロテンシンII、エンドルフィン、エンケファリン、及び多くの他のものが含まれている。GPCRは、ペプチドリガンドに応答するだけでなく小分子神経伝達物質(アセチルコリン、ドーパミン、セロトニン、アドレナリン)、光、臭気物質、味、脂質、ヌクレオチド、イオンにも応答する広範かつ多様な遺伝子ファミリーに属している。GPCRにより使用されるメインのシグナル伝達機構は、細胞内カルシウム放出及びcAMP産生を含む下流側の第2メッセンジャーシステムに結合したGタンパク質とGTPaseタンパク質とが相互作用することである。ペプチドGPCRによって使用される細胞内シグナル伝達システムは、すべてのGPCRで使用されるものに類似しており、それらが相互作用するGタンパク質及び活性化されるセカンドメッセンジャーシステムに応じて一般的に分類される。Gs共役GPCRのために、受容体によるGタンパク質Gsの活性化は、アデニル酸シクラーゼの活性化と下流のサイクリックAMPの産生を刺激しつつ、Gi共役受容体はcAMPの産生を阻害する。cAMP産生の主要な結果の一つは、プロテインキナーゼAの活性化である。Gq共役受容体は、ホスホリパーゼC、放出IP3及びジアシルグリセロールを刺激する。IP3はER内の受容体に結合し、細胞内のカルシウムの放出、及びプロテインキナーゼCのその後の活性化、カルモジュリン依存性経路を引き起こす。GPCRのためのこれらのセカンドメッセンジャーシグナリングシステムに加えて、GPCRの経路は、チロシンキナーゼ成長因子受容体及びMapキナーゼ経路を含む他のシグナル伝達経路とのクロストークを示す。EGF受容体のような受容体チロシンキナーゼ又は接着斑複合体のいずれかのトランス活性化は、アダプタータンパク質She、Grb2及びSos、並びにErk1とErk2を活性化する下流のMapキナーゼを介してras活性化を刺激することができる。Srcキナーゼはまた、GPCRによるras及びMapキナーゼ経路の活性化に不可欠な仲介の役割を果たす可能性がある。
いくつかの刺激事象が発生する可能性があることは可能であるが、データ出力に変更はない。この状況はまだ刺激事象であり、なぜならば、細胞の条件が指向性質量再配布又は細胞又は細胞培養液中で変化を引き起こし得る何らかの方法で変化するからである。
本明細書に開示されるように特定のシグネチャが任意のアッセイ又は任意の細胞の状態のために決定され得ることができる、ことが理解される。多数の”シグネチャ”が異なるアッセイのため本明細書に開示されているが、任意のアッセイのために本明細書中では実行され、そのアッセイの”シグネチャ”を決定することができる。任意の所定のアッセイのために複数の”シグネチャ”が存在し得ることも可能であり、そして各々は本明細書に記載のように決定されることができる。バイオセンサの出力データを収集した後、1つ以上のパラメータを見る、すなわち、所定のアッセイのためのシグネチャが取得され得る。最適なシグネチャを識別するために複数の実験を実行する必要があり、そして最適なシグネチャを見つけるために異なる条件下で実験を行う必要があり得るが、これを行うことができる。これは、本明細書に開示の方法のいずれかが”識別”又は”決定”又は”提供”する工程を有することができることを理解され、例えば、シグネチャはそれらの上に追加される。
(i)全体の動態:
見られ得るパラメータの1つは、データ出力の全体的な動態であり、この全体的な動態パラメータは、データ収集の完全な運動像を観察する。観察することができる総合的な動態の一態様は、時間をかけてデータ出力によって生成される曲線の形状の変化である。したがってデータ出力によって生成される曲線の形状は、変更されたり、又は刺激事象の発生時の着実な滞在することができる。その変化の方向性は、全体の質量分布を示し、例えば、ポジティブなDMR(P−DMR)位相では、センサのエバネセントテール(evanescent tail)以内での増加質量を示し、正味ゼロDMRはセンサのエバネセントテール内の質量の正味の変化が殆ど存在しないことを示唆し、一方、ネガティブなDMRはセンサのエバネセントテール内の正味死亡質量(net−deceased mass)を示す。
光バイオセンサを用いて得られた刺激誘発細胞応答の全体的な動態は、単相(P−DMR、N−DMRもしくは正味ゼロ−DMRのいずれか)、又は2位相(例えば、これらの3相のいずれかの2相の組み合わせが可能)、又は3相、又は多相で構成される(例えば、複数P−DMRが時間経過中に発生可能)から構成される。
(ii)応答相:
時間の関数として観測することができる別のパラメータは、データ出力内で発生する位相の変化である。無標識バイオセンサは、曲線を生成するようにグラフ化することができるデータ出力を生成する。この曲線は遷移点を持つことになり、例えば、データは増加状態から減少状態に変わり、又はその逆に変わる。これらの変化は、相転移と呼ぶことができ、そして、それらが発生した時刻とそれらが取る形状とはバイオセンサ出力パラメータとしては、例えば、使用することができる。例えば、P−DMR、正味ゼロDMR、N−DMR、又はRP−DMRがある場合がある。P−DMR、N−DMR、及びRP−DMRの振幅は別個のバイオセンサ出力パラメータとして測定されることができる。
(iii)動態:
もう一つのバイオセンサの出力パラメータは、例えば、相転移が完了した時点で速度などのデータ出力の態様のいずれかの動態であり得る。例えば、どのくらいの速さで相転移が完了するか、又はデータ出力を完了するにはどのくらいの時間がかかるかが、動態であり得る。測定することができる動態のもう一つの例は、データ出力の全体的な位相にかかる時間長さであり得る。もう一つの例は、P−DMR相とN−DMR相のいずれか又は両方の時間の合計持続時間であり得る。もう一つの例は、P−DMR相とN−DMR相のいずれか又は両方の合計振幅を取得するのにかかる速さ又は時間であり得る。もう一つの例は、P−DMRからN−DMR相までの遷移時間τであり得る。P−DMR相とN−DMR相の事象の両方の動態又は相も測定することができる。
(b)共振ピークに関連するパラメータ:
所定導波モードの共振ピークは、例えば、光強度に対するバイオセンサへの光のカップリングの角度を、又は、光強度に対するバイオセンサへのカップリングした光の角度を調べることで発生したデータ出力のタイプである。光導波路光モードスペクトルは、バイオセンサを照らすために光の角度の広い範囲を使用し、そして角度の関数として結合強度の強度を監視する方法における、光強度に対するバイオセンサへの光のカップリングの角度を調べることで発生したデータ出力のタイプである。このスペクトルでは、複数の導波モードの複数の共振ピークが共に発生する。共振ピークやOWLSスペクトル背後原理が同一であるため、所定導波モードの共振ピーク、又は多導波モードのOWLSスペクトルの共振ピークを、交換可能にバイオセンサでは使用することができる。光の特定の波長が発生したとき又は光が特定の角度でバイオセンサに当たるように生成された場合、光源から出射された光は、バイオセンサの中にて結合され、この結合は、バイオセンサから生じるシグナルを増加させる。光の角度又は波長を結合の関数として強度内のこの変化は共振ピークと呼ばれている。センサの個別の所定モードは、異なる特性を持つ類似の共振ピークを生じさせることができる。DMR又は細胞効果を評価するこのピークに関連して使用できる、所定モードの共振ピーク又は共振スペクトルを定義する異なるパラメータが多数ある。これらのサブセットは以下で議論される。
(i)ピーク位置:
データ出力が共振ピークの発生のピークでグラフ化されている場合、例えば、光の特定の波長で又はでバイオセンサへの光結合のための特定の入射角において、ピークは発生している。この発生の位置での角度又は波長は、刺激事象に応答して質量再分配又は細胞の事象が原因で変化することがある。例えば、EGF受容体などの特定の受容体に対する潜在的な成長因子の存在下では、培養細胞の共振ピークの位置はカップリングの角度又はカップリングの波長を増加又は減少させることができ、結果として、共振ピークの中央位置の変化になる。ピーク強度の位置が測定され、それが測定されるべき良い点とすると、75%のピーク強度又は50%のピーク強度又は25%のピーク強度、又は66%のピーク強度又は45%のピーク強度など、例えば(ピーク強度の百分の1から100%までのすべてのレベルが開示されたと見なされる)共振ピークに沿った任意の点の位置が測定され得ることが理解される。しかし、ピーク強度以外のポイントを使用する場合、ピーク強度の前及びピーク強度の後に、例えば、45%のピーク強度になる位置が常にあり得る。したがって、ピーク強度以外の強度のために、その強度が発生するピーク内には二つが常にあり得る。これらの非ピーク強度の位置はバイオセンサの出力パラメータとして利用することができるが、強度の位置が事前ピーク強度又は事後ピーク強度である場合、人は単に知っている必要がある。
(ii)強度:
共振ピークの特定の強度の位置はバイオセンサ出力パラメータとして使用できるのと同じように、強度自体の量はまた、バイオセンサ出力パラメータになることができる。1つの特に関連強度は所定モードの共振ピークの最大強度である。この最大強度の大きさは、ちょうど位置のように、細胞又は細胞培養に特に効果があり刺激事象の存在に基づいて変化することがあり、この変化が測定されシグネチャに使用される。ちょうど共振ピーク位置と同様に、共振ピーク強度は、ピーク内の任意の強度や位置で測定することができる。例えば、バイオセンサ出力パラメータとして、最大強度の50%、又は最大強度の30%、又は最大強度の70%、又は1%から100%の間の任意の割合が強度として使用することができる。同様に、強度の位置と同様に、例えば45%最大強度のように最大強度以外の強度が使用される場合、非最大強度を使用して、この強度を有する共振ピーク内に常に二箇所があり得る。強度位置パラメータと同様に行うことができるが、強度が事前最大強度又は事後最大強度あるかどうかを考慮する必要がある。
例えば、元の細胞の集密度が50%前後(50%集密度にて、センサ表面の細胞が最大PWHM値へ導く傾向がある)であるとき、インヒビター及びアクチベーターの両方の存在は、培養後のピーク半値幅(PWHM)の減少結果をもたらす。しかし、合計角度シフト(すなわち、共振ピークの中心位置)のような他のバイオセンサ出力パラメータは、まったく効果を有しない分子からのアクチベーターからインヒビターを区別するために用いることができる。図6Bに例示するように、PWHMはピークの最大強度(高さ)の半分で、ピーク上の点の間に引かれた線の長さである。インヒビターは、例えば、細胞増殖、全く治療なしでの細胞のためのシフトよりも小さい角速シフトを生じさせる傾向がある一方で、アクチベーターは、すべてのセンサ上の細胞密度が本質的に同一又はほぼ同じである場合の処理をしていない細胞を有するセンサに比べて、大きな角度シフトを生じさせる傾向がある。細胞増殖を阻害(インヒビターなど)する、又は刺激(アクチベーターなど)する分子の効力又は能力は、すべての分子の濃度が同じである場合、PWHM値に対するそれらの効果によって決定することができる。PWHM変化の所定値は、共振ピークの中心位置の変化との組み合わせで、インヒビター又はアクチベーターを除外するために使用することができる。所定モードの共振ピークを検出するために使用される尋問システムに応じて、PWHMの単位又は値が変化させられ得る。例えば、角度尋問システムでは、単位は度とすることができる。度のPWHMにおける変化は、例えば、1000分の1、1000分の2、1000分の3、1000分の5、1000分の7、又は1000分の10であり得る。
(iii)ピーク形状:
使用することができるもう一つのバイオセンサの出力パラメータは、全体的なピーク形状であるか、又はある強度の特定のピーク間の形状がある。例えば、半最大ピーク強度のピーク形状、又は他の任意の強度(30%、40%、70%、又は88%、又は20%〜100%の間のいずれかパーセント)のピーク形状は、バイオセンサの出力パラメータとして使用することができる。形状は特定の強度の上又は下のピーク面積によって特徴づけることができる。例えば、半最大ピーク強度では、事前ピーク強度である点とポストピーク強度である点とがある。1つのラインはこれらの2点の間に描画することができ、そして、共振ピーク内のこのラインより上の面積、又は、共振ピーク内のこのラインより下の面積が決定され、バイオセンサの出力パラメータになることができる。所定ピークの積分面積はまた、細胞に作用する分子の影響を分析するために使用することができると理解されている。
もう一つの形状関連バイオセンサの出力パラメータは、特定のピーク強度の共振ピークの幅があることができる。例えば、ピーク強度の50%である共振ピーク上の事前ピーク強度の点とピーク強度の50%である共振ピーク上の事後ピーク強度のライン上の点との間の線の大きさを測定することにより、半最大ピーク強度(HMPW)での共振ピークの幅が、求められることができる。この測定は、次にバイオセンサ出力パラメータとして使用することができる。これは、共振ピークの幅がピーク強度の20〜100%の間で任意の強度に対して、このようにして決定され得ることが理解される。(この例は、図6(b)のような数字は、全体を通して見ることができる。)
(c)バイオセンサの共振バンド画像に関連したパラメータ:
今では、ほとんどの光学バイオセンサは、センサ表面に固定化されたプローブ分子への標的分子の結合、又は一度毎のセンサ面上の細胞接着や細胞の生存を監視している。複数のバイオセンサに結合事象又は細胞接着や細胞の生存のために、研究者は、一般的に、時間順次にこれらの事象を監視する。よって、直接異なるセンサ間の比較が困難な場合がある。さらに、波長又は角度の尋問であるかどうか、これらの検出システムは、センサを照らすために小さなスポット(約100から500μm直径)のレーザー光を利用する。応答又は共振ピークは、照射領域から細胞応答の平均を表す。、96ウェルマイクロプレートバイオセンサ(例えば、コーニングのEpicマイクロプレート)については、それぞれのRWGセンサは約3×3mmであり、各ウェルの底にあり、一方、センサは一般的に384ウェルマイクロプレートフォーマットのために1×1mmの寸法を有している。したがって、現在のセンサ技術を用いて得られた応答は、センサ表面のごく一部だけで現れる。理想的には、検出システムは1つだけを許してはならない同時に複数のバイオセンサに付着した生細胞の応答を監視するだけでなく、比較的大きな面積又は各センサの複数の領域からのシグナル尋問を可能とする。
撮像光学尋問システム(例えば、CCDカメラ)を介した共振バンドはデータ出力の1つのタイプであり、該データ出力は物理的な位置と単一センサに亘って定義された場所で反射光(すなわち、外部結合した)の強度を、例えば、見ることによって発生したものである。反射光は、内部結合した光に直接関係している。代わりに、共振バンドは、小型のレーザースポットを使用しセンサを照らし、一次元又は二次元でセンサ全体を横切って走査し、所定の導波モードの共振ピークを収集する方法で、スキャン尋問システムを通じて収集することができる。センサ内の位置の関数としての共振ピーク又は光強度は最後に再構成され、センサの共振バンドを形成することができる。バイオセンサでは、光の特定の波長が発生したとき、又は光が特定の角度でバイオセンサに当たるように生成されたとき、外部結合した光は、センサ面での又は近くの屈折率変化の関数として変化し、この変化が撮像システムにより収集された各センサの共振帯域の特性のシフトを引き起こす。さらに、培養後のセンサ全体にわたる細胞の平らでない付着を、共振バンドを用いて直接可視化することができる(例えば、図1に共振バンドを丸で囲んだところを参照されたい)。理想のマルチウェルマイクロバイオセンサでは、各センサの位置は相対的に他のバイオセンサへ正規化され、すなわち、センサはマイクロプレート内の行又は列に亘って各ウェルの中心を通って整列している。よって、得られた共振バンドの画像が細胞接着又は刺激に応答している細胞の変化に係る内部リファレンスとして使用することができる。従って、所定モードの各センサの共振バンドは、DMR又は細胞効果を評価するために、このバンドに関連する使用することができる追加のパラメータを提供する。これらのサブセットは以下で議論される。
(i)バンド形状:
