JP2013235777A - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温焼成でも、安定した品質と長寿命を備えた有機EL素子の製造方法を提供する。
【解決手段】下地基板上に層間絶縁層を形成する層間絶縁層形成工程と、前記層間絶縁層上に、複数の画素電極を形成する画素電極形成工程と、前記複数の画素電極のそれぞれに対応した位置に開口部を有する隔壁層を、前記層間絶縁層上に形成する隔壁層形成工程と、を含む有機EL素子の製造方法であって、前記層間絶縁層形成工程において、前記層間絶縁層は、層間絶縁層用樹脂材料を層間絶縁層用溶媒に溶解させた層間絶縁層用溶液を用いて形成され、前記隔壁層形成工程において、前記隔壁層は、隔壁層用樹脂材料を隔壁層用溶媒に溶解させた隔壁層用溶液を用いて形成され、前記層間絶縁層用樹脂材料のSP値と前記隔壁層用溶媒のSP値との差が、1.2以上であることを特徴とする。
【選択図】図9

Description

本発明は、有機EL素子の製造方法に関する。
近年、表示装置に有機EL素子を利用したものが普及しつつある。有機EL素子は、自己発光を行うため視認性が高く、さらに完全固体素子であるため耐衝撃性に優れるなどの特徴を有する。
有機EL素子は電流駆動型の発光素子であり、陽極及び陰極の電極対の間に、キャリアの再結合による電界発光現象を行う有機発光層や、陽極および陰極からのキャリアの注入を促進するための正孔注入層や電子注入層等の機能層を積層して構成される。また、これらの機能層の他に、有機発光層等の膜厚が均一形成されるように、TFTが形成された基板の表面を平坦化するための層間絶縁層や、発光領域を規定するための隔壁層といった絶縁膜を備えている。
絶縁膜としては、例えば、シロキサンポリマーを含む樹脂を焼成(加熱処理。ベークともいう。)し、溶媒の揮発と低分子成分の架橋反応とを進行させることによって得られる絶縁膜が知られている(例えば、特許文献1)。
このような絶縁膜では、使用される溶媒が焼成によって全て揮発して消失してしまうわけではなく、一部の溶媒が絶縁膜中に存在している。絶縁膜中に溶媒が存在すると、有機EL素子を構成する各種物質と反応することにより、有機EL素子の輝度低下、非発光化、短寿命化および歩留まり低下等の問題を引き起こす原因となる場合がある。例えば、層間絶縁層中の残存溶媒が、隔壁層の焼成の際にアウトガスとなって発生し、画素電極の表面の平滑性を低下させて、上記の問題を引き起こす場合がある。そこで、特許文献2には、層間絶縁層(特許文献2においては「平坦化絶縁膜」)を焼成する温度を、隔壁層(特許文献2においては「電極間絶縁膜」)を焼成する温度よりも高くして、隔壁層を焼成する工程において層間絶縁層からアウトガスが発生するのを抑制する構成が開示されている。
特開2006−128638号公報 特開2005−227519号公報
しかしながら、例えば、基板に樹脂等の耐熱性があまり高くない材料を用いる場合など、層間絶縁層を高温で焼成することが出来ない場合には、溶媒が揮発しにくく残存しやすくなる。そのため、残存溶媒がアウトガスを発生させるなどして短寿命化や輝度低下等の問題を引き起こす虞が高まるという問題がある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、低温焼成でも、品質の安定性や長寿命を実現することができる有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様である有機EL素子の製造方法は、下地基板上に層間絶縁層を形成する層間絶縁層形成工程と、前記層間絶縁層上に、複数の画素電極を形成する画素電極形成工程と、前記複数の画素電極のそれぞれに対応した位置に開口部を有する隔壁層を、前記層間絶縁層上に形成する隔壁層形成工程と、を含み、前記層間絶縁層形成工程において、前記層間絶縁層は、層間絶縁層用樹脂材料を層間絶縁層用溶媒に溶解させた層間絶縁層用溶液を用いて形成され、前記隔壁層形成工程において、前記隔壁層は、隔壁層用樹脂材料を隔壁層用溶媒に溶解させた隔壁層用溶液を用いて形成され、前記層間絶縁層用樹脂材料のSP値と前記隔壁層用溶媒のSP値との差が、1.2以上であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法においては、層間絶縁層の材料である層間絶縁層用樹脂材料のSP(溶解パラメータ:Solubility Parameter)値と、隔壁層の材料である隔壁層用樹脂を溶解させる隔壁層用溶媒のSP値との差が、1.2以上であり、層間絶縁層用樹脂材料と隔壁層用溶媒との親和性が低い。従って、隔壁層形成工程において、先に形成された層間絶縁層に隔壁層用溶媒が浸透しにくく、隔壁層形成後に層間絶縁層中に残存している隔壁層用溶媒の量が少なくなる。これにより、層間絶縁層から発生するアウトガス量を低下させることができ、寿命劣化や輝度劣化等の問題の発生を抑制することができる。
