請求項1に記載の発明は、導線が巻回された充電コイルと、前記充電コイルを囲むように配置されたNFCコイルと、前記充電コイルと前記NFCコイルとを同一方向から支持する磁性シートと、前記磁性シートに形成されたスリットと、を備え、前記充電コイルの両端子は、前記スリット内に収納されることを特徴とする非接触充電モジュールであって、非接触充電コイルとNFCアンテナと磁性シートとをひとつのモジュール化として小型化を達成し、同一方向の通信及び電力伝送が可能となる。また、非接触充電コイルの両端子を磁性シートに設けられたスリットに収納することによって、小型化だけでなく薄型化を達成することができる。
請求項2に記載の発明は、前記磁性シートは、前記充電コイルを支持する第1の磁性シートと、前記第1の磁性シートの上部に位置し前記NFCコイルを支持する第2の磁性シートと、を備え、前記スリットは前記第1の磁性シートに備えられ、前記充電コイルの両端子は、前記第2の磁性シートの下部において前記スリット内に収納されることを特徴とする非接触充電モジュールであって、充電コイルと第2の磁性シートとが積層する部分において厚みを増加させないよう、充電コイルを第1の磁性シートのスリット内に収納することができる。
請求項3に記載の発明は、前記NFCコイル及び前記充電コイルは矩形であり、前記スリットは、前記NFCコイル及び前記充電コイルの直線部と直交することを特徴とする請求項2に記載の非接触充電モジュールであって、スリットを短く構成することができ、充電コイル及びNFCコイルの電力伝送効率または通信効率を向上させることができる。
請求項4に記載の発明は、前記NFCコイルはコーナー部を備え、前記NFCコイルのコーナー部において前記NFCコイルと前記充電コイルとの距離が最も離間することを特徴とする請求項1〜3のいずれかひとつに記載の非接触充電モジュールであって、両コイルの磁束が集中するコーナー部間の距離を離すことによって、小型化を達成しつつも、それぞれの電力伝送効率及び通信効率を向上させることができる。
請求項5に記載の発明は、前記NFCコイル及び前記充電コイルは矩形であり、前記充電コイルのコーナー部は曲線状に形成されることを特徴とする請求項4に記載の非接触充電モジュールであって、電力伝送効率及び通信効率のよい矩形コイルにおいて、両コイルの磁束が集中するコーナー部間の距離を離すことによって、小型化を達成しつつも、それぞれの電力伝送効率及び通信効率を非常に向上させることができる。
請求項6に記載の発明は、前記NFCコイルは矩形であり、前記充電コイルは円形であることを特徴とする請求項4に記載の非接触充電モジュールであって、通信効率のよい矩形のNFCコイルにおいて磁束が集中するコーナーと、充電コイルと、の距離を離すことによって、お互いのコイルの干渉を低減して、それぞれの電力伝送効率及び通信効率を非常に向上させることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかひとつに記載された非接触充電モジュールを備えたことを特徴とする携帯端末であって、非接触充電コイルとNFCアンテナと磁性シートとをひとつのモジュール化として小型化を達成し、同一方向の通信及び電力伝送が可能となる。また、非接触充電コイルの両端子を磁性シートに設けられたスリットに収納することによって、小型化だけでなく薄型化を達成することができる。その結果、携帯端末の小型化、薄型化を達成することができる。
(実施の形態)
〔非接触充電モジュールについて〕
以下、図1を用いて本発明の実施の形態における非接触充電モジュールの概要について説明する。図1は、本発明の実施の形態における非接触充電モジュールの概略図である。図1(a)は、非接触充電モジュールの組立斜視図、図1(b)は、NFCコイルの上面図、図1(c)は、充電コイルの上面図、図1(d)は、第2の磁性シートの上面図、図1(e)は、第1の磁性シートの上面図である。
本実施の形態の非接触充電モジュール100は、導線が巻回された充電コイル30と、充電コイル30を囲むように配置されたNFCコイル40と、充電コイル30とNFCコイル40とを同一方向から支持する第1の磁性シート10と、を備えたことを特徴とする。
非接触充電モジュール100は、対向する上面及び下面を備えるシート状の第1の磁性シート10を備え、第1の磁性シート10の上面の一部に第2の磁性シート20を配置する。第2の磁性シート20もシート状で、対向する上面及び下面を備えるが、口状の形状をしており、その中央部が貫通孔となっている。第2の磁性シート20の貫通孔内には充電コイル30が第1の磁性シート10の上面に配置され、平面状に巻回された充電コイル30の下面が磁性シート10の上面に接着され、充電コイル30の周囲は第2の磁性シート20に囲まれている。また、第2の磁性シート20の上面にはNFCコイル40が備えられ、NFCコイル40は、充電コイル30から一定の距離を置いて充電コイル30の周囲に巻回される。また、第1の磁性シート10の上面と第2の磁性シート20の下面との接着、第1の磁性シート10の上面と充電コイル30の下面との接着、第2の磁性シート20の上面とNFCコイル40の下面との接着は、絶縁性の両面テープや接着剤などで接着される。充電コイル30全体が第1の磁性シート10上からはみ出さずに載置され、NFCコイル40全体が第2の磁性シート20上からはみ出さずに載置されるとよい。第2の磁性シート20は第1の磁性シート10からはみ出さずに載置されるとよい。このようにすることで、充電コイル30及びNFCコイル40の双方の通信効率を向上させることができる。なお、第1の磁性シート10にはスリット11が形成され、その形状は、図1(a)のような形(後述する図6のような形)であっても、図1(d)のような形であってもよい。また、図1(a)ではスリット11は中心部13まで伸びていないが、中心部13まで伸びていても良い。それにより、脚部32a全体を確実にスリット11内に収納することができる。
〔充電コイルについて〕
図1(b)を用いて充電コイルについて詳細に説明する。
本実施の形態においては、充電コイル30は略正方形に巻回されているが、略長方形を含める略矩形、円形、楕円形、多角形など、どのような形状であってもよい。
充電コイルは、2つの脚部(端子)32a、32bを始端及び終端として、線径が0.1mm程度の導線8〜15本程度のリッツ線や複数線(好ましくは0.08mm〜0.3mmの導線を2〜15本程度)を、中空部を中心に面上で渦を描くように巻回されている。例えば、線径が0.1mmの導線12本からなるリッツ線で巻回されたコイルは、同一の断面積をもつ導線1本で巻回されたコイルよりも、表皮効果によりはるかに交流抵抗が下がる。コイルの動作中の交流抵抗が下がればコイルによる発熱が下がり、熱特性の良好な充電コイル30とすることができる。このとき、0.08mm〜1.5mmの導線8〜15本からなるリッツ線であることで、電力伝送効率を良好にすることができる。単線であれば、線径が0.2mm〜1mmである導線であるとよい。また、例えば、0.2mmの導線を3本、0.3mmの導線を2本用いてリッツ線のように1本の導線として構成してもよい。また、電流供給部としての端子32a、32bは、外部電源である商用電源からの電流を充電コイル30に供給する。なお、充電コイル30を流れる電流量は、約0.4A〜2A程度である。本実施の形態においては、0.7Aである。
本実施の形態における充電コイル30は略正方形の中空部の対向する辺間距離(一辺の長さ)が20mm(好ましくは15mm〜25mm)であり、略正方形の外端における対向する辺間距離(一辺の長さ)が35mm(好ましくは25mm〜45mm)となっている。充電コイル30はドーナツ形状に巻回されている。また、充電コイル30が略長方形に巻回される場合は、略長方形の中空部の対向する短辺間距離(一辺の長さ)が15mm(好ましくは10mm〜20mm)、長辺間距離(一辺の長さ)が23mm(好ましくは15mm〜30mm)、であり、略正方形の外端における対向する短辺間距離(一辺の長さ)が28mm(好ましくは15mm〜35mm)、長辺間距離(一辺の長さ)が36mm(好ましくは20mm〜45mm)、となっている。また、充電コイル30が円形に巻回される場合、中空部の直径が20mm(好ましくは10mm〜25mm)であり、円形の外端の径が35mm(好ましくは25mm〜45mm)となっている。