使用することができる他のバイオセンサの出力パラメータは、所定のモードの各バイオセンサの共振バンドの形状である。その形状は、各センサの大面積にわたる強度分布によって定義される。その形状は、大面積にわたる刺激に応答した付着細胞の均質性又は細胞の変化のインデックスとして用いることができる(例えば、図1に示すように、各共振バンドは200ミリメートル×3000ミリメートルの寸法でセンサ全体にわたる応答を表す)。
(ii)位置:
所定モードの各センサの共振ピークの位置と同様に、各共振バンドの位置はバイオセンサの出力パラメータとして使用することができる。その強度は、各バンドの最大強度で中心位置を生成するイメージングソフトウェアを用いて定量化することができる。このような位置の強度は、刺激又は分子治療への応答における細胞の変化を調べるために使用することができる。
(iii)強度:
ちょうど共振バンドの位置として、外部結合した光の強度は、イメージングシステムを用いて収集したバイオセンサの出力パラメータとして使用することができる。バンド全体の平均強度又はイメージングバンド内の各画素の絶対強度は、細胞接着の品質を検査し、細胞応答を評価するために使用することができる。
(iv)分布:
イメージングシステムを用いて収集された角度又は波長の外部結合した光の分布は、バイオセンサ出力パラメータとして使用され得る。このパラメータは、細胞がなく又はプローブ分子を固定化していない場合、センサ自体の表面特性を評価するために用いることができ、さらに、センサ表面の照射領域を横切って細胞接着の品質を検査するめに用いることができる。
また、このパラメータはまた、領域全体にわたる細胞密度が同一である場合に細胞に分子効果の均一性を調べるために用いることができ、又は、細胞密度が照射領域に亘って他とは区別できる一つの領域である場合に分子誘発細胞応答上の細胞密度の効果を調べるために用いることができる。
(v)幅:
所定モードの共振ピークのPWHMように、イメージングシステムを使用して得られた共振バンドの幅は、バイオセンサ出力パラメータとして使用することができる。このパラメータは、共振ピークのためにのみ利用可能である唯一のPWHMの代わりにセンサの照射領域の複数の地域での複数のバンド幅を得ることを除いて、共振ピークのPWHM値のものに対してほぼ同一の特徴や、その後の有用な情報コンテンツを共有する。共振バンド画像によって得られた他のパラメータと同様に、幅は上記の用途に使用することができる。
すべてのこれらのパラメータは、本明細書に開示されるバイオセンサを使用して、任意の細胞アッセイの任意のアプリケーションのために独立して、又は一緒に使用することができる。任意のサブセット又は組み合わせでパラメータを使用することは、細胞受容体アッセイのためのシグネチャや、その後のEGF受容体ベースアッセイのための特定のシグネチャのような、特定のアッセイ上の所定のアッセイ又は所定のバリエーションのためのシグネチャを生成することができる。
B.方法:
1.オンターゲット薬理学を決定するための方法:
本明細書に開示は、分子のオンターゲット薬理学を決定する方法である。無標識オンターゲット薬理研究法は、無標識細胞アッセイと無標識統合的薬理学に関するものである。本明細書に開示した方法は、無標識細胞統合薬理学研究法と連携して、複数のアッセイフォーマットを使用して、高い解像度を有する分子のオンターゲット薬理学を決定する方法である。
かかる研究法は、従来の無標識細胞アッセイ及び無標識統合的薬理学の分解能及び測定可能な細胞の事象の両方に制限を克服する。よって、本明細書に記載の方法は、これら分子標的薬理学の高解像度特性を提供する。
従来の無標識細胞アッセイは、分子での刺激中のバイオセンサ細胞応答を主に調べ、及び/又は、特定の受容体(Gタンパク質共役受容体(GPCR)、受容体チロシンキナーゼ(RTK)など)を介して媒介したバイオセンサ細胞応答上における分子の効果を決定している。これらのアッセイは個別に又は総合して分子薬理学を調べる。
しかし、無標識細胞アッセイは、本質的に非特定のであり、統合された細胞応答を提供する。さらに、無標識細胞アッセイは、バイオセンサの出力シグナル、すなわち、光バイオセンサに偏っており、それらが動的質量再分配(DMR)に偏っている。一方、電動バイオセンサはイオン再分配に偏っている。また、従来の無標識細胞アッセイは、初期の細胞シグナリングの事象を監視するために主に使用される。
これは、受容体の活性化がしばしば数千から成る細胞標的の複雑なシグナル伝達ネットワークの相互作用につながり、その多くは得られたバイオセンサシグナルに寄与しないことが知られている。また、多くの細胞事象又はプロセスがゆっくりと発生している。そのため、従来の無標識細胞アッセイを使用して分子のオンターゲット薬理学を完全に理解することは不可能である。
いくつかの実施形態において、本方法は、特定された所定の時間範囲でのバイオセンサ細胞応答のパネルを使用して、分子の無標識薬理学を数値的に記述する。
いくつかの実施形態において、本方法は、類似性クラスタリングやクラスタリング分析研究法を使用して、その無標識細胞統合薬理学の観点から分子を分類し、又は分子の薬理学を分類する。いくつかの実施形態において、クラスタリング分析は分子の生体外(in vitro)の無標識統合的薬理学を生体内(in vivo)の薬理学にリンクすることを可能としている故に、ドラッグリポジショニング(drug repositioning)及び新規薬剤の組み合わせを可能としている。
無標識細胞統合薬理学の示したモデルとして既存のアドレナリン受容体薬物を使用することは、それぞれの生体内インデックスと直接、関係している。
いくつかの実施形態において、分子は、Gタンパク質共役型受容体及び受容体チロシンキナーゼを標的とすることができる。開示された方法は、無標識細胞アッセイと無標識細胞統合薬理学に関連している。ここに開示された方法は、アッセイ形式のパネルを使用して、特定の標的を介して作用する分子薬理学の重要な側面を決定する。いくつかの実施形態では、アッセイ形式は、限定されるものではないが、持続的なアゴニズム刺激、順次アンタゴニズム刺激、逆順次刺激、経路モジュレーター(pathway modulator)との共刺激、及び異なる経路のためのマーカーのパネルの変調することができる。これらにいくつかの実施形態では、方法は、分子の無標識統合的薬理学を記述する数値行列を用いて分子のオンターゲット薬理学を決定する。
いくつかの実施形態おける方法は、受容体薬物物分子を識別する。
2.アッセイ形式:
本明細書に開示の方法は、オンターゲット薬理学を特徴づけるアッセイ形式のパネルを使用する方法である。
a)持続アゴニズム刺激アッセイ:
持続アゴニズム刺激アッセイ等の用語は、分子だけでの刺激中に細胞応答を分析することを指し、前記分析において、分子は、ピペッティング(pippetting)のような従来の液体ハンドリング技術を用いて細胞を覆う緩衝溶液中に分子を含む溶液を添加して、分子のその後の除去せずに、行うことにより細胞と接触させされている。このアッセイでは、ある持続的な刺激条件を作成し、細胞はすべての時間に分子にさらされる。持続アゴニズム刺激アッセイの一例が図1に示され、ここでA431細胞は、刺激後の全ての時間にサルブタモールに晒されている。
b)アンタゴニズムアッセイ:
アンタゴニズムアッセイなどの用語は、細胞が最初に分子にさらされ、続いて受容体アゴニストで刺激される2ステップアッセイを指す。受容体アゴニストは、関心ある受容体の内因性アゴニストであることができる。2つのステップは、多くの場合、特定の期間(例えば、10分、30分、60分、90分、2時間、5時間、又は1日)で区切られている。無標識細胞アッセイの場合、2つの刺激間の分離時間は約1時間あることは、多くの場合、ほとんどである。このアッセイは、アゴニスト誘導性バイオセンサシグナルを変調する、又は拮抗する、又は増強する分子の能力を決定する。このアッセイは、順次刺激アッセイの具体例である。図1Gに示されている例は、A431細胞がサルブタモールで最初に刺激されて、β2ARアゴニストエピネフリンによる刺激が続く。図1Gにおいて、2つのステップは約60分で区切られており、第2ステップのみを監視し、サルブタモールは、両方のステップの間のすべての時間を存在した。
c)順次刺激アッセイ:
順次刺激アッセイ等の用語は、細胞が最初の分子にさらされて、参照分子での刺激が続くことを特徴とする2ステップアッセイを指す。参照分子は受容体に対してアゴニスト、アンタゴニスト、又は逆アゴニストとすることができる。図1Bに示されている例は、参照分子がβ2−ARインバースアゴニストプロプラノロールであるものである。かかるプロプラノロールのインバースアゴニストは、isoprotenerolとエピネフリンのようにβ2ARアゴニストのDMRシグナルを反転するその能力で明らかである。図1Gに示すようにアンタゴニズムアッセイはまた、順次刺激アッセイの一例である。
d)共刺激アッセイ:
共刺激アッセイ等の用語は、細胞が関心の分子及び参照分子の分子を含むカクテル溶液で刺激される1ステップアッセイを指す。参照分子は、受容体への流れに沿った経路モジュレーターとすることができる。図1Cに示されている例は、参照分子がアデニル酸シクラーゼアクチベーターフォルスコリンであるものである。アデニル酸シクラーゼは、Gαs及びGαi媒介シグナリングの両方への流れに沿った酵素である。
e)順次刺激アッセイのリバース:
逆順次刺激アッセイ等の用語は、細胞が受容体のアゴニストで最初に刺激され続いて、分子で刺激される2ステップアッセイを指す。受容体アゴニストは、受容体の内因性アゴニストであることができる。図1Dに示す例は、細胞がβ2ARアゴニストエピネフリン及び分子サルブタモールで順次それぞれ刺激されるものである。図1Dにおいて、第2ステップのみが監視され示された。エピネフリンが両方の段階で存在した。
f)変調アッセイ:
変調アッセイ等の用語は、細胞が参照分子で最初刺激され、続いて分子で刺激される2ステップアッセイを指す。参照分子は、カゼインキナーゼ2(CK2)インヒビターTBB、又はPI3KインヒビターLY294002、又はROCKインヒビターY27632、又はMEKインヒビターU0126、又はそれぞれが対応するGタンパク質のGαi及びGαsを無効にする毒素(例えば、百日咳毒素、コレラ毒素)などの経路モジュレーターであり得る。図1Eに示される例は、A431細胞が約1時間既知のカゼインキナーゼ2インヒビターTBBで最初に刺激され、分子サルブタモールの刺激が続くものである。図1Eにおいて、第2ステップのみが監視され示された。CK2インヒビターTBBは両方のステップで存在した。図に示される別の例は、A431細胞が最初に知のGαiタンパク質キラー百日咳毒素で一晩処理され、分子サルブタモールの刺激が続くものである。図1Fにおいて細胞は百日咳毒素で一晩処理することにより、前処理された。
g)変調プロファイリングアッセイ:
変調プロファイリングアッセイ等の用語は、同一細胞内にてマーカーのパネルを調節する分子を測定することを指す。各マーカーは、特定の細胞経路又は細胞プロセスのアクチベーターである。図1Hは、A431細胞が分子サルブタモールで最初約1時間刺激され、続いて4つの異なるマーカー、内因β2ARアゴニストエピネフリン(EPI)、内因性GPR109Aアゴニストニコチン酸(NA)、内因性EGFRアゴニストEGF及び、内因性H1R受容体アゴニストヒスタミン(His)を使用して個別に刺激されるものである。各マーカーに対しての変調の割合は、分子の存在下での対応する応答に対して、分子の存在下におけるマーカーのDMR応答の1つ又は2つの特定のDMR事象の正規化に基づいて計算され、エピネフリンDMRにはP−DMR事象を、ニコチン酸DMRにはP−DMRを、EGF DMRにはP−DMRとN−DMRの事象を、ヒスタミンDMRにはP−DMR事象を、基にしている。図1Hにおいて、マーカーは、2nMエピネフリン、1μMヒスタミン、32nMの上皮細胞増殖因子、及び1μMニコチン酸である。すべての実験において、サルブタモールの濃度は10μMであった。
h)異なるアッセイ条件下での分子DMRシグナルを記述する数値行列:
本明細書に開示の方法は、異なる条件下で任意のDMRシグナルを数値的に記述するための方法である。開示された方法は細胞シグナル伝達の動態に依存し、多くの場合、時間的、空間的な動態が関与し、規制及びゲート保持がリン酸化反応などの規制機構によってなされている。これらのアッセイは自然中で多重化されており、なぜならば無標識バイオセンサ細胞アッセイは、刺激により生細胞の統合と運動応答を測定するからである。また、異なるバイオセンサの応答が異なる力学と動態を表す故に、特に大規模スクリーニングデータセットのためのバイオセンサシグナルの広い範囲のためのバイオセンサ事象の位相と振幅を決定するために、単純な戦略を適用することは困難である。したがって、単純な数値的記述の数値行列が望まれる。
本明細書に開示の方法は、数値行列として特定な所定の時間範囲応答のパネルを使用して、任意のDMRシグナルを記述する方法である。時間範囲応答のパネルは、初期の第2メッセンジャーに関連する事象から中間のシグナリング事象(例えば、トラフィッキング)や、細胞の形態学的変化への細胞内シグナル伝達の異なる波をカバーすることができる。時間範囲応答の数は、類似の分析を行うには現実的に十分に低くすべきであるが、表示できるに十分な大きさがなければならない。いくつかの実施形態では、時間範囲応答の数は3から20の範囲である。いくつかの実施形態では、時間範囲応答の数は3から15の範囲である。いくつかの実施形態では、時間範囲応答の数は3から10の範囲である。いくつかの実施形態では、時間範囲応答の数は3から7の範囲である。いくつかの実施形態では、時間範囲応答の数は3から5の範囲である。例えば、代表的な時間範囲は、刺激後の0−3分、3−6分、6−10分,10−20分,20−50分,50−120分の異なる時間を含む期間から選択することができる。β2ARオンターゲット薬理学分析では、時間範囲は刺激後3、5、9、15、50分であり得て、各時点での実際のシグナルが特定のアッセイ条件下で得られたそれぞれのDMRシグナルを記述するために使用されたことを意味する。図1 Aに示す例は、持続的な刺激条件下でサルブタモールDMRシグナルのための数値的記述であり、刺激後の3分、5分、9分、15分及び50分の時点で−29、7、89、155、199ピコメートルである。EpicシステムのようなRWGバイオセンサでは、応答は刺激中の生細胞を有するバイオセンサシステムの共振波長のシフトの尺度である。
i)クラスタリング分析:
本明細書に開示の方法は、クラスタリングアルゴリズム研究法を使用して、同一標的受容体に作用する分子の生体外薬理学を分類する方法である。いくつかの実施形態では、クラスタリングアルゴリズム研究法は、一次元又は二次元であることができる。
いくつかの実施形態では、限定されないが、クラスタリングアルゴリズムは、階層法、K−平均法及びMCLクラスタリング法であることができる。クラスタリングの階層法はリンケージに基づくクラスタの階層の構築を捜し求めるクラスター分析の方法である。(Hastie, T., Tibshirani, R., Friedman, J. (2009). ”14.3.12 Hierarchical clustering” in The Elements of Statistical Learning (2nd ed.). New York: Springer. pp. 520-528を参照されたい、及びこれはここに引用される)。K−平均法のクラスタリングは、kが入力パラメータでありかつクラスタ数であるk個の非重複のクラスタにデータを分割する分割アルゴリズムである(Hastie, T., Tibshirani, R., Friedman, J. (2009). The Elements of Statistical Learning (2nd ed.). New York: Springer. pp. 509-513を参照されたい、及びこれはここに引用される)。K−平均法クラスタリングにおける課題の1つは、クラスタ数が事前に選択されなければならず、そして一般的に、クラスタ数がノード数の二分の一の平方根に近いということである。マルコフクラスタリングアルゴリズム(MCL)のクラスタリング法は、グラフ内の流れのシミュレーションに基づくグラフの高速分裂クラスタリングアルゴリズムである。無標識統合的薬理学的研究法では、階層的クラスタリング法は、本明細書に記載した開示の実験例を通して使用された。
