JP2013241799A - 開口を有する鉄筋コンクリート梁又は柱の設計方法、設計装置、及び設計プログラム - Google Patents

開口を有する鉄筋コンクリート梁又は柱の設計方法、設計装置、及び設計プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも容易且つ精度よく開口を有する鉄筋コンクリート梁又は柱を設計できる技術を提供する。
【解決手段】主筋と、当該主筋と直交する補強筋と、円形又は矩形の開口とを有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計方法であって、開口が円形の場合には開口の径、開口が矩形の場合には当該開口の外接円の径、開口のかぶり厚、円形の開口の中心又は外接円の中心を通り主筋と直交する仮想直線と主筋との交点と当該仮想直線と円形の開口又は外接円との交点との間の距離、仮想直線と主筋との交点と仮想直線と主筋との交点から最も離れて配置された補強筋と主筋との交点との間の距離に基づいてせん断信頼強度を算出する。せん断信頼強度の算出には、トラス機構の角度に近似する近似角度を用いる。
【選択図】図8

Description

本発明は、開口を有する鉄筋コンクリート梁又は柱の設計方法、設計装置、及び設計プログラムに関する。
鉄筋コンクリート構造物の梁や柱に開口を設ける場合の日本建築学会の指針として、「RC造建物の終局強度型耐震設計指針」(終局指針)、及び「RC造建物の靱性保証型耐震設計指針」(靱性指針)がある(非特許文献1を参照)。
非特許文献1、すなわち日本建築学会では、有孔梁のせん断補強について、規定された必要補強範囲を満足することを条件にせん断信頼強度を与えている。ここで、図1、図2、図3は、従来の有孔梁の設計の解説図であり、図1は、従来の有孔梁の設計の解説図のうち、配筋状況を説明する図を示す。図2は、従来の有孔梁の設計の解説図のうち、トラス作用を説明する図を示す。図3は、従来の有孔梁の設計の解説図のうち、孔の近傍でのトラス作用を説明する図を示す。図1において、Hは円孔(開口)の直径(長方形孔の場合、その外接円の直径)、Gは孔の両脇のあばら筋(補強筋)の間隔、yは材軸から孔の中心までの偏心距離である。図2においてφは孔の上下でのコンクリートの圧縮応力の傾きを表し、水平方向の矢印は、主筋による付着力を表し、鉛直方向の矢印は、横補強筋の引張応力によってコンクリートに与えられる締め付け力を表す。また、図2、図3において、ハッチのない部分は、コンクリートの圧縮応力が流れない領域を示す。このハッチのない領域が広がるほど、孔の周辺のハッチ領域で負担しなければならない圧縮力は大きくなり、コンクリートが有する圧縮強度の制約から部材のせん断信頼強度が低下する。部材の最外側の主筋芯間距離を有効せいjとし、このjからハッチのない領域のせい、H/cosφ+Gtanφを差し引いた値は、「トラス作用の有効せいjew」と呼ばれ、jewは数1で与えられる。
Figure 2013241799
図1に示すように、孔の両脇の横補強は、(jew/2+y)cotφの範囲に施す必要があり、cotφs≦2と規定されていることから、補強の範囲(必要補強範囲)は数2とすれば十分とされている。
Figure 2013241799
そして、ハッチ領域のコンクリートに生ずる圧縮応力度σcwは、数3で表される。
Figure 2013241799
ここで、コンクリートに生ずる圧縮応力度σcwが、せん断力が作用している部材のコンクリートの有効圧縮強度νσに等しいとすると、νσ=σcwであることから、φに関して数4が得られる。
Figure 2013241799
通常のあばら筋による補強の有孔梁のせん断信頼強度は、数5で表される。
Figure 2013241799
ここで、数5には、jewの中にもcotφが含まれており、設計式として煩雑である。そこで、建築学会の指針(従来技術)では、G=1.2Hとし、3本の折れ線で近似する式(数6、数7,数8)を得て、これらの3式の最小値がせん断信頼強度を与えるものとしている。図4は、従来の有孔梁の設計の解説図のうち、従来の指針による有孔梁せん断信頼強度の精解と近似解を説明する図を示す。
Figure 2013241799
Figure 2013241799
Figure 2013241799
社団法人日本建築学会著、「鉄筋コンクリート造建物の靱性保証型耐震設計指針・同解説」、社団法人日本建築学会、1999年、p.142―175
