JP2013215637A - 汚染土壌浄化処理方法、汚染土壌浄化処理装置、汚染物焼却装置 - Google Patents

汚染土壌浄化処理方法、汚染土壌浄化処理装置、汚染物焼却装置 Download PDF

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哲治 井波
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Abstract

【課題】複数種類の汚染物質に汚染された土壌を経済的に浄化処理する技術を提供する。
【解決手段】微生物、菌類、植栽物、あるいはそれらの酵素の代謝作用を促進させることにより、複数種類の汚染物質に汚染された汚染土壌の分解及び浄化を行う汚染土壌浄化処理方法であって、汚染土Sを醗酵させる複数基の醗酵槽1a,1b,1c,…1fから成る醗酵装置1を築造する醗酵装置築造工程A1と、汚染土Pを採掘して醗酵装置1内に搬入する搬送工程B1と、汚染土Pに醗酵補助材S1と種菌S2を混合攪拌して混合土SAを作る混合土工程C1と、混合土SA内に強制的に送気しながら醗酵養生する養生工程D1と、混合土SAを切り返しつつ強制的に空気に触れさせ好気醗酵を促す切り返し工程E1と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数種類の汚染物質に汚染された汚染土壌を浄化処理する汚染土壌浄化処理方法、汚染土壌浄化処理装置、及び複数種類の汚染物質に汚染された汚染植栽物を焼却処理する汚染物焼却装置に関する。
近年における生活水準の向上、産業活動の活発化等に伴い、新たな化学物質による環境汚染の懸念や廃棄物の処理問題に関連した土壌汚染に関心が高まっている。また、市街地の再開発等に伴い、過去に蓄積した有害物質を含む土壌の存在が明らかになる事例が増加している。このような状況に対応するため、平成3年8月に「土壌の汚染に係る環境基準」が告示された。
除染対策が厄介な核種はセシウムとストロンチウムである。放射性核種セシウム134や137は一価カチオン(陽イオン)であるが、これは土壌吸着が強いことが知られている。つまり、雨が降ってもあまり土壌の下方に洗い流されないで土壌表層にとどまって動かない。したがって,浅い根の作物によって強く吸収させる必要がある。セシウムは周期律表では1族のカリウム(K)やナトリウム(Na)の系列であり、植栽物に吸収されるときは、細胞膜のカリウムかナトリウムの輸送体(トランスポーター)を通して根や葉から吸収されると考えられている。土壌に降下した放射性セシウムの元素の濃度自体はほかの元素と比べれば、けた違いに低いので、セシウムは高親和性のカリウムトランスポーターで吸収させる必要がある。植栽物をカリウム欠乏にすればこのトランスポーターの遺伝子が誘導されて、トランスポーター蛋白が増加してトランスポーター活性が増加することが期待されている。一方、放射性核種ストロンチウム90は周期律表では2族のマグネシウム(Mg)やカルシウム(Ca)の系列に属するので、根の細胞膜にあるこの二つのいずれかの元素のトランスポーターを通して間違って吸収される。
この汚染土壌浄化の処理技術として、バイオレメディエーション技術が注目されており、従来の汚染土壌浄化方法の、汚染土壌を採掘回収して最終処分場で処分する方法と比較して処理費が1/3程度まで削減できると言われている。バイオレメディエーションは、環境を汚染している物質を微生物や菌類や植物あるいはそれらの酵素の代謝作用を促進させることにより分解・浄化を図る技術の総称で、浄化に有効な微生物を新たに投入するバイオオーグメンテーションと、既存の微生物の働きをより強くするバイオスティミュレーションと、植栽物が根から水分や養分を吸収する能力を利用して、土壌中の汚染物質を吸収、分解するファイトレメディエーションとがある。このように、バイオレメディエーションは以下の3技術が代表的である。
(1)土着微生物を活用して汚染物質を発酵させ浄化するバイオスティミュレーション技術
(2)他から導入した微生物を汚染土壌に注入して浄化するバイオオーグメンテーション技術
(3)植栽物に汚染物質を吸収させて浄化するファイトレメディエーション技術
特になし
しかしながら、上記したバイオスティミュレーションについては、油や揮発性有機化合物に汚染されている汚染土壌の浄化には有効とされているものの、重金属類の汚染物質は浄化できない等の問題を抱えている。
また、バイオオーグメンテーションについては、汚染土壌が深い層として存在している、あるいは汚染土壌の上に建造物が存在する等の条件において適用できる浄化方法とされるため、この技術では、他から導入する微生物の汚染物質への適応性、安全性の判定が難しい。
さらに、ファイトレメディエーションについては、東日本のセシウム除染問題で研究されているが、汚染物質を吸収した植栽物の処理問題を抱えている。
特に、沖縄の基地返還地における汚染土壌問題では、PCB、カドミウム、六価クロム、鉛、ヒ素、石油類など複数種類の汚染物質が確認されている。このような複数種類の汚染物質に汚染されている土壌の浄化においては、バイオレメディエーションによる経済的な汚染土壌浄化処理技術が期待されているものの未だもって何等の具体的な対策も図られていないのが実情である。
そこで、本発明は、複数種類の汚染物質に汚染された土壌を経済的に浄化処理する技術を提供するものである。