クラスタリングとは、コンピュータ科学、生物学、社会科学、又は心理統計学のアプリケーション並びに探索的データ分析のために広く確立された技術である。これは、構造的類似性の最初の印象を得るために基本的にどんな科学的な分野での経験的データにも適用される。そのためには、データタイプの大きい範囲に遍在的に適用することができかつ効率的で使いやすいツールを持つことの大きな利点である。しかし、無標識細胞アッセイにおけるクラスタリング分析のアプリケーションは、以前から検討されていない。
クラスタリング分析は、一般的に従来のペアワイズ類似度関数を用いて行われ、データセット内の非順序対ごとに類似度(又は距離)を決定し、類似番号行列を導く。従来のペアワイズ類似関数は、これらに限定されないが、階層法及びK−平均法とすることができる。階層法とK−平均法の両方がクラスタの発現又は遺伝子データに適用されている。階層法とK−平均法のクラスタは、ノードの階層的なグループとして、又はヒートマップとして表示される場合がある。MCL法及びFORCE法などの他の公知の方法も、使用することもできる。MCL法及びFORCE法の両方は、推定ファミリーアソシエーション(putative family association)のインタラクティブ探査を可能にするために折りたたみ可能な”メタノード”を作成し、その結果、しばしばタンパク質ファミリー(と推定される機能の類似性)を探すために、クラスタリングの類似ネットワーク用に使用されている。
階層的クラスタリングは、クラスタの階層を構築しようとするクラスター分析方法である。階層的クラスタリングのための戦略は、一般的に2種類の凝集型と分裂型に分類される。凝集型クラスタリングでは、”ボトムアップ”の研究法であり、それぞれの観測には独自のクラスタ内で開始され、クラスタのペアが上階層に移動するときにマージされる。分裂型クラスタリングは”トップダウン”の研究法であり、すべての観測が1つのクラスタで開始し、そして分割が下の階層に移動するにつれて再帰的に実行される。
クラスタのどれが結合されるべきか(凝集型用)、又は、どこで分割されるべきか(分裂用)を決定するためには、観測値のセットの間の非類似度の尺度が必要である。階層型クラスタリングのほとんどの方法では、これは適切な距離メトリック(観測値のペアの間の距離の測定)、及びセット内の観測値のペアの距離の関数としてセットの非類似度を指定連鎖基準の使用によって達成される。いくつかの要素が1つの距離に応じて互いに近接されると別のものに応じて互いに遠くなる可能性があるため、適切なメトリックの選択は、クラスターの形状に影響を与えることになる。一般的な距離メトリックには、ユークリッド距離、平方ユークリッド距離、マンハッタン距離、最大距離、マハラノビス距離、及びコサイン類似度が含まれている。例えば、ユークリッド距離は無標識統合的薬理学の用途に使用することができ、開示の実験例で使用されている。類似性と非類似度は、2つのノード間の2つの距離関数である。類似性と相違性は、ノードのエッジの属性間の距離に基づいて測定される。
階層的クラスタリングは類似ノードがツリーにより密接に接続する可能性が高くなるように樹状図(バイナリツリー)を構築する。階層的クラスタリングは、データを整理して、データ値の間とクラスタ間のペアワイズの関係の感覚作用を得るために便利である。樹状図は、リンケージの基準を使用して生成される。リンケージは2つのグループ間の”近さ”の尺度と呼ばれている。リンケージ基準は観測間ペアワイズ距離の関数として観測のセット間の距離を決定する。リンケージの4つの異なるタイプがある。階層的クラスタリングなどの凝集クラスタリング技術では、アルゴリズムの各ステップで、最も近い2つのグループがマージされるように選択される。リンケージの方法には、(1)平均ペアワイズ連鎖(すなわち、2つのグループ内のすべての要素のペア間の平均距離)、(2)ペアワイズ単結合(すなわち、2つのグループの要素のすべてのペア間の最小距離)、(3)ペアワイズ最大リンケージ(すなわち、2つのグループ内のすべての要素のペア間の最大距離)と(4)重心ペアワイズ連鎖(すなわち、2つのグループ内のすべての要素のペアの重心間の距離)が挙げられる。例えば、最大連鎖ペアワイズは無標識統合薬理用途に使用することができる。
階層的クラスタリングにおいては、クラスタを構築するために使用される距離の数値行列を計算する方法がいくつかある。通常、距離が数値行列の2つの行(通常はノードを表す)間の距離を表している。使用され得る距離メトリックは、これらに限定されないが、以下のものがある。(1)ユークリッド距離。これは値間の差分の平方の合計の平方根として計算された2行の間の単純な二次元のユークリッド距離である。(2)都市ブロック距離(City−block distance)。これは2行の値間の差分の絶対値の合計である。(3)ピアソン相関値。これは比較されている2行の値のピアソン積モーメント係数である。この値は標準偏差の積で2行の共分散で除して計算される。(4)ピアソン相関値。その絶対値は、2行の共分散の絶対値を使用している以外、(3)に示されているピアソン相関値に類似している。(5)非中心相関(uncentered correlation)。これはゼロの周りに平方の和を中心に置く項目を含む標準のピアソン相関である。このメトリックは平方の和を中心に置く試みを全くしない。(6)中心相関(centered correlation)。その絶対値は、2行の共分散の絶対値を使用している以外、(5)に示されている値に類似している。(7)スピアマンの順位相関(ρ)。これは2つの行の間の相関関係のノンパラメトリックな測定である。(8)ランクケンドールのタウ順位相関係数(τ)。これは2つの行の間の順位付する。無標識統合的薬理学のための距離メトリックの選択は、データの種類に依存することが見出されている。たとえば、非中心絶対相関(uncentered absolute correlation)がオンターゲット薬理の分類のために使用することができる。
類似性分析はさらに、類似する数値行列を計算するために事前定義されたクラスタリング閾値(密度パラメータ、これも類似度閾値と呼ばれる)を使用することができる。かかる閾値は、類似対象と非類似対象との間の境界を示し、従ってクラスタリング分析の密度を制御するために使用される。高値(制限的)はより高くしてエッジのほとんどを追加し、その結果、多くの小さなクラスターとなる。一方、低値はエッジの追加を低くしそれらの削除を高くする結果、いくつかの大きなクラスター(低い解像度を意味する)となる。無標識統合的薬理学については、クラスタリング閾値は変数とでき、そしてしばしばクラスタリングの所望の分解能に応じている。
無標識統合的薬理学では、データは階層的クラスタリングに使用することができるすべての数のノードとエッジの属性のリストを包含する。ノードは、例えば、分子であることができる。エッジ属性は、単独の分子の応答(すなわち、細胞内の分子の一次的プロファイルの特定の時間iで所定応答)を表すか、又はマーカー(例えばP−DMRとしてすなわち、マーカーバイオセンサ応答の変調率、反対又は特定の濃度で分子によるN−DMR)に反対する分子の変調率を表す。少なくとも1つのエッジ属性、又は1以上のノードの属性は、クラスタリングを実行するために選択されなければならない。エッジの属性が選択されている場合、結果の数値行列は列と行の両方上のノードでの対角線に亘って対称になる。複数ノードの属性が選択されている場合は、属性が列を定義し、ノードが行になる。特定の状況下では、ネットワーク内のノードのクラスタサブセットだけに望ましいことがある。例えば、作用の特定のモードを共有する分子を同定するために、かかる作用のモードを表示するノードのサブセットだけが検査される。
無標識統合的薬理学研究法のために、特定の正規化又はデータの前処理は効果的にクラスタリングするために必要かもしれない。例えば、データフィルタリングが必要である可能性がある。分子バイオセンサの一次インデックスに基づく類似性の分析では、フィルタリング有効データ平均値は最大最小の差分を使用することである(例えば、刺激後1時間以内で40ピコメートルより大きい異なる時間点の間の最大最小の差分を有するDMRシグナルを有する唯一の分子が、類似性分析の対象となる)。
無標識オン標的性薬理試験については、両方の一次元及び二次元クラスタリング分析を使用することができる。一次元クラスタリングは分子(ノード)間の類似性に主に焦点を当てている。2方向クラスタリング、共同クラスタリング又は双クラスタリングはクラスタリング手法であり、ノード(すなわち、対象、分子)がクラスタ化されているだけでなく、ノードの特徴(すなわち、エッジの属性)もクラスタ化されている。すなわち、データがデータ行列で表現されている場合は、行と列が同時にクラスタ化される。二次元クラスタリングは属性とノードの両方のクラスタ化を含む。かかる方法においては、クラスタリングアルゴリズムは2回実行され、最初にノードを表す数値行列における行で、そして属性を表す列で、なされる。得られた系統樹は、属性の値が指定されたノードの階層的クラスタリングを提供している。2回目のパスでは、数値行列は転置され、行は属性値を表している。これは、属性をクラスタリングする樹状図を提供している。ノードベース及び属性ベースの樹状図の両方が見ることができる。開示された実施例に示すように、第1のクラスタリングは、それらの類似性と非類似の項目で分子のクラスターを可能にする。第2のクラスタリングは、異なる目的を果たし、無標識統合的薬理学分析の種類に従属する。
かかる類似性分析は、分子の各クラスターが作用の類似モード(すなわち、薬理学)を共有する分子の相互接続した又は独立したクラスタから構成される系統樹を一般的に導く。クラスターはヒートマップとしても表示され得る。かかるヒートマップは、二次元マップで変数がとる値が色で表されているデータをグラフィカルに表現したものである。非常によく似た表示形式はツリーマップである。ヒートマップはデータ行列の値の2D表示に由来されている。ポジティブな値は緑色の正方形で、ネガティブな値は赤色の正方形で表される。大きい値が明るい色の正方形(図2に例示される)により表示され、小さな値が暗い色の正方形で表示される。クラスタ結果は、多くの場合、行と行列の列が置換されて、クラスタリングに応じて互いに近い類似値を配置する。遺伝子発現分析及びタンパク質ネットワーク分析のための類似性の分析によると、ヒートマップビュー(クラスタ化されていない)、アイゼンツリービュー、及びアイゼンKnnビューを含むの3種類の一般の評判がよいヒートマップ表示が得られる。これらヒートマップ表示研究法は、無標識統合的薬理学の観点からクラスターと分子の関係を直接表示するために使用できる。遺伝子発現分析は、多くの場合、ノード(すなわち、遺伝子)とノードの属性(例によっては、異なる実験条件下で発現データ)の数との階層的クラスタリングの結果を示す。無標識統合的薬理学に基づくクラスタリングもノード(すなわち、分子)とノードの属性の数の階層的クラスタリングの結果を表示する。しかし、使用されたノード属性は分析の種類に依存している。オンターゲット薬理学分類については、ノード属性は異なるアッセイ条件下における分子での細胞の刺激後の時間の点の数にて分子バイオセンサシグナル/応答の実際の値にすることができる。ノード属性はまた、マーカーパネル内の各マーカーに対する分子の変調率とすることができる。変調率は、分子のない状態でのマーカーバイオセンサ応答に対し、分子の存在下でマーカーバイオセンサの応答を正規化することによってしばしば計算される。かかる正規化は、シグナルの振幅であるのでそれぞれの事象の動態ではなく、分子の有効性(分子が経路や細胞プロセスのアゴニスト又はアクチベーターである場合)や効力(分子経路や細胞プロセスのアンタゴニスト又はインヒビターである場合)に関連付けられている動態ではなく、多くの場合、特定のバイオセンサ事象のシグナル振幅(例えば、P−DMR、N−DMR又はRP−DMR)に基づいている。
現在までに開発されたヒートマップ表示の中では、アイゼンツリービューは最も一般的な研究法である。ここで階層的クラスタリング結果は、通常、データ値との色分けされた”ヒートマップ”及びクラスタリングからの樹状図で表示される。あるいは、k−meansクラスタリングが使用された場合、結果はアイゼンKnnビューで表示され得る。
1.「不定冠詞、単数形(A)」
本明細書及び特許請求の範囲に使用されている「a」、「an」、及び「the」等の単数系の用語は明示されない限り複数の対象を含む。従って、例えば「インヒビター」は2つ以上のインヒビターの混合物等を含む。
2.「省略形(Abbreviation)」
当業者には広く知られている省略形が使用されることがある(例えば、時間に対する「h」又は「hr」、グラムに対する「g」又は「gm」、ミリリットルに対する「mL」、室温に対する「rt」、ナノメートルに対する「nm」、モルに対する「M」など)。
3.「約(About)」
例えば、組成物内の成分数、濃度、体積、処理温度、処理時間、収率、流速、圧力などの値、及びその範囲であって本開示の実施例に記載されているものに「約」が修飾されている場合、その数量は変化することを示し、当該変化は、例えば、化合物、組成物、濃縮物、又は使用する製剤を作製するのに使用される典型的な測定手順及び取扱手順によって、これら手順における故意でない間違いによって、製品、原料、出発材料の純度、又は本方法を実施するのに使用される成分の差によって、及びこれらと同様の要因によって生じ得る。さらに、用語「約」は特定の初期濃度又は初期混合における組成物又は製剤の老化によって変化する量及び特定の初期濃度又は初期混合における組成物又は製剤の混合又は処理によって変化する量を含む。用語「約」が修飾されているかに関わらず、特許請求の範囲はこれら数量に均等なものを含む。
4.「細胞のパネルに亘ってとマーカーのパネルに対して」
”細胞のパネルに亘ってとマーカーのパネルに対して”の句は、細胞のパネルにおける各細胞に作用する分子の一次のプロファイルとマーカーのパネルを変調する分子の変調プロファイルを審査する体系的なプロセスを指す。マーカー/細胞のペアでは、プロセスは、最初に細胞の各タイプに独立して作用する分子の一次的プロファイルを調べることから始まり、続いて、同一細胞内の分子の存在下でマーカーの二次的プロファイルを調べる。用語の”対して”は、マーカー誘発性バイオセンサ応答を調節する分子の能力を表すために具体的に使用されている。
5.「アゴニニストモード及びアンタゴニストモード」
アゴニストモード等の用語は、例えばDMRシグナルなどのバイオセンサシグナルのきっかけとなる分子の能力を判定するために細胞が分子にさらされるようなアッセイをいい、一方、アンタゴニストモードは、マーカーに応答する細胞のバイオセンサシグナルを変調する分子の能力を判定するために細胞が分子の存在するマーカーにさらされるようなアッセイをいう。
6.「他の期間」:
「他の期間」又は「その拡張期間」等の用語は、しばらくして順番に起こっている時間の又は処理の後の期間である。10分から1時間、2時間、4時間、8時間又は24時間まで、時間は非常に変化することができる。
7.「プロファイル」
プロファイル等の用語は、細胞等の組成物に対して収集されたデータを意味する。プロファイルは、本明細書において説明されているように、無標識バイオセンサから収集され得る。
8.「パルス刺激アッセイ」
”パルス刺激アッセイ”等の用語は、細胞が非常に短い時間(例えば、数秒又は数分)だけ分子にさらされている場合に、使用され得る。このパルス刺激アッセイは、細胞/標的に作用する分子の動態を研究すると、同様に、マーカーによって誘発されるバイオセンサシグナルへの影響を研究するために使用することができる。パルス刺激アッセイは、単に分子を添加した直後、所定の時間で液体ハンドリング装置によって細胞アッセイ緩衝液で分子溶液を交換することにより行うことができる。
9.「アッセイすること(Assaying)」
アッセイすること、アッセイする等の用語は細胞又は分子などの物質の特性を判定するための分析をいい、当該特性は例えばリガンド又はマーカーなどの1つ以上の外因性刺激により刺激された際の細胞の光学応答又は生体インピーダンス応答の有無、量、範囲、速度、動態、又は種類である。刺激に対する細胞応答のバイオセンサシグナルを生成することがアッセイであってもよい。
10.「アッセイ形式」
”アッセイ形式”又は”アッセイフォーマット”等の用語は、持続的なアゴニズム刺激アッセイ、アンタゴニズムアッセイ、順次刺激アッセイ、逆順次刺激アッセイ、共刺激アッセイ、変調アッセイ、及び変調プロファイリングアッセイなどのアッセイの特定のタイプをいう。
