JP2013147512A - 固体分散体製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体分散体の溶出性を損なうことなく、製剤中の薬物を迅速に溶出することができる固体分散体の顆粒剤又は錠剤を提供する。
【解決手段】難溶性薬物、水溶性ポリマー、賦形剤及び崩壊剤を含む固体分散体の顆粒剤であって、該水溶性ポリマーの含有量が1〜10質量%で、かつ該崩壊剤の含有量が15〜50質量%である固体分散体の顆粒剤を提供する。また、難溶性薬物、水溶性ポリマー、賦形剤及び崩壊剤を含む固体分散体の錠剤であって、該水溶性ポリマーの含有量が1〜5質量%で、かつ該崩壊剤の含有量が15〜50質量%である固体分散体の錠剤を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、難溶性薬物の溶出を改善する目的で製造された固形製剤に関するものである。特に、迅速な崩壊性と薬物の溶出性を有することを特徴とする固体分散体を含有する固形製剤に関するものである。
難溶性薬物は結晶性が高く、水への溶解性が極めて低いために、これらを製剤化した場合、生物学的利用能又は体内吸収性が低く、薬効が不十分となる問題があった。この問題を解決するための技術として、難溶性薬物をセルロース誘導体等の高分子担体(キャリヤー)に非晶状態で分子分散させた固体分散体が開発されている。
従来の固体分散体は、難溶性薬物とキャリヤーを共溶媒で溶解させた物をスプレードライし得られた固形物をカプセルに詰めたり、そのまま細粒や顆粒に製剤化することで服用形態を取っていたが、定量処方及び定量服用、実際の患者の取り扱いや服用のし易さ等の点から、固形製剤の汎用的剤形である錠剤化が最も好ましい。
しかしながら、これまでの知見から、固体分散体粉末を錠剤化すると、比表面積の低下のみならず、圧縮成型過程で非晶質の薬物分子が可塑性の変形を受けることと、キャリヤー高分子の強い結合性により、しばしば錠剤の空隙率が低くなり、その結果、投与時に錠剤中への水分子の浸透が遅れ、錠剤の崩壊が遅延し、固体分散体本来の溶出改善性が得られないという問題が生じていた。また、キャリヤーとなる水溶性又は腸溶性高分子は、水和・溶解時に粘度が上昇するため、溶解時の錠剤表面に一種のハイドロゲル層を形成し、水の浸潤が更に妨げられてしまうということが生じていた。
これらの問題を解決する手段として、特許文献1では、スプレードライにより得られた固体分散体粉末と崩壊剤及びポロシゲンなる賦形剤を含有した錠剤が、特許文献2では、難溶性薬物に水溶性高分子基剤、必要に応じて賦形剤、崩壊剤を添加した散剤が提案されている。しかし、キャリヤーである濃度向上ポリマーや水溶性高分子基剤の添加量が多いため、薬物溶解速度が遅延する傾向にあった。また、特許文献1のようにスプレードライにより得られた固体分散体粉末は、その他の成分と混合した後、一旦圧縮・壊砕して打錠用造粒末としなくてはならない。このようにスプレードライにより調製した固体分散体末は粒子径が細かいため、他の賦形剤と単純混合すると偏析が起こり、成分不均一な打錠用粉末が得られる。更に、このような工程を経ると、作業が煩雑となり一方、一旦圧縮することによる固体分散体が再結晶することが懸念される。また、崩壊剤が固体分散体を調製した後に添加されており、錠剤中で固体分散体同士がキャリヤーの強い結合力により凝集結合した場合、これが塊となって崩壊時に水中に分散されると、薬物の溶出性を低下させる原因となる。
一方、特許文献3では、賦形剤と崩壊剤の混合末に、難溶性薬物のイトラコナゾール、水溶性ポリマー及び腸溶性ポリマーの溶液を噴霧、造粒、乾燥して得られる細粒を用いた錠剤が提案されている。しかし、崩壊剤の添加量が少なく、錠剤から薬物が溶出されるまで360分もかかっており、錠剤の崩壊性を改善するものではなかった。
平沢ら(非特許文献1)は、難溶性薬物のニルバジピンとクロスポビドン、メチルセルロースのエタノール分散液を結合液として、乳糖、メチルセルロースや低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の混合末に投入し撹拌造粒したものから錠剤を得ている。しかしながら、ニルバジピンはエタノールに溶解するが、クロスポビドン及びメチルセルロースはエタノールに溶解しないために、共溶解状態を経ず、単に非晶ニルバジピンの分散希釈剤として機能していると考えられる。キャリヤーであるポリマー中に非晶の薬物分子を分散させるためには、一旦両者を溶解する共溶媒で共溶解状態を経なくてはならないため、非特許文献1により得られた非晶質のニルバジピンの固体分散体は、十分な溶解性が得られないと考えられる。また、水溶性ポリマーの添加量が多いために、即溶出性の製剤を得ることが困難であると考えられる。
