JP2013518466A - モバイルアドホック再ルーティング方法 - Google Patents

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Abstract

ネットワークノードが、ローカル「Hello」メッセージおよびグローバルトポグラフィ制御(「TC」)メッセージを含むトポロジ伝播メッセージによって識別されるモバイルアドホック再ルーティングシステムにおいて、新たな隣接ノードを特定することおよびリンクロスを特定することの少なくとも一方に基づいてトポロジ伝播メッセージをトリガするステップが含まれる。
【選択図】 図9

Description

連邦支援の研究または開発に関する声明
米陸軍CERDECによって与えられたW15P7T−08−C−B405の下、政府の支援により研究への資金提供が行われた。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
関連出願の相互参照
本願は、2010年1月21日に出願された米国仮特許出願第61/297,107号の出願日の利益を主張し、その開示を参照により本明細書に援用する。
本発明は、アドホックネットワークプロトコルおよび制御アーキテクチャの分野に関する。
ほとんどのアドホックルーティングプロトコル(大抵はネットワーク層に実装される)はノードの移動性に即座に対応しないので、ノードが動的に移動するモバイルアドホックネットワーク環境では古いルーティング経路が多少の持続時間にわたり残ることがある。その結果、ルーティング経路が更新されるまでパケット損失が発生し、つまりパケットがソースノードから宛先ノードまで搬送される間になくなる。したがって、トラフィックフローが長い期間にわたって中断されることがあり、そのフローに関連するアプリケーションは劣化した性能に見舞われることがある。
「OLSR」(Optimized Link State Routing)などのアドホックルーティングプロトコルでは、ノードの移動性を検出し、ルーティングコンバージェンス(routing convergence)を引き起こすために、ポーリングトリガ式のメカニズムが使用される。OLSRで使用されるポーリングトリガメカニズムでは、全てのノードが自らの隣接ノードへのリンク接続に関する情報を周期的にブロードキャストし、各ノードは、受け取ったそれらの周期的提供情報(periodic advertisements)に基づいて自らの隣接ノードの移動性を検出し、自らのルーティングテーブルを更新する。一例として、OLSRの「Hello」メッセージを1秒間隔でブロードキャストすることができ、OLSRのトポロジ制御(「TC」)メッセージを3秒間隔でブロードキャストすることができる。より迅速にノードの移動性を検出し、ルーティングコンバージェンス操作を引き起こすために、OLSRのHelloメッセージやTCメッセージなどの周期的な提供情報メッセージの間隔を短くする必要がある。そのような間隔が(例えば100ミリ秒領域において)短い場合、ノードの移動性をより速く検出することができ、ひいてはルーティングコンバージェンスのための操作を迅速にトリガすることができる。しかし、この手法はより大きな制御オーバーヘッドを結果として招き、つまりとりわけネットワーク密度が高い場合、この手法はネットワーク上で大量の周期的トラフィックを作り出すことによりかなりのネットワークリソースを消費する。
インフラ設置型ネットワーク(infrastructure-based network)のハンドオーバの性能を改善するために、IEEEのメディア非依存ハンドオーバ(Media Independent Handover)(「MIH」)サービスが使用される。インフラネットワーク環境では、モバイルノードは1つまたは複数のアクセスポイントからの周期的ビーコンメッセージにより自らの1つまたは複数のアクセスポイント(すなわちセルラネットワークの基地局)を検出して保持することができる。周期的ビーコンメッセージのおかげで、モバイルノードはそれらの受信ビーコンの電力レベルを測定することにより、自らの1つまたは複数のアクセスポイントに関する受信電力レベルを保持することもできる。ビーコンメッセージによって得ることができるそのような測定済み受信電力レベルに基づき、インフラネットワークのMIH機能(「MIHF」)が、ハンドオーバの決定を下すのを助けるフィードバックまたはヒントを提供することができる。IEEE 802.21MIHサービスは、インフラ設置型ネットワークのハンドオーバを最適化するように設計されている(「The Network Simulator NS-2 NIST add-on IEEE 802.21 model」NIST Jan.2007を参照されたい)。