建築学会の指針(従来技術)では、G(孔(開口)の両脇の横補強筋の間隔)=1.2H(円孔の直径)とし、3本の折れ線で近似する式(数6、数7,数8)を得て、これらの3式の最小値がせん断信頼強度を与えるものとしている。この建築学会の指針(従来技術)によれば、cotφを含む式に比べて容易にせん断信頼強度を算出することができる。但し、この建築学会の指針(従来技術)は、cotφを含む式を用いてせん断信頼強度を算出する場合(数5)に比べて精度が低いことが懸念される。また、建築学会の指針(従来技術)では、有孔梁のせん断補強について、規定された必要補強範囲を満足することを条件にせん断信頼強度を与えており、必要補強範囲を満足しない場合、建築学会の指針を用いることができない。また、この建築学会の指針(従来技術)は、開口が一つの場合の設計法を解説したものである。そのため、複数の孔を設ける場合には、「孔芯間隔が孔径の3倍以上離すことで複数の孔を設けたことによる影響を無視することができる」といった「RC構造計算基準」(建築学会)の間接的な表現を拠り所として慣習的に設計されていた。そのため、複数の孔を配置する場合に、本来的には孔同士の間隔をより狭くすることができるにも関わらず、孔同士の間隔を広げざるを得ないなど、設計の自由度が失われることが懸念される。このように、建築学会の指針では、孔径、偏心、孔芯同士の距離を適切に合理的に評価することができなかった。
本発明は、上記の問題に鑑み、従来よりも容易且つ精度よく開口を有する鉄筋コンクリート梁又は柱の設計をできる技術を提供することを課題とする。
本発明では、上記課題を解決するため、鉄筋コンクリート内部の応力伝達機構としてのトラス機構の角度に近似する近似角度を用いてせん断信頼強度を算出することとした。
詳細には、本発明は、主筋と、当該主筋と直交する補強筋と、円形又は矩形の開口とを有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計方法であって、前記開口が円形の場合には開口の径、前記開口が矩形の場合には当該開口の外接円の径、前記開口のかぶり厚、前記円形の開口の中心又は前記外接円の中心を通り前記主筋と直交する仮想直線と前記主筋との交点と当該仮想直線と前記円形の開口又は前記外接円との交点との間の距離、前記仮想直線と前記主筋との交点と前記仮想直線と前記主筋との交点から最も離れて配置された補強筋と前記主筋との交点との間の距離に基づいてせん断信頼強度を算出し、前記せん断信頼強度の算出において、前記鉄筋コンクリート内部の応力伝達機構としてのトラス機構であって、コンクリート又は主筋の圧縮力、主筋の引張力、斜め方向のコンクリートの圧縮力、及び補強筋の引張力の釣合いを示すトラス機構の角度に近似する近似角度を用いてせん断信頼強度を算出する。
本発明に係る開口を有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計方法では、トラス機構の角度に近似する近似角度を用いてせん断信頼強度を算出することで、開口の径、開口のかぶり厚、各交点間の距離など、図面から把握可能な数値に基づいて容易にせん断信頼強度を算出することができる。また、建築学会の指針(従来技術)に基づいてせん断信頼強度を算出する場合に比べて算出の精度を向上することができる。
ここで、前記せん断信頼強度の算出において、前記開口が複数ある場合、隣接する円形の開口の中心間の距離、隣接する矩形の開口の外接円の中心間の距離、又は円形の開口の中心と当該円形の開口に隣接する矩形の開口の外接円の中心との間の距離に更に基づいてせん断信頼強度を算出することができる。本発明によれば、開口が複数設けられている場合においても、容易且つ精度よくせん断信頼強度を算出することができる。また、開口同士の距離を最適にすることができ、従来の指針に従うことで開口同士の距離を必要以上に広げる必要も無く、設計の自由度を向上することができる。また、本発明によれば、開口の径、開口同士の距離を適切に合理的に評価することができる。
また、前記せん断信頼強度の算出において、前記開口が偏心している場合、偏心距離に更に基づいてせん断信頼強度を算出することができる。これにより、より精度良くせん断信頼強度を算出することができる。そして、本発明によれば、開口の径、偏心、開口の位置を適切に合理的に評価することができる。偏心は、上記仮想直線状の基準点に対する偏心とすることができる。基準点は、梁又は柱の部材軸の中心とすることができる。
また、前記せん断信頼強度の算出において、前記開口が複数ある場合、又は前記開口が偏心している場合、前記開口を基準としてせん断信頼強度を算出する対象領域を区分けし、対象領域毎にせん断信頼強度を算出するようにしてもよい。これにより、より精度よくせん断信頼強度を算出することができる。
