(地物データ)
本願発明の地理空間情報の管理システム、及び地理空間情報のプログラムにおいて、地物に関する情報を管理する際のデータの単位である「地物データ」について説明する。なお、管理する際のデータの単位としては、地物ごとのデータである「単位地物データ」の場合、地物に関する属性ごとのデータである「属性データ」の場合、属性データを構成する要素データである「属性要素データ」の場合等が考えられる。すなわちここでは、管理単位である「地物データ」が、「単位地物データ」の場合、「属性データ」の場合、「属性要素データ」の場合について説明する。
本願発明の概要を図1〜図5(a)(b)(c)に基づいて説明する。図1は、地理空間情報管理システム1の主な構成を示す説明図である。図1に示す地理空間情報管理システム1は、地物に関する電子化情報(地物データ)を格納する地物情報データベース2(以下、データベースは「DB」という。)と、データを登録するデータ登録手段3と、地物データを更新するか否かの判断処理を行うデータ更新手段4から構成されている。
地物情報DB2は、建物、道路、河川、橋、木、海あるいは山といった地物に関する情報を地物データとして格納するものであり、地物ごとに地物データを更新し管理することができるものである。図2は地物情報DB2の構成イメージを示す図であり、データベースは単位地物データをレコードとする表(以下、「テーブル」という。)となっている。
また地物情報DB2は、単位地物データ単位で管理する場合に限らず、地物に関する情報を構成する属性データを地物データとして管理することもできる。図3は、属性データ単位で管理する場合の地物情報DB2の構成イメージを示す図である。通常、地物に関する情報は、位置や形状などの情報からなる空間属性と、建設時期や改築時期などの情報からなる時間属性と、名称や住所又は所有者などの情報からなる主題属性で構成され、図3に示すデータベースも、空間属性データ、時間属性データ、主題属性データといった属性データ単位をレコードとするテーブルとなっている。なお、図に示す「空a」とは地物Aの空間属性データであることを意味し、「時b」とは地物Bの時間属性データであることを意味し、「主c」とは地物Cの主題属性データであることを意味している。
さらに地物情報DB2は、上記の場合に限らず、属性データを構成する属性要素データを地物データとして管理することもできる。図4は、属性要素データ単位で管理する場合の地物情報DB2の構成イメージを示す図である。通常、属性データは複数の要素データで構成され、図4に示すデータベースも、各属性データを構成する属性要素データ単位をレコードとするテーブルとなっている。なお、図に示す「空a1」とは地物Aの空間属性データを構成する第1の空間属性要素データであることを意味し、「時b3」とは地物Bの時間属性データを構成する第3の時間属性要素データであることを意味し、「主c2」とは地物Cの主題属性データを構成する第2の主題属性要素データであることを意味している。
図3に示すように、地物データを属性データとして管理する場合であっても、図5(a)に示すように、単位地物データをレコードとするテーブルとして管理することもできる。この場合、図5(a)のテーブルは、図3のテーブルにリンクすることによって構成することが望ましい。
また、図4に示すように地物データを属性要素データとして管理する場合であっても、図5(b)に示すように、単位地物データをレコードとするテーブルとして管理することもできる。あるいは図5(c)に示すように、属性データをレコードとするテーブルとして管理することもできる。この場合、図5(b)(c)のテーブルは、図4のテーブルにリンクすることによって構成することが望ましい。
以上のように、本願発明の地物情報DB2は地物に関する情報を地物データとして格納するものであり、この地物データは、単位地物データ、又は属性データ、又は属性要素データとすることができるものである。また地物データはそのデータが生成された時刻、いわゆるタイムスタンプの情報(以下、「データ生成時刻」という。)を備えており、地物データが単位地物データの場合はその単位地物データが生成された時刻、地物データが属性データの場合はその属性データが生成された時刻、地物データが属性要素データの場合はその属性要素データが生成された時刻、をそれぞれ地物データのデータ生成時刻とする。さらに、地物データが単位地物データの場合はその単位地物データごとにデータ生成時刻を備え(図2)、地物データが属性データの場合はその属性データごとにデータ生成時刻を備え(図3)、地物データが属性要素データの場合はその属性要素データごとにデータ生成時刻を備えている(図4)。
地物情報DB2を更新すべく地物データが登録されると、その地物データのデータ生成時刻と、その地物データと同じ「型」のデータの基準時刻が比較され、その地物データは更新用として採用されるか否かの判断がなされる。ここでいう「型」とは、地物データが単位地物データの場合は地物であり、地物データが属性データの場合は属性であり、地物データが属性要素データの場合は属性要素である。すなわち、地物データが単位地物データの場合は同じ地物(型)の基準時刻と比較され、地物データが属性データの場合は同じ地物であって同じ属性(型)の基準時刻と比較され、地物データが属性要素データの場合は同じ地物であって同じ属性を構成する同一の属性要素(型)の基準時刻と比較される。そのため、地物データ単位で基準時刻を設定する必要があり、地物データが単位地物データの場合はその単位地物データごとに基準時刻を設定し、地物データが属性データの場合はその属性データごとに基準時刻を設定し、地物データが属性要素データの場合はその属性要素データごとに基準時刻を設定する。
(実施形態1)
本願発明の地理空間情報の管理システム、及び地理空間情報のプログラムの第1の実施形態を図1〜8に基づいて説明する。なお本実施形態は、地物情報DB2が地物データを単位地物データとして管理する場合であり、図1では地物情報DB2が地物Aの単位地物データDa、地物Bの単位地物データDb、地物Cの単位地物データDc、を管理している。なお図中、Da(t0)やDb(t2)などに示したカッコ内の文字は、その単位地物データのデータ生成時刻を示し、その添数字は時刻の新旧を表すものであって若い数字ほど古い時代を意味する(例えば、t0、t2であればt0の方が過去に生成されている)。
データ登録手段3は、地理空間情報管理システム1内に地物データを登録するものであり、地物情報DB2の構築時に初期データとして地物データを登録することもできれば、地理空間情報管理システム1の運用中に更新用のデータとして地物データを登録することもできる。
地物データの登録は、記憶媒体から読み込んだり、後に説明するように通信回線を介して受信したり、あるいは地理空間情報管理システム1内に地物データ作成用の装置を設けこれによって作成したり、種々の方法を採用することができる。
地理空間情報管理システム1に更新のために登録された地物データは、後に示すようにデータ更新手段4によって更新するデータとして採用されるか否かを判断される。以下、更新のために登録され更新判断される地物データを便宜上、「更新候補データ」とする。図1では、地物Aに関する更新候補データをFa、地物Bに関する更新候補データをFb、地物Cに関する更新候補データをFcとしている。なお、更新候補データはデータ更新手段4によって更新判断されるために、一旦、地理空間情報管理システム1内に格納されることになるが、この格納先は、地物情報DB2を備えるコンピュータ内のメモリに格納してもよいし、他のコンピュータや種々のメモリ内に格納してもよい。