しかし、インフラ設置型ネットワークで実現可能な、ビーコンメッセージにより受信電力レベルを取得し保持するためのメカニズムは、アドホックネットワーク環境では周期的ビーコンメッセージがないので実現できない。アドホックネットワーク環境のMIHの観点からすれば、アドホックノードは、アクセスポイントに等しい自らのワンホップ隣接ノードのそれぞれを考慮しなければならない。アドホックノードは、全ての隣接ノードへのリンクの状態(受信電力レベルを含む)を取得し、保持しなければならない。したがって、アドホックノードのMIHFがワンホップ隣接ノードの受信電力レベルを取得し、保持できるように、MIHFの実装をアドホックネットワーク環境のために強化する必要がある。
インフラ設置型ネットワーク環境では、ハンドオフ中のトラフィックの中断を最小限にするために、MIHFフレームワークの実装がモバイルインターネットプロトコル(「MIP」)などのモビリティプロトコルに統合されている(「The Network Simulator NS-2 NIST add-on IEEE 802.21 model」NIST Jan.2007を参照されたい)。しかし、アドホックネットワーク環境用のアドホックルーティングプロトコルの性能を最適化するためのMIHFフレームワークにはこれまでのところ対処されていない。
本発明では、アドホックルーティングプロトコルのためのMIHFフレームワークを実現するのに必要ないくつかの方法(または実施形態)を紹介する。実装の観点では、OLSRなどのアドホックルーティングプロトコルとのMIHの統合は、NISTの、MIPとのMIHの統合とは異なる。MIPとのMIHの統合では、MIPを実行しているエンドノードだけがそのMIHFとインターフェイスし、他のノードはMIHFを実行する必要がない。しかし、ルーティングとのMIHの統合では、エンドノードだけでなく中間ノード(すなわちルータ)もMIHFを実行しなければならない。トポロジにもよるが、多くのノードがルーティングコンバージェンスに関与する可能性があるので、MIHFおよびアドホックルーティングプロトコルがネットワーク内の全てのノード上で実行される必要がある。ネットワークトポロジに変化が生じるとき、ルーティングのパラメータおよび動作を考慮してハンドオーバのヒントを提供するために、MIHFの構成およびフィードバックも異なり得る。
本発明の目的は、アドホックルーティングプロトコルのためのMIHフレームワークを提供し、加えてアドホックネットワーク環境上でMIHの有効性を得ることである。
隣接ノードが「Hello」メッセージによって識別され、ルーティングコンバージェンスがトポグラフィ制御(「TC」)メッセージに依拠するモバイルアドホック再ルーティング方法を、新たな隣接ノードを特定することおよびリンクロスを特定することの少なくとも一方に基づいて、HelloメッセージおよびTCメッセージの少なくとも一方をトリガすることによって改善する。好ましくは、このトリガすることは、新たな隣接ノードの出現を示す、ノード間の受信無線信号の強度を特定することに基づくHelloメッセージにかかるか、またはこのトリガすることは、リンクロスを特定することに基づくTCメッセージかかるか、またはその両方にかかる。
HelloメッセージおよびTCメッセージは「OLSR」(Optimized Link State Routing)プロトコルの一部として実行することができ、受信無線信号の強度を特定することは物理層パラメータに基づくことができ、その物理層パラメータは無線モデル、無線周波数、伝送電力、および送信ノードと受信ノードとの間の距離のうちの少なくとも1つを含むことができる。
好ましい実施形態では、新たな隣接ノードを特定することおよびリンクロスを特定することの少なくとも一方をメディア非依存ハンドオーバ機能(「MIHF」)によってOLSRに伝える。