本発明の一態様に係る有機EL表示装置の構成を示す模式ブロック図である。 本発明の実施形態に係る有機EL素子を備えた有機EL表示パネルの構成を模式的に示す部分断面図である。 本発明の実施形態に係る有機EL素子を備えた有機EL表示パネルの製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、基板上にTFT層および層間絶縁層が形成された状態を示す部分断面図であり、(b)は、層間絶縁層上に画素電極が形成された状態を示す部分断面図であり、(c)は、層間絶縁層および画素電極上に隔壁層用材料が塗布された状態を示す部分断面図である。 図3の続きの有機EL表示パネルの製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、隔壁層が形成された状態を示す部分断面図であり、(b)は、隔壁層の開口部内において画素電極上に正孔注入層が形成された状態を示す部分断面図であり、(c)は、隔壁層の開口部内において正孔注入層上に正孔輸送層が形成された状態を示す部分断面図である。 図4の続きの有機EL表示パネルの製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、隔壁層の開口部内において正孔輸送層上に発光層が形成された状態を示す部分断面図であり、(b)は、発光層および隔壁層上に電子輸送層が形成された状態を示す部分断面図であり、(c)は、電子輸送層上に電子注入層が形成された状態を示す部分断面図である。 図5の続きの有機EL表示パネルの製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、電子注入層上に対向電極が形成された状態を示す部分断面図であり、(b)は、対向電極上に封止層が形成された状態を示す部分断面図である。 本発明の実施形態に係る有機EL素子を備えた有機EL表示パネルの製造過程を示す模式工程図である。 隔壁層形成の際に、溶媒にPGMEAを用いた試料と、乳酸エチルとγブチロラクトンの混合溶媒を用いた試料とについて行った発光試験の結果を示すグラフである。 (a)は、層間絶縁層用樹脂と隔壁層用溶媒とのSP値差と、非発光面積との関係を示すグラフであり、(b)は、層間絶縁層用溶媒と隔壁層用溶媒とのSP値差と、非発光面積との関係を示すグラフである。 層間絶縁層のアウトガス測定結果を示す図であって、(a)は、250℃で焼成した層間絶縁層のアウトガス測定結果を示すグラフであり、(b)は、230℃で焼成した層間絶縁層のアウトガス測定結果を示すグラフであり、(c)は、焼成温度と、アウトガス発生量および非発光化発生の有無との関係を示すテーブルである。 有機EL素子の製造において、層間絶縁層および隔壁層の形成の際に一般的に使用される代表的な樹脂および溶媒のSP値を示す表である。
≪本発明の一態様の概要≫
本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法は、下地基板上に層間絶縁層を形成する層間絶縁層形成工程と、前記層間絶縁層上に画素電極をサブピクセルごとに形成する画素電極形成工程と、前記複数の画素電極のそれぞれに対応した位置に開口部を有する隔壁層を前記層間絶縁層上に形成する隔壁層形成工程と、を含み、前記層間絶縁層形成工程において、前記層間絶縁層は、層間絶縁層用樹脂材料を層間絶縁層用溶媒に溶解させた層間絶縁層用溶液を用いて形成され、前記隔壁層形成工程において、前記隔壁層は、隔壁層用樹脂材料を隔壁層用溶媒に溶解させた溶液を用いて形成され、前記層間絶縁層用樹脂材料のSP値と前記隔壁層用溶媒のSP値との差が、1.2以上であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法の特定の局面では、前記層間絶縁層用溶媒のSP値と前記隔壁層用溶媒のSP値との差が、1.1以上であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法の特定の局面では、前記層間絶縁層用樹脂材料のSP値と前記隔壁層用溶媒のSP値との差が、2.7以上であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法の特定の局面では、前記層間絶縁層用溶媒のSP値と前記隔壁層用溶媒のSP値との差が、2.6以上であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法の特定の局面では、前記層間絶縁層のアウトガス発生量は、ガスクロマトグラフィーを用いて検出した場合に、前記層間絶縁層の面積1cm2で厚み1μmの体積当たりのトルエン置換値が、100ng以上であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法の特定の局面では、前記層間絶縁層形成工程において、前記層間絶縁層は、前記下地基板上に前記層間絶縁層用溶液を塗布した後に焼成して形成され、前記焼成温度は、210℃以下であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法の特定の局面では、前記層間絶縁層用樹脂材料は、アクリル系樹脂であり、前記隔壁層用溶媒は、乳酸エチルおよびγブチロラクトンの混合溶液であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法の特定の局面では、前記下地基板は、樹脂から成る基板と、前記基板上に形成された駆動素子層とを含むことを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法の特定の局面では、前記隔壁層形成工程の後に、前記画素電極の上方に電子注入層を形成する電子注入層形成工程を更に含むことを特徴とする。
