JP2013183801A5 - - Google Patents

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TWA測定装置及びTWA測定方法
本発明は、TWA(T−wave alternans:T波交互脈)の有無を測定することができるTWA測定装置及びTWA測定方法に関する。
TWAは、QT延長症候群、異型狭心症、急性心筋虚血、電解質異常、発作性心頻拍、徐脈、心膜腔液貯留などの発症時に出現する。TWAは、心電図に現れるT波の振幅、極性が交互に変化する現象であり、心臓突然死の予測に有効な指標である。TWAは、必ずしも肉眼で確認できる現象ではないため、臨床での応用には限界があった。
そのため、1980年代から、微小なTWA(Microvolt TWA:MTWA)をコンピュータによって測定できるようにするための技術が開発され続けている。
現在提案されているTWAの測定技術は、下記特許文献1及び2に開示されている、ゼネラルエレクトリック(GE)社のMMA法(Modified Moving Average)による測定技術と、ケンブリッジハート(CH)社のピリオドグラムによる測定技術があげられる。
GE社の測定技術は、時間領域における時間の波形解析方法であり、ノイズに強いと言われるものの、測定技術として歴史が浅く、その臨床的効果を見守る必要がある。
一方、周波数領域における手法としてのCH社の測定技術は、1980年代から使われ続けてきているため、臨床での有効性は実証済みである。したがって、現在、GE社のMMA法による測定技術よりもCH社のピリオドグラムによる測定技術の方が臨床では有用であると考えられている。
CH社のピリオドグラムによる測定技術は、発表されて以来、新たな処理を行うための測定電極の技術など、さまざまな技術が追加され、現在もその追加された最新の技術が使われている。
米国特許第6,668,189号明細書 米国特許第5,935,082号明細書
特許文献に記載されているピリオドグラムによるTWAの測定技術は、運動負荷試験において心拍数を一定に保つ必要があったり、期外収縮など正常とは異なる心拍の数を規定値以下に抑える必要があったり等、様々な条件を満たすことを前提としている。
しかし、被検者によっては、運動負荷試験において心拍数をほぼ一定に保つことができない場合がある。また、心拍数をほぼ一定に保つことができたとしても、何拍かにノイズが混入してしまう場合がある。さらに、被検者が、期外収縮など正常とは異なる心拍の数を規定値以下に抑えることは不可能である。
特許文献のTWAの測定技術では、上記の条件を満たすことなくTWAの測定をしようとしても、TWAを測定するためのデータ収集は開始されない。また、データ収集が開始されたとしても、測定の途中で上記の条件を満たせなくなったときには、データ収集がリセットされてしまう。
また、上記の条件を満たしながらの測定となるために、検査時間が長くなりがちであり、測定者及び被検者に余分な負担を強いることになる。また、上記の条件が満たされないとTWAの測定が終了しないため、時間が限られている場合には、TWAの測定を完了することができない。
本発明は、測定者及び被検者の負担を軽減し、様々な測定方法によって取得された心電図からTWAの有無を測定することができるTWA測定装置及びTWA測定方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係るTWA測定装置は、心電計制御部、TWA測定部を備える。
心電計制御部は、被検者の心電信号から心電図を生成する。TWA測定部は、生成した心電図からTWAの測定に寄与できる波形を選択し選択した波形を用いてTWAの有無を測定する。
心電計制御部は、様々な測定方法を用いて心電図を生成することができる。被検者に装着する測定電極の数や位置は、心電図を取得するために用いられる測定方法に応じて異なる。
例えば、フランク誘導ベクトル心電図、一般的なスカラー心電図、すなわち標準12誘導心電図、導出12誘導心電図、ホルター心電図、イベント心電図、運動負荷心電図、モニター心電図によって、被検者に装着する測定電極の数や位置が異なる。TWA測定部は、心電計制御部が生成したベクトルマグニチュードや心電図を用いてTWAの有無を測定する。
上記目的を達成するための本発明に係るTWA測定方法は、心電図を生成するために測定電極を被検者に装着する段階と、測定電極の心電信号から心電図を生成する段階と、生成した心電図からTWAの測定に寄与できる波形を選択し選択した波形を用いてTWAの有無を測定する段階と、を含む。
本発明によれば、様々な測定方法によって取得された心電図からTWAの有無を測定することができる。また、条件に縛られることなくTWAの有無が測定できるので、測定者及び被検者の負担を軽減することができる。
実施形態1に適用するTWA測定装置のブロック図である。 実施形態1に係るTWA測定装置の動作フローチャートである。 実施形態1に係るTWA測定装置においてフランク誘導ベクトル心電図を導出するための手順を示すフローチャートである。 図3の動作フローチャートの処理を説明するための波形図である。 実施形態1に係るTWA測定装置においてTWAの有無を測定するための手順を示すフローチャートである。 解析セグメントを選択する処理の説明に供する図である。 解析セグメントを選択する処理の説明に供する図である。 外れ値の補正処理を行う前と行った後の波形図である。 ピリオドグラムを計算する処理の説明に供する図である。 ピリオドグラムを計算する処理の説明に供する図である。 実施形態1に係るTWA測定装置の動作フローチャートである。 実施形態1に係るTWA測定システムのブロック図である。 実施形態1に係る心電図管理システムのブロック図である。 実施形態1に係る患者ID管理部のブロック図である。 実施形態1に係るTWA測定システムにおいて、TWA測定装置がTWAの有無を測定するまでの処理を示すメインフローチャートである。 図15のメインフローチャートのステップS23(患者ID/患者名照合)のサブルーチンフローチャートである。 図15のメインフローチャートのステップS25(個人係数検索)のサブルーチンフローチャートである。 図15のメインフローチャートのステップS28(集団係数検索)のサブルーチンフローチャートである。 患者の個人係数を算出し、算出した個人係数を個人係数データベースに記憶させるまでの処理を示すメインフローチャートである。 図19のメインフローチャートのステップS33(個人係数を算出)の処理を示すサブルーチンフローチャートである。 図19のメインフローチャートのステップS34(算出した個人係数をデータベースに登録)の処理を示すサブルーチンフローチャートである。 図21のサブルーチンフローチャートのステップS41(TWA測定装置の個人係数データベースに記憶)の処理を示すサブルーチンフローチャートである。 図21のサブルーチンフローチャートのステップS42(心電図管理システムの個人係数データベースに記憶)の処理を示すサブルーチンフローチャートである。 実施形態2に適用するTWA測定装置のブロック図である。 実施形態2に係るTWA測定装置の動作フローチャートである。 実施形態2に係るTWA測定装置においてTWAの有無を測定するための手順を示すフローチャートである。 図26の動作フローチャートの処理を説明するための波形図である。 実施形態3に係るTWA測定装置の動作フローチャートである。 実施形態3に係るTWA測定装置においてTWAの有無を測定するための手順を示すフローチャートである。
本発明に係るTWA測定装置及びTWA測定方法は、様々な測定方法によって取得された心電図からTWAの有無が測定できる。
以下に、本発明に係るTWA測定装置及びTWA測定方法の実施形態を、[実施形態1]から[実施形態3]に分けて説明する。
[実施形態1]では、12誘導心電図などのスカラー心電図からフランク誘導ベクトル心電図を導出し、フランク誘導ベクトル心電図からTWAの有無を測定する。スカラー心電図からフランク誘導ベクトル心電図を導出するので、測定者は、スカラー心電図を取得するときと同じ要領で測定電極を被検者に取り付けさえすればTWAの有無が測定できる。
以下に、実施形態1に係るTWA測定装置及びTWA測定方法を、スカラー心電図として12誘導心電図を用いた場合を例示して説明する。なお、実施形態1では12誘導心電図を用いた場合を例示するが、導出誘導を含む少なくとも3誘導のスカラー心電図を用いる場合に適用することができる。少なくとも3誘導のスカラー心電図としては、12誘導心電図、ホルター心電図、イベント心電図、運動負荷心電図、モニター心電図を例示することができる。
[実施形態1]
実施形態1に係るTWA測定装置及びTWA測定方法では、測定電極の心電信号から12誘導心電図を生成している。実施形態1に係るTWA測定装置及びTWA測定方法では、上述のように、12誘導心電図からフランク誘導ベクトル心電図を導出することができ、導出したフランク誘導ベクトル心電図から心臓突然死の予知診断に有効なTWAの有無が測定できる。
明細書中、被検者の具体例として患者という用語を用いる。しかし、患者には、病院で診察を受ける患者だけではなく、健康診断を行う検診センターや診療所、一般家庭など病院以外の場所での利用者も含まれる。
[TWA測定装置の構成]
まず、実施形態1に係るTWA測定装置の構成を説明する。図1は、実施形態1に係るTWA測定装置のブロック図である。
TWA測定装置110は、患者情報入力部111、患者情報記憶部112、変換係数記憶部114、測定電極115、表示部116、心電計制御部117、TWA測定部118、通信部119を備えている。変換係数記憶部114は、個人係数データベース113Aと集団係数データベース113Bを備えている。
患者情報入力部111は、測定者のキー操作により患者情報を入力する。患者情報は、具体的には、患者ID(固有IDと個別ID)(個人係数取得用)、患者名(個人係数取得用)、患者年齢(集団係数取得用)、患者性別(集団係数取得用)である。
患者情報記憶部112は、患者情報入力部111より入力した患者情報を記憶する。例えば、患者IDとして患者の固有ID「C123」と患者の個別ID「A123」、患者名、患者年齢、患者性別をそれぞれ記憶する。
変換係数記憶部114は、12誘導心電図からフランク誘導ベクトル心電図を導出するための変換係数を記憶する。
変換係数記憶部114を構成する個人係数データベース113Aは、特定の患者からあらかじめ取得しておいたその患者に固有の個人係数を変換係数として記憶する。個人係数は、患者別、時系列に記憶する。例えば、上述の場合、患者の固有ID「C123」と患者の個別ID「A123」、患者名をそれぞれ個人係数の付加情報として付加し患者別、時系列に記憶する。
通常、フランク誘導ベクトル心電図を導出するときには1つの最新の個人係数を用いれば足りる。それでも時系列に複数の個人係数を記憶しておくのは、個人係数の変化又は過去の個人係数から現在の個人係数を用いて導出されるフランク誘導ベクトル心電図の変化を見ることによって病状の進行、回復の状態を把握できる場合があるからである。
変換係数記憶部114を構成する集団係数データベース113Bは、患者のフランク誘導ベクトル心電図を導出するため統計的に有効な母集団の不特定多数の人から取得した複数の変換係数の平均値である集団係数を変換係数として記憶する。集団係数は、性別、年代別に記憶する。