本発明に係る汚染土壌浄化処理方法は、微生物、菌類、植栽物、あるいはそれらの酵素の代謝作用を促進させことにより、複数種類の汚染物質に汚染された汚染土壌の分解及び浄化を行う汚染土壌浄化処理方法(以下に、バイオスティミュレーション技術と称す)であって、汚染土を醗酵させる複数基の醗酵槽から成る醗酵装置を築造する醗酵装置築造工程と、汚染土を採掘して醗酵装置内に搬入する搬送工程と、汚染土に醗酵補助材と種菌を混合攪拌して混合土を作る混合土工程と、混合土内に強制的に送気しながら醗酵養生する養生工程と、混合土を切り返しつつ強制的に空気に触れさせ好気醗酵を促す切り返し工程と、を有することを特徴とする。
醗酵装置築造工程は、三方をコンクリートブロックで囲って醗酵ヤードを形成する醗酵ヤード形成工程と、該コンクリートブロックによる囲いの外周に降雨水を排水するスペースを設ける排水スペース形成工程と、該醗酵ヤード内に複数枚の鉄板をつなぎ合わせてできる鉄板床を、適当な間隙を開けて複数列を敷設する床形成工程と、該間隙部分に穴あき送風管を配管する配管工程とによって汚染土醗酵槽が築造されることを特徴とする。
混合土工程は、汚染土容量に対して、リグニン成分を含有する粉砕した有機物資材である醗酵補助材と、穀物粉体である種菌とを、少なくとも30パーセントを混合攪拌して混合土が製造されることを特徴とする。
切り返し工程は、醗酵養生期間3日目毎に混合土を切り返し、該切り返し工程を複数回行い、醗酵装置内での醗酵日数を複数日間要することを特徴とする。
切り返し工程は、混合土の切り返しを1日で行い、2日間を醗酵養生する醗酵工程までを3日間で一巡し、これを継続して少なくとも6回実施すると共に、汚染土を採掘して醗酵装置内に搬入する搬送工程から醗酵土を採取場所に埋め戻す工程までを、一巡することを特徴とする。
植栽物が根から水分や養分を吸収する能力を利用して、複数種類の汚染物質に汚染された汚染土壌の浄化を行う汚染土壌浄化処理方法(以下に、ファイトレメディエーション技術と称す)であって、汚染土壌地盤に植栽物を植栽・生育管理する植栽工程と、植裁物が繁茂する期間に、汚染物質を植裁物に吸収させて、汚染土壌中の汚染物質含有量を減少させる吸収工程と、汚染土壌の汚染物質含有量が環境基準値以内に浄化したことを確認する浄化確認工程と、汚染物質を吸収した植裁物を回収してチップ状に粉砕する粉砕工程と、回収した植裁物を焼却して汚染物質を燃焼残渣に濃縮する焼却工程と、を有することを特徴とする。
上記汚染土壌浄化処理方法(ファイトレメディエーション技術)において、汚染物質を吸収する植栽物として、セシウムを含む重金属類を汚染物質として吸収し且つ濃縮可能な植栽物や有機物質を使用したことを特徴とする。
本発明に係る汚染土壌浄化処理装置は、微生物、菌類、植栽物、あるいはそれらの酵素の代謝作用を促進させことにより、複数種類の汚染物質に汚染された汚染土壌の分解及び浄化を行う汚染土壌浄化処理方法(バイオスティミュレーション技術)に使用され、汚染土を醗酵させる複数基の醗酵槽から成る汚染土壌浄化処理装置であって、前記醗酵槽は、三方をコンクリートブロックで囲って形成された醗酵ヤードと、前記コンクリートブロックによる囲いの外周に降雨水を排水するためのスペースと、前記醗酵ヤード内に複数枚の鉄板をつなぎ合わせ且つ適当な間隙を開けて複数列を敷設してできる鉄板床と、該間隙部分に配管された穴あき送風管と、を備えていることを特徴とする。
本発明に係る汚染物焼却装置は、植栽物が根から水分や養分を吸収する能力を利用して、複数種類の汚染物質に汚染された汚染土壌の浄化を行う汚染土壌浄化処理方法(ファイトレメディエーション技術)に使用され、汚染物質を吸収した植栽物を回収して当該植栽物を燃焼し、濃縮された燃焼残渣とする汚染物焼却装置であって、前記焼却装置は、焼却槽と、回収した植栽物を焼却槽に投入する投入口と、焼却槽に空気の流入を遮断する蓋と、燃焼ガスを焼却槽から排除する排ガス管と、排ガスを水で冷却して当該排ガスからタールと木酢を回収する冷却槽と、焼却槽に空気を流入させる空気流入管と、植栽物の燃焼残渣を受ける火床と、を備えていることを特徴とする。
上記汚染物焼却装置において、セシウムを含む重金属類を汚染物質として吸収した植栽物や衣服に付着した有機物質を濃縮可能としたことを特徴とする。
焼却槽は、外槽と内槽との二重槽構造となっており、外槽と内槽との間隙には磁気を帯びた焼却残渣を充填し、外槽と内槽とを貫通して空気流入管を設けてあることを特徴とする。
本発明によれば、複数種類の汚染物質に汚染された土壌を経済的に浄化処理することができる。すなわち、油や揮発性有機化合物等の汚染物質はバイオスティミュレーション技術を活用して浄化する。バイオスティミュレーション技術で解決されなかった汚染物質は、ファイトレメディエーション技術を活用して、植栽物(ドラゴンフルーツ)に汚染物質を吸収させ、汚染土壌を浄化処理する。また、汚染物質の性状によってはファイトレメディエーション単独でも浄化処理が可能である。ファイトレメディエーションで活用した汚染物質を吸収したドラゴンフルーツは、回収現場で燃焼処理し、汚染物質を焼却残渣に濃縮して、産業廃棄物最終処分量を削減する。これにより、汚染土壌を経済的に浄化処理することができる。
本発明の実施の形態に係るバイオスティミュレーション技術及びファイトレメディエーション技術の工程の一例を示す説明図である。 汚染土を採掘する工程及び搬送工程の一例を示す説明図である。 搬送工程及び混合土工程の一例を示す説明図である。 醗酵装置の一例を示すもので、(a)は一部省略の平面図、(b)は(a)のX−X断面図である。 切り返し工程の一例を示す醗酵装置の平面図である。 トラクターショベルによる混合土の切り返し工程の一例を示す説明図である。 ファイトレメディエーション技術の吸収工程におけるドラゴンフルーツの植栽状態の具体例を示す土中の断面図である。 ファイトレメディエーション技術におけるバックホーでのトラクターショベルによるドラゴンフルーツの採取の具体例を示す断面図である。 ファイトレメディエーション技術の粉砕工程における裁断機によるドラゴンフルーツの裁断の具体例を示す説明図である。 ファイトレメディエーション技術の焼却工程における焼却装置の一例を示す斜視図である。 ファイトレメディエーション技術の焼却工程における焼却装置の一例を示す断面図である。 焼却装置(磁場熱分解炉)の分解の仕組みを説明する説明図である。 焼却装置(磁場熱分解炉)の処理の流れを説明する説明図である。
