JP2013242498A - 音声信号変換装置、方法、プログラム、及び記録媒体 - Google Patents

音声信号変換装置、方法、プログラム、及び記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】マルチチャネル方式用の音声信号を、不連続点に起因するノイズを発生させることなく変換可能な音声信号変換装置を提供する。
【解決手段】音声信号変換装置(音声信号処理部73で例示)は、2つのチャネルの入力音声信号のそれぞれについて、処理セグメントの長さの1/4ずつずらしながら読み出し、読み出した処理セグメントの音声信号に対し、Hann窓関数を乗算した後、離散フーリエ変換を施す変換部と、離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について直流成分を無視して相関信号を抽出する抽出部と、抽出部で抽出された相関信号またはそれから生成された音声信号に対して離散フーリエ逆変換を施す逆変換部と、離散フーリエ逆変換後の音声信号のうち処理セグメントの音声信号に対し、再びHann窓関数を乗算し、処理セグメントの長さの1/4だけずらして、前の処理セグメントの音声信号に加算する窓関数乗算部83とを備える。
【選択図】図8

Description

本発明は、マルチチャネル再生方式用の音声信号を変換するための音声信号変換装置、方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
従来から提案されている音響再生方式には、ステレオ(2ch)方式、5.1chサラウンド方式(ITU−R BS.775−1)などがあり広く民生用として普及している。2ch方式とは、図1で模式的に図示したように、左スピーカ11Lと右スピーカ11Rから異なる音声データを発生させる方式である。5.1chサラウンド方式とは、図2で模式的に図示したように、左フロントスピーカ21L、右フロントスピーカ21R、それらの間に配置するセンタースピーカ22C、左リアスピーカ23L、右リアスピーカ23R、及び図示しない低音域(一般的に20Hz〜100Hz)専用のサブウーファーに対し、それぞれ異なる音声データを入力して出力する方式である。
また、2ch方式や5.1chサラウンド方式の他にも、7.1ch、9.1ch、22.2chなどさまざまな音響再生方式が提案されている。上述した方式はいずれも、聴取者(受聴者)を中心とする円周上または球面上に各スピーカを配置し、理想的には各スピーカから等距離にある聴取位置(受聴位置)、いわゆるスイートスポットで聴くことが好ましいとされている。例えば2ch方式ではスイートスポット12で、5.1chサラウンド方式ではスイートスポット24で聴くことが好ましい。スイートスポットで聴くと、音圧のバランスによる合成音像が製作者の意図するところに定位する。逆に、スイートスポット以外の位置で聴くと、一般的に、音像・音質が劣化する。以下、これらの方式を総称してマルチチャネル再生方式と呼ぶ。
一方、マルチチャネル再生方式とは別に、音源オブジェクト指向再生方式もある。この方式は、全ての音が、いずれかの音源オブジェクトが発する音であるとする方式であり、各音源オブジェクト(以下、「仮想音源」と呼ぶ。)が自身の位置情報と音声信号とを含んでいる。音楽コンテンツを例にとると、各仮想音源は、それぞれの楽器の音と楽器が配置されている位置情報とを含む。
そして、音源オブジェクト指向再生方式は、通常、直線状あるいは面状に並べたスピーカ群によって音の波面を合成する再生方式(すなわち波面合成再生方式)により再生される。このような波面合成再生方式のうち、非特許文献1に記載のWave Field Synthesis(WFS)方式は、直線状に並べたスピーカ群(以下、スピーカアレイという)を用いる現実的な実装方法の1つとして近年盛んに研究されている。
このような波面合成再生方式は、上述のマルチチャネル再生方式とは異なり、図3で模式的に図示したように、並べられたスピーカ群31の前のどの位置で聴いている受聴者に対しても、良好な音像と音質を両方同時に提示することができるという特長を持つ。つまり、波面合成再生方式でのスイートスポット32は図示するように幅広くなっている。
また、WFS方式によって提供される音響空間内においてスピーカアレイと対面して音を聴いている受聴者は、実際にはスピーカアレイから放射される音が、スピーカアレイの後方に仮想的に存在する音源(仮想音源)から放射されているかのような感覚を受ける。
この波面合成再生方式では、仮想音源を表す入力信号を必要とする。そして、一般的に、1つの仮想音源には1チャネル分の音声信号とその仮想音源の位置情報が含まれることを必要とする。上述の音楽コンテンツを例にとると、例えば楽器毎に録音された音声信号とその楽器の位置情報ということになる。ただし、仮想音源それぞれの音声信号は必ずしも楽器毎である必要はないが、コンテンツ製作者が意図するそれぞれの音の到来方向と大きさが、仮想音源という概念を用いて表現されている必要がある。
ここで、前述のマルチチャネル方式の中でも最も広く普及している方式はステレオ(2ch)方式であるため、ステレオ方式の音楽コンテンツについて考察する。図4に示すように2つのスピーカ41L,41Rを用いて、ステレオ方式の音楽コンテンツにおけるL(左)チャネルとR(右)チャネルの音声信号を、それぞれ左に設置したスピーカ41L、右に設置したスピーカ41Rで再生する。このような再生を行うと、図4に示すように、各スピーカ41L,41Rから等距離の地点、すなわちスイートスポット43で聴く場合にのみ、ボーカルの声とベースの音が真ん中の位置42bから聞こえ、ピアノの音が左側の位置42a、ドラムの音が右側の位置42cなど、製作者が意図したように音像が定位して聞こえる。
このようなコンテンツを波面合成再生方式で再生し、波面合成再生方式の特長である、どの位置の受聴者に対してもコンテンツ製作者の意図通りの音像定位を提供することを考える。そのためには、図5で示すスイートスポット53のように、どの視聴位置からでも図4のスイートスポット43内で聴いたときの音像が知覚できなければならない。つまり、直線状あるいは面状に並べられたスピーカ群51によって、広いスイートスポット53で、ボーカルの声とベースの音が真ん中の位置52bから聞こえ、ピアノの音が左側の位置52a、ドラムの音が右側の位置52cなど、製作者が意図したように音像が定位して聞こえなければならない。
その課題に対し、例えば、図6のようにLチャネルの音、Rチャネルの音をそれぞれ仮想音源62a,62bとして配置した場合を考える。この場合、L/Rチャネルそれぞれが単体で1つの音源を表すのではなく2つのチャネルによって合成音像を生成するものであるから、それを波面合成再生方式で再生したとしても、やはりスイートスポット63が生成されてしまい、スイートスポット63の位置でしか、図4のような音像定位はしない。つまり、そのような音像定位を実現するには、2chのステレオデータから、何らかの手段によって音像毎の音声に分離し、各音声から仮想音源データを生成することが必要となる。
この課題に対し、特許文献1に記載の方法では、2chステレオデータを周波数帯域毎に信号のパワーの相関係数を基に相関信号と無相関信号とに分離し、相関信号については合成音像方向を推定し、それらの結果から仮想音源を生成し、その際に生じる波形の不連続点を除去する処理を行っている。
特許第4810621号公報
A. J. Berkhout,D. de Vries,and P. Vogel,"Acoustic control by wave field synthesis",J. Acoust. Soc. Am. Volume 93(5),アメリカ合衆国、Acoustical Society of America,May 1993,pp. 2764-2778
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、人間の音声以外の信号に対しても、ゼロ交差回数を数えることによって子音部分であるか否かの判定処理を行い、子音部分以外に対して波形が連続するようにバイアス値を加えている。ここで、楽音信号などは、子音部分のようにホワイトノイズに近いような成分と、それ以外の成分が混ざり合っているのが普通である。また、喩え人間の音声であっても、濁音など、子音と母音の間のような特性を持つ部分も沢山ある。この方法では、そのような音声信号を、ゼロ交差回数だけで、バイアス値を加算するか否かの判定を行うため、当然、誤判定が生じ、その部分については生成した音声信号波形に不連続点が含まれ、ノイズとして知覚されてしまう。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、2chや5.1ch等のマルチチャネル方式用の音声信号を、不連続点に起因するノイズを発生させることなく変換することが可能な音声信号変換装置、方法、プログラム、及び記録媒体を提供することにある。