以下、具体例を示し、構成および作用・効果を説明する。
なお、以下の説明で用いる実施形態は、本発明の一態様に係る構成および作用・効果を分かりやすく説明するために用いる例示であって、本発明は、その本質的部分以外に何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
≪実施形態≫
[1.有機EL表示装置の全体構成]
以下では、実施形態に係る有機EL素子を含む有機EL表示装置の構成について図1を用い説明する。
図1は、有機EL表示装置1000の構成を示す模式ブロック図である。図1に示すように、有機EL表示装置1000は、有機EL表示パネル100と、これに接続された駆動制御部200とを有し構成されている。有機EL表示パネル100は、有機材料の電界発光現象を利用したパネルであり、複数の有機EL素子1(図2参照)が、例えば、マトリクス状に配列され構成されている。駆動制御部200は、4つの駆動回路210〜240と制御回路250とから構成されている。
なお、実際の有機EL表示装置1000では、有機EL表示パネル100に対する駆動制御部200の配置については、これに限られない。
[2.有機EL素子の構成]
本実施形態に係る有機EL素子1の構成について、図2を用い説明する。
図2は、有機EL表示パネル100の一部拡大断面図であり、1つの有機EL素子1に相当する部分の断面図である。本実施形態においては、1つの有機EL素子1は、1つの画素(サブピクセル)に対応している。有機EL表示パネル100は、同図上側を表示面とする、いわゆるトップエミッション型である。
図2に示すように、有機EL表示パネル100は、基板11、層間絶縁層12、画素電極13、隔壁層14、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17、電子輸送層18、電子注入層19、対向電極20、および封止層21を備える。なお、基板11、層間絶縁層12、電子輸送層18、電子注入層19、対向電極20、および封止層21は、画素ごとに形成されているのではなく、有機EL表示パネル100が備える複数の有機EL素子1に共通して形成されている。
<基板>
基板11は、絶縁材料として樹脂からなる基材111と、TFT(Thin Film Transistor)層112とを含む。TFT層112には、画素毎に駆動回路が形成されている。基材111が形成される樹脂としては、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂等の絶縁性材料が挙げられる。本実施形態においては、基材111は、樹脂から成り、具体的には、例えば、ポリイミド系樹脂である。
<層間絶縁層>
層間絶縁層12は、基板11上に形成されている。層間絶縁層12は、樹脂材料からなり、TFT層112の上面の段差を平坦化するためのものである。樹脂材料としては、例えば、ポジ型の感光性材料が挙げられる。また、このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。また、図2の断面図には示されていないが、層間絶縁層12には、画素毎にコンタクトホールが形成されている。
<画素電極>
画素電極13は、層間絶縁層12上に形成されている。画素電極13は、導電材料からなり、陽極として機能している。画素電極13は、画素毎に個々に設けられ、コンタクトホールを通じてTFT層112と電気的に接続されている。本実施形態においては、トップエミッション型であるので、画素電極13は、光反射性を具備するとよい。光反射性を具備する導電材料としては、金属が挙げられる。具体的には、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、Mo(モリブデン)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、MoW(モリブデンとタングステンの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などがある。
また、ボトムエミッション型の場合には、画素電極13は、光透過性を具備するとよい。また、光透過性を具備する導電材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)などがある。
<隔壁層>
隔壁層14は、画素電極13の上面の一部の領域を露出させ、その周辺の領域を被覆した状態で画素電極13上に形成されている。画素電極13上面において隔壁層14で被覆されていない領域(以下、「開口部」という。)は、サブピクセルに対応している。即ち、隔壁層14は、サブピクセル毎に設けられた開口部14bを有する。
本実施形態においては、隔壁層14は、画素電極13が形成されていない部分においては、層間絶縁層12上に形成されている。即ち、画素電極13が形成されていない部分においては、隔壁層14の底面は層間絶縁層12の上面と接している。
隔壁層14は、例えば、絶縁性の有機材料(例えばアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂等)からなる。隔壁層14は、発光層17を塗布法で形成する場合には塗布されたインクがあふれ出ないようにするための構造物として機能し、発光層17を蒸着法で形成する場合には蒸着マスクを載置するための構造物として機能する。本実施形態では、隔壁層14は、樹脂材料からなり、隔壁層14の材料としては、例えば、ポジ型の感光性材料が挙げられる。また、このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。本実施形態においては、フェノール系樹脂が用いられている。