測定電極115は患者の体表面に装着する電極である。測定電極115は、12誘導心電図を生成するとき及びその患者に固有の個人係数を取得するときに使用される。
表示部116は、患者情報入力部111で入力する患者情報やTWA測定部118で測定したTWAの有無の測定結果をディスプレイに表示したり、プリントアウトしたりする。
心電計制御部117は、測定電極115の心電信号から12誘導心電図を生成し、変換係数記憶部114の変換係数を用いて12誘導心電図からフランク誘導ベクトル心電図を導出する。心電計制御部117は、個人係数データベース113Aに患者から取得した個人係数があれば、その個人係数を変換係数として用いてその患者のフランク誘導ベクトル心電図を導出する。その患者の個人係数を用いるとTWAの有無の測定精度が向上するからである。一方、個人係数データベース113Aにその患者から取得した個人係数がなければ、集団係数データベース113Bにある集団係数を変換係数として用いてフランク誘導ベクトル心電図を導出する。その患者に固有の個人係数がなくてもTWAの測定を可能とするためである。
心電計制御部117は、個人係数データベース113Aにその患者に固有の個人係数がなければ、その患者の個人係数の取得を促すメッセージを表示部116に表示させる。個人係数の取得を促すことで測定精度の向上に寄与させるためである。また、心電計制御部117は、患者に固有の個人係数を取得するときには、患者の体表面に装着した測定電極115の心電信号からその患者に固有の個人係数を算出し、算出した個人係数を個人係数データベース113Aに記憶させる。
患者の個人係数を取得するときには、まず、12誘導心電図を生成するために決められている、患者の測定部位に測定電極115を装着し、測定電極115の心電信号から12誘導心電図を生成する。
次に、フランク誘導ベクトル心電図を生成するために決められている、患者の測定部位に測定電極115を装着し、測定電極115の心電信号からフランク誘導ベクトル心電図を生成する。12誘導心電図を生成するときの測定電極115の装着位置とフランク誘導ベクトル心電図を生成するときの測定電極115の装着位置は異なる。
12誘導心電図とフランク誘導ベクトル心電図の生成を別々に行っても良いが、実施形態1ではこれらの心電図の生成を同時に行っている。作業効率を向上させるためである。
心電計制御部117は、12誘導心電図をフランク誘導ベクトル心電図に整合させるための、その患者に固有の個人係数を算出する。心電計制御部117は、算出した個人係数を、患者の固有IDと患者の個別ID、患者名をそれぞれ個人係数の付加情報として付加して、個人係数データベース113Aに患者別、時系列に記憶させる。
心電計制御部117は、上述のさまざまな動作を制御する他、TWA測定装置110の全ての動作を総括的に制御する。心電計制御部117は、TWA測定装置110の全ての動作を実現するためのプログラムを備えている。心電計制御部117の詳細な動作は後述する。
TWA測定部118は、心電計制御部117が導出したフランク誘導ベクトル心電図からTWAの有無を測定する。TWA測定部118は、TWAの有無を測定する際に、心電計制御部117が導出した複数のフランク誘導ベクトル心電図の波形の中から、TWAの有無の測定に寄与できる波形を選択し、選択した波形からTWAの有無を測定する。TWAの測定に寄与できる波形を選択することでTWAの測定精度が向上するからである。TWA測定部118の詳細な動作は後述する。
通信部119は、患者の個人係数を心電図管理システム(EMS)140(図12参照)に送信し、逆に、心電計制御部117が要求した患者の個人係数をEMS140から受信する。通信部119における個人係数の送受信は院内回線160を介して行なう。
[TWA測定装置の動作]
次に、実施形態1に係るTWA測定装置の動作を図2の動作フローチャートに基づいて説明する。
図2の動作フローチャートにおいて、ステップS1からS3の動作はTWA測定装置の操作者(測定者)が行ない、ステップS4からS8の動作は心電計制御部117が行なう。ステップS1からS9の動作は実施形態1に係るTWA測定方法の手順でもある。なお、ステップS9の動作はTWA測定部118が行なう。
<ステップS1>
I 12誘導心電図を生成するために、図1に示したTWA測定装置110の操作者が患者の体表面の所定の部位に測定電極115を装着する。実施形態1のTWA測定装置110は、さまざまな測定方法で生成された12誘導心電図を対象とするので、測定電極115は、採用する測定方法で決められている患者の測定部位に装着する。例えば、4誘導I、II、V2、V5からV1、V3、V4、V6を導出するタイプの導出12誘導心電図を生成させる場合には、I及びII誘導の心電信号を取得するために左右腕部(電極L、R)と左右下肢(電極LL、RL)の4箇所と、胸部誘導の2誘導(V2誘導、V5誘導)の心電信号を取得するために第4肋間胸骨左縁位置と左前腋窩線と第5肋間を横切る水平線との交点位置の2箇所の、合計6箇所の測定部位に測定電極115を装着する。また、標準12誘導心電図を生成させる場合には、胸部誘導の測定のために6箇所及び四肢誘導の測定のために4箇所の計10箇所に、10個の測定電極115を装着する。
<ステップS2>
次に、操作者は、患者情報入力部111から患者情報を入力する。例えば、患者IDとして固有ID「C123」と個別ID「A123」を入力し、続いて、患者名、患者年齢、患者性別を入力する。
<ステップS3>
そして、操作者は、TWA測定装置110の測定スイッチ(図示せず)をONする。測定スイッチがONされることによって、TWAの有無の測定が開始される。
<ステップS4>
心電計制御部117は、ステップS1で患者に装着した6個の測定電極115の心電信号から12誘導心電図を生成する。
上記の導出12誘導心電図を生成する場合、I及びII誘導と胸部誘導の2誘導(V2、V5)の4誘導分の心電信号(測定誘導ベクトル)を下記の行列式に代入し、測定誘導ベクトルに変換行列を掛けることによって、測定電極115で実際には測定していない残りの4つのV1誘導、V3誘導、V4誘導、V6誘導(導出誘導ベクトル)の胸部誘導の導出心電図を生成する。
そして、最終的に12誘導心電図を生成する。
また、上記の標準12誘導心電図を生成する場合、10個の測定電極で検出される心電信号に基づき、標準12誘導の四肢6誘導波形(I、II、III、aVR、aVL、aVF)及び標準12誘導の胸部6誘導波形(V1、V2、V3、V4、V5、V6)を演算し、最終的に12誘導心電図を生成する。
<ステップS5からS7>
次に、心電計制御部117は、フランク誘導ベクトル心電図を導出するための変換係数を変換係数記憶部114から取得する。
心電計制御部117は、ステップS2で入力した患者情報に合致する個人係数が個人係数データベース113A内にあるか否かを判断する。具体的には、患者情報入力部111から入力した固有ID「C123」と個別ID「A123」に合致した個人係数が、個人係数データベース113Aにあるか否かを判断する。
心電計制御部117は、個人係数データベース113Aに、患者情報に合致した個人係数があれば、個人係数データベース113Aからその患者の個人係数を取得する。なお、個人係数は患者別に時系列に記憶してあるので、その患者の個人係数が複数ある場合には、最新の個人係数を取得する。
一方、心電計制御部117は、個人係数データベース113Aに、患者情報に合致した個人係数がなければ、集団係数データベース113Bからその患者の患者情報として入力した患者年齢、患者性別に合致する集団係数を取得する。
<ステップS8>
心電計制御部117は、ステップS5からS7で取得した、その患者に固有の個人係数または集団係数のいずれかの変換係数を用いて、ステップS4で生成した12誘導心電図からフランク誘導ベクトル心電図を導出する。
フランク誘導ベクトル心電図を導出する具体的な処理は図3の動作フローチャートで説明する。
<ステップS9>
TWA測定部118は、ステップS8で導出したフランク誘導ベクトル心電図からTWAの有無を測定する。
前述のように、TWAの有無を測定する方法にはいくつかの手法が知られている。その手法の1つに、臨床現場において最も有用であると言われている米国特許番号4802491号記載のスペクトル分析による手法がある。このスペクトル分析による手法では、被検者に負荷をかけている間のHR110以下の連続する128拍分のベクトルマグニチュード波形を必要とする。
このため、ノイズの影響やHR110以下の条件が合致しないと拍のカウントが始まらない。HRによってST−T間の時間が変化することを考慮すると、極力HRを一定に保つことが望ましいが、実際には、HRを一定に保つことは困難である。また、HRを一定に保つことができたとしても128拍中に異常値が含まれてしまうこともある。
上記のスペクトル分析による手法でのこのような不具合を解消するために、実施形態1では、まず一定区間の拍の中からHR105〜110に合致する128拍以上の波形、例えば150拍の波形を選択する。選択する150拍は、連続することを基本とするが、連続しない場合は、交互性を保つように選択する。例えば、選択する拍と選択する拍とに挟まれる選択されない拍の数を偶数にすることや、選択する拍同士の形の類似度などを使うことにより、交互性を保った選択を行う。
このような手法で150拍のベクトルマグニチュード波形を抽出すると、負荷中にHRを一定に保つ必要性から解放されるため、TWAの有無の測定が容易になる。
次に、上記選択された150拍のベクトルマグニチュード波形の中から、それぞれの波形の相関が一定の閾値以上の128拍の波形を選択する。
さらに、128拍のベクトルマグニチュード波形の中に異常値(外れ値)が含まれていた場合には、その異常値を他の値を用いて補正している。
このような処理をすることによって、異常値(外れ値)の影響を極力小さくすることができ、最終的に得られるTWAの有無の測定精度が向上する。
TWAの有無を測定する具体的な処理は図5の動作フローチャートで説明する。
図3の動作フローチャートは、フランク誘導ベクトル心電図を導出するための手順を示すフローチャートである。このフローチャートは図2のステップS8のサブルーチンフローチャートである。
<ステップS8−1>
心電計制御部117は、ステップS4で生成した12誘導心電図と、ステップS6で取得した個人係数またはステップS7で取得した集団係数のいずれかを変換係数として取得する。
<ステップS8−2>
心電計制御部117は、12誘導心電図に変換係数を掛けて、フランク誘導ベクトル心電図の6個の誘導、I、E、C、A、H、Mを導出する。
心電計制御部117は、変換係数を掛ける前に、生成した12誘導心電図の基線の変動を除去するための前処理をする。12誘導心電図のDC分を除去して基線の位置を揃えるためである。これと同時に、12誘導心電図の高周波成分を除去するための前処理をする。高周波ノイズを除外して12誘導心電図の波形を滑らかにするためである。
12誘導心電図に変換係数を掛けるとフランク誘導ベクトル心電図を求めることができるのは、次のような原理に基づく。
12誘導心電図Lとフランク誘導ベクトル心電図Fとの間には、下記の式1に示すような関係がある。なお、αは変換係数である。
Lα=F … 式1
