JP2013200666A - プログラム処理方法およびそのシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】クラウドコンピューティングにおいて、システムとしての性能を保証する手段を提供する。
【解決手段】周期的にプログラムを駆動する、Timer interrupt、Timer Signal(POSIX/UNIX/Linux)、Timer Event (Windows)、などを利用することにより、プログラムをクロック駆動する。本発明のプログラムがタイマーにより駆動されると、定められた一定の処理を実行し、それが終了すると、次にタイマーによりプログラムが駆動されるまで休む。これにより、高速マシンおよび低速マシンのいずれを用いても、時間当たりの実行ステップ数は同じになる。従って、性能はハードウェアには依存せずに同一になる。
【選択図】図18

Description

本発明は、プログラム処理方法およびそのシステムに関し、より詳細には、周期的なタイマーによりプログラムを処理する方法、およびそのシステムに関する。
クラウドコンピューティングは次世代のコンピューティング環境として期待を集めている。クラウドサービスを利用すると、システムの実行環境(サーバ、ストレージ、ネットワークなど)の調達・増強・縮退が短時間で可能であり、使った時間だけ利用料を払えばよい。従来、ソフトウェアシステムは、運用時にはごく稀にしか起きないピーク性能を基準に実行環境をサイジングし、その固定的な実行環境を前提に構築されてきた。その結果、低い平均負荷、高い運用コストを招いていた。クラウドでは、必要に応じて実行環境のサイズを変えられるので、運用コストの削減が期待できる。
また、従来、ソフトウェアシステムの開発段階において、マシンリソースの不足が開発スケジュール遅延の原因となることが多かった。例えば、試験工程では、マシンリソースの不足により、多くの期間を費やすこととなる。開発段階においてクラウドコンピューティングを利用することで、マシンリソースに制約されない開発が可能になり、開発期間の短縮、開発費の削減が期待できる。このようにクラウドコンピューティングは、従来のソフトウェアシステムの諸問題を解決できる可能性を秘めている。
クラウドコンピューティングには課題もある。一般に、ソフトウェアシステムは、機能要求に加えて、性能要求も満たす必要がある。従来、固定された実行環境において性能試験を行うことにより、一定の性能を保証してきた。従来型システムでは、実際に運用される実行環境が固定されるので、同実行環境における試験結果が、運用時に成り立つと類推可能だからである。一方、クラウドサービスでは、ベストエフォートで実行環境を提供する。
ベストエフォート型では、例えば、CPUのクロック数に関して、あるユーザーがCPU負荷の高いプログラムを実行すると、同一環境を利用する別のユーザーの性能は劣化する。また、ストレージに関して、あるユーザーがストレージに過剰な負荷をかける大量のトランザクションを処理すると、同様に、同一環境を利用する別のユーザーのI/O性能は劣化する。ネットワークに関しても同様である。これでは、実行環境を特定することができず、従って、性能試験の結果が運用時にも成り立つとの類推はできない。
非特許文献1では、クラウドを用いたMapReduce environmentの貸出サービスにおいて、クラウドサービスの性能保証に関する問題点を指摘しているが、解決への道筋は示されていない。
L. Cherkasova. Performance modeling in mapreduce environments: challenges and opportunities. In Proceeding of the second joint WOSP/SIPEW international conference on Performance engineering, ICPE ’11, pages 5-6, New York, NY, USA, 2011. ACM.
上述したように、クラウドコンピューティングでは、試験による性能保証が困難である。すなわち、所定の性能を実現するために必要な実行環境のサイジングも困難である。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、実行環境を固定できないクラウドコンピューティングにおいて、システムとしての性能(スループット)を保証する手段を提供することにある。
本発明では、実行環境と独立してソフトウェアの性能を決定し得るプログラムを構成し、処理するために、デジタル回路の論理設計におけるクロック駆動の概念を参考とする。
周知のように、デジタル論理設計は、組み合わせ論理回路(Combinational logic)および順序論理回路(Sequential logic)の二つに分類される。前者は入力のみで出力が決まり、後者は、入力および現状態で出力(および次状態)が決まる。順序論理回路は、イベント駆動およびクロック駆動の二つに分類される。前者は、状態の変化が入力(Event)のタイミングで起きるのに対し、後者では、入力のタイミングにかかわらず、クロックと同期して状態の変化が起きる。イベント駆動とクロック駆動の比較を表1に示す。
Figure 2013200666
今日、デジタル回路は大規模集積回路(LSI)で作られることが通常である。LSIの各素子(トランジスターなど)は微細加工により作られるので、その特性にはバラつきがある。そのため、イベント駆動設計では、特性のバラつきを考慮して、十分なタイミングマージンをとった設計が要求される。バラつきがマージンより大きいと、回路は正常に動作しない。クロック駆動設計においても、周期以内に回路動作が終了せず、タイミングバイオレーションが起こると、回路は正常に動作しない。ただし、クロック駆動設計では、クロック周波数を下げて、マージンを大きくすることにより、タイミングバイオレーションの発生確率を下げることができる。
さらに、イベント駆動設計では、素子特性のバラつきがそのまま、回路の性能差となって現れる。一方、クロック駆動設計では、クロック周波数が同一であれば、性能は同一になる。すなわち、クロック駆動設計では、イベント駆動設計と比較して、一定の性能保証を容易に行うことができる。
そこで、本発明では、周期的にプログラムを駆動する、Timer interrupt、Timer Signal(POSIX/UNIX(登録商標)/Linux(登録商標))、Timer Event (Windows(登録商標))、などを利用することにより、プログラムをクロック駆動する。