以下、本発明の実施形態に係るバイオスティミュレーション技術による汚染土壌浄化処理方法は、微生物、菌類、植栽物、あるいはそれらの酵素の代謝作用を促進させことにより、複数種類の汚染物質に汚染された土壌に含まれている例えば油脂類や揮発性有機化合物等の汚染物質の分解及び浄化を行う。
本実施形態においては、このバイオスティミュレーション技術による汚染土壌浄化処理方法は、図1(a)に示すように、汚染土Sを醗酵させる複数基の醗酵槽1a,1b,1c,・・・から成る醗酵装置1を築造する醗酵装置築造工程A1と、汚染土Sを採掘して醗酵装置1内に搬入する搬送工程B1(図2、図3参照)と、汚染土Sに醗酵補助材S1と種菌S2を混合攪拌して混合土SAを作る混合土工程C1(図3参照)と、混合土SA内に強制的に送気しながら醗酵養生する初回の養生工程D1(図4参照)と、混合土SAQを切り返しつつ強制的に空気に触れさせ好気醗酵を促す初回の切り返し工程E1(図5、図6参照)と、2回目以降の養生及び切り返し工程D1′、採取場所等への埋戻搬出工程F1との各作業工程が順次行われる。なお、2回目以降の養生及び切り返し工程D1′は、汚染土Sの醗酵進捗状況に応じて適宜実施される。
また、醗酵装置築造工程A1は、三方をコンクリートブロック2で囲って醗酵ヤード2A,2B,2C・・・を形成する醗酵ヤード形成工程aと、該コンクリートブロック2による囲いの外周に降雨水を排水するスペース3を設ける排水スペース形成工程bと、該醗酵ヤード2A,2B,2C・・・内に複数枚の鉄板をつなぎ合わせてできる鉄板床4を、適当な間隙を開けて複数列を敷設する床形成工程cと、該間隙部分に穴あき送風管5を配管する配管工程dとによって汚染土Sの醗酵槽1a,1b,1c,・・・が築造される。
一方、本発明の実施形態に係るファイトレメディエーション技術による汚染土壌浄化処理方法は、バイオスティミュレーション技術で解決されなかった汚染物質、又はバイオスティミュレーション技術で解決されないものと事前に判明した汚染物質を植栽物P(植栽物)である成長度の比較的早い例えば現在良く知られているドラゴンフルーツP等に吸収させることで汚染土壌を浄化処理した後に前記植栽物Pを回収し裁断もしくは粉砕してから燃焼処理することで汚染物質を焼却残渣に濃縮する。なお、このサボテン品種であるドラゴンフルーツPは、後述するようにセシウム等その他の重金属類を吸収する性状を有しているが、成長度の比較的早い他のサボテン品種であっても良い。
本実施形態においては、このファイトレメディエーション技術による汚染土壌浄化処理方法は、図1(B)、図7に示すように、汚染土壌地盤に植栽物Pを植栽・生育管理する植栽工程A2と、植栽物Pが繁茂する期間に、汚染物質を植裁物Pに吸収させて、汚染土S中の汚染物質含有量を減少させる吸収工程B2(図7参照)と、汚染土Sの汚染物質含有量が環境基準値以内に浄化したことを確認する浄化確認工程C2と、汚染物質を吸収した植栽物Pを回収してチップ状に粉砕する粉砕工程D2(図9参照)と、回収した植栽物Pを焼却して汚染物質を燃焼残渣に濃縮する焼却工程E2(図10、図11参照)、産業廃棄物処理F2との各作業工程が順次行われる。なお、汚染物質が油類、揮発性有機化合物以外だけであった場合には、ファイトレメディエーション技術のみによる汚染土壌浄化処理方法で済むことは勿論である。この場合、植栽工程A2の前に汚染土壌の耕運施肥が必要となる。
以下に、バイオスティミュレーション技術による汚染土壌浄化処理方法の各工程の詳細な説明をする。
<醗酵装置築造工程A1>
醗酵装置1は、醗酵対象汚染土を醗酵させて汚染物質を浄化する醗酵ヤード2A,2B,2C,・・・として使用する。その間、雨水を混入させない、醗酵に必要な水分を保持する、強制的に空気を供給する等の維持管理が必要となる。このため本実施形態においては、醗酵装置1の設置用地は、降雨水が滞留しないように、適当な勾配を設けて整地する。また、図4、図5に示すように、醗酵装置1は複数基の醗酵槽1a,1b,1c,・・・を略横並状態に併設して構築してあるが、これに限定されず、複数基の醗酵槽1a,1b,1c,・・・が2基ずつ互いに向き合わせ状態で併設しても良く、配置自体は浄化土壌の地形に応じて選択可能である。
以下の説明では、醗酵槽1aのみの説明とし、他の醗酵槽1b,1c,・・・の構成は醗酵槽1aと同様なのでその説明を省略する。醗酵槽1aは、三方をコンクリート二次製品である例えば幅約0.6m、高さ約0.6m、長さ約1.2mのコンクリートブロック2等で囲い(以下コンクリート囲いと言う)醗酵ヤード2Aを形成し、コンクリート囲いの外周には降雨水を排水するスペース3を設けている。そして、醗酵ヤード2A内に複数枚の工事用敷き鉄板(例えば長さ約1.8m、幅約0.9mの鉄板)を長手方向につなぎ合わせてできる縦長の鉄板床4を、適当な間隙を開けて複数列を敷設し、この間隙部分に穴あき送風管5を配管している。これら各穴あき送風管(以下送風管と称す。尚、送風穴は配管後に設けても良い。)の一方は開閉バルブ7a付のガイド管7bを介して送風機6に接続し、他方は封じる。送風管5は後工程の混合土SAの醗酵促進時の空気の供給に使用する。醗酵装置の規模は、醗酵工程における一日あたりの切り返し作業量及び切り返し作業の効率性等を判断して決定める。
