JP2013168171A - 生体画像撮影装置 - Google Patents

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直人 三浦
Akio Nagasaka
晃朗 長坂
Takafumi Miyatake
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Abstract

【課題】非接触性の求められる環境下での個人認証に関し、不鮮明で位置ずれのある指静脈パターン画像を利用しながらも、高精度な個人認証を実現する。
【解決手段】非接触に指静脈パターン画像を獲得する手段と、獲得した画像に含まれる静脈パターンを取り出す手法として指の輪郭を用いて回転補正を行う手段と、指先を基準として指画像の位置を正規化する手段と、画像の任意の位置から任意の長さだけ輝度値の暗い部分をたどることを繰り返すことにより統計的に全体の静脈パターンを獲得する手段と、血管パターンに強い特徴が表れている部分だけを比較するマッチングの手段と、画像を小領域に分割し、各小領域ごとに独立してマッチングを行い、マッチしたときの位置ずれ量を評価する手段と、設ける。
【選択図】図2

Description

本発明は、人間の指を透過した光を撮像して得られる静脈パターンを利用して個人認証を行う装置、および方法に関する。
個人認証技術には、指紋、虹彩、音声、手の甲の静脈などに基づく方法が存在する。指紋に基づく個人認証装置は、すでに複数の企業から製品化、販売されている。これらの製品は、指紋を指紋センサ上に接触させることで指紋を読み取り、指紋の端点や分岐点を特徴点として認識し、登録されている指紋の特徴点と照合することによって個人認証を行っている。
また、特開平10-295674号公報には、手の甲の静脈に基づく個人認証装置が開示されている。これによると、手の甲を撮像カメラに向け、そこから出射される光の反射光を利用して血管パターンを取り込み、認証を行う。このとき、固定された棒状のガイドを握ることによって、認証ごとに撮像する手の位置がずれないように工夫されている。
また、特開平7-21373号公報には、指静脈を用いた個人認証装置が開示され、特に、撮影する際の光量のロスを少なくするため、光ファイバーを指に密着させて指画像を撮影することが開示されている。
特開平10−295674号公報 特開平7−21373号公報
従来の技術では、認証の際に指紋を採取する、もしくは目の中に光を入れるなど、心理的抵抗感の大きい方法を採用している。また前記従来の個人認証装置では、人間の体を認証装置に接触させる必要があり、衛生面を重視する医療現場等では利用することが適当でない場合がある。また体の外側にさらされている特徴を利用するため、偽造される可能性がある。
本発明は、医療現場などの非接触性が求められる環境下でセキュリティシステムを構築することを目的とする。このため、本発明では非接触で指画像を撮影し、この指画像から指静脈パターンを抽出して個人認証を行う装置及び方法を提供する。
さらに、本発明では非接触で指を撮影する場合、回転や輝度むらが生じやすく高精度な個人認証結果が得にくいという新たな課題に着目した。そこで、本発明では、非接触のため回転や輝度むらが生じやすい指静脈パターン画像を用いながらも高精度な個人認証を行う個人認証装置および方法を提供する。
上記の目的を達成するため、本発明の個人認証装置は、登録指画像の静脈パターンを格納する記憶装置と、光源及び指透過光を撮影するカメラを備えたインターフェースと、撮影された指透過光画像に含まれる静脈パターンを抽出し、抽出した静脈パターンを前記登録指画像の静脈パターンと照合して個人認証を行う手段とを有し、前記インターフェースは、指を非接触で挿入する溝を有し、前記光源と前記カメラは、該溝を挟んで対向するように配置することを特徴とする。
また、前記個人認証を行う手段は、撮影された指画像について、前記指が前記インターフェースに挿入される際に生じる撮像平面上の回転を補正し、回転補正した前記指画像に含まれる静脈パターンを抽出して個人認証を行うことを特徴とする。
本発明によれば、装置への接触を必要とせず、また認証時の心理的抵抗感も低く、かつ偽造のされにくい生体内部の特徴を用いた認証ができる。また非接触特有の位置ずれがあり不鮮明な画像を用いながらも高精度な個人認証が実現できる。