言い換えれば、モバイルアドホック再ルーティングシステム内でプロセッサによって実行されるメッセージをトリガする方法を提供し、この方法は、
モバイルアドホック再ルーティングシステム内で、新たな隣接ノードを特定することおよびリンクロスを特定することの少なくとも一方を実行するステップと、新たな隣接ノードを特定することおよびリンクロスを特定することの少なくとも一方に基づいてメッセージをトリガするステップとを含み、新たな隣接ノードの特定を行う場合、トリガされるメッセージは、隣接ノードを識別するために使用されるHelloメッセージであり、リンクロスの特定を行う場合、トリガされるメッセージは、ルーティングコンバージェンスに使用されるトポグラフィ制御(「TC」)メッセージである。
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面に様々な実施形態を例示する。
静的ネットワークの構成を示す。 ネットワーク内の物理的操作、MIHF操作、およびOLSR操作間の関係を示す。 第1のネットワークシナリオ(「シナリオ1」)を示す。 第2のネットワークシナリオ(「シナリオ2」)を示す。 シナリオ1に適用した第1の手法(「手法1」)の、シミュレーションのパケットドロップ結果を示す。 シナリオ2に適用した手法1および第2の手法(「手法2」)のシミュレートされたパケットドロップ結果を示す。 シナリオ1のパケットドロップ率および制御オーバーヘッドの両方を見たときの、シミュレートされた性能比較を示す。 シナリオ2のパケットドロップ率および制御オーバーヘッドの両方を見たときの、シミュレートされた性能比較を示す。 MIHを伴う場合、伴わない場合の、切断時間とオーバーヘッドとの間の性能トレードオフを示す、いくつかのOLSR Helloレートパラメータについてのシミュレートされた性能の結果を示す。
本明細書に提示する技法の完全な理解を提供するために、以下の説明では、限定目的ではなく説明目的で特定のステップシーケンス、インターフェイス、構成などの独特の技法および実施形態を示す。それらの技法および実施形態は、添付図面に照らして主に説明するが、他の電子装置または電子システムでも実践できることを当業者ならさらに理解されよう。
次に、その例を添付図面に示す本発明の例示的実施形態について詳しく言及する。可能な場合はいつも、図面の全体を通して同じ参照番号を使用して同じまたは同様の部分を指す。
本発明では、アドホックネットワーク環境用のアドホックルーティングプロトコルのためのMIHフレームワークを紹介する。そのようなフレームワークを実現するために、MIHFが受信電力やリンクロスの特定などの基礎をなす下位層情報を集め、この下位層情報から得たMIH情報をアドホックルーティングプロトコルに提供する。ルーティングプロトコルはそのMIH情報を使用して、OLSRのHelloメッセージおよび/またはTCメッセージなどの操作上のイベントのトリガを制御する。これらのメッセージを定期間隔で常に伝送させておくのではなく、MIHの受信電力およびリンクロスの特定を使用することによってこうした同じメッセージをトリガすることができ、したがってより効率的な方法で伝送することができる。その結果これらのイベントは下位層情報を提供し、その下位層情報は、中断によってトリガされるHelloメッセージおよびTCメッセージならびに関係するルーティングコンバージェンス操作のソースとなる、下位層情報または層間情報として分類することができる。
このようにして、大きな制御オーバーヘッドを伴うポーリングトリガの代わりに、本発明は、周期的な検出メッセージに依存しない中断的トリガ(interruptive-trigger)であって、中断をもたらす制御オーバーヘッドを発生させることなしに、受信信号電力や無線リンク状態などの、基礎をなす下位層情報を用いる中断的トリガ(interruptive-trigger)を使用する。
この中断的トリガ手法を実現するために、本発明は、基礎をなす下位層から必要な情報を得るためにIEEE 802.21 MIHFのサービスを活用し、MIHFのこれらのサービスをOLSRプロトコルに統合する。MIHFから得るサービスに基づいて、OLSRプロトコルは、繰り返しの(repeated)Hello、Link_Down時のTC、新たな隣接ノード時のTCなどのトリガリングイベントを引き起こす。