<正孔注入層>
正孔注入層15は、画素電極13から発光層17への正孔の注入を促進させる目的で、画素電極13上の開口部14b内に設けられている。正孔注入層15は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる層である。上記の内、酸化金属からなる正孔注入層15は、正孔(ホール)を安定的に、または正孔(ホール)の生成を補助して、発光層17に対し正孔(ホール)を注入する機能を有し、大きな仕事関数を有する。本実施の形態においては、正孔注入層15は、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる。
ここで、正孔注入層15を遷移金属の酸化物から構成する場合には、複数の酸化数をとるためこれにより複数の準位をとることができ、その結果、正孔注入が容易になり駆動電圧を低減することができる。
<正孔輸送層>
正孔輸送層16は、親水基を備えない高分子化合物を用い開口部14b内に形成されている。例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物であって、親水基を備えないものなどを用いることができる。
正孔輸送層16は、正孔注入層15から注入された正孔を発光層17へ輸送する機能を有する。
<発光層>
発光層17は、開口部14b内に形成されている。発光層17は、正孔と電子の再結合によりR、G、Bの各色の光を出射する機能を有する。発光層17の材料としては公知の材料を利用することができる。例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属鎖体、2−ビピリジン化合物の金属鎖体、シッフ塩とIII族金属との鎖体、オキシン金属鎖体、希土類鎖体等の蛍光物質を用いることができる。
<電子輸送層>
電子輸送層18は、発光層17上に形成されており、対向電極20から注入された電子を発光層17へ輸送する機能を有する。電子輸送層18は、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などを用い形成されている。
<電子注入層>
電子注入層19は、電子輸送層18条に形成されており、対向電極20から発光層17への電子の注入を促進させる機能を有する。電子注入層19は、例えば、リチウム、バリウム、カルシウム、カリウム、セシウム、ナトリウム、ルビジウム等の低仕事関数金属、及びフッ化リチウム等の低仕事関数金属塩、酸化バリウム等の低仕事関数金属酸化物などを用いて形成されている。
<対向電極>
対向電極20は、各サブピクセル共通に設けられており、陰極として機能している。対向電極20は、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等の導電性を有する光透過性材料で形成されている。
<封止層>
対向電極20の上には、発光層17が水分や空気等に触れて劣化することを抑制する目的で封止層21が設けられている。有機EL表示パネル100はトップエミッション型であるため、封止層21の材料としては、例えばSiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の光透過性材料が選択される。
<その他>
なお、図2には図示しないが、封止層21の上にカラーフィルターや上部基板を載置し、接合してもよい。上部基板の載置・接合により、水分および空気などから、正孔輸送層16、発光層17、電子輸送層18の保護が図られる。
[3.非発光領域発生とその想定メカニズム]
本願発明者らの研究によると、層間絶縁層12形成時に250℃および230℃で焼成した場合には、発光層17に非発光領域が発生しなかったが、210℃で焼成した場合には、発光層17の周縁部分に非発光領域が発生し、時間の経過とともに非発光領域の面積が増大する現象が観察された。
また、層間絶縁層12を形成せずに、基板11上に直接画素電極13〜封止層21を形成した場合には、非発光領域が発生しなかった。
このことから、非発光領域が発生する原因として、以下に説明する2つのメカニズムが考えられる。
(想定メカニズム1)
詳しくは、後述する有機EL素子の製造方法の項目にて説明するが、層間絶縁層12を形成する際には、層間絶縁層12の材料となる層間絶縁層用樹脂を層間絶縁層用溶媒に溶解させた層間絶縁層用溶液を基板11上に塗布した後、焼成(加熱)して層間絶縁層用樹脂の硬化反応を促進させるとともに層間絶縁層用溶媒を揮発させる。そしてその後、隔壁層14の材料となる隔壁層用樹脂を隔壁層用溶媒に溶解させた隔壁層用溶液を、層間絶縁層12および画素電極13上に塗布し、マスクを用いて露光および現像を行ってパターニングを行った後、焼成して隔壁層用樹脂の硬化反応を促進させるとともに隔壁層用溶媒を揮発させる。
層間絶縁層12形成の際の焼成を比較的低温(例えば、210℃)で行った場合、層間絶縁層用樹脂の硬化反応が十分進まずに、層間絶縁層12中には、未硬化部分が網目状に形成される。そして、その後、隔壁層14が形成される際に、隔壁層用溶液が層間絶縁層12上に塗布されると、画素電極13が形成されていない部分において、層間絶縁層12表層の未硬化部分に隔壁層用溶媒の一部が浸入する(図2の矢印A)。
