JP2013167569A - 近接場照明光学系、近接場光学顕微鏡および近接場光形成方法 - Google Patents

近接場照明光学系、近接場光学顕微鏡および近接場光形成方法 Download PDF

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拓哉 塚越
Koichi Karaki
幸一 唐木
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靖夫 佐々木
Yoshiharu Ajiki
嘉晴 安食
Isao Shimoyama
下山  勲
Kiyoshi Matsumoto
松本  潔
Tomoyuki Takahata
智之 高畑
Tetsuro Suga
哲朗 菅
Yusuke Takei
裕介 竹井
Kentaro Noda
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Abstract

【課題】所望の強度分布を有する近接場光を形成することができ、光エネルギーの利用効率が高い近接場照明光学系およびこれを用いた近接場光学顕微鏡並びに近接場光形成方法を提供する。
【解決手段】近接場照明光学系101は、照明光を射出する光源102と、光源102から射出された照明光を空間変調する位相変調素子104と、誘電率または透磁率が異方性を示し、近接場光を伝達可能な超高波数伝達媒質106であって、変調素子104により変調された照明光Lが入射されるように配置された超高波数伝達媒質106とを備える。変調素子104は、空間変調された照明光が超高波数伝達媒質106を伝達された後に、所望の強度分布を有する近接場光を形成するように、照明光を変調する。
【選択図】図1

Description

本発明は、近接場照明光学系およびこれを用いた近接場光学顕微鏡ならびに近接場光形成方法に関する。
光の波長より小さな近接場光の光スポットを形成する技術は、近接場光学顕微鏡、光情報記録、光リソグラフィなど、多くの分野で重要となりつつある。例えば、先端の尖ったカンチレバーに波長より小さなピンホールを形成し、照明用の近接場光を生成する走査型近接場光学顕微鏡(SNOM)が知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、レーザ光源から出射した光を先端が細い光ファイバプローブに入射させ、該光ファイバプローブの先端の数ナノメートルから数十ナノメートルの大きさの開口部から、近接場光を発生させる近接場照明光学系を有するSNOMも知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、等周波数曲線(等周波数曲面)が双曲線(回転双曲面)となる超高波数伝達媒質(例えば、非特許文献2参照)上にサブ波長のスリット幅のスリットを有するグレーティングを設け、このグレーティングを通して一方からレーザ光を照射することにより、超高波数伝達媒質の他方面に微小な光スポットを形成し、出射させる方法が提案されている(例えば、非特許文献3参照)。
特開2006−138633号公報
M. Yoshikawa et al., Applied Physics Letters, Vol.88, p.161905 (2006) A. Salandrino et al., Physical Review B, Vol.74, p.075103 (2006) S. Thongrattanasiri et al., Optics Letters, Vol.34, p.890 (2009) H. A. Bethe, Physical Review, Vol.66, p.163 (1943)
しかしながら、非特許文献1に記載されているように、微小ピンホールを用いて近接場光を生成する場合、ピンホールを照明する光に対してこれを通過できる光の光量が極端に少なく、光エネルギーの利用効率が極めて低いという問題がある。非特許文献4には、光(電磁波)がその波長より小さなピンホールを通過する際のエネルギー効率が定式化されているが、これによると、光の波長をλ、ピンホールの直径をaとするとき、エネルギー効率はa/λの6乗に比例する。したがって、SNOMの分解能を向上させるためにピンホールの直径を小さくすると、利用できる光エネルギーは非常に小さくなるというトレードオフの関係がある。これと同様の問題は、光情報記録や光リソグラフィにも当てはまる。
また、特許文献1のような光ファイバプローブを用いた場合も、光ファイバプローブ先端の開口部が光の波長よりも小さいので、発生する近接場光はきわめて微弱となり、ピンホールを用いる場合と同様にエネルギー効率が低いという問題点を有する。
さらに、非特許文献3の方法では、微小ピンホールを用いずにサブ波長の大きさの近接場光の光スポットを形成することが開示されているが、グレーティングの細いスリットを通り抜ける光の光量は少なく、光の利用効率という観点からの改善効果は限定的である。光を入射させるグレーティング側の領域の面積は、サブ波長の微小ピンホールに比べて広くできるが、グレーティングのスリット幅が光の波長よりずっと小さいために、上記のピンホールの場合と同様に利用できる光エネルギーが非常に小さくなってしまう。
上記のような課題に鑑みて、本発明の目的は、所望の強度分布を有する近接場光を形成することができ、光エネルギーの利用効率が高い近接場照明光学系およびこれを用いた近接場光学顕微鏡ならびに近接場光形成方法を提供することにある。
上記目的を達成する第1の観点に係る近接場照明光学系の発明は、
照明光を射出する光源と、
前記光源から射出された前記照明光を空間変調する変調素子と、
誘電率または透磁率が異方性を示し、近接場光を伝達可能な超高波数伝達媒質であって、前記変調素子により変調された前記照明光が入射されるように配置された超高波数伝達媒質とを備え、
前記変調素子は、空間変調された前記照明光が前記超高波数伝達媒質を伝達された後に、所望の強度分布を有する近接場光を形成するように、前記照明光を変調することを特徴とするものである。
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る近接場照明光学系において、前記変調素子は、前記照明光を位相変調することを特徴とするものである。
第3の観点に係る発明は、第2の観点に係る近接場照明光学系において、前記変調素子は、前記照明光の波長よりも小さい最小寸法により、前記照明光を位相変調することを特徴とするものである。
第4の観点に係る発明は、第3の観点に係る近接場照明光学系において、前記変調素子は、前記超高波数伝達媒質を伝達された前記照明光が、該照明光の波長よりも直径が小さい近接場光の光スポットを形成するように、前記光源から射出された前記照明光を変調することを特徴とするものである。
第5の観点に係る発明は、第2〜4の観点の何れかに係る近接場照明光学系において、
前記変調素子は、前記照明光の射出方向に対して略直交する平面上に配置された誘電率の異なる2種類以上の誘電体を含む構造体を備えることを特徴とするものである。
第6の観点に係る発明は、第2〜5の観点の何れかに係る近接場照明光学系において、前記変調素子は、前記近接場光の前記所望の強度分布から、フーリエ変換を用いて、前記超高波数伝達媒質の前記変調素子側の面に与えるべき前記照明光の複素振幅を計算することにより設計されることを特徴とするものである。
