JP2013118953A - ハロゲン化合物含有油の無害化処理設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハロゲン化合物含有油を金属ナトリウムで脱ハロゲン化する無害化処理において、ハロゲン化合物含有油に酸化変質油が含まれていても金属ナトリウムの消費量を抑制することができるハロゲン化合物含有油の無害化処理設備を提供する。
【解決手段】被処理油である、酸化変質油を含むハロゲン化合物含有油を貯蔵する処理タンク3と、被処理油に含まれる水分を除去すると共に酸化変質油と水酸化ナトリウムとを反応させる減圧蒸留槽5と、水分が除去されかつ酸化変質油と水酸化ナトリウムとが反応した被処理油中のハロゲン化合物と金属ナトリウムとを反応させ脱ハロゲン油を得る反応槽5と、減圧蒸留槽5に水酸化ナトリウムスラリーを供給するスラリー供給装置9と、を含み、スラリー供給装置9は、絶縁油を分散媒とし水酸化ナトリウムスラリーを連続的に製造し、直ちに供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハロゲン化合物含有油を無害化するハロゲン化合物含有油の無害化処理設備に関する。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、不燃性で化学安定性及び電気絶縁性に優れるため、従来、電気機器の絶縁油などとして使用されていたが、その有害性から現在では使用が禁止され、保管されているPCB及びPCBを含有する廃油などについても、平成13年に制定された「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)」により、平成28年7月までに処理を完了することが義務付けられている。
PCBの脱塩素化技術は、これまでに多くの方法が提案されており、幾つかの方法は実用化されている。金属ナトリウムとPCBとを反応させPCBを脱塩素化させる方法は、PCB混入絶縁油の無害化処理に使用され、処理プラントも稼働中である。金属ナトリウムとPCBとを反応させるとPCBが脱塩素化され、ビフェニル、塩化ナトリウム、ビフェニルが重合したビフェニル重合物、水酸化ナトリウムが生成するが、この生成物に関しては幾つかの問題が指摘され、これに対する対策案が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また不純物を含むPCB混入絶縁油を処理すると処理設備、処理プロセスに悪影響を及ぼす。例えば、PCB混入絶縁油を抜き出した後に柱上変圧器を破砕しこれを真空加熱し回収される留出液には水溶性の有機酸が含まれ、これが配管を腐食させることがある。またPCBと金属ナトリウムとを反応させるに先立ち行なわれる被処理油中の水分除去操作により、タール状のスラッジが析出し、これがストレーナを閉塞させることがある。これに対し本出願人は、既に有機酸を除去する装置を開発し特許出願中である(例えば特許文献2参照)。
またPCB汚染物を真空加熱し回収される回収物には、PCBを含む炭化水素系油状物の他、熱分解生成物である木酢液、タール状物質が含まれ、これらがPCBの分解処理に悪影響を及ぼすとし、PCBの分解処理に先立ち、蒸留操作により低沸点熱分解生成物を除去し、さらに吸着剤を使用しタール状物質を吸着除去する技術が提案されている(例えば特許文献3参照)。
特開2005−319415号公報 特開2010−137191号公報 特開2004−174294号公報
上記以外に不純物を含むPCB混入絶縁油を金属ナトリウムで無害化処理すると、反応槽内にスケールが析出し、これが剥離し配管を閉塞させる、さらには金属ナトリウムの消費量が多くなる等の問題が発生するが、これまでこのような問題点は指摘されていなかった。
これに対して、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、PCB混入絶縁油の無害化処理、貯蔵において、不純物を含むPCB混入絶縁油を被処理油とするとき発生する種々のトラブル、悪影響は、被処理油に含まれる酸化変質油に起因し、さらに酸化変質油の特性を抑え込むことでトラブル、悪影響を抑制することができることを見出し、発明を完成させ特許出願中である(特願2010−129602)。
本発明の目的は、ハロゲン化合物含有油を金属ナトリウムで脱ハロゲン化する無害化処理において、ハロゲン化合物含有油に酸化変質油が含まれていても金属ナトリウムの消費量を抑制することができるハロゲン化合物含有油の無害化処理設備を提供することである。
本発明は、被処理油である、酸化変質油を含むハロゲン化合物含有油を貯蔵する処理タンクと、前記処理タンクから送られる被処理油に含まれる水分を除去すると共に酸化変質油と水酸化ナトリウムとを反応させる減圧蒸留槽と、水分が除去されかつ酸化変質油と水酸化ナトリウムとが反応した被処理油中のハロゲン化合物と金属ナトリウムとを反応させ脱ハロゲン油を得る反応槽と、前記処理タンク、前記減圧蒸留槽又は前記処理タンクと前記減圧蒸留槽とを結ぶ管路のいずれか1の場所に、水酸化ナトリウムを分散媒に分散させた分散液を供給する分散液供給装置と、を含み、前記分散液供給装置は、連続的に水酸化ナトリウムを分散媒に分散させ、製造した分散液を直ちに供給することを特徴とするハロゲン化合物含有油の無害化処理設備である。
