JP2013191686A - 光励起電流評価装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光源を交換することなく、半導体レーザ表面近傍及び半導体レーザ内部について、高感度な劣化検知が可能な光励起電流評価装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る光励起電流評価装置は、励起光源と、前記励起光源から発生したレーザ光を平行ビームにするレンズと、前記平行ビーム光を試料表面に沿って走査させる装置と、前記平行ビームを試料に集光させるレンズと、前記平行ビームを集光された試料から発生する光励起電流を測定する電流計と、測定した電流値を格納するとともに電流値を画像表示するコンピュータとから構成され、前記励起光源から発生したレーザ光の偏波モードは、TEモードまたはTMモードのいずれかであることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る光励起電流評価装置は、励起光源と、前記励起光源から発生したレーザ光を平行ビームにするレンズと、前記平行ビーム光を試料表面に沿って走査させる装置と、前記平行ビームを試料に集光させるレンズと、前記平行ビームを集光された試料から発生する光励起電流を測定する電流計と、測定した電流値を格納するとともに電流値を画像表示するコンピュータとから構成され、前記励起光源から発生したレーザ光の偏波モードは、TEモードまたはTMモードのいずれかであることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、光励起電流評価装置に関し、具体的には、光通信、光情報処理等で用いられている半導体レーザの劣化を評価するための光励起電流評価装置に関する。
光励起電流測定(Optical beam induced current:以下、OBICと呼称する)法は、電子ビーム励起電流(Electron beam induced current: 以下、EBICと呼称する)法、ルミネッセンス(Luminescence)法と同様に、欠陥の存在を明らかにする方法である。これらの方法の中でOBIC測定法は、非破壊、高感度、高空間分解能の特徴を持ち、光及び電子デバイスの劣化解析及び特性解析に使われている。
図1に、OBIC測定装置の1例を示す。図1は、OBIC測定装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、半導体試料150を測定するOBIC測定装置100は、励起光源(半導体レーザ)101と、レンズ102と、第1のガルバノメータ103と、第2のガルバノメータ104と、ミラー105と、対物レンズ106と、OBIC測定器(電流計)107と、OBIC強度データ取得用且つ画像表示用コンピュータ108とから構成される。
励起光源(半導体レーザ)101において、測定対象領域に入射されるレーザ光が生成され、励起光源101から出射されたレーザ光は、レンズ102で平行ビームに変換される。
次いで、平行ビームは、第1のガルバノメータ103及び第2のガルバノメータ104にてXY方向に走査されながら、ミラー105に導かれ、ミラー105にて対物レンズ106の方向に反射される。
次いで、対物レンズ106に入射したビームは、半導体試料150に集光され、半導体試料150に照射される。ビームが半導体試料150に照射されると、半導体試料150に光吸収され、電子・正孔ペアが生成される。そして、pn接合付近で生成した電子・正孔ペアは、空乏層の電界にて電子と正孔に分離され、光励起電流としてOBIC測定器(電流計)107にて測定される。そして、OBIC測定器(電流計)107にて測定された光励起電流値は、コンピュータ108にて格納されるとともに、その電流値が画像表示される。
半導体試料としてSIBH(Semi‐insulator buried heterostructure)‐DFB(Distributed feedback)レーザを用いた場合について検討する。図2は、SIBH‐DFBレーザの概略構成を示す説明図であり、断面構造を示すためにSIBH‐DFBレーザの一部を切り取ったときの斜視図である。
図2において、n‐InP基板217上には、下部SCH層212、活性層211、上部SCH層213、p‐InPクラッド層214及びp+‐InGaAsPキャップ層215が順次積層されている。下部SCH層212、活性層211及び上部SCH層213は、n‐InP基板217の上層及びp‐InPクラッド層214の下層とともにメサ状にエッチングされ、メサ構造が形成されている。