第7の観点に係る発明は、第6の観点に係る近接場照明光学系において、前記変調素子は、前記複素振幅を2値化することにより設計されることを特徴とするものである。
第8の観点に係る発明は、第2〜7の観点の何れかに係る近接場照明光学系において、前記変調素子と前記超高波数伝達媒質とは、密着して形成されることを特徴とするものである。
第9の観点に係る発明は、第2〜8の観点の何れかに係る近接場照明光学系において、前記変調素子は、前記照明光を前記位相変調するとともに振幅変調することを特徴とするものである。
第10の観点に係る発明は、第1の観点に係る近接場照明光学系において、前記変調素子は、前記照明光の波長よりも小さい最小寸法の並進対称な微細構造を有し、前記光源は、該光源から射出される照明光が、前記変調素子に対して前記所望の強度分布に対応した所定の強度および入射角の分布で入射するように構成されていることを特徴とするものである。
第11の観点に係る発明は、第10の観点に係る近接場照明光学系において、前記変調素子は前記超高波数伝達媒質と密着して形成されていることを特徴とするものである。
第12の観点に係る発明は、第10または11の観点に係る近接場照明光学系において、前記変調素子は、ガラス基板上に形成されることを特徴とするものである。
第13の観点に係る発明は、第10〜12の何れかの観点に係る近接場照明光学系において、前記光源から射出される照明光は、前記光源側よりも前記超高波数伝達媒質側のビーム径が狭くなる中空のテーパー形状であることを特徴とするものである。
第14の観点に係る発明は、第10〜13の何れかの観点に係る近接場照明光学系において、前記所望の強度分布は、前記照明光の波長よりも小さい直径を有する光スポットであることを特徴とするものである。
第15の観点に係る発明は、第1〜14の何れかの観点に係る近接場照明光学系において、前記超高波数伝達媒質の異方軸が、前記変調素子の変調面に略垂直であることを特徴とするものである。
第16の観点に係る発明は、第1〜15の何れかの観点に係る近接場照明光学系において、前記照射光が真空中を伝搬する際の波数により規格化した前記超高波数伝達媒質の異方軸に直交する平面内における波数の絶対値が、0以上5未満の光を伝達可能であることを特徴とするものである。
第17の観点に係る発明は、第1〜16の何れかの観点に係る近接場照明光学系において、前記超高波数伝達媒質の等周波数曲面が回転双曲面であることを特徴とするものである。
上記目的を達成する第18の観点に係る近接場光学顕微鏡の発明は、
照明光を射出する光源と、
前記光源から射出された前記照明光を変調する変調素子と、
誘電率または透磁率が異方性を示し、近接場光を伝達可能な超高波数伝達媒質であって、前記変調素子により変調された前記照明光が入射されるように配置された超高波数伝達媒質と、
前記超高波数伝達媒質に入射する前記照明光を走査する走査部と、
前記試料からの光を受光する受光部と、
を備え、
前記変調素子は、前記超高波数伝達媒質を伝達された前記照明光が、該照明光の波長よりも小さい近接場光の光スポット光を形成するように、前記光源から射出された前記照明光を位相変調し、前記試料は前記近接場光を散乱し、または、前記近接場光を受けて光を発することを特徴とするものである。
上記目的を達成する第19の観点に係る近接場光学顕微鏡の発明は、
照明光を射出する光源と、
前記照明光の波長よりも小さい最小寸法の並進対称な微細構造を有し、前記照明光を変調する変調素子と、
誘電率または透磁率が異方性を示し、近接場光を伝達可能な超高波数伝達媒質であって、前記変調素子により変調された前記照明光が入射されるように配置された超高波数伝達媒質と、
前記変調素子に対して、前記光源をからの前記照明光を走査する走査部と、
前記試料からの光を受光する受光部と、
を備え、
前記変調素子と前記超高波数伝達媒質とは互いに固定され、前記光源は、該光源から射出される照明光が、前記超高波数伝達媒質を伝達された後、該照明光の波長よりも小さい近接場光の光スポットを形成するように、前記変調素子に対して所定の強度および入射角の分布で入射し、前記試料は前記近接場光を散乱し、または、前記近接場光を受けて光を発することを特徴とする近接場光学顕微鏡。
第20の観点に係る発明は、第19の観点に係る近接場光学顕微鏡において、前記光源から射出される照明光は、前記光源側よりも前記超高波数伝達媒質側のビーム径が狭くなる中空のテーパー形状であることを特徴とするものである。
上記目的を達成する第21の観点に係る近接場光形成方法の発明は、
照明光を空間変調し、
前記空間変調された照明光を、誘電率または透磁率が異方性を示し近接場光を伝達可能な超高波数伝達媒質に入射させ、
前記超高波数伝達媒質を伝達された後に、前記空間変調に応じた所望の強度分布を有する近接場光を形成させることを特徴とするものである。
本発明によれば、変調素子が照明光を変調して、超高波数伝達媒質を伝達された照明光が所望の強度分布を有する近接場光を形成するように構成されるので、所望の強度分布を有する近接場光を形成することができ、光エネルギーの利用効率が高い近接場照明光学系を提供することができる。
第1実施の形態に従う近接場照明光学系の構成を示す図である。 図1の超高波数伝達媒質の等周波数曲線を示す図である。 微小光源から超高波数伝達媒質に入射した光の像がボケる様子を模式的に示す図である。 超高波数伝達媒質を伝達される照明光による微小光スポットの形成を模式的に示す図である。 シミュレーションに用いた光学系の構成のモデルを示す図である。 図1の位相変調素子の構造を示す図である。 シミュレーションにより得られた観察面でのエネルギー密度分布を示す図である。 図1の位相変調素子と超高波数伝達媒質とを一体とする部材の断面を示す斜視図である。 図1の位相変調素子の位相変調面と超高波数伝達媒質の異方軸との配置関係を説明するための模式図である。 超高波数伝達媒質の楕円の等周波数曲線を示す図である。 第2実施の形態に従う位相変調素子と超高波数伝達媒質とを一体とする部材の断面を示す斜視図である。 第3実施の形態に従う位相変調素子と超高波数伝達媒質とを一体とする部材の断面を示す斜視図である。 第4実施の形態に従う近接場照明光学系の位相変調素子と超高波数伝達媒質とを含む部材の断面図である。 本発明の第5実施形態に従う近接場光学顕微鏡のシステム構成の一例を示す図である。 図14における位相変調素子と超高波数伝達媒質の位置関係を説明するための模式図である。 図15aの微小光スポットのx軸方向の強度分布を示す図である。 第6実施の形態に従う位相変調素子の構造の一例を示す図である。 第7実施の形態に従う近接場光学顕微鏡のシステム構成の一例を示す図である。 図17の微小光スポット生成部材を拡大して示す図である。 図17の近接場照明光学系により形成される微小光スポットの強度分布を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施の形態)
図1は、第1実施の形態に従う近接場照明光学系の構成を示す図である。近接場照明光学系101は、光源102と、遮光部材103と、位相変調素子104と、超高波数伝達媒質106を備える。