本発明のハロゲン化合物含有油の無害化処理設備は、水酸化ナトリウムを分散媒に分散させた分散液を供給する分散液供給装置を備えるので、減圧蒸留槽に分散液を供給し、酸化変質油と水酸化ナトリウムとを反応させることができる。これを被処理油中のハロゲン化合物と金属ナトリウムとを反応させる前に行っておけば、酸化変質油と金属ナトリウムとの反応が抑制され、金属ナトリウムの消費量を抑制することができる。本発明のハロゲン化合物含有油の無害化処理設備は、水酸化ナトリウムを分散媒に分散させた分散液を製造し、これを直ちに供給することができる分散液供給装置を備えるので、実用レベルで金属ナトリウムの消費量を抑制することができる。
また本発明のハロゲン化合物含有油の無害化処理設備は、さらに固形薬剤の表面をコーティング剤でコーティングするコーティング装置を備え、前記分散液供給装置は、前記コーティング装置により表面がコーティング剤でコーティングされた固形の水酸化ナトリウムを原料とし、前記分散液を製造し、供給することを特徴とする。
フレーク状、ペレット状など固形の水酸化ナトリウムの表面をコーティング剤でコーティングすることで、潮解を防ぐことができ、取扱いが容易となる。
また本発明のハロゲン化合物含有油の無害化処理設備は、前記分散液供給装置が、水酸化ナトリウムを粉砕するミルを備え、前記分散液が、前記ミルで粉砕された水酸化ナトリウムが前記分散媒に分散したスラリーであることを特徴とする。
分散液をスラリーとすれば、製造及び供給も容易に行える。スラリー中の水酸化ナトリウムの粒径を数μm程度とすれば、酸化変質油と反応し易くなり好ましい。
また本発明のハロゲン化合物含有油の無害化処理設備は、前記コーティング剤が、パラフィンであることを特徴とする。
水酸化ナトリウムの表面をコーティングするコーティング剤は、減圧蒸留槽内で被処理油と混合される。PCB混入絶縁油に代表されるようにハロゲン化合物含有油は、パラフィン系の油であることが多いため、水酸化ナトリウムの表面をコーティングするコーティング剤がパラフィンであれば、被処理油との親和性もよく好ましい。
また本発明のハロゲン化合物含有油の無害化処理設備は、前記分散媒が、酸化変質油を含むハロゲン化合物含有油を脱ハロゲン化し得られた油であることを特徴とする。
水酸化ナトリウムを分散させる分散媒に酸化変質油を含むハロゲン化合物含有油を脱ハロゲン化し得られた油を使用すれば、被処理油と相溶化し、また分散媒を新たに準備する必要もなく非常に好ましい。
本発明のハロゲン化合物含有油の無害化処理設備は、ハロゲン化合物含有油に酸化変質油が含まれていても実用レベルで金属ナトリウムの消費量を抑制することができる。
本発明の実施の一形態としてのPCB混入絶縁油の無害化処理設備1の構成図である。 図1のPCB混入絶縁油の無害化処理設備1で使用するスラリー供給装置9の概略構成を示す図である。 図1のPCB混入絶縁油の無害化処理設備1で使用するコーティング装置11の概略構成を示す図である。 紙木類乾留物を含む絶縁油と紙木類乾留物を含まない絶縁油をフーリエ変換赤外分光法FTIRで分析した結果を示す図である。 被処理油にNaOHを添加したときの反応槽7に添加する金属ナトリウム注入量と反応後の処理済油中のPCB濃度の関係を示す図である。 図1のPCB混入絶縁油の無害化処理設備1で使用するエマルション供給装置41の概略構成を示す図である。 本発明のPCB混入絶縁油の無害化処理設備1をPCB混入絶縁油の無害化処理プラント51に適用したときの構成図である。
図1は、本発明の実施の一形態としてのPCB混入絶縁油の無害化処理設備1の構成図である。図2は、図1のPCB混入絶縁油の無害化処理設備1で使用するスラリー供給装置9の概略構成を示す図である。また図3は、図1のPCB混入絶縁油の無害化処理設備1で使用するコーティング装置11の概略構成を示す図である。
PCB混入絶縁油の無害化処理設備1は、SPプロセス(soduim pulverulent dispersion)法を用いてPCB混入絶縁油を無害化する設備であり、金属ナトリウムとPCBとを反応させPCBを脱塩素化する。この無害化処理設備1は、従来の無害化処理設備と異なり、減圧蒸留槽5に水酸化ナトリウムのスラリーを供給するスラリー供給装置9を備える点に大きな特徴がある。
PCB混入絶縁油の無害化処理設備1は、被処理油であるPCB混入絶縁油を貯蔵する処理タンク3と、処理タンク3から送られる被処理油に含まれる水分を除去する減圧蒸留槽5と、水分が除去された被処理油中のPCBと金属ナトリウムとを反応させ被処理油を無害化する反応槽7と、減圧蒸留槽5に水酸化ナトリウムスラリーを供給するスラリー供給装置9とを有し、さらに表面がコーティング剤でコーティングされた水酸化ナトリウムをスラリー供給装置9に供給するコーティング装置11を有する。
ここで対象とする被処理油は、酸化変質油を含むPCB混入絶縁油である。酸化変質油は、例えば、PCB微量混入絶縁油を抜き出した後の柱上変圧器を破砕しこれを真空加熱し回収される回収絶縁油に含まれる。このような回収絶縁油には、C=O結合及びC−O結合を含む酸化変質油が含まれる。C=O結合及びC−O結合を含む酸化変質油が含まれるのは、柱上変圧器に紙、木が含まれ、これらの乾留物が回収絶縁油に含まれることによる。