本発明のプログラムがタイマーにより駆動されると、定められた一定の処理を実行し、それが終了すると、次にタイマーによりプログラムが駆動されるまで休む。高速マシンを使うと、実行時間は減少するが、その分休止時間が増える。低速マシンを使うと、実行時間が増加し、その分休止時間が減少する。すなわち、高速マシンおよび低速マシンのいずれを用いても、時間当たりの実行ステップ数は同じになる。従って、性能(スループット)はハードウェアには依存せずに同一になる。
以下に示すように、実行時間τと周期Tの比をデューティ率Dと呼ぶ。
Figure 2013200666
デューティ率が100%未満、すなわち実行時間が周期を下回る場合、プログラムの性能は、マシンの性能ではなく、周期Tにより決まる。これにより、ハードウェアに依存しない性能設計が可能になる。
本発明は、タイマーにより、定められた一定の処理を実行し、それが終了すると、次にタイマーにより駆動されるまで休むよう動作するプログラムを処理することにより、実行環境を固定できないクラウドコンピューティングにおいて、システムとしての性能を保証することができる。
また、本発明は、所定の条件を満たすプログラムを構成することにより性能保証を実現することができるので、クラウドサービスの提供者は、性能保証のために余分な設備を保持する必要はない。さらに、ソフトウェアの開発段階において本発明の特徴を有するプログラムを構成するだけで、求められる性能保証の変更にも、迅速に、的確に対応することができる。
本発明の一実施形態に係るネットワーク構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係るタスクのプログラム記述例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る別のタスクを利用するタスクのプログラム記述例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るタスク配列のプログラム記述例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るタスクのコールグラフを示す図である。 本発明の一実施形態に係るタスクのPERT図である。 本発明の一実施形態に係るタスクのコールグラフを示す図である。 ポーリングを用いたタスクのプログラム記述例を示す。 ポーリングを用いたタスクのプログラム記述例を示す。 本発明の一実施形態に係るタスクのPERT図である。 本発明の一実施形態に係るタスク間の先行関係を示す先行関係表である。 変数リネーム技法を適用する前のプログラム記述例を示す図である。 変数リネーム技法を適用する後のプログラム記述例を示す図である。 個別化技法を適用する前後のコールグラフを示す図である。 抽選化技法を適用したタスクのプログラム記述例を示す図である。 抽選化技法を適用したタスクのプログラム記述例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るタスクのPERT図である。 本発明の一実施形態に係るタスクを実行するプログラム記述例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るタスクを実行するプログラム記述例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るタスクを並列実行するシーケンス図である。 本発明の一実施形態に係る周期的なタイマーによりプログラムを処理する工程を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るタスクを実行するプログラム記述例を示す図である。
(システム構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るネットワーク構成を示す図である。複数のプログラム処理システム101a、101b、・・・、101n(以下、プログラム処理システム101と呼ぶ)が、インターネット102を介して、複数のクライアントコンピュータ103a、103b、・・・、103n(以下、クライアントコンピュータ103と呼ぶ)と相互に通信可能に接続される。
プログラム処理システム101は、利用者に提供するサービスを実現するためのプログラムを格納するメモリを有し、利用者の要求に応答して、ストレージに格納されたプログラムを処理するために必要なデータを用いて、サービスを提供する。本発明のプログラム処理システム101により実行されるプログラムは、所定の条件を満たすよう構成されたクロック駆動プログラミング(CDP)プログラムである。
クライアントコンピュータ103は、クラウドサービスの利用者によって使用される端末である。利用者は、クライアントコンピュータ103を介して、プログラム処理システム101が提供するサービスを、サーバ群を意識することなしに利用する。本実施形態では、クライアントコンピュータ103は、一般的なパーソナルコンピュータである。
(CDPプログラム)
CDPは、イベント駆動プログラミング(EDP)の一部である。従って、CDPは、EDPをサポートする任意のプログラミング言語、およびOSで実践できる。本実施形態では、C言語、およびWindowsを用いるが、これに限定されるものではない。
CDPとEDPとの違いは、イベントハンドラーの使い方にある。EDPでは、任意の数のタイマーを利用することができるのに対し、CDPでは、タイマーイベントハンドラーを提供するタイマーを、必ず1つ利用することが要求される。
また、EDPでは、タイマーイベントハンドラーを含むすべてのイベントハンドラーにおいて、イベントに対応する処理を行う。一方、CDPでは、タイマーイベントハンドラー以外のイベントハンドラーにおいて、状態を示すフラグをセットすることにより、イベントの発生を記録するのみで、イベントに対応する処理は、ここでは行わない。CDPでは、タイマーイベントハンドラーにおいて、状態を示すフラグに基づいて、イベントの発生に対応するタスクを実行する。
CDPプログラムは、以下の手順で作成される。1)タスクを洗い出し、記述する。2)タスク間の先行関係を把握し、PERT図を作成する。3)PERT図によって与えられた先行関係の制約を満たすスケジュールを作成する。タスクの記述、PERT図の作成、スケジュールの作成を順に説明する。
(タスクの記述)
本発明のCDPのタスクを、図2のプログラム記述例に基づいて説明する。本発明では、CDPのタスクを以下の要素を用いて定義する。
内部変数:ステート間で値を引継ぐために使用する1以上の変数
インタフェース関数:内部変数を他のタスクが参照または更新するための0以上の関数
