JP2013504333A - 内分泌攪乱化学物質のスクリーニングのためのステロイド産生改変細胞および方法 - Google Patents

内分泌攪乱化学物質のスクリーニングのためのステロイド産生改変細胞および方法 Download PDF

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Abstract

プロモーターに作動可能に連結された1以上のステロイド合成ノックダウン核酸を含んでなる単離されたステロイド産生改変細胞(ここで、そのステロイド生合成ノックダウン核酸はCYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、CYP3A4およびUTG1A1の群から選択される遺伝子の発現を低減し、その細胞は1以上の前記遺伝子の低減された発現を含んでなる)。これらの細胞は内分泌攪乱物質を同定するために有用である。よって、本開示は、さらなる態様において、内分泌攪乱物質を同定するためのスクリーニングアッセイであって、a)本明細書に記載される細胞を試験物質と接触させること;b)少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子mRNA若しくは酵素活性のレベルを測定することを含んでなるスクリーニングアッセイ(ここで、対照と比べたその少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子mRNA若しくは酵素活性のレベルの変動が、その試験物質が内分泌攪乱物質であることを示す)を含む。

Description

本特許協力条約出願は、2009年9月16日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第61/242,822号の優先権に基づく35USC 119の利益を主張するものであり、その内容は引用することにより本明細書の一部とされる。
本開示は、ステロイド産生に関与する1以上の酵素の発現を低減する(ノックダウンされる)ように改変された、改変H295R細胞などのステロイド産生改変細胞に関する。本開示はまた、内分泌攪乱物質を同定するためのこれらの細胞を含んでなる方法、使用および組成物に関する。
ここ20年にわたり、ヒトおよび野生生物における内分泌および生殖系に対する環境中の化学物質に対する曝露の影響に関する懸念が高まってきた(Kavlock et al. 1996)。これらの懸念に取り組むため、脊椎動物における潜在的内分泌攪乱化学物質(EDC)のスクリーニングおよび試験のための新たな指針を制定すべく国内および国際的なプログラムが始まった。1995年の改正安全飲料水法 (Safe Drinking Water Act Amendments)および1996年の食品品質保護法(Food Quality Protection Act)は、飲料水中の化学物質、または食物生産に用いる農薬の内分泌攪乱特性に関するスクリーニングを求めている。この法に応じて、連邦内分泌攪乱物質スクリーニングおよび試験諮問委員会(federal Endocrine Disrupter Screening and Testing Advisory Committee)(EDSTAC)は、3つの重要な内分泌核受容体、すなわち、エストロゲン受容体(ER)、アンドロゲン受容体(AR)および甲状腺ホルモン受容体(ThR)への結合に加え、内分泌攪乱の重要な毒性経路の1つとしてステロイド産生プロセスの攪乱を特定した(Hilscherova et al. 2004; Sanderson et al. 2002; Zhang et al. 2005)。ヒトH295R腺癌細胞に基づくステロイド産生アッセイが、内分泌攪乱物質スクリーニングプログラム(EDSP)の第I階層に使用するために米国環境保護庁(United States Environmental Protection Agency)(USEPA)によって認可され、現在、OECDによる、化学物質の内分泌攪乱作用を試験するための国際標準としての検証の最終段階にある。これまで用いられていたアッセイではエンドポイントとして種々のmRNAの産生を用いていたが、現在用いられているアッセイでは、ステロイドホルモンであるテストステロン(T)および17β−エストラジオール(E2)の産生および培地中への放出をエンドポイントとして用いる(Hecker et al. 2006)。
H295R細胞は、ステロイド産生に関与する重要な総ての酵素をコードする遺伝子を発現する(図1)(Gazdar et al. 1990; Staels et al. 1993; Rainey et al. 1994)。これらの遺伝子のin vivo発現は組織特異的かつ発達段階特異的であるが、ステロイド産生に関与する総ての遺伝子を同時に発現する組織または発達段階はないので、これはユニークな特性である。H295R細胞は、帯状の未分化ヒト胎児副腎細胞の生理学的特徴を有する。H295R細胞は、成体副腎皮質および性腺に見られるステロイドホルモンを産生する能力を持つというユニークなin vitro系を呈し、これにより、コルチコステロイド合成とアンドロゲンおよびエストロゲンなどの性ステロイドホルモンの産生の双方に対する影響を試験することができる。
着目する重要なホルモンの1つであるE2は、H295R細胞により比較的少量の様々な濃度(培養培地中、約10〜50pg E2/ml)で産生され、自動ELISAまたはより手間のかかるLC/MS−MS法の使用によっては測定が困難である。H295R細胞によって培地中へ放出されたE2の濃度は、現行の定量限界(LOQ、およそ2〜10pg E2/ml)に近く、EDCによって引き起こされたE2放出の低下を測定することを困難にしている。検出限界付近におけるE2産生の比較的大きなばらつきも制限因子となる。さらに、H295R細胞によって培地中に放出される基底濃度が小さいために、スクリーニングツールとして使用にも重要である産生の低下を実証することが困難である。弱い阻害剤の評価に関しては特にそうである。
潜在的内分泌攪乱のスクリーニングにおいて着目されるもう1つのエンドポイントは、テストステロンをE2に変換する(芳香族化する)酵素アロマターゼ(CYP19)の遺伝子、タンパク質および酵素活性の発現の変化である。
一態様において、本開示は、プロモーターに作動可能に連結されたステロイド生合成ノックダウン核酸を含んでなる単離されたステロイド産生改変細胞(ここで、このステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、CYP3A4およびUTG1A1の群から選択される遺伝子の発現を低減し、その細胞は1以上の前記遺伝子の低減された発現を含んでなる)を提供する。
一実施形態において、ノックダウン核酸は、siRNA核酸、shRNA核酸またはアンチセンス核酸を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、CYP21A2を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号1)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、CYP11A1を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号2)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、CYP17A1を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号3)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、CYP19A1を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号4)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、3−βHSD1を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号5)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、3−βHSD2を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号6)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、17−βHSD1を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号7)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、StARを含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号8)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、HMGRを含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号9)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、CYP11B2を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号10)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、CYP11B1を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号11)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、5α−レダクターゼ2を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号12)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、SULT1E1を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号13)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、CYP3A4を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号14)
を含んでなる。
一実施形態において、1以上の遺伝子は、UGT1A1を含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号15)
を含んでなる。
一実施形態において、単離されたステロイド産生改変細胞は、単離されたステロイド産生H295R改変細胞である。
一実施形態において、単離されたステロイド産生改変細胞は、単離されたステロイド産生H295、JEG−3またはR2C改変細胞である。
一実施形態において、単離されたステロイド産生改変H295R細胞は、プロモーターに作動可能に連結されたCYP21A2ノックダウン核酸を含んでなり、ここで、このCYP21A2ノックダウン核酸はCYP21A2の発現を低減する。
一実施形態において、単離されたステロイド産生改変H295R細胞は、プロモーターに作動可能に連結されたCYP17A1ノックダウン核酸を含んでなる(ここで、このCYP17A1ノックダウン核酸はCYP17A1の発現を低減する)。
一実施形態において、単離されたステロイド産生改変H295R細胞は、プロモーターに作動可能に連結されたCYP19A1ノックダウン核酸を含んでなる(ここで、このCYP19A1ノックダウン核酸はCYP19A1の発現を低減する)。
別の態様において、本開示は、内分泌攪乱物質を同定するためのスクリーニングアッセイであって、a)本開示のステロイド産生改変H295R細胞などのステロイド産生細胞を試験物質と接触させること;b)少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子発現産物、例えばmRNA若しくはタンパク質、または酵素活性のレベルを測定することを含んでなる、スクリーニングアッセイをさらに提供する(ここで、対照と比べたその少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子発現産物若しくは酵素活性のレベルの変動(modulation)が、その試験物質が内分泌攪乱物質であることを示す)。
さらなる態様は、本明細書に記載されるステロイド産生細胞と、少なくとも1つのステロイドのレベルを測定するための構成要素とを含んでなる、内分泌攪乱物質のスクリーニングのためのキットを含む。
なおさらなる態様では、本開示は、未知の機構を持つ内分泌攪乱物質の作用機序を推定するシステムであって、(i)内分泌攪乱物質のステロイド産生特性を受け取るコントロールモジュール(ここで、このステロイド産生特性は、内分泌攪乱物質を本明細書で開示されるステロイド産生改変H295R細胞などのステロイド産生細胞と接触させること、およびその細胞系統によって産生された少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子発現産物若しくは酵素活性のレベルを測定することによって得られる);(ii)複数の参照内分泌攪乱物質のステロイド産生特性を含んでなるデータベース;(iii)その内分泌攪乱物質のステロイド産生特性と複数の参照内分泌攪乱物質のステロイド産生特性を比較するため;およびその内分泌攪乱物質のステロイド産生特性と複数の参照内分泌攪乱物質のステロイド産生特性との最良の一致を同定するための分析モジュールを含んでなるシステム(ここで、最良に一致した参照内分泌攪乱物質の作用機序がその内分泌攪乱物質の作用機序であると推定される)を提供する。
本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなる。しかしながら、この詳細な説明から当業者には本開示の趣旨および範囲の範囲内にある種々の変化および改変が明らかになることから、詳細な説明および具体例は本開示の好ましい実施形態を示すが単に例を示すに過ぎないと理解すべきである。
H295R細胞のステロイド産生経路。CYP11A、デスモラーゼ(20,22デスモラーゼ);CYP17、ステロイド17α−ヒドロキシラーゼ;CYP21、ステロイド21−ヒドロキシラーゼ;CYP19、アロマターゼ;3βHSD、3β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ;CYP11B1、ステロイド11βヒドロキシラーゼ;CYP11B2、アルドステロンシンセターゼ;17βHSD、17βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ。ヒトCYP21A2遺伝子によりコードされている酵素CYP21が強調されている。 安定なH295R/CYP21A2−KD細胞および非改変H295R細胞におけるヒトCYP21A2タンパク質発現のウエスタンブロット解析。同じプロットメンブランで検出した無関連のCYP11Aタンパク質を参照として用いた。示された値は平均+/−標準偏差である。 フォルスコリン(FOR)およびプロクロラズ(PRO)に曝露後のH295RおよびH295R/CYP21A2−KD細胞系統におけるプロゲステロン(P)、T、E1およびE2の産生。SC:溶媒対照。 同じ化学物質曝露条件下でのH295R/CYP21A2−KD細胞と非改変H295R細胞とのホルモン産生(pg/mL)の比較。 H295R/CYP17−KD細胞と、H295R/CYP19−KD細胞と、非改変H295R細胞との基底ホルモン産生(pg/mL)の比較。
発明の詳細な説明
I.定義
本明細書において、「a」、「an」および/または「the」は、1および/または1を超えるものを含む。
「内分泌攪乱化学物質」または「内分泌攪乱化合物」とは、本明細書において、「内分泌攪乱物質」または「ホルモン活性剤」とも呼ばれ、ヒトおよび/または無脊椎動物(軟体動物、甲殻類など)を含む脊椎動物における内因性ホルモンの合成、分泌、輸送、結合、作用または排出を妨げる外因性物質を意味する。内分泌攪乱化合物としては、例えば、農薬、プラスチック工業および消費者向け製品に用いられる化合物、食品添加物として、および、化粧品に用いられる化合物、およびその他の工業副産物、医薬、天然ホルモン(例えば、フィトエストロゲン)、これらの任意の化合物種の分解産物および代謝産物、および生産の副産物、および汚染物質をはじめとする多くの化学物質種が挙げられる。
本明細書において「ステロイド産生細胞」とは、性ステロイド、鉱質ステロイドおよびコルチコステロイドを含む1以上のステロイドホルモンを産生する改変型または非改変型の任意の細胞を意味する。具体的には、これらには、エストロゲン(17β−エストラジオール、エストロン)およびアンドロゲン(テストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン)、ならびに鉱質ステロイドおよびコルチコステロイドおよび/またはそれらの前駆体が挙げられ、例えば、H295R細胞、ステロイド産生改変H295細胞、ステロイド産生改変H295R細胞、JEG−3、R2C細胞、ステロイド産生改変JEG−3細胞およびステロイド産生改変R2C細胞が挙げられる。
本明細書において「ステロイド産生改変H295R細胞」は、ステロイド産生経路に関与する1以上の遺伝子、例えば、限定されるものではないが、以下の遺伝子:CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、UGT1A1およびCYP3A4を含むステロイド生合成遺伝子の遺伝子発現をノックダウンするために、例えば組換え技術によって改変されたH295R細胞を意味する。例えば、上記に挙げた遺伝子の2以上の発現を、例えば、それぞれステロイド産生経路に関与する遺伝子を標的とする2以上のsiRNA核酸を産生する構築物を用いて同時に若しくは同時期にノックダウンすることができるか、またはこれらの遺伝子の2以上を順次ノックダウンすることができる。例えば、CYP21A2の遺伝子発現をノックダウンするように改変されたH295R細胞を、例えばCYP11A1などの別の遺伝子の発現をノックダウンするようにさらに改変することができる。さらに例えば、関連するステロイド産生遺伝子ファミリーメンバーの発現もノックダウンしてステロイド産生改変細胞を作出することができる。例えば、ステロイド産生に関与する新たなCYP21サブファミリー遺伝子などの新たなステロイド産生遺伝子が同定されたならば、および/または改変されるステロイド産生細胞が、例えばさらなるCYP21ファミリーメンバーなどの、本明細書に記載されている具体的なもの以外のさらなるステロイド産生遺伝子を発現したならば、これらの遺伝子の1以上の発現もまたノックダウンして、本明細書に記載される方法に有用な細胞を作出することができる。
本明細書において「ステロイド産生改変H295細胞」とは、ステロイド産生経路に関与する1以上の遺伝子、例えば、限定されるものではないが、以下の遺伝子:CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、UGT1A1およびCYP3A4を含むステロイド生合成遺伝子の遺伝子発現をノックダウンするために、例えば組換え技術によって改変されたH295細胞を意味する。例えば、上記に挙げた遺伝子の2以上の発現を、例えば、それぞれステロイド産生経路に関与する遺伝子を標的とする2以上のsiRNA核酸を産生する構築物を用いて同時に若しくは同時期にノックダウンすることができるか、またはこれらの遺伝子の2以上を順次ノックダウンすることができる。例えば、CYP21A2の遺伝子発現をノックダウンするように改変されたH295細胞を、例えばCYP11A1などの別の遺伝子の発現をノックダウンするようにさらに改変することができる。