11.「応答をアッセイする(Assaying the response)」
「応答をアッセイすること」等の用語は、当該応答を特性化する手段を使用することを意味する。例えば、分子が細胞に接触させられる場合、当該分子にさらされた当該細胞の応答をアッセイするのにバイオセンサが使用されることができる。
12.「付着する」
「付着する(Attach)」、「付着(attachment)」、「接着(adhere)」、「付着され(adhered)」、「固定された(immobilized)」等の用語は、例えば、本開示の表面修飾物質、相溶剤、細胞、リガンド候補分子等のエンティティを、物理吸着、化学結合等のプロセス若しくはそれらの組み合わせのプロセスによって、表面に固定若しくは固着せしめることを通常意味する。特に、「細胞の付着(cell attachment)」、「細胞の付着(cell adhesion)」等の用語は、表面との細胞の相互作用若しくは表面への結合を意味する。当該相互作用又は結合は、細胞固定材料、相溶剤(例えば、フィブロネクチン、コラーゲン、ラミン、ゼラチン、ポリリジン等)若しくはそれら双方を用いて培養し又は相互作用せしめること等によって行われる。「付着性細胞」、「固定された細胞」等の用語は、基板の外部表面に関連付けられ、基板の外部表面上に固定され、又は特定の接触を維持する原核細胞若しくは真核細胞等の細胞、細胞株又は細胞システムを意味する。培養後のかかるタイプの細胞は、洗浄媒質交換処理、すなわち、多くの細胞ベースの分析に必須である処理に対して抵抗力を有し、耐性を有し得る。
13.「バイオセンサ(Biosensor)」
バイオセンサ等の用語は、生物学的成分に物理化学的検出成分を組み合わせた検体を検出するデバイスをいう。典型的な場合バイオセンサは3つの部分からなり、当該部分は、生物学的成分又は要素(例えば、組織、微生物、病原体、細胞、又はこれらの組合せ)、検出要素(光学的、圧電的、電気化学的、温度的、又は磁気的などの物理化学的手法において機能するもの)、及び両成分に関するトランスデューサである。当該生物学的成分又は要素は、例えば、生細胞、病原体、又はこれらの組合せであることができる。実施例において、光学バイオセンサは、生細胞、病原体、又はこれらの組合せにおける分子認識事象又は分子刺激事象を定量化可能なシグナルへ変換する光学トランスデューサを含み得る。
14.「バイオセンサ細胞アッセイを中心とした細胞プロファイル薬理学」
”バイオセンサ細胞アッセイを中心とした細胞プロファイル薬理学”等の用語は、無標識バイオセンサの細胞アッセイを用いて分子の薬理学を決定する方法である。
15.「バイオセンサインデックス(Biosensor index)」
「バイオセンサインデックス」等の用語は、バイオセンサデータの集合からなるインデックスをいう。バイオセンサインデックスは、一次プロファイル又は二次プロファイルなどのバイオセンサプロファイルの集合であり得る。当該インデックスは任意の種類のデータを含み得る。例えば、プロファイルのインデックスは、N−DMRデータ点、P−DMRデータ点、その両方、又はインピーダンスデータ点からなることができる。当該インデックスはプロファイル曲線に関する全てのデータ点であってもよい。
16.「バイオセンサ応答(Biosensor response)」
「バイオセンサ応答」、「バイオセンサ出力シグナル」、「バイオセンサシグナル」等の用語は、細胞を有するセンサシステムの細胞応答に対する応答をいう。バイオセンサは細胞応答を定量化可能なセンサ応答へ変換する。バイオセンサ応答は、RWG又はSPRなどの光学バイオセンサによって測定された刺激に対する光学応答又は電気バイオセンサによって測定された刺激に対する細胞の生体インピーダンス応答である。本開示の実施例において、バイオセンサ応答は刺激に対する細胞応答に直結しているため、当該バイオセンサ及び当該細胞応答は同じ意味で使用され得る。
17.「バイオセンサシグナル(Biosensor signal)」
「バイオセンサシグナル」等の用語は、バイオセンサを用いて測定された細胞のシグナルであって、刺激に対する細胞の応答によって生成されたものをいう。
18.「バイオセンサ表面」
バイオセンサ表面等は、それに培養される細胞を有することができるバイオセンサのあらゆる表層でもある。バイオセンサ表面は、組織培養処理され、又は細胞間マトリックス物質(例えばフィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、等)で被覆され、又は合成的材料(例えば、ポリリジン)で被覆され得る。
19.「細胞(Cell)」
細胞等の用語は、半透膜によって外部を囲まれた原形質の小さく通常は顕微鏡でしか見ることができない原形質のかたまりをいい、細胞は選択的に1つ以上の核及び様々なオルガネラを含み、細胞は生命体の全ての基本的な働きを単独で又は他の同様のかたまりと相互作用して行うことができ、細胞は独立して働くことができる生命体の最小の構造単位を形成し、細胞は人工の細胞構造、細胞モデルシステム、及び同様の人工細胞系を含む。
細胞は異なる細胞型を含むことができ、当該細胞型は例えば、特定の疾患に関する細胞、特定の起源に由来する細胞型、特定の標的に関する細胞型、又は特定の生理機能に関する細胞型である。さらに、細胞は、天然の細胞、人工の細胞、形質転換細胞、不死化細胞、一次細胞、胚性幹細胞、成体幹細胞、癌幹細胞、又は細胞から派生した幹細胞であってもよい。細胞の少なくとも2種類を含む細胞系を使用することもできる。細胞系は自然にまたは共培養を経由して形成することができる。
ヒトは約210の既知の異なる細胞型からなる。どのように細胞が準備されるか(例えば、人工的に作り出された、形質転換された、不死化された、又はヒトの体から新鮮分離されたなど)、及び、どこで(例えば、異なる年齢のヒトの体又は異なる病期のヒトの体など)細胞が得られたかを考慮すると、当該細胞型の数はほぼ無限である。
20.「細胞生物学研究法」
”細胞生物学研究法”等の用語は、細胞の生理学的特性、それらの構造、それらに含まれる細胞小器官、その環境との相互作用、それらのライフサイクル、除算と死など、細胞の研究を伴う科学的な研究法である。これは、顕微鏡レベルと分子レベルの両方で行われる。細胞がどのように動作するかや細胞の成分を知ることは、すべての生物科学の基本である。
21.「細胞培養する(Cell culture)」
「細胞培養する」又は「細胞培養すること」は、管理された状況下において原核細胞又は真核細胞が培養されるプロセスをいう。「細胞培養する」は、多細胞真核生物、特に動物細胞から派生した細胞を培養することだけでなく、複合組織及び複合器官を培養することもいう。
22.「細胞パネル(Cell panel)」
「細胞パネル」等の用語は、少なくとも2つの細胞型を含むパネルをいう。当該細胞はここに開示されたものの任意の組合せであり得る。
23.「細胞背景」
「細胞背景」等の用語は、特定の状態を有する一種の細胞である。例えば、細胞の異なるタイプは、異なる細胞背景(例えば細胞受容体の差動発現又は組織化)を有する。
また、異なる状態を有するが同じタイプの細胞は、異なる細胞背景を有する。細胞の同じタイプで異なる状態は、培養(例えば止められ又は増殖中又は静止性状態の細胞周期)又は処理(例えば異なる薬理学的試薬で処理された細胞)で達成されることができる。
24.「細胞プロセス(Cellular process)」
「細胞プロセス」等の用語は細胞内において又は細胞によって起こる応答をいう。細胞プロセスの例は、増殖、アポトーシス、壊死、分化、細胞シグナル変換、極性変化、移動、又は形質転換を含むが、これらに限定されない。
25.「細胞プロファイル薬理学」
”細胞プロファイル薬理学”などの用語は、無標識バイオセンサ、特に、光バイオセンサを用い、分子による個別に又は集合的な刺激に応答した細胞の一次的プロファイルを生成するだけでなく、分子の非存在下でのマーカー分子のパネルによる個別に又は集合的な刺激に応答した細胞の二次的プロファイルをも生成する。一次的プロファイルと二次的プロファイル、及びその結果の変調プロファイルの両方の収集は、分子の薬理学を決定するために、独立して、又は集合的に使用される。
26.「細胞応答(Cellular Response)」
「細胞応答」等の用語は、刺激に対する細胞の応答をいう。
27.「細胞標的(Cellular target)」
「細胞標的」等の用語はタンパク質又は核酸などのバイオポリマーであって、当該バイオポリマーの活性が外部刺激によって変形されることができるものをいう。細胞標的は、酵素、キナーゼ、イオンチャネル、及び受容体のような最も普及しているタンパク質である。
28.「成分(Components)」
ここに開示されているのは、開示された組成物を準備するのに使用される成分と、本明細書に開示された方法に使用される組成物自体と、である。これら及び他の材料は本明細書に開示されており、かつ、これら材料の組合せ、サブセット、相互作用、グループ等が開示されている場合において、これら分子の各々、集合的組合せ、及びその置換のうちの特定のものが明確に開示されていなくても、その各々は詳細に検討されて本明細書に記載されているものとする。従って、分子クラスA、B、及びCと分子クラスD、E、及びFとが開示され、分子の組合せ例A−Dが開示されているならば、各々が個別に記載されていない場合であってもその各々は個別かつ集合的に検討されており、すなわち組合せA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、及びC−Fも開示されていることを意味する。同様にこれらのサブセット又は組合せも開示されているものとする。従って、例えば、A−E、B−F、及びC−Eのサブグループも開示されているものとする。このコンセプトは、ここに開示された組成物を作製及び使用する方法におけるステップ(これらに限定されない)を含む本願の全ての特徴に適用される。従って、実行されることができる様々な追加ステップが存在するならば、これら追加ステップの各々は開示された方法の任意の特定の実施例又は実施例の組合せに伴って実行されることができるものとする。
29.「化合物及び組成物(Compounds and compositions)」
化合物及び組成物は当該技術分野におけるその標準的な意味を有している。特定の指定物、例えば分子、物質、マーカー、細胞、又は試薬であってこれら指定物を含むもの、これら指定物で構成されているもの、及びこれら指定物で基本的に構成されているものが開示されているものとする。従って、特定の指定マーカーが使用される場合、当該マーカーを含む組成物、当該マーカーで構成されている組成物、又は当該マーカーで基本的に構成されている組成物も開示されているものとする。特定の指定物が作製される場合、当該指定物の化合物も開示されているものとする。例えば、EGFなどの特定の生物学的材料が開示されているならば、化合物の形態をとったEGFも開示されているものとする。
30.「含む(Comprise)」
本明細書及び特許請求の範囲を通して、単語「含む」、「含んでいる」、及びその変形は、「含むがこれに限定されない」という意味であり、例えば他の添加物、成分、整数、又はステップを除外するという意味ではない。
31.「基本的に構成されている(Consisting essentially of)」
実施例において、「基本的に構成されている」とは、例えば、表面組成、バイオセンサ表面上における表面組成、製剤又は組成物を構成又は使用する方法、及び本開示の物質、デバイス、又は装置について説明するものであり、これらが、特許請求の範囲に記載された成分又はステップに加えて、ここに開示されている組成物、物質、装置、及び方法を作製・構成及び使用することに関する基礎的かつ新規な特徴に大きな影響を与えない他の成分又はステップを含み得ることをいい、当該他の成分又はステップは、例えば、特定の反応剤、特定の添加剤若しくは材料、特定の作用物質、特定の細胞若しくは細胞株、特定の表面改質剤若しくは表面調節剤、特定のリガンド候補、又はこれらと同様の変更可能な構造体、材料、若しくはプロセスである。当該本開示の成分又はステップの基礎的な特徴に大きな影響を与え得る項目又は本開示に望ましくない特性を与え得る項目は、例えば、バイオセンサ表面に対する細胞の親和性低下、細胞表面受容体又は細胞内受容体に対する刺激の親和性異常、リガンド候補又は同様の刺激に対する異常な細胞活性又は逆の細胞活性、及びこれらと同様の特性を含む。
32.「特性化すること(Characterizing)」
「特性化すること」等の用語は、リガンド、分子、マーカー、又は細胞などの物質の特徴に関する情報を収集することをいい、例えばリガンド、分子、又は細胞に対するプロファイルを得ることをいう。
33.「ケミカルバイオロジー研究法」
”ケミカルバイオロジー研究法”などの用語は、生物系の研究と操作への合成化学を通じて、多くの場合、製造された化合物の化学技術やツールの応用を含む科学的な研究法である。ケミカルバイオロジーのいくつかの形態は、化学的レベルで生きているシステムを直接調べることによって、生物学的な質問に答えることを試みている。変異誘発が興味のある生物又は細胞の新バージョンで提供できる生化学、遺伝学、又は分子生物学を使用して調査するのとは対照的に、ケミカルバイオロジー研究は、いつか特定の標的のために設計又は生化学や細胞ベースのスクリーニングに基づいて同定されてきた小分子を用いた生体外及び生体内でシステムを精査する。
34.「接触させること(Contacting)」
接触させること等の用語は、少なくとも2つのもの、例えば分子、細胞、マーカー、化合物若しくは組成物、少なくとも2つの組成物、又は製品若しくは機械を含むこれらの任意のものの間に分子相互作用が起こり得る場合において、分子相互作用が起こり得るように近接させることを意味する。例えば、接触させることは、少なくとも2つの組成物、分子、製品、又は物質を、接触させるすなわちこれらが近接して混合又は触れるような状態にさせることをいう。例えば、組成物Aの溶液と培養された細胞Bとを有しており、組成物Aの溶剤を培養された細胞B上に注入することは、組成物Aを細胞培養物Bに接触させることである。細胞をリガンドに接触させることは、リガンドを、当該細胞に対して、当該細胞が当該リガンドへのアクセスを有する状態を保証させることである。
ここに開示されている全てのものは、他のものに接触することができるものとする。例えば、細胞は、マーカーすなわち分子、バイオセンサ等に接触することができる。
35.「対照(Control)」
「対照」、「対照レベル」、又は「対照細胞」等の用語は、変化が測定される基準として定義されるものをいい、例えば、対照は実験によるものではなく所定のパラメータセットによるものであり、又は対照は前処理レベル若しくは後処理レベルに基づくものである。これらは試験の実行と同時、試験の実行前、若しくは試験の実行後に実行されるものであるか、又は予め決められた基準であり得る。例えば、対照は、並行試験として主体物、客体物、試薬等が試験手順、試験用の作用物質、試験変数等の不備・不作為を除いて処理される場合の試験結果、及び、試験効果の判断における比較基準として使用される試験結果をいう。従って、対照は、手順、作用物質、変数等に関する効果を判定するのに使用されることができる。例えば、細胞上の試験分子の効果が対象であるならば、a)当該分子の存在下における当該細胞の特性を記録し、b)aを実行した後に既知の活性若しくは活性不足を備えた対照分子又は対照組成物(例えばアッセイバッファ溶液(賦形剤))を追加してその効果を記録し、そして試験分子の対照に対する効果を比較することができる。特定の状況においては、一旦対照が実行されると当該対照は基準として使用されることができ、再度対照実験が行われる必要はなく、他の状況においては、対照実験は比較が行われる度に毎回実行されなければならない。
36.「定義済み経路」
「経路を定義された」等の用語は、例えばGαq経路、Gαs経路、Gαi経路、G12/13EGFR(上皮細胞増殖因子受容体)経路又はPKC(プロテインキナーゼC)経路などの特定経路である。
37.「検出する(Detect)」
検出する等の用語は、本開示の装置及び方法の能力であって、分子又はマーカーに誘発された細胞応答を発見又は検知し、かつ異なる分子に対する当該検知された応答を区別する能力をいう。
38.「(薬剤候補分子の)直接作用(Direct action)」