式1において、具体的には、Lは12誘導心電図の配列(n×8)であり、αは個人係数か集団係数を用いた変換係数であり、Fはフランク誘導ベクトル心電図の配列(n×6)である。
この例では、12誘導心電図を測定する際に、I及びII誘導、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導を測定するために8個の測定電極を用いている。したがって、12誘導心電図の配列が(n×8)となっている。
式1に示すように、12誘導心電図からフランク誘導ベクトル心電図の6個の誘導、I、E、C、A、H、Mを求めるためには、12誘導心電図に変換係数αを掛ければよい。
12誘導心電図からフランク誘導ベクトル心電図を導出するためには、あらかじめ変換係数αを求めておく必要がある。実施形態1のTWA測定装置110の場合、変換係数として、患者に固有の個人係数と、統計的に有効な母集団の不特定多数の人から取得した複数の変換係数の平均値である集団係数の2種類の変換係数を備えているのはこのためである。
患者に固有の個人係数を取得するときには、例えば、12誘導心電図L(I及びII誘導、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導)を生成するために決められている、患者の特定部位に測定電極115を装着し、測定電極115の心電信号から12誘導心電図を生成する。次に、フランク誘導ベクトル心電図F(I誘導、E誘導、C誘導、A誘導、H誘導、M誘導)を生成するために決められている、患者の特定部位に測定電極115を装着し、測定電極115の心電信号からフランク誘導ベクトル心電図を生成する。そして、上記の例では、生成した12誘導心電図L(I及びII誘導、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導)と生成したフランク誘導ベクトル心電図F(I誘導、E誘導、C誘導、A誘導、H誘導、M誘導)を、下記の式2に代入して、その患者に固有の個人係数を変換係数αとして求める。なお、変換係数である個人係数を取得する具体的な処理は、図11のフローチャートで詳しく説明する。
α=(LL)−1F … 式2
ここで、Lは、12誘導心電図Lの転置行列であり、(LL)−1は、(LL)の逆行列である。
心電計制御部117は、このようにして求めた変換係数を、式1のように、12誘導心電図Lに掛け、フランク誘導ベクトル心電図FのI誘導、E誘導、C誘導、A誘導、H誘導、M誘導を導出する。
<ステップS8−3>
次に、心電計制御部117は、フランク誘導ベクトル心電図F(I誘導、E誘導、C誘導、A誘導、H誘導、M誘導)を導出したなら、下記の式3に、I誘導、E誘導、C誘導、A誘導、H誘導、M誘導の値を代入することによって、フランク誘導ベクトル心電図のV誘導、V誘導、V誘導を求める。
=0.61A+0.171C−0.781I
=0.655F+0.345M−1.0H
=0.133A+0.736M−0.264I−0.374E−0.231C
以上、式3
<ステップS8−4>
最後に、心電計制御部117は、求めたV誘導、V誘導、V誘導の各値を2乗し、それぞれの2乗した値を加算し、その加算した値の平方根を計算することによって、ベクトルマグニチュードVMの値を計算する。
以上が、フランク誘導ベクトル心電図を導出する際に行われる処理の詳細である。
図3の動作フローチャートの処理を図4の波形図で説明すると以下の通りである。
まず、図4の上の波形図に示されているように、12誘導心電図Lとして、I及びII誘導、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導のつの心電図波形が得られると、これらの心電図波形に、基線変動除去及び高周波成分除去の処理を施し、変換係数αを掛ける。
そして、I誘導、E誘導、C誘導、A誘導、H誘導、M誘導の値を求め、図4の中間の波形図に示されているように、フランク誘導ベクトル心電図のV誘導、V誘導、V誘導の各心電図波形を求める。
最後に、図4の下の波形図に示されているように、V誘導、V誘導、V誘導の各値からフランク誘導ベクトル心電図のベクトルマグニチュードVMの心電波形を求める。最終的に求めようとしているTWAの有無は、このベクトルマグニチュードVMの心電波形から求めることになる。
図5の動作フローチャートは、TWAの有無を測定するための手順を示すフローチャートである。このフローチャートは図2のステップS9のサブルーチンフローチャートである。
<ステップS9−1>
TWA測定部118は、上記のようにして求めたフランク誘導ベクトル心電図のベクトルマグニチュードVMの心電波形を心電計制御部117から取得する。TWA測定部118は、取得したベクトルマグニチュードVMの心電波形から、TWAの有無の測定精度を向上させるために異常値等を除去して、TWAの有無の測定に使用する波形を選択する。
TWA測定部118は、まず、128拍以上の波形、例えば150拍の波形を選択する。
150拍の波形の選択は、心電計制御部117から取得したベクトルマグニチュードVMの中から、図7のように、TWAがでやすそうな拍であるHR105〜110に合致する拍のみを選択する。連続した拍を選択することが望ましいが、連続した150拍の場合、TWAの有無を測定しづらいノイズの多い拍も存在する可能性があるため、測定精度に影響する。このため、TWAがでやすそうな拍を不連続に150拍選択している。
上述のようにして選択した150拍のベクトルマグニチュード波形の中には形状が大きく異なる波形が含まれている可能性もあるため、次いで、上記150拍のベクトルマグニチュード波形の中から、それぞれの波形の相関が一定の閾値以上の128拍の波形を選択する。
具体的には、まず、上記150拍のベクトルマグニチュード波形の最初の指定時間の波形を平均化した平均波形を求める。そして、平均波形とそれぞれの波形との相関が一定の閾値以上の128拍の波形を決定する。
そして、上記のように選択された128拍の各ベクトルマグニチュード波形のST−Tセグメントを解析セグメントとして選択する。
<ステップS9−2>
128拍の解析セグメントの中に外れ値(異常値)が含まれていた場合には、TWA測定部118は外れ値の補正処理を行う。
TWAの有無の測定に悪影響を与えそうな外れ値を奇数拍と偶数拍ごとに分けて検出し、検出した拍に対して補正をする。
具体的には、奇数拍と偶数拍について心電図波形の中間値を求め、奇数拍と偶数拍について標準偏差を求める。その標準偏差をパラメータとした外れ値判定のための閾値を算出し、閾値との大小関係を判定して外れ値を決定する。外れ値として決定された値を、標準偏差をパラメータとした補正関数に代入して補正値を算出する。なお、閾値の決定や補正関数には種々のものがあるが、公知のどのようなものを用いても良い。
図8に外れ値の補正処理を行う前と行った後の波形図を示す。図8の上の波形図に示すように、補正処理を行う前の原信号の波形には、その中央部に大きく落ち込む波形が存在している。しかし、図8の下の波形図に示すように、補正処理を行った後の補正後の信号の波形には、その中央部に大きく落ち込む波形が存在しなくなっている。外れ値の補正処理が功を奏していることがわかる。
<ステップS9−3>
TWA測定部118は、外れ値の補正をした後、図6に示すように、128拍分の解析セグメントをFFT処理し、ピリオドグラムを計算する。
図9及び図10はピリオドグラムの説明に供する図である。図9及び図10の上の波形図は奇数拍と偶数拍それぞれの平均波形を示す。図9及び図10の下の波形図はピリオドグラムを計算した後の波形である。
図9のピリオドグラムを計算した後の波形を見ると、周波数(サイクル/ビート)0.5のときのベクトルマグニチュードの値が小さいが、これはTWAがないことを意味している。一方、図10のピリオドグラムを計算した後の波形を見ると、周波数(サイクル/ビート)0.5のときのベクトルマグニチュードの値が大きくなっている。これは、TWAの値が大きいことを意味し、TWAの存在の可能性が大きいことを意味している。
このように、ピリオドグラムを計算することによって、ベクトルマグニチュードの値の大小から、ある程度TWAの有無を予測することができる。
<ステップS9−4>
次に、TWA測定部118はオルタナンスを計算する。ピリオドグラム計算後の図9及び図10に示した波形図の、サイクル/ビート周波数が0.44−0.49の区間をノイズ帯域として定義し、区間の平均値SNBと標準偏差σNBを求める。サイクル/ビート周波数が0.5のときの値をS0.5とし、下記の式4を計算することによって、オルタナ
ンスValtを計算する。
alt=(S0.5−SNB1/2 … 式4
<ステップS9−5>
TWA測定部118はTWAの有無を判定する。ステップS9−4で算出した区間の平均値SNBとオルタナンスValtの値から、下記の式5を計算することによって、オルタナンス比kを計算する。
k=(Valt/σNB … 式5
そして、オルタナンスValtとオルタナンス比kの値からTWAの有無を判定する。TWAの有無の判定条件は、オルタナンスValt>1.9μV、オルタナンス比k>3である。この判定条件を満たしているときには、TWAが出ていると判断する。
以上のようにして、12誘導心電図から得られるフランク誘導ベクトル心電図の波形の形状を解析することによって、形の異なるT波が一拍ごとに交互(ABABAB…)に出現するTWAの有無を測定することができる。
次に、実施形態1のTWA測定装置110は、患者の個人係数が記憶されていない場合には、個人係数の取得を促すメッセージを表示部116に表示させる。このときには、TWA測定装置110の操作者がその患者の個人係数を取得してTWA測定装置110の個人係数データベース113Aに記憶させる。
このときの手順を、図11の動作フローチャートに基づいて詳細に説明する。なお、図11のフローチャートにおいて、ステップS10からS12の動作はTWA測定装置110の操作者が行ない、ステップS13からS15の動作は心電計制御部117が行なう。ステップS13からS15の動作は実施形態1に係るTWA測定方法の手順を示す。
<ステップS10>
まず、操作者は、12誘導心電図とフランク誘導ベクトル心電図を取得するために、患者の特定の部位に測定電極を装着する。
具体的には、例えば、12誘導心電図(I及びII誘導、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導)を生成するために決められている、患者の特定部位に測定電極115を装着し、また、フランク誘導ベクトル心電図F(I誘導、E誘導、C誘導、A誘導、H誘導、M誘導)を生成するために決められている、患者の特定部位に測定電極115を装着する。
<ステップS11>
次に、操作者は、患者情報入力部111から患者情報を入力する。例えば、患者IDとして固有ID「C123」と個別ID「A123」を入力する。続いて、患者名、患者年齢を入力する。
<ステップS12>
そして、操作者は、TWA測定装置110の測定スイッチ(図示せず)をONする。
<ステップS13>
心電計制御部117は患者に装着した測定電極115から測定部位の心電信号を取得する。
<ステップS14>