また、充電コイル30は、電力伝送の相手であり充電コイル30に電力供給する充電器内の非接触充電モジュールのコイルとの位置合わせに、マグネットを利用する場合がある。これは、規格(WPC)によって、マグネットは円形(コイン形状)のネオジウム磁石であり、直径が約15.5mm(約10mm〜20mm)であり、厚みは約1.5〜2mmであることなどが定められている。また、強さは約75mTから150mT程度でよい。1次側非接触充電モジュールのコイルと充電コイル30との間隔は、2〜5mm程度であるので、この程度のマグネットで十分位置合わせが可能となる。マグネットは1次側または2次側非接触充電モジュールコイルの中空部内に配置される。本実施の形態における充電コイル30の中空部内に配置してもよい。
すなわち、位置合わせの方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。例えば充電器の充電面に凸部、2次側の電子機器に凹部を形成しはめ込むといった、物理的(形状的)に強制的な位置合わせを行う方法。また、少なくとも1次側及び2次側の一方にマグネットを搭載することで、お互いのマグネットもしくは一方のマグネットと他方の磁性シートとが引き付けあって位置合わせを行う方法。1次側が2次側のコイルの位置を検出することで、1次側のコイルを自動的に2次側のコイルの位置まで移動させる方法。充電器に多数のコイルを備えることで、携帯機器が充電器の充電面のどこにおいても充電可能とする方法など。
このように、一般的な1次側(充電側)非接触充電モジュール及び2次側(被充電側)非接触充電モジュールのコイルの位置合わせには様々な方法が挙げられるが、マグネットを使用する方法とマグネットを使用しない方法とに分けられる。そして、非接触充電モジュール100としては、マグネットを使用する1次側(充電側)非接触充電モジュール及びマグネットを使用しない1次側非接触充電モジュールの双方に適応できるようにすることで1次側非接触充電モジュールのタイプに関係せず充電ができ利便性が向上する。
ここで、マグネットが非接触充電モジュール100の電力伝送効率に与える影響について説明する。
電力伝送のために1次側非接触充電モジュールと非接触充電モジュール100との間に電磁誘導のための磁束が発生している際、その間や周辺にマグネットが存在すると磁束はマグネットを避けるように伸びる。もしくは、マグネットの中を貫く磁束はマグネットの中で渦電流や発熱となり、損失となる。更に、マグネットが第1の磁性シート10の近傍に配置されることによって、マグネット近傍の第1の磁性シート10が飽和して透磁率が低下してしまう。従って、1次側非接触充電モジュールに備えられたマグネットは、充電コイル30のL値を低下させてしまう。その結果、非接触充電モジュール間の伝送効率が低下してしまう。これを防ぐために、本実施の形態においては、充電コイル30の中空部を、マグネットよりも大きくしている。すなわち、中空部の面積をコイン上のマグネットの円形面の面積よりも大きくし、充電コイル30の内端(中空部を囲っている部分)がマグネットの外端よりも外側になるようにする。また、マグネットの直径は15.5mm以下であるため、中空部を、直径15.5mmの円よりも大きくすればよい。また、その他の方法としては、充電コイル30を略長方形に巻回し、略長方形の中空部の対角線がマグネットの直径(最大15.5mm)よりも長くすればよい。それにより、略長方形に巻回された充電コイル30のうち磁束が集中するコーナー部(四隅)がマグネットよりも外側に位置するため、マグネットの影響を抑えることができる。以下に、上記の構成による効果を示す。
図2は、マグネットを備える1次側非接触充電モジュール及び充電コイルの関係を示す図である。図2(a)は充電コイルの内幅が小さいときに位置合わせのマグネットを用いた場合、図2(b)は充電コイルの内幅が大きいときに位置合わせのマグネットを用いた場合、図2(c)は充電コイルの内幅が小さいときに位置合わせのマグネットを用いない場合、図2(d)は充電コイルの内幅が大きいときに位置合わせのマグネットを用いない場合である。
充電器内に配置される1次側非接触充電モジュール200は1次側コイル210、マグネット220、磁性シート(図示せず)を備える。また、図2においては、非接触充電モジュール100内の第1の磁性シート10と第2の磁性シート20と充電コイル30とを模式的に示す。
非接触充電モジュール100と1次側非接触充電モジュール200は、1次側コイル210と充電コイル30とが対向するように位置合わせされている。1次側コイル210の内側部分211と、充電コイル30の内側部分33との間においても磁界が発生し、電力伝送される。内側部分211と内側部分33とは対向している。また、内側部分211と内側部分33とはマグネット220に近い部分でもあり、マグネット220からの悪影響を受けやすい。
更に、マグネット220が第1の磁性シート10、第2の磁性シート20の近傍に配置されることによって、マグネット220近傍の磁性シートの透磁率が低下してしまう。もちろん、第2の磁性シート20よりも第2の磁性シート10の方がマグネット220に近接し、マグネット220の影響を受けやすい。従って、1次側非接触充電モジュール200に備えられたマグネット220は、1次側コイル210及び充電コイル30の特に内側部分211と内側部分33の磁束を弱めてしまい、悪影響を及ぼす。その結果、非接触充電の伝送効率が低下してしまう。従って、図2(a)の場合、マグネット220の悪影響を受けやすい内側部分33が大きくなってしまう。
それに対して、マグネットを用いない図2(c)は充電コイル30の巻き数が多いためL値は大きくなる。その結果、図2(c)におけるL値から図2(a)におけるL値へは大幅に数値が減少するため、内幅が小さいコイルでは、マグネット220が位置合わせのために備えられる場合と備えられる場合とで、L値減少率が非常に大きくなってしまう。
また、図2(a)のように充電コイル30の内幅がマグネット220の直径よりも小さいと、マグネット220と対向する面積だけ充電コイル30はダイレクトにマグネット220の悪影響を受けてしまう。従って、充電コイル30の内幅はマグネット220の直径よりも大きい方がよい。
対して、図2(b)のように充電コイル30の内幅が大きいと、マグネット220の悪影響を受けやすい内側部分33が非常に小さくなる。また、マグネット220を用いない図2(d)は充電コイル30の巻き数が少なくなるためL値は図2(c)に比べて小さくなる。その結果、図2(d)におけるL値から図2(b)におけるL値へは数値の減少が小さいため、内幅が大きいコイルではL値減少率を小さく抑えることができる。また、充電コイル30の内幅が大きいほど、マグネット220から充電コイル30の中空部の端部が離れるため、マグネット220の影響を抑えることができる。
一方で、通信ジュール100は電子機器などに搭載されるため、充電コイル30ある一定以上の大きさに形成することが出来ない。従って、充電コイル30の内幅を大きくしてマグネット220からの悪影響を小さくしようとすると、巻き数が減ってしまいマグネット有り無しに関係せずL値そのものが減少してしまう。従って、マグネット220の面積と充電コイル30の中空部の面積とがほぼ同一(マグネット220の外径が充電コイル30の内幅よりも0〜2mm程度小さい、またはマグネット220の面積が充電コイル30の中空部の面積の75%〜95%程度)である場合、マグネット30aを最大限に大きくすることができるので、1次側非接触充電モジュールと2次側非接触充電モジュールとの位置合わせの精度が向上できる。また、マグネット220の面積が充電コイル30の中空部の面積よりも小さい(マグネット220の外径が充電コイル30の内幅よりも2〜8mm程度小さい、またはマグネット220の面積が充電コイル30の中空部の面積の45%〜75%程度)場合、位置合わせの精度にばらつきがあっても内側部分211と内側部分33が対向する部分の間にはマグネット220が存在しないようにすることができる。