醗酵槽1aの幅は切り返しに使用するショベルバケットの幅、鉄板床4の幅、送風管5の幅を考慮して決める。また、醗酵槽1aの長さは、醗酵装置規模によって決められるが、切り返し作業を考慮して約10m程度が好ましい。醗酵養生時は、醗酵槽1aを遮水性の醗酵養生シート8で覆う。このため、降雨時の排水のためにスペース3は必要であり、本実施形態の醗酵装置1の築造では、各々醗酵槽1aの周囲に排水用のスペース3を確保している。このスペース3は、例えばコンクリート二次製品、塩ビ製品、コルゲート等の既製品を使用した排水溝によって構築しても良い。醗酵装置1は養生工程D1に必要な醗酵槽数(本実施形態では6基の醗酵槽1a,1b,1c,・・・,1f)と、切り返し工程E1で使用する空き状態の予備発酵槽1g一基とで構成する。
尚、醗酵槽1a,1b,1c,・・・,1f及び予備発酵槽1gは、上記したコンクリート二次製品寸法に限定されるものではない。また、他の既製品でもよい。以上説明したように、本実施形態の醗酵装置1は、築造及び解体、移動が容易である。また、汚染土壌地域内でも自由に築造ができ、汚染土の運搬費を削減できるメリットがある。
<汚染土の搬送工程B1>
図2に示すように、汚染土SはバックホーBHにて採取し、醗酵装置までダンプトラックDTにて搬送する。搬送手段は、現場の状況に応じて、ベルトコンベアーあるいはトラクターショベルTSでも良く、搬送手段は特に限定されない。
<混合土工程C1>
醗酵槽に搬入した汚染土Sと、予め有機質物質を粉砕して製造した醗酵補助材S1と、穀物粉体や糖蜜等から成る活性化補助材S2(以下種菌と言う)を混合攪拌して混合土SAを作る。混合土SAは、トラクターショベルTS又は混合機(スクリュー型ミキサー)等を使用して作る。醗酵補助材S1は、伐採材、バガス(さとうきびを搾った残りのカス)、稲わら、麦わらなど、リグニン成分を含む有機質物を粉砕したものが良い。土壌菌を活性化する種菌S2は、米糠、ふすま等の穀物粉体や糖蜜等が良い。
本実施形態での混合土SAは、汚染土Sの容量に対して、醗酵補助材S1及び種菌S2の配合量は30%以上配合し、醗酵補助材S1と種菌S2の混合比は、おおむね7:3である。また、混合土SAは、醗酵に適当な水分が必要であり、混合土SAが適正に醗酵するためには適正な水分の調整を行う必要がある。混合土SAが乾燥状態の場合は適宜、水を補給しながら作る。混合土SAは醗酵槽1aの奥のほうから積み置きする。
<養生工程D1>
醗酵槽1aに積み置きした混合土SAが適正に醗酵するため、又適正な水分環境を維持するため、また降雨水で水分過剰となるのを防止するため、養生期間中は醗酵槽1a全体を遮水性の醗酵養生シート8で覆う(図6参照)。また、混合土SAが降雨水等で水分過剰になった場合は,嫌気醗酵となって悪臭が発生する。このように混合土SAが乾燥して水分が不足した場合は醗酵が休止する不都合が生じる。養生期間中は混合土SAに、醗酵槽1aの床面に配した送風管5を介して送気する。この空気の補給によって、汚染土S内に生息していた土着菌が増殖、活性化し混合土SAは発熱する。この現象を醗酵という。醗酵期間中の土着菌は醗酵補助材S1を栄養とし、空気の補給を受けて好気醗酵を促進する。混合土SAは3日毎に切り返しを行い、空気に十分触れさせ醗酵槽1aに積み置きする。酵養生中も強制的に空気の補給を行い、醗酵を促進する。これ等の醗酵過程を好気醗酵と言う。このように、本実施形態では、醗酵に適した水分環境を維持し、強制的に空気を補給して、好気醗酵を促す醗酵手段を提供することができる。
<切り返し工程E1>
醗酵槽1a,1b,1c,・・・,1fに積み置きした混合土SAは、2日間の醗酵養生期間をおいて、3日目に、醗酵装置1の空いている予備発酵槽1gに移動する。バケットですくい採った混合土は、移動先の醗酵槽1b,1c,・・・,1gにおいて、振落としながら空気に十分触れさせる。これらの掬い取り・振り落とし作業を数回行い、再度積み置きする。これらの作業を切り返し工程E1と言う。
すなわち、1回目の切り返しは、汚染土壌と醗酵補助材と種菌を混合攪拌して混合土を作り、2日間の醗酵養生を行ってから3日目に行う。先ず醗酵槽1fの混合土SAを隣の空き予備醗酵槽1gに移動しながら切り返しが完了すると、醗酵槽1fは空き状態となる。引き続き醗酵槽1eの混合土SAを醗酵槽1fに移動しながら切り返しを行う。以下同様に醗酵槽1d〜醗酵槽1aの全ての混合土SAを切り返しをする。2回目の切り返しは、1回目の切り返しが完了してから、2日間の醗酵養生を行った日の3日目に、1回目の切り返しと同様に、醗酵槽1bの混合土SAを空きの醗酵槽1aに移動して切り返しを完了すると、発酵槽1bは空き状態となる。引き続き醗酵槽1cの混合土SAを醗酵槽1bに移動して切り返しを行う。以下同様に醗酵装置1の全ての醗酵槽醗酵槽1d〜醗酵槽1g内の混合土SAの切り返しを行う。以下同様に切り返し工程E1を繰り返す。少なくとも全ての醗酵槽1a,1b,1c,・・・,1fにおいて計6回の切り返しを要すること、即ち、混合土SAの醗酵期間は混合土SAの作成日から7回目の切り返し後の養生日数を含めて少なくとも21日以上を必要としている。この切り返しによって混合土SAの醗酵は促進し即ち土壌菌の活性化によって、土壌汚染物質は分解され浄化処理される。