ここで、本発明は、開口を有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計装置として特定することができる。具体的には、本発明は、主筋と、当該主筋と直交する補強筋と、円形又は矩形の開口とを有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計装置であって、前記開口が円形の場合には開口の径、前記開口が矩形の場合には当該開口の外接円の径、前記開口のかぶり厚、前記円形の開口の中心又は前記外接円の中心を通り前記主筋と直交する仮想直線と前記主筋との交点と当該仮想直線と前記円形の開口又は前記外接円との交点との間の距離、前記仮想直線と前記主筋との交点と前記仮想直線と前記主筋との交点から最も離れて配置された補強筋と前記主筋との交点との間の距離に基づいてせん断信頼強度を算出する処理装置を備え、前記せん断信頼強度の算出において、前記鉄筋コンクリート内部の応力伝達機構としてのトラス機構であって、コンクリート又は主筋の圧縮力、主筋の引張力、斜め方向のコンクリートの圧縮力、及び補強筋の引張力の釣合いを示すトラス機構の角度に近似する近似角度を用いてせん断信頼強度を算出する。
開口を有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計装置は、例えば汎用のコンピュータによって構成することができる。開口を有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計装置は、開口の径などの情報の入力を受け付ける入力装置、情報や処理装置による算出結果を出力する出力装置を更に備える構成としてもよい。
また、本発明は、開口を有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計プログラムとして特定することもできる。具体的には、本発明は、主筋と、当該主筋と直交する補強筋と、円形又は矩形の開口とを有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計プログラムであって、コンピュータに、前記開口が円形の場合には開口の径、前記開口が矩形の場合には当該開口の外接円の径、前記開口のかぶり厚、前記円形の開口の中心又は前記外接円の中心を通り前記主筋と直交する仮想直線と前記主筋との交点と当該仮想直線と前記円形の開口又は前記外接円との交点との間の距離、前記仮想直線と前記主筋との交点と前記仮想直線と前記主筋との交点から最も離れて配置された補強筋と前記主筋との交点との間の距離に基づいてせん断信頼強度を算出させるステップを実行させ、前記せん断信頼強度の算出において、前記鉄筋コンクリート内部の応力伝達機構としてのトラス機構であって、コンクリート又は主筋の圧縮力、主筋の引張力、斜め方向のコンクリートの圧縮力、及び補強筋の引張力の釣合いを示すトラス機構の角度に近似する近似角度を用いてせん断信頼強度を算出する。
また、本発明は、上記プログラムを記録した記録媒体として特定することもできる。この場合、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。なお、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
本発明によれば、従来よりも容易且つ精度よく開口を有する鉄筋コンクリート梁又は柱の設計をできる技術を提供することができる。
従来の有孔梁の設計の解説図のうち、配筋状況を説明する図を示す。 従来の有孔梁の設計の解説図のうち、トラス作用を説明する図を示す。 従来の有孔梁の設計の解説図のうち、孔の近傍でのトラス作用を説明する図を示す。 従来の有孔梁の設計の解説図のうち、従来の指針による有孔梁せん断信頼強度の精解と近似解を説明する図を示す。 実施形態に係る鉄筋コンクリートの梁を示す。 実施形態に係る鉄筋コンクリートの梁の設計装置の構成を示す。 実施形態に係るせん断信頼強度の算出処理フローを示す。 入力画面の一例を示す。 トラス機構の角度φsを算定するときの近似のイメージ図を示す。 開口の上下で異なるトラス機構の角度φとしてせん断信頼強度を算出したイメージ図を示す。
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、複数の開口を有し、かつ、開口が偏心している鉄筋コンクリートの梁の設計方法を例に説明する。
<実施形態>
<<鉄筋コンクリートの梁の構成>>
図5は、実施形態に係る開口を有する鉄筋コンクリートの梁を示す。図5に示すように、実施形態に係る鉄筋コンクリートの梁は、断面が長方形であり、梁の軸方向に伸びる複数の主筋と、この主筋と直交するように配置された複数の補強筋と、コンクリートとによって構成され、鉄筋コンクリートには径の異なる複数の開口が形成されている。後述する実施形態に係る鉄筋コンクリートの梁の設計方法によれば、図5に示すような複数の開口を有し、かつ、開口が偏心している鉄筋コンクリートのせん断信頼強度を従来よりも容易且つ精度よく算出することができる。以下、詳細に説明する。