図4は、紙木類乾留物を含む絶縁油と紙木類乾留物を含まない絶縁油をフーリエ変換赤外分光法FTIRで分析した結果を示す図である。紙木類乾留物を含む絶縁油にはC=Oのピーク1750cm−1が強く表れている。C=O結合を含む酸化変質油としては、カルボン酸、エステル、アルデヒド、ケトンがある。このような酸化変質油を含むPCB混入絶縁油を従来の無害化処理設備で処理すると、反応槽7にスケールが発生する、金属ナトリウムの消費量が増加するなどの問題が発生する。これに対して本実施形態に示す無害化処理設備1を使用することでこのような問題を解決することができる。この点については、後述する。
処理タンク3は、タンクローリー等で運び込まれる、酸化変質油を含むPCB混入絶縁油を貯蔵する。
減圧蒸留槽5は、反応槽7において被処理油の含まれるPCBと金属ナトリウムとを反応させ無害化するに先立ち、被処理油に含まれる水分を除去すると共に、スラリー供給装置9を介して供給される水酸化ナトリウムと被処理油に含まれる酸化変質油とを反応させる装置である。減圧蒸留槽5は、例えば加熱媒体を受け入れるジャケットなどの加熱手段を備える撹拌槽であり、さらに減圧装置を介して槽内が減圧可能である。また減圧蒸留槽5は、スラリー供給装置9と接続し、スラリー供給装置9から絶縁油を分散媒とする水酸化ナトリウムスラリーが供給される。減圧蒸留槽5の大きさ、形状、加熱手段、さらには撹拌機の形状等は、特定のものに限定されるものではない。被処理油に含まれる水分を除去し、酸化変質油と水酸化ナトリウムとを十分に反応させることができればよい。
反応槽7は、減圧蒸留槽5で水分が除去され、さらに被処理油に含まれる酸化変質油と水酸化ナトリウムとが反応した後の被処理油に含まれるPCBと金属ナトリウムとを反応させ、脱塩素化する装置である。金属ナトリウムは、絶縁油中に金属ナトリウムの微粒子を分散させた金属ナトリウム分散体(SD:soduim dispersion)として反応槽7に添加される。反応槽7は、例えば加熱媒体を受け入れるジャケットなどの加熱手段を備える撹拌槽であり、PCBと金属ナトリウムとを反応させ、十分に脱塩素化させることができればよく、大きさ、形状、加熱手段、さらには撹拌機の形状等は、特定のものに限定されない。
スラリー供給装置9は、水酸化ナトリウムスラリーを連続的に製造し、減圧蒸留槽5に供給する装置である。スラリー供給装置9は、図2に示すように固形の水酸化ナトリウムを微粉砕する湿式ミル15と、湿式ミル15に固形の水酸化ナトリウムを定量供給するスクリューフィーダ17と、微粉砕された水酸化ナトリウムを分級する液体サイクロン19とを備える。湿式ミル15は、水酸化ナトリウムを数μmの大きさに粉砕できればよく特定のミルに限定されるものではない。
湿式ミル15のミルホッパー16に、コーティング装置11により表面がパラフィンでコーティングされた水酸化ナトリウム、及び分散媒である絶縁油が定量供給され、湿式ミル15は、水酸化ナトリウムを微粉砕し、絶縁油中に数μmの大きさの水酸化ナトリウムが分散した懸濁液(スラリー)を製造する。スラリーは、液体サイクロン19に送られ、水酸化ナトリウムはここで分級され、粒径の大きい水酸化ナトリウムは、湿式ミル15に返送され、数μmの大きさの水酸化ナトリウムが絶縁油に分散したスラリーが減圧蒸留槽5に送られる。水酸化ナトリウムの粒径が10μmを超えると沈降分離し易くなるので、水酸化ナトリウムは、10μm以下の大きさに粉砕、分級することが好ましい。
ここで使用する分散媒は、絶縁油以外に灯油、軽油などを使用することができるが、分散媒は、減圧蒸留槽5で被処理油と混合するため被処理油と同じ絶縁油が好ましい。分散媒に使用する絶縁油として、無害化処理設備1でPCBが無害化された処理済油を使用すれば被処理油と相溶化し、さらに分散媒を新たに準備する必要がなく非常に好ましい。水酸化ナトリウムをコーティングするコーティング剤もパラフィンに限定されるものではないが、被処理油であるPCB混入絶縁油は、パラフィン系の油であるので、コーティング剤にパラフィンを使用すれば、パラフィンは被処理油と相溶化し好ましい。
コーティング装置11は、固形の水酸化ナトリウムの表面をコーティングする装置であり、ここではコーティング剤にパラフィンを使用する。固形の水酸化ナトリウムの形状は特に限定されず、市販されているフレーク状、ペレット状の水酸化ナトリウムを使用することができる。パラフィンは、水酸化ナトリウムをコーティングした状態では固体であり、減圧蒸留槽5に投入されると溶融し液体となるものが好ましい。減圧蒸留槽5の脱水操作温度が90℃程度であれば、融点が60〜70℃程度のパラフィンが好ましい。
コーティング装置11は、図3に示すようにロータリーキロンと同様の、回転する横型の円筒本体21を備え、円筒本体21の両サイドには、入口フード23、出口フード25が設けられている。入口フード23、出口フード25は、固定されており、円筒本体21は、入口フード23、出口フード25に対して気密を保持した状態で、図示を省略した駆動装置を介して回転する。
円筒本体21の上部には、スプレーノズル27が設けられ、コーティング剤であるパラフィンが定量供給される。例えば融点が約60℃のパラフィンは、70℃程度に加温され液体の状態でスプレーされる。固形の水酸化ナトリウムは、入口フード23に取付けられたスクリューフィーダ29を通じて定量供給される。コーティング装置11は、入口フード側23が出口フード側25に比較して僅かに高くなるよう傾斜して設置されている。