その後、隔壁層14が形成されると、層間絶縁層12に侵入した隔壁層用溶媒は、隔壁層14によって蓋をされた状態となり、層間絶縁層12中にトラップされる。
そして、時間の経過とともに、層間絶縁層12から隔壁層14を通じて電子注入層19へと達し(図2の矢印B)、電子注入層19の電子注入性を低下させる。これにより、非発光領域が発生するのではないかと考えられる。
電子注入層19は、仕事関数の低い金属や金属塩、金属酸化物といった物質を用いて形成されている。即ち、電子注入層19を形成する物質は、酸化されやすく安定性が低いため、隔壁層用溶媒と接触すると容易に反応して変質し、電子注入性が低下してしまう。
(想定メカニズム2)
上記想定メカニズム1で説明したように、層間絶縁層12を比較的低温で焼成した場合、層間絶縁層12中には未硬化部分が網目状に形成される。このとき、当該未硬化部分には、第1の溶媒の一部も揮発せずに残存している。そして、その後、隔壁層14が形成される際に、隔壁層用溶液が層間絶縁層12上に塗布されると、画素電極13が形成されていない部分において、層間絶縁層12表層領域の未硬化部分に残存している第1の溶媒に第2の溶媒の一部が取り込まれる(図2の矢印A)。
そしてその後は、想定メカニズム1と同様にして、第2の溶媒が層間絶縁層12から隔壁層14を通じて電子注入層19へと達し(図2の矢印B)、電子注入層19の電子注入性を低下させて非発光領域が発生するのではないかと考えられる。
そこで、本願発明者は、想定メカニズム1については、層間絶縁層用樹脂と隔壁層用溶媒に、互いの親和性が比較的低いものを用いて、層間絶縁層12に隔壁層用溶媒が取り込まれにくくすることにより、非発光領域の発生を抑制することができると考えた。
想定メカニズム2については、層間絶縁層用溶媒と隔壁層用溶媒に、互いに親和性が比較的低いものを用いて、層間絶縁層12に残存している層間絶縁層用溶媒に隔壁層用溶媒が取り込まれにくくすることにより、非発光領域の発生を抑制することができると考えた。
樹脂溶媒間および溶媒同士の親和性を表す指標として、本実施形態においては、SP値を用いた。
[4.有機EL素子の製造方法]
本実施形態に係る有機EL素子の製造方法について以下に説明する。ここでは、層間絶縁層用樹脂にアクリル樹脂(メタクリル酸メチル:SP値=9.3)を用い、層間絶縁層用溶媒にPGMEA(propylene glycol methyl ether acetate:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:SP値=9.4)を用いて層間絶縁層12を形成した。また、隔壁層用樹脂にフェノール樹脂(SP値=11.3)を用い、隔壁層用溶媒に乳酸エチル(SP値=10.4)とGBL(γブチロラクトン)(SP値=13.6)を体積比50:50で混合した混合溶媒(SP値=12.0)を用いて隔壁層14を形成した。
次に、実施形態に係る有機EL素子1の製造方法について図3〜図7を用いて説明する。なお、図3〜図6は、有機EL素子1の製造過程を模式的に示す断面図であり、図7は、有機EL素子1の製造過程を示す模式工程図である。
まず、図3(a)に示すように、基材111上にTFT層112を成膜して基板11を形成し(図7のステップS1)、基板11上に層間絶縁層12を成膜する(図7のステップS2)。層間絶縁層12の材料である層間絶縁層用樹脂には、本実施形態においては、ポジ型の感光性材料であるアクリル樹脂(SP値=9.3)を用いる。層間絶縁層12は、層間絶縁層用樹脂であるアクリル樹脂を層間絶縁層用溶媒であるPGMEA(SP値=9.4)に溶解させた層間絶縁層用溶液を基板11上へ塗布し、成膜する。そしてその後、焼成を行う(図7のステップS3)。焼成は、150℃以上210℃以下の温度で180分間行う。
なお、図3〜図6に示す断面図および図7の工程図には現れないが、このとき、層間絶縁層12の各開口部14b(が形成される予定の領域)の間に該当する位置にコンタクトホールを形成する。コンタクトホールは、パターン露光と現像を行うことにより形成する。層間絶縁層12は焼成により硬くなるため、コンタクトホールの形成は、層間絶縁層12の焼成前に行う方が容易である。
そして、図3(b)に示すように、真空蒸着法またはスパッタ法に基づき、厚み150[nm]程度の金属材料からなる画素電極13を、サブピクセル毎に形成する(図7のステップS4)。
次に、画素電極13上に、隔壁層14の材料からなる隔壁材料層14aを形成する(図3(c))。隔壁層14の材料である隔壁層用樹脂には、例えば、ポジ型の感光性材料であるフェノール樹脂を用いる。隔壁材料層14aは、隔壁層用樹脂であるフェノール樹脂を隔壁層用溶媒である乳酸エチルとGBLの混合溶媒(SP値=12.0)に溶解させた隔壁層用溶液を画素電極13上にスピンコート法などを用いて一様に塗布し、形成される。
次に、隔壁材料層14aにパターン露光と現像を行うことで隔壁層14を形成し(図4(a)、図7のステップS5)、この隔壁層14を焼成する。これにより、発光層17の形成領域となる開口部14bが規定される。隔壁層14の焼成は、150℃以上210℃以下の温度で60分間行う。