リセット関数:内部変数を初期化するための関数
タスク本体関数:タイマーイベントハンドラーによって呼び出される関数
CDPのタスクは、状態により、実行する動作が変化するステートマシンである。ステート間で値を引継ぐために、内部変数を用いる。図2の例では、行番号L5に、taskA_data_t構造体型の内部変数taskA_dataが定義されている。なお、taskA_data_t構造体型は、同図の行番号L2からL4により示されるように、taskA_state_t列挙型の変数state、int型のx、y、resultをメンバとして含む。
CDPのタスクは、前述の内部変数を他のタスクが参照または更新するためのインタフェース関数を必要に応じて定義する。図2の例では、行番号L13からL31で定義されるcalcメソッド、行番号L33からL43で定義されるget_resultメソッドがインタフェース関数である。calcメソッドは、図2に記述されるTaskAに処理を要求するための関数、get_resultメソッドは、処理結果を要求するための関数である。
CDPのタスクはまた、内部変数を初期化するためのリセット関数を定義する。図2の例では、行番号L45からL48で定義されるtaskA_RSTメソッドがリセット関数である。本実施形態では、リセット関数において内部変数taskA_dataのメンバ変数stateを初期化している。
そして、CDPのタスクは、タイマーイベントハンドラーによって呼び出されるタスク本体関数を定義する。図2の例では、行番号L50からL84で定義されるtaskA_CLKメソッドがタスク本体関数である。図2に示されるように、タスク本体関数は、taskA_data.stateの値に従って計算を実行する。stateがcalc1の場合、F(x)を計算する。ここで、関数Fは、行番号L11で定義されるように、標準ライブラリなどの他のモジュールで定義される外部関数である。stateがcalc2の場合、定数LIMITを上限として、F(x)yを計算する。
ここで、タスクの実行時間は、タイマーの周期より短い必要がある。そのため、タスクは次の2つの要求を満たす必要がある。1)タスクは、実行ステップの上限を有する。2)タスクの各ステートメントは、実行時間の上限を有する。
要求1)を満たすために、各関数は、構文的に停止性が保証される形で書く。すなわち、選択(if then else)および順次(;) の組み合わせに展開可能となるように記述する。ループに関しては、反復回数に上限があるものだけが記述可能であり、実行時に反復回数が決まるループを書くことは許されない。不定回数のループは、図2のtaskA_CLKメソッドのように、固定回数のループを周期的に実行することにより実現する。この場合、選択(if then else)によりステップ数は変化するが、1周期で実行されるステップ数には上限が存在するので、要求1)が満たされる。
要求2)を満たすために問題となるのは、ステートメントが関数呼び出しを含む場合である。呼び出す関数が他のタスクのインタフェース関数である場合は、呼び出し先の関数についても実行ステップ数に上限があり、結果として実行時間に上限があるので、問題はない。一方、呼び出す関数が、ライブラリ関数やOSの機能を呼び出すAPIなど、CDPに従わない関数である場合、実行時間に上限がない場合がある。
特に問題となるのが、OSのAPIに存在するblocking I/Oである。例えば、blocking I/OのREAD関数を用いてファイルの読み出しをする場合、ファイルの読み出しが完了するまで、呼び出し側プログラムに制御を戻さない。これでは、要求2)を満たすことができない。そこで、CDPのタスクでは、原則としてblocking I/Oの代わりに、non-blocking I/Oを用いる。あるいは、select関数等を用いてブロックされないことを確認した上でblocking I/Oを用いる。
続いて、図3に、図2に記載のtaskAを利用するtaskBのプログラム記述例を示す。taskBは、列挙型の変数state、int型のa、b、zをメンバとして含む構造体型の内部変数taskB_dataを持つ。taskBのタスク本体関数では、図3の行番号L34に示されるように、stateがstate_10の場合、calcメソッドを呼ぶことによりtaskAに処理を要求する。図2の行番号L23に示されるように、taskAの状態に従って要求が受け入れられる場合のみ、戻り値として0が返される。従って、taskBは、要求が受け入れられるまでリトライし、要求が受け入れられると、state_11に遷移する。
また、図3の行番号L40に示されるように、stateがstate_11の場合、get_resultメソッドを呼ぶことにより処理結果の取得を試みる。ここでも、図2の行番号L40に示されるように、taskAの状態に従って計算が終わっている場合のみ、戻り値として0が返される。従って、taskBは、戻り値として0が得られるまで、クロック毎にget_resultメソッドを呼び出し、処理結果を取得すると、state_12に遷移する。
(タスクの配列化)
図2の行番号L18に示されるように、taskAはstateがfreeである場合のみ、計算要求を受け入れる。つまり、taskAが先行する計算要求を受け入れ、計算を実行している間は、他のタスクからの計算要求を受け入れることはできない。そこで、同時に複数の計算要求を処理したい場合には、同一機能を持つ複数のタスクを用意するために、タスクを配列化したタスク配列を定義する。図4に、図2に記載のtaskAを配列化したタスク配列のプログラム記述例を示す。
図4の行番号L4に示されるように、タスク配列では、内部変数を配列化する。そして、行番号L7に示されるように、インタフェース関数calcの引数としてインデクスを受け取り、内部変数の参照、更新時には受け取ったインデクスを指定して行う。他の関数においても、同様に引数としてインデクスを受け取り、受け取ったインデクスを指定して内部変数の参照更新を行うことにより、タスクを配列化することができる。内部変数配列の要素数をタスク配列の多重度と呼び、配列化されていないタスク(例えば、図2のtaskA)の多重度は1である。
(PERT図の作成)
タスクを記述したら、次にタスク間の先行関係を把握しPERT図を作成する。タイマーイベントハンドラーが呼び出すのは、タスク本体関数であり、タスク間の先行関係とは、タスク本体関数間の先行関係である。あるタスクは、そのタスク本体関数において、他のタスクのインタフェース関数を呼び出して、他のタスクの処理結果を取得する。例えば、図3に示すtaskBは、タスク本体関数において、taskAのget_resultメソッドを呼び出して、taskAの処理結果F(x)yを取得する。このインタフェース関数の静的呼び出し関係を示したものが、図5のコールグラフである。