上述したような課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、マルチチャネルの入力音声信号を、スピーカ群によって再生させるための音声信号に変換する音声信号変換装置であって、2つのチャネルの入力音声信号のそれぞれについて、処理セグメントの長さの1/4ずつずらしながら読み出し、読み出した処理セグメントの音声信号に対し、Hann窓関数を乗算した後、離散フーリエ変換を施す変換部と、該変換部で離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出する相関信号抽出部と、該相関信号抽出部で抽出された相関信号または該相関信号及び無相関信号に対して、もしくは前記相関信号から生成された音声信号に対して、もしくは前記相関信号及び前記無相関信号から生成された音声信号に対して、離散フーリエ逆変換を施す逆変換部と、該逆変換部で離散フーリエ逆変換後の音声信号のうち処理セグメントの音声信号に対し、再びHann窓関数を乗算し、処理セグメントの長さの1/4だけずらして、前の処理セグメントの音声信号に加算する窓関数乗算部と、を備えたことを特徴としたものである。
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記窓関数乗算部で処理対象となる前記離散フーリエ逆変換後の音声信号は、前記相関信号または前記相関信号及び前記無相関信号に対して、時間領域あるいは周波数領域においてスケーリング処理が施された後の音声信号とすることを特徴としたものである。
第3の技術手段は、マルチチャネルの入力音声信号を、スピーカ群によって再生させるための音声信号に変換する音声信号変換方法であって、変換部が、2つのチャネルの入力音声信号のそれぞれについて、処理セグメントの長さの1/4ずつずらしながら読み出し、読み出した処理セグメントの音声信号に対し、Hann窓関数を乗算した後、離散フーリエ変換を施す変換ステップと、相関信号抽出部が、前記変換ステップで離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出する抽出ステップと、逆変換部が、前記抽出ステップで抽出された相関信号または該相関信号及び無相関信号に対して、もしくは前記相関信号から生成された音声信号に対して、もしくは前記相関信号及び前記無相関信号から生成された音声信号に対して、離散フーリエ逆変換を施す逆変換ステップと、窓関数乗算部が、前記逆変換ステップで離散フーリエ逆変換後の音声信号のうち処理セグメントの音声信号に対し、再びHann窓関数を乗算し、処理セグメントの長さの1/4だけずらして、前の処理セグメントの音声信号に加算する窓関数乗算ステップと、を有することを特徴としたものである。
第4の技術手段は、コンピュータに、2つのチャネルの入力音声信号のそれぞれについて、処理セグメントの長さの1/4ずつずらしながら読み出し、読み出した処理セグメントの音声信号に対し、Hann窓関数を乗算した後、離散フーリエ変換を施す変換ステップと、該変換ステップで離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出する抽出ステップと、該抽出ステップで抽出された相関信号または該相関信号及び無相関信号に対して、もしくは前記相関信号から生成された音声信号に対して、もしくは前記相関信号及び前記無相関信号から生成された音声信号に対して、離散フーリエ逆変換を施す逆変換ステップと、該逆変換ステップで離散フーリエ逆変換後の音声信号のうち処理セグメントの音声信号に対し、再びHann窓関数を乗算し、処理セグメントの長さの1/4だけずらして、前の処理セグメントの音声信号に加算する窓関数乗算ステップと、を実行させるためのプログラムである。
第5の技術手段は、第4の技術手段におけるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
本発明によれば、2chや5.1ch等のマルチチャネル方式用の音声信号を、不連続点に起因するノイズを発生させることなく変換することが可能になる。
2ch方式を説明するための模式図である。 5.1chサラウンド方式を説明するための模式図である。 波面合成再生方式を説明するための模式図である。 ボーカル、ベース、ピアノ、及びドラムの音がステレオ方式で記録された音楽コンテンツを、左右2つのスピーカを用いて再生する様子を示す模式図である。 図4の音楽コンテンツを波面合成再生方式で再生した際の、理想的なスイートスポットの様子を示す模式図である。 図4の音楽コンテンツにおける左/右チャネルの音声信号をそれぞれ左/右スピーカの位置に仮想音源を設定して波面合成再生方式で再生した際の、実際のスイートスポットの様子を示す模式図である。 本発明に係る音声信号変換装置を備えた音声データ再生装置の一構成例を示すブロック図である。 図7の音声データ再生装置における音声信号処理部(本発明に係る音声信号変換装置)の一構成例を示すブロック図である。 図8の音声信号処理部における音声信号処理の一例を説明するためのフロー図である。 図8の音声信号処理部において音声データをバッファに蓄える様子を示す図である。 Hann窓関数を示す図である。 図9の音声信号処理における最初の窓関数乗算処理において、1/4セグメントにつき1回乗算される窓関数を示す図である。 受聴者と左右のスピーカと合成音像との位置関係の例を説明するための模式図である。 波面合成再生方式で使用するスピーカ群と仮想音源との位置関係の例を説明するための模式図である。 図14の仮想音源と受聴者及び合成音像との位置関係の例を説明するための模式図である。 左右チャネルの音声信号を離散フーリエ変換し左右チャネルの直流成分を無視した場合に、離散フーリエ逆変換後のセグメント境界に生じる波形の不連続点を説明するための模式図である。 本発明に係る不連続点除去処理を施す離散フーリエ逆変換後のセグメントを示す図である。 入力された音声信号の波形のグラフの一例を示す図である。 図18の音声信号に対し、Hann窓関数による1回目の乗算処理を施した後の波形のグラフの一例を示す図である。 図19の音声信号に対し、離散フーリエ逆変換を施した波形のグラフの一例を示す図である。 図20の音声信号に対し、Hann窓関数による2回目の乗算処理を施した後の波形のグラフの一例を示す図である。 ずらし幅が1/2で窓関数演算を1回のみ施す場合の処理を説明するための模式図である。 ずらし幅が1/4で窓関数演算を2回施す場合の処理を説明するための模式図である。 5.1chの音声信号を波面合成再生方式で再生する際に、使用するスピーカ群と仮想音源との位置関係の例を説明するための模式図である。 図7の音声データ再生装置を備えたテレビ装置の構成例を示す図である。 図7の音声データ再生装置を備えたテレビ装置の他の構成例を示す図である。 図7の音声データ再生装置を備えたテレビ装置の他の構成例を示す図である。 図7の音声データ再生装置を備えた映像投影システムの構成例を示す図である。 図7の音声データ再生装置を備えた映像投影システムの他の構成例を示す図である。 図7の音声データ再生装置を備えたテレビボードとテレビ装置とでなるシステムの構成例を示す図である。 図7の音声データ再生装置を備えた自動車の例を示す図である。 図7の音声データ再生装置における再生対象のスピーカの例を示す図である。
本発明に係る音声信号変換装置は、マルチチャネル再生方式用の音声信号を、チャネル数の同じまたは異なるスピーカ群で再生するための音声信号や波面合成再生方式用の音声信号などに変換する装置であって、音声信号処理装置、音声データ変換装置などとも呼べ、音声データ再生装置に組み込むことができる。なお、音声信号とは、当然、いわゆる音声を記録した信号に限ったものではなく、音響信号とも呼べる。また、波面合成再生方式とは、上述したように直線状または面状に並べたスピーカ群によって音の波面を合成する再生方式である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る音声信号変換装置の構成例及び処理例について説明する。また、以下の説明では、まず、本発明に係る音声信号変換装置が、変換により波面合成再生方式用の音声信号を生成する例を挙げる。