本発明を実現するためのシステム構成の一例である。 指の静脈を獲得するための入力インターフェース構成の一例である。 指の静脈を獲得するための入力インターフェース構成の一例である。 安全性を配慮した指静脈パターン入力インターフェース構成の一例である。 多方向から静脈パターンを撮像するための、入力インターフェース内での光源とCCDカメラの配置の一例である。 認証を含めた入退出が非接触で行えるシステム構成の一例である。 静脈パターンのほかに、暗証番号、指紋、虹彩、音声、筆跡、顔といった個人の特徴情報を組み合わせて認証を行うシステム構成の一例である。 ICカードを利用して静脈パターンのテンプレート画像を獲得するシステム構成の一例である。 本発明を実現するためのソフトウェアによる処理の概要を示したフローチャートである。 指画像の輪郭追跡方法を示したイメージ図である。 指画像の傾きを回転補正する方法を示したイメージ図である。 指画像の切り出し部分を正規化する方法を示したイメージ図である。 指画像から静脈パターンを取り出すためのフローチャートの一例である。 2つの静脈パターンのミスマッチ率を求めるためのフローチャートの一例である。 2つの静脈パターンの部分画像を利用して静脈パターンの相関を求めるためのフローチャートの一例である。 認証システムの他人受入率(FAR)と本人拒否率(FRR)の関係における、本発明による手法と別手法との性能比較である。
以下、本発明の1実施例を詳細に説明する。図1は、本発明を実現するためのシステム構成の概略ブロック図である。指を挿入する部分にあたる静脈パターン入力インターフェース1の中には、光源2と光学フィルタ3、CCDカメラ4がある。光源2と光学フィルタ3の間に指を挿入することで静脈パターンを獲得する。指を透過した光は光学フィルタ3を通してCCDカメラ4で撮像される。CCDカメラ4で撮像された画像信号は画像キャプチャボード5を用いてPC6に取り込まれる。PC6内部では、取り込まれた画像信号はインターフェース7を通してメモリ8に格納される。また外部記憶装置10に保存されている登録画像がメモリ8に格納される。そしてメモリ8に格納されているプログラムに従い、CPU9によって取り込まれた画像と登録画像が一致するか否かの判断がなされる。なおこのプログラムは、外部の記憶媒体を用いて装置に供給してもよい。記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
図2は、非接触な方法で指静脈パターン画像を獲得する指静脈パターン入力インターフェース1の構造の一例である。インターフェースには溝状の隙間である指挿入口22があり、その部分に指20を通すことで静脈パターンを獲得する。このとき装置自体に指を接触させる必要がない。また、溝の中に複数本の指を通すことによって複数の指の静脈パターンを撮像することができる。さらに、肩、肘、手首等を中心に円の軌道を描いて指を振り下ろすことで複数本の指20を連続的に指挿入口22に通し、指画像を撮像することも可能である。このような非接触な撮像方法をとる場合、撮像された指画像は撮像平面に対する回転が生じる。従って、撮像された指画像には、必然的に回転補正を行う必要がある。
なお、溝の方向は、地面に対してどのような方向であっても良いが、特に地面に対して垂直方向の溝を設けた場合、ユーザは重力に従って手を振り下ろすという自然な運動で、パターン画像の獲得ができるので、使い勝手がよいという効果がある。
また、このように溝に指を通すようなインターフェースの構造は、指の中心軸を中心とした回転が生じにくくなるため、認証の精度が高くなるという効果がある。
図3は、指静脈パターン入力インターフェース1の別の例である。これは穴状の指の挿入口22がある入力インターフェースの例である。指20を指の挿入口22に挿入し、その内部にある一つまたは複数の光源・撮像素子によって指の静脈を獲得する。このとき指の中心軸に対し同心円方向に指を回転させることで多方向からの静脈パターンを獲得することもできる。
図4は、認証の際及びインターフェース設置場所付近を通行する際の安全性を考慮した、上記の非接触型の指静脈パターン入力インターフェースの一例である。(a)は指静脈パターン入力インターフェースの角を面取りして、指、手、腕などが接触した場合でも安全な形状にしたものである。また、設置場所によっては装置が突出していると危険な場合もある。その場合は(b)に示すように溝を横向きに設けることでインターフェースの突出の幅を狭める、もしくは(c)に示すように設置する壁面自体に指の挿入口を設ける。ただし(c)においては腕を振り下ろして通すのに十分な幅の溝を有する。また、腕を振り下ろして指を撮像することに対応するために、(d)に示すように指の挿入口の奥を指の軌道に合わせて円弧状にする。このような構造にすることで、腕の円運動に対して指が装置に接触しにくい構造となる。また、装置の表面及び指の挿入口の内部をクッションのような柔らかい材質のもので覆うことで、指の接触に対する安全性を高めることができる。この図では、円弧状の部分にクッション38が並べて貼り付けられている様子が示されている。なお、上述した指静脈パターン入力インターフェースは、溝が縦方向に開けられ、上下方向に指を動かすことで静脈パターンを獲得する例であるが、装置の設置条件により溝の開けられる向き及び指を動かす向きは任意とすることができる。
