以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(1)第一実施形態
(1−1)第一実施形態に係る移動端末の構成
まず、第一実施形態に係る移動端末の構成について、図2及び図3を用いて説明する。第一実施形態(及び後述の第二及び第三実施形態)に係る移動端末は、基地局等の外部との無線通信、及び在圏するセルを変更してハンドオーバすることが可能な携帯電話端末やスマートフォンといったモバイル端末である。図2は、第一実施形態に係る移動端末110の主な機能構成の概略を説明するための機能ブロック図であり、図3は、移動端末110(及び後述の移動端末111,112,113,114)の主な物理構成の概略を説明するための物理構成図である。
移動端末110は、図3に示されるように、主な物理的な構成要素としてCPU101(Central Processing Unit)、RAM102(Random Access Memory)、ROM103(Read Only Memory)、操作部104、無線通信部105、ディスプレイ106、及びアンテナ107等のハードウェア(試行手段、判定手段、変更手段)により構成されている携帯可能なコンピュータ端末である。これらの構成要素が動作することにより、移動端末110が有する各機能が発揮される。移動端末110は、図2に示されるように、主な機能的な構成要素として、無線デバイス等のハードウェア1と通信接続されるコンピュータプログラム2〜5の四層を備えて構成されている。コンピュータプログラム2〜5は、Linux(登録商標)カーネル等のカーネル2、標準ライブラリ3(試行手段、判定手段、変更手段)、アプリケーションフレームワーク4、及びアプリケーション5を含んで構成されている。
カーネル2は、ハードウェア1を用いたリソース管理やネットワーク通信制御といった管理制御が可能なソフトウェアプログラムである。例えば、カーネル2は、通信状態の変更を通知する通知信号を、ハードウェア1から受信することができる。この通信状態とは、移動端末110によって行われている無線通信におけるセッションに関する通信状態のことである。また、カーネル2は、ハードウェア1を用いたTCP通信を制御するためのTCP関連プログラム20を有している。TCP関連プログラム20は、後述の開放指示信号をコネクティビティマネージャ43から受信した場合に、上述のセッションを開放する。
標準ライブラリ3は、カーネル2を用いた特定の機能の実行が可能な、部品化されたソフトウェアプログラムがまとめられたものである。標準ライブラリ3は、カーネル2を用いた無線デバイス制御用信号の送受信が可能な無線インターフェイス層31(RIL:Radio Interface Layer)を有している。無線インターフェイス層31は、上述の通知信号をハードウェア及びカーネル2から受信することができる。
なお、上述のハードウェア内では、上述の無線通信の維持確立失敗(3GPP標準化の規定に従ったRLF:Radio Link Failure)後の再接続を試みる再接続試行処理を実行することが可能である。なお、上述のハードウェア内では、上述の無線通信の維持確立失敗の検出を試みる検出試行処理を実行することも可能である。また、上述のハードウェア内では、移動端末110による無線通信が不可能な圏外状態であるか否かを判定することが可能である。
更に、上述のハードウェア内の無線通信部105では、無線通信を行うための通信方式としてのRAT(Radio Access Technology:無線アクセス技術)の変更を行うことが可能である。RATの例としては、ピークレートが非常に大きい通信規格であるLTE(Long Term Evolution)、従来の通信規格である3G(第3世代移動通信システム)、無線LAN接続のための通信規格であるWiFi(WIreless FIdelity)、第2世代移動通信規格として知られるGSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)等が挙げられる。
なお、LTE及び3G間のRATの変更のように、異なるRATであるものの、国際標準化等によりシームレスなハンドオーバが可能なことが規定されたRAT間での変更は、上述のハードウェア内の無線通信部105で可能であり、テレフォニーマネージャ42及びコネクティビティマネージャ43はRATの変更を認識しなくてもよい。一方、LTE及びWiFi間、3G及びWiFi間のRATの変更は、コネクティビティマネージャ43がRATの変更を決定し、カーネル2等の下位のレイヤに変更の通知を出す。
アプリケーションフレームワーク4は、標準ライブラリ3を用いてアプリケーション5に各種機能を提供するためのソフトウェアプログラムである。アプリケーションフレームワーク4は、無線インターフェイス層41(通信手段)、テレフォニーマネージャ42(Telephony Manager、管理手段)、及びコネクティビティマネージャ43(Connectivity Manager、管理手段)を有している。
無線インターフェイス層41は、上述の通知信号を無線インターフェイス層31から受信することができる。
テレフォニーマネージャ42は、無線インターフェイス層41によりこの通知信号が受信された場合に、且つ、所定条件が満たされたか否かを判定して所定条件が満たされた場合に、上述のセッションを開放せず維持するための維持処理を実行する。この所定条件の例としては、上述のハードウェア内の無線通信部105による上述の再接続試行処理(無線の再接続)の実行が通知信号により示されていること、上述のハードウェア内の無線通信部105による上述の検出試行処理(維持確立失敗の検出)の実行が通知信号により示されていること、上述のハードウェア内の無線通信部105により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されていること、上述のハードウェア内の無線通信部105によりLTE及び3G間の上述のRATの変更が行われたことが通知信号により示されていること等が挙げられる。上述の維持処理とは、セッションの開放を指示する開放指示信号のコネクティビティマネージャ43への送信を、禁止する処理である。
更に、上述の所定条件の例としては、上述のハードウェア内の無線通信部105により3GPP(登録商標)標準化の規定に従った第一のRAT(所定の第一通信方式)及び3GPP標準化の規定に従った第二のRAT(所定の第二通信方式)間の上述のRATの変更のみが行われたことが通知信号により示されていること、上述のハードウェア内の無線通信部105により3GPP2標準化の規定に従った第三のRAT(所定の第一通信方式)及び3GPP2標準化の規定に従った第四のRAT(所定の第二通信方式)間の上述のRATの変更のみが行われたことが通知信号により示されていること等が挙げられる。
一方、テレフォニーマネージャ42は、無線インターフェイス層41によりこの通知信号が受信された場合に、且つ、上述の所定条件が満たされず移動端末110が特定の状態である場合に、上述のセッションを開放するための開放処理を実行する。移動端末110が特定の状態である場合の例としては、PDPコンテキストが開放されたことが通知信号により示されていること、WiFi及びLTE間のRATの変更があったことが通知信号により示されていること、WiFi及び3G間のRATの変更があったことが通知信号により示されていること等が挙げられる。上述の開放処理とは、上述のセッションの開放を指示する開放指示信号をコネクティビティマネージャ43へ送信する処理である。