光源102には、例えば、レーザダイオード等が用いられる。光源102の照明光Lの出射側には、超高波数伝達媒質106が配置され、超高波数伝達媒質106の光源102側の面には、外周を遮光部材103で囲まれた、位相変調素子104が配置されている。位相変調素子104は、超高波数伝達媒質106を伝達され出射する照明光が、その出射側において照明光の波長よりも微小な構造を有する近接場光(一般に「エバネッセント波」とも呼ぶ)を形成するように照明光を位相変調するために、照明光の波長よりも小さい最小寸法を有する。位相変調素子104の位相変調面は、例えば、照明光の射出方向に対して略直交する平面上に配置された誘電率の異なる2種類以上の誘電体を含む構造体により構成される。ここで、誘電体の一つは空洞とすることもできる。すなわち、空洞は誘電体であるとみなすことができる。超高波数伝達媒質106は、誘電率または透磁率が異方性を示し、近接場光を伝達可能な部材である。
以下に、位相変調素子104と超高波数伝達媒質106との構成および作用についてシミュレーションを用いて説明する。図2は、図1の超高波数伝達媒質106の等周波数曲線を示す図である。図2およびそれ以降のシミュレーションでは簡単のため2次元のモデルを用いているが、3次元の場合にも同様に説明できる。以下では、光源102は、波長365nmのレーザ光を出射するものとする。超高波数伝達媒質106は、例えば、金属・誘電体多層膜や金属ナノワイヤーアレイを用いて構成することができる。金属・誘電体多層膜の例として、図2には、AgとAlを交互に積層した多層膜構造の等周波数曲線を示す。等周波数曲線とは、その媒質中で所定の周波数の光に許される波数ベクトルkの成分間の関係を軌跡として表したものであり、図2では、真空中での波数で規格化した値が図示されている。等周波数曲線とサブ波長イメージングとの関係については、非特許文献2およびその中の引用文献に詳しく説明されている。
通常の等方的な媒質ではx軸方向とz軸方向は等価なので、等周波数曲線は図2に破線で示すような円(3次元の場合には球面)となる。波長365nmの光に対するAgの誘電率は−2.56+0.60i、Alの誘電率は3.22であり、これらを同じ厚さで積層したときの有効誘電率は、ε=0.33+0.30i、ε=−10.7+15.6iとなる。有効誘電率の実数部がx軸方向とz軸方向とで異なる符号をとるため、等周波数曲線は図2に示すような双曲線(3次元の場合には回転双曲面)となる。
真空中では、kの絶対値が1より大きい光には伝搬モード(対応するkの値)がないため、いわゆる近接場光となり、これによって回折限界が生じる。一方、超高波数伝達媒質106(AgとAlの多層膜)の場合には、任意のkに対してこれに対応するkの値が必ず存在するため、x軸上のどんなに微細な光学的情報もz軸方向へ伝搬させることが可能となる。つまり、回折限界が存在しないので、近接場光も伝播することができる。所定のkの値をもつ光の群速度の向きは、等周波数曲線の法線(図2のνg1〜νg3)で与えられる。超高波数伝達媒質106の等周波数曲線はわずかながら曲率を持つため、例えばk=0の場合とk=3の場合とでは、群速度の向きがわずかに異なっている。
例えば、超高波数伝達媒質106に入射する光を、位相変調素子104ではなく、ピンホールのような(波長に比べて)微細な構造で変調すると、そこには様々なkの値をもつ光の空間モードが含まれているが、これらはz方向へ伝搬するにつれてx方向には互いに位置ズレが生じ、超高波数伝達媒質106を通過したのちに形成されるピンホールの像はボケてしまう。超高波数伝達媒質106が薄い場合には、x方向の位置ズレも小さいので良好なピンホール像が得られるものの、超高波数伝達媒質106が厚くなると、この位置ズレが蓄積し、ピンホール像がしだいにボケてしまう。
この様子を、図3に模式的に示す。微小光源(ピンホール)121から発する光のうち、超高波数伝達媒質106を伝搬するkの絶対値が異なる3本の光線L11〜L13(伝搬光)が図示されている。光線L11〜L13は、図2のνg1〜νg3にそれぞれ対応しており、光線L12は0<k<1を満たすkに対応する光線である。3つの光線は群速度の向きが異なるため、超高波数伝達媒質106中を伝搬するにつれて光線群は広がってゆく。超高波数伝達媒質106を通過してのちに、外部(真空中)では、光線L11および光線L12は、図2の真空に対する等周波数曲線の法線の方向へ進行する。一方、光線L13は超高波数伝達媒質106の外部では近接場光となるため、超高波数伝達媒質106から遠方へは伝わらない。
図4は、超高波数伝達媒質106を伝達される照明光による微小光スポットの形成を模式的に示す図であり、本発明に係る基本的な考え方を説明するものである。光線L21〜L23は、図2および図3で用いた3つの異なるkの値に対応する光線(超高波数伝達媒質106を通る伝搬光)である。各光線は超高波数伝達媒質106の上面の異なる位置から発し、超高波数伝達媒質106を通過し下面の同じ位置から出射するようにされている。ここでは簡単のために光線という概念を用いたが、フーリエ光学の理論によれば、個々の光線は無限に広がった平面波に対応し、これら無数の平面波の重ね合わせが実際に観測される光の振幅分布に一致する。つまり、この重ね合わせに相当する光の振幅および位相の分布を、超高波数伝達媒質106の上面に与えれば、その下面には照明光の波長よりも直径の小さい微小光スポット122が生じることになる。図3における超高波数伝達媒質106の下面に生じる光の複素振幅分布が何らかの手段で得られたとすると、図4における超高波数伝達媒質106の上面に与えるべき照明光の複素振幅分布はその複素共役であることが容易にわかる。
このような方法で微小光スポット122が得られることを確認するため、図5に示すような光学系の構成のモデルを用いて、電磁界シミュレーションを行った。電磁界シミュレーションには、有限要素法を用いた市販ソフトウェア(COMSOL社製「COMSOL Multiphysics」)を利用した。この光学系の構成では、幅6μm、高さ6μmの超高波数伝達媒質106の上面を遮光部材103で被覆し、その一部に幅1.95μmの位相変調素子104を設けた。超高波数伝達媒質106としては、AgとAlの多層膜を想定し、前述の有効誘電率をもつ有効媒質とした。また、遮光部材103にはAlを用い、厚さは100nmとした。位相変調素子104の代わりに、位相変調素子104の中心に対応する位置に幅50nmの開口を設け当該開口以外を遮光した場合も、比較例として解析した。いずれの場合にも入射光Lは波長365nmとし、x方向に直線偏光した平面波とした。入射光Lの電場の値は1V/mである。超高波数伝達媒質106の下面から距離dの位置に観察面Soを設け、観察面Soにおけるエネルギー密度の分布を調べた。距離dを変化させればこの分布は変化するが、エネルギー密度が最も高くなる観察面Soを選ぶものとした。