円筒本体21が回転することで固形の水酸化ナトリウムも円筒本体21内で転動し、水酸化ナトリウムの表面にパラフィンがまんべんなくコーティングされる。70℃程度に加温された液状のパラフィンは、固形の水酸化ナトリウムと接触することで冷却し固化する。このため排出口31からは、表面がパラフィンにコーティングされた水酸化ナトリウムが排出される。
次にPCB混入絶縁油の無害化処理設備1の使用方法と作用効果について説明する。処理タンク3から減圧蒸留槽5に被処理油が送られるのに合せて、減圧蒸留槽5にスラリー供給装置9から水酸化ナトリウムスラリーが供給される。減圧蒸留槽5に送られた被処理油及び水酸化ナトリウムスラリーは撹拌混合され、さらに加熱手段を介して加熱される。同時に槽内が減圧され、被処理油に含まれる水分が除去される。
被処理油中の水分が除去されると水溶性の酸化変質油が析出するが、析出する酸化変質油、スラッジとなり析出した酸化変質油及び非水溶性で被処理油に溶解する酸化変質油は、水酸化ナトリウムと反応する。酸化変質油と水酸化ナトリウムとの代表的な反応として以下に示す鹸化反応及びフェノキシド塩反応がある。
Figure 2013118953
鹸化反応及びフェノキシド塩反応は、pHが高い方が進み易いので水酸化ナトリウムを添加することは好ましい。なお、灯油に分散させた30重量%水酸化ナトリウムスラリーを被処理油に対して0.12重量%添加したところ、回収絶縁油のpHは約13.2であり、添加量を0.4重量%まで増加させてもpHは変化しなかった。
減圧蒸留槽5では、上記のように酸化変質油が水酸化ナトリウムと反応することで、スラッジの析出を防止し、又はスラッジを微細化するので配管等の閉塞を防止することができる。減圧蒸留槽5に水酸化ナトリウムを添加しないで、被処理油から水分を除去すると水溶性の酸化変質油がスラッジとなって析出し、減圧蒸留槽5と反応槽7とを結ぶラインに設けられたストレーナ(図示を省略)を閉塞させる。
基礎実験において、灯油に分散させた30重量%水酸化ナトリウムスラリーを酸化変質油を含むPCB混入絶縁油に対して0.2重量%添加し、この油をロータリーエバポレータで減圧蒸留したところ、フラスコ内には殆ど残渣が見られなかった。一方、酸化変質油を含むPCB混入絶縁油をそのままロータリーエバポレータで減圧蒸留したところ、フラスコ内に比較的多くの褐色の残渣が認められた。
鹸化反応及びフェノキシド塩反応で生じた反応生成物を含む被処理油は、反応槽7に送られ、ここで金属ナトリウムが添加される。被処理油と金属ナトリウムとは、撹拌されながら加熱手段を介して加熱され、PCBは金属ナトリウムと反応し脱塩素化し、被処理油は無害化される。なお、金属ナトリウム分散体を添加し所定の時間経過後に、反応促進剤として所定量の水が添加される。
減圧蒸留槽5で酸化変質油を水酸化ナトリウムと反応させることなく、酸化変質油を含むPCB微量混入絶縁油と金属ナトリウムさらに反応促進剤である水と反応させると、次に示すように酸化変質油も金属ナトリウムと反応するため、金属ナトリウムの消費量が多くなる。酸化変質油を含むPCB微量混入絶縁油と金属ナトリウム、反応促進剤である水との代表的な反応は、次式で示される。
Figure 2013118953
これに対して、本実施形態の無害化処理設備1では、酸化変質油が減圧蒸留槽5で水酸化ナトリウムと反応している。鹸化反応及びフェノキシド塩反応で生じた反応生成物は金属ナトリウムと反応せず、さらに酸化変質油の量も低減しているので反応槽7で添加する金属ナトリウムの量を抑えることができる。図5に被処理油に水酸化ナトリウムを添加したときの反応槽7に添加する金属ナトリウム注入量と反応後の処理済油中のPCB濃度の関係を示した。
灯油に分散させた30重量%水酸化ナトリウムスラリーを酸化変質油を含むPCB混入絶縁油に対して0.2重量%添加したところ、PCB濃度12mg/kgのPCB混入絶縁油を完全に分解するに必要な金属ナトリウムの量は、被処理油1kL当たり約0.75kgであった。全く水酸化ナトリウムを添加しない場合、被処理油1kL当たり金属ナトリウムを約1.4kg添加する必要があることから、水酸化ナトリウムを添加することで金属ナトリウムの添加量をほぼ半減させることができる。なお、酸化変質油を全く含まないPCB混入絶縁油の場合、PCBを完全に分解するに必要な金属ナトリウムの量は被処理油1kL当たり約0.55kgであった。
従来のPCB混入絶縁油の無害化処理設備では、反応槽7の壁面にスケールが付着する現象がよく見られた。スケールは、酸化変質油が金属ナトリウム又は反応促進剤と反応し生成する鹸化物、炭酸塩、有機酸塩でありこれらが反応槽内壁面へ付着し、析出したものである。これら鹸化物、炭酸塩、有機酸塩は極性が強いため金属面に付着しやすく油に不溶であるので反応槽7の壁面に付着し、種々の悪影響を与えるが、本実施形態の無害化処理設備1では、反応槽7には酸化変質油と水酸化ナトリウムとを反応させた被処理油が送られるのでスケールの発生が抑制される。