特表2005−517690号公報 特開平5−262642号公報 特開2004−67606号公報 薬学雑誌,124(1),19−23(2004)
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、固体分散体の溶出性を損なうことなく、製剤中の薬物を迅速に溶出することができる固体分散体の顆粒剤又は錠剤及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、固体分散体のキャリヤーである水溶性ポリマーの添加量及び崩壊剤の添加量を所定量にすることにより、固体分散体を圧縮成型した錠剤において崩壊性の低下を起すことなく、顆粒や錠剤において優れた溶出性を示すことを見出し、本発明を成すに至ったものである。
具体的には、本発明は、難溶性薬物、水溶性ポリマー、賦形剤及び崩壊剤を含む固体分散体の顆粒剤であって、該水溶性ポリマーの含有量が1〜10質量%で、かつ該崩壊剤の含有量が15〜50質量%である固体分散体の顆粒剤を提供する。また、難溶性薬物、水溶性ポリマー、賦形剤及び崩壊剤を含む固体分散体の錠剤であって、該水溶性ポリマーの含有量が1〜5質量%で、かつ該崩壊剤の含有量が15〜50質量%である固体分散体の錠剤を提供する。さらに、賦形剤と崩壊剤の混合粉末に、難溶性薬物を分散又は溶解した水溶性ポリマー溶液を噴霧し、造粒、乾燥することを含んでなる固体分散体の顆粒又は錠剤の製造方法を提供する。
本発明によれば、顆粒の場合には高い溶出性が認められ、錠剤の場合には溶解媒体への導入後10分以内に崩壊し、難溶性薬物の少なくとも70質量%を放出することができる優れた溶解性を有する固形製剤が得られる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に用いる難溶性薬物は、水に対する溶解度が非常に低く、通常経口投与では吸収性の悪い薬物である。例えば、日本薬局方第14改正に定められている「ほとんど溶けない」又は「極めて溶けにくい」とされる薬物をいう。日本薬局方第14改正における薬物の「溶解性」とは、薬物が固形の場合には粉末とした後、溶媒中に入れ、20±5℃で5分毎に30秒間振り混ぜるときに30分以内に溶ける度合いをいい、「ほとんど溶けない」とは、薬物1g又は1mlを溶かすのに要する溶媒量(ここでは水)が10,000ml以上、「極めて溶けにくい」とは、薬物1g又は1mlを溶かすのに要する溶媒量が1,000ml以上、10,000ml未満の性状をいう。
本発明に用いる難溶性薬物の具体例としては、ニフェジピン、フェナセチン、フェニトイン、ジギトキシン、ニルバジピン、ジアゼパム、グリセオフルビン、クロラムフェニコール等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
本発明においては、難溶性薬物を非晶状態で分子分散させるため、キャリヤーとして水溶性ポリマーを用いる。水溶性ポリマーは、溶解に必要な量の半分から全量の熱水(70℃以上)にポリマーを加えて撹拌、分散し、全量の熱水を使用しない場合には残りの水量の冷水又は氷水を撹拌しながら加えた場合に、日本薬局方第14改正に定められている「極めて溶けやすい(薬物1g又は1ml溶かすのに必要な水量が1ml未満)」、「溶けやすい(薬物1g又は1ml溶かすのに必要な水量が1ml以上、10ml未満)」、「やや溶けやすい(薬物1g又は1ml溶かすのに必要な水量が10ml以上、30ml未満)」に該当するポリマーである。具体的には、メチルセルロース等のアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
水溶性ポリマーの含有量は、固形製剤の剤形により異なり、顆粒剤の場合には、好ましくは製剤全体中に1〜10質量%、錠剤の場合には、好ましくは製剤中に1〜5質量%である。水溶性ポリマーの含有量が1質量%より少ないと固体分散体中の難溶性薬物を完全に非晶状態とすることが困難となり、顆粒の場合10質量%、錠剤の場合5質量%より多いと製剤中に水溶性ポリマーの割合が大きくなることで、顆粒の場合には投与量、錠剤の場合には製剤サイズが大きくなるため好ましくない。