図1に示すように、地理空間情報管理システム1に地物A、B、Cに関する単位地物データがデータ登録手段3によって登録されると、データ更新手段4はこれらを更新候補データFa、Fb、Fcとして読み込み(矢印101)、基準時刻tsa、tsb、tscと照合する。この基準時刻は、地物データごとに設定されるものであり、事前に設定しておいてもよいし、更新候補データと照合するタイミングでその都度設定してもよい。例えば、事前に一つの基準時刻を入力しておき、この基準時刻を更新候補データと照合するタイミングで全ての地物データに割り当て、すべての地物データについて同じ時刻の基準時刻とすることもできる。
図6は、基準時刻を設定する他の一例を示す説明図である。データ更新手段4が更新候補データFa(t1)、Fb(t1)、Fc(t1)を読み込むと(矢印601)、地物情報DB2に既に格納されている既存の地物データの中から、更新候補データと同じ型(この場合は同じ地物)の地物データを検索し(矢印602)、該当する地物データDa、Db、Dcのデータ生成時刻(Daはt0、Dbはt2、Dcはt0)を抽出し(矢印603)、これらを基準時刻とする。つまり、地物データDaの基準時刻tsaはt0、地物データDbの基準時刻tsbはt2、地物データDcの基準時刻tscはt0となる。なおここでは、地物情報DB2に既に格納されている既存の地物データの中から更新候補データと同じ地物(型)の地物データを検索しているが、地物データを属性データとする場合は地物情報DB2の中から更新候補データと同じ地物であって同じ属性情報(型)の地物データを検索し、地物データを属性要素データとする場合は地物情報DB2の中から更新候補データと同じ地物であって同じ属性情報を構成する同一の属性要素(型)である地物データを検索することになる。
データ更新手段4が、更新候補データのデータ生成時刻と基準時刻とを照合するにあたっては、同一の型(この場合は地物)同士で照合することとする。すなわち、図1の矢印102に示すように、Faのデータ生成時刻t1とtsa(t0)を照合し、Fbのデータ生成時刻t1とtsb(t2)を照合し、Fcのデータ生成時刻t1とtsc(t0)を照合する。この場合も、地物データを属性データとする場合は同一の地物であって同一の属性情報(型)同士で照合し、地物データを属性要素データとする場合は同じ地物であって同じ属性情報を構成する同一の属性要素(型)同士で照合することになる。
さらにデータ更新手段4は、更新候補データのデータ生成時刻と基準時刻を照合した結果、双方の時刻の新旧に基づいて、当該地物データDaを更新候補データFaで更新するか否か(更新用のデータとして採用するか否か)を判断する。この時刻の新旧に基づく判断は、一例として更新候補データのデータ生成時刻の方が、その地物(型)の基準時刻よりも新しい場合には更新データとして採用され、古い場合には採用されないとすることができる。すなわち、地物Aの基準時刻tsaが2009年9月1日とすると、Faのデータ生成時刻t1が2009年10月1日であればFaによって更新することとし、Faのデータ生成時刻t1が2009年7月1日であればFaは更新用として採用されない。
なお、データ生成時刻と基準時刻の新旧に基づいての判断は、データ生成時刻が基準時刻よりも新しいときに更新する場合に限らず、データ生成時刻が基準時刻よりも古いときに更新することとしたり、データ生成時刻と基準時刻が同一(あるいは略同一)のときに更新することとしたり、データ生成時刻と基準時刻との時間差が所定の閾値以上(例えば3カ月以上、1年以上など)であるときに更新することとしたり、逆にデータ生成時刻と基準時刻との時間差が所定の閾値以下(例えば1週間以内、3日以内など)であるときに更新する、など種々の判断方法を選択することができる。この判断方法の選択については、以下すべての実施形態についても同様である。
図1に示すように、更新候補データのデータ生成時刻と同じ型の基準時刻を照合した結果、データ更新手段4はFa(t1)とFc(t1)を更新用として採用することと判断し、地物情報DB2に既に格納されている地物AのDa(t0)と地物CのDc(t0)とをそれぞれFa(t1)とFc(t1)に書き換え(矢印103)、新たに地物情報DB2内の地物データはそれぞれDa(t1)、Db(t2)、Dc(t1)となる。
図7のフロー図に、本実施形態における一連の更新の流れを示す。なおこのフロー図は、基準時刻の設定方法を図6に示す方法とした場合で説明している。
当初、地理空間情報管理システム1の構築時に、初期データが地物情報DB2に格納され(701)、当該システムの運用が開始される。運用後、データ登録手段3から地物データが登録され(702)、以下、地物Aの更新候補データFa、地物Bの更新候補データFb、地物Cの更新候補データFcとして扱われて更新するか否かの判断を受ける。
データ更新手段4は、まず、同じ型である地物Aに関する地物データを、地物情報DB2内から検索する(703)。地物情報DB2内から地物Aに関する地物データDaが見つからない場合、更新候補データFaを地物Aに関する地物データDaとして新たに地物情報DB2に格納する(707)。一方、地物情報DB2内から地物Aに関する地物データDaがあった場合、地物情報DB2内の地物データからそのデータ生成時刻を抽出し、地物Aにおける基準時刻に設定する(704)。
さらにデータ更新手段4は、地物Aにおける基準時刻と、更新候補データFaのデータ生成時刻を比較し(705)、更新候補データFaのデータ生成時刻の方が新しければ、地物情報DB2内の既存の地物Aに関する地物データDaを更新候補データFaに書き換える(707)。一方、更新候補データFaのデータ生成時刻の方が古ければ、地物情報DB2内の既存の地物データDaをそのまま維持し(706)、更新候補データFaは更新用のデータとして採用されない。
フロー中の703〜707(706)までの工程を、更新候補データFa、更新候補データFb、更新候補データFcについて繰り返す(708)。
地理空間情報管理システム1を構成する地物情報DB2、データ登録手段3、及びデータ更新手段4は、一つのコンピュータ内に構築することもできるし、あるいは、地物情報DB2、データ登録手段3、データ更新手段4を、それぞれ別のコンピュータに構築し、通信回線を介して接続する構成をとってもよい。
図8(a)に示すように、ホスト側システム5にホスト側地物情報DB2aとデータ更新手段4を備え、クライアント側システム6にデータ登録手段3を備え、ホスト側システム5とクライアント側システム6を通信回線によって接続し、データ登録手段3によって登録された地物データをホスト側地物情報DB2aに送信することもできる。この場合、2以上のクライアント側システム6を通信回線に接続し、それぞれのデータ登録手段3によって地物データを登録し、それぞれからホスト側地物情報DB2aに送信することもできる。更新手段4は、これら受信した地物データを更新候補データとして読み込み、これら更新候補データについて更新するか否かの判断を行い、更新データとして採用されるとその更新候補データによってホスト側地物情報DB2aは更新される。