図5は、上記指静脈パターン入力インターフェース1内部における、複数の光源・撮像素子によって多方向から静脈パターンを撮像するための構成の一例である。指20の中心軸に対して同心円状に、お互いが対面する位置に光源2と光学フィルタ3の付いたCCDカメラ4が複数個並んでいる。指20が入力インターフェース1に挿入されるとそれらの撮像素子が多方向から指画像を撮像する。この構成では指を回転させることなく多方向からの静脈パターンが撮像できるという効果がある。光源同士の干渉によって撮影画像が乱れる場合には、光源の動作する時間をずらして逐次撮像してもよい。
図6は、上記の非接触型の指静脈パターン入力インターフェースと非接触型の自動ドアを組み合わせ、認証を含めた入退室を非接触で行うことができるシステムの一例である。指静脈パターン入力インターフェース20が自動ドア42の横の壁面に設置され、ここに指20を挿入する。認証請求者40の静脈パターンがシステムに登録されている静脈パターンと一致した場合、自動ドア42が自動的に開く。このとき、認証から扉の開閉までのすべてが非接触で行えることが大きな特徴である。この場合の、入力インターフェースとしては、図4に記載の種々の構成が用いられる。
図7は、静脈パターンと指紋、虹彩、音声、筆跡、顔などを複数組み合わせた個人認証装置の一例である。認証請求者40は認証を受けるべき場所に設置してある認証装置によって認証を受ける。静脈パターンを撮像する入力インターフェース1により静脈を撮像するが、それに前後してその他の個人特徴を各種入力インターフェースによって入力する。たとえば暗証番号を暗証番号入力キー43によって入力し、それから指を静脈パターン入力インターフェース1に挿入して認証を受ける。さらに認証の精度を高めるために、指紋入力インターフェース44によって指紋を入力し、虹彩撮像カメラ46、顔画像撮像カメラ48によって被認証者の虹彩と顔画像を撮像する。そして筆跡確認のため筆跡入力ペン50によって筆跡入力タブレット52の上に文字を書き、さらに音声を発することでマイク54がその音声を拾う。これらの様々な個人の特徴をPC6によって解析し、最終的に認証されるか否かが決定される。静脈パターンによる認証と併用して用いられる個人の特徴情報の組み合わせ方は任意であり、当然すべてを用いる必要はないが、この例ではより認証精度を高めるために多くの特徴情報を利用している。また、指紋の入力装置と静脈パターン撮像装置とを一体化して、所定の場所に1回指を置くだけで両方の入力が同時にできるようにしてもよい。これによって、ユーザの手間を省くと共に、より高精度な個人認証が可能となる。
図8はICカードを利用して暗証番号や個人の特徴情報を認証装置に与えるシステムの一例である。認証請求者40は暗証番号や本人の静脈パターン、指紋、音声、虹彩、筆跡、顔などの個人の特徴情報が記録されているICカード60を保持している。この図は被接触型のICカードを使用した例であるが、接触型ICカードを使用することも可能である。ICカード60に記録されている情報はICカードリーダ62に近づくと自動的にICカードリーダ62によって読み込まれる。このとき個人の特徴情報が個人認証装置に送られるが、個人を識別する番号だけを装置に送り、あらかじめ外部記憶装置10に記憶されている個人の特徴情報のうちその番号に応じたものを読み出すことで個人の特徴情報を獲得してもよい。この図の例では静脈パターンを個人の特徴情報として与えている。その後指静脈パターン入力インターフェース1に指を挿入することで静脈パターンを獲得、ICカード60もしくは外部記憶装置10から読み出された静脈パターンとのマッチングをとり、認証が行われる。この図では静脈パターンとICカードの組み合わせだけを示したが、図7で示した様々な個人の特徴情報を併用することも可能である。