さらに本発明の中断トリガプロセスでは、ルーティングコンバージェンス操作のためのトリガのシーケンスが性能を改善するための重要な要素になる。シミュレーション結果によれば、新たな隣接ノードの特定時に追加の繰り返しHelloメッセージを投入するシーケンス、新たな隣接ノードの特定時に追加のTCメッセージを送信するシーケンス、およびLink_Down時に追加のTCメッセージを送信するシーケンスが、モビリティ中のOLSRルーティングプロトコルの優れた性能を実現した。
本発明者らは、スペインのUniversity of Murcia(「UM」)からのOLSRモデルを使用し、それをMIHと連携するように更新した。UM−OLSRは、RFC 3626に準拠し(T. ClausenおよびP. Jacquet, Optimized Link State Routing Protocol (OLSR), RFC 3626, Oct. 2003を参照されたい)、OLSRの全てのコア機能をサポートする。シミュレータ全体を再コンパイルする必要なしに、デバッグモードを活性化または非活性化することができ、制御メッセージの間隔も設定可能である。
UM−OLSRの動作を検証するために、本発明者らは図1に示すように静的トポロジを有する簡易シミュレーションネットワーク、つまりOLSRの動作およびパケット配信の検査のための簡易ネットワークを作成した。シミュレーションでは、無線範囲は約200メートルであり、パケットサイズは1000バイトであり、データ転送速度は10パケット/秒であり、OLSRのHello間隔は1秒であり、OLSRのトポロジ制御(「TC」)間隔は3秒である。シミュレーションの持続時間は100秒である。このシミュレーションネットワークのルーティングコンバージェンスの10秒後のシミュレーション時間に、ソースn4がパケットを送信し始める。受信側n0は、パケット損失が一切なしに全600パケットを受信した。さらに、ルーティングの一貫性を得るために、どのノードのルーティングテーブルも検証される。
本発明は、インフラ設置型ネットワーク向けに設計されたNational Institute of Science and Technology(「NIST」)のNS−2モデルに基づき、アドホックネットワーク環境についてのIEEE 802.21規格のフレームワーク内で最初に実施した。
本発明によれば、2つのトリガのいずれかまたは両方がMIHFの機能を使用してOLSRの性能を改善し、その2つのトリガとはつまり、(1)隣接ノードから受け取る無線信号電力が実際のリンクを確立するのに必要なレベルに到達することを検出することにより、新たな隣接ノードが接近していることをMIHエージェントが検出するとき、繰り返しの「Hello」メッセージを引き起こすようにOLSRをトリガすること、(2)加えて、ノードのMIHエージェントがLink_Going_Downイベントまたは新たな隣接ノードをそれぞれ検出するとき、リンクを除去または追加し、「TC更新」メッセージを送信するようにOLSRをトリガすることである。
これらの手法では、Helloメッセージを単により頻繁に送信する従来の手法によって予期され得るよりもHelloメッセージを低い頻度で送信するが、トリガされる場合、Helloメッセージは好ましくはより素早い連続で送信され、それにより新たなリンクを従来のシーケンスの場合よりも迅速に関与させるが、新たなリンクを形成するために必要である可能性が最も高いときにHelloメッセージを全体に送信する回数を減らすことにより、オーバーヘッドの増加を回避する。
さらに、MIHイベントがリンクロスまたは新たなリンクを検出するとき、次に予定されている周期的TCメッセージに依拠するのではなく、TCリンク更新メッセージを送信することにより、ネットワーク内の他のルータ内のリンクリストをより迅速かつ効果的に更新する。