位相変調素子104の構造を図6に示す。与えるべき位相変調は、幅50nmの開口を通過した光の分布(階段関数)をフーリエ変換し、これに図2の等周波数曲線から求めた伝達関数を乗じて逆フーリエ変換したものとした。伝達関数とは、exp(ikz)で与えられる関数で、波動光学的な複素振幅透過率に相当する。zは超高波数伝達媒質106の厚さを表し、図5に示したように6μmとした。このように計算して得られる複素関数は連続的な位相変化を示すが、位相変調素子104の構造を単純なものとするために、位相を2値化するとともにその分布を離散化した。すなわち、位相が0〜πのときにはπ/2とし、π〜2πのときには3π/2とした。また、空間的な分布に関しては、x軸方向を照明光の波長より小さい50nm間隔の最小寸法に分割し、1つの間隔の中でπ/2の位相が大きな領域を占めていれば、その間隔は全て位相がπ/2であるものとした(位相が3π/2の場合も同様)。すでに述べたように、計算して得られた位相分布に対して、実際には複素共役をとる必要があるが、このように位相を2値化した場合にはその必要がないことは明らかである。このようにして得られた位相分布を与えるための位相変調素子104の構造の例を図6に示している。この位相変調素子104では、2値化された位相に応じて50nmの間隔ごとに誘電体131または空洞132が配置される。誘電体131の誘電率(7.98)と位相変調素子104の厚さ(100nm)は、波長365nmの光が誘電体131と空洞132とを通過した際に生じる位相差が、概ねπとなるように設定されている。
このような解析モデルにより得られる観察面Soでのエネルギー密度分布を図7に実線で示す。比較のため、位相変調素子104に代えて、幅50nm程度の微小開口を設けた場合の結果も破線で併せて示している。微小開口を用いた場合には、エネルギー密度のピーク値は約1×10−13J/m、エネルギー密度の半値全幅は120nmであった。これに対して、位相変調素子104を用いた場合には、エネルギー密度のピーク値は約1.6×10−12J/m、エネルギー密度の半値全幅は60nmであった。つまり、位相変調素子104を用いた方が、エネルギー密度が16倍高くなっており、より明るい光スポットが形成できることがわかる。さらに、エネルギーピークの半値全幅が概ね半分になっており、位相変調素子104を用いた方が、より微小な光スポットを形成できることもわかる。
位相変調素子104およびその動作原理を説明するため、上述のシミュレーションでは、専ら1次元の位相変調を用いた。図8は、このシミュレーションに基づく本実施の形態の位相変調素子104と超高波数伝達媒質106とを密着して形成した部材の断面を示す斜視図である。位相変調素子104は、xy平面に平行な面内にx軸方向に延びる誘電率の異なる複数の角柱用の誘電体材料を、y軸方向に配列することにより、位相を1次元的に変調するための構成である。細長い角柱状の誘電体材料を交互に並べることにより、これを通過する光に位相変調を施すことができる。これによって、超高波数伝達媒質106からは、y軸方向に延びる照明光の波長よりも狭い細線状の近接場光が形成される。本実施の形態では、細線が所望の強度分布である。
図9は、図1の位相変調素子104の位相変調面と超高波数伝達媒質106の異方軸との配置関係を説明するための模式図である。超高波数伝達媒質106は一般に1軸異方性を示す場合が多い。つまり、超高波数伝達媒質106の誘電率テンソルが対角行列となるように座標系をとると、その3つの対角成分のうち1つが他の2つと異なる値をもつ。ここでは、誘電率のx成分とy成分とが等しく(εとする)、z成分(ε)がこれとは異なる値をとるものとする。このようにとった座標系において、z軸を異方軸と呼ぶことにする。図2に示したように、超高波数伝達媒質106であるための条件は、εが正の値を、εが負の値を、それぞれとることである。一方、位相変調素子104において異なる誘電率の異なる材料を配列する面を位相変調面Smと呼ぶことにする。フーリエ変換により超高波数伝達媒質106の上面に与えるべき複素振幅分布を算出するプロセスは、位相変調素子104により変調された光が超高波数伝達媒質106の異方軸方向へ伝搬することを前提にしている。したがって、超高波数伝達媒質106の下面に所望の光強度分布の近接場光を形成するためには、異方軸が位相変調面Smに垂直であることが望ましい。ただし、両者の関係が垂直からわずかにずれていたとしても、所望の光強度分布に近い分布を得ることはできる。特に、微小光スポット122(ただし、この場合はxz面内の1次元のスポット)を形成する場合には、異方軸が位相変調面Smに垂直な場合と比較して、微小スポット122の形成される位置がわずかにずれるものの、微小光スポット122は形成可能である。
以上説明したように、本実施の形態によれば、超高波数伝達媒質106を出射する照明光が1次元的な光スポット(細線状の光源)を形成するように、位相変調素子104が誘電率の異なる誘電体を用いて照明光を位相変調するので、超高波数伝達媒質106から照明光の波長よりも狭い細線状の照明光を形成することができる。位相変調素子104の光源102からの照明光が入射する入射面は照明光の波長よりも大きく、位相変調素子104を構成する誘電体は、光源102からの照明光を遮光するものではないので、光エネルギーの利用効率が高い近接場照明光学系101を提供することができる。また、位相変調素子104を2種類の誘電体を用いて構成したことにより、製造が容易である。
なお、第1実施の形態では、超高波数伝達媒質106は、図2で示したような双曲線(3次元の場合回転双曲面)の等周波数曲線(面)を有するものとしたが、これに限られない。例えば、楕円(3次元の場合回転楕円面)の等周波数曲線(面)を有する超高波数伝達媒質を用いることも可能である。図10は、εを真空中の誘電率に対するz軸(光学軸)方向の相対誘電率とし、εをz軸方向に垂直な方向の相対誘電率としたときの、ε=1,ε=1の場合(真空中における分散)、ε=9,ε=9の場合(以下、高屈折率)、およびε=1,ε=25の場合(以下、通常異方性)についての等周波数曲線を示している。波数ベクトルkおよびkは、図2と同様に真空中での波数で規格化した値を図示している。
真空中における分散では、前述のようにkの絶対値が1より大きい光は伝搬モードが無く近接場光となる。一方、図10の通常異方性の場合は、|k|≦5の範囲の光は、kに対応するkの値が存在するので、z方向へ伝搬できる。等周波数曲線上にある各点は、波として伝搬しうる電磁波の波数ベクトルを表しているので、この各点において電磁波の群速度が規定される。図2の場合と同様に、kの値を持つ群速度の向きは等周波数曲線の法線で与えられる。図10から解るように、伝搬可能なkの範囲(図10においては、kの絶対値が0以上5未満の範囲)を大きくした通常異方性の材料では、等周波数曲線上の多くの点で群速度が光学軸(z軸)に近い向きをもつことがわかる。この傾向は、楕円のk方向を長くするほど顕著になる。
一方、図10の高屈折率に対する等周波数曲線は、屈折率が3の誘電体を表している。しかし、ガラスやプラスチックなどの光学材料(誘電体)は、可視光に対して概ね1.3〜2.1程度の屈折率を有し、屈折率が3を超えるような光学材料は、自然界に存在しない。
これに対し、例えば、人工的な構造に由来する誘電率異方性を有する媒質を用いると、z軸方向の実効的な誘電率εを9(解像力を3倍に向上できる値)よりずっと大きくすることができ、高屈折率材料を用いる場合よりもkの絶対値の大きな近接場光を伝達できる。
超高波数伝達媒質106として楕円(3次元の場合回転楕円面)の等周波数曲線(面)を有するものを用いた場合でも、本実施の形態で説明したと同様の方法により、照明光が超高波数伝達媒質106を伝達された後に、微小光スポットを形成するように位相変調素子104を構成することができる。これにより、第1実施の形態と同様の効果を有する近接場照明光学系101が得られる。また、以下の実施の形態においても、超高波数伝達媒質として、楕円(回転対称楕円面)の踏襲波数曲線(面)を有する媒質を使用できる。
(第2実施の形態)