このときホスト側システム5のデータ更新手段4が、あるクライアント側システム6から地物Aに関する更新候補データFaを読取り、その後に、他のクライアント側システム6から同じ地物Aのものであって、しかも先の更新候補データFaよりデータ生成時刻が古い更新候補データFaを読取ったとする。この場合でも、更新手段4は、データ生成時刻に基づいて更新するか否かを判断することができるので、ホスト側地物情報DB2a内にある新しいデータ生成時刻の地物データDaが、後に受信した古いデータ生成時刻の更新候補データFaによって更新されることはない。
また図8(b)に示すように、ホスト側システム5にホスト側地物情報DB2aを備え、クライアント側システム6にクライアント側地物情報DB2bとデータ更新手段4を備え、ホスト側システム5とクライアント側システム6を通信回線によって接続し、ホスト側地物情報DB2aに格納された地物データをクライアント側地物情報DB2bに送信することもできる。この場合、2以上のクライアント側システム6を通信回線に接続し、ホスト側地物情報DB2aに格納された地物データを、それぞれのクライアント側地物情報DB2bに送信することもできる。クライアント側システム6の更新手段4は、これら受信した地物データを更新候補データとして読み込み、これら更新候補データについて更新するか否かの判断を行い、更新データとして採用されるとその更新候補データによってクライアント側地物情報DB2bは更新される。
(実施形態2)
本願発明の地理空間情報の管理システム、及び地理空間情報のプログラムの第2の実施形態を図9に基づいて説明する。本実施形態は、地物データを属性データとする場合について説明するためのものであり、本実施形態に記さないシステムの基本的構成や機能、データの流れや処理方法などは実施形態1と共通する。
図9は、地物データを属性データとする場合であって、データ更新手段4が地物データごとに基準時刻と照合して更新判断する一連の処理について説明する説明図である。地物データである属性データは、空間属性データと、時間属性データと、主題属性データの3種類があり、それぞれその属性データが生成されたデータ生成時刻を情報として備えている。例えば、図9の地物情報DB2内に示すように、地物Aに関する単位地物データDaは、空間属性データ空a(t4)、時間属性データ時a(t6)、主題属性データ主a(t4)からなり、空間属性データ空aはそのデータ生成時刻がt4という情報を備え、時間属性データ時aはその生成時刻がt6という情報を備え、主題属性データ主aはその生成時刻がt4という情報を備えている。
図9では、データ更新手段4が、地物Aの地物データである属性データ(空間属性データ空a、時間属性データ時a、主題属性データ主a)と、地物Bの地物データである属性データ(空間属性データ空b、時間属性データ時b、主題属性データ主b)と、地物Cの地物データである属性データ(空間属性データ空c、時間属性データ時c、主題属性データ主c)をそれぞれ更新候補データとして読み取っており、それぞれの型(この場合は属性データ)ごとに設定された基準時刻と照合している(矢印901)。例えば、地物Aの空間属性データ空aの生成時刻であるt5と、地物Aの空間属性データの基準時刻である空sa(=t4)が照合されている。同じく、地物Aの時間属性データ時aの生成時刻であるt5と、地物Aの時間属性データの基準時刻である時sa(=t6)が照合され、地物Aの主題属性データ時aの生成時刻であるt5と、地物Aの主題属性データの基準時刻である主sa(=t4)が照合されている。地物Bや、地物Cについても同様である。
基準時刻は、実施形態1に示すように別途設定してもよいが、図9では、地物情報DB2内のデータ生成時刻に基づいて設定している。すなわち、データ更新手段4が更新候補データ(空間属性データ空a、時間属性データ時a、主題属性データ主a、・・・)を読み込むと、地物情報DB2に既に格納されている既存の地物データの中から、ぞれぞれの更新候補データと同じ地物データを検索し(地物AであればDa)、さらに該当する地物データの中から同じ属性データを検索し(矢印902)、その該当した属性データのデータ生成時刻(例えばDaの空間属性データはt4、Dbの空間属性データはt5、Dcの空間属性データはt5)を抽出して(矢印903)、これらを地物データの基準時刻とする。
データ更新手段4は、更新候補データごと(つまり属性データごと)に基準時刻を照合し、時刻の新旧を比較した結果に基づいて、更新候補データごとに更新するか否かの判断処理を行う。
図9では、地物Aの更新候補データである空間属性データと主題属性データを更新するもの判断され、地物Bの更新候補データである空間属性データ、時間属性データ、主題属性データすべてを更新するもの判断され、地物Cの更新候補データである時間属性データのみを更新するもの判断されている。そして、地物情報DB2内に格納されていた地物Aの地物データDaのうち空間属性データ(空a)と主題属性データ(主a)が更新され、地物Bの地物データDbはすべての属性データが更新され、地物Cの地物データDcのうち時間属性データ(時c)のみ更新される。なお、更新されなかった地物Aの時間属性データ(時a)と、地物Cの時間属性データ(空c)、主題間属性データ(主c)は元の地物単位データ(属性データ)が維持される。
(実施形態3)
本願発明の地理空間情報の管理システム、及び地理空間情報のプログラムの第3の実施形態を図10〜図12に基づいて説明する。本実施形態は、地理空間情報管理システム1が履歴情報DB7を備えた場合について説明するためのものであり、本実施形態に記さないシステムの基本的構成や機能、データの流れや処理方法などは実施形態1や実施形態2と共通する。
図10は、データ登録手段3によって地物データが、履歴情報DB7に登録される処理について説明する説明図である。履歴情報DB7は同じ型の地物データであっても、データ生成時刻が異なればそれぞれ異なるデータとして格納するものである。なお、履歴情報DB7に格納されるデータは、便宜上「履歴地物データ」とする。すなわち、図10に示すように、履歴情報DB7は地物Aについては生成時刻がt0、t1、t2、・・・t7のものを履歴地物データDa(t0)、Da(t1)、Da(t2)、・・・Da(t7)として格納しており、地物Bや地物Cについてもそれぞれ累積的に地物データを履歴地物データとして格納している。なお、地物データが属性データである場合、地物データが属性要素データである場合もあるが、ここでは地物データが単位地物データである場合で説明している。
図10の例では、データ登録手段3によって登録された地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)が、履歴情報DB7内に格納される状況を示している。この場合、履歴情報DB7内の履歴地物データのうち、地物A〜地物Cいずれについてもデータ生成時刻t8のものがないので、新たに地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)が履歴地物データとして格納される。
なお地物データが属性データである場合、登録された地物データと履歴情報DB7内の履歴地物データと比較して、同じ地物であってもデータ生成時刻が空間属性データ、時間属性データ、主題属性データのうちいずれかのデータ生成時刻が異なれば、異なるデータとして、すなわち履歴地物データとして格納することができる(履歴情報DB7内のレコードを単位地物データとする)。あるいは、属性データを地物データとして扱い、登録された地物データ(属性データ)と履歴情報DB7内の同じ型の履歴地物データと比較して、データ生成時刻が異なれば、異なるデータとして、すなわち履歴地物データとして属性データごとに格納することもできる(履歴情報DB7内のレコードを属性データ単位とする)。地物データが属性要素データである場合も同様である。
