JP2013182399A - 負荷分散プログラムおよび負荷分散装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】分散システムにおける負荷分散性の向上とデータ信頼性の向上との両立を実現する。
【解決手段】分散システムにおいて、ノード1それぞれに対して1または複数の識別子を割り当てることで、ノード1それぞれがどのメッセージの呼処理を担当するかを決定する負荷分散装置であって、ノード1の演算性能と、ノード1の記憶容量とを、ノード1ごとに記憶しており、ノード1それぞれの演算性能を用いて、メッセージの呼処理のために必要となる原本データを処理するノード1それぞれに割り当てる原本データ処理用識別子の個数と、原本データ処理用識別子の値とを設定するとともに、ノード1それぞれの記憶容量を用いて、原本データを複製した複製データを保管するノード1それぞれに割り当てる複製データ保管用識別子の個数と、複製データ保管用識別子の値とを設定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、分散処理を行う分散システムにおける負荷分散の技術に関する。
分散システムは、複数の物理的なノード(サーバ)を含み、所定のセッション制御を実現する。必要であればこれらのノードを仮想化してもよい。セッション接続要求、データ取得要求、データ保管要求などの要求を含むメッセージが、ラウンドロビンなどを行うロードバランサを介して、端末(クライアント)から各ノードに振り分けられると、各ノードは、所定の方法に従ってメッセージを他のノードにさらに振り分けることができる。つまり、分散システムの各ノードは、負荷を分担する。各ノードは、振り分けられたメッセージを呼処理し、端末に対して所定のサービスを提供する。
前記所定の方法としては、例えば、コンシステント・ハッシュ法がある。なお、非特許文献1は、コンシステント・ハッシュ法について開示している。コンシステント・ハッシュ法は、ノードを識別するノード識別子と、呼処理で書き換えを要求されるデータを識別するデータ識別子とに基づいて、どのノードにどのメッセージを振り分けるかを決定する方法である。データ識別子は、クライアントから送信されるメッセージに含まれている。各ノードは、データ識別子で識別されるデータを保管(記憶)しており、振り分けられたメッセージに含まれる要求に応じて保管しているデータを適宜書き換える。
具体的に、どのようにしてメッセージが振り分けられるかを、図6を参照して説明する。図6は、コンシステント・ハッシュ法を説明するためのID(Identifier)空間の概念図である。ノード識別子は、例えば、ノードのIP(Internet Protocol)アドレス、ノード名などに、ハッシュ関数を作用させて得られた値である。図6において、ノード識別子は、「●」で示されている。
ID空間は、図6に示すようにリング状で描写されるハッシュ空間である。ノード識別子は、例えば、その値に基づいてID空間において時計回りに昇順に配置される。メッセージがあるノードに振り分けられるとき、データ識別子は、その値に基づいてハッシュ空間に写像して配置される。データ識別子も、その値に基づいてID空間において時計回りに昇順に配置される。図6において、データ識別子は、「○」で示されている。
このとき、ノードは、自身のノード識別子の直近のノード識別子の配置場所から自身のノード識別子の配置場所まで時計回りに辿る円弧上に配置されるデータ識別子を含むメッセージを呼処理する。ここで、「直近のノード識別子」とは、ID空間において、対象のノード識別子の値よりも小さな値を持つノード識別子のうち最も大きな値を持つノード識別子を意味する。しかし、対象のノード識別子がID空間において最も小さな値を持つ場合には、直近のノード識別子は、ID空間において最も大きな値を持つこととする。すると、直近のノード識別子の配置場所から対象のノード識別子の配置場所まで時計回りに辿る円弧が、対象のノード識別子で識別されるノードがメッセージの呼処理を担当する範囲である。図6において、ID空間に配置される対象のデータ識別子で識別されるデータと、そのデータ識別子を含むメッセージの呼処理を担当するノードとの関係を示す担当関係は、矢印で示されている。
図6によれば、ノード識別子A、B、Cの値にAの値<Bの値<Cの値という関係があるとすると、時計回りにA→B→Cの順番にノード識別子が配置される。また、データ識別子Xの値について、Aの値<Xの値<Bの値という関係があるとすると、データ識別子Xは、ノード識別子Aおよびノード識別子Bの間に配置される。よって、データ識別子Xを含むメッセージについては、ノード識別子Bで識別されるノードが呼処理を担当する。つまり、図6において、ノード識別子Aからノード識別子Bまでに辿る円弧が、ノード識別子Bで識別されるノードがメッセージを担当する範囲となる。