難溶性薬物に対する水溶性ポリマーの添加比率は、難溶性薬物1質量に対して水溶性ポリマー1〜5質量が好ましい。水溶性ポリマーの比率が1より小さいと固体分散体中の難溶性薬物を完全に非晶状態にすることができない場合があり、5よりも大きい場合は製剤中の水溶性ポリマーの割合が大きくなるため、結果として製剤サイズが大きくなることになり、一般的な製剤として適さない場合がある。
水溶性ポリマーを含んでなる難溶性薬物の固体分散体を調製する際の溶媒は、難溶性薬物が良く溶け、かつ水溶性ポリマーも溶ける溶媒が好ましい。例えばメタノール、エタノール、塩化メチレン、アセトン又はこれらの混合溶媒の他、これらと水との混合溶媒が挙げられるが、難溶性薬物と水溶性ポリマーの溶媒への溶解性により適宜選択することができる。
溶媒の添加量は、固形分濃度が好ましくは3〜18質量%、特に好ましくは3.5〜12質量%溶液になる量である。
本発明で用いる賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスターチ、白糖、マンニット、無水リン酸カルシウム、結晶セルロース、それらの混合物等が挙げられ、特に乳糖:コーンスターチ=7:3(質量比)の混合末が好ましい。
賦形剤の含有量は、製剤全体中に、好ましくは30〜90質量%、特に好ましくは42.5〜78.5質量%である。賦形剤の含有量が30質量%より少ないと崩壊剤過多となり造粒末の流動性が不良となる場合があり、90質量%より多いと崩壊剤が少なくなるために溶出性の改善効果が期待できなくなる場合がある。
本発明で用いる崩壊剤としては、例えばカルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロポキシル基5〜16質量%を有する低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン等やこれらの混合物が挙げられる。
本発明で用いる崩壊剤としては、特に造粒物の高い流動性を与え、圧縮成型した製剤からの高い溶出性を保証する点で低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。更に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの中でもゆるめ嵩密度が0.40g/ml以上かつ固め嵩密度が0.60g/ml以上のものが特に好ましい。
ここで、「ゆるめ嵩密度」とは、疎充填の状態の嵩密度をいい、直径5.03cm、高さ5.03cm(容積100ml)の円筒容器(材質:ステンレス)へ試料をJISの24メッシュの篩を通して、上方(23cm)から均一に供給し、上面をすり切って秤量することによって測定される。一方、「固め嵩密度」とは、これにタッピングを加えて密充填にした場合の嵩密度をいう。タッピングとは試料を充填した容器を一定の高さから繰り返し落下させて底部に軽い衝撃を与え、試料を密充填にする操作をいう。実際には、ゆるめ嵩密度を測定する際、上面をすり切って秤量した後、更にこの容器の上にキャップ(下記ホソカワミクロン社製パウダーテスターの備品)をはめ、この上縁まで粉体を加えてタップ高さ1.8cmのタッピングを180回行なう。タッピング終了後、キャップを外して容器の上面で粉体をすり切って秤量し、この状態の嵩密度を固め嵩密度とする。これらの操作は、ホソカワミクロン社製パウダーテスター(PT−D)を使用することにより測定できる。
また、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとしては、圧縮度が35%以下であるものを用いることが好ましい。ここで、圧縮度とは、かさべりの度合いを示す値であり、以下の式で求められる。
圧縮度(%)=[(固め嵩密度−ゆるめ嵩密度)/固め嵩密度]×100
崩壊剤の含有量は、製剤全体中に、好ましくは15〜50質量%、特に好ましくは20〜40質量%である。崩壊剤の含有量が15質量%より少ないと溶出性を改善する効果が弱くなってしまうため、期待する効果が得られない場合があり、50質量%より多いと得られる造粒末の流動性は低下する場合があるため打錠末として好ましくない。
本発明の固体分散体の錠剤には、必要に応じて滑沢剤を添加することができる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸等が挙げられる。