以下では、上記ハードウェア、特にCPU9によって実行される、先述の課題を解決するソフトウェアソフトウェアフローについて詳細に説明する。なおこのフローを実現するソフトウェアプログラムは、外部の記憶媒体を用いて装置に供給してもよい。記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。 図9は、指画像が取り込まれてから認証が行われるまでの概略フローチャートである。静脈パターンによる個人認証を行うためには、取り込まれた指画像から静脈パターンを抽出し、登録されている静脈パターンとの比較を行う必要がある。従って撮像された指画像はいくつかの段階を経て登録画像と比較できる形の静脈パターンへ変換されなければならない。まず各種の初期化(200)を行った後、画像内の指部分だけを取り出すために指の輪郭検出(202)を行う。この時点で指がどのような角度、位置で撮像されているかが検出できる。どのような角度や位置で撮像されていても正しく認識できるように指の傾きを水平にする回転補正(204)を行った後、認識に必要な部分だけを取り出す指画像の切り出し(206)を行う。このときに得られる画像は静脈パターンだけでなく認証に不要な影や輝度むらなどが存在する。そこで静脈パターンだけを取り出すために、血管追跡(208)を行う。この結果を利用して、登録画像と取り込まれた指画像との静脈パターンのマッチング(210)を行い、画像間の相関を評価値として算出する。評価値の大きさによって本人もしくは他人であると判断されるが、どちらとも決めがたい評価値であった場合(212)、さらに、画像を小領域に分割してマッチングを行いマッチした位置ずれを評価する分割マッチング(214)を行う。そして最終的に本人であるか否かを判定する(216)。
以下では、図9に示されたフローチャートの各項目ついて詳細に説明する。
図10は指の輪郭検出処理の一例を示したものである。(a)は撮像された画像の模式図である。ここでは指が画像左側から水平方向に撮像され、指先が右側に位置している場合について説明する。初めに指20と背景部分の境界を強調するためにコントラストの調整を行う。ただし、画像全体のコントラストを調整する必要はなく、たとえば下側の輪郭が不鮮明である場合には画像下側だけのコントラストを調整すればよい。この処理によって指のエッジが強調される。(a)における指20のエッジが鮮明になっている様子を(b)に示す。
続いて、実際に指の輪郭検出を行う。まず、画像100の中心に追跡点104を置く。この位置から上下別々に1ピクセルずつ移動し、指の輪郭部分を検出する出発位置を求める。画像の中心には指部分が写っているため、その位置の上下数ピクセルはすべて比較的明るい輝度値を持つ。上下に移動していくとやがて指部分と背景部分の境界に到達する。このとき、画像内側(指側)にある数ピクセルの輝度値は比較的高いが、画像外側(背景側)にある数ピクセルの輝度値は低いはずである。従って、追跡点104の現在位置における内側nピクセルの輝度値の和から、外側nピクセルの輝度値の和を減じて差分を求め、画像の上端または下端まで追跡点104を移動した中で、最も高い差分値を示した位置が背景と指との境界であると判断することができる。(c)は追跡点104が上下に移動し、指と背景の境界にたどり着いたところを表している。次にこの位置から指の輪郭をたどる。この場合は右方向と左方向の2通りについてたどる必要がある。左方向をたどる場合は、現在位置の左、左上、左下の3点について、上方nピクセルと下方nピクセルの輝度値の差分を計算し、最も大きい差分値を持つ位置を次の位置とする。このようにして画像の左端までたどっていくと、その軌跡が輪郭となる。右方向については、指先部分をたどる必要があるため、上側の輪郭追跡については現在位置の右下のさらに下数ピクセル、かつ現在位置の真下についても探索範囲とし、下側の輪郭追跡については現在位置の右上のさらに上数ピクセル、かつ現在位置の真上についても探索範囲とした。これにより、指先の曲率の高いカーブまで検出できることになる。(d)は最終的に追跡点104が指の輪郭をたどった結果を表している。尚、上記では撮像画像が定型的に決められているため単純な追跡方法を採用したが、画像処理で利用される他の様々な輪郭追跡方法を利用して精度を向上できることはいうまでもない。
図11は先述の方法で得られた指の輪郭情報を用いた指の回転補正処理の一例を示している。(a)は指の回転補正前の画像を表している。撮像されたときの指の傾きはその輪郭の形状を調べることで分かる。すべての指画像においてその傾きが一定となるように補正することで、カメラの撮影平面に対する二次元的な回転に対する正規化がなされる。指の傾きは、指を直線で近似したときの線と水平線とのなす角と考えられるが、ここではその一例として上側の輪郭線を利用した回転補正方法について説明する。指の輪郭線は、同じ指の場合、挿入の傾きが異なっていてもその形状は同じである。ここでその輪郭線の近似直線を求める。一般的に、曲線とその近似直線との相対的位置関係は常に一定である。従って、傾きが異なり、かつ同じ形状の輪郭線は、その近似直線によって傾きの正規化ができる。このときできるだけ直線に近い状態の曲線から近似直線を求めた方がより精度が上がるため、直線的な上側の輪郭線から近似的な直線を求める。具体的には、たとえば指先から16ピクセルほど指の根元方向へ進んだ位置から、同方向へ128ピクセル進んだ位置の間にある輪郭だけを利用する。あえて指先を避けるようにしたのは、曲率の高い部分を避けるためである。