コネクティビティマネージャ43は、上述の開放指示信号をテレフォニーマネージャ42から受信した場合に、上述のセッションを開放させるためのインテントを、アプリケーション5内のWebブラウザ等のhttpアプリケーション51及びFTPアプリケーション52に送信する。更に、コネクティビティマネージャ43は、上述の開放指示信号をテレフォニーマネージャ42から受信した場合に、TCPセッションを開放するための開放指示信号をカーネル2内のTCP関連プログラム20に送信する。この結果、上述のセッションが開放される。
アプリケーション5は、移動端末110のユーザ向けに用意されたソフトウェアプログラムである。アプリケーション5は、Webブラウザ等のhttpアプリケーション51及びFTPアプリケーション52を有している。httpアプリケーション51及びFTPアプリケーション52は、上述のインテントをコネクティビティマネージャ43から受信した場合に、上述のセッションを開放する。
(1−2)移動端末におけるセッション制御処理の流れ
引き続き、移動端末110におけるセッション制御処理の流れ(通信方法)について、図4を用いて説明する。図4は、移動端末110(及び後述の移動端末112)におけるセッション制御処理の流れを説明するためのフローチャートである。図4のフローチャートに示される処理は、移動端末110の電源がオンされてからオフされるまでの間、所定のタイミングで繰り返し実行される。
まず、カーネル2が、無線の通信状態の変更を通知する通知信号を、ハードウェア1から受信し、無線インターフェイス層31が、この通知信号をカーネル2から受信し、無線インターフェイス層41が、この通知信号を無線インターフェイス層31から受信する(ステップS01)。
次に、テレフォニーマネージャ42が、上述のハードウェア内の無線通信部105による上述の再接続試行処理(無線の再接続)の実行が通知信号により示されているか、上述の検出試行処理(維持確立失敗の検出)の実行が通知信号により示されているか、圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されているか、LTE及び3G間の上述のRATの変更が行われたことが通知信号により示されているか、上述の第一のRAT及び第二のRAT間のRATの変更のみが行われたことが通知信号により示されているか、又は、上述の第三のRAT及び第四のRAT間のRATの変更のみが行われたことが通知信号により示されているか、のいずれかに当てはまる状況であるか否かを判定する(ステップS02、通信ステップ)。ここで、これらのうちのいずれかに当てはまる状況であると判定された場合、後述のステップS03に移行する。一方、これらのうちのいずれにも当てはまらない状況であると判定された場合、後述のステップS04に移行する。
ステップS03では、テレフォニーマネージャ42が、上述の通知信号に基づいてセッションの開放を指示する開放指示信号の、コネクティビティマネージャ43への送信を、禁止することにより、セッションを開放せず維持するための維持処理を実行する(管理ステップ)。そして、一連の処理が終了する。
ステップS04では、テレフォニーマネージャ42が、PDPコンテキストが開放されたことが通知信号により示されているか、WiFi及びLTE間のRATの変更があったことが通知信号により示されているか、又は、WiFi及び3G間のRATの変更があったことが通知信号により示されているか、のいずれかに当てはまる状況であるか否かを判定する(ステップS04、判定ステップ)。ここで、これらのうちのいずれかに当てはまる状況であると判定された場合、後述のステップS05に移行する。一方、これらのうちのいずれにも当てはまらない状況であると判定された場合、後述のステップS06に移行する。
ステップS05では、テレフォニーマネージャ42が、上述の通知信号に基づいてセッションの開放を指示する開放指示信号を、コネクティビティマネージャ43へ送信することにより、セッションを開放するための開放処理を実行する(開放ステップ)。そして、一連の処理が終了する。
ステップS06では、移動端末110において、通常どおりの既存の動作が行われる。そして、一連の処理が終了する。
(2)第二実施形態
(2−1)第二実施形態に係る移動端末の構成
引き続き、第二実施形態に係る移動端末の構成について、図5及び図3を用いて説明する。図5は、第二実施形態に係る移動端末111の主な機能構成の概略を説明するための機能ブロック図である。
移動端末111は、図3に示されるように、主な物理的な構成要素としてCPU101(Central Processing Unit)、RAM102(Random Access Memory)、ROM103(Read Only Memory)、操作部104、無線通信部105、ディスプレイ106、及びアンテナ107等のハードウェア(試行手段、判定手段、変更手段)により構成されている携帯可能なコンピュータ端末である。これらの構成要素が動作することにより、移動端末111が有する各機能が発揮される。
移動端末111は、図5に示されるように、主な機能的な構成要素として、無線デバイス等のハードウェア11と通信接続されるコンピュータプログラム12〜15の四層を備えて構成されている。コンピュータプログラム12〜15は、Linux(登録商標)カーネル等のカーネル12、標準ライブラリ13(試行手段、判定手段、変更手段)、アプリケーションフレームワーク14、及びアプリケーション15を含んで構成されている。
カーネル12は、ハードウェア11を用いたリソース管理やネットワーク通信制御といった管理制御が可能なソフトウェアプログラムである。例えば、カーネル12は、通信状態の変更を通知する通知信号を、ハードウェア11から受信することができる。この通信状態とは、移動端末111によって行われている無線通信におけるセッションに関する通信状態のことである。
また、カーネル12は、ハードウェア11を用いたTCP通信を制御するためのTCP関連プログラム120を有している。TCP関連プログラム120は、後述の開放指示信号をコネクティビティマネージャ143から受信した場合に、上述のセッションを開放する。
標準ライブラリ13は、カーネル12を用いた特定の機能の実行が可能な、部品化されたソフトウェアプログラムがまとめられたものである。標準ライブラリ13は、カーネル12を用いた無線デバイス制御用信号の送受信が可能な無線インターフェイス層131(RIL:Radio Interface Layer)を有している。無線インターフェイス層131は、上述の通知信号をハードウェア及びカーネル12から受信することができる。
なお、上述のハードウェア内では、上述の無線通信の維持確立失敗(3GPP標準化の規定に従ったRLF:Radio Link Failure)後の再接続を試みる再接続試行処理を実行することが可能である。なお、上述のハードウェア内では、上述の無線通信の維持確立失敗の検出を試みる検出試行処理を実行することも可能である。また、上述のハードウェア内では、移動端末111による無線通信が不可能な圏外状態であるか否かを判定することが可能である。
更に、上述のハードウェア内の無線通信部105では、無線通信を行うための通信方式としてのRAT(Radio Access Technology:無線アクセス技術)の変更を行うことが可能である。RATの例としては、ピークレートが非常に大きい通信規格であるLTE(Long Term Evolution)、従来の通信規格である3G(第3世代移動通信システム)、無線LAN接続のための通信規格であるWiFi(WIreless FIdelity)、第2世代移動通信規格として知られるGSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)等が挙げられる。