心電計制御部117は測定電極115の心電信号から12誘導心電図を生成する。また、測定電極115の心電信号からフランク誘導ベクトル心電図を生成する。そして、上記の例では、生成した12誘導心電図(I及びII誘導、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導)と生成したフランク誘導ベクトル心電図(I誘導、E誘導、C誘導、A誘導、H誘導、M誘導)を、下記の式6に代入して、その患者に固有の個人係数を変換係数αとして算出する。
α=(LL)−1F … 式6
ここで、Lは、12誘導心電図Lの転置行列であり、(LL)−1は、(LL)の逆行列である。
<ステップS15>
心電計制御部117は、算出した個人係数を個人係数データベース113Aに記憶させる。個人係数を記憶するときには、患者の固有ID「C123」と患者の個別ID「A123」、患者名、患者年齢を個人係数の付加情報として付加し時系列に記憶する。
以上が実施形態1に係るTWA測定装置及びTWA測定方法の動作である。
[TWA測定システムの構成]
次に、実施形態1に係るTWA測定システムの構成について説明する。実施形態1に係るTWA測定システムのTWA測定装置110、120、130、210、220、230は、上述の実施形態で説明したものである。すなわち、12誘導心電図などのスカラー心電図からフランク誘導ベクトル心電図を導出し、フランク誘導ベクトル心電図からTWAの有無を測定できるものである。
図12は、実施形態1に係るTWA測定システムのブロック図である。
TWA測定システム500は、病院Aが備える心電図管理装置100、病院Bが備える心電図管理装置200、病院Aと病院Bの患者ID(固有IDと個別ID)を管理する患者ID管理部300及び接続回線400を有する。心電図管理装置100、200、患者ID管理部300は接続回線400で相互に接続される。
実施形態1では、心電図管理装置100、200を病院に備える場合を例示するが、心電図管理装置100、200は病院に備える場合に限らず、例えば、健康診断を行う検診センターや診療所、学校、老人用施設など病院以外の施設に備えても良い。
患者ID管理部300は、心電図管理装置100、200の外部に設けたが、例えば病院Aの心電図管理装置100内に備えても良い。接続回線400は、心電図管理装置100、200と患者ID管理部300を接続する専用回線でも良いし、セキュリティー対策を講じた有線又は無線のインターネット回線であっても良い。
病院Aの心電図管理装置100は、TWA測定装置110、120、130、心電図管理システム(EMS)140、表示装置150を備える。TWA測定装置110、120、130、心電図管理システム(EMS)140、表示装置150は、院内回線160で相互に接続される。
病院Bの心電図管理装置200は、TWA測定装置210、220、230、心電図管理システム(EMS)240、表示装置250を備える。TWA測定装置210、220、230、心電図管理システム(EMS)240、表示装置250は、院内回線260で相互に接続される。
院内回線160、260は、TWA測定装置110、120、130、210、220、230、心電図管理システム(EMS)140、240及び表示装置150、250を接続するための専用回線でも良いし、有線又は無線のイントラネット回線又はセキュリティー対策を講じた有線又は無線のインターネット回線であっても良い。
TWA測定装置110、120、130、210、220、230は、上記の通り、患者の個人係数又は集団係数を検索する機能、患者の個人係数を算出し記憶する機能、TWAの有無を測定する機能を有する。したがって、TWA測定装置110、120、130、210、220、230は、これらの機能を発揮するためのプログラムをインストールしている。
心電図管理システム140は、院内回線160によって、TWA測定装置110、120、130と相互に接続される。心電図管理システム140は、TWA測定装置110、120、130との間で、患者情報、生成した心電図データ、個人係数など、TWA測定に関する情報の授受を行ない、その情報を管理する。
心電図管理システム240は、院内回線260によって、TWA測定装置210、220、230と相互に接続される。心電図管理システム240は、TWA測定装置210、220、230との間で、患者情報、生成した心電図データ、個人係数など、TWA測定に関する情報の授受を行ない、その情報を管理する。
心電図管理システム140、240は、TWA測定装置110、120、130、210、220、230が接続回線400を介して要求してきた患者の個人係数を検索し、検索した個人係数を要求したTWA測定装置に向けて出力する機能を備えている。したがって、心電図管理システム140、240は、この機能を発揮するためのプログラムをインストールしている。
表示装置150は、TWA測定装置110、120、130が生成した患者のTWA測定に関する情報を心電図管理システム140から取り込み、操作者が指定する患者の情報を表示する。また、TWA測定装置110、120、130で取得したTWA測定に関する情報を表示する。
表示装置250は、TWA測定装置210、220、230が生成した患者のTWA測定に関する情報を心電図管理システム140から取り込み、操作者が指定する患者の情報を表示する。また、TWA測定装置210、220、230で取得したTWA測定に関する情報を表示する。
患者ID管理部300は、心電図管理システム140、240が互いに特定の患者の個人係数を検索し合うときに、同一の患者に対し異なる病院で付された個別IDをその病院の個別IDに変換する機能を備えている。例えば、同一患者に対してA病院では「A123」という個別IDが付され、B病院では「B456」という個別IDが付されていた場合に、「A123」の個別IDを「B456」に、「B456」の個別IDを「A123」に相互に変換する。
病院間における個別IDの変換には固有IDを用いる。固有IDは、その患者に対して世界に1つだけ与えられるIDである。このIDは世界中のどの病院に行っても共通に使用できるその患者に固有のものであり、同一の患者に対して二重登録はできないようになっている。患者ID管理部300は、固有IDと個別IDの対照表を持っており、その対照表は心電図管理システム140、240からの要求によって常に更新されている。
図13は、実施形態1に係る心電図管理システムのブロック図である。以下では心電図管理システム140の構成について説明するが、心電図管理システム240の構成も心電図管理システム140の構成と同一である。
心電図管理システム140は、患者情報記憶部142、個人係数データベース143、個人係数管理部147、通信部148を備える。
患者情報記憶部142は、TWA測定装置110、120、130の患者情報記憶部(TWA測定装置110では患者情報記憶部112)が記憶する患者情報と同一の患者情報を記憶する。患者情報記憶部142は、院内回線160に接続するTWA測定装置110、120、130の患者情報のすべてを一括して記憶する。
個人係数データベース143は、TWA測定装置110、120、130の個人係数データベース(TWA測定装置110では個人係数データベース113A)に記憶される個人係数と同一の個人係数を記憶する。個人係数データベース143は、院内回線160に接続するTWA測定装置110、120、130の個人係数のすべてを一括して記憶する。
個人係数管理部147は、心電図管理システム140の動作を総括的に制御する。個人係数管理部147は、患者情報記憶部142に患者情報を記憶する機能、患者の個人係数を個人係数データベース143に記憶したり個人係数データベース143から取り出したりする機能を有する。個人係数管理部147の詳細な動作は後述する。
通信部148は、患者情報及び個人係数をTWA測定装置110、120、130から受信し、又、個人係数をTWA測定装置110、120、130に送信する。さらに、通信部148は、患者ID管理部300に患者IDを送信し、変換された患者IDを受信する。患者情報及び個人係数の送受信は院内回線160を介して行ない、患者IDの送受信は接続回線400を介して行なう。
図14は、実施形態1に係る患者ID管理部のブロック図である。
患者ID管理部300は、患者IDデータベース310、患者ID変換部320、通信部330を備える。
患者IDデータベース310は、患者の固有IDと個別IDとを対応付けて記憶する。例えば、固有IDが「C123」、A病院の個別IDが「A123」、B病院の個別IDが「B456」であるときには、「C123」−「A123」、「C123」−「B456」と記憶する。
患者ID変換部320は、患者の固有IDを参照して各病院の個別IDに変換する。
例えば、A病院からB病院に個人係数を捜しに行く場合、固有ID「C123」を頼りに、患者IDデータベース310にアクセスし、A病院の個別ID「A123」をB病院の個別ID「B456」に変換する。
通信部330は、心電図管理システム140、240から送信される患者の固有ID及び個別IDを受信し、患者ID変換部320で変換された個別IDを心電図管理システム140、240に送信する。
実施形態1に係るTWA測定システムの構成は上述の通りである。
[TWA測定システムの動作]
次に、実施形態1に係るTWA測定システムの動作を図15−図23の動作フローチャートに基づいて説明する。なお、TWA測定装置の動作と重複する動作については簡単に説明する。
図15は、TWA測定装置110が患者のTWA測定結果を出力するまでの処理を示すメインフローチャートである。このメインフローチャートは、TWA測定装置110の心電計制御部117によって処理される。
<ステップS21>
心電計制御部117は、患者情報入力部111から入力された患者情報を取得する。患者情報は、患者ID(固有IDと個別ID)、患者名、患者年齢、患者性別である。患者ID、患者名は、患者の個人係数を検索するときに使用される。患者年齢、患者性別は、集団係数を検索するときに使用される
<ステップS22>
心電計制御部117は、患者に装着した複数の測定電極115から測定部位の心電信号を取得する。
<ステップS23>
心電計制御部117は、患者IDと患者名を患者情報記憶部112に記憶されている患者IDと患者名と照合する。
<ステップS24、S25>
患者情報記憶部112に一致する患者IDと患者名があれば照合OKであるので(ステップS24:YES)、個人係数データベース113A、143または心電図管理システム240の個人係数データベースに記憶されている個人係数を検索する。
<ステップS26、S27>
個人係数データベース113A、143または心電図管理システム240の個人係数データベースのいずれかにその患者の個人係数があれば(ステップS26:YES)、心電計制御部117は、個人係数データベース113A、143または心電図管理システム240の個人係数データベースのいずれかからその患者の個人係数を取得する。心電計制御部117は、複数の測定電極115が取得した心電信号を、取得した個人係数を用いて加工し、TWAの有無を測定する。
<ステップS28>
一方、患者情報記憶部112に一致する患者IDと患者名がない場合(ステップS24:NO)、又は、個人係数データベース113A、143または心電図管理システム240の個人係数データベースのいずれにも、その患者の個人係数がない場合(ステップS26:NO)には、心電計制御部117は、集団係数データベース114に記憶されている集団係数を検索する。心電計制御部117は、患者の年齢と性別を見て、集団係数データベース114から患者に最適な集団係数を取得する。