「直接作用」等の用語は、細胞上において独立して作用する(薬剤候補分子の)結果をいう。
39.「DMRインデックス(DMR index)」
「DMRインデックス」等の用語はDMRデータの集合からなるバイオセンサインデックスをいう。
40.「DMR応答(DMR response)」
「DMR応答」等の用語は、光学バイオセンサを用いたバイオセンサ応答をいう。DMRは動的質量再分布すなわち動的な細胞物質の再分布をいう。P−DMRはポジティブなDMR応答であり、N−DMRはネガティブなDMR応答であり、PR−DMRは回復したP−DMR応答である。
41.「DMRシグナル(DMR signal)」
「DMRシグナル」等の用語は、光学バイオセンサを用いて測定された細胞のシグナルであって、刺激の際に細胞の応答によって生成されたものをいう。
42.「薬剤候補分子(Drug candidate molecule)」
薬剤候補分子等の用語は、薬剤又はファーマコフォアとして機能する能力を試験される試験分子をいう。この分子は鉛分子と考慮されてもよい。
43.「早期培養」
早期培養等の用語は、しばしばその集密度又は細胞周期状態に関する培養の期間の細胞の相対的な状態である。早期培養は90%以上の高集密度の方の細胞培養である。細胞倍加時間以下の時間。
44.「効能(Efficacy)」
効能等の用語は、理想的又は最適な条件下での所望の効果の大きさを生成する能力をいう。効能は、現実の条件下での変化に関するものである有効性(effectiveness)に関する概念とは区別されるものである。効能は、分子レベル、細胞レベル、組織レベル、又は系レベルにおける応答を起こす能力と受容体占有率との間の関係である。
45.「高集密度」
細胞集密度等の用語は、細胞が培地の上又は全体にわたって許される被覆率又は増殖を意味する。多くの種類の細胞が細胞接触阻害を経験し得るので、高い集密度は、培養された細胞が組織培養表面又はバイオセンサ表面上の高い被覆率(>90%)に到達し、媒体での細胞の培養に重大制限をきたすことを意味する。逆に、低い集密度(例えば40%〜60%の集密度)は、媒体上又は中の細胞成長の制限がほとんど又は全く無く、そしてそれらが増殖相においてあると仮定されることを意味する。
46.「より高く(Higher)阻害する(inhibit)等の単語」
より高く増大する(increase)、上昇する(elevate)、上昇(elevation)等の用語、又はこれらの変形は、例えば対照と比較して、基礎レベルよりも大きく(高く)増大(上昇)することをいう。低い(low)、より低い(lower)、低下する(reduce)、減少する(decrease)、低下(reduction)等の用語、又はこれらの変形は、例えば対照と比較して、基礎レベルよりも小さく(低く)減少(低下)することをいう。例えば、基礎レベルは、アゴニスト又はアンタゴニストなどの分子を細胞に加える前すなわち当該分子の非存在下における通常の生体内レベルである。阻害する、阻害形態等の用語は低下させる又は抑制することをいう。
47.「分子の存在下(In the presence of the molecule)」
「分子の存在下」等の用語は、培養された細胞が分子に接触又はさらされていることをいう。当該接触又はさらすことは刺激が細胞に接触する前又は同時に行われ得る。
48.「インデックス(Index)」
インデックス等の用語はデータの集合をいう。例えば、インデックスは1つ以上の変調プロファイルを含む一覧、表、ファイル、又はカタログであり得る。インデックスはデータの組合せから生成されることもできる。例えば、DMRプロファイルは、P−DMR、N−DMR、及びRP−DMRを含み得る。インデックスは、完成したプロファイルのデータ、P−DMRデータ、N−DMRデータ、RP−DMRデータ、これらの任意のデータ点、又はこれら若しくは他のデータの組合せを用いて生成され得る。インデックスはこのような情報の集合である。典型的な場合、インデックスを比較する際のインデックスは同様のデータ(すなわちP−DMRとP−DMRデータ)である。
49.「分子の作用様式のための化学指示薬」
「化学指示薬」等の用語は、指示するものである。具体的には、「分子の作用様式のための化学指示薬」は、分子及び公知のモジュレーターは類似の作用様式を共有すると解釈されることができるもの、例えば公知のモジュレーターのバイオセンサインデックスと比較すると分子のバイオセンサインデックスの類似するものを意味する。
50.「分子の不在と存在下で細胞/マーカーの動態応答」
”分子運動の不在と存在下で細胞/マーカーの応答”等の句は、分子の不在と存在下でマーカーによって誘導される全体のアッセイ又は一部のアッセイの細胞応答の時系列を指し、例えばパターン認識分析を使用して、薬理学や分子の作用形態を調べるために直接使用することができる。
51.「既知のモジュレーター(Known modulator)」
既知のモジュレーター等の用語は、標的の内の少なくとも1つが既知であり既知の親和性を有するモジュレーターをいう。例えば、既知のモジュレーターはβ2−アドレナリン受容体アゴニストであり得る。
52.「既知のモジュレーターのDMRインデックス(Known modulator DMR index)」
「既知のモジュレーターのDMRインデックス」等の用語は、既知のモジュレーターに対して収集されたデータによって生成されたDMRインデックスをいう。例えば、既知のモジュレーターのDMRインデックスは、細胞パネル上において作用する既知のモジュレーターのプロファイル、及びマーカーパネルに対する既知のモジュレーターの変調プロファイルからなることができ、各マーカーパネルは細胞パネル内の細胞用である。
53.「既知のモジュレーターのバイオセンサインデックス(Known modulator biosensor index)」
「既知のモジュレーターのバイオセンサインデックス」等の用語は、既知のモジュレーターに対して収集されたデータによって生成されたモジュレーターのバイオセンサインデックスをいう。例えば、既知のモジュレーターのバイオセンサインデックスは、細胞パネル上において作用する既知のモジュレーターのプロファイル、及びマーカーパネルに対する既知のモジュレーターの変調プロファイルからなることができ、各マーカーパネルは細胞パネル内の細胞用である。
54.「既知のモジュレーターのDMRインデックス(Known modulator DMR index)」
「既知のモジュレーターのDMRインデックス」等の用語は、既知のモジュレーターに対して収集されたデータによって生成されたDMRインデックスをいう。例えば、既知のモジュレーターのDMRインデックスは、細胞パネル上において作用する既知のモジュレーターのプロファイル、及びマーカーパネルに対する既知のモジュレーターの変調プロファイルからなることができ、各マーカーパネルは細胞パネル内の細胞用である。
55.「既知の分子(Known molecule)」
既知の分子等の用語は、既知の薬理学的/生物学的/生理学的/病態生理学的な活性を有する分子をいい、その正確な作用モードは既知の場合未知の場合がある。
56.「ライブラリ(Library)」
ライブラリ等の用語は集合をいう。ライブラリはここに開示された全てものの集合であり得る。例えば、インデックスの集合であるインデックスライブラリ、プロファイルの集合であるプロファイルライブラリ、DMEインデックスの集合であるDMRインデックスライブラリ、分子の集合である分子ライブラリ、細胞の集合である細胞ライブラリ、及びマーカーの集合であるマーカーライブラリであってもよい。ライブラリは、例えば、ランダム又は非ランダムのもの、判定された又は未判定のものであってもよい。例えば、ここに開示されているのは既知のモジュレーターのバイオセンサインデックス又はDMRインデックスのライブラリである。
57.「リガンド(Ligand)」
リガンド等の用語は、物質、組成物、又は分子であって、生物学的目的を果たす生体分子に結合して当該分子との錯体を形成することができるものをいう。リガンドとその標的分子との間の実際の不可逆的な共有結合は生物系においては希少である。受容体に結合するリガンドは化学的配座すなわち受容体タンパク質の立体形状を変化させる。受容体タンパク質の配座状態は受容体の機能状態を決定する。結合傾向すなわち結合強度は親和性と呼ばれている。リガンドは、基質、ブロッカー、インヒビター、アクチベーター、及び神経伝達物質を含む。放射性リガンドは放射標識付きリガンドであり、一方、蛍光リガンドは蛍光標識付きリガンドであり、その両方は、受容体生物学及び受容体生物化学の研究用のトレーサとしてしばしば使用されるリガンドと考慮されてもよい。リガンドとモジュレーターはほぼ同じ意味で使用される。
58.「長期間アッセイ」
”長期間アッセイ”などの用語は、生きた細胞上の特定の分子の長期的な影響を研究するために使用される。1つの長期的アッセイの特定のタイプは、”長期的バイオセンサ細胞アッセイ”である。一実施形態では、細胞の各タイプは、長期間(例えば、8時間、16時間、24時間、32時間、48時間、及び72時間)、分子にさらされている。この長期間アッセイは、細胞の健康な状態(例えば、生存率、アポトーシス、細胞周期の調節、細胞接着調節、増殖)上の分子の影響を判断するために使用される。また、この長期間アッセイは、事象又はシグナル伝達経路の分子誘導性の細胞を研究するために直接使用することができる初期の細胞シグナル応答(分子刺激後の例えば、30分、60分、120分、180分)が含まれている。
別の実施形態において、マーカーの存在下での長期間バイオセンサ細胞アッセイは、分子とマーカーの間に細胞生物学、生理学上の長期的な影響のクロスレギュレーションを試験するために使用される。マーカー(群)は、分子にて、分子の後又は前に追加することができる。例えば、マーカー(例えば、H)は細胞パネル内の細胞の少なくとも1種類のアポトーシスをトリガしたときに、1分子が保護であるかどうかを決定するためにそのような長期間アッセイを使用することができる。逆に、このような長期的観点アッセイは分子によって誘発される細胞事象(例えば、アポトーシス、又は壊死)に対するマーカーの保護又は相乗的な役割を決定するために用いることができることも事実である。
59.「長期的なバイオセンサシグナル」
”長期的なバイオセンサシグナルが”長期間アッセイから生産バイオセンサシグナルである。
60.「長期DMRシグナル」
長期DMRシグナル等の用語は、長期的な光バイオセンサ、細胞アッセイから生成された光学バイオセンサシグナルである。
61.「低いCO環境」
低いCO環境は、4.5%未満のCOを有する環境である。
62.「マーカー(Marker)」
マーカー等の用語は、バイオセンサの細胞アッセイにおけるシグナルを生成するリガンドをいう。さらに、当該シグナルは、少なくとも1つの特定の細胞シグナル伝達経路及び/又は少なくとも1つの特定の標的介した少なくとも1つの特定の細胞プロセスの特性でなければならない。当該シグナルは、ポジティブ若しくはネガティブ、又はその組合せ(振動)であり得る。
63.「マーカーバイオセンサインデックス(Marker biosensor index)」
「マーカーバイオセンサインデックス」等の用語は、マーカーに対して収集されたデータによって生成されたバイオセンサインデックスをいう。例えば、マーカーバイオセンサインデックスは、細胞パネル上で作用するマーカーのプロファイル、及びマーカーパネルに対するマーカーの変調プロファイルからなることができ、各マーカーパネルは細胞パネルにおける細胞用である。hERGチャネルモジュレーターの同定及び区別において、マーカーバイオセンサインデックスは、3つの異なる細胞(例えば、HEK293細胞、HEK−hERG細胞、及びHT29細胞)におけるマロトキシンの一次プロファイルと、HEK−hERG細胞及びHT29細胞におけるマロトキシンDMRシグナルに対するマロトキシンの変調インデックスと、を含み、これらは図1に例示されている。
64.「マーカーDMRインデックス(Marker DMR index)」
「マーカーDMRインデックス」等の用語は、マーカーに対して収集されたデータによって生成されたバイオセンサのDMRインデックスをいう。例えば、マーカーDMRインデックスは、細胞パネル上で作用するマーカーのプロファイル、及びマーカーパネルに対するマーカーの変調プロファイルからなることができ、各マーカーパネルは細胞パネルにおける細胞用である。
65.「マーカーパネル(Marker panel)」
「マーカーパネル」等の用語は、少なくとも2つのマーカーを含むパネルをいう。当該マーカーは異なる経路、同一の経路、異なる標的、又は同一の標的に対するものであり得る。例えば、マロトキシンは、HEK−hERG細胞とHT29細胞の両方に対する単一のマーカーとして使用されることができる。従って、hERGチャネルモジュレーターの同定及び区別において、マロトキシンは効果的なマーカーパネルとして機能する。
66.「材料」
材料は、物理的な対象の組織に入る何か(化学的なものであるか、生化学的なものであるか、生物学的なものであるか又はそれらを混合したもの)の現実の一部である。
67.「数値行列」
数値行列又は同様の用語は、行と列の適切な数を有する類似配列で和と積を形成するために組み合わせることができるは数学的な要素の配列(例えばバイオセンサの応答データなど)を含むことができるもの、又は、単に行と列に要素の矩形配置である。数値行列は、分析が行われている方法と得られた結果の品質に大きな影響を持つことができる。例えば、開示の実施形態において、数値行列は任意のDMRシグナルを記述するために使用される特定な所定の時間範囲応答のパネルとすることができる。別の例は、分子を特徴付けるための細胞アッセイのパネルを選択するための数の行列であり、限定されないが、例えば、持続的アゴニズム刺激、順次アンタゴニズム刺激、逆順次刺激、経路モジュレーターとの共刺激、及び異なる経路のためのマーカーのパネルの変調を含む。また別の実施形態では、アッセイの少なくとも2種類の混合集団をシステムとして使用することができる。
もう一つの例は、特徴付ける分子のための細胞のパネルを選択することから成る数値行列であり、これは限定されるものではないが、例えば、特定の疾患(例えば、アレルギー反応、炎症性疾患、病原体感染、乳癌、皮膚癌、結腸癌、肝疾患、膵臓癌、若しくは心臓病などに関与する細胞のパネル)、又は特定の起源(例えば、神経細胞、肺細胞、皮膚細胞、筋細胞、若しくは肝細胞などのパネル)、又は特定の細胞標的(例えば、受容体、酵素、キナーゼ、癌遺伝子、構造タンパク質、DNA、若しくはRNA)、又は人間の生理と病態を代表する細胞の種類の広いスペクトル(例えば、角化上皮細胞からなる細胞、ウェット成層バリア上皮細胞、外分泌腺分泌上皮細胞、ホルモン分泌細胞、代謝、貯蔵細胞、バリア機能細胞(肺、腸、外分泌腺や泌尿生殖器管)、内部体腔を閉ライニングする上皮細胞、推進機能を持つ繊毛細胞、細胞外数マトリックス分泌細胞、収縮細胞、血液免疫系細胞、感覚器細胞、自律神経ニューロン細胞、感覚器官末梢ニューロン支持細胞、中枢神経系ニューロンとグリア細胞、水晶体細胞、色素細胞、生殖細胞、ナース細胞及び間質細胞のパネル)を含む。また別の実施形態では、細胞の少なくとも2種類の混合集団を、細胞システムとして使用することができ、数値行列で使用することができる。
68.「媒体」
媒体は、細胞が培養されることができるいかなる混合物でもある。細胞増殖培養液は、微生物又は細胞が培養を経験する対象である。
69.「模倣する(Mimic)」
本明細書で使用されている「模倣する」等の用語は、対象となる客体物の1つ以上の機能を実行することをいう。例えば、分子模倣体は分子の1つ以上の機能を実行する。
70.「変調する(Modulate)」
変調すること又はその変形は、細胞標的を介した細胞活性を増大、減少、又は維持することを意味する。これらの単語の内の1つが使用されている場合、対照から1%、5%、10%、20%、50%、100%、500%、若しくは1000%増加する、又は対照から1%、5%、10%、20%、50%、若しくは100%減少し得ることが開示されているものとする。
71.「DMRシグナルを変調する(Modulate the DMR signal)」
「DMRシグナルを変調する」等の用語は、マーカーを用いた刺激に対する細胞のDMRシグナル又はプロファイルの変化を引き起こすことをいう。
72.「変調比較(Modulation comparison)」