なお、LTE及び3G間のRATの変更のように、異なるRATであるものの、国際標準化等によりシームレスなハンドオーバが可能なことが規定されたRAT間での変更は、上述のハードウェア内の無線通信部105で可能であり、テレフォニーマネージャ42及びコネクティビティマネージャ43はRATの変更を認識しなくてもよい。一方、LTE及びWiFi間、3G及びWiFi間のRATの変更は、コネクティビティマネージャ43がRATの変更を決定し、カーネル12等の下位のレイヤに変更の通知を出す。
アプリケーションフレームワーク14は、標準ライブラリ13を用いてアプリケーション15に各種機能を提供するためのソフトウェアプログラムである。アプリケーションフレームワーク14は、無線インターフェイス層141(通信手段)、テレフォニーマネージャ142(Telephony Manager、管理手段)、及びコネクティビティマネージャ143(Connectivity Manager、管理手段)を有している。
無線インターフェイス層141は、上述の通知信号を無線インターフェイス層31から受信することができる。
テレフォニーマネージャ142は、上述の通知信号を無線インターフェイス層141から受信することができる。
コネクティビティマネージャ143は、テレフォニーマネージャ142によりこの通知信号が受信された場合に、且つ、所定条件が満たされたか否かを判定して所定条件が満たされた場合に、上述のセッションを開放せず維持するための維持処理を実行する。この所定条件の例としては、上述のハードウェア内の無線通信部105による上述の再接続試行処理(無線の再接続)の実行が通知信号により示されていること、上述のハードウェア内の無線通信部105による上述の検出試行処理(維持確立失敗の検出)の実行が通知信号により示されていること、上述のハードウェア内の無線通信部105により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されていること、上述のハードウェア内の無線通信部105によりLTE及び3G間の上述のRATの変更が行われたことが通知信号により示されていること等が挙げられる。上述の維持処理とは、テレフォニーマネージャ142からこの通知信号を受信した後で破棄して使用しないようにする処理である。
更に、上述の所定条件の例としては、上述のハードウェア内の無線通信部105により3GPP(登録商標)標準化の規定に従った第一のRAT(所定の第一通信方式)及び3GPP標準化の規定に従った第二のRAT(所定の第二通信方式)間のRATの変更のみが行われたことが通知信号により示されていること、上述のハードウェア内の無線通信部105により3GPP2標準化の規定に従った第三のRAT(所定の第一通信方式)及び3GPP2標準化の規定に従った第四のRAT(所定の第二通信方式)間のRATの変更のみが行われたことが通知信号により示されていること等が挙げられる。
一方、コネクティビティマネージャ143は、テレフォニーマネージャ142によりこの通知信号が受信された場合に、且つ、上述の所定条件が満たされず移動端末111が特定の状態である場合に、上述のセッションを開放するための開放処理を実行する。移動端末111が特定の状態である場合の例としては、PDPコンテキストが開放されたことが通知信号により示されていること、WiFi及びLTE間のRATの変更があったことが通知信号により示されていること、WiFi及び3G間のRATの変更があったことが通知信号により示されていること等が挙げられる。
ここで、上述の開放処理とは、コネクティビティマネージャ143が、上述のセッションを開放させるためのインテントを、アプリケーション15内のWebブラウザ等のhttpアプリケーション151及びFTPアプリケーション152に送信することである。更に、コネクティビティマネージャ143が、TCPセッションを開放するための開放指示信号をカーネル12内のTCP関連プログラム120に送信することである。この結果、上述のセッションが開放される。
アプリケーション15は、移動端末111のユーザ向けに用意されたソフトウェアプログラムである。アプリケーション15は、Webブラウザ等のhttpアプリケーション151及びFTPアプリケーション152を有している。httpアプリケーション151及びFTPアプリケーション152は、上述のインテントをコネクティビティマネージャ143から受信した場合に、上述のセッションを開放する。
(2−2)移動端末におけるセッション制御処理の流れ
引き続き、移動端末111におけるセッション制御処理の流れ(通信方法)について、図6を用いて説明する。図6は、移動端末111におけるセッション制御処理の流れを説明するためのフローチャートである。図6のフローチャートに示される処理は、移動端末111の電源がオンされてからオフされるまでの間、所定のタイミングで繰り返し実行される。
まず、カーネル12が、無線の通信状態の変更を通知する通知信号を、ハードウェア1から受信し、無線インターフェイス層131が、この通知信号をカーネル12から受信し、無線インターフェイス層141が、この通知信号を無線インターフェイス層131から受信し、テレフォニーマネージャ142が、この通知信号を無線インターフェイス層141から受信し、コネクティビティマネージャ143が、この通知信号をテレフォニーマネージャ142から受信する(ステップS11、通信ステップ)。
次に、コネクティビティマネージャ143が、上述のハードウェア内の無線通信部105による上述の再接続試行処理(無線の再接続)の実行が通知信号により示されているか、上述の検出試行処理(維持確立失敗の検出)の実行が通知信号により示されているか、圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されているか、LTE及び3G間の上述のRATの変更が行われたことが通知信号により示されているか、上述の第一のRAT及び第二のRAT間のRATの変更のみが行われたことが通知信号により示されているか、又は、上述の第三のRAT及び第四のRAT間のRATの変更のみが行われたことが通知信号により示されているか、のいずれかに当てはまる状況であるか否かを判定する(ステップS12、管理ステップ)。ここで、これらのうちのいずれかに当てはまる状況であると判定された場合、後述のステップS13に移行する。一方、これらのうちのいずれにも当てはまらない状況であると判定された場合、後述のステップS14に移行する。
ステップS13では、コネクティビティマネージャ143が、テレフォニーマネージャ142から受信した通知信号を破棄して使用しないようにすることにより、セッションを開放せず維持するための維持処理を実行する(管理ステップ)。そして、一連の処理が終了する。
ステップS14では、コネクティビティマネージャ143が、PDPコンテキストが開放されたことが通知信号により示されているか、WiFi及びLTE間のRATの変更があったことが通知信号により示されているか、又は、WiFi及び3G間のRATの変更があったことが通知信号により示されているか、のいずれかに当てはまる状況であるか否かを判定する(ステップS04、判定ステップ)。ここで、これらのうちのいずれかに当てはまる状況であると判定された場合、後述のステップS15に移行する。一方、これらのうちのいずれにも当てはまらない状況であると判定された場合、後述のステップS16に移行する。
ステップS15では、コネクティビティマネージャ143が、上述の通知信号に基づいてセッションを開放するための開放処理を実行する(開放ステップ)。そして、一連の処理が終了する。
ステップS16では、移動端末111において、通常どおりの既存の動作が行われる。そして、一連の処理が終了する。
(3)第三実施形態
(3−1)第三実施形態に係る移動端末の構成
