JP2013219642A - 薄型スピーカ - Google Patents

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Abstract

【課題】薄型化と良好な低音再生とを同時に実現することができる薄型スピーカを提供する。
【解決手段】対向して配置した磁石群3a〜7a、3b〜7bの間隙にフィルム状の振動板2を配置し、この振動板2上にボイスコイル2bを設け、水平方向に隣接する磁石間の領域から音波を放射する薄型スピーカであって、前記振動板2は、水平方向に隣接する磁石間の領域が山型あるいはロール形状を有し、この領域上に前記ボイスコイル2bを設けたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、対向して配置された磁石群を有し、これら磁石群の間隙に、フィルム状の振動板が配置された薄型スピーカに関し、例えば超薄型ディスプレイなどの音響デバイスとして好適なものである。
TVやモバイル機器の薄型化に伴って、これらに搭載されるスピーカにも薄型化が求められている。従来、薄型のスピーカとしては、コーン型スピーカを薄く設計したものが一般的であり、例えばコーンの頂角を大きくすることで薄型化している。また、逆コーン形状にして磁気回路をコーンの凹部の中に収容することで薄型化を図った製品もある。しかし、一般的なコーン型スピーカは、円錐(コーン)形の振動板を駆動して音を出すという構造上、薄型化に限界がある。
そこで、例えば特許文献1乃至3に記載されているように、平坦なプラスチックフィルム上にボイスコイルを接着などで固定した振動板を形成し、この振動板を、同一極が対向し、かつ水平方向に隣接する極が交互に異なるように所定の間隔で配置した磁石群の間隙に配設することにより音波放射を実現する薄型スピーカが開発されている。
この種の薄型スピーカでは、ボイスコイルに駆動電流が流れると、フレミングの左手の法則に従って、振動板の厚み方向に沿う電磁力が当該ボイスコイルに作用し、振動板としてのプラスチックフィルムを振動させることで音が発生する。このようなフィルム状の振動板を用いることで、コーン型に比べてより薄型化が可能になる。
特開昭62−160900号公報 特開昭51−121322号公報 特開2011−171780号公報
しかしながら、振動板がフィルム状の平面形状であるため、振幅が大きく取れず低音再生が十分でない、という課題がある。また、性能を安定化させるためには、振動板(プラスチックフィルム)に張力を与えつつ周辺を固定しなければならないため、この点でも低音再生に悪影響を与えていた。
本発明は上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、薄型化と良好な低音再生とを同時に実現することができる薄型スピーカを提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の薄型スピーカは、対向して配置した磁石群3a〜7a、3b〜7bの間隙にフィルム状の振動板2を配置し、この振動板2上にボイスコイル2bを設け、水平方向に隣接する磁石間の領域から音波を放射する薄型スピーカであって、前記振動板2は、水平方向に隣接する磁石間の領域が山型あるいはロール形状を有し、この領域上に前記ボイスコイル2bを設けたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の薄型スピーカにおいて、前記磁石群3a〜7a、3b〜7bの対向面は同一極であり、水平方向に隣接する極が交互に異なり、これら水平方向に隣接する磁石で磁気回路を構成し、前記ボイスコイル2bを、前記水平方向に隣接する磁石間に設けられた音波放射用の間隙に対応して配置し、この音波放射用の間隙には、隣接する逆極性の磁石により磁場が形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の薄型スピーカにおいて、前記磁石群3a〜7a、3b〜7bにおける対向する少なくとも一対の磁石の対向面の中央部にそれぞれ、磁石の変形防止と対向する磁石同士の固定を行う補強兼固定用部材11a、11bを設けたことを特徴とする。
請求項1に係る本発明の薄型スピーカによれば、振動板に凹凸を形成したことで、振動板が水平方向に伸縮可能になり、垂直方向の変位を大きくして低音再生を有利にできる。また、水平方向に隣接する磁石間の領域に、振動板の山型あるいはロール形状を有する部分を配置することによって、振動板がスピーカの構成部品に接触するのを防止できる。更に、振動板の山型あるいはロール形状を有する部分の存在によって、振動板全体の剛性が大きくなることも期待できるので、性能の安定化を図ることができる。これによって、薄型化と良好な低音再生とを同時に実現することができる。