図11は、第2実施の形態に従う近接場照明光学系の位相変調素子104と超高波数伝達媒質106とを一体とする部材の断面を示す斜視図である。本実施の形態は、第1実施の形態において、位相変調素子104を1次元的ではなく、2次元的に構成したものである。具体的には、位相変調素子104を、x軸方向およびy軸方向に延びる複数の境界面で区画され2次元的に配置された、誘電率の異なる誘電体からなる矩形のブロックで構成する。矩形のブロックの最小寸法は、照明光の波長よりも小さい。誘電率の異なる材料を、2次元的に並べることにより、これを通過する光を2次元的に変調する。
超高波数伝達媒質106の下面に例えば所望の強度分布として微小光スポット(2次的なスポット(点))を形成させる場合を考える。光スポットが微小であるということは、一般にはxy平面内の微小な領域に局在することを意味する。したがって、超高波数伝達媒質106の上面に与えるべき複素振幅分布(前述したフーリエ変換により計算される)は、xy平面内における2次元の分布となる。位相変調素子104の2次元的に配列した誘電体による誘電率分布によって、この複素振幅分布を模することで、超高波数伝達媒質106の下面に所望の光スポットを形成することができる。これによって、近接場光学顕微鏡等で利用可能な近接場光の微小光スポットが得られる。なお、図11の構成によって形成できる光の分布は、微小光スポットに限定されるものではない。超高波数伝達媒質106の下面に形成したい所望の光強度分布に対して、その上面(位相変調素子104側の面)に与えるべき複素振幅分布を、全く同様の方法で算出することができる。
(第3実施の形態)
図12は、第3実施の形態に従う近接場照明光学系の位相変調素子104と超高波数伝達媒質106とを一体とする部材の断面を示す斜視図である。本実施の形態では、第2実施の形態において、誘電率の異なる材料を矩形のブロックではなく、円環状に配置した位相変調素子104が示されている。この構造で形成できる光強度分布は、回転対称な分布に限られるが、例えば円形の微小光スポットなどを形成することができる。本質的に2次元の分布である微小光スポットを形成する場合でも、1次元の複素振幅分布を計算してこれを回転させることにより位相変調素子104の構造を決定することができるので、位相変調素子104の設計が容易である。
(第4実施の形態)
図13は、第4実施の形態に従う近接場照明光学系の位相変調素子104と超高波数伝達媒質106とを含む部材の断面図である。本実施の形態は、第1実施の形態において、超高波数伝達媒質106上に遮光部材103と位相変調素子104とを形成するのではなく、ガラス基板123上に、蒸着あるいはスパッタリングにより遮光部材103を形成する。次に、エッチングにより遮光部材103の一部を除去し、誘電体層から成る位相変調素子104で置き換える。その後、超高波数伝達媒質106を遮光部材103および位相変調素子104上(図13において下側)に形成する。なお、超高波数伝達媒質106は別の基板上に形成しておき、遮光層へ貼り合わせたのちに基板を除去してもよい。
図6では、誘電体131と空洞132の誘電率差を利用して位相変調を与える構成としたが、もちろん誘電率の異なる2種類の誘電体を利用することもできる。この場合には、空洞がないので、超高波数伝達媒質106を構成する際の加工プロセスをより自由に選ぶことができる。また、誘電率の異なる3種類以上の誘電体(うち一種類は空洞でもよい)を用いれば、より精細な位相変調を与えることが可能となる。
本実施の形態によれば、ガラス基板123上に、遮光部材103と位相変調素子104とを形成し、さらに、超高波数伝達媒質106を形成し、または、超高波数伝達媒質106と貼り合わせるので、第1実施の形態の近接場照明光学系に比べ製造が容易である。さらに、位相変調素子104および超高波数伝達媒質106はガラス基板123により支持されるため、超高波数伝達媒質106を薄くすることができる。したがって、光の透過率の低い超高波数伝達媒質106による照明光の減衰を少なくし、微小光スポット122の強度を高めることができる。なお、本実施の形態は、第2および第3実施の形態のように、位相変調素子104を2次元的に構成した場合にも適用可能である。
(第5実施の形態)
図14は、本発明の第5実施形態に従う近接場光学顕微鏡のシステム構成の一例を示すものである。近接場光学顕微鏡100は、走査部105と、光源102と、遮光部材103と、位相変調素子104と、超高波数伝達媒質106と、受光部112と、ハーフミラー113と、結像レンズ114と、撮像素子115と、光学顕微鏡用照明部(以下、光顕用照明部と称する)116と、を備える。
光源102には、例えば、レーザダイオード等が用いられる。この場合、照射される光は1mm程度のビーム径をもつ。光源102のレーザ光の出射側には、外周部を遮光部材103で囲まれた、位相変調素子104が配置される。位相変調素子104は、超高波数伝達媒質106を伝達され試料107に出射する照明光が試料表面で微小な光スポットを形成するように、照明光を位相変調するための照明光の波長よりも小さい微細構造を有する。位相変調素子104は、第2および第3実施の形態と同様に2次元的に配置された誘電体と空洞、または、異なる誘電率を有する2種類以上の誘電体で構成できる。また、位相変調素子104の幅は、照明光の波長よりも大きく、例えば、数μm〜数十μmとすることができる。
また、走査部105は、例えばモーターで駆動されるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナや、ピエゾ素子を用いた電動ステージで構成されており、超高波数伝達媒質106の表面に沿って、遮光部材103および位相変調素子104の位置を連続的に変化させることができる。走査部105は遮光部材103および位相変調素子104のみを変位させても良く、遮光部材103および位相変調素子104とともに光源102を変位させても良い。後者の場合、光源102、遮光部材103、および、位相変調素子104は、一体として構成されていても良い。これによって、超高波数伝達媒質106に対して、位相変調素子104で変調された照明光が走査される。
超高波数伝達媒質106は、試料107と位相変調素子104との間に配置される。位相変調素子104と超高波数伝達媒質106との間には、超高波数伝達媒質106上で位相変調素子104を走査させるために、光源102からの照明光の波長よりも狭い間隙(ギャップ)が設けられる。一方、超高波数伝達媒質106は、スライドガラス117に載置された試料107の上部から試料107に密着して配置されるカバーガラスとしても機能する。超高波数伝達媒質106は、第1実施の形態の超高波数伝達媒質106と同様に構成することができる。
図15aは、位相変調素子104と超高波数伝達媒質106の位置関係を説明するための模式図である。位相変調素子104と超高波数伝達媒質106との間のギャップ(g)は小さいほど望ましい。このギャップが形成する空間では光の波長で決まる波数よりも大きな波数成分は近接場光となって減衰するが、このときの減衰の程度は波数が大きいほど大きい。図15(b)は、x軸に対する微小光スポットの光強度分布を示している。このグラフにおいて、横軸は超高波数伝達媒質106の下面でのx方向の位置を、縦軸は光強度を示している。ギャップがない場合は曲線(1)のように鋭いピークを示すが、ギャップ(g)が大きくなるにつれて、(1)から(2)、(3)へと次第にぼやけたスポットとなる。超高波数伝達媒質106の試料107側に出射される微小な光スポットの大きさwは、概ねギャップ(g)に等しい。