ここで、taskBが処理結果を得るためには、taskAのタスク本体関数がtaskBのタスク本体関数の実行の前に完了している必要がある。この場合、taskAはtaskBに先行する。完了順序を示すPERT図は、コールグラフの矢印の向きを逆転することにより得ることができる(図6)。しかし、全てのコールグラフからPERT図を得ることができるわけではない。
PERT図を得るためには、コールグラフがacyclicである(ループがない)必要がある。図7に示すように、コールグラフがacyclicでない場合は、ポーリング(polling)を用いてタスク間のインタフェースの向きを入れ替える必要がある。taskAとtaskBとのコールグラフはacyclicであるので、タスク間のインタフェースの向きを入れ替える必要はない。ポーリングを用いる参考例として、図8Aおよび図8Bに、インタフェース方向を変えたtaskAおよびtaskBのプログラム記述例を示す。
得られたPERT図から、同時実行され得るタスクを判断することができる。コールグラフに基づいて、図9に示すPERT図が得られたものとする。ここで、図9に示すPERT図のグラフGは、1から9のタスクに対応するノードの集合、およびタスク間の先行関係を表す矢印の集合により構成される。PERT図には、本来のタスク1から9に対応するノードに加えて、プログラム全体のスタートとフィニッシュをそれぞれ表す端点sと端点tが記されている。
図10に、図9のPERT図に含まれるタスク間の先行関係を示す先行関係表を示す。図中の◎は、2つのタスクが、直接の先行関係を有することを示す。例えば、タスク1と(タスク1のインタフェース関数を呼び出す)タスク4、タスク1と(タスク1のインタフェース関数を呼び出す)タスク6などは、直接の先行関係を有する。図中の○は、2つのタスクが、間接の先行関係を有することを示す。例えば、タスク1とタスク7、タスク1とタスク8、タスク1とタスク9などは、間接の先行関係を有する。図中の×は、2つのタスクが、先行関係を有し得ないことを示す。
間接の先行関係は、直接の先行関係を有さないが、1または複数のタスクを経由して先行関係を有する2つのタスク間において生じる。例えば、タスク1とタスク7は、タスク1のインタフェース関数を呼び出し、かつタスク7によりそのインタフェース関数を呼び出されるタスク4を経由して、先行関係を有する。同様に、タスク1とタスク8も、タスク4を経由して先行関係を有する。また、タスク1とタスク9は、タスク4およびタスク7を経由して、あるいはタスク6を経由して、先行関係を有する。
ここで、特定のタスクvのインタフェース関数を呼び出すタスクu、およびタスクwが、直接または間接の先行関係を有する場合、タスクuとタスクwとは、同時実行されることはない。例えば、タスク1のインタフェース関数を呼び出すタスク4およびタスク6は、図10に示されるように直接の先行関係を有するので、同時実行されることはない。一方、タスク3のインタフェース関数を呼び出すタスク5およびタスク8は、図10に示されるように先行関係を有さないので、同時実行され得る。
複数のタスクが同時に同じタスクのインタフェース関数を呼び出す場合、タスクの実行される順序やインタフェース関数の実行される順序により、結果が変わってしまう可能性がある。そこで、複数のタスクから同時に呼び出され得るインタフェース関数は、Bernstein’s conditionsを満たす必要がある。Bernstein’s conditionsは、プログラムの断片が並列実行できるための、周知の十分条件である。
例えば、タスク5およびタスク8から同時に呼び出され得る、タスク3に含まれる関数f、gは、関数fの中で構文的に参照される内部変数の集合(R(f))、関数fの中で構文的に代入される内部変数の集合(W(f))、関数gの中で構文的に参照される内部変数の集合(R(g))、および関数gの中で構文的に代入される内部変数の集合(W(g))について以下の(1)から(3)が成り立つ場合、Bernstein’s conditionsを満たし、並列実行することができる。
R(f) ∩ W(g) = φ・・・(1)
R(g) ∩ W(f) = φ・・・(2)
W(f) ∩ W(g) = φ・・・(3)
(Bernstein’s conditionsを満たすプログラムへの書き換え技法)
同時実行され得るタスクがBernstein’s conditionsを満たさない場合、書き替え技法を用いてプログラムを修正する必要がある。代表的な3つの書き換え技法を以下で紹介する。
第1の書き替え技法として、変数リネーム技法がある。図11Aおよび図11Bに、変数リネーム技法を適用する前後のプログラム記述例を示す。適用前のプログラム記述例では、図11Aに示されるように、インタフェース関数read、writeにおいて、R(read) ∩ W(write) = {taskA_x} ≠ φであり、Bernstein’s conditionsを満たさない。一方、適用後のプログラム記述例では、図11Bに示されるように、別途内部変数を用いてプログラムを修正することにより、R(read) ∩ W(write) =φとなり、Bernstein’s conditionsを満たすことができる。
第2の書き替え技法として、個別化技法がある。個別化技法では、Bernstein’s conditionsを満たさないインタフェース関数を有するタスクを、配列化する。図12に、個別化技法を適用する前後のコールグラフを示す。適用前のコールグラフでは、図12(左)に示されるように、インタフェース関数calc_Fの競合がおき、R(calc_F) ∩ W(calc_F) = {taskB_data} ≠ φであり、Bernstein’s conditionsを満たさない。一方、適用後のコールグラフでは、図12(右)に示されるように、taskBを配列化することにより、R(calc_F(0)) ∩ )W(calc_F(1)) = {taskB_data[0]} ∩ {taskB_data[1]} = φとなり、Bernstein’s conditionsを満たすことができる。