コンシステント・ハッシュ法によれば、ノード識別子の値およびデータ識別子の値は、例えば、ハッシュ関数を作用させることで無作為な値となる。よって、各ノードが担当するメッセージの処理量は確率的に均一に近づき、確率的に均一な負荷分散が実現される。
前記コンシステント・ハッシュ法には、1つの実際のノードに複数の仮想的なノード識別子を割り当て、1つのノードを複数の仮想的なノードの集合として実現する手段がある。この手段により、ある実際のノードが担当するメッセージの処理量は、複数の仮想的なノードが各々担当するメッセージの処理量の合計値となる。大数の法則により、仮想的なノードの数が多いほど、実際のノードのそれぞれに対するこの合計値の分布は平均値に近づく。よって、複数の仮想的なノード識別子を用いることにより、負荷分散が確率的に決まる影響を抑え、さらに負荷分散を均一に近づけることができる。つまり、負荷分散性を向上することができる。
しかし、一般的に、分散システムを構成するノードの性能は、各ノード間で異なっている。よって、負荷分散を確率的に決める手法を用いると、性能の高いノードが僅かな負荷しか分担せず、遊休資源が発生したり、性能の低いノードが、処理しきれない程の膨大な負荷を分担したりする場合が生じる。このような場合、分散システム全体の負荷分散性の低下を招く。このような事態を解消するために、各ノード間の性能の違いを考慮して各ノードが分担する負荷の量を変化させることが望まれている。
例えば、非特許文献2には、前記した仮想的なノード識別子の数量を、実際のノードの性能に応じて変更し、性能が大きい程、多くの仮想的なノード識別子を実際のノードに割り当てる技術が開示されている。この技術によれば、各ノード間の性能の違いを考慮した負荷分散性をある程度は実現することができる。
一方、コンシステント・ハッシュ法では、ノードが保管するデータ(原本データ)の複製(複製データ)を1または複数作成し、作成した複製データを、別のノードが保管する手法がある。この手法により、分散システムの障害やノードの削除などに起因するデータの損失を回避することができる。前記手法の代表的なものとしては、原本データを保管するノードに対し、ID空間において時計回りに隣接するノードが複製データを保管する手法がある。また、原本データのデータ識別子に再度ハッシュ関数を作用させ、その作用させた値をデータ識別子とみなした場合にどのノードが担当するかを、図6を用いて上述した法則に従って決定し、そのノードに複製データを保管させる方法がある。分散システムを構築する際には、前記負荷分散性の向上とともに、データを複製することで得られるデータ信頼性の向上も実現することが望まれている。
David Karger、外5名、"Consistent Hashing and Random Trees:Distributed Caching Protocols for Relieving Hot Spots on the World Wide Web"、[online]、[平成24年2月21日検索]、インターネット〈URL:http://www.akamai.com/dl/technical_publications/ConsistenHashingandRandomTreesDistributedCachingprotocolsforrelievingHotSpotsontheworldwideweb.pdf〉 D. Dabek, M. Kaashoek, D. Karger, R. Morris, and I. Stoica, "Wide-area cooperative storage with CFS"、[online]、[平成24年2月21日検索]、インターネット〈URL:http://pdos.csail.mit.edu/papers/cfs:sosp01/cfs_sosp.pdf〉
しかし、非特許文献2の技術では、ノードの性能に関する取り扱いが単純すぎるため、分散システムにおける負荷分散性の向上とデータ信頼性の向上との両立を実現することは困難である。
このような事情に鑑みて、本発明は、分散システムにおける負荷分散性の向上とデータ信頼性の向上との両立を実現することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、自身のサーバ以外の他のサーバと協調動作することでコンシステント・ハッシュ法により振り分けられたメッセージを呼処理する複数の前記サーバが通信可能に接続されている分散システムにおいて、前記サーバそれぞれに対して1または複数の識別子を割り当てることで、前記サーバそれぞれがどのメッセージの呼処理を担当するかを決定する負荷分散装置として機能させる負荷分散プログラムであって、前記負荷分散装置の記憶部が、前記サーバの演算性能と、前記サーバの記憶容量とを、前記サーバごとに記憶しており、前記負荷分散装置の制御部に、前記サーバそれぞれの演算性能を用いて、前記メッセージの呼処理のために必要となる原本データを処理するサーバそれぞれに割り当てる前記識別子となる原本データ処理用識別子の個数と、前記原本データ処理用識別子の値とを設定する処理と、前記サーバそれぞれの記憶容量