図11は、本実施形態における地物データの更新処理を示す説明図である。データ更新手段4に更新命令が伝達されると、履歴情報DB7に格納された履歴地物データのうち最新のデータ生成時刻をもつ地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)を検索する(矢印1101)。なお、データ更新手段4に対する更新命令の伝達手段については、地理空間情報管理システム1内に更新命令を入力する更新命令手段を設け、これに入力した更新命令をデータ更新手段4に伝達することもできるし、地理空間情報管理システム1の外部で入力された更新命令をデータ更新手段4に伝達することもできる。また、図11では履歴情報DB7に格納された履歴地物データのうち最新のデータ生成時刻を有することを条件として地物データを検索しているが、最も古いデータ生成時刻を有することを条件としたり、あるいは所望の時刻に最も近いデータ生成時刻を有することを条件としたり、履歴地物データのデータ生成時刻に基づく種々の条件で検索することができる。
データ更新手段4は、検索した地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)を読み込んで更新候補データFa(t8)、Fb(t8)、Fc(t8)とし(矢印1102)、地物データごとの基準時刻と比較する(矢印1103)。この場合の基準時刻は、実施形態1に示すように別途設定してもよいが、図11に示すように、地物情報DB2に既に格納されている既存の地物データの中から、更新候補データと同じ型の地物データを検索し(矢印1104)、該当する地物データDa、Db、Dcのデータ生成時刻(Daはt7、Dbはt9、Dcはt6)を抽出し(矢印1105)、こられを基準時刻とすることもできる。
図11に示すように、更新候補データのデータ生成時刻と基準時刻を照合した結果、データ更新手段4はFa(t8)とFc(t8)をもって更新することと判断し、地物情報DB2に既に格納されている地物AのDa(t7)と地物CのDc(t6)とをそれぞれFa(t8)とFc(t8)に書き換え(矢印1106)、新たに地物情報DB2内の地物データはそれぞれDa(t8)、Db(t9)、Dc(t8)となる。
図12のフロー図に、本実施形態における一連の更新の流れを示す。なおこのフロー図は、基準時刻の設定方法を図11に示す方法とした場合で説明している。
当初、地理空間情報管理システム1の構築時に、初期データが地物情報DB2に格納され(1201)、当該システムの運用が開始される。運用後、データ登録手段3から更新用の地物データが登録され(1202)、履歴地物データとして履歴情報DB7に格納される(1203)。データ更新手段4に更新命令が伝達されると一連の更新作業が開始され(1205)、履歴情報DB7に格納された履歴地物データのうち最新のデータ生成時刻を有する地物データを抽出する(1206)。このとき、履歴情報DB7に格納された全ての地物について、一つずつ地物データ(この場合はデータ生成時刻が最新のもの)を抽出する。あるいは指定した地物についてのみ抽出することもできる。以降、この抽出された地物データを更新候補データとして扱う。
データ更新手段4は、更新候補データと同じ型(地物)の地物データを、地物情報DB2内から検索する(1207)。地物情報DB2内から同じ型の地物データが見つからない場合、この更新候補データを当該型(地物)の地物データとして地物情報DB2に新たに格納する(1211)。一方、地物情報DB2内から同じ型の地物データがあった場合、地物情報DB2内の地物データからそのデータ生成時刻を抽出し、当該型(地物)における基準時刻に設定する(1208)。
さらにデータ更新手段4は、当該型(地物)における基準時刻と、更新候補データのデータ生成時刻を比較し(1209)、更新候補データのデータ生成時刻の方が新しければ、地物情報DB2内の既存の地物データを更新候補データに書き換える(1211)。一方、更新候補データのデータ生成時刻の方が古ければ、地物情報DB2内の既存の地物データをそのまま維持し(1210)、この更新候補データは更新用のデータとして採用されない。
フロー中の1207〜1211(1210)までの工程を、履歴情報DB7から抽出した全ての型(地物)について、繰り返す(1212)。
(実施形態4)
本願発明の地理空間情報の管理システム、及び地理空間情報のプログラムの第4の実施形態を図13〜図15に基づいて説明する。本実施形態は、地理空間情報管理システム1が、通信回線を介して接続されるホスト側システム5とクライアント側システム6から構成され、クライアント側システム6が更新要求手段を備えた場合について説明するためのものであり、本実施形態に記さないシステムの基本的構成や機能、データの流れや処理方法などは実施形態1〜実施形態3と共通する。
図13に示すように、本実施形態の地理空間情報管理システム1はホスト側システム5とクライアント側システム6から構成され、ホスト側システム5とクライアント側システム6は通信回線を介して接続されている。クライアント側システム6は、一つだけ接続してもよいし、複数(図では三つ)接続してもよい。
ホスト側システム5には、データ更新手段4と履歴情報DB7が備えられている。なお、履歴情報DB7に代えてホスト側地物情報DB2aを備えてもよいし、履歴情報DB7とホスト側地物情報DB2aの両方を備えてもよい。
クライアント側システム6には、更新要求手段8と、クライアント側地物情報DB2bが備えられている。データ登録手段3を備えてもよい。なおクライアント側システム6もホスト側システム5と同様、クライアント側地物情報DB2bに代えて履歴情報DB7を備えてもよいし、クライアント側地物情報DB2bと履歴情報DB7の両方を備えてもよい。クライアント側システム6のデータ登録手段3で登録された地物データは、データ更新手段4によって更新判断されてクライアント側地物情報DB2bを更新し(あるいは履歴情報DB7に格納され)、さらに通信回線を通じてホスト側システム5に送信されて、ホスト側システム5の履歴情報DB7に履歴地物データとして格納される。なお、履歴情報DB7に代えてホスト側地物情報DB2aを設置する場合は、ホスト側システム5で受信した登録データが更新候補データとして扱われ、ホスト側システム5のデータ更新手段4によって更新判断され、採用された更新候補データのみがホスト側地物情報DB2aに更新される。また、ホスト側システム5にもデータ登録手段3を備えることとし、これによって登録された地物データを直接、ホスト側地物情報DB2aを更新(又は履歴情報DB7に格納)することもできる。
クライアント側システム6のクライアント側地物情報DB2bは、更新したい旨をホスト側システム5に要求したときに更新される仕組みとすることもできる。具体的には、更新要求手段8によって更新要求情報をホスト側システム5に送信し、これをホスト側システム5が受信するとこれが更新命令となって更新処理が開始され、データ更新手段4が履歴情報DB7にある履歴地物データの中から所望の地物データを抽出し、それぞれの地物データについて基準時刻と比較して更新判断を行う。ここで更新データとして採用された地物データは、通信回線を通じて更新要求を行ったクライアント側システム6に伝達され、当該クライアント側地物情報DB2bは更新される。なお、更新要求情報をホスト側システム5が受信した際に、クライアント側システム6が送信した時刻、又はホスト側システム5が受信した時刻を更新時刻としてホスト側システム5内に記憶しておくこともできる。この場合、この格納先は、地物情報DB2や履歴情報DB7を備えるコンピュータ内のメモリに格納してもよいし、他のコンピュータや種々のメモリ内に格納してもよい。