活性層211は、1.3μm組成InGaAsP層からなるMQW(multiple quantum well)層及び1.1μm組成InGaAsP層からなるバリア層の積層構造にて構成することができる。下部SCH層212は、1.1μm組成i‐InGaAsP層から構成することができる。上部SCH層213は、1.1μm組成i‐InGaAsP層から構成することができる。
下部SCH層212、活性層211、上部SCH層213、p‐InPクラッド層214及びp+‐InGaAsPキャップ層215をn‐InP基板217上に形成する場合、例えば、MBE(molecular beam epitaxy)、MOCVD(metal organic chemical vaper deposition)、あるいはALCVD(atomic layer chemical vaper deposition)などのエピタキシャル成長を用いることができる。
n‐InP基板217上には、メサ状にエッチングされた下部SCH層212、活性層211及び上部SCH層213が埋め込まれるように、Ru添加半絶縁InP層216が積層されている。
p+‐InGaAsPキャップ層215上には、p電極218が形成されるとともに、n‐InP基板7の裏面にはn電極219が形成されている。
また、このように構成された半導体レーザ(Laser diode:以下、LDと呼称することがある)は劈開され、前面から効率よく光を出射できるようにするために、LDの前端面には前端面低反射(Antireflection:AR)膜220が形成されるとともに、LDの後端面には後端面高反射(High reflection:HR)膜221が形成されている。
上部SCH層213には回折格子が作製され、これにより動的単一モードの動作を実現することができる。
図2に示すようなLDに順バイアスが印加されると、LDに注入された電流がRu添加半絶縁InP層216にてブロックされながら、活性層211に効率よく電流が注入される。活性層211に電流が注入されると、活性層211のバンドギャップに対応した波長の光が生成され、LDのHR膜コーティング後端面とグレーティングで反射を繰り返しながらレーザ発振することができる。そして、このようにして生成されたレーザ光は、屈折率の高い活性層1の近傍に集中しながら導波し、前端面から外部に出射することができる。
上述したように、図2に示したようなLDは、活性層に電流及び光が集中する構造を有する。従って、LDが長期間使用されると活性層211が劣化し、摩耗故障が発生する。よって、この磨耗故障の劣化機構を解明し、劣化を抑制することは重要となる。
図3は、従来のOBIC測定装置を用いて測定した半導体レーザのOBIC像を示す図である。励起光源波長として測定対象LDのMQW層にのみ効率よく吸収される波長(1.26μm)を選択し、偏波はレーザ発振と同じTEモードとした。
図3において、半導体レーザのAR端面からレーザ光が入射されると、そのレーザ光は活性層211にて吸収され、OBIC像が生成される。なお、図3において、白黒階調はOBIC強度を表し、白い部分はOBIC強度が高く、黒い部分はOBIC強度が低いことを示している。図3のOBIC像の中央の白い領域は活性層(MQW層)211を含むpn接合付近に対応する。
OBIC分析可能な領域は、半導体レーザのAR端面から入射した光の貫通距離に依存する。半導体レーザのAR端面から距離xにおける光パワーPi(x)は次の式で示される。
ただし、Pi0は入射光パワー、Γは光閉じ込め係数、α0は吸収係数である。Γを0.1、α0を104cm-1とすると、入射光が1/eとなる貫通距離は10μmとなり、表面から10μm程度の領域のOBICが主に測定されることになる。従って、半導体レーザのAR端面から10μm以上の内部に劣化があった場合、入射光が大きく減衰しているため、上記OBIC測定法では、劣化検知は困難になる。
なお、OBIC測定を行うにあたって半導体レーザのエイジングを7500時間行った。そして、7500時間の通電試験後の動作電流の相対増加率が3.5%の半導体レーザを用いて、AR端面側からOBIC測定を行った。
図4に、図3のPoint(i)‐(ii)における相対OBIC強度のエイジングによる変化を示す。図4に示すように、エイジング前後においてOBICプロファイルに変化はない。これはAR端面から10μm以内ではほとんど劣化してないことを示している。
このような場合、貫通距離の長い光源が必要となる。貫通距離の長い光源として、MQWのバンド端対応の波長より長波長を使い、吸収係数α0を下げる手段が有益であった。しかしながら、測定系の光源を交換すると光軸調整を行う必要があり、測定のスループットが悪かった。