次に、利用する輪郭部分のピクセルを等間隔に数点ほど取り出し、最小二乗法によって上側輪郭の近似直線106を求める。最後にこの直線が画像に対して水平になるように全体を回転する。ただし回転中心は仮にこの直線と画像の左端との交点とする。また位置の正規化については後述する。(b)は上側輪郭の近似直線106を水平に回転補正した結果である。図12は回転補正した指画像から認証に必要となる部分を切り出す処理の一例を示している。通常、指の撮像されている水平・垂直方向の位置は指を撮像するたびに異なる。従って指画像をマッチングに利用しやすくするために、指の位置を正規化する必要がある。一方、認識を行うには画像内に静脈パターンが撮像されていればよく、その他の不要な部分は保持しておく必要は無い。そこで、元画像より小さなサイズの画像を元画像から切り出す。このとき、切り出す位置を常に指の同じ部分に合わせれば、指の位置を正規化したことになる。切り出し部分の位置決めには指の輪郭情報を利用する。まず左右方向の位置は、輪郭情報から得られる指先110を利用して、たとえば指先110が切り出す画像の右端に一致する位置と決める。次に、上下方向の位置は、指の上下の輪郭を利用して指の中心軸108を求め、その中心軸108が、切り出す画像の中心を通るような位置とする。このような位置決めにより、切り出し画像114が得られる。この切り出し画像114は画像100のどの位置に指20が撮像されていても毎回同じ指部分を切り出すことになり、指位置の正規化がなされたことになる。
図13は切り出された指画像に対する血管追跡処理の流れを示すフローチャートである。CCDカメラにより撮像された指画像には、認証に必要な静脈パターンが鮮明に映し出されている訳ではない。得られる画像には、背景のノイズ、指の骨や肉の厚さが不均一なために不規則に生じる影、輝度むらなど、認証に不要な情報が多く含まれている。従って、このような画像を認証に用いるためには、画像から静脈パターンだけを取り出す、あるいは静脈パターンを強調する必要がある。指画像は指を透過した光を撮像したものである。透過光は血中ヘモグロビンに吸収される波長であるため、血管部分は暗い輝度値となる。また関節部分からは明るい光が漏れ出している。従って、バックグラウンドの輝度は空間的に大きく変化しており、単純にエッジを強調することで血管だけを強調することができない。しかし、空間的に局所的な範囲に限れば血管部分は周囲よりも暗い。従って、ある位置からより暗い部分へ移動し続けたときの軌跡が血管である可能性は高い。通常血管は1本ではなく複数本存在し、さらにその本数や長さは事前に知ることはできない。そこで、本実施例では、様々な位置で、様々な長さの軌跡を多数求め、それらを重ね合わせるこ
とで統計的に血管パターンを浮かび上がらせることとする。
このような考えに基づいて、以下のような方法で血管を追跡した。まず初めに血管を追跡した経歴を保持するための、画像と同じ大きさの得点表を用意し、そのすべてを0に初期化する(300)。全体の血管パターンを浮かび上がらせるために必要な回数jだけ繰り返し実行される血管追跡のループ(302)の中においては、まず1回分の血管追跡を行う追跡点の出発位置を乱数によって決定(304)する。ただし背景、指先、指の根元、指の輪郭付近を出発点とすると血管を正しくたどることができなくなるため、指の輪郭情報を利用して、それらが出発点とならないようにする。
また出発点は血管上に配置したほうがより血管をたどりやすい。そこで複数の出発点候補を決め、その中で最も暗い輝度値のピクセルを出発点とする。ただし常にこの条件で出発点を決定すると明るい部分に存在する血管が追跡されにくくなるため、複数の出発点候補のうちで最も暗い輝度値のピクセルを常に出発点とするのでなく、一定の確率で最も明るい輝度値を持つピクセルを出発点とする。この確率は乱数によって決定する。次にこの追跡点の移動しやすい向きを決定する(306)。この性質は後述の移動可能点の決定に用いられる。この決定法の一例として、乱数によって、右または左、かつ上または下へ移動しやすい性質を持つと決定する。続いて「寿命」を決定(308)し、同時にその値を初期値として追跡点に与える。追跡は、上記寿命により定まる距離だけ追跡した時点で打ち切る。つまり、追跡の長さを追跡点の寿命とて、追跡点の追跡の長さを表すし、1ピクセルをたどるごとに寿命を減らし寿命が尽きた時点で追跡を終了させる。この寿命は乱数を用いて決定される。