図14に基づいてさらに詳細に説明する。まず、履歴情報DB7に対するデータの登録処理について説明する。図14は、本実施形態における地物データの更新処理を示す説明図である。第1クライアント側システム6aのデータ登録手段3によって地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)が登録されると、これらの地物データはホスト側システム5に送信され(1401)、履歴情報DB7に履歴地物データとして格納される。地物データは複数のクライアント側システム6から送信されることがあるが、履歴情報DB7内の履歴地物データのデータ生成時刻と異なれば、いずれの地物データも履歴地物データとして格納される。
次に、クライアント側地物情報DB2bの更新処理について説明する。第2クライアント側システム6bが更新要求手段8によって更新要求情報を送信し(1402)、この情報をホスト側システム5が受信すると、これを更新命令としてデータ更新手段4が履歴情報DB7に格納された履歴地物データのうち所望の(図では最新のデータ生成時刻の)地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)を検索する(矢印1403)。
データ更新手段4は、検索した地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)を読み込んで更新候補データFa(t8)、Fb(t8)、Fc(t8)とし(矢印1404)、地物ごとの基準時刻と比較する(矢印1407)。この場合の基準時刻は、実施形態1に示すように別途設定してもよいが、図14に示すように、更新要求のあったクライアント側地物情報DB2bに既に格納されている既存の地物データの中から、更新候補データと同じ型(地物)の地物データを検索し(矢印1406)、該当する地物データDa、Db、Dcのデータ生成時刻(Daはt7、Dbはt9、Dcはt6)を抽出し(矢印1406)、これらを基準時刻とすることもできる。
図14に示すように、更新候補データのデータ生成時刻と基準時刻を照合した結果、データ更新手段4はFa(t8)とFc(t8)をもって更新することと判断し、クライアント側地物情報DB2bに既に格納されている地物AのDa(t7)と地物CのDc(t6)とをそれぞれFa(t8)とFc(t8)に書き換え(矢印1408)、新たにクライアント側地物情報DB2b内の地物データはそれぞれDa(t8)、Db(t9)、Dc(t8)になる。
図15のフロー図に、本実施形態における一連の更新の流れを示す。なおこのフロー図は、基準時刻の設定方法を図14に示す方法とした場合で説明している。
第2クライアント側システム6bが更新要求手段8によって更新要求情報を送信し(1501)、この情報をホスト側システム5が受信すると(1502)、データ更新手段4が履歴情報DB7から所望の地物データを抽出する(1503)。この抽出された地物データを更新候補データとして扱う。
データ更新手段4は、更新候補データと同じ型(地物)の地物データを、クライアント側地物情報DB2b内から検索する(1504)。クライアント側地物情報DB2b内からこの型(地物)の地物データが見つからない場合、この更新候補データを当該地物に関する地物データとして第2クライアント側システム6bに送信し、クライアント側地物情報DB2bに新たに格納される(1508~1509)。一方、クライアント側地物情報DB2b内から同じ型(地物)の地物データがあった場合、クライアント側地物情報DB2b内の地物データからそのデータ生成時刻を抽出し、当該地物における基準時刻に設定する(1505)。
さらにデータ更新手段4は、当該地物における基準時刻と、更新候補データのデータ生成時刻を比較し(1506)、更新候補データのデータ生成時刻の方が新しければ第2クライアント側システム6bに送信し、クライアント側地物情報DB2b内の既存の地物データが更新候補データに書き換えられる(1508~1509)。一方、更新候補データのデータ生成時刻の方が古ければ、クライアント側地物情報DB2b内の既存の地物データをそのまま維持し(1507)、この更新候補データは更新用のデータとして採用されない。
フロー中の1504〜1508(1507)までの工程を、履歴情報DB7から抽出した全ての型(地物)について、繰り返す(1510)。
なお本実施形態では、クライアント側システム6に更新要求手段8を設け、更新要求情報をホスト側システム5が受信すると更新処理が開始される場合で説明した。この更新要求手段8に代え、ホスト側システム5のホスト側地物情報DB2aが更新されるタイミング、又は履歴情報DB7に地物データが格納されるタイミングで更新処理が開始することもできる。
詳細には、ホスト側地物情報DB2aが更新されると(又は、履歴情報DB7に地物データが格納されると)、これが更新命令となって更新処理が開始され、データ更新手段4はホスト側地物情報DB2aを書き換えた地物データ(又は履歴情報DB7に格納された地物データ)を更新候補データとして読み込み、各クライアント側地物情報DB2b内にある同じ型の地物データからデータ生成時刻を抽出し、これを当該クライアントの当該型における基準時刻として設定する。さらにデータ更新手段4は、更新候補データと各々のクライアントの基準時刻とを比較して更新判断を行い、この判断に基づいて各々のクライアント側地物情報DB2bを更新する。
地物データを属性データ又は属性要素データとする場合、ホスト側地物情報DB2a(又は履歴情報DB7)において、地物データのうち所定の属性情報データ、例えば空間属性データで更新される(格納される)タイミングで更新処理が開始することもできる。クライアントによっては、空間属性データの更新情報にのみ興味を示すこともあり、時間属性データや主題属性データの変更では自らのクライアント側地物情報DB2bは更新されず、空間属性データの変更時に更新されることとすれば、ホスト側とのデータ通信回数や自己のDBの更新回数も減って好適となる。
(実施形態5)
本願発明の地理空間情報の管理システム、及び地理空間情報のプログラムの第5の実施形態を図16〜図17に基づいて説明する。前記実施形態4ではホスト側システム5側にデータ更新手段4を設けて更新判断させる場合を説明したが、本実施形態ではクライアント側システム6側にデータ更新手段4を設けて更新判断させる場合を説明する。なお、本実施形態に記さないシステムの基本的構成や機能、データの流れや処理方法などは実施形態1〜実施形態4と共通する。