土着菌の餌(醗酵補助材S1)の滅失によって醗酵活動(土着菌の活性)は完了する。この状態の混合土を醗酵土と言う。以上の過程を得て汚染土は醗酵土と成って浄化される。汚染土壌浄化の最終手段として、汚染土Sは採掘した場所に戻される。一例として本工程では、切り返しを繰り返しながら混合土SAを醗酵させる期間、即ち汚染土壌を浄化処理する期間を、例えば混合土SAを作った日を含めて24日以上としている。通常、自然醗酵の場合、醗酵期間は21日以上必要とされているが、醗酵期間中であっても、土着菌の食べ物(醗酵補助材S1)がなくなると、醗酵はその時点で停止してしまう可能性がある。そこで混合土SAを作る工程において、土着菌の24日分以上の食べ物(醗酵補助材S1)を補給して、土着菌が活性化(混合土SAの醗酵)し、油脂類や揮発性有機化合物等の汚染物質を分解する。具体的に本実施形態においては、混合土SA作りに1日、養生に2日、1回目の切り返しに1日、養生に2日、2回目の切り返しに1日、養生に2日、3回目の切り返しに1日、養生に2日、4回目の切り返しに1日、養生に2日、5回目の切り返しに1日、養生に2日、6回目の切り返しに1日、養生に2日、7回目の切り返しに1日、養生に2日、その後、搬出埋戻しという工程を経るというように少なくとも合計24日以上の作業が行われる。
以上、説明したように、本実施形態においては、汚染土壌の浄化処理過程において、汚染土の採取及び醗酵槽への搬送工程B1、醗酵補助材S1と種菌S2を混合して作る混合土工程C1、混合土の切り返しを1日で行い、2日間を醗酵養生する醗酵工程までを3日間で一巡し、継続して少なくとも6回実施する切り返し工程D1、醗酵土を採取場所に埋め戻す工程までを一巡するので、油類や揮発性有機質化合物等で汚染された土壌汚染浄化処理に適用できる。
<ファイトレメディエーションによる汚染土壌浄化>
本実施形態においては、前述のバイオスティミュレーション技術による汚染土壌浄化処理方法において解決されなかった重金属等の汚染物質を、植栽物としての例えば沖縄のドラゴンフルーツPに吸収させて、汚染土壌を浄化処理する。本実施形態で植栽するドラゴンフルーツPは、サボテンの一種で原産地は中南米とされている。沖縄では平成8年ごろから、フルーツの採取を目的に栽培されるようになった。近年では九州、中国地方でも栽培されるようである。ドラゴンフルーツPは成長が早く、植栽して約1年で果実をつけるようになる。茎葉の断面形状は三角形で、中央部は吸収した水分を貯蔵する丸い水管が通っている。三角形状の茎葉の突起部には断続的に細い棘が生えており、樹木のように硬い。ドラゴンフルーツPの土壌成分を吸収する性状を発見した徳元春雄氏(ドラゴンフルーツPの生産者)は、ドラゴンフルーツの生命力の強さに着目して「何かある」と思い、茎肉の部分を乾燥粉末にして成分を調査したところ、粉末100gあたり、カルシウム6500mg、カリウム2700mg、マグネシウム1800mg、亜鉛3.7mg、鉄1.7mgも含まれていた。これ等のデータは、ドラゴンフルーツが土壌中の金属成分を吸収するのに優れた性状を有していることを証明するものである。重金属の周期律表を見ると、カリウムは水素、ナトリウム、セシウム、と同周期律であり、カルシウム及びマグネシウムは、ストロンチウム、ラジウムと同周期律であり、亜鉛はカドミウムと同周期律である。ドラゴンフルーツは重金属複数種の汚染物質を吸収する性状があり、ファイトレメデイレーションによる汚染土壌浄化処理に適応する植栽物である。
本実施形態では、ドラゴンフルーツPの土壌中の成分を吸収する性状を活用している。また、ファイトレメディエーション技術は、バイオスティミュレーション技術の後に限定して行うものではなく、バイオスティミュレーション技術を採用する必要がない場合にも適用できる(この場合、施肥が必要となる)。
以下に、バイオスティミュレーション技術による汚染土壌の浄化処理において解決しなかった場合のファイトレメディエーション技術による汚染物質の浄化処理方法の各工程の詳細な説明をする。
<植栽工程A2>
図7、図8に示すように、バイオスティミュレーションで醗酵した土壌BS(植栽土壌と言う)に、ドラゴンフルーツPを植栽する。ドラゴンフルーツPは、茎葉部を適当な長さでカットする。カットした茎葉(以下カット茎葉と言う)の端部は、植栽土壌BS下盤近傍に約20cm〜30cm間隔で植栽する。植栽は植栽土壌BSの厚さ(深さ)に応じて、縦に植栽し、あるいは横に植栽し、表土面にカット茎葉が突出しても覗く程度でも良い。茎葉は浅く深くと、ちどり状に植えても良い(図7参照)。なお、図7中、土壌BS下端のラインは、バイオスティミュレーションを終えた醗酵土の下端境界線である。
<吸収(生育)工程B2>
ドラゴンフルーツPの汚染物質を吸収する期間、即ち生育期間は約1年を見込む。その間、水遣り等の生育管理を行う。ドラゴンフルーツPの生育期間、即ち汚染物質の吸収期間は長くなるほど、汚染物質の吸収量は増加する。本実施形態ではドラゴンフルーツPの生育期間を1年としているが、汚染物質量の含有量によっては、生育期間の延長が必要である。すなわち、生育期間中に汚染土壌中の汚染物質量を調査して、汚染物質量が環境基準値以下に浄化されていれば生育期間を短縮しても良い(次の、浄化確認(除去)工程B2参照)。
<浄化確認(除去)工程C2>
汚染物質含有量が環境基準値以下に浄化されていることを確認して、図8に示すように、バックホーBH等を使ってドラゴンフルーツPの除去作業を開始する。ドラゴンフルーツPは茎葉から根の部分まで全体を除去するが、除去したドラゴンフルーツPは、汚染物質を吸収しているため、再使用はできないので、産業廃棄物処理としなければならない。除去したドラゴンフルーツPは、立ち木のように茎葉が広がっているため、このまま、産業廃棄物処理用の運搬車に収容すると、運搬車台数が増加し、運搬費用が不経済的である。それに一次処理費と最終処分費が加算されるため、除去したドラゴンフルーツPの処分費は非常に割高となる。