第3の書き替え技法として、抽選化技法がある。前述した個別化技法は、唯一のリソースを使用する場合には適用することができない。この場合、内部変数のみを配列化し、タスクは配列化しない抽選化技法により、インタフェース関数の競合を防ぐ。具体的には、図13Aに示されるように、競合対象であるtaskBのタスク本体関数において、複数のインタフェース関数呼び出しのうちの1つを選択し(抽選)、選択された(当選した)呼び出しのみ処理を実行し、選択されなかった(落選した)呼び出しについてはエラーを返す。また、図13Bに示されるように、呼び出し側タスクであるtaskC(およびtaskD(図示せず))では、当選するまでインタフェース関数の呼び出しを繰り返す。
(スケジュールの作成)
PERT図が得られたら、次にスケジュールを作成する。スケジュールは、どのタイミングでどのリソースにタスクを割り当てるかを、PERT図で与えられた先行関係を満たすように定めたものである。利用可能なリソースの制約の元で、完了時間が最小となるスケジュールを作成することが望ましい。図14に示すPERT図に基づいて、スケジュールを作成する。
(スケジュールの作成−逐次実行)
逐次実行する場合、PERT図を既知のアルゴリズムでトポロジカルソートすることにより、容易にスケジュールを作成することができる。図14のPERT図の場合、以下の3つのスケジュールが作成される。taskX、taskY、taskZ、taskWのタスク本体関数が、それぞれ、taskX_CLK()、taskY_CLK()、taskZ_CLK()、taskW_CLK()であるものとする。
スケジュール1=taskX_CLK(); taskY_CLK(); taskW_CLK(); taskZ_CLK();
スケジュール2=taskX_CLK(); taskY_CLK(); taskZ_CLK(); taskW_CLK();
スケジュール3=taskX_CLK(); taskZ_CLK(); taskY_CLK(); taskZ_CLK();
PERT図の先行関係を満たす限り、どの順序で実行しても同一の結果を得ることができ、また、同一の完了時間となる。従って、任意のスケジュールを選択することができる。図15に、スケジュール1でタスクを実行するプログラム記述例を示す。図15の行番号L25において、第3引数(presiod)で指定した100ミリ秒ごとに、第4引数(OnTimer)で指定した関数が呼ばれるよう、タイマーの設定が行われている。本実施形態ではスケジュール1を実行するために、図15の行番号L6からL9に示されるように、タスクの実行順序を定義する。
(スケジュールの作成−並列実行)
並列実行する場合、タスク間の先行関係は同期プリミティブを用いて実現する。本実施形態では、同期プリミティブとして、Windowsの提供するEvent Objectを用いる。Event Objectは、2つの状態(シグナル状態/非シグナル状態)を持つ。SetEvent(e)を呼び出すことにより、引数eのハンドルにより特定されるEvent Objectはシグナル状態になる。WaitForSingleObject(e)を呼び出すと、引数eのハンドルにより特定されるEvent Objectが非シグナル状態である場合、シグナル状態になるまでWaitForSingleObject(e)の呼び出し側スレッドは待機し続ける。他のスレッドによりSetEvent(e)が呼ばれ、eにより特定されるEvent Objectがシグナル状態になると、制御が戻され、呼び出し側スレッドは後続の処理を実行することができる。
例えば、図14のPERT図を、並列度4で実行する場合を考える。
スケジュール4−0=taskX_CLK(); SetEvent(e1); SetEvent(e2);
スケジュール4−1=WaitForSingleObject(e1); taskZ_CLK();
スケジュール4−2=WaitForSingleObject(e2); taskY_CLK(); SetEvent(e3);
スケジュール4−3=WaitForSingleObject(e3); taskW_CLK();
スケジュール4−0では、taskX_CLKメソッドが完了すると、e1およびe2により特定されるEvent Objectをシグナル状態にする。スケジュール4−1では、WaitForSingleObject(e1)を呼び出し、e1により特定されるEvent Objectがシグナル状態になるまで、待機し続ける。taskX_CLKメソッドの完了によりSetEvent(e1)が呼ばれると、スケジュール4−1に対応するスレッドに制御が戻され、taskZ_CLKメソッドが実行される。同様に、スケジュール4−2では、WaitForSingleObject(e2)を呼び出し、e2により特定されるEvent Objectがシグナル状態になるまで、待機し続ける。taskX_CLKメソッドの完了によりSetEvent(e2)が呼ばれると、スケジュール4−2に対応するスレッド制御が戻され、taskY_CLKメソッドが実行される。スケジュール4−2では、taskY_CLKメソッドが完了すると、e3により特定されるEvent Objectをシグナル状態にする。スケジュール4−3も、WaitForSingleObject(e3)を呼び出し、e3により特定されるEvent Objectがシグナル状態になるまで、待機し続ける。taskY_CLKメソッドの完了によりSetEvent(e3)が呼ばれると、スケジュール4−3に対応するスレッドに制御が戻され、taskW_CLKメソッドが実行される。
図16に、スケジュール4−0から4−3でタスクを実行するプログラム記述例を示す。図16の行番号L43において、第3引数(presiod)で指定した100ミリ秒ごとに、第4引数(OnTimer)で指定した関数が呼ばれるよう、タイマーの設定が行われている。本実施形態では、図16の行番号L3からL14に示されるように、スケジュール4−1から4−3に対応するスレッドを用意する。
OnTimerメソッドでは、まず、スレッド1、スレッド2、スレッド3にそれぞれ対応するs[0]、s[1]、s[2]により特定されるEvent Objectをシグナル状態にする。その後、メインスレッドでスケジュール4−0を実行し、スレッド1、スレッド2、スレッド3にそれぞれ対応するt[0]、t[1]、t[2]により特定されるEvent Object のWaitForSingleObjectメソッドを呼び出すことで、Event Objectがシグナル状態になるまで、すなわち該当のスレッドが完了するまで待機し続ける。図17に、並列実行のシーケンス図を示す。