<ステップS29>
心電計制御部117は、複数の測定電極115が検出した心電信号を、取得した集団係数を用いて加工し、TWAの有無を測定する。
<ステップS30>
心電計制御部117は、ステップS27またはステップ29のいずれかのステップで測定したTWAの有無の結果を表示部116に出力する。
図16は、図15のメインフローチャートのステップS23(患者ID/患者名照合)
のサブルーチンフローチャートである。このサブルーチンフローチャートは心電計制御部117によって処理される。
<ステップS23−1>
心電計制御部117は、患者情報入力部111から入力された患者情報のうち、患者IDと患者名を取得する。
<ステップS23−2>
心電計制御部117は、患者情報記憶部112、142に記憶されている患者IDを検索する。
<ステップS23−3、S23−4>
患者情報記憶部112、142のいずれかに患者情報入力部111から入力された患者IDと同一の患者IDがあれば(ステップS23−3:YES)、心電計制御部117は、患者情報記憶部112に記憶されている患者名を検索する。
<ステップS23−5、S23−6>
患者情報記憶部112、142のいずれかに患者情報入力部111から入力された患者名と同一の患者名があれば(ステップS23−5:YES)、照合OKの信号を出力する。
<ステップS23−3、S23−5、S23−7>
患者情報記憶部112、142のいずれかに患者情報入力部111から入力された患者IDと同一の患者IDがない場合(ステップS23−3:NO)、又は、患者情報記憶部112、142のいずれかに患者情報入力部111から入力された患者名と同一の患者名がない場合には(ステップS23−5:NO)、照合NGの信号を出力し、心電計制御部117は、表示部116に、「個人係数を作成するため実測を行い登録してください。」とのメッセージを表示する。
つまり、入力された患者IDと患者名がTWA測定装置110または心電図管理システム140に登録されている患者IDと患者名に一致していれば照合OKとし、入力された患者IDまたは患者名のいずれかが一致しなければ照合NGとする。照合NGの場合には、個人係数データベース113A、143に患者の個人係数は記憶されていないので、個人係数の取得を促すメッセージを出力する。
図17は、図15のメインフローチャートのステップS25(個人係数検索)のサブルーチンフローチャートである。このサブルーチンフローチャートは心電計制御部117によって処理される。
<ステップS25−1>
心電計制御部117は、TWA測定装置110の個人係数データベース113Aから患者IDに合致する個人係数を検索する。
<ステップS25−2、S25−3>
TWA測定装置110に患者の個人係数があれば(ステップS25−2:YES)、心電計制御部117は個人係数データベース113Aからその個人係数を取得する。
<ステップS25−2、S25−4>
一方、TWA測定装置110の個人係数データベース113Aに患者の個人係数がなければ(ステップS25−2:NO)、心電計制御部117は心電図管理システム140の個人係数データベース143から患者IDに合致する個人係数を検索する。つまり、心電図管理システム140に患者の個人係数があるかを検索する。
<ステップS25−5、S25−3>
心電図管理システム140に患者の個人係数があれば(ステップS25−5:YES)、心電計制御部117は個人係数データベース143からその個人係数を取得する。
<ステップS25−5、S25−6>
一方、心電図管理システム140の個人係数データベース143に患者の個人係数がなければ(ステップS25−5:NO)、心電計制御部117は心電図管理システム140、240間で患者IDに合致する個人係数を検索する。実施形態1の場合、心電図管理システム240から患者ID、TWA測定結果タイプに合致する個人係数を検索する。心電図管理システム140、240間の個人係数の検索は、患者ID変換部320が患者の固有IDを用いて変換した個人IDを用いることによって行なう。
<ステップS25−7、S25−3>
心電図管理システム240の個人係数データベースに患者の個人係数があれば(ステップS25−7:YES)、心電計制御部117は心電図管理システム240の個人係数データベースからその個人係数を取得する。
<ステップS25−8>
心電図管理システム240の個人係数データベースにその個人係数がなければ、心電計制御部117は、表示部116に、「個人係数を作成するため実測を行い登録してください。」とのメッセージを表示する。
図18は、図15のメインフローチャートのステップS28(集団係数検索)のサブルーチンフローチャートである。このサブルーチンフローチャートは心電計制御部117によって処理される。
<ステップS28−1>
心電計制御部117はTWA測定装置110の集団係数データベース113Bから患者年齢、患者性別に合致する集団係数を検索する。つまり、TWA測定装置110に患者の集団係数があるかを検索する。
<ステップS28−2>
心電計制御部117はTWA測定装置110の集団係数データベース114からその集団係数を取得する。
図19は、患者の個人係数を算出し、算出した個人係数を個人係数データベースに記憶させるまでの処理を示すメインフローチャートである。このメインフローチャートは心電計制御部117によって処理される。
<ステップS31>
心電計制御部117は、患者情報入力部111から入力された患者情報を取得する。患者情報は、患者ID(固有IDと個別ID)、患者名、患者年齢、患者性別である。これらの患者情報の内、患者ID、患者名は、患者の個人係数を個人係数データベースに記憶させるときに使用する。
<ステップS32>
心電計制御部117は、患者に装着した複数の測定電極115から任意の測定部位の心電信号を取得する。具体的には、例えば、12誘導心電図(I及びII誘導、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導)を生成するために決められている、患者の特定部位に測定電極115を装着し、また、フランク誘導ベクトル心電図(I誘導、E誘導、C誘導、A誘導、H誘導、M誘導)を生成するために決められている、患者の特定部位に測定電極115を装着する。心電計制御部117は、これらの測定電極115から、12誘導心電図用のI及びII誘導、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導及びフランク誘導ベクトル心電図用のI誘導、E誘導、C誘導、A誘導、H誘導、M誘導を実測する。
<ステップS33>
心電計制御部117は、これらの測定電極115によって実測した誘導を、前述の式2に代入して患者の個人係数αを算出する。
<ステップS34>
次に、心電計制御部117は算出した個人係数を、TWA測定システムのデータベースに、患者別、時系列に記憶させる。
<ステップS35>
心電計制御部117は、ステップS31で取得した患者情報を、TWA測定装置110の患者情報記憶部112に記憶させ、同時に、心電図管理システム140の患者情報記憶部142に記憶させる。患者情報記憶部142に患者情報を記憶させる場合には、心電計制御部117が通信部118から院内回線160を介して患者情報を送信し、これを心電図管理システム140の通信部148を介して個人係数管理部147が受信する。次に、個人係数管理部147が受信した患者情報を患者情報記憶部142に記憶させる。
<ステップS36>
そして、心電計制御部117は、ステップS31で取得した患者情報のうちの患者ID(固有IDと個別ID)を患者ID管理部300の患者IDデータベース310に記憶させる。患者IDデータベース310に患者IDを記憶させる場合には、心電計制御部117が通信部148から院内回線160及び接続回線400を介して患者IDを送信し、これを患者ID管理部300の通信部330を介して患者ID変換部320が受信する。次に、患者ID変換部320が受信した患者IDを患者IDデータベース310に記憶させる
図20は、図19のメインフローチャートのステップS33(個人係数を算出)の処理を示すサブルーチンフローチャートである。このフローチャートは心電計制御部117によって処理される。
<ステップS33−1>
心電計制御部117は、患者に装着した測定電極115で実測した、12誘導心電図(I及びII誘導、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導)及びフランク誘導ベクトル心電図(I誘導、E誘導、C誘導、A誘導、H誘導、M誘導)を上記の式2に代入する。
<ステップS33−2>
次に、心電計制御部117は、I及びII誘導、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導の値とI誘導、E誘導、C誘導、A誘導、H誘導、M誘導の値とから変換係数の値を求める。
<ステップS33−3>
最後に、心電計制御部117は、求めた変換係数に患者情報を付加して個人係数を算出する。具体的には、付加する患者情報は、患者ID(固有IDと個別ID)、患者名である。上記の場合、患者の固有ID「C123」と患者の個別ID「A123」、患者名を付加情報として付加し個人係数を算出する。
図21は、図19のメインフローチャートのステップS34(算出した個人係数をデータベースに登録)の処理を示すサブルーチンフローチャートである。このフローチャートは心電計制御部117と個人係数管理部147とによって処理される。
<ステップS41>
まず、心電計制御部117は、算出した個人係数を個人係数データベース113Aに記憶する。
<ステップS42>
次に、個人係数管理部147は、心電計制御部117から送られてきた個人係数を個人係数データベース143に記憶する。これらのステップの詳細な処理は図22及び図23のサブルーチンフローチャートに示す。
図22は、図21のサブルーチンフローチャートのステップS41(TWA測定装置の個人係数データベースに記憶)の処理を示すサブルーチンフローチャートである。このフローチャートは心電計制御部117によって処理される。
<ステップS41−1>
まず、心電計制御部117は、患者情報入力部111から入力された患者情報を取得する。患者情報は、患者ID(固有IDと個別ID)、患者名、患者年齢、患者性別である。
<ステップS41−2>
心電計制御部117は、患者IDを患者情報記憶部112に記憶されている患者IDと照合する。
<ステップS41−3、S41−4>
患者情報記憶部112に一致する患者IDがあれば照合OKであるので(ステップS41−3:YES)、心電計制御部117は、個人係数データベース113Aに患者の個人係数を追加記憶する。つまり、同一の患者が個人係数を既に持っている場合には、新たに算出された個人係数が時系列に追加記憶されることになる。個人係数を時系列に更新することによって、いつも患者の最適な係数を選ぶことができ、高精度なTWA測定結果を生成できる。
<ステップS41−3、S41−5>
一方、患者情報記憶部112に一致する患者IDがなく照合NGとなったときには(ステップS41−3:NO)、患者の個人係数が個人係数データベース113Aにはないので、心電計制御部117は、個人係数データベース113Aに個人係数を新規記憶する。