<<設計装置の構成>>
図6は、実施形態に係る鉄筋コンクリートの梁の設計装置(以下、単に設計装置とする)の構成を示す。設計装置1は、汎用のコンピュータによって構成され、CPU5(中央演算処理装置)及びメモリ6を有する処理装置2、キーボード、マウスからなる入力装置3、ディスプレイからなる表示装置4を備える。入力装置3は、開口の径、かぶり厚等の情報の入力を受け付ける。CPU5は、メモリに格納された、せん断信頼強度を算出する設計プログラムを実行し、入力装置3を介して入力される情報(開口の径、かぶり厚等)に基づいて、せん断信頼強度を算出する。表示装置4は、入力装置3を介して入力される情報、算出結果を表示する。なお、設計装置1は、タブレット端末、携帯端末によって構成してもよい。また、タブレット端末や携帯端末では、情報の受け付け、算出結果の表示のみを行い、タブレット端末や携帯端末とネットワークを介して接続されたサーバ上でせん断信頼強度の算出を行うようにしてもよい。
<<せん断信頼強度の算出処理>>
図7は、せん断信頼強度の算出処理フローを示す。算出処理は、設計プログラムが起動されることで開始される。ステップ01では、処理装置2は、表示装置4に入力画面を表
示させ、せん断信頼強度を算出するために必要な情報の入力を受け付ける。ここで、図8は、入力画面の一例を示す。図8に示す入力画面には、画面左側に入力欄が表示され、画面右側にイメージ図が表示されている。入力欄に入力される値の単位は、図8ではmmである。図8に示す入力欄は、イメージ図の中央の開口を基準としたものであり、図示は省略するが各開口について同様の入力欄が表示される。なお、入力画面には、入力欄のみを表示するようにしてもよい。また、入力画面にイメージ図のみを表示し、情報をイメージ図に直接入力できるようにしてもよい。
中央の開口の径Hは、イメージ図の中央の開口の直径である。左側の開口の径Hは、イメージ図の左側の開口の直径である。右側の開口の径Hは、イメージ図の右側の開口の直径である。開口のかぶり厚Cは、開口から補強筋までの距離である。開口のかぶり厚Cは、いずれも同じとすることが好ましい。距離Lは、中央の開口の中心から隣接する左側の開口の中心までの水平距離である。距離Lは、中央の開口の中心から隣接する右側の開口の中心までの水平距離である。偏心yは基準線から中央の開口の中心までの垂直距離である。距離aは、仮想直線と上側の主筋との交点と左側の配筋可能範囲に配置された補強筋のうち、仮想直線と上側の主筋との交点から最も離れて配置された補強筋と上側の主筋との交点との間の距離である。距離bは、中央の開口の中心を通り主筋と直交する仮想直線と上側の主筋との交点と当該仮想直線と中央の開口との交点との間の距離である。距離cは、仮想直線と下側の主筋との交点と右側の配筋可能範囲に配置された補強筋のうち、仮想直線と下側の主筋との交点から最も離れて配置された補強筋と下側の主筋との交点との間の距離である。距離dは、仮想直線と下側の主筋との交点と当該仮想直線と中央の開口との交点との間の距離である。せん断信頼強度を算出するために必要な情報が入力されると、ステップS02へ進む。
ステップS02では、処理装置2は、入力された情報に基づいてせん断信頼強度を算出
する。以下、負のせん断力(外力が反時計回り)を例に説明する。
まず、実施形態のような有孔梁(開口を有する梁)と無孔梁(開口を有しない梁)とのせん断信頼強度との差異は数9で表される。φは小さい方がせん断力が大きくなるが、建築学会の指針において制限が規定されており、本実施形態でもこれに従う。数9を展開すると数10のように表される。
Figure 2013241799
Figure 2013241799
ここで、数10には、cotφを定義する式にcosφが含まれている。そのため、数10からcotφを求めるのは非常に煩雑となる。そこで、cotφを求める際においては、数11のように近似する。具体的な近似方法は、cosφを無視するものとする。
Figure 2013241799
その結果、数10は、数12のように表される。
Figure 2013241799
ここで、図9は、φを算定するときの近似のイメージ図を示す。図9に示すように、本実施形態では、真のφに代えて近似φ´を用いる。真のφは、従来の建築学会の指針にもあるトラス機構の角度である。この本来のトラス機構の角度φは、主筋に対応する直線と、開口から最も離れて補強筋と主筋との交点を始点とし円形の開口に接する斜線とのなす角度である。これに対し、近似φ´は、主筋に対応する直線と、開口から最も離れて補強筋と主筋との交点と、円形の開口の中心を通る仮想直線(垂直仮想線)と開口との交点とを通る近似斜線とのなす角度である。このように真のφに代えて近似φ´を用いることで、数10を数12のように一意に定めることができる。