続いてこの追跡点を移動させる。はじめに、追跡点が次に移動することのできる点を決定(310)する。血管の多くは指の長軸方向を走っているが、追跡点の移動する傾向を血管の走る方向の傾向に合わせることで血管がより強調される。そこで、次に移動することのできる点の候補にある傾向をもたせることで、移動点の移動の傾向を制御する。移動の傾向の一例として、50%の確率で左右の長軸方向に移動しやすくするため左または右の3近傍を移動可能点とし、残りの50%のうち30%については指の短軸方向に移動しやすくするため上または下の3近傍を移動可能点とする。それ以外は8近傍を移動可能点とする。ただし、いずれの場合も今までたどってきた軌跡や指の外側へは移動できない。このようにして移動可能点を求めるが、もし移動可能点が存在しない場合(312)は現在の追跡点での追跡を終了する。続いて移動可能点のうち、最も暗い輝度値を持つピクセルへ移動(314)する。そして現在の追跡点が過去にたどってきた軌跡を再びたどらないよう、現在の位置を軌跡情報として登録、更新(316)する。このとき、そのピクセルの座標に対応した得点表の位置に、得点を加算(318)する。ここでは例として5点を加算する。さらにこの追跡点の追跡の長さである寿命を1つ減らす(320)。この追跡点の寿命の有無を判定(322)し、寿命があるならば再び移動可能点の決定(310)へ戻り、移動、得点の加算、軌跡情報の更新を繰り返す。寿命が尽きた場合、たどった軌跡の情報を初期化(324)し、現在の追跡点での追跡が終了する。このような血管追跡のプロセスを多数繰り返し実行する。この繰り返しがすべて終了したとき、たどった回数が多いピクセル、すなわち血管である確率が高い部分であるほどその位置に対応する得点表の得点は高くなっている。逆に得点の低い位置は血管でない確率が高いことになる。従って、この得点表には静脈パターンそのものが現れていることになる。従って、この得点表を画像として捉えることで、静脈パターンだけを取り出した画像が得られることになる。
このようにして得られた静脈パターンをマッチングに利用しやすい形にするために、静脈パターンとしての得点表の各欄をその得点に応じて分類する。ここでは例として4種に分類する(328)。まず得点の低いピクセル位置には全く血管が存在しないものとする。また得点の高いピクセル位置は血管である可能性が高いとする。そして中間的な得点を持つピクセル位置は、血管である可能性はあるが確実に血管であるとは言いがたいあいまいな領域であるとする。さらに指の輪郭の外側に位置するピクセルを背景とする。これら4種類を輝度値に対応させることで、静脈パターンの画像が得られる。最後に、偶然追跡されなかったピクセルの穴を埋めるために、血管部分、そしてあいまいな部分に対して膨張処理(330)を施した。膨張処理は、画像中に存在するすべてのピクセルについて、血管部分またはあいまいな部分のピクセルの8近傍を調べ、血管でない部分のピクセルの個数が4つ以下ならば、それらの血管でない部分をあいまいな部分に変換することで行われる。
以上のような手順により得点表が静脈パターンの画像へ変換され、同時にマッチングに利用しやすい形に変換された。図14は上述の手法により得られた静脈パターンが登録された静脈パターンと一致するか否かを判定する手法の一例を示したフローチャートである。2枚の画像を比較するアルゴリズムにはSSDA(sequential similarity detection algorithm)を採用した。これはミスマッチが単調増加する性質を利用し、ある閾値を越えた時点で計算を打ち切る手法である。初めに各種の初期化(400)を行う。続いて比較する2枚の静脈パターン画像の片方について画像の外周nピクセルを切り落とし(402)、画像サイズを小さくする。次にこの2枚の画像の中心部分を一致させて重ねあわせ、重なったピクセル同士の輝度値を比較する(404)。このとき、血管である可能性が高いピクセルと、血管でない可能性が高いピクセルが重なった場合、このピクセルはミスマッチする、という。このミスマッチするピクセルの個数を、画像全体について数え上げる。ただし、大きい方の画像について、小さい方の画像と重ならなかったピクセルは無視する。このときのミスマッチ数を最小ミスマッチ数の初期値とする。