また、請求項2に係る薄型スピーカでは、水平方向に隣接する磁石間に、振動板を振動させるのに充分な駆動力を得るだけの磁束が存在するので、振動板の山型あるいはロール形状を有する部分も振動に寄与させることができ、振動板の駆動力を高めることができる。
更に、請求項3に係る薄型スピーカでは、補強兼固定用部材により、同一極の対向する磁石の反発力により、これらの磁石が変形するのを防止できる。しかも、同一極の対向する磁石の中央部は発生する磁場が弱いので、補強兼固定用部材を設けることによる磁気回路への影響を小さくできる。
本発明の実施の形態に係る薄型スピーカの断面図であり、(a)図は短手方向の中央部の断面図、(b)図は短手方向の他の部分の断面図である。 図1に示した薄型スピーカの分解図である。 図1および図2に示した薄型スピーカにおける振動板を示しており、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図におけるボイスコイルの一端側の拡大図、(c)図は(a)図におけるボイスコイルの他端側の拡大図である。 対向配置した磁石の横方向に隣接する二つの磁気分布について説明するためのもので、(a)図は磁気分布図、(b)図は側方から見た図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る薄型スピーカにおける短手方向の異なる位置の断面図であり、図2は図1に示した薄型スピーカの分解図である。図1(a)は図2の薄型スピーカを組み立てた状態において短手方向の中央部(A−A’線)の断面を示し、(b)図は短手方向の端部(B−B’線)の断面を示している。
図1および図2に示すように、この薄型スピーカには、トラック状の開口部1a、1bをそれぞれ有する一対のフレーム1−1、1−2間に、フィルム状の振動板2の外周部が挟持された状態で張設されている。この振動板2の上面および下面にはそれぞれ、棒状の磁石群3a〜7aと棒状の磁石群3b〜7bが対向して並設配置されている。
これらの磁石群3a〜7aと磁石群3b〜7bは、対向する極が同一で、かつ水平方向に隣接する極が交互に異なるように所定の間隔で配設される。また、磁石群3a〜7aと磁石群3b〜7bの対向するコーナー部には、それぞれテーパが付けられている。そして、上記磁石群3a〜7a、3b〜7bによって、水平方向に隣接する各磁石間で磁気回路が形成される。
上記フレーム1−1、1−2の両面には、円形の音孔8−1、8−2がそれぞれ行列状に配置された上部パネル9−1と下部パネル9−2が接合される。上記音孔8−1は水平方向に隣接する各磁石群3a〜7aの間に位置するように形成され、上記音孔8−2も水平方向に隣接する各磁石群3b〜7bの間にそれぞれ位置するように形成されている。
上記振動板2は、図3(a)〜(c)に示すように、プラスチックフィルム2aと、このプラスチックフィルム2a上にトラック型に形成されたボイスコイル(駆動コイル)2bとで構成されている。ボイスコイル2bは、最外周に配置された一端T1から内側の他端T2まで連続する螺旋状の配線であり、長手方向に隣接する所定数を一組にし、この組が所定間隔で配置された直線状部2baと、両端の折曲部2bb、2bcとを有している。本例では、4箇所の直線状部2baにそれぞれ4本の配線が隣接して密に配置されている。
上記プラスチックフィルム2aにおけるボイスコイル2b下の領域は、音波放射方向(図1、図3では上方)に対して山型またはロール形状(半円状)に突出しており、この突出した部分の上に上記ボイスコイル2bとして働く配線が接着などにより固定されている。
図1に示したように、この振動板2は、同一極が対向して配置された磁石群3a〜7aと磁石群3b〜7bとの間で、かつ山型またはロール形状の部分が水平方向に隣接する磁石間の間隙に位置するように配設される。
上記磁石群4a〜6a、4b〜6bにおける対向する少なくとも一対の磁石の対向面の中央部にそれぞれ、磁石5a、5bの変形防止と固定を行う補強兼固定用部材11a、11bが設けられている。この補強兼固定用部材11a、11bは、大きな振動板2を駆動する場合に補助として用いられるもので、対向する磁石5a、5b間の距離と、振動板2と磁石5a、5b間距離を正確に保つために機能する。
上記補強兼固定用部材11a、11bはそれぞれ、各磁石5a、5bよりも幅が狭く、長さがやや短い板状のガラス入りABSなどのプラスチック材料、または非磁性金属材料などからなる部材であり、各磁石5a、5bの長手方向に沿って接着剤などで固着され、この固着面の裏面側で振動板2を両面から圧力を掛けて挟み込んでいる。上記磁石群のうち両端の磁石3aと3b、磁石7aと7bの間にはそれぞれ、フレーム1−1、1−2の長手方向の枠の一部が介在されることで磁石の変形防止と対向する磁石同士の固定が行われる。