引き続き、第三実施形態に係る移動端末の構成について、図7及び図3を用いて説明する。図7は、第三実施形態に係る移動端末112(及び後述の移動端末113,114)の主な機能構成の概略を説明するための機能ブロック図である。
移動端末112は、図3に示されるように、主な物理的な構成要素としてCPU101(Central Processing Unit)、RAM102(Random Access Memory)、ROM103(Read Only Memory)、操作部104、無線通信部105、ディスプレイ106、及びアンテナ107等のハードウェア(試行手段、判定手段、変更手段)により構成されている携帯可能なコンピュータ端末である。これらの構成要素が動作することにより、移動端末110が有する各機能が発揮される。
移動端末112は、図7に示されるように、主な機能的な構成要素として、無線デバイス等のハードウェア21と通信接続されるコンピュータプログラム22〜25の四層を備えて構成されている。コンピュータプログラム22〜25は、Linux(登録商標)カーネル等のカーネル22、標準ライブラリ23(試行手段、判定手段、変更手段)、アプリケーションフレームワーク24、及びアプリケーション25を含んで構成されている。
カーネル22は、ハードウェア21を用いたリソース管理やネットワーク通信制御といった管理制御が可能なソフトウェアプログラムである。例えば、カーネル22は、通信状態の変更を通知する通知信号を、ハードウェア21から受信することができる。この通信状態とは、移動端末112によって行われている無線通信におけるセッションに関する通信状態のことである。
また、カーネル22は、ハードウェア21を用いたTCP通信を制御するためのTCP関連プログラム220を有している。TCP関連プログラム220は、後述の開放指示信号をコネクティビティマネージャ243から受信した場合に、上述のセッションを開放する。
標準ライブラリ23は、カーネル22を用いた特定の機能の実行が可能な、部品化されたソフトウェアプログラムがまとめられたものである。標準ライブラリ23は、カーネル22を用いた無線デバイス制御用信号の送受信が可能な無線インターフェイス層231(RIL:Radio Interface Layer)を有している。無線インターフェイス層231は、上述の通知信号をハードウェア及びカーネル22から受信することができる。
なお、上述のハードウェア内では、上述の無線通信の維持確立失敗(3GPP標準化の規定に従ったRLF:Radio Link Failure)後の再接続を試みる再接続試行処理を実行することが可能である。なお、上述のハードウェア内では、上述の無線通信の維持確立失敗の検出を試みる検出試行処理を実行することも可能である。また、上述のハードウェア内では、移動端末112による無線通信が不可能な圏外状態であるか否かを判定することが可能である。
更に、上述のハードウェア内の無線通信部105では、無線通信を行うための通信方式としてのRAT(Radio Access Technology:無線アクセス技術)の変更を行うことが可能である。RATの例としては、ピークレートが非常に大きい通信規格であるLTE(Long Term Evolution)、従来の通信規格である3G(第3世代移動通信システム)、無線LAN接続のための通信規格であるWiFi(WIreless FIdelity)、第2世代移動通信規格として知られるGSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)等が挙げられる。
なお、LTE及び3G間のRATの変更のように、異なるRATであるものの、国際標準化等によりシームレスなハンドオーバが可能なことが規定されたRAT間での変更は、上述のハードウェア内の無線通信部105で可能であり、テレフォニーマネージャ242及びコネクティビティマネージャ243はRATの変更を認識しなくてもよい。一方、LTE及びWiFi間、3G及びWiFi間のRATの変更は、コネクティビティマネージャ243がRATの変更を決定し、カーネル22等の下位のレイヤに変更の通知を出す。
アプリケーションフレームワーク24は、標準ライブラリ23を用いてアプリケーション25に各種機能を提供するためのソフトウェアプログラムである。アプリケーションフレームワーク24は、無線インターフェイス層241(通信手段)、テレフォニーマネージャ242(Telephony Manager、管理手段)、及びコネクティビティマネージャ243(Connectivity Manager、管理手段)を有している。
無線インターフェイス層241は、上述の通知信号を無線インターフェイス層31から受信することができる。また、無線インターフェイス層241は、この通知信号を受信すると、所定条件が満たされた場合に、上述のセッションを開放せず維持するための維持処理を実行する。この所定条件の例としては、上述のハードウェア内の無線通信部105による上述の再接続試行処理(無線の再接続)の実行が通知信号により示されていること、上述のハードウェア内の無線通信部105による上述の検出試行処理(維持確立失敗の検出)の実行が通知信号により示されていること、上述のハードウェア内の無線通信部105により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されていること、上述のハードウェア内の無線通信部105によりLTE及び3G間の上述のRATの変更が行われたことが通知信号により示されていること等が挙げられる。上述の維持処理とは、セッションの開放を指示する開放指示信号の、テレフォニーマネージャ242を介したコネクティビティマネージャ243への送信を、禁止する処理である。
更に、上述の所定条件の例としては、上述のハードウェア内の無線通信部105により3GPP(登録商標)標準化の規定に従った第一のRAT(所定の第一通信方式)及び3GPP標準化の規定に従った第二のRAT(所定の第二通信方式)間のRATの変更のみが行われたことが通知信号により示されていること、上述のハードウェア内の無線通信部105により3GPP2標準化の規定に従った第三のRAT(所定の第一通信方式)及び3GPP2標準化の規定に従った第四のRAT(所定の第二通信方式)間のRATの変更のみが行われたことが通知信号により示されていること等が挙げられる。
一方、無線インターフェイス層241は、この通知信号を受信すると、上述の所定条件が満たされず移動端末112が特定の状態である場合に、上述のセッションを開放するための開放処理を実行する。移動端末112が特定の状態である場合の例としては、PDPコンテキストが開放されたことが通知信号により示されていること、WiFi及びLTE間のRATの変更があったことが通知信号により示されていること、WiFi及び3G間のRATの変更があったことが通知信号により示されていること等が挙げられる。上述の開放処理とは、上述のセッションの開放を指示する開放指示信号を、テレフォニーマネージャ242を介してコネクティビティマネージャ243へ送信する処理である。
テレフォニーマネージャ242は、上述の開放指示信号が無線インターフェイス層241から送信された場合に、上述の開放指示信号を無線インターフェイス層241から受信することができる。
コネクティビティマネージャ243は、上述の開放指示信号がテレフォニーマネージャ242から送信された場合に、上述の開放指示信号をテレフォニーマネージャ242から受信することができる。コネクティビティマネージャ243は、上述の開放指示信号をテレフォニーマネージャ242から受信した場合に、上述のセッションを開放させるためのインテントを、アプリケーション25内のWebブラウザ等のhttpアプリケーション251及びFTPアプリケーション252に送信する。更に、コネクティビティマネージャ243は、上述の開放指示信号をテレフォニーマネージャ242から受信した場合に、TCPセッションを開放するための開放指示信号をカーネル22内のTCP関連プログラム220に送信する。この結果、上述のセッションが開放される。