同様に、本明細書において「ステロイド産生改変JEG−3細胞」とは、ステロイド産生経路に関与する1以上の遺伝子、例えば、限定されるものではないが、以下の遺伝子:CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、UGT1A1およびCYP3A4を含むステロイド生合成遺伝子の遺伝子発現をノックダウンするために、例えば組換え技術によって改変されたJEG−3細胞を意味し、本明細書において「ステロイド産生改変R2C細胞」とは、ステロイド産生経路に関与する1以上の遺伝子、例えば、限定されるものではないが、以下の遺伝子:CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、UGT1A1およびCYP3A4を含むステロイド生合成遺伝子の遺伝子発現をノックダウンするために、例えば組換え技術によって改変されたR2C細胞を意味する。
本明細書において、ステロイド産生改変細胞に関して「改変された」とは、ステロイド産生経路に関与する1以上の遺伝子の発現をノックダウンし、および/または低減するために、例えば、組換え技術によって細胞を遺伝的に改変することを意味する。これは例えばアンチセンス技術、および/または相同組換えによるその遺伝子の、例えばより弱いプロモーターのために低い発現を示す変異体での置換によって達成することができる。
本明細書において「ステロイド生合成遺伝子」とは、ステロイド産生経路に関与する遺伝子を意味し、限定されるものではないが、CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、UGT1A1およびCYP3A4(例えば、図1、表1参照)から選択される遺伝子が挙げられる。
「CYP21A2」は、「ステロイド21−ヒドロキシラーゼ」または「21−ヒドロキシラーゼ」および場合により「CYP21」または「CYP21B」とも呼ばれ、シトクロムP450 ファミリー21 サブファミリーA ポリペプチド2、好ましくは、例えば、Entrez GeneID 1589に開示されたヒトシトクロムP450 ファミリー21 サブファミリーA ポリペプチド2を意味する。
「CYP11A1」は、「デスモラーゼ」または「20,22デスモラーゼ」とも呼ばれ、シトクロムP450 ファミリー11 サブファミリーA ポリペプチド1、好ましくは、例えばEntrez Gene ID1583に開示されたヒトシトクロムP450 ファミリー11 サブァミリーA ポリペプチド1を意味する。
「CYP17A1」は、例えば、ステロイド17α−ヒドロキシラーゼ、CYP17AおよびCYP17とも呼ばれる。
「CYP19A1」は、例えばEntrez Gene ID1588に開示されているように、例えば、アロマターゼ、「CYP19」、「CYP19A」および「−450AROM」とも呼ばれる。
「3βHSD1」は、例えばEntrez Gene ID3283に開示されているように、例えば、「1型3βHSD」、「3βHSD」、3β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型または3β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼとも呼ばれる。
「3βHSD2」は、例えばEntrez 3284に開示されているように、例えば、「2型3βHSD」、「3βHSD」、「HSD3B2」、3β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型または3β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼとも呼ばれる。
「CYP11B1」は、例えばEntrez Gene ID1584に開示されているように、例えば、「P450C11」、ステロイド11βヒドロキシラーゼとも呼ばれる。
「CYP11B2」は、例えばEntrez Gene ID1585に開示されているように、例えば、「P450C18」、アルドステロンシンセターゼとも呼ばれる。
「17βHSD1」は、例えばEntrez Gene ID3292に開示されているように、例えば、「17βHSD」、17βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型または17βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼとも呼ばれる。
「StAR」は、例えばEntrez Gene ID6770に開示されているように、例えば、ステロイド産生急性調節タンパク質とも呼ばれる。
「HMGR」は、例えばEntrez Gene ID3156に開示されているように、例えば、「HMGCR」、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素Aレダクターゼとも呼ばれる。
「SULT1E1」は、例えばEntrez Gene ID6783に開示されているように、例えば、「EST−1」、「EST」、5α−レダクターゼ2、エストロゲン向性スルホトランスフェラーゼとも呼ばれる。
「CYP3A4」は、例えばEntrez Gene ID1576に開示されているように、例えば、「CYP3A」、「P450C3」、シトクロムP450 ファミリー3 サブファミリーA ポリペプチド4とも呼ばれる。
「UGT1A1」は、例えばEntrez Gene ID54658に開示されているように、例えば、「UGT1」、「UDPGT」、UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼとも呼ばれる。
本明細書において「ステロイド産生経路」は、例えば、コルチコステロイド合成(それぞれアルドステロンおよびコルチゾールなどの鉱質コルチコステロイドおよび糖質コルチコステロイドを含む)、ならびにアンドロゲンおよびエストロゲンなどの性ステロイドホルモンの産生を含むステロイド生合成に関与する遺伝子、酵素、基質、中間体および最終産物を意味する。
「ステロイド産生遺伝子」または「ステロイド生合成遺伝子」とは、CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、UGT1A1およびCYP3A4から選択される遺伝子を意味する。
「ステロイド生合成ノックダウン核酸」とは、CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、UGT1A1およびCYP3A4から選択される遺伝子などのステロイド生合成遺伝子の発現を低減または「ノックダウン」するための特異的な核酸分子を意味する。例えば、ステロイド生合成遺伝子の発現は、ステロイド生合成遺伝子に特異的な低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNAまたは短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、またはアンチセンス核酸を導入することによって低減することができる。遺伝子を標的とする特異的なノックダウン核酸を表す場合にはノックダウンされる遺伝子を参照してなされ、従って、例えば、CYP21A2ノックダウン核酸は、CYP21A2の発現を低減するステロイド生合成ノックダウン核酸を意味し、StARノックダウン核酸は、StARの発現を低減するステロイド生合成ノックダウン核酸を意味する。例えばいくつかの遺伝子を同時に標的とすることもでき、および/または1つの遺伝子のいくつかの領域を標的とすることもでき、例えば、多重RNAiは、例えばトランスフェクションおよび/またはウイルス導入により、複数のステロイド生合成ノックダウン核酸(例えば、複数のsiRNAまたはshRNA種)を導入することによって達成することができる。あるいは、いくつかの連続するステロイド生合成ノックダウン核酸(例えば、それぞれ場合によりプロモーターに作動可能に連結されている)を有する構築物、または複数のshRNA(例えば、個々のステロイド生合成ノックダウン核酸)に切断される、いくつかの連続するステロイド生合成ノックダウン核酸を含んでなる混成ステロイド生合成ノックダウン核酸(例えばRNA)の発現を使用することができる。
本明細書において「細胞」とは、複数の細胞を含み、細胞系統を含む。
本明細書において「単離された細胞」とは、細胞が天然に存在する環境から取り出され、および/または細胞がその天然環境に存在する状態から改変された細胞または細胞集団(細胞系統を含む)を意味する。
本明細書において「H295R」または「NCI−H295R」とは、培養ディッシュに接着させるために選択され、ステロイド産生に関与する総ての重要な酵素をコードする遺伝子を発現する多能性ヒト副腎皮質癌細胞系統である、H295細胞の株を意味する。H295Rは、例えば、American Type Culture Collection (ATCC)から公的に入手可能である。H295RにはH295R細胞の亜株およびサブクローンも含まれる。H295R細胞は、ステロイド産生に関与する総ての重要な酵素を発現するH295細胞に由来する(Gazdar et al. 1990; Staels et al. 1993; Rainey et al. 1994)。H295R細胞はH295細胞の一株であるので、当業者ならば、親H295細胞およびその親細胞の他の株もまた、例えば、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイに用いるための本開示の改変細胞を作出するために使用可能であることを認識するであろう。よって、本開示はステロイド産生改変H295細胞、このような細胞の作出および本明細書に開示される方法におけるステロイド産生改変H295細胞の使用を包含するものとする。
本明細書において「細胞系統」とは、無期限の期間、in vitroで増殖される遺伝的に均一な不死細胞の群を意味する。細胞系統は単一のクローン(例えば、モノクローナル細胞系統)または2以上のクローン(例えば、ポリクローナル細胞系統)に由来してもよい。
本明細書において「安定な細胞系統」とは、複数回の凍結−解凍サイクルの後に、一貫した増殖および/または1以上のパラメーターまたは導入特性の維持、例えば、ピューロマイシン耐性の維持(例えば、ピューロマイシン耐性遺伝子を含んでなる構築物の維持の代用)を示す細胞系統を意味する。
本明細書において「選択マーカー核酸」とは、当技術分野で周知の、ピューロマイシン耐性遺伝子などの抗生物質耐性マーカーなどのマーカーをコードする核酸を意味する。
本明細書において「選択マーカー」とは、細胞に導入され、人為的選択に好適な形質を付与する遺伝子を意味する。選択マーカーは、多くの場合、ピューロマイシン耐性遺伝子またはネオマイシン耐性遺伝子などの抗生物質耐性遺伝子である。選択マーカーは、トランスフェクションまたは外来DNAを細胞に導入することを意図する他の手法の成功を示すために一種のリポーターとして機能する。
本明細書において「核酸」および/または「オリゴヌクレオチド」とは、天然に存在する塩基、糖および糖間(intersugar)(骨格)結合からなるヌクレオチドまたはヌクレオシドモノマーの配列を意味し、一本鎖分子および二本鎖分子、RNAおよびDNAを含む。この用語はまた、同様に機能する天然に存在しないモノマーまたはその一部を含んでなる改変または置換されたオリゴマーも含み、これらは本明細書において「化学類似体」および/または「ペプチド核酸」などの「オリゴヌクレオチド類似体」と呼ばれる。このような改変または置換核酸は、細胞取込みの増大またはヌクレアーゼの存在下での安定性の増大などの特性のために、天然に存在する形態よりも好ましい可能性がある。この用語はまた、2以上の化学的に別個の領域を含むキメラ核酸も含む。例えば、キメラ核酸は、有益な特性(例えば、ヌクレアーゼ耐性の増大、細胞への取込みの増大)を付与する改変ヌクレオチドの少なくとも1つの領域を含んでもよく、あるいは2以上の本開示の核酸は連結してキメラ核酸を形成してもよい。「核酸」としては、例えば、「アンチセンス核酸またはオリゴヌクレオチド」、「siRNA核酸またはオリゴヌクレオチド」、「shRNAオリゴヌクレオチド」および「miRNA」、ならびに「モルホリノオリゴヌクレオチド」、「ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド」並びに「ペプチド核酸」などのオリゴヌクレオチド類似体が挙げられる。「核酸」にはまた、アプタマーが挙げられる。
本明細書において「単離された核酸」または「単離された核酸分子」とは、組換えDNA技術によって産生される場合には細胞材料または培養培地を、または化学合成される場合には化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない核酸を意味する。単離された核酸はまた、その核酸が由来する、その核酸に天然に隣接している配列(すなわち、その核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)を実質的に含まない。
「アンチセンス核酸」または「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、タンパク質をコードする「センス」核酸と相補的である、例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖と相補的であるか、またはメッセンジャーRNA(mRNA)配列と相補的である、ヌクレオチド配列を含んでなる。よって、アンチセンス核酸は、センス核酸と水素結合することができる。例えば、核酸は、標的遺伝子によって産生されるmRNAと結合するDNA、RNAまたは化学類似体を含んでなり得る。アンチセンス核酸の結合は翻訳を妨げ、それにより、標的タンパク質の発現を阻害または低減する。アンチセンス核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド、または、その分子の生物学的安定性を増大するように、もしくは、mRNAもしくは天然遺伝子とともに形成された二本鎖の物理的安定性を増大するように設計された様々な改変ヌクレオチド、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを用いて化学的に合成され得る。アンチセンス核酸は、標的遺伝子コード鎖全体に相補的であっても、またはその一部にのみ相補的であってもよい。アンチセンス核酸は、アンチセンス配列が高効率調節領域の制御下で産生される組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒ウイルスの形態で細胞に導入される発現ベクターを用いて生物学的に産生可能であり、その活性はベクターが導入される細胞種によって決定され得る。
本明細書において「アンチセンス技術または方法」とは、標的遺伝子の発現を阻害するために、例えば、アンチセンス核酸またはオリゴヌクレオチド;RNA切断を引き起こす触媒活性オリゴヌクレオチドであるリボザイムまたはデオキシリボザイム;RNA干渉経路を用いるsiRNA核酸および/またはshRNA核酸を用いる技術および方法を意味する。「コード領域」とは、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含んでなるヌクレオチド配列の領域を意味する。
「非コード領域」とは、アミノ酸に翻訳されない、コード領域に隣接する5’および3’配列を意味する(すなわち、5’および3’非翻訳領域とも呼ばれる)。
「siRNA」、「siRNA核酸」および/または「siRNAオリゴヌクレオチド」とは、RNA干渉(すなわち、RNAi)によって特定の遺伝子の遺伝子発現を低減または阻害するために使用可能な短鎖阻害RNAを意味する。例えば、siRNAは、例えば、注目する遺伝子の標的領域に対応する(例えば、標的mRNAと相同なセンス鎖を含んでなる)21〜23ヌクレオチドからなる二本鎖RNA核酸であり得る。
「低分子ヘアピンRNA」、「短鎖ヘアピンRNA」および/または「shRNA」とは、RNA干渉によって標的遺伝子の発現をサイレンシングするために使用可能なRNAヘアピンを生じる短鎖核酸を意味する。例えば、shRNAは、例えば、標的遺伝子に由来する19〜29ヌクレオチドの範囲の短いヌクレオチド配列、例えば、4〜15ヌクレオチドの短いスペーサー(ループを形成する)および最初の標的配列の逆相補配列であるヌクレオチド配列を含んでなる。shRNAは場合により、細胞に導入され、例えば、ヒトH1 RNAもしくはU6 pol IIIプロモーター、またはshRNAが常に発現されるようにするための他のプロモーターを用いるベクターに含まれる。ベクターは通常、娘細胞に受け渡され、遺伝子サイレンシングの伝達を可能とする。例えば、安定な細胞では、shRNAを含んでなるベクターは後代細胞で維持される。
本明細書において「RNA干渉」とは、標的遺伝子の遺伝子発現を低減するまたはサイレンシングするために使用可能な経路を意味する。RNAiは、siRNAまたはshRNAに対応する(例えば、相同な)mRNAに向けて細胞分解経路を活性化する。特定のsiRNAおよびshRNA核酸を設計し、それらを投与する方法は当業者に公知である。当技術分野では、効率的なサイレンシングは2ヌクレオチドの3’オーバーハングを有するように対合したsiRNA二本鎖複合体で得られることが知られている。siRNAまたはshRNAはまた、安定性を高めるために改変することもできる。例えば、2つのチミジンヌクレオチドの付加および/または2’Oメチル化はヌクレアーゼ耐性を付与すると思われる。当業者ならば、他のヌクレオチドも付加することができ、他の改変も行えることを認識するであろう。別の例として、安定性を高めるためにデオキシヌクレオチド残基(例えば、dT)を使用することができる。
「miRNA」とは、例えば、約70ヌクレオチド長のヘアピンRNA前駆体からプロセシングされた例えば22ヌクレオチドからなる一本鎖RNAであるマイクロRNAを意味する。miRNAは、相同なmRNAを標的とすることで遺伝子発現を阻害することができる。
「モルホリノオリゴヌクレオチド」とは、標的mRNA配列への他の分子の接近を遮断するために用いられるアンチセンス技術を意味する。モルホリノオリゴヌクレオチドは約25モルホリノサブユニットの短鎖である。各サブユニットは核酸塩基と、6員モルホリン環と非イオン性のホスホロジアミデートサブユニット間結合から構成される。モルホリノは、リボ核酸(RNA)の塩基対合面の小領域(約25塩基)を遮断する。
本明細書において「ペプチド核酸」または「PNA」とは、デオキシリボースリン酸骨格がシュードペプチド骨格で置換され、4つの天然核酸塩基だけが保持されている核酸ミミック、例えばDNAミミックを意味する。PNAの中性骨格は、低イオン強度の条件下でDNAとRNAの特異的ハイブリダイゼーションを可能とすることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup B. et al. (1996) 前掲; Perry-O'Keefe et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 14670 675に記載されているような標準的な固相ペプチド合成プロトコールを用いて行うことができる。