を用いて、前記原本データを複製した複製データを保管するサーバそれぞれに割り当てる前記識別子となる複製データ保管用識別子の個数と、前記複製データ保管用識別子の値とを設定する処理と、を実行させることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記負荷分散装置の制御部に、前記サーバの演算性能が大きいほど、前記サーバに割り当てる前記原本データ処理用識別子の個数を多くする処理と、前記サーバの記憶容量が大きいほど、前記サーバに割り当てる前記複製データ管理用識別子の個数を多くする処理と、を実行させることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記負荷分散装置の制御部に、前記分散システムに追加したサーバを検出する処理と、前記追加したサーバの演算性能と、記憶容量とを特定し、前記記憶部に記憶する処理と、前記追加したサーバの演算性能を用いて、前記追加したサーバに割り当てる前記原本データ処理用識別子の個数と、前記原本データ処理用識別子の値とを設定する処理と、前記追加したサーバの記憶容量を用いて、前記追加したサーバに割り当てる前記複製データ保管用識別子の個数と、前記複製データ保管用識別子の値とを設定する処理と、を実行させることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、自身のサーバ以外の他のサーバと協調動作することでコンシステント・ハッシュ法により振り分けられたメッセージを呼処理する複数の前記サーバが通信可能に接続されている分散システムにおいて、前記サーバそれぞれに対して1または複数の識別子を割り当てることで、前記サーバそれぞれがどのメッセージの呼処理を担当するかを決定する負荷分散装置であって、前記負荷分散装置の記憶部が、前記サーバの演算性能と、前記サーバの記憶容量とを、前記サーバごとに記憶しており、前記負荷分散装置の制御部が、前記サーバそれぞれの演算性能を用いて、前記メッセージの呼処理のために必要となる原本データを処理するサーバそれぞれに割り当てる前記識別子となる原本データ処理用識別子の個数と、前記原本データ処理用識別子の値とを設定する制御と、前記サーバそれぞれの記憶容量を用いて、前記原本データを複製した複製データを保管するサーバそれぞれに割り当てる前記識別子となる複製データ保管用識別子の個数と、前記複製データ保管用識別子の値とを設定する制御と、を実行することを特徴とする。
請求項1、4に記載の発明によれば、サーバに割り当てる識別子として、サーバの演算性能に応じて個数と値を設定した原本データ処理用識別子と、サーバの記憶容量に応じて個数と値を設定した複製データ保管用識別子と、を別々に設けたので、分散システムにおける負荷分散性の向上とデータ信頼性の向上との両立を実現することができる。
請求項2に記載の発明によれば、サーバの演算性能に見合う原本データ処理用識別子と、サーバの記憶容量に見合う複製データ保管用識別子と、を設定できるので、サーバ資源の利用効率を最大限に高めることができる。
請求項3に記載の発明によれば、追加したサーバに相応しい識別子を割り当てることができる。
本発明によれば、分散システムにおける負荷分散性の向上とデータ信頼性の向上との両立を実現することができる。
分散システムの構成図である。 ノードで使用されるソフトウェアの構成図である。 (a)が性能情報管理テーブルのデータ構造を示す図であり、(b)が処理用識別子管理テーブルのデータ構造を示す図であり、(c)が複製用識別子管理テーブルのデータ構造を示す図である。 ノードを追加したときに、分散システムを構成する各ノードが実行する処理を示すフローチャートである。 (a)が処理データ用ID空間の概念図であり、(b)が複製データ用ID空間の概念図である。 コンシステント・ハッシュ法を説明するためのID空間の概念図である。
≪構成≫
まず、本実施形態の構成について説明する。
図1は、分散システムの構成図である。この分散システムは、ノード1(サーバ)と、ロードバランサ3とを含む。クライアント2は、この分散システムと通信可能に接続している。この分散システムは、複数のノード1が協調動作してセッション制御を行い、クライアント2に所定のサービスを提供する。ノード1は、前記した協調動作を実現するための負荷分散プログラム1aを備えている。前記セッション制御は、例えば、呼制御であり、SIP(Session Initiation Protocol)を使用して、インターネット電話などのサービスが提供される。
ノード1は、例えばコンシステント・ハッシュ法によって、ロードバランサ3を介してクライアント2から受信したメッセージを、そのメッセージの呼処理を担当している他のノード1に振り分けることができる。前記メッセージは、例えばSIP信号であり、セッション接続要求、データ取得要求、データ保管要求などといったクライアント2からの要求を含む。結果的に、各ノード1は、自身が担当するメッセージを呼処理して、クライアント2にサービスを提供する。ノード1は、計算機やコンピュータなどの物理的な装置であってもよいし、仮想マシンなどの論理的な装置であってもよい。分散システムは、複数のノード1などのコンピュータ資源を仮想化して動作するクラスタシステムとすることができる。コンピュータ資源の仮想化には、例えば、VMware(登録商標)を用いることができる。