また、隔壁層14の形成工程においては、さらに、開口部14bに塗布するインク(溶液)に対する隔壁層14の接触角を調節する、もしくは、表面に撥水性を付与するために隔壁層14の表面を所定のアルカリ性溶液や水、有機溶媒等によって表面処理するか、プラズマ処理を施すこととしてもよい。
そして、図4(b)に示すように、マスク蒸着法やインクジェットによる塗布法により、正孔注入層15を製膜し、焼成する(図7のステップS6)。
次に、図4(c)に示すように、隔壁層14が規定する開口部14bに対し、正孔輸送層16の構成材料を含むインク塗布と、これの焼成(乾燥)とを経て、正孔輸送層16を形成する(図7のステップS7)。
同様に、図5(a)に示すように、発光層17の構成材料を含むインクの塗布および焼成(乾燥)により発光層17を形成する(図7のステップS8)。
続いて、図5(b)に示すように、発光層17の表面に、電子輸送層18を構成する材料を真空蒸着法に基づいて成膜し、電子輸送層18を形成する(図7のステップS9)。
そして、図5(c)に示すように、電子輸送層18の上に電子注入層19を構成する材料を蒸着法、スピンコート法、キャスト法などの方法により成膜し、電子注入層19を形成する。(図7のステップS10)。
次に、図6(a)に示すように、ITO、IZO等の材料を用い、真空蒸着法、スパッタ法等により成膜して、対向電極20を形成する(図7のステップS11)。
そして、対向電極20の上に、SiN、SiON等の光透過性材料をスパッタ法、CVD法等で成膜して、封止層21を形成する(図7のステップS12)。
以上の工程を経ることにより有機EL表示パネル100が完成する。なお、封止層21の上にカラーフィルターや上部基板を載置し、接合してもよい。
[5.発光試験]
上記説明した方法により形成された実施形態に係る有機EL素子1を備えた有機EL表示パネル100について、発光試験を行った。発光試験は、有機EL表示パネル100を連続駆動(発光)させ、数回にわたり非発光領域の発生具合を観察して行った。そして、監察結果から、発光層17が形成された領域(即ち、本来発光が想定されている領域であるサブピクセル領域)の面積に対する非発光面積の割合(%)を算出した。非発光面積の割合は、所定数(例えば、192個)のサブピクセルについて非発光領域の観察を行い、各サブピクセルにおける非発光面積を合計し、観察対象の全サブピクセル領域の合計面積で除して求めた。
図8は、有機EL表示パネル100についての発光開始からの経過時間と非発光面積の割合との関係を示すグラフである。なお、比較例として、隔壁層14を形成する工程において、隔壁層用溶媒にPGMEAを用いて形成された有機EL表示パネルについても、同様に発光試験を行い、その結果も併せて図8に示す。有機EL表示パネル100が隔壁層用溶媒に乳酸エチルとGBLの混合溶媒を用いたのに対し、比較例は、隔壁層用溶媒にPGMEAを用いた点が異なる以外は、他の使用材料や製造工程については、有機EL表示パネル100と比較例とは全く同じである。
図8のグラフに示すように、隔壁層用溶媒にPGMEAを用いた比較例の有機EL表示パネルでは、発光開始からの経過時間600時間までは、非発光領域は観察されなかったが、経過時間1200時間の時点では、非発光面積が1.7%であった。一方、隔壁層用溶媒に乳酸エチルとGBLの混合溶媒を用いた有機EL表示パネル100では、経過時間1200時間の時点でも非発光領域は発生せず、非発光面積は0.0%であった。
[6.親和性と非発光領域発生抑制効果]
上述の発光試験の結果から窺えるように、隔壁層用溶媒にPGMEAを用いた場合には、時間の経過とともに非発光領域が発生したが、乳酸エチルとGBLの混合溶媒を用いた場合には、非発光領域の発生が抑制された。
(樹脂と溶媒との間の親和性の違いによる非発光領域発生抑制効果)
PGMEAのSP値は9.4であって、層間絶縁層用樹脂であるアクリル樹脂のSP値9.3との差は0.1と非常に近い値である。従って、双方の親和性は非常に高く、PGMEAはアクリル樹脂中に浸透しやすいと考えられる。一方、乳酸エチルとGBLの混合溶媒のSP値は12.0であり、アクリル樹脂とのSP値の差は2.7である。従って、双方の親和性は比較的低く、乳酸エチルとGBLの混合溶媒はアクリル樹脂中に浸透しにくいと考えられる。これにより、乳酸エチルとGBLの混合溶媒を用いた有機EL表示パネル100においては、層間絶縁層12中にトラップされる混合溶媒の量も少なく、時間の経過とともに層間絶縁層12から隔壁層14を通って電子注入層19へと到達する混合溶媒の量も少ないため、非発光領域が発生しなかったと考えられる。
それでは、層間絶縁層用樹脂のSP値と隔壁層用溶媒のSP値とがどの程度離れていれば、十分な非発光領域発生抑制効果が期待できるのであろうか。図9(a)は、上記発光試験における層間絶縁層用樹脂と隔壁層用溶媒とのSP値差と、非発光面積割合(%)との関係を示すグラフである。なおここでは、経過時間1200時間の時点における非発光面積1.0%を、良品と不良品とを判別する基準とし、非発光面積1.0%以下を実用的な観点から見て十分な非発光領域発生抑制効果があるとした。