また、同じ横幅及び縦幅をもつ非接触充電モジュール100に組み込まれる充電コイル30としては、円形に巻回されるよりも、略矩形に巻回された方がマグネット220の影響を抑えることができる。すなわち、中空部の直径がxである円形コイルと、中空部の対向する辺間距離(一辺の長さ)がxである略正方形コイルと、で比較する。このとき、同一の線径の導線を同一の巻数で巻回すると、同じ幅の大きさの非接触充電モジュール100間に収納される。このとき、略正方形コイルの中空部の対角線長yは、y>xである。従って、マグネット220の直径をmとすると、円形コイルの最内端部とマグネット220との距離は、常に(x−m)一定である(x>m)。一方、略矩形コイルの最内端部とマグネット220との距離は、最小が(x−m)であり、コーナー部31a〜31dにおいて最大の(y−m)となる。また、充電コイル30にコーナー部31a〜31dのような角があると、電力伝送時には角に磁束が集中する。すなわち、もっとも磁束が集中するコーナー部31a〜31dが、もっともマグネット220から離れており、なおかつ非接触充電モジュール100の幅(サイズ)は変化しない。従って、非接触充電モジュール100を大型化することなく、受電コイル30の電力伝送効率を向上させることができる。
また、充電コイル30を略長方形に巻回すると、更に小型化が可能になる。すなわちm、略長方形である中空部の短辺がmより小さくても、長辺がmよりも大きければ、4つのコーナー部をマグネット220の外周の外側に配置させることができる。従って、略長方形の中空部を中心に略長方形に充電コイル30を巻回した場合は、すくなくとも中空部の長辺がmよりも大きければよい。なお、充電コイル30の最内端部が1次側非接触充電モジュール200に備えられたマグネット220の外側であったり、略矩形に巻回された充電コイル30の略矩形の中空部の四隅がマグネット220の外側であるとは、図2(b)のようなことをいう。すなわち、マグネット220の円形面の端部を積層方向に伸ばして非接触充電モジュール100にまで延長させたとき、延長線で囲まれる領域が充電コイル30の中空部内におさまることをいう。
図3は、1次側非接触充電モジュールにマグネットを備える場合と備えない場合とにおける充電コイルの外径を一定にしたときの充電コイルの内径の大きさと充電コイルのL値との関係を示す図である。図3に示すように、マグネット220のサイズ及び充電コイル30の外径を一定にした場合、充電コイル30の巻き数を減らして充電コイル30の内径を大きくしていくと、マグネット220の充電コイル30に対する影響が小さくなる。すなわち、マグネット220を1次側非接触充電モジュール41と2次側非接触充電モジュール42との位置合わせに利用する場合と利用しない場合における充電コイル30のL値が近づく。従って、マグネット220を使用するときと使用しないときとの共振周波数が非常に近い値となる。なお、このとき、コイルの外径は30mmに統一している。また、充電コイル30の中空部端部(充電コイル30の最内端部)とマグネット220の外側端部との距離は、0mmより大きく、6mmよりも小さくすることで、L値を15μH以上としつつ、マグネット220を利用する場合と利用しない場合でのL値を近づけることができる。
また、充電コイル30の導線は1本の導線を複数段に積層してもよく、この積層方向は第1の磁性シート10と充電コイル30とが積層する積層方向と同一の方向である。このとき、上下に並ぶ導線の層は、お互いに空間を空けるように積層されることによって、上段の導線と下段の導線との間の浮遊容量が小さくなり、充電コイル30の交流抵抗を小さく抑えることができる。また、空間を詰めるように巻回されることによって、充電コイル30の厚みを抑えることができる。このように導線を積層することによって、充電コイル30の巻き数を増やしてL値を向上させることができる。ただし、充電コイル30は積層方向に複数段で巻回するよりも、1段で巻回した方が充電コイル30の交流抵抗が低くなり、伝送効率を高くすることができる。
また、充電コイル30を多角形に巻回した場合は、以下のようにコーナー部(角)31a〜31dを設ける。略正方形に巻回された充電コイル30は、中空部四隅のコーナー部31a〜31dのR(四隅の曲線の半径)が中空部の辺幅の30%以下のものをいう。すなわち、図1(b)において、略正方形の中空部は四隅が曲線状となっている。直角であるよりも、多少でも曲線であることで、四隅における導線の強度を向上させることができる。しかしながら、Rが大きくなりすぎると円形コイルとほとんど変化なく、略正方形の充電コイル30ならではの効果を得ることができなくなる。中空部の辺幅が例えば20mmであった場合、各四隅の曲線の半径Rが6mm以下であれば、マグネットの影響をより効果的に抑えることができることがわかった。また、前述したように四隅の強度まで考慮すると、各四隅の曲線の半径Rが略正方形の中空部の辺幅の5〜30%であることによって、前述したもっとも矩形コイルの効果を得ることができる。なお、略長方形に巻回された充電コイル30であっても、各四隅の曲線の半径Rが略長方形の中空部の辺幅(短辺及び長辺のいずれか)の5〜30%であることによって、前述した略長方形コイルの効果を得ることができる。なお、本実施の形態においては、充電コイル30の最内端(中空部)の四隅の角はRが2mmであり、0.5mm〜4mm程度が好ましい。
また、充電コイル30を矩形に巻回する場合は、脚部32a、32bは、コーナー部31a〜31dの近傍に設けられることが好ましい。充電コイル30を円形に巻回した場合は、どこに脚部32a、32bを設けても、平面コイル部が曲線に巻回されている部分に脚部32a、32bを設けることができる。曲線状に導線が巻回されていると、その曲線形状を維持しようとする力が働き、脚部32a、32bを形成しても全体の形状が崩れにくい。対して矩形に導線が巻回されたコイルの場合は、辺部分(直線部分)とコーナー部分とで、コイルがコイル自体の形状を維持しようとする力が異なる。すなわち、図1(b)のコーナー部31a〜31dにおいては、充電コイル30の形状を維持しようとする力が大きく働く。しかしながら、辺部分においては充電コイル30の形状を維持しようとする力が小さく、コーナー部31a〜31dの曲線を軸に、導線が充電コイル30からほどけやすくなる。その結果、充電コイル30の巻き数が例えば1/8ターン分程度変動し、充電コイル30のL値が変動する。すなわち、充電コイル30のL値がばらついてしまう。従って、導線は脚部32a側の巻き始めの点32aaはコーナー部31aに近接し、導線は巻き始めの点32aaからすぐにコーナー部31aを曲がるとよい。巻き始めの点32aaとコーナー部32aは隣接していてもよい。そして、複数回巻回して、コーナー部31aを曲がる手前で巻き終わりの点32bbとなり、導線は脚部32bとなって充電コイル30の外側へ曲げられる。このとき、導線の曲がりは、巻き始めの点31aaよりも巻き終わりの点31bbのほうが緩やかに大きく曲がる。これは、脚部32bの形状を維持しようとする力を向上させるためである。
また、導線がリッツ線であれば、より充電コイル30の形状を維持しようとする力が向上する。リッツ線は1本あたりの表面積が大きいため、接着剤などで充電コイル30の形状を固定すると固定されやすい。対して導線が単線であると、導線1本あたりの表面積が小さくなるため、接着される表面積が少なく、充電コイル30の形状はほどけやすい。
なお、本実施の形態では、断面形状が円形状の導線を使用して充電コイル30を形成しているが、使用する導線は断面形状が方形形状の導線でもよい。断面形状が円形状の導線を使用する場合、隣り合う導線どうしの間に隙間が生じるため、導線間の浮遊容量が小さくなり、充電コイル30の交流抵抗を小さく抑えることができる。
〔NFCコイルについて〕
図1(c)に示される本実施の形態におけるNFCコイル40とは、13.56MHz帯の周波数を用いて電磁誘導により通信を行う近距離無線通信を行うアンテナであり、一般的にシートアンテナが用いられる。
NFCコイル40は、フェライト系磁性体を主成分とした第2の磁性シート20、磁性シートを挟む保護部材及び整合回路や端子接続部、基材、整合用チップコンデンサなどを備える。ICカードやICタグなどの無線通信媒体に格納されてもよく、リーダやリーダライタなどの無線通信媒体処理装置に格納されてもよい。