ここで、数12を簡略化するため、数13のように表す。すると、各三角関数は、数14のように表される。
Figure 2013241799
Figure 2013241799
ここで、コンクリート圧縮束に生ずる圧縮応力σcwは、数15のような既存式によって表される。
Figure 2013241799
有効圧縮強度と圧縮応力との間に数16の関係が成り立つと、左右の補強筋比が等しいことを条件として数15は、数17のように表される。左右の補強筋比が異なる場合は、小さい方の値とすれば安全に設計できる。
Figure 2013241799
Figure 2013241799
なお、有効梁のせん断信頼強度は、数18のような既存式によって表される。補強筋の補強限界は、数19のように表される
Figure 2013241799
Figure 2013241799
ここで、開口の上下で分割すると、数18は、数20のように表される。更に数20を数13に基づいて簡略化すると、数21のように表される。
Figure 2013241799
Figure 2013241799
以上説明した算出手順を梁または柱に作用するせん断力の向きを正負両方向について実行し、最小値をせん断信頼強度とする。数21に示すように、近似角度φ´を用いたことで、有効梁のせん断信頼強度を、有効幅、有効せい、開口の直径、開口のかぶり厚、距離a、距離b、距離c、距離dといった何れも図面から求められる値で算出することが可能となる。なお、開口の両脇の補強筋比、補強筋の信頼強度は、使用する鉄筋の種類や配置に応じて適宜設定することができる。せん断信頼強度が算出されると、ステップS03へ進む。
ステップS03では、処理装置2は、算出結果を出力する。具体的には、処理装置2は、算出結果としてのせん断信頼強度を表示装置4に表示する。以上により、せん断信頼強度の算出処理が完了する。
<効果>
実施形態に係る鉄筋コンクリートの梁の設計方法によれば、トラス機構の角度φに近似する近似角度φ´を用いてせん断信頼強度を算出することで、開口の径、開口のかぶり厚、各交点間の距離など、図面から把握可能な数値に基づいて容易にせん断信頼強度を算出することができる。なお、近似角度φ´による誤差は±2%程度であり、十分な精
度であることが確認された。そしてこの精度は、建築学会の指針と比較して高い精度であることが確認された。
また、従来、複数の開口を設ける場合、「孔芯間隔が孔径の3倍以上離すことで複数の孔を設けたことによる影響を無視することができる」といった「RC構造計算基準」(建築学会)の間接的な表現を拠り所として慣習的に設計されていた。そのため、複数の開口を配置する場合に、本来的には開口同士の間隔をより狭くすることができるにも関わらず、開口同士の間隔を広げざるを得ないなど、設計の自由度が失われることが懸念されていた。これに対し、実施形態に係る鉄筋コンクリートの梁の設計方法によれば、開口の径、開口のかぶり厚、偏心、開口部同士の距離、距離a〜d(換言するとトラス機構の角度φ)の値を適宜変更しながら、せん断信頼強度を算出し、これらを合理的に評価することができる。つまり、従来よりも開口同士の間隔を狭くした上でせん断信頼強度を算出したり、開口の位置を適宜偏心させてせん断強度を算出することができ、設計の自由度も向上することができる。
更に、実施形態に係る鉄筋コンクリートの梁の設計方法によれば、図10に示すように、開口の上下で異なるトラス機構の角度φとしてせん断信頼強度を算出し、評価することができる。そのため、開口の径、開口同士の間隔、偏心をより細かく評価することができ、設計の自由度を向上することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る開口を有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計方法はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。
なお、実施形態では、鉄筋コンクリートの梁を例に説明したが、実施形態に係る設計方法は、開口を有する鉄筋コンクリートの柱にも用いることができる。また、実施形態では、円形の開口を例に説明したが、開口は矩形でもよい。この場合、円形の開口に代えて、矩形の開口の外接円を用いてせん断信頼強度を算出することができる。また、実施形態では、鉄筋コンクリートの梁の設計処理を、汎用のコンピュータに実行させる場合を例に説明したが、せん断信頼強度の算出は、例えば卓上計算機を用いて人が行うこともできる。
1・・・設計装置
2・・・処理装置
3・・・入力装置
4・・・表示装置
5・・・CPU
6・・・メモリ

Claims (6)