滑沢剤を添加する場合、滑沢剤の添加量は、好ましくは滑沢剤を除く製剤全体に対して0.5〜2質量%である。滑沢剤の添加量が0.5質量%より少ないと十分な滑沢性が得られない場合があり、打錠時に臼杵への付着が見られる一方、2質量%より多いと硬度の低下や崩壊性の低下が見られる場合がある。
次に、本発明の固体分散体の顆粒剤及び錠剤の製造方法について説明する。
本発明の固体分散体の顆粒剤は、賦形剤及び崩壊剤の混合粉末に難溶性薬物が分散又は溶解した水溶性ポリマー溶液を噴霧、造粒した後、乾燥することによって得られる。具体的には、賦形剤及び崩壊剤の混合粉末を造粒装置内で流動させ、これに予め調製した難溶性薬物が分散又は溶解した水溶性ポリマー溶液を噴霧、造粒して、乾燥後、整粒する。
造粒装置としては、流動層造粒コーティング装置、高速撹拌造粒装置、転動造粒装置等が挙げられるが、流動層造粒コーティング装置が特に好ましい。
本発明の錠剤は、上記の方法で得られた顆粒を打錠末とし、必要に応じて滑沢剤を加えて打錠機にて圧縮成型することにより得られる。また、上記の方法で得られた顆粒について、粉体物性や溶出改善性等で必要な場合は、打錠前に適切な粉砕装置を用いて粉砕しても良い。粉砕装置としては、ナイフミル、ローラーミル、ボールミル、ジェットミル、スクリーンミル、ビーズミル等が挙げられる。
こうして得られた固体分散体の顆粒剤は、日本薬局方第14改正に記載された「溶出試験第2法」により評価した場合に、投与後5分以内に薬物溶出濃度が投与量の70%以上となり、高い溶出性を示すことができる。
また、得られた固体分散体の錠剤は、日本薬局方第14改正に記載された「崩壊試験」により評価した場合に、投与後10分以内に崩壊し、日本薬局方第14改正に記載された「溶出試験第2法」により評価した場合に、投与後10分以内の薬物溶出濃度が投与量の70%以上となり、高い崩壊性及び溶出性を示すことができる。
本発明で得られる固形製剤においては、味・臭気のマスキング、腸溶化又は徐放化を目的として、自体公知の方法によってコーティングしてもよい。この際、コーティング剤としては、例えば腸溶性ポリマーである酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース等の他、胃溶性ポリマーであるポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー等や、上述した水溶性ポリマー等が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1及び比較例1
ニフェジピン1.2g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(ヒドロキシプロポキシル基8.7質量%、メトキシル基28.8質量%、6mPa・s)2.4g又はニフェジピン12g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(ヒドロキシプロピル基8.7質量%、メトキシル基28.8質量%、6mPa・s)24gをエタノール:水=8:2(質量比)の混合溶媒中に溶解し、固体分散体液を調製した。低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)(ヒドロキシプロポキシル基10.9質量%)、乳糖(DMV社製Pharmatose)及びコーンスターチ(日本食品加工社製コーンスターチW)の混合物を流動層造粒コーティング装置(POWREX社製Multiplex MP−01)中で流動させて固体分散体液を噴霧・造粒・乾燥した後、30メッシュ(目開き500μm)の篩で整粒して顆粒を得た。比較例として崩壊剤である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの添加量が本願発明の範囲を外れた場合の顆粒を同様の方法で製造した。
得られた各処方の顆粒20gについて、オリフィスの流動性指標を用いて得られた顆粒の流動性を評価した結果を表1に示す。ここで、オリフィスの流動性指標とは、砂時計型じょうご(内径42mm、高さ90mm)の孔を塞ぎ、試料20gを入れた後に、孔からの流出を観察するものであり、流出した孔径により粉体の流動性を評価する指数である。
評価は、「良好」が特に流動性に優れ、粉の流出が速い状態、「不良」は流動性が悪く、オリフィスから粉が流出しない状態である。