「少なくとも中ストリンジェントのハイブリダイゼーション条件」とは、溶液中で2つの相補的核酸分子間の選択的ハイブリダイゼーションを促進する条件が選択されることを意味する。ハイブリダイゼーションは、核酸配列分子の全体または一部に起こり得る。ハイブリダイズ部分は一般に少なくとも15(例えば、20、25、30、40または50)ヌクレオチド長である。当業者ならば、核酸二本鎖またはハイブリッドの安定性が、ナトリウム含有バッファー中ではナトリウムイオン濃度と温度の関数であるTmによって決定されることを認識するであろう(Tm=81.5℃−16.6(Log10[Na+])+0.41(%(G+C)−600/l)、または類似の式)。よって、ハイブリッド安定性を決定する洗浄条件でのパラメーターは、ナトリウムイオン濃度と温度である。既知の核酸分子と同一ではないが類似の分子を同定するためには、1%のミスマッチはTmに約1℃の低下をもたらすと仮定することができ、例えば、>95%の同一性を有する核酸分子が求められる場合には、最終洗浄温度を約5℃引き下げる。当業者ならば、これらの考慮に基づいて、適当なハイブリダイゼーション条件を容易に選択することができる。好ましい実施形態では、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件を選択する。例として、ストリンジェントハイブリダイゼーションを遂行するためには以下の条件を用いればよい:上式に基づき、Tm−5℃にて5×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)/5×デンハート溶液/1.0%SDSでハイブリダイゼーション、その後、60℃にて0.2×SSC/0.1%SDSで洗浄。中ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、42℃にて3×SSCでの洗浄を含む。しかしながら、別のバッファー、塩および温度を用いても同等のストリンジェンシーが達成可能であると理解される。ハイブリダイゼーション条件に関するその他の指針は、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y., (1989, 2002)、およびSambrook et al., Molecular Cloning: a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2001)に見出すことができる。
本明細書において「抗体」とは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体およびキメラ抗体を含むものとする。抗体は組換え源に由来してもよく、かつ/またはトランスジェニック動物で産生されてもよい。本明細書において「抗体フラグメント」は、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、dsFv、ds−scFv、ダイマー、ミニボディー、ダイアボディー、およびその多量体ならびに二重特異性抗体フラグメントを含むものとする。抗体は従来の技術を用いてフラグメントにすることができる。例えば、F(ab’)2フラグメントは抗体をペプシンで処理することによって作製することができる。得られたF(ab’)2フラグメントを、ジスルフィド架橋を還元するよう処理すると、Fab’フラグメントを作製することができる。パパイン消化を行えば、Fabフラグメントを形成することができる。Fab、Fab’およびF(ab’)2、scFv、dsFv、ds−scFv、ダイマー、ミニボディー、ダイアボディー、二重特異性抗体フラグメントおよびその他のフラグメントは組換え技術によって合成することもできる。
本明細書において「ペプチドミメティック」とは、分子間の相互作用においてペプチドの代わりとして働く構造を意味する(総説としては、Morgan et al. (1989), Ann. Reports Med. Chem. 24:243-252参照)。ペプチドミメティックは、アミノ酸および/またはペプチド結合を含んでも含まなくてもよいが、着目するステロイド産生酵素と結合し、その発現または活性を阻害するその能力などのペプチドの構造的および機能的特徴を保持する合成構造を含む。ペプチドミメティックはまた、ペプトイド、オリゴペプトイド(Simon et al. (1972) Proc. Natl. Acad, Sci USA 89:9367);およびペプチドライブラリーを含む。
本明細書において「アプタマー」とは、特異性の高い三次元コンフォメーションをとることができる短鎖の核酸を意味する。アプタマーは、標的分子に対して高い結合親和性および特異性を示し得る。これらの特性は、このような分子がタンパク質の機能活性を特異的に阻害することを可能とし、例えば、CYP21A2などのステロイド産生酵素を阻害する薬剤として含められる。
本明細書において「内分泌攪乱物質のステロイド産生特性」とは、1セットの条件下で特定の内分泌攪乱物質または化学物質の混合物に応答して特定の改変細胞または非改変細胞によって産生されるステロイドのレベルにそれぞれ対応する複数のデータ点を意味する。どのステロイドが増加または減少しているか、また、それらがどの程度増加または減少しているかは、特定の内分泌攪乱物質または推定内分泌攪乱物質によってどの内分泌経路が影響を受けるかに関する情報を与えることができる。
特定の節に記載されている定義および実施形態は、当業者によって理解されているように、または特に断りのない限り、それらが好適である、本明細書の記載の他の実施形態にも適用可能であるものとする。
II.ステロイド産生改変細胞
本明細書では、例えば、これもまた本明細書に開示されるステロイド産生改変H295Rステロイド産生アッセイを用いて、内分泌攪乱化学物質または内分泌攪乱物質を同定するのに有用な、ステロイド産生改変H295R細胞などのステロイド産生改変細胞が開示される。USEPAおよびOECDによって求められるように、今後10年、何千もの化学物質を、EPAの第1階層スクリーニングバッテリーを用い、それらの内分泌攪乱特性に関してスクリーニングしなければならない。本明細書に開示されるステロイド産生改変H295R細胞およびアッセイは、例えば、EPAのEDSPの現行の第1階層試験の1つの代替として、現行のH295Rステロイド産生アッセイの不明確性と限界のいくつかを克服するユニークな、有意に改善されたスクリーニングアッセイを提供するであろう。例えば、ステロイド産生改変H295R細胞系統のいくつかは、親H295R細胞に比べて、高い基底エストラジオール産生を示すだけでなく、ホルモン産生という点でより良い安定性を示すことも見出された。また、本明細書において、JEG−3およびR2Cは、H295R細胞に比べて、1以上のステロイド(例えば、エストラジオール、R2C細胞の場合には、17αヒドロキシプロゲステロンおよびエストンも)に関して高い基底ステロイド産生を示し、これにより、これらの細胞もまた本明細書に開示される方法に有用となることが実証される。JEG−3またはR2C細胞のステロイド産生経路における1以上の遺伝子のノックダウンも同様に、基底ステロイドレベルにさらなる増加を持つ細胞系統を生じると予想される。
よって、本開示の一態様は、プロモーターに作動可能に連結されたステロイド生合成ノックダウン核酸を含んでなる単離されたステロイド産生改変細胞(ここで、このステロイド生合成ノックダウン核酸は、ステロイド産生経路遺伝子、例えば、デスモラーゼ(20,22 デスモラーゼ)(CYP11A1)、ステロイド17α−ヒドロキシラーゼ(CYP17A1);ステロイド21−ヒドロキシラーゼ(CYP21A2);アロマターゼ(CYP19A1);3β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3βHSD1および3βHSD2);ステロイド11βヒドロキシラーゼ(CYP11B1);アルドステロンシンセターゼ(CYP11B2);17βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17βHSD1);ステロイド産生急性調節タンパク質(StAR);3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素Aレダクターゼ(HMGR);5α−レダクターゼ2、エストロゲン向性スルホトランスフェラーゼ(SULT1E1);シトクロムP450 ファミリー3 サブファミリーA ポリペプチド4(CYP3A4);およびUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT1A1)から選択される遺伝子の発現を低減する)を提供する。これらの各遺伝子のNCBI Entrez Gene IDの例を表1に示すが、対応するゲノム配列、mRNA配列およびタンパク質配列は引用することにより本明細書の一部とされる。
一実施形態において、単離された改変ステロイド産生細胞は、プロモーターに作動可能に連結されたステロイド生合成ノックダウン核酸を含んでなる単離された改変H295R細胞である(ここで、このステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP11A1、CYP17A1、CYP21A2、CYP19A1、3βHSD1および3βHSD2、CYP11B1、CYP11B2、17βHSD1、StAR、HMGR、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、CYP3A4およびUGT1A1から選択される遺伝子の発現を低減する)。
H295R細胞はH295細胞の一つの株であるので、当業者ならば、親H295細胞およびその親細胞の他の株も、ステロイド産生改変H295細胞を作出するために使用可能であることを認識するであろう。よって、一実施形態において、本開示は、プロモーターに作動可能に連結されたステロイド生合成ノックダウン核酸を含んでなる単離されたステロイド産生改変H295細胞(ここで、このステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP11A1、CYP17A1、CYP21A2、CYP19A1、3βHSD1および3βHSD2、CYP11B1、CYP11B2、17βHSD1、StAR、HMGR、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、CYP3A4およびUGT1A1から選択される遺伝子の発現を低減する)を提供する。
同様に、ステロイドホルモンを産生する、例えば、性ホルモン、すなわち、アンドロゲンおよびエストロゲンを産生するH295R細胞と類似の特性を有する他の未分化胎児副腎細胞系統などの他の細胞が、例えば、エストラジオール(E2)の発現を増強すべくステロイド産生遺伝子の発現をノックダウンするように操作することができ、本明細書に記載される方法において有用である。例としては、JEG−3細胞およびR2C細胞が挙げられる。
よって、別の実施形態では、単離された改変ステロイド産生細胞は、単離された改変JEG−3細胞である。さらなる実施形態では、単離された改変ステロイド産生細胞は、単離された改変R2C細胞である。
一実施形態において、単離された細胞は安定な細胞系統である。さらなる実施形態では、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、siRNA核酸、shRNA核酸またはアンチセンス核酸を含んでなる。siRNA、shRNAおよびアンチセンス核酸などのアンチセンス技術は当技術分野で周知であり、以下にさらに記載する。
ステロイド産生改変細胞、例えば、ステロイド産生改変H295R細胞はまた、ノックダウンされたステロイド産生遺伝子の組合せを含むこともできる。よって、一実施形態において、単離された改変ステロイド産生細胞は、CYP11A1、CYP17A1、CYP21A2、CYP19A1、3βHSD1および3βHSD2、CYP11B1、CYP11B2、17βHSD1、StAR、HMGR、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、CYP3A4およびUGT1A1から選択される1以上の遺伝子のノックダウンを含んでなる。一実施形態において、ステロイド生合成核酸は、を含んでなる。一実施形態において、細胞は、プロモーターに作動可能に連結された少なくとも2つのステロイド生合成ノックダウン核酸を含んでなり、ここで、各ステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、CYP3A4およびUGT1A1の群から選択される遺伝子の発現を低減する。さらなる実施形態では、細胞はプロモーターに作動可能に連結された少なくとも3つまたは少なくとも4つのステロイド生合成ノックダウン核酸を含んでなる。例えば、2つの遺伝子の発現をノックダウンするためには二シストロン性ベクターを使用するか、または2つのベクターを使用することができる。さらに、複数の構築物の発現を駆動するためには単一のプロモーターが有用である。あるいは、各構築物または構築物のサブセット、例えば、各shRNA核酸を、専用のプロモーターによって駆動することもできる。例えば、各ステロイド生合成ノックダウン核酸を別個のプロモーターに作動可能に連結することができ、および/または単一のプロモーターを2以上のステロイド生合成ノックダウン核酸と作動可能に連結することもできる。
a)CYP21A2改変細胞
H295R細胞系統のステロイド産生特性を鋭意検討し、CYP21A遺伝子を、これらの細胞による性ステロイドホルモンの産生を変化させることができる重要な因子の1つとして同定した。市販のRNAi技術を適用し、親H295R細胞においてCYP21A遺伝子を遺伝的にノックダウンしたところ、首尾よく新規の安定な細胞系統が得られた。この新規のCYP21AノックダウンH295R細胞系統は、基底17β−エストラジオール産生がおよそ10〜50pg/mlから400pg/mlに増加したという好ましい特徴を持つ。結果として、安定なCYP21AノックダウンH295R細胞系統の基底17β−エストラジオールレベルは現行技術の検出限界よりも200倍高く、現行のH295Rステロイド産生アッセイよりも有意に感度を引き上げる。17β−エストラジオールの基底レベルは、H295R細胞に比べ、JEG−3細胞ではほぼ10倍、R2C細胞では約61倍高まり、ステロイド産生経路遺伝子の改変は、例えば、17β−エストラジオールなどのいくつかのステロイドのレベルをさらに上昇させると予想される。
よって、本開示の一実施形態において、発現が低減される1以上の遺伝子はCYP21A2を含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子はCYP21A2である。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、CYP21A2ノックダウンH295R細胞(例えば、H295R/CYP21A2)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP21A2の発現を低減する)。CYP21A2の発現が低減される改変細胞の場合、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP21A2を標的としてその発現を低減する核酸(すなわち、CYP21A2ノックダウン核酸)を含んでなる。例えば、CYP21A2に特異的なsiRNA、shRNAまたはアンチセンス核酸を、CYP21A2ノックダウン核酸として使用することができる。一実施形態において、CYP21A2ノックダウン核酸は、
(配列番号1)
を含んでなる。
一実施形態において、本開示は、プロモーターに作動可能に連結されたCYP21A2ノックダウン核酸を含んでなる単離されたステロイド産生改変H295R細胞を提供する(ここで、このCYP21A2特異的ノックダウン核酸はCYP21A2の発現を低減するが、他の遺伝子の発現は低減しない)。
b)他のステロイド産生経路酵素のノックダウン
本明細書では、ステロイド産生に関与する他の酵素の発現の低減またはノックダウンを含んでなるステロイド産生改変細胞も提供される。このような改変細胞は、ステロイド産生アッセイにおいて、特定の実施形態ではCYP21A2の代替となり、および/またはCYP21A2に加えて用いられ、コルチコイド合成経路の部分的なまたは完全な抑制を達成するためにCYP11B1および2の変更を含む。性ステロイド合成の変更に加え、コルチゾールまたはアルドステロンなどのコルチコイド合成に対する影響も内分泌攪乱現象に関してますます懸念を増している。従って、コルチコイド合成に対する試験物質の影響を評価するためのステロイド産生アッセイでは、例えば、限定されるものではないが、CYP17、CYP21、ならびにCYP11B1および2の発現の変更によって鉱質コルチコイドおよび/または糖質コルチコイド合成経路に影響を及ぼすと予想されるステロイド生合成遺伝子のステロイド産生改変ノックダウン細胞が有用に用いられる可能性がある。
よって、本開示の一実施形態において、発現が低減される1以上の遺伝子は、CYP11A1を含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子はCYP11A1である。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、CYP11A1ノックダウン細胞(例えば、H295R/CYP11A1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP11A1の発現を低減する)。一実施形態において、ステロイド産生改変H295R細胞は、CYP11A1ノックダウン細胞(すなわち、H295R/CYP11A1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP11A1の発現を低減する)。CYP11A1の発現が低減される改変細胞の場合、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP11A1を標的としてその発現を低減する核酸(すなわち、CYP11A1ノックダウン核酸)を含んでなる。例えば、CYP11A1に特異的なsiRNA、shRNAまたはアンチセンス核酸を、CYP11A1ノックダウン核酸として使用することができる。一実施形態において、このノックダウン核酸は、
(配列番号2)
を含んでなる。
別の実施形態では、この1以上の遺伝子は、CYP17A1を含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子はCYP17A1である。さらなる実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、CYP17A1ノックダウン細胞(すなわち、H295R/CYP17A1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号3)
を含んでなる)。
別の実施形態では、この1以上の遺伝子は、CYP19A1を含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子はCYP19A1である。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、CYP19A1ノックダウン細胞(例えば、H295R/CYP19A1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP19A1の発現を低減する)。さらなる実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、CYP19A1ノックダウン細胞(すなわち、H295R/CYP19A1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号4)