NFCコイル40はアンテナパターンであり、スパイラル状の導体で形成される(すなわち、導線が巻回される)。スパイラルの構造としては、中央に開口部を備えたスパイラル形状であればよく、その形状は円形または略矩形、略正方形または多角形のいずれであってもよい。本実施の形態においては矩形とし、特に正方形にしている。スパイラル構造とすることで、十分な磁界を発生させて、誘導電力の発生と相互インダクタンスによる通信を可能とする。
また、第2の磁性シート20の表面もしくは内部に直接回路を形成できるので、NFCコイル40や整合回路や端子接続部を直接第2の磁性シート20に形成することが可能である。
整合回路は、基材に形成されたNFCコイル40の導体を橋渡しするように実装されたチップコンデンサで構成されるものであり、このことにより整合回路をNFCコイル上に形成することができる。
整合回路はコイルに接続することで、アンテナの共振周波数を所望の周波数に調整し、不整合による定在波の発生を抑え、動作の安定した損失の少ないNFCコイル40となる。整合素子として使用するチップコンデンサはNFCコイル40の導体を橋渡しするように実装されている。
基材は、ポリイミド、PET、ガラエポ基板、FPC基板などで形成することが可能であり、ポリイミド、PETなどに形成することで薄くて柔軟性を有するNFCコイル40を印刷などで形成することができる。本実施の形態においては厚さが0.2mmであるFPC基板で構成している。
なお、上記説明したNFCコイル40あくまで一例であり、上述の構成、素材などに限定されるわけではない。
NFCコイル40は、基材に導線をパターン印刷して形成され、薄く形成することができる。充電コイル30と異なって通信の際の電流量が極めて小さいため、パターン印刷で形成可能である。電流は略0.2A〜0.4Aである。NFCコイル40の幅は0.1mm〜1mm、厚みは15μm〜35μm、である。本実施の形態においては4ターンほど巻回しており、2ターン〜6ターンである。また、NFCコイル40の外形一辺の長さは約39mm×39mm程度(好ましくは一辺の長さが30mm〜60mm)であり、基材は約39.6mm×39.6mm程度(好ましくは一辺の長さが30mm〜60m)である。また、NFCコイル40が長方形に巻回される場合は、基材及びNFCコイル40の外径は、好ましくは長辺の長さが40mm〜60mm、短辺が30mm〜50mmである。また、四隅の角は、NFCコイル40の最内端部でR0.1mm〜0.3mm、最外端部でR0.2mm〜0.4mmであって、必ず最内端部の四隅の角よりも最外端部の四隅の角の方が緩やかに曲がる。
〔第1の磁性シートについて〕
また、第1の磁性シート10は、充電コイル30と第2の磁性シート20とを載置する平坦部12と、平坦部12の略中心部にあって充電コイル30の中空領域内に相当(対向)する中心部13と、充電コイル30の2本の脚部32a、32bの少なくとも一部が挿入されるスリット11とを備える。スリット11は図1(d)のように貫通したスリット形状だけでなく、貫通しない凹部形状であってもよい。スリット形状の方が製造も簡単で確実に導線を収納できる反面、凹部形状であることによって第1の磁性シート10の体積を大きくすることができるので充電コイル30のL値を向上させ、伝送効率を向上させることができる。中心部13は、平坦部12に対して凸部形状、平坦形状、凹部形状、貫通孔である形状となり、いずれであってもよい。凸部形状であれば、充電コイル30の磁束を強めることができる。平坦であれば、製造しやすく充電コイル30を載置しやすい上、後述する位置合わせのマグネットの影響と充電コイル30のL値のバランスをとることができる。凹部形状、貫通孔に関しては、詳しく後述する。
また、第1の磁性シート10として、Ni−Zn系のフェライトシート、Mn−Zn系のフェライトシート、Mg−Zn系のフェライトシートなどを使うことができる。単層構成としてもよいし、同一材料を厚み方向に複数枚積層した構成でもよいし、異なる磁性シートを厚み方向に複数枚積層してもよい。少なくとも、透磁率が250以上、飽和磁束密度が350mT以上のものであると好ましい。
また、アモルファス金属も第1の磁性シート10として用いることができる。第1の磁性シート10としてフェライトシート(焼結体)を使用する場合は充電コイル30の交流抵抗を低下させる点で有利となり、磁性シートとしてアモルファス金属を使用する場合は充電コイル30を薄型化することができる。
第1の磁性シート10は、略正方形であり、約40×40mm以内(35mm〜50mm)程度のサイズであり、NFCコイル40の基材と同一化、多少大きく形成する。略長方形の場合は、サイズを、短辺が35mm(25mm〜45mm)、長辺が45mm(35mm〜55mm)とする。厚みは0.43mmで、(実際は0.4mm〜0.55mmの間で、好ましくは0.3mm〜0.7mm)である。第1の磁性シート10は第2の磁性シート20の外周端よりも同程度または大きく形成されることが望ましい。また、第1の磁性シート10の形状は、円形、矩形、多角形、四隅に大きな曲線を備える矩形及び多角形でもよい。
また、本実施の形態の非接触充電モジュール100は、導線が巻回された充電コイル30と、充電コイル30を囲むように配置されたNFCコイル40と、充電コイル30とNFCコイル40とを同一方向から支持する磁性シート10と、磁性シート10に形成されたスリット11と、を備え、充電コイル30の脚部32a、32b(両端子)は、スリット11内に収納される。
次に、本願発明の特徴点について説明する。図1(d)に記載のスリット11は、充電コイル30の巻始めの点32aa(コイルの最内側部分)及び巻き終わりの点32bb(コイルの最外端部分)から第1の磁性シート10の下端部14までの脚部32a、32bの双方の少なくとも一部の導線を収納する。これにより、コイルの巻始めの点32aaから脚部32aまでの導線が、充電コイル30の平面巻回部分に積層方向に重なることを防ぐ。更に、脚部32a、32bがNFCコイル40と積層方向に重なって非接触充電モジュール100の厚みが増すことを防ぐ。
スリット11は、その一端が交差する第1の磁性シート10の端部(端辺)とほぼ垂直であり、第1の磁性シート10の中心部13と接するように形成される。充電コイル30が円形の場合、スリット11を中心部13(円形)の接線と重なるように形成することによって、導線の巻始めを折り曲げることなく脚部32a、32bを形成することができる。また、充電コイル30が略矩形の場合、スリット11を中心部13(略矩形)の辺の延長線と重なるように形成することによって、導線の巻始めを折り曲げることなく脚部32a、32bを形成することができる。スリット11の長さは充電コイル30の内径と第1の磁性シート10の大きさに依存し、本実施の形態の場合、約15mm〜30mmとしている。
また、スリット30は、第1の磁性シート10の端部(端辺)及び中心部13が最も近づく部分に形成してもよい。すなわち、充電コイル30が円形の場合、第1の磁性シート10の端部(端辺)及び中心部13(円形)の接線に対して垂直なスリット11とし、スリット11を短く形成する。また、充電コイル30が略矩形の場合、第1の磁性シート10の端部(端辺)及び中心部13(略矩形)の辺に対して垂直なスリット11とし、スリット11を短く形成する。これによって、スリット11の形成面積を最低限に抑えることができ、非接触電力伝送機器の伝送効率を向上させることができる。なお、この場合、スリット11の長さは約5mm〜20mmである。どちらの配置であっても、直線凹部33aまたはスリット11の内側端部は中心部32aに接続している。
次に、先述した位置合わせのためのマグネットによる第1の磁性シート10への悪影響について説明する。先述したように、位置合わせのために1次側非接触充電モジュール200にマグネットが備えられると、マグネットの影響で、第1の磁性シート10のうち特にマグネットに近い部分の透磁率が低下する。従って、1次側非接触充電モジュール200に、位置合わせのためのマグネット220が備えられる場合と備えられない場合とでは、充電コイル30のL値が大きく変化してしまう。そこで、充電コイル30のL値が、マグネット220が近づいた場合と近づかない場合とで、なるべく変化しない磁性シートとすることが必要となる。