図7は、本発明に係る音声信号変換装置を備えた音声データ再生装置の一構成例を示すブロック図で、図8は、図7の音声データ再生装置における音声信号処理部(本発明に係る音声信号変換装置)の一構成例を示すブロック図である。
図7で例示する音声データ再生装置70は、デコーダ71、音声信号抽出部72、音声信号処理部73、D/Aコンバータ74、増幅器群75、そしてスピーカ群76から構成される。デコーダ71は、音声のみあるいは音声付き映像のコンテンツを復号化し、信号処理可能な形式に変換し音声信号抽出部72に出力する。そのコンテンツは、放送局から送信されたデジタル放送のコンテンツや、ネットワークを介してディジタルコンテンツを配信するサーバからインターネットからダウンロードしたり、あるいは外部記憶装置等の記録媒体から読み込んだりすることによって取得する。このように、図7では図示しないが、音声データ再生装置70は、マルチチャネルの入力音声信号を含むディジタルコンテンツを入力するディジタルコンテンツ入力部を備える。デコーダ71は、ここで入力されたディジタルコンテンツを復号化することになる。音声信号抽出部72では、得られた信号から音声信号を分離、抽出する。ここではそれは2chステレオ信号とする。その2チャネル分の信号を音声信号処理部73に出力する。
音声信号処理部73では、得られた2チャネル信号から、3チャネル以上で且つ入力音声信号とは異なるマルチチャネルの音声信号(以下の例では、仮想音源数分の信号として説明する)を生成する。つまり入力音声信号を別のマルチチャネルの音声信号に変換する。音声信号処理部73は、その音声信号をD/Aコンバータ74に出力する。仮想音源の数は、ある一定以上の数があれば予め決めておいても性能上差し支えはないが、仮想音源数が多くなるほど演算量も多くなる。そのため実装する装置の性能を考慮してその数を決定することが望ましい。ここの例では、その数を5として説明する。
D/Aコンバータ74では得られた信号をアナログ信号に変換し、それぞれの信号を増幅器75に出力する。各増幅器75では入力されたアナログ信号を拡声し各スピーカ76に伝送し、各スピーカ76から空間中に音として出力される。
この図における音声信号処理部の詳細な構成を図8に示す。音声信号処理部73は、窓関数乗算部81、音声信号分離抽出部82、窓関数乗算部83、及び音声出力信号生成部84から構成される。
窓関数乗算部81は、2チャンネルの音声信号を読み出してHann窓関数を乗算し、音声信号分離抽出部82に出力する。音声信号分離抽出部82は、2チャネルの信号から各仮想音源に対応する音声信号を生成し、それを窓関数乗算部83に出力する。窓関数乗算部83では、得られた音声信号波形から知覚上ノイズとなる部分を除去し、ノイズ除去後の音声信号を音声出力信号生成部84に出力する。このように、窓関数乗算部83は雑音除去部として機能する。音声出力信号生成部84では、得られた音声信号から各スピーカに対応するそれぞれの出力音声信号波形を生成する。音声出力信号生成部84では、波面合成再生処理などの処理が施され、例えば、得られた各仮想音源用の音声信号を各スピーカに割り当て、スピーカ毎の音声信号を生成する。波面合成再生処理の一部は音声信号分離抽出部82で担ってもよい。
次に、図9に従って、窓関数乗算部81、音声信号分離抽出部82、及び窓関数乗算部83での音声信号処理例を説明する。図9は、図8の音声信号処理部における音声信号処理の一例を説明するためのフロー図で、図10は、図8の音声信号処理部において音声データをバッファに蓄える様子を示す図である。図11は、Hann窓関数を示す図で、図12は、図9の音声信号処理における最初の窓関数乗算処理(窓関数乗算部81での窓関数乗算処理)において、1/4セグメントにつき1回乗算される窓関数を示す図である。
まず、窓関数乗算部81は、1セグメントの1/4の長さの音声データを、図7における音声信号抽出部72での抽出結果から読み出す(ステップS1)。ここで、音声データとは、例えば48kHzなどの標本化周波数で標本化された離散音声信号波形を指すものとする。そして、セグメントとは、ある一定の長さの標本点群からなる音声データ区間であり、ここでは後ほど離散フーリエ変換の対象となる区間長を指すものとし、処理セグメントとも呼ぶ。その値は例えば1024とする。この例では、1セグメントの1/4の長さである256点の音声データが読み出し対象となる。
読み出した256点の音声データは図10で例示するようなバッファ100に蓄えられる。このバッファは、直前の1セグメント分の音声信号波形を保持しておけるようになっており、それより過去のセグメントは捨てていく。直前の3/4セグメント分のデータ(768点)と最新の1/4セグメント分のデータ(256点)を繋げて1セグメント分の音声データを作成し、窓関数演算(ステップS2)に進む。すなわち、全ての標本データは窓関数演算に4回読み込まれることになる。
次に、窓関数乗算部81は、従来提案されている次のHann窓を1セグメント分の音声データに乗算する窓関数演算処理を実行する(ステップS2)。このHann窓は図11に窓関数110として図示したものである。
Figure 2013242498
ここで、mは自然数、Mは1セグメント長で偶数とする。ステレオの入力信号をそれぞれxL(m)、xR(m)とすると、窓関数乗算後の音声信号x′L(m)、x′R(m)は、
x′L(m)=w(m)xL(m) 、
x′R(m)=w(m)xR(m) (2)
と計算される。このHann窓を用いると、例えば標本点m0(ただし、0≦m0<M/4)の入力信号xL(m0)にはsin2((m0/M)π)が乗算される。そして、その次の回の読み込みではその同じ標本点がm0+M/4として、その次にはm0+M/2として、その次にはm0+(3M)/4として読み込まれる。さらに、詳細は後述するが、この窓関数を、最後に再度演算する。したがって、上述の入力信号xL(m0)にはsin4((m0/M)π)が乗算されることになる。これを窓関数として図示すると図12に示す窓関数120のようになる。この窓関数120が、1/4セグメント毎にシフトされながら合計4回加算されるので、
Figure 2013242498
が乗算されることになる。この式を変形すると、値が3/2(一定値)となるので、もし、何も修正を加えずに、読み込んだ信号にHann窓を2回乗算し、上の3/2の逆数の2/3をかけ、それを1/4セグメントずつずらして加算すれば(あるいは、1/4セグメントずつずらして加算後に2/3をかければ)、元の信号が完全に復元されることになる。
そうして得られた音声データを、次の数式(3)のように離散フーリエ変換し、周波数領域の音声データを得る(ステップS3)。なお、ステップS3〜S10の処理は、音声信号分離抽出部82が行えばよい。ここで、DFTは離散フーリエ変換を表し、kは自然数で、0≦k<Mである。XL(k)、XR(k)は複素数となる。
L(k)=DFT(x′L(n)) 、
R(k)=DFT(x′R(n)) (3)
次に、得られた周波数領域の音声データを、各線スペクトルについてステップS5〜S8の処理を実行する(ステップS4a,S4b)。具体的に個々の処理について説明する。なお、ここでは線スペクトル毎に相関係数を取得するなどの処理を行う例を挙げて説明するが、特許文献1に記載のように、Equivalent Rectangular Band(ERB)を用いて分割した帯域(小帯域)毎に相関係数を取得するなどの処理を実行してもよい。
ここで、離散フーリエ変換した後の線スペクトルは、直流成分すなわち例えばXL(0)を除いて、M/2(ただし、Mは偶数)を境に対称となっている。すなわち、XL(k)とXL(M−k)は0<k<M/2の範囲で複素共役の関係になる。したがって、以下ではk≦M/2の範囲を分析の対象として考え、k>M/2の範囲については複素共役の関係にある対称の線スペクトルと同じ扱いとする。
次に、各線スペクトルに対し、左チャネルと右チャネルの正規化相関係数を次式で求めることで、相関係数を取得する(ステップS5)。
Figure 2013242498
この正規化相関係数d(i)は左右のチャネルの音声信号にどれだけ相関があるかを表すものであり、0から1の間の実数の値をとる。全く同じ信号同士であれば1、そして全く無相関の信号同士であれば0となる。ここで、左右のチャネルの音声信号の電力PL (i)とPR (i)の両方が0である場合、その線スペクトルに関して相関信号と無相関信号の抽出は不可能とし、処理を行わず次の線スペクトルの処理に移ることとする。また、PL (i)とPR (i)のいずれか片方が0である場合、数式(4)では演算不可能であるが、正規化相関係数d(i)=0とし、その線スペクトルの処理を続行する。