クライアント2は、メッセージをロードバランサ3に送信し、ノード1が提供するサービスを利用する。
ロードバランサ3は、例えばラウンドロビンによって、クライアント2から受信したメッセージをノード1のそれぞれに無作為に振り分ける。ロードバランサ3が、呼処理の担当外となるメッセージをノード1に振り分けた場合、そのメッセージの呼処理を担当しているノード1は、前記担当外のノードに要求して、そのメッセージを取得することができる。
ノード1と、クライアント2と、ロードバランサ3とはいずれも、入力部、出力部、制御部および記憶部といったハードウェアを含むコンピュータである。入力部は、例えば、入力インタフェースから構成される。出力部は、例えば、出力インタフェースから構成される。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や専用回路から構成される。記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリの記憶媒体から構成される。前記制御部がCPUから構成される場合、その制御部を含むコンピュータによる情報処理は、CPUによるプログラム実行処理で実現する。また、そのコンピュータが含む記憶部は、CPUが指令し、そのコンピュータの機能を実現するためのプログラム(負荷分散プログラム1aを含む)を記憶する。これによりソフトウェアとハードウェアの協働が実現される。
本実施形態は、前記情報処理を実行させるプログラムによって実現することができ、そのプログラムをコンピュータによる読み取り可能な記録媒体(例:CD−ROM)に記憶して提供することができる。また、そのプログラムを、インターネットのネットワークを通して提供することもできる。
本実施形態の分散システムで使用されるソフトウェア(負荷分散プログラム1a)について説明する。
図2は、ノード1で使用されるソフトウェアの構成図である。ノード1は、ノード検出部11と、性能情報特定部12と、識別子割当設定部13と、性能情報管理テーブルT1と、処理用識別子管理テーブルT2と、複製用識別子管理テーブルT3といった構成要素を備える。なお、ノード1が備える構成要素は他にも存在するが、その説明は省略する。
ノード検出部11は、分散システムに追加された、つまり増設されたノード1を検出する。また、ノード検出部11は、分散システムからノード1が削除された、つまり減設されたことを検出することができる。例えば、分散システムを構成する各ノード1は、他のノード1に対して生存信号を定期的に送信している。もし、あるノード1からの生存信号の受信が所定期間以上なかったときには、そのノード1は分散システムから削除されたとみなす。
なお、前記したとおり、コンシステント・ハッシュ法では、分散システムを構成するノード1には、1または複数の仮想的なノード識別子を割り当てることで、1つの実際のノード1を1または複数の仮想的なノードの集合として実現することができる。そのような仮想的なノード識別子は、ID空間(図6参照)に配置することができる。本実施形態では、1つの実際のノード1に割り当てる1または複数の仮想的なノード識別子を「仮想識別子」と呼ぶ。仮想識別子を用いることで、複数の仮想的なノードのそれぞれを識別することができる。仮想識別子の値は、例えば、ノード1のIPアドレスや名称などを用いた文字数値列に、ハッシュ関数を作用させたハッシュ値である。分散システムを構成する既存のノード1および分散システムに追加されたノード1に対して、1または複数の仮想識別子が割り当てられる。なお、本実施形態では、特に断らない限り、単にノード識別子と述べるときは、仮想識別子(特許請求の範囲の「識別子」に相当)を意味することとする。
性能情報特定部12は、ノード1の性能情報を特定する。「性能情報」とは、ノード1の性能を特定する情報であるが、主に、演算性能と、記憶容量と、の2つのパラメータを含む情報である。ただし、性能情報が含むパラメータはこの2つに限定されない。
「演算性能」とは、ノード1が処理することができる単位時間あたりの情報量の大きさを示すパラメータである。演算性能の具体例としては、ノードのCPU周波数があげられる。演算性能の値が大きいほど、ノード1が処理することができる単位時間あたりの情報量が大きい。演算性能の値が大きいノード1は、担当するメッセージを呼処理するために保管しているデータ、つまり原本データを書き換えたり、クライアント2からの要求に応答したりするなどの処理に長けている。なお、原本データの処理には、原本データを複製し、複製データを生成することも含まれる。