スケジュール4−1に対応するスレッド1では、WaitForSingleObject(s[0])を呼び出し、s[0]により特定されるEvent Objectがシグナル状態になるまで、待機し続ける。図16の行番号L18に示されるように、OnTimerメソッド内でSetEvent(s[0])が呼ばれると、スレッド1に制御が戻され、WaitForSingleObject(e1)を呼び出す。その後、e1により特定されるEvent Objectがシグナル状態になるまで、待機し続ける。taskX_CLKメソッドの完了によりSetEvent(e1)が呼ばれると、スレッド1に制御が戻され、taskZ_CLKメソッドが実行される。スレッド1では、taskZ_CLKメソッドが完了すると、t[0]により特定されるEvent Objectをシグナル状態にすることで、スレッドの完了を通知する。
スケジュール4−2に対応するスレッド2(図示せず)においても、スレッド1同様、WaitForSingleObject(s[1])を呼び出し、s[1]により特定されるEvent Objectがシグナル状態になるまで、待機し続ける。図16の行番号L19に示されるように、OnTimerメソッド内でSetEvent(s[1])が呼ばれると、スレッド2に制御が戻され、WaitForSingleObject(e2)を呼び出す。その後、e2により特定されるEvent Objectがシグナル状態になるまで、待機し続ける。taskX_CLKメソッドの完了によりSetEvent(e2)が呼ばれると、スレッド2に制御が戻され、taskY_CLKメソッドが実行される。スレッド2では、taskY_CLKメソッドが完了すると、taskYの完了を通知するSetEvent(e3)を呼び出し、その後、t[1]により特定されるEvent Objectをシグナル状態にすることで、スレッドの完了を通知する。
スケジュール4−3に対応するスレッド3(図示せず)においても、スレッド1同様、WaitForSingleObject(s[2])を呼び出し、s[2]により特定されるEvent Objectがシグナル状態になるまで、待機し続ける。図16の行番号L20に示されるように、OnTimerメソッド内でSetEvent(s[2])が呼ばれると、スレッド3に制御が戻され、WaitForSingleObject(e3)を呼び出す。その後、e3により特定されるEvent Objectがシグナル状態になるまで、待機し続ける。taskY_CLKメソッドの完了によりSetEvent(e3)が呼ばれると、スレッド3に制御が戻され、taskW_CLKメソッドが実行される。スレッド3では、taskW_CLKメソッドが完了すると、t[2]により特定されるEvent Objectをシグナル状態にすることで、スレッドの完了を通知する。
(スケジュールの作成−タスク配列)
タスク配列内の各タスク間に先行関係は存在しない。そのため、各タスクをどのような順序でスケジューリングしてもよい。また、タスク配列は、コードは全て同じで、内部変数の場所だけが異なるので、タスク配列内の各タスクの平均の実行時間は、同一であることが期待できる。従って、タスクの多重度がm、利用可能なCPU数がnである場合、各CPUにm/n個ずつタスクを分配する。
図14に示すPERT図のtaskYが多重度4のタスク配列で、利用可能なCPU数が5である場合、以下のスケジュールを作成することができる。
スケジュール5−0=taskX_CLK(); SetEvent(e1); SetEvent(e21); SetEvent(e22);
スケジュール5−1=WaitForSingleObject(e1); taskZ_CLK();
スケジュール5−2=WaitForSingleObject(e21); taskY_CLK(0); taskY_CLK(2);
SetEvent(e31);
スケジュール5−3=WaitForSingleObject(e22); taskY_CLK(1); taskY_CLK(3);
SetEvent(e32);
スケジュール5−4=WaitForSingleObject(e31); WaitForSingleObject(e32);
taskW_CLK();
このように、多重度の数だけ存在するタスク本体関数をインデックス指定して、各CPUに分配することにより、利用可能なCPU数に応じてスケジュールを作成することができる。
(CDPプログラムの性能)
上述のCDPプログラムの性能は、プログラムを代表するタスクのスループットP(tps)として、以下の式で求めることができる。
Figure 2013200666
mはタスクの多重度(同一機能を有するタスクの数)、cは一単位処理あたりに呼ばれるタスク本体関数の数(Clocks Per Transaction:CPT)、fはプログラム駆動周波数(タイマーの周期Tの逆数)であり、ここで、周期Tを保ってタスク本体関数を呼び出すために、デューティ率は1未満である必要がある。
図2に記述されるtaskAのように、CPTが変動する場合、平均値を用いる。taskAは、前述のように、固定回数のループを周期的に実行することにより、不定回数のループを実現する。本実施形態では、stateがcalc2の場合にF(x)yを計算するが、図2の行番号L62に示されるように、calcメソッドの第2引数yにより指定される不定回数のループを、定数LIMITにより指定される上限で周期的に実行する。
従って、1≦y≦101の場合、タスク本体関数は、stateがcalc1で1回、stateがcalc2で1回、合計2回呼ばれ、CPTは2となる。101≦y≦201の場合、タスク本体関数は、stateがcalc1で1回、stateがcalc2で2回、合計3回呼ばれ、CPTは3となる。例えば、CPTが2となる確率が50%、CPTが3となる確率が50%の場合、CPTは2.5となる。
CDPでは、デューティ率が1未満である限り、プログラム駆動周波数fに比例するスループットを保証することができる。CDPでの実行環境の性能差は、デューティ率の差として現れる。プログラムを同一のプログラム駆動周波数で実行する場合、低速CPUでは、高速CPUと比べてデューティ率が高くなる。しかし、デューティ率に差はあっても、同一のプログラム駆動周波数であれば、性能は同じである。
(周期的なタイマーによりプログラムを処理する方法)
次に、図18のフローチャートを参照して、本実施形態に係る周期的なタイマーによりプログラムを処理する工程を説明する。周期的なタイマーによりプログラムを処理するための事前準備として、前述したCDPプログラムを作成し、当該CDPプログラムを処理するコンピュータのメモリに格納する必要がある。CDPプログラムは、(タスクの記述)の章で詳述したタスクプログラムと、(スケジュールの作成)の章で詳述した実行プログラムとを含む。
本実施形態では、図2のタスクプログラムtaskAおよび図3のtaskBと、図19に示される、taskAおよびtaskBを実行する実行プログラムがメモリに格納されているものとする。