次に、この正規化相関係数d(i)を用いて、左右チャネルの音声信号から相関信号と無相関信号をそれぞれ分離抽出するための変換係数を求め(ステップS6)、ステップS6で取得したそれぞれの変換係数を用いて、左右チャネルの音声信号から相関信号と無相関信号を分離抽出する(ステップS7)。相関信号及び無相関信号は、いずれも推定した音声信号として抽出すればよい。
ステップS6,S7の処理例を説明する。ここで、特許文献1と同様、左右チャネルそれぞれの信号は、無相関信号と相関信号から構成され、相関信号については、左右からゲインのみ異なる信号波形(つまり同じ周波数成分からなる信号波形)が出力されるものとするモデルを採用する。ここで、ゲインは、信号波形の振幅に相当し、音圧に関連する値である。そして、このモデルでは、左右から出力される相関信号によって合成される音像は、その相関信号の左右それぞれの音圧のバランスによって方向が決定されるものとする。そのモデルに従うと、入力信号xL(n)、xR(n)は、
L(m)= s(m)+nL(m)、
R(m)=αs(m)+nR(m) (8)
と表される。ここで、s(m)は左右の相関信号、nL(m)は左チャネルの音声信号から相関信号s(m)を減算したものであって(左チャネルの)無相関信号として定義できるもの、nR(m)は右チャネルの音声信号から相関信号s(m)にαを乗算したものを減算したものであって(右チャネルの)無相関信号として定義できるものである。また、αは相関信号の左右音圧バランスの程度を表す正の実数である。
数式(8)により、数式(2)で前述した窓関数乗算後の音声信号x′L(m)、x′R(m)は、次の数式(9)で表される。ただし、s′(m)、n′L(m)、n′R(m)はそれぞれs(m)、nL(m)、nR(m)に窓関数を乗算したものである。
x′L(m)=w(m){s(m)+nL(m)}=s′(m)+n′L(m)、
x′R(m)=w(m){αs(m)+nR(m)}=αs′(m)+n′R(m)
(9)
数式(9)を離散フーリエ変換することによって、次の数式(10)を得る。ただし、S(k)、NL(k)、NR(k)はそれぞれs′(m)、n′L(m)、n′R(m)を離散フーリエ変換したものである。
L(k)= S(k)+NL(k)、
R(k)=αS(k)+NR(k) (10)
したがって、i番目の線スペクトルにおける音声信号XL (i)(k)、XR (i)(k)は、
L (i)(k)=S(i)(k)+NL (i)(k)、
R (i)(k)=α(i)(i)(k)+NR (i)(k) (11)
と表現される。ここで、α(i)はi番目の線スペクトルにおけるαを表す。以後、i番目の線スペクトルにおける相関信号S(i)(k)、無相関信号NL (i)(k)、NR (i)(k)をそれぞれ、
(i)(k)=S(k)、
L (i)(k)=NL(k)、
R (i)(k)=NR(k) (12)
とおくこととする。
数式(11)から、数式(7)の音圧PL (i)とPR (i)は、
L (i)=PS (i)+PN (i)
R (i)=[α(i)2S (i)+PN (i) (13)
と表される。ここで、PS (i)、PN (i)はi番目の線スペクトルにおけるそれぞれ相関信号、無相関信号の電力であり、
Figure 2013242498
と表される。ここで、左右の無相関信号の音圧は等しいと仮定している。
また、数式(5)〜(7)より、数式(4)は、
Figure 2013242498
と表すことができる。ただし、この算出においてはS(k)、NL(k)、NR(k)が互いに直交し、かけ合わされたときの電力は0と仮定している。
数式(13)と数式(15)を解くことにより、次の式が得られる。
Figure 2013242498
これらの値を用いて、各線スペクトルにおける相関信号と無相関信号を推定する。i番目の線スペクトルにおける相関信号S(i)(k)の推定値est(S(i)(k))を、媒介変数μ1、μ2を用いて、
est(S(i)(k))=μ1L (i)(k)+μ2R (i)(k) (18)
とおくと、推定誤差εは、
ε=est(S(i)(k))−S(i)(k) (19)
と表される。ここで、est(A)はAの推定値を表すものとする。そして二乗誤差ε2が最少になるとき、εとXL (i)(k)、XR (i)(k)はそれぞれ直交するという性質を利用すると、
E[ε・XL (i)(k)]=0、E[ε・XR (i)(k)]=0 (20)
という関係が成り立つ。数式(11)、(14)、(16)〜(19)を利用すると、数式(20)から次の連立方程式が導出できる。
(1−μ1−μ2α(i))PS (i)−μ1N (i)=0
α(i)(1−μ1−μ2α(i))PS (i)−μ2N (i)=0
(21)
この数式(21)を解くことによって、各媒介変数が次のように求まる。
Figure 2013242498
ここで、このようにして求まる推定値est(S(i)(k))の電力Pest(S) (i)が、数式(18)の両辺を二乗して求まる次の式
est(S) (i)=(μ1+α(i)μ22S (i)+(μ1 2+μ2 2)PN (i) (23)
を満たす必要があるため、この式から推定値を次式のようにスケーリングする。なお、est′(A)はAの推定値をスケーリングしたものを表す。
Figure 2013242498
そして、i番目の線スペクトルにおける左右チャネルの無相関信号NL (i)(k)、NR (i)(k)に対する推定値est(NL (i)(k))、est(NR (i)(k))はそれぞれ、
est(NL (i)(k))=μ3L (i)(k)+μ4R (i)(k) (25)
est(NR (i)(k))=μ5L (i)(k)+μ6R (i)(k) (26)
とおくことにより、上述の求め方と同様にして、媒介変数μ3〜μ6は、
Figure 2013242498
と求めることができる。このようにして求めた推定値est(NL (i)(k))、est(NR (i)(k))も上述と同様に、次の式によってそれぞれスケーリングする。
Figure 2013242498
数式(22)、(27)、(28)で示した各媒介変数μ1〜μ6及び数式(24)、(29)、(30)で示したスケーリングの係数が、ステップS6で求める変換係数に該当する。そして、ステップS7では、これらの変換係数を用いた演算(数式(18)、(25)、(26))により推定することで、相関信号と無相関信号(右チャネルの無相関信号、左チャネルの無相関信号)とを分離抽出する。
次に、仮想音源への割り当て処理を行う(ステップS8)。まず、この割り当て処理では前処理として、線スペクトル毎に推定した相関信号によって生成される合成音像の方向を推定する。この推定処理について、図13〜図15に基づき説明する。図13は、受聴者と左右のスピーカと合成音像との位置関係の例を説明するための模式図、図14は、波面合成再生方式で使用するスピーカ群と仮想音源との位置関係の例を説明するための模式図、図15は、図14の仮想音源と受聴者及び合成音像との位置関係の例を説明するための模式図である。
いま、図13に示す位置関係130のように、受聴者から左右のスピーカ131L,131Rの中点にひいた線と、同じく受聴者133からいずれかのスピーカ131L/131Rの中心までひいた線がなす見開き角をθ0、受聴者133から推定合成音像132の位置までひいた線がなす見開き角をθとする。ここで、左右のスピーカ131L,131Rから同じ音声信号を、音圧バランスを変えて出力した場合、その出力音声によって生じる合成音像132の方向は、音圧バランスを表す前述のパラメータαを用いて次の式で近似できることが一般的に知られている(以下、立体音響におけるサインの法則と呼ぶ)。
Figure 2013242498