試料107としては、例えば、波長Eλの光で励起されると波長Fλの蛍光を発する蛍光色素が拡散されているものを用いることができる。試料107中の蛍光色素は、光源102から位相変調素子104、超高波数伝達媒質106を介して伝達される照明光により形成された近接場光の微小光スポット122によって励起される。蛍光色素は試料107の中に直接拡散していてもよいし、蛍光ビーズのような加工された状態で試料107に含まれていてもよい。あるいは、GFP(Green Fluorescent Protein)などの蛍光タンパク質を試料107に結合させ、試料107の中の特定の部位や機能を観察できるようにしてもよい。
受光部112は、対物レンズ108と、ダイクロイックミラー109と、フィルタ110と、受光素子111とを備える。ダイクロイックミラー109は、試料107で発生して、カバーガラス117および対物レンズ108を通過した蛍光の一部を受光素子111に向けて反射させ、光顕用照明部116から射出された照射光を試料107に向けて透過させる光学特性を有する。また、フィルタ110は、ダイクロイックミラー109で反射された光から励起光を除去し、蛍光を透過させる。受光素子111は、フィルタ110を通過した蛍光を検出する。
光源102から射出された光(波長Eλ)は、位相変調素子104へ照射される。位相変調素子104を通過した光は、位相変調素子104により位相変調を受けて、超高波数伝達媒質106に入射する。超高波数伝達媒質106を伝達された光は、超高波数伝達媒質106に接する試料107に、近接場光の微小な光スポットを形成する。これによって、試料107中の蛍光色素が励起され、蛍光が発生する。
一般に、蛍光色素や量子ドットを用いて蛍光を発生させる場合、励起光に対して蛍光の強度は非常に弱い。したがって図14に示すシステム構成においても、蛍光だけでなくそれより高強度の励起光も対物レンズ108へ入射する。しかし、フィルタ110は励起光を除去し、蛍光を透過させるよう設計されているため、蛍光だけが受光素子111によって検出される。
超高波数伝達媒質106によって試料107まで運ばれた照明光は、空気中あるいは試料中では近接場光であるため、試料107へ入射した点の近傍にだけ広がり、それ以上遠方へ伝わることはない。つまり、試料107に蛍光色素がまんべんなく拡散していたとしても、近接場光が入射した点のごく近傍にある蛍光色素だけが励起されるため、受光部112は照明光の波長より小さな領域の局所的な情報(この場合は蛍光色素の空間分布)だけを検出することになる。したがって、上記のような信号光検出の過程を所定の時間だけ続ければ、試料表層の微小領域で起きている現象がどのように時間変化するかを調べることができる。
このとき、走査部105による走査により、照明光が照射される試料表面の位置も変化させ、受光素子111により検出される信号光の光量の時間変化を試料107の表面上の位置に対応させることによって、試料107の表面の蛍光色素分布を得ることができる。
一方、ハーフミラー113と、結像レンズ114と、撮像素子115と、光顕用照明部116とは、試料107の状態をリアルタイムで観察するための光学系である。光顕用照明部116から射出された照射光は、ハーフミラー113、ダイクロイックミラー109を経て対物レンズ108によって試料107上の観察領域に照射される。そして、試料107に作用した光が試料107から放射される。この光は、その一部が再び対物レンズ108に入射し、特定波長の光がダイクロイックミラー109で反射されてフィルタ110を経て受光素子111によって受光される。ダイクロイックミラー109を透過した光は、ハーフミラー113で反射されて結像レンズ114により撮像素子115に結像される。撮像素子115の出力は、画像処理回路(図示しない)で画像処理され、モニタ等に供給される。こうした光学的観察方法は、落射照明による従来の光学顕微鏡と同じ動作である。試料107が透過性を有する場合等には、試料107を介して光学顕微鏡と反対側に、試料107を透過照明するための照明手段を配置することができる。
以上は、蛍光観察を例にとって近接場光学顕微鏡100の動作を説明したが、それ以外の光学過程に対しても同様の作用が期待される。例えば、試料107の表面に凹凸がある場合、あるいは試料107中に密度や組成のゆらぎがある場合、照明光は試料107の表面で散乱される。このとき生じる散乱が、ラマン散乱などのように光周波数の変化を伴う散乱である場合には、さきほどの蛍光と同様にして、照明光と散乱光とをフィルタ110によって分離することができる。一方、レイリー散乱やミー散乱のような弾性散乱である場合には、そのようなフィルタ110の効果は期待できない。しかしながら、蛍光やラマン散乱に比べて、弾性散乱された光の強度はきわめて大きいので、信号光と一緒に検出される照明光は許容水準のノイズ光として扱うことができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、位相変調素子104が、光源102から射出された照明光を位相変調し、超高波数伝達媒質106を伝達された照明光が、該照明光の波長よりも小さい光スポットを形成するようにした。したがって、位相変調素子104の光源102からの照明光が入射する入射面は照明光の波長よりも大きく、位相変調素子104を構成する誘電体は、光源102からの照明光を遮光するものではないので、光エネルギーの利用効率が高い近接場光学顕微鏡観察が可能となる。
なお、本実施の形態で、超高波数伝達媒質106と試料107とは接するものとしたが、近接場光の伝達される照明光の波長より短い距離であれば、離して配置することも可能である。
(第6実施の形態)
図16は、第6実施の形態に係る位相変調素子104の構造の一例を示す図である。本実施の形態は、第1実施の形態において、位相変調素子104を、2種類の誘電体(第1の誘電体133、第2の誘電体134)と遮光材料135とによって構成したものである。遮光材料135としては、金属や半導体、あるいは透明樹脂に色素や微粒子を分散させた材料を用いることができる。この位相変調素子104へ入射した光は、位相だけでなく振幅(強度)も変調される。したがって、より緻密な光の変調を行うことができ、形成される光強度分布(微小光スポット)もより正確なものとすることができる。遮光材料135を半透明とすることで光を一部透過させることも可能である。
フーリエ変換により算出される複素振幅分布は、本来、その振幅も位相も連続的な値をとっている。図6の例では、位相を2値化(π/2または3π/2で近似)して変調し、振幅は全て等しいものとした。このような近似をすることで、本来形成されるべき微小光スポットとはわずかに異なる分布が形成される。これに対して、本実施の形態では、さらに、複素振幅分布の振幅に応じて遮光材料135による振幅変調を加えることで、より正確な微小光スポットを形成することが可能となる。
なお、図16のような位相変調素子104の構造は、第1実施の形態の位相変調素子104だけでなく、第2実施の形態から第4実施の形態の位相変調素子104にも適用することができる。さらに、これらの位相変調素子104を、第5実施の形態の位相変調素子104に適用することもできる。
(第7実施の形態)