図9(a)のグラフに示すように、層間絶縁層用樹脂と隔壁層用溶媒とのSP値差が0.1の場合(比較例)、非発光面積は1.7%であり、層間絶縁層用樹脂と隔壁層用溶媒とのSP値差が2.7の場合(実施形態1に係る有機EL表示パネル100)、非発光面積は0.0%であった。この2点を結んで得られる直線より、非発光面積が1.0%となる層間絶縁層用樹脂と隔壁層用溶媒とのSP値差は1.2と求められる。従って、層間絶縁層用樹脂と隔壁層用溶媒とのSP値差が1.2以上であれば、十分な非発光領域発生抑制効果が得られると考えられる。
(溶媒間の親和性の違いによる非発光領域発生抑制効果)
溶媒同士のSP値差については、どの程度互いのSP値が離れていれば、十分な非発光領域発生抑制効果が期待できるのであろうか。上記発光試験の結果を、層間絶縁層用溶媒と隔壁層用溶媒間のSP値差を横軸に、非発光面積(%)を縦軸に表したグラフが図9(b)である。なお、有機EL表示パネル100も比較例も層間絶縁層用溶媒としてPGMEAを用いている。
図9(b)のグラフに示すように、層間絶縁層用溶媒と隔壁層用溶媒とのSP値差が0.0の場合(比較例:層間絶縁層用溶媒も隔壁層用溶媒もPGMEA(SP値=9.4)、非発光面積は1.7%であり、層間絶縁層用溶媒と隔壁層用溶媒とのSP値差が2.6の場合(有機EL表示パネル100:層間絶縁層用溶媒はPGMEA(SP値=9.4)、隔壁層用溶媒は乳酸エチルとGBLの混合溶媒(SP値=12.0))、非発光面積は0.0%であった。この2点を結んで得られる直線より、非発光面積が1.0%となる層間絶縁層用溶媒と隔壁層用溶媒とのSP値差は、1.1と求められる。従って、層間絶縁層用溶媒と隔壁層用溶媒とのSP値差が1.1以上であれば、十分な非発光領域発生抑制効果が得られると考えられる。
≪その他≫
[層間絶縁層の焼成温度とアウトガス]
図10(a)は、250℃で焼成した層間絶縁層12のアウトガス分析結果を示す図であり、図10(b)は、230℃で焼成した層間絶縁層12のアウトガス分析結果を示す図である。図10(c)は、焼成温度とアウトガス量および非発光領域の発生の有無の関係を示すテーブルである。なお、焼成温度210℃のアウトガス量については、推測値である。
アウトガス分析に用いた試料は、基板11上に層間絶縁層12を形成して焼成したものから、層間絶縁層12の一部を削り取ってアウトガス分析に供した。層間絶縁層12は、アクリル樹脂をPGMEAに溶解させた溶液を用いて形成した。アウトガス分析は、次の方法で行った。即ち、資料をヘリウム雰囲気下で加熱昇温し、発生したアウトガスを液体窒素で捕集後、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)を行った。加熱は、Gerstel社製TDS/CISを用いて行った。昇温条件は、室温から毎分20℃の速度で昇温し、220℃に達した時点で昇温を停止し、そのまま220℃を10分間保持して行った。測定に用いたGC部は、Agilent社製ガスクロマトグラフ6890であり、MS部は、Agilent社製質量分析計5973A(イオン化法:EI、イオン化電圧:70eV)である。また、アウトガス量は、発生したガス量をトルエンで置換した値を用い、分析に用いた試料について、面積1[cm2]で膜厚1[μm]の場合の体積当たりのアウトガス発生量の値とした。
図10(a),(b)に示すように、250℃で焼成した試料のアウトガス総量は、6[ng]であり、230℃で焼成した試料のアウトガス総量は、85[ng]であった。また、図10(c)に示すように、焼成温度210℃の場合には、アウトガス量が100[ng]以上になると推測される。
本願発明者らの実験によると、250℃および230℃で層間絶縁層12の焼成を行った有機EL表示パネルには、非発光領域は発生しなかった。従って、層間絶縁層12からのアウトガス量が100[ng]以上の場合には、非発光領域が発生すると考えられる。
[各種樹脂および各種溶媒のSP値]
有機EL表示パネルの層間絶縁層12および隔壁層14を形成する際に使用される代表的な樹脂および溶媒のSP値を、図11の表に示す。
層間絶縁層12を形成する層間絶縁層用樹脂としてアクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル)(SP値=9.3)を用いる場合には、隔壁層を形成する際に用いる隔壁層用溶媒として、アクリル樹脂とのSP値差が1.2以上であるシクロヘキサノール(SP値=11.4)、イソプロピルアルコール(SP値=11.5)、ジメチルホルムアルデヒド(SP値=12.0)等であれば単体で用いてもよい。
また、層間絶縁層用樹脂にフェノール樹脂(SP値=11.3)を用いる場合には、隔壁層用溶媒として、SP値が10.1以下または12.5以上のものを用いてもよい。具体的には、例えば、シクロヘキサン(SP値=8.2)、酢酸ブチル(SP値=8.5)、キシレン(SP値=8.8)、テトラヒドロフラン(SP値=9.1)、メチルエチルケトン(SP値=9.3)、PGMEA(SP値=9.4)、アセトン(SP=9.9)、GBL(SP値=13.6)等を単体で用いてもよい。
層間絶縁層用溶媒にPGMEA(SP値=9.4)を用いる場合には、隔壁層用溶媒として、SP値が8.3以下のものまたは10.5以上のものを用いてもよい。具体的には、例えば、シクロヘキサン(SP値=8.2)、シクロヘキサノール(SP値=11.4)、イソプロピルアルコール(SP値=11.5)、ジメチルホルムアミド(SP値=12.0)、GBL(SP値=13.6)等を単体で用いてもよい。