「記憶容量」とは、ノード1が記憶することができる情報量の大きさを示すパラメータである。記憶容量の具体例としては、ノード1の記憶部の記憶容量があげられる。また、ノード1がデータストアを使用してデータを記憶するリソース(例:ディスク)の記憶容量でもよい。記憶容量の値が大きいほど、ノード1が記憶することができる情報量が大きい。記憶容量の大きいノード1は、原本データを複製した複製データを保管し、複製データを保管することに長けている。
性能情報は、演算性能の値と、記憶容量の値と、をそのまま用いた二次元の値を持つ情報であってもよい。また、ノード1の総合的な性能を判断するために、ベンチマークプログラムを用いて、演算性能の値や記憶容量の値を用いて算出されるスコアを性能情報としてもよい。前記スコアは、一次元の値とすることもできるし、二次元以上の値とすることもできる。
識別子割当設定部13は、ノード1に割り当てる仮想識別子の値と個数を設定する。つまり、各ノード1について、ID空間にいくつの仮想識別子をどこに配置するかを決定する。本実施形態では、ID空間として、原本データを処理するための原本データ用ID空間と、複製データを保管するための複製データ用ID空間とを設ける。原本データ用ID空間に仮想識別子を配置することで、その仮想識別子を持つノード1は、原本データを処理することができる。複製データ用ID空間に仮想識別子を配置することで、その仮想識別子を持つノード1は、複製データを保管することができる。
性能情報管理テーブルT1は、ノード1の性能情報を管理する。図3(a)には、性能情報管理テーブルのデータ構造が示されている。性能情報管理テーブルT1は、「アドレス」と、「演算性能」と、「記憶容量」といったフィールドを含み、ノード1ごとにレコードが作成される。
「アドレス」のフィールドには、ノード1のIPアドレスの値が格納されている。
「演算性能」のフィールドには、ノード1の演算性能の値が格納されている。
「記憶容量」のフィールドには、ノード1の記憶容量の値が格納されている。
処理用識別子管理テーブルT2は、ノード1に割り当てられる仮想識別子のうち原本データの処理のために割り当てられる仮想識別子が、原本データ用ID空間にどのように配置されているかを管理するテーブルである。図3(b)には、処理用識別子管理テーブルのデータ構造が示されている。処理用識別子管理テーブルT2は、「アドレス」と、「仮想識別子」と、「順位」といったフィールドを含み、原本データの処理のために割り当てられる仮想識別子ごとにレコードが作成される。
処理用識別子管理テーブルT2の「アドレス」のフィールドは、性能情報管理テーブルT1の「アドレス」のフィールドと同等であり、互いに関連付けられている。
「仮想識別子」のフィールドには、1つのノード1に対して、原本データの処理のために割り当てられる仮想識別子(原本データ処理用識別子)の値(ハッシュ値)が格納されている。
「順位」のフィールドには、1つのノード1に対して、原本データの処理のために割り当てられる仮想識別子に付す順位を表す数値(例:1、2、・・・、P1)が格納されている。
基本的には、ノード1の演算性能の値が大きいほど、原本データの処理のために割り当てられる仮想識別子の個数を多くする。そうすることで、原本データを処理するためのノード1のID空間内の担当範囲が大きくなり、演算性能の値に見合う処理量(演算量)を達成することができる。
原本データの処理のために割り当てられる仮想識別子の個数の設定方法としては、例えば、演算性能に関する基準値を用いる方法がある。この基準値は、分散システムの運用者が経験的に妥当と定めた任意の数値である。ノード1の演算性能が基準値と同程度であれば、相応の個数(例:100個)の仮想識別子を割り当てる。もし、ノード1の演算性能が基準値の2倍であれば、2倍の個数分の仮想識別子を割り当てる。また、ノード1の演算性能が基準値の0.5倍であれば、0.5倍の個数分の仮想識別子を割り当てる。1つのノード1に割り当てる仮想識別子の個数は、そのノード1のIPアドレスに対応する「順位」のフィールドに格納される順位の個数、つまりレコード数(例:P1個、P2個)に等しい。
一方、原本データの処理のために割り当てられる仮想識別子の値の設定方法としては、例えば、上記の順位を用いる方法がある。つまり、1つのノード1のIPアドレスに前記順位を加味した文字数値列に対してハッシュ関数を作用させてハッシュ値を生成し、そのハッシュ値を、原本データの処理のために割り当てられる仮想識別子の値とする。
順位の数値を用いることで、1つのノード1に割り当てられる複数個(順位の個数分)の仮想識別子は、各ノード1間だけでなく、そのノード1においても一意に定まる。なお、1つのノード1において複数個の仮想識別子が一意に定まればよいので、順位の代わりに、互いに異なる適当な値を用いてもよい。さらに、前記適当な値において、順位のように順番が定められているか否かは問わない。また、IPアドレスに順位を加味するときの「加味」の方法は、例えば、四則演算のような所定の演算方法でよい。