を含んでなる)。
別の実施形態では、この1以上の遺伝子は、3−βHSD1を含んでなる。さらなる実施形態では、この1以上の遺伝子は3−βHSD1である。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、3−βHSD1ノックダウン細胞(例えば、H295R/3−βHSD1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、3−βHSD1の発現を低減する)。なおさらなる実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、3−βHSD1ノックダウン細胞(すなわち、H295R/3−βHSD1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号5)
を含んでなる)。
さらなる実施形態では、この1以上の遺伝子は、3−βHSD2を含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子は3−βHSD2である。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、3−Bhsd2ノックダウン細胞(例えば、H295R/3−Bhsd2)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、3−Bhsd2の発現を低減する)。さらに別の実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、3−βHSD2ノックダウン細胞(すなわち、H295R/3−βHSD2)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号6)
を含んでなる)。
別の実施形態では、この1以上の遺伝子は、17−βHSD1を含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子は17−βHSD1である。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、17−βHSD1ノックダウン細胞(例えば、H295R/17−βHSD1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、17−βHSD1の発現を低減する)。さらなる実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、17−βHSD1ノックダウン細胞(すなわち、H295R/17−βHSD1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号7)
を含んでなる)。
さらに別の実施形態では、この1以上の遺伝子は、StARを含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子はStARである。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、StARノックダウン細胞(例えば、H295R/StAR)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、StARの発現を低減する)。なおさらなる実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、StARノックダウン細胞(すなわち、H295R/StAR)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号8)
を含んでなる)。
別の実施形態では、この1以上の遺伝子は、HMGRを含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子はHMGRである。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、HMGRノックダウン細胞(例えば、H295R/HMGR)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、HMGRの発現を低減する)。なおさらなる実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、HMGRノックダウン細胞(すなわち、H295R/HMGR)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号9)
を含んでなる)。
別の実施形態では、この1以上の遺伝子は、CYP11B2を含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子はCYP11B2である。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、CYP11B2ノックダウン細胞(例えば、H295R/CYP11B2)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP11B2の発現を低減する)。なおさらなる実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、CYP11B2ノックダウン細胞(すなわち、H295R/CYP11B2)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号10)
を含んでなる)。
別の実施形態では、この1以上の遺伝子は、CYP11B1を含んでなる。さらなる実施形態では、この1以上の遺伝子はCYP11B1である。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、CYP11B1ノックダウン細胞(例えば、H295R/CYP11B1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP11B1の発現を低減する)。なおさらなる実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、CYP11B1ノックダウン細胞(すなわち、H295R/CYP11B1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号11)
を含んでなる)。
さらに別の実施形態では、この1以上の遺伝子は、5α−レダクターゼ2を含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子は5α−レダクターゼ2である。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、5α−レダクターゼ2ノックダウン細胞(例えば、H295R/5α−レダクターゼ2)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、5α−レダクターゼ2の発現を低減する)。さらなる実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、5α−レダクターゼ2ノックダウン細胞(すなわち、H295R/5α−レダクターゼ2)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号12)
を含んでなる)。
別の実施形態では、この1以上の遺伝子は、SULT1E1を含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子はSULT1E1である。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、SULTIE1ノックダウン細胞(例えば、H295R/SULTIE1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、SULTIE1の発現を低減する)。さらなる実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、SULT1E1ノックダウン細胞(すなわち、H295R/SULT1E1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号13)
を含んでなる)。
別の実施形態では、この1以上の遺伝子は、CYP3A4を含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子はCYP3A4である。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、CYP3A4ノックダウン細胞(例えば、H295R/CYP3A4)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP3A4の発現を低減する)。さらなる実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、CYP3A4ノックダウン細胞(すなわち、H295R/CYP3A4)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号14)
を含んでなる)。
別の実施形態では、この1以上の遺伝子は、UGT1A1を含んでなる。別の実施形態では、この1以上の遺伝子はUGT1A1である。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、UGT1A1ノックダウン細胞(例えば、H295R/UGT1A1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、UGT1A1の発現を低減する)。さらなる実施形態では、ステロイド産生改変H295R細胞は、UGT1A1ノックダウン細胞(すなわち、H295R/UGT1A1)を含んでなる(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、
(配列番号15)
を含んでなる)。
遺伝子ノックダウンレベルとホルモンレベル
本明細書に記載される改変細胞においては、1以上のステロイド産生遺伝子、例えば、ステロイド産生に関与する1以上の酵素の遺伝子の発現レベルが低減される。
一実施形態において、例えば、発現されたmRNAまたはタンパク質および/または酵素活性のレベルを測定することによって評価した場合に、改変細胞が、対照に比べて1以上の遺伝子(例えば、mRNAまたはタンパク質)の、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも90%未満を発現する。一実施形態において、対照は非改変H295R細胞である。
別の実施形態では、細胞は、増加したレベルの少なくとも1つのステロイドまたはステロイド前駆体を産生する。この増加したレベルは、一実施形態では、増加した濃度のステロイドまたはステロイド前駆体である。
一実施形態において、少なくとも1つのステロイドは性ステロイドである。別の実施形態では、改変細胞は、増加したレベルのアンドロステンジオン(AD)、テストステロン(T)、ジヒドロテストステロン(DHT)、エストロン(E1)および/または17βエストラジオール(E2)を産生する。
別の実施形態では、ステロイドはコルチコステロイドである。さらなる実施形態では、コルチコステロイドは鉱質コルチコステロイドまたは糖質コルチコステロイドである。別の実施形態では、ステロイドはコルチゾールおよび/またはアルドステロンである。
別の実施形態では、細胞は、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、またはそれを超える少なくとも1つのステロイドを産生する。さらなる実施形態では、細胞は、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも125倍、少なくとも150倍、少なくとも175倍、少なくとも200倍またはそれを超える少なくとも1つのステロイドを産生する。
ホルモン産生は一般に、ホルモン間で大きく異なる時間の関数である。例えば、E2産生は100pg/mL/48時間(例えば、200,000〜300,000細胞当たり)未満であり得るが、アンドロステンジオンの濃度は100ng/mL/48時間(例えば、200,000〜300,000細胞当たり)前後であり、さらには、コルチコステロイドにはそれを超える濃度で産生されるものがある。一実施形態において、ステロイド産生改変細胞は、少なくとも10pg/ml、少なくとも20pg/ml、少なくとも30pg/ml、少なくとも40pg/ml、少なくとも50pg/ml、少なくとも60pg/ml、少なくとも70pg/ml、少なくとも80pg/ml、少なくとも90pg/ml、少なくとも100pg/ml、少なくとも125pg/ml、少なくとも150pg/ml、少なくとも175pg/ml、少なくとも200pg/ml、少なくとも250pg/ml、少なくとも300pg/ml、少なくとも350pg/ml、少なくとも400pg/ml、少なくとも500pg/ml、少なくとも600pg/ml、少なくとも800pg/ml、または少なくとも1,000pg/mlの17β−エストラジオールを産生する。
さらなる実施形態では、細胞は、48時間当たり少なくとも1ag(アトグラム)/細胞、48時間当たり少なくとも3ag/細胞、48時間当たり少なくとも10ag/細胞、48時間当たり少なくとも20ag/細胞、48時間当たり少なくとも30ag/細胞、48時間当たり少なくとも40ag/細胞、48時間当たり少なくとも50ag/細胞、48時間当たり少なくとも60ag/細胞、48時間当たり少なくとも70ag/細胞、48時間当たり少なくとも80ag/細胞、48時間当たり少なくとも90ag/細胞、48時間当たり少なくとも100ag/細胞、48時間当たり少なくとも125ag/細胞、48時間当たり少なくとも150ag/細胞、48時間当たり少なくとも175ag/細胞、48時間当たり少なくとも200ag/細胞、48時間当たり少なくとも250ag/細胞、48時間当たり少なくとも300ag/細胞、または48時間当たり少なくとも400ag/細胞、または48時間当たり少なくとも800ag/細胞の少なくとも1つのステロイドを産生する。別の実施形態では、細胞は、少なくとも1fg(フェムトグラム)/細胞/48時間、少なくとも3fg/細胞/48時間、少なくとも5fg/細胞/48時間、少なくとも10fg/細胞/48時間、少なくとも20fg/細胞/48時間、少なくとも30fg/細胞/48時間、少なくとも40fg/細胞/48時間、少なくとも50fg/細胞/48時間、少なくとも60fg/細胞/48時間、少なくとも70fg/細胞/48時間、少なくとも80fg/細胞/48時間、少なくとも90fg/細胞/48時間、少なくとも100fg/細胞/48時間、少なくとも125fg/細胞/48時間、少なくとも150fg/細胞/48時間、少なくとも175fg/細胞/48時間、少なくとも200fg/細胞/48時間、少なくとも250fg/細胞/48時間、少なくとも300fg/細胞/48時間、少なくとも400fg/細胞/48時間、少なくとも800fg/細胞/48時間、または少なくとも1,000fg/細胞/48時間の少なくとも1つのステロイドを産生する。
一実施形態において、細胞は、48時間当たり少なくとも1ag/細胞、48時間当たり少なくとも3ag/細胞、48時間当たり少なくとも10ag/細胞、48時間当たり少なくとも20ag/細胞、48時間当たり少なくとも30ag/細胞、または48時間当たり少なくとも100ag/細胞のE2を産生する。別の実施形態では、細胞は、少なくとも1fg/細胞/48時間、少なくとも3fg/細胞/48時間、少なくとも5fg/細胞/48時間、少なくとも10fg/細胞/48時間、少なくとも20fg/細胞/48時間、少なくとも30fg/細胞/48時間、少なくとも40fg/細胞/48時間または少なくとも200fg/細胞/48時間のテストステロンを産生する。別の実施形態では、細胞は、約10fg/細胞/48時間〜約500fg/細胞/48時間の間のアンドロステンジオンを産生する。別の実施形態では、細胞は、約1fg/細胞/48時間〜約100fg/細胞/48時間の間のエストロンを産生する。
別の実施形態では、改変細胞は、プロモーターに作動可能に連結された抗生物質耐性遺伝子核酸をさらに含んでなる。一実施形態において、細胞は、抗生物質ピューロマイシン耐性である。ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼの他、他の抗生物質選択マーカーとしては、限定されるものではないが、タンパク質ネオマイシンホスホトランスフェラーゼおよびハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼをコードする遺伝子が挙げられる。
送達ベクター
当業者ならば、本明細書に記載される核酸を細胞に導入するために種々の送達ベクターおよび発現ビヒクルが有用に使用されることが分かるであろう。有用なベクターは、レンチウイルス、オンコレトロウイルス、発現プラスミド、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルスを含んでなる。慣用されるshRNA送達ベクターは、プラスミド、レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターである。
H295R細胞に導入され、実施例2に記載されるshRNA核酸は、pLKO.1プラスミド(Thermo Scientific Open Biosystems社製)に含められた。当業者に理解されるように、他の安定組込みベクターなどの他のベクターも使用可能である。例えば、shRNA技術に好適なレンチウイルスベクターとしては、例えばThermo Scientific Open Biosystems社、Santa Cruz Biotechnology社(www.scbt.com)、Ambion社(www.ambion.com)、Invitrogen社(www.invitrogen.com)およびSignosis BioSignal Capture社(www.signosisinc.com)から入手可能なベクターが挙げられる。
アンチセンスおよび/またはshRNA核酸は、一実施形態では、プロモーターに作動可能に連結される。標的遺伝子の発現をノックダウンするのに十分なアンチセンスまたはshRNA分子の発現を提供するプロモーターはいずれも使用可能である。好適なプロモーターとしては、例えば、ヒトH1 RNAプロモーター、ヒトU6プロモーター、ヒトホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター(hPGK)SV40、およびCMV初期エンハンサー/ニワトリβアクチン(CAG)プロモーターが挙げられる。
他の方法も標的遺伝子の発現をノックダウンするために使用可能であるので、一実施形態において、本開示は、ステロイド生合成ノックダウン剤を含んでなる単離されたステロイド産生改変細胞、例えば、単離されたステロイド産生改変H295R細胞を提供する(ここで、このステロイド生合成ノックダウン剤は、CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、CYP3A4およびUTG1A1から選択される遺伝子の発現を低減する)。
III.方法
i)細胞系統を作出する方法