以上のように本実施形態の無害化処理設備1は、連続的に水酸化ナトリウムスラリーを製造し、製造した水酸化ナトリウムスラリーを減圧蒸留槽5に直ちに供給するスラリー供給装置9を備えるので、反応槽7へ送る前に減圧蒸留槽5で酸化変質油と水酸化ナトリウムとを反応させることが可能であり、これにより酸化変質油が金属ナトリウムと反応することを防止することができ、金属ナトリウムの使用量を低減し、さらにスケールの発生を抑制することができる。
水酸化ナトリウムの粒径は、酸化変質油との反応を考えればできるだけ小さいことが望ましい。一方で水酸化ナトリウムは、空気中の水分により潮解するので、水酸化ナトリウムを微粉砕し保存しておくことは容易ではなく、また供給も難しい。微粉砕した水酸化ナトリウムを油に分散させた懸濁液(スラリー)とすれば、取り扱いが容易となるが、製造したスラリーにおいて水酸化ナトリウムが沈降分離しないようにするには常時撹拌しておく必要がある。さらに保存が長期間に及ぶ場合には、分散性を保持するために界面活性剤などを添加する必要がある。また保存期間中に空気中の水分により凝固しないようにする必要があるなど、スラリーを安定的に保存することも容易ではない。また予めスラリーを製造し、保管しておく方法では、保管中に性状が変化することもあり、このようなスラリーでは、酸化変質油を含むPCB混入絶縁油の無害化処理を安定的に行うことはできない。
これに対して、本実施形態に示すPCB混入絶縁油の無害化処理設備1は、スラリー供給装置9を介して連続的に水酸化ナトリウムスラリーを製造し、製造した水酸化ナトリウムスラリーを直ちに供給するので性状が一定する。このため酸化変質油を含むPCB混入絶縁油であっても、安定的に処理することが可能で取扱いも容易であり、実機レベルのPCB混入絶縁油の無害化処理設備として好適に使用することができる。さらに水酸化ナトリウムスラリーの製造に使用する固形の水酸化ナトリウムも、予め表面がパラフィンでコーティングされているので、空気中の水分により潮解することもなく、取り扱いが非常に簡単である。
上記実施形態に示すPCB混入絶縁油の無害化処理設備1では、湿式ミル15と液体サイクロン19とからなるスラリー供給装置9を示したが、スラリー供給装置9は、これに限定されるものではない。スラリー供給装置9は、油を分散媒とし水酸化ナトリウムを微粉砕し、水酸化ナトリウムのスラリーを製造しこれを連続的に供給することができる装置であればよく、例えば、媒体撹拌ミルであるビーズミルなどを使用することもできる。
またコーティング装置11も、上記コーティング装置に限定されるものではない。コーティング装置11は、固形の水酸化ナトリウムの表面を水分から保護すべく、固形の水酸化ナトリウムの表面にコーティング剤をコーティングすることが出来ればよく、公知のコーティング装置を使用することができる。
上記実施形態に示すPCB混入絶縁油の無害化処理設備1では、水酸化ナトリウムスラリーを減圧蒸留槽5に供給する例を示したが、水酸化ナトリウムスラリーは、減圧蒸留槽5において、被処理油から水分を除去する前までに被処理油に添加しておけばよい。このため減圧蒸留槽5に代え、処理タンク3、又は処理タンク3と減圧蒸留槽5を結ぶ管路に供給可能としてもよい。
また上記実施形態に示すPCB混入絶縁油の無害化処理設備1において、減圧蒸留槽5に水酸化ナトリウムスラリーの他、炭酸ナトリウムスラリーを同時に添加してもよい。この場合、コーティング装置11を使用して、水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムとの混合物を同時にコーティングし、これをスラリー供給装置9でスラリーとすることができる。
被処理油に炭酸塩を添加しておくことで、炭酸塩が種晶となる。減圧蒸留槽5に炭酸ナトリウムを添加すると、炭酸ナトリウムは被処理油といっしょに反応槽7に送られ、酸化変質油と金属ナトリウム又は反応促進剤とが反応し鹸化物、炭酸塩、有機酸塩等が生成しても、これら反応生成物は炭酸ナトリウムを種晶としこれに付着し種晶を核として成長するので、反応生成物が反応槽内壁面に付着することをより確実に防止することができる。
また上記実施形態に示すPCB混入絶縁油の無害化処理設備1では、水酸化ナトリウムのスラリーの製造に、表面がパラフィンでコーティングされた水酸化ナトリウムを使用している。この方法は、水酸化ナトリウムの取扱いが容易な好ましい方法であるが、水酸化ナトリウムのスラリーの製造に、コーティングされていない水酸化ナトリウムを使用してもよい。
また上記実施形態に示すPCB混入絶縁油の無害化処理設備1では、水酸化ナトリウムをスラリーとして減圧蒸留槽5へ供給するが、スラリーに代え、溶融した水酸化ナトリウムが分散媒に分散したエマルションとして減圧蒸留槽5へ供給してもよい。これによっても水酸化ナトリウムをスラリーとして供給する場合と同様の作用効果を得ることができる。
図6は、溶融した水酸化ナトリウムが分散媒に分散したエマルションを製造するエマルション製造装置41である。エマルション製造装置41は、ヒータ加熱式の一軸押出機43と、一軸押出機43の吐出部に連結されたヒータ加熱式のスタティックミキサー45と、固形の水酸化ナトリウムを定量供給するスクリューフィーダ17とを備える。スタティックミキサー45の入口部には、分散油が供給される。