<粉砕工程D2>
本実施形態では、最も経済的な産業廃棄物処理の前処理として、図9に示すように、除去したドラゴンフルーツPを裁断機9でピレット状(以下ピレットと言う)に裁断する。除去したドラゴンフルーツPは殆ど水分であるため、ピレットにすることで、水分は減少し焼却量も減少する。また以後の焼却工程E2での焼却時間を短縮するメリットがある。
<焼却(濃縮)工程E2>
採取したドラゴンフルーツPを、現場で焼却して残渣に濃縮し、残渣を最終処分場で処分する手段は、ドラゴンフルーツPの最も経済的な産業廃棄物処理方法である。除去したドラゴンフルーツPを発生現場で焼却処理して濃縮する工程(以下濃縮工程と言う)は、ファイトレメデイレーションで、汚染物質を吸収したドラゴンフルーツPを経済的に処分するために行う。本工程では、廃棄物処理法で言う設置届けを必要としない小規模焼却装置を使用している。本装置は火床面積が0.5平方m未満で、一時間あたり50kg未満を焼却する能力を有する小規模焼却装置である。焼却(濃縮)工程E2は粉砕工程D2とほぼ並行して行うため、一日に大量のピレットを焼却する必要がない。燃焼残渣は産業廃棄物処理業者に処分を委託する。
ドラゴンフルーツPの焼却(濃縮)工程E2において、副産物としてタールと木酢が採れる。タールは燃料として再使用、木酢は防虫剤として再使用が可能である。汚染物質を吸収したドラゴンフルーツPは焼却(濃縮)工程E2によって濃縮され、回収したそのままの状態で産業廃棄物処理する量と比較して、処理量を約90%も削減できる。本工程で使用する焼却(濃縮)装置は、燃焼に必要な空気の供給量を微量にして、二酸化炭素ガス等の発生を抑止し、補助燃料を供給しない、且つ自然燃焼方式のため燃焼温度が300℃〜350℃である。
尚、本実施形態では、ドラゴンフルーツPに限定されず、他の有機質物質の濃縮も可能である。焼却温度が低いため、セシウムを吸収した有機質物質・農産物・徐染作業でセシウムで汚染された衣服等を濃縮することも可能である。
<濃縮方法の説明>
本実施形態で使用する焼却装置11は、内槽12と外槽13から成る二重槽構造で構成され、内槽(以下焼却槽と言う)12において、汚染物質を吸収したドラゴンフルーツP(以下濃縮対象物と言う)を燃焼して、汚染物質を燃焼残渣に濃縮する。すなわち、図10、図11に示すように、焼却装置11には、濃縮対象物Pを焼却槽12に投入するための開閉自在の投入口14が設けてある。投入口14から投入した濃縮対象物Pは焼却槽12内の火床15上に積み上げられる。このため焼却槽12の火床15の直上部分Rは濃縮対象物Pが燃焼する範囲となる。燃焼時の投入口14は、濃縮対象物Pを投入時以外は外気流入を遮断するため閉鎖する。火床15直上部の濃縮対象物Pに着火する着火手段は種火あるいは電気ヒータでも良い。
濃縮対象物Pは、空気流入管16aから酸素が供給され燃焼する。濃縮対象物Pは補助燃料を供給しないで自然燃焼させるため、当該濃縮対象物Pはゆっくりと燃焼する。燃焼の促進で、積み上げた濃縮対象物Pは内槽12に配されたスライド蓋19の重量によって濃縮対象物Pを押し下げ、火床15直上部の燃焼エリアまで濃縮対象物Pを落とし下げる。このとき焼却槽12の上部に空きが生じる。このスライド蓋19の上面中央には鋼棒19aが上方に向けて突設され、該鋼棒19aは内槽12の上蓋12aから上方に突出している。そして、鋼棒19aの上端側は巻き上げ機20に接続され、スライド蓋19自体は巻き上げ機20により吊り下げ状となって保持されている。このため、濃縮対象物Pの燃焼中はスライド蓋19がウエイトとなってずり落ちるが、投入口14からの濃縮対象物Pの投入時にはスライド蓋19は巻き上げ機20によって上昇される。
内槽12の空きの部分に、濃縮対象物Pを投入して燃焼を継続させるためには、濃縮対象物Pを絶やさないよう適時に投入を継続する。濃縮対象物Pが消滅して燃焼が完全に止まった場合は、再度濃縮対象物Pの投入、着火が必要となる。焼却槽12の周囲に配した空気供給部16からは空気流入管16aを介して、濃縮対象物Pが燃焼する必要最少量の空気が焼却槽12内の火床15直上部の燃焼エリアに流入するように調整されている。この空気流入管16aは、外槽13から焼却槽12に貫通して、焼却槽12の縦方向二段に複数個ずつ設置してあり、各々の空気供給部16から流入する空気は、焼却槽12の水平位置の中心点に向けて流入する。
また、空気流入管16aは、外槽13近傍で、リング状の磁石(後述する磁場熱分解炉参照)を貫通しており、また内槽12と外槽13間の磁気を帯びた有機物質燃焼残渣内を貫通しているため、磁気を帯びた空気を供給する。
空気供給部16の外面側の流入口には、空気流入管16aが塵埃等によって詰まらないようにスリット状のフィルタ16bによってカバーされている。また、火床15部分における空気流入管16a位置よりも下方側が燃焼残渣堆積部分Qとなっており、この部位には燃焼残渣取出口15aが設けられている。尚、図中、符号21は焼却装置11自体を統括的に制御するための操作盤である。
本実施形態における焼却装置11は、濃縮対象物Pが燃焼する必要最少量の空気を供給することにより、濃縮対象物Pが炭化する原理を活用して濃縮することを特徴としている。焼却装置11は、内槽12と外槽13の間隙に磁気を帯びた有機物燃焼残渣を充填している。これらは、原油のパイプライン輸送において、パイプ内を流れる原油を断面的に見て、原油の濃度が偏らないように平均化するために、パイプラインの所定間隔毎(km単位)に磁石をリング状に巻きつけている技術を活用している。焼却装置11の内槽12と外槽13の間隙に充填した磁気を帯びた有機物燃焼残渣の充填によって、焼却槽12の燃焼範囲を濃縮対象物Pに平均的に空気が供給される。そのため濃縮対象物Pは必要最少量の空気で燃焼する(後述する磁場熱分解炉参照)。