本開示は、プロモーターに作動可能に連結されたステロイド生合成ノックダウン核酸を含んでなる単離されたステロイド産生改変H295RまたはH295細胞などの単離されたステロイド産生改変細胞を作出する方法を提供する(ここで、このステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、CYP3A4およびUGT1A1の群から選択される遺伝子の発現を低減する)。
よって、別の態様は、ステロイド生合成改変細胞、一実施形態では、ステロイド生合成改変H295Rまたはステロイド生合成改変H295細胞を作出する方法であって、プロモーターに作動可能に連結されたステロイド生合成ノックダウン核酸をステロイド産生細胞(例えば、H295R、H295、JEG−3またはRC2細胞)に導入することとおよび細胞(細胞中で、ステロイド生合成ノックダウン核酸がCYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、CYP3A4およびUGT1A1の群から選択される遺伝子の発現を低減する)を選択することを含んでなる方法を提供する。
本明細書に記載される単離された細胞を作出するためにはいくつかの技術を使用することができる。ノックダウンされる遺伝子に特異的な核酸を導入することによってステロイド産生改変細胞(ステロイド産生改変H295Rおよび/またはH295細胞など)を作出するために、組換え技術およびアンチセンス技術を使用することができる。一実施形態において、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、siRNA核酸、shRNA核酸またはアンチセンス核酸を含んでなる。別の実施形態では、所望の遺伝子の発現をノックダウンするためにジンクフィンガータンパク質を用いる。他の実施形態においては、化学的阻害および化学的突然変異誘発法もまた使用可能である。所望の遺伝子の発現をノックダウンまたはノックアウトする他の方法も好適である。
よって、一実施形態において、本開示は、単離されたステロイド産生改変細胞を作出する方法であって、ステロイド生合成ノックダウン剤を導入すること、および細胞(細胞中で、ステロイド生合成ノックダウン剤がCYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、CYP3A4およびUGT1A1の群から選択される遺伝子の発現を低減する)を選択することを含んでなる方法を提供する。一実施形態において、単離されたステロイド産生改変細胞は、単離されたステロイド産生改変H295R細胞である。
本明細書に開示される細胞を作出するのに、いくつかのsiRNA、shRNAおよびアンチセンス核酸が好適である。一実施形態において、siRNA核酸(各鎖)は20〜30、31〜40、41〜50残基長の間である。一実施形態において、siRNA(各鎖)は20、21、22、23、24または25残基長である。別の実施形態では、shRNAはヘアピンループを含んでなり、40〜80残基長の間である。一実施形態において、shRNAはヘアピンループを含んでなり、40、41、42、43、44、45または46残基長である。
一実施形態において、shRNA核酸は表2に挙げられた配列を含んでなる。
ステロイド生合成ノックダウン核酸、例えば、shRNA、siRNAまたはアンチセンス核酸は、例えば安定な組込みによって改変細胞において維持されるベクターに含まれてよい。一実施形態において、siRNA、shRNAおよび/またはアンチセンス核酸はベクターに含まれる。レトロウイルスベクターは、それに含まれるshRNA、siRNAまたはアンチセンス核酸を安定に組み込むのに好適である。よって、一実施形態において、プロモーターに作動可能に連結されたステロイド生合成ノックダウン核酸は、レンチウイルスプラスミド構築物に含まれる。他の好適なベクターも本明細書に記載される。
一実施形態において、プロモーターに作動可能に連結された選択マーカー核酸もまた導入される(ここで、この選択マーカー核酸は抗生物質耐性遺伝子をコードしていてもよく、細胞は抗生物質選択によって選択してもよい)。一実施形態において、細胞は、既知の選択技術を用いてピューロマイシンによって選択される。
本明細書に記載される核酸分子は、当技術分野で公知の手順を用い、化学合成および酵素的連結反応を用いて構築することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)またはsiRNAオリゴヌクレオチドは、天然に存在するヌクレオチド、またはその分子の生物学的安定性を増大するように、もしくはハイブリダイズする鎖間で形成される二本鎖の物理的安定性を増大するように設計された様々な改変ヌクレオチドを用いて化学的に合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用可能である。アンチセンス核酸を作出するために使用できる改変ヌクレオチドの例としては、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、シュードウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンが挙げられる。あるいは、核酸分子は、核酸がアンチセンス配向でサブクローニングされている発現ベクターを用いて生物学的に作出することができる(例えば、挿入された核酸から転写されたRNAは着目する標的核酸に対してアンチセンス配向であるか、またはshRNAの場合には、転写されたRNAは着目する標的核酸に対応し、短鎖ヘアピン配向にある)。
他のオリゴヌクレオチドは、ポリマー骨格、環状骨格または非環状骨格を含むヌクレオチドを含み得る。例えば、ヌクレオチドはモルホリノ骨格構造を有してもよい(米国特許第5,034,506号)。オリゴヌクレオチドはまた、リポーター基、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改良するための基、および/またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改良するための基などの基も含んでよい。オリゴヌクレオチドはまた糖ミメティックを有してもよい。
siRNA、shRNAまたはアンチセンス核酸は標的遺伝子のコード領域を標的としても、あるいは標的遺伝子の非コード領域を標的としてもよい。例えば、遺伝子発現は、標的遺伝子の調節領域(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的として、標的遺伝子の転写を妨げる三重らせん構造を形成させることによって阻害することができる。一般に、Helene, C. (1991) Anticancer Drug Des. 6(6):569 84; Helene, C. et al. (1992) Ann. N.Y. Acad. Sci. 660:27 36;およびMaher, L. J. (1992) Bioassays 14(12):807 15参照。
本明細書に開示される核酸は、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは溶解度を改良するために塩基部分、糖部分またはリン酸骨格で改変することができる。例えば、核酸分子のデオキシリボースリン酸骨格を改変して、ペプチド核酸を作出することができる(Hyrup B. et al. (1996) Bioorganic & Medicinal Chemistry 4 (1): 5 23参照)。
一実施形態において、核酸分子はPNAである。PNAの中性骨格は、低イオン強度の条件下でDNAおよびRNAとの特異的ハイブリダイゼーションを可能とすることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup B. et al. (1996) 前掲; Perry-O'Keefe et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 14670 675に記載されているように、標準的な固相ペプチド合成プロトコールを用いて行うことができる。
ii)ステロイド産生改変H295Rおよび/またはステロイド産生改変H295細胞などのステロイド産生改変細胞を用いて内分泌攪乱化学物質(EDC)を同定するためのアッセイ−改変ステロイド産生アッセイ
物質が内分泌系の機能を変化させ、ヒトの健康に悪影響をもたらし得るという懸念の浮上を受けて、米議会は、1996年の食品品質保護法において連邦食品・医薬品・化粧品法(FFDCA)に408条を加える条項を含めた。FFDCAのこの条はEPAに、
ある化学物質が、ヒトにおいて、天然に存在するエストロゲンによって生じる作用と類似の作用、または長官が指定するそのような他の内分泌作用を持ち得るかどうかを決定するために、検証済みの適当な試験系および他の科学的に関連する情報を用いてスクリーニングプログラムを開発する[21U.S.C.346(p)]
ことを求めている。
これらの要件の履行において、EPAは、化学物質がヒトおよび野生生物の内分泌系および関連の機能と相互作用する可能性を決定するためのin vitroおよびin vivoアッセイの開発と検証を行ってきた。EPAは評価プロセスにおいて2階層のアプローチを推奨している。アッセイの第1階層スクリーニングバッテリーはEPAの内分泌攪乱物質スクリーニングおよび試験諮問委員会(EDSTAC)の推奨に基づき、エストロゲン、アンドロゲンおよび甲状腺ホルモン系に影響を及ぼす化学物質を同定することをねらいとする。第2階層試験は、これらのエストロゲン、アンドロゲンおよび甲状腺活性化学物質に対する影響を確認、特性決定および定量することを意図する。
第1階層スクリーニングバッテリーには、H295Rヒト副腎皮質癌細胞系統を用いるH295Rステロイド産生アッセイが含まれる(http://www.epa.gov/endo/pubs/assayvalidation/status.htm)。EPAの内分泌受容体スクリーニングプログラム(EDSP)は、それらの第1階層スクリーニングバッテリープログラムにこの細胞に基づくアッセイを含んでいた。さらに、このH295Rステロイド産生アッセイは現在、経済協力開発機構(OECD)の試験法検証プログラムの最終検証段階にあり、最終的に、化学物質がステロイドホルモン合成に影響を及ぼす可能性を評価するためのOECD試験ガイドラインの制定に至るであろう(OECD2002)。
EPAは連邦官報に、最初の第1階層スクリーニングに関して選択された農薬活性成分およびHPV/農薬不活性化学物質のリストを公表している。この最初の試験用リストは、TSCAインベントリの活性農薬成分、ならびに化粧品および食品添加物の成分に含まれる87,000件という多数の化学物質から優先順位を付けたものである。
本開示では、CYP21AノックダウンH295R細胞系統、CYP17A1ノックダウンH295R細胞系統およびCYP19A1ノックダウンH295R細胞系統を含む、いくつかの安定な改変ステロイド産生細胞系統が開発された。本明細書では、例えば、CYP21AノックダウンH295R細胞系統が原型のH295Rステロイド産生アッセイに関連する問題のいくつか(すなわち、エストラジオールの低い基底ホルモン産生)を克服することが実証され、今では、有意に改良された感度が、17β−エストラジオールおよびテストステロンの誘導剤を検出するための細胞の特性を変化させずに、このホルモンの産生の弱い阻害剤を同定することも可能とする。従って、17β−エストラジオールの基底産生レベルにおける増加はこのアッセイの感度を有意に改良し、様々な強度の阻害剤の同定に関する現在の限界を克服する助けとなる。
安定なCYP21AノックダウンH295R細胞系統は、本明細書において、内分泌攪乱化学物質の有意に改良されたスクリーニングアッセイとして開発された。親H295R細胞系統のゲノムに遺伝的改変が導入された。この改変は、内在するステロイド産生経路の構造を変化させずに、テストステロンおよび17β−エストラジオールの基底産生を有意に増加させた。これらの新規なステロイド産生特性は、この新規のH295R/CYP21ノックダウン細胞を、原アッセイよりも性能の良い優れたスクリーニングツールとし、これにより、EDSPおよび他の国内および/または国際的スクリーニングプログラムの一環としての適用のために好ましいアッセイとなる。
よって、別の態様において、本開示は、内分泌攪乱物質を同定するためのスクリーニングアッセイであって、
a)本明細書に開示されるステロイド産生細胞、例えば、ステロイド産生改変H295RまたはH295細胞を試験物質、例えば、推定EDCと接触させること、
b)少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子発現産物(例えば、mRNAまたはタンパク質濃度)または酵素活性のレベルを測定すること
を含んでなる、スクリーニングアッセイ(ここで、対照と比べたその少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子産物または酵素活性のレベルの変動が、その試験物質が内分泌攪乱物質であることを示す)を提供する。
一実施形態において、ステロイド産生細胞は、JEG−3細胞またはステロイド産生改変JEG−3細胞である。一実施形態において、ステロイド産生細胞は、RC2細胞またはステロイド産生改変RC−2細胞である。
一実施形態において、検出される少なくとも1つのステロイドのレベルは、細胞により培養培地に放出されるステロイドである。別の実施形態では、検出される少なくとも1つのステロイドのレベルは、細胞内にあるステロイドである。一実施形態において、少なくとも1つのステロイド産生遺伝子発現産物(例えば、mRNAまたはタンパク質濃度)または酵素活性のレベルは細胞内レベルである。
試験物質は、脊椎動物または無脊椎動物の内分泌系に影響を及ぼすと推定される任意の化学物質または物質(例えば、推定EDC)であり得る。一実施形態において、試験物質は、工業用化学物質、医薬品、除草剤、殺真菌剤、ポリカーボネートプラスチックモノマー、農業用化学物質、抗がん剤、性交後避妊薬、合成物質、薬物、治療薬、ポリビニル添加物、有機リン系殺虫剤、ペプチドホルモン、賦形剤、医薬補助剤(pharmaceutical aid)、殺精子剤、食品、化粧品、トイレタリーおよび医薬品の保存剤、ならびに農薬共力剤から選択される。各カテゴリーの例を表3に示す。例えばH295R細胞(例えば、親または非改変細胞)を用いたステロイド産生アッセイにおける「作用タイプ」を表3に示す。
表3に挙げられている物質の大部分は、H295R細胞を用いると、弱いエフェクターまたは陰性として分類される。よって、本開示の一態様では、本明細書に記載のステロイド産生改変H295R細胞は、以下に挙げた化学物質の評価に関連する不確定性を排除する有意に改良されたスクリーニングツールを提供する。
一実施形態において、少なくとも1つのステロイドは、性ステロイドである。一実施形態において、少なくとも1つのステロイドは、アンドロステンジオン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、エストロンおよびE2から選択される。
別の実施形態では、ステロイドは、コルチコステロイドである。さらなる実施形態では、コルチコステロイドは、鉱質コルチコステロイドまたは糖質コルチコステロイドである。別の実施形態では、ステロイドは、コルチゾールまたはアルドステロンである。
別の実施形態では、少なくとも1つのステロイド産生遺伝子発現産物または酵素活性は、CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、およびSULT1E1遺伝子発現産物または酵素活性から選択される。
別の実施形態では、少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子発現産物または酵素活性のレベルの変動は、対照の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも90%位である。一実施形態において、この変動は、対照に比べての増加である。別の実施形態では、この変動は対照に比べての低減である。
対照は、例えば、試験物質の非在下で実施される同じアッセイ(例えば、加える細胞に試験物質を添加しない)、または溶媒もしくは担体(例えば、試験物質を溶解する溶媒または担体をステロイド産生細胞に加える)である。
当業者ならば、ステロイドまたはステロイド産生遺伝子産物(例えば、mRNA、タンパク質濃度)または酵素活性のレベルを測定するために使用可能なアッセイを知っている。一実施形態では、抗体に基づく方法を用いてステロイドのレベルを直接的または競合的に検出する。一実施形態では、ステロイドレベルを検出するための抗体または他の薬剤が標識される。
ステロイドレベルを検出するための抗体または他の薬剤と結合した標識は、直接的または間接的のいずれかで検出可能なシグナルを生成し得ることが好適である。例えば、標識は、放射性不透過性であるか、または、H、14C、32P、35S、123I、125Iもしくは131Iなどの放射性同位元素;フルオレセインイソチオシアネート、ローダミンまたはルシフェリンなどの蛍光(蛍光団)もしくは化学発光(発色団)化合物;アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはセイヨウワサビペルオキシダーゼなどの酵素;造影剤であるアセチルコリンエステラーゼ;または金属イオンであり得る。
別の実施形態では、検出可能なシグナルは、間接的に検出可能である。例えば、標識二次抗体を用いて、目的のステロイドを検出することができる。
一実施形態において、少なくとも1つのステロイドのレベルは、ELISA(自動ELISAでもよい)、免疫ブロット法または液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)によって検出される。ステロイド産生遺伝子mRNAレベルは、例えば、定量的RT−PCR法および/またはノーザンブロット法によって測定することができる。さらに、アレイ(例えばmRNAを検出するためのマイクロアレイを含む)を使用することもできる。分光測定法も使用可能である。ステロイド産生遺伝子のタンパク質発現レベルは、例えば、ELISAまたは免疫ブロット法によって測定することができる。さらに、ステロイド産生酵素の酵素酵素活性は、例えば、以下の実施例に記載されているように、トリチウム放出アッセイまたはE2の細胞取り込みおよび代謝などの基質変換アッセイを用いて測定することができる。
一実施形態において、スクリーニングアッセイは、ステロイド産生改変H295Rステロイド産生アッセイであり、ここでは、ステロイド産生改変H295R細胞が本明細書に記載されるまたは当技術分野で公知のステロイド産生アッセイにおいて用いられる。
一実施形態において、ステロイド産生改変H295Rステロイド産生アッセイの目的は、ステロイド産生改変H295R細胞の、例えば、アンドロゲンまたはエストロゲンなどのステロイドホルモン産生に影響を及ぼす物質を検出することである。このアッセイは、試験物質を添加して少なくとも1時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、60時間および少なくとも72時間後に培地中の例えば、エストラジオール、エストロン、アンドロステンジオン、テストステロンおよびジヒドロテストステロンの濃度を測定することによって、ステロイド産生経路の酵素を阻害する物質およびホルモン合成を担う酵素を誘導する物質を検出することができる。