ヒータ加熱式の一軸押出機43は公知のヒータ加熱式の一軸押出機であり、スクリューフィーダ17から定量供給される固形の水酸化ナトリウムを溶融し、吐出部から連続的に押し出す。一軸押出機43から押し出される溶融した水酸化ナトリウムは、スタティックミキサー45で、分散油と混合され分散油に分散したエマルションとなって減圧蒸留槽5へ供給される。水酸化ナトリウムの融点は318℃であるから、320〜330℃程度に加熱し、分散油も沸点が350℃程度の油を使用すればよい。
分散油に溶融した水酸化ナトリウムが分散したエマルションは、減圧蒸留槽5へ供給されると冷却され懸濁液となるため、結果として、水酸化ナトリウムのスラリーを供給することと同じ状態となる。分散油に溶融した水酸化ナトリウムが分散したエマルションは、水酸化ナトリウムが液状で分散しているためスラリー以上に水酸化ナトリウムを微細化させることができる。エマルション製造装置41において、一軸押出機43に代え、二軸押出機を使用可能なことは当然である。
次にPCB混入絶縁油の無害化処理プラント51に本発明のPCB混入絶縁油の無害化処理設備1を組み込む例を示す。図7は、本発明のPCB混入絶縁油の無害化処理設備1をPCB混入絶縁油の無害化処理プラント51に適用したときの構成図である。図1から図3に示すPCB混入絶縁油の無害化処理設備1と同一の構成には同一符号を付して説明を省略する。
PCB混入絶縁油無害化処理プラント51は、PCB混入絶縁油、さらにはPCB汚染物に付着するPCB混入絶縁油を回収し、これらを金属ナトリウムで無害化するプラントであり、PCB汚染物を真空加熱し汚染物に付着する絶縁油を回収する絶縁油回収装置53と、絶縁油回収装置53で回収される回収絶縁油及び柱上変圧器から抜き出されたPCB混入絶縁油等を無害化する無害化処理設備55とに大別される。以下、柱上変圧器に充填されたPCB微量混入絶縁油及び柱上変圧器に付着するPCB微量混入絶縁油を回収し、これらを無害化処理する場合を例に取り説明する。
絶縁油回収装置53は、PCB汚染物を真空加熱し汚染物に付着する絶縁油を回収する装置であり、PCB汚染物を真空加熱する真空加熱炉61、真空加熱炉61で蒸発させた絶縁油等を凝縮させる凝縮器63、凝縮器63で凝縮回収した凝縮液に含まれる水を分離する油水分離器65及び回収絶縁油を貯蔵する回収油貯蔵タンク67を含む。
PCB汚染物である柱上変圧器は、PCB微量混入絶縁油を抜き出した後、解体、破砕されケース、銅線、金具、碍子、紙木などに分けられた後、各々真空加熱炉61に投入される。真空加熱炉61内は加熱され、さらに真空ポンプを含む減圧装置により減圧状態となっている。ケース等に付着するPCBを含む絶縁油は、真空加熱炉61内で蒸発し、凝縮器63で冷却され凝縮した後、油水分離器65に送られる。
柱上変圧器は、銅線、金具などの金属のほか紙木を含むため、真空加熱炉61で加熱されるとPCBを含む絶縁油のほか、紙木が乾留されこれらが凝縮液となって油水分離器65に送られる。このため凝縮液には、PCBを含む絶縁油のほか水、紙木類乾留物を含む。油水分離器65では凝縮液が静置され比重差により油相と水相とに分離され、油相は、回収絶縁油として回収油貯蔵タンク67に送られる。なお回収絶縁油にはPCBを含む絶縁油の他、紙木類乾留物及び少量の水が含まれる。回収油貯蔵タンク67の回収絶縁油は、タンクローリー69で無害化処理設備55の処理タンク3に送られる。
PCB微量混入絶縁油を抜き出した後の柱上変圧器を破砕しこれを真空加熱し回収される回収絶縁油が含まれるPCB微量混入絶縁油を被処理油とする場合、被処理油には、C=O結合及びC−O結合を含む酸化変質油が含まれる。酸化変質油はカルボン酸、アルコール類など水溶性の酸化変質油、非水溶性の酸化変質油を含み、極性が強いため、一部の酸化変質油は時間経過と共に酸化変質油同士が凝集、合体しスラッジとなり析出する。
析出するスラッジはタール状で粘性が高いため、回収油貯蔵タンク67から回収絶縁油を払出すラインに設けられたストレーナ(図示を省略)を閉塞させる。また酸化変質油に含まれる酸性成分又はスラッジは被処理油中の水と交わり酸性を呈するため、回収油貯蔵タンク67から回収絶縁油を払出すラインの配管等を腐食させる。さらに減圧蒸留槽5で水分を除去すると水溶性の酸化変質油もスラッジとなって析出し、減圧蒸留槽5と反応槽7を結ぶラインに設けられたストレーナ(図示を省略)を閉塞させる。
上記トラブルを防止するためにPCB混入絶縁油無害化処理プラント51では、回収油貯蔵タンク67に水酸化マグネシウムスラリーを添加する。水酸化マグネシウムスラリーは、PCBを含まない絶縁油に微粉砕した水酸化マグネシウムを分散させたものである。水酸化マグネシウムは、回収絶縁油に含まれる水と接しアルカリ性を呈するので酸化変質油に含まれる酸性成分を中和し、酸化変質油が引き起こす配管の腐食等を防止することができる。灯油に分散させた30重量%の水酸化マグネシウムスラリーを回収絶縁油に対して0.2重量%添加したところ、回収絶縁油のpHは約9であり、添加量を0.4重量%まで増加させてもpHは変化しなかった。防錆効果はpH9付近が一番高く、この点から水酸化マグネシウムは好ましい。
また回収油貯蔵タンク67に水酸化マグネシウムスラリーを添加すると、酸化変質油の極性が緩和されスラッジの析出を防止し、析出したスラッジを分散させることができる。ビーカースケール実験において、タール状で粘性が高いスラッジが析出した酸化変質油を含むPCB微量混入絶縁油に、灯油に分散させた30重量%の水酸化マグネシウムスラリーを添加しよく撹拌したところ、スラッジは溶解又は微細化され、PCB微量混入絶縁油は濁った状態の一相となり、長時間放置後もスラッジが析出することはなかった。