アプリケーション25は、移動端末112のユーザ向けに用意されたソフトウェアプログラムである。アプリケーション25は、Webブラウザ等のhttpアプリケーション251及びFTPアプリケーション252を有している。httpアプリケーション251及びFTPアプリケーション252は、上述のインテントをコネクティビティマネージャ243から受信した場合に、上述のセッションを開放する。
(3−2)移動端末におけるセッション制御処理の流れ
引き続き、移動端末112におけるセッション制御処理の流れ(通信方法)について、図4を用いて説明する。
まず、カーネル22が、無線の通信状態の変更を通知する通知信号を、ハードウェア21から受信し、無線インターフェイス層231が、この通知信号をカーネル22から受信し、無線インターフェイス層241が、この通知信号を無線インターフェイス層231から受信する(ステップS01、通信ステップ)。
次に、無線インターフェイス層241が、上述のハードウェア内の無線通信部105による上述の再接続試行処理(無線の再接続)の実行が通知信号により示されているか、上述の検出試行処理(維持確立失敗の検出)の実行が通知信号により示されているか、圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されているか、LTE及び3G間の上述のRATの変更が行われたことが通知信号により示されているか、上述の第一のRAT及び第二のRAT間のRATの変更のみが行われたことが通知信号により示されているか、又は、上述の第三のRAT及び第四のRAT間のRATの変更のみが行われたことが通知信号により示されているか、のいずれかに当てはまる状況であるか否かを判定する(ステップS02、管理ステップ)。ここで、これらのうちのいずれかに当てはまる状況であると判定された場合、後述のステップS03に移行する。一方、これらのうちのいずれにも当てはまらない状況であると判定された場合、後述のステップS04に移行する。
なお、無線インターフェイス層241は、上述のハードウェア内の無線通信部105により第一の所定時間以上圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されているか、又は、上述のハードウェア内の無線通信部105によりLTE及び3G間の上述のRATの変更が行われた後第二の所定時間以上RATの変更が行われず継続したことが通知信号により示されているか、のいずれかに当てはまる状況であるか否かを判定してもよい。そして、無線インターフェイス層241は、これらのうちのいずれかに当てはまる状況であると判定された場合、上述の通知信号に基づいてセッションの開放を指示する開放指示信号を、テレフォニーマネージャ242を介してコネクティビティマネージャ43へ送信することにより、セッションを開放するための開放処理を実行して一連の処理を終了させてもよい。
ステップS03では、無線インターフェイス層241が、上述の通知信号に基づいてセッションの開放を指示する開放指示信号の、テレフォニーマネージャ242を介したコネクティビティマネージャ43への送信を、禁止することにより、セッションを開放せず維持するための維持処理を実行する(管理ステップ)。そして、一連の処理が終了する。
ステップS04では、無線インターフェイス層241が、PDPコンテキストが開放されたことが通知信号により示されているか、WiFi及びLTE間のRATの変更があったことが通知信号により示されているか、又は、WiFi及び3G間のRATの変更があったことが通知信号により示されているか、のいずれかに当てはまる状況であるか否かを判定する(ステップS04、判定ステップ)。ここで、これらのうちのいずれかに当てはまる状況であると判定された場合、後述のステップS05に移行する。一方、これらのうちのいずれにも当てはまらない状況であると判定された場合、後述のステップS06に移行する。
ステップS05では、無線インターフェイス層241が、上述の通知信号に基づいてセッションの開放を指示する開放指示信号を、テレフォニーマネージャ242を介してコネクティビティマネージャ43へ送信することにより、セッションを開放するための開放処理を実行する(開放ステップ)。そして、一連の処理が終了する。
ステップS06では、移動端末110において、通常どおりの既存の動作が行われる。そして、一連の処理が終了する。
(4)第四実施形態
(4−1)第四実施形態に係る移動端末の構成
引き続き、第四実施形態に係る移動端末113の構成について、図7及び図3を用いて説明する。
移動端末113は、図3に示されるように、主な物理的な構成要素としてCPU101(Central Processing Unit)、RAM102(Random Access Memory)、ROM103(Read Only Memory)、操作部104、無線通信部105、ディスプレイ106、及びアンテナ107等のハードウェア(試行手段、判定手段、変更手段)により構成されている携帯可能なコンピュータ端末である。これらの構成要素が動作することにより、移動端末110が有する各機能が発揮される。
移動端末113は、図7に示されるように、主な機能的な構成要素として、無線デバイス等のハードウェア21と通信接続されるコンピュータプログラム22〜25の四層を備えて構成されている。コンピュータプログラム22〜25は、Linux(登録商標)カーネル等のカーネル22、標準ライブラリ23(試行手段、判定手段、変更手段)、アプリケーションフレームワーク24、及びアプリケーション25を含んで構成されている。
カーネル22は、ハードウェア21を用いたリソース管理やネットワーク通信制御といった管理制御が可能なソフトウェアプログラムである。例えば、カーネル22は、通信状態の変更を通知する通知信号を、ハードウェア21から受信することができる。この通信状態とは、移動端末112によって行われている無線通信におけるセッションに関する通信状態のことである。また、カーネル22は、ハードウェア21を用いたTCP通信を制御するためのTCP関連プログラム220を有している。TCP関連プログラム220は、後述の開放指示信号をコネクティビティマネージャ243から受信した場合に、上述のセッションを開放する。
標準ライブラリ23は、カーネル22を用いた特定の機能の実行が可能な、部品化されたソフトウェアプログラムがまとめられたものである。標準ライブラリ23は、カーネル22を用いた無線デバイス制御用信号の送受信が可能な無線インターフェイス層231(RIL:Radio Interface Layer)を有している。無線インターフェイス層231は、上述の通知信号をハードウェア及びカーネル22から受信することができる。
なお、上述のハードウェア内では、上述の無線通信の維持確立失敗(3GPP標準化の規定に従ったRLF:Radio Link Failure)後の再接続を試みる再接続試行処理を実行することが可能である。なお、上述のハードウェア内では、上述の無線通信の維持確立失敗の検出を試みる検出試行処理を実行することも可能である。また、上述のハードウェア内では、移動端末112による無線通信が不可能な圏外状態であるか否かを判定することが可能である。