さらに、ハッシュ関数を用いているので、原本データ用ID空間において、複数個の仮想識別子を無作為に、つまり満遍なく配置することができる。その結果、負荷分散性を向上させることができる。
複製用識別子管理テーブルT3は、ノード1に割り当てられる仮想識別子のうち複製データの保管のために割り当てられる仮想識別子が、複製データ用ID空間にどのように配置されているかを管理するテーブルである。図3(c)には、複製用識別子管理テーブルのデータ構造が示されている。複製用識別子管理テーブルT3は、「アドレス」と、「仮想識別子」と、「順位」といったフィールドを含み、複製データの処理のために割り当てられる仮想識別子ごとにレコードが作成される。
複製用識別子管理テーブルT3の「アドレス」のフィールドは、性能情報管理テーブルT1の「アドレス」のフィールドと同等であり、互いに関連付けられている。
「仮想識別子」のフィールドには、1つのノード1に対して、複製データの保管のために割り当てられる仮想識別子(複製データ保管用識別子)の値(ハッシュ値)が格納されている。
「順位」のフィールドには、1つのノード1に対して、複製データの保管のために割り当てられる仮想識別子に付す順位を表す数値(例:1、2、・・・、C1)が格納されている。
基本的には、ノード1の記憶容量の値が大きいほど、複製データの保管のために割り当てられる仮想識別子の個数を多くする。そうすることで、複製データを保管するためのノード1のID空間内の担当範囲が大きくなり、記憶容量の値に見合う使用記憶容量を達成することができる。
複製データの保管のために割り当てられる仮想識別子の個数(例:C1個、C2個)および値の設定方法は、原本データの処理のために割り当てられる仮想識別子の個数および値を設定するときの上記した方法と同様にすることができるため、説明を省略する。
≪処理≫
次に、本実施形態の処理について説明する。
図4は、ノードを追加したときに、分散システムを構成する各ノードが実行する処理を示すフローチャートである。この処理の主体は、分散システムを構成する各ノード1の制御部である。この処理は、ステップS01から開始する。
ステップS01において、ノード1の制御部は、分散システムに新たに追加されたノード1である追加ノードを検出する。ステップS01の処理は、主に、ノード検出部11の機能に従う。ステップS01の後、ステップS02に進む。
ステップS02において、ノード1の制御部は、追加ノードの性能情報を特定する。ステップS02の処理は、主に、性能情報特定部12の機能に従う。特定した性能情報は、ノード1の記憶部に記憶され、性能情報管理テーブルT1に登録される。ステップS02の後、ステップS03に進む。
ステップS03において、ノード1の制御部は、追加ノードに対して、原本データを処理するための仮想識別子の個数と値を設定する。設定された前記仮想識別子の個数と値は、処理用識別子管理テーブルT2に所定の形式で登録される。ステップS03の処理は、主に、識別子割当設定部13の機能に従う。ステップS03の後、ステップS04に進む。
ステップS04において、ノード1の制御部は、追加ノードに対して、複製データを保管するための仮想識別子の個数と値を設定する。設定された前記仮想識別子の個数と値は、複製用識別子管理テーブルT3に所定の形式で登録される。ステップS04の処理は、主に、識別子割当設定部13の機能に従う。ステップS04の後、ステップS05に進む。
ステップS05において、ノード1の制御部は、設定した値を持つ設定個数分の仮想識別子を追加ノードに割り当てる。つまり、追加ノードに割り当てる仮想識別子を原本データ用ID空間と、複製データ用ID空間とにそれぞれ配置する。
ステップS01〜ステップS05の処理を行うことにより、追加ノードの演算性能に見合う個数と値を設定した仮想識別子を原本データ用ID空間に配置するとともに、追加ノードの記憶容量に見合う個数と値を設定した仮想識別子を複製データ用ID空間に配置することができる。その結果、性能情報に見合う負荷分散性と、データ信頼性とを実現することができる。
以上で、図4の処理の説明を終了する。
≪具体例≫
図5を参照して、図4の処理を終えた後の分散システムの様子の具体例を説明する。
図5は、(a)が処理データ用ID空間の概念図であり、(b)が複製データ用ID空間の概念図である。なお、複製データ用ID空間における、複製データの複製数Mは、例えば、M=2とし、1つの原本データに対して2つの複製データを生成する場合を想定するが、複製数はこれに限定されない。
処理データ用ID空間において、追加ノードには、原本データを処理するためのノード識別子aが割り当てられたとし、ノード識別子aは、図5(a)に示す位置に配置されたとする。ここで、図5(a)に示す位置に配置されることになるデータ識別子Xを含むメッセージがロードバランサ3から振り分けられた場合には、データ識別子Xの時計回りに辿って右隣に配置されているノード識別子aが割り当てられた追加ノードが、そのメッセージの呼処理を行い、呼処理の対象となる原本データを処理する。