従来のOBIC測定法では、半導体試料の表面付近(即ち、半導体レーザの端面付近)で光吸収されるため、半導体レーザ表面近傍の劣化の存在を確認することは可能であった。しかしながら、従来のOBIC測定法では、入射光が半導体レーザ内部まで届かないため、半導体レーザ内部の劣化評価は困難であった。
半導体レーザの内部劣化を解析するため、半導体レーザ表面の電極を剥がし、表面からOBIC測定を行った例もあるが、表面入射の分析では活性層の膜厚が数十nm程度と薄いため光吸収が小さく、小さい劣化を検知するのは困難であった。
また、入射光の貫通距離を伸ばすため、MQWのバンド端対応の波長より長波長の入射光を使い、吸収係数α0を下げる手段も有益であったが、測定系の光源を交換し光軸調整を行う必要があり、測定のスループットが悪かった。
本発明は、上記課題を鑑みて、光源を交換することなく、半導体レーザ表面近傍及び半導体レーザ内部について、高感度な劣化検知が可能な光励起電流評価装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、励起光源と、励起光源から発生したレーザ光を平行ビームにするレンズと、平行ビーム光を試料表面に沿って走査させる装置と、平行ビームを試料に集光させるレンズと、平行ビームを集光された試料から発生する光励起電流を測定する電流計と、測定した電流値を格納するとともに電流値を画像表示するコンピュータとから構成された光励起電流評価装置であって、励起光源から発生したレーザ光の偏波モードは、TEモードまたはTMモードのいずれかであることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、偏波モードを切り替えるための手段を更に備えたことを特徴とする。
本発明の一実施形態において、偏波モードを切り替えるための手段は、励起光源の回転機構か偏波コントローラのいずれかであることを特徴とする。
本発明に係るOBIC測定装置によって、入射励起光源からの励起光をTE偏波とすることにより半導体表面近傍の劣化解析が可能となり、更に、同一光源からの励起光をTM偏波とすることにより半導体内部の劣化解析が可能となる。従って、試料測定において、入射励起光源を取り替える必要がないことから、光軸調整の必要がなく測定のスループットを向上させることができる。
また、AR膜が形成された前端面側からの1回のOBIC測定で、導波路内部のすべての領域の劣化を解析することが可能となるので、後端面側観察のためにHR膜が形成されたLDの後端面側が前面にくるようにマウントする必要がなくなり、分析のスループットを向上させることができる。
次に、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
[第1の実施の形態]
測定対象となる半導体試料として、図2に示したSIBH‐DFBレーザを用いた。活性層211を、1.3μm組成InGaAsP層からなるMQW層及び1.1μm組成InGaAsP層からなるバリア層の積層構造にて構成した。
測定対象となる半導体試料として、図2に示したSIBH‐DFBレーザを用いた。活性層211を、1.3μm組成InGaAsP層からなるMQW層及び1.1μm組成InGaAsP層からなるバリア層の積層構造にて構成した。
OBIC励起光源として、1.26μm波長の光源を用いた。本実施形態に係るOBIC励起光源は、偏波モード切り替えのために回転することができる。波長1.26μmのTE偏波光を本実施形態に係るSIBH‐DFBレーザに照射するとMQW層で効率よく吸収される。一方、波長1.26μmのTM偏波光を本実施形態に係るSIBH‐DFBレーザに照射するとMQW層で吸収される。
最初に、半導体レーザのAR端面近傍付近の劣化を解析するため、OBIC励起光源からの励起光の偏波モードをTEモードとした。図4に示したように、エイジング前後においてOBICプロファイルに変化はなく、半導体レーザのAR端面から10μm以内でほとんど劣化してないことが確認された。
次に、半導体レーザ内部の劣化を解析するため、OBIC励起光源を90度回転させることにより、OBIC励起光源からの励起光の偏波モードをTMモードとした。使用するOBIC励起光源は、端面近傍付近の劣化解析時と同一である。
図5は、本実施形態に係るOBIC測定装置を用いて測定した半導体レーザのOBIC像を示す図である。図5(a)及び図5(b)夫々の中央の白い領域は、活性層211を含むpn接合付近に対応する。図5(b)からわかるように、エイジング後、中央の白い領域が若干黒ずみ、OBIC強度の低下が認められた。