図16は、本実施形態における地物データの更新処理を示す説明図である。まずはホスト側システム5における履歴情報DB7に対するデータの登録処理について説明する。第1クライアント側システム6aのデータ登録手段3によって地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)が登録されると、これらの地物データはホスト側システム5に送信され(1601)、履歴情報DB7に履歴地物データとして格納される。地物データは複数のクライアント側システム6から送信されることがあるが、履歴情報DB7内の履歴地物データのデータ生成時刻と異なれば、いずれの地物データも履歴地物データとして格納される。ホスト側システム5にホスト側地物情報DB2aがある場合には、データ更新手段4によって、地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)が更新候補データとして読み込まれ、更新判断され、その判断に基づいてホスト側地物情報DB2aを書き換える(1602)。
次に、クライアント側地物情報DB2bの更新処理について説明する。第2クライアント側システム6bが更新要求手段8によって更新要求情報を送信し(1603)、この情報をホスト側システム5が受信すると、これを更新命令としてホスト側のデータ更新手段4が履歴情報DB7に格納された履歴地物データのうち所望の(図では最新のデータ生成時刻の)地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)を検索し(矢印1604)、第2クライアント側システム6bに送信する(1605)。この場合、実施形態4で説明したように、ホスト側システム5のホスト側地物情報DB2aが更新されるタイミング(又は履歴情報DB7に地物データが格納されるタイミング)で、地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)を第2クライアント側システム6bに送信することもできる。
第2クライアント側システム6bが送信された地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)を受信すると、クライアント側の履歴情報DB7に履歴地物データとして格納される。
クライアント側の履歴情報DB7に新たに履歴地物データが格納されるとこれを更新命令として、あるいは別途設けられた更新命令の入力手段によって、クライアント側地物情報DB2bの更新処理が開始される。
クライアント側のデータ更新手段4が、クライアント側の履歴情報DB7に格納された履歴地物データのうち所望の(図では最新のデータ生成時刻の)地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)を読み込んで更新候補データFa(t8)、Fb(t8)、Fc(t8)とし(矢印1606)、型(地物)ごとの基準時刻と比較する(矢印1607)。この場合の基準時刻は、実施形態1に示すように別途設定してもよいが、図16に示すように、更新要求のあったクライアント側地物情報DB2bに既に格納されている既存の地物データの中から、更新候補データと同じ型(地物)の地物データを検索し、該当する地物データDa、Db、Dcのデータ生成時刻(Daはt7、Dbはt9、Dcはt6)を抽出し(矢印1608)、これらを基準時刻とすることもできる。
図16に示すように、更新候補データのデータ生成時刻と基準時刻を照合した結果、クライアント側のデータ更新手段4はFa(t8)とFc(t8)をもって更新することと判断し、クライアント側地物情報DB2bに既に格納されている地物AのDa(t7)と地物CのDc(t6)とをそれぞれFa(t8)とFc(t8)に書き換え(矢印1309)、新たにクライアント側地物情報DB2b内の地物データはそれぞれDa(t8)、Db(t9)、Dc(t8)となる。
図17のフロー図に、本実施形態における一連の更新の流れを示す。なおこのフロー図は、基準時刻の設定方法を図16に示す方法とした場合で説明している。
第2クライアント側システム6bが更新要求手段8によって更新要求情報を送信し(1701)、この情報をホスト側システム5が受信すると(1702)、データ更新手段4が履歴情報DB7から所望の地物データを抽出する(1703)。この抽出された地物データは第2クライアント側システム6bに送信され(1704)、この地物データを受信すると(1705)クライアント側の履歴情報DB7に格納される(1706)。
クライアント側のデータ更新手段4は、履歴情報DB7から所望の地物データを抽出し(1707)、この更新候補データと同じ型(地物)の地物データをクライアント側地物情報DB2b内から検索する(1708)。クライアント側地物情報DB2b内から同じ型(地物)の地物データが見つからない場合、この更新候補データは当該地物に関する地物データとして第2クライアント側システム6bに新たに格納される(1709)。一方、クライアント側地物情報DB2b内から同じ型(地物)の地物データがあった場合、クライアント側地物情報DB2b内の地物データからそのデータ生成時刻を抽出し、当該地物における基準時刻に設定する(1710)。
さらにデータ更新手段4は、当該地物における基準時刻と、更新候補データのデータ生成時刻を比較し(1711)、更新候補データのデータ生成時刻の方が新しければクライアント側地物情報DB2b内の既存の地物データが更新候補データに書き換えられる(1712)。一方、更新候補データのデータ生成時刻の方が古ければ、クライアント側地物情報DB2b内の既存の地物データをそのまま維持しこの更新候補データは更新用のデータとして採用されない。
フロー中の1708〜1712(1709)までの工程を、履歴情報DB7から抽出した全ての地物について、繰り返す(1713)。
(実施形態6)
本願発明の地理空間情報の管理システム、及び地理空間情報のプログラムの第6の実施形態を図18〜図19に基づいて説明する。本実施形態は、クライアント側システムにおける過去の更新時刻(更新要求情報を送信した際に記憶された時刻に関する情報)のいずれかを基準時刻とする場合について説明するためのものであり、本実施形態に記さないシステムの基本的構成や機能、データの流れや処理方法などは実施形態1〜実施形態5と共通する。
本実施形態も実施形態4や実施形態5と同様、地理空間情報管理システム1はホスト側システム5とクライアント側システム6から構成され、ホスト側システム5とクライアント側システム6は通信回線を介して接続されている。クライアント側システム6は、一つだけ接続してもよいし、複数接続してもよい。
ホスト側システム5には、データ更新手段4と履歴情報DB7が備えられている。なお、履歴情報DB7に代えてホスト側地物情報DB2aを備えてもよいし、履歴情報DB7とホスト側地物情報DB2aの両方を備えてもよい。
図18は、本実施形態における地物データの更新処理を示す説明図である。クライアント側システム6が更新要求手段8によって更新要求情報を送信し(1801)、この情報をホスト側システム5が受信すると、これを更新命令としてデータ更新手段4が履歴情報DB7に格納された履歴地物データのうち所望の(図では最新のデータ生成時刻の)地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)を検索する(矢印1803)。
また、ホスト側システム5が更新要求情報を受信すると、ホスト側システム5が受信した時刻を更新時刻として格納する(矢印1802)。更新時刻は、ホスト側システム5内に設けられたクライアント側システム6ごとに設けられた更新時刻DB9に格納される。この図では、クライアント側システム6ごとに専用の更新時刻DB9a、9b・・・9nが設けられているが、更新時刻がクライアント側システム6と関連するように記憶できれば、一つの更新時刻DB9に格納してもよい。また、ホスト側システム5が受信した時刻に代えて、クライアント側システム6が送信した時刻を更新時刻DB9に更新時刻として格納してもよい。さらに、前回更新用として採用された更新候補データのデータ生成時刻のうち最新の(又は最旧の)もののみを更新時刻として格納してもよいし、もしくは、更新処理を第一回更新、第二回更新といった具合に世代管理し、その世代番号とともに更新時刻を格納してもよい。