また、搭載される電子機器が携帯電話の場合、携帯電話の外装を構成するケースとその内部に位置する電池パックとの間や、ケースとその内部に位置する基板に配置されることが多い。一般的に、電池パックはアルミニウムの筐体であるため、電力伝送に悪影響を与える。これは、コイルが発生させる磁束を弱める方向にアルミニウムに渦電流が発生するため、コイルの磁束が弱められることに起因する。そのため、電池パックの外装であるアルミニウムとその外装の上に配置される充電コイル30との間に第1の磁性シート10を設け、アルミニウムに対する影響を軽減する必要がある。また、基板に実装された電子部品は、充電コイル30の電力伝送と干渉しあい、お互いに悪影響を及ぼしあう可能性がある。そのため、基板と充電コイル30との間に磁性シートや金属膜を設け、お互いの影響を抑える必要がある。
以上の点を考慮して、非接触充電モジュール100に用いる第1の磁性シート10は、透磁率、飽和磁束密度の高いものが使用され、充電コイル30のL値をなるべく大きくすることが重要である。透磁率250以上、飽和磁束密度350mT以上を備えるものであればよい。本実施の形態においては、Mn−Zn系のフェライトの焼結体であって、透磁率1500以上2500以下、飽和磁束密度400以上500以下、厚みは約400μm以上700μm以下である。ただし、Ni−Zn系フェライトでもよく、透磁率250以上、飽和磁束密度350以上あれば、1次側非接触充電モジュール200と良好な電力伝送が可能である。
そして、充電コイル30は、共振コンデンサを用いてLC共振回路をつくる。このとき、1次側非接触充電モジュール200に備えられるマグネット220を位置合わせに利用する場合と利用しない場合とで、充電コイル30のL値が大幅に変化すると、共振コンデンサとの共振周波数も大幅に変化してしまう。この共振周波数は、1次側非接触充電モジュール200と非接触充電モジュール100との電力伝送(充電)に用いられるため、マグネット220の有無によって共振周波数が大幅に変化すると正しく電力伝送ができなくなってしまう。しかしながら、上記の構成とすることで、マグネット220の有無による共振周波数のばらつきが抑えられ、いずれの情況であっても、電力伝送が高効率化する。
また、フェライトシートがMn−Zn系であることによって、更なる薄型化が可能となる。すなわち、規格(WPC)によって、電磁誘導の周波数は100kHz〜200kHz程度(例えば120kHz)と決まっている。このような低周波数帯において、Mn−Zn系のフェライトシートは高効率となる。なお、Ni−Zn系のフェライトシートは高周波において高効率である。従って、本実施の形態においては、約100kHz〜200kHzで電力伝送を行う非接触充電用の第1の磁性シート10をMn−Zn系フェライトシートで構成し、約13.56MHzで通信を行うNFC通信用の第2の磁性シート20をNi−Zn系フェライトシートで構成する。
また、第1の磁性シート10の中心部13の中に穴を形成してもよい。なお、穴とは貫通孔及び凹部のいずれであってもよい。また、穴は中心部13よりも大きくてもいいし、小さくてもよいが、小さい方がよい。すなわち、充電コイル30を第1の磁性シート10に載置した際に、充電コイル30の中空部よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。小さい場合は、充電コイル30全体が第1の磁性シート10上に載る。
前述したように、非接触充電モジュール100としては、マグネットを使用する1次側(充電側)非接触充電モジュール及びマグネットを使用しない1次側非接触充電モジュール200の双方に適応できるようにすることで1次側非接触充電モジュール200のタイプに関係せず充電ができ利便性が向上する。そして、1次側非接触充電モジュール200にマグネット220が備えられる場合の充電コイル30のL値と、備えられない場合の充電コイル30のL値を近づけ、かつ双方のL値を向上させることが求められる。また、マグネット220が第1の磁性シート10の近傍に配置されることによって、マグネット220近傍であるの第1の磁性シート10の中心部13の透磁率が低下してしまう。そこで、中心部13に穴を設けることによって、透磁率の低下を抑えることができる。
図4は、1次側非接触充電モジュールにマグネットを備える場合と備えない場合とにおいて充電コイルのL値と中心部のくり抜きの割合との関係を示した図である。なお、くり抜きの割合が100%であるとは、中心部13の穴が貫通口であることを意味し、くり抜きの割合が0%であるとは、穴が設けられないことをいう。更に、くり抜きの割合が50%であるとは、例えば0.6mmの厚さの磁性シートに対して、0.3mmの深さの穴(凹部)を設けることを意味する。
図4に示すように、くり抜きの割合を大きくするに従って、1次側非接触充電モジュール200にマグネット220が備えられない場合はL値が減少する。このとき、くり抜きの割合が0%〜75%まではほとんど減少しないが75%〜100%にかけて大きく減少する。対して、1次側非接触充電モジュール200にマグネット220が備えられる場合は、くり抜きの割合を大きくするに従ってL値が向上する。マグネットの悪影響を受けにくくなるからである。このとき、くり抜きの割合が0%〜75%までは徐々にL値が向上し、75%〜100%にかけて大きく向上する。
従って、くり抜きの割合が0%〜75%までは、1次側非接触充電モジュール200にマグネット220が備えられない場合のL値を維持させたまま、1次側非接触充電モジュール200にマグネット220が備えられる場合のL値を向上させることができる。また、くり抜きの割合が75%〜100%では、1次側非接触充電モジュール200にマグネット220が備えられない場合のL値と、1次側非接触充電モジュール200にマグネット220が備えられる場合のL値とを、大幅に近づけることができる。そして、くり抜きの割合が40〜60%のときに最も効果的であって、1次側非接触充電モジュール200にマグネット220が備えられない場合のL値を維持させたまま、1次側非接触充電モジュール200にマグネット220が備えられる場合のL値が1μH以上向上し、更にマグネット220が備えられる場合にマグネット220と第1の磁性シート10とが十分に引き合うことができる。
〔第2の磁性シートについて〕
図1(e)に示される第2の磁性シート20は、フェライトやパーマロイ、センダスト、珪素合板などの金属材料で構成される。第2の磁性シート20としては、Ni系軟磁性フェライトが好ましく、フェライト粉体を乾式プレス成形し、焼成することにより焼成体、高密度のフェライト焼成体とすることができ、軟磁性フェライトの密度が3.5g/cm3以上であることが好ましい。更に軟磁性フェライトの磁性体の大きさが、結晶粒界以上であることが好ましい。また第2の磁性シート20は、厚さ0.07mm〜0.5mm程度で形成されるシート状(あるいは板状、膜状、層状)のものである。外形のサイズはNFCコイル40の外形とほぼ同一である。ただし、NFCコイル40の外形よりも1〜3mm程度おおきくするとよい。第2の磁性シート20の厚みは0.1mmであり、第1の磁性シート10の厚みよりも薄く半分以下である。透磁率は少なくとも100〜200である。
第1の磁性シート10及び第2の磁性シート20の上下面(表裏面)に貼着される保護部材は、樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、耐熱性樹脂、合成ゴム、両面テープ、粘着層、またはフィルムの少なくとも1つの手段がもちいられ、NFCコイル40の曲げやたわみなどに対する柔軟性だけではなく、耐熱性、耐湿性などの耐候性を考慮して選定をおこなってもよい。また、NFCコイル40の片面、両面、片側面、両側面または全面が、保護部材によりコーティングされていてもよい。とくに、本実施の形態においては、第1の磁性シート10と第2の磁性シート20とは予め小片状に粉砕されることで柔軟性を備えている。従って、このシート状に並んだ多数の小片がバラバラにならないよう、保護シートを備えることが有用となる。
〔非接触充電モジュールの構成について〕
図5は、本実施の形態における非接触充電モジュールを示す図であり、図5(a)は非接触充電モジュールの上面図、図5(b)は非接触充電モジュールの下面図、図5(c)は図5(a)のA−A断面図、図5(d)は図5(c)におけるB−Bより右側の拡大断面図である。