ステップS1で、リセット関数の呼び出しを実行プログラムから受け取り、タスクプログラムの内部変数を初期化する。本実施形態では、図19の行番号L21に示されるtaskAのリセット関数の呼び出しを受け、taskAの状態を示す内部変数taskA_data.stateをfreeに初期化する。また、同図の行番号L22に示されるtaskBのリセット関数呼び出しを受け、taskBの状態を示す内部変数taskB_data.stateをstate_10に初期化し、計算に用いる内部変数taskB_data.aおよびtaskB_data.bに実行プログラムの引数で指定されたxおよびyを格納する。
ステップS2で、タイマーの周期、およびタスクプログラムのタスク本体関数を呼び出す第1の関数を含むタイマー設定要求を実行プログラムから受け取り、タイマーの周期およびタイマーイベントハンドラーを設定する。本実施形態では、図19の行番号L24に示されるように、タイマーの周期を100ミリ秒に設定し、タイマーイベントハンドラーとしてOnTimer関数を登録する。
OnTimer関数では、図6のPERT図の先行関係に基づいて、taskA、taskBの順でタスク本体関数を呼び出す。
ステップS3で、タイマーの周期で第1の関数を呼び出すことにより、タスク本体関数を呼び出し、呼び出されたタスク本体関数において、状態を示す内部変数に対応する処理を実行する。本実施形態では、taskBのリセット関数呼び出し時に、実行プログラムの引数により、x=5、y=3が指定されているものとする。
(タイマー周期1回目)第1の関数であるOnTimer関数を呼び出すことにより、まず、taskAの本体関数を実行する。taskA_data.stateはfreeなので、何もすることなくtaskAの本体関数は終了する。次にTaskBの本体関数を実行する。taskB_data.stateはリセット関数により、state_10に初期化されているので、taskAに処理を要求するインタフェース関数calcを呼び出す。taskAのインタフェース関数calc呼び出し時に、本実施形態では、taskA_data.stateはfreeである。したがって、taskAのインタフェース関数calcにおいて、taskA_data.stateにcalc1が設定され、taskA_data.xおよびtaskA_data.yに、それぞれ5、3が格納される。そして、taskAに対する処理要求の受け入れにより、taskB_data.stateにstate_11が設定される。
(タイマー周期2回目)再度、第1の関数であるOnTimer関数を呼び出す。taskAのタスク本体関数が呼び出され、taskA_data.stateがcalc1であるので、F(x)が計算され、taskA_data.stateにcalc2が設定される。次に、taskBのタスク本体関数が呼び出され、taskB_data.stateがstate_11であるので、taskAに処理結果を要求するインタフェース関数get_resultを呼び出す。taskAのインタフェース関数get_result呼び出し時に、taskA_data.stateがcalc2であるので、処理が終わっていないことを示す戻り値が返される。
(タイマー周期3回目)再度、第1の関数であるOnTimer関数を呼び出す。taskAのタスク本体関数が呼び出され、taskA_data.stateがcalc2であるので、F(x)yが計算される。ここでは、y=3であるので、本タイマー周期でcalc2に対応する処理は完了し、taskA_data.stateにfinが設定される。次に、taskBのタスク本体関数が呼び出され、taskB_data.stateがstate_11であるので、taskAに処理結果を要求するインタフェース関数get_resultを呼び出す。taskAのインタフェース関数get_result呼び出し時に、taskA_data.stateはfinである。したがって、taskAのインタフェース関数get_resultにおいて、taskA_data.stateにfreeを設定する。そして、taskBの本体関数では、taskAからの処理結果の受け取りにより、taskB_data.stateにstate_12が設定され、周期実行の終了を指示するために、endにより特定されるEvent Objectをシグナル状態にする。
タイマー周期3回目の結果、図19の行番号L25のループ継続条件が偽になり、main関数の制御は、L31に移る。最後に、ステップS4で、タスクプログラムに処理結果を要求するインタフェース関数の呼び出しを実行プログラムから受け取り、処理結果を取得する。本実施形態では、taskBに処理結果を要求するインタフェース関数get_resultBの呼び出しを実行プログラムから受け取る。taskBのインタフェース関数get_resultB呼び出し時に、taskB_data.stateはstate_12である。したがって、実行プログラムはtaskBから計算結果を取得することができる。
このように、タイマーにより、定められた一定の処理を実行し、それが終了すると、次にタイマーにより駆動されるまで休むよう動作するプログラムを処理する。上述した実施形態において、1≦y≦101の制約を課した場合、CPTは3となり、デューティ率が1未満である限り、数2の式より、1/3×f(タイマーの周期Tの逆数)のスループットを保証することができる。システムとしての性能保証を実現することができるので、サービスの提供者は、性能保証のために余分な設備を保持する必要はない。さらに、ソフトウェアの開発段階において本発明の特徴を有するプログラムを構成するだけで、求められる性能保証の変更にも、迅速に、的確に対応することができる。

Claims (9)

  1. クロック駆動プログラミング(CDP)プログラムを格納するメモリを有するコンピュータが、周期的なタイマーによりプログラムを処理する方法であって、前記CDPプログラムは、内部変数、インタフェース関数、リセット関数、タスク本体関数を記述するタスクプログラムと、前記タスク本体関数を周期的に実行するためのタイマーを有する実行プログラムとを含み、前記コンピュータは、
    前記リセット関数の呼び出しを前記実行プログラムから受け取り、前記タスクプログラムの前記内部変数を初期化するステップと、
    前記タイマーの周期、および第1の関数を含むタイマー設定要求を前記実行プログラムから受け取り、前記実行プログラムのタイマーの周期を前記タイマー設定要求に含まれる周期に設定し、前記実行プログラムのタイマーのタイマーイベントハンドラーとして前記タイマー設定要求に含まれる前記第1の関数を登録するステップであって、前記第1の関数は、前記タスクプログラムの前記タスク本体関数の呼び出しを含む、ステップと、