更に、上述のハードウェア内の無線通信部105では、無線通信を行うための通信方式としてのRAT(Radio Access Technology:無線アクセス技術)の変更を行うことが可能である。RATの例としては、ピークレートが非常に大きい通信規格であるLTE(Long Term Evolution)、従来の通信規格である3G(第3世代移動通信システム)、無線LAN接続のための通信規格であるWiFi(WIreless FIdelity)、第2世代移動通信規格として知られるGSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)等が挙げられる。
なお、LTE及び3G間のRATの変更のように、異なるRATであるものの、国際標準化等によりシームレスなハンドオーバが可能なことが規定されたRAT間での変更は、上述のハードウェア内の無線通信部105で可能であり、テレフォニーマネージャ242及びコネクティビティマネージャ243はRATの変更を認識しなくてもよい。一方、LTE及びWiFi間、3G及びWiFi間のRATの変更は、コネクティビティマネージャ243がRATの変更を決定し、カーネル22等の下位のレイヤに変更の通知を出す。
アプリケーションフレームワーク24は、標準ライブラリ23を用いてアプリケーション25に各種機能を提供するためのソフトウェアプログラムである。アプリケーションフレームワーク24は、無線インターフェイス層241(通信手段)、テレフォニーマネージャ242(Telephony Manager、管理手段)、及びコネクティビティマネージャ243(Connectivity Manager、管理手段)を有している。
無線インターフェイス層241は、上述の通知信号を無線インターフェイス層31から受信することができる。また、無線インターフェイス層241は、この通知信号を受信すると、所定条件が満たされた場合に、上述のセッションを開放せず維持するための維持処理を実行する。この所定条件の例としては、上述のハードウェア内の無線通信部105により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されていて、且つ、通知信号の受信から所定時間経過した時点でこの圏外状態以外の通信状態の変更の通知があること等が挙げられる。上述の維持処理とは、セッションの開放を指示する開放指示信号の、テレフォニーマネージャ242を介したコネクティビティマネージャ243への送信を、禁止する処理である。
一方、無線インターフェイス層241は、この通知信号を受信すると、上述の所定条件が満たされない場合に、上述のセッションを開放するための開放処理を実行する。上述の開放処理とは、上述のセッションの開放を指示する開放指示信号を、テレフォニーマネージャ242を介してコネクティビティマネージャ243へ送信する処理である。
テレフォニーマネージャ242は、上述の開放指示信号が無線インターフェイス層241から送信された場合に、上述の開放指示信号を無線インターフェイス層241から受信することができる。
コネクティビティマネージャ243は、上述の開放指示信号がテレフォニーマネージャ242から送信された場合に、上述の開放指示信号をテレフォニーマネージャ242から受信することができる。コネクティビティマネージャ243は、上述の開放指示信号をテレフォニーマネージャ242から受信した場合に、上述のセッションを開放させるためのインテントを、アプリケーション25内のWebブラウザ等のhttpアプリケーション251及びFTPアプリケーション252に送信する。更に、コネクティビティマネージャ243は、上述の開放指示信号をテレフォニーマネージャ242から受信した場合に、TCPセッションを開放するための開放指示信号をカーネル22内のTCP関連プログラム220に送信する。この結果、上述のセッションが開放される。
アプリケーション25は、移動端末112のユーザ向けに用意されたソフトウェアプログラムである。アプリケーション25は、Webブラウザ等のhttpアプリケーション251及びFTPアプリケーション252を有している。httpアプリケーション251及びFTPアプリケーション252は、上述のインテントをコネクティビティマネージャ243から受信した場合に、上述のセッションを開放する。
(4−2)移動端末におけるセッション制御処理の流れ
引き続き、移動端末113におけるセッション制御処理の流れ(通信方法)について、図8を用いて説明する。図8は、移動端末113におけるセッション制御処理の流れを説明するためのフローチャートである。
まず、カーネル22が、無線の通信状態の変更を通知する通知信号を、ハードウェア21から受信し、無線インターフェイス層231が、この通知信号をカーネル22から受信し、無線インターフェイス層241が、この通知信号を無線インターフェイス層231から受信する(ステップS21、通信ステップ)。
次に、無線インターフェイス層241が、上述のハードウェア内の無線通信部105により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されているか否かを判定する(ステップS22、管理ステップ)。ここで、上述のハードウェア内の無線通信部105により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されていると判定された場合、後述のステップS24に移行する。一方、上述のハードウェア内の無線通信部105により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されていないと判定された場合、上述したような、図4におけるステップS02の判定を行なって、判定結果に基づいてステップS03又はステップS04以降のステップに移行し(ステップS23)、一連の処理が終了する。
ステップS24では、無線インターフェイス層241が、通知信号の受信から所定時間経過した時点でこの圏外状態以外の通信状態の変更の通知があるか否かを判定する(ステップS24、管理ステップ)。ここで、通知信号の受信から所定時間経過した時点でこの圏外状態以外の通信状態の変更の通知があると判定された場合、後述のステップS25に移行する。一方、通知信号の受信から所定時間経過した時点でこの圏外状態以外の通信状態の変更の通知が無いと判定された場合、後述のステップS26に移行する。
ステップS25では、無線インターフェイス層241が、上述の通知信号に基づいてセッションの開放を指示する開放指示信号の、テレフォニーマネージャ242を介したコネクティビティマネージャ243への送信を、禁止することにより、セッションを開放せず維持するための維持処理を実行する(管理ステップ)。そして、一連の処理が終了する。
ステップS26では、無線インターフェイス層241が、上述の通知信号に基づいてセッションの開放を指示する開放指示信号を、テレフォニーマネージャ242を介してコネクティビティマネージャ43へ送信することにより、セッションを開放するための開放処理を実行する(開放ステップ)。そして、一連の処理が終了する。
(5)第五実施形態
(5−1)第五実施形態に係る移動端末の構成
引き続き、第五実施形態に係る移動端末114の構成について、図7及び図3を用いて説明する。
移動端末114は、図3に示されるように、主な物理的な構成要素としてCPU101(Central Processing Unit)、RAM102(Random Access Memory)、ROM103(Read Only Memory)、操作部104、無線通信部105、ディスプレイ106、及びアンテナ107等のハードウェア(試行手段、判定手段、変更手段)により構成されている携帯可能なコンピュータ端末である。これらの構成要素が動作することにより、移動端末110が有する各機能が発揮される。