本実施形態で使用する焼却装置11の火床面積は、廃棄物処理法の焼却炉規制対象外である0.5平方m未満としているが、焼却装置11はこれに限定されない。焼却(濃縮)工程E2は、ドラゴンフルーツPの浄化確認(除去)工程C2とほぼ並行して行われるため、焼却装置11は濃縮対象物Pの発生量的に小規模で良い。また廃棄物処理法で言う焼却炉設置届け等の手続きを省略できる。濃縮された残渣は火床15に蓄積される。
焼却装置11は濃縮対象物である有機質の植栽物Pの濃縮において、濃縮残渣以外に、副産物としてタール、木酢が発生する。いずれも燃焼時に発生する排ガスに含まれている物質である。排ガスは、焼却槽12の上部に排ガスパイプ17aを介して接続した排ガス冷却装置18の排ガス管18dから排出される。排ガス冷却装置18は排ガスを冷却するための循環ポンプ18aと散水設備18bを設けた水槽18cから成り、排ガスは排ガス冷却装置18内でシャワー水を浴びてバブリングして冷却される。これによりタール分tは図11に示すように水槽18cに浮上し、シャワー水は循環して使用するため、排ガス冷却装置18の水は木酢水となる。
尚、冷却水は、シャワー状に限ったことではなく、ミスト状でも良い。また、タールは回収して燃料に再生し、木酢水は害虫駆除剤等にして再使用が可能である。ドラゴンフルーツPは焼却装置11を活用して焼却残渣に濃縮する。
<焼却装置の特徴>
本実施形態における実験装置による生ゴミの濃縮実験では以下の特徴が確認されている。すなわち、補助燃料を供給しないで自然燃焼が可能である。燃焼温度が300℃〜350℃の範囲である。二酸化炭素の発生量が少ない。ダイオキシン類の発生は3ng−TEQ/g(廃棄物焼却炉処理基準)以下である。燃焼残渣容量は生ゴミ容量の約0.5%である。燃焼残渣は磁気を帯びている。燃焼は有機質物質全般が可能である。燃焼副産物として、排ガスからタールと木酢が採れる。
<焼却装置の応用>
燃焼温度が300℃〜350℃と低いため、セシウムの除去に活用した植栽物、セシウムに汚染された植栽物農産物、徐染作業に使用した作業服等の処理に活用できる。また、生ゴミや燃やせる廃棄物を焼却処理する設備を持たない地域、工場、農場等の廃棄物処理システムが容易に構築できる。さらに、現在の一極集中燃焼処理する廃棄物処理システムと比較して、経済的な地域分散型廃棄物処理システムの構築が可能となる。
本実施形態における焼却装置11は、磁場熱分解炉の磁場振動原理を応用している。これは従来の焼却炉とは異なり、投入した濃縮対象物P(処理物)が磁場を通過したわずかな空気と炉内の灰の蓄熱作用を受けて水分が蒸発し、更に乾留ガスとなり熱分解を受ける。この熱分解により濃縮対象物Pは炭化され、更に灰化まで熱分解される。酸素を使った燃焼ではなく、還元状態での磁場振動を利用した熱分解のため、塩化物を処理しても、ダイオキシン等の発生はない。しかも、濃縮対象物Pは投入時の容積の1/200まで減量化される。
<磁場熱分解炉内での分解の仕組み>
図12に示すように、先ず、空気が磁化装置によって磁化されたエアーとなる。この磁化エアーと濃縮対象物Pの磁化セラミック灰に蓄熱された熱エネルギーにより熱処理部分に振動磁場が発生する。次に、この振動磁場が有機分子や水分子を励起することでこれら分子がプラズマ状態となり、分解と乾留ガス化が進行してゆく。このときの分解が大量のエネルギーを発生し、これが更に分解を促進すると同時に、熱分解層の上部にある層の水分を蒸気化させ乾燥させる。分解された有機分子は乾留ガスを発生させ炭化状態となるが、そこから更に磁場振動と熱エネルギーにより分解され帯磁性のセラミック灰となる。最終的には磁化を帯びた灰化セラミックが炉の底部に蓄積し、磁化木酢液が上記した排ガス冷却装置18の水槽18cから排出される。そして、水蒸気のみが上記した排ガス冷却装置18の排ガス管18dから排出される。
<磁場熱分解炉の内槽部での処理の流れ>
図13に示すように、先ず、投入された濃縮対象物Pは最上部の処理待ち層となる。そして、熱分解された層が減容化するため、処理待ち層が下がり乾燥処理層となり、熱分解で発生する熱エネルギーで水分が蒸発し乾燥される。次に熱分解された層が減容化するため下がり、熱分解層となり、熱エネルギーにより乾留ガス化され炭化する。更に磁場振動により励起現象が起こりプラズマ状態となり灰化される。そして、磁化したセラミック灰が底部に堆積するが、この部分に熱エネルギーが蓄熱される。
<磁場熱分解炉の特徴>
(1)処理物である濃縮対象物P自体が磁場振動と熱エネルギーで分解するため、灯油や重油等の補助燃料が一切不要となる。
(2)炉自体には電源も不要となる。
(3)火床面積が0.5平方m未満で処理量も50kg/hr以下のため、焼却炉としての対象設備に当たらず、設置の届出やダイオキシンの測定義務等が不要となる。
(4)1日に2〜3回、濃縮対象物Pを投入するだけでその他の作業は不要となる。
(5)従来の焼却炉では処理が困難であった塩化ビニールや塩分濃度の高いものの処理でも悪臭が発生しない。
(6)濃縮対象物Pは炭化後、最終的に堆積で1/200の磁化セラミックとなり、そのセラミックも全て回収でき、最終廃棄物の処理量は削減できる。