上記のように回収油貯蔵タンク67に水酸化マグネシウムを添加することで、酸化変質油に含まれる酸性成分が中和されこれにより安定的に回収絶縁油を貯蔵することができる。また酸化変質油の極性を緩和させ酸化変質油のスラッジ化を防止し又はスラッジ化した酸化変質油を分散させることができるので、スラッジによるストレーナ、配管の閉塞を防止することができる。なお、水酸化マグネシウムに代えMgOを添加すると、MgOは回収絶縁油に含まれる水と反応して水酸化マグネシウムになるので、MgOを添加してもよい。この他、NaCO及びNaHCOの添加も酸性成分の中和には好ましい。
無害化処理設備55は、SPプロセス(soduim pulverulent dispersion)法を用いてPCB混入絶縁油を無害化する設備であり、金属ナトリウムとPCBとを反応させPCBを脱塩素化する。無害化処理設備55は、被処理油を貯蔵する処理タンク3、被処理油に含まれる水を除去する減圧蒸留槽5、PCBを金属ナトリウムと反応させ脱塩素化する反応槽7、処理タンク3と減圧蒸留槽5とを結ぶ管路6に水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムのスラリーを供給するスラリー供給装置9、PCBの脱塩素化を確認するための分解確認槽71、処理済油に含まれる残存金属ナトリウムを水和させ、さらに中和する抽出中和槽75、処理済油と水とを分離する油水分離槽77、水を回収する洗浄水再生設備79を備える。
水酸化マグネシウムスラリーが添加された被処理油は、処理タンク3に貯蔵される。処理タンク3から減圧蒸留槽5への被処理油の送油に連動してスラリー供給装置9から水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムのスラリーが供給される。上記PCB混入絶縁油の無害化処理設備1では水酸化ナトリウムのスラリーが減圧蒸留槽5に供給されるが、本実施形態では、処理タンク3から減圧蒸留槽5への被処理油の送油に連動して、処理タンク3と減圧蒸留槽5とを結ぶ管路6に水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムのスラリーが供給される。
処理タンク3から減圧蒸留槽5への被処理油の送油に連動して、処理タンク3と減圧蒸留槽5とを結ぶ管路6に水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムのスラリーを供給すると、送油の過程で被処理油と水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムのスラリーとが混合されるので好ましい。もちろん上記実施形態に示すPCB混入絶縁油の無害化処理設備1と同様に、減圧蒸留槽5に供給してもよい。
減圧蒸留槽5は、ジャケット付き撹拌槽であり、ジャケットに加熱した熱媒を供給することで被処理油を加熱する。また減圧蒸留槽5は、槽内を減圧し被処理油に含まれる水を蒸発させ凝縮し回収する減圧装置(図示を省略)を備え、処理タンク3から送られた被処理油は、ここで90℃程度に加熱、0.0142Mpa程度に減圧され、被処理油に含まれる水が除去される。
被処理油中の水分が除去されると水溶性の酸化変質油が析出するが、析出する酸化変質油、スラッジとなり析出した酸化変質油及び非水溶性で被処理油に溶解する酸化変質油は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム水酸化マグネシウムと反応する。酸化変質油と水酸化マグネシウムとの代表的な反応として、鹸化反応及びフェノキシド塩反応がある。この反応は、酸化変質油と水酸化ナトリウムとの反応と基本的に同一である。減圧蒸留槽5で水分が除去された被処理油は反応槽7に送られる。
反応槽7は、ジャケット付き撹拌槽であり、ここで減圧蒸留槽5で水分が除去された被処理油に金属ナトリウムが添加される。金属ナトリウムは、絶縁油中に金属ナトリウムの微粒子を分散させた金属ナトリウム分散体(SD:soduim dispersion)として反応槽7に添加される。被処理油と金属ナトリウムとは、撹拌されながらジャケットに供給される加熱した熱媒により90℃程度まで加熱され、PCBは金属ナトリウムと反応し脱塩素化し、被処理油は無害化される。なお、金属ナトリウム分散体を添加し所定の時間経過後に、反応促進剤として所定量の水が添加される。反応槽7の気相部には窒素ガスが供給されている。
鹸化反応及びフェノキシド塩反応で生じた反応生成物を含む被処理油は、反応槽7に送られ、ここで金属ナトリウムが添加されるが、鹸化反応及びフェノキシド塩反応で生じた反応生成物は金属ナトリウムと反応せず、さらに酸化変質油の量も低減しているので反応槽7で添加する金属ナトリウムの量を抑えることができる。