移動端末114は、図7に示されるように、主な機能的な構成要素として、無線デバイス等のハードウェア21と通信接続されるコンピュータプログラム22〜25の四層を備えて構成されている。コンピュータプログラム22〜25は、Linux(登録商標)カーネル等のカーネル22、標準ライブラリ23(試行手段、判定手段、変更手段)、アプリケーションフレームワーク24、及びアプリケーション25を含んで構成されている。
カーネル22は、ハードウェア21を用いたリソース管理やネットワーク通信制御といった管理制御が可能なソフトウェアプログラムである。例えば、カーネル22は、通信状態の変更を通知する通知信号を、ハードウェア21から受信することができる。この通信状態とは、移動端末112によって行われている無線通信におけるセッションに関する通信状態のことである。また、カーネル22は、ハードウェア21を用いたTCP通信を制御するためのTCP関連プログラム220を有している。TCP関連プログラム220は、後述の開放指示信号をコネクティビティマネージャ243から受信した場合に、上述のセッションを開放する。
標準ライブラリ23は、カーネル22を用いた特定の機能の実行が可能な、部品化されたソフトウェアプログラムがまとめられたものである。標準ライブラリ23は、カーネル22を用いた無線デバイス制御用信号の送受信が可能な無線インターフェイス層231(RIL:Radio Interface Layer)を有している。無線インターフェイス層231は、上述の通知信号をハードウェア及びカーネル22から受信することができる。
なお、上述のハードウェア内では、上述の無線通信の維持確立失敗(3GPP標準化の規定に従ったRLF:Radio Link Failure)後の再接続を試みる再接続試行処理を実行することが可能である。なお、上述のハードウェア内では、上述の無線通信の維持確立失敗の検出を試みる検出試行処理を実行することも可能である。また、上述のハードウェア内では、移動端末112による無線通信が不可能な圏外状態であるか否かを判定することが可能である。
更に、上述のハードウェア内では、無線通信を行うための通信方式としてのRAT(Radio Access Technology:無線アクセス技術)の変更を行うことが可能である。RATの例としては、ピークレートが非常に大きい通信規格であるLTE(Long Term Evolution)、従来の通信規格である3G(第3世代移動通信システム)、無線LAN接続のための通信規格であるWiFi(WIreless FIdelity)、第2世代移動通信規格として知られるGSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)等が挙げられる。
なお、LTE及び3G間のRATの変更のように、異なるRATであるものの、国際標準化等によりシームレスなハンドオーバが可能なことが規定されたRAT間での変更は、上述のハードウェア内の無線通信部105で可能であり、テレフォニーマネージャ242及びコネクティビティマネージャ243はRATの変更を認識しなくてもよい。一方、LTE及びWiFi間、3G及びWiFi間のRATの変更は、コネクティビティマネージャ243がRATの変更を決定し、カーネル22等の下位のレイヤに変更の通知を出す。
アプリケーションフレームワーク24は、標準ライブラリ23を用いてアプリケーション25に各種機能を提供するためのソフトウェアプログラムである。アプリケーションフレームワーク24は、無線インターフェイス層241(通信手段)、テレフォニーマネージャ242(Telephony Manager、管理手段)、及びコネクティビティマネージャ243(Connectivity Manager、管理手段)を有している。
無線インターフェイス層241は、上述の通知信号を無線インターフェイス層31から受信することができ、通知信号の受信から所定時間経過した時点でハードウェア21側に通信状態を問い合わせることもできる。また、無線インターフェイス層241は、この通知信号を受信すると、所定条件が満たされた場合に、上述のセッションを開放せず維持するための維持処理を実行する。この所定条件の例としては、上述のハードウェア内の無線通信部105により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されていて、且つ、通知信号の受信から所定時間経過した時点でハードウェア21側に通信状態を問い合わせた結果において通信状態の変更の応答があること等が挙げられる。上述の維持処理とは、セッションの開放を指示する開放指示信号の、テレフォニーマネージャ242を介したコネクティビティマネージャ243への送信を、禁止する処理である。
一方、無線インターフェイス層241は、この通知信号を受信すると、上述の所定条件が満たされない場合に、上述のセッションを開放するための開放処理を実行する。上述の開放処理とは、上述のセッションの開放を指示する開放指示信号を、テレフォニーマネージャ242を介してコネクティビティマネージャ243へ送信する処理である。
テレフォニーマネージャ242は、上述の開放指示信号が無線インターフェイス層241から送信された場合に、上述の開放指示信号を無線インターフェイス層241から受信することができる。
コネクティビティマネージャ243は、上述の開放指示信号がテレフォニーマネージャ242から送信された場合に、上述の開放指示信号をテレフォニーマネージャ242から受信することができる。コネクティビティマネージャ243は、上述の開放指示信号をテレフォニーマネージャ242から受信した場合に、上述のセッションを開放させるためのインテントを、アプリケーション25内のWebブラウザ等のhttpアプリケーション251及びFTPアプリケーション252に送信する。更に、コネクティビティマネージャ243は、上述の開放指示信号をテレフォニーマネージャ242から受信した場合に、TCPセッションを開放するための開放指示信号をカーネル22内のTCP関連プログラム220に送信する。この結果、上述のセッションが開放される。
アプリケーション25は、移動端末112のユーザ向けに用意されたソフトウェアプログラムである。アプリケーション25は、Webブラウザ等のhttpアプリケーション251及びFTPアプリケーション252を有している。httpアプリケーション251及びFTPアプリケーション252は、上述のインテントをコネクティビティマネージャ243から受信した場合に、上述のセッションを開放する。
(5−2)移動端末におけるセッション制御処理の流れ
引き続き、移動端末114におけるセッション制御処理の流れ(通信方法)について、図9を用いて説明する。図9は、移動端末114におけるセッション制御処理の流れを説明するためのフローチャートである。
まず、カーネル22が、無線の通信状態の変更を通知する通知信号を、ハードウェア21から受信し、無線インターフェイス層231が、この通知信号をカーネル22から受信し、無線インターフェイス層241が、この通知信号を無線インターフェイス層231から受信する(ステップS31、通信ステップ)。
次に、無線インターフェイス層241が、上述のハードウェア内の無線通信部105により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されているか否かを判定する(ステップS32、管理ステップ)。ここで、上述のハードウェア内の無線通信部105により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されていると判定された場合、後述のステップS34に移行する。一方、上述のハードウェア内の無線通信部105により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されていないと判定された場合、上述したような、図4におけるステップS02の判定を行なって、判定結果に基づいてステップS03又はステップS04以降のステップに移行し(ステップS33)、一連の処理が終了する。