ここで、2chステレオの音声信号を波面合成再生方式で再生できるようにするために、図8に示す音声信号分離抽出部82が2chの信号を複数チャネルの信号に変換する。例えば変換後のチャネル数を5つとした場合、それを図14で示す位置関係140のように、波面合成再生方式における仮想音源142a〜142eと見做し、スピーカ群(スピーカアレイ)141の後方に配置する。なお、仮想音源142a〜142eにおける隣り合う仮想音源との間隔は均等とする。したがって、ここでの変換は、2chの音声信号を仮想音源数の音声信号に変換することになる。既に説明したように、音声信号分離抽出部82は、まず2chの音声信号を、線スペクトル毎に1つの相関信号と2つの無相関信号に分離する。音声信号分離抽出部82では、さらにそれらの信号をどのように仮想音源数の仮想音源(ここでは5つの仮想音源)に割り当てるかを事前に決めておかなければならない。なお、割り当ての方法については複数の方法の中からユーザ設定可能にしておいてもよいし、仮想音源数に応じて選択可能な方法を変えてユーザに提示するようにしてもよい。
割り当て方法の1つの例として、次のような方法を採る。それは、まず、左右の無相関信号については、5つの仮想音源の両端(仮想音源142a,142e)にそれぞれ割り当てる。次に、相関信号によって生じる合成音像については、5つのうちの隣接する2つの仮想音源に割り当てる。隣接するどの2つの仮想音源に割り当てるかについては、まず、前提として、相関信号によって生じる合成音像が5つの仮想音源の両端(仮想音源142a,142e)より内側になるものとし、すなわち、2chステレオ再生時の2つのスピーカによってなす見開き角内におさまるように5つの仮想音源142a〜142eを配置するものとする。そして、合成音像の推定方向から、その合成音像を挟むような隣接する2つの仮想音源を決定し、その2つの仮想音源への音圧バランスの割り当てを調整して、その2つの仮想音源によって合成音像を生じさせるように再生する、という割り当て方法を採る。
そこで、図15で示す位置関係150のように、受聴者153から両端の仮想音源142a,142eの中点にひいた線と、端の仮想音源142eにひいた線とがなす見開き角をθ0、受聴者153から合成音像151にひいた線とがなす見開き角をθとする。さらに、受聴者153から合成音像151を挟む2つの仮想音源142c,142dの中点にひいた線と、受聴者153から両端の仮想音源142a,142eの中点にひいた線(受聴者153から仮想音源142cにひいた線)とがなす見開き角をφ0、受聴者153から合成音像151にひいた線とがなす見開き角をφとする。ここで、φ0は正の実数である。数式(31)で説明したようにして方向を推定した図13の合成音像132(図15における合成音像151に対応)を、これらの変数を用いて仮想音源に割り当てる方法について説明する。
まず、i番目の合成音像の方向θ(i)が数式(31)によって推定され、例えばθ(i)=π/15[rad]であったとする。そして、仮想音源が5つの場合、図15に示すように合成音像151は左から数えて3番目の仮想音源142cと4番目の仮想音源142dの間に位置することになる。また、仮想音源が5つである場合、3番目の仮想音源142cと4番目の仮想音源142dの間について、三角関数を用いた単純な幾何的計算により、φ0≒0.121[rad]となり、i番目の線スペクトルにおけるφをφ(i)とすると、φ(i)=θ(i)−φ0≒0.088[rad]となる。このようにして、各線スペクトルにおける相関信号によって生じる合成音像の方向を、それを挟む2つの仮想音源の方向からの相対的な角度で表す。そして上述したように、その2つの仮想音源142c,142dでその合成音像を生じさせることを考える。そのためには、2つの仮想音源142c,142dからの出力音声信号の音圧バランスを調整すればよく、その調整方法については、再び数式(31)として利用した立体音響におけるサインの法則を用いる。
ここで、i番目の線スペクトルにおける相関信号によって生じる合成音像を挟む2つの仮想音源142c,142dのうち、3番目の仮想音源142cに対するスケーリング係数をg1、4番目の仮想音源142dに対するスケーリング係数をg2とすると、3番目の仮想音源142cからはg1・est′(S(i)(k))、4番目の仮想音源142dからはg2・est′(S(i)(k))の音声信号を出力することになる。そして、g1、g2は立体音響におけるサインの法則により、
Figure 2013242498
を満たせばよい。
一方、3番目の仮想音源142cと4番目の仮想音源142dからの電力の合計が、元の2chステレオの相関信号の電力と等しくなるようにg1、g2を正規化すると、
1 2+g2 2=1+[α(i)2 (33)
となる。
これらを連立させることで、
Figure 2013242498
と求められる。この数式(34)に上述のφ(i)、φ0を代入することによって、g1、g2を算出する。このようにして算出したスケーリング係数に基づき、上述したように3番目の仮想音源142cにはg1・est′(S(i)(k))の音声信号を、4番目の仮想音源142dからはg2・est′(S(i)(k))の音声信号を割り当てる。そして、これも上述したように、無相関信号は両端の仮想音源142a,142eに割り当てられる。すなわち、1番目の仮想音源142aにはest′(NL (i)(k))を、5番目の仮想音源142eにはest′(NR (i)(k))を割り当てる。
この例とは異なり、もし合成音像の推定方向が1番目と2番目の仮想音源の間であった場合には、1番目の仮想音源にはg1・est′(S(i)(k))とest′(NL (i)(k))の両方が割り当てられることになる。また、もし合成音像の推定方向が4番目と5番目の仮想音源の間であった場合には、5番目の仮想音源にはg2・est′(S(i)(k))とest′(NR (i)(k))の両方が割り当てられることになる。
以上のようにして、ステップS8における、i番目の線スペクトルについての左右チャネルの相関信号と無相関信号の割り当てが行われる。これをステップS4a,S4bのループにより全ての線スペクトルについて行う。例えば、256点の離散フーリエ変換を行った場合は1〜127番目の線スペクトルまで、512点の離散フーリエ変換を行った場合は1〜255番目の線スペクトルまで、セグメントの全点(1024点)について離散フーリエ変換を行った場合は1〜511番目の線スペクトルまで、となる。その結果、仮想音源の数をJとすると、各仮想音源(出力チャネル)に対する周波数領域の出力音声信号Y1(k),・・・,YJ(k)が求まる。
そして、得られた各出力チャネルについて、ステップS10〜S12の処理を実行する(ステップS9a,S9b)。以下、ステップS10〜S12の処理について説明する。
まず、各出力チャネルを離散フーリエ逆変換することによって、時間領域の出力音声信号y′J(m)を求める(ステップS10)。ここで、DFT-1は離散フーリエ逆変換を表す。
y′J(m)=DFT-1(YJ(k)) (1≦j≦J) (35)
ここで、数式(3)で説明したように、離散フーリエ変換した信号は、窓関数乗算後の信号であったため、逆変換して得られた信号y′J(m)も窓関数が乗算された状態となっている。窓関数は数式(1)に示すような関数であり、読み込みは1/4セグメント長ずつずらしながら行ったため、前述した通り、1つ前に処理したセグメントの先頭から1/4セグメント長ずつずらしながら出力バッファに加算していくことにより変換後のデータを得る。
しかし、このままでは、従来技術として上述した通り、不連続点が変換後のデータに多数含まれてしまい、それらが再生時にノイズとなって知覚される。このような不連続点は、直流成分の線スペクトルを考慮しないことによるものであることは前述した通りである。図16はそれを模式的に示した波形のグラフである。より詳細には、図16は、左右チャネルの音声信号を離散フーリエ変換し左右チャネルの直流成分を無視した場合に、離散フーリエ逆変換後のセグメント境界に生じる波形の不連続点を説明するための模式図である。図16に示すグラフ160において、横軸は時間を表しており、例えば(0)(l)という記号は、l番目のセグメントの1番目の標本点であることを示し、(M−1)(l)という記号は、l番目のセグメントのM番目の標本点であることを示している。グラフ160の縦軸は、それらの標本点に対する出力信号の値である。このグラフ160から分かるように、(l−1)番目のセグメントの最後からl番目のセグメントの最初にかけての部分で不連続点が生じてしまう。
図16で説明したような問題を解決するために、本発明に係る音声信号変換装置は、次のように構成する。すなわち、本発明に係る音声信号変換装置は、変換部、相関信号抽出部、逆変換部、及び窓関数乗算部を備える。変換部は、2つのチャネルの入力音声信号のそれぞれについて、処理セグメントの長さの1/4ずつずらしながら読み出し、読み出した処理セグメントの音声信号に対し、Hann窓関数を乗算した後、離散フーリエ変換を施す。相関信号抽出部は、変換部で離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出する。つまり、相関信号抽出部は、2つのチャネルの入力音声信号の相関信号を抽出する。