アドホックネットワーク環境では、アドホックノードのMIHFが新たなリンクを検出し、隣接ノードに関するそれらのリンクの状態を保持する。図2に示すように、これは媒体アクセス制御(「MAC」)/物理(「PHY」)層によって実現される。各パケットの受信信号電力は、実際の実装形態およびNS−2シミュレーションの両方において、無線モデル、無線周波数、伝送電力、パケットの送信側と受信側との間の距離などのPHY層パラメータに基づいて推定することができる。無線パラメータがある設定閾値を上回る場合、送信側のアドレス(MACアドレスまたはIPアドレス)とともにこの推定信号電力に関する情報がMIHFに送られる。OLSRがトリガを受け取り、リンクを維持するのに必要な受信信号電力に近いまたはそれを超える十分な受信信号電力により、MIHイベントを新たな隣接ノードの検出とみなす場合、Helloメッセージを起こしてその新たな隣接ノードを識別する。OLSRがトリガを受け取り、MIHイベントをリンクロスイベントとみなす場合、適切なTCメッセージを起こして関連する隣接ノード内のリンクリストを更新する。
第1の手法(「手法1」)(ソースノードと受信ノードとの間に2つの可能な2ホップ経路を提供する、図3に示す第1のネットワークシナリオ(「シナリオ1」)に適用される)は、繰り返しのHelloトリガを引き起こす。シナリオ1では、ソースn4が横線に沿って移動している受信側n0にパケットを送信し、この横移動は、受信側n0が自らの経路の最初の部分に関してn1に接続することを可能にし、自らの経路の後者の部分に関してn2に接続することを可能にする。n0がn1だけのカバレッジ内にある場合、パケットは転送ノードn3およびn1を介してn0に送られる。n3がn0宛のパケットを受け取ると、n3は自らの現在のルーティングテーブルに従い、そのパケットをパケットの次のルーティングホップであるn1に転送する。他方で、n0がn2だけのカバレッジエリア内に移動すると、n3がパケットをn1ではなくn2に転送できるように、n2およびn3の両方におけるn0に関する既存のルーティングエントリを更新しなければならない。このネットワーク(図3に示す)では、n0とn2との間に対称リンクを確立するための、n0とn2との間の「Hello」メッセージのやり取り、およびn3においてルーティングの更新をもたらす、対称リンクを確立した後のn2からの「Hello」メッセージによってルーティングコンバージェンスが実現される。
図3のシナリオ1のみに例として適用する手法1では、ソースノードから宛先ノードまでの経路上のルーティングテーブルを更新するためにTCメッセージは関与せず、2ホップ距離内に限ったノードにおいてルーティングの更新が必要なトポロジ変更に対するルーティングコンバージェンスは、2つの連続したHelloメッセージによって(それらのHelloメッセージが衝突やチャネル状態に起因するパケット損失に遭っていない場合に限り)実現することができる。Hello間隔はTC間隔よりも通常は短いので(例えば1秒対3秒)、このような場合のコンバージェンス時間は短い。重複エリア(すなわちn1およびn2両方のカバレッジ)内に移動しながらn0とn1との間の対称リンクを確立できるほど重複エリアが十分に広い場合、ノードはパケット損失を経験しないことに留意されたい。また、より大規模なネットワークのルーティングコンバージェンスのために、TCメッセージは依然として必要であることにも留意されたい。
手法1では、MIHエージェント(すなわちMIHF)が新たな隣接ノードを検出する(すなわち新たなリンクを検出する)場合に、または互いから受信するパケットに関する自らの受信電力レベルが、リンクを維持するのに必要な既定の受信電力レベルに近づく又は上回ることをn0およびn2のMIHエージェントが検出する場合に、繰り返しの「Hello」メッセージを引き起こすためのトリガ(すなわちHelloトリガ)をノードのMIHエージェントがOLSRエージェントのために生成する。いずれにせよ、MIHエージェントは自らのOLSRエージェントをトリガしてHelloメッセージを引き起こす。無線カバレッジが原因で新たに確立されるリンクのチャネル状態がまだ信頼できない場合があり、(隠れ端末状態(hidden terminal condition)に起因する)Helloメッセージとデータパケットとの間の衝突の可能性もあるので、好ましくはHelloメッセージを短期間にわたり、時間に関して非常に近接して(例えば2秒間にわたり、1秒当たり5回)リリースする。