Figure 2013147512
実施例2及び比較例2
実施例1及び比較例1により得られた顆粒のうち、流動性の良いものについて顆粒1890mg(ニフェジピンとして94.5mg含有)を日本薬局方第14改正の溶出試験のパドル法に従って試験を行った。溶出試験の条件は、回転数100rpm、試験液には水900mlを用いた。また、参考のためにニフェジピン原末94.5mgについても同様の操作で試験を行った。その結果を表2に示す。
実施例の顆粒(処方A〜C)は、何れも比較例の顆粒より高い溶出性を示した。一方、崩壊剤である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが本願発明の範囲より少ない場合(処方E)には添加しない場合(処方D)と同等の値を示し溶出性の向上はほとんど見られなかった。逆に多い場合(処方F)には流動層造粒中にブロッキングを発生し、良好な造粒を行うことが困難であった。
以上のことから本願発明の固体分散体の顆粒は、優れた溶出性を有するものであることがわかる。
Figure 2013147512
実施例3及び比較例3
ニフェジピン1.2g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(ヒドロキシプロポキシル基8.7質量%、メトキシル基28.8質量%)2.4g又はニフェジピン6g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(ヒドロキシプロピル基8.7質量%、メトキシル基28.8質量%)12gをエタノール:水=8:2(質量比)の混合溶媒中に溶解し、固体分散体液を調製した。低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)(ヒドロキシプロポキシル基10.9質量%)、乳糖(DMV社製Pharmatose)及びコーンスターチ(日本食品加工社製コーンスターチW)の混合物を流動層造粒コーティング装置(POWREX社製Multiplex MP−1)中で流動させて固体分散体液を噴霧・造粒・乾燥した後、30メッシュ(目開き500μm)の篩で整粒して顆粒を得た。この顆粒を打錠末とし、この打錠末に対して滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム0.5質量%を加えて混合し、ロータリー打錠機(菊水製作所社製Vergo)にて210mgの錠剤を製造した。比較例として、水溶性ポリマーであるヒドロキシプロピルメチルセルロースの添加量が本願発明の範囲を外れた場合の錠剤を同様の方法で製造した。得られた錠剤について硬度、崩壊試験を行い、その結果を表3に示す。
実施例3により得られた錠剤(処方G〜I)では、適切な硬度と優れた崩壊性を示した。
一方、水溶性ポリマーであるヒドロキシプロピルメチルセルロースが本願発明の範囲を外れた場合(処方J〜L)には、錠剤の崩壊性は低下してしまった。
Figure 2013147512
実施例4及び比較例4
実施例3及び比較例3により得られた錠剤1890mg(ニフェジピンとして47.25mg含有)について、実施例2と同様の溶出試験を行った。また、参考のためにニフェジピン原末47.25mgについても同様の操作で試験を行った。その結果を表4に示す。
実施例4により得られた錠剤(処方G〜I)は、造粒末からの溶出率に遜色無い結果を得た。また、崩壊剤の添加量を増加させることで溶出性の向上が見られた。更に、崩壊剤である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを添加しない場合(処方J)には、溶出性の向上はほとんど見られなかった。
一方、水溶性ポリマーであるヒドロキシプロピルメチルセルロースが本願発明の範囲を外れた場合(処方J又はK)には、試験中の錠剤表面に水溶性ポリマーのハイドロゲルを形成し、錠剤表面より経時的に溶解する徐放化が起こっているため、従来通り崩壊時間の延長と溶出改善効果の不充分が観察された。
以上のことから本願発明の固体分散体の錠剤は、優れた崩壊性及び溶出性を有するものであることがわかる。
Figure 2013147512