逆変換部は、(a1)相関信号抽出部で抽出された相関信号に対して、または(a2)その相関信号及び無相関信号(その相関信号を除く信号)に対して、もしくは(b1)その相関信号から生成された音声信号、または(b2)その相関信号及びその無相関信号から生成された音声信号に対して、離散フーリエ逆変換を施す。なお、ここでの例では、逆変換部が上記(b2)の音声信号の例である、波面合成再生方式用の仮想音源への割り当て後の音声信号に対して、不連続点を除去した例を挙げているが、これに限らない。例えば、上記(a1)または(a2)の例である仮想音源への割り当て前の音声信号に対して、すなわち抽出された相関信号または抽出された相関信号及び無相関信号に対して、不連続点を除去し、その後、割り当てを行うようにしてもよい。
そして、窓関数乗算部は、逆変換部で離散フーリエ逆変換後の音声信号(つまり、相関信号またはそれから生成された音声信号)のうち、処理セグメントの音声信号に対し、再びHann窓関数を乗算し、処理セグメントの長さの1/4だけずらして、前の処理セグメントの音声信号に加算することにより、逆変換部で離散フーリエ逆変換後の音声信号から波形の不連続点を除去する。ここで、前の処理セグメントとは、以前の処理セグメントであって、実際には1/4ずつずらすため、1つ前、2つ前、及び3つ前の処理セグメントを指す。
図8における音声信号処理部73の例では、上述の変換部は窓関数乗算部81及び音声信号分離抽出部82に含まれ、上述の相関信号抽出部及び逆変換部は音声信号分離抽出部82に含まれることになり、上述の窓関数乗算部は窓関数乗算部83で例示できる。
図17〜図21を併せて参照し、図16で説明したような問題を解決するための、このような不連続点除去処理について具体的に説明する。図17は、本発明に係る不連続点除去処理を施す離散フーリエ逆変換後のセグメントを示す図である。また、図18は、入力された音声信号の波形のグラフの一例を示す図、図19は、図18の音声信号に対し、Hann窓関数による1回目の乗算処理を施した後の波形のグラフの一例を示す図、図20は、図19の音声信号に対し、離散フーリエ逆変換を施した波形のグラフの一例を示す図、図21は、図20の音声信号に対し、Hann窓関数による2回目の乗算処理を施した後の波形のグラフの一例を示す図である。
本発明における不連続点除去処理では、図17に示すような離散フーリエ逆変換後のセグメント(処理セグメント)170の波形の最初の値と、波形の最後の値との平均値を、波形の各値から減算する。これは、前述した通り、離散フーリエ変換を行う前にHann窓を演算していることに起因している。すなわち、Hann窓の両端点の値は0であるため、もし離散フーリエ変換後、どのスペクトル成分も値を変更せず、再び離散フーリエ逆変換を行えば、そのセグメントの両端点は0となり、セグメント間の不連続点は発生しない。しかし実際は、離散フーリエ変換後の周波数領域において、上述したように各スペクトル成分を変更するため、離散フーリエ逆変換後のセグメントの両端点は0とならず、セグメント間の不連続点が発生する。
したがって、その両端点を0にするため、前述したように、再度Hann窓を演算する。この2回目のHann窓関数による乗算処理がどのように機能するかについて、最初の入力音声信号から2回目のHann窓関数による乗算処理が施されるまでの過程を、簡略化した入力波形に基づき説明する。まず、図18に示すグラフ180のような音声信号の波形が入力されたとすると、まず最初のHann窓関数演算によって図19に示すグラフ190のような音声信号の波形が生成され、図9のステップS3の離散フーリエ変換処理に進む。そして、演算処理の結果、図9のステップS10の離散フーリエ逆変換処理の結果の音声信号の波形が図20に示すグラフ200のように、両端点が0からずれていたとする。
このままでは、両端点部分が不連続点となってノイズとして知覚されてしまうため、図9のステップS11のように再度、Hann窓関数を演算すると、図21に示すグラフ210のように、両端点が0となることが保証された音声信号の波形になる。したがって、2回目のHann窓関数の乗算処理により、不連続点が生じないことが保証される。これにより、図17の処理セグメント170の波形は、図16のグラフ160のような不連続点が生じず、グラフ160で不連続点であった部分(セグメント境界の部分)は、値が0となって連続となり、その傾き(微分値)も一致するようになる。
その後は、前述したように、2回目のHann窓関数乗算処理後の処理セグメントに対し、3/2の逆数である2/3を乗じ、それを前の処理セグメントの音声信号に(実際には1つ前、2つ前、3つ前の処理セグメントの音声信号のそれぞれに)加算すれば、元の波形が完全に復元できる。実際にはこの時点で、3つ前の処理セグメントの音声信号の波形まで完全に復元できる。このように、2/3を乗じた2回目のHann窓関数乗算処理後の処理セグメントを、1/4セグメントずつずらしながら加算していけば、元の波形が完全に復元できる。もしくは、2回目のHann窓関数乗算処理後の処理セグメントに対し、1/4セグメントずつずらしながら加算し、加算が全て完了した処理セグメント(上記3つ前の処理セグメント)について2/3を乗じれば、元の信号が完全に復元されることになる。無論、この2/3を乗算する処理については実行しなくても、振幅が大きくなるだけであるので構わない。
次に、図22及び図23を参照しながら、本発明による不連続点除去の効果について、単純なサイン波を例に挙げて模式的に説明する。図22は、ずらし幅が1/2セグメントで窓関数演算を1回のみ施す場合の処理を説明するための模式図で、図23は、本発明の処理(ずらし幅が1/4セグメントで窓関数演算を2回施す場合の処理)を説明するための模式図である。
図22に示すように、入力波形221に対して、ずらし幅が1/2セグメントで窓関数演算を1回施して、離散フーリエ変換、音声信号分離抽出、離散フーリエ逆変換を施すと、処理後の各セグメント波形222,223は、図20のグラフ200と同様に、直流成分によって両端が0になっていない。出力波形224は、これらのセグメント波形222,223を加算したものとなるため、不連続点224a,224bが生じる。
これに対し、本発明の処理では、図23に示すように、入力波形221と同じ入力波形231に対して、ずらし幅が1/4セグメントで1回目の窓関数演算を施して、離散フーリエ変換、音声信号分離抽出、離散フーリエ逆変換を施した後、2回目の窓関数演算を施す。このように離散フーリエ逆変換後の各セグメント波形に対して2回目の窓関数演算を施した各セグメント波形232,233,234,235は、その両端が、図21のグラフ210でも示したように、必ず0となる。ここで、セグメント波形235を現在の処理セグメントとすると、セグメント波形234,233,232はそれぞれ1,2,3つ前の処理セグメントの波形に相当する。出力波形236は、これらのセグメント波形232,233,234,235を加算したものとなるため、加算によっても出力波形236には不連続点が生じない。
このように、本発明に係る不連続点除去処理では、2回目のHann窓関数乗算処理を施すことで、離散フーリエ逆変換後の音声信号から波形の不連続点を除去する。そのため、本発明によれば、2chや5.1ch等のマルチチャネル方式用の音声信号を、不連続点に起因するノイズを発生させることなく、波面合成再生方式で再生させるための音声信号に変換することが可能になる。特に、本発明によれば、特許文献1に記載の方法とは異なり、子音部分のようにホワイトノイズに近いような成分とそれ以外の成分が混ざり合った楽音信号や、人間の音声のうち子音と母音の間のような特性を持つ濁音などの音声信号などに対しても、不連続点に起因するノイズを発生させることはない。
そして、本発明によれば、ノイズを発生させずに波面合成再生方式で再生させるための音声信号に変換することができるため、波面合成再生方式の特長である、どの位置の受聴者に対してもコンテンツ製作者の意図通りの音像定位を提供するという効果を享受できる。