「変調比較」等の用語は、一次プロファイル及び二次プロファイルを正規化した結果をいう。
73.「変調プロファイル(Modulation profile)」
「変調プロファイル」等の用語は、分子の存在下におけるマーカーの二次プロファイルと分子の非存在下におけるマーカーの一次プロファイルとの間の比較をするものである。当該比較物は、例えば、二次プロファイルから一次プロファイルを差し引くこと又は一次プロファイルから二次プロファイルを差し引くこと、すなわち一次プロファイルに対して二次プロファイルを正規化することによるものである。
74.「モジュレーター(Modulator)」
モジュレーター等の用語は、細胞標的の活性を制御するリガンドをいう。モジュレーターは標的タンパク質などの細胞標的に結合するシグナル変調分子である。
75.「モジュレーターのバイオセンサインデックス(Modulator biosensor index)」
「モジュレーターのバイオセンサインデックス」等の用語は、モジュレーターに対して収集されたデータによって生成されたバイオセンサインデックスをいう。例えば、モジュレーターのバイオセンサインデックスは、細胞パネル上で作用するモジュレーターのプロファイル、及びマーカーパネルに対するモジュレーターの変調プロファイルからなることができ、各マーカーパネルは細胞パネルにおける細胞用である。
76.「マーカーのバイオセンサシグナルを変調する(Modulate the biosensor signal of a marker)」
「マーカーのバイオセンサシグナルを変調する」等の用語は、マーカーを用いた刺激に対する細胞のバイオセンサシグナル又はプロファイルの変化を引き起こすことをいう。
77.「モジュレーターのDMRインデックス(Modulator DMR index)」
「モジュレーターのDMRインデックス」等の用語は、モジュレーターに対して収集されたデータによって生成されたDMRインデックスをいう。例えば、モジュレーターのDMRインデックスは、細胞パネル上で作用するモジュレーターのプロファイル、及びマーカーパネルに対するモジュレーターの変調プロファイルからなることができ、各マーカーパネルは細胞パネルにおける細胞用である。
78.「分子(Molecule)」
本明細書で使用されている「分子」等の用語は、生物学的、生物化学的、又は化学的存在であって、確定的な分子量を有する分子又は化学分子の形態をとって存在するものをいう。分子等の用語は、化学的、生物化学的、又は生物学的分子をいい、そのサイズは問わない。
いくつかの分子は炭素を含まない(酸素分子などの単純な気体分子及びいくつかの硫黄ベースのポリマーなどのより複雑な分子を含む)が、多くの分子は有機分子と呼ばれる形態をとるもの(炭素原子を含む分子であり、特に共有結合によって接続されているもの)である。一般用語の「分子」は、タンパク質、核酸、炭水化物、ステロイド、有機薬剤、小さな分子、受容体、抗体、及び脂質などの分子における多数の記述的クラス又はグループを含む。適切な場合は、1つ以上のこれらのより記述的な用語(タンパク質などの多くのものは分子のグループと重複して記載されている)が、分子のサブグループに対する本方法の用途のために、分子がタンパク質などのサブクラスと一般クラスとしての「分子」との両方を示すことなく、本明細書において使用される。明記されない限り、単語「分子」は、特定の分子及びその塩(例えば薬剤学的に許容できる塩)を含む。
79.「分子のバイオセンサインデックス(Molecule biosensor index)」
「分子のバイオセンサインデックス」等の用語は、分子に対して収集されたデータによって生成されたバイオセンサインデックスをいう。例えば、分子のバイオセンサインデックスは、細胞パネル上で作用する分子のプロファイル、及びマーカーパネルに対する分子の変調プロファイルからなることができ、各マーカーパネルは細胞パネルにおける細胞用である。
80.「分子のDMRインデックス(Molecule DMR index)」
「分子のDMRインデックス」等の用語は、分子に対して収集されたデータによって生成されたDMRインデックスをいう。例えば、分子のDMRインデックスは、細胞パネル上で作用する分子のプロファイル、及びマーカーパネルに対する分子の変調プロファイルからなることができ、各マーカーパネルは細胞パネルにおける細胞用である。
81.「分子インデックス(Molecule index)」
「分子インデックス」等の用語は分子に関するインデックスをいう。
82.「分子混合物(Molecule mixture)」
分子混合物等の用語は、少なくとも2つの分子を含む混合物をいう。当該2つの分子は、構造的に異なるもの(すなわち光学異性体(enantiomers))、組成的に異なるもの(例えば、プロテインアイソフォーム、グリコフォーム、又は異なるポリ(エチレングリコール)(PEG)の変形物を有する抗体など)、又は構造的及び組成的に異なるもの(例えば、未浄化の天然抽出物又は未浄化の合成化合物)であり得るが、これらに限定されない。
83.「分子変調インデックス(Molecule modulation index)」
「分子変調インデックス」等の用語は、細胞パネル上で作用するマーカーパネルのバイオセンサ出力シグナルを変調する分子の能力を表示するインデックスをいう。当該変調インデックスは、分子の存在下におけるマーカーを用いた刺激の際の細胞応答の特定のバイオセンサ出力シグナルのパラメータを、分子の非存在下におけるものに対して正規化することによって生成される。
84「分子処理された細胞(Molecule−treated cell)」
分子処理された細胞等の用語は、分子にさらされた細胞をいう。
85.「分子薬理(Molecule pharmacology)」
「分子薬理」等の用語は、システム細胞生態(systems cell biology)又はシステム細胞薬理(systems cell pharmacology)をいい、すなわち細胞上で作用する分子の作用モードである。分子薬理は、毒性、特定の細胞プロセス(例えば、増殖、分化、活性酸素種シグナル伝達)に影響を与える能力、又は特定の細胞標的(例えばβAR、ADRB2、ADRA1A、ADRA1B、ADRA1D、ADRA2A、ADRA2B、ADRA2C、ADRB1、ADRB3、PI3K、PKA、PKC、PKG、JAK2、MAPK、MEK2、若しくはアクチン)を修飾する能力(これらに限定されない)によってしばしば特性化される。
86.「生来細胞」
天然の細胞は、遺伝子工学によらなかったいかなる細胞でもある。天然の細胞は一次電池、不滅にされた細胞、形質転換細胞株、幹細胞、又は、幹細胞を誘導した細胞であり得る。
87.「ネットワーク相互作用」
”ネットワークの相互作用”などの用語は、少なくとも二つの特定のシグナル伝達カスケード又は伝達経路間の相互作用である。例えば、A431細胞におけるブラジキニンB2受容体の活性化は、少なくとも2つのシグナル伝達経路Gq及びGsの経路を導き、ここで、2つの経路が互いに交差して規制(cross−regulated)されることができる。このようなクロスレギュレーションは、ネットワークの相互作用の一タイプである。もう一つの例は、複雑な多成分のシグナル伝達経路が関与するA431細胞におけるEGFRシグナルである。これらの経路はフィードバックのための機会、シグナル増幅、及び、1つの細胞内の主にネットワークを介した複数のシグナルとシグナル伝達経路間の相互作用を提供する。
88.「正規化すること(Normalizing)」
正規化すること等の用語は、例えば少なくとも1つの共通変数を除去するために、データ、プロファイル、又は応答を調節することを意味する。例えば、2つの応答が生成され、その一方が細胞上で作用するマーカーに対するものであり、他方が細胞上で作用するマーカー及び分子に対するものである場合、正規化することとは、分子の非存在下におけるマーカー誘発された応答と分子の存在下における当該応答とを比較してマーカーのみによる応答を除去することをいい、これによって正規化された応答はマーカーに対する分子の変調による応答を示すこととなる。変調比較はマーカーの一次プロファイル及び分子の存在下におけるマーカーの二次プロファイル(変調プロファイル)を正規化することによって得られる。
89.「オンターゲット薬理学」
オンターゲット薬理学などの用語は、特定の標的に作用する薬物分子の生細胞又は細胞系における活動とそれに関連付けられた結果を指す。薬物分子は、生きた細胞や細胞システム内の、又は異なる条件の下での同一の細胞内の異なる成り行きがあり得る標的に結合する。
90.「任意の(Optional)」
「任意の」、「任意で」等の用語は、その後に記載されている事象又は状況が発生する場合と発生しない場合があることを意味し、かつ当該記載が当該事象又は状況の発生する例と発生しない例とを含むことを意味する。例えば、「任意で組成物は組合せを含む」との表現は、当該組成物が異なる分子の組合せを含む場合と組合せを含まない場合とがあることを意味し、この表現は当該組合せと当該組合せではないこと(すなわち当該組合せの個別のメンバ)との両方を含む。
91.「又は(Or)」
本明細書で使用されている「又は」等の用語は、特定の一覧の中の1のメンバ及び当該一覧のメンバの任意の組合せを含むことを意味する。
92.「パネル(Panel)」
パネル等の用語は、所定の組の試料(例えば、マーカー、細胞、又は経路)をいう。パネルはライブラリから試料を選定して作成され得る。開示の実施例ではパネルはアッセイパネルである。
93.「pH緩衝分析溶液」
pH緩衝分析溶液は、生理学的なpH(特にpH7.1)を有する緩衝されたいかなる溶液である。
94.「パニング」
パニング等の用語は、一つ以上の受容体又は細胞標的の存在のための一つ細胞又は細胞群をスクリーニングすることを意味する。
95.「所定の時間範囲」
”所定の時間範囲”又は”時間範囲”は、アッセイなどの事象中における特定の時間や期間を指す。本明細書に開示されるよう、例えば、細胞が分子にさらされているときのデータを収集するための時間範囲は、刺激後の0〜3分、3〜6分、6〜10分、10〜20分、20〜50分、50〜120分とすることができる。別の例では、本明細書に開示されるように、細胞が分子にさらされているときのデータを収集するための時間範囲は、刺激後の3、5、9、15、50分とすることができる。したがって、事象中に複数の時間範囲がある場合もある。例えば、本明細書に開示されるように、事象中3−20、3−15、3−10、3−7及び3−5の時間範囲がある場合もある。
96.「期間」:
「期間」は、時間の経過を表している任意の期間をいう。例えば、1秒、1分、1時間、1日及び1週は、全ての期間である。
97.「刺激後」
刺激後等の用語、細胞アッセイにおける分子と細胞の刺激後の時間をいう。
98.「ポジティブ対照(Positive control)」
「ポジティブ対照」等の用語は、データ収集条件がデータ収集を導き得ることを示す対照をいう。
99.「効力(Potency)」
効力等の用語は、所定の強度の効果を得るのに必要な量で表された分子活性の測定結果をいう。効力は親和性及び効能に比例する。親和性は受容体に結合する薬物分子の能力である。
100.「増強する(Potentiate)」
増強する、増強された等の用語は、分子によって引き起こされた細胞内のマーカーのバイオセンサ応答の特定のパラメータを増大することをいう。分子の存在下における同一の細胞内におけるマーカーの二次プロファイルと同一のマーカーの一次プロファイルとを比較することによって、当該分子による細胞のマーカー誘発されたバイオセンサ応答の変調を計算することができる。ポジティブな変調は、マーカーに誘発されたバイオセンサシグナルを増大させる分子を意味する。
101.「一次プロファイル(Primary profile)」
「一次プロファイル」等の用語は、バイオセンサ応答又はバイオセンサ出力シグナルであり、すなわち分子が細胞に接触した際に得られたプロファイルをいう。典型的な場合、一次プロファイルは、最初の細胞応答を正味ゼロ(すなわち基準線)のバイオセンサシグナルに対して正規化した後に得られる。
102.「プロファイル(profile)」
プロファイル等の用語は、細胞などの組成物に対して収集されたデータをいう。プロファイルは上記したように無標識バイオセンサによって収集され得る。
103.「刊行物(Publications)」
本願を通して、様々な刊行物が参照されている。これら刊行物の開示内容は、当該技術分野の状況をより完全に説明するために、その全てにおいて、参照することにより本願に組み込まれているものとする。開示された参照物は、当該参照物の属する文中において記載されている材料においても、個別かつ詳細に参照することにより本明細書に組み込まれているものとする。
104.「パルス刺激分析」
「パルス刺激分析」等の用語は、使用した、細胞は分子にさらされるだけである非常に短い時間(例えば数秒又は数分)に用いられる。このパルス刺激分析は、細胞/標的(マーカー−起因性バイオセンサシグナルに対するその衝撃と同様に)に作用している分子の動態学的を研究するために用いることがあり得る。パルス刺激分析は、単に分子添加の直後に所定時間で器具を取り扱っているによって、分子溶液を細胞分析緩衝液と取り替えることによって実行され得る。
105.「休止」
休止等の用語は、まだ、休息して静かで、休止中で、非活動性の状態を意味する。休止は、細胞周期の細胞のG0期に関連することができ、又は、それが分かれないときに、休止は細胞の状態である。細胞の休止は、多様な反分裂促進のシグナル(例えば分裂促進因子(例えば増殖因子)禁断、接触阻害及び凝着の減量)によって、可逆培養/増殖阻止起因性として定義される。
106.「範囲(Ranges)」
範囲は、1の「約」に修飾された特定の値から、及び/又は他の「約」に修飾された特定の値まで、として本明細書において表現されることができる。このように範囲が表現された場合、他の実施例は、一方の特定の値から他方の特定の値までか、一方の特定の値以上か、又は他方の特定の値以下を含む。同様に、値が、先行詞「約」を使用することによって、近似値として表現された場合、この特定の値は他の実施例を形成する。さらに、当該範囲の終点の各々は、その他の終点に関連してかつ当該他の終点とは独立して重要なものである。さらに、本明細書には多数の値が開示されており、当該値の各々は、その値に加えて「約」に修飾された特定の値として本明細書に開示されているものとする。例えば、値「10」が開示されているならば、「約10」も開示されているものとする。さらに、当業者に適切に理解されるように、1の値が当該値「以下」と開示されている場合、「当該値以上」及びその値間の可能な範囲も開示されているものとする。例えば、値「10」が開示されているならば、「10以下」及び「10以上」も開示されているものとする。さらに、本願を通して、データは多数の異なる形式で与えられており、このデータは、終点、始点、及び当該データ点の任意の組合せを表すものであるとする。例えば、特定のデータ点「10」及び特定のデータ点15が開示されているならば、10より大きい、15より大きい、10以上、15以上、10未満、15未満、10以下、15以下、10、及び15が10と15との間と同様に考慮され開示されているものとする。さらに、2つの特定の単位間の各単位も開示されているものとする。例えば、10及び15が開示されているならば、11、12、13、及び14も開示されているものとする。
107.「受容体(Receptor)」
受容体等の用語は、細胞の原形質膜又は細胞質に組み込まれているタンパク質分子であって、可動性のシグナル伝達分子(又は「シグナル」分子)が結合し得るものをいう。受容体に結合する分子は「リガンド」と呼ばれ、ペプチド(神経伝達物質など)、ホルモン、調合薬、又は毒素であることができ、さらに受容体は、当該結合が起きた際に、通常は細胞応答を開始する構造変化に進入する。しかし、いくつかのリガンドは応答を誘発することなく受容体を遮断するのみである(例えばアンタゴニスト)。受容体におけるリガンド誘発された変化は、当該リガンドの生物学的活性を構成する生理学的変化を引き起こす。例えば、受容体は、β2−アドレナリン受容体又はαアドレナリン受容体とすることができる。さらなる例では、受容体はβ2AR、ADRB2、ADRA1A、ADRA1B、ADRのAID、ADRA2A、ADRA2B、ADRA2C、ADRB1及びADRB3することができる。