データ更新手段4は、検索した地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)を読み込んで更新候補データFa(t8)、Fb(t8)、Fc(t8)とする(矢印1804)。
またデータ更新手段4は、更新要求情報を送信したクライアント側システム6が前回要求した際の更新時刻を更新時刻DB9から読み込む。なお、この場合、前回の更新時刻でなく、前々回の更新時刻、あるいはそれより前の更新時刻を読み込むなど、過去に行った更新要求にかかる更新時刻のうち所望のものを読み込む処理とすることもできる。
さらにデータ更新手段4は、更新時刻DB9から読み込んだ更新時刻(ここでは前回の更新時刻)を基準時刻とし、全ての地物データ(又は属性情報)に割り当てる。あるいは、指定した地物データにのみ前回の更新時刻を基準時刻として割り当てることもできる。この場合、地物データの型ごとに前回の(最新の)更新時刻を検索し、これら前回の更新時刻をそれぞれの地物データの型の基準時刻として割り当てることもできる。データ更新手段4は、これら地物データごとの基準時刻と、今回履歴情報DB7から読み込んだ更新候補データのデータ生成時刻とを比較する(矢印1806)。
図18に示すように、更新候補データのデータ生成時刻と基準時刻を照合した結果、データ更新手段4はFa(t8)とFc(t8)をもって更新することと判断し、このFa(t8)とFc(t8)をクライアント側システム6に送信し、クライアント側地物情報DB2bに既に格納されている地物AのDa(t7)と地物CのDc(t6)とをそれぞれFa(t8)とFc(t8)に書き換え(矢印1807)、新たにクライアント側地物情報DB2b内の地物データはそれぞれDa(t8)、Db(t9)、Dc(t8)となる。
図19のフロー図に、本実施形態における一連の更新の流れを示す。クライアント側システム6が更新要求手段8によって更新要求情報を送信し(1901)、この情報をホスト側システム5が受信すると(1902)、ホスト側システム5が受信した時刻を更新時刻として更新時刻DB9に格納する(1903)とともに、データ更新手段4が履歴情報DB7から所望の地物データを抽出する(1904)。この抽出された地物データを更新候補データとして扱う。
データ更新手段4は、更新要求情報を送信した当該クライアント側システム6が前回要求した際の更新時刻を更新時刻DB9から読み込み、この読み込んだ更新時刻を全ての地物データの基準時刻として設定する(1906)。
さらにデータ更新手段4は、当該地物データにおける基準時刻と、更新候補データのデータ生成時刻を比較し(1907)、更新候補データのデータ生成時刻の方が新しければ、これを更新用の地物データとして採用することとし(1909)、採用された更新候補データのみがクライアント側システム6に送信され、当該クライアント側地物情報DB2b内の既存の地物データを更新候補データに書き換える(1910)。一方、更新候補データのデータ生成時刻の方が古ければ、この更新候補データはクライアント側システム6に送信されず、クライアント側地物情報DB2b内の既存の地物データはそのまま維持される(1908)。
フロー中の1907〜1909(1908)までの工程を、履歴情報DB7から抽出した全ての地物について繰り返す。
(実施形態7)
本願発明の地理空間情報の管理システム、及び地理空間情報のプログラムの第7の実施形態を図20〜図21に基づいて説明する。本実施形態は、クライアント側システムが更新したい所望の時刻を基準時刻とする場合について説明するためのものであり、本実施形態に記さないシステムの基本的構成や機能、データの流れや処理方法などは実施形態1〜実施形態6と共通する。
本実施形態も実施形態4〜実施形態6と同様、地理空間情報管理システム1はホスト側システム5とクライアント側システム6から構成され、ホスト側システム5とクライアント側システム6は通信回線を介して接続されている。クライアント側システム6は、一つだけ接続してもよいし、複数接続してもよい。
ホスト側システム5には、データ更新手段4と履歴情報DB7が備えられている。なお、履歴情報DB7に代えてホスト側地物情報DB2aを備えてもよいし、履歴情報DB7とホスト側地物情報DB2aの両方を備えてもよい。
図20は、本実施形態における地物データの更新処理を示す説明図である。クライアント側システム6が更新要求手段8によって更新要求情報を送信し(2001)、この情報をホスト側システム5が受信する。なお、クライアント側システム6が送信した更新要求情報には、設定時刻trの情報も含まれている(2002)。この設定時刻trはホスト側システム5に一旦格納されるが、その格納先は履歴情報DB7や地物情報DB2を備えるコンピュータ内のメモリに格納してもよいし、他のコンピュータや種々のメモリ内に格納してもよい。なおこの設定時刻trとは、クライアント側システム6が過去の任意時点における地物データを要求するためのもので、クライアント側で設定した時刻のことである。ホスト側システム5はこの要求に応えるため、設定時刻trに応じた地物データをクライアント側システム6に送信する。
ホスト側システム5が更新要求情報を受信すると、これを更新命令としてデータ更新手段4が履歴情報DB7に格納された履歴地物データのうち所望の(図では最新のデータ生成時刻の)地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)を検索し(矢印2003)、検索した地物データDa(t8)、Db(t8)、Dc(t8)を読み込んで更新候補データFa(t8)、Fb(t8)、Fc(t8)とする(矢印2004)。
データ更新手段4は、クライアント側システム6から送られた更新要求情報に含まれる設定時刻trを読み込み(2002)、この設定時刻trを基準時刻とし、全ての地物データに割り当てる。あるいはこの設定時刻trを、指定した地物データにのみ基準時刻として割り当てることもできる。
データ更新手段4は、履歴情報DB7から読み込んだ更新候補データを地物ごとの基準時刻と比較する(矢印2005)。
図20に示すように、更新候補データのデータ生成時刻と基準時刻を照合した結果、データ更新手段4はFa(t8)とFc(t8)をもって更新することと判断し、クライアント側地物情報DB2bに既に格納されている地物AのDa(t7)と地物CのDc(t6)とをそれぞれFa(t8)とFc(t8)に書き換え(矢印2006)、新たにクライアント側地物情報DB2b内の地物データはそれぞれDa(t8)、Db(t9)、Dc(t8)になる。
図21のフロー図に、本実施形態における一連の更新の流れを示す。クライアント側システム6が更新要求手段8によって更新要求情報を送信し(2101)、この情報をホスト側システム5が受信すると(2102)、データ更新手段4が履歴情報DB7から所望の地物データを抽出する(2103)。この抽出された地物データを更新候補データとして扱う。
データ更新手段4は、更新要求情報を送信した当該クライアント側システム6が希望する設定時刻trを履歴情報DB7から抽出した全ての地物データに基準時刻として設定する(2104)。