ステップS34では、無線インターフェイス層241が、通知信号の受信から所定時間経過した時点でハードウェア21側に通信状態を問い合わせて、通信状態の変更の応答があるか否かを判定する(ステップS34、管理ステップ)。ここで、通知信号の受信から所定時間経過した時点でハードウェア21側において通信状態の変更の応答があると判定された場合、後述のステップS35に移行する。一方、通知信号の受信から所定時間経過した時点でハードウェア21側において通信状態の変更の応答が無いと判定された場合、後述のステップS36に移行する。
ステップS35では、無線インターフェイス層241が、上述の通知信号に基づいてセッションの開放を指示する開放指示信号の、テレフォニーマネージャ242を介したコネクティビティマネージャ243への送信を、禁止することにより、セッションを開放せず維持するための維持処理を実行する(管理ステップ)。そして、一連の処理が終了する。
ステップS36では、無線インターフェイス層241が、上述の通知信号に基づいてセッションの開放を指示する開放指示信号を、テレフォニーマネージャ242を介してコネクティビティマネージャ43へ送信することにより、セッションを開放するための開放処理を実行する(開放ステップ)。そして、一連の処理が終了する。
(6)本発明による作用及び効果
移動端末110〜114によれば、無線通信におけるセッションに関する通信状態の変更を通知する通知信号が受信された場合に、且つ、所定条件が満たされた場合に、セッションを開放せず維持するための維持処理が実行される。このため、通信状態が変更されても、所定条件が満たされなければ、セッションは開放されないこととなり、セッションが維持されるべきであるのにセッションが開放されてしまうことが防止され、最適なセッション管理が行われる。この結果、無駄な手間やリソースの無駄遣いが発生してしまって通信効率が悪くなることが無くなり、より効率的な通信が可能になる。
また、移動端末112〜114によれば、無線インターフェイス層241が、通知信号を受信すると、所定条件が満たされた場合に、維持処理を実行することが可能になる。
また、移動端末110〜112によれば、通信状態が変更されても、無線通信の維持確立失敗後の再接続を試みる再接続試行処理が実行されていれば、セッションは開放されないこととなり、セッションが維持されるべきであるのにセッションが開放されてしまうことが防止される。この結果、無駄な手間やリソースの無駄遣いが発生してしまって通信効率が悪くなることが無くなり、より効率的な通信が可能になる。
また、移動端末110〜112によれば、通信状態が変更されても、無線通信の維持確立失敗の検出を試みる検出試行処理が実行されていれば、セッションは開放されないこととなり、セッションが維持されるべきであるのにセッションが開放されてしまうことが防止される。この結果、無駄な手間やリソースの無駄遣いが発生してしまって通信効率が悪くなることが無くなり、より効率的な通信が可能になる。
また、移動端末110〜112によれば、通信状態が変更されても、無線通信が不可能な圏外状態であれば、セッションは開放されないこととなり、セッションが維持されるべきであるのにセッションが開放されてしまうことが防止される。この結果、無駄な手間やリソースの無駄遣いが発生してしまって通信効率が悪くなることが無くなり、より効率的な通信が可能になる。
また、移動端末112によれば、通信状態が変更されても、無線通信が不可能な圏外状態が所定時間継続していないならば、セッションは開放されないこととなり、セッションが維持されるべきであるのにセッションが開放されてしまうことが防止される。この結果、無駄な手間やリソースの無駄遣いが発生してしまって通信効率が悪くなることが無くなり、より効率的な通信が可能になる。
また、移動端末110〜112によれば、通信状態が変更されても、無線通信を行うための通信方式の変更(LTE及び3G間のRATの変更)が行われたのであれば、セッションは開放されないこととなり、セッションが維持されるべきであるのにセッションが開放されてしまうことが防止される。この結果、無駄な手間やリソースの無駄遣いが発生してしまって通信効率が悪くなることが無くなり、より効率的な通信が可能になる。
また、移動端末110〜112によれば、通信状態が変更されても、所定の第一通信方式から所定の第二通信方式への変更のみが行われたのであれば、セッションは開放されないこととなり、セッションが維持されるべきであるのにセッションが開放されてしまうことが防止される。この結果、無駄な手間やリソースの無駄遣いが発生してしまって通信効率が悪くなることが無くなり、より効率的な通信が可能になる。
(7)変形例
上述の実施例では、図7に示されるように、移動端末112における無線インターフェイス層241が主にセッション制御処理を行なっている構成について説明したが、セッション制御処理を行なう主体はこれに限定されず、例えば、テレフォニーマネージャ242が主にセッション制御処理を行なう構成としてもよく、コネクティビティマネージャ243が主にセッション制御処理を行なう構成としてもよい。
また、上述の実施例では、図8に示されるような構成について説明したが、ステップS36に移行するまでの処理の流れはこれに限定されず、例えば、ステップS32において無線インターフェイス層241が、標準ライブラリ3によりWiFi及びLTE(又は3G)間の上述のRATの変更が行われた後第三の所定時間以上RATの変更が行われず継続したことが通知信号により示されているか状況であるか否かを判定し、ステップS34において無線インターフェイス層241が、通知信号の受信から第四の所定時間経過した時点でRATの変更が行われたか否かを判定する構成としてもよい。
また、上述の実施例では、図4に示されるような構成について説明したが、開放指示信号の送信を禁止することになる所定条件はこれに限定されず、例えば、標準ライブラリ3による上述の再接続試行処理(無線の再接続)の実行が通知信号により示されているか、標準ライブラリ3によりLTE及び3G間の上述のRATの変更が行われたことが通知信号により示されているか、のいずれかに当てはまる状況であると判定された場合に、開放指示信号の送信を禁止する構成としてもよい。
この場合、PDPコンテキストが開放されたことが通知信号により示されているか、WiFi及びLTE間のRATの変更があったことが通知信号により示されているか、又は、WiFi及び3G間のRATの変更があったことが通知信号により示されているか、又は、標準ライブラリ3により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されているか、のいずれかに当てはまる状況であると判定された場合に、開放指示信号を送信する構成としてもよい。
更に別の構成として、WiFi及びLTE間のRATの変更があったことが通知信号により示されているか、WiFi及び3G間のRATの変更があったことが通知信号により示されているか、上述のハードウェア内の無線通信部105により圏外状態であると判定されたことが通知信号により示されているか、上述のハードウェア内の無線通信部105による上述の再接続試行処理(無線の再接続)の実行が通知信号により示されているか、又は、上述のハードウェア内の無線通信部105によりLTE及び3G間の上述のRATの変更が行われたことが通知信号により示されているか、のいずれかに当てはまる状況であると判定された場合に、開放指示信号の送信を禁止する構成としてもよい。
この場合、PDPコンテキストが開放されたことが通知信号により示されている状況であると判定された場合に、開放指示信号を送信する構成としてもよい。