  1. 主筋と、当該主筋と直交する補強筋と、円形又は矩形の開口とを有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計方法であって、
    前記開口が円形の場合には開口の径、前記開口が矩形の場合には当該開口の外接円の径、前記開口のかぶり厚、前記円形の開口の中心又は前記外接円の中心を通り前記主筋と直交する仮想直線と前記主筋との交点と当該仮想直線と前記円形の開口又は前記外接円との交点との間の距離、前記仮想直線と前記主筋との交点と前記仮想直線と前記主筋との交点から最も離れて配置された補強筋と前記主筋との交点との間の距離に基づいてせん断信頼強度を算出し、
    前記せん断信頼強度の算出において、前記鉄筋コンクリート内部の応力伝達機構としてのトラス機構であって、コンクリート又は主筋の圧縮力、主筋の引張力、斜め方向のコンクリートの圧縮力、及び補強筋の引張力の釣合いを示すトラス機構の角度に近似する近似角度を用いてせん断信頼強度を算出する、開口を有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計方法。
  2. 前記せん断信頼強度の算出において、前記開口が複数ある場合、隣接する円形の開口の中心間の距離、隣接する矩形の開口の外接円の中心間の距離、又は円形の開口の中心と当該円形の開口に隣接する矩形の開口の外接円の中心との間の距離に更に基づいてせん断信頼強度を算出する請求項1に記載の開口を有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計方法。
  3. 前記せん断信頼強度の算出において、前記開口が偏心している場合、偏心距離に更に基づいてせん断信頼強度を算出する請求項1又は2に記載の開口を有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計方法。
  4. 前記せん断信頼強度の算出において、前記開口が複数ある場合、又は前記開口が偏心している場合、前記開口を基準としてせん断信頼強度を算出する対象領域を区分けし、対象領域毎にせん断信頼強度を算出する請求項1から3の何れか1項に記載の開口を有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計方法。
  5. 主筋と、当該主筋と直交する補強筋と、円形又は矩形の開口とを有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計装置であって、
    前記開口が円形の場合には開口の径、前記開口が矩形の場合には当該開口の外接円の径、前記開口のかぶり厚、前記円形の開口の中心又は前記外接円の中心を通り前記主筋と直交する仮想直線と前記主筋との交点と当該仮想直線と前記円形の開口又は前記外接円との交点との間の距離、前記仮想直線と前記主筋との交点と前記仮想直線と前記主筋との交点から最も離れて配置された補強筋と前記主筋との交点との間の距離に基づいてせん断信頼強度を算出する処理装置を備え、
    前記せん断信頼強度の算出において、前記鉄筋コンクリート内部の応力伝達機構としてのトラス機構であって、コンクリート又は主筋の圧縮力、主筋の引張力、斜め方向のコンクリートの圧縮力、及び補強筋の引張力の釣合いを示すトラス機構の角度に近似する近似角度を用いてせん断信頼強度を算出する、開口を有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計装置。
  6. 主筋と、当該主筋と直交する補強筋と、円形又は矩形の開口とを有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計プログラムであって、
    コンピュータに、
    前記開口が円形の場合には開口の径、前記開口が矩形の場合には当該開口の外接円の径、前記開口のかぶり厚、前記円形の開口の中心又は前記外接円の中心を通り前記主筋と直
    交する仮想直線と前記主筋との交点と当該仮想直線と前記円形の開口又は前記外接円との交点との間の距離、前記仮想直線と前記主筋との交点と前記仮想直線と前記主筋との交点から最も離れて配置された補強筋と前記主筋との交点との間の距離に基づいてせん断信頼強度を算出するステップを実行させ、
    前記せん断信頼強度を算出するステップでは、前記鉄筋コンクリート内部の応力伝達機構としてのトラス機構であって、コンクリート又は主筋の圧縮力、主筋の引張力、斜め方向のコンクリートの圧縮力、及び補強筋の引張力の釣合いを示すトラス機構の角度に近似する近似角度を用いてせん断信頼強度が算出される、開口を有する鉄筋コンクリートの梁又は柱の設計プログラム。
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