図17は第7実施の形態に従う近接場光学顕微鏡のシステム構成の一例を示したものである。本実施の形態の近接場光学顕微鏡100は、第5実施の形態に係る近接場光学顕微鏡と近接場照明光学系151の構成が異なっている。近接場照明光学系151は、光源152、ガラス基板153、回折格子である変調素子154、超高波数伝達媒質156、および、光源152からの照明光を走査する走査部157を含んで構成される。ガラス基板153、変調素子154および超高波数伝達媒質156は、一体の部材(以下、微小光スポット生成部材158と呼ぶ)として構成されている。
図18は、図17の微小光スポット生成部材158を拡大して示す図である。ガラス基板153と超高波数伝達媒質156との間に、変調素子154が形成される。この部材は、ガラス基板153上に、変調素子154として機能する回折格子を形成し、さらにその上に超高波数伝達媒質156を接合することにより生成することができる。ガラス基板153は、光源152からの照明光Ldに高い透過性を有していることが好ましい。変調素子154は、光源152からの照明光Ldの波長よりも小さい周期構造の回折格子を有する。また、超高波数伝達媒質156は、誘電率または透磁率が異方性を示す部材であり、より具体的には等周波数曲線が双曲型を示す媒質である。超高波数伝達媒質156の異方軸は、変調素子154の回折面に略垂直である。超高波数伝達媒質156中では回折限界が存在しないため、回折限界よりも精細な周期構造を有する回折格子からの回折光を伝搬することが可能である。
光源152は、光源152側よりも前記試料107側のビーム径が狭くなる中空のテーパー状のビームLd(以下、簡単のためドーナツ型ビームLdと呼ぶ)を、微小光スポット生成部材158に向けて射出する。ドーナツ型ビームLdは回折限界に制約された空間変調されたビームでよく、従来の光学系(例えば誘導放出制御(STED)顕微鏡用の光学系)で形成することができる。光源152の照明光のドーナツ型の変調と、変調素子154による変調との合成は、超高波数伝達媒質156を伝搬したのちに微小光スポットを形成するように、あらかじめ設計されている。
変調素子154は並進対称性をもつ形状であるため、そのどの位置にドーナツ型ビームLdを照射しても、超高波数伝達媒質156の出射面であってドーナツ型ビームLdの光軸上に微小光スポット159を形成する。つまり、走査部157により光源152を変位させ、ドーナツ型ビームLdを走査させることで、微小光スポットを超高波数伝達媒質156に接する試料面上で移動させることができる。超高波数伝達媒質156の厚さは、例えば、1μm程度でよく、十分な透過率を得ることができる。また、任意の厚さのガラス基板153を用いることができるので、カバーガラスとしての十分な強度を得ることができる。その他の構成は、第5実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
図19は、図17の近接場照明光学系151により形成される微小光スポットの強度分布を、2次元シミュレーションにより算出したものである。このシミュレーションでは、照明光の波長を365nm、変調素子154を構成する回折格子の周期を100nm、超高波数伝達媒質156の厚さを1μm、有効誘電率を、ε=1+0.01i,ε=−10+0.01iとした。また、ドーナツ型のビームLdの代わりに、ガラス基板153と変調素子154との間に、幅300nmの2つのスリットを300nmの間隔で配置して、光源152側から入射光を照射するものとした。また、これら2つのスリットに入射する照明光の強度および入射角の空間分布は、超高波数伝達媒質156を通過した照明光が微小な光スポットを形成するようにあらかじめ数値計算により設定される。このシミュレーションから2次元で表現したドーナツ型ビームLdの光軸位置に、半値幅が約30nmの微小光スポットが形成できることがわかる。
上記は、2次元シミュレーションに基づく結果であるが、3次元空間でもドーナツ型ビームと並進対称性を有する変調素子154を用いて同様の微小光スポット159の形成が可能と考えられる。その場合、変調素子154は、照明光の波長より小さい円柱、直方体または多角柱を正方格子状または六方格子状に配列させ微細構造を有するものとすることができる。あるいは、微小な球体をランダムに配置することにより、より製造が容易となる。
第5実施の形態では、空間的に均一な照明光Lに対して位相変調素子104のみによって変調を与えていた。このため、位相変調素子104自体は並進対称性のない複雑な構造となった。本実施の形態では、並進対象性を有する変調素子154と、変調素子154に照射される照明光の入射角および強度の空間的分布とを組み合わせることによって、移動可能な微小光スポット159を生成するものである。
以上説明したように、本実施の形態によれば、照明光の波長よりも小さい最小寸法の並進対称性のある微細構造を有する変調素子154を備え、超高波数伝達媒質156を伝達される照明光が照明光の波長よりも小さい光スポットを形成するように、光源152から射出される照明光を、変調素子154に応じたドーナツ型のビーム形状としたので、超高波数伝達媒質156を伝達された照明光は近接場光の微小光スポット159を形成する。このとき、変調素子154には、ドーナツ型ビームLdにより照明光の波長よりも幅の広い範囲が照射されるので、ピンホールを用いて近接場光を生成する場合に比べ、エネルギーの利用効率が高い。また、変調素子154は周期構造を有するので、上述のように微小光スポット生成部材158に対して光源152を変位させることで、試料107上で微小光スポット159を走査させることができる。さらに、第1〜6実施の形態における位相変調素子104に比べて構造が簡単なので、製造が容易となる。また、微小光スポット生成部材158はガラス基板153を有するため、超高波数伝達媒質156を薄くすることができる。したがって、超高波数伝達媒質156による照明光の減衰を少なくし、微小光スポット159の強度を高めることができる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。たとえば、各実施の形態においてシミュレーションに用いた数値、例えば、光源からの照明光の波長やビーム径、位相変調素子、超高波数伝達媒質および回折格子等の幅および厚さ等は例示に過ぎない。
また、超高波数伝達媒質は、試料に接するように配置されるものとしたが、超高波数伝達媒質から射出される近接場光が減衰しない距離に試料が配置されていても良い。近接場光が減衰しない距離の一例として、試料が、超高波数伝達媒質から照明光の波長よりも短い所定の距離に配置されていれば、近接場光が試料まで到達することがすることができる。超高波数伝達媒質を試料と密着させ、両者が接するように配置されている場合には、生細胞等の凸凹で形状が不安定な試料であっても、超高波数伝達媒質と試料との間隔を狭められるため、安定的に高い解像力で高精細に観察することができる。
さらに、第1〜第6実施の形態では、試料上に形成されるのは、細線またはひとつの微小光スポットとしたが、複数スポットや所望の強度分布により試料を照明することも可能である。
本発明において光は可視光のみならず、紫外線、赤外線、マイクロ波等の電磁波をも含むものとする。
100 近接場光学顕微鏡
101 近接場照明光学系
102 光源
103 遮光部材
104 位相変調素子
105 走査部
106 超高波数伝達媒質
107 試料