また、窓関数乗算部83で処理対象となる離散フーリエ逆変換後の音声信号は、各数式で例示したように、相関信号または相関信号及び無相関信号に対して、時間領域あるいは周波数領域においてスケーリング処理を行い、そのスケーリング処理後の音声信号としてもよい。つまり、相関信号や無相関信号に対しスケーリング処理を施し、スケーリング処理後の相関信号や無相関信号に対し、Hann窓関数の乗算によって不連続点の除去を行うようにしてもよい。
以上、本発明に係る音声信号変換処理について、入力音声信号が2chの音声信号である例を挙げて説明したが、次に他のマルチチャネルの音声信号であっても適用可能であることを説明する。ここでは、図24を参照しながら5.1chの入力音声信号を例に挙げるが、他のマルチチャネルの入力音声信号についても同様に適用できる。
図24は、5.1chの音声信号を波面合成再生方式で再生する際に、使用するスピーカ群と仮想音源との位置関係の例を説明するための模式図である。5.1chの入力音声に本発明に係る音声信号変換処理を適用することを考える。5.1chのスピーカの配置方法については一般的に図2のように配置されることが多く、受聴者の前方には3つのスピーカ21L,22C,21Rが並んでいる。そして、映画などのコンテンツでは特に、前方中央のいわゆるセンターチャネルは人の台詞音声などの用途で使用されることが多い。つまり、センターチャネルと左チャネル、あるいはセンターチャネルと右チャネルの間で合成音像を生じさせるような音圧制御がされている箇所はあまり多くない。
この性質を利用して、図24で示す位置関係240のように、5.1chの前方左右のスピーカ242a,242cへの入力音声信号を本方式(本発明に係る音声信号変換処理)によって変換し、例えば5つの仮想音源243a〜243eに割り当てた後、真ん中の仮想音源243cにセンターチャネル(センタースピーカ用のチャネル)の音声信号を加算する。そのようにして、出力音声信号を仮想音源に対する音像として波面合成再生方式でスピーカアレイ241により再生する。そして後方左右のチャネル用の入力音声信号については、後方に5.1chと同じくスピーカ242d,242eを設置し、そこから何も手を加えずに出力するなどすればよい。
このように、マルチチャネルの入力音声信号が3つ以上のチャネルの入力音声信号であることを前提とし、マルチチャネルの入力音声信号のうちいずれか2つの入力音声信号に対して、本発明に係る上述のような音声信号変換処理を行って、波面合成再生方式で再生させるための音声信号を生成し、生成された音声信号に残りのチャネルの入力音声信号を加算して出力するようにしてもよい。この加算は、例えば音声出力信号生成部84において加算部を設けておけば済む。
次に、本発明の実装について簡単に説明する。本発明は、例えばテレビなど映像の伴う装置に利用できる。本発明を適用可能な装置の様々な例について、図25〜図31を参照しながら説明する。図25〜図27は、それぞれ図7の音声データ再生装置を備えたテレビ装置の構成例を示す図で、図28及び図29は、それぞれ図7の音声データ再生装置を備えた映像投影システムの構成例を示す図、図30は、図7の音声データ再生装置を備えたテレビボードとテレビ装置とでなるシステムの構成例を示す図、図31は、図7の音声データ再生装置を備えた自動車の例を示す図である。なお、図25〜図31のいずれにおいても、スピーカアレイとしてLSP1〜LSP8で示す8個のスピーカを配列した例を挙げているが、スピーカの数は複数であればよい。
本発明に係る音声信号変換装置やそれを備えた音声データ再生装置はテレビ装置に利用できる。テレビ装置におけるこれらの装置の配置は自由に決めればよい。図25で示すテレビ装置250のように、テレビ画面251の下方に、音声データ再生装置におけるスピーカLSP1〜LSP8を直線状に並べたスピーカ群252を設けてもよい。図26で示すテレビ装置260のように、テレビ画面261の上方に、音声データ再生装置におけるスピーカLSP1〜LSP8を直線状に並べたスピーカ群262を設けてもよい。図27で示すテレビ装置270のように、テレビ画面271に、音声データ再生装置における透明のフィルム型スピーカLSP1〜LSP8を直線状に並べたスピーカ群272を埋め込んでもよい。
また、本発明に係る音声信号変換装置やそれを備えた音声データ再生装置は、映像投影システムに利用できる。図28で示す映像投影システム280のように、映像投射装置281aで映像を投射する投射用スクリーン281bに、スピーカLSP1〜LSP8のスピーカ群282を埋め込むようにしてもよい。図29で示す映像投影システム290のように、映像投射装置291aで映像を投射する音透過型のスクリーン291bの後ろに、スピーカLSP1〜LSP8を並べたスピーカ群292を配置してもよい。そのほか、本発明に係る音声信号変換装置やそれを備えた音声データ再生装置は、テレビ台(テレビボード)に埋め込むこともできる。図30で示すシステム(ホームシアターシステム)300のように、テレビ装置301を搭載するためのテレビ台302aにスピーカLSP1〜LSP8を並べたスピーカ群302bを埋め込むようにしてもよい。さらに、本発明に係る音声信号変換装置やそれを備えた音声データ再生装置は、カーオーディオに適用することもできる。図31で示す自動車310のように、車内のダッシュボードにスピーカLSP1〜LSP8を曲線状に並べたスピーカ群312を埋め込むようにしてもよい。
また、図25〜図31を参照して説明したような装置などに本発明に係る音声信号変換処理を適用した際、受聴者はこの変換処理(図7や図8の音声信号処理部73における処理)を行うか行わないかについて、装置本体に備えられたボタン操作やあるいはリモートコントローラ操作などでなされたユーザ操作により切り替える切替部を設けることもできる。この変換処理を行わない場合、2ch音声データの再生には、図6に示したように仮想音源を配置して波面合成再生方式で再生してもよい。あるいは図32に示す位置関係320のように、アレイスピーカ321の両端のスピーカ321L,321Rのみを用いて再生してもよい。5.1ch音声データについても同様に、3つの仮想音源に割り当ててもよいし、あるいは両端と真ん中の1つか2つのスピーカのみを用いて再生してもよい。
また、本発明で適用可能な波面合成再生方式としては、上述したようにスピーカアレイ(複数のスピーカ)を備えて仮想音源に対する音像としてそれらのスピーカから出力するようにする方式であればよく、非特許文献1に記載のWFS方式の他、人間の音像知覚に関する現象としての先行音効果(ハース効果)を利用した方式など様々な方式が挙げられる。ここで、先行音効果とは、同一の音声を複数の音源から再生し、音源それぞれから聴取者に到達する各音声に小さな時間差がある場合、先行して到達した音声の音源方向に音像が定位する効果を指し示したものである。この効果を利用すれば、仮想音源位置に音像を知覚させることが可能となる。ただし、その効果だけで音像を明確に知覚させることは難しい。ここで、人間は音圧を最も高く感じる方向に音像を知覚するという性質も持ち合わせている。したがって、音声データ再生装置において、上述の先行音効果と、この最大音圧方向知覚の効果とを組み合わせ、これにより、少ない数のスピーカでも仮想音源の方向に音像を知覚させることが可能になる。
以上、本発明に係る音声信号変換装置が、マルチチャネル方式用の音声信号に対して波面合成再生方式で再生させるための音声信号に変換することを前提にして説明したが、本発明は、同じくマルチチャネル方式用(チャネル数は同じでも異なってもよい)の音声信号に変換する場合などにも同様に適用できる。変換後の音声信号としては、配置は問わないが少なくとも複数のスピーカからなるスピーカ群によって再生させるための音声信号であればよい。それは、このような変換の場合にも上述のような離散フーリエ変換・逆変換を施し且つ相関信号を得るために直流成分を無視することがあるためである。このように変換された音声信号の再生方法としては、例えば1つ1つの仮想音源用に抽出した信号に対し、それぞれ1つずつスピーカを対応させて波面合成再生方式ではなく普通に出力再生させることが考えられる。さらに、両側の無相関信号はそれぞれ別の、側方や後方に設置するスピーカに割り当てるような再生方法など、様々な再生方法が考えられる。
また、例えば図8で例示した音声信号処理部73における各構成要素など、本発明に係る音声信号変換装置の各構成要素やその装置を備えた音声データ再生装置の各構成要素は、例えばマイクロプロセッサ(またはDSP:Digital Signal Processor)、メモリ、バス、インターフェイス、周辺装置などのハードウェアと、これらのハードウェア上にて実行可能なソフトウェアとにより実現できる。上記ハードウェアの一部または全部は集積回路/IC(Integrated Circuit)チップセットとして搭載することができ、その場合、上記ソフトウェアは上記メモリに記憶しておければよい。また、本発明の各構成要素の全てをハードウェアで構成してもよく、その場合についても同様に、そのハードウェアの一部または全部を集積回路/ICチップセットとして搭載することも可能である。