一実施形態において、このアッセイは、24または48ウェル培養プレートにて、標準的な細胞培養条件下で実施される。別の実施形態では、このアッセイはまた、6、12、96または384ウェル培養プレートにて、標準的な細胞培養条件下で実施することもできる。別の実施形態では、細胞を約24時間馴化させ、例えば、1〜10種類の異なる濃度に約48時間曝す。一実施形態では、6または7種類の濃度の試験物質を3回繰り返して試験する。別の実施形態では、陰性対照および陽性対照として溶媒および既知のホルモン産生阻害剤および誘導剤を1種類、2種類または3種類の一定濃度で実施する。一実施形態において、ホルモン産生阻害剤はプロクロラズである。一実施形態において、ホルモン産生誘導剤はフォルスコリンである。曝露期間の終了時に、一実施形態では、各ウェルから培地を取り出し、培地を取り出した後に各ウェルの細胞生存率を分析する。一実施形態では、細胞状態の遡及的解析を可能とするために、細胞生存率評価の目的で培地を取り出す前に、ウェル中の細胞の顕微鏡写真を撮影する。培地中のホルモン濃度は、例えば、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などの抗体に基づくイムノアッセイ、および当業者に公知の他の生物分析ホルモン検出アッセイ、および/または液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)またはガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)などの機器的技術を含む様々な方法を用いて測定することができる。
一実施形態において、データは溶媒対照に対する変化倍率として表され、最小影響濃度(lowest observed effect concentration)(LOEC)、無影響濃度(no observable effect concentration)(NOEC)、モデル化合物に対する相対的効力、および影響濃度(effective concentration)(EC)が報告される。このアッセイが陰性であれば、試験した最高濃度が無影響濃度(NOEC)として報告される。一実施形態では、化学物質の、ステロイド産生に影響を及ぼす能力に関する結果は3回の独立した試験実施に基づいた。
一実施形態において、ステロイド産生細胞、例えば、ステロイド産生改変H295R細胞を24ウェルプレートに播種する。別の実施形態では、ステロイド産生細胞、例えば、ステロイド産生改変H295R細胞を37℃でインキュベートして、細胞をウェルに接着させる。一実施形態において、約8、約16または約24時間後に、培地を新鮮培地に置き換える。次に、例えば、DMSO/培地mLにおいて、保存溶液0.1%v/v(例えば、24ウェルプレートに対して1マイクロリットル)(例えば、ウェル中)を加えることによって、細胞を試験物質に曝す。一実施形態において、溶媒対照としては、0.1%v/v(例えば、24ウェルプレートに対して1マイクロリットル)DMSO/培地mLを入れる。このプレートを場合により、37℃で約6時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間または約72時間インキュベートする。
別の実施形態では、培地を取り出し、場合によりアリコートに分け、場合により<−20℃、<−80℃および<−196℃で冷凍する。
別の実施形態では、標準曲線を作成する。
最終的なホルモン濃度を例えば、実施例7に記載のように計算する。
一実施形態において、ホルモン産生の相対的増加/低減を評価するために、結果を各試験プレートの平均溶媒(SC)値に対して標準化し、その結果を各試験プレートのSCに対する相対的変化として表す。
これらのデータが正規分布するか、または正規分布に近ければ、試験物質処理と溶媒対照の間の差をパラメトリック検定(ダネット(Dunnett)検定など)を用いて分析する。データが正規分布しない場合には、適当なノンパラメトリック検定を用いる(例えば、クラスカル・ウォリス、スティールのメニーワンランク検定(many-one rank test))。相対的変化は例えば次のように計算する:相対的変化=(ウェル中の濃度/同一プレート中のSCの平均濃度)。
一実施形態において、試験物質は、その誘導倍率が、濃度応答曲線の増加部分または減少部分内に入る用量で、溶媒対照と統計学的に異なる場合に陽性である。例えば、誘導倍率における統計学的に有意な増加は、その試験物質がステロイド合成経路の1以上の酵素の誘導剤であることを示し、誘導倍率における統計学的に有意な低下は、その試験物質がステロイド産生経路の1以上の酵素の阻害剤であることを示す。
ステロイド産生細胞、例えば、ステロイド産生改変H295R細胞は、例えばステロイド代謝およびステロイド細胞取り込みを評価することによってステロイド産生酵素活性を評価するステロイド産生アッセイに使用することができる。別の態様において、本開示は、ステロイドの代謝率に対する試験物質の影響をスクリーニングする方法であって、
a)本開示のステロイド産生細胞、例えば、ステロイド産生改変H295RまたはH295細胞を培養培地中で試験物質と接触させること;
b)試験物質を除去すること(細胞を洗浄することによって除去してもよい);
c)その細胞を標識ステロイド(放射性標識ステロイドでもよい)と接触させること;
d)未変化のステロイドから水溶性ステロイド代謝産物を、溶媒抽出により分離すること(ジクロロメタン(DCM)を用いてもよい);
e)水溶性標識ステロイド代謝産物のレベルを検出すること;および
f)ステロイド代謝率を求めること(ここで、このステロイド代謝率は、水溶性ステロイド代謝産物の形成率によって求められる)
を含んでなる方法を提供する。
別の実施形態では、試験物質と放射性標識ステロイドは同時に加えられる。よって、本開示は、一実施形態において、ステロイドの代謝率に対する試験物質の影響をスクリーニングする方法であって、
a)本開示のステロイド産生細胞、例えば、ステロイド産生改変H295RまたはH295細胞を、試験物質とともに、標識ステロイド(放射性標識ステロイドでもよい)と接触させること;
b)未変化のステロイドから水溶性ステロイド代謝産物を溶媒抽出により分離すること(ジクロロメタン(DCM)を用いてもよい);
c)水溶性標識ステロイド代謝産物のレベルを検出すること;および
d)ステロイド代謝率を求めること(ここで、このステロイド代謝率は、水溶性ステロイド代謝産物の形成率によって求められる)
を含んでなる方法を提供する。
別の態様において、本開示は、ステロイドの細胞取り込みに対する試験物質の影響をスクリーニングする方法であって、
a)本開示のステロイド産生細胞、例えば、ステロイド産生改変H295RまたはH295細胞を培養培地中で試験物質と接触させること;
b)試験物質を除去すること(細胞を洗浄することによって除去してもよい);
c)その細胞を標識ステロイド(放射性標識ステロイドでもよい)と接触させること;
d)細胞外標識ステロイドを除去すること(細胞を洗浄することによって除去してもよい);
e)細胞をホモジナイズすること;および
f)細胞内標識ステロイドを検出すること
を含んでなる方法(標識ステロイドの細胞取り込みが細胞ホモジネートの放射能によって評価される)を提供する。
一実施形態において、試験物質と標識ステロイドは同時に加えられる。よって、一実施形態において、本開示は、ステロイドの細胞取り込みに対する試験物質の影響をスクリーニングする方法であって、
a)本開示のステロイド産生細胞(ステロイド産生改変H295RまたはH295細胞でもよい)を、試験物質とともに、標識ステロイド(放射性標識ステロイドでもよい)と接触させること;
b)細胞外標識ステロイドを除去すること(細胞を洗浄することによって除去してもよい);
c)細胞をホモジナイズすること;および
d)細胞内標識ステロイドを検出すること
を含んでなる方法(標識ステロイドの細胞取り込みが細胞ホモジネートの放射能によって評価される)を提供する。
一実施形態において、E2の細胞取り込みおよび代謝に対する試験物質誘導性の影響が評価される。別の実施形態では、それらの影響が、放射性標識エストラジオールを用いて評価される(Lancon et al. 2004の改変法)。例えば、少なくとも1時間、少なくとも3時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間または少なくとも72時間曝露した後に、ステロイド産生細胞(例えば、ステロイド産生改変H295R細胞)を2回洗浄し、その後、直接的曝露の場合には、標識ステロイドを含んでなる、例えば、1nM 6,7[H]−E2(Perkin Elmer, Boston, MA)を含んでなる添加培地および試験物質とともにインキュベートする。一実施形態では、DMSOを担体溶媒として用いるが、0.1%v/vを超えないようにする。別の実施形態では、インキュベーション後、例えば、37℃、5%COで30分のインキュベーション後に、細胞を氷上に置いて反応を停止させる。細胞培養培地を抽出のために、例えば、500μLのジクロロメタン(DCM)に200μLの培地を加えことによって回収する。例えば、他所に記載されているシンチレーションによってホルモンを測定するために上清(培地)を回収する。一実施形態では、E2代謝活性を測定する。例えば、E2代謝活性は、水溶性E2代謝産物の形成率によって求められる。一実施形態において、培地を除去した後、プレート内に残った細胞を氷冷PBSバッファーで2回洗浄する。一実施形態において、溶解バッファー、例えば、0.1M NaOH、0.1%SDSおよび0.1%NaCOを含有する250μLの溶解バッファーを各ウェルに加えて、例えば、室温で約15分間、細胞を溶解させる。別の実施形態では、エストラジオールの細胞組み込みを、細胞ホモジネートの放射能によって評価する。
IV.キットおよびシステム
i)内分泌攪乱物質の検出キット
別の態様において、本開示は、本明細書に開示される細胞と少なくとも1つのステロイドのレベルを測定するための分析物特異的検出剤とを含んでなる、内分泌攪乱物質のスクリーニング用のキットを提供する。
少なくとも1つのステロイドのレベルを測定するための分析物特異的検出剤は、例えば、そのステロイドと結合する抗体、またはそのステロイドに対するELISAを含んでなる。
一実施形態において、キットは、少なくとも1つのステロイドのレベルを測定するための分析物特異的検出剤、またはキット対照、例えば、較正および/または比較に使用可能なエストラジオールなどの、ある量のステロイドといった標品を含んでなる。
別の実施形態では、キットは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリプシン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、および/または対照として使用することができるフォルスコリンおよび/またはプロクロラズなどのモデル化合物の1以上を含んでなる。別の実施形態では、キットは、例えば、液体クロマトグラフィー(LC)および/または質量分析(MS)によってステロイドレベルを検出する際に標品として用いるための既知量の1以上のステロイドを含んでなる。
キットに含み得る他の品目としては、例えば、細胞生存率、遺伝子発現、および/または、酵素濃度および活性を評価するための試薬が挙げられる。
遺伝子発現は、例えば、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)法(例えば、SYBR Green、EvaGreen、Molecular beconまたはTaqmanプローブを使用)、および/またはノーザンブロット法によって測定することができる。
細胞生存率アッセイでは、MTTアッセイなど、生細胞および死細胞の両方の数を定量する種々のバイオマーカー検出を用いる。MTTアッセイは、MTT(テトラゾールである3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)をホルマザンに還元して紫色を生じる酵素の活性測定するための、臨床検査であり、標準的な比色定量アッセイ(色の変化を測定するアッセイ)である。
別の態様は、本開示のステロイド産生改変細胞、例えば、ステロイド産生改変H295R細胞と好適なバッファーまたは担体とを含んでなる組成物を提供する。一実施形態において、改変細胞は凍結乾燥されている。別の実施形態では、改変細胞は冷凍され、場合により、好適なバッファーに再懸濁されている。別の実施形態では、改変細胞は培養中である。一実施形態では、好適なバッファーは細胞培養培地を含んでなる。
ii)EDCの作用機序を推定するためのシステム
本開示の一実施形態において、既知の物質の存在下での本開示の改変細胞系統におけるステロイド産生の特性が、「フィンガープリント」として用いられる。このようなフィンガープリントを収容するためのデータベースが構築される。化学物質により引き起こされるステロイド産生の特性が収集された後は、試験化合物に対して「最良の一致」(これは試験化合物の作用機序を示す可能性がある)となる特性をデータベースで検索するための戦略が適用される。
よって、本開示の別の態様は、未知の機構を持つ内分泌攪乱物質の作用機序を推定するシステムであって、
(i)内分泌攪乱物質のステロイド産生特性を受け取るコントロールモジュール(ここで、このステロイド産生特性は、内分泌攪乱物質をステロイド産生細胞、場合により、ステロイド産生改変細胞、好ましくは、ステロイド産生改変H295R細胞と接触させること、およびその細胞系統によって産生された少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子mRNA、タンパク質もしくは酵素活性のレベルを測定することによって得られる);
(ii)複数の参照内分泌攪乱物質のステロイド産生特性を含んでなるデータベース;
(iii)その内分泌攪乱物質のステロイド産生特性と複数の参照内分泌攪乱物質のステロイド産生特性を比較するため、およびその内分泌攪乱物質のステロイド産生特性と複数の参照内分泌攪乱物質のステロイド産生特性との最良の一致を同定するための分析モジュール
を含んでなるシステム(ここで、最良に一致した参照内分泌攪乱物質の作用機序がその内分泌攪乱物質の作用機序であると推定される)を提供する。
以下の限定されない例は本開示の例示である。
実施例1
E2の基底産生の測定の精度および精密性を高めるとともに、化学物質の阻害作用を検出するため、または化学物質間をより良く識別するためにより高い感度を可能とする方法が必要とされる。この目標を達成するために、2つのアプローチを考え、適用した。1つ目は、ELISAおよびLC/WS−MSのLOQを低減するためのものであった。両方法とも改良が達成されたが、この改良は十分でないと思われ、これらの手順はより多くの時間を浪費させるものであった。考えられたもう1つのアプローチは、培地に放出されるE2の産生を高めるためのものであった。
プロゲステロンおよび17α−ヒドロキシプロゲステロンは、鉱質コルチコイド、糖質コルチコイド、TおよびE2の共通の前駆体である(図1)。ステロイド21−ヒドロキシラーゼ(CYP21)は、プロゲステロンおよび17α−ヒドロキシプロゲステロンをそれぞれ11−デオキシコルチコステロン(鉱質コルチコイド経路)および11−デオキシコルチゾール(糖質コルチコイド経路)に変換することによる、鉱質コルチコイドおよび糖質コルチコイドの生合成に不可欠な酵素である(Sasano et al, 1988)。これらの前駆体は次に、アルドステロンシンセターゼ(CYP11B2)およびステロイド11b−ヒドロキシラーゼ(CYP11B1)によってそれぞれ生物学的に活性なホルモンであるアルドステロンおよびコルチゾールに変換される。CYP21遺伝子の遺伝的阻害は鉱質コルチコイドおよび糖質コルチコイドの生合成を低減し、網状帯経路のためにより多くの基質を蓄積し、これがH295R細胞による着目するステロイドホルモン、テストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、エストロンおよびE2のより多量の産生をもたらすはずであると仮定された。このような阻害はこれらのホルモンの測定の精度および精密性を改善し、H295R細胞をステロイドホルモンの産生および代謝に対する化学物質の阻害作用を決定するのにより高感度とするであろう。この仮説を検証するために、以下の実験を行った:1)H295R細胞においてsiRNAの使用によりCYP21A2遺伝子を遺伝的に阻害し、CYP21A2の発現がノックダウンされた安定なH295Rを開発する;2)新たなH295R/CYP21A2ノックダウン(H295R/CYP21A2−KD)細胞を特性決定する、3)ステロイドホルモン、特にE2の産生を、培地中のCYP21A2タンパク質の量およびステロイドホルモン濃度の双方を測定することによって、親H295R細胞の場合と比較する。これらの結果を、以下のいくつかの実施例に記載する。
細胞系統の作出法
構築物
shRNA構築物は、21塩基対のセンスおよびアンチセンスステムのヘアピンと6塩基対のループを含むように設計された。各ヘアピン配列をレンチウイルスベクターにクローニングし、配列を確認した。標的遺伝子の十分なカバレッジを確保するために一遺伝子につき複数の構築物を作出した。ルールに基づくshRNA設計は、効率的な遺伝子ノックダウンを可能とする。レンチウイルスベクターは、細胞におけるshRNA構築物の一貫した高い発現を可能とし、安定な選択を可能とするために抗生物質耐性マーカーを含む。ヒトCYP21A2 pLKO.1レンチウイルスshRNAベクターはThermo Scientific Open Biosystems社 (Huntsville, AL USA)に発注した。shRNA分子の配列はオンラインで入手可能である(http://www.openbiosystems.com)。siRNA(低分子干渉RNA)またはshRNA(短鎖ヘアピン)は最近開発の進んだ技術であり、下記のような多くの他の企業も類似の製品を提供している。
・Santa Cruz Biotechnology社(www.scbt.com)
・Ambion社(www.ambion.com)
・Invitrogen社(www.invitrogen.com)
・Signosis BioSignal Capture社(www.signosisinc.com)
細胞培養およびトランスフェクション
H295R細胞(ATCC社, Beltsville, MD)の培養および維持は従前に記載されているプロトコールに従った(Hecker et al. 2006; Hilscherova et al. 2004; Zhang et al. 2005)。要するに、H295R細胞を、37℃、5%CO雰囲気下、ハムの栄養混合物F−12(Sigma社, St. Louis, MO)を1ml/100ml ITS+プレミックス(BD Bioscience社, San Jose, CA)および2.5%BD Nu−Serum(BD Bioscience社, San Jose, CA)を添加したダルベッコ改変イーグル培地で培養した。トランスフェクションのために、細胞を6ウェルプレートに播種し、Arrest−Inトランスフェクション試薬(Thermo Scientific Open Biosystems社, Huntsville, AL USA)により、ヒトCYP21A2 pLKO.1レンチウイルス短鎖ヘアピンRNA(shRNA)(Thermo Scientific Open Biosystems社, Huntsville, AL USA)で5時間トランスフェクトした。培養2日後に、トランスフェクト細胞を、0.4μg/mLピューロマイシン(Sigma社, St. Louis, MO)を含有する培養培地を用い、長期選択期間(>3週間)選択した。生存細胞を増殖させ、種々のステロイドの産生を試験した。
1.ホルモン測定