これらの補強兼固定用部材11a、11bは、本例では中央部の磁石5a、5bに対応して設けられているが、振動板2のサイズやボイスコイル2bのパターンなどに応じて適宜設ける。例えば、極狭小のものでは不要であり、幅広になるに従って1から複数本に増加させると良い。
上記のような構成において、隣接する磁石間と間隙の磁気分布は、図4(a)、(b)に示すように、磁石3a、3b、4a、4bのテーパを付けたコーナー部の磁束密度が最も高く、水平方向に隣接する磁石3a、4aのコーナー部近傍にボイスコイル2bを配置することで振動板2を効率良く駆動することができる。また、水平方向に隣接する磁石3a、4a間の領域も振動板2の磁束密度が高く、充分な駆動力を得るだけの磁束が存在するので、振動板2の山型あるいはロール形状を有する部分も振動に寄与させることができる。更に、同一極の対向する磁石の中央部は発生する磁場が比較的弱いので、補強兼固定用部材11a、11bを設けることによる磁気回路への影響を小さくできる。
従って、上記のような構成によれば、振動板2に凹凸を形成したことで、振動板2が水平方向に伸縮可能になり、垂直方向の変位を大きくして低音再生を有利にすると共に、水平方向に隣接する磁石間の領域に振動板2の山型あるいはロール形状を有する部分を配置することによって振動板2がスピーカの構成部品に接触するのを防止できる。この結果、厚さ5mm程度であっても従来に比べて充分な低音再生が可能になるので、今後登場する有機ELテレビなどのような超薄型ディスプレイの音響デバイスとして好適である。
また、振動板2の山型あるいはロール形状を有する部分の存在によって、振動板2全体の剛性が大きくなることも期待できるので、性能の安定化を図ることができる。小型の振動板2の場合は、外側の凹凸部が垂直方向の振幅を大きくする効果を持ち、内側の凹凸部は剛性を大きくすることに寄与する。これによって、薄型化と良好な低音再生とを同時に実現することができる。
また、水平方向に隣接した磁石群の間隙にも、ボイスコイル2bを駆動するのに充分な磁束が存在するので、振動板2の山型あるいはロール形状を有する部分も振動に寄与させることができ、振動板の駆動力を高めることができる。
更に、補強兼固定用部材11a、11bを設けたことで、同一極の対向する磁石の反発力により、これらの磁石が変形するのを防止できる。この補強兼固定用部材11a、11bを設置したことによって、振動板2の振幅を抑えることになるが、振動板2の山型あるいはロール形状を有する凹凸部による垂直方向の振幅を大きくする効果は保つことができる。しかも、同一極の対向する磁石の中央部は発生する磁場が弱いので、補強兼固定用部材11a、11bを設けることによる磁気回路への影響を小さくできる。
なお、上記実施形態では、振動板2としてプラスチックフィルム2aを用いる場合を例に取って説明したが、他の材料を用いることもできるのはもちろんである。また、ボイスコイル2bをプラスチックフィルム2aに接着などで固着する例を示したが、プラスチックフィルム2a上に金属箔などを形成し、エッチングでボイスコイル2bのパターンを形成しても良い。
1−1、1−2 フレーム
1a、1b 開口部
2 振動板
2a プラスチックフィルム
2b ボイスコイル
2ba 直線状部
2bb、2bc 折曲部
3a〜7a、3b〜7b 磁石群
8−1、8−2 音孔
9−1 上部パネル
9−2 下部パネル
11a、11b 補強兼固定用部材
T1 ボイスコイルの一端
T2 ボイスコイルの他端

Claims (3)

  1. 対向して配置した磁石群(3a〜7a、3b〜7b)の間隙にフィルム状の振動板(2)を配置し、この振動板(2)上にボイスコイル(2b)を設け、水平方向に隣接する磁石間の領域から音波を放射する薄型スピーカであって、
    前記振動板(2)は、水平方向に隣接する磁石間の領域が山型あるいはロール形状を有し、この領域上に前記ボイスコイル(2b)を設けたことを特徴とする薄型スピーカ。
  2. 前記磁石群(3a〜7a、3b〜7b)の対向面は同一極であり、水平方向に隣接する極が交互に異なり、これら水平方向に隣接する磁石で磁気回路を構成し、前記ボイスコイル(2b)を、前記水平方向に隣接する磁石間に設けられた音波放射用の間隙に対応して配置し、この音波放射用の間隙には、隣接する逆極性の磁石により磁場が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薄型スピーカ。
  3. 前記磁石群(3a〜7a、3b〜7b)における対向する少なくとも一対の磁石の対向面の中央部にそれぞれ、磁石の変形防止と対向する磁石同士の固定を行う補強兼固定用部材(11a、11b)を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の薄型スピーカ。
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