    前記タイマーの周期で前記第1の関数を呼び出すことにより、前記タスク本体関数を呼び出すステップであって、前記タスク本体関数において、前記内部変数のうち当該タスクプログラムの状態を示す状態内部変数に基づいて、当該タスクプログラムの状態に対応する処理を実行し、当該対応する処理の実行の進捗に応じて、前記状態内部変数を更新する、ステップと、
    前記タスクプログラムに処理結果を要求する前記インタフェース関数の呼び出しを前記実行プログラムから受け取り、前記状態内部変数に基づいて処理結果要求を受け入れるか否かを判定する、ステップと
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記タスクプログラムは複数であり、前記第1の関数において、複数のタスクプログラムの各タスク本体関数を呼び出すスケジュールを指定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記複数のタスクプログラムから同時に呼び出され得るインタフェース関数は、Bernstein’s conditionを満たすことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記タスクプログラムは配列化されており、前記第1の関数において、配列化されたタスクプログラムの各タスク本体関数を呼び出すスケジュールを指定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記インタフェース関数、前記リセット関数、および前記タスク本体関数は、不定回数ループを含まないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記インタフェース関数、前記リセット関数、および前記タスク本体関数において、Blocking I/Oを用いないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. クロック駆動プログラミング(CDP)プログラムを格納するメモリと、
    プロセッサと
    を備えたプログラム処理システムであって、
    前記CDPプログラムは、内部変数、インタフェース関数、リセット関数、タスク本体関数を記述するタスクプログラムと、前記タスク本体関数を周期的に実行するためのタイマーを有する実行プログラムとを含み、
    前記プロセッサは、
    前記リセット関数の呼び出しを前記実行プログラムから受け取り、前記タスクプログラムの前記内部変数を初期化するステップと、
    前記タイマーの周期、および第1の関数を含むタイマー設定要求を前記実行プログラムから受け取り、前記実行プログラムのタイマーの周期を前記タイマー設定要求に含まれる周期に設定し、前記実行プログラムのタイマーのタイマーイベントハンドラーとして前記タイマー設定要求に含まれる前記第1の関数を登録するステップであって、前記第1の関数は、前記タスクプログラムの前記タスク本体関数の呼び出しを含む、ステップと、
    前記タイマーの周期で前記第1の関数を呼び出すことにより、前記タスク本体関数を呼び出すステップであって、前記タスク本体関数において、前記内部変数のうち当該タスクプログラムの状態を示す状態内部変数に基づいて、当該タスクプログラムの状態に対応する処理を実行し、当該対応する処理の実行の進捗に応じて、前記状態内部変数を更新する、ステップと、
    前記タスクプログラムに処理結果を要求する前記インタフェース関数の呼び出しを前記実行プログラムから受け取り、前記状態内部変数に基づいて処理結果要求を受け入れるか否かを判定する、ステップと
    を実行するよう構成されることを特徴とするプログラム処理システム。
  8. クロック駆動プログラミング(CDP)プログラムを格納するメモリを有するコンピュータが、前記CDPプログラムをチェックする方法であって、前記CDPプログラムは、内部変数、インタフェース関数、リセット関数、タスク本体関数を記述する、複数のタスクプログラム、および前記タスク本体関数を周期的に実行するためのタイマーを有する実行プログラムを含み、前記メモリは、前記複数のタスクプログラムの先行関係を示す情報を格納し、
    前記インタフェース関数、前記リセット関数、および前記タスク本体関数において、不定回数ループを含むか否かを判定するステップと、
    前記インタフェース関数、前記リセット関数、および前記タスク本体関数において、Blocking I/Oが用いられているか否かを判定するステップと、
    前記先行関係を示す情報に基づいて、複数のタスクプログラムから同時に呼び出され得るタスクプログラムの第1のインタフェース関数および第2のインタフェース関数を識別するステップと、
    前記第1のインタフェース関数および前記第2のインタフェース関数がBernstein’s conditionを満たすか否かを判定するステップと
    を含むことを特徴とする方法。
  9. クロック駆動プログラミング(CDP)プログラムを格納するメモリと、
    プロセッサと
    を備えたプログラムチェックシステムであって、
    前記CDPプログラムは、内部変数、インタフェース関数、リセット関数、タスク本体関数を記述する、複数のタスクプログラム、および前記タスク本体関数を周期的に実行するためのタイマーを有する実行プログラムを含み、
    前記メモリは、前記複数のタスクプログラムの先行関係を示す情報を格納し、
    前記プロセッサは、
    前記インタフェース関数、前記リセット関数、および前記タスク本体関数において、不定回数ループを含むか否かを判定するステップと、
    前記インタフェース関数、前記リセット関数、および前記タスク本体関数において、Blocking I/Oが用いられているか否かを判定するステップと、
    前記先行関係を示す情報に基づいて、複数のタスクプログラムから同時に呼び出され得るタスクプログラムの第1のインタフェース関数および第2のインタフェース関数を識別するステップと、
    前記第1のインタフェース関数および前記第2のインタフェース関数がBernstein’s conditionを満たすか否かを判定するステップと
    を実行するよう構成されることを特徴とするプログラムチェックシステム。
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