図6に、図5のPoint(i)‐(ii)における相対OBIC強度のエイジングによる変化を示す。図6に示すように、エイジング後、相対OBIC強度のピークは約6%低下した。これは貫通距離内に劣化があることを示している。ここで、AR端面から10μm以内には劣化がないことがわかっていることから、AR端面近傍を除く導波路の劣化があることが明らかになる。
このように、TM偏波では半導体レーザ導波路の貫通距離がTE偏波より長くなるため、TM偏波の有効性が確認された。これにより半導体レーザのAR端面側から1回のOBIC測定で、導波路内部のすべての領域の劣化を解析することが可能となり、HR端面側観察のため半導体レーザのHR端面側が前面にくるようにマウントする必要がなくなった。なお、半導体レーザ内部の劣化解析時に、必ずしもTM偏波にする必要はなく、メインの光がTM偏波であれば同様に劣化の有無を解析できることは当業者にとって自明であろう。
本実施形態では、OBIC励起光源を90度回転させることにより、TEモードからTMモードへの切り替えを行っている。しかし、本発明に係るOBIC測定装置は、偏波モードの切り替えのための、偏波コントローラを備えても良い。
100:OBIC測定装置
101:励起光源(半導体レーザ)
102:レンズ
103:第1のガルバノメータ
104:第2のガルバノメータ
105:ミラー
106:対物レンズ
107:OBIC測定器(電流計)
108:OBIC強度データ取得用及び画像表示用コンピュータ
150:半導体試料
211:活性層
212:下部SCH層
213:上部SCH層
214:p‐InPクラッド層
215:p+‐InGaAsPキャップ層
216:Ru添加半絶縁InP層
217:n‐InP基板
218:p電極
219:n電極
220:前端面低反射(AR)膜
221:後端面高反射(HR)膜
101:励起光源(半導体レーザ)
102:レンズ
103:第1のガルバノメータ
104:第2のガルバノメータ
105:ミラー
106:対物レンズ
107:OBIC測定器(電流計)
108:OBIC強度データ取得用及び画像表示用コンピュータ
150:半導体試料
211:活性層
212:下部SCH層
213:上部SCH層
214:p‐InPクラッド層
215:p+‐InGaAsPキャップ層
216:Ru添加半絶縁InP層
217:n‐InP基板
218:p電極
219:n電極
220:前端面低反射(AR)膜
221:後端面高反射(HR)膜
Claims (3)
- 励起光源と、
前記励起光源から発生したレーザ光を平行ビームにするレンズと、
前記平行ビーム光を試料表面に沿って走査させる装置と、
前記平行ビームを試料に集光させるレンズと、
前記平行ビームを集光された試料から発生する光励起電流を測定する電流計と、
測定した電流値を格納するとともに電流値を画像表示するコンピュータと
から構成された光励起電流評価装置であって、
前記励起光源から発生したレーザ光の偏波モードは、TEモードまたはTMモードのいずれかであることを特徴とする光励起電流評価装置。 - 前記偏波モードを切り替えるための手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の光励起電流評価装置。
- 前記偏波モードを切り替えるための手段は、前記励起光源の回転機構か偏波コントローラのいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の光励起電流評価装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012056125A JP2013191686A (ja) | 2012-03-13 | 2012-03-13 | 光励起電流評価装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012056125A JP2013191686A (ja) | 2012-03-13 | 2012-03-13 | 光励起電流評価装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012056125A Pending JP2013191686A (ja) | 2012-03-13 | 2012-03-13 | 光励起電流評価装置 |
Country Status (1)
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- 2012-03-13 JP JP2012056125A patent/JP2013191686A/ja active Pending
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