108.「参照分子」
”参照する分子”又は ”参照分子”等の用語は、細胞に作用する試験分子の影響を決定するために使用される分子を指す。アッセイの形成に応じて、参照分子は、異なる可能性がある。例えば、アンタゴニズムアッセイで、参照分子は試験分子が相互作用する標的受容体のアゴニストである。順次刺激アッセイでは、参照分子は、アゴニスト、アンタゴニスト、又は試験分子が相互作用する標的受容体のインバースアゴニストであることができる。共刺激アッセイでは、参照分子は、アデニル酸シクラーゼ活性剤フォルスコリンなどの受容体への経路の変調器の下流であることができる。変調アッセイにおいて、参照する分子は、カゼインキナーゼ2(CK2)インヒビターTBBのような経路モジュレーター、又はPI3KインヒビターLY294002、又はROCKインヒビターY27632、又はMEKインヒビターU0126、又は毒素(例えば、百日咳毒素、コレラ毒素)であるとすることができる。
109.「特定の人間の生理学と病態生理学の代表」
”代表”などの用語はものの特定のクラス又は種類の例又はタイプであることにある。例えば、ヒト肺癌細胞株A549の細胞特性がヒト肺癌の生理機能への代表とみなされ、したがって、A549はヒト肺癌の細胞生物学、生理学を研究するためのモデル細胞系として使用される。
110.「応答(Response)」
応答等の用語は刺激に対する反応をいう。
111.「ロバストなバイオセンサシグナル(Robust biosensor signal)」
「ロバストなバイオセンサシグナル」はバイオセンサシグナルであって、その振幅がノイズレベル又はネガティブ対照応答よりも十分に(例えば、3倍、10倍、20倍、100倍、又は1,000倍)大きいシグナルである。しばしば、当該ネガティブ対照応答はアッセイバッファ溶液(すなわち賦形剤)を加えた後の細胞のバイオセンサ応答である。当該ノイズレベルは他の溶液を加えない場合の細胞のバイオセンサシグナルである。細胞が他の溶液を加える前から溶液に浸されているのは影響しない。
112.「ロバストなDMRシグナル(Robust DMR signal)」
「ロバストなDMRシグナル」等の用語は「ロバストなバイオセンサシグナル」のDMRの形態をとったものをいう。
113.「サンプル(Sample)」
サンプル又はこれと同様の用語は動物、植物、真菌などであって、天然物、天然抽出物等、動物由来の組織若しくは器官、細胞(対象物内のもの、対象物から直接取出したもの、又は培養状態を維持している細胞若しくは培養された細胞株由来の細胞)、細胞溶解物(又は溶解物の一部)若しくは細胞抽出物、又は細胞若しくは細胞材料(例えば、ポリペプチド又は核酸)から派生した1つ以上の分子を含む溶液をいい、これらは本明細書に記載されているようにアッセイされる。サンプルは体液又は排出物(例えば、血液、尿、便、唾液、涙、胆汁であるがこれらに限定されない)であって細胞又は細胞成分を含むものであってもよい。
114.「二次プロファイル(Secondary profile)」
「二次プロファイル」等の用語は、分子の存在下におけるマーカーに対する細胞のバイオセンサ応答又はバイオセンサ出力シグナルをいう。二次プロファイルは、マーカー誘発された細胞応答すなわちバイオセンサ応答を変調する分子の能力を示すものとして使用されることができる。
115.「媒体を含んでいる血清」
媒体を含んでいる血清などの用語は、血清(例えばウシ胎児血清)を含むあらゆる細胞培地である。Fetalウシ血清(又はウシ胎仔血清)は、血漿タンパクフィブリノーゲンがフィブリンに変わって、クロットに残るプロセスである血液の凝析の後に残るプラズマの一部であること。ウシ胎児血清はウシの胎児の血液から調製された血清であり、ウシの胚から引き出される血液から由来する。ウシ胎児血清(FBS)は抗体において低くて、より多くの増殖因子を含むことのために最も広く使われている血清であり、そして、多くの異なる応用の可転性を考慮に入れる。FBSが、真核細胞を培養する際に使われる。
116.「血清枯渇媒体」
血清枯渇媒体は、血清を含まない細胞培地である。
117.「短い期間」
「短い期間」等の用語は、基準培養の下の細胞の重複より概して短い時間である。
118.「短期アッセイ」
”短期アッセイ”などの用語は、生きた細胞上の特定の分子の短期的な影響を研究するために使用される。短期アッセイの特定のタイプは、 ”短期的なバイオセンサ細胞アッセイ”である。一実施形態では、細胞の各タイプは、時間の短い期間(例えば、5分、10分、30分、45分、60分、90分、180分、240分)の分子にさらされている。この短期的なアッセイは、しばしば分子が誘導する細胞シグナリング事象又は経路を研究したり、マーカー誘発細胞応答を調節する分子の能力を研究するために直接使用することができる初期の細胞シグナル応答を検出するために使用される。
119.「シグナル伝達経路(Signaling pathway)」
「定義された経路を」等の用語は、シグナル(例えば外因のリガンド)を受信することから細胞の応答(例えば細胞標的の発現増大)までの細胞の経路である。場合によっては、受容体に結合するリガンドによって生じる受容体活性化は、リガンドに対する細胞応答に直結する。例えば、神経伝達物質GABAは、イオンチャネルの部分である細胞表面受容体を活性化することができる。ニューロン上のGABA A受容体に結合するGABAは、当該受容体の一部である塩化物選択性イオンチャネルを開く。GABA A受容体の活性化は、負の電荷を帯びた塩化物イオンが、ニューロンへ進入して活動電位を生成するニューロンの能力を阻害することを可能にする。しかし、多くの細胞表面受容体において、リガンド−受容体相互作用は細胞の応答に直結していない。活性化された受容体は、細胞の挙動におけるリガンドの最終的な生理学的効果が生成される前に、まず細胞内部の他のタンパク質と相互作用しなければならない。しばしば、いくつかの相互作用する細胞タンパク質の鎖の挙動は受容体の活性化に従って変更される。受容体活性化によって誘発された細胞変化のすべてのセットはシグナル伝達機序すなわちシグナル伝達経路と呼ばれる。当該シグナル伝達経路は比較的単純であるか非常に複雑であり得る。
120.「特定の期間」
”特定の期間”等の用語は、2つの事象の間の指定された期間を指す。例えば、本明細書に開示されているように、2ステップアッセイにおいて、細胞は、まず分子にさらされ、続いて受容体アゴニストで刺激されている。2つのステップは、特定の期間で区切られている。例えば、本明細書に開示されるように、無標識細胞アッセイのために、それは約1時間にすることができる。
121.「細胞を飢餓させる」
細胞を飢餓させる等の用語は、細胞培養の間に細胞を休止に追い込むプロセスを意味する。細胞培養の間に細胞培地から分裂促進因子(例えば血清又は増殖因子)を引き抜く又は枯渇させることは、細胞を飢餓させるための最も一般の手段である。分裂促進因子枯渇は他の手段(例えば接触阻害)と連動して使われることができる。
122.「物質(Substance)」
物質等の用語は任意の物理的客体物をいう。材料は物質である。分子、リガンド、マーカー、細胞、タンパク質、及びDNAは物質と考えられる。機械又は製品は、物質そのものではなく、物質から作られているものと考えられる。
123.「被同期細胞」
同期された細胞、被同期細胞等の用語は、マイクロタイタープレートの単一のウェルの大多数の細胞が同じ状態(例えば同じ細胞周期(例えばG又はG))においてある細胞の個体群を意味する。同期された細胞等の用語はまた、細胞が培養され大部分の細胞が細胞周期の同じステージにおいてある細胞の個体群に結果としてなる細胞を囲んでいる環境又は状況の操作を意味する。
124.「安定した(Stable)」
医薬組成物に関して使用される場合、「安定した」等の用語は、当業者の間では、特定の保存条件下での所定期間の活性材料の喪失が特定の量未満、通常は10%未満であることを意味する。組成物が安定していると考慮されるのに必要な時間は、製品の用途に関係しており、かつ製品の生産、品質管理及び検査のための保管、最終的な使用の前に再度保管される卸売業者への輸送又は消費者への直接の輸送における商業的実用性によって定められる。数ヶ月の安全率を含めると、医薬品の最低製品寿命は通常1年であり、18ヶ月よりも長いのが好ましい。本明細書で使用されている用語「安定した」は、これら市場の実情と、2度から8度の間の冷蔵状態などの容易に達成可能な環境条件で製品を保管及び輸送する能力と、を考慮している。
125.「対象物(Subject)」
本願を通して使用されている対象物等の用語は固体を意味する。従って、「対象物」は、例えば、犬、猫などの家畜化された動物、家畜類(牛、馬、豚、羊、ヤギなど)、実験動物(マウス、ウサギ、ラット、モルモットなど)、哺乳類、ヒト以外の哺乳類、霊長類、ヒト以外の霊長類、齧歯動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、及び他の動物を含むことができる。1つの対象物の態様は、霊長類又はヒトなどの哺乳類である。対象物はヒト以外であってもよい。
126.「懸濁細胞」
「懸濁細胞」は、好ましくは細胞が付属しないか又は培養の間、基質の表層に付着しない媒体で培養される細胞又は細胞株を意味する。しかし、懸濁細胞は、一般に、化学的(例えば、共有結合不略又は抗体−細胞表面受容体相互作用)、又は物理的手段(例えば、重力の力によるバイオセンサが包埋されるウェルの底へ沈降によって、バイオセンサ表面に接触させることができる。このように、懸濁細胞がまた、バイオセンサ細胞の分析のために使われることができる。
127.「システム生物学」
”システム生物学”などの用語は、それらが機能する複雑な生理的な環境内での生物学的プロセスの”体系的”な調査、研究などの尋問をいう。
128.「システム薬理学」
”システムの薬理学”などの用語は、薬理学の目標を追求するために、システム生物学を使用している。
129.「試験分子(Test molecule)」
試験分子等の用語は、当該試験分子に関するいくつかの情報を得る手法において使用される分子をいう。試験分子は未知の分子又は既知の分子であることができる。
130.「処理・治療すること(Treating)」
処理すること、処理等の用語は少なくとも2つの意味で使用されることができる。第1に、処理すること、処理等の用語は投与すなわち対象物に向けてとられる行為をいう。第2に、処理すること、処理等の用語は2つのものを混合することをいい、当該2つのものは例えば分子及び細胞などの2つ以上の物質である。この混合は、当該少なくとも2つの物質を接触し得る状態にさせる。例えば、「細胞を処理して高い密集度を達成する」は、細胞が密集度に達するように細胞を世話又は操作することを意味する。
治療、処置等の用語が疾病に関する文脈において使用される場合、これらは例えば治癒又は症状の軽減を暗示するものではない。治療学的用語又はこれと同様の用語が治療すること、治療等の用語に伴って使用される場合、基礎疾患の症状が軽減すること及び/又は基礎的な1つ以上の細胞的原因、生理学的原因、若しくは生物化学的原因、若しくは症状を起こす機序が軽減されることを意味する。この文脈において使用される軽減とは、単に疾病の生理学的状態だけでなく、疾病の分子状態を含む疾病の状態が比較的低減されることを意味すると、理解される。
131.「トリガ(Trigger)」
トリガ等の用語は応答などの事象を起こす又は開始する動作や作用をいう。
132.「2ステップアッセイ」
”2ステップアッセイ”又は同様の用語が使用され、これは、細胞パネル内の細胞の各タイプは最初に分子にさらされ、分子によって誘発されるバイオセンサシグナルを試験し、続いて、特定のマーカー又はパネルによって、マーカーによって誘発されるバイオセンサシグナルを変調する分子の能力を試験することをいう。このアッセイは、初期アゴニズムモードとその後アンタゴニズムモードのような分子の作用のモード(例えば、標的、アゴニズム又はアンタゴニズム、及び効能又は効果)として、2モードアッセイと呼ぶことができる。
133.「極端に高い集密度」
極端な高い集密度等の用語は、細胞培養の端の少なくとも99%の集密度を有する細胞の個体群を意味する。
134.「未知分子」
未知の分子等の用語は、未知の生物学的、薬理学的、生理学的、病態生理学的な活性を有する分子である。
135.「値(Values)」
組成物、要素、添加物、細胞型、マーカーなどの態様及びそれらの範囲のために開示された特定かつ好ましい値は、説明のためだけのものであり、それらは、定義された他の値又は定義された範囲中の他の値を除外するものではない。本開示の組成物、装置及び方法は、それらが有するどんな値又は値のどんな組み合わせ、特定の値、さらなる特定の値及びここに開示された好ましい値のものも含む。
従って、ここに開示された方法、組成物、製品及び機械は、本明細書に記載された様々な成分、ステップ、分子及び組成物等を含み、これらで構成され、又は本質的にこれらで構成されるような態様にて結合され得る。それらは、例えば、ここに定義したようなリガンドを含む分子を特性化する方法、ここに定義したようなインデックスを生成する方法、又は、ここに定義したような創薬の方法において使われることができる。
136.弱付着性細胞」
「弱付着性細胞」とは、細胞培養中に、基板の外部表面と弱く相互作用し、基板の外部表面と弱く関連し、基板の外部表面と弱く接触する原核生物の細胞又は真核性細胞等の細胞、細胞株又は細胞システムを意味する。しかしながら、これらのタイプの細胞、例えば、ヒト胎児性腎臓(HEK)細胞は、洗浄液若しくは媒質の交換等の物理的に妨害的な手法により、基板の表面から解離する。
137.「細胞シグナリングの波」
”細胞シグナリングの波”等の用語は、細胞内シグナル伝達及び変化のさまざまな段階を指す。例えば、”細胞シグナリングの波”には、これらに限定されるものではなないが、初期のセカンドメッセンジャーに関連する事象、中間シグナリング事象(例えば、トラフィッキング)、細胞の形態学的変化、新たなタンパク質合成に関連した事象、又は遺伝子発現調節と変質関連する事象が含まれている。
D.例:
1.実験手順:
a)試薬:
すべてのアドレナリン受容体薬物物はBIOMOLインターナショナル、LP(プリマスミーティング、ペンシルバニア州)から入手した。上皮増殖因子(EGF)はBaChem Americas(トーランス、カリフォルニア州)から入手した。細胞培養試薬はすべてGIBCO細胞培養製品から購入した。エピック(登録商標)384バイオセンサマイクロプレート細胞培養互換は、コーニング社(コーニング、ニューヨーク州)から得た。
b)細胞培養:
ヒト類表皮癌A431細胞株はアメリカンタイプ細胞カルチャー(ATCC)(マナサス、バージニア州)より購入し、ATCCの指示に従って維持した
細胞培養培地は、10%ウシ胎児血清(FBS)、4.5g/Lグルコース、2mMグルタミン、及び抗生物質を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)であった。
細胞は、例によって通路3から15でウェル当たり約1〜2×10個細胞を用いて、バイオセンサマイクロプレートの対応する培地の50μlに懸濁して成長させ、約1日の間に空気/5%CO下にて37℃で培養した。A431細胞は、一般的に無血清培地中で一晩飢餓させ、続いて血清培地で1日培養した。アッセイの時点で、すべての細胞の集密度は約95%〜100%であった。PTX処理A431細胞は、一晩の100ng/mlのPTXで1日間培養A431細胞を処理することにより得られた。
c)光学バイオセンサシステムと細胞アッセイ:
エピック(登録商標)ベータバージョンの波長尋問システム(コーニング社、コーニング、ニューヨーク州)は、全細胞の検出に使用された。このシステムは、温度制御装置、光学検出部、ロボットによるオンボード液体ハンドリングユニットから構成されている。検出部は、統合された光ファイバを中心とし、約15秒の時間間隔で、細胞応答の運動測定を可能にする。
RWGバイオセンサは、センサ表面に近い局所屈折率の微細な変化を検出することが可能である。細胞内の局所屈折率が密度とバイオマスのその分布(例えば、タンパク質、分子複合体)の関数であるため、バイオセンサは、非侵襲的にネイティブ細胞におけるリガンド誘導動的質量再分配を検出するために、そのエバネッセント波を利用している。エバネッセント波は細胞中に延びて距離に亘って指数関数的に減衰し約150nmの特性センシング体積を導くものであり、これは、受容体活性化を介した任意の光学応答エバネッセント波がサンプリングしている細胞の一部の平均値を表すことを示唆する。多くの細胞の事象を集約することは下流受容体の活性化はリガンド誘導DMRの動態及び振幅を決定する。