なお、燃焼温度が300℃〜350℃の範囲であり、二酸化炭素の発生量が少ないこと、及びダイオキシン類の発生は3ng−TEQ/g(廃棄物焼却炉処理基準)以下であること、さらに、燃焼残渣容量は生ゴミ容量の約0.5%であることは、上記した通りである。
A1 醗酵装置築造工程
B1 搬送工程
C1 混合土工程
D1 養生工程
E1 切り返し工程
D1′ 2回目以降の養生及び切り返し工程
F1 埋戻搬出工程
S 汚染土
SA 混合土
1 醗酵装置
1a,1b,1c,…1f 醗酵槽
1g 予備醗酵槽
S1 醗酵補助材
S2 種菌

Claims (11)

  1. 微生物、菌類、植栽物、あるいはそれらの酵素の代謝作用を促進させことにより、複数種類の汚染物質に汚染された汚染土壌の分解及び浄化を行う汚染土壌浄化処理方法であって、汚染土を醗酵させる複数基の醗酵槽から成る醗酵装置を築造する醗酵装置築造工程と、汚染土を採掘して醗酵装置内に搬入する搬送工程と、汚染土に醗酵補助材と種菌を混合攪拌して混合土を作る混合土工程と、混合土内に強制的に送気しながら醗酵養生する養生工程と、混合土を切り返しつつ強制的に空気に触れさせ好気醗酵を促す切り返し工程と、を有することを特徴とした汚染土壌浄化処理方法。
  2. 醗酵装置築造工程は、三方をコンクリートブロックで囲って醗酵ヤードを形成する醗酵ヤード形成工程と、該コンクリートブロックによる囲いの外周に降雨水を排水するスペースを設ける排水スペース形成工程と、該醗酵ヤード内に複数枚の鉄板をつなぎ合わせてできる鉄板床を、適当な間隙を開けて複数列を敷設する床形成工程と、該間隙部分に穴あき送風管を配管する配管工程とによって汚染土醗酵槽が築造されることを特徴とした請求項1記載の汚染土壌浄化処理方法。
  3. 混合土工程は、汚染土容量に対して、リグニン成分を含有する粉砕した有機物資材である醗酵補助材と、穀物粉体である種菌とを、少なくとも30パーセントを混合攪拌して混合土が製造されることを特徴とした請求項1記載の汚染土壌浄化処理方法。
  4. 切り返し工程は、醗酵養生期間3日目毎に混合土を切り返し、該切り返し工程を複数回行い、醗酵装置内での醗酵日数を複数日間要することを特徴とした請求項1記載の汚染土壌浄化処理方法。
  5. 切り返し工程は、混合土の切り返しを1日で行い、2日間を醗酵養生する醗酵工程までを3日間で一巡し、これを継続して少なくとも6回実施すると共に、汚染土を採掘して醗酵装置内に搬入する搬送工程から醗酵土を採取場所に埋め戻す工程までを、一巡することを特徴とする請求項1記載の汚染土壌浄化処理方法。
  6. 植裁物が根から水分や養分を吸収する能力を利用して、複数種類の汚染物質に汚染された汚染土壌の浄化を行う汚染土壌浄化処理方法であって、汚染土壌地盤に植裁物を植栽・生育管理する植栽工程と、植裁物が繁茂する期間に、汚染物質を植裁物に吸収させて、汚染土壌中の汚染物質含有量を減少させる吸収工程と、汚染土壌の汚染物質含有量が環境基準値以内に浄化したことを確認する浄化確認工程と、汚染物質を吸収した植裁物を回収してチップ状に粉砕する粉砕工程と、回収した植裁物を焼却して汚染物質を燃焼残渣に濃縮する焼却工程と、を有することを特徴とした汚染土壌浄化処理方法。
  7. 汚染物質を吸収する植栽物として、セシウムを含む重金属類を汚染物質として吸収し且つ濃縮可能な植栽物や有機物質を使用したことを特徴とした請求項6記載の汚染土壌浄化処理方法。
  8. 微生物、菌類、植栽物、あるいはそれらの酵素の代謝作用を促進させことにより、複数種類の汚染物質に汚染された汚染土壌の分解及び浄化を行う汚染土壌浄化処理方法に使用され、汚染土を醗酵させる複数基の醗酵槽から成る汚染土壌浄化処理装置であって、前記醗酵槽は、三方をコンクリートブロックで囲って形成された醗酵ヤードと、前記コンクリートブロックによる囲いの外周に降雨水を排水するためのスペースと、前記醗酵ヤード内に複数枚の鉄板をつなぎ合わせ且つ適当な間隙を開けて複数列を敷設してできる鉄板床と、該間隙部分に配管された穴あき送風管と、を備えていることを特徴とした汚染土壌浄化処理装置。
  9. 植裁物が根から水分や養分を吸収する能力を利用して、複数種類の汚染物質に汚染された汚染土壌の浄化を行う汚染土壌浄化処理方法に使用され、汚染物質を吸収した植栽物を回収して当該植栽物を燃焼し、濃縮された燃焼残渣とする汚染物焼却装置であって、前記焼却装置は、焼却槽と、回収した植栽物を焼却槽に投入する投入口と、焼却槽に空気の流入を遮断する蓋と、燃焼ガスを焼却槽から排除する排ガス管と、排ガスを水で冷却して当該排ガスからタールと木酢を回収する冷却槽と、焼却槽に空気を流入させる空気流入管と、植栽物の燃焼残渣を受ける火床と、を備えていることを特徴とした汚染物焼却装置。
  10. セシウムを含む重金属類を汚染物質として吸収した植栽物や衣服に付着した有機物質を濃縮可能としたことを特徴とする請求項9記載の汚染物焼却装置。
  11. 焼却槽は、外槽と内槽との二重管構造となっており、外槽と内槽との間隙には磁気を帯びた焼却残渣を充填し、外槽と内槽とを貫通して空気流入管を設けてあることを特徴とする請求項9記載の汚染物焼却装置。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014100619A (ja) * 2012-11-16 2014-06-05 Kobe Univ セシウム汚染土壌粒子を含む土壌または水系の処理方法
JP2014190882A (ja) * 2013-03-28 2014-10-06 Meiwa Industries Ltd 放射性セシウムが付着したバイオマスの処理方法

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