第2の手法(「手法2」)(ソースノードと受信ノードとの間に2ホップおよび3ホップの可能な経路を提供する、図4に示す第2のネットワークシナリオ(「シナリオ2」)に適用される)は、Helloトリガに加えてTCトリガのシーケンスを提供する。シナリオ2は、2ホップ距離を超える経路上のノードにおいてルーティングの更新が必要な、ソースから宛先までのルーティング経路についてのルーティングコンバージェンスの事例を検討する。シナリオ2では、n0がn2に移動するとき、n5からn0までの、n3およびn1を介した古い経路を削除し、n5、n6、n4、およびn2におけるn0に関する既存のルーティングエントリを更新することにより、n5からn0までの新たなルーティング経路を確立する必要がある。このルーティングコンバージェンスプロセスの興味深い部分は、n5におけるルーティングの更新プロセスである。n0がn1と提携している場合、n1からのTCメッセージに基づき、n5はn0がn1に直接接続されており、3ホップ距離離れて位置していることを認識する。そのようなトポロジ情報は、トポロジ制御(「TC」)テーブル内に記憶される。このOLSRの実装形態では、ノードがルーティングテーブル、TCテーブル、リンクテーブル、および隣接テーブルを保持することに留意されたい。
n0がn2に移動し、n0とn2との間の新たな対称リンクが確立されると、n2はTCメッセージをフラッディングし(flood)、そのTCメッセージによりネットワーク上のn5を含むノードは、n2がn0との直接接続を有することを知らされる。これは、n1からのTCメッセージによって前に記録されたn0に関するTC情報を、n5が上書きすることを意味するものではない。むしろn5は、n1およびn2の両方からのTC情報を別個のTCエントリとして保ち、n5はあたかもn0がn1およびn2の両方に接続されているかのようにみなす。この移行期間において、n5はn0に関する2つのルーティング経路、つまりn1に向かう1つの経路およびn2に向かうもう1つの経路を有する。ただし、n1までのルーティング距離はn2までのルーティング距離よりも1ホップ短いので、n5はn2の代わりにn1に向かう経路を選択する。
そのような計算を誤ったルーティングはパケット損失をもたらし、そのパケット損失は、n0がもはやn1に接続されていないことをアドバタイズする更新済みTCメッセージをn5がn1から受信するまで続く。この更新済みTCメッセージは、n0についての隣接ノード保持タイマが失効することをn1が確認する場合にのみ生成することができる。言い換えれば、n1が既定の隣接ノード保持期間(我々のシミュレーションでは約6秒)の間にn0から「Hello」メッセージを一切受信していない場合、n1はもはやn0を自らの隣接ノードとみなさず、MPRに基づく効率的なフラッディングにより更新済みTCメッセージを生成してアドバタイズする。
図4のシナリオ2に限定ではなく例として適用する本発明の手法2では、MIHエージェントが新たな隣接ノードまたはLink_Going_Downイベントを検出する場合、ノードのMIHエージェントがノードのOLSRエージェントを中断する。したがって図4のシナリオ2では、n0、n1、およびn2のOLSRエージェントによって3つの異なるトリガのシーケンス、つまり新たな隣接ノードの特定時のn0およびn2による繰り返しのHelloトリガ、新たな隣接ノードの特定時のn2によるTCトリガ、およびLink_Down時のn1によるTCトリガが引き起こされる。n1のOLSRエージェントは、n1とn0との間のリンクが停止していることを迅速に検出でき、典型的には約6秒である隣接ノード保持失効時間を待つことなしにそのリンクを除去する。リンクを削除すると、n1は直ちに(次の周期的TC更新時間を待たずに)、n0がもはやn1の隣接ノードではないことをTCメッセージによってアドバタイズする。よって、n0までのルーティングに関してソースn5のルーティングテーブルが更新される。その結果、この特定のシナリオでは、0.3秒のトラフィック中断を伴い、ルーティングコンバージェンス時間が大幅に短縮される。
図5に示すように、シミュレーションを通して、HelloメッセージをトリガするためのMIHを有するOLSRは、それぞれに異なる全ての「Hello」間隔についてMIHなしのOLSRよりも性能が優れている。ハンドオフ中にドロップしたパケットの数は、ネットワークシナリオ1の手法1によって大幅に減少している。図6に示すように、手法1はここでも大幅に減少したパケット損失を示しているが、手法2がパケット損失をさらに減らせることも示している。したがって、手法1と手法2とを組み合わせることが、シナリオ2ではMIHなしのOLSRよりもトラフィックの中断を著しく減らす。