実際の製造工程では、ハンドリングを容易にする目的や、成膜の仕上がり具合を良くする目的で、複数の溶媒を混合して粘度を調整する場合も多い。隔壁層用溶媒に混合溶媒を用いる場合には、層間絶縁層用樹脂とのSP値差が1.2以上となるように、または、層間絶縁層用溶媒とのSP値差が1.1以上となるように混合する溶媒の種類および混合比率を選択するとよい。
[変形例]
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することが出来る。
(1)上記実施形態においては、有機EL表示パネル100が、正孔注入層15、正孔輸送層16、電子輸送層18、電子注入層19を備えた構成について説明したが、これに限られない。例えば、これらのうちいずれか1つ以上の層、または全部を備えない構成としてもよい。
(2)さらには、例えば透明導電層などの他の層をさらに含む構成とすることもできる。
(3)上記実施形態においては、有機EL表示パネル100の基材111を構成する絶縁材料として樹脂を用いた例について説明したが、これに限られない。基材111を構成する絶縁材料として、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英等のガラスや、アルミナ等のセラミックを用いてもよい。これらの絶縁材料の場合は、樹脂よりも高い耐熱性を示すものが多く、焼成温度を230℃以上としても問題ない場合が多い。しかし、基材111にガラスやセラミックを用いる場合であっても、焼成温度を230よりも低く、例えば、210℃とすることにより、昇温に要する時間を短くすることができ、タクトタイムを短縮して生産効率を向上させることができる。加えて、昇温に要するエネルギーを少なくすることができるため、省エネおよびコスト削減に資することができる。
本発明の有機EL素子の製造方等は、例えば、家庭用もしくは公共施設、あるいは業務用の各種表示装置、テレビジョン装置、携帯型電子機器用ディスプレイ等として用いられる有機EL表示パネルおよび有機EL表示装置の製造方等に好適に利用可能である。
1 有機EL素子
11 基板
12 層間絶縁層
13 画素電極
14 隔壁層
14a 隔壁材料層
14b 開口部
15 正孔注入層
16 正孔輸送層
17 発光層
18 電子輸送層
19 電子注入層
20 対向電極
21 封止層
100 有機EL表示パネル
111 基材
112 TFT層
1000 有機EL表示装置

Claims (9)

  1. 下地基板上に層間絶縁層を形成する層間絶縁層形成工程と、
    前記層間絶縁層上に、複数の画素電極を形成する画素電極形成工程と、
    前記複数の画素電極のそれぞれに対応した位置に開口部を有する隔壁層を、前記層間絶縁層上に形成する隔壁層形成工程と、を含み、
    前記層間絶縁層形成工程において、前記層間絶縁層は、層間絶縁層用樹脂材料を層間絶縁層用溶媒に溶解させた層間絶縁層用溶液を用いて形成され、
    前記隔壁層形成工程において、前記隔壁層は、隔壁層用樹脂材料を隔壁層用溶媒に溶解させた隔壁層用溶液を用いて形成され、
    前記層間絶縁層用樹脂材料のSP値と前記隔壁層用溶媒のSP値との差が、1.2以上である
    ことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記層間絶縁層用溶媒のSP値と前記隔壁層用溶媒のSP値との差が、1.1以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記層間絶縁層用樹脂材料のSP値と前記隔壁層用溶媒のSP値との差が、2.7以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記層間絶縁層用溶媒のSP値と前記隔壁層用溶媒のSP値との差が、2.6以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 前記層間絶縁層のアウトガス発生量は、ガスクロマトグラフィーを用いて検出した場合に、前記層間絶縁層の面積1cm2で厚み1μmの体積当たりのトルエン置換値が、100ng以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  6. 前記層間絶縁層形成工程において、前記層間絶縁層は、前記下地基板上に前記層間絶縁層用溶液を塗布した後に焼成して形成され、
    前記焼成温度は、210℃以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  7. 前記層間絶縁層用樹脂材料は、アクリル系樹脂であり、
    前記隔壁層用溶媒は、乳酸エチルおよびγブチロラクトンの混合溶液である
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  8. 前記下地基板は、樹脂から成る基板と、前記基板上に形成された駆動素子層とを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  9. 前記隔壁層形成工程の後に、前記画素電極の上方に電子注入層を形成する電子注入層形成工程を更に含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
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