充電コイル30の電力受電方向と、NFCコイル40の通信方向とを同一方向にして近接させた場合、単純に配置してもお互いの存在が相手の電力伝送効率を低下させる。すなわち、非接触充電の際は、1次側非接触充電モジュール200が発生させる磁束をNFCコイル40が受電して、充電コイル30の受電するパワーが低下する可能性がある。その結果、電力伝送効率が低下する可能性がある。また、NFCコイル40にとっては、1次側非接触充電モジュール200の発生させる磁束が非常に大きく、更に長時間発生される。従って、NFCコイル40にとって大きすぎる電流がNFCコイル40に発生する可能性があり、NFCコイル40に悪影響をもたらすことがある。一方で、NFCコイル40が通信する際は、充電コイル30に渦電流が発生してNFCコイル40の通信を妨げる。すなわち、伝送する電力の大きさの違いから、NFCコイル40と比べて充電コイル30は導線の線径も巻数も全体大きさも大きくなる。その結果、NFCコイル40から見ると充電コイル30は大きな金属体である。NFCコイル40の通信時に発せされる磁束を打ち消そうとする磁束が充電コイル30に流れてしまい、NFCコイル40の通信効率を大幅に低下させてしまう。
従って、本実施の形態においては、NFCコイル40を充電コイル30の周囲に配置する。その結果、非接触充電の際は、1次側非接触充電モジュール200が発生させる磁束からNFCコイル40が離れて位置するため受電しにくく、充電コイル30の受電するはずのパワーを奪いにくい。その結果、電力伝送効率の低下を抑えることができる。逆にNFCコイル40を充電コイル30の中空部内に配置した場合、非接触充電の際の磁束をNFCコイル40が全体で受信してしまうため、NFCコイル40が充電コイル30の受電するはずのパワーをたくさん奪ってしまう。なお、NFCコイル40通信時の磁束を充電コイル30が受電したとしても、充電コイル30にとっては非常に小さい磁束、電流のため、なんら影響はない。すなわち、充電コイル30はNFCコイル40に対して渦電流を発生させるが、NFCコイル40に充電コイル30の渦電流が影響するほどに流れることはないので、NFCコイル40の方を外側にして開口面積を大きくし、NFCコイル40の通信効率を向上させる。
更に、NFCコイル40が通信する際は、充電コイル30が内側に位置するため、NFCコイル40の大きさに対してNFCコイル40と隣接する充電コイル30の領域が小さくなる。その結果、充電コイル30には渦電流が発生しにくい。逆に充電コイル30が外側に位置すると、小さいNFCコイル40に対して充電コイル30は大きくなり、その結果NFCコイル40に隣接する充電コイル30の領域が相対的に大きくなる。従って、充電コイル30に発生する渦電流がNFCコイル40にとって非常に大きくなり、NFCコイル40の通信が非常に妨げられる。なお、非接触充電時に、NFCコイル40に渦電流が発生したとしても、充電コイル30にとってはとても小さな電流のため、影響しない。
また、第1の磁性シート10は、非接触充電を行う約100〜200kHzの電磁誘導の電力伝送を向上することができる周波数特性を備える。しかし、約100〜200kHzにピークがある場合、NFCの通信を行う13.56MHz帯域においてもNFCコイル40の通信を向上させることができる。対して、第2の磁性シート20は、NFCコイル40が通信を行う約13.56MHzの電磁誘導の通信を向上することができる周波数特性を備える。しかし、約13.56MHzにピークがある場合、非接触充電を行う約100〜200kHz帯域においては、非接触充電の効率にほとんど影響を及ぼさない。
NFCコイル40と充電コイル30とにおいて、NFCコイル40の中空位置(中空部及び中空部の下部)に充電コイル30を配置させることにより、第1の磁性シート10をNFCコイル40の通信向上に利用させることができる。すなわち、第1の磁性シート10、第2の磁性シート20、充電コイル30、NFCコイル40をモジュール化することにより小型化を達成しつつ、第1の磁性シート10を本来の目的(充電コイル30の効率向上)とは異なる目的(NFCコイル40の効率向上)にも利用することができ、第1の磁性シート10を効率よく利用することができる。
その結果、同じNFCリーダライタからの磁束を受け取ったときの誘起電圧が下記のように変化した。例えば、NFCコイル40の中空部に対応する領域に貫通孔を備えた磁性シートの上にNFCコイル40を載置した場合は1573mVであったのに対し、図5(a)の非接触充電モジュール100においては、1712mVであった。これは、第1の磁性シート10がNFCコイル40の通信効率を向上させるからである。
更に、図5(a)に示すように、略正方形のNFCコイル40の四隅のコーナー部41a〜41dと、略正方形の充電コイル30の四隅のコーナー部31a〜31dと、の距離d1は、他の部分(それぞれの辺どうし)間距離d2に比較して広くなっている。すなわち、隣接しあっているNFCコイル40の辺部分と充電コイル30の辺部分の距離d2は狭いが、コーナー部41a〜41dとコーナー部31a〜31dとの間の距離d1は大きい。これは、NFCコイル40のコーナー部41a〜41dに比較して、充電コイル30コーナー部31a〜31dが緩やかに曲がっている(大きなアールである)ことで内側に入り込むからである。
また、略矩形である充電コイル30及びNFCコイル40は、そのコーナー部31a〜31d及びコーナー部41a〜41dにおいて磁束が集中する。従って、コーナー部31a〜31dとコーナー部41a〜41dとの距離d1が大きくなれば、それぞれの磁束を他方に奪われることを抑えることができる。すなわち、NFCコイル40のコーナー部41a〜41dの最内端部よりも充電コイル30のコーナー部31a〜31dの最外端部を緩やかに曲げる(Rを大きく設定する)ことで、対向する辺部分同士間の距離d2よりも対向するコーナー部41a〜41dとコーナー部31a〜31dとの間の距離d1を大きくすることができる。その結果、磁束の集中しない辺部分は近接させることによって非接触充電モジュール100を小型化することができ、コーナー部間を離すことによってそれぞれの通信(電力伝送)効率を向上させることができる。なお、充電コイル30のコーナー部31a〜31dのRは最内端部(中空部)が約2mm、最外端部が約5mm〜15mm程度であって、NFCコイル40のコーナー部41a〜41dのアールは最内端部(中空部)が約0.1mm、最外端部が約0.2mmである。また、本実施の形態においては、コーナー部31a〜31dとコーナー部41a〜41dとの距離d1は2mmであり、1.5mm〜10mm程度であるとよく、対向する辺部分同士間の距離d2は1mm、0.5mm〜3mm程度であるとよい。また、好ましくは、d1をd2の3倍以上7倍以下にすることで、小型化と電力伝送効率向上と通信効率向上とをバランスよく達成することができる。
充電コイル30を矩形にしたことにより、矩形部の辺部において、NFCコイル40と接近するが、開口面積を広く確保することができる。これに対して、充電コイル30を円形に巻回するとNFCコイル40との接近部(最も近接する部分)は辺ではなく、点となり、お互いの干渉を軽減することができる。すなわち、NFCコイル40の四隅と充電コイル30との距離が、より大きくなる。その結果、NFCコイル40の最も磁束が集中する四隅と充電コイル30との距離が離れ、NFCコイル40の通信効率を向上させることができる。更に、充電コイル30を円形状にすることで、充電コイル30と1次側非接触充電モジュール200の1次側コイル210がお互いにどのような向きであっても、方う構成に左右されずに充電することができる。