また、上述した様々な構成例における機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、音声信号変換装置となる汎用コンピュータ等の装置に供給し、その装置内のマイクロプロセッサまたはDSPによりプログラムコードが実行されることによっても、本発明の目的が達成される。この場合、ソフトウェアのプログラムコード自体が上述した様々な構成例の機能を実現することになり、このプログラムコード自体や、プログラムコードを記録した記録媒体(外部記録媒体や内部記憶装置)であっても、そのコードを制御側が読み出して実行することで、本発明を構成することができる。外部記録媒体としては、例えばCD−ROMまたはDVD−ROMなどの光ディスクやメモリカード等の不揮発性の半導体メモリなど、様々なものが挙げられる。内部記憶装置としては、ハードディスクや半導体メモリなど様々なものが挙げられる。また、プログラムコードはインターネットからダウンロードして実行することや、放送波から受信して実行することもできる。
以上、本発明に係る音声信号変換装置について説明したが、処理の流れをフロー図で例示したように、本発明は、マルチチャネルの入力音声信号をスピーカ群によって再生させるための音声信号に変換する音声信号変換方法としての形態も採り得る。
この音声信号変換方法は、次の変換ステップ、抽出ステップ、逆変換ステップ、及び窓関数乗算ステップを有する。変換ステップは、変換部が、2つのチャネルの入力音声信号のそれぞれについて、処理セグメントの長さの1/4ずつずらしながら読み出し、読み出した処理セグメントの音声信号に対し、Hann窓関数を乗算した後、離散フーリエ変換を施すステップである。抽出ステップは、相関信号抽出部が、変換ステップで離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出するステップである。逆変換ステップは、逆変換部が、抽出ステップで抽出された相関信号または相関信号及び無相関信号に対して、もしくは相関信号から生成された音声信号に対して、もしくは相関信号及び無相関信号から生成された音声信号に対して、離散フーリエ逆変換を施すステップである。窓関数乗算ステップは、窓関数乗算部が、逆変換ステップで離散フーリエ逆変換後の音声信号のうち処理セグメントの音声信号に対し、再びHann窓関数を乗算し、処理セグメントの長さの1/4だけずらして、前の処理セグメントの音声信号に加算するステップである。その他の応用例については、音声信号変換装置について説明した通りであり、その説明を省略する。
なお、上記プログラムコード自体は、換言すると、この音声信号変換方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。すなわち、このプログラムは、コンピュータに、2つのチャネルの入力音声信号のそれぞれについて、処理セグメントの長さの1/4ずつずらしながら読み出し、読み出した処理セグメントの音声信号に対し、Hann窓関数を乗算した後、離散フーリエ変換を施す変換ステップと、変換ステップで離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出する抽出ステップと、抽出ステップで抽出された相関信号または相関信号及び無相関信号に対して、もしくは相関信号から生成された音声信号に対して、もしくは相関信号及び無相関信号から生成された音声信号に対して、離散フーリエ逆変換を施す逆変換ステップと、逆変換ステップで離散フーリエ逆変換後の音声信号のうち処理セグメントの音声信号に対し、再びHann窓関数を乗算し、処理セグメントの長さの1/4だけずらして、前の処理セグメントの音声信号に加算する窓関数乗算ステップと、を実行させるためのプログラムである。その他の応用例については、音声信号変換装置について説明した通りであり、その説明を省略する。
70…音声データ再生装置、71…デコーダ、72…音声信号抽出部、73…音声信号処理部、74…D/Aコンバータ、75…増幅器、76…スピーカ、81…窓関数乗算部、82…音声信号分離抽出部、83…窓関数乗算部、84…音声出力信号生成部。

Claims (5)

  1. マルチチャネルの入力音声信号を、スピーカ群によって再生させるための音声信号に変換する音声信号変換装置であって、
    2つのチャネルの入力音声信号のそれぞれについて、処理セグメントの長さの1/4ずつずらしながら読み出し、読み出した処理セグメントの音声信号に対し、Hann窓関数を乗算した後、離散フーリエ変換を施す変換部と、
    該変換部で離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出する相関信号抽出部と、
    該相関信号抽出部で抽出された相関信号または該相関信号及び無相関信号に対して、もしくは前記相関信号から生成された音声信号に対して、もしくは前記相関信号及び前記無相関信号から生成された音声信号に対して、離散フーリエ逆変換を施す逆変換部と、
    該逆変換部で離散フーリエ逆変換後の音声信号のうち処理セグメントの音声信号に対し、再びHann窓関数を乗算し、処理セグメントの長さの1/4だけずらして、前の処理セグメントの音声信号に加算する窓関数乗算部と、
    を備えたことを特徴とする音声信号変換装置。
  2. 前記窓関数乗算部で処理対象となる前記離散フーリエ逆変換後の音声信号は、前記相関信号または前記相関信号及び前記無相関信号に対して、時間領域あるいは周波数領域においてスケーリング処理が施された後の音声信号とすることを特徴とする請求項1に記載の音声信号変換装置。
  3. マルチチャネルの入力音声信号を、スピーカ群によって再生させるための音声信号に変換する音声信号変換方法であって、
    変換部が、2つのチャネルの入力音声信号のそれぞれについて、処理セグメントの長さの1/4ずつずらしながら読み出し、読み出した処理セグメントの音声信号に対し、Hann窓関数を乗算した後、離散フーリエ変換を施す変換ステップと、
    相関信号抽出部が、前記変換ステップで離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出する抽出ステップと、
    逆変換部が、前記抽出ステップで抽出された相関信号または該相関信号及び無相関信号に対して、もしくは前記相関信号から生成された音声信号に対して、もしくは前記相関信号及び前記無相関信号から生成された音声信号に対して、離散フーリエ逆変換を施す逆変換ステップと、
    窓関数乗算部が、前記逆変換ステップで離散フーリエ逆変換後の音声信号のうち処理セグメントの音声信号に対し、再びHann窓関数を乗算し、処理セグメントの長さの1/4だけずらして、前の処理セグメントの音声信号に加算する窓関数乗算ステップと、
    を有することを特徴とする音声信号変換方法。
  4. コンピュータに、
    2つのチャネルの入力音声信号のそれぞれについて、処理セグメントの長さの1/4ずつずらしながら読み出し、読み出した処理セグメントの音声信号に対し、Hann窓関数を乗算した後、離散フーリエ変換を施す変換ステップと、
    該変換ステップで離散フーリエ変換後の2つのチャネルの音声信号について、直流成分を無視して相関信号を抽出する抽出ステップと、
    該抽出ステップで抽出された相関信号または該相関信号及び無相関信号に対して、もしくは前記相関信号から生成された音声信号に対して、もしくは前記相関信号及び前記無相関信号から生成された音声信号に対して、離散フーリエ逆変換を施す逆変換ステップと、
    該逆変換ステップで離散フーリエ逆変換後の音声信号のうち処理セグメントの音声信号に対し、再びHann窓関数を乗算し、処理セグメントの長さの1/4だけずらして、前の処理セグメントの音声信号に加算する窓関数乗算ステップと、
    を実行させるためのプログラム。
  5. 請求項4に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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