さらにデータ更新手段4は、当該地物データにおける基準時刻と、更新候補データのデータ生成時刻を比較し(2105)、更新候補データのデータ生成時刻の方が新しければ、これを更新用の地物データとして採用することとし(2107)、クライアント側地物情報DB2b内の既存の地物データを更新候補データに書き換える(2108)。一方、更新候補データのデータ生成時刻の方が古ければ、クライアント側地物情報DB2b内の既存の地物データをそのまま維持し(2106)、この更新候補データは更新用のデータとして採用されない。
フロー中の2105〜2107(2106)までの工程を、履歴情報DB7から抽出した全ての地物について繰り返す。
(地理空間情報管理システムの使用例)
本願発明の地理空間情報管理システムを用いた地物データの更新処理について、図22に基づいて説明する。なおここで説明する地理空間情報管理システム1は、ホスト側システム5と、第一のクライアント側システム6aと、第二のクライアント側システム6bから構成され、ホスト側システム5と第一のクライアント側システム6aと第二のクライアント側システム6bは通信回線を介して接続されている。ホスト側システム5には、履歴情報DB7とホスト側地物情報DB2aが備えられ、それぞれのクライアント側システム6a、bには、データ登録手段3とクライアント側地物情報DB2bが備えられており、クライアント側システム6a、bのデータ登録手段3によって地物データが登録されると、所望のタイミングでホスト側システム5に送信され履歴情報DB7に格納される。
図22は、地理空間情報データのうちの地物データが時間とともに更新されていく状況を説明するものであり、左端の列は時間軸を表し、中央の列のうち上段(T2時点)では第一のクライアント側システム6aによるデータ更新状況を、下段(T3時点)では第二のクライアント側システム6bによるデータ更新状況を表す。また、右端の列はホスト側地物情報DB2aの地物データが更新されていく状況を表す。
1月1日(T1)時点では、地物Aは円形、地物Bは矩形、地物Cは2棟からなる矩形である地物データとして、それぞれの地物情報がホスト側地物情報DB2aに格納されている。
4月1日(T2)時点では、第一のクライアント側システム6aの更新者(以下、「第一の更新者」という。)が、「地物Bが消滅し、地物Cが長円形となった」情報に基づき、地物データを生成している。ここで生成された地物Bの地物データDbと地物Cの地物データDcの生成時刻はそれぞれt2であるが、地物データDaの生成時刻はt1である。これらの地物データDbと地物データDcはまだホスト側システム5には送信されていない。
7月1日(T3)時点では、第二のクライアント側システム6bの更新者(以下、「第二の更新者」という。)によって、「地物Aが矩形に変わり、地物Bが八角形に変わった」情報に基づいて、地物データを生成している。ここで生成された地物Aの地物データDaと地物データDbの生成時刻はそれぞれt3であるが、地物データDcの生成時刻はt1である。これらの地物データDaと地物データDbはまだホスト側システム5には送信されていない。
8月1日(T4)時点で、第二の更新者によって生成された地物データDa(t3)、地物データDb(t3)、及び地物データDc(t1)がホスト側システム5に送信されると、地物データDa(t3)、地物データDb(t3)は履歴情報DB7に格納されるが、地物データDc(t1)は既に履歴情報DB7に格納されているため今回は格納されない。つぎにデータ更新手段4が、履歴情報DB7内の最新のデータ生成時刻を有する履歴地物データを更新候補データとして読みこむ。この場合、地物Aに関しては地物データDa(t3)が、地物Bに関しては地物データDb(t3)が、地物Cに関しては地物データDc(t1)が最新であるため、これらを更新候補データFa(t3)、Fb(t3)、Fc(t1)として読みこむ。さらに、ホスト側地物情報DB2a内から更新候補データFaと同じ型(地物)の地物データDaを検索し、更新候補データFbと同じ型(地物)の地物データDbを検索し、更新候補データFcと同じ型(地物)の地物データDcを検索し、これらのデータ生成時刻を抽出して基準時刻とする。ここでは、ホスト側地物情報DB2a内の地物AについてはDa(t1)となっているので地物Aの基準時刻はt1となり、地物BについてはDb(t1)となっているので地物Bの基準時刻はt1となり、地物CについてはDc(t1)となっているので地物Cの基準時刻はt1となる。更新候補データFaのデータ生成時刻t3は地物Aの基準時刻t1(t1はt3よりも古い時刻)よりも新しく、更新候補データFbのデータ生成時刻t3も地物Bの基準時刻t1よりも新しいので、更新候補データFa(t3)、Fb(t3)ともに更新用のデータとして採用されるが、更新候補データFcのデータ生成時刻t1は地物Cの基準時刻t1と同じなので更新候補データFc(t1)は更新用のデータとして採用されない。よって、ホスト側地物情報DB2a内の地物データはDa(t3)、Db(t3)、Dc(t1)に書き換えられる。つまりT4時点において、ホスト側地物情報DB2aでは地物Aが矩形に更新され、地物Bが八角形に更新されている。
10月1日(T5)時点で、第一の更新者によって生成された地物データDb(t2)、Dc(t2)、及びDa(t1)がホスト側システム5に送信されると、地物データDb(t2)、Dc(t2)は履歴情報DB7に格納されるが、地物データDa(t1)は既に履歴情報DB7に格納されているため今回は格納されない。つぎにデータ更新手段4が、履歴情報DB7内の最新のデータ生成時刻を有する履歴地物データを更新候補データとして読みこむ。この場合、地物Cに関しては地物データDc(t2)が最新であるため、これを更新候補データFc(t2)として読みこむが、地物Aに関しては地物データDa(t3)が既に履歴情報DB7内に格納されていることからDa(t3)が最新であり更新候補データFa(t3)として読み込まれ、地物Bに関しても地物データDb(t3)が既に履歴情報DB7内に格納されていることからDb(t3)が最新であり更新候補データFb(t3)として読み込まれる。さらに、ホスト側地物情報DB2a内から更新候補データFaと同じ型(地物)の地物データDaを検索し、更新候補データFbと同じ型(地物)の地物データDbを検索し、更新候補データFcと同じ型(地物)の地物データDcを検索し、これらのデータ生成時刻を抽出して基準時刻とする。ホスト側地物情報DB2a内の地物Aと地物BについてはT4時点でのデータであるデータDa(t3)、データDb(t3)となっているので、地物Aの基準時刻はt3、地物Bの基準時刻もt3となる。一方、ホスト側地物情報DB2a内の地物CについてはDc(t1)となっているので、地物Cの基準時刻はt1となる。更新候補データFcのデータ生成時刻t2は地物Cの基準時刻t1よりも新しいので、更新候補データFc(t2)は更新用のデータとして採用され、ホスト側地物情報DB2aの地物データはDc(t2)に書き換えられるが、更新候補データFaのデータ生成時刻t3と地物Aの基準時刻t3は同時刻であり、更新候補データFbのデータ生成時刻t3と地物Bの基準時刻t3も同時刻なので、更新候補データFa(t3)、Fb(t3)は更新用のデータとして採用されない。つまりT5時点において、ホスト側地物情報DB2aでは地物Cが長円形に更新されるだけで、地物Aは矩形のままであり、地物Bは八角形のままである。