一方、複製データ用ID空間において、分散システムを構成する既存のノード1の一つには、複製データを処理するためのノード識別子bが割り当てられており、追加ノードには、複製データを処理するためのノード識別子cが割り当てられているとする。そして、ノード識別子b、cは、図5(b)に示す位置に配置されているとする。図5(b)に示すデータ識別子Xが配置される位置は、図5(a)に示す位置と同じである。よって、データ識別子Xを含むメッセージがロードバランサ3から振り分けられた場合には、データ識別子Xの時計回りに辿って右隣に配置されているノード識別子bが割り当てられたノード1、そしてさらに右隣に配置されているノード識別子cが割り当てられた追加ノードが、そのメッセージの呼処理の対象となる原本データの複製データを保管する。
なお、所定のデータ識別子を含むメッセージが原本データ用ID空間に配置された場合、そのメッセージの呼処理を担当するノード1は、原本データの書き換えを行うとともに、クライアント2からの要求に応答することで、クライアント2所定のサービスを提供する。また、前記ノード1は、前記原本データの複製データの保管を担当している他のノード1に対し、書き換え前の原本データと書き換え後の原本データとの差分となる差分データを送信する。一方、そのメッセージが複製データ用ID空間に配置された場合、そのメッセージの呼処理の対象となる原本データの複製データの保管を担当するノード1は、原本データの処理を担当するノード1から前記差分データを受信し、複製データを更新する。複製データの保管を担当するノード1は、クライアント2からの要求に応答することはなく、原本データの処理を担当するノード1の故障などの障害が発生するまで、複製データの保管を継続する。
≪まとめ≫
本発明によれば、分散システムにおける負荷分散性の向上とデータ信頼性の向上との両立を実現することができる。従来では分散システムに対して1つのID空間を適用してメッセージの振り分けを行っていたが、原本データ用ID空間、複製データ用ID空間、という独立した2種類のID空間を適用することで、ノードの性能情報に見合った仮想識別子の配置を実現することができるからである。2種類のID空間を設定する際、仮想識別子の管理テーブル(T2、T3)は、同等のデータ構造を備えるように設計できる。
演算性能が大きなノードが追加されたときには、原本データを処理するための仮想識別子をそのノードに多く割り当て、原本データ用ID空間に多くの仮想識別子を配置する。また、記憶容量が大きなノードが追加されたときには、複製データを保管するための仮想識別子をそのノードに多く割り当て、複製データ用ID空間に多くの仮想識別子を配置する。このような配置により、それぞれで値が異なるノードの演算性能と記憶容量とに応じたメッセージの振り分けが可能となる。その結果、性能情報の異なるノードで構成される分散システムにおいて、ノードの性能を最大限に生かすことができ、ノード資源の利用効率を最大限に高めることができる。
≪その他≫
前記実施形態は、本発明を実施するために好適のものであるが、その実施形式はこれらに限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において種々変形することが可能である。
例えば、ノード1が実際に原本データの処理や複製データの保管などを行うときの演算量や使用記憶容量は、さまざまな要因によって変化する。前記要因は、例えば、複製データの保管には、複製データの受信、更新などに伴う演算量があること、複製データの複製数の設定、性能情報に用いる新たなパラメータを採用すること、その他さまざまな要因である。よって、ノード1に割り当てる仮想識別子の値と個数を設定するときは、これらの要因を考慮することが好ましい。
また、例えば、ノード1がHTTP(HyperText Transfer Protocol)サーバである場合、メッセージに含まれているデータ識別子には、メッセージが要求するURL(Uniform Resource Locator)、クライアント2のIPアドレス、Cookieなど、といったさまざまな情報を用いることができる。
また、例えば、仮想識別子の値を求めるために、ノード1のIPアドレスの代わりに、例えばMAC(Media Access Control address)アドレスを用いてもよい。また、分散システム上でノード1を特定できる機能を持つのであればどのような種類のアドレスを用いてもよい。
また、例えば、分散システムにノード1を1つだけでなく、2つ以上同時増設する場合についても、本発明を適用できる。つまり、2つ以上同時増設するノード1のそれぞれに対して割り当てる原本データを処理するための、および複製データを保管するための仮想識別子を、2種類のID空間に一度にまとめて配置することができる。