図23は、図21のサブルーチンフローチャートのステップS42(心電図管理システムの個人係数データベースに記憶)の処理を示すサブルーチンフローチャートである。このフローチャートは個人係数管理部147によって処理される。
<ステップS42−1>
まず、心電図管理システム140の個人係数管理部147は、TWA測定装置110から患者情報を取得する。患者情報は、患者ID(固有IDと個別ID)、患者名、患者年齢、患者性別である。
<ステップS42−2>
個人係数管理部147は、患者IDを患者情報記憶部142に記憶されている患者IDと照合する。
<ステップS42−3、S42−4>
患者情報記憶部142に一致する患者IDがあれば照合OKであるので(ステップS42−3:YES)、個人係数管理部147は、個人係数データベース143に患者の個人係数を追加記憶する。つまり、同一の患者が個人係数を既に持っている場合には、新たに算出された個人係数が時系列に追加記憶されることになる。
<ステップS42−3、S42−5>
一方、患者情報記憶部142に一致する患者IDがなく照合NGとなったときには(ステップS42−3:NO)、患者の個人係数が個人係数データベース143にないので、個人係数管理部147は、個人係数データベース143に個人係数を新規記憶する。
以上のように、実施形態1に係るTWA測定装置及びTWA測定方法によれば、変換係数を用いることによって、12誘導心電図からフランク誘導ベクトル心電図が導出できるので、測定者は、12誘導心電図を取得する場合と同じ位置に測定電極を装着すれば良い。
また、導出したフランク誘導ベクトル心電図からTWAの有無を測定できるので、TWAの有無が、12誘導心電図を取得する場合と同じ要領で測定できる。また、患者のTWAの有無の測定のために、患者固有の個人係数を用いるので、最適なTWA測定結果を取得でき、測定精度を向上させることが可能になる。
なお、実施形態1では、個人係数を、患者別に時系列に記憶させる場合を例示したが、TWA測定装置の記憶容量が少ない場合には、時系列ではなく、最新の個人係数のみを更新記憶させるようにしても良い。
また、実施形態1では、特定の患者の個人係数が存在する場合には、その個人係数が例えば2、3年前であっても使用することができるようにしている。しかし、患者のTWAの有無を高精度で診察できるようにするためには、なるべく近い時期に取得した個人係数を用いてTWA測定結果を生成することが望ましい。
したがって、個人係数の使用可能期限(例えば取得から1年間)を設け、その使用期限が過ぎている場合には、個人係数が存在しないときと同様に、個人係数の取得を促し、図20のフローチャートに示したような処理を行なわせるようにしても良い。
また、実施形態1では、病院間での個人係数の検索、取得のために個別IDの変換を行なっている。この個別IDの変換は固有IDにより行なっている。IDの変換手法には公知となっている様々な手法があるので、実施形態1で例示したIDの変換手法に限らず、公知となっている様々な手法を利用しても良い。例えば、病院間のIDの変換ソフトとしては、OpenPIXPDQというオープンソフトが知られているが、このようなオープンソフトを用いてIDの変換を行なっても良い。
[実施形態2]
次に実施形態2について説明する。実施形態1では、フランク誘導ベクトル心電図を導出し、導出したフランク誘導ベクトル心電図からベクトルマグニチュードを算出し、算出したベクトルマグニチュードからTWAの有無を測定した。しかし、実施形態2では、測定電極の心電信号から直接求めたフランク誘導ベクトル心電図からベクトルマグニチュードを算出し、算出したベクトルマグニチュードからTWAの有無を測定する。実施形態2では、TWAの有無の測定を独自の手法を用いて行っている。このため、従来の測定精度とは格段に異なる測定精度でTWAの有無を測定することができる。
以下に、実施形態2に係るTWA測定装置及びTWA測定方法を説明する。
[TWA測定装置の構成]
まず、実施形態2に係るTWA測定装置の構成を説明する。図24は、実施形態2に係るTWA測定装置のブロック図である。
TWA測定装置510は、患者情報入力部511、患者情報記憶部512、測定電極515、表示部516、心電計制御部517、TWA測定部518を備えている。
患者情報入力部511は、測定者のキー操作により患者情報を入力する。患者情報は、具体的には、患者ID、患者名、患者年齢、患者性別である。
患者情報記憶部512は、患者情報入力部511より入力した患者情報を記憶する。例えば、患者IDとして患者の固有ID「C123」、患者名、患者年齢、患者性別をそれぞれ記憶する。
測定電極515は患者の体表面に装着する電極である。測定電極515は、フランク誘導ベクトル心電図を生成するときに決められている、患者の特定位置に取り付ける。
表示部516は、患者情報入力部511で入力する患者情報やTWA測定部518で測定したTWAの有無の測定結果をディスプレイに表示したり、プリントアウトしたりする。
心電計制御部517は、測定電極515の心電信号からフランク誘導ベクトル心電図を生成し、ベクトルマグニチュードを算出する。心電計制御部517は、フランク誘導ベクトル心電図を生成する他、TWA測定装置510の全ての動作を総括的に制御する。心電計制御部517は、TWA測定装置510の全ての動作を実現するためのプログラムを備えている。心電計制御部517の詳細な動作は後述する。
TWA測定部518は、心電計制御部517が算出したベクトルマグニチュードからTWAの有無を測定する。TWA測定部518は、TWAの有無を測定する際に、心電計制御部517が算出した複数のベクトルマグニチュードの波形の中から、TWAの有無の測定に寄与できる波形を選択し、選択した波形からTWAの有無を測定する。TWAの測定に寄与できる波形を選択することでTWAの測定精度が向上するからである。TWA測定部518の詳細な動作は後述する。
[TWA測定装置の動作]
次に、実施形態2に係るTWA測定装置の動作を図25の動作フローチャートに基づいて説明する。
図25の動作フローチャートにおいて、ステップS101からS103の動作はTWA測定装置の操作者(測定者)が行ない、ステップS104の動作は心電計制御部517が行なう。ステップS101からS105の動作は実施形態2に係るTWA測定方法の手順でもある。なお、ステップS105の動作はTWA測定部518が行なう。
<ステップS101>
フランク誘導ベクトル心電図を算出するために、図24に示したTWA測定装置510の操作者が患者の体表面の所定の部位に測定電極515を装着する。実施形態2のTWA測定装置510は、フランク誘導ベクトル心電図を対象とするので、測定電極515は、フランク誘導ベクトル心電図を取得するために決められている、患者の測定部位に装着する。
<ステップS102>
次に、操作者は、患者情報入力部511から患者情報を入力する。例えば、患者IDとして固有ID「C123」と個別ID「A123」を入力し、続いて、患者名、患者年齢、患者性別を入力する。
<ステップS103>
そして、操作者は、TWA測定装置510の測定スイッチ(図示せず)をONする。測定スイッチがONされることによって、TWAの有無の測定が開始される。
<ステップS104>
心電計制御部517は、ステップS101で患者に装着した測定電極515の心電信号からフランク誘導ベクトル心電図を生成する。
<ステップS105>
心電計制御部517は、ステップS104で生成したフランク誘導ベクトル心電図からベクトルマグニチュードを算出する。TWA測定部518は、ベクトルマグニチュードの波形からTWAの有無を測定する。TWAの有無を測定する具体的な処理は図26の動作フローチャートで説明する。
前述のように、米国特許番号4802491号記載のスペクトル分析による手法では、被検者に負荷をかけている間のHR110以下の連続する128拍分のベクトルマグニチュード波形を必要とする。
このため、ノイズの影響やHR110以下の条件が合致しないと拍のカウントが始まらない。HRによってST−T間の時間が変化することを考慮すると、極力HRを一定に保つことが望ましいが、実際には、HRを一定に保つことは困難である。また、HRを一定に保つことができたとしても128拍中に異常値が含まれてしまうこともある。
上記のスペクトル分析による手法でのこのような不具合を解消するために、実施形態2でも、まず一定区間の拍の中からHR105〜110に合致する128拍以上の波形、例えば150拍の波形を選択する。選択する150拍は、連続することを基本とするが、連続しない場合は、交互性を保つように選択する。例えば、選択する拍と選択する拍とに挟まれる選択されない拍の数を偶数にすることや、選択する拍同士の形の類似度などを使うことにより、交互性を保った選択を行う。
このような手法で150拍のベクトルマグニチュード波形を抽出すると、負荷中にHRを一定に保つ必要性から解放されるため、TWAの有無の測定が容易になる。
次に、上記選択された150拍のベクトルマグニチュード波形の中から、それぞれの波形の相関が一定の閾値以上の128拍の波形を選択する。
さらに、128拍のベクトルマグニチュード波形の中に異常値(外れ値)が含まれていた場合には、その異常値を他の値を用いて補正している。
このような処理をすることによって、異常値(外れ値)の影響を極力小さくすることができ、最終的に得られるTWAの有無の測定精度が向上する。
図26の動作フローチャートは、TWAの有無を測定するための手順を示すフローチャートである。このフローチャートは図25のステップS105のサブルーチンフローチャートである。
<ステップS105−1>
心電計制御部517は、患者に取り付けた測定電極515の心電信号から、図27の上側の図に示すような、フランク誘導ベクトル心電図のV誘導、V誘導、V誘導を算出する。
<ステップS105−2>
次に、心電計制御部517は、算出したV誘導、V誘導、V誘導の各値を2乗し、それぞれの2乗した値を加算し、その加算した値の平方根を計算することによって、図27の下側の図に示すような、ベクトルマグニチュードVMの値を計算する。
<ステップS105−3>
TWA測定部518は、上記のようにして求めたフランク誘導ベクトル心電図のベクトルマグニチュードVMの心電波形を心電計制御部517から取得する。TWA測定部518は、取得したベクトルマグニチュードVMの心電波形から、TWAの有無の測定精度を向上させるために異常値等を除去して、TWAの有無の測定に使用する波形を選択する。
TWA測定部518は、まず、128拍以上の波形、例えば150拍の波形を選択する。
150拍の波形の選択は、心電計制御部517から取得したベクトルマグニチュードVMの中から、図7のように、TWAがでやすそうな拍であるHR105〜110に合致する拍のみを選択する。連続した拍を選択することが望ましいが、連続した150拍の場合、TWAの有無を測定しづらいノイズの多い拍も存在する可能性があるため、測定精度に影響する。このため、TWAがでやすそうな拍を不連続に150拍選択している。
上述のようにして選択した150拍のベクトルマグニチュード波形の中には形状が大きく異なる波形が含まれている可能性もあるため、次いで、上記150拍のベクトルマグニチュード波形の中から、それぞれの波形の相関が一定の閾値以上の128拍の波形を選択する。
具体的には、まず、上記150拍のベクトルマグニチュード波形の最初の指定時間の波形を平均化した平均波形を求める。そして、平均波形とそれぞれの波形との相関が一定の閾値以上の128拍分の波形を決定する。