また、充電コイル30をNFCコイル40の中空部に配置したため、脚部32a、32bとNFCコイル40とが積層し、非接触充電モジュール100の厚みが増加してしまう。特に、充電コイル30はNFCコイル40に比較してかなり厚み方向に厚いので、充電コイル30の脚部32aと脚部32bとが、非接触充電モジュール100の他の部分と積層することで、非接触充電モジュール100の厚みが非常に厚くなってしまう。従って、第1の磁性シート10のスリット11に、脚部32a、32bの双方を収納する。充電コイル30の巻回部分(平面コイル部分)の巻き始め(内側)の点32aaに接続する脚部32aの少なくとも一部は、充電コイル30の巻回部分(平面コイル部分)及びNFCコイル40の双方と積層する。また、充電コイル30の巻回部分(平面コイル部分)の巻き終わり(外側)の点32bbに接続する脚部32bの少なくとも一部は、NFCコイル40と積層する。従って、スリット11を、図5(b)に示す下端部14から少なくとも充電コイル30の巻回部分(平面コイル部分)の巻き始め(内側)の点32bbまで伸ばす。脚部32aのうち、充電コイル30の巻回部分(平面コイル部分)及びNFCコイル40と積層する部分がスリット11に収納される。また、脚部32bのうち、NFCコイル40と積層する部分がスリット11に収納される。その結果、導線どうしが積層した分だけ厚みが増してしまうのを、スリット11に脚部32a、32bの双方を収納することによって解消することができる。また、NFCコイル40及び充電コイル30は矩形であるので、スリット11はNFCコイル40及び充電コイル30の直線部と直交する。これにより、スリット11を短く構成することができ、充電コイル30及びNFCコイル40の電力伝送効率または通信効率を向上させることができる。
前述したようにスリット11は貫通したスリットであっても底部を備える凹部のスリットであってもよい。少なくとも、充電コイル30の導線の直径よりも深く形成すればよい。スリット11の横幅(短手方向の幅)は、5mmであり、2mm〜10mmが好ましい。なお、本実施の形態の場合、脚部32a、32b双方を収納するのに最低限必要な幅が2mmであった。スリット11の横幅は充電コイル30の導線2本分の線径の2倍以上5倍以下であることが好ましい。すなわち、導線がリッツ線など複数線であっても、スリット11を、充電コイル30の端子4本程度が収まるくらいの幅を備えることが好ましい。また、スリット11の幅がこれ以上大きくなると、充電コイル30の電力伝送効率を低下させてしまう。また、最低限必要な幅の2倍以上としたのは、脚部32aと32bとの間に隙間を設けるためである。それによって、脚部32aと32bとの間の浮遊容量を低下させることができる。その結果、充電コイル30の効率を向上させることができる。また、脚部32aと32bとをスリット11内に収納することが簡単となり、脚部32aと32bとの強度を向上させることができる。
また、1つのスリット11内に脚部32aと32bとの双方を収納することで、第1の磁性シート10の欠落部分の面積を最小限に抑えることができる。しかしながら、脚部32a、32bを伸ばす方向によっては、スリット11を複数設けてもよい。すなわち、充電コイル30の巻回部分(平面コイル部分)の巻き始め(内側)の点32aaに接続する脚部32aを収納するスリットを、下端部14から少なくとも充電コイル30の巻回部分(平面コイル部分)の巻き始め(内側)の点32aaまで伸ばす。脚部32aのうち、充電コイル30の巻回部分(平面コイル部分)及びNFCコイル40と積層する部分がスリット11に収納される。一方で、充電コイル30の巻回部分(平面コイル部分)の巻き終わり(外側)の点32bbに接続する脚部32bを収納するスリットを、下端部14から少なくとも充電コイル30の巻回部分(平面コイル部分)の巻き終わり(外側)の点32bbまで伸ばす。脚部32bのうち、NFCコイル40と積層する部分がスリット11に収納される。このようにスリットを2つ設け、脚部32aと脚部32bとをそれぞれ1つずつスリットに収納することによって、脚部32aと32bとの間の浮遊容量を発生させずに済む。また、脚部32aと脚部32bとを引き出す方向を自由に設定することができる。導線を1本のみ収納するスリット2本を形成する場合は、それぞれのスリットが0.5mm程度である。
更に、脚部32aが充電コイル30の巻回部分(平面コイル部分)と積層する部分にのみ1つ目のスリットを形成し、脚部32aと脚部32bとがNFCコイル40と積層する部分に、脚部32aと脚部32bとを収納する2つ目のスリットを設けてもよい。すなわち、スリット11はどのような形状に形成してもよく、脚部32aと脚部32bとの双方がスリット11内に収納させることが重要である。以上のように、充電コイル30を支持する第1の磁性シート10と、第1の磁性シート10の上部に位置しNFCコイル40を支持する第2の磁性シート20とは、スリット11が第1の磁性シート10に備えられ、充電コイル30の脚部32a、32b(両端子)は、第2の磁性シート20の下部においてスリット11内に収納される。
また、スリット11は、図6に示すL字のスリット11aのように形成してもよい。図6は、本実施の形態におけるL字のスリットを備える第1の磁性シートを示す概略図である。図6に示すL字状のスリット11aのうち、領域xは図1(d)のスリット11に相当し、脚部32a、32bを収納する。領域y、領域zまでスリット11aの領域を拡大しているのは、前述したとおり、図1(b)の導線を、巻き始めの点31aaよりも巻き終わりの点31bbのほうが緩やかに大きく曲がるように形成するためである。導線を巻き終わりの点31bbにおいて緩やかに曲げるため、その曲線部分を収納するためにスリット11aを領域yまで拡大している。しかし、領域zまではスリット11aを拡大させる必要はない。しかしながら、本実施の形態においては第1の磁性シート10をフェライトシート(焼結体)で構成しているため、領域zをスリット11aの一部とせずに第1の磁性シート10の一部としてしまうと、領域zのシート部分が破損してしまう。そのため、領域zまでもスリット11aとし、第1の磁性シート10の破損を防ぎ、第1の磁性シート10の特性を安定させる。なお、第1の磁性シート10が破損してしまうと、第1の磁性シート10は大幅に特性が変化し、充電コイル30の特性も大幅に変化してしまう。例えば、L値が低下し、非接触充電の電力伝送効率が低減する。
次に第1の磁性シートと第2の磁性シートとの周波数特性について説明する。周波数とは、この磁性シートを備えるアンテナ(例えば充電コイル30、NFCコイル40)の周波数である。図7は、本実施の形態における第1の磁性シート及び第2の磁性シートの周波数特性を示す図である。図7(a)は第1の磁性シート10(Mn−Zn系フェライト焼結体)の透磁率の周波数特性、図7(b)は第2の磁性シート20(Ni−Zn系フェライト焼結体)の透磁率の周波数特性、図7(c)は第2の磁性シート20のQ値の周波数特性を示す。
本実施の形態においては、図5(c)に示すように第2の磁性シート20は、第1の磁性シート10の上面に積層される。図7に示すように、第2の磁性シート20は、NFCコイル40の通信の高い周波数(13.56MHz)に良好な特性(高いQ値、透磁率125程度)を備え、第1の磁性シート10は、充電コイル30の電力伝送の低い周波数(100〜200kHz)に良好な特性(透磁率1700程度)を備える。従って、本来であれば、NFCコイル40の真下は第2の磁性シート20のみを厚く形成した方が、NFCコイル40の通信効率を向上させる。しかしながら、本実施の形態においては、第1の磁性シート10をNFCコイル40の真下にまで伸ばして、充電コイル30の電力伝送効率を向上させている。これは、それぞれのフェライトシートの周波数特性による。まず、一般的に、伝送電力の大きな非接触充電に使用される第1の磁性シート10は、十分な電力伝送効率を確保するため高透磁率材料である。一方、電力の小さなNFC通信のための第2の磁性シート20に対しては、第1の磁性シート10ほどの透磁率は必要ない。従って、第1の磁性シート10は、NFC通信の通信周波数帯域でもNFC通信に必要な透磁率を有する。すなわち、非接触充電をサポートする第1の磁性シート10は、NFC通信をサポートする第2の磁性シート20に比べて周波数に関係せず全体的に透磁率が高い。図7(a)に示すとおり、第1の磁性シート10は周波数が13.56MHz程度となっても、透磁率μが500程度であり、十分磁性シートとして機能する。特に先述した本実施の形態における第1の磁性シート10の場合は十分な役割を果たす。対して、図7(b)に示すとおり、第2の磁性シート20は周波数が100kHz〜200kHzの帯域では、非接触充電にとって十分な透磁率を有さない(透磁率125程度)。