ステロイドの機器検出のために、培養培地サンプルを酢酸エチル/ヘキサン(v/v、50/50)で抽出し、その後、LC−MS/MS分析を行った。抽出前にサンプルにサロゲート重水素化標品であるエストロン−d4、エストラジオール−d4、テストステロン−d5、アンドロステンジオン−d7、プロゲステロン−d9、17αOHプロゲステロン−d8、21αOHプロゲステロン−d8およびコルチゾール−d4を添加した。C−d4はCambridge社(Andover, MA, USA)から供給され、他の標識標品はC/D/N Isotope社(Pointe-Claire, Quebec, Canada)から供給されたものである。試験化学物質(例えば、試験物質)はSigma社から入手した。E1およびE2の場合には、移動相はアセトニトリルおよび水中0.1%ギ酸からなった。他の総てのホルモンの場合には、クロマトグラフィーは超純粋およびメタノールを用いて行った。サンプル抽出液を100mm×2.1mm Thermo Scientific Betasil C18カラム(孔径5μm)により分離した後、三連四重極タンデム質量分析計(Waters, USA)により分析した。データは総てAnalystソフトウエア、Ver.1.4.1(ABI-Sciex社製)を用いて取得および処理した。
テストステロンおよびエストロゲンのELISA測定は従前に記載されているように行った(Hecker et al. 2006)。要するに、ホルモンをジエチルエーテル(5ml)で2回抽出し、溶媒を窒素流下で蒸発させた。残渣をELISAアッセイバッファーに溶かし、生産者の推奨(Cayman Chemical Company社, Ann Arbor, Ml; テストステロン[カタログ番号582701]、17β−エストラジオール[カタログ番号582251])を用いて競合的ELISA法によって測定した。
2.統計分析
統計学的比較を行う前に、シャピロウィルク(Shapiro-Wilkes)検定およびを確率プロット用いてデータの正規性を検定した。必要に応じて、正規性に近づけるために値を対数変換した。2サンプルの比較をスチューデント(Student)のt検定を用いて行った。線形回帰モデルを用いて、2つの細胞系統の、化学物質曝露に応答したホルモン産生を比較した。Rプロジェクト言語(http://www.r-project.org/)を用いて統計学的分析を行った。p<0.05での差を統計学的に有意であると見なした。
ウエスタンブロット法
総タンパク質濃度を決定した後、細胞溶解液のアリコートを8%SDS−PAGEゲルにて電気泳動に付した後、従前に記載されているように(Zhang et al. 2009)、孔径0.45μmのニトロセルロース膜上に電気ブロットした。このニトロセルロース膜を脱脂乳中でブロッキングした後、ヤギ抗ヒトCYP21A2(C−17)抗体(Santa Cruz Biotechnology社, USA)とともにインキュベートした。ECL Plusキット(Amersham社製)を用い、セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼ(HRP)と結合させた抗ウサギIgGによって免疫ブロットを検出し、VersaDoc Imaging System 4000 (BioRad社, CA, USA)を用いて可視化した。
結果
安定なH295R/CYP21A2−KD細胞系統の確立
ステロイド産生改変H295R細胞系統であるH295R/CYP21A2−KDを、選択マーカーを有するヒトCYP21A2 pLKO.1レンチウイルスshRNAプラスミド構築物を用いることにより作出した。安定なトランスフェクトコロニーを、ピューロマイシンを用いて選択した後、さらに増殖させた。安定なH295R/CYP21A2−KDのピューロマイシン耐性は複数回の凍結−解凍サイクルの後にも保存されており、これにより、siRNAを有するプラスミドによる安定なトランスフェクションが確認された。CYP21A2のノックダウンは、ウエスタンブロット法によって確認した(図2)。CYP21A2タンパク質レベルは、安定なノックダウン細胞系統では親H295R細胞の48%であった。培養培地中の種々のステロイド濃度を機器で測定したところ、両細胞系統とも、48時間以内のインキュベーションでは同等のプロゲステロンレベルを生じることが示された。安定なH295R/CYP21A2−KD細胞系統は、非改変H295R細胞よりも約10倍高いTおよび15倍高いE1およびE2を産生した(表4)。
H295R細胞は、化学物質により誘導されるステロイド産生に対する影響を評価するためのin vitroアッセイにおいて最良のものの1つとして特定されており、E2の産生を増大させた化学物質を検出するのに極めて効果的であったが、E2の産生低下を検出するその能力は限定されていた。これは、最も効力の高いエストロゲンE2が、標準的な培養条件下のH295R細胞によって比較的低濃度(細胞培養培地中で約10〜50pg/ml)で検出されるということによるものであった。現行のELISAおよびLC/MS−MSによるE2のLOQはおよそ2〜10pg E2/mlであるので、E2の産生の低下を正確に測定するのは困難であった。また、LOQ付近に見られる大きなばらつきが、化学物質によるE2産生の阻害を検出するためのH295Rアッセイの感度をさらに低下させていた。従って、E2の基底産生の増大が、H295Rアッセイの感度ならびに精度および正確性を高めるのに有用であると思われた。
CYP21Aは、小胞体に局在し、ステロイドの21位をヒドロキシル化するタンパク質である。その活性はコルチゾールおよびアルドステロンを含むステロイドホルモンの合成に必要とされる。ヒトゲノムには2つのCYP21A遺伝子が存在し、それぞれCYP21A1PおよびCYP21A2である。ヒトCYP21A1は偽遺伝子であり、そのタンパク質コード能を喪失している。ヒトCYP21A2はシトクロムP450ファミリー21の酵素をコードし、この遺伝子の突然変異は、先天性副腎過形成を引き起こすが、これは、副腎ステロイド生合成の欠陥によって引き起こされる常染色体劣性疾患であり、糖質コルチコイドの減少とアンドロゲン産生の増加を招く(Merino et al., 2007)。安定なH295R/CYP21A2−KD細胞は、内在するステロイド産生経路の構造を変化させずに、またはモデルEDCに対する応答パターンを変化させずに、E2産生の低下を検出するためのH295R細胞の有用性を著しく改善する。よって、H295R細胞による基底E2産生の制限を克服する安定なH295R/CYP21A2−KD細胞は感度を向上させ、今では、E2産生の弱い阻害剤を検出することが可能である。新たに開発されたH295R/CYP21A2−KD細胞は、原H295R細胞よりも性能が良く、これらのノックダウン細胞をEDSPならびに他の国内および/または国際的なスクリーニングプログラムの一環として適用するのに好ましいものとする優れたスクリーニングツールである。
図2 安定なH295R/CYP21A2−KD細胞および非改変H295R細胞におけるヒトCYP21A2タンパク質発現のウエスタンブロット解析。同じプロットメンブランで検出した無関連のCYP11Aタンパク質を参照として用いた。示された値は平均+/−標準偏差である。
実施例2
ステロイド産生に重要な他の酵素の遺伝子ノックダウン
種々のホルモンの産生に対する遺伝子ノックダウンを検討するため、実施例1に記載の方法を用いて、表1に挙げられた、EDCを評価するのに役立ち、かつ、内分泌攪乱物質による酵素阻害をシミュレートするためのモデルとして役立ち得るノックダウン細胞系統を作出した。これらの細胞系統を作出するために用いたshRNA核酸を表2に挙げる。予測される細胞特性を表5に挙げる。CYP19A1 KDおよびCYP17A1 KDに関して細胞特性を確認した。CYP19A KDは、エストラジオールの代謝産物であるエストロン(E1)の産生が低いことが確認され、予測されるようにE1およびE2レベルが低減されていることが示唆された。CYP17A KDは、21aヒドロキシプロゲステロンの産生が増加し、17ヒドロキシプロゲステロン、アンドロステンジオン、テストステロンおよびエストロンの産生が低下していることが確認され、予測されたように増加したプロゲステロン産生および低下した性ステロイド産生が確認された。
これらの細胞系統を数学的・統計学的モデルに組み込んで環境化学物質の内分泌攪乱効力を評価した(Zhang, X., Newsted, J. L, Hecker, M., Higley, E. B., Jones, P. D., and Giesy, J. P. (2009). Classification of chemicals based on concentration-dependent toxicological data using ToxClust. Environ. Sci. Technol. 43(10), 3926-3932)。
実施例3
多重遺伝子ノックダウン
実施例1に記載したものと類似の方法を用いれば、多重遺伝子ノックダウンを有するステロイド産生改変H295R細胞を作出することができる。ノックダウンされる遺伝子には、例えば表1に挙げられている任意の2以上の遺伝子が含まれる。トランスフェクションのため、細胞を6ウェルプレートに播種し、複数のshRNA構築物を有する単一のベクターで5時間トランスフェクトする。培養2日後、トランスフェクションした細胞を、0.4μg/mLピューロマイシン(Sigma社, St. Louis, MO)を含有する培養培地を用い、長期選択期間(>3週間)選択する。生存細胞を増殖させ、種々のステロイドの産生を試験する。
一例として、H295R/CYP21A2&SULT1E1ノックダウン細胞は、CYP21A2とSULT1E1のタンパク質発現をノックダウンすることをねらいとする。SULT1E1は、エストロゲンの硫酸抱合を触媒するスルホトランスフェラーゼ酵素である。CYP21A2とSULT1E1の両者の同時ノックダウンは、基底性ステロイド産生をさらに上昇させ、それにより、内分泌攪乱物質の検出におけるステロイド産生アッセイの感度を高めることができる。
実施例4
ステロイド産生改変H295R細胞を用いたステロイド産生アッセイ
H295Rヒト副腎皮質癌細胞系統は、ステロイドホルモンの合成および変換に関与する総ての遺伝子を同時に発現することから、副腎に対する化学物の影響および全般的なステロイド産生プロセスを調べるためのin vitroアッセイに有用であると提案されていた。H295Rステロイド産生アッセイは、USEPAによって開発された階層的スクリーニングアプローチにおける使用がすでに認可されている。これは、EPA内分泌攪乱物質スクリーニングプログラム(EDSP)の現第I階層試験において化学物質の内分泌攪乱作用に関して化学物質を試験するために認可されたものであり、現在、国際標準アッセイとして、OECDによる検証の最終段階にある。現行のアッセイのエンドポイントは、テストステロンおよび17β−エストラジオールの2つの性ホルモンの産生であるが、ステロイド産生遺伝子のmRNA発現に対する作用もエンドポイントとして用いられていた。しかしながら、17β−エストラジオール(E2)は比較的低濃度(細胞培養培地中で約10〜50pg/ml)で産生され、自動ELISA法による測定が困難である。従って、鉱質コルチコイドおよび糖質コルチコイドを合成するために性ホルモンであるプレグネノロンおよびプロゲステロンの同じ前駆体を使用できるCYP21A2の発現を遺伝的に低減することによってテストステロン、エストロンおよびE2の内因性産生が増強されたH295R細胞のノックダウン型。得られた安定なH295R CYP21A2ノックダウン(H295R/CYP21A2−KD)細胞系統は、この培養培地において、親H295R細胞の10倍を超える高い濃度のステロイドホルモンであるテストステロン、エストロンおよび17βエストラジオールを生じるが、プロゲステロンは親H295R細胞と同レベルである。さらに、安定なH295R/CYP21A2−KD細胞は、誘導剤(フォルスコリン)および阻害剤(プロクロラズ)に対して非改変H295R細胞と同じ応答を示した。さらに、他のステロイド産生経路酵素の低減された発現を含んでなる他の安定なステロイド産生改変H295R細胞系統も構築された。従って、安定なステロイド産生改変H295R細胞は、非改変H295R細胞に比べて精度および精密性の双方を高めることによって、ユニークな、有意に改善されたスクリーニングアッセイを提供する。
モデル化学物質、例えば、フォルスコリンおよびプロクロラズ
化学物質曝露
細胞を、24ウェル細胞培養プレート(COSTAR社, Bucks, UK)中でモデル化学物質に曝した。1mlの細胞懸濁液を各ウェルに加え、細胞を24〜48時間培養した。細胞をジメチルスルホキシド(DMSO;Sigma-Aldrich社, St. Louis, MO)に溶かした化学物質に曝した。フォルスコリン(FOR)はSigma Chemical社(St. Louis, MO, USA)から入手し、プロクロラズ(PRO)はAldrich社(St. Louis, MO, USA)から購入した。48時間後に各ウェルから培養培地を採取し、測定するまで−80℃で保存した。
結果
化学物質曝露
非改変H295R細胞および安定なH295R/CYP21A2−KD細胞を数種類の濃度のフォルスコリンおよびプロクロラズに48時間曝し、培養培地において種々のステロイドの濃度を測定した。H295R/CYP21A2−KD細胞は、化学物質曝露に対して非改変H295R細胞と同等の倍率の変動応答を示した(図3)。0.1μΜ〜10μΜのプロクロラズに曝すと、H295R細胞およびH295R/CYP21A2−KD細胞の双方で用量依存的にプロゲステロン産生濃度が高まった。両細胞種において、T、E1およびE2の産生はプロクロラズによって阻害された。これら2つの細胞種では、フォルスコリンによってT、E1およびE2濃度においてもまた、匹敵する上昇が見られた。線形回帰モデルを用いたさらなる解析によれば、安定なH295R/CYP21A2−KD細胞系統において測定された4つのステロイド総ての濃度が、非改変H295R細胞での濃度と有意に相関していることが示唆された(図4)。
考察
物質が内分泌系の機能を変化させ、ヒトの健康に悪影響をもたらし得るという懸念の浮上を受けて、多くの国および国際機関が潜在的内分泌攪乱物質(ECD)を試験および評価するための戦略を打ち出した。USEPAは、化学物質がヒトおよび野生生物の内分泌系および関連の機能と相互作用する可能性を決定するためのin vitroおよびin vivoアッセイの開発と検証を行ってきた。EPAは評価プロセスにおいて2階層のアプローチを推奨している。アッセイの第1階層スクリーニングバッテリーはEPAの内分泌攪乱物質スクリーニングおよび試験諮問委員会(EDSTAC)の推奨に基づき、エストロゲン、アンドロゲンおよび甲状腺ホルモン系に影響を及ぼす化学物質を特定することをねらいとする。第2階層試験は、これらのエストロゲン、アンドロゲンおよび甲状腺活性化学物質に関する影響を確認、特性決定および定量することを意図する。第1階層スクリーニングバッテリーには、H295Rヒト副腎皮質癌細胞系統を用いるH295Rステロイド産生アッセイが含まれる。さらに、このH295Rステロイド産生アッセイは現在、経済協力開発機構(OECD)の試験法検証プログラムの最終検証段階にあり、最終的に、化学物質がステロイドホルモン合成に影響を及ぼす可能性を評価するためのOECD試験ガイドラインの制定に至るであろう。
実施例5
他の2つのノックダウン細胞系統CYP17A−KDおよびCYP19A−KDのステロイド産生レベルを試験した(図5参照)。CYP17Aは、プロゲステロンを17aヒドロキシプロゲステロンに変換する酵素であり、17aヒドロキシプロゲステロンからアンドロステンジオンへの変換も触媒する。図5に示されるように、H295RにおけるCYP17Aのノックダウンは、17aヒドロキシプロゲステロン産生とアンドロステンジオン産生の双方が対照に比べて有意に低下するという好都合の結果をもたらした。他方、21aヒドロキシプロゲステロンの産生は有意に増強された。CYP19A−KD h295R細胞では、エストロンのレベルは、対照細胞系統に比べて有意に低かった。
これらのKD細胞系統の双方において、好都合の特性が達成された。ステロイド産生特性は、化学物質を試験し、化学物質に誘導されるステロイド産生経路に対する影響を推定するのに大きな価値を持つ。
実施例6
他の2つの異なるステロイド産生細胞系統JEG−3およびR2Cにおけるステロイドの基底産生については最近、決定された。JEG−3およびR2C細胞は、H295R細胞に比べて高いレベルのエストラジオール(E2)を分泌する(表6参照)。R2C細胞はまた、高いレベルの17aヒドロキシプロゲステロンも分泌する。これらの細胞系統はまた、1以上のステロイド産生遺伝子の発現をノックダウンするために、本明細書に記載される方法に従ってさらに改変することができる。改変または非改変R2Cおよび/またはJEG−3細胞は、例えば、本明細書に記載される方法において改変H295R細胞の代わりに使用することができる。
実施例7
H295、H295Rまたはステロイド産生改変H295R細胞を用いたステロイドの細胞取り込みおよび代謝を検出する方法
化学物質により誘導される、E2の細胞取り込みおよび代謝に対する影響は放射性標識エストラジオールを用いて評価される(Lancon et al. 2004の改変)。48時間曝露の後、ステロイド産生改変H295R細胞を2回洗浄した後、1nM 6,7[H]−E2(Perkin Elmer社, Boston, MA)および直接曝露の場合には化学物質を含有する添加培地0.25mlとともにインキュベートする。DMSOを担体溶媒として用いるが、0.1%v/vを超えないようにする。37℃、5%COで30分インキュベートした後、細胞を氷上に置いて反応を停止させる。抽出のために、細胞培養培地を500μLのDCMに200μLの培地を加えことによって回収する。ボルテックスにかけた後、100μLの上清(培地)を、上記のようにシンチレーション測定のために回収する。E2代謝活性を、水溶性E2代謝産物の形成率によって求める。培地を除去した直後に、プレート内に残った細胞を氷冷PBSバッファーで2回洗浄する。0.1M NaOH、0.1%SDSおよび0.1%NaCOを含有する250μLの溶解バッファーを各ウェルに加え、室温で約15分間、細胞を溶解させる。エストラジオールの細胞組み込みを、細胞ホモジネートの放射能によって評価する。
実施例8
ステロイド産生改変H295Rステロイド産生アッセイ
ステロイド産生改変H295Rステロイド産生アッセイの目的は、例えば、アンドロゲンまたはエストロゲンなどのステロイドホルモンの産生に影響を及ぼす物質を検出することである。このアッセイは、ステロイド産生経路の酵素を阻害する物質およびホルモン合成を担う酵素を誘導する物質を検出することができる。
このアッセイは、24ウェル培養プレートにて、標準的な細胞培養条件下で実施される。細胞を約24時間馴化させ、6種類の濃度の試験物質に48時間曝し、3回繰り返した。陰性対照および陽性対照として溶媒および既知のホルモン産生阻害剤および誘導剤を一定濃度で実施する。曝露期間の終了時に、各ウェルから培地を取り出す。培地を取り出した後に各ウェルの細胞生存率または細胞傷害性を分析する。培地中のホルモン濃度は、ELISAもしくはRIAなどの生物分析的なイムノアッセイ、および/または液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)などの機器的技術を含む様々な方法を用いて測定することができる。データは溶媒対照に対する変化倍率および最小影響濃度(LOEC)として表される。このアッセイが陰性であれば、試験した最高濃度が無影響濃度(NOEC)として報告される。化学物質の、ステロイド産生に影響を及ぼす能力に関する結果は3回の独立した試験実施に基づくべきである。溶解度もしくは細胞傷害性の問題が見られる場合、または化学物質の活性が試験濃度範囲の終端にあると思われる場合には、1回目の試験は、次に2回目および3回目の濃度を調節して行えるよう、範囲調節をする実施として働き得る。