反応槽7でPCBが脱塩素化された被処理油(処理済油)は、分解確認槽71に送られ、サンプリングライン73を介してサンプリングされ、処理済油中のPCB濃度が所定の濃度以下になっているか確認される。なお処理済油には、炭酸ナトリウムに付着する鹸化物、炭酸塩、有機酸塩等の反応生成物が不溶性固形分となり、処理済油中に懸濁している。ここでPCBが所定濃度以下に達していないことが確認されると、処理済液を反応槽7に返送し再度、PCBの脱塩素化を行う。処理済油は、PCB濃度が所定の濃度以下であることが確認されると冷却され、その後に抽出中和槽75に送られる。
分解確認槽71から送られる処理済油は、抽出中和槽75で多量の水と混合され、処理済油中に残存する金属ナトリウムが水和される。さらに金属ナトリウムが水和され生成した水酸化ナトリウムを中和させるための炭酸ガスが吹き込まれ所定のpHに調整された後、油水分離槽77に送られる。処理済油中に懸濁する鹸化物、炭酸塩、有機酸塩等は水に溶解し、最終的には、塩化ナトリウムなどと一緒に乾燥汚泥として回収される。
油水分離槽77に送られる多量の水を含む処理済油は、油水分離槽77で静置され比重差により油相81と水相83とに分離される。上層の油相81は、処理済油タンク85に送られ貯蔵される。一方、下層の水相83は、水を回収する洗浄水再生設備79に送られる。
洗浄水再生設備79は、乾燥機87を備え、水を蒸発させ回収すると共に水に含まれる塩化ナトリウム等を蒸発乾固させる。油水分離槽77から送られる水は静置分離水受槽89に一度、貯留された後、乾燥機87に送られ加熱される。蒸発した水は、凝縮器91で凝縮し凝縮水槽93に貯留される。この水は抽出中和槽75に送られ、金属ナトリウムを水和させるための水として使用される。一方、水に溶解していた塩化ナトリウム等は乾燥汚泥として回収される。このように無害化処理設備55は、水を系外に排出しないクローズドシステムとなっている。
上記無害化処理設備55は、処理済油に水を加えて、残存する金属ナトリウムをクエンチングし、さらに不純物を水側に溶解させることで処理済油を精製するが、脱塩素化された被処理油(処理済油)の精製方法、処理済油に残存する金属ナトリウムをクエンチングする方法は上記方法に限定されるものではない。
上記実施形態では、PCB混入絶縁油の無害化処理設備1、これを組み込んだPCB混入絶縁油無害化処理プラント51を示したが、本発明のハロゲン化合物含有油の無害化処理設備は、金属ナトリウムの消費量を抑制すべく、酸化変質油を含むハロゲン化合物含有油を金属ナトリウムで脱ハロゲン化する前に、酸化変質油と反応させるための水酸化ナトリウムをオンラインで連続的に供給する分散液供給装置を備える点に特徴があり、PCB混入絶縁油以外にも、ハロゲン化合物を含有する油を金属ナトリウムで脱ハロゲン化する設備として好適に使用することができる。
1 PCB混入絶縁油の無害化処理設備
3 処理タンク
5 減圧蒸留槽
7 反応槽
9 スラリー供給装置
11 コーティング装置
15 湿式ミル
16 ミルホッパー
17 スクリューフィーダ
19 液体サイクロン
21 円筒本体
23 入口フード
25 出口フード
27 スプレーノズル
29 スクリューフィーダ
31 排出口
41 エマルション製造装置
43 一軸押出機
45 スタティックミキサー
51 PCB混入絶縁油無害化処理プラント
53 絶縁油回収装置
55 無害化処理設備

Claims (5)

  1. 被処理油である、酸化変質油を含むハロゲン化合物含有油を貯蔵する処理タンクと、
    前記処理タンクから送られる被処理油に含まれる水分を除去すると共に酸化変質油と水酸化ナトリウムとを反応させる減圧蒸留槽と、
    水分が除去されかつ酸化変質油と水酸化ナトリウムとが反応した被処理油中のハロゲン化合物と金属ナトリウムとを反応させ脱ハロゲン油を得る反応槽と、
    前記処理タンク、前記減圧蒸留槽又は前記処理タンクと前記減圧蒸留槽とを結ぶ管路のいずれか1の場所に、水酸化ナトリウムを分散媒に分散させた分散液を供給する分散液供給装置と、を含み、
    前記分散液供給装置は、連続的に水酸化ナトリウムを分散媒に分散させ、製造した分散液を直ちに供給することを特徴とするハロゲン化合物含有油の無害化処理設備。
  2. さらに固形薬剤の表面をコーティング剤でコーティングするコーティング装置を備え、
    前記分散液供給装置は、前記コーティング装置により表面がコーティング剤でコーティングされた固形の水酸化ナトリウムを原料とし、前記分散液を製造し、供給することを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化合物含有油の無害化処理設備。
  3. 前記分散液供給装置は、水酸化ナトリウムを粉砕するミルを備え、
    前記分散液が、前記ミルで粉砕された水酸化ナトリウムが前記分散媒に分散したスラリーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化合物含有油の無害化処理設備。
  4. 前記コーティング剤が、パラフィンであることを特徴とする請求項2又は3に記載のハロゲン化合物含有油の無害化処理設備。
  5. 前記分散媒が、酸化変質油を含むハロゲン化合物含有油を脱ハロゲン化し得られた油であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載のハロゲン化合物含有油の無害化処理設備。
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