図7および図8に示すように、手法1および手法2は、パケット損失だけでなく制御オーバーヘッドも同時に減らすことにより、OLSRの性能に対してかなりの改善をもたらしている。例えばシナリオ2に関する図8に示すように、モビリティに起因するパケット損失は、トラフィックの10パケット/秒の固定ビットレート(「CBR」)で約97%減らすことができ、「Hello」間隔を1秒から2秒に変えることにより制御オーバーヘッドも約50%同時に減らすことができる。図9に、手法1および手法2を使用することによる、同時に存在する利得を要約した。このグラフは、MIHF中断トリガ法を使用することが、切断時間の大幅な短縮および低減されたオーバーヘッドの両方を可能にし得ることを示す。基本的には、アドホックネットワーク環境内のアドホックルーティングプロトコルに関するオーバーヘッドと切断時間との間のトレードオフをシフトし、そのようなシフトは、拡張可能、高信頼、かつ効率的なアドホックネットワークを得るための主要な要因の1つである。
このようにして、上記に記載したモビリティシナリオについてシミュレーションを行った。それぞれの事例で、MIHFなしのOLSRおよびMIHFを有するOLSRの両方の性能を異なる「Hello」間隔について評価した。それらをパケット損失および制御オーバーヘッドの点で比較した。以下の表は、シミュレーションの操作パラメータを示す。
Figure 2013518466
こうして本発明は、アドホックネットワーク環境における性能および効率を高める。本発明によれば、MIHの値を捕捉するために、MIHユーザなど、プロアクティブ型のアドホックルーティングプロトコルのうちの1つとともにOLSRを使用する。OLSRをMIHユーザとして使用可能にするために、アドホックネットワーク環境のためのMIHFのリンク検出メカニズムを強化し、次いでOLSRプロトコルとMIHプロトコルとの間にMIHイベントをOLSRプロトコルに送るインターフェイスを実装し、最後に、MIHからのイベントを処理する機能をOLSRプロトコル上に実装する。
OLSRの典型的なルーティング動作を明らかにすることができる2つのアドホックネットワークシナリオを開示し、その両方をルーティングコンバージェンスに関して分析する。OLSRのルーティング動作の分析に基づき、MIHによってOLSRのルーティングコンバージェンスを改善するための2つの手法、つまりMIHによって駆動される「Hello」トリガ、およびMIHによって駆動される「HelloとTC」トリガを提供する。
手法1および手法2を用いてシナリオ1およびシナリオ2に関するシミュレーションを行い、MIHなしのOLSRと比較した。シミュレーションの結果によれば、手法1は、2ホップ以下のルーティングの更新を必要とするネットワークシナリオについて、ルーティングコンバージェンス時間を短縮することによりOLSRの性能を改善した。ただしそれ自体では、この手法は2ホップを超えるルーティングの更新を必要とするネットワークシナリオではさほど効果的でない。その一方で手法2は、2ホップを超えるルーティングの更新を必要とするネットワークシナリオについてOLSRの性能を改善した。全体として、MIHを統合することにより、OLSRの性能が著しく改善された。
上記の説明は例示目的で示してきた。この説明は網羅的ではなく、本発明を開示した厳密な形態または実施形態に限定することはない。本明細書を検討し、開示した本発明の諸実施形態を実践することから、本発明の修正および適合を行うことができる。例えば上記に記載した方法の1つまたは複数のステップを別の順序でまたは同時に実行してもよく、それでもなお望ましい結果を実現することができる。
本明細書を検討し、本明細書に開示した本発明を実践することから、本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。本明細書および各例は専ら例示とみなされることを意図し、本発明の真の範囲は特許請求の範囲に示している。

Claims (17)

  1. メディア非依存ハンドオーバ(「MIH」)サービスをアドホックルーティングプロトコルと統合するための方法であって、
    新たな隣接ノードを特定することおよびリンクロスを特定することに基づいて、ルーティングプロトコルエージェントを中断するためにMIHエージェントを使用するステップ