また、負荷分散プログラム1aを備え、その命令に従う負荷分散装置を、ロードバランサ3の代わりに備えた、またはロードバランサ3と併設した分散システムを構成することもできる。よって、負荷分散装置は、ノード1とは別の装置とすることもできるし、ノード1が含む装置とすることもできる。概して本発明の負荷分散装置とは、負荷分散プログラム1aに記述された命令に従うコンピュータを意味している。よって、負荷分散プログラム1aは、負荷分散装置とは別のコンピュータに導入されており、遠隔的に負荷分散装置に命令することもできる。また、コンピュータとしての機能を担保できるのであれば、負荷分散装置のハードウェアの形態は、どのようにしても構わない。負荷分散装置は、1または複数のコンピュータから構成してもよい。
また、本実施形態で説明した種々の技術を適宜組み合わせた技術を実現することもできる。
また、本実施形態で説明したソフトウェアをハードウェアとして実現することもでき、ハードウェアをソフトウェアとして実現することもできる。
その他、ハードウェア、ソフトウェア、テーブル、フローチャートなどの具体的な構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
1 ノード(サーバ)
2 クライアント
3 ロードバランサ
11 ノード検出部
12 性能情報特定部
13 識別子割当設定部
T1 性能情報管理テーブル
T2 処理用識別子管理テーブル
T3 複製用識別子管理テーブル

Claims (4)

  1. 自身のサーバ以外の他のサーバと協調動作することでコンシステント・ハッシュ法により振り分けられたメッセージを呼処理する複数の前記サーバが通信可能に接続されている分散システムにおいて、前記サーバそれぞれに対して1または複数の識別子を割り当てることで、前記サーバそれぞれがどのメッセージの呼処理を担当するかを決定する負荷分散装置として機能させる負荷分散プログラムであって、
    前記負荷分散装置の記憶部が、
    前記サーバの演算性能と、前記サーバの記憶容量とを、前記サーバごとに記憶しており、
    前記負荷分散装置の制御部に、
    前記サーバそれぞれの演算性能を用いて、前記メッセージの呼処理のために必要となる原本データを処理するサーバそれぞれに割り当てる前記識別子となる原本データ処理用識別子の個数と、前記原本データ処理用識別子の値とを設定する処理と、
    前記サーバそれぞれの記憶容量を用いて、前記原本データを複製した複製データを保管するサーバそれぞれに割り当てる前記識別子となる複製データ保管用識別子の個数と、前記複製データ保管用識別子の値とを設定する処理と、を実行させる
    ことを特徴とする負荷分散プログラム。
  2. 前記負荷分散装置の制御部に、
    前記サーバの演算性能が大きいほど、前記サーバに割り当てる前記原本データ処理用識別子の個数を多くする処理と、
    前記サーバの記憶容量が大きいほど、前記サーバに割り当てる前記複製データ管理用識別子の個数を多くする処理と、を実行させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の負荷分散プログラム。
  3. 前記負荷分散装置の制御部に、
    前記分散システムに追加したサーバを検出する処理と、
    前記追加したサーバの演算性能と、記憶容量とを特定し、前記記憶部に記憶する処理と、
    前記追加したサーバの演算性能を用いて、前記追加したサーバに割り当てる前記原本データ処理用識別子の個数と、前記原本データ処理用識別子の値とを設定する処理と、
    前記追加したサーバの記憶容量を用いて、前記追加したサーバに割り当てる前記複製データ保管用識別子の個数と、前記複製データ保管用識別子の値とを設定する処理と、を実行させる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の負荷分散プログラム。
  4. 自身のサーバ以外の他のサーバと協調動作することでコンシステント・ハッシュ法により振り分けられたメッセージを呼処理する複数の前記サーバが通信可能に接続されている分散システムにおいて、前記サーバそれぞれに対して1または複数の識別子を割り当てることで、前記サーバそれぞれがどのメッセージの呼処理を担当するかを決定する負荷分散装置であって、
    前記負荷分散装置の記憶部が、
    前記サーバの演算性能と、前記サーバの記憶容量とを、前記サーバごとに記憶しており、
    前記負荷分散装置の制御部が、
    前記サーバそれぞれの演算性能を用いて、前記メッセージの呼処理のために必要となる原本データを処理するサーバそれぞれに割り当てる前記識別子となる原本データ処理用識別子の個数と、前記原本データ処理用識別子の値とを設定する制御と、
    前記サーバそれぞれの記憶容量を用いて、前記原本データを複製した複製データを保管するサーバそれぞれに割り当てる前記識別子となる複製データ保管用識別子の個数と、前記複製データ保管用識別子の値とを設定する制御と、を実行する
    ことを特徴とする負荷分散装置。
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