108 対物レンズ
109 ダイクロイックミラー
110 フィルタ
111 受光素子
112 受光部
113 ハーフミラー
114 結像レンズ
115 撮像素子
116 光学顕微鏡用照明部(光顕用照明部)
117 スライドガラス
121 微小光源(ピンホール)
122 微小光スポット
123 ガラス基板
131 誘電体
132 空洞
133 第1の誘電体
134 第2の誘電体
135 遮光材料
151 近接場照明光学系
152 光源
153 ガラス基板
154 変調素子
156 超高波数伝達媒質
157 走査部
158 微小光スポット生成部材
159 微小光スポット

Claims (21)

  1. 照明光を射出する光源と、
    前記光源から射出された前記照明光を空間変調する変調素子と、
    誘電率または透磁率が異方性を示し、近接場光を伝達可能な超高波数伝達媒質であって、前記変調素子により変調された前記照明光が入射されるように配置された超高波数伝達媒質とを備え、
    前記変調素子は、空間変調された前記照明光が前記超高波数伝達媒質を伝達された後に、所望の強度分布を有する近接場光を形成するように、前記照明光を変調することを特徴とする近接場照明光学系。
  2. 前記変調素子は、前記照明光を位相変調することを特徴とする請求項1に記載の近接場照明光学系。
  3. 前記変調素子は、前記照明光の波長よりも小さい最小寸法により、前記照明光を位相変調することを特徴とする請求項2に記載の近接場照明光学系。
  4. 前記変調素子は、前記超高波数伝達媒質を伝達された前記照明光が、該照明光の波長よりも直径が小さい近接場光の光スポットを形成するように、前記光源から射出された前記照明光を変調することを特徴とする請求項3に記載の近接場照明光学系。
  5. 前記変調素子は、前記照明光の射出方向に対して略直交する平面上に配置された誘電率の異なる2種類以上の誘電体を含む構造体を備えることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の近接場照明光学系。
  6. 前記変調素子は、前記近接場光の前記所望の強度分布から、フーリエ変換を用いて、前記超高波数伝達媒質の前記変調素子側の面に与えるべき前記照明光の複素振幅を計算することにより設計されることを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の近接場照明光学系。
  7. 前記変調素子は、前記複素振幅を2値化することにより設計されることを特徴とする請求項6に記載の近接場照明光学系。
  8. 前記変調素子と前記超高波数伝達媒質とは、密着して形成されることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の近接場照明光学系。
  9. 前記変調素子は、前記照明光を前記位相変調するとともに振幅変調することを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の近接場照明光学系。
  10. 前記変調素子は、前記照明光の波長よりも小さい最小寸法の並進対称な微細構造を有し、前記光源は、該光源から射出される照明光が、前記変調素子に対して前記所望の強度分布に対応した所定の強度および入射角の分布で入射するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の近接場照明光学系。
  11. 前記変調素子は前記超高波数伝達媒質と密着して形成されていることを特徴とする請求項10に記載の近接場照明光学系。
  12. 前記変調素子は、ガラス基板上に形成されることを特徴とする請求項10または11に記載の近接場照明光学系。
  13. 前記光源から射出される照明光は、前記光源側よりも前記超高波数伝達媒質側のビーム径が狭くなる中空のテーパー形状であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の近接場照明光学系。
  14. 前記所望の強度分布は、前記照明光の波長よりも小さい直径を有する光スポットであることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の近接場照明光学系。
  15. 前記超高波数伝達媒質の異方軸が、前記変調素子の変調面に略垂直であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の近接場照明光学系。
  16. 前記超高波数伝達媒質は、前記照射光が真空中を伝搬する際の波数により規格化した前記超高波数伝達媒質の異方軸に直交する平面内における波数の絶対値が、0以上5未満の光を伝達可能である請求項1〜15のいずれか一項に記載の近接場照明光学系。
  17. 前記超高波数伝達媒質の等周波数曲面が回転双曲面であることを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載の近接場照明光学系。
  18. 照明光を射出する光源と、
    前記光源から射出された前記照明光を変調する変調素子と、
    誘電率または透磁率が異方性を示し、近接場光を伝達可能な超高波数伝達媒質であって、前記変調素子により変調された前記照明光が入射されるように配置された超高波数伝達媒質と、
    前記超高波数伝達媒質に入射する前記照明光を走査する走査部と、
    試料からの光を受光する受光部と、
    を備え、
    前記変調素子は、前記超高波数伝達媒質を伝達された前記照明光が、該照明光の波長よりも小さい近接場光の光スポット光を形成するように、前記光源から射出された前記照明光を位相変調し、前記試料は前記近接場光を散乱し、または、前記近接場光を受けて光を発することを特徴とする近接場光学顕微鏡。
  19. 照明光を射出する光源と、
    前記照明光の波長よりも小さい最小寸法の並進対称な微細構造を有し、前記照明光を変調する変調素子と、
    誘電率または透磁率が異方性を示し、近接場光を伝達可能な超高波数伝達媒質であって、前記変調素子により変調された前記照明光が入射されるように配置された超高波数伝達媒質と、
    前記変調素子に対して、前記光源をからの前記照明光を走査する走査部と、
    試料からの光を受光する受光部と、
    を備え、
    前記変調素子と前記超高波数伝達媒質とは互いに固定され、前記光源は、該光源から射出される照明光が、前記超高波数伝達媒質を伝達された後、該照明光の波長よりも小さい近接場光の光スポットを形成するように、前記変調素子に対して所定の強度および入射角の分布で入射し、前記試料は前記近接場光を散乱し、または、前記近接場光を受けて光を発することを特徴とする近接場光学顕微鏡。
  20. 前記光源から射出される照明光は、前記光源側よりも前記超高波数伝達媒質側のビーム径が狭くなる中空のテーパー形状であることを特徴とする請求項19に記載の近接場光学顕微鏡。
  21. 照明光を空間変調し、
    前記空間変調された照明光を、誘電率または透磁率が異方性を示し近接場光を伝達可能な超高波数伝達媒質に入射させ、
    前記超高波数伝達媒質を伝達された後に、前記空間変調に応じた所望の強度分布を有する近接場光を形成させる近接場光形成方法。
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