    を含む、方法。
  2. ネットワークノードがトポロジ伝播メッセージによって識別されるモバイルアドホック再ルーティング方法において、
    新たな隣接ノードを特定することおよびリンクロスを特定することの少なくとも一方に基づいてトポロジ伝播メッセージをトリガするステップを含む方法。
  3. 前記トポロジ伝播メッセージをトリガするステップが、新たな隣接ノードの出現を示す、ノード間の受信無線信号の強度を特定することに基づく、請求項2に記載の方法。
  4. 前記トポロジ伝播メッセージをトリガするステップが、隣接ノードを失った可能性があることを示す、ノード間の受信無線信号の強度を特定することに基づく、請求項2に記載の方法。
  5. 「OLSR」(Optimized Link State Routing)プロトコルの一部としてHelloメッセージおよびTCメッセージを使用して前記トポロジ伝播メッセージを実行する、請求項2、3、または4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記受信無線信号の強度を特定することが物理層パラメータに基づく、請求項3に記載の方法。
  7. 前記物理層パラメータが、無線モデル、無線周波数、伝送電力、および送信ノードと受信ノードとの間の距離のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記新たな隣接ノードを特定することおよびリンクロスを特定することの少なくとも一方を、メディア非依存ハンドオーバ機能(「MIHF」)によって前記OLSRに伝える、請求項5に記載の方法。
  9. 前記トリガすることが、新たな隣接ノードを特定することに基づく前記Helloメッセージ、およびリンクロスを特定することに基づく前記TCメッセージの両方にかかる、請求項1に記載の方法。
  10. モバイルアドホック再ルーティングシステム内でプロセッサによって実行されるメッセージをトリガする方法であって、
    前記モバイルアドホック再ルーティングシステム内で、新たな隣接ノードを特定することおよびリンクロスを特定することの少なくとも一方を実行するステップと、
    前記新たな隣接ノードを特定することおよび前記リンクロスを特定することの少なくとも一方に基づいてメッセージをトリガするステップと
    を含み、前記新たな隣接ノードの特定を行う場合、前記トリガされるメッセージは、前記隣接ノードを識別するために使用されるHelloメッセージであり、前記新たな隣接ノードまたはリンクロスの特定を行う場合、前記トリガされるメッセージは、ルーティングコンバージェンスに使用されるトポグラフィ制御(「TC」)メッセージである、方法。
  11. 前記トリガするステップが、新たな隣接ノードの出現を示す、ノード間の受信無線信号の強度を特定することに基づくHelloメッセージまたはTCメッセージにかかる、請求項10に記載の方法。
  12. 前記トリガするステップが、リンクロスを特定することに基づくTCメッセージにかかる、請求項10に記載の方法。
  13. 前記HelloメッセージおよびTCメッセージが、「OLSR」(Optimized Link State Routing)プロトコルの一部として実行される、請求項10、11、または12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記受信無線信号の強度を特定することが物理層パラメータに基づく、請求項10に記載の方法。
  15. 前記物理層パラメータが、無線モデル、無線周波数、伝送電力、および送信ノードと受信ノードとの間の距離のうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
  16. 前記新たな隣接ノードを特定することおよびリンクロスを特定することの少なくとも一方を、メディア非依存ハンドオーバ機能(「MIHF」)によってOLSRに伝える、請求項12に記載の方法。
  17. 前記トリガすることが、新たな隣接ノードを特定することに基づく前記Helloメッセージ、およびリンクロスを特定することに基づく前記TCメッセージの両方にかかる、請求項9に記載の方法。
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