従って、充電コイル30及びNFCコイル40双方の通信効率を向上させ維持するためには、NFCコイル40の真下を、第1の磁性シート10と第2の磁性シート20との積層構造としたほうがよい。これにより、双方のコイルの通信効率を向上させることができる。すなわち、第1の磁性シート10を大きくすることで非接触充電の電力伝送効率を向上させ、更にNFC通信も十分にサポートする。また、第1の磁性シート10だけでなく、NFC通信のための第2の磁性シート20を備えるのは、NFCコイル40によるNFC通信のQ値を向上させるためである。図7(c)に示すとおり、第2の磁性シート20は良好なQ値を備えるため、NFC通信の通信距離を向上させることができる。
また、第1の磁性シート10の厚みが0.43mmであるのに対し、第2の磁性シート20は0.1mmであって相対的に薄い。半分以下である。また、第2の磁性シート20は充電コイル30の導線の線径(0.2mm〜1.0mm程度)よりも薄い。
更に、第2の磁性シート20及びNFCコイル40は少なくとも一部が第1の磁性シート10上に載置されていればよく、全体が載置される必要はない。一方で、NFCコイル40の全体が、第2の磁性シート20に載置された方がよい。それによってNFCコイル40の通信効率を向上させることができる。しかしながら、NFCコイル40の通信効率向上のためにはNFCコイル40の開口面を大きくすることがよく、その場合、第2の磁性シート20及びNFCコイル40のみを大きくすれば効果を得ることができる。
〔携帯端末について〕
図8は、本実施の形態の非接触充電モジュールを備えた携帯端末を模式的に示した断面図である。図8(a)〜図8(e)においては、上面側に表示部を備え、下面側を通信面とする。また、図8の携帯端末300においては、筐体301、基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100以外の部品を省略しており、図8は、筐体301、基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100の配置関係を模式的に説明するものである。
携帯端末300は、筐体301内に、携帯端末300の少なくとも一部の制御を行う基板302、受電した電力を一時的に保存する電池パック(電力保持部)303、上記で説明した非接触充電モジュール100を備える。表示部はタッチパネル機能を備える場合があり、その場合、ユーザーは表示部をタッチ操作することにより携帯端末を操作する。もちろん、非接触充電モジュール100の向きは、第1の磁性シート10が表示部側(図8の上側)となり、充電コイル30やNFCコイル40が筐体301の裏面側(図8の下側)に向くように配置される。これにより、非接触充電の伝送方向も、NFCアンテナの通信方向も筐体301の裏面側(図8の下側)にすることができる。
図8(a)においては、基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100のうち、最も表示部側(図8の上側)に基板302が配置され、基板302の裏側に電池パック303が配置され、筐体301の裏面側に最も近いのが通信モジューツ100である。基板302と電池パック303とは少なくとも一部が積層し、電池パック303と非接触充電モジュール100とは少なくとも一部が積層する。これにより、非接触充電モジュール100と基板302及び基板302に搭載された電子部品とがお互いに悪影響(例えば干渉)を及ぼしあうことを防ぐことができる。また、電池パック303と非接触充電モジュール100とが近接配置されるため、お互いの接続が容易である。また、特に基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100の面積を十分に確保することができ、設計の自由度が高い。充電コイル30及びNFCコイル40のL値を十分に確保することができる。
図8(b)においては、基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100のうち、最も表示部側(図8の上側)に基板302が配置され、基板302の裏側に電池パック303及び非接触充電モジュール100が並列に配置される。すなわち、電池パック303及び非接触充電モジュール100は積層せず、図8の横方向に並んで配置される。基板302と電池パック303とは少なくとも一部が積層し、基板302と非接触充電モジュール100とは少なくとも一部が積層する。これにより、電池パック303と非接触充電モジュール100とを積層しないので、筐体301を薄型化することができる。また、特に基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100の面積を十分に確保することができ、設計の自由度が高い。充電コイル30及びNFCコイル40のL値を十分に確保することができる。
図8(c)においては、基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100のうち、最も表示部側(図8の上側)に基板302と電池パック303とが配置され、電池パック303の裏側に非接触充電モジュール100が配置される。すなわち、電池パック303及び基板302は積層せず、図8の横方向に並んで配置される。電池パック303と非接触充電モジュール100とは少なくとも一部が積層する。これにより、電池パック303と基板302とを積層しないので、筐体301を薄型化することができる。また、電池パック303と非接触充電モジュール100とを積層して、電池パック303と非接触充電モジュール100とが近接配置されるため、お互いの接続が容易である。また、基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100の面積を十分に確保することができ、充電コイル30及びNFCコイル40のL値を十分に確保することができる。
図8(d)においては、基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100のうち、最も表示部側(図8の上側)に基板302と電池パック303とが配置され、基板302の裏側に非接触充電モジュール100が配置される。すなわち、電池パック303及び基板302は積層せず、図8の横方向に並んで配置される。基板302と非接触充電モジュール100とは少なくとも一部が積層する。これにより、電池パック303と基板302とを積層しないので、筐体301を薄型化することができる。一般的には、基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100のうち、電池パック303が最も厚い。従って、電池パックと他部品を積層させるよりも、基板302と非接触充電モジュール301とを積層させたほうが筐体301を薄型化することができる。また、基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100の面積を十分に確保することができ、充電コイル30及びNFCコイル40のL値を十分に確保することができる。
図8(e)においては、基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100を、表示部側(図8の上側)に配置する。すなわち、基板302、電池パック303、非接触充電モジュール100はお互いに一切積層せず、図8の横方向に並んで配置される。これにより、筐体301を最も薄型化することができる。
請求項2に記載の発明は、前記磁性シートは、前記充電コイルを支持する第1の磁性シートと、前記第1の磁性シートの上部に位置し前記NFCコイルを支持する第2の磁性シートと、を備え、前記スリットは前記第1の磁性シートに備えられ、前記充電コイルの両端子は、前記第2の磁性シートの下部において前記スリット内に収納されることを特徴とする請求項1に記載の非接触充電モジュールであって、充電コイルと第2の磁性シートとが積層する部分において厚みを増加させないよう、充電コイルを第1の磁性シートのスリット内に収納することができる。
請求項3に記載の発明は、前記NFCコイル及び前記充電コイルは矩形であり、前記スリットは、前記NFCコイル及び前記充電コイルの直線部と直交することを特徴とする請求項1または2のいずれかひとつに記載の非接触充電モジュールであって、スリットを短く構成することができ、充電コイル及びNFCコイルの電力伝送効率または通信効率を向上させることができる。