そして、上記のように選択された128拍の各ベクトルマグニチュード波形のST−Tセグメントを解析セグメントとして選択する。
<ステップS105−4>
128拍の解析セグメントの中に外れ値(異常値)が含まれていた場合には、TWA測定部518は外れ値の補正処理を行う。
TWAの有無の測定に悪影響を与えそうな外れ値を奇数拍と偶数拍ごとに分けて検出し、検出した拍に対して補正をする。
具体的には、奇数拍と偶数拍について心電図波形の中間値を求め、奇数拍と偶数拍について標準偏差を求める。その標準偏差をパラメータとした外れ値判定のための閾値を算出し、閾値との大小関係を判定して外れ値を決定する。外れ値として決定された値を、標準偏差をパラメータとした補正関数に代入して補正値を算出する。なお、閾値の決定や補正関数には種々のものがあるが、公知のどのようなものを用いても良い。
図8の上の波形図に示すように、補正処理を行う前の原信号の波形には、その中央部に大きく落ち込む波形が存在している。しかし、図8の下の波形図に示すように、補正処理を行った後の補正後の信号の波形には、その中央部に大きく落ち込む波形が存在しなくなっている。外れ値の補正処理が功を奏していることがわかる。
<ステップS105−5>
TWA測定部518は、外れ値の補正をした後、図6に示すように、128拍分の解析セグメントをFFT処理し、ピリオドグラムを計算する。
図9及び図10はピリオドグラムの説明に供する図である。図9及び図10の上の波形図は奇数拍と偶数拍それぞれの平均波形を示す。図9及び図10の下の波形図はピリオドグラムを計算した後の波形である。
図9のピリオドグラムを計算した後の波形を見ると、周波数(サイクル/ビート)0.5のときのベクトルマグニチュードの値が小さいが、これはTWAがないことを意味している。一方、図10のピリオドグラムを計算した後の波形を見ると、周波数(サイクル/ビート)0.5のときのベクトルマグニチュードの値が大きくなっている。これは、TWAの値が大きいことを意味し、TWAの存在の可能性が大きいことを意味している。
このように、ピリオドグラムを計算することによって、ベクトルマグニチュードの値の大小から、ある程度TWAの有無を予測することができる。
<ステップS105−6>
次に、TWA測定部518はオルタナンスを計算する。ピリオドグラム計算後の図9及び図10に示した波形図の、サイクル/ビート周波数が0.44−0.49の区間をノイズ帯域として定義し、区間の平均値SNBと標準偏差σNBを求める。サイクル/ビート周波数が0.5のときの値をS0.5とし、下記の式4を計算することによって、オルタナ
ンスValtを計算する。
alt=(S0.5−SNB1/2 … 式4
<ステップS105−7>
TWA測定部518はTWAの有無を判定する。ステップS105−6で算出した区間の平均値SNBとオルタナンスValtの値から、下記の式5を計算することによって、オルタナンス比kを計算する。
k=(Valt/σNB … 式5
そして、オルタナンスValtとオルタナンス比kの値からTWAの有無を判定する。TWAの有無の判定条件は、オルタナンスValt>1.9μV、オルタナンス比k>3である。この判定条件を満たしているときには、TWAが出ていると判断する。
以上のようにして、フランク誘導ベクトル心電図の波形の形状を解析することによって、形の異なるT波が一拍ごとに交互(ABABAB…)に出現するTWAの有無を測定することができる。
以上のように、実施形態2では、現在用いられているフランク誘導ベクトル心電図からTWAの有無を高精度で測定することができる。
なお、フランク誘導ベクトル心電図からTWAの有無を求める従来の手法と、実施形態2でTWAの有無を求める手法による、測定結果を表示部516で比較表示できるようにしても良い。
[実施形態3]
次に実施形態3について説明する。実施形態2では、測定電極の心電信号から直接求めたフランク誘導ベクトル心電図からベクトルマグニチュードを算出し、算出したベクトルマグニチュードからTWAの有無を測定した。しかし、実施形態3では、測定電極の心電信号から導出した、または直接求めたスカラー心電図からTWAの有無を測定する。このため、従来は測定することができなかった、スカラー心電図からTWAの有無を測定することができる。なお、スカラー心電図としては、12誘導心電図、ホルター心電図、イベント心電図、運動負荷心電図、モニター心電図を例示することができ、実施形態3ではいずれの心電図からでもTWAの有無を測定することができる。
以下に、実施形態3に係るTWA測定装置及びTWA測定方法を説明する。
[TWA測定装置の構成]
まず、実施形態3に係るTWA測定装置の構成を説明する。なお、図24は実施形態2に係るTWA測定装置のブロック図であるが、実施形態3に係るTWA測定装置の形式的な構成も実施形態2に係るTWA測定装置のブロック図と同一である。
TWA測定装置510は、患者情報入力部511、患者情報記憶部512、測定電極515、表示部516、心電計制御部517、TWA測定部518を備えている。
患者情報入力部511は、測定者のキー操作により患者情報を入力する。患者情報は、具体的には、患者ID、患者名、患者年齢、患者性別である。
患者情報記憶部512は、患者情報入力部511より入力した患者情報を記憶する。例えば、患者IDとして患者の固有ID「C123」、患者名、患者年齢、患者性別をそれぞれ記憶する。
測定電極515は患者の体表面に装着する電極である。測定電極515は、スカラー心電図を生成するときに決められている、患者の特定位置に取り付ける。
表示部516は、患者情報入力部511で入力する患者情報やTWA測定部518で測定したTWAの有無の測定結果をディスプレイに表示したり、プリントアウトしたりする。
心電計制御部517は、測定電極515の心電信号からスカラー心電図を生成する。心電計制御部517は、スカラー心電図を生成する他、TWA測定装置510の全ての動作を総括的に制御する。心電計制御部517は、TWA測定装置510の全ての動作を実現するためのプログラムを備えている。心電計制御部517の詳細な動作は後述する。
TWA測定部518は、心電計制御部517が生成したスカラー心電図からTWAの有無を測定する。TWA測定部518は、TWAの有無を測定する際に、心電計制御部517が生成した複数のスカラー心電図の波形の中から、TWAの有無の測定に寄与できる波形を選択し、選択した波形からTWAの有無を測定する。TWAの測定に寄与できる波形を選択することでTWAの測定精度が向上するからである。TWA測定部518の詳細な動作は後述する。
[TWA測定装置の動作]
次に、実施形態3に係るTWA測定装置の動作を図28の動作フローチャートに基づいて説明する。
図28の動作フローチャートにおいて、ステップS201からS203の動作はTWA測定装置の操作者(測定者)が行ない、ステップS204の動作は心電計制御部517が行なう。ステップS201からS205の動作は実施形態3に係るTWA測定方法の手順でもある。なお、ステップS205の動作はTWA測定部518が行なう。
<ステップS201>
スカラー誘導心電図を算出するために、図24に示したTWA測定装置510の操作者が患者の体表面の所定の部位に測定電極515を装着する。たとえば、スカラー心電図として12誘導心電図を採用する場合には、12誘導心電図を測定するために決められている、患者の測定部位に装着する。ホルター心電図、イベント心電図、運動負荷心電図、モニター心電図を採用する場合には、それぞれの心電図を測定するために決められている、患者の測定部位に装着する。
<ステップS202>
次に、操作者は、患者情報入力部511から患者情報を入力する。例えば、患者IDとして固有ID「C123」と個別ID「A123」を入力し、続いて、患者名、患者年齢、患者性別を入力する。
<ステップS203>
そして、操作者は、TWA測定装置510の測定スイッチ(図示せず)をONする。測定スイッチがONされることによって、TWAの有無の測定が開始される。
<ステップS204>
心電計制御部517は、ステップS201で患者に装着した測定電極515の心電信号からスカラー心電図を生成する。
<ステップS205>
TWA測定部518は、ステップS204で生成したスカラー心電図の波形からTWAの有無を測定する。TWAの有無を測定する具体的な処理は図29の動作フローチャートで説明する。
前述のように、米国特許番号4802491号記載のスペクトル分析による手法では、被検者に負荷をかけている間のHR110以下の連続する128拍分のベクトルマグニチュード波形を必要とする。
このため、ノイズの影響やHR110以下の条件が合致しないと拍のカウントが始まらない。HRによってST−T間の時間が変化することを考慮すると、極力HRを一定に保つことが望ましいが、実際には、HRを一定に保つことは困難である。また、HRを一定に保つことができたとしても128拍中に異常値が含まれてしまうこともある。
上記のスペクトル分析による手法でのこのような不具合を解消するために、実施形態3でも、まず一定区間の拍の中からHR105〜110に合致する128拍以上の波形、例えば150拍の波形を選択する。選択する150拍は、連続することを基本とするが、連続しない場合は、交互性を保つように選択する。例えば、選択する拍と選択する拍とに挟まれる選択されない拍の数を偶数にすることや、選択する拍同士の形の類似度などを使うことにより、交互性を保った選択を行う。
このような手法で150拍のスカラー心電図の波形を抽出すると、負荷中にHRを一定に保つ必要性から解放されるため、TWAの有無の測定が容易になる。
次に、上記選択された150拍のスカラー心電図の波形の中から、それぞれの波形の相関が一定の閾値以上の128拍の波形を選択する。
さらに、128拍のスカラー心電図の波形の中に異常値(外れ値)が含まれていた場合には、その異常値を他の値を用いて補正している。
このような処理をすることによって、異常値(外れ値)の影響を極力小さくすることができ、最終的に得られるTWAの有無の測定精度が向上する。
図29の動作フローチャートは、TWAの有無を測定するための手順を示すフローチャートである。このフローチャートは図28のステップS205のサブルーチンフローチャートである。
<ステップS205−1>
心電計制御部517は、患者に取り付けた測定電極515の心電信号から、一般的に各測定電極515から得られるスカラー心電図を生成する。TWA測定部518は、上記のようにして生成したスカラー心電図の波形を心電計制御部517から取得する。TWA測定部518は、取得したスカラー心電図の波形から、TWAの有無の測定精度を向上させるために異常値等を除去して、TWAの有無の測定に使用する波形を選択する。
TWA測定部518は、まず、128拍以上の波形、例えば150拍の波形を選択する。150拍の波形の選択は、心電計制御部517から取得したスカラー心電図の波形の中から、図7のように、TWAがでやすそうな拍であるHR105〜110に合致する拍のみを選択する。連続した拍を選択することが望ましいが、連続した150拍の場合、TWAの有無を測定しづらいノイズの多い拍も存在する可能性があるため、測定精度に影響する。このため、TWAがでやすそうな拍を不連続に150拍選択している。