ステロイド産生改変H295R細胞を24ウェルプレートに播種し、37℃でインキュベートして、細胞をウェルに接着させる。24時間後に、培地を新鮮培地に置き換える。DMSO中の保存溶液1マイクロリットル/培地mLを加えることによって、細胞を試験物質に曝す。溶媒対照としては、1マイクロリットルのDMSO/培地mLを入れる。このプレートを37℃で48時間インキュベートする。
培地を取り出し、場合によりアリコートに分け、場合により冷凍する。
各曝露プレートに関して細胞生存率を求める。
ELISA、RIAまたはLC−MSなどの種々のホルモン検出系の1つを用いてホルモンを分析する。
標準曲線を作成する。
最終ホルモン濃度を例えば以下のように算出する。
例:
抽出: 450マイクロリットル
再構成: 250mLアッセイバッファー
アッセイにおける希釈率: 1:10(サンプルを標準曲線の直線範囲に入るようにする)
アッセイにおけるホルモン濃度: 150pg(すでに終濃度/mlに調整)
回収率: 89%
最終ホルモン濃度=(ホルモン濃度(mLあたり)/回収率)(希釈率)
最終ホルモン濃度=(150pg×(250マイクロリットル/450マイクロリットル)×10/0.89=936.33pg/mL
ホルモン産生における相対的増加/低減を評価するためには、結果を各試験プレートの平均溶媒(SC)値に対して標準化すべきであり、結果を各試験プレートにおけるSCに対する相対的変化として表す。
各ウェルの平均応答は、生細胞数のばらつきにより生じ得る差を標準化するために、同じウェルで測定された相対的細胞生存率で割るべきである。データが正規分布しているか、正規分布に近ければ、試験物質処理と溶媒対照間の差を、パラメトリック検定(ダネット検定など)を用いて分析すべきである。データが正規分布していなければ、適当なノンパラメトリック検定を用いるべきである(例えば、クラスカル・ウォリス、スティールのメニーワンランク検定)。相対的変化は、相対的変化=(ウェル中の濃度/同じプレートのSCの平均濃度)として算出すべきである。
試験物質は、その誘導倍率が、濃度応答曲線の増加部分または減少部分内に入る用量で、溶媒対照と統計学的に異なる場合に陽性である。誘導倍率における統計学的に有意な増加は、その試験物質がステロイド合成経路の1以上の酵素の誘導剤であることを示し、誘導倍率における統計学的に有意な低下は、その試験物質がステロイド産生経路の1以上の酵素の阻害剤であることを示す。
本開示を、現在のところ好ましいと考えられることに関して記載してきたが、本開示は開示されている例に限定されないと理解されるべきである。逆に、本開示は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる種々の改変および等価な構成を包含することを意図する。
総ての刊行物、特許および特許出願は、個々の各刊行物、特許または特許出願が引用することによりその全内容が組み込まれることが具体的かつ個々に示された場合と同程度に、引用することによりその全内容が組み込まれる。
参考文献

Claims (71)

  1. プロモーターに作動可能に連結されたステロイド生合成ノックダウン核酸を含んでなる単離されたステロイド産生改変細胞(ここで、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、CYP3A4およびUTG1A1の群から選択される遺伝子の発現を低減し、その細胞が1以上の前記遺伝子の低減された発現を含んでなる)。
  2. ノックダウン核酸が、siRNA核酸、shRNA核酸またはアンチセンス核酸を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  3. 1以上の遺伝子が、CYP21A2を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  4. 1以上の遺伝子が、CYP21A2である、請求項3に記載の細胞。
  5. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号1)
    を含んでなる、請求項3または4に記載の細胞。
  6. 1以上の遺伝子が、CYP11A1を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  7. 1以上の遺伝子が、CYP11A1である、請求項6に記載の細胞。
  8. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号2)
    を含んでなる、請求項6または7に記載の細胞。
  9. 1以上の遺伝子が、CYP17A1を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  10. 1以上の遺伝子が、CYP17A1である、請求項9に記載の細胞。
  11. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号3)
    を含んでなる、請求項9または10に記載の細胞。
  12. 1以上の遺伝子が、CYP19A1を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  13. 1以上の遺伝子が、CYP19A1である、請求項12に記載の細胞。
  14. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号4)
    を含んでなる、請求項12または1に記載の細胞。
  15. 1以上の遺伝子が、3−βHSD1を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  16. 1以上の遺伝子が、3−βHSD1である、請求項15に記載の細胞。
  17. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号5)
    を含んでなる、請求項15または16に記載の細胞。
  18. 1以上の遺伝子が、3−βHSD2を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  19. 1以上の遺伝子が、3−βHSD2である、請求項18に記載の細胞。
  20. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号6)
    を含んでなる、請求項18または19に記載の細胞。
  21. 1以上の遺伝子が、17−βHSD1を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  22. 1以上の遺伝子が、17−βHSD1である、請求項21に記載の細胞。
  23. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号7)
    を含んでなる、請求項21または22に記載の細胞。
  24. 1以上の遺伝子が、StARを含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  25. 1以上の遺伝子が、StARである、請求項24に記載の細胞。
  26. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号8)
    を含んでなる、請求項24または25に記載の細胞。
  27. 1以上の遺伝子が、HMGRを含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  28. 1以上の遺伝子が、HMGRである、請求項27に記載の細胞。
  29. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号9)
    を含んでなる、請求項27または28に記載の細胞。
  30. 1以上の遺伝子が、CYP11B2を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  31. 1以上の遺伝子が、CYP11B2である、請求項30に記載の細胞。
  32. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号10)
    を含んでなる、請求項30または31に記載の細胞。
  33. 1以上の遺伝子が、CYP11B1を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  34. 1以上の遺伝子が、CYP11B1である、請求項33に記載の細胞。
  35. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号11)
    を含んでなる、請求項33または34に記載の細胞。
  36. 1以上の遺伝子が、5α−レダクターゼ2を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  37. 1以上の遺伝子が、5α−レダクターゼ2である、請求項36に記載の細胞。
  38. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号12)
    を含んでなる、請求項36または37に記載の細胞。
  39. 1以上の遺伝子が、SULT1E1を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  40. 1以上の遺伝子が、SULT1E1である、請求項39に記載の細胞。
  41. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号13)
    を含んでなる、請求項39または40に記載の細胞。
  42. 1以上の遺伝子が、CYP3A4を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  43. 1以上の遺伝子が、CYP3A4である、請求項42に記載の細胞。
  44. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号14)
    を含んでなる、請求項42または43に記載の細胞。
  45. 1以上の遺伝子が、UGT1A1を含んでなる、請求項1に記載の細胞。
  46. 1以上の遺伝子が、UGT1A1である、請求項45に記載の細胞。
  47. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、
    (配列番号15)
    を含んでなる、請求項45または46に記載の細胞。
  48. 単離されたステロイド産生改変細胞が、単離されたステロイド産生H295R改変細胞である、請求項1〜47のいずれか一項に記載の細胞。
  49. 単離されたステロイド産生改変細胞が、単離されたステロイド産生H295、JEG−3またはR2C改変細胞である、請求項1〜47のいずれか一項に記載の細胞。
  50. 1以上の遺伝子の発現が、対照に比べて少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%または少なくとも90%未満である、請求項1〜49のいずれか一項に記載の細胞。
  51. 対照に比べて高レベルの少なくとも1つのステロイドを産生する、請求項1〜50のいずれか一項に記載の細胞。
  52. 細胞が、高レベルのアンドロステンジオン(AD)、テストステロン(T)、ジヒドロテストステロン(DHT)、エストロン(E1)および/または17βエストラジオール(E2)を産生する、請求項51に記載の細胞。
  53. 細胞が、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、またはそれを超える少なくとも1つのステロイドを産生する、請求項51または52に記載の細胞。
  54. 細胞が、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも125倍、少なくとも150倍、少なくとも175倍、少なくとも200倍またはそれを超える少なくとも1つのステロイドを産生する、請求項51または52に記載の細胞。
  55. 少なくとも10pg/ml、少なくとも20pg/ml、少なくとも30pg/ml、少なくとも40pg/ml、少なくとも50pg/ml、少なくとも60pg/ml、少なくとも70pg/ml、少なくとも80pg/ml、少なくとも90pg/ml、少なくとも100pg/ml、少なくとも125pg/ml、少なくとも150pg/ml、少なくとも175pg/ml、少なくとも200pg/ml、少なくとも250pg/ml、少なくとも300pg/ml、少なくとも350pg/ml、少なくとも400pg/ml、少なくとも500pg/ml、少なくとも600pg/ml、少なくとも800pg/mlまたは少なくとも1,000pg/mlの17β−エストラジオール、48時間当たり少なくとも1ag(アトグラム)/細胞、48時間当たり少なくとも3ag/細胞、48時間当たり少なくとも10ag/細胞、48時間当たり少なくとも20ag/細胞、48時間当たり少なくとも30ag/細胞または48時間当たり少なくとも100ag/細胞のE2、少なくとも1fg(フェムトグラム)/細胞/48時間、少なくとも3fg/細胞/48時間、少なくとも5fg/細胞/48時間、少なくとも10fg/細胞/48時間、少なくとも20fg/細胞/48時間、少なくとも30fg/細胞/48時間、少なくとも40fg/細胞/48時間または少なくとも200fg/細胞/48時間のテストステロン、約10fg/細胞/48時間および約500fg/細胞/48時間のアンドロステンジオン、または約1fg/細胞/48時間および約100fg/細胞/48時間のエストロンを産生する、請求項52に記載の細胞。
  56. 改変細胞が、プロモーターに作動可能に連結された抗生物質耐性遺伝子核酸をさらに含んでなる、請求項1〜55のいずれか一項に記載の細胞。
  57. 細胞が、抗生物質ピューロマイシン耐性である、請求項55に記載の細胞。
  58. プロモーターに作動可能に連結されたCYP21A2ノックダウン核酸を含んでなる、請求項1に記載の単離されたステロイド産生改変H295R細胞(ここで、CYP21A2ノックダウン核酸は、CYP21A2の発現を低減する)。
  59. ステロイド生合成ノックダウン剤を含んでなる、請求項1に記載の単離されたステロイド産生改変H295R細胞(ここで、ステロイド生合成ノックダウン剤は、CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2、SULT1E1、CYP3A4およびUTG1A1から選択される1以上の遺伝子の発現を低減する)。
  60. プロモーターに作動可能に連結されたステロイド生合成ノックダウン核酸をステロイド産生細胞、場合によりH295R細胞に導入することと、細胞(細胞中で、ステロイド生合成ノックダウン核酸は、CYP21A2、CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、3−βHSD1、3−βHSD2、17−βHSD1、StAR、HMGR、CYP11B2、CYP11B1、5α−レダクターゼ2およびSULT1E1の群から選択される1以上の遺伝子の発現を低減する)を選択することとを含んでなる、請求項1〜59のいずれか一項に記載の細胞を作出する方法。
  61. ステロイド生合成ノックダウン核酸が、siRNA核酸、shRNA核酸またはアンチセンス核酸を含んでなる、請求項60に記載の方法。
  62. プロモーターに作動可能に連結されたステロイド生合成ノックダウン核酸が、レンチウイルスプラスミド構築物に含まれる、請求項61に記載の方法。
  63. プロモーターに作動可能に連結された選択マーカー核酸がさらに導入される、請求項60〜62のいずれか一項に記載の方法(ここで、選択マーカー核酸は抗生物質耐性遺伝子をコードしていてもよく、細胞は抗生物質選択によって選択してもよい)。
  64. 細胞が、既知の選択技術を用いてピューロマイシンによって選択される、請求項63に記載の方法。
  65. 内分泌攪乱物質を同定するためのスクリーニングアッセイであって、
    a)請求項1〜59のいずれか一項に記載の細胞を試験物質と接触させること、
    b)少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子mRNAまたは酵素活性のレベルを測定すること
    を含んでなる、スクリーニングアッセイ(ここで、対照と比べたその少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子mRNAまたは酵素活性のレベルの変動が、その試験物質が内分泌攪乱物質であることを示す)。
  66. 少なくとも1つのステロイドが、アンドロステンジオン(A)、テストステロン(T)、ジヒドロテストステロン(DHT)、エストロン(E1)および/または17βエストラジオール(E2)から選択される、請求項65に記載の方法。
  67. 試験物質が、工業用化学物質、医薬品、除草剤、殺真菌剤、ポリカーボネートプラスチックモノマー、農業用化学物質、抗がん剤、性交後避妊薬、合成物質、薬物、治療薬、ポリビニル添加物、有機リン系殺虫剤、ペプチドホルモン、賦形剤、医薬補助剤(pharmaceutical aid)、殺精子剤、食品、化粧品、トイレタリーおよび医薬品の保存剤、ならびに農薬共力剤から選択される、請求項65または66に記載の方法。
  68. 少なくとも1つのステロイドのレベルがLC−MS、ELISA(自動ELISAでもよい)、または免疫ブロット法によって検出される、請求項65〜67のいずれか一項に記載の方法。
  69. 少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子発現産物若しくは酵素活性のレベルの変動が、対照の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも90%の多少である、請求項65〜68のいずれか一項に記載の方法。
  70. 請求項1〜59のいずれか一項に記載の細胞と、少なくとも1つのステロイドのレベルを測定するための構成要素とを含んでなる、内分泌攪乱物質のスクリーニングのためのキット。
  71. 未知の機構を持つ内分泌攪乱物質の作用機序を推定するシステムであって、
    (i)内分泌攪乱物質のステロイド産生特性を受け取るコントロールモジュール(ここで、このステロイド産生特性は、内分泌攪乱物質を請求項1〜52のいずれか一項に記載のステロイド産生改変細胞と接触させること、およびその細胞系統によって産生された少なくとも1つのステロイドまたはステロイド産生遺伝子mRNA若しくは酵素活性のレベルを測定することによって得られる);
    (ii)複数の参照内分泌攪乱物質のステロイド産生特性を含んでなるデータベース;
    (iii)
    a.その内分泌攪乱物質のステロイド産生特性と複数の参照内分泌攪乱物質のステロイド産生特性を比較するため;および
    b.その内分泌攪乱物質のステロイド産生特性と複数の参照内分泌攪乱物質のステロイド産生特性との最良の一致を同定するため
    の分析モジュールを含んでなる、システム(ここで、最良に一致した参照内分泌攪乱物質の作用機序がその内分泌攪乱物質の作用機序であると推定される)。
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