続いて、サイズを小さくした方の画像が大きい画像からはみ出ない範囲(画像中央を基点に上下左右nピクセル)において画像を1ピクセルもしくは数ピクセル単位でずらし、各位置それぞれについてミスマッチの個数を数え上げる。その際、現在の重なりにおけるミスマッチを画像全体において1ピクセル単位で数え上げる(410)が、ミスマッチの数え上げの途中でも、現在の最小ミスマッチ数を越えた場合、より小さなミスマッチ数を得ることができないためミスマッチの数え上げを中止する(412)。現時点のミスマッチ数が最小ミスマッチ数を超えなかった場合、過去の最小ミスマッチ数を現在のミスマッチ数に書き換える(416)。全範囲で画像を重ねあわせ、最終的に得られた最小ミスマッチ数が、この2枚の画像のミスマッチ数となる。
最後に、この結果からミスマッチ率を求める。まず2枚の画像の血管である可能性が高いピクセルの個数の総和を求める(420)。ただし、大きい方の画像については、外周nピクセルの部分を無視する。この結果とミスマッチ数を利用して、2枚の静脈パターンのミスマッチ率を求めることができる(422)。ここで、ミスマッチ率を(ミスマッチ数)/(2枚の画像における血管である可能性が高いピクセルの総数)と定義する。2つの静脈パターンが同じ場合、ミスマッチ率は0もしくは非常に小さな値となる。しかし、静脈パターンが異なる場合はミスマッチ率が非常に大きくなる。この数値がある閾値より小さい場合を本人、大きい場合を他人と判定する。
図15は上述したマッチング手法におけるミスマッチ率では本人か他人か決めがたいものについて、別の手法にてマッチングを行う手法の一例をフローチャートに示したものである。画像全体のミスマッチを求める手法は多くのケースにおいて安定して本人と他人を区別することができる。しかし、中には閾値付近のあいまいなデータも存在する。そこで閾値近傍のデータを別のマッチング手法によって認証することができれば、全体としてさらに認識率の向上が見込まれる。
分割マッチングの方法は次のとおりである。2枚の画像の片方について、画像を2つ以上のm個の小領域に分割する(502)。各小領域のそれぞれについて、もう一方の画像とのマッチングを取る(506)。ここでは単純にピクセルの輝度値が一致した個数を数える。最もマッチしたピクセルの個数の多い位置をマッチした位置とする。このとき位置的に明らかにマッチし得ない部分と偶然マッチすることのないよう、移動する範囲を限定しておく。そして小領域が最もマッチした位置の情報を得る(508)。すなわち、各小領域において初期位置からどれだけずれた位置でマッチしたかを2次元ベクトルの形で保持する。すべての小領域についてマッチングが終了したら、m個のマッチ位置の情報を平面にプロット(512)し、各点の密集度を評価する。これらの点が密集している場合は2枚の画像に大きな相関があり、逆にまばらな場合はほとんど相関はないと考えられる。
密集度の評価のために、プロットした点に重みp、その点から1ピクセル離れるごとにΔpだけ小さな値を加算(514)する。プロットした点が密集している場合はその重み値が繰り返し加算されるため、より大きな値が平面上に現れる。m個の小領域のマッチ位置がすべて同じである場合、加算される重み値の最大値はm*pとなる。逆に、マッチ位置がまばらである場合、評価値の最大値はpとなる。偶然マッチ位置が重なる場合もあるため、無相関の画像でも評価値の最大値はpより大きくなる。このように平面に得点を付け、最も大きい得点を探す(516)。この値が2つの静脈パターンの相関となる。この値が大きい場合は本人である確率が高く、逆に小さい場合は他人である確率が高い。ただし、偶然マッチ位置が一致したために大きな相関を持つ場合もある。このときは他人を本人であると間違える確率が大きくなってしまう。そのため、評価値の最大値を生じる位置からある半径の円内にプロットされた点が少ない場合は、偶然評価値が高くなったものと判断(518)し、他人であると判定する(520)。
図16は本発明を実施した際の性能評価と別方式による性能評価の比較結果である。別方式とは、指画像を獲得してから認証が終了するまでの手法が本発明とは異なる。その手法とは、獲得した画像に対して一様にフィルタをかけることで静脈パターンを強調し、登録テンプレートと画像の2次元畳み込み演算を行い、指の短軸方向におけるピークの鋭さを評価する方法である。性能評価にあたり、678人の被験者の小指を各人4枚ずつ撮像し、そのうちの1枚を登録テンプレートと見做し、本人及び他人の指画像との照合を行った。照合の方法は、全被験者の登録テンプレートすべての組み合わせを照合することで本人と他人の静脈パターンの照合を行う。また登録テンプレートではない指画像とその同一人物の登録テンプレートとの照合を行う。