上述のようにして選択した150拍のスカラー心電図の波形の中には形状が大きく異なる波形が含まれている可能性もあるため、次いで、上記150拍の波形の中から、それぞれの波形の相関が一定の閾値以上の128拍の波形を選択する。
具体的には、まず、上記150拍の波形の最初の指定時間の波形を平均化した平均波形を求める。そして、平均波形とそれぞれの波形との相関が一定の閾値以上の128拍分の波形を決定する。
そして、上記のように選択された128拍の各スカラー心電図波形のST−Tセグメントを解析セグメントとして選択する。
<ステップS205−2>
128拍の解析セグメントの中に外れ値(異常値)が含まれていた場合には、TWA測定部518は外れ値の補正処理を行う。
TWAの有無の測定に悪影響を与えそうな外れ値を奇数拍と偶数拍ごとに分けて検出し、検出した拍に対して補正をする。
具体的には、奇数拍と偶数拍について心電図波形の中間値を求め、奇数拍と偶数拍について標準偏差を求める。その標準偏差をパラメータとした外れ値判定のための閾値を算出し、閾値との大小関係を判定して外れ値を決定する。外れ値として決定された値を、標準偏差をパラメータとした補正関数に代入して補正値を算出する。なお、閾値の決定や補正関数には種々のものがあるが、公知のどのようなものを用いても良い。
図8の上の波形図に示すように、補正処理を行う前の原信号の波形には、その中央部に大きく落ち込む波形が存在している。しかし、図8の下の波形図に示すように、補正処理を行った後の補正後の信号の波形には、その中央部に大きく落ち込む波形が存在しなくなっている。外れ値の補正処理が功を奏していることがわかる。
<ステップS205−3>
TWA測定部518は、外れ値の補正をした後、図6に示すように、128拍分の解析セグメントをFFT処理し、ピリオドグラムを計算する。
図9及び図10はピリオドグラムの説明に供する図である。図9及び図10の上の波形図は奇数拍と偶数拍それぞれの平均波形を示す。図9及び図10の下の波形図はピリオドグラムを計算した後の波形である。
図9のピリオドグラムを計算した後の波形を見ると、周波数(サイクル/ビート)0.5のときのベクトルマグニチュードの値が小さいが、これはTWAがないことを意味している。一方、図10のピリオドグラムを計算した後の波形を見ると、周波数(サイクル/ビート)0.5のときのベクトルマグニチュードの値が大きくなっている。これは、TWAの値が大きいことを意味し、TWAの存在の可能性が大きいことを意味している。
このように、ピリオドグラムを計算することによって、ベクトルマグニチュードの値の大小から、ある程度TWAの有無を予測することができる。
<ステップS205−4>
次に、TWA測定部518はオルタナンスを計算する。ピリオドグラム計算後の図9及び図10に示した波形図の、サイクル/ビート周波数が0.44−0.49の区間をノイズ帯域として定義し、区間の平均値SNBと標準偏差σNBを求める。サイクル/ビート周波数が0.5のときの値をS0.5とし、下記の式4を計算することによって、オルタナ
ンスValtを計算する。
alt=(S0.5−SNB1/2 … 式4
<ステップS205−5>
TWA測定部518はTWAの有無を判定する。ステップS205−4で算出した区間の平均値SNBとオルタナンスValtの値から、下記の式5を計算することによって、オルタナンス比kを計算する。
k=(Valt/σNB … 式5
そして、オルタナンスValtとオルタナンス比kの値からTWAの有無を判定する。TWAの有無の判定条件は、オルタナンスValt>1.9μV、オルタナンス比k>3である。この判定条件を満たしているときには、TWAが出ていると判断する。
以上のようにして、スカラー心電図の波形の形状を解析することによって、形の異なるT波が一拍ごとに交互(ABABAB…)に出現するTWAの有無を測定することができる。
以上のように、実施形態3では、現在用いられているスカラー心電図からTWAの有無を高精度で測定することができる。
このように、本発明では、従来から用いられているフランク誘導ベクトル心電図、スカラー心電図のいずれから生成された心電図を用いて、TWAの測定を高精度で行うことが可能となる。
100、200 心電図管理装置、
110、120、130、210、220、230、510 TWA測定装置
111、511 患者情報入力部、
112、512 患者情報記憶部、
113A 個人係数データベース、
113B 集団係数データベース、
114 変換係数記憶部、
115、515 測定電極、
116、516 表示部、
117、517 心電計制御部、
118、518 TWA測定部、
119 通信部、
140、240 心電図管理システム、
142 患者情報記憶部、
143 個人係数データベース、
147 個人係数管理部、
148 通信部、
150、250 表示装置、
160、260 院内回線、
300 患者ID管理部、
310 患者IDデータベース、
320 患者ID変換部、
330 通信部、
400 接続回線、
500 TWA測定システム。

Claims (18)

  1. 被検者の心電信号から心電図を生成する心電計制御部と、
    生成した心電図からTWAの測定に寄与できる波形を選択し選択した波形を用いてTWAの有無を測定するTWA測定部と、
    を有することを特徴とするTWA測定装置
  2. 生成した心電図が前記心電信号から直接生成されるフランク誘導ベクトル心電図の場合には、
    前記心電計制御部は、前記心電信号から前記フランク誘導ベクトル心電図を生成し、
    前記TWA測定部は、前記フランク誘導ベクトル心電図から算出したベクトルマグニチュードの波形の中からTWAの測定に寄与できる波形を選択し選択した波形を用いてTWAの有無を測定することを特徴とする請求項1に記載のTWA測定装置
  3. 生成した心電図が前記心電信号から導出されるフランク誘導ベクトル心電図の場合には、
    前記フランク誘導ベクトル心電図を導出するための変換係数を記憶する変換係数記憶部をさらに有し、
    前記心電計制御部は、前記変換係数を用いて前記心電信号から前記フランク誘導ベクトル心電図を導出し、
    前記TWA測定部は、前記フランク誘導ベクトル心電図から算出したベクトルマグニチュードの波形の中からTWAの測定に寄与できる波形を選択し選択した波形を用いてTWAの有無を測定することを特徴とする請求項1に記載のTWA測定装置
  4. 生成する心電図が前記心電信号から生成されるスカラー心電図の場合には、
    前記心電計制御部は、前記心電信号から前記スカラー心電図を生成し、
    前記TWA測定部は、前記スカラー心電図の波形の中からTWAの測定に寄与できる波形を選択し選択した波形を用いてTWAの有無を測定することを特徴とする請求項1に記載のTWA測定装置
  5. 前記TWA測定部は、前記TWAの測定に寄与できる波形を、複数の心拍の中から選択することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のTWA測定装置
  6. 前記TWA測定部は、選択した前記TWAの測定に寄与できる波形に異常値が含まれている場合には、その異常値を補正することを特徴とする請求項5に記載のTWA測定装置
  7. 前記変換係数記憶部は、
    前記被検者から取得した被検者固有の個人係数を変換係数として記憶する個人係数データベースと、
    前記被検者の前記フランク誘導ベクトル心電図を導出するため統計的に有効な母集団の不特定多数の人から取得した複数の変換係数の平均値である集団係数を変換係数として記憶する集団係数データベースと、
    を有することを特徴とする請求項3に記載のTWA測定装置
  8. 前記心電計制御部は、
    前記個人係数データベースに前記被検者から取得した個人係数があれば当該個人係数を変換係数として用いて前記フランク誘導ベクトル心電図を導出する一方、前記個人係数データベースに前記個人係数がなければ前記集団係数データベースにある集団係数を変換係数として用いて前記フランク誘導ベクトル心電図を導出することを特徴とする請求項7に記載のTWA測定装置
  9. 前記心電計制御部は、前記個人係数データベースに前記被検者の個人係数がなければ、前記個人係数の取得を促すメッセージを表示部に表示させることを特徴とする請求項7または8に記載のTWA測定装置
  10. 前記心電計制御部は、前記心電信号から前記被検者の個人係数を算出し、算出した個人係数を前記個人係数データベースに記憶させることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のTWA測定装置
  11. 前記スカラー心電図は、12誘導心電図、ホルター心電図、イベント心電図、運動負荷心電図、モニター心電図のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載のTWA測定装置
  12. 被検者の心電信号から心電図を生成する段階と、
    生成した心電図からTWAの測定に寄与できる波形を選択し選択した波形を用いてTWAの有無を測定する段階と、
    を含むことを特徴とするTWA測定方法。
  13. 生成する心電図が前記心電信号から直接生成されるフランク誘導心電図の場合には、
    前記心電図を生成する段階では、前記心電信号から前記フランク誘導心電図を生成し、
    前記TWAの有無を測定する段階では、前記フランク誘導ベクトル心電図から算出したベクトルマグニチュードの波形の中からTWAの測定に寄与できる波形を選択し選択した波形を用いてTWAの有無を測定することを特徴とする請求項12に記載のTWA測定方法。
  14. 生成する心電図が前記心電信号から導出されるフランク誘導ベクトル心電図の場合には、
    前記心電図を生成する段階では、前記フランク誘導ベクトル心電図を導出するための変換係数用いて前記心電信号から前記フランク誘導ベクトル心電図を導出し、
    前記TWAの有無を測定する段階では、前記フランク誘導ベクトル心電図から算出したベクトルマグニチュードの波形の中からTWAの測定に寄与できる波形を選択し選択した波形を用いてTWAの有無を測定することを特徴とする請求項12に記載のTWA測定方法。
  15. 生成する心電図が前記心電信号から生成されるスカラー心電図の場合には、
    前記心電図を生成する段階では、前記心電信号から前記スカラー心電図を生成し、
    前記TWAの有無を測定する段階では、前記スカラー心電図の波形の中からTWAの測定に寄与できる波形を選択し選択した波形を用いてTWAの有無を測定することを特徴とする請求項12に記載のTWA測定方法。
  16. 前記TWAの有無を測定する段階では、前記TWAの測定に寄与できる波形を、複数の心拍の中から選択することを特徴とする請求項12から15のいずれかに記載のTWA測定方法。
  17. 前記TWAの有無を測定する段階では、選択した前記TWAの測定に寄与できる波形に異常値が含まれている場合には、その異常値を補正することを特徴とする請求項16に記載のTWA測定方法。
  18. 前記スカラー心電図は、12誘導心電図、ホルター心電図、イベント心電図、運動負荷心電図、モニター心電図のいずれかであることを特徴とする請求項15に記載のTWA測定方法。
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