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、固体分散体の溶出性を損なうことなく、製剤中の薬物を迅速に溶出することができる固体分散体の顆粒剤又は錠剤を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、固体分散体のキャリヤーである水溶性ポリマーの添加量及び崩壊剤の添加量を所定量にすることにより、固体分散体を圧縮成型した錠剤において崩壊性の低下を起すことなく、顆粒や錠剤において優れた溶出性を示すことを見出し、本発明を成すに至ったものである。
具体的には、本発明は、難溶性薬物、水溶性ポリマー、賦形剤及び崩壊剤を含む固体分散体の顆粒剤であって、該水溶性ポリマーの含有量が1〜10質量%で、かつ該崩壊剤の含有量が15〜50質量%である固体分散体の顆粒剤を提供する。また、難溶性薬物、水溶性ポリマー、賦形剤及び崩壊剤を含む固体分散体の錠剤であって、該水溶性ポリマーの含有量が1〜5質量%で、かつ該崩壊剤の含有量が15〜50質量%である固体分散体の錠剤を提供する。
壊剤の参考例としては、例えばカルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロポキシル基5〜16質量%を有する低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン等やこれらの混合物が挙げられる。
本発明で用いる崩壊剤は、特に造粒物の高い流動性を与え、圧縮成型した製剤からの高い溶出性を保証する点で低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである。更に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの中でもゆるめ嵩密度が0.40g/ml以上かつ固め嵩密度が0.60g/ml以上のものが特に好ましい。

Claims (10)

  1. 難溶性薬物、水溶性ポリマー、賦形剤及び崩壊剤を含む固体分散体の顆粒剤であって、該水溶性ポリマーの含有量が1〜10質量%で、かつ該崩壊剤の含有量が15〜50質量%である固体分散体の顆粒剤。
  2. 上記水溶性ポリマーが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンから選ばれる請求項1に記載の固体分散体の顆粒剤。
  3. 上記崩壊剤が、ヒドロキシプロポキシル基5〜16質量%を有する低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである請求項1又は請求項2に記載の固体分散体の顆粒剤。
  4. 上記崩壊剤が、ゆるめ嵩密度が0.40g/ml以上であり、かつ固め嵩密度が0.60g/ml以上である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである請求項3に記載の固体分散体の顆粒剤。
  5. 賦形剤と崩壊剤の混合粉末に、難溶性薬物を分散又は溶解した水溶性ポリマー溶液を噴霧し、造粒、乾燥することを含んでなる固体分散体の顆粒の製造方法。
  6. 難溶性薬物、水溶性ポリマー、賦形剤及び崩壊剤を含む固体分散体の錠剤であって、該水溶性ポリマーの含有量が1〜5質量%で、かつ該崩壊剤の含有量が15〜50質量%である固体分散体の錠剤。
  7. 上記水溶性ポリマーが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンから選ばれる請求項6に記載の固体分散体の錠剤。
  8. 上記崩壊剤が、ヒドロキシプロポキシル基5〜16質量%を有する低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである請求項6又は請求項7に記載の固体分散体の錠剤。
  9. 上記崩壊剤が、ゆるめ嵩密度が0.40g/ml以上であり、かつ固め嵩密度が0.60g/ml以上である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである請求項8に記載の固体分散体の錠剤。
  10. 賦形剤と崩壊剤の混合粉末に、難溶性薬物を分散又は溶解した水溶性ポリマー溶液を噴霧し、造粒、乾燥することを含んでなる固体分散体の錠剤の製造方法。
JP2013098337A 2006-04-20 2013-05-08 固体分散体製剤 Active JP5576963B2 (ja)

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