バイオセンサ細胞アッセイのために、分子溶液は、HBSS(1xハンクス平衡塩溶液、プラス20mMのHepes緩衝液、pH7.1)に保存されて濃縮された溶液を希釈することによって作製され、384ウェルポリプロピレン分子貯蔵プレートに移され、分子ソースプレートを調製した。分子及びマーカーソースプレートの両方は、2ステップアッセイを行ったとき、別々に作成された。並行して、細胞はHBSSで2回洗浄され、30μlのHBSSで維持され、細胞アッセイプレートを調製した。細胞アッセイプレートと分子及びマーカーソースプレートとの両方は、リーダシステムのホテルでインキュベートされた。約1時間のインキュベーション後、細胞アッセイプレート内のすべてのバイオセンサの基準線の波長が記録され、ゼロに正規化された。その後、2分から10分の連続記録が行われ、基準線を確立し、細胞が定常状態に達していることを確保した。その後、オンボードリキッドハンドラーを用いてマーカーソリューションの10μlを細胞アッセイプレート中へピペッティングすることにより、細胞応答がトリガされた。
マーカー誘発性応答に関する分子の影響を研究するために、固定用量(通常EC80又はEC100)のマーカーでの第2の刺激が適用された。マイクロプレート内のすべてのバイオセンサの共振波長は、第2の刺激の直前に、第2の基準線を確立するために再度標準化した。2つの刺激は通常約1時間により分離された。
すべての研究は、制御された温度で(28℃)行った。実験の少なくとも2つの独立したセット、それぞれの少なくとも3つの複製、が実行された。ばらつきの検定係数は10%より小さいことが分かった。細胞の典型的なDMRシグナルは、エピックシステムを用いて測定され、基準線の刺激前(たいていはゼロに正規化)と刺激後の細胞応答で構成されるリアルタイム動態応答である。
2.例1:β2ARアゴニストサルブタモールを特徴付けるための複数のアッセイ
A431細胞がアドレナリン受容体薬物物分子のオンターゲット薬理学を完全に特徴づけるためのモデル系として用いられた。定量的リアルタイム−PCRを用いた遺伝子発現分析により、A431細胞だけβ2−アドレナリン受容体(β2AR、ADRB2)を発現し、αアドレナリン受容体(ADRAIA、ADRAIB、ADRAID、ADRA2A、ADRA2B、ADRA2C)又は他のβアドレナリン受容体(ADRB1、ADRB3)(データは示さず)をほとんど、あるいはまったく発現しないことがわかった。
アゴニズムアッセイでは、休止A431細胞における古典GS−DMRシグナルにおいて得られた10μMサルブタモールが遅いP−DMRの事象(図1A)に続いて急速なN−DMRによって特徴付けられた。
10μMのサルブタモールによるA431細胞の事前刺激はプロプラノロールDMRシグナルを変えた(図1B)。プロプラノロールはERK経路のための部分的なアゴニストであり、そしてアデニリルシクラーゼ−cAMP−PAK経路のためのインバースアゴニストである。休止A431細胞では、プロプラノロールは検出可能なP−DMRシグナルへ導いた。しかし、サルブタモール処理A431細胞は、N−DMRシグナルでプロプラノロールに応答した。これは、プロプラノロールがサルブタモール誘起P−DMRシグナルを逆にすることができることを示している。プロプラノロール濃度は両方の測定のために10μMであった。
フォルスコリン(10μM)及びサルブタモール(10μM)での休止A431細胞の共刺激はフォルスコリンDMRシグナルとは異なるDMRシグナルを導き、共同刺激は大きいN−DMRと遅い動態(図1C)で小さいP−DMRを生んだ。フォルスコリンは、よく知られたアデニル酸シクラーゼアクチベーターであり、それはA431細胞内のGs経路を完全に活性化することができる。これは、サルブタモールが代償経路(例えば、ERK)の活性化を引き起こし、フォルスコリン媒介Gsシグナル伝達経路をキャップすることを示している。
10μMエピネフリン前処理A431細胞は、未処理のA431細胞(図1D)に比べ、はるかに小さい応答で依然とサルブタモールに応答した。これは、細胞が内因β2AR介したエピネフリンによって十分に一度活性化されると、サルブタモールが強い部分アゴニストとして作用し、まだエピネフリン応答をわずかに逆にすることができることを示している。
CK2インヒビターTBBの前処理細胞は約10μMのTBB処理した細胞にてサルブタモールDMRシグナルを大きく変え、サルブタモールDMRシグナルは、初期のN−DMRの事象を欠いており、ただ抑圧されたP−DMR事象で構成される(図1E)。これは、CK2のキナーゼがA431でのβ2ARシグナリングの下流カスケードであり、N−DMR事象で主要な役割を果たし、また、サルブタモールDMRシグナルのP−DMR事象に貢献していることを示している。
100ng/mlPTX処理A431細胞は、加速されたP−DMR事象(図1F)を使ってだが、対照細胞に似ているDMRシグナルを持つサルブタモールに応答した。これは、PTXでのA431のプレコンディショニングが細胞のバックグラウンドを変え、β2ARシグナリングの変化をもたらすことを示している。
10μMサルブタモールでのA431の事前刺激はエピネフリン10nMの第2の刺激に細胞を脱感作する(Fig.1G)。この結果は、サルブタモールがβ2ARのための強力なアゴニストとして作用することを再確認する。
4種類の異なるマーカーに対するサルブタモールの変調インデックスが図1Hに示されている。この結果は、10μMサルブタモールでの細胞の前処理がエピネフリンDMRを完全に抑制し、Gi共役GPR109Aアゴニストニコチン酸DMRを増強し、EGFRアゴニストEGFのDMRにほとんど影響せず、Gi共役H1RアゴニストヒスタミンDMRを減衰することを示している。これは、β2ARが同種脱感作を起こすことができるので、β2ARの活性化がGi媒介シグナル伝達を順番に増強する(つまり、異種の感作)細胞内cAMPレベルの上昇を引き起こし、そしてβ2ARの活性化がGq媒介経路とクロストークしてGqシグナル伝達を抑制すると予想される。
3。例2:アドレナリン受容体薬物の無標識オンターゲット薬理学の特性
無標識オンターゲット薬理学研究法の可能性を探るために既知のアドレナリン受容体薬物が使用されている。表1は、今日のすべての市場で知られているアドレナリン受容体薬物及びそれらに対応する治療適応症が含まれている。タムスロシンを除くすべては市販されており、開示された方法を使用してテストされている。主な結果は図2に示すヒートマップにまとめられている。
表1は、市販のアドレナリン受容体薬物、それらの標的と効能である。
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図2に示すように、アドレナリン受容体薬物、特にβ−アドレナリン受容体薬物の生体外オンターゲット薬理学での分類は、それらの生体内薬理学に密接に類似している。最初のクラスは、プロカテロール、クレンブテロール、イソプロテレノール、ホルモテロール、フェノテロール、サルブタモール(アルブテロール)、及びイソエタリン、から構成されており、すべてが喘息の管理のために使用されている。ホルスコリン、アデニル酸シクラーゼアクチベーターは対照として用いられ、そしてこの薬物ファミリーにも似ている。これは、これらの薬物がβ2ARに対するアゴニストとして作用することを示している。興味深いことに、長時間作用型のβアゴニストサルメテロールはまた、この薬物ファミリーに類似する。サルメテロールはまた気管支喘息の管理に使用される。
クラスタ薬物の第2のファミリーはドブタミンとドーパミンを含み、どちらも心疾患の治療のために使用される。このファミリーはまたメチルノルエピネフリン、エピネフリン、フェニレフリン、ノルエピネフリン、リトドリン、及びテルブタリンを含む。
クラスタ薬物の第3のファミリーはピンドロール、アルプレノロール、ラベタロール、アセブトロール及びクロニジンを含み、すべてが高血圧の管理のために使用される。
第3のファミリーに類似しているクラスタ薬物の第4ファミリーはナファゾリンとモダフィニルを含む。モダフィニルはナルコレプシーに関連する日中の過度の眠気の治療に使用されている。ナファゾリンは、抗アレルギー剤の補薬として使用される。多くの抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬は眠気など一般的な副作用を持つことが知られている。
第5ファミリーはオクスプレノロール、ソタロール、ナドロール、ビソプロロール、メトプロロール、チモロール、ベタキソロール(βxolol)、及びアテノロールで構成されている。すべては、心室不整脈の治療のために使用されるソタロールを除いて、高血圧の管理に使用される。
第6ファミリーはプロプラノロールとカルベジロールで構成されている。カルベジロールは、心臓病の治療のために使用され、プロプラノロールは片頭痛のために使用される。
クラスタ薬物の他の2つのファミリーは、アルファアドレナリン受容体薬物である。
開示された無標識オンターゲット薬理学研究法は、既存のアドレナリン受容体薬物の適切な分類を可能にし、この方法を用いて得られた生体外薬理学はそれらの生体内薬理学に密接に関連付けられる。開示された無標識オンターゲット薬理研究法は、ドラッグリポジショニングと新規薬剤の組み合わせのために効果的である。ナファゾリンとモダフィニルとの間の類似性は、ナルコレプシーに関連する日中の過度の眠気の治療にも有用であり得るか、又は逆に、モダフィニルは、抗ヒスタミン薬との併用剤として有用である可能性を示唆している。また、テルブタリンとリトドリンとの間の類似性は、抗喘息薬、テルブタリンは早産の治療及び予防にも有用であり得ることを示唆している。ドラッグリポジショニングは、ドラッグリポジショニングすでに毒性試験などその他かなりの数の試験に合格している故に、薬物の生産性を高めることができ、その安全性が知られており、有害な毒物学上の理由から失敗のリスクが低減される。薬物の90%以上が開発中に失敗している、これが製薬の研究開発のコスト高のための最も重要な理由である。また、再目的化薬は市場に薬剤をもたらすために必要な初期のコストと時間の多くを回避することができる。
参照
M. B. Eisen, P. T. Spellman, P. O. Brown, and David Botstein: Cluster analysis and display of genome-wide expression patterns. PNAS, 95(25):14863-8 (1998)
c)順次刺激アッセイ:
順次刺激アッセイ等の用語は、細胞が最初の分子にさらされて、参照分子での刺激が続くことを特徴とする2ステップアッセイを指す。参照分子は受容体に対してアゴニスト、アンタゴニスト、又は逆アゴニストとすることができる。図1Bに示されている例は、参照分子がβ2−ARインバースアゴニストプロプラノロールであるものである。かかるプロプラノロールのインバースアゴニストは、イソプロテレノール(isoprotenerolとエピネフリンのようにβ2ARアゴニストのDMRシグナルを反転するその能力で明らかである。図1Gに示すようにアンタゴニズムアッセイはまた、順次刺激アッセイの一例である。

Claims (20)

  1. 分子のオンターゲット薬理学を決定する方法であって、
    a. アッセイ形式のパネルからバイオセンサの応答を収集するステップと、
    b. バイオセンサの応答を分析するステップと、
    c. 分子のオンターゲット薬理学を決定するステップと、を含む方法。
  2. 前記バイオセンサの応答は、無標識バイオセンサの応答であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記パネルが2ないし10のアッセイ形式で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記アッセイ形式が持続アゴニズム刺激アッセイ、拮抗作用アッセイ、順次刺激アッセイ、逆順次刺激アッセイ、共刺激アッセイ、変調アッセイ、及び変調プロファイリングアッセイから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記アッセイ形式が持続アゴニズム刺激アッセイ、順次拮抗刺激アッセイ、逆順次刺激アッセイ、経路モジュレーターとの共刺激、及び別個の経路のためのマーカーのパネルの変調から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記アッセイの1つ以上が所定の時間範囲からデータを収集することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 3ないし20の、3ないし15の、3ないし10の、3ないし7の、又は3ないし5の時間範囲の応答があることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記時間範囲応答は0ないし3分、3ないし6分、6ないし10分、10ないし20分、20ないし50分、50ないし120分の刺激後に取られることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  9. 前記時間範囲応答は細胞シグナル伝達の異なる波をカバーすることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  10. 前記時間範囲応答は3、5、9、15、及び50分の刺激後に取られることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  11. 前記バイオセンサの応答を分析することは、DMRのシグナルを数値的に記述することを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
  12. 前記数値的に記述されたDMRシグナルを数字の行列に規則正しく配置するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記数字の行列はクラスタリングアルゴリズムの分析を行うことにより生成されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記クラスタリングアルゴリズムの分析は、一次元又は二次元であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記クラスタリングアルゴリズムは、階層型、K−平均法、又はマルコフのクラスタリングアルゴリズムであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  16. 前記クラスタリングアルゴリズムは、階層型クラスタリングアルゴリズムであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  17. 前記階層型はペアワイズ最リンケージを用いてグループをリンクすることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  18. 前記クラスタリングアルゴリズムは、そのメトリックに対してユークリッド距離を用いることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  19. 前記クラスタがヒートマップとして表示されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  20. 試験分子の位置を変更する方法であって、
    a. アッセイ形式のパネルから試験分子のバイオセンサの応答を収集するステップと、
    b. 試験分子のバイオセンサの応答を分析するステップと、
    c. 試験分子のオンターゲット薬理学を決定するステップと、
    d. 同じ標的に作用する既存の薬物分子と前記試験分子をクラスタリングして、薬物分子のオン標的の薬理学で最も似ているものを識別するステップと、
    e. 前記最も似ている薬物分子のしるしに前記試験分子を再配置することを特徴とする方法。
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