照合の結果、本人を他人と誤る本人拒否率(FRR: False Reject Rate)と、他人を本人と誤る他人受入率(FAR: False Accept Rate)が求められる。ここでは性能評価として、FRRとFARの関係を用いる。(a)は登録テンプレートとその同一人物の別画像の照合において、別画像を1枚だけ利用した場合の性能評価の比較結果である。FRRとFARは共に小さいほど良いが、本発明におけるFRRとFARは、全体マッチングを行った時点で既に別手法による結果よりも10分の1程度に小さくなっていることが分かる。さらに、分割マッチングまで行った場合はさらに良い結果が生じている。(b)は登録テンプレートとその同一人物の別画像の照合において、別画像の3枚のうち最も良い結果を生じる画像を選んだ場合の性能評価の比較結果である。別手法による結果では、依然として本人と他人を正しく区別できないデータが存在するが、本発明による手法では完全に本人と他人を正しく区別することができる。これらの結果より、本発明の効果は大きいことが結論付けられる。
本発明は、人間の指を透過した光を撮像して得られる静脈パターンを利用して個人認証を行う技術として有用である。
1…指静脈パターン入力インターフェース、2…光源、3…光学フィルタ、4…CCDカメラ、5…画像キャプチャボード、6…計算機、7…インターフェース、8…メモリ、9…CPU、10…外部記憶装置、20…指、22…指挿入口、30…角を面取りした指静脈パターン入力インターフェース、32…横向きに指挿入口の開いている指静脈パターン入力インターフェース、33…壁、34…壁面に指挿入口を開けた指静脈パターン入力インターフェース、36…指挿入口の奥が円弧状の指静脈パターン入力インターフェース、38…クッション、40…認証請求者、42…自動ドア、43…暗証番号入力キー、44…指紋入力インターフェース、46…虹彩撮像カメラ、48…顔画像撮像カメラ、50…筆跡入力ペン、52…筆跡入力タブレット、54…マイク、60…ICカード、62…ICカードリーダ、100…指画像、104…追跡点、106…指の上側輪郭の近似直線、108…指の中心軸、110…指先、112…切り出す指画像の中心、114…切り出された指画像。

Claims (8)

  1. 筐体上に提示された指に光を照射する光源と、
    前記指を通過した前記光源からの光を撮影する撮像部と、
    を備え、
    前記光源は、前記筐体の上方側から提示された指に対して、側方から光を照射することを特徴とする生体画像撮影装置。
  2. 筐体内に配置され、前記筐体上に提示された指に光を照射する光源と、
    指に照射された前記光源からの光を撮影する撮像部と、
    を備え、
    前記光源は、前記光源の照射軸方向と異なる方向から提示された指に対して光を照射することを特徴とする生体画像撮影装置。
  3. 筐体内部に配置され、前記筐体上に提示された指に光を照射する光源と、
    前記指を通過した前記光源からの光を撮影する撮像部と、
    を備え、
    前記光源の側方に、指を前記筐体の上方側から提示可能な空間が前記筐体によって形成され、
    前記光源は、前記空間へ光を照射することを特徴とする生体画像撮影装置。
  4. 筐体上に提示された指に光を照射する光源と、
    前記指に照射された前記光源からの光を撮影する撮像部と、
    を備え、
    重力方向に移動する指を提示可能な空間が前記筐体によって形成され、
    前記光源は、重力方向と交差する方向から前記空間に向けて光を照射することを特徴とする生体画像撮影装置。
  5. 筐体上に提示された指に光を照射する光源と、
    前記指に照射された前記光源からの光を撮影する撮像部と、
    を備え、
    前記光源は、前記筐体の上方側から提示された指に対して、指の長軸側へ向けて光を照射することを特徴とする生体画像撮影装置。
  6. 前記撮像部によって撮像された画像を用いて、個人の認証を行うことを特徴とする請求項1から5迄の何れかに記載の生体画像撮影装置。
  7. 前記撮像部によって撮像される画像は、提示される指の血管または指紋の少なくともいずれかを含む画像であることを特徴とする請求項6記載の生体画像撮影装置。
  8. 筐体と、
    筐体に設置された光源と、
    前記光源からの光を撮影する撮像部と、
    前記撮像部によって撮影された画像を用いて個人認証を実